【発明の詳細な説明】
触媒変換器を備えた台所用排気システム 発明の背景
本発明は、調理器具用の排気フードに関する。より具体的には、本発明は、清
浄な排気流が内部に求められる商業用/施設用の調理器具のために設計されたこ
の種のフードに関する。
図1を参照すると、先行技術による台所用排気フードは、取込フード1、およ
び排気ダクト2を含む。取込フード1の下に位置するバーベキュー用グリル3は
、ガス熱源4およびその上に食物6が置かれる火格子5を有する。グリル3が加
熱されると、グリル3から出た高温のガスが上昇して取込フード1に入り、内部
にフィルターFが配置された吸気孔(inlet vent)9を介して排気ダクト2の中
に移行する。空気および高温ガスは、自然対流式通風(natural-convection dra
ft)またはファン21によって発生する強制対流式通風(forced-convection dr
aft)によって排気ダクト2の中に移行する。食物6がグリル3の上に置かれる
と、食物6が焼かれることによってガスおよびエアゾール7が発生し、それが取
込フード1の近傍における陰圧流によって排気流へと運び込まれる。食物6の調
理によって発生するガスおよびエアゾール7には油/タールの細かい粒子および
炭化水素(煙)が含まれ、これは特に脂肪分の多い肉を高温で調理する場合に含
まれる。これらの産物は取込フード1および排気ダクト2を汚損する傾向があり
、それ自体が有害な汚染物である。したがって、それらを排気流から除去するこ
とが望ましい。
調理作業(油で揚げる、直火であぶり焼きにする、など)において生じるよう
な燃焼している有機材料から出る煙の大部分は、結露した水滴を除けば、触媒変
換器によって燃焼させうる材料からなる。このため、例えば、触媒変換器は加熱
装置において煙を除去して付加的な燃料エネルギーを放出させるために使用され
てきた。例えば、米国特許第4,343,507号(Schwartzら)は、自然対流によって
排気流がその内部を通過する触媒床を有する木材燃焼式ストーブを記載している
。この出願では、触媒はその触媒の発火点を超えるように保つために燃料の燃焼
位置と非常に近接して配置される。
触媒変換器は屋内オーブンにも適用されている。例えば、JA0096839(1985年5
月)、JA0157532(1990年6月)、FR 2 705 768-A1(1993年6月)およびJA004338
0(1980年3月)は、オーブンに触媒変換器を適用するさまざまな仕方を記載して
いる。これらのすべての装置において、触媒温度を高温に維持するために触媒は
オーブンの内部に配置される。アデイ(Adey)(米国特許第2,933,080号)は、
触媒変換器を含む自然対流式排気システムを備えたバーベキュー用グリルを提出
している。この出願では、オーブンの出願と同じように、触媒温度を高温に維持
するために調理スペースは密閉されており(出し入れは前面ドアから行う)、触
媒は熱源の近くに位置している。上記の参考文献では、調理過程によって放出さ
れた煙とともにかなりの量の非加熱空気が排気流に取り込まれる部分である、排
気フードの排出ダクトの内部に触媒変換器を適用するという問題点への対処が行
われていない。この種の出願において、必要とされる高い触媒温度を維持するこ
とは困難である。
排気が低温であるという問題への対処は、ファンによって調理時の煙がガス対
ガス熱交換器(gas-to-gas heat exchanger)を通じて取り込まれる排気システ
ムの部分を記載した、デービス(Davies)による米国特許第4,138,220号におい
てなされている。この熱交換器の一方の側では処置されていない空気およびガス
の流れが触媒変換器と通じており、もう一方の側ではより高温の加熱されたガス
の流れが吸引用ファンと通じている。触媒内での炎焼によって生じた熱は、処理
済みの流れから未処理の流れへと伝達される。
触媒が動作するために十分に高い温度を確実に得るために、必要に応じて電気
式またはガス式の加熱器から付加的な熱を加えてもよい。また、触媒を予熱する
ための内蔵電気加熱器を備えた触媒性濾床(catalytic filter bed)が記載され
たさまざまな参考文献もある。
触媒変換器に基づくもう1つのシステムは、米国特許第5,580,535号に記載さ
れている。この特許は、ブロイラーまたは調理煙のその他の原因のための方法お
よび装置を記載したものである。この明細書では、排出物をファンによって吸引
して1つまたはそれ以上の触媒変換器に通過させることにより、フードによって
取り込まれた調理器からの排気流を触媒に曝露させる態様が記載されている。こ
の明
細書では、必要であれば、触媒による酸化を確実に行わせるために触媒または排
気流を加熱してもよいと記述している。
台所用排気設備への触媒変換器の適用に関するこれまでの提出物のいずれに関
しても、多くの重大な問題が残されている。まず、いくつかの理由から、デービ
ス(Davies)が提出したようなシステムによる損失エネルギーの量は非常に高い
と考えられる:(1)高い効率の熱伝達を得る必要があるとすれば、ガス対ガス熱
交換器を通して調理用ガスを取り込むために必要なファンのエネルギーは非常に
高い、(2)煙が台所に入るのを防ぐためにフード周囲の余剰空気をさらに取り込
む必要があるため、空気混合物の温度を室温から触媒の動作温度に高めるには熱
を追加する必要がある。第2に、台所用排気フードは通常はモジュール式パッケ
ージの形で供給され、調理設備とは別に取り付けられる。実際には、これらは異
なる企業によって製造されることが一般的である。これは新たに後付けする際に
制御の問題をもたらすが、この点は、デービスによる対処はなされておらず、以
上に引用した他の参考文献でのデザインではそれらが加熱および排気装置を組み
合わせたものであるとの理由から回避されている。上記の先行技術によれば、触
媒変換器の予熱または温度維持のために必要な付加的な熱の何らかの供給源を制
御するために、排気フードと熱源との間に相互接続を作成することが必要である
。これは、分離式の調理および排気システムという状況においては望ましくない
。
さまざまな調理設備との互換性がある分離式の排気システムの提供という目標
に非特異的に関連するその他の問題点もある。例えば、理想的な条件を維持する
ことは現実的には不可能であり、このため、触媒変換器が時に汚損されることは
ほとんど不可避的である。当業者には周知であるように、このことはその機能に
とって致命的である。したがって、触媒変換器を清浄に保つ必要性がある。大部
分の調理設備では、食物を何ら調理しておらず、調理用表面に食物残渣が残って
いない場合に放出される可燃性汚染物質の量は非常に少ない。設備の上により多
くの食物が置かれるまで熱が残っているという通常の場合であっても、排気流中
には可燃物がほとんど残っていないため、触媒変換器の温度を維持する必要はな
い。これらの条件下において触媒変換器の温度を維持することはエネルギーを浪
費する。
さらにもう1つの重要な問題は触媒変換器の費用である。油脂分を含む空気中
の燃料を酸化させることはできるが、必要となる触媒変換器の面積は大きいと考
えられる。触媒変換器は極めて高価であることが多いため、そのサイズおよび費
用ができるだけ抑えられるように負荷を最小限にすることが望ましい。発明の目的および概要
本発明の1つの目的は、広範な調理設備と互換性がある、台所用調理設備のた
めの排気システムを提供することである。
本発明のもう1つの目的は、触媒変換器に対する補充熱を自動制御する台所用
排気フードを提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、内部の触媒変換器を清浄化する台所用排気
フードを提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、自動式の清浄サイクルを有する台所用排気
システムを提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、調理過程による排気流を清浄化するための
触媒変換器を有する台所用排気システムを提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、触媒変換器を有していて、通常の保守のた
めにそれを取り外す必要のない台所用排気システムを提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、排気流が触媒変換器を通過する前にエアゾ
ール粒子を焼却および/または気化する触媒変換器を有する台所用排気システム
を提供することである。
本発明のさらにもう1つの目的は、主要な排気流への加速の誘導および/また
は力の添加によって、排気流が触媒変換器を通過する前のエアゾール粒子の焼却
および/または気化を増強させる触媒変換器を有する台所用排気システムを提供
することである。
簡潔に言えば、バーベキュー用の炉などの煙を出す調理器具のための台所用排
気システムには、触媒変換器を有するモジュール式の排気フードが含まれる。追
加する熱を最小限にしながら触媒温度を高く維持するために、いくつかの特徴が
提供される。まず、この排気フードは上の方ほど先細になっており、触媒変換器
を通過する排気流を介して煙および空気が吸気孔に誘導されるようにフードの頂
部に収束性の流路が形成されている。第2に、吸気スロット(inlet slot)のサ
イズは、そのスロットを通る流れが、調理器具から生じる自然対流の上昇流の平
均速度と一致する大きさを有する。第3に、吸気スロットは調理領域の中央上部
に位置する。上記の3つの特徴は煙のフード内における残存時間を最小限にし、
フード内の大きな渦状乱流を軽減する。第4に、処理された排気流は再循環され
てフードの前面に取込ジェット流(capture jet)を生じ、これによって、排気
容積を増加させずに周囲領域への煙の混入の可能性を低下させる陰圧が形成され
る。第5に、必要な場合に限定されるが、追加する熱を投入するために補助バー
ナーパックが提供される。第6に、制御システムによって触媒の自己清浄化が提
供される。その他の特徴についても説明する。
本発明の1つの態様によれば、調理器具のための排気装置であって、該調理器
具の上部の空間を部分的に密閉し、該調理器具へのアクセスが提供される前方端
面および該前方端面の反対側に後方端面を有するフードであり、触媒変換器を備
えた排気ダクトを有する該フードであり、該触媒変換器を通じて該調理器具の周
囲領域からの煙および空気を該フード内に取り込むためのファンを有する該フー
ド、処置された流れからのガスを取り込んで該前方端面からの該ガスを該調理器
具の上部の空間へと後方方向に排出し、それによって取込ジェット流が発生する
ような位置に置かれた通路および通気孔、該触媒変換器の上流にある処置されて
いないガスの流れの中に熱を放出するような位置に置かれた加熱器、ならびに該
触媒変換器が該煙の中の燃料を効率的に燃焼させるような最低限の動作温度に該
触媒変換器を維持するために有効な特定のレベルに該触媒変換器の上流または下
流のいずれか1つの温度を維持するためのコントローラを含む、排気装置が提供
される。
本発明のもう1つの態様によれば、調理器具のための排気装置であって、該調
理器具の上部の空間を部分的に密閉し、該調理器具へのアクセスが提供される前
方端面および該前方端面の反対側に後方端面を有するフードであり、触媒変換器
が付いた排気ダクトを有する該フードであり、該触媒変換器を通じて該調理器具
の周囲領域からの煙および空気を該フード内に取り込むためのファンを有する該
フードであり、該調理器具からの煙を誘導する収束路が形成されるような形状を
有
し、吸気スロットが該調理器具の中央部の実質的に上方に位置しており、それに
よって該吸気スロットへの該煙の移動距離が最小限となるような該フード、該吸
気スロットを介して取り込まれた排気の平均速度が該調理器具から立ち上った該
煙の自然対流の上昇流の速度と実質的に同一であり、それによって該吸気スロッ
トに取り込まれる該煙および外部の室内空気が滑らかに該吸気スロットを通過し
て該排気ダクトに入るような該吸気スロットを含む、排気装置が提供される。
本発明のさらにもう1つの態様によれば、エアゾール粒子とガスとからなる排
気流の取込および処理のための台所用排気システムのための排気システムであっ
て、捕捉取込口で取り込まれた排気流を運ぶために連結されたダクトを有する排
気捕捉取込口、排気流が触媒変換器を通過するようにダクトが連結された触媒変
換器であって、ある発火点を有する触媒変換器、ダクトによって運ばれる排気流
に触媒変換器の上流の注入点で高温ガスを注入するために連結された高温ガスの
供給源、エアゾール粒子がその温度の高温ガスに曝露された場合にエアゾール粒
子が焼却されるように選択された温度を有する高温ガスであって触媒変換器が確
実に発火点に高められるように十分な速度で注入される高温ガスを含む、排気シ
ステムが提供される。
本発明のさらにもう1つの態様によれば、捕捉取込口で取り込まれた排気流を
運ぶために連結されたダクトを有する排気捕捉取込口、排気流が触媒変換器を通
過するようにダクトが連結された触媒変換器であって、ある発火点を有する触媒
変換器、ダクトによって運ばれる排気流に触媒変換器の上流の注入点で高温ガス
を注入するために連結された高温ガスの供給源、エアゾール粒子がその温度の高
温ガスに曝露された場合にエアゾール粒子が焼却されるように選択された温度を
有する高温ガスであって触媒変換器が確実に発火点に高められるように十分な速
度で注入される高温ガス、アクセス部を有する開口部および閉鎖端面ならびに排
気流の一部を再循環させるために連結されたダクトからの供給を受けるノズルを
形成する排気捕捉取込口、アクセス部に配置され、取込ジェット流を発生するた
めに閉鎖端面の方を向いたノズルを含む、排気システムが提供される。
本発明のさらにもう1つの態様によれば、エアゾール粒子とガスとからなる排
気流の取込および処理のための台所用排気システムのための排気システムであっ
て
、捕捉取込口で取り込まれた排気流を運ぶために連結されたダクトを有する排気
捕捉取込口、排気流が触媒変換器を通過するようにダクトが連結された触媒変換
器であって、ある発火点を有する触媒変換器、ダクトによって運ばれる排気流に
触媒変換器の上流の注入点で高温ガスを注入するために連結された高温ガスの供
給源、エアゾール粒子がその温度の高温ガスに曝露された場合にエアゾール粒子
が焼却されるように選択された温度を有する高温ガスであって触媒変換器が確実
に発火点に高められるように十分な速度で注入される高温ガス、高温ガスの供給
源の火力の度合いを調節するために連結されたコントローラであって、触媒変換
器が発火点に確実に維持されるような火力の度合いに調節されるようにプログラ
ムされたコントローラであり、火力の度合いがスイッチおよびタイマー信号の1
つに反応して低下されアイドル・モードに入るようにプログラムされ、触媒変換
器を発火点に維持するために必要な度合いよりも火力が低いことを示すアラーム
が連結されたコントローラを含む、排気システムが提供される。
本発明のさらにもう1つの態様によれば、エアゾール粒子とガスとからなる排
気流の取込および処理のための台所用排気システムのための排気システムであっ
て、ダクトに連結された取込口であって排気流がその中に取り込まれてそのダク
トに運ばれると思われる入り口を有する取込口、ダクトの内部にあってその触媒
変換器を排気流が通過するような位置に置かれた触媒変換器であってある発火点
を有する触媒変換器、排気流の中の触媒変換器の上流のある点で大規模な乱流お
よび関連した局所的な高温領域が発生するように排気流に力を加えるような仕方
で連結された熱源および乱流発生器、その点の下流および触媒変換器の上流にあ
るダクトの領域であって、その乱流エネルギーを大規模な乱流よりも少なくとも
1桁少ない大きさの乱流に実質的に与えるような大規模な乱流を可能とするため
の十分な長さを有する領域、エアゾール粒子がその温度の高温ガスに曝露された
場合にエアゾール粒子が焼却されるように選択された温度を有する高温ガスであ
って触媒変換器が確実に発火点に高められるように十分な速度で注入される高温
ガスを含む、排気システムが提供される。
本発明の上記ならびにその他の目的、特徴および利点は、同一の要素を同様の
参照数字によって示した添付図面とともに以下の説明を読むことによって明らか
になると思われる。図の一覧
図1Aは、先行技術の態様による、排気フードを備えた調理用グリルの部分断面
図を示したものである。
図1Bは、先行技術の構成の特定の特徴を示す寸法線とともに図1Aの調理用グリ
ルおよび排気フードの部分断面図を示したものである。
図2Aは、本発明の態様による、排気フードを備えた調理用グリルの部分断面図
を示したものである。
図2Bは、先行技術の構成の特定の特徴を示す寸法線とともに図2Aの調理用グリ
ルおよび排気フードの部分断面図を示したものである。
図2Cは、取込ジェット流が吸気スロットに向かって上方に向けられる、本発明
の態様による調理用グリルの部分断面図を示したものである。
図3は、本発明のもう1つの態様による、排気フードを備えた調理用グリルの部
分断面図を示したものである。
図4は、制御要素を備えた図2Aの調理用グリルの部分断面図を示したものであ
る。
図5は、制御要素を備えた図3の調理用グリルの部分断面図を示したものである
。
図6Aは、図1〜5の調理用グリル/排気システムからの排出物を運び、補助バー
ナーからの高温の排気が注入されるダクト部を上からみた断面図を示したもので
ある。
図6Bは、図6Aのダクト部を側面からみた部分断面図を示したものである。
図6Cは、渦発生およびそれに関連したエアゾール粒子に対する慣性力による流
れの概念モデルを示したものである。
図6Dは、図6Aと同様にダクト部を上から見た断面図を示したものであるが、高
温排気が注入されるダクト部への排気流の導入に異なる様式を採用したものであ
る。
図6Eは、図6Dのダクト部を側面から見た部分断面図を示したものである。
図7は、図1〜5の調理用グリル/排気システムからの排出物に対して追加する
熱
を加えるためのヘッダー注入システムの側面断面図を示したものである。
図8は、図1〜5の調理用グリル/排気システムからの排出物に対して追加する
熱を加えるための流れを加速するためにバッフルを採用した注入システムの断面
図を示したものである。
図9Aは、排気流および高温ガスが注入されるらせん状ダクトの部分断面図を示
したものである。
図9Bは、図9Aに示されていない導入部を備えた図9Aのらせん状ダクトの断面図
を示したものである。
図10は、触媒変換器へと通じる上向きダクト中に混合部を備えた排気フードの
部分断面図を示したものである。好ましい態様の詳細な説明
図2Aを参照すると、本発明の第1の態様は取込フード11、および排気ダクト
12を含む。取込フード11の下に位置するバーベキュー用グリル3は、ガス熱
源4およびその上に食物6が置かれる火格子5を有する。グリル3が加熱される
と、グリル3からの高温の排気流が上昇して取込フード11に入り、取込スロッ
ト19を通過する。続いてこの高温の流れは、ファン21によって発生する吸引
力による推進を受けて下降ダクト35を通過して排気ダクト12に入る。ファン
21によって発生する取込フード11における陰圧によって、取込フード11の
近傍の空気18およびグリル3からの加熱されたガスおよびエアゾール7が取り
込まれて排気ダクト12に入る。食物6がグリル3の上に置かれると、食物6が
焼かれることによって付加的なガスおよびエアゾール7が発生し、それもまた取
込フード11の近傍における陰圧流によって排気流へと取り込まれる。食物6の
調理によって発生するガスおよびエアゾール7には油/タールの細かい粒子およ
び炭化水素(煙)が含まれ、これは特に脂肪分の多い肉を高温で調理する場合に
含まれる。ガスおよびエアゾール7は、触媒変換器22によって排気流から取り
除かれる。
触媒変換器22は、肉類の調理およびガス熱源4におけるガスの不完全燃焼(
通常はごく微量または問題にならない程度)によって排気流に導入された可燃性
物質を炎焼させる。これらの過程は当業者には周知であり、本明細書で詳細な説
明は行わない。排気流における可燃物の炎焼の過程において汚染物質は比較的無
害のガスに変換されるが、これは周知である。したがって、触媒変換器22を経
て処置された流れ27は、触媒変換器22に向かう処理されていない流れ17よ
りもはるかに清浄である。これもまた周知である通り、触媒変換器22における
炎焼ではかなりの量の熱が発生するため、処置された排気流27も、処置されて
いない排気流17よりも実質的に高温である。
適切に動作するためには、触媒変換器22の触媒の温度は少なくとも450Fまた
はそれ以上に維持される必要がある。グリル3などのグリル用の通常の燃料温度
は300〜375Fの程度である。必要な触媒温度を維持するためにフード11/ダク
ト12には多くの装置が付加される。
触媒を必要な高温に維持するために有用な装置の1つは、処置された流れ27
の一部を分岐点25によって分離して再循環流23を作り出すことによって発生
する取込ジェット流24である。再循環流23はスロット29を通って放出され
(スロット29はページの奥行き方向に縦に長い形状を有する)、取込ジェット
流24を発生する。スロット29はフード11の全長に沿って走行する。取込ジ
ェット流24、フード11の前縁30の近くの空気の巻き込みを引き起こす。巻
き込みは乱流ジェット気流の現象の1つである。ジェット流は速度が比較的高い
気流の近くに局所的な陰圧を発生させる。周囲の空気18のフード11への流れ
は、一部はダクト12における自然対流スタック効果およびファン21によって
発生するフード内の陰圧によって引き起こされ、一部は取込ジェット流24(こ
れも局所的な陰圧である)への巻き込みによって引き起こされる。取込ジェット
流24は、ガスおよびエアゾール7が前縁30を越えて台所内に漏れるのを防ぐ
ためにフード11内で維持される必要のある陰圧の程度を実質的に軽減するため
に十分に有効である。取込ジェット流24は、フード11および1などのフード
内で必要な陰圧を軽減するための周知の装置である。フード11における陰圧の
軽減の結果は、外部空気18への取込の冷却効果の軽減によって排気流7の温度
を高めることである。取込ジェット流24は、処置されていない流れ17に取り
込まれる低温の室内空気の量を減少させるほか、それが高温の処理済みの流れ2
7から取り込まれたものであるために処置されていない流れ17を加熱する。
触媒を必要な高温に維持するために有用なもう1つの装置は、グリル3の片側
または両側に装着された補助バーナーパック28である。バーナーパック28は
、処置されていない流れ17に対して添加される付加的な熱を発生し、その温度
を直接的に高める。
排気流に取り込まれる必要のある室内空気の総量を減らすために貢献する本発
明の最も重要な特徴の一つは、吸気スロット19が調理用表面の中心部の真上に
位置していることである。これに対して、先行技術のフードでは、吸気孔は排気
フードの後方に位置している。また、吸気スロット19のサイズは、吸気スロッ
ト19に入る流体の平均速度が、排気フード11に向かって上方に向かう空気お
よびガス7の上昇流の速度とほぼ等しくなるような大きさを有する。また、排気
フード11の内部の形状が吸気スロット19に向かって収束しており、収束性の
流路を形成している点に注目する必要がある。このようなデザインの特徴の効果
は、台所内のドラフトによって発生する可能性のある大きく緩やかに移動する渦
、または煙7の上昇流によって発生する乱流によって運ばれた煙が台所内に進入
する傾向を最小限に抑えることである。図1Aおよび1Bの先行技術の装置では、吸
気孔9に入り込む煙7の平均速度は、上昇流の平均速度よりも低い。フードの頂
部1は、排気フード1の実質的な長さにわたり、煙を吸気孔9へ向かって排気フ
ード1の前面近くに誘導する。したがって、先行技術の装置で排気容積流量が低
下すると、煙は排気フード領域をスムーズに通過しない傾向を有する。逆に、排
気容積流量が低い場合は、煙の通過はフード内に比較的長い残存時間を有するこ
とによって特徴づけられる。さらに、上昇流の速度と吸気孔9での平均速度との
間の不一致によって煙は渦を形成するようになる。これらの影響はいずれも台所
への煙の進入を促す。本発明によるフードの設計は、これらの影響を最小限に抑
える傾向があり、進入を軽減し、進入を生じることなく、低い総排気容積によっ
てフードが有効に動作することを可能とする。
排気の温度を高めるさらにもう1つの装置は、燃焼産物26をガス熱源4から
直接注入するための高温ガス蛇口31の装備である。これは、触媒の温度を高め
るために有用な補助的な熱源として役立つ。
図1Bおよび図2Bを比較すると、排気流に取り込まれる必要のある室内空気の総
量のさらなる低下は、フード11の形状それ自体にある。先行技術の設計によれ
ば、フード1は寸法線Aによって示される広いアクセス部、寸法線Bによって示さ
れる短い口縁部、および寸法線Cによって示される負の(奥行き方向への)張出
部を有する。本発明による排気フード11は、寸法線A'によって示されるより狭
いアクセス部、寸法線B'によって示されるはるかに深い口縁部、および寸法線C'
によって示される正の(手前方向への)張出部を呈する。これらの特徴は、ガス
およびエアゾール7が台所内に漏れるのを防ぐために必要な総排気容積を低下さ
せる能力があることが示されている。本発明の利点には上記の形態的な特徴のそ
れぞれが貢献するが、本発明ではこれらの特徴のいずれかの単一物は必要ではな
い。これらの形態的パラメーター(上記のその他の特徴と同じく)に関してなさ
れる特定の選択には調理過程が含まれると思われ、すなわち、排気流における「
燃料」の量、許容しうる付加的な熱の量(エネルギー節約の目的のため)、乱流
または台所内のドラフトの有無、必要なアクセス部の高さなどがある。
図2Cを参照すると、取込ジェット流24'の設計の変法が示されている。この
態様では、スロット29'は吸入スロット19に向かって上方に向いており、水
平というよりは上向きに流れる取込ジェット流24'を形成する。スロット29'
は乱流およびジェット流の速度の均一性を調節するための回転性の羽根が備えら
れて提供される。
典型的には、調理用グリルに付属する市販のフードの容積流量は、グリルの線
状脚(lineal foot)当たり約280〜300cfmである。取込ジェット流の流速は典型
的にはグリルの線状脚当たり19cfmのオーダーである。取込ジェット流を使用す
ることにより、フードの流速はわずか100〜125cfmとなる。高温の燃料ガスを含
む取込ジェット流を使用すると、フード/ダクトシステム11/12は外部空気
18をほとんど要せずに動作しうると思われるため、補助バーナーパック28か
らの付加的な熱を用いなくとも、大部分の時間において触媒の温度を動作温度(
〜450F)よりも高く維持することができる。当然ながら、これは調理する食物の
量および性質、グリル3の発熱の程度、ならびにグリル3およびフード11の表
面が連続使用によって加熱されているか否かに依存する。食物が理想的条件より
も低い条件で調理されている場合に必要となる熱は、以下に説明する制御システ
ムに
よって操作される。
図3を参照すると、それぞれ他方とは独立に行うことができると思われる図2A
の構成に関する2種類の変更が、第2の態様において示されている。第1に、送風
機51を用いて処理済みの流れ27を分離することによって取込ジェット流24
が発生する。この場合には分岐部25は必要でない。取込ジェット流24の容積
流量の制御に関して以下で考察するように、制御システムは、図2Aの態様に関し
て考察したような風量調節弁を用いる代わりに送風機51の軸回転速度を制御す
ることができる。第2に、バーナーパック28は、燃焼による高温の産物を下降
ダクト35に排出するように配置されている。第3に、高温ガス蛇口31は、燃
焼産物26をガス熱源4から直接注入する目的では使用されない。その代わりに
、このシステムは追加する熱に関してバーナーパック28に依存している。また
は、バーナーパック28を用いずに、追加する熱に関してシステムを高温ガス蛇
口31のみに依存することも可能である点に注目する必要がある。制御方法
図4を参照すると、図2Aの態様に関し、図2Aの態様に接続される制御シス
テムはコントローラ53を備える。コントローラ53は、好ましくは、プログラ
ム可能なデジタル式プロセッサーを基本構造としており、種々の装置を調節する
ための内部スイッチとアナログ式電圧および/または電流出力端子(図示してい
ないが、当技術分野で公知である)とを備える。
コントローラ53は、温度および気体の流速値を測定することを可能にする入
力インターフェースも備える。コントローラ53は制御ファン21に接続され、
モーターコントローラ45を介してファンのモーター速度を制御することにより
、流路を通過する気体の流速を制御する。流速の制御がダンパーにより行われる
ように流速が妨害される場合は、無負荷で回る送風機(例えば、遠心送風機)の
使用を含む多数の手段によって、流速の制御が達成されることに留意されたい。
コントローラ53は、触媒変換器の自浄サイクルの信号を発するアラーム46
を制御するためにも接続される。アラーム46は、点滅灯、警告音、ベル音また
は自浄サイクルが動作している間を示す適当な種々の装置のいかなるものであっ
てもよい。
コントローラ53は、ダンパー駆動装置56および57をそれそれ介してダン
パー44および47を制御する。ダンパー44は、取込ジェット24を発生する
流量処理済みの気体27の流速を調節する。ダンパー47は、下記のように清浄
サイクル中下降ダクト35を閉鎖し、防火ダンパーとしても機能しうる。
バーナーパック28は、コントローラ53によって調節される。清浄サイクル
中および非定常(始動および停止)動作中、触媒変換器22の汚損を予防し、清
浄な処理流27を維持するために、実質的な量の熱が加えられることが期待され
る。バーナーパック(1個または複数個)28は、必要時に触媒の動作温度を維
持するために必要な追加の加熱量を正確に提供するように調節される。これを制
御するための作用およびコントローラ53によって制御される他の要素について
は、以下にコントローラ53へのセンサの入力端子の記載の後に記載する。
加熱および冷却触媒変換器22は、温度センサ42および41によってそれぞ
れ検知される。温度信号の対応する対は、温度測定のための種々のインターフェ
ースのいかなるものであってもよいトランスデューサーTによって発生される。
例えば、温度センサ41および42が熱電対であったとしたら、トランスデュー
サーTは、熱電対が発生する僅かな電圧を変換するための基準電圧と差動増幅器
とを備えると考えられる。排気フードを作動するスイッチ66の作動もコントロ
ーラ53によって検知される。
図5を参照すると、図3の態様に関し制御システムが示されている。コントロ
ーラ53と、種々のセンサ付きコントローラと、それらの接続物は、以下の点が
異なること以外は図4を参照して記載したものと同じである:
(1)コントローラ53は、ダンパー44ではなく、送風器51を制御し、かつ
(2)制御システムは、以下に規定するように多数の動作モードを実行する。
開始モード
開始モードは、触媒が動作温度まで上昇される検定サイクルを開始し、触媒変
換器21の上流部の温度(温度センサ42によって得られる)と触媒変換器21
の下流部の温度(温度センサ41によって得られる)と間のベースラインの温度
差が測定される。ベースラインの温度差により、(1)無負荷動作中(食物は調
理されていないが、加熱源は動作している)の触媒変換器21の性能測定値とな
る、(2)触媒変換器21が汚損されていることを示すインジケーターとして作
用する、の2点が確立する。
使用者がスイッチ66を作動させると、開始モードが開始される。ファン21
が動作し始め、基準流量、グリル3の直線1フィートあたり約100〜125cf
mで作動する。ファン21の流速は、周知の方法によって測定された流量に基づ
いて得られたデジタル式制御ループによって制御される。(もちろん、他の非デ
ジタル式制御方法も適用可能である。)バーナーパック(1個または複数個)2
8が作動され、最初は全速で作動し、次いで周知の制御方法による温度センサ4
2によって示された温度に応答して低下される。ダンパー47は完全に開かれた
状態で維持され、ダンパー44は取込ジェット24の体積流量を約15cfmに固
定するように制御される。
温度センサ41および42は開始モードの間監視され、両温度の差が定常状態
に達すると、温度差はコントローラ53の内部メモリー67(可能であればであ
るが、必ずしも持久記憶装置でなくてもよい)に記録される。通常の条件下(す
なわち、触媒が清浄な状態)にて、定常状態に達するために必要であることが実
験によって確立された期間が経過した後に、温度差が定常状態に達していない場
合は、自浄サイクルが開始される。自浄サイクルは以下に記載する。また、定常
状態の温度差が無負荷動作時には正常であることが実験で確立された温度差より
大きい場合にも、自浄サイクルが開始される。また、定常状態の温度差が無負荷
動作時に正常であることが実験で確立された温度差より小さい場合にも、自浄サ
イクルが開始される。
清浄サイクルを開始するための理由および開始するための2つの基準を別々に
確立するための理由を以下に示す。触媒変換器が汚損されると、触媒変換器が排
気流中で廃棄物を燃焼する能力が低下する。結果として、排気流中に燃焼可能な
廃棄物が存在し、動作温度に達していたとしても、ひどく汚損された触媒変換器
の温度差はゼロに近くなる。この場合、通常よりも低い温度差は、触媒変換器が
ひどく汚損されていることを示す。あまりひどく汚損されていない変換器につい
ては、その表面の一部は動作可能で、残りの部分は動作不可能であるが、動作不
可能な表面には燃焼可能な廃棄物が存在するので、かなり汚損されている可能性
がある。別の状況としては、すべての表面が動作可能であっても、燃焼可能な廃
棄物が蓄積されていることがある。この場合には、触媒変換器の表面に蓄積した
廃棄物は排気流に燃焼可能な排気物を加え、異常なほどに触媒を燃焼させる。こ
のような状態は、種々の温度差(すなわち、温度差は定常状態に達していない)
として示されるか、または予測された温度差より高い値で示される。このように
、触媒変換器が排気流中に少量の燃焼物を確認したときのみ、従って、温度差が
ゼロよりわずか大きい狭い幅のなかにあることを示したときのみ、開始動作は自
浄サイクルを実行しなくてもよい。
温度差が定常状態に達するか、またはコントローラが自浄モードを実行した後
の開始モードの最後に、コントローラは定常状態の調理モードに入る。
定常状態の調理モード
コントローラ53が定常状態の調理モードにあるとき、触媒変換器21の入力
温度は、少なくとも最小必要触媒動作温度に維持されるように制御される。ファ
ン21は通常の流量で作動され、測定された流量に基づいて得られたデジタル式
制御ループによって制御される。ダンパー47は完全に開いた状態で維持され、
ダンパー44は取込ジェット24の体積流量を直線1フィートあたり約15cfm
に固定するように制御される。
定常状態の調理モードの間、バーナーパック(1個または複数個)28が、必
要があれば、触媒温度を維持するために必要な流量で作動される。バーナーは、
周知の制御方法による温度センサ42によって示される温度に応答して調節され
る。
触媒変換器21の上流部の温度と触媒変換器21の下流部の温度との温度差は
コントローラ53によって連続的に監視される。触媒変換器が汚損されているこ
とを示す値より低く、温度差が低下する場合には、コントローラ53は自浄モー
ドを実行する。温度差が低下し、無負荷動作を示す定常状態の温度で増減なく推
移する場合には、コントローラ53は定常状態の無負荷作動モードを実行する。
定常アイドル・モード
定常アイドル・モードの間、定常状態の調理モードの状態が維持される。定常
アイドル・モードにおいて、バーナーパック(1個または複数個)28は停止さ
れ、触媒温度は作動温度に維持されず、エネルギーを保存する。定常アイドル・
モードは、スイッチもしくはタイマーまたはいくつかの他の手段によって開始さ
れうる。アラーム46は、触媒温度が維持されていないことを使用者に警報する
ために作動される。スイッチ66が定常アイドル・モードの間に再度作動される
場合には、コントローラ53は定常状態の調理モードを実行し、触媒温度を上昇
させる。別の方法として、定常状態の無負荷作動モードは、温度センサ42によ
って検知される温度上昇を検知することによって停止されうる。上昇した温度が
即座に低下する場合には、負荷の指示がグリル3に表示されており、コントロー
ラ53は、次いで、定常状態の調理モードを実行する。
自浄モード
自浄モードの開始時では、使用者にコントローラ53の状態を警報するために
アラーム46が作動される。使用者は調理をやめ、グリルのスイッチを切るべき
である。別の方法として、連動装置をコントローラに接続して、ガス式の熱源4
を停止してもよい。バーナーパック(1個または複数個)28が作動され、全力
で動作される。ファン21は、基準出力の25%で動作するように調節される。
バーナーパック(1個または複数個)28により加熱された気体とわずかな側気
流とのみがファン21により吸い込まれるように、ダンパー47は完全に閉鎖さ
れる。自浄モードの間、触媒変換器21の上流部の温度と触媒変換器21の下流
部の温度との差がコントローラ53によって連続的に監視される。触媒変換器2
1が汚損されていないことを示す定常状態の値に温度差が達すると、制御は、自
浄モードを開始する前のモードに戻る。別の方法として、自浄モードは一定の時
間間隔のみに基づいて停止されられてもよいし、または一定の時間間隔によって
、温度差に基づいて停止される自浄モード期間に上限を設けてもよい。(後者の
場合には、予測された「清浄な(clean)」温度差に達成する前に、自浄モード
が「時間切れ(time-out)」になった場合には、アラーム46が作動される。)
補助加熱
上記のように、本発明の態様は、補助加熱をして必要な添加温度を維持するた
めの手段を含む。本発明の目的は、最低のエネルギーを使用して排気部の最大の
清浄作用を提供することである。触媒の転換を達成するためには、加熱しなけれ
ばならない。すなわち、触媒を添加温度まで上昇するためには、入力温度を少な
くとも、約添加温度まで上昇する。もちろん、酸化工程は熱を生じるので、排気
流によって触媒に供給される燃焼物の量によっては、触媒に流入する気体の温度
は低いことがある。しかしながら、触媒変換器の価格とその効率を考慮すると、
触媒変換装置の大きさを最小にすることが望ましい。
本発明の好ましい態様の特徴により、触媒変換器の排気気流の上流部に直接バ
ーナーからの熱い排気を注入することにより補助加熱する。こうすることによっ
て、エアゾール油脂をかなり燃焼および蒸発させることができ、触媒による添加
を達成するほど十分に温度が高くても、全負荷を単独で処理する程には大型では
ない触媒変換器を備えるシステムの総効率を高める。すなわち、補助加熱は以下
のために使用される:
1.排気流を全体として加熱し、触媒変換器によりいかなる燃焼可能物を
も確実に酸化する。
2.触媒変換器に排気気流が達する前に、排気気流中のできるだけ多くの
エアゾール物質を燃焼および/または蒸発する。
このように、投入される気流は触媒変換器の負荷を最小にし、汚損や管理に伴
う他の問題を防ぐ助けとなっている。このように、排気気流中のエアゾール粒子
の燃焼/蒸発は触媒によって酸化されなければならない液状物の量を最小にし、
触媒変換器の有効性を増し、汚損の可能性を低下する助けとなる。
この2つの目的を達成するためには加熱量が異なるので、上記の目的のための
補助加熱の使用には問題がある。エアゾール油脂を燃焼する温度まで排気気流を
上昇するために排気気流に加えられなければならない熱の量は(約750F)は
、触媒の添加温度まで排気気流を上昇するために必要な熱の量(約450F)よ
り実質的に大きい。排気気流は、フードに吸い込まれ、エアゾール粒子を有する
大容量の室内空気を含むことより、排気気流は相対的に温度が低いので、この差
異が存在する。実際には、エアゾールの量が非常に少ないので、エアゾールを燃
焼するために必要な熱の量は非常に低い。このように、原則的には、燃焼のため
に必要な熱だけが、エアゾール化された油脂と酸化を提供するほどに十分な空気
とを加熱するために必要な熱である。問題は、搬送気体は体積が大きいので、エ
アゾールを加熱するためには搬送気体も加熱されなければならないということで
ある。本発明はこの問題に対処している。
上記の2つの目的を達成するために必要な熱の量を最小にするためには、理想
的には、搬送気体気流から粒子を酸化するほど十分な量の酸化剤を噴射させなが
ら、エアゾールの総量に対して粒子が占める総量の割合に比例した、補助加熱器
で熱くされた気体の所与の容量とエアゾールの各粒子とを活発に混ぜ合わせられ
るだろう。これは、搬送気体のほとんどが過剰の酸化剤であることを意味する。
以下の要因が関連する:
a.補助加熱はエアゾールを燃焼(または蒸発)するために使用されうる(お
よび使用されるべきである)こと、
b.補助加熱は触媒の投入温度を添加温度まで上昇させるために使用されうる
(および使用されるべきである)こと、および
c.所定のエアゾール粒子を蒸発または燃焼するほど十分に高い温度まで加熱
される可能性は種々の機構によって増加されうること。
冷えた搬送気体とエアゾールとを含む2相の流動気流中に熱い流動気流が注入
されると、熱い流動気流は、統計学的にのみ記載されうる方法で混ざる。各エア
ゾール粒子は、注入によって作られる混合帯を通過する際に異なる経験をする。
冷たい搬送気体によって搬送される1個のエアゾール粒子は、熱い注入気体によ
って歪まされるかもしれない(または、熱い注入気体を歪ませるかもしれない)
。低温ガスは高温ガスを希釈し、混合が十分で、酸素が十分に存在し、混合産物
中の低温ガスに対する高温ガスの割合が十分に大きいとすると、エアゾールは燃
焼される。混合された体積中の酸素が不十分であると、エアゾールは蒸発するか
、部分的に燃焼するかまたはその両者を組み合わせたものとなる。粒子の中には
、高温ガスに全く「出会わない」またはごくまれにしか「出会わない」ものもあ
るだろう。冷たい搬送気体が多く、高温ガスがあまり多くない場合には、エアゾ
ール粒子が燃焼される可能性は低い。本発明の1つの目的は、この統計値を燃焼
/蒸発の確率が高くなる方向に移行することである。
上記掲載物中の項目cは、本発明によるいくつかの手段によって対処される。
(気流全体を単に対流的に加熱するのではなく)エアゾールを選択的に加熱する
ための好ましい機構は、以下の2つの方法で慣性力を効果的に使用することであ
る:
1.エアゾールを大量に含む副流を作り、この副流に局所的に高温ガスを注入
する。
2.エアゾールの慣性を利用して、エアゾール粒子を搬送している流動に対し
てできるだけ速く粒子を移動させ、粒子が流動中に、燃焼/蒸発を生じる程十分
に高温ガスに影響される可能性を増す。別の機構は、実質的に透明な搬送気体気
流中のエアゾールを照射するための放射エネルギー源を使用することである。さ
らに別に考えられる機構は、衝突分離装置の衝突面を加熱して触媒を燃焼するこ
とである。好ましい機構を実行する種々の態様を以下にさらに詳細に考察する。
本発明の一態様によると、エアゾールの慣性は以下の2つの方法で利用される
:エアゾール粒子を搬送する流動と対向するように、エアゾール粒子をそれらが
搬送される流動に対して移動させる、およびエアゾールを大量に含む領域の小部
分を作り、これと注入された高温ガスとを混ぜ合わせる。
エアゾールを大量に含む流動の小部分を作ることにより、エアゾールを搬送す
る気体の冷却作用は最小になり、それによって補助バーナーによる最小の加熱で
従来より多くのエアゾールが燃焼または蒸発される。もちろん、エアゾールを大
量に含む流動領域の小部分とこの小部分の高温は永久的ではない。乱流拡散およ
び分子拡散によって、流動領域の特性値は確実に下流で平均となる。しかしなが
ら、流動が進むと、乱流拡散は混合工程の大半を占める。大規模な渦巻き流は小
さい渦を発生し、流動が進むと、さらに小さい渦を発生する。このような渦は注
入部からの小体積の高温ガスを乱して、そこから移動する。しかしながら、さら
に小さい渦は主流や大きい渦によってさらに搬送される。(直径を縮めることに
よって現行の渦を加速する渦の引き延ばしを除いて)隣接する流動体積を歪ませ
るせん断力によって、大規模な渦巻き流は小さい渦を生じるので、大規模な渦巻
き流は、大規模な渦が生ずる小さい渦より通常速く移動する。大きい渦が小さい
渦を生じ、他の経路はとらないので、大規模な渦は小規模な渦より速く移動する
。これは、エアゾール粒子は自身が属する最も小規模の渦による遠心力を受ける
だけでなく、その最も小規模の渦を搬送するさらに大規模な渦による遠心力をも
受けることを意味する。これらのちからによって、エアゾール粒子はより小規模
な渦に対して移動させられ、流動の進行中でまだ十分に混合されていない部分に
おいて、熱いところと、冷たいところが生じる。このように、種々の温度領域の
「海(sea)」(渦)を通ってその慣性によって移動しているエアゾール粒子が
、燃焼/蒸発を生じる程十分に高い温度の気体に接触される可能性は、流動を局
所的に加速することによって増加される。この現象は以下に考察される図6Aお
よび図6Bの態様に関してさらに説明される。
図6Aおよび図6Bを参照すると、本発明の好ましい態様は上昇する丸型のダ
クト部分101を備える。送風はファン(図6には示していないが、図5に示す
態様と同様である)によって、誘導され、自然対流、またはいわゆる煙突効果に
よって増加される。ダクト部分101の吸入口部分の回転翼103を使用して、
ダクト部分101に含まれる排気流に渦を巻かせてもよい(らせん状の矢印11
4によって示される渦巻き流)。ノズル104は、熱い燃焼産物をノズル104
に吹き込み、ジェット106を生じる火炎保持性電力バーナー105からの排気
物を注入する。ジェット106は、ノズル104によって排気流の渦巻き作用を
増す接線角の方向に向けられる。ダクト部分101のエアゾールは、慣性力の結
果としてダクト部分101の周辺部に向かって移動する(仮想的なエアゾール粒
子のらせん状通路108に注目すること)。エアゾールが移動することにより、
周辺部位109(点線110で囲まれた周辺部位)はエアゾールが大量に含まれ
ることになる。また、ノズル104に近いダクト部分101の長手方向の部位に
おいて、電力バーナー105から出る高温ガスは接線方向に注入され、従ってら
せん状の流れとなって移動するので、このエアゾールが大量に含まれる流動の小
部分と同時に生じる。
図6Dおよび図6Eを参照すると、回転翼を使用して排気流に最初の渦巻きを
与えるのとは別の方法は、排気流が丸型のダクト部分101と接線をなすように
ダクト401を通って流入するようにすることである。こうすることによって、
排気流はらせん状の矢印414で示すように渦巻きを始める。
最初は、高温ガスはダクト部分101の長手方向の長さの少なくとも一部分の
周辺部に残存して、この部位に高温ガスおよびエアゾールが濃く滞在する時間が
延長される。電力式バーナー105からでる高温ガスとエアゾールが大量に含ま
れる部位が同時に生じることによって、排気流の全体を加熱するために使用され
るよりも、さらに多くの高温ガスがエアゾールを燃焼/蒸発するために確実に使
用されやすくなる。すなわち、高温ガスは接線をなすように注入されて、らせん
状の流動を形成し、ダクト部分101の周辺付近に局所的な熱い流動部位を形成
する。エアゾール粒子は、高温ガスが濃縮される部位と同じ部位で濃縮され、そ
れによって局所的な流動部位(周辺部)が形成され、そこでエアゾール粒子を燃
焼/蒸発することができる。
ダクト部分101のさらに下流において、流動の歪みによる渦巻きが形成され
ると、主流の渦巻き流は壊れる。壊れる早さは、ダクト部分101の長さ、平均
流動速度、流動の円形運動量等、乱流渦巻き形成に依存する。渦巻き形成は、(
中心部が高値で、周辺部が低値である曲線の速度プロフィールと渦巻き流によっ
て生じる歪みによって)高温ガスとそれよりも低温ガスとが共に垂直方向に連続
的に歪む結果である。歪みから得られるエネルギーは乱流速度に変換され、流動
を壊して、小体積(渦巻き)を生じる歪み流動からは独立した速度成分を有する
大規模な小体積(渦巻き群)を形成する。これは、娘小体積は、娘流動を生じた
流動から独立して移動することを意味しているのではなく、娘流動は母流動に不
完全に追従することを意味している。このような小体積の移動はより小さい小体
積を生じる歪みをさらに生じ、この小体積も小体積を生じる流動からある程度独
立して移動する。しかしながら、気体によって搬送されるエアゾールが気体の移
動によって加速されるように、気体の娘小体積の移動は、気体の母体積の移動速
度とほぼ同じになる。乱流流動部位の主な加速要素は、通常、膨大な乱流エネル
ギーが存在するところである乱流の差大スケールでの移動の結果である。搬送流
動がこのように加速されることによって、エアゾール粒子は移動されて、高温ガ
スと低温ガスとから形成される流動となる。周囲の気体は連続的に壊れて、高温
の気体と低温の気体とからなる益々小さい渦巻きが形成されるので、少なくとも
部分的に周囲の気体から独立して移動する所定のエアゾール粒子は2種以上の温
度において気体と接触する可能性がある。従って、混じった流動のほとんどが低
温の気体から形成されていても、エアゾール粒子が高温ガス領域に入り込む(ま
たは高温ガス領域を通過する)可能性は、このようなエアゾール粒子の多少なり
とも独立した動きによって増加される。このような作用によって、所定のエアゾ
ールが燃焼または蒸発される可能性が高まる。図6Cを参照すると、種々の温度
の気体からなる数個の小渦巻き120〜122が考慮されている。冷たい渦巻き
120または121(図の「H」および「L」はそれぞれ熱い(hot)および
冷たい(cool)を表す)などの渦巻きが移動することによって、渦巻き12
2などの隣接する体積は、図に示すように、エアゾール搬送気体の他の冷たい体
積に隣接する渦巻き121などの位置に運ばれるだろう。渦巻き120〜122
を搬送する渦巻き流(または、これはさらに大きい渦巻きになっていてもよい)
126は、自身124に対する総遠心力になるとエアゾール粒子124が「感じ
る」加速の大半の責任を担っている。この力によって、エアゾール粒子124を
搬送し、高温の渦巻き122と接触させる局所流動領域に対してエアゾール粒子
124が移動させられる。図6Aは概念モデルにすぎないことに注意すること。
実際には、渦巻きは全ての軸に対して種々の程度で生じる歪みによって形成され
る(主な要因は、(1)軸方向の速度プロフィールとして現れる歪み、および(
2)流動の回転性(渦巻き)である)。乱流の分野では周知な別の影響は、渦巻
きを引き伸ばすことによって現行の渦巻きを加速する渦巻き引き延ばしである(
角運動量の保存は、渦巻きを引き伸ばしたり、縮めるせん断力によって提供され
るエネルギーの投入による角速度の増加を必要とする)。
図6Cの概念モデルを考慮すると、流動が壊れて、高温の気体および低温の気
体からなるより小さい体積が形成され、これらの体積が乱流対流によって混ざる
と、最初はダクト部分101の中央部において、エアゾール粒子が高温ガスの体
積と接触する可能性が増してくる。すなわち、高温ガスの体積は乱流対流によっ
てダクトの中心部に移動されて、エアゾール粒子が高温ガスの体積によって加熱
されるために必要な移動距離が短くなる。同時に、煙霧粒子を搬送している渦巻
きも、渦巻き流と、渦巻き流の歪みと軸方向の流動の歪みとによって供給される
大規模な渦巻きとにによってさらに加速される。このように加速されることによ
って、エアゾール粒子は、より小さい渦巻きに対して移動させられ、所定の粒子
が高温ガスの体積(渦巻き)と出会う可能性を増す。
図6Aおよび図6Bのものなどの流動システムによって形成されうる大まかな
スケールの渦巻きに注目することも有用である。乱流システムによって形成され
る最も小さい渦巻きの大きさは、システムに投入されるエネルギーの関数である
最も小さい渦巻きは、粘性と運動量の影響がほぼ平衡に達した大きさを有する。
エネルギーが投入される割合は以下のようにまとめられる:
式中、ε、は乱流うず度に供給されるエネルギーの割合であり、uは渦巻きの速
度であり、lは、本願明細書に参考として組み入れられているA First Course i
n Turbulence、Tennekes,HおよびLumley,J.L.著、Mass.Inst.Tech.、1972年版に
記載されている渦巻きの大きさ(長さスケール)である。渦巻きの速度は以下の
ようにまとめられる:
式中、vは、図6Aおよび図6Bの態様のための渦巻き流の速度と考えられうる
、最も大きな渦巻きの速度である。これは生じた最も小さい乱流のスケール(長
さマイクロスケール)の推定値である。温度のマイクロスケールは、長さのマイ
クロスケールと同じ次数の大きさである(運動粘度と熱拡散率は搬送気体と大き
さが同じであると仮定する)。温度のマイクロスケールは、温度変動が、分子拡
散によって散逸する前に到達されるべき大きさを表す。上記の分析といくつかの
現実的な動作条件とに基づいて考えると、温度と長さのスケールは100ミクロ
ンの次数である。実際には、有力な混合機構がさらに慣性力として作用しても(
すなわち、分子拡散ではなく、乱流拡散)、温度の変動はこのスケールでは非常
に乱される。大きな温度差に関連する温度スケールは、この量の約10倍、すな
わち1mmである。粒子がこの距離の数倍である距離を移動すると、乱流のスケ
ールがこのようなマイクロレベルに達している注入点から実質的に離れた流動領
域において、かなりの温度変動に出会う妥当な確率を有するだろう。注入システ
ムを設計する際には、ダクトの下流部分が、相対的に細かいが、分子拡散が開始
されて、温度パラメータの拡散を凌ぐほどには細かくない温度領域が生じるほど
の長さであることが望ましい。このように、注入部位の下流の混合部位は、その
大きさは、温度領域がエアゾールを燃焼または蒸発するほどの熱い温度の局所領
域をほとんど含まないような長さであることが実験によって明らかにされうる。
後者の部位では、燃焼のために必要な熱い帯域は、2種の気体気流が完全に混ざ
る温度に近づいているだろう(熱い排気気流と冷たい搬送気体気流のおおよその
重量平均)。
いくつかの近似的な仮定に基づいておおまかに行った計算は、小さい粒子であ
っても、その慣性作用は上記のシステムにおいて流動領域の温度変動スケールに
対してかなり移動させられるほどであることを示している。粒子の大きさを2.
5μとする。垂直方向の流速は約1m/sで、粒子を0.5秒間で温度マイクロ
スケールの10倍移動させたいと仮定する。先の分析は、かなりの温度変動のス
ケールの保存的な推定値は約1mmであることを示している。粒子が変換装置の
上流の変動温度領域にいる時間は1秒であると仮定すると、十分な加速を生じる
ために必要な接線方向の速度は約6m/sである。これは妥当な数値であり、以
下の計算式に基づいている:
式中、ugは接線速度であり、Rはダクトの半径であり、ug−upは気体に対す
る粒子の速度であり、FDは以下によって得られる:
式中、μgおよびρgは、それぞれ排出気体の粘度および密度であり(空気の特性
を有するように仮定された)、Dpは粒子の直径である。ここでは、2.5μが
粒子の大きさの範囲の下限である。したがって、より大きい粒子については、周
辺領域においてかなりの濃縮が生じる。2.5μより大きい粒子については、速
度が急速に低下し、10μの粒子については、速度はわずか1.5m/sである
。
流動物の加速は以下の2種の手段によって実行されることに注目すること:(
1)持続的で大規模な主流の加速が維持されるか、もしくは繰り返し発生される
流動工程、または十分に耐久して長期間持続する流動工程を形成する、および(
2)実質的な量の乱流エネルギーを流動物に注入する強力な歪み工程を形成する
。後者は温度マイクロスケールをより小さい値にしている。これら2種を組み合
わせることが望ましく、ほとんどのシステムについて、主流の加速は必然的に主
流の活発な歪み形成に関係しており、従ってこの2種が常に生じる。しかしなが
ら、システムが異なれば、種々の程度で上記2種の工程が強調される。小さいス
ケールでは、エアゾール粒子が大きい渦巻きの動きによって運ばれるか、または
主流の加速性によって運ばれるかどうかは、粒子にとって差がないので、両工程
は同じ結果を「見る」。
慣性による濃縮、接線方向の噴射、渦巻き形成および上記の他の影響に加えて
、図6Aおよび図6Bの態様によって形成される流動システムも以下の特性を有
する:
a.エアゾールの移動は、抗力の増加によって上向きの方向には遅延され、
熱い領域におけるエアゾール粒子の混合時間および滞在時間が延長される。これ
は、エアゾール粒子が強制的に周辺領域に押しやられ、そこで軸方向の速度が低
下する結果である。
b.高温ガスは周辺領域に注入され、所与の時間滞在し、そこでは低温ガス
の軸方向の速度がダクト部分101で最低になり、高温ガスは軸方向の運動両が
ゼロで注入されるので、隣接するより冷たい流動によるせん断力によって加速さ
れなければならない。これらの両者は、熱い流動の上向き方向の動きが遅延され
、それによってより冷たい搬送気体との混合時間が延長されることを意味する。
c.エアゾール粒子の重量によっても、エアゾール粒子は流動がわずかに遅
延し、注入部位におけるエアゾールの滞在時間が延長される。これは、燃焼/蒸
発の可能性をさらに高める。
掲載した影響要因a、bおよびcは、エアゾール粒子が電力式バーナー105か
ら出る高温ガスによって確実に加熱される助けとなるので、これらの影響要因は
望ましい。
図7を参照すると、慣性による濃縮システムの別の態様は、円柱形状の気体供
給ヘッダー201を矩形ダクト部分202使用している。流動の形状は、直交流
で円筒形である。ダクト部分202の入り口ネック203は、排出流動気流が狭
められるように形作られる。排気流が矩形ダクト部分202内で膨張すると、エ
アゾール粒子はその慣性のために、供給ヘッダー201の周りに広く進路を取っ
た流体の流線よりも、真っ直ぐな進路を通る。仮想的なエアゾール粒子の進路2
08を図7に示す。補助的な電力式バーナー204から出る熱い排気は、前方の
岐点において供給ヘッダー201の穴から出る排気流中に注入される。熱い排気
は供給ヘッダー201の周りに流れ、供給ヘッダー201の周りに熱い境界層小
部分205(点線211で囲んで示す)を形成する。主流の排気流より真っ直ぐ
な進路を進む傾向のあるエアゾール粒子は、この熱い境界層付近で濃縮される傾
向があるが、あまり濃縮されなかった流動物はこの熱い境界層を避けて通る。結
果は上記のようであるが、高温ガスはエアゾールが大量に含まれる流動の小領域
と組み合わされて、エアゾール粒子が燃焼または蒸発されるほど高い温度にまで
上昇させられる可能性を高めやすくする。これは、従来より多くのエアゾールが
燃焼または蒸発されることを意味する。上記は簡略化されたものであり、渦巻き
の形成、境界層分離および現実世界の流動システムの他の面を考慮していないこ
とに注意すること。しかしながら、これらの件は図7に示し、上記で考察した態
様を裏付ける基本概念に影響を与えるものではない。
局所的な流動の加速が、流動が進行すると流動中に形成される、より大きな乱
流渦巻きによって生じることを除いて、乱流対流および熱い流動小部分の破壊に
関する上記の考察を図7の装置に適用する。しかしながら、相対的に持続性の渦
巻き流を有する利点は、図7の態様には示されていない。
図8を参照すると、搬送気体の連続的で、大規模な加速を確実に実行するシス
テムは、バッフルプレート505を使用している。熱い排気106は、ヘッダー
501を通って矩形ダクト部分507に注入される。排気流が繰り返し通過する
ことにより(矢印502によって表される)以下の2つの影響が得られる:(1
)流動を歪ませることにより、乱流混合および関連する渦巻き形成を生じる、お
よび(2)主排気流を繰り返し加速させる。乱流対流によって、熱い排気流は高
温ガスおよび低温ガスからなる多数の小体積に分裂し、乱流渦巻きおよびバッフ
ルによって生じる加速により、エアゾール粒子は小体積間を交叉対流し(その慣
性により、すなわちエアゾール粒子は加速された搬送気体より遅れる)、所定の
粒子が、粒子を燃焼/蒸発させるほど熱い体積に「出会う」確率を高める。
図9Aおよび図9Bを参照すると、図6Aおよび6Bに関して上記で考察した
ものと同じ結果を得るために設計されたさらに別の態様は、らせん形のダクト部
分601を使用している。排気流607はらせん形のダクト部分601に流入す
る。らせん形ダクト部分601の所与の部分において、熱い排気流603は、ノ
ズル605を通って排気流607に注入され、ジェット603を形成する。上記
で考察したように、気体が歪むことによって、渦巻きが発生し、熱い領域と冷た
い領域の不均質な混合物が形成され、(ダクトが十分に長い場合には)どこかの
地点で完全な混合物が得られるまで、流動をより狭い領域に進行させる。このよ
うな徹底した工程の間に、排気流607は全てらせん形ダクト部分601内を通
過することによって一定に加速される。渦巻きによる加速およびダクトの形状(
および重力)による加速の両者により、エアゾール粒子は搬送気体より遅れ、排
気流から生じる冷たい搬送気体の小領域から、熱い排気の小領域(渦巻き)にエ
アゾール粒子が移動する機会が得られる。
図10を参照すると、図6A、図6B、図6D、図6E、図7、図8、図9A
および図9Bの態様を触媒変換器の上流の排気流どこかに図2A、図2B、図2
C、図3、図4および図5の態様を挿入することによって、前者のを後者に組み
入れることが可能である。図10の態様において、図6Aおよび図6Bの態様は
上昇するダクト部分622を形成する。例えば周知の設計法により、ダクトを適
当に変えて図6A、図6B、図6D、図6E、図7、図8、図9Aの態様のいず
れかを組み入れることが可能である。
上記の開示内容に基づいた他のエアゾール濃縮装置/流動物加速装置が可能で
ある。例えば、回転翼のないL型曲がり形状ダクトは、L型曲がり直後の遠い方
の壁(左曲がりでは右の壁であり、右曲がりでは左の壁)のエアゾールを濃縮す
る。高温ガスはこの遠い方の壁に沿って注入され、熱い、エアゾールが大量に含
まれる流動小領域を形成する。曲がり部分に流動の歪みが生じることにより、ダ
クトの幅の渦巻きを形成し、図6Cを参照にして上記に考察した加速作用と分解
作用を生じる。
上記の技術に関する計算は以下の参考文献に基づいており、それらは全て参考
として本願明細書中に組み入れられている。:
1)Dimitri Gidaspow著、「Multiphase flow and fluidization--Continuum an
d kinetic theory descriptions」、アカデミックプレス(Academic Press)、1
994年編
2)O.Faltsi−saravelou、P.Wild,S.SおよびJ.E.Michel著、「Detailed
modelling of a awirling coal flame」、Combusion Science and Technology
、123巻、1〜22ページ(1997年)
3)S.A.MorsiおよびA.J.Alexander、「An investigation of particle tra
jectories in two-phase flow systems」、Journal of Fluid Mechanics、55巻
、193〜208ページ(1972年)
上記システムを改良することにより、気体を注入する帯域の上流に濾過段階を
加えることができる。この濾過段階は、排気流が小さいエアゾール粒子だけを含
むように、排気流から大きいエアゾール粒子を除去する。粒子の大きさが小さく
なると、エアゾールが完全に燃焼または蒸発される確率が高まる。大きい粒子が
高温ガスに接触して、表面だけが燃焼すると(エアゾール粒子の表面の燃焼)、
灰が形成され、ダクトシステムおよび触媒変換器が汚損されるだろう。慣性分離
、衝突分離または多孔性フィルターなどのいかなる種類のフィルターを用いて、
濾過を実施することができる。好ましくは、この濾過ステップは、台所の排気装
置に使用される油脂分離体を用いて実施される。
補助熱源が天然ガスまたは油だき熱源などの加熱源である場合、熱い燃焼産物
を排気流中に注入する前に、燃焼を全て確実に終了させることが好ましい。化学
量論に満たない空気が燃焼承知に供給され、システムが排気流中の酸素を使用す
ると、燃焼システムから生じてダクトに流入した燃焼中の燃料混合物の少なくと
も一部の燃焼工程を、大量の低温ガス(大半は空気)が妨害することがある。こ
のように、好ましくは、十分な量の酸化剤がバーナーによって供給されて、補助
燃料を完全に燃焼させる。また、好ましくは、高温ガスを排気流中に導入する前
に、補助燃料を全て完全に燃焼させておく必要がある。こうすることによって補
助燃料を確実に最大限に利用できる(すなわち、燃焼中の補助燃料の早期消火を
最小にする)。
上記態様の有効性およびエアゾールを濃縮するための他の種々の方法は、エア
ゾール粒子の大きさ、主流および流動小部分の速度、エアゾール粒子に対する抗
力等に依存する。例えば、エアゾールが非常に軽く、大きさが小さい場合には、
慣性濃縮作用が、望ましい割合のエアゾールを燃焼または蒸発させるほど十分で
ない場合がある。このような場合には、補助熱源によって供給される総熱量を増
加してもよい。または、例えば、(図6の態様の注入ノズルに流動修正機を使用
して、最も大きい乱流渦巻きを排除するなど)乱流対流を最小にすることによっ
て、小流動の安定性を増す方法で高温ガスを気流中に供給してもよい。このよう
に、慣性濃縮の有効性、総熱量および流動小領域の安定性に影響を与える変数の
組み合わせを調整することによって、望ましい条件が満たされる場合もある。上
記に考察するように、図6の態様は、総燃焼/蒸発量を増加しやすくする2つの
追加の影響要因を提供している:(1)抗力を増加させることによって、上向き
方向のエアゾールの動きを遅延する、および(2)熱い流動の上向き方向の移動
を遅延する。
本発明の1つまたは数個の例示的な態様を上記に詳細に記載したが、本発明の
新規な開示内容および利点から実質的に逸脱することなく、例示的な態様(1つ
または複数)に多数の変更を加えられることは当業者に容易に認められる。従っ
て、このような変更は全て、以下の請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含
まれることが意図されている。請求の範囲において、手段および機能の条項は、
本願明細書に記載され、引用された機能を実施する構造物および構造同等物ばか
りでなく同等な構造物をも含むことが意図されている。このように、木製部品を
固定する状況において、釘は木製部品と円筒表面との摩擦だけを利用しているが
、ねじのらせん状の表面は木製部品としっかり絡み合うという点において、釘と
ねじは構造上の同等物ではないが、釘とねじは同等な構造物である。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG
,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,
US,UZ,VN
(72)発明者 ゴードン エリオット
アメリカ合衆国 オハイオ州 クリーブラ
ンド アプト.202 レイク アベニュー
9907
(72)発明者 カタン マーク エイ.
アメリカ合衆国 ニューヨーク州 グレン
コウブ タイタス ロード 5
【要約の続き】
ルドを通じて搬送流に対して移動し、それにより、低温
搬送ガスのより低い加熱によって焼却/蒸発が行われ
る。