【発明の詳細な説明】リラキシンおよびリガンドのインスリンファミリーに関連する分子の分子クロー
ニングおよび特徴付け
本出願は、1996年2月21日に出願された米国特許仮出願第60/012,016号、およ
び1995年11月3日に出願された米国特許仮出願第60/006,221号に優先権を請求し
、各々の内容は、その全体が、本出願に参考として援用されている。本出願を通
して、種々の刊行物が参考とされている。これらの刊行物の開示はその全体が、
本出願に参考として援用されている。
本発明は、ホルモンであるリラキシンおよびリガンドのインスリンファミリー
に関連する分子(以下、リラキシン関連因子と呼ぶ)をコードする核酸配列の、
分子クローニングおよび特徴づけに関する。より詳細には、本発明は、リラキシ
ン関連因子をコードする単離された核酸分子を提供する。この核酸分子は、適切
な宿主細胞で発現され得、そしてリラキシン関連因子およびリラキシン関連因子
リガンド体の産生、ならびに、さらなる関連ファミリーメンバーについてのさら
なるスクリーニングに使用され得るプローブの産生に有用である。本発明はまた
、実質的に他のタンパク質を含まない単離されたリラキシン関連因子タンパク質
を提供する。単離されたリラキシン関連因子タンパク質およびその誘導体は、抗
体および治療用組成物の調製のため、ならびにリラキシン関連因子のレセプター
を有する細胞の培養物を維持するための増殖因子として、使用され得る。
発明の背景
リラキシンは、研究された全種の雌で見い出だされたポリプチドホルモンであ
る。リラキシンは、妊娠中に卵巣の黄体で合成および貯蔵され、分娩前に血流中
に放出される。妊娠黄体は、多数の種においてリラキシンの主な供給源であるが
、別の種では、明らかに脱落膜がより重要である。Hisawは、恥骨結合拡張の効
果により出産過程を容易にする、哺乳動物でのリラキシンの重要な役割を示唆し
た。(Hisaw,F.L.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.23,661-663(1926))。以来、
リ
ラキシンは、移植用子宮内膜の調製、妊娠初期の子宮の活動の阻害、妊娠中の子
宮間質の再建、子宮頸の成熟、および分娩の開始を含む、その他多数の可能な役
割を有することが見い出された。妊娠中のリラキシンの主な細胞作用は、標的器
官でのコラーゲン生合成を駆動し、結合組織の再建を促進することであり得る。
1989年9月8日にGenentech,Inc.によって出願されたPCT公開第WO8907945号は、
哺乳動物の妊娠および分娩中の生殖生理を調節するのに有用であると明言されて
いる、リラキシン組成物を開示している。リラキシンは、結合組織の特性を変化
し、平滑筋収縮に影響し得ること、および増殖因子の一般的な特性を有すること
が、報告されている。リラキシンは、薬理学的投与量で投与された場合に、眼内
圧に影響し得ることもまた、報告されている。(Kass,M.A.ら、Survey of Opth
thalmology 22(3):153-176(1977))。
卵巣の黄体ならびに脱落膜および胎盤組織はリラキシン関連遺伝子が最も発現
しやすい部位であるが、リラキシンは前立腺液および精巣のような他の組織でも
また見い出されている。排卵前の卵胞の内膜細胞、その周期の黄体、および子宮
でリラキシン遺伝子発現およびタンパク質への翻訳については、ブタにおいての
証明が存在する。リラキシンは、雄ブタ精液プラズマで同定されており、そして
精子の運動性を維持または増大し得る。(総説については、Bagnell,C.A.ら、J
.Reprod.& Fert.(前出)48:127-138(1993)を参照のこと)。特異的な高活性ヒ
トリラキシン結合部位がラット脳の別個の領域に存在し、いくつかのこれらの部
位の分布は、血管容積および血圧の制御におけるリラキシンの役割と一致し得る
ことが報告されている。(Osheroff,P.L.およびPhillips,H.S.,Proc.Nat.A
cad.Sci.(USA)88(15):6413-6417(1991))。
2ペプチド鎖(A鎖およびB鎖として知られている)からなる生物学的に活性な
リラキシンは、1つの鎖内ジスルフィド結合および2つの鎖間ジスルフィド結合
によって結合されている。従って、この構造はインスリンに非常に類似しており
、これにより、これらのホルモンの、共通の原型遺伝子の推論が導かれた(Schw
abe,C.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.75,503-510(1977); James,R.ら
、Nature,267:544-546(1977))。リラキシンは、インスリンファミリーのメン
バーと考えられ、インスリン、IGF1、IGF2、およびライディヒ(Leydig)インス
リ
ン様タンパク質もまた包含する。ラットおよびブタ両方のリラキシンに対するcD
NAクローンは、組み換えDNA法によって得られた。(Hudson,P.,Haley.J.,Cr
onk,M.,Shine,J.およびNiall,H.Nature,291:127-131(1981))。さらに、
ヒトリラキシンをコードする遺伝子配列の、分子クローニングおよび特徴づけが
記載されている。(1989年10月3日にHudsonらに対して発行された米国特許第4,8
71,460号)
発明の要旨
本発明は、ホルモンであるリラキシンおよびリガンドのインスリンファミリー
に関連する、リラキシン関連因子と呼ばれる分子をコードする核酸の分子クロー
ニングおよび特徴づけに関する。
より詳細には、本発明は、リラキシン関連因子-1(RRF-1)をコードする単離
された核酸分子を提供する。本発明はまた、RRF-1をコードするヌクレオチド配
列、ならびに、RRF-1を産生するように遺伝子操作された細胞を提供する。
本発明はまた、リラキシン関連因子-2(RRF-2)をコードする単離された核酸
分子を提供する。本発明はまた、RRF-2をコードする核酸配列、ならびにRRF-2を
産生するように遺伝子操作された細胞を提供する。
本発明はさらに、実質的に他のタンパク質を含まない単離されたRRF-1またはR
RF-2、ならびに、RRF-1に特異的に結合する抗体およびRRF-2に特異的に結合する
抗体を提供する。その抗体は、ポリクローン性またはモノクローン性であり得る
。
本発明はまた、RRF-1またはRRF-2および薬学的に受容可能なキャリアを含有す
る、薬学的組成物を提供する。さらに、本発明は、特異的にRRF-1に結合する抗
体または特異的にRRF-2に結合する抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含
有する、薬学的組成物を提供する。
本発明はさらに、動物またはヒトの身体に、RRF-1またはRRF-2を投与すること
を包含する処置方法、ならびに動物またはヒトの身体に、RRF-1またはRRF-2に特
異的に結合する抗体を投与することを包含する処置方法を、提供する。
さらに、本発明は、免疫グロブリン定常領域に融合したRRF-1またはRRF-2を含
有する、リラキシン関連因子リガンド体を提供する。本発明はさらに、リラキシ
ン関連因子リガンド体をヒトまたは動物の身体に投与することを包含する、処置
方法を提供する。
図面の簡単な説明
図1:リラキシン関連因子-1(RRF-1)のヌクレオチド配列および推定アミノ
酸配列(1文字コード)。
図2:リラキシン関連因子-1(RRF-1)およびリラキシン関連因子-2(RRF-2
)のアミノ酸配列と、リラキシンH1;リラキシンH2;ライディヒインスリン様タ
ンパク質(leydig);インスリン;インスリン様増殖因子1(IGF1);およびイ
ンスリン様増殖因子2(IGF2)を含む他のインスリンファミリーメンバーのアミ
ノ酸配列との比較配列。保存システイン残基は、RRF-1配列の上に、星印によっ
て示されている。点は、同じアミノ酸残基を示す。ダッシュは、整列目的の人為
的な挿入を示す。14-123アミノ酸からの欠損範囲、ならびにシグナル配列の欠損
は、整列目的のためになされ、そして、括弧内に示されている。
図3: ヒト精巣(試験した他のいずれのヒト組織にも示されない)における
、リラキシン関連因子-1(RRF-1)をコードするメッセージの発現を示すノーザ
ンブロット。レーンは、左から、脳、小脳、胸腺、心臓、肝臓、小腸、骨格筋、
骨髄、前立腺、精巣、卵巣、子宮、胎盤である。
図4:リラキシン関連因子-2(RRF-2)のヌクレオチド配列および推定アミノ
酸配列(1文字コード)。
図5: ヒト胎盤(試験した他のいずれのヒト試料にも示されない)における
リラキシン関連因子-2(RRF-2)をコードするメッセージの発現を示すノーザン
ブロット。レーンは、左から、小脳、網膜、胸腺、心臓、肺、脾臓、肝臓、腎臓
、副腎、膵臓、小腸、精巣、骨格筋、HeLa細胞、胎盤、胎児脳、および胎児肝臓
である。
発明の詳細な説明
本発明は、ホルモンであるリラキシンおよびリガンドのインスリンファミリー
に関連する分子(以下、リラキシン関連因子と呼ぶ)をコードする核酸の、分子
クローニングおよび特徴づけに関する。より詳細には、本発明は、リラキシン関
連因子-1(RRF-1)をコードする、単離された核酸分子を提供する。本発明はま
た、RRF-1をコードするヌクレオチド配列、ならびに本明細書に記載されている
ように、適切な発現ベクターにおいて、例えば、RRF-1をコードする核酸のトラ
ンスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポレーション、またはマイクロ
インジェクションによって、その分子を産生するように遺伝子操作された細胞を
、提供する。
本発明はまた、リラキシン関連因子-2(RRF-2)をコードする単離された核酸
分子を提供する。本発明はまた、RRF-2をコードするヌクレオチド配列、ならび
に本明細書に記載されているように、適切な発現ベクターにおいて、例えば、RR
F-2をコードする核酸のトランスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポ
レーション、またはマイクロインジェクションによって、その分子を産生するよ
うに遺伝子操作された細胞を、提供する。
本発明はさらに、以下からなる群より選択される配列を有する、リラキシン関
連因子-1をコードする単離された核酸分子を提供する:
(a)図1に示されているような、リラキシン関連因子-1のコード領域を含有する
ヌクレオチド配列;
(b)中程度にストリンジェントな条件下で(a)のヌクレオチド配列にハイブリダイ
ズし、かつリラキシン関連因子-1の生物学的活性を有する分子をコードする、
ヌクレオチド配列;および、
(c)遺伝子コードの縮重がなければ(a)または(b)のヌクレオチド配列にハイブリ
ダイズし、かつリラキシン関連因子-1の生物学的活性を有する分子をコードす
る、ヌクレオチド配列。
本発明はさらに、以下からなる群より選択される配列を有する、リラキシン関
連因子-2をコードする単離された核酸分子を提供する:
(a)図4に示されているような、リラキシン関連因子-2のコード領域を含有する
ヌクレオチド配列;
(b)中程度にストリンジェントな条件下で(a)のヌクレオチド配列にハイブリダイ
ズし、かつリラキシン関連因子-2の生物学的活性を有する分子をコードする、
ヌクレオチド配列;および、
(c)遺伝子コードの縮重がなければ(a)または(b)のヌクレオチド配列にハイブリ
ダイズし、かつリラキシン関連因子-2の生物学的活性を有する分子をコードす
る、ヌクレオチド配列。
本発明はまた、リラキシン関連因子-1をコードする単離された核酸分子を含
有するベクターを提供する。さらに、本発明は、リラキシン関連因子-2をコー
ドする単離された核酸分子を含有するベクターを提供する。1つの実施態様では
、ベクターは、宿主細胞でその発現を指示し得る発現制御配列に、作動可能に連
結されている。他の実施態様では、ベクターはプラスミドである。
本発明はさらに、宿主細胞において、本発明のベクターを含有するリラキシン
関連因子、ポリペプチド、またはそのフラグメントを産生するための宿主-ベク
ター系を提供する。宿主細胞は、好ましくは、E .coliのような細菌細胞、また
は酵母、昆虫、または哺乳動物の細胞であり得る。本発明はさらに、リラキシン
関連因子の産生を可能にする条件下で宿主-ベクター系の細胞を増殖させること
、およびそのように産生されたリラキシン関連因子を回収することを包含する、
リラキシン関連因子を産生する方法を提供する。本発明の1つの実施態様では、
リラキシン関連因子は、RRF-1である。別の実施態様では、リラキシン関連因子
は、RRF-2である。
本発明はまた、実質的に他のタンパク質を含まない単離されたリラキシン関連
因子を提供する。1つの実施態様では、単離されたリラキシン関連因子はRRF-1
であり、図1に示されているRRF-1のコード領域を含むヌクレオチド配列によっ
て、コードされる。別の実施態様では、単離されたリラキシン関連因子はRRF-2
であり、図4に示されているRRF-2のコード領域を含むヌクレオチド配列によっ
て、コードされる。
本発明はまた、リラキシン関連因子に特異的に結合する抗体を提供する。より
詳細には、本発明は、RRF-1に特異的に結合する抗体、およびRRF-2に特異的に結
合する抗体を提供する。その抗体は、ポリクローン性またはモノクローン性抗体
である。
本発明はさらに、リラキシン関連因子および薬学的に受容可能なキャリアを含
有する、薬学的組成物を提供する。リラキシン関連因子は、限定的でない例とし
て、RRF-1またはRRF-2であり得る。本発明はさらに、リラキシン関連因子に特異
的に結合する抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物
を提供する。抗体が特異的に結合するリラキシン関連因子は、RRF-1またはRRF-2
であり得る。
本発明はさらに、リラキシン関連因子を、動物またはヒトの身体に投与するこ
とを包含する、処置方法を提供する。本発明はまた、リラキシン関連因子に特異
的に結合する抗体を、動物またはヒトの身体に投与することを包含する、処置方
法を提供する。リラキシン関連因子は、RRF-1またはRRF-2であり得る。
本発明はさらに、免疫グロブリン定常領域に融合したリラキシン関連因子を含
有する、リラキシン関連因子リガンド体を提供する。リラキシン関連因子は、RR
F-1またはRRF-2であり得る。リラキシン関連因子リガンド体の1つの実施態様で
は、免疫グロブリン定常領域は、ヒトIgG1のFc部分である。本発明はさらに、リ
ラキシン関連因子リガンド体を、ヒトまたは動物の身体に投与することを包含す
る、処置方法を提供する。
本明細書で使用されている用語「リラキシン関連因子」には、本明細書に記載
されているRRF-1およびRRF-2分子、ならびに、アミノ酸残基がサイレントな変化
をもたらす配列内の残基と置換されている機能的等価分子が含まれる。例えば、
配列内の1つ以上のアミノ酸残基が、機能的等価物として作用する同じ極性の別
のアミノ酸で置換されて、サイレントな変化をもたらし得る。配列内のアミノ酸
置換基は、アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る。例えば、
非極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、
プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれる。
極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン
、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正電荷(塩基性)アミノ酸には
、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれる。負電荷(酸性)アミノ酸
は、アスパラギン酸、およびグルタミン酸が含まれる。用語「リラキシン関連因
子」の範囲内には、同じまたは類似する生物学的活性を示すフラグメントまたは
その誘導体、および、翻訳中または後に、例えば、グリコシル化、タンパク質分
解切
断、抗体分子またはその他の細胞リガンドなどへの連結によって個別に修飾され
ている誘導体もまた含まれる。
当業者はまた、本発明が、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Labor
atory Manual,第二編、第一巻、101-104頁、Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess(1989)に示されているように、中程度にストリンジェントな条件下で配列を
コードするリラキシン関連因子にハイブリダイズする、DNAおよびRNAの配列を提
供することを認識する。従って、本発明によって意図される核酸分子には、本明
細書に記載されているようなリラキシン関連因子のアミノ酸配列から推定される
ヌクレオチド配列を有する核酸分子、ならびに、中程度にストリンジェントな条
件下でこのような核酸にハイブリダイズするヌクレオチドの配列を有する分子、
そしてまた、遺伝子コードの結果としての上記配列の縮重体であるが、それにも
かかわらずリラキシン関連因子をコードするヌクレオチド配列が含まれる。
本明細書に記載されているように、リラキシン関連因子をコードする核酸は、
例えば、適切な発現ベクターで、リラキシン関連因子をコードするヌクレオチド
配列を使用する、適切な宿主細胞におけるトランスフェクション、形質導入、エ
レクトロポレーション、またはマイクロインジェクションにより、リラキシン関
連因子を産生するための細胞の遺伝子操作を容易にし、従って、リラキシン関連
因子の生物学的活性を有するポリペプチドの産生のための宿主細胞ベクター系が
形成される。適切な宿主細胞は、細菌細胞(例えばE.coli)、酵母細胞、真菌
細胞、昆虫細胞、および動物細胞であり得る。適切な動物細胞には、Vero細胞、
HeLa細胞、Cos細胞、CV1細胞、および種々の一次哺乳動物細胞が含まれるが、こ
れらに限定されない。
当業者に周知である、ベクターへのDNAフラグメント挿入のための任意の方法
が、適切な転写/翻訳制御シグナル、およびタンパク質コード配列を使用してリ
ラキシン関連因子をコードする発現ベクターを構築するために使用され得る。こ
れらの方法は、インビトロ組み換えDNAおよび合成技術、およびインビボ組み換
え(遺伝子組み換え)を包含し得る。リラキシン関連因子またはそのペプチドフ
ラグメントをコードするヌクレオチド配列の発現は、タンパク質またはペプチド
が組み換えDNA分子で形質転換された宿主で発現されるように、第二のヌクレオ
チド配列で調節され得る。例えば、本明細書に記載されるリラキシン関連因子の
発現は、当業者に公知である任意のプロモーター/エンハンサーエレメントによ
って、制御され得る。リラキシン関連因子の発現を制御するために使用され得る
プロモーターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。Squintoら
(Cell 65:1-20(1991))に記載されている長末端反復;SV40初期プロモーター領
域(BernoistおよびChambon,Nature 290:304-310);CMVプロモーター、M-MuLV
5'末端反復、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復中に含まれるプロモーター(Ya
mamotoら、Cell 22:787-797(1980))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター
(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:144-1445(1981))、アデノウ
イルスプロモーター、メタロチオネイン(metallothioein)遺伝子の調節配列(
Brinsterら、Nature 296:39-42(1982));β-ラクタマーゼプロモーター(Villa
-Kamaroffら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727-3731(1978))またはtac
プロモーター(DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25(1983)(Sc
ientific American,242:74-94(1980)の「組み換え細菌由来の有用なタンパク質
」もまた参照のこと)のような原核生物発現ベクター;酵母または他の真菌由来
のプロモーターエレメント(例えば、Gal 4プロモーター、ADH(アルコールデヒ
ドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスフォグリセロールキナーゼ)プロモー
ター、アルカリホスファターゼプロモーター、および以下の動物転写制御領域)
。これらは、組織特異性を示し、そしてトランスジェニック動物に利用されてい
る:膵臓腺房細胞で活性であるエステラーゼI遺伝子制御領域(Swiftら、Cell 3 8
:639-646(1984); Ornitzら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-
409(1986); MacDonald,Hepatology 7:425-515(1987);膵臓β細胞で活性であ
るインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,Nature 315:115-122(1985))、リンパ
球で活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984,Cell 38:
647-658; Adamesら、1985,Nature 318:533-538; Alexanderら、1987,Mol.Cel
l.Biol.7:1436-1444)、精巣細胞、乳房細胞、リンパ球、および肥満細胞で活
性である、マウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Lederら、1986,Cell 45:485-495
)、肝臓で活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987,Genes and
Devel.1:268-276)、肝臓で活性であるα-フェトプロテイン遺
伝子制御領域(Krumlaufら、1985,Mol.Cell.Biol.5:1639-1648; Hammerら、
1987,Science 235:53-58);肝臓で活性であるα-1-抗トリプシン遺伝子制御領
域(Kelseyら、1987,Genes and Devel.1:161-171)、骨髄細胞で活性であるβ
-グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985,Nature 315: 338-340; Kolliasら
、1986,Cell 46:89-94);脳の稀突起神経膠細胞中で活性であるミエリン塩基
性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987,Cell 48:703-712);骨格筋
で活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Shani,1985,Nature 314:283-28
6)、および視床下部で活性であるゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域
(Masonら、1986,Science 234:1372-1378)。本発明はさらに、その発現を調節
するための、リラキシン関連因子をコードするRNAの配列と特異的にハイブリダ
イスし得るアンチセンス化合物の生成を提供する(1992年11月24日、Eckerに発
行された米国特許第5,166,195号)。
従って、本発明によれば、リラキシン関連因子をコードする核酸を含有する、
細菌宿主または真核生物宿主で複製し得る発現ベクターが、宿主をトランスフェ
クトするために使用され、それによりこのような核酸が直接発現されてリラキシ
ン関連因子を産生し、これは次に、生物学的に活性な形態で回収され得る。本明
細書で使用されているように、生物学的に活性な形態は、リラキシン関連因子の
レセプターに結合し、そして分化機能のような生物学的応答を生じるか、または
レセプターを発現する細胞の表現型に影響し得る形態を包含する。
遺伝子挿入片を含有する発現ベクターは、4つの一般的なアプローチによって
同定され得る:(a)DNA-DNAハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機
能の存在または非存在、(c)挿入配列の発現、および(d)PCR検出。第一のアプロ
ーチでは、発現ベタターに挿入された外来遺伝子の存在は、挿入リラキシン関連
因子コード遺伝子に相同である配列を含むプローブを使用する、DNA-DNAハイブ
リダイゼーションによって検出され得る。第二のアプローチでは、組み換えベク
ター/宿主系が、ベクターの外来遺伝子の挿入によってもたらされる、特定の「
マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性、形質転
換表現型、バキュロウイルスでの封入体形成など)の存在または非存在に基づい
て、同定されそして選択され得る。例えば、リラキシン関連因子をコードする
核酸がベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入される場合は、挿入片を含有する
組み換え体は、マーカー遺伝子機能の非存在によって同定され得る。第三のアプ
ローチでは、組み換え発現ベクターは、組み換え体によって発現された外来遺伝
子産物をアッセイすることによって、同定され得る。このようなアッセイは、例
えば、リラキシン関連因子の、例えば検出可能な抗体またはその部分でタグ化さ
れ得るレセプターまたはその部分への結合、またはリラキシン関連因子またはそ
の部分に対して産生された抗体への結合によって、リラキシン関連因子遺伝子産
物の生理学的または機能的特性に基づき得る。本発明の細胞は、一過性、または
好ましくは構成的および永久的に、本明細書に記載されているように、リラキシ
ン関連因子を発現し得る。第四のアプローチでは、リラキシン関連因子特異的DN
A配列に対応するDNAヌクレオチドプライマーが調製され得る。次いで、これらの
プライマーは、PCRリラキシン関連因子遺伝子フラグメントに使用され得る。(PC
Rプロトコル(Academic Press(1990)のMichael A.Innisらによる編集の、A Guid
e To Methods and Applications)。
組み換えリラキシン関連因子は、続く安定で生物学的に活性なタンパク質の形
成を可能にする任意の技術によって、精製され得る。例えば、限定されないが、
リラキシン関連因子は、可溶性タンパク質または封入体のいずれかとして細胞か
ら回収され得、そこから、8M塩酸グアニジウムおよび透析によって定量的に抽出
され得る。リラキシン関連因子をさらに精製するために、従来のイオン交換クロ
マトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー
、またはゲル濾過が、使用され得る。
本発明のさらなる実施態様では、組み換えリラキシン関連因子をコードする遺
伝子は、内因性遺伝子を相同組み換えによって不活化または「ノックアウト」す
るために使用され得、それによって、リラキシン関連因子欠損細胞、組織、また
は動物を作製する。例えば、限定されないが、組み換えリラキシン関連因子をコ
ードする遺伝子は、例えばneo遺伝子のような挿入変異を含有するように操作さ
れ得、これは、天然のリラキシン関連因子をコードする遺伝子を不活化する。適
切なプロモーター制御下で、このような構築物は、トランスフェクション、形質
導入、または注入のような技術によって、胚幹細胞のような細胞に導入され得る
。
この構築物を含有する細胞は、次に、G418耐性によって選択され得る。次に、イ
ンタクトなリラキシン関連因子コード遺伝子を欠く細胞は、例えば、サザンブロ
ッティング、PCR検出、ノーザンブロッティング、または発現アッセイによって
、同定され得る。インタクトなリラキシン関連因子をコードする遺伝子を欠く細
胞は、次に、初期胚細胞に融合されて、このようなリラキシン関連遺伝子を欠く
トランスジジェニック動物が作製される。このような動物は、通常ではリラキシ
ン関連因子に依存する特定のインビボプロセスを解明するために使用され得る。
本発明はまた、例えば、診断適用でこの因子の検出に有用である、本明細書に
記載されているリラキシン関連因子に対する抗体を提供する。リラキシン関連因
子に対するモノクローナル抗体の調製には、培養での継代細胞株による抗体分子
の産生を提供する任意の技術が、使用され得る。例えば、KohlerおよびMilstein
(1975,Nature 256:495-497)によって初めて開発されたハイブリドーマ技術、
ならびにトリオーマ技術、ヒトB-細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983,Im
munology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-
ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、Alan R.Liss, Inc.77-96頁の「モノク
ローナル抗体およびガン治療」)などは、本発明の範囲内である。
診断または治療用使用のためのモノクローナル抗体は、ヒトモノタローナル抗
体、またはキメラヒト-マウス(またはその他の種)モノクローナル抗体であり
得る。ヒトモノクローナル抗体は、当該分野に公知の多数の任意の技術によって
作製され得る(例えば、Tengら、1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:730
8-7312; Kozborら、1983,Immunology Today 4:72-79; Olssonら、1982,Meth.
Enzymol.92:3-16)。ヒト定常領域を有するマウス抗原結合ドメインを含有する
キメラ抗体分子が、調製され得る(Morrisonら、1984,Proc.Natl.Acad.Sci
.U.S.A.81:6851,Takedaら、1985,Nature 314:452)。
当該分野に公知の種々の方法が、本明細書に記載されているリラキシン関連因
子のエピトープに対するポリクローナル抗体を産生するために使用され得る。抗
体の産生のために、ウサギ、マウス、およびラットを含むがこれらに限定されな
い種々の宿主動物が、リラキシン関連因子またはペプチドフラグメントまたはそ
の誘導体の注入によって免疫され得る。種々のアジュバンドが、宿主種に依存す
る免疫学的応答を増大するために使用され得、そしてこれらには、フロイントの
アジュバンド(完全および不完全)、水酸化アルミニウムのような無機ゲル、リ
ゾレシチンのような表面活性物質、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリ
アニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン
、ジニトロフェノール、ならびにBCG(Bacille Calmette-Guerin)およびCoryne bacterium parvum
のような潜在的に有用なヒトアジュバントが挙げられるが、こ
れらに限定されない。
選択されたリラキシン関連因子エピトープに対する抗体の分子クローンは、公
知の技術によって調製され得る。組み換えDNA方法論(例えば、Maniatisら、198
2,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory
,Cold Spring Harbor,New Yorkを参照のこと)が、モノクローナル抗体分子ま
たはその抗原結合領域をコードするヌクレオチド配列を構築するために、使用さ
れ得る。
本発明は、抗体分子、ならびにこのような抗体分子のフラグメントを提供する
。この分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは、公知の技術によって産
生され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、以下が挙げられるが、
これらに限定されない:抗体分子のペプシン消化によって産生され得るF(ab')2
フラグメント;F(ab')2フラグメントのジスルフィド結合の還元によって産生さ
れ得るFab'フラグメント;および、抗体分子をパパインおよび還元剤によって処
理することによって産生され得るFabフラグメントを包含する。抗体分子は、公
知の技術、例えば、免疫吸着または免疫親和性クロマトグラフィー、HPLC(高速
液体クロマトグラフィー)のようなクロマトグラフ方法、またはその組み合わせ
によって、精製され得る。
リラキシン関連因子をコードする核酸分子が単離されれば、ヒト免疫グロブリ
ンγ-1定常領域(IgG1 Fc)に融合したリラキシン関連因子の全コード配列から
なる分泌タンパク質を与える発現構築物を作製することは、さほど困難ではない
はずである。これらの融合タンパク質は、「リラキシン関連因子リガンド体」と
呼ばれる。リラキシン関連因子は、RRF-1またはRRF-2であり得る。
Fc部分は、以下のように調製され得る。タンパク質のヒンジ領域からカルボキ
シ末端に広がるヒトIgG1のFc部分をコードするDNAフラグメントは、ヒトIgG1の
公表されている配列に対応するオリゴヌクレオチドを用いるPCRによって、ヒト
胎盤cDNAから増幅され得る;得られたDNAフラグメントは、プラスミドベクター
へクローニングされ得る。全長のリラキシン関連因子をコードするプラスミド、
およびヒトIgG1 Fcプラスミド由来の適切なDNA制限フラグメントは、ヒトIgG1 F
cタンパク質コード配列を有する選択リラキシン関連因子にインフレームで融合
するように設計されている、PCR由来の短フラグメントのどちらかの末端に連結
され得る。
従って、本発明は、選択されたリラキシン関連因子レセプターに特異的に結合
するリラキシン関連因子リガンド体もまた提供する。1つの実施態様では、本発
明は、免疫グロブリン定常領域に融合したリラキシン関連因子リガンドを含むリ
ラキシン関連因子リガンド体を提供する。さらなる実施態様では、リガンド体は
、リラキシン関連因子およびヒトIgG1のFc部分を含む。さらなる実施態様では、
リガンド体は、RRF-1およびヒトIgG1のFc部分を含む。なお別の実施態様では、
リガンド体は、RRF-2およびヒトIgG1のFc部分を含む。上記のようなリラキシン
関連因子リガンド体は、ヒトまたは動物の身体の治療法、または診断方法におい
て使用され得る。
例の限定ではないが、リラキシン関連因子リガンド体は、レセプターを有する
細胞へ毒素を送達するのに有用であり得る。あるいは、増殖因子、サイトカイン
、または栄養素のようなその他の分子が、リラキシン関連因子レセプターを有す
る細胞へ、リラキシン関連因子リガンド体を介して送達され得る。リラキシン関
連因子リガンド体はまた、インビボまたはインビトロでレセプターを検出するた
めに、リラキシン関連因子レセプターに対する診断試薬として使用され得る。リ
ラキシン関連因子リガンド体は、例えば、組織染色または全身画像化によって、
リラキシン関連因子レセプターを検出するための診断試薬として、有用であり得
る。
本発明はまた、本明細書に記載されているリラキシン関連因子リガンドまたは
リガンド体、そのペプチドフラグメントまたは誘導体を、薬理学的に受容可能な
ビヒクル中に含有する、薬学的組成物を提供する。リラキシン関連因子タンパク
質、またはペプチドフラグメントまたはその誘導体は、全身的または局所的に投
与され得る。当該分野で公知の適切な任意の投与様式が、使用され得る。これに
は、静脈内、包膜内、動脈内、鼻腔内、経口、皮下、腹腔内、あるいは局所注入
または外科手術移植が含まれるが、これらに限定されない。放出持続処方物もま
た、提供される。
本発明は、以下の実施例からより理解される。しかし、当業者は、考察されて
いる特定の方法および結果は限定されず、単に発明を例示するのみであることは
、容易に理解する。
実施例1−リラキシンおよびリガンドのインスリンファミリーに関連する分子 のクローニング
試験配列として、リラキシンの配列(多数のインスリンファミリー、インスリ
ン、IGF1、IGF2、および「ライディヒインスリン様タンパク質」もまた包含する
)を使用して、発現配列タグのデーターベースを探索して、アミノ酸レベルでリ
ラキシンに関連する、ヒト精巣に見いだされた配列の存在が示された。タンパク
質のインスリンファミリーの特徴は、主にシステイン残基の特異的な配列(アミ
ノ末端近くの2つ、およびカルボキシ末端から4つ前)からなり、これは、ジス
ルフィド結合の特徴的な構造を形成する。データーベースに見い出される配列は
、数個のその他の残基と共に極近辺に最初の2つのシステインを含有し、これも
またインスリンファミリーの特徴である。この相同性はやや弱く、そしてデータ
ーベース配列の中央の終止コドンの存在は、特徴的なC-末端システインの証拠を
伴わず、この配列が真性の新規インスリンファミリーメンバーの典型であるかど
うかについては、さらなる疑問が生じた。
オリゴヌクレオチドは、データーベース配列に対応して合成し、そしてPCRに
よって組み立て、400塩基対プローブを構成した。ヒト精巣cDNAライブラリーを
構築して、次いでこの合成プローブをスクリーニングした。このスクリーニング
から得た数個のクローンを配列決定し、そして少なくともこのクローンの1つが
、その推定タンパク質配列が、特に分子のC-末端での4つのシステイン群に関し
て新規インスリンファミリーメンバーの全予測特性を示すオープンリーディング
フレームを含有することを見い出した。分子のヌクレオチド配列および推定アミ
ノ
酸(1文字コード)配列を、図1に示す。全体的に、その分子は、他のインスリ
ンファミリーメンバーのいずれよりも、リラキシンにより密接に関連する。従っ
て、その分子は、リラキシン関連因子-1と呼ばれた(RRF-1)。図2は、リラキ
シン関連因子-1アミノ酸配列の、インスリンファミリーの他のメンバーの配列
との比較配列を示す。
ノーザンブロット分析は、成人ヒトポリA RNAの試料を、1%アガロース-ホルム
アルデヒドゲル上で流し、ナイロン膜に移し、そしてリラキシン関連因子のヌク
レオチド配列由来の400塩基対プローブでプローブすることにより、行った。図
3に示すように、RRF-1についてのメッセージは、ヒト精巣で高度に発現された
が、脳、小脳、胸腺、心臓、肝臓、小腸、骨格筋、骨髄、前立腺、卵巣、子宮、
および胎盤を含む、アッセイした他の組織試料のいずれにも検出されなかった。
RRF-1の産生は、精巣に特異的であるようなので、精子の成熟に関与し得、従っ
て、授精異常の治療での役割を有し得る。
実施例2−ヒトリラキシン関連因子-1cDNAの発現
ヒトリラキシン関連因子-1cDNAを含有する発現ベクターを、構築した。1つ
の形態は、タンパク質を検出可能にするために、三連mycタグがそのC-末端に挿
入されていた。COS-7細胞を、DEAE-デキストラントランスフェクションプロトコ
ールによって、発現ベクターまたは制御ベクターのいずれかで一過性にトランス
フェクトした。要するに、COS-7細胞を、トランスフェクションの24時間前に、1
00 mmプレートあたり1.0×106細胞密度にプレーティングした。トランスフェク
ションのために、その細胞を、400μg/ml DEAE-デキストラン、1μMクロロキン
、および2mMグルタミンおよび1μgの適切なDNAを含有する、無血清DMEM中で、
5% CO2雰囲気下で、37℃にて3〜4時間培養した。トランスフェクション培地を
吸引し、そして2〜3分間、10% DMSOを含むリン酸緩衝生理食塩水で置き替えた。
このDMSO「ショック」後に、COS-7細胞を、各々1%のペニシリンおよびストレプ
トマイシン、および2 mMグルタミンを含有するDMEMに入れた。分泌リガンドを含
有するCOS培地を、3日後に回収した。mycタグ型の発現を、プローブとしてmyc
タグに対する抗体を使用して、上清のウエスタンンブロット分析によって確認し
た。
実施例3−リガンドのインスリンファミリーに関連する第二の分子のクローニ ング
試験配列としてリラキシンの配列を使用して、発現配列タグのデーターベース
の第二の検索をして、多数の配列登録の存在を示し、その全てはヒト胎盤cDNAに
見い出され、そして本質的に同じ配列であることを示し、これはアミノ酸レベル
でリラキシンに関連していた。以前に明らかにされたように、タンパク質のイン
スリンファミリーの特徴は、主に、システイン残基の特定の配列(アミノ末端近
くの2つ、およびカルボキシ末端から4つ前)からなり、これは、ジスルフィド
結合の特徴的な構造を形成する。データーベースに見い出されたヒト胎盤配列は
、極近辺に数個のその他の残基と供に、最後の4システインを含有し、それもま
たインスリンファミリーの特徴であった。この相同性は弱く、そしてデーターベ
ース上の異なる登録の間で変動し、その他に関していくつかのフレームシフト変
異を有し、このためこの相同性が真性の新規インスリンファミリーメンバーの典
型であるかどうかがいくらか不明瞭になった。さらに、これらの配列の多くは、
既知のリボソームタンパク質であるL22のcDNA配列と同一のストレッチを有する
ことが注目され、そしてこれらの配列登録は、データーベース上でL22と示され
、さらにリラキシンとの相同性を不明瞭にし、リラキシン相同性が人工的である
ことの可能性を支持する。さらなる実験により、L22タンパク質がリラキシン相
同配列から逆方向に転写されることが示され、従って、逆鎖から転写された2つ
の重複遺伝子が存在し、そして一方にはスプライシング機構が1つのcDNA部分を
包含し得る可能性がある。
データーベース配列部分に対応するオリゴヌクレオチドを合成し、そしてヒト
胎盤cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。このスクリーニン
グから得た1つのクローンを配列決定し、そしてそれが、その推定タンパク質配
列が、新規インスリンファミリーメンバーの予測特性の多くを示すオープンリー
ディングフレームを含有することを見い出した:タンパク質分泌を可能にするア
ミノ末端のシグナル配列、その後に、他の全インスリンファミリーメンバーの場
合のように、11アミノ酸残基で分離された2つのシステインを有する配列が、存
在する。さらに、まさにC-末端の4システイン群のすぐ前に先行する4塩基配列
が存在し、これはリラキシンに存在し、そしておそらくタンパク質のタンパク質
分解プロセッシングに関与する(ファミリーの他のメンバーは、この位置に2塩
基残基を有する)。これらの配列記号は、この新規分子をインスリンファミリー
メンバーとして同定したが、アミノ末端システイン群近くのその配列は、他の全
てからより遠く、従って、新規分子はインスリンファミリーの新しい分枝を同定
したと考えられ得る。全体に、この新規分子は、その他のインスリンファミリー
メンバーのいずれよりも、リラキシンにより密接に関連する。従って、この分子
は、リラキシン関連因子-2(RRF-2)と呼ばれた。図2は、リラキシン関連因子
−2アミノ酸配列とRRF-1およびインスリンファミリーの他のメンバーの配列と
の比較配列を示す。
実施例1で予め記載したように、ノーザンブロット分析を実施し、そして図5
に示されている結果は、リラキシン関連因子-2(RRF-2)のメッセージが、ヒト
胎盤で高度に発現されるが、アッセイされた他の試料のいずれにも検出されなか
ったことを、解明した。RRF-2産生は胎盤に特異的であるようなので、妊娠およ
び分娩の間の哺乳動物の生殖生理を調節するのに有用であり得る。
実施例4−ヒトリラキシン関連因子-2cDNAの発現
ヒトリラキシン関連因子-2cDNAを含有する発現ベクターを構築した。1つの
形態は、タンパク質を検出可能にするためにFLAGタグがN-末端に挿入されていた
。COS-7細胞を、DEAE-デキストラントランスフェクションプロトコールによって
、発現ベクターまたは制御ベクターのいずれかで一過性にトランスフェクトした
。FLAGタグ型の発現を、プローブとしてFLAGタグに対する抗体を使用する細胞染
色によって、確認した。
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施態様によっては、範囲を限定
されない。事実、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の種々の改変
が、前述の記載および添付の図面から、当業者に明白になる。このような改変は
、添付の請求の範囲内であることが意図される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 39/395 A61K 45/00
45/00 C07K 14/64
C07K 14/64 16/26
16/26 19/00
19/00 C12P 21/02 C
C12N 5/10 C12N 5/00 B
C12P 21/02 A61K 37/24
//(C12P 21/02
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK
,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,
MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R
U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UG,US,UZ,VN