JPH11514232A - N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプターポリペプチド - Google Patents

N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプターポリペプチド

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JPH11514232A
JPH11514232A JP9515030A JP51503097A JPH11514232A JP H11514232 A JPH11514232 A JP H11514232A JP 9515030 A JP9515030 A JP 9515030A JP 51503097 A JP51503097 A JP 51503097A JP H11514232 A JPH11514232 A JP H11514232A
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対する新規な合成アクセプターペプチド、および蛋白質のグルコシル化を制御するためのその使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対する アクセプターポリペプチド 発明の背景 本発明は、グルコシルトランスフェラーゼ酵素、およびかかる酵素に対応する 遺伝子に関する。特に、本発明は、酵素N-アセチルガラクトサミニルトランス フェラーゼに関する。詳細には、本発明は、酵素N-アセチルガラクトサミニル トランスフェラーゼの単離および配列決定に関する。本発明は、また、酵素N- アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプターペプチドを 発現することができる蛋白質の構築に関する。 炭水化物は重要なクラスの生物化合物である。細胞中においては、炭水化物は 、粘度、貯蔵エネルギーが調整される場所である構造成分として機能し、あるい は細胞表面の鍵成分である。ほぼ全ての部位特異的な細胞内相互作用に、細胞表 面炭水化物が関与している。例えば、精子および卵子の受精、ならびに受精卵の 着床の双方が、細胞表面炭水化物によって媒介される。同様に、GMP-140、ELAM- 1を包含する細胞接着分子として機能する多数の蛋白質、およびMel-14のような リンパ球接着分子は、レクチンを模倣する構造特徴を示し、特異的な細胞表面炭 水化物構造を結合すると考えられている(StoolmanによるCell,56:907−910(19 89))。腫瘍関連抗原のごときグリコシル化蛋白質が、現在、膨大な数の腫瘍の存 在を同定するために用られている。単離したオリゴ糖でさえ、それ自体で生物活 性を示すことが見出されている。 特異的なガラクトースグリコサッカライドは、尿路疾患性大腸菌群と赤血球と の凝集を阻害することが知られている(米国特許第4,521,592号)。プラスミノー ゲン・アクチベーターのレベルを上昇させることによる潜在的な抗血栓活性を有 するオリゴ糖も示されている(米国特許第4,801,583号)。この同一の生物活性 は、アミノ糖蛋白質との結合において、オリゴ糖を医療機器に結合して、抗凝集 効作用を有する医療表面を得ることによって用いられている(米国特許第4,810, 784号)。なお他のオリゴ糖においては、グラム陽性菌抗生物質および殺菌剤とし ての有用性が見出されている(米国特許第4,851,338号および第4,665,060号) 。さらに、オリゴ糖は特異的な細菌の診断および同定における細菌受容体部位と しても用られている(米国特許第4,657,849号および第4,762,824号)。 オリゴ糖は、それがコンジュゲートする蛋白質または脂質に対して影響を及ぼ すこともよく認められている(RademacherらによるAnn.Rev.,Biochem.57:785 (1988))。特異的なオリゴ糖が蛋白質、安定性、蛋白質加水分解速度、血液流か らのイン・ビボ(in vivo)消失速度、熱安定性および溶解性に影響を及ぼすこと が示されている。細胞表面炭水化物のオリゴ糖部分の変化が、ガンになった細胞 において記録されている。細胞分化の間に検出されているオリゴ糖変化もある(T ooneらによるTetrahedron Report 45(17):5365−5422(1989))。かのように、 生物機能に対するオリゴ糖の重要性は理解できていない。 O-グリコシル結合(ムチン型)オリゴ糖が多種の異なるタイプの糖蛋白質で報 告されている(Salderによる「Biology of Carbohydrates」(GinsburgおよびRo bbins編)Vol.2,pp.199−213(1984),John Wiley and Sons社,New York)。こ れらの構造には、細胞-細胞認識および宿主-病原菌相互作用に関与するごとき極 めて特異的なものから、蛋白質加水分解からの保護を供することまたは粘膜分泌 に対して適当な変化および水結合特性を供することのごときより一般的なものま で範囲付けられる多様な配置の機能を担っている(Sadlerによる「Biology of Ca rbohydrates」(1984)(前掲);PaulsonによるTrends Biochem.Sci.14:272-27 5(1989);ならびにJentoftによるTrends Biochem.Sci.,15:291−294(1990)) 。 O-結合オリゴ糖生合成における初期反応は、ヌクレオチド糖UDP-N-アセチル ガラクトサミンから蛋白質アクセプター上のセリンまたはスレオニン残基までの N-アセチルガラクトサミン残基の転移である。翻訳後に起こり得るこの反応は、 UDP-GalNAc:ポリペプチド、分泌経路に位置すると考えられている細胞内膜結合 酵素であるN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(本明細書中におい ては、以後GalNAc-トランスフェラーゼまたはGalNAcTという)によって触媒さ れる。 GalNAc-トランスフェラーゼの正確な位置(群)は未だ論争中である。アクセプ ター蛋白質へのN-アセチルガラクトサミンの初期付加は、粗面小胞体(ER) で初期に(翻訳と同時期にさえも)起こり得ることが報告されている。また、この 反応が、後期ER分画および/またはゴルジ複合体のシス領域で起こる翻訳後事 象であることを示唆する著者もいる(例えば、HanoverらによるJ.Biol.Chem., 257:10172−10177(1982);RothによるJ.Cell Biol.98:399−406(1984);Elhammer およびKornfeldによるJ.Cell Biol.98:327−331(1984);ToozeらによるJ.Cel lBiol.106:1475−1487(1988);DeschuyteneerらによるJ.Biol.Chem.263:2452− 2459(1988);UlmerおよびPaladeによるProc.Natl.Acad.Sci.(USA)89:663−667(1 989);WertzらによるJ.Virol.63:4767−4776(1989);PillerらによるEur.J. 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素アクセプターペプチドをコードするDNA配列を、蛋白質をコードするDNA配列に 導入することを含む。また、本発明は、その酵素に対するアクセプターPPDAATAA PL(配列番号:20)を有する蛋白質を発現させ、ついでその発現蛋白質をその酵素 に暴露することを含む。 また、本発明は、細胞によって産生された蛋白質のグリコシル化を改変する方 法も提供し、該方法は、酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ を発現でき、つづいて細胞中で充分な量の酵素を発現することができる少なくと も1の遺伝子を細胞に導入し、それによって細胞中の蛋白質のグリコシル化を改 変することを含む。 本発明の先に論じたおよび他の多くの特徴ならびに付随する利点は、添付図面 と結合して考慮した際には以下の詳細な説明を参照することによってより良好に 理解し得るであろう。 図面の簡単な説明 図1.SDS-ポリアクリルアミド電気泳動上におけるウシ初乳GalNAc-トランスフ ェラーゼの分離 パネルA:10%ポリアクリルアミドゲル上のSDS-PAGEによって分離し、銀染色 によって視覚化した精製ウシ初乳酵素。B列:オートラジオグラフィーによって 視覚化したイン・ビトロ125I-標識精製ウシ初乳酵素。左レーン、ペプチドN- グリコシダーゼFを用いた消化からの産物;右レーン、グリコシダーゼなしにペ プチドN-グリコシダーゼF分解としてインキュベートした酵素。分子量マーカ ーの移動度を右に示す。図2.ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼのN-末端配列、オリゴヌクレオチド ・プライマーの配列、GalNAc-トランスフェラーゼを含むcDNAクローン(pCR1 000−91BおよびpCR1000-52A)用の制限地図、ならびに配列決定ストラテジ (A)精製ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼから得たN-末端アミノ酸配列(34 アミノ酸)(配列番号:1)。PCR反応およびサザンブロット分析に用いたプライ マーおよびプローブのオリゴヌクレオチド(オリゴA-E)(各々、配列番号:2− 6)配列をアミノ酸配列の下側に示す。オリゴヌクレオチドヌクレオチドA、B およびCの同義性は、各々、512、64および64である。 (B)λgt10ベクターのEcoRIクローニングサイトを囲む領域のヌクレオチド配 列。オリゴヌクレオチドFおよびG(各々、配列番号7および8)を合成し、λg t10中にクローン化したウシ小腸cDNAライブラリーと共にPCR反応に用い た。 (C)cDNAクローンpCR1000-91BおよびpCR1000-52Aの制限地図。GalNAc- トランスフェラーゼ蛋白質の蛋白質コード領域を白抜きボックスで示し、非コー ド領域を直実線で示し、ベクター配列を黒色ボックスで示す。91Bクローンの下 側の矢印、および52Aクローンの上側の矢印はクローンの配列決定の向きおよび 範囲を示す。図3.cDNA クローン91B(配列番号:10)および52Aのヌクレオチド配列から推 定したクローン化GalNAc-トランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号:9) N-結合グリコシル化の潜在的部位は破線ボックスで囲んだ残基によって示し、 O-結合グリコシル化の予想サイトは適当なアミノ酸の下側の点線で印を付けて いる。(N-末端配列決定によって決定した)可溶性ウシGalNAc-トランスフェラー ゼのN-末端を矢印で示す。共通ポリA+配列(AATAAA)は実線ボックスで示し、 pCR1000-93Iの93bpインサート、およびpCR1000-600の621bpインサー トの配列は破線下線(93I)または実線下線(600)によって示す。ヌクレオチド(上 側)(配列番号:10)またはアミノ酸配列(下側)(配列番号:9)の番号付けは配列の 右側に示す。91Bクローン(配列番号:10)から得た最初のATGコドンは、GalNA c-トランスフェラーゼの1680塩基対のヌクレオチド配列(配列番号:11)の開始点 を表す。Genebank受入れ番号L07780。図4.クローン化GalNAc-トランスフェラーゼの予想貫膜ドメインおよびO-結合 グリコシル化部位 クローン化分子のアミノ酸配列を、KyteおよびDoolittle(1982)(パネルA)に よって記載されているのと同様にして予想貫膜セグメント(群)について(パネル A)、およびElhammerら(1993)によって概説されているのと同様にしてO-結合グ リコシル化部位について(パネルB)分析した。図5.ノザンブロット分析 ウシ乳房組織、MDBK細胞および8種の異なるヒト組織から単離したポリA+ mRNA 2μgを、pCR1000-600から単離した32P-標識600bpインサー トで釣り上げた(図3を参照されたし)。(A)1および2列は、各々、MDBK細 胞およびウシ乳房組織からのmRNAを含む。(B)1〜8列は、各々、ヒトの心臓 、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、および膵臓から単離したmRNAを含む。図6.バキュロウイルス感染Sf9細胞において発現させたイン・ビボ36S-メ チオニン標識GalNAc-トランスフェラーゼの免疫沈降 クローン化したGalNAc-トランスフェラーゼDNAをバキュロウイルスベクターを用 いてSf9細胞中で発現させた。感染細胞は感染24時間後に35S-メチオニンを 含有する培養培地に切替え、さらに24時間後に採取した。その細胞を洗浄剤含 有緩衝液中で消化し、該細胞消化物および対応する培養培地から標識トランスフ ェラーゼを免疫沈降させた。洗浄した免疫沈降を10%ポリアクリルアミドゲル上 のSDS-PAGEによって分離した。1、3および5列には、各々、構築物GalNAc-T 2-1.A、GalNAc-T 2−1.BおよびCMV Pol-1を含有するウイルスで 感染した細胞の細胞消化物から沈降させた放射能が含まれる。2、4および6列 には、対応する培養培地から免疫沈降した放射能が含まれる。免疫沈降蛋白質の 2種の分子量形態を矢印で示す。分子量マーカーの移動度を右に示す。図7.グリコシル化の確率 確率は、Eq1および表5からの特異性パラメーターを用いてアミノ酸配列か ら算出した。A:ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子。B:ヒト・コリ オゴナドトロピンβ-鎖。C:スブチリシンBPN'。D:ウシ・チトクロームC 。図8.グリコシル化の確率 確率は、Eq1および表5からの特異性パラメーターを用いてアミノ酸配列か ら算出した。A:ウシ・ロダネーゼ。B:ヒトCD4の最初の2ドメインおよび Pseudomonas外毒素の最後の3ドメインから構築したキメラ蛋白質。C:ヒトL DL受容体蛋白質。D:ヒト・アルツハイマーアミロイド蛋白質前駆体。図9.GalNAc-トランスフェラーゼ反応速度のラインウィーバー・バークプロッ ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼによる3H-アセチルガラクトサミンのア クセプターペプチドへの転移を、「材料および方法」で解説するのと同様にしてア ッセイした。各ペプチドの代表的な実験を示す。基質は、(A):RTPPP(配列番号 :12);および(B):PPASTSAPG(配列番号:14)。図10.PPASTSAPG(配列番号:14)およびPPASSSAPG(配列番号:15)のイン・ビト ログリコシル化からの反応産物の特徴付け アクセプターペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)(パネルA、BおよびC)およ びPPASSSAPG(配列番号:15)(パネルD、EおよびF)のグリコシル化からの産物 をBioGel P-2クロマトグラフィーによって単離し、ピリジン-酢酸エチル-氷酢 酸-水(5:5:1:3、v:v:v:v)中の下降-ペーパークロマトグラフィー 上で分離した。パネルAおよびD:非処理グリコシル化ペプチド;パネルBおよ びE:Patella vulgata α-N-アセチルガラクトサミニダーゼを用いた消化か らの産物;パネルCおよびF:温和なアルカリ性ホウ水素化ナトリウム処理から の産物。標準の移動距離を矢印によって示す。1:Galβ1-3GalNAc-オール; 2:GalNAc-オール。図11.ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼでグリコシル化した後の放射性N- アセチルガラクトサミンとコンジュゲートしたアクセプターペプチド・アミノ酸 の決定 「材料および方法」に記載するのと同様にして、グリコシル化アクセプターペプ チドをBioGelP-2クロマトグラフィーによってアッセイ混合物から単離し、自 動エドマン分解に付した。各配列決定サイクルで溶出した放射能をシンチレーシ ョンカウントによって測定した。AおよびBは、各々、グリコシル化PPASTSAPG( 配列番号:14)およびPPASSSAPG(配列番号:15)の配列決定から採取した画分を示 す。図12.ウシUDP-GalNAcのドメイン構造:ポリペプチド、N-アセチルガラクト サミニルトランスフェラーゼ:分泌された可溶性酵素の構築 GalNAcTとは完全長トランスフェラーゼを示す;分子のドメイン構造はキーに示 す図柄によって強調する。GalNAcTsとは可溶性融合分子;シグナル配列とGalNAc- トランスフェラーゼ配列との間の結合を形成するメリチン・シグナル配列を太線 バーによって表す。矢印はシグナルペプチダーゼ切断サイトを示す。図13.クローン化、(可溶性酵素に)再-設計した UDP-GalNAc:ポリペプチド、 N-アセチルガラクトサミニル-トランスフェラーゼのヌクレオチド配列 ウシGalNAc-トランスフェラーゼの分泌形を発現させるために、完全長cDNA(141 ヌクレオチド)の細胞質および膜に拡がるドメインをコードする配列を、ミツバ チ・メリチンシグナルペプチドおよび5個のリンカーアミノ酸をコードする配列 (78ヌクレオチド)(配列番号:18)で置き換えた。構築する目的の発現系がバキ ュロウイルス/Sf9細胞であるため、ミツバチ・メリチンシグナル配列を選択 した。なぜならば、構築物の目的の発現系がバキュロウイルス/Sf9細胞であ るためである。図14.SDS-ポリアクリルアミド電気泳動上の可溶性GalNAc-トランスフェラー ゼの分離 銀染色により、10%ポリアクリルアミドゲル上に1個のみの蛋白質バンドが 検出された。ほぼ61kDaの分子量が、クーマシーブルー染色によって検出できた 。図15.UDP-GalNAc:ポリペプチド、N-アセチルガラクトサミニル-トランスフ ェラーゼのヌクレオチド配列 示すヌクレオチド配列(配列番号:11)は、酵素N-アセチルガラクトサミニルト ランスフェラーゼをコードする。図16.UDP-GalNAc:ポリペプチド、N-アセチルガラクトサミニル-トランスフ ェラーゼのアミノ酸配列 酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号 :9)を示す。図17.可溶性形UDP-GalNAc:ポリペプチド、N-アセチルガラクトサミニル-ト ランスフェラーゼのアミノ酸配列 酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼの分泌形態のアミノ酸配 列(配列番号:19)を示す。図18.GalNAc-トランスフェラーゼ反応速度プロット 可溶性GalNAc-トランスフェラーゼによる3H-アセチルガラクトサミンのアクセ プターペプチドへの転移を、「材料および方法」に概説するのと同様にしてアッセ イした。 本実験の合成アクセプターペプチドは、 Pro-Pro-Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Ala-Pro-Leu(PPDAATAAPL)(配列番号:20)であっ た。 好ましい具体例の詳細な説明 本明細書中で用いる「N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(GalN AcT)」なる語は、図15(配列番号:11)に示すヌクレオチド配列および図16( 配列番号:9)に示すアミノ酸配列によってコードされる酵素に実質的に相同的な 酵素、および該酵素と実質的に同一の生物活性を有する酵素をいう。この定義は 、GalNAct配列における天然の対立遺伝子変変異体を包含し、GalNAcTに対する すべての参照を包含することを意図しており、そのヌクレオチドおよびア ミノ酸配列は、天然発生および人工的に製造された両方のかかる対立遺伝子変異 体を包含することを意図している。本発明のクローン化遺伝子はいずれの起源の 種のGalNAcT酵素をもコードし得るが、好ましくは哺乳動物の酵素、最も好まし くはウシ起源の酵素をコードする。 遺伝子工学によるクローン化遺伝子からの酵素GalNAcTのごとき蛋白質の生成 はよく知られている。例えば、Bellらに対する米国特許第4,761,371号、第6 欄3行〜第9欄65行を参照されたし。(すべての米国特許参照の開示は出典明示 して本明細書の一部とみなす)。したがって、以後の論議は、この分野の概観と して意図するものであり、該技術の完全な状態を反映することを意図するもので はない。 酵素GalNAcTをコードするDNAは、本開示に鑑みて、化学合成により、適当な 細胞もしくは細胞系統培養物からのmRNAの逆転写物をスクリーニングすること により、適当な細胞からのゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより 、あるいはこれらの手法の組合せによって得ることができる。mRNAまたはゲノ ムDNAのスクリーニングは、本明細書に記載するGalNAcT遺伝子配列情報から生 成したオリゴヌクレオチド・プローブで行うことができる。プローブは、公知の 手法に従い、蛍光基、放射性原子、または化学発光性基のごとき検出可能な基で 標識して、従来のハイブリダイゼーションアッセイに使用することができる。 別法として、GalNAcT遺伝子配列は、本明細書に記載するGalNAcT遺伝子配列か ら生成されるPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖 反応(PCR)法の使用によって得ることができる。Mullisらに対する米国特許第 4,683,195号およびMullisに対する米国特許第4,683,202号を参照されたし。 GalNAcT酵素は、GalNAcT酵素をコードするDNAを含むベクターで形質転換し た宿主細胞中で合成することができる。ベクターとは複製性のDNA構築物である 。本明細書中においては、ベクターを用いてGalNAcT酵素をコードするDNAを増 幅するか、および/または、GalNAcT酵素をコードするDNAを発現させる。発現 ベクターとは、GalNAcT酵素をコードするDNA配列が適当な宿主のGalNAcT酵 素の発現に作用できる適当な制御配列に作動可能に連結された複製性のDNA構築 物である。かかる制御配列に対する要望は、選択する宿主および選択する形質転 換法に依存して変動するであろう。一般的に、制御配列には、転写プロモーター 、転写を制御する任意のオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合部位を コードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が包含される。 増幅ベクターは発現制御ドメインを要しない。要される全てとは、通常は複製の 起源によって付与される宿主中で複製する能力、および形質転換体の認識を容易 にする選抜遺伝子である。 本発明を実施するのに有用なベクターには、プラスミド、ウイルス(ファージ を包含する)、レトロウイルス、および組込み可能なDNAフラグメント(すなわち 、相同性組換えによって宿主ゲノムに組込まれ得るフラグメント)が包含される 。有用なベクターの一例はバキュロウイルス発現ベクターである。該ベクターは 宿主ゲノムで独立して複製し機能し、あるいは、幾つかの例においては、ゲノム 自体に組込まれ得る。適当なベクターは、目的の発現宿主と和合性の種由来の複 製開始点および制御配列を含むであろう。形質転換宿主細胞とは、組換えDNA技 術を用いて構築したGalNAcT酵素で形質転換したか、またはトランスフェクトし た細胞である。形質転換した宿主細胞は、通常、GalNAcT酵素を発現するが、Ga lNAcT酵素DNAをクローン化または増幅する目的で形質転換した宿主細胞はGalNA cT酵素を発現している必要はない。発現させる場合には、GalNAcT酵素は典型 的に宿主細胞膜に位置するであろう。 DNA領域が互いに機能的に関連する場合には、それは作動可能に連結される。 例えば、プロモーターは、それが該コード配列の転写を制御する場合にはその配 列に作動可能に連結される。リボソーム結合部位は、それが翻訳を許容するよう に位置する場合には、コード配列に作動可能に連結される。一般的に、「作動可 能に連結する」とは、隣接し、かつ、リーダー配列の場合には、同一の翻訳読み 枠で隣接することを意味する。 多細胞生物由来の細胞の培養物は、組換えGalNAcT酵素合成に望ましい宿主で ある。原則的には、脊椎動物または無脊椎動物培養物を問わず、いずれの高等 真核生物細胞培養物も作動可能である。しかしながら、哺乳動物および昆虫細胞 が好ましい。細胞培養におけるかかる細胞の増殖はルーチンの手法となってきて いる。有用な細胞系統の例はVEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵母 細胞(CHO)系統、ならびにWI138、BHK、COS-7、CV、MDBKおよびSf9細胞系統 である。かかる細胞の発現ベクターには、通常、(要すれば)複製開始点、リボソ ーム結合部位と一緒の、発現すべき遺伝子から上流に位置するプロモーター、RN Aスプライシング部位(イントロンを含むゲノムDNAを用いる場合)、ポリアデニル 化部位、ならびに転写終結配列が含まれる。 脊椎動物細胞を形質転換するのに用いるべき発現ベクター中の転写および翻訳 制御配列は、しばしばウイルス源によって供される。例えば、一般的に用いられ るプロモーターはポリオーマ、2型アデノウイルス、およびSV40由来である。 SV40の初期および後期プロモーターは、双方ともSV40ウイルス複製開始点も含有 するフラグメントとして該ウイルスから容易に得られるため有用である。さらに 、GalNAcT酵素プロモーター、制御および/またはシグナル配列も用いることが できるが、但し、かかる制御配列は選択する宿主細胞と和合性である。 複製開始点は、SV40または他のウイルス源由来とすることができるごとき外来 の開始点を含むようにベクターを構築することによってか、または宿主細胞染色 体複製機構によってかのいずれかで供することができる。ベクターが宿主細胞染 色体に組込まれる場合には、後者で充分である。 本発明によりクローン化遺伝子から作製したGalNAcT酵素は、種々のヘルスケ アおよび産業的適用用のオリゴ糖を含有する新規な化合物を設計するのに用いる ことができる。例えば、宿主細胞を本発明のベクターで形質転換し、その宿主細 胞中でGalNAcT酵素を発現させ、細胞を消化させ、消化した細胞から酵素を単離 することができる。ついで、該酵素をイン・ビトロで用いて、ヌクレオチド糖UD P-N-アセチルガラクトサミンから蛋白質アクセプターのセリンまたはスレオニ ン残基へのN-アセチルガラクトサミン残基の転移のO-結合オリゴ糖生合成の初 期反応を開始することができる。 本発明のクローン化遺伝子およびベクターは、通常はGalNAcT酵素を発現し ておらず形質転換後にこの酵素を発現する細胞を形質転換させるための分子生物 学において有用である。かかる細胞は酵素を産生させるための中間体として有用 である。かかる細胞はO-結合オリゴ糖の蛋白質アクセプターへのイン・ビボ生 合成にも有用である。 牛乳(および初乳)には、非常に高いグルコシルトランスフェラーゼ活性が含ま れる(例えば、Prieelsらによる1975;Paulsonらによる1977;Bushwayらによる19 79;Parodiらによる1984)。以前の研究により、ウシ初乳にはN-アセチルガラク トサミニルトランスフェラーゼ(GalNAcT)の可溶形態であるようなものが含まれ ることが示されている(ElhammerおよびKornfeldによる1986)が、N-末端配列決 定に充分な量のGalNAcTを精製するための手法は記載されていない。以下の手法 は、ウシ初乳からのGalNAcTの精製を記載する。充分な試料を採取した後に、該 酵素のアミノ酸配列をN-末端配列決定によって決定した。ついで、この情報を 用いて、昆虫細胞系統S f9における発現の際に完全に活性な酵素の合成を生じ る完全長(膜結合)トランスフェラーゼをコードするcDNAクローンを単離した。つ いで、該酵素のアクセプター特異性を、16の異なる蛋白質における公知のグリコ シル化部位を囲むアミノ酸の半定量分析を用いて決定し、つづいて合成ペプチド のイン・ビトロにおけるグリコシル化研究を行った。この研究により、グリコシ ル化ペプチドセグメント中である種のアミノ酸残基が重複していること、ならび にグリコシル化セリンおよびスレオニン残基を囲む特異的位置の残基が他のアミ ノ酸基よりもアクセプター効率に対してより顕著な影響を有し得ることが示され た。 以下の実施例は本発明の特異的な具体例、およびその種々の使用の説明である 。それは説明目的のみで記載されており、本発明を限定するものではない。材料 実施例においては以下の材料を用いる。[α-32P]dATP(300Ci/mmol)、UDP-[1-3 H]N-アセチルガラクトサミン(8.3Ci/mmol)およびNa[125I](15.2mCi/μg )はAmersham社から購入した。[α-33P]dATPはNEN/Dupont社から、35S-メチオ ニン(トランス S-35標識、1mCi/ml)はICN社から購入し、ウシ初乳はあ る地方の農家から得た。UDP-N-アセチルガラクトサミン、UDP、PMSF、チモスタ チン、ロイペプチン、アンチパイン、ペプスタチン、アプロチニン、ウシ顎下腺 ムチン、ノニデットP-40(P−40)、トリトンX-100、タウロデオキシコラート、 セファデックス(Sephadex)G-100 スーパーファイン(Superfine)、ウサギ抗-ニワ トリIgG抗体、ATP、ミエリン塩基性蛋白質、スブチリシン、ロダネーゼおよびチ トクロームC(Heinrikson,R.L.による1973によって記載されているのと同様に して還元およびカルボキシメチル化した)はSigma社から購入した。DEAE-セファ セル(Sephacel)、セファロース(Sepharose)6Bおよびプロテイン A-セファロー スはPharmacia社から購入した。IODOGENはPierce社から購入した。ペプチドN- グリコシダーゼFはOxford Glycosystems社から購入した。Geneampキット(PC R用)はPerkin Elmer/Cetus社から購入した。λgt10ベクター中にクローン 化されたウシ小腸cDNAライブラリーはClontech社(カタログ番号BL1010a)から 購入した。TAクローニングベクターpCR1000はInvitrogen社から購入した。Seque naseバージョン2.0はU.S.Biochemical Corp 社から購入した。baculoGold トランスフェクションキットはPharMingen社から購入した。1ccBond Elut C18カラムはVarian社から購入した。無血清Grace昆虫培地、Insect Expressは BioWhitaker社から購入した。ベクターpVt-BacはBiotechnology Research Insti tute,National Research Council of CanadaのThierry Vernet博士から寄贈 頂いた。Patella vulgataのα-N-アセチルガラクトサミニダーゼはV-Labs,In c.社から購入した。制限酵素および他の全ての試薬は標準的な供給源から購入 した。 加えて、以下の緩衝液を用いた。緩衝液A:25mM イミダゾール、pH7.2、 6mM MnCl2、30mM NaCl;緩衝液B:25mM イミダゾール、pH7.2、1M N aCl、1%トリトンX−100、20mM EDTA;緩衝液C:25mM イミダゾール、 pH7.2、30mM MnCl2、20mM NaCl;緩衝液D:25mM イミダゾール、p H7.2、0.5M NaCl、20mM EDTA;緩衝液E:25mM イミダゾール、pH7.2 、10mM MnCl2、20%グリセリン;緩衝液F:25mM イミダゾール、pH7.2 、30m M MnCl2、100mM NaCl;緩衝液G:25mM イミダゾール、pH7.2、80mM N aCl、0.1%タウロデオキシコラート、10%グリセリン;緩衝液H:25mM イミ ダゾール、pH7.2、100mM NaCl、0.1%トリトンX-100、10%グリセリン。実施例1-ウシ初乳からのN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼの単 トランスフェラーゼの精製における第1の4工程は、アフィニティーカラムに 負荷する試料を用いる初乳中の明らかに高いピロホスファターゼ活性を補償する ために(報告した緩衝液、塩およびUDP濃度に加えて)1mM ATPに調整する以外 は、ElhammerおよびKornfeld(1986)(出典明示して本明細書の一部とみなす)によ って記載されている方法と同一である。平衡、負荷、洗浄および溶出緩衝液容量 は、用いるより大容量カラム用に(スケールアップ)調整した。精製法の全ての工 程は+4℃で行い、酵素活性は精製全体を通して以下の標準アッセイでアッセイ した。 精製の間のUDP-GalNAc:ポリペプチド、N-アセチルガラクトサミニルトラン スフェラーゼ活性の標準アッセイには、80μlの最終容量で以下の成分が含まれ ていた:50mM イミダゾール、pH7.2、10mM MnCl2、0.5%トリトンX-10 0、15μM UDP-GalNAc、UDP[1-3H-]GalNAc(27,000cpm/アッセイ)、0.15mg /mlアポムチンおよび種々の量の酵素(個々の実験を参照されたし)。反応混合 物を37℃にて5-10分間(個々の実験を参照されたし)インキュベートし、反応産物 をTCA沈殿し、放射能を前記のごとく測定した。Spodoptera frugiperda細胞系 統9(本明細書では以後Sf9細胞という)からの消化物中の活性のアッセイは、Tho msenらによる(1990)によって記載されているのと同様に行った。工程1: 脂質球および粒子の分離 ある地方の農家から得た粗製冷凍初乳を解凍し、15,000gにて30分間遠心分 離した。得られた黄色がかった脂質層を除去し破棄した。ついで、2回緩衝液を 取替えつつ、初乳を20容量の緩衝液Aに対して16時間透析した。透析物質を100, 000gにて60分間遠心分離した。上層の脂質層を除去して破棄し、清涼な上清を 注意深く回収した。底にあるペレットおよびフワフワした層を破棄した。工程2: DEAE- セファセル・クロマトグラフィー 100,000g遠心分離から得た上清を、緩衝液A中で平衡化したDEAE-セファセ ルカラムに直接負荷した。最適な結果には、このカラムのベッド容量を負荷する 100,000g上清の量にほぼ等しくしなければならない(または、〜750ml/L粗 製初乳)。溶出(run-through)画分をGalNAcTについてアッセイし、活性を有する 画分を採取し保存した。典型的には、90%を超える適用活性が、カラムを通した 後に回収された。工程3: アポムチン・アフィニティークロマトグラフィーI アフィニティークロマトグラフィー工程は、〜60mlのベッド容量を有するア ポムチン-セファロースカラム上で行った。アポムチン(脱グリコシル化ムチン) は、僅かに変形したHagopianおよびEylarの方法によってウシ顎下腺ムチンから 調製した。アポロムチン調製物の炭水化物含量は、Reinholdの方法によって決 定した。CNBr-活性化セファロースは、Cautrecasasによって実質的に記載されて いるSepharose6Bから調製した。アポムチンは、0.1M炭酸ナトリウム緩衝液 pH9.2中の活性化セファロースに4℃にて一晩カップリングした。反応間の 蛋白質濃度は2.5mg/mlであった。つづく全ての工程を「Affinity Chromat ography,Principles and Methods」pp15-18、Pharmacia Fine Chemicals,Pisca taway,NJ(1979)と同様に行った。カップリング効率はほぼ100%であり、最終的 なアポムチン-セファロースには、〜5mgの結合アポムチン/ml沈降ゲルを含 んでいた。 カラムは負荷の間には〜30cmH2Oの圧力の、洗浄、溶出および再生の間には 〜60cmH2Oの圧力の重力によって流した。負荷する前に、カラムは、緩衝液B4 00ml(再生緩衝液)につづいて緩衝液C 500mlおよび0.25mM UDPを含有 する緩衝液C 150mlで洗浄した。カラムを負荷する前に、試料(〜200U酵素 活性/第1のアフィニティー工程における50mlカラム)にMnCl2およびUDPを各 々最終濃度30mMおよび1.25mM補充した。そのカラムを、0.25mM UDPを含 有する緩衝液Cの4カラム容量で洗浄し、6つの40ml画分を採取した。 ついで、そのカラムを緩衝液Dで溶出した。これらのカラムの特異的な溶出パタ ーンに起因して、溶出液は以下のようにルーチンで採取した:画分1および2: 各25ml、通常は全くまたはほとんど活性を含まない;画分3および4:各50m l、大部分の活性を含む;画分3および4:各50ml、大部分の活性を含む;画 分5〜7:各25ml、幾つかの場合においてはより小さな量の活性を含む。個々 の画分を溶出直後に緩衝液E 4l(2回取替え)に対して透析し、酵素活性につ いてアッセイした。典型的には、つづく精製には画分3および4を用いた。工程4: アポムチン・アフィニティークロマトグラフィーII この工程においては、前のものと同様にして同一タイプのカラムを用いた。負 荷する前に、カラムを最初に緩衝液B 400mlで洗浄し、つづいて緩衝液F 5 00mlおよび0.25mM UDPを含有する緩衝液F 150mlで洗浄した。カラム を泳動前に、工程3からの透析した画分3および4に、1M MnCl2、4M NaClおよびUDPを補充して各々、最終濃度30mM、100mMおよび1.25 mMを達成した。1回の泳動当たりほぼ600U酵素活性をこの工程の間に負荷 することができた。試料を負荷した後に、カラムを2カラム容量の緩衝液F、つ づいて0.5M NaClを含有する2カラム容量の緩衝液F、最後に1M N aClを含有する2カラム容量の緩衝液Fで洗浄した。全ての洗浄緩衝液は、0 .25mM UDPを含有する。洗浄液は40ml画分に採取した。ついで、100mM NaClのみを含有する緩衝液Dを用いる以外は工程3と同様にして溶出を行っ た。溶出した画分を工程3に記載したのと同様にして透析し、トランスフェラー ゼ活性についてアッセイした。工程5: セファデックスG-100スーパーファイン上のゲル濾過クロマトグラフ ィー 3回工程4を行った透析画分を保存し、1/50容量の5%タウロデオキシコ ラートを添加し、40psi圧下のAmiconYM-10フィルター上で2.5mlまで材料 を濃縮した。この材料の半分、1.25mlを300mM NaClを有する緩衝液G 中に平衡化したセファデックスG-100スーパーラインカラム(20-50μmビーズサ イズ;1.5×100cm)上に負荷した。そのカラムをほぼ2.3ml/時 間の流速となる30cmH2Oの圧力で流し、画分(合計100)を40分間隔に 採取し、活性についてアッセイした。活性ピークを含む画分を保存し、さらなる 洗浄剤を添加しない以外は前記と同様にして濃縮した。トランスフェラーゼの分 子量を決定するための分析ゲル濾過は、より小さいカラム(0.9×100cm)を用 い、1.06ml画分を採取する以外は同一の方法を用いて行った。前記の条件を 用いたこの工程からの回収率は、典型的には、80-90%の範囲であった。 精製GalNAcT調製物には、ほぼ70kDaの分子量を有し、銀染色で検出可能な1 種のポリペプチドしか含まれていなかった(図1A)。精製した調製物の一部分を125 Iでイン・ビトロ標識し、ペプチドN-グリコシダーゼFで消化する前後にSD S-PAGE上で分離した。図1Bは、この処理が蛋白質の見かけの分子量でほぼ6k Daのシフトを生じることを示す。実施例2-精製分子のN-末端配列決定 精製ウシ初乳GalNAcTのN-末端配列決定は、フェニルチオヒダントイン用の オンラインHPLC分析器(Model 120-A)を備え付けたApplied Biosystems S equencer(Model 470)の自動エドマン分解によって行った。後者の定量は、HPLC 系からの出力に対するレコーダーと平行して連結したNelson Analytical Turbo chromクロマトグラフィーデータ系によって得た。その34アミノ酸配列を図2A に示す(配列番号:1)。実施例3-ウシGalNAc-トランスフェラーゼをコードするcDNAクローンの単離およ び特徴付け オリゴヌクレオチドプライマーは、Applied Biosystems DNA Synthesizer mod el 350Bを用いて精製ウシ初乳酵素の部分N-末端アミノ酸配列に基いて合成し た。ポリメラーゼ連鎖反応(本明細書中においては以後PCRという)で用いたプ ライマーおよびプローブのオリゴヌクレオチド(オリゴA-E)(各々、配列番号: 2−6)配列、ならびにサザンブロット分析におけるプローブの配列を、GalNAc Tアミノ酸配列の下側に図2Aに示す。オリゴヌクレオチドA、BおよびCの同 義性 は、各々、512、64および64であった。PCRは、50mM KCl、10m M トリス-HCl、pH8.3、1.5mM MgCl2、0.2mMの各dNTP、 1μMの各オリゴヌクレオチド、いずれかのウシ初乳cDNAライブラリー5μlま たはプラスミドもしくはλ DNA 10ng、および2.5単位のTaqポリメラーゼを 含有する0.1ml溶液中で行った。その反応物を鉱油0.1mlで被覆し、温度工 程サイクルに付した。分解オリゴヌクレオチドを用いる場合には、工程は94℃( 1分間)、37℃(2分間)、72℃(3分間)を合計35サイクルであった。非分解オ リゴヌクレオチドについては、該工程は94℃(1分間)、55℃(2分間)、72℃(3分 間)を合計25サイクルであった。標準的なDNA操作は、Sambrook,J.,Fritsch ,E.F.,およびManiatis,T.による「Molecular Cloning」(1989)に記載さ れているのと同様に行った。 GalNAcT遺伝子をコードするcDNAは、以下のアプローチを用いてクローン化し た。オリゴヌクレオチドA(配列番号:2)およびC(配列番号:4)をPCR反応 における逆向きプライマーとして用いた。λgt10ベクター中にクローン化したウ シ小腸cDNAライブラリーを反応の鋳型として用いた。アミノ酸配列に基いて、増 幅PCR産物の予想サイズは93bpであった。PCR反応の産物を、プローブとし てオリゴヌクレオチドB(配列番号:3)を用いたサザンブロット分析によって分 析した。PCR反応によって膨大な数のエチジウムブロマイド染色バンドが得ら れたが、ほぼ90bpを有する単一のバンドしかプローブにハイブリダイズしなかっ た。このフラグメントをゲル精製し、TAクローニングベクターpCR1000にクロ ーン化して、プラスミドpCR1000-93Iを得た。pCR1000-93IインサートのDNA配 列(図3)の決定によって、予想アミノ酸配列が精製トランスフェラーゼのN-末 端配列(配列番号:1)中のアミノ酸4-34に完全に合致することが明らかとなった (図2Aと比較されたし)。 ウシλgt10ライブラリーからのGalNAcT遺伝子をPCR増幅し、クローン化す る試行において、オリゴヌクレオチド・プライマーD-G(各々、配列番号:5-8) (図2AおよびB)を合成した。オリゴヌクレオチドD(配列番号:5)およびE( 配列番号:6)はpCR1000-93Iインサートの配列由来のものであり、F(配列番 号:7)およびG(配列番号:8)はλgt10のEcoRIクローニングサイトのいずれか の側を直接挟むプライマーである(図2B)。PCR反応は、プライマーとしてオ リゴヌクレオチドD+FまたはD+Gを用いて、鋳型としてウシcDNAライブラリ ーを用いて行った。得られたPCR産物を、プローブとしてオリゴヌクレオチド E(配列番号:6)を用いたサザンブロット分析によって分析した。 D+Fプライマーを用いた場合のPCR反応にはハイブリダイゼーションバン ドは全く認められなかったが、D+G組合わせではほぼ600bpの単一のハイブ リダイズしたフラグメントが得られた。このフラグメントをゲル精製し、TAク ローニングベクターにクローン化してpCR1000-600を得、このインサートの配列 を決定した(図3)。621bpインサートには、精製蛋白質のアミノ酸12-34に完全合 致するオープンリーディングフレームの最初の23アミノ酸を有する207アミノ酸 オープンリーディングフレームが含まれていた(図2A)(配列番号:1)。 621bpフラグメントがGalNAcT遺伝子の一部分を含むと想定して、このフラグ メントをニックトランスレーション(Goldinらによる1981)によって[α-32P]dAT Pで標識し、ウシcDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして 用いた。cDNAライブラリー(2.5×106の独立クローンを含有する)を、前記の 標識DNAフラグメントをプローブとして用いたプラークハイブリダイゼーション によってスクリーニングした。7個の陽性プラークを一次スクリーニングから得 、各単離物を3回プラーク精製した。7個のうちの5個が600bp以下のインサー トを含むことが判明したが、2個の残りの単離物はほぼ1600および2300bpのイン サートを含むことが判明した。この2個のより大きなインサートをPCR増幅し 、(オリゴヌクレオチドFおよびGをプライマーとして用いて)TAクローニング ベクターにクローン化して、pCR1000-52A(1600bpインサート)およびpCR1000-91 B(2300bpインサート)を得た。λインサートのサイズを、EcoRIを用いた制限 分解後の1%アガロースゲル上、またはオリゴヌクレオチドFおよびGをプライ マーとして用いたPCRによって分析した。実施例4-PCRインサートのDNA配列分析および予想アミノ酸配列 pCR1000-93I、pCR1000-600、pCR1000-91B(2294bp)およびpCR1000-52A(1582 bp)中のインサートを、[α-32P]dATPと共にSequenaseバージョン2.0を用いた ジデオキシ鎖終止法(Sangerらによる1977)によって配列決定した。二本鎖DNA配 列決定(Ausubelらによる1987)は、cDNAインサートの配列に従って合成した20-重 体オリゴヌクレオチドプライマーで行った。配列決定ストラテジーを図2Cに示 す。配列分析は、University of Wisconsin Genetics Computer Group(Devereux らによる1984)のSequence Analysisソフトウエア・パッケージを用いて行った 。 図3に見られるごとく、91Bクローンから得た配列の第1のATGコドンはヌ クレオチド53に存在した。ATGからの翻訳配列は、精製ウシGalNAcT蛋白質( 図1A)についてのMrとよく合致する予想Mr=64,173を有する559アミノ酸のポ リペプチド(配列番号:9)と予想された。52Aクローンの配列は、それが、より 大きな91Bクローンのヌクレオチド162で開始し、ヌクレオチド1744で終止する このクローンの配列中の91Bクローンの頭切バージョンであることが示された。 52Aインサートは、91Bクローン中に見出されたほぼ全てのオープンリーディ ングフレーム配列(最初の37アミノ酸についてのコドンを欠失している)をカバー していた。52Aクローンのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド358がAの代りに5 2AクローンにおいてはGである以外は、91Bクローンと同一であった。この 塩基変化は、その位置のアルギニンを変化させないようなコドン102のゆらぎ位 置(wobble position)内であった(AGからAG)。91Bクローンの3’-非 翻訳領域は562塩基長であり、共通ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2176-2 182)およびクローンの末端の25A残基の飛跡(track)を含み、このことは91B クローンがGalNAcT mRNA(配列番号:10)の3’末端配列を全て含んでいること を示している。 クローン化分子のヌクレオチドおよび予想アミノ酸配列とGenBankデータベー スおよびSwissprot protein sequenceデータベースとの比較により、有意な同 様性は何ら得られなかった。予想アミノ酸配列の考察によって、クローン化分子 が他のクローン化グリコシルトランスフェラーゼ(PaulsonおよびColleyによ る1989)と同一の一般ドメイン構造を有するII型膜蛋白質の特徴を有すること が示された。また、同様性は他のグリコシルトランスフェラーゼならびに他の以 前に報告された配列と意味のない配列の相同性であった。その分子のKyte-Dooli ttleハイドロパシー分析(KyteおよびDoolittleによる1982)は、残基番号9と28 との間の予想貫膜ドメイン(図4A)を生じ;二次元構造分析はその分子のこのド メインがα-ヘリカル立体構造を有することを示唆した(Garnierらによる1978)。 さらに、予想アミノ酸配列は3つのN-結合グリコシル化部位、番号95、141およ び552のアスパラギン;ならびに4つのO-結合グリコシル化予想(Elhammer らに よる1993)部位、119のセリンならびに117、118および288のスレオニン(図4B) を含んでいた。実施例5-RNA単離およびノザン・ハイブリダイゼーション Madin-Darbyウシ腎臓細胞(本明細書中では、以後MDBK細胞という)、ウシ 乳房組織および種々のヒト組織からのGalNAcT mRNAの発現を、pCR1000-600の6 00bpインサートをハイブリダイゼーション・プローブとして用いたノザンブロッ ト分析によって分析した。全RNAおよびポリA+RNAは、製造業者の方法に従ってI nvitrogen Frastrackキットを用いてウシ乳房組織およびMDBKから調製した 。ポリA+RNA2μgをグリコシル化によって変性させ、ノザンブロット分析を以 前に記載されているのと同様にして行った(Homaらによる1986)。Human multiple tissue Northern blot(Clontech社製(カタログ番号7760-1))を、50%ホルムア ミド、5×SSC、1×デンハート溶液、1%SDS、変性サケ試験DNA 1ml当たり10 0μg中、42℃にて2時間予めハイブリダイズさせ、ついで32P-標識したpCR100 0-600から単離した600bpインサートと共に42℃にて一晩ハイブリダイズさせた 。フィルターを0.1×SSC、0.1%SDS中、55℃にて15分間、3回洗浄し た。図5に示すごとく、少なくとも2個の異なるサイズのGalNAcT mRNAが全て の試料から検出された。ウシ・メッセージのサイズはほぼ4.1および3.2kbで あったが、全てのヒト組織は4.8および3.9kbのメッセージを発現した。加えて、 ほぼ1.5kbの第3のmRNAが骨格筋試料中に検出 された。実施例6-Sf9細胞におけるpCR1000-91Bインサートの発現 予想GalNAcTコード領域、pCR1000-91BをSstIIおよびHindIII(双方の酵素と もにインサートを挟むpCR1000配列中のみを切断する;図2C)で消化し、それを バキュロウイルス発現ベクター中にクローン化できるようにT4 DNAポリメラー ゼを用いてこれらのサイトを平滑化した。ついで、BamHIリンカーを平滑化した 末端に連結し、得られた試料をバキュロウイルス発現ベクターpAC373(Summersお よびSmithによる1986)のBamHIサイトに連結した。得られた単離物をバキュロウ イルス多面体プロモーターに対してGalNAcTオープンリーディングフレームの適 当な向きについてスクリーニングしてpAC373-GalNAcTを得た。pAC373-GalNAcT およびPharMingen社製BaculoGoldトランスフェクションキットからの線状化バキ ュロウイルスDNAを用いたSf9細胞の同時感染は、リン酸カルシウム共沈(Summer sおよびSmithによる1986)を用いて行った。PharMingen社製transfection kitで 得たバキュロウイルスDNAには、pAC373ベクター中に含まれる配列との相同性組 換えによって訂正できる致死突然変異が含まれていた。したがって、トランスフ ェクション後には、組換えウイルスのみがSf9細胞で生育する。トランスフェク ションは2回行い、得られたウイルス試料をGalNAcT2-1AおよびGalNAcT2-1B と命名した。細胞を感染48時間後に採取し、洗浄剤含有緩衝液中で消化させた。 非溶解材料を沈殿させた後に、清涼化した溶解物をGalNAcT活性についてアッセ イした。非感染細胞からの、または無関係の遺伝子、CMV-POL(ヒト・サイトメガ ロウイルスDNAポリメラーゼ遺伝子)、またはGalNAcT遺伝子の2つの分離バキュ ロウイルス単離株、GalNAcT2-1AおよびGalNAcT2-1Bを含有するいずれかのバ キュロウイルスで感染した細胞からの溶解物をアッセイした。 Sf9細胞におけるこの構築物の発現は、細胞内GalNAcT活性における(無関係 な蛋白質を発現する細胞、または非感染細胞と比較して)ほぼ100倍の上昇を引起 した(表1)。アミノ酸配列から予想されたものと同様な分子量を有する蛋白質 (群)におけるこの顕著な上昇は、この結論をさらに支持している(図6)。トラン スフェラーゼ活性の上昇(ほぼ4倍)は、感染細胞からの培養培地においても検出 された。いずれの特別の理論に結合することを望むことなく、本発明者らは、こ のことが、死滅細胞または死んでいる細胞から漏れ出た分子の無傷または蛋白質 加水分解フラグメント(群)を表し;培地中の合計活性は細胞中の全活性の4%を 決して超えることがないようであると考えた。実施例7-GalNAc-トランスフェラーゼの免疫沈降およびSDS-PAGE分析 バキュロウイルス発現蛋白質を免疫沈降およびSDS-PAGE分析によって さらに調べた。バキュロウイルス感染細胞を[35S]メチオニンで感染24〜4 8時間後に標識した。精製ウシ初乳酵素に対して生起したニワトリポリクローナ ル抗体を用いて、GalNAcTを標識細胞の溶解物および培養培地から免疫沈降させ た。ニワトリを100μg精製酵素で腋羽に、(フロイント完全アジュバントと共に )筋肉内に注射した。1ヶ月後にニワトリを別の抗原50μgで皮下的に(フロイン ト不完全アジュバントと共に)追加免疫し;第2の追加免疫、酵素50μg腋羽、 筋肉内をさらに21日後に投与した。試験採血は各追加免疫の2週間後に行った。 第2の試験採血後(分析物が抗GalNAcT抗体を含むことが判明した際には)に鶏卵 を毎日採取し、抗体の供給源として用いた。IgGはJenseniusらによる1981によっ て記載されているのと同様にして卵黄から単離した。 イン・ビボ35S-メチオニン標識酵素の免疫沈降は、粗製細胞溶解物から行っ た。通常メチオニン濃度の1/10を含有する培地中で50μCi/ml35S-メチオニ ンを用いて、感染細胞を感染24〜48時間後に標識した。ほぼ1.5×106の標識 した感染細胞を、0.5%トリトンX-100、0.5%タウロデオキシコラート、0.0 5%SDS、0.1TIU/mlアプロチニンならびに各10μg/mlのロイペプチン、 アンチパイン、キモスタチン、およびペプスタチンを含有するPBS670μl中に 溶解した。氷上で>2時間インキュベートした後に、いずれの不溶性夾雑物も10 ,000×gにて20分間沈殿させ、その上清を採取した。免疫沈降は、ニワトリ 抗GalNAcT抗体4μl(ほぼニワトリIgG20μg)を添加することによって行っ た;卵黄からの精製IgGを全ての免疫沈降実験に用いた。4℃にて一晩インキュベ ートした後に、ウサギ抗-ニワトリIgG抗体でコートしたプロテインAセファロー ス22μl(沈殿ゲルの容量)に一晩吸着させることによって抗原-抗体複合体を単 離した。コートしたプロテインA-セファロースは、PBS1ml中にて、沈降 プロテインA-セファロース330μlをウサギ抗-ニワトリIgG抗体2.3mg(アフィ ニティー精製したIgG画分)と共に一晩インキュベートし;そのコートしたプロテ インA-セファロースを、0.5%トリトンX-100、0.5%タウロデオキシコラー ト、0.05%SDSを含有するPBS1mlで3回洗浄した。抗原を吸着させた後に 、Dunphyらによる(1985)によって記載されているのと実質的に同様にして、遠心 分離によって免疫吸着剤を沈降させ、多分に洗浄した。その洗浄した抗原-抗体- 免疫吸着剤複合体をSDS-PAGE試料緩衝液(Laemmliによる1970)50μl中に懸濁し、 煮沸水浴上で5分間加熱して結合抗原を遊離させた。プロテインA-セファロー スの沈降後に、抗原を含有する上清を吸引して、SDS-PAGE上に負荷した。SDS-PA GEおよび乾燥ゲルのフルオログラフィーは以前に記載されているのと同様にして 行った(Davisらによる1986)(図6)。 SDS-PAGE上の沈殿物質の分離からの結果を図6に示す。ほぼ67および63.5kDa の分子量を有する2種の隣接して離れた蛋白質が、GalNAcT遺伝子を含有するウ イルスで感染した細胞からの溶解物および培地の両方で検出された(図6)。この ことは、クローン化蛋白質について予想された分子量に近く、また精製ウシ初乳 酵素の分子量にも匹敵した(図1)。内因的に発現した酵素はこの実験においては 僅かしか検出されなかったが、同様の分子量を有するようであり(図6、5およ び6列);ゲルのりん光スクリーン・オートラジオグラフィーは、内因性の酵素 と比較してほぼ75倍高い放射能がクローン化酵素中に取込まれていることを示し た(データは示さず)。さらなるより低分子量のバンドがゲル上に認められ、同一 バンドが対照試料においても認められることからこれは恐らく非特異的に沈殿し た物質を表す(図6、5および6列)。 単離されたより大きなクローンについて予想されたアミノ酸配列[配列番号: 9]は、ウシ初乳GalNAcTの水溶解性に対してもっともらしい説明を供する。 この酵素は、細胞質および膜に拡がる両方のドメインを含むセグメントである、 膜結合分子のN-末端の40アミノ酸を明らかに欠失していた。クローン化酵素か らのKyte-Doolittleハイドロパシープロットは、膜に拡がる高い確率を有する残 基番号9〜28の1個の配列セグメントしか示さなかった(図4A)。現在のところ 、可溶性ウシ初乳酵素が膜結合分子の蛋白質加水分解切断の結果物であるのか、 またはそれが真実の(bona fide)分泌蛋白質を表すのかは明らかとなっていない 。β1-4ガラクトシルトランスフェラーゼおよびα2-6シアリルトランスフェラー ゼの可溶性の、酵素活性形態が報告されており、その両方は膜結合蛋白質の蛋白 質加水分解切断の結果物のであることが明らかになっている(PaulsonおよびColl eyによる1989およびそこに引用されている参考文献)。加えて、これらの両方の 分子に関連する種々のmRNA種からの翻訳産物は、大部分の組織において膜結合分 子であることが明らかになっている(Joziasseによる1992)。類似性によって、本 発明者らのノーザンブロッティング実験(図5)において認められた2種のmRNAは 両方とも膜結合酵素をコードしており、したがって、可溶性ウシ初乳酵素(再度 、β1-4ガラクトシルトランスフェラーゼおよびα2-6シアルトランスフェラーゼ との類似性において)は膜結合酵素の蛋白質加水分解フラグメントを表している に違いないようである。その一方で、ラット腎臓α2-6シアリルトランスフェラ ーゼについて合成した種々の転写物に対して報告された実験は、これらの分子の 幾つかが、翻訳された場合に細胞質および膜貫入ドメインを有していない蛋白質 を生成するであろう開始コドンを含むことを示唆している(Svensonらによる1990 ;Wangらによる1990;Wenらによる1992)。明らかに、この疑問点に積極的な答え を出すためにはさらなる実験を要する。 (クローン化DNAと比較して)2種のGalNAcTメッセージのより大きなサイズは、 恐らく、天然分子の5'および/または3'末端における、単離クローンで回収され たものよりもより大きな非翻訳配列に関連する。以前に特徴付けされたクローン 化グリコシルトランスフェラーゼからのメッセンジャーRNA分子には、しばしば 、広範な5'および3'非翻訳配列が含まれる(例えば、Weinsteinらによる1987;La rsenらによる1989;Russoらによる1990;Scoccaらによる1990;Sarkarら による1991;Nagataらによる1992)。少なくとも4種のグルコシルトランスフェ ラーゼについての1を超えるmRNA種の先例も存在し;これらの酵素をコードする 遺伝子は1を超えるプロモーターの制御下にあるようである(Joziasseによる199 2を再検討されたし)。さらに、GalNAcTがフィブロネクチン上の特定の胎児腫瘍 性エピトープの合成を触媒することも記載されている(Matsuuraらによる1988;M atsuuraらによる1989)。この知見は1を超える酵素の形態が存在することと一致 する。 Sf9細胞におけるクローン化配列の発現は細胞内トランスフェラーゼ活性に おける大きな上昇を起こし、かくして、GalNAcのSer/Thrへのトランスフェラー ゼ活性を有するクローン化配列の同定が確立された。アミノ酸配列から予想され た分子量と同様な分子量を有する蛋白質(群)における顕著な上昇は、この結論を さらに支持する(図6)。この実験で免疫沈降した蛋白質(群)のより肉薄した検査 により、ほぼ3.5kDaの分子量における差を有する2種の隣接して位置するポリ ペプチドバンドが明らかになった。これらの2種の蛋白質の正確な同定は現在の ところ知られていないが;それらは、酵素の異なる糖形態を表し、または恐らく は小さい方の分子量形はウシ初乳から精製した酵素と同様な蛋白質加水分解フラ グメントであろう。後者の可能性は、2つの知見によって支持される:1)2種 の分子間の分子量差がウシ初乳酵素中に欠失している配列(40アミノ酸)の分子量 にほぼ等しいこと、および2)細胞溶解物からの免疫沈降がより大きな分子量形 態の酵素を優勢に含むのに対して、培養培地がより小さな分子量形態に富むよう であること。培養培地を高速遠心分離しても、酵素活性のうちのほぼ30%を超え て沈殿することができなかった(データは示さず)。膜結合ウシ初乳酵素の予想分 子量と比較した(可溶性初乳酵素は貫膜および細胞質ドメインについてほぼ4kDa が加算される)昆虫細胞産生分子のより小さな分子量は、2種の分子のグリコシ ル化における差の結果のようである。 昆虫細胞は、典型的に、切頭した、非-シアル化N-およびO-結合オリゴ糖を 合成し(例えば、HsiehおよびRobbinsによる1984;DomingoおよびThrowbridgeに よる1988;Kurodaらによる1990;Thomsenらによる1990;Wathenらによる1991; ChenおよびBahlによる1991);このことは、SDS-PAGE上における昆虫細胞産生糖 蛋白質の分子量の減少を起こす。ゲル上のほぼ120〜180kDaのより大きな分子量 の同定は明らかでない。本発明者らは、イン・ビボ標識した哺乳動物および昆虫 細胞からの(本発明者らの抗-GalNAc-トランスフェラーゼ抗体による)免疫沈降に おいてこれらのバンドを以前に認めている(Elhammer、未発表知見)。これらは、 非特異的な沈殿物質、本発明者らのポリクローナル抗体によって認識されるエピ トープ(群)を含有する別の蛋白質、または凝集GalNAcTを表しているのかもしれ ない。しかしながら、精製GalNAcTの免疫沈降は1の蛋白質バンドしか含んでい なかったため、後者の確率はより低いようである。(GalNAc-トランスフェラーゼ のバンドは一定のままであるが)これらのバンドの強度および分子量が異なる実 験および細胞タイプの間で変動するという事実は、それらが非特異的に吸着した 汚染物を表すことを示唆している(この実験における1-4と5-6を比較されたし )。実施例8-可溶性GalNAc-トランスフェラーゼ(GalNAcTs)の構築およびSf9細胞 における発現 分泌形態のウシGalNAc-トランスフェラーゼを発現させるために、完全長cDNA の細胞質および膜に拡がるドメインをコードする配列を、ミツバチのメリチン・ シグナルペプチドをコードする配列で置換えた(図12)。構築物の目的とする発 現系がバキュロウイルスSf9細胞であったため、ミツバチ・メリチンシグナル 配列を選択した。昆虫由来のシグナルペプチドを使用すると、Sf9細胞中で発 現させた場合に(外来起源のシグナルペプチドと比較して)組換え分子の分泌の上 昇をしばしば起こした(Tessierらによる1991)。シグナルペプチドの融合部位は 、可溶性初乳酵素のN-末端配列に基いて選択した。 バキュロウイルス多面体プロモーター制御下の完全長GalNAc-トランスフェラ ーゼ遺伝子を含むプラスミドpAC373-GalNAcT(Homaらによる1993)を、150bpの フラグメントを生成するXbaIおよびBglII、ならびに9700bpのベクターフラグ メントを生成するBglIIおよびXhoIで消化した。双方のフラグメントを ゲル精製した。用いたXbaIサイトは、他のグルコシルトランスフェラーゼにお いては「ステム領域(stem region)」と呼ばれているものに対応する分子の部分 中の、可溶性初乳酵素のN-末端から7アミノ酸に位置する(ShaperおよびShaper による1992を再検討されたし)。幾つかのグリコシルトランスフェラーゼの可溶 性形態は、この領域中の蛋白質加水分解切断によって生成した。その結果、それ は触媒活性に重要ではないと考えられる(Joziasseによる1992;ShaperおよびSha perによる1992)。 ミツバチ・メリチンシグナルペプチドのコード配列を含むpVT-BAC(Tess ierらによる1991)をSmaIで消化し、12bpのXbaIリンカーをSmaIサイトに連結 した。ついで、試料をXbaIおよびXhoIで消化し、この消化によって生成した2100 bpフラグメントをゲル精製した。3種のゲル精製フラグメントを同一試験管に添 加し、連結した。得られたプラスミドは、バキュロウイルス多面体プロモーター 制御下のGalNAc-トランスフェラーゼ遺伝子を含み、この中では、最初の47アミ ノ酸(141ヌクレオチド)がミツバチ・メリチンシグナルペプチド+2つのドメイ ンを共に連結する5アミノ酸(15ヌクレオチド)で置換えられている(図13)(配 列番号:18)。ついで、この構築物pAC373-GalNAcT-Melを用いて、BaculoGol dトランスフェクションキット(SummersおよびSmithによる1986;Homaらによる19 93)を用いて分泌形態のGalNAc-トランスフェラーゼ、GalNAcTsを発現する組換 えバキュロウイルスを調製した(配列番号:19)。 GalNAcTsは1リットルのバッチでルーチンに発現させた。1リットルのグレ ース無血清昆虫培地(Insect Express)中のほぼ1×109細胞を、5pfu/細胞のGa lNAcTs-Melで感染させた。その感染細胞を収穫前に65時間、振とうフラスコ中 で培養した。Sf9細胞における構築GalNAcTs-Melの発現は、非感染細胞(表2) 、または無関係な分子(α6-3)を感染させた細胞と比較して、培養培地中のGalNA c-トランスフェラーゼ活性を130倍上昇させた。これは、完全長分子を発現する 細胞の培地において回収された量よりも35倍を超えて大きかった(HomaおよびElh ammer、未公開知見)。しかしながら、可溶性分子の発現から生じる合計酵素活性 の大きな部分(36%)が細胞の内側に保持されており;このこと に関する理由は現在のところ明らかではない。実施例9-GalNAcTsの単離および特徴付け 可溶性分子の精製は、アポムチン-セファロース上のクロマトグラフィーによ って1工程で行った。組換え酵素の精製に用いた手法は、ウシ初乳酵素の精製の 第2のアフィニティークロマトグラフィー工程の変形であった(ElhammerおよびK ornfeldによる1986)。組換え酵素の精製に用いたアフィニティーカラムは記載さ れているのと同様にして調製した(ElhammerおよびKornfeldによる1986)。合計ベ ッド容量はほぼ200mlであり;リガンド密度はほぼ3.5mg/mlゲルであっ た。各分離を行う前に、カラムを緩衝液B 1000mlで洗浄し、緩衝液F 1000 mlにつづいて0.25mM UDPを含有する緩衝液F 420mlで平衡化した。粗製 条件の細胞培養培地を、以下のとおりに1リットルのバッチ中のこのカラム上で 分画した。 最初に、その培地を3回緩衝液を取替えつつ、25mMイミダゾール、pH7.2、 100mM NaCl、30mM MnCl2に対して透析した。12,000×gにて20 分間遠心分離して沈殿した物質を除去した(この工程においては酵素活性は全く 失われなかった)後に、透析した培地にUDPを補充して1.25mMとし、これをア フィニティーカラム上に直接負荷し;カラム溶出液を5つの200ml画分に採取 した。ついで、カラムを緩衝液F 500ml、0.2%トリトンX-100を含有する 緩衝液F 250ml、緩衝液F 250ml、および1.0M NaClを含有する緩 衝液F 250mlで順次洗浄した。全ての洗浄液には0.25mM UDPが含まれ、 洗浄液は250ml画分に採取した。緩衝液D 720mlを用いて結合酵素をカラム から溶出し、7つの80ml画分に採取した。GalNAc-トランスフェラーゼ活性に ついてアッセイする前に、溶出液、洗浄液、および溶出画分を全て、300mM NaClを含有する緩衝液Eに対して透析した(3回取替え)。カラム上の酵素活 性の回収率は、不変動で90%を超えた。しかしながら、溶出された酵素の濃度に 従うと、活性の重大な損失に通じた。事実、この工程は調製工程の中で最も大き な損失の原因であった。濃縮する前に酵素を300mM NaClを含有 する緩衝液に対して透析することは、この工程におけるなお大きな損失を避ける ために絶対に必要であった。ウシ初乳から単離した酵素は、この点で同様な挙動 を示した(ElhammerおよびKornfeldによる1986)。精製調製物は、45psi圧にてY M-10メンブレン上の限外濾過によって濃縮した。 この精製し、濃縮した調製物を、粗製条件の細胞培養培地のアリコットと共に 、Laemmli(1970)によって記載されているのと実質的に同様にしてSDS-PAGE上で 分析した。その粗製培地試料を、電気泳動に付す前にWesselおよびFlugge(1984) によって記載されているのと同様にして沈殿させ;ほぼ250μlに相当する沈殿物 を負荷した。精製分子のN-末端配列決定は、実施例2に記載したのと同様に行 った。興味深いことには、分子の発現を無血清培地中で行った場合にのみ、この 精製手法により均一な調製物が得られた。血清含有培地からの調製物はSDS-PAGE 上では均一のようであったが、N-末端配列決定およびキャピラリー電気泳動上 の分離は、それらに、GalNAc-トランスフェラーゼに加えて、著量のウシ・フェ チュインも含まれることが明らかとなった(データは示さず)。その結果、本明細 書中にて特徴付けした精製酵素は、無血清培地中で産生された物質から単離した 。 精製GalNAcTのアミノ酸組成を、Beckmanアミノ酸アナライザー(Beckman 6300 )上の自動化イオン交換クロマトグラフィーによって決定し、図3に示す核酸配 列(配列番号:9)から予想される組成に対応することが判明した。試料を真空下 、6N HCl中、110℃にて24時間加水分解した。アナライザーに適用する前に 、乾燥した加水分解物をpH2.2の緩衝液(NaS;Beckman社製)に溶解した。後 者の定量は、2-チャンネル吸光度の出力にレコーダーと平行して連結したNelson Analytical Turbochromクロマトグラフィーデータ系によって得た。精製し、 濃縮した酵素のNH2末端配列決定により、メリチンリーダー配列が予想した部 位で分子から切断されることが示された(図12)。さらに、実質的に純粋な酵素 調製物と一致して、調製物中には1のみの配列が検出された。酵素の純度は、SD S-PAGE上で調べた。図14に見られるように、ほぼ61kDaの分子量を有する1個 のバンドしか、クーマシーブルー染色によって検出できなかった。銀染色も、 ゲル上に1を超えるバンドを検出することはできず、キャピラリー電気泳動上の 精製酵素の分離も、ほぼ61kDaの分子量と一致する位置に溶出される1のUV吸 収ピークしか生じなかった(データは示さず)。実施例10-GalNAc-トランスフェラーゼに対するペプチドアクセプターの統計分 バキュロウイルス発現系を用いたクローン化分子の効率的な産生によって、詳 細な生化学および酵素の実験に十分な量のGalNAc-トランスフェラーゼの調製を 促進し、蛋白質およびペプチドのイン・ビボ基質のデータベースからの、および イン・ビトロのグリコシル化からのGalNAc-トランスフェラーゼのアクセプター 基質特異性を決定した。これらの実験は、蛋白質配列決定の間に得られた蛋白質 中のグリコシル化セリンおよびスレオニン残基の存在に関する情報の入手性によ って促進された。この情報は、NBRF蛋白質配列貯蔵所に登録した。これらの 反応性SerおよびThr残基を囲むアミノ酸配列の大まかな調査により、該酵素は広 い特異性を有しているに違いないこと、およびユニークで、酵素特異性に関連す る容易に同定可能なアミノ酸配列が存在しないことが明らかとなった。実際に、 該酵素は、N-末端およびC-末端のSerおよびThr残基を同等にグリコシル化する ことができ、このことは、特異性が、反応性ヒドロキシアミノ酸を挟む1または 2の特異的なサブ部位に限定できないことを示している。 最近、広範なマルチ部位結合にわたる蛋白質セグメントに作用する酵素の広い 特異性を分析する統計方法が開発され、HIV-1プロテアーゼの特異性を決定する ために幾つかの成功例で適用されている(Poormanらによる1991)。グリコシル化S erおよびThr残基を囲む報告されている配列の数は、この統計方法によってそれ らの分析を保証するのに十分に大きかった。このアプローチを用いて、GalNAc- トランスフェラーゼに対するペプチドアクセプターの重要な特徴を概説した。つ いで、この情報の正当性を、合成および天然発生の双方の基質のイン・ビトロの グリコシル化を含む一連の実験で決定した。その結果は、セリンおよびスレオニ ン残基の両方が同一の酵素によってグリコシル化され得ること、およびGalNAc- トランスフェラーゼの広範な特異性が広がった結合部位の結果であることを示唆 した。 NBRF蛋白質データベースの検索により、数百の明確または可能性のあるTh rおよびSer O-グリコシル化部位を得た。これらから、理屈的にありそうにな い割当てを有するもののみを選択し、全てのプロテオグリカンを排除した。なぜ ならば、繋留している糖がGalNAcではなくてキシロースである第1級グリコサミ ノグリカンをプロテオグリカンは含むからである。また、参照セットに含まれる のは、幾つかの最近分析された糖蛋白質において同定されたO-グリコシル化部 位である。幾つかの異なる種について掲載された蛋白質の場合においては、グリ コシル化部位自体が相同性を示さない場合にのみ相同性蛋白質が含まれた。完全 参照セットは、196のグリコシル化ペプチドセグメントからなる(Elhammerらによ る1993の表1に示す)。該グリコシル化ペプチドは、P0と命名された中央位置 に反応性SerおよびThrを有する、エンネアペプチド(エンネアとはギリシャ語の 9を表す)セグメントとして掲載されている。従って、N-末端に向うアミノ酸側 鎖をサブ部位P1〜P4と命名し、C-末端に向うものをサブ部位P1'〜P'4 と命名した。9残基の長さを出発点として選択したが、所望により、サブ部位の 選択性の結果に依存して、分析に付するペプチドの部分は伸長しても、または切 頭してもよい。該配列は、そのうえ、P0におけるSerまたはThrを明らかに必要 とし、他のサブ部位はいずれの所定のアミノ酸に対しても絶対的な要件を有しな いことを示した。ついで、このことは、酵素の特異性が幾つかのサブ部位の協働 の結果であり、それらのうちに必須のものはなく、それらのうちの全てではない が幾つかが実質的に触媒効率に帰与し得ることを示唆した。 協働-サブ部位モデルがGalNAc-トランスフェラーゼの確かな説明であるか否か を探るために、HIV-1プロテアーゼの特異性について幾つかの成功例を有して適 用された方法に従って、標準セットのペプチドを分析した(Poormanらによる1991 )。簡単には、各サブ部位の個々のアミノ酸の頻度を、球形蛋白質の参照セット におけるそれらの存在量に基いて予想される頻度と比較した(表3)(Nakashimaら による1986)。表4はSer、Thr、およびProがほぼ全ての位置において顕著に 豊富(surabundant)であることを示す。特異性パラメータ−sij((認められた存在 量)/(球形蛋白質について予想された存在量);として定義される)はこれらのデ ータから算出した;これらを表5に掲載する。酵素が独立したサブ部位を有する 場合には、いずれかのSerまたはThrを含有するエンネアペプチドが酵素と反応す る確率、hは以下の等式から算出できることが示されている(Poormanらによる19 91): [式中、PSは全蛋白質中のグリコシル化可能なペプチドの存在量であって、R Pは全ての対応sij値の積として算出される累積確率: である] このアルゴリズムを用いれば、確率hが特定のカットオフ値(cutoff value)、 hcよりも高い場合には、SerまたはThrを含有するペプチドは酵素の基質である と予想し得る。過大予想(overprediction)と過小予想(underprediction)との間 の最良の折衷点(compromise)を達成するために、記載されているのと同様にして (Poormanらによる1991)、Kabsch-Sanderデータベース中の蛋白質を用いてPSお よびhcを繰り返し最適化した。最良の折衷点は、参照データベースセット中の2 1.4%過小予想が得られるPS=1/56、h=0.19で達成された。かくして、 所定のペプチドは、 の場合には、グリコシルアクセプターであると予想される。 過大予想は変動すると予想され、幾つかの場合においてはむしろ高くなる。な ぜならば、完全に折り畳まれた蛋白質のグリコシル化は恐らく適当な局所一次構 造のみならず、水性環境からの接近性をも必要とするからである。例えば、ヒト 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子にこの予想アルゴリズムを適用すると(f qhugm.a、図7A)、4つの実験的に認められたO-グリコシル化部位が配列位置 22、24、26および27(Kaushanskyらによる1992)に正確に予想されたが、 4つのさらなる部位も予想された:Ser15(h=0.29)、Thr108(h=0.24)、Thr11 1 (h=0.66)、およびSer112(h=0.66)。同様にして、ヒト・コリオゴナドト ロピンβ鎖(kthub.aa、図7B)では、1つの過小予想Ser138(h=0.01)および Thr160(h=0.28)における1つの過大予想を得た。これらの2種の蛋白質の確 率パターンを図7に示す。これらの2種の蛋白質について算出された確率が2つ の極値の間に分布しないことに注目することは興味深い。むしろ、少数の残基が 非常に高い確率で関連したが、残りの配列は均一に低い確率を示した。さらに、 高い確率を有する残基は1または2の異なるセグメントに密集し、そこではたぶ んSerおよびThr残基の密集が必要であるが、高度にグリコシル化された蛋白質セ グメントを創製するための十分な基準でないのは確かである。 一緒に考慮すると、これらの知見は、このペプチド鎖の水性環境への暴露によ るごとき、反応性残基を囲む所定のアミノ酸配列に向けての酵素の特異性によっ てグリコシル化が多分に決定されることを示唆している。この推論は、Kabsch/ Sander蛋白質中の潜在的なグリコシル化部位(いずれの部位もイン・ビボでグリ コシル化されていない)の分布によってさらに強化された。例えば、O-結合オリ ゴ糖生合成が不可能な微生物系によって生成したスブチリシンBNP(subsn.aa 、 図7C)は、多数のランダムに分布する潜在的なグリコシル化部位を含むが、い ずれかの潜在的なグリコシル化部位を含む非グリコシル化哺乳動物蛋白質は非常 に少ない。ウマ・ヘモグロビン(hbho.aa)またはウシ・チトクロームC(ccpg.aa 、図7D)の場合のごとく、全く潜在的なグリコシル化部位が見出されないのが恐 らくはより典型的である。 グリコシル化される運命にない哺乳動物蛋白質の配列は実際に潜在的なグリコ シル化部位を含有することに抗して選択されるようである。それとは反対に、セ リン/スレオニンに対するGalNAcのトランスフェラーゼの細胞内トポロジーの最 近の理解によれば、細胞質蛋白質のアミノ酸配列は、ムチン型オリゴ糖をつなぐ ための潜在的なグリコシル化部位を有することに抗して選択されないであろう。 例えば、ウシ・ロダネーゼ(robo.aa、図8A)はThr141(h=0.95)、Ser142(h =0.49)、Ser145(h=0.61)に3つの強力なグリコシル化部位を含んでいない ことが判明した(図8を参照されたし)。該蛋白質のこの領域は酵素の2つの相同 性ドメインに結合する完全に暴露されたセグメントよりなるため、GalNAc-トラ ンスフェラーゼに対する天然または温和に変性したロダネーゼの暴露は該分子の グリコシル化を生じるにちがいない。同様にして、ヒトCD4蛋白質の2つのド メインおよびPseudomonas外毒素の3つのドメインから構築したキメラ蛋白質CD4 PE40は、個々のドメインに結合する両方の領域に、2つの優勢な潜在的グリコシ ル化部位を示した(図8Bを参照されたし)。同様に、天然形でなく、ついで少な くとも温和に変性した後には、スブチリシンも広範にグリコシル化され得ると予 想される。 この予想方法の能力は、恐らく、LDL受容体(ldlrec.aa、図8C)およびアル ツハイマー前駆体蛋白質(alz.aa、図8D)へのその適用によって最良に説明さ れ、これらは双方とも、各々、ポリペプチドの公知の狭いセグメントにおいて広 範にO-グリコシル化されていることが示された。図8に示すごとく、本法はグ リコシル化のこれらの領域を正しく同定するのみならず、いずれのSerおよびThr 残基が修飾され得るかということも特異的に予想する。 上記の分析により、グリコシル化の特異性に寄与する酵素活性部位の顕著な特 徴について仮定することができる。表4は、高い選択性が全てのサブ部位で発現 されるが、Ser、ThrおよびProに向けられるのみであることを示す。所定のサブ 部位の選択性は、過剰存在(surabundant)残基が全ての他のアミノ酸よりも何倍 高い頻度でその部位に存在するかに依存する。また、過剰存在残基が球形蛋白質 で低頻度で生じるものである場合には選択性はより高い。選択性を定量化するた めに、サブ部位iについて特異的パラメータ−Si(その部位で見出される過剰存 在残基の数)/(ランダム分布からのその部位に予想されるこれらの同一残基の数 )を定義した。ついで、この比に、その部位における過剰存在残基の分率を乗じ る。表3に報告するSiの値は、結合部位が少なくともP3からP4'まで広がり 、恐らくはP4でさえも基質-酵素相互作用に関与することを示唆している。 Gly、Ala、ValおよびMetがそれらのsij≒1によって示されるごとく(表5を 参照されたし)ランダムに生じ得たが、3種の特異的なアミノ酸に加えては、い ずれの部位においても他のアミノ酸は過剰存在で見出されない。たぶん、より重 要なのはAsp、Asn、Arg、Tyr、Leu、Phe、Lys、CysおよびTrpが非常に低頻度で しか生じず、いずれの部位におけるそれらの存在もグリコシル化の確率を強く低 下させるという事実である。換言すれば、強疎水性残基も強親水性残基も(Eisen bergによる1984、共通疎水性尺度(consensus hydrophobicity scale)を参照さ れたし)、グリコシルトランスフェラーゼによって認識されない。疎水度、サイ ズ、表面、電荷、他のごときアミノ酸側鎖の単一の固有特性が活性部位との特異 的な相互作用に寄与する場合には、sijはその特性に大きく依存するにちがいな い。sij分布と恐らくは個々のアミノ酸を特徴付ける種々の指標とを関連付ける 試行はほとんど成功していない。最も重要なことには、キシロシルトランスフェ ラーゼについてはかかる関係が推論されている(M.A.Bourdonらによる1987)が 、βターンを予測するパラメーターとの関係は全く見出されていない。 いずれかの2のサブ部位の特異的アミノ酸側鎖の間に、正または負の協働性の いずれが存在し得るのかという疑問も探られている。この目的については、一連 の試行において参照ペプチドセット中のアミノ酸を順番に各サブ部位内にランダ ム化した。サブ部位間の正または負の協働性はランダム化セット中で消失するに ちがいなく、h値の分布に大きな変化が認められるであろう。事実、ランダムな 変動のみが認められ、それによって、いずれかの強力な協働性が存在しないこと が示された。換言すれば、サブ部位は、あたかもそれらがいずれの他のサブ部位 の特異的なアミノ酸の存在からも独立しているように挙動する。 酵素が標的エンネアペプチドの特異的な二次構造を認識するであろうこと、お よび、この二次構造が幾つかの構成アミノ酸の協働作用によってではなく、所定 の二次構造を形成するそれらの固有の傾向によって誘導されるであろうことの確 率がいまだ存在する。この確率を試験するために、いずれのO-グリコシル化蛋 白質についても現時点においては二次構造情報が全く入手できないため、Kabsch -Sander(KabschおよびSanderによる1983)データベース中の蛋白質について予想 される潜在的なグリコシル化部位を用いた。この分析には、最も高いh値を有す る50の潜在的な部位を選択した。表6に示すごとく、これらの潜在的なグリコ シル化部位はα-ヘリカル立体構造に対して非常に強く選択された。好ましい立 体構造は、P4からP0までランダムコイル、鋭い曲がり、またはβ-鎖であり 、つづいてターンのようであった。かくして、酵素によって認識されるユニーク な二次構造は存在しないようであるが、むしろ、広がった立体構造が好ましいよ うであった。他の用語で陳述すれば、酵素は予め形成された二次構造を必要とし ないが、基質の結合の際にそれを負わせる。潜在的なグリコシル化部位中のアミ ノ酸の水和インデックスも表6に示す。この表は大部分のペプチドが水性環境に 合理的に暴露されていることを示している。実施例11-GalNAc-トランスフェラーゼによるN-アセチルガラクトサミンの天 然蛋白質アクセプターへの転移 前記の結論および特異性アルゴリズムの予測を、天然蛋白質および合成アクセ プターペプチドの両方の、種々のアクセプターにN-アセチルガラクトサミンを 転移するウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼの能力を研究することによって実 験的に確認した。蛋白質アクセプターへのN-アセチルガラクトサミンの転移は 、若干の変形を施しつつElhammerおよびKornfeldによる1986に記載されているの と同様にアッセイした。全てのアッセイにおいてUDP-GalNAcの濃度を飽和して; ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼについては8μMのKmが報告されている(E lhammerおよびKornfeldによる1986)。 Carlson(1968)によって記載されているのと実質的に同様なアルカリ性ホウ水 素化ナトリウム処理を用いて反応産物を特徴付けた。Patella vulgataのα-N- アセチルガラクトサミニダーゼ(ほぼ1単位/ml)を用いた消化は、最終容量30 μl中の25mMクエン酸緩衝液、pH4.0中にて24時間行った。遊離した放射能 の糖を、ピリジン-酢酸エチル-氷酢酸-水(5:5:1:3;v:v:v:v)中の下降ペーパーク ロマトグラフィー上で分離した。 予想されたごとく、表7は、ウシ・ロダネーゼおよび、より低い程度の、細菌 蛋白質スブチリシンが、酵素に暴露する前に還元しカルボキシメチル化すること なくしては双方とも反応しないが、双方とも、酵素のアクセプターとして実際に 機能することを示している。逆に、1個のSerおよび8個のThr残基を含むが予想 された潜在的な部位は全く含まないウシ・チトクロームCは、天然であろうがま たは還元しカルボキシメチル化した状態であろうが、酵素のアクセプターではな かった。GalNAc-トランスフェラーゼの有効なアクセプターであることが以前に 示されている分子であるミエリン塩基性蛋白質(Hagopianらによる1971)を、この 実験の正の対照として含めた。 天然蛋白質アクセプターを用いた実験は、O-結合オリゴ糖をイン・サイチュ(i n situ)では含まないが、アクセプターの予想された特徴を有する暴露配列を実 際に含む蛋白質が、イン・ビトロでGalNAc-トランスフェラーゼに対するアクセ プターとして機能し得ることを示した。それにも拘わらず、スブチリシンもロダ ネーゼも、双方とも、予め還元しカルボキシメチル化することなしにいずれのア クセプター活性も示さなかったことは注意すべきである。ロダネーゼ中の最も確 率の高い予想部位、Thr141は分子の暴露されたセグメント中に位置するが、ロダ ネーゼの三次元構造の調査によりこのアミノ酸のヒドロキシル基が取り囲む溶媒 に向 けてではなく、疎水性コアに向けて指向していることが明らかとなった。ついで 、このことは、恐らく、アクセプター活性には温和な変性が必要であることを説 明している。ロダネーゼは2つのさらなる予想アクセプター部位Ser142およびSe r145を含む(図8)。しかしながら、本発明者らの標準アッセイ条件下ではセリン 残基への転移速度が低いことにより、これらの部位への転移はアッセイにおける 合計転移には大きく寄与しないにちがいない。ミエリン塩基性蛋白質の転移速度 と比較した、還元しカルボキシメチル化したロダネーゼへの転移の低い速度は、 還元およびカルボキシメチル化工程によってでさえもアクセプター部位が不十分 な暴露となること、および/または2種の分子のアクセプター配列の間の速度定 数の差に関係し得る。ミエリン塩基性蛋白質は、高い確率で予想される1の部位 、および低い確率のさらなる3の部位を含む。該分子は、分子当たり1.2〜1 .5のN-アセチルガラクトサミンで報告的にはグリコシル化し得た(Cruzおよび Moscarelloによる1983)。 細菌蛋白質スブチリシンは、0.6よりも高い確率で4の予想セリン部位を含 んでいた(図8)。3のセリンは天然蛋白質中では高い暴露インデックスを有する (KabschおよびSanderによる1983)が、該蛋白質の3次元構造はヒドロキシルが制 御された環境に位置することを示した。再度、このことは、アクセプター活性に 、還元およびカルボキシルメチル化を要すると考えることができた。ミエリン塩 基性蛋白質と比較して35倍遅い変性スブチリシンへの転移速度は、再度、用いた 条件下ではスレオニンに対するよりもセリンに対する転移が遅いことを示した。 ロダネーゼについて論じたごとき因子も低レベルの転移に寄与し得る。最後に、 いずれの予想アクセプター部位も含まないチトクロームCは、天然であろうと還 元およびカルボキシメチル化形であろうと、アクセプターとして完全に不活性で あった。実施例12-GalNAc-トランスフェラーゼによるN-アセチルガラクトサミンの合 成アクセプターペプチドへの転移 一連の合成アクセプターペプチドをグリコシル化するGalNAc-トランスフェ ラーゼの能力を図9および表8に示す。合成アクセプターペプチドArg-Thr-Pro- Pro-Pro(RTPPP)(配列番号:12)、Arg-Ser-Pro-Pro-Pro(RSPPP)(配列番号:13) 、Pro-Pro-Ala-Ser-Thr-Ser-Ala-Pro-Gly(PPASTSAPG)(配列番号:14)、Pro-Pro- Ala-Ser-Ser-Ser-Ala-Pro-Gly(PPASSSAPG)(配列番号:15)およびPro-Pro-Ala-D- Ser-Thr-D-Ser-Ala-Pro-Gly(PPAdSTdSAPG)は、0.5ミリモルスケールで標準t-Bo c化学とダブル・カップルサイクル(double couple cycle)を用いたApplied Bi osystems Inc.社製430Aペプチド合成機(ABI社製,Foster City,CA)上の固相 法によって合成した。t-Boc-アミノ酸およびPAM樹脂固体支持体はABI社から購入 した。カチオン・スキャベンジャー(10%v/v)としてアニソールを用いる標準的 なHF切断方法によって、同時に側鎖保護基と共に、該支持樹脂から完成ペプチ ドを除去した。各相とも0.1%TFAを含有する水/アセトニトリル勾配を用いたC 18 Vydacカラム(2.5×30cm)上の分取逆相クロマトグラフィーによって粗製ペプ チドを精製した。各精製ペプチドをFAB/MSによって特徴付けし、これは、分析H PLC上で単一の対称ピークを示した。 アクセプターペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)およびPPASSSAPG(配列番号:1 5)中のグリコシル化アミノ酸(群)を同定するための配列分析は、オンラインAppl ied Biosystems Inc.(ABI)社製120A PHT分析機を備えたABI社製470Aシーク エンサーを用いて行った。PHT誘導体を水中の20%アセトニトリル120μl中に溶 解し;この溶液50μlをHPLCに接種し、残りをフラクションコレクターに流用し た。カートリッジ・フィルターは、ABI社製プログラム03RPREを用い、ポリブレ ン(polybrene)1.5mgを用いて調製した。試料はABI社製プログラム03RPTHを用 いて配列決定した。ペプチドを50%酢酸60μlに溶解し、2のアリコット30μlで フィルターに負荷した。 図10に示す実験は、アクセプターペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)およびPPA SSSAPG(配列番号:15)がN-アセチルガラクトサミンの形態であることを示して いる。2種のグリコシル化ペプチドをPatella vulgataのα-N-アセチルガラク トサミニダーゼで消化するとGalNAcのみを放出し、アルカリ性ホウ水素化ナトリ ウム処理はPPASTSAPG(配列番号:14)およびPPASSSAPG(配列番号:15)の 両方からGalNAc-オールを放出した。 ペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)およびPPASSSAPG(配列番号:15)中のグリコ シル化アミノ酸は、対応するアッセイからの反応産物の配列決定によって同定し た。図11は、両方のグリコシル化ペプチドについて、大部分の糖-結合放射能 が、残基番号5、中心アミノ酸、PPASTSAPG(配列番号:14)中のごときスレオニ ン、またはPPASSSAPG(配列番号:15)中のごときセリンと関連することを示して いる。残基5以降の残基に関連する放射能の測定し得る量は、恐らく、試料の低 い比活性放射能によって要されるシークエンサー中のペプチドの多量の負荷によ る。それにも拘わらず、残基7および8に関連する放射能は残基6のそれに対し てスムースに推定されたため、本発明者らの実験誤差の範囲内で、残基6は大方 標識されていないようであった。 ペプチドアクセプターへのN-アセチルガラクトサミンの転移を2の異なるア ッセイによってアッセイした。UDP-GalNAcの濃度は全てのアッセイで飽和し;ウ シ初乳GalNAc-トランスフェラーゼについては8μMのKmが報告されている(Elha mmerおよびKornfeldによる1986)。動力学パラメーターの決定については、反応 混合物は50mM イミダゾール、pH7.2、10mM MnCl2、0.5%トリトンX-100 、150μM UDP-GalNAc、ほぼ120,000cpmのUDP-[1-3H]-GalNAc、変化する濃 度のアクセプター(個々の実験を参照されたし)、およびほぼ5mUの酵素を最終容 量40μl中に含み;標準的なインキュベーション時間は20分間である。反応は、 試料を沸騰水浴中に1.5分間入れることによって停止した。反応生成物(グリコ シル化ペプチド)は、水中で平衡化したDowex-2カラム(0.5mlベッド容積)によ って未反応UDP-GalNAcから分離した;グリコシル化ペプチドを含有する溶出(run ‐through)画分(2.5ml)を採取し、シンチレーション液を補充して放射能をカ ウントした。セリンへの転移の低いレベルの決定については、アッセイ条件は以 下の通りであった:50mM イミダゾール、pH7.2、10mM MnCl2、0.5%ト リトンX-100、150μM UDP-GalNAc、ほぼ260,000cpmのUDP-[3H]-GalNAcおよ び3.2mMアクセプターペプチド(RSPPPの濃度は3.7mM)。アッセイは、20 分間(PPASTSAPG)(配列番号:14)または8時間(PPASSSAPG(配列 番号:15)、PPAdSSdSAPGおよびRSPPP(配列番号:13))インキュベートした。イン キュベーション後に、試料を沸騰水浴中に1.5分間入れることによって不活化し た。ついで、試料を放冷し、7%イソプロパノールで平衡化したBiogel P-2カラ ム(1×50cm)上のクロマトグラフィーによって反応生成物を未反応UDP-GalNAcお よび遊離GalNAcから分離し;30の1.3ml画分を採取した。 ペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)は、P0に単一のThrを含むように設計された 。P4、P3およびP3'のプロリン残基は、これらの位置における最大の確率を供し ;P1およびP1'のセリン残基は大きな立体拘束なしに良好な確率を生じた。最後 に、P2およびP2'のアラニン残基およびP4のグリシンは、グリコシル化の確率に は無関係であるが、ペプチド骨格の可変性を許容した。ペプチドの凝集確率はい まだ最適:h=0.985であり、該ペプチドはアルゴリズムによって理想的なアク セプターであると予想された。表8および9は、このペプチドが試験したアクセ プターの内で最も有効であることを示しており、比較アッセイはその反応性がウ シ・アポムチンのものに非常に近い(データは示さず)ことを示した。さらに、本 発明者らの条件下で決定した2種のペプチドについての動力学パラメーターは、 ブタ顎下腺ムチン中に同定された部位由来の構造を有するペプチドのグリコシル 化を触媒する精製ブタ顎下腺GalNAc-トランスフェラーゼのものに(Wangらによる 1992)ほぼ匹敵した。 ミエリン塩基性蛋白質の主要アクセプター配列(Hagopianらによる1971)由来の ペプチドRTPPP(配列番号:12)は、PPASTSAPG(配列番号:14)のKmよりも小さな Kmおよび遥かに小さなVmaxを有しており、したがって、その触媒効率はPPASTS APG(配列番号:14)のもののわずか半分であった。スレオニンの代りにセリンを 含有する2種の対応するペプチドの活性は測定可能であったが、用いた条件下で 動力学的パラメーターを決定するには低過ぎた。しかしながら、明らかに、ウシ 初乳GalNAc-トランスフェラーゼはこれらのペプチドのセリンにGalNAcを転移す ることができた。但し、本発明者らのイン・ビトロ条件下では、スレオニンによ りも35倍低かった(表9)。 PPASTSAPG(配列番号:14)中のアクセプタースレオニンを挟む2個のアミノ酸 のD-アミノ酸での置換が転移速度を250倍低下させたことは、明らかに、該酵素 の活性部位がアクセプターアミノ酸自体を超えて広がるペプチドセグメントを認 識することを示している。実際に、D-Serペプチドの限定的な残基活性は、いず れの認識サブ部位も必須ではないこと、ならびに、P3、P4およびP3'残基が特異 的なP1およびP1'残基の欠失を部分的に補い得ることを示している。興味深いこ とには、ペプチドArg-Ser-Pro-Pro-Pro(RSPPP)(配列番号:13)、アクセプターTh rがSerによって置換えられたミエリン塩基性蛋白質アクセプター配列もグリコシ ル化されるが、PPAdSSdSAPGよりも3倍低かった。再度、少なくともイン・ビト ロでは、該酵素はスレオニン含有アクセプターを優先するようであった。 しかしながら、ブタ顎下腺から最近精製された酵素(Wangらによる1992)とは反 対に、ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼはスレオニンおよびセリン残基の両 方を確かにグリコシル化し得た。これに関連して、O'Connelらによる(1992)によ って報告された実験においては、ウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼがヒト・ エリスロポイエチン由来のペプチド中のセリンをグリコシル化し得なかったこと は注意すべきである。この位置のセリンはイン・ビボでグリコシル化されたが、 この現象は用いた特異的アクセプターペプチドに関連し得る。あるいは、イン・ ビトロにおけるウシ初乳GalNAc-トランスフェラーゼによるセリン残基への転移 速度がかなり遅かったことは、用いた短いインキュベーション時間が測定可能な 量の生成物を生成するのに不十分であったかも知れない。本発明者らのイン・ビ トロ条件下では、PPASSSAPG(配列番号:15)のセリンへの転移は、PPASTSAPG(配 列番号:14)のスレオニンへよりもほぼ35倍低かった。この知見は、セリンが イン・サイチュのグルコシル化の全ての場合のアクセプターであるのか否かとい う疑問を直ちに生じた。 以下の理由により、Serは実際にイン・ビボのアクセプターのようであった: 1)膨大な数の報告が、糖蛋白質中の明白なO-グリコシル化セリン残基を同 定していること;2)予備的な実験では、Ser-およびThr-グリコシル化活性が同 様の至適pHを有すること、およびアッセイにおけるカルシウム濃度から双方 とも独立していることが示されたこと;3)酵素を単離するためのアフィニティ ー・マトリックスがセファロース上に固定化したウシ・アポムチンであったこと (このリガンドには、同等数のセリンおよびスレオニン残基が含まれており、そ の結果、2つの活性の間を区別できない)(下側を比較されたし);4)速度におけ るほんの35倍の差は極めて普通であり、事実、多サブ部位酵素の特異性の範囲 としてはむしろ小さい。実験条件の僅かな変化でも、本発明者らの条件下で認め られる反応性を良好に除去し、または逆転し得る。酵素調製物のセリントランス フェラーゼ活性は、混入したセリントランスフェラーゼによって引起されたよう でではなかった。なぜならば、a)SDS-PAGE/銀染色によって、ならび にN-末端配列決定にる判定によって該酵素は純粋であり;b)精製トランスフ ェラーゼに対して生起した抗体がSer-およびThr-グリコシル化活性の両方を落と し;c)粗製、部分精製、および純粋な酵素の試料のアッセイにより、同一比の Ser-およびThr-トランスフェラーゼ活性が得られたためである。 幾つかのサブ部位の独立した寄与がペプチドセグメントに向けての反応性の範 囲を生成し得る累積特異性モデルによって、GalNAc-トランスフェラーゼの特異 性を十分に説明する。アクセプターペプチド・セグメントのさらなる重要な特徴 は、蛋白質基質および広がった立体構造の表面に対する暴露である。アクセプタ ーアミノ酸は、Ser、Thr、Pro、AlaおよびGly残基によって優先的に囲まれてい るが、特異的な順序でではない。セリンおよびスレオニンの両方が、少なくとも ウシ初乳酵素についてはアクセプターアミノ酸であった。実施例13-可溶性GalNAc-トランスフェラーゼによるN-アセチルガラクトサミ ンの合成アクセプターペプチドへの転移 一連の合成アクセプターペプチドをグリコシル化するGalNAcTsの能力も実験 した。ペプチドアクセプターの動力学的パラメーターを決定するアッセイは、ア クセプターペプチドの単離についてはO'ConnelおよびTabakによる(1993)によっ て記載されている方法の変形を用いる以外、Elhammerらによる(1993)によって記 載されているのと同様に行った:100mg充填材を含有するBond Elut カラム1mlを用いた。アッセイ試料を負荷する前に、カラムをメタノール2m lにつづいて0.1%TFA(水中)2mlで洗浄した。アッセイ試料(40μl) を0.1%TFAで1mlに希釈し、カラムに負荷した。ついで、非結合放射能 を0.1%TFA4mlで洗い流し、その後に、35%アセトニトリル1.5m l、0.1%TFA(水中)でグリコシル化アクセプターペプチドをシンチレーシ ョンバイアル中に直接溶出した。動力学的パラメーターの計算は、標準的な方法 を用いて二重直線プロット(1/v-対-1/S)から行った。クローン化可溶性Ga lNAc-トランスフェラーゼの動力学的パラメーターの決定は以下の数を生じた:U DP-GalNAcのKmはほぼ1.7μMであり、スレオニン含有アクセプターペプチ ドPPASTSAPG(配列番号:14)およびセリン含有アクセプターペプチドPPDAASAAPLR (配列番号:17)のKmは各々、ほぼ6.5および3.6mMであった。GalNAcT sによるもう1つのセリン含有アクセプターペプチドPPASSSAPG(配列番号:15)へ の転移は、PPASTSAPG(配列番号:14)へよりもほぼ70倍遅かった(データは示さ ず)。精製酵素調製物の比活性は、アクセプターとしてウシ・アポムチンを用い てほぼ2,160U/mg蛋白質であった(表4)。 精製GalNAcTsの酵素特性は、ウシ初乳およびブタ顎下腺から精製した酵素に ついて決定されたものと同様のようであった(ElhammerおよびKornfeldによる198 6;Elhammerらによる1993;Wangらによる1992;Wangらによる1993)。アクセプタ ーペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)についてのKmは、初乳酵素とバキュロ発 現分子についてほぼ同一であった(6.0-対-6.5mM)。セリン含有アクセプ ターペプチドPPDAASAAPLR(配列番号:17)(O'Connelらによる1992;Wangらによる 1993)も、GalNAcTsを用いたアッセイにおける低mM範囲、3.5mMでKmを 有していた。これは、ブタ顎下腺から精製したGalNAc-トランスフェラーゼを用 いてこのアクセプターについて決定されたKm、4.5mM(Wangらによる1993) と同様であった。ウシ初乳酵素を用いたPPDAASAAPLR(配列番号:17)のKmは決 定されていない。その代りに、このペプチドが初乳酵素のアクセプターではない ことが報告されている(O'Connelらによる1993)。ペプチドPPASSSAGP(配列番号 :15)をグリコシル化するGalNAcTsおよびウシ初乳酵素は 双方とも、PPASTSAPG(配列番号:14)よりも少なくとも35倍遅かった(Elhammer らによる1993)。GalNAcTsを用いたアッセイにおけるUDP-GalNAcのKmは、ウシ 初乳およびブタ顎下腺酵素について決定されたものよりも低かった、各々、1. 7μM-対-8μMおよび6μM(表V:ElhanmmerおよびKornfeldによる1986;Wang らによる1992)。この理由については現在のところ明らかでない。ウシ初乳およ びクローン化分子のアミノ酸配列は、分子のNH2-末端の5アミノ酸を除いて同 一であるにちがいない;初乳酵素配列はNH2-末端にさらなる2アミノ酸も含む 。可能な説明は、幾分かの程度まで当該2分子の動力学的特徴に影響し得るSf 9産生分子-対-ウシ分子の、特定のグリコシル化における、翻訳後プロセシング の差である。 前記に論じたごとく、大方、昆虫産生分子のオリゴ糖構造は高マンノースおよ び/または切頭高マンノース型のようであるが、エンドグリコシダーゼ消化実験 からの結果は初乳酵素が複合体型のオリゴ糖を含むことを示唆した(Elhammerお よびKornfeldによる1986)。ブタ酵素上のN-結合オリゴ糖構造も哺乳動物細胞に よって通常合成される型の;ペプチドのようであり:N-グリコシダーゼF消化 実験はこの分子が9kDaのN-結合オリゴ糖を含むことを示唆した(Wangらによ る1992)。しかしながら、この疑問点を明らかにするためのさらなる実験が必要 であろう。実験データと一緒に考慮すると、組換え可溶性酵素は、天然(初乳)酵 素について決定されたイン・ビトロ酵素特性と極めて似た酵素特性を有すること が示唆された。この分子の入手性は、GalNAc-トランスフェラーゼの酵素特性に 関するさらなる研究、ならびに、O-結合糖コンジュゲートのイン・ビトロ合成 に関する実験を促進するにちがいない。実施例14-可溶性GalNAc-トランスフェラーゼによるN-アセチルガラクトサミ ンのさらなる合成アクセプターへの転移 もう1つの合成アクセプターペプチドをグリコシル化する可溶性GalNAc-トラ ンスフェラーゼの能力を図18に示す。合成アクセプターペプチドPro-Pro-Asp- Ala-Ala-Thr-Ala-Ala-Pro-Leu(PPDAATAAPL)(配列番号:20)は、実施例12 に記載したのと同様の固相法によって合成した。アクセプターペプチドPPDAATAA PL(配列番号:20)中のグリコシル化アミノ酸(群)を同定するための配列分析も実 施例12に記載したのと同様に行った。実験(データは示さず)は、アクセプター ペプチドPPDAATAAPL(配列番号:20)中に取込まれた放射能がN-アセチルガラク トサミンの形態であることを示した。さらに、ペプチドPPDAATAAPL(配列番号:2 0)中のグリコシル化アミノ酸を実施例12に記載したのと同様にして同定した。 ペプチドアクセプターの動力学的パラメーターを決定するためのアッセイは、 実施例13に記載したのと同様に行った。アクセプターペプチドPPDAATAAPL(配 列番号:20)の動力学定数の決定により以下のデータを得た:ほぼ0.17mM のKmおよび4.9s-1のVmaxで、これらの数から算出した触媒効率(Vmax/ Km)はほぼ28,823M-1-1であった。従来のデータにより、合成アクセ プターペプチドPPASTSAPG(配列番号:14)が試験したアクセプターの中で最も効 率的であることが明らかとなった。しかしながら、合成アクセプターペプチドPP ASTSAPG(配列番号:14)と比較して、ペプチドPPDAATAAPL(配列番号:20)はより 低いKmを有するが、同様なVmaxを有していた。その結果、合成アクセプター ペプチドPPDAATAAPL(配列番号:20)は、PPASTSAPG(配列番号:14)のものよりも 遥かに高い触媒効率を有していた。 このように本発明の例示的な具体例を記載したが、開示した範囲内のものが例 示的に過ぎず、種々の他の変形、別法、適用および修飾を本発明の範囲内で施し 得ることは当業者が注意すべきである。したがって、本発明は本明細書中に示し た特異的な具体例に限定されるものではなく、以下の請求の範囲によってのみ限 定される。 GalNAc-トランスフェラーゼ構築物GalNAcT 2-1AおよびGalNAcTs-Melを 無関係な分子、α6-3(γ-アミノ酪酸受容体サブユニット)をコードする構築物 と共にSf9細胞で発現させた。細胞(1×106)をGalNAcTs-Melを含む組 換えウイルス(5pfu/細胞)で感染させた。細胞を感染65時間後に収穫し、 洗浄剤を含有する緩衝液中で溶解し、細胞溶解物および対応する培養培地中でGa lNAc-トランスフェラーゼ活性を測定し;非感染細胞からの溶解物および培養培 地を対照としてアッセイした。数値は細胞溶解物中の蛋白質含量の差について調 整し;培養培地の容量は5mlであった。a 1単位は、アッセイ条件下にて、1分間当たりに1モルのN-アセチルガラクト サミンがアポムチンに転移されるに等しい。 aこの実験においては、ミエリン塩基性蛋白質は還元およびカルボキシメチル化 しなかった。 n.a.;適用せずa ;70kDa分子量の酵素に基いて算出b ;S0<<Kmと想定して算出
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD, MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN

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  1. 【特許請求の範囲】 1.酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプ ターペプチドの以下の配列: PPDAATAAPL (配列番号:20)[式中、Pはプロリン、Dはアスパラギン酸、Aはアラニン、T はスレオニンであって、Lはロイシン]を有するポリペプチド。 2.酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプ ターペプチドの以下の配列: PPDAATAAPL (配列番号:20)[式中、Pはプロリン、Dはアスパラギン酸、Aはアラニン、T はスレオニンであって、Lはロイシン]を有するポリペプチドをコードするDNA 配列。 3.細胞により産生される蛋白質のグリコシル化を改変させる方法であって: 酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプター ペプチドを発現することができる少なくとも1の遺伝子を該細胞に導入し、ここ に該アクセプターペプチドはPPDAATAAPL(配列番号:20)[式中、Pはプロリン、 Dはアスパラギン酸、Aはアラニン、Tはスレオニンであって、Lはロイシン] を含むアミノ酸配列を有し; 酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対する該アクセプタ ー部位を有する蛋白質を発現させ;ついで 該蛋白質をN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに暴露する、工 程よりなることを特徴とする該方法。 4.細胞により産生される蛋白質のグリコシル化を改変させる方法であって: 酵素N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプター ペプチドを発現することができる少なくとも1の遺伝子を蛋白質をコードするDN A配列に導入し、ここに該アクセプターペプチドはPPDAATAAPL(配列番号:20)[式 中、Pはプロリン、Dはアスパラギン酸、Aはアラニン、Tはスレオニン であって、Lはロイシン]を含むアミノ酸配列を有し; 該遺伝子を含む該DNA配列を発現させて、N-アセチルガラクトサミニルトラン スフェラーゼに対する該アクセプター部位を有する蛋白質を産生させ;ついで 該蛋白質をN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに暴露する、工 程よりなることを特徴とする該方法。
JP9515030A 1995-10-09 1996-09-09 N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼに対するアクセプターポリペプチド Pending JPH11514232A (ja)

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