JPH11513381A - システインプロテアーゼ阻害剤としての金属錯体 - Google Patents

システインプロテアーゼ阻害剤としての金属錯体

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JPH11513381A JP9513680A JP51368097A JPH11513381A JP H11513381 A JPH11513381 A JP H11513381A JP 9513680 A JP9513680 A JP 9513680A JP 51368097 A JP51368097 A JP 51368097A JP H11513381 A JPH11513381 A JP H11513381A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、タンパク質および酵素を結合するために使用される金属錯体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 システインプロテアーゼ阻害剤としての金属錯体 技術分野 本発明は、タンパク質と酵素を結合するために使用される金属錯体に関する。 背景技術 無機医薬品の分野は揺籃期にある。最も一般的で十分研究されている無機医薬 品は、抗癌薬、シスプラチナである(Lippard,Science 218:1075-1082(1982) ;Rosenberg,Nature 222:385(1969); Cleare et al.,Bioinorg.Chem.2:18 7(1973))。この無機医薬品は、種々の癌の治療に臨床上使用されている。シ スプラチナの作用様式は、DNAと相互作用する事により、細胞増殖を阻害するこ とによるものと考えられている。 3種類の金化合物も研究され、関節炎の治療に臨床利用されている(Dash Met al Ions Biol.Systm.14:179(1982); Elder et al.,Chem.Rev.87:1027(1 987))。これらには、下記に示すオーラノフィン(Auranofin)、チオマリン酸ナ トリウム金(a gold sodium thiomalate)、およびチオグルコース金化合物(a gol d thioglucose compound)が挙げられる。 金化合物の関節炎治療作用に関する理解は、現在のところ、限られている。抗 関節炎金薬剤の作用様式は殆ど判明していないが、タンパク質チオール基へのAu (I)の結合が関与しているものと思われ、それによりジスルフィド結合の形成 が阻害され、変性とその後のマクログロブリンの形成を引き起こすものと思われ る。Bioinorganic Chemistry(Eds Bertini,Gray,Lippard,and Valentine,p g519,1994)を参照されたい。ある種のコバルト(III)シッフ塩基化合物は、 抗ウィルス、抗腫瘍、および抗菌活性と、抗炎症特性を有することが報告されて いる(米国特許第4,866,054号、第4,866,053号、第5,049,577号、第5,106,841号 、第5,142,076号、第5,210,096号を参照)。 発明の概要 本発明は、式 (式中、 Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷移金属イ オンを示し、 Aは、窒素または酸素を示し、 Eは、酸素、硫黄、窒素またはセレンを示し、 Dは、炭素、ホウ素、またはリンを示し、 Xは、対イオンまたは中性配位子(neutral coordinating ligand)を示し、 R1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分(targeting moiety)を示し、あるいはAが酸素、硫黄またはセレンの場合に は存在しなくてもよく、 R2は、Aがホウ素の場合には、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール 、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリ ール、ターゲッティング部分、カルボニル酸素、ホスホニル酸素、または-OR5を 示し、 R3は、Aがホウ素またはリンの場合には、水素、ハロゲン、アルキル、アルキル アルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、ア ミン、アリール、ターゲッティング部分、または-OR5を示し、あるいはR2がカル ボニル酸素の場合には存在せず、 R4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッティ ング部分を示し、 R5は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッティ ング部分を示し、 R6は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはR7と共にシクロアルキルまたはアリール基を形成してもよ く、 R7は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはR6と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成しても よく、 R8は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはEが酸素、硫黄、またはセレンの場合には、存在しなくて も良い。) で示される金属錯体を提供する。 本発明は更に、式 (式中、 Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷移金属イ オンを示し、 Eは、酸素、硫黄、またはセレンを示し、 R9は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッテ ィング部分を示し、 R10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R11は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR12と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR11と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R13は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示し、 R14は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示し、 R15は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR16と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R16は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR15と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよい。) で示される金属錯体を提供する。 本発明は、式 (式中、 Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷移金属イ オンを示し、 Eは、酸素、硫黄、またはセレンを示し、 R17は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R18は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R19は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R20は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR21と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R21は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR20と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R22は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR23と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R23は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR22と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R24は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示す。) で示される金属錯体も提供する。 発明の詳細な説明 下記に説明されているように、本発明は、タンパク質の表面において(例えば 、酵素の活性部位において)システインの様な機能部分と交換または結合でき、 その結果、機能部分と金属化合物の錯体を形成することにより、タンパク質の生 物活性を不活化することが可能な金属化合物に関する。 理論には結びついていないが、本発明の金属錯体化合物は、金属錯体に配位子 を置換または付加する事により金属錯体の生物活性を得ている。錯体の生物活性 は、新しい配位子、最も好ましくは、システイン側鎖の硫黄原子の結合によって 生じる。恐らく、金属錯体の新しい配位子として作用するアミノ酸は、標的タン パク質がその生物活性を発揮するために標的タンパク質にとって必要なものであ る。従って、下記により詳細に説明されているように、活性部位においてシステ インを利用するシステインプロテアーゼのようなタンパク質、あるいは、例えば 、必須金属イオンと結合するためにシステインを利用するタンパク質は、金属錯 体の配位子としてシステインを結合し、その様にして、システインがその正常な 生物学的機能に関与するのを防止する事により、不活化することができる。 従って、ここに示されている金属錯体の付加は、例えば、タンパク質または酵 素に付加され、1つ以上の元の配位子は、タンパク質からの1つ以上の配位子に よって置換される。これは、タンパク質のアキシアル配位子(protein axial lig and)の金属錯体に対する親和性が、元の配位子よりも高い場合、あるいは配位子 結合の平衡状態がタンパク質由来の新しい配位子の結合に有利となる様に、新し いアキシアル配位子がより高い濃度で存在する場合に生じる。この後者の可能性 は、標的タンパク質または酵素内の関連部位において金属錯体の存在を増大させ る、ターゲッティング部分の利用により促進できる。 別の阻害機序には、金属錯体が活性部位において遊離システインを酸化し、ジ スルフィド結合を形成する可能性が挙げられる。酵素は、ジスルフィド結合が還 元され、活性を回復するまで阻害されたままである。従って、ここに示されてい る金属錯体は可逆的阻害剤である可能性が存在する。 あるいは、金属錯体は、遊離システインをシステイン酸に酸化し、あるいは触 媒として、存在する酸素と作用し、過酸化水素の様な反応種を生成することも可 能であり、これらの生成物は、標的タンパク質の生物活性を不活化する働きをす るものと思われる。 特に関心の対象となるのは、金、ニッケル、パラジウム、白金および銅等の遷 移金属の錯体である。なぜならば、これらの金属は、酸素、窒素および炭素等の その他の元素よりも硫黄に優先的に結合する強い特性を有するからである。従っ て、これらの錯体は、セリン、アスパラギン酸、またはヒスチジンよりもシステ イン残基の硫黄原子に優先的に結合する。しかし、ここに示されている具体例と 開示では特にこのシステインの態様を説明するが、いずれの「反応性アミノ酸」 でも新しい配位子として作用できる。「反応性アミノ酸」とは、本発明の金属錯 体に新しい配位子として結合できるものである。従って、システインの側鎖の硫 黄原子は特に好ましいが、別の態様では、ヒスチジンのイミダゾール側鎖の窒素 原子、トリプトファンの芳香族インドール側鎖の窒素原子、メチオニンの側鎖の 硫黄原子、アルギニン、リジン、アスパラギンまたはグルタミンのアミノ基を、 上記に概説されているアキシアル配位子となり得る部分として利用している。こ れらの部分の利用可能性は、これらの部分の多くが、プロトン化状態においては 、配位子として適切な良好な電子供与体ではないため、タンパク質または酵素を 含む溶液のpHに依存するであろう。 システインプロテアーゼは、活性部位にチオール基を持つプロテアーゼの一科 である。システインプロテアーゼは、プロテアーゼ活性部位における特異的なシ ステインとヒスチジンの間の相乗的相互作用を用いてアミド基を切断する能力を 特徴とする。アミド基切断の機序を下記に示す。 簡単に述べると、チオール基(即ち、cys)によるカルボニル部位における求 核攻撃がまず起こる。四面体中間体が形成され、次にこれが崩壊し、アミン断片 を遊離する。次に、Hisがチオールエステルに対する水の攻撃を触媒し、カルボ ン酸塩断片を生成する。 これらのプロテアーゼは、細菌、ウイルス、真核微生物、植物および動物に見 いだされる。システインプロテアーゼは、一般に、4科以上の異なる超科(superf amilies)の1科に属するものとして分類できる。本発明の新しいシステインプロ テアーゼ阻害剤により阻害されるシステインプロテアーゼの具体例は、パパイン 、フィシン、アレウライン、オリザイン、アクチニダインなどの植物システイン プロテアーゼ;カテプシンB、H、J、L、N、S、T、C(カテプシンCはジペプチジ ルペプチダーゼIとしても知られている。)、インターロイキン変換酵素(ICE) 、カルシウム活性化中性プロテアーゼ、カルパインIおよびII等の哺乳動物シス テインプロテアーゼ;ピコルニアン2Aおよび3C、アフトウイルスエンドペプチダ ーゼ、カルジオウイルスエンドペプチダーゼ、コモウイルスエンドペプチダーゼ 、ポチウイルスエンドペプチダーゼIおよびII、アデノウィルスエンドペプチダ ーゼ、栗葉枯れ病ウイルスからの2種類のエンドペプチダーゼ、トガウイルスシ ステインエンドペプチダーゼ、およびポリオおよびライノウイルスのシステイン プロテアーゼ等のウイルスシステインプロテアーゼ;およびプラズモディウム属 、エントアメーバ属、オンコセルカ属、トリパノソーマ属、リーシュマニア属、 捻転胃虫属、ディクティオステリウム、セリレリア、マラリアに関連するもの( P.falciparium)等の住血吸虫属に属する種からのプロテアーゼ、トリパノソー ム(T.cruzi、酵素もクルザインまたはクルジパインとして知られている。)、 ネズミP.vinckeiおよびC.elegansシステインプロテアーゼ等の、寄生虫のライフ サイクルに必須であることが公知のシステインプロテアーゼを含むが、これらに 限定されない。本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤によって阻害されるであ ろうシステ インプロテアーゼの広範にわたるリストとしては、引用する事により特に本明細 書の一部とされる。「Rawlings et al.,Biochem.J.290:205-218(1993)」を 参照されたい。 従って、システインプロテアーゼの阻害剤は、多様な応用例に有用である。例 えば、本発明の阻害剤は、試料中に存在するシステインプロテアーゼ量の定量に 利用され、従って、細菌、真菌、植物、酵母、ウイルス、または哺乳動物の細胞 培養の他に、血液、リンパ液、唾液またはその他の組織試料中のシステインプロ テアーゼを定量するための分析および診断キットに利用される。従って、好まし い態様においては、標準的なプロテアーゼ基質を用いて試料が分析される。シス テインプロテアーゼ阻害剤は、添加されて、存在する任意のシステインプロテア ーゼと結合する。次に、プロテアーゼ分析を再度行い、本技術に精通する者にと って公知の技術を用いて、活性の低下をシステインプロテアーゼ活性と相関させ る。 システインプロテアーゼ阻害剤は、試料中に混入しているシステインプロテア ーゼを除去または阻害するためにも有用である。例えば、本発明のシステインプ ロテアーゼ阻害剤を、混入したシステインプロテアーゼによるタンパク質分解が 望ましくない試料に加える。あるいは、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤 を、本技術において公知の技術を用いてクロマトグラフィー支持体に結合させ、 アフィニティークロマトグラフィーカラムを形成することもできる。望ましくな いシステインプロテアーゼを含む試料をこのカラムにかけて、プロテアーゼを除 去する。 好ましい態様において、システインプロテアーゼ阻害剤は、多くの疾病に関係 するシステインプロテアーゼの阻害に有用である。システインプロテアーゼは、 多くの医学的疾患に関係しているためである(例えば、Hook et al.,FASEB J. 8:1269(1994)参照)。特に、カテプシンB、LおよびS、クルザイン、およびイ ン ターロイキン1β変換酵素が阻害される。これらの酵素は、組織分解を特徴とす る広範な疾患に関係するリソソームのシステインプロテアーゼの例である。この 様な疾患には、関節炎、筋ジストロフィー、炎症、腫瘍の浸潤、糸球体腎炎、寄 生虫による感染症、アルツハイマー病、歯周病、癌の転移が含まれるが、これら に限定されない。例えば、哺乳動物のリソソームのチオールプロテアーゼは、タ ンパク質の細胞内分解と、恐らくいくつかのペプチドホルモンの活性化とに、重 要な役割を果たしている。カテプシンBおよびLに類似の酵素は、腫瘍から放出さ れており、腫瘍の転移に関与しているかもしれない。カテプシンLは、病人の関 節液と形質転換組織中に存在する。同様に、多形核顆粒球とマクロファージから のカテプシンBとその他のリソソームのプロテアーゼの遊離が、外傷と炎症にお いて観察されている。 システインプロテアーゼ阻害剤は、歯肉炎、マラリア、リーシュマニア症、フ ィラリア症、およびその他の細菌および寄生虫による感染症等の多くの他の疾患 においても応用されるが、これらに限定されない。本化合物は、ウイルスの複製 に必要なプロテアーゼを阻害する方法に基いて、ウイルス性疾患においても応用 できる。例えば、ポリオウイルス、口蹄疫ウイルス、およびライノウイルス等の 多くのピコナウイルスは、ウイルスのポリタンパク質の切断に必須のシステイン プロテアーゼをエンコードしている。 更に、これらの化合物は、インターロイキン-1β変換酵素(ICE)、すなわち インターロイキン1βの処理に関与するシステインプロテアーゼが関わる疾患に 応用される。ICEは60kDaの四量体酵素で、2つの異なるサブユニットである20kD a(p20)と10kDa(p10)のサブユニット断片を2組含む。ICEの結晶構造が最近 報告された(Walker et al.,Cell 78:343-352(1994);Wilson et al.,Natur e 370:270-275(1994))。ICEの活性部位は、Cys285とHis237を含み、これらは その触媒活性に関与している。ICEは、その基質と切断部位に非常に特異性が高 い(How ard et al.,J.Immunol.147:2964-2969(1991),酵素のP1部位でアスパラギ ン酸を結合することを選択)。ICEの生物学的作用は、33kDaの前駆体タンパク質 (pIL-1β)を特異的に切断し、17kDaの炎症サイトカイン、IL-1βを生成する事 である。このカルボキシ末端化されたIL-1βサイトカインは、生物活性を持ち、 敗血症性ショック、慢性関節リューマチ、糖尿病の患者の血清および関節液に認 められる。 サイトカインIL-1は、慢性関節リューマチ(RA)において中枢的役割を果たし ている(Arend et al.,Arthritis Rheum.38:151-160(1995);Arend et al. ,Arthritis Rheum.33:305-315(1990);Dinarello et al.,N.Eng.J.Med .328:106-113(1993))。IL-1アゴニスト、IL-1αおよびIL-1βは特徴が十分 明らかにされており、配列の相同性は僅かに過ぎない(March et al.,Nature 3 15:641-645(1985);Gray et al.,J.Immunol.137:3644-3648(1986))。し かし、膜結合型IL-1αと可溶性IL-1β型は共に類似の生物活性を有し、同じ細胞 受容体と相互作用することが知られている(Dower et al.,Nature 324:266-268 (1986);Sims et al.,PNAS USA 90:6155-6159(1993))。IL-1をブロックす る多くの方法が提唱されており(Fanslow,1990,Science 248:739-742; Gershe nwald 1990, PNAS 87: 4966-4970; Seckinger 1987,J.Immunol.139:1546-154 9; およびArend,Adv.Immunol.54:167-227(1993))、これらの方法にはICEの 阻害も含まれる(Cerretti et al.,J.Bacteriology 134: 1141-1156(1992); Thornberry 1992,Nature 356: 768-774、およびKu et al.,1996,Cytokine 8 :377-386)。 従って、例えば、本発明のシステインプロテアーゼ阻害剤は、肺、気道、中枢 神経系および周囲の膜組織、眼、耳、関節、骨、結合組織、心外膜を含む心臓血 管系、胃腸および泌尿生殖器系、皮膚および粘膜の炎症および免疫疾患の治療に 有用と思われる。これらの状態には、髄膜炎および卵管炎;敗血症性ショックを 含む感染症の合併症、播種性血管内凝固症、および/または成人性呼吸切迫症候 群;抗原、抗体、および/または補体の蓄積による急性または慢性の炎症;関節 炎、胆管炎、結腸炎、脳炎、心内膜炎、糸球体腎炎、肝炎、心筋炎、膵臓炎、心 外膜炎、再潅流障害および血管炎等の炎症状態のような、活動性の感染が任意の 身体部位において存在する感染性疾患が含まれる。免役疾患には、急性および遅 延性過敏反応、移植片拒絶反応および移植片対宿主疾患、糖尿病I型および多発 性硬化症などの自己免疫疾患のような、T細胞および/またはマクロファージが 関わる状態が含まれるが、これらに限定されない。骨および軟骨の再吸収、およ び間質性肺線維症、肝硬変、全身性硬化症、およびケロイド形成等の細胞外基質 の過剰蓄積を引き起こす疾患も、本発明の阻害剤により治療することが可能であ る。阻害剤は、オートクリン成長因子としてIL 1 を産生するいくつかの腫瘍の 治療と、いくつかの腫瘍に関連する悪液質の予防にも有用かも知れない。アポプ トーシスと細胞死もICEに関係しており(Yuan et al.,Cell 75:641-652(1993 ))、本発明の阻害剤により治療が可能である。 本発明は、システインプロテアーゼ阻害剤として作用する数種類の金属錯体を 提供する。構造1は、この様な種類の中で最も重要な錯体を包括的に示すもので ある。 この態様において、Mは、遷移金属イオンを示し、Aは、窒素または酸素を示し 、Eは、酸素、硫黄、窒素またはセレンを示し、Dは、炭素、ホウ素(B)または リン (P)を示す。Xは、対イオンまたは中性配位子を示す。R1は、水素、ハロゲン、 アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、 アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング部分を示し、あるいはA が酸素、硫黄またはセレンの場合には存在しなくてもよい。R2は、Aがホウ素の 場合には、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アル キルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティ ング部分、カルボニル酸素、ホスホニル酸素、または-OR5を示す。R3は、Aがホ ウ素またはリンの場合には、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、 アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリー ル、ターゲッティング部分、または-OR5を示し、あるいはR2がカルボニル酸素の 場合には存在しない。R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立して水素、ハロ ゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキ ル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッティング部分を示す。 更に、R6およびR7は共に下記に詳細に説明されているように、シクロアルキルま たはアリール構造を形成する。 適切な遷移金属イオンは、配位元素として硫黄を優先的に選択し、銅(Cu+2ま たはCu(II)を含む)、ニッケル(Ni+2またはNi(II)を含む)、パラジウム( Pd+2またはPd(II)を含む)および白金(Pt+2またはPt(II)を含む)から成る グループから選択され、銀(Ag)および金(Au)もここに説明されている幾つか の態様において可能である。ここに説明されている態様の殆どにおいて、錯体は +2の酸化状態で金属を受け入れる様にデザインされている。銀または金が使用さ れる場合、本技術分野において知られているように、配位子と対イオンは調整す ることができる。一般に、Cu、Ni、Pd、Ptが好ましく、特に言及されていない 場合には、殆どの態様においてCuが最も好ましい。 A、E、X、Mの選択は、種々の因子により左右される。好ましい態様において、 本発明の錯体は、中性、すなわち荷電していないので、A、E、X、M部分の合計の 電荷は、好ましくは零と等しい。従って、ここに説明されているように、AとEの 選択により、Xが対イオンまたはリガンドのどちらであるかが決定される。従っ て、AとEが、共に負電荷を帯びている場合(例えば、Aが酸素でR1が存在せず、E が硫黄、酸素またはセレンでR8が存在しない場合)、Xは中性配位子である。あ るいは、AとEのどちらか一方が負電荷を帯び、もう一方が中性の場合には、Xは 対イオンである。本技術分野において明らかなように、AとEのいずれかは負電荷 を帯びているべきである。従って、好ましい態様では、どちらも負電荷を帯びた AとEを利用している。Aは窒素(R1は存在する)であり、Eは酸素、硫黄、または セレンであり、R8は存在しない。あるいはAは酸素(R1は存在しない)であり、E は酸素または窒素であり、R8は存在する。 適切な対イオンには、ハロゲン、-OR、-SR、-NHRが含まれるが、これらに限定 されない。この場合、Rはここに定義されている様に置換基であり、好ましくは アルキルおよびアリールである。ここで、「ハロゲン」はF、Cl、Br、Iを意味す る。 「中性配位子(neutral coordinating ligand)」とは、ここでは金属に電子を 供与し、酸化状態を形式上変化させることなく金属-配位子錯体を形成できる中 性分子を意味する。適切な中性配位子には、水(H2O)、ジオキサン、THF、エー テル(ROR)、チオエーテル(RSR)、アミン(NR3)およびホスフィン(PR3)が 含まれるが、これらに限定されない。この場合、Rは多くの基が可能であるが、 アルキル基が好ましい。 「アルキル」とは、ここでは直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、直鎖アル キル基が好ましい。分岐鎖の場合には、1箇所以上で分岐してよく、明示されて いない場合にはどの部位でも良い。アルキル基の定義には、飽和および不飽和の C5およびC6環等のシクロアルキル基も含まれる。シクロアルキル基には、ヘテロ シクロアルキルも含まれ、この場合、ヘテロ原子は、酸素、窒素または硫黄であ る。場合によっては、2つの隣接するR基が共に環を形成し、すなわち環構造の 一部を構成する、つまり、結合して飽和または不飽和の環状アルキル構造または 下記に定義されているアリール基を形成することも可能である。 アルキル基の炭素原子は、約1ないし20個(C1-C20)の範囲が可能であり、好 ましい態様では約1ないし約10個の炭素原子を利用しており(C1-C10)、約C1か ら約C5が好ましい。しかし、幾つかの態様において、特に直鎖アルキルの場合に は、アルキル基がより大きい場合がある。特に好ましいアルキル基は、メチルお よびプロピル基である。場合によっては、アルキル基はヘテロアルキルである。 「アリール」または「アリール基」は、ここでは、フェニル、ベンジル、ナフ チルを含む芳香族環、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、インドール、 プリン等の複素環式芳香族環、および窒素、酸素、硫黄または燐を含む複素環を 意味する。好ましいアリール基は、フェニル基である。 アルキルおよびアリール基は、置換されていてもよく、例えば、フェニル基は 、置換されたフェニル基でもよい。適切な置換基は、一般に、ここでは「R」と して示され、アルキルおよびアリール基、塩素、臭素、フッ素などのハロゲン、 アミン、アルコール、カルボン酸、およびニトロ基が含まれるが、これらに限定 されない。場合によってはここに説明されているように、R置換基は、ターゲッ ティング部分でもよい。いくつかの態様において、ターゲッティング部分は、置 換基として結合されていてもよい。 「アルキル酸」または「有機酸」または文法上の同等物は、ここでは、1個以 上のカルボキシル基、-COOHすなわちカルボン酸を含むアルキル基を意味する。 上記に定義されているように、アルキル基は置換されていても、置換されていな くても良い。C1-C20アルキル基は、少なくとも1個のカルボキシル基をアルキル 基炭素のいずれか1個に結合させて使用することが可能であり、C1-C5が好まし い。好ましい態様において、カルボキシル基はアルキル基の末端炭素に結合され る。 その他の好ましい酸には、リン酸およびスルホン酸が含まれる。 「アルコール」とは、ここでは-OH基を意味する。「アルキルアルコール」と は、アルキル酸と同様に、ここでは1個以上のアルコール基を含むアルキル基を 意味する。上記に定義されているように、アルキル基は置換されていても、置換 されていなくても良い。アルキルアルコールは、アルキル基によって第一級、第 二級または第三級のアルコールが可能である。好ましい態様において、アルキル アルコールは、直鎖第一級アルキルアルコールであり、一般に少なくとも2個の 炭素原子を含む。好ましいアルキルアルコールとしては、エタノール、n-プロピ ルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、n-ヘプチルアルコ ール、またはn-オクチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。アル キル酸に関して、好ましいアルキルアルコールは、アルキル基の末端炭素に結合 されたアルコール基を持つ。 「アルキルチオール」とは、チオール(-SH)基を含むアルキル基を意味する 。チオール基はどの部位に結合されていてもよいが、酸とアルコールに関しては 末端部位が好ましい。 「カルボニル酸素」とは、ここでは炭素原子に二重結合で結合された酸素を意 味する。「ホスホニル酸素」とは、ここでは燐原子に二重結合で結合された酸素 を意味する。 「アミン」の語は、ここでは-NRR'基を意味する。この態様において、Rおよび R'は同じでも、異なってもよく、水素、アルキル、またはアリールである。好ま しい-NRR'基は-NH2である。 「アルキルアミン基」の語は、ここでは、上記に定義された-NRR'基を含む上 記に定義されたアルキル基を意味する。上記に定義されたように、アルキル基は 置換されても、置換されていなくてもよい。 好ましい態様において、ここに示されている全ての構造式の少なくとも1個の R基は、ターゲッティング部分である。R基の内1個だけがターゲッティング部分 であることが好ましい。別の態様において、R基の内2個以上がターゲッティン グ部分でもよい。 「ターゲッティング部分」とは、ここでは、標的タンパク質と特異的に相互作 用する官能基を意味し、従って、金属錯体を特定の標的タンパク質に目標を定め るために使用される。即ち、金属錯体は、標的タンパク質に特異的に結合または 連結するターゲッティング部分と共有結合される。例えば、本発明の金属錯体は 、プロテアーゼを阻害することが知られているポリペプチド阻害剤を含めてよく 、このようにして標的タンパク質の機能部位において金属錯体の局所濃度を有効 に増大させることができる。適切なターゲッティング部分には、ポリペプチド、 核酸、炭水化物、脂質、蛋白様及びステロイドホルモンを含むホルモン、成長因 子、受容体配位子、抗原および抗体等が含まれるが、これらに限定されない。中 でも、ポリペプチドと核酸が好ましい。 好ましい態様において、R基の1つとしてターゲッティング部分を含む金属錯 体は、タンパク質を阻害する。タンパク質は、酵素でも、酵素でなくてもよい。 「タンパク質の阻害」とは、ここでは、阻害剤と結合すると、タンパク質の生物 活性が減少または消失することを意味する。酵素の場合、阻害は、酵素活性の減 少または消失を引き起こす。例えば、プロテアーゼ基質または阻害剤を含むポリ ペプチドは、金属錯体のR基として使用され、プロテアーゼを選択的に阻害する 金属錯体が形成される。同様に、転写因子の様な特定の核酸結合タンパク質に特 異的に結合する核酸から成るR基を含む金属錯体は、転写因子を選択的に阻害す るのに用いられる。これらの標的とされた金属錯体は、タンパク質の標的部位に 優先的に結合し、他の部位または他のタンパク質に対する非特異的結合よりもそ の部位を優先する。これにより得られた化合物はより低濃度でより効果を発揮す る。なぜならば、他の部位において相互作用する分子の数が減少し、他のタンパ ク質 を阻害することによる副作用が最小限に抑えられるからである。二次的相互作用 により、標的部位において消費される時間も長くなり、配位子(ligand)が交換さ れる機会も増えることになる。 特定のタンパク質に対する金属錯体をデザインするにあたり、システインの硫 黄原子またはその他の可能な反応部分に対する金属錯体の親和性が高いというこ とは、金属錯体が活性部位にぴったり当てはまる必要のないことが明らかである 。むしろ、重要な事は、金属錯体が標的アキシアル配位子部分に接近できること である。酵素の活性部位残基に目標を定めるには、例えば、金属錯体は、一般に 典型的な酵素基質または阻害剤よりも大きくてはならない。金属錯体の肉眼的構 造および表面特性は、金属錯体の外部領域と所望の生物活性部位との相互作用を 決定するであろう。外部領域の相互作用の特異性は、大きさ、電荷、屈曲性、立 体化学、および金属錯体の表面特性の変化により至適化される。従って、適切な 阻害剤をデザインする場合、タンパク質または酵素標的の特徴が利用される。 「ポリペプチド」とは、ここでは、ペプチド結合により共有結合された約2な いし約20個のアミノ酸残基の化合物を意味する。好ましい態様は、約2ないし約 8個のアミノ酸のポリペプチドを利用し、約4ないし約6個が最も好ましい。好 ましくは、アミノ酸は、L型の天然アミノ酸であるが、下記に概説するように、 アミノ酸類似体も有用である。特定の条件下では、ポリペプチドは、アミノ酸残 基1個のみでも良い。更に、幾つかの態様において、ポリペプチドはより大きく てもよく、タンパク質でも構わないが、これは好ましくない。一態様において、 ポリペプチドはグリコシル化されている。 ポリペプチドの定義には、ペプチド様構造またはアミノ酸類似体も含まれる。 従って、例えば、非天然の側鎖または結合を、例えば、生体内分解を阻害または 遅延させるために利用できる。あるいは、アミノ酸側鎖は、(R)またはD型でも 良い。更に、アミノ酸は、通常はペプチド結合、すなわちペプチドのカルバモイ ル基、すなわち-CONH-より結合されているが、ペプチド様結合により結合されて もよい。これらのペプチド様結合には、CH2-NH-、CO-CH2、アザペプチドおよび レトロインバージョン結合が含まれる。 ここに使用されている様に、「核酸」は、DNAまたはRNAのいずれか、あるいは デオキシ-およびリボヌクレオチドの両者を含む分子を意味することができる。 一般に、核酸は約3から約50個のヌクレオチドから成るオリゴヌクレオチドであ り、約12から36個が特に好ましく、少なくとも21個のヌクレオチドが特に好まし い。単に溶解性を与えるためだけに核酸を使用する場合には、核酸はより小さく てよく、幾つかの態様においては1個のヌクレオチドでよい。ヌクレオチドは天 然ヌクレオチドでも合成ヌクレオチドでもよく、天然ヌクレオチドと合成ヌクレ オチドのあらゆる組み合わせが可能であるが、ウラシル、アデニン、チミン、シ トシン、グアニン、イノシンが好ましい。下記により詳細に説明されているよう に、核酸には、ゲノムDNA、cDNA、およびセンスおよびアンチセンス核酸を含む オリゴヌクレオチドが含まれる。核酸は二本鎖、一本鎖、または、二本鎖あるい は一本鎖配列の両者から成る部分を含んでよい。好ましい態様において、例えば 、亜鉛フィンガー転写因子を標的とするために核酸を使用する場合、核酸は二本 鎖である。なぜならば、亜鉛フィンガーが二本鎖核酸の主溝に結合するからであ る。核酸は一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、下記に概説 されているように、核酸は、ホスホルアミド(phosphoramide)(Beaucage et al. ,Tetrahedron 49(10): 1925(1993)およびその中の引用文献;Letsinger,J .Org. Chem.35:3800(1970); Sprinzl et al.,Eur.J.Biochem.81:579(19 77);Letsinger et al.,Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawai et al.,C hem.Lett.805(1984),Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(19 88);およびPauwels et al.,Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチ オエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein ,Olig onucleotides and Analogues: A Practical Approach,Oxford University Pres s参照)、またはペプチド核酸結合(Egholm,J.Am.Chem.Soc.114:1895(199 2);Meier et al.,Chem.Int.Ed.Engl.31:1008(1992);Nielsen,Nature , 365:566(1993)参照)を含む類似のバックボーンを有することができる。リ ボースリン酸バックボーンのこれらの修飾は、生理的環境において金属錯体の付 加を促進するため、あるいはこの様な分子の安定性と半減期を増大させるために 行われる。 「炭水化物」とは、ここでは一般式Cx(H2O)yの一般式を持つ化合物を意味す る。単糖、二糖、オリゴ糖または多糖は、全てこの定義の中に含まれ、また、グ リコシド結合により結合された種々の糖分子のポリマーを含む。特に好ましい炭 水化物は、グリコシル化タンパク質の炭水化物の成分の全てまたは一部を含む炭 水化物であり、ガラクトース、マンノース、フコース、ガラクトサミン、(特に N-アセチルグルコサミン)、グルコサミン、グルコースおよびシャル酸(sialica cid)のモノマーおよびオリゴマーが含まれ、特に、細胞表面受容体のようないく つかの受容体への結合を可能にするグリコシル化成分が含まれる。他の炭水化物 は、グルコース、リボース、ラクトース、ラフィノース、フルクトースのモノマ ー及びポリマー、およびその他の生物学的に重要な炭水化物を含む。 ここで使用される「脂質」には、脂肪、脂肪油、ワックス、燐脂質、糖脂質、 テルペン、脂肪酸、およびグリセリド、特にトリグリセリドが含まれる。エイコ サノイド、ステロイド、およびステロールも脂質の定義の中に含まれ、その中に はプロスタグランジン、アヘン剤(opiates)、コレステロールなどのホルモンも 含まれる。ホルモンにはステロイドホルモンと蛋白様ホルモンの両者が含まれ、 エピネフリン、チロキシン、オキシトシン、インシュリン、甲状腺刺激ホルモン 、カルシトニン、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコトロピン、卵胞刺激ホルモン 、グルカゴン、黄体形成ホルモン、リポトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、 ノ ルエピネフリン、副甲状腺ホルモン、バソプレシン、エンケファリン、セロトニ ン、エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、コルチゾン、グルコ コルチコイドが含まれるが、これらに限定されない。受容体配位子には、細胞表 面受容体のような受容体に結合する配位子が含まれ、これにはホルモン、脂質、 タンパク質、糖タンパク質、シグナルトランスデューサ(signal transducers)、 成長因子、サイトカインなどが含まれる。 好ましい態様において、標的部分はポリペプチドである。この態様において、 ポリペプチドは、阻害される標的タンパク質または酵素に基づいて選択される。 例えば、標的酵素がプロテアーゼの場合、ポリペプチドは、酵素基質または阻 害剤の反応部位に類似しているか、それらから構成される。ポリペプチドが阻害 剤から成る場合、阻害剤は可逆的または不可逆的阻害剤である。ポリペプチドの 配列は、プロテアーゼの活性部位にポリペプチドが結合できるように選択される 。 ポリペプチドとポリペプチドの金属錯体への付着部位は、金属と活性部位シス テインとの相互作用を最大限にするように選択される。即ち、下記に説明されて いるように、ポリペプチドは、N-末端またはC-末端で金属錯体に付着される。 本技術において公知のように、多くの酵素の活性部位システインは、酵素の基 質(または阻害剤)の結合部位のS1-S1'の位置に近接している。従って、好まし い態様において、ポリペプチドは、金属錯体と活性部位システインの相互作用が 最適となるように選択される。例えば、ポリペプチドは、基質または阻害剤のお およそP4からP1残基(酵素の結合部位のS4からS1の位置を占める。)を含み、C- 末端(P1)で金属錯体に付着され、金属錯体と、酵素の活性部位、特に活性部位 システインとの立体的相互作用を最大限にする。あるいは、ポリペプチドは、P1 'からP4'残基(S1'からS4'の位置に対応する。)を含み、N-末端(P1')におい て付着する。これらの付着のタイプが下記に説明されている。しかし、活性部位 付近の金属錯体の局所濃度が十分高められると思われる事から、上記の様に、相 互 作用は阻害が可能となるほど完全である必要はない。 従って、本発明により、公知の酵素基質を阻害剤として利用する事と、例えば 、K1を減少させることにより、公知の阻害剤の効率を高めることが可能となる。 活性部位システインまたはシステインにより配位される必須金属イオンのいずれ かを含む、種々のプロテアーゼに対する種々の酵素基質と阻害剤は本技術におい て公知である。更に、結晶構造が公知である酵素の形態特性は、適切な金属錯体 のデザインに利用される。別の態様では、表面電荷と疎水性、基質と阻害剤の特 異性に関する公知の特徴を利用している。 好ましい態様において、金属錯体に付着させた結果、ポリペプチド阻害剤のK1 が減少される。即ち、阻害剤は金属錯体の付着により、優れた阻害剤となる。従 って、他の部位で消費される分子数が減少するため、金属錯体はより低濃度で効 果を発揮する。 好ましい態様において、R基の少なくとも1個は、金属錯体に特定のタンパク質 または酵素を目標とさせるために用いられる核酸である。例えば、標的タンパク 質は、亜鉛フィンガータンパク質の様に、生物活性において重要な少なくとも1 個のシステインを有する核酸結合タンパク質であり得る。 核酸に結合する亜鉛フィンガータンパク質に関して知られているように、各亜 鉛フィンガーは、3塩基対の核酸と相互作用または結合する(上記Bergを参照) 。従って、核酸結合タンパク質を標的とするために使用される核酸の実際の配列 は、標的タンパク質に応じて変化する。核酸配列とその標的結合タンパク質は、 本技術分野において公知である。 ポリペプチドの場合と同様に、金属錯体を核酸に種々の方法で種々の位置にお いて付着させることが可能である。実際の方法は下記に説明されている。付着部 位は、金属イオンとの結合に必須のシステイン(または活性部位システイン)の ような反応性アミノ酸と金属錯体との相互作用を最大限にする様に選択される。 好ましい態様において、核酸のバックボーンは、金属錯体への付着に利用できる 官能基を含む様に修飾される。この官能基は、例えば、核酸の5’または3’末端 に付加できる。例えば、核酸は、本技術分野において広く知られた技術を用いて 、アミノ修飾ヌクレオチドを含む様に合成できる(例えば、Imazawa et al.,J .Org.Chem.44:2039-2041(1979); Miller et al.,Nucleosides,Nucleotid es 12:785-792(1993); およびWO95/15971,およびそれらにおいて引用されて いる参考文献を参照されたい。)。この実施例において、アミン基は、リボホス フェートバックボーンに2'または3'位において付加され、従って、5'または3末 端において核酸を金属錯体に付着させることができる。次に、これらのアミン基 を利用して、核酸を金属錯体に結合させる。あるいは、下記に概説されているよ うに、公知の技術により、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチ オエート、またはO-メチルホスホロアミダイト結合を含むヌクレオチド二量体は 、作製されて、合成中に核酸に任意の部位で付加されることもでき、付着には窒 素または硫黄原子を利用できる。更に、本技術において公知の様に(例えば、Th uong et al.,Angew.Chem.Intl.Ed.Engl.32:666-690(1993); およびMerg ny et al.,Nucleic Acid Res.22:920-928(1994)参照)、バックボーンの燐 原子、またはリンカーを利用することもできる。 構造1の好ましい実施例を、構造2〜6及び実施例として下記に示す。 構造2において、Eは酸素、硫黄またはセレンを示し、R3は水素を示し、Xは対 イオンである。 構造3において、Eは酸素、硫黄またはセレンを示し、Xは中性配位子である。 構造4において、Eは酸素、硫黄またはセレンを示し、Xは中性配位子である。 構造5において、Eは酸素、硫黄またはセレンを示し、Xは中性配位子である。 構造6において、Eは窒素、酸素、または硫黄を示し、Xは対イオンである。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、下記構造7に示される式を有す る。 構造7において、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選 択される遷移金属イオンを示し、Eは、酸素、硫黄、またはセレンを示し、特に 酵素が好ましい。R9、R10、R13、R14は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル 、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキル アミン、アミン、アリール、またはターゲッティング部分を示す。R11およびR12 は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、 アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッ ティング部分を示し、あるいは共にシクロアルキルまたはアリール基を形成でき る。同様に、R15およびR16は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルキル アルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、ア ミン、ア リール、ターゲッティング部分を示し、あるいは共に、シクロアルキルまたはア リール基を形成できる。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、下記構造8に示される式を有す る。 構造8において、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選 択される遷移金属イオンを示し、Cu2+とNi2+が好ましい。Eは、酸素、硫黄、ま たはセレンを示し、酸素が好ましい。R17、R18、R19、R24は、独立して、水素、 ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、ア ルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッティング部分を 示す。R17とR18の位置、R17とR17'の位置、R18とR18'の位置に、2個のR基が存 在してもよく、好ましくは、これらは全て水素であることも理解されるべきであ る。R20およびR21は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコー ル、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、ア リール、ターゲッティング部分を示し、あるいは共にシクロアルキルまたはアリ ール基を形成できる。R22およびR23は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、 アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルア ミン、アミン、アリール、ターゲッティング部分を示し、あるいは共に、シクロ アルキルまたはアリール基を形成できる。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、下記構造9に示される式を有す る。 構造9において、Mは、+1の酸化状態の遷移金属イオンを示し、好ましくは、C u(+1)、Au(+1)またはAg(+1)である。Xは対イオンを示す。R25、R26、R27 、R28、R29、R30、R31、R32およびR33は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル 、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキル アミン、アミン、アリール、またはターゲッティング部分を示し、あるいは隣接 するR基と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成する。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、下記構造10に示される式を有 する。 構造10において、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから 選 択される遷移金属イオンを示し、Au2+が好ましい。Xは対イオンを示す。R35、R3 6 、R37は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコ ール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ま たはターゲッティング部分を示し、あるいは隣接するR基と共に、シクロアルキ ル(好ましくは、ヘテロシクロアルキルであり、ヘテロ原子は窒素、酸素、また は硫黄である。)、置換シクロアルキル、アリール、または置換アリール基を形 成する。好ましい態様において、R35、R36、R37またはシクロアルキルまたはア リール基のR置換物の少なくとも1個は、ターゲッティング部分であり、ポリペ プチドおよび核酸が好ましい。従って、好ましい態様には、下記に示す構造が含 まれる。 構造11において、窒素原子上のR基は、ここに定義されているR基または水素 である。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、下記構造12に示される式を有 する。 構造12において、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから 選択される遷移金属イオンを示し、Cu、Ni、PdおよびPtが好ましい。Xは対イオ ンを示す。R38、R39、R40、R41、R42、およびR43は、独立して、水素、ハロゲン 、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸 、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッティング部分を示す。好 ましい態様において、R38からR43の少なくとも1個はターゲッティング部分であ る。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、下記構造13に示される式を有 する。 構造13において、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから 選択される遷移金属イオンを示し、Cu、Ni、PdおよびPtが好ましい。Eは、酸素 、硫黄、またはセレンであり、酸素が好ましい。Xは、それぞれ独立して対イオ ンを示す。R44は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコー ル、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、また はターゲッティング部分を示す。好ましい態様において、R3からR43の少なくと も1個はターゲッティング部分である。 本発明の一態様において、本発明の金属錯体は標識される。「標識金属錯体」 とは、ここでは、例えば、分析時に、金属錯体、あるいはタンパク質または酵素 に不可逆的に結合された金属錯体を検出できるように、少なくとも1個の元素、 同位元素または化学化合物を付着させた金属錯体を意味する。一般に、標識は、 a)同位元素標識(これは放射性でも質量の重い同位元素でもよい)、b)免疫 標識(これは抗体または抗原が可能である)、c)着色または蛍光染料の3種類 に分類される。標識は金属錯体のどの位置にも例えば、置換基として取り込む事 ができる。有用な標識の具体例として、本技術分野において公知の、14C、3H、 ビオチン、および蛍光標識を含む。 本発明の金属錯体は、一般に合成され、本技術分野において知られており、具 体例に概説されている必要な程度にまで、精製される。 一旦作製されれば、本発明の金属錯体は、ここに概説されているように、種々 の応用例において有用である。一態様において、本発明の金属錯体は、一般的静 菌剤および殺菌剤として、および/または抗ウイルス剤として、局所およびその 他の治療用に有用である。例えば、局所抗菌剤は洗浄および消毒組成物として有 用と思われ、本技術において公知である。抗菌剤および抗ウイルス剤の治療用途 も公知である。 本技術分野において公知の技術を用いて、化合物の抗ウイルス、抗菌活性が分 析される。例えば、殺菌活性は、米国特許第5,049,557号の具体例VIに概説され ている技術を用いて測定できる。in vitroおよびin vivoの抗ウイルス活性は、 共に米国特許第5,210,096号に概説されている技術を用いて測定できる。 本発明の金属錯体はタンパク質を標識するためにも使用できる。本発明の金属 錯体をタンパク質と共にインキュベーションすると、タンパク質のいくつかの部 分が配位子となり、強固に結合されたタンパク質-金属錯体組成物が生じる。タ ンパク質の好ましい配位子は、システイン側鎖の硫黄原子である。従って、タン パク質の表面あるいは溶媒に接触可能な1個以上のシステイン残基を持つタンパ ク質は、本発明の金属錯体を用いて標識可能である。 この態様において、本発明の金属錯体を標的タンパク質に付加または接触させ る。余分な金属錯体は分離することができ、付着させた金属錯体とともに標識さ れたタンパク質が本技術分野において公知の方法で検出される。 タンパク質に結合された金属錯体の立体化学は、活性部位中または活性部位に おいて、あるいはタンパク質の表面において、潜在的な配位子の数によって変化 し、本技術分野において公知のように分光測光法により測定される。従って、例 えば、4個の接近可能なシステインを持つタンパク質は、一般に4個の金属錯体 等と結合する。 従って、本発明の金属錯体は、タンパク質の表面特性のプロービングにも有用 である。 タンパク質を結合または標識するために使用する場合、標準的技術を用いて金 属錯体をアフィニティークロマトグラフィーカラムに結合する事ができる。次に 、これらのカラムは、試料からタンパク質を分離するために使用できる。例えば 、金属錯体の特異性に基づいて、タンパク質を試料から取り出したり、あるいは 、活性部位にまたは活性部位付近に、システインを含むタンパク質を、試料のそ の他の成分から分離する事ができる。 好ましい態様において、金属錯体は酵素阻害剤として有用である。不活化の機 序はタンパク質を標識する機序と類似している。この態様において、酵素は、本 発明の金属錯体の中に配位子として結合可能な1個以上の部分を持っている。1 個以上のこの様な部分は、酵素活性にとっても機能的に重要であり、本発明の金 属錯体との接触により不活化される。 例えば、活性部位触媒残基としてシステインを持つ、あるいは酵素活性にとっ て機能的に重要なシステインを持つ酵素は、特に好ましい。ここに概説されてい るシステインプロテアーゼのような酵素は、全て活性部位システインを持ってお り、従って、本発明の化合物により阻害される可能性がある。 この態様において、金属錯体を標的酵素に接触させる。活性部位システインの システイン側鎖の硫黄原子は、金属錯体に配位子として結合する。 この結合により酵素の阻害が引き起こされる。不活化の正確な機序は不明であ るが、幾つかの可能性が存在する。結合された金属錯体は、触媒活性を立体的に 障害している可能性がある。即ち、結合された金属錯体は、触媒活性部位で、あ るいは触媒活性付近で、結合されている可能性がある。あるいは、結合された金 属錯体は、触媒機序を障害している可能性がある。即ち、触媒システインに結合 することにより、阻害している可能性がある。更に、活性部位の機能的に重要な 部分が、金属イオンにより還元され、それにより酵素が不活化される可能性もあ る。 好ましい態様において、金属錯体阻害剤による酵素の不活化は、効果的に可逆 的である。 更なる態様において、金属タンパク質は、本発明の金属錯体により不活化され る。一般に、金属タンパク質の金属は、ヒスチジン、システインおよびメチオニ ン等の配位子を有する。もしも、これらの残基の1個以上が、これらの金属錯体 を用いて不活化されると、金属原子の結合は減少または消失し、従って、生物活 性は減少または消失する。特定の金属タンパク質には、「亜鉛フィンガー」タン パク質やヘムエリトリンの様な核酸結合タンパク質が含まれるが、これらに限定 されない(引用する事により本明細書の一部を成す事とする「Berg,Ann.Rev. Biophys.Biophys.Chem 19:405-421(1990)」、「Berg,Science 232:485(19 86)」、「Berg,Prog.Inorg.Chem.37:143(1989)」を参照のこと)。亜鉛 フィンガータンパク質は、核酸に結合し、それにより種々の遺伝子制御過程にお いて重要な役割を果たすことが明らかにされている。亜鉛フィンガータンパク質 には、転写因子とその他の核酸結合および遺伝子制御タンパク質が含まれ(Berg ,Science,上記参照)、真核生物、原核生物、およびウイルス中に見いだされる 。本発明の化合物による不活化に適したその他の亜鉛フィンガータンパク質には 、ステロイドと甲状腺ホルモン受容体の核酸結合ドメインと、5つの亜鉛フィン ガー ドメインを含むヒトオンコジーン生成物GLI(Pavletch et al.,Science 261:170 1(1993);Kinzler et al.,Nature 332:371(1988)を参照)が含まれる。好 ましい態様において、1つ以上の亜鉛フィンガードメインは、亜鉛を結合するた めに少なくとも1個のシステインを利用し、2つのシステインを利用するタンパ ク質が好ましい。場合によっては、金属はシステインによってのみ結合される。 金属タンパク質が金属酵素である場合、金属錯体による活性部位金属の置換に よって酵素活性が変化する可能性がある。この様な金属酵素には、カルボキシペ プチダーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ、サーモリシン、コラゲナーゼ、ヒス チジノールデヒドロゲナーゼ、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ、アデノシンデア ミナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸 デヒドロゲナーゼ、ストロマリシン、アミノアシクラーゼ、トリプトファニル-t RNAシンセターゼ、および本技術分野において公知のその他が含まれるが、これ らに限定されない。 阻害剤としての金属錯体の効力試験は、本技術分野において明らかなようにル ーチン試験である。標的タンパク質が酵素である場合、本技術分野において明ら かな様に、試験は酵素阻害剤の試験と同様に行われる。一般に、酵素は、推定さ れる阻害剤の存在下と非存在下に分析され、速度論的パラメータは、本技術分野 において公知の方法により計算される。 特定の酵素を阻害するために必要な金属錯体阻害剤の量は、タンパク質標識に 関して上記に概説されているように、酵素表面のその他の反応性アキシアル配位 子の数によって変化する。例えば、1個の活性部位システインと2個のその他の 「表面」システインを有する酵素は一般に、金属錯体阻害剤:酵素比が少なくと も3:1である必要がある。酵素に結合する総量は、本技術分野において公知の方 法で決定できる。 本発明の金属錯体を用いて、選択されたタンパク質または酵素を阻害する方法 も提供されている。この態様において、標的タンパク質は、ここに説明されてい る金属錯体のいずれかに接触または曝露される。ポリペプチドまたは核酸等のタ ーゲッティング部分を付加することにより、金属錯体は特定のタンパク質を目標 と定める事ができる。 亜鉛フィンガータンパク質を金属錯体に接触させることから成る亜鉛フィンガ ータンパク質を阻害する方法も提供されている。「亜鉛フィンガータンパク質を 阻害する」との語は、ここでは亜鉛フィンガータンパク質の生物活性が、金属錯 体に曝されることによって減少または消失することを意味する。一般に、亜鉛フ ィンガータンパク質が核酸結合タンパク質である場合、これは亜鉛フィンガータ ンパク質がもはや核酸にはかなりの程度で結合しないことを意味する。 幾つかの態様において、金属錯体は標識され、例えば診断分析において、細菌 、真菌、植物、酵母、ウイルスまたは哺乳動物細胞培養物に加えて、例えば、血 液、リンパ、唾液、皮膚またはその他の組織試料中のシステインプロテアーゼの 検出または定量のために使用される。 好ましい態様において、本発明の金属錯体は、システインプロテアーゼに関係 する疾患を治療するために患者に投与される。「システインプロテアーゼに関係 する疾患」または文法的同等物は、ここではシステインプロテアーゼに関係する 病態を意味する。幾つかの疾患において、この病態は、システインプロテアーゼ 濃度の上昇に関係しており、例えば、関節炎、筋ジストロフィー、炎症、腫瘍の 浸潤、および糸球体腎炎は、全てシステインプロテアーゼ濃度の上昇に関係して いる。その他の疾患においては、病態は、正常組織には存在しない細胞外システ インプロテアーゼ活性の出現に関係している。その他の態様において、システイ ンプロテアーゼは、ウイルス等の病原体が宿主生物体において感染または複製す る能力に関係している。 システインプロテアーゼに関係する疾患の具体例は、関節炎、筋ジストロフィ ー、炎症、腫瘍の浸潤、糸球体腎炎、マラリア、アルツハイマー病、自己免疫系 の障害に関係する疾患、歯周病、癌の転移、外傷、炎症、歯肉炎、リーシュマニ ア症、フィラリア症、およびその他の細菌および寄生虫による感染症、および上 記に概説されているその他の疾患が含まれるが、これらに限定されない。 特に、上記に概説されているように、インターロイキン1β変換酵素(ICE)に 関係する疾患が含まれる。 好ましい態様において、阻害される酵素はカルボニックアンヒドラーゼである 。カルボニックアンヒドラーゼは、糖尿病、緑内障等の眼疾患、発作と痙攣に関 与している。従って、本発明の金属錯体のようなカルボニックアンヒドラーゼの 阻害剤は、これらの疾患の治療に有用である。 従って、一態様において、金属錯体は、眼内圧の上昇と緑内障の治療に有用で ある。カルボニックアンヒドラーゼは、眼内圧の上昇に関与しており、カルボニ ックアンヒドラーゼ阻害剤は、動物とヒトにおいてこの圧を低下させるのに有効 であることが明らかにされている(Sharir et al.,Experimental Eye Res. 58 (1):107-116(1994); Rassam et al.,Eye 7(Pt 5):697-702(1993); Gun ning et al.,Graefes Archive for Clinical and Exerimental Ohthalmology 2 31(7):384(1993)を参照)。 更なる態様において、金属化合物は、発作と痙攣の治療に有用である。カルボ ニックアンヒドラーゼII欠乏マウスは、化学的に誘発される発作に対する抵抗性 が増大していることが明らかにされており、カルボニックアンヒドラーゼ阻害剤 の前投与により、正常マウスの化学的に誘発される発作に対する抵抗性が増大す ることが明らかにされている。「Velisek et al.,Epilepsy Res. 14(2):115- 121(1993)」を参照されたい。 更なる態様において、金属化合物は、糖尿病と腎機能異常の治療に有用である 。カルボニックアンヒドラーゼ濃度の上昇は、糖尿病や高血圧等の代謝疾患に関 係 しており、治療にカルボニックアンヒドラーゼ阻害剤が提唱されている。「Paru i et al.,Biochem .International 26(5): 809-820(1992)」、「Parui et al.,Biochem .International 23(4):779-89(1991)」、「Dogson et al.,A rch .Biochem.Biophys. 277(2):410-4(1990)」、「Hannedouche et al.,C linical Sci. 81 (4):457-64(1991)」を参照されたい。 この態様において、治療有効量の金属錯体が患者に投与される。「治療有効量 」とは、ここでは、投与される対象に効果を発揮する用量を意味する。正確な用 量は、治療される疾患と、阻害剤されるシステインプロテアーゼまたはその他の 酵素の量によって変わり、公知の技術を用いて本技術分野に精通する者により確 認可能である。一般に、本発明の金属錯体は、1日あたり約1から約1000mgで投 与される。本技術分野において公知の様に、阻害剤の崩壊、全身および局所送達 、新しいプロテアーゼ合成速度並びに年令、体重、一般的健康状態、性別、食事 、投与時間、薬物の相互作用、疾患の重症度に関する調整が必要と思われ、本技 術分野に精通する者によりルーチンの実験により確認可能である。 本発明の目的のための「患者」には、ヒトおよびその他の動物と生物体の両者 が含まれる。従って、本方法は、ヒトの治療と獣医学上の治療の両者に応用可能 である。好ましい態様において、患者は哺乳動物であり、最も好ましい実施例に おいて、患者はヒトである。 本発明の金属錯体の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋 肉内、肺内、膣内、直腸内、眼内投与等の種々の方法により実施できるがこれら に限定されない。いくつかの場合において、例えば、傷病や炎症の治療において 、金属錯体は、溶液または散布物として直接、塗布できる。 本発明の医薬組成物は、患者への投与に適した形態の金属錯体を含む。好まし い態様において、医薬組成物は水溶性形態である。医薬組成物は、以下の1種類 以上を含むことができる。すなわち、担体ペプチド、アミノ酸、および血清アル ブミンのようなタンパク質;緩衝液;微細結晶セルロース、乳糖、コーンおよび その他のデンプン等の賦形剤;結合剤;甘味料およびその他の香料;着色料;ポ リエチレングリコール;脂質および糖を含むことができる。添加剤は本技術分野 において公知であり、種々の処方に使用される。 以下の実施例は、上記に説明されている発明の利用方法をより詳細に説明する と同時に、本発明の種々の側面を実施するために考えられる最良の方法を提示す るためのものである。これらの実施例は本発明の真の範囲を決して限定するもの ではなく、説明のために提示されるものであることは明らかである。ここに引用 されている全ての参考文献は、引用する事により本明細書の一部を成す事とする 。 実施例1 構造1の金属錯体の合成構造4の錯体: 構造14: 25mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドと10mMのN-エチルエ チレンジアミンを混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却し 、エーテルを加えた。試料を回転蒸発後、油を回収した。油である遊離配位子( 約3mM)を次に温かいエタノールに溶解し、CuIICl2(水に溶解、3.5mM)を加え た。反応液を約1時間還流し、Cu錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノール から再結晶させた。 分光測光分析を用いて、パパイン酵素活性と阻害を検討した。10μMの酵素、1 6μMの基質(Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-pNA)および25μMの金属阻害剤を用いて、2 通りの反応を実施した(1つは金属錯体を加え、もう1つは加えずに実施した) 。 構造14の銅錯体添加後1時間で、パパインはほぼ完全に阻害された。金属化 合物と酵素の反応は迅速であった(10分以内)。パパイン分子毎に、約2.5個の 銅錯体分子が存在していた事から、酵素を阻害するためにそれほど余分な金属錯 体は必要ないことが示唆される。理論には結びついていないが、活性部位システ インにおける金属錯体の間に推定される反応は、CysからClへの配位子の置換が 関与していると思われる。 分光測光分析を用いて、構造14の基質結合と阻害を測定した。タンパク質加 水分解により発色団であるp-ニトロアニリンを遊離する基質スペクトロザイムTH を使用した。10μMのトロンビン、16μMの基質、1mMの金属阻害剤を用いて、反 応を実施した。構造14の銅錯体1と共に1時間インキュベーション後、約10% の酵素しか阻害されなかった。重要なことは、銅錯体に対する酵素の比が約60,0 00対1であった点である。従って、構造14は、セリンプロテアーゼよりもシス テイ ンプロテアーゼに対し4桁以上も選択性が高い。 構造14の銅錯体による亜鉛フィンガーの崩壊は、フィルター結合分析を用い て、ヒトSp1転写因子により明らかにされた。銅阻害剤の濃度を変えて(0.001か ら0.01mM)、結合緩衝液(25mMトリス、pH=8、100mM KCl、2mM DTT、100μM ZnC l2および10%グリセロール)中に金属錯体を含めた場合と含めない場合で、25ng のSp1(Promega)を40fMの34P標識オリゴヌクレオチドと共にインキュベーショ ンした。次に、上記の試料をニトロセルロースフィルター(0.45um Schleicher and Schuell)にかけ、緩衝液(100mM HEPES、pH=7.5、1mM EDTA)で2回洗浄し た。次に、シンチレーション液中で膜をインキュベーションし、液体シンチレー ションカウンター(Beckman Instruments)により検出した。銅錯体で処理され た試料は、90%少ないカウント数を示し、オリゴヌクレオチド結合の喪失を示し ていた。金属錯体が亜鉛フィンガーへのオリゴヌクレオチド結合を阻害したため 、亜鉛フィンガー機能の喪失が観察された。 構造15: 25mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドと10mMのN-エチレン ジアミンを混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却し、エー テルを加えた。試料を回転蒸発後、油を回収した。油である約3mMの遊離配位子 を次に温かいエタノールに溶解し、NiIICl2(水に溶解、3.5mM)を加えた。反応 液を約1時間還流し、Ni錯体を油様物質として回収した。 上記のように、分光測光分析を用いて、パパイン酵素活性と阻害を検討した。 再度、10mMの酵素、16μMの基質(Ac-Try-Val-Ala-Asp-pNA)および25μMの構 造 15を用いて、2通りの反応を実施した(対照および金属錯体反応液)。錯体を より多く必要としたが、パパインの阻害が観察された。 構造16: 25mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドとN-エチルエチレン ジアミンの両者を混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却し 、エーテルを加えた。試料を回転蒸発後、油を回収した。油である遊離配位子( 約3.0mM)を次に温かいエタノールに溶解し、K2PtIICl6(水に溶解、3.5mM)を 加えた。反応液を約1時間還流し、Pt錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノ ールから再結晶させた。 構造17: 25mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドとN-フェニルエチレ ンジアミンの両者を混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却 し、エーテルを加えた。試料を回転蒸発後、固体を回収した。遊離配位子(3mM )を次に温かいエタノールに溶解し、CuIICl2(水に溶解、3.5mM)を加えた。反 応液を約1時間還流し、Cu錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノールから再 結晶させた。 構造18: 100mlのエタノール溶液の中に、10mMの5-クロロサリチルアルデヒドとN-エチ ルエチレンジアミンの両者を混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室 温に冷却し、エーテルを加えた。試料を回転蒸発後、固体を回収した。遊離配位 子(3mM)を次に温かいエタノールに溶解し、CuIICl2(水に溶解、3mM)を加え た。反応液を約1時間還流し、Cu錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノール から再結晶させた。 構造19: 5-カルボン酸サリチルアルデヒドをまず下記の様に調製した。反応後に沈澱し た茶色がかった物質をエタノールから再結晶させ、5gの所望の生成物を得た。 次に、25mlのエタノール溶液の中に、10mMの5-カルボン酸サリチルアルデヒド と10mMのN-エチルエチレンジアミンを混合した。反応液を約1時間還流した。反 応液を室温に冷却し、エーテルを加えた。試料を回転蒸発後、固体を回収した。 遊離配位子(3mM)を次に温かいエタノールに溶解し、CuIICl2(水に溶解、3.5m M)を加えた。反応液を約1時間還流し、Cu錯体を溶液から沈殿させた。これを エタノールから再結晶させた。 構造5: 構造20: 50mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドと10mMのグリシンを 混合した。反応液を約1時間還流し、この間にCuIICl2の溶液(水に溶解、10mM )を加えた。反応液を室温に冷却すると、溶液から生成物を沈殿させた。これを 水から再結晶させた。 上記のように、分光測光分析を用いて、パパイン酵素活性と阻害を検討した。 再度、10μMの酵素、16μMの基質(Ac-Try-Val-Ala-Asp-pNA)および25μMの構 造15を用いて、2通りの反応を実施した(対照および金属錯体反応液)。mM濃 度が必要であったが、パパインの阻害が観察された。 構造21: 50mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドとチロシンの両者を 混合した。反応液を約1時間還流し、この間にCuIICl2の溶液(水に溶解、10mM )を加えた。反応液を室温に冷却すると、溶液から生成物が沈殿した。これを水 から再結晶させた。 実施例2 ターゲット部分を有する構造1の化合物の合成 構造22: 5-カルボン酸サリチルアルデヒドをまず上記の様に調製した。次に、5-カルボ ン酸サリチルアルデヒド(20mM)をN-ヒドロキシスクシンイミドおよびDCCと50m lのジオキサンの中で反応させた。次に、アミノ酸トリペプチドgly-gly-gly(20 mM)をエタノール中の活性化カルボン酸に加えた。次に、25mlのエタノール溶液 の中に、10mMの修飾されたサリチルアルデヒドとN-エチルエチレンジアミンの両 者を混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却し、エーテルを 加えた。試料を回転蒸発後、固体を回収した。次に遊離配位子を温かいエタノー ルに溶解し、CuIICl2の溶液(水に溶解、10mM)を加えた。反応液を約1時間還 流し、Cu錯体が溶液から沈殿した。これをエタノールから再結晶させた。 構造23: 5-カルボン酸サリチルアルデヒドをまず上記の様に調製した。次に、5-カルボ ン酸サリチルアルデヒド(20mM)をN-ヒドロキシスクシンイミドおよびDCCと50m lのジオキサンの中で反応させた。次に、アミノ酸ジペプチドtyr-val(20mM)を エタノール中の活性化カルボン酸に加えた。次に、25mlのエタノール溶液の中に 、10mMの修飾されたサリチルアルデヒドとN-エチルエチレンジアミンの両者を混 合 した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却し、エーテルを加えた。 試料を回転蒸発後、固体を回収した。次に遊離配位子を温かいエタノールに溶解 し、CuIICl2の溶液(水に溶解、10mM)を加えた。反応液を約1時間還流し、Cu 錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノールから再結晶させた。 実施例3 構造7の金属錯体の合成 構造24: 25mlのエタノール溶液の中に、10mMのサリチルアルデヒドと3-アミノプロパノ ールを混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷却し、油を回収 した。遊離配位子(10mM)を次に温かいエタノールに溶解し、CuIICl2(水に溶 解、5mM)を加えた。反応液を約1時間還流し、2:1Cu錯体を溶液から沈殿させ た。これをエタノールから再結晶させた。 分光測光分析を用いて、パパイン酵素活性と阻害を検討した。再度、10μMの 酵素、16μMの基質(Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-pNA)および25μMの構造24を用いて 、 2通りの反応を実施した(対照および金属錯体反応液)。上記の様に、パパイン の阻害が観察された。この錯体は、銅を含む点では錯体と類似しているが、配位 領域は大きく異なる。金属平面における配位子の置換は不可能なため、システイ ンはこの錯体のアキシアル位に結合しなくてはならない。 実施例4 構造8の金属錯体の合成 構造25: 30mlのエタノール溶液の中に、20mMのサリチルアルデヒドと10mMのエチレンジ アミンをモル比2:1で混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷 却し、遊離配位子を溶液から沈殿させた。遊離配位子(20mM)を次に温かいエタ ノールに溶解し、CuIICl2(水に溶解、20mM)を加えた。反応液を約1時間還流 し、Cu錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノールから再結晶させた。 構造26: 30mlのエタノール溶液の中に、20mMのサリチルアルデヒドと10mMのエチレンジ アミンをモル比2:1で混合した。反応液を約1時間還流した。反応液を室温に冷 却し、遊離配位子を溶液から沈殿させた。遊離配位子(20mM)を次に温かいエタ ノールに溶解し、NiIICl2(水に溶解、20mM)を加えた。反応液を約1時間還流 し、Ni錯体を溶液から沈殿させた。これをエタノールから再結晶させた。 実施例5 構造9の金属錯体の合成 構造26: 遊離配位子bpzを温かいエタノールに溶解する。次に、アルゴン下に塩化銅(I) を加え、溶液を1時間還流する。反応液を氷中で冷却し、銅錯体を沈殿させる。 実施例 構造10の金属錯体の合成 構造28: この種類の分子の代表例を説明する。10mMのアミノチオエーテルを20mlのエタ ノールに溶解した。次に、1当量のHAuCl4を加えた。反応液を暗所に保持した。 反応液を室温で1時間撹拌した。溶液から金錯体を白色粉末として沈殿させた。 溶液から金チオエーテルを沈殿させるために、エーテルを加える事もできる。 分光測光分析を用いて、パパイン酵素活性と阻害を検討した。再度、10μMの 酵 素、16μMの基質(Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-pNA)および25μMの構造28の金錯体を 用いて、2通りの反応を実施した(対照および金属錯体反応液)。金属錯体を添 加すると直ちにパパインの阻害が観察された。これは、金錯体がシステインプロ テアーゼの有効な阻害剤となり得る事を示唆している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/67 A61K 31/67 31/675 31/675 31/69 31/69 C07F 1/12 C07F 1/12 15/00 15/00 F 15/04 15/04 (72)発明者 グレイ,ヘンリー・ビー アメリカ合衆国、91106 カリフォルニア、 パサデナ、イースト・カリフォリニア・ブ ールヴァード 1415 (72)発明者 ミード,トーマス・ジェイ アメリカ合衆国、91001 カリフォルニア、 アルタデナ、ニュー・ヨーク・ドライヴ 1656

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式 (式中、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷 移金属イオンを示し、 Aは、窒素または酸素を示し、 Eは、酸素、硫黄、窒素またはセレンを示し、 Dは、炭素、ホウ素、またはリンを示し、 Xは、対イオンまたは中性配位子を示し、 R1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはAが酸素、硫黄またはセレンの場合には存在しなくてもよ く、 R2は、Aがホウ素の場合には、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール 、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリ ール、ターゲッティング部分、カルボニル酸素、ホスホニル酸素、または-OR5を 示し、 R3は、Aがホウ素またはリンの場合には、水素、ハロゲン、アルキル、アルキル アルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、ア ミン、アリール、ターゲッティング部分、または-OR5を示し、あるいはR2がカル ボニル酸素の場合には存在せず、 R4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッティ ング部分を示し、 R5は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッティ ング部分を示し、 R6は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはR7と共にシクロアルキルまたはアリール基を形成してもよ く、 R7は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはR6と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成しても よく、 R8は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいはEが酸素、硫黄、またはセレンの場合には、存在しなくて も良い。) で示される金属錯体。 2.MがCu+2である、請求項1記載の金属錯体。 3.R1からR8の少なくとも1個がターゲッティング部分である、請求項1記載 の金属錯体。 4.式 (式中、Eは、酸素、硫黄またはセレンを示し、R3は水素を示し、Xは対イオンを 示す。) で示される、請求項1記載の金属錯体。 5.式 (式中、Eは、酸素、硫黄またはセレンを示し、Xは中性配位子を示す。) で示される、請求項1記載の金属錯体。 6.式 (式中、Eは、酸素、硫黄またはセレンを示し、Xは中性配位子を示す。) で示される、請求項1記載の金属錯体。 7.式 (式中、Eは、酸素、硫黄またはセレンを示し、Xは中性配位子を示す。) で示される、請求項1記載の金属錯体。 8.式 (式中、Eは、窒素、酸素または硫黄を示し、Xは対イオンを示す。) で示される、請求項1記載の金属錯体。 9.式 (式中、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷 移金属イオンを示し、 Eは、酸素、硫黄、またはセレンを示し、 R9は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッテ ィング部分を示し、 R10は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R11は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ 部分を示し、あるいはR12と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成して もよく、 R12は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR11と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R13は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示し、 R14は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示し、 R15は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR16と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R16は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR15と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよい。) で示される金属錯体。 10.MがCu+2である、請求項9記載の金属錯体。 11.R9からR16の少なくとも1個がターゲッティング部分である、請求項9 記載の金属錯体。 12.式 (式中、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷 移金属イオンを示し、 Eは、酸素、硫黄、またはセレンを示し、 R17は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R18は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R19は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、 R20は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR21と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R21は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR20と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R22は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示し、あるいはR23と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形 成してもよく、 R23は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいはR22と共に、シクロアルキルまたはアリール基を形成し てもよく、 R24は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリールまたはターゲッテ ィング部分を示す。) で示される金属錯体。 13.MがCu+2である、請求項12記載の金属錯体。 14.R17からR24の少なくとも1個がターゲッティング部分である、請求項1 2記載の金属錯体。 15.式 (式中、Mは、Cu、AgおよびAuから成るグループから選択される遷移金属イオン を示し、 R25は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティング 部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を形 成し、 R26は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成し、 R27は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成し、 R28は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成し、 R29は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成し、 R30は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成し、 R31は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ 部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を形 成し、 R32は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成し、 R33は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、ターゲッティン グ部分を示し、あるいは隣接するR基と共にシクロアルキルまたはアリール基を 形成する。) で示される金属錯体。 16.R25からR33の少なくとも1個がターゲッティング部分である、請求項1 5記載の金属錯体。 17.式 (式中、Mは、Cu、Ag、Au、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷 移金属イオンを示し、 Xは対イオンを示し、 R35は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、あるいは隣接するR基と共に、シクロアルキルを形成し、 R36は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ル チオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッテ ィング部分を示し、あるいは隣接するR基と共に、シクロアルキルを形成し、 R37は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示し、あるいは隣接するR基と共に、シクロアルキルを形成し、 R基の少なくとも1つはターゲッティング部分である。) で示される金属錯体。 18.前記金属がAu+2である、請求項17記載の錯体。 19.式 (式中、Mは、Cu、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷移金属イ オンを示し、 Xは対イオンを示し、 R38、R39、R40、R41、R42、およびR43は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル 、アルキルアルコール、アルコール、アルキルチオール、アルキル酸、アルキル アミン、アミン、アリール、またはターゲッティング部分を示し、 R基の少なくとも1個はターゲッティング部分である。) で示される金属錯体。 20.式 (式中、Mは、Cu、Ni、PdおよびPtから成るグループから選択される遷移金属イ オンを示し、 Eは、酸素、硫黄、またはセレンを示し、 Xは対イオンを示し、 R44は、水素、ハロゲン、アルキル、アルキルアルコール、アルコール、アルキ ルチオール、アルキル酸、アルキルアミン、アミン、アリール、またはターゲッ ティング部分を示す。) で示される金属錯体。 21.R44がターゲッティング部分である、請求項20記載の錯体。 22.薬剤学的に許容可能な担体を混合した、請求項1、9、15、17、1 9または20記載の金属錯体を含む医薬組成物。 23.請求項1、9、15、17、19または20記載の金属錯体を前記シス テインプロテアーゼに不可逆的に結合する事から成る、システインプロテアーゼ の阻害方法。 24.請求項1、9、15、17、19または20記載の金属錯体により阻害 されるシステインプロテアーゼ。 25.前記阻害されたシステインプロテアーゼがインターロイキン1β変換酵 素である、請求項19記載の阻害されたシステインプロテアーゼ。 26.治療有効量の請求項1、9、15、17、19または20記載の金属錯 体を患者に投与する事から成る、システインプロテアーゼに関係する疾患の治療 方法。
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