【発明の詳細な説明】
融合タンパク質を用いるハイスループットアッセイ 発明の背景
Srcホモロジー2(SH2)ドメインは、特定のペプチドコンテキストの中
でリン酸化チロシン残基の認識という共通の性質を有する相同性タンパク質ドメ
インの一ファミリーである。該ドメインは、グルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)との融合タンパク質としてE.coli で定型的に発現された。通常
、このために、高レベルの発現とグルタチオン−セファロースでの簡単なアフィ
ニティー精製が可能となる。続いてリガンド結合は、GST/SH2を放射性標
識ホスホペプチドとインキュベートし、グルタチオン−セファロースとの複合体
を沈殿させ、ビーズを洗浄し、次にビーズをカウントして結合放射活性を測定す
ることによりアッセイする[Isakovら、J.Exp.Med.,181,375-380(1995);Piccion
eら、Biochemistry,32,3197-3202(1993);Huyerら、Biochemistry,34,1040-1049
(1995)]。この方法には幾つかの欠点がある。特に、薬剤開発のための新規リー
ド化合物としてアゴニスト、アンタゴニスト、又は阻害剤のハイスループットス
クリーニングに適用する場合に当ては
まる。第1に、ペプチドの放射性標識を、キナーゼと[32P]ATPを用いて酵素
的に、又は[125I]Bolton-Hunter試薬を用いて化学的に行う。両方の場合に、ア
イソトープは短寿命であり、そのため材料を頻度高く調製する必要がある。酵素
的リン酸化の場合には、適当なキナーゼも、スクリーニング目的のために十分な
材料を生じさせるために十分な量利用できなけらばならない。第2に、プロトコ
ルにおいて、グルタチオン−セファロースビーズを洗浄して、遊離ホスホペプチ
ドから結合複合体を分離する必要がある。これは、結合リガンドの解離の危険の
ある非平衡方法である。特に解離速度が速い場合に当てはまる。このため、結果
を誤らせる可能性がある。最後に、含まれる操作と遠心分離の数のために、プロ
トコルは手動で行うためには非常に面倒で、スループットを増加させるためのロ
ボット自動化には容易には適合させられない。
SH2ドメインに適用された、タンパク質とリガンドの相互作用の別の2種の
測定方法は、表面プラスモン共鳴と等温滴定熱量測定を用いる生物特異的相互作
用分析である(Felderら、Mol.Cell.Biol.,13,1449-1455(1993);Panayotouら、
Mol.Cell.Biol.,13,3567-3576(1993):Payneら、Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,90,4902-4906(1993);Morelockら、J.Med.Chem.,38,1309-18(1995);L
adburyら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,92,3199-3203(1995);Lemmonら、Bi
ochemistry,33,5070-5076(1994))。これらの技術はSH2ドメインの特別の融
合パートナーを必要としないが、ハイスループットスクリーニングに適さない複
雑な装置が必要である。発明の概要
本発明は、融合タンパク質に結合できる化合物のスクリーニング方法であって
、被覆されたミクロシンチレーションプレートに、試験化合物、タッグ付けリガ
ンド、融合タンパク質(標的タンパク質、ペプチドリンカー及びFK506−結
合タンパク質)、及び放射標識リガンドを結合させ、試験化合物の非存在下の対
照アッセイに比較して、試験化合物の存在下、融合タンパク質へのタッグ付けリ
ガンドの結合のせいであるシンチレーションカウントを測定し、試験化合物がタ
ッグ付けリガンドの結合に及ぼす効果を測定することを特徴とする該方法を包含
する。融合タンパク質をコードする組換えDNAの調製及び発現の方法も本発明
の範囲内である。更に、本発明は、融合タンパク質を発現できる組換えDNA発
現ベクターに関する。更に、
本発明は、組換え融合タンパク質の精製方法に関する。本発明は、単一又は多数
のシグナル伝達ドメインへのリガンド結合、例えば、SH2ドメインへのホスホ
ペプチド結合の機能性アッセイのためにミクロシンチレーションプレート技術を
使用する即時性方法を提供する。本発明は、特別の放射化学合成を必要とせず、
アゴニスト、アンタゴニスト、及び/又は阻害剤の高能力スクリーニングのため
のロボット自動化に容易に適合できる。図面の簡単な説明
図1.
A)ストレプトアビジンミクロシンチレーションプレート、ビオチニル化リガン
ド及び融合タンパク質(SH−2:FKBP)の結合。その結合は検出可能なシ
グナルを発する。
B)試験化合物と融合タンパク質(SH−2:FKBP)の結合。その結合では
シグナル検出ができない。発明の詳細な説明
本発明は、標的タンパク質に優先的に結合する化合物のスクリーニング方法に
関する。
本発明の一実施態様は、
融合タンパク質に結合できる化合物のシクリーニング方法であって、
a)試験化合物、タッグ付けリガンド、融合タンパク質、及び放射性標識リガン
ドを混合すること;
b)被覆されたミクロシンチレーションプレートに混合液を添加すること;
c)混合液を約1〜約24時間インキュベートすること;
d)シンチレーション計測を用い、試験化合物の存在下、融合タンパク質へのタ
ッグ付けリガンドの結合のためであるプレート結合カウントを測定すること;及
び
e)試験化合物の非存在下での対照アッセイランに比較して、試験化合物の存在
下、融合タンパク質へのタッグ付けリガンドの結合を決定すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
本発明の第2の実施態様は、
融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法であって、
a)FK−506結合タンパク質をコードするDNAの終止コドンを除去するこ
と;
b)FK506結合タンパク質をコードするDNA上に、ペプチドリンカーをコ
ードする修飾DNAフラグメントを合成すること;
c)クローニング部位で発現ベクターを消化すること;
d)ペプチドリンカーを有するFK506結合タンパク質をコードする修飾DN
Aフラグメントを消化された発現ベクターにクローニングし、ペプチドリンカー
を有するFK506結合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターを産
生させること;及び
e)標的タンパク質をコードするDNAを、ペプチドリンカーを有するFK50
6結合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターにクローニングするこ
と;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
本発明の第3の実施態様は、
発現ベクター中の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法であって
、
a)宿主細胞を融合タンパク質発現ベクターで形質転換すること;
b)宿主細胞中で融合タンパク質の発現を誘導すること;
c)宿主細胞から融合タンパク質を回収すること;及び
d)融合タンパク質を精製すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
本発明の第4の実施態様は、
単離されるFKBP−SH2融合タンパク質の精製方法であって、
a)固体支持体に固定化したアビジン又はストレプトアビジンに結合したビオチ
ニル化ホスホペプチドからなるアフィニティーマトリックスを製造すること;
b)融合タンパク質を発現する細胞から凍結/融解抽出液を製造すること;及び
c)アフィニティーマトリックスに抽出液を負荷し、非結合タンパク質を洗い流
すこと;及び
d)所望の融合タンパク質をフェニルホスフェートで溶出すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
“融合タンパク質”という用語は、2個のタンパク質が“ペプチドリンカー”
で分離されていることを特徴とする、“FK506結合タンパク質”(FKBP
)に融合した“標的タンパ
ク質”を指す。
“ペプチドリンカー”は、約1〜約20個のアミノ酸を含む配列からなりうる
が、プロテアーゼ切断部位のための配列を含んでも含まなくともよい。プロテア
ーゼ切断部位であるペプチドリンカーの例は、アミノ酸配列GLPRGSによっ
て表される。
“標的タンパク質”という用語は、規定されたリガンドを有するタンパク質を
指す。標的タンパク質のこの定義内に、単一及び複数のシグナル伝達ドメイン、
例えばSrcホモロジー1(SH1)ドメイン、Srcホモロジー2(SH2)
ドメイン、Srcホモロジー3ドメイン(SH3)、及びプレクストリンホモロ
ジー(PH)ドメイン[Hanks & Hunter,FASEBJ.,9,576-596(1995);Bolen,Cur
r.Opin.Immunol.,7,306-311(1995);Kuriyan & Cowburn,Curr.Opin.Struct.Bi
ol.,3,828-837(1993);Cohenら、Cell,80,237-248(1995)]など(これらに限定
されない)が含まれる。“SH1ドメイン”という用語は、ATPを結合し、ペ
プチド基質とタンパク質基質のチロシンリン酸化を触媒する相同性タンパク質ド
メインの一ファミリーを指す。“SH2ドメイン”という用語は、特定のペプ
チドコンテキスト中のリン酸化チロシン残基を認識するという共通の性質を有す
る相同性タンパク質ドメインの一ファミリーを指す。“SH3ドメイン”という
用語は、ポリプロリンII型ヘリックスを認識するという共通の性質を有する相同
性タンパク質ドメインの一ファミリーを指す。“PHドメイン”という用語は、
タンパク質−タンパク質相互作用とタンパク質−脂質相互作用の両方を媒介する
相同性タンパク質ドメインの一ファミリーを指す。本発明の方法で使用できるS
H2ドメインの例は、チロシンキナーゼであるZAP、SYK及びLCK中に存
在する単一及びタンデムSH2ドメインなどがある(これらに限定されない)。D
NA配列は、GenBank,National Center for Biotechnology Information,Nati
onal Library of Medicine,8600 Rockville Pike,Bethesda,MD20894から得た
。配列の受託番号は、ヒトZAP(L05148)、ヒトSYK(L28824
)及びヒトLCK(X13529)である。
“タッグ付きリガンド”という用語は、標的タンパク質のためのビオチニル化
又はエピトープをタッグとしたリガンドを指す。
“放射性標識リガンド”という用語は、FKBPに結合する
[3H]−、[125I]−、[14C]−、[35S]−、[32P]−、又は[33P]
−標識リガンドを指す。本発明において有用な放射性標識リガンドの例は[3H
]−ジヒドロFK506である。
“被覆されたミクロシンチレーションプレート”という用語は、タッグ付きリ
ガンドがビオチニル化されている場合にはストレプトアビジンで被覆されたミク
ロシンチレーションプレート、及びタッグ付きリガンドがエピトープタッグ付き
である場合には抗−抗体被覆もしくはプロテインA被覆ミクロシンチレーション
プレートに結合した抗エピトープ抗体を指す。本発明において有用な被覆された
ミクロシンチレーションプレートの例は、ストレプトアビジン被覆、ヒツジ抗ウ
サギ被覆、及びヤギ抗マウス被覆 FlashPlate Plus(DuPont-NEN)である。プロ
テインA(これに限定されない)などの別の被覆を、当業者公知の方法で、非被
覆FlashPlateに適用できる。
“対照アッセイ”という用語は、タッグ付きリガンド、融合タンパク質、放射
性標識リガンド、及び被覆されたミクロシンチレーションプレートの存在下、但
し試験化合物の非存在下で行うアッセイを指す。
“FK506結合タンパク質”という用語は、下記のFKBP及びFKBP相
同体を含みうる(それらに限定されない)[それらを開示する参考文献を引用す
る]。このリストで本発明の範囲を限定するものではない。哺乳動物
細菌
菌類
種々の宿主細胞が本発明で使用できるが、それらには細菌、酵母、藍藻、植物
細胞、昆虫細胞及び動物細胞がある(これらに限定されない)。
発現ベクターとは、本明細書で、適当な宿主中で、遺伝子のクローン化コピー
の転写及びそれらのmRNAの翻訳に必要なDNA配列と定義される。このよう
なベクターを用い、細菌、酵母、藍藻、植物細胞、昆虫細胞及び動物細胞などの
種々の宿主細胞で遺伝子を発現できる。
特別に設計したベクターでは、細菌−酵母又は細菌−動物細胞などの宿主間の
DNAシャトルが可能となる。適切に構築した発現ベクターは、宿主細胞での自
律的複製の複製起点;選択可能マーカー、限定数の有用な制限酵素部位、高コピ
ー数能、及び活性プロモーターを含みうる。プロモーターとは、RNAポリメラ
ーゼをDNAに結合させ、RNA合成を開始させるDNA配列と定義される。強
力なプロモーターとは、mRNA
を高頻度で開始させるプロモーターである。発現ベクターとは、クローニングベ
クター、修飾クローニングベクター、特別に設計したプラスミド又はウイルスで
ありうる(これらに限定されない)。FKBP融合タンパク質発現に適した市販
のベクターには、pBR322(Promega)、pGEX(Amersham)、pT7(U
SB)、pET(Novagen)、pIBI(IBI)、pProEX−1(Gibco/BRL)
、pBluescriptII(Stratagene)、pTZ18RとpTZ19R(US
B)、pSE420(Invitrogen)、pVL1392(Invitrogen)、pBlu
eBac(Invitrogen)、pBAcPAK(Clontech)、pHIL(Invitrogen
)、pYES(Invitrogen)、pCDNA(Invitrogen)、pREP(Invitrog
en)などがある(これらには限定されない)。
発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、感染、プロトプラスト融
合、及びエレクトロポレーションなど(これらに限定されない)の幾つかの技術
のいずれかにより、宿主細胞に導入できる。
FKBPに融合した標的遺伝子を有する発現プラスミドを含有するE.coliを増
殖させ、適切に誘導する。次に細胞をペレットにし、適切な緩衝液に再懸濁させ
る。FKBP−12はそ
れを特別にペリプラズムに向かわせる配列を欠くけれども、FKBPは主にそこ
に局在し、細胞ペレットの標準的な凍結/融解処理によって放出されうる。遠心
分離後、得られた上清は80%超の純度のFKBP融合タンパク質を含み、所望
ならば更に通常の方法で精製できる。あるいは、アッセイは純粋なタンパク質に
依存せず、最初のペリプラズム調製物を直接使用できる。FKBPと標的タンパ
ク質間に位置するトロンビン部位を、融合タンパク質からFKBPを切断する手
段として使用できる。このような切断された物質は次のアッセイでの適切な陰性
対照でありうる。
単一又は複数のSH2ドメインを含む融合タンパク質は、固体支持体上に固定
化されたアビジン又はストレプトアビジンに結合したビオチニル化ホスホペプチ
ドからなるアフィニティーマトリックスを製造することによって精製できる。凍
結/融解抽出液を、融合タンパク質を発現する細胞から調製し、アフィニティー
マトリックスに負荷する。次に、所望の融合タンパク質をフェニルホスフェート
で特異的に溶出する。
標的タンパク質とそのリガンド間の複合体の形成をアッセイするために、適切
な緩衝液中、放射性標識リガンドの存在下、
タッグ付きリガンドをFKBP融合タンパク質と混合する。複合体形成が起る適
切なインキュベーション時間後、混合液を被覆されたミクロシンチレーションプ
レートに移し、タッグ付きリガンドと結合融合タンパク質を捕捉させる。プレー
トを密封し、捕捉が完全に行われるのに十分な時間インキュベートし、次にマル
チウエルシンチレーションカウンターで計測する。最初のインキュベーションを
行い、次いで単一又は複数の試験化合物の存在下、ミクロシンチレーションプレ
ートでの捕捉工程を行い、試験化合物が融合タンパク質へのタッグ付きリガンド
の結合に効果を有するかどうかを測定することによって、アゴニスト/アンタゴ
ニスト/阻害剤のスクリーニングを行う。この原理を図1に示す。
以下の実施例によって更に本発明を理解することができるが、実施例は本発明
を限定するものではない。
実施例1 FKBP融合体クローニングベクター製造方法
種々の宿主細胞での遺伝子の修飾と発現の一般的技術は、Ausubel,F.M.,Bren
t,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Seidman,J.G.,Smith,J.A.及びStruhl,K.
Current Protocols
in Molecular Biology(John Wiley & Sons,New York,New York,1989)に記載
されている。終止コドン(TGA)の変りにグリシンコドン(GGT)、続いて
トロンビン部位(Leu−Val−Pro−Arg)とBamHI制限部位(G
AATTC)をコードする配列を含む3′−改変FKBPフラグメントの配列を
、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅させた。PCR反応液は、以下のプラ
イマー、即ち5′−GATCGCCATGGGAGTGCAGGTGGAAAC
CATCTCCCCA−3′と5′−TACGAATTCTGGCGTGGAT
CCACGCGGAACCAGACCTTCCAGTTTTAG−3′及び鋳型
としてヒトFKBP−12を含むプラスミドを含んでいた。得られた367塩基
対増幅産物をベクターpCRII(Invitrogen)に連結し、連結混合物でコンピテン
トEscherichia coli 細胞を形質転換した。挿入物を含むクローンを隣接ベクタ
ープライマーを用いるPCRで同定した。ジデオキシDNA配列決定により、一
つのポジティブ単鎖のヌクレオチドを確認した。改変した338塩基対のFKB
Pフラグメントを、NcoIとBamHIを用いpCRIIプラスミドから切出し
、NcoIとBamHI消化pET9d(Novagen)プ
ラスミドに連結した。コンピテントE.coliを連結混合物で形質転換し、挿入体を
含むコロニーを、隣接ベクター配列をコードするプライマーを用いるPCRで同
定した。FKBP融合クローニングベクターをpET9dFKBPtと命名する
。
実施例2 FK−ZAP融合発現ベクターの製造方法
読取り枠が融合ベクター中のFKBPの読取り枠で保存されるように、5′−
末端のBamHI部位を含ませるように、ZAP−70のタンデムSH2ドメイ
ンをコードするDNAフラグメントをPCRにより製造した。3′−末端で、フ
ラグメントはまた、終止コドン、続いてBamHI部位を含んでいた。PCR反
応液はMolt−4 cDNA(Clontech)と以下のプライマー、即ち5′−AT
TAGGATCCATGCCAGATCCTGCAGCTCACCTGCCCT
−3′と5′−ATATGGATCCTTACCAGAGGCGTTGCT−3
′を含んでいた。フラグメントを、適切なベクターにクローンし、配列決定し、
BamHIで消化し、SH2ドメインを含む挿入体を、BamHI処理pET9
dFKBPtに連結し、E.coliを形質転換した。正しい方向で挿入体を含むクロ
ーン
をPCR又は制限酵素分析で同定した。プラスミドDNAを調製し、それを用い
てBL21(DE3)細胞を形質転換した。
実施例3 FK−SYK融合発現ベクターの製造方法
FKBPに融合したSYKのタンデムSH2ドメイン用発現ベクターを、実施
例2のように、但しPCR反応液はRaji細胞cDNA(Clontech)と以下のプ
ライマー、即ち5′−CAATAGGATCCATGGCCAGCAGCGGC
ATGGCTGA−3′と5′−GACCTAGGATCCCTAATTAAC
ATTTCCCTGTGTGCCGAT−3′を含んでいたことを除いて製造し
た。
実施例4 FK−LCK融合発現ベクターの製造方法
FKBPに融合したLCKのSH2ドメイン用発現ベクターを、実施例2のよ
うに、但し、PCR反応液はMolt−4cDNA(Clontech)と以下のプライマ
ー、即ち5′−ATATGGATCCATGGCGAACAGCCTGGAGC
CCGAACCCT−3′と5′−ATTAGGATCCTTAGGTCTGG
CAGGGGCGGCTCAACCGTGTGCA−
3′を含んでいたことを除いて製造した。
実施例5 FK−ZAP 工程A:FK−ZAPの発現方法
pET9dFKBPt/ZAPSH2プラスミドを含むE.coliBL21(DE3
)を、600nmで測定した光学密度が約0.5〜1.0になるまで、50μg
/mL カナマイシンを含むLuria-Bertani(LB)培地で、約37℃で増殖さ
せた。FK−ZAP融合タンパク質の発現を、0.1mMイソプロピルベータ−
チオガラクトピラノシドで誘導し、更に3〜5時間、約30℃で細胞を増殖させ
た。4400×gで約10分、約4℃で細胞をペレットにし、細胞を、各1μg
/mLのアプロチニン、ペプスタチン、ロイペプチン及びベスタチンを含む10
0mMトリスpH8.0を用いて最初の培養液容量の2%に再懸濁した。再懸濁
したペレットを、更なる精製まで、約−20℃で凍結した。工程B:FK−ZAPの精製方法
アガロースに固定化したアビジンを、ヒトT細胞レセプターのζ1 ITAM
配列由来の過剰のビオチニル化ホスホペプチ
ド、即ちビオチニル−GSNQLpYNELNLGRREEpYDVLDKと混
合し、非結合ペプチドを洗い流すことによって、FK−ZAPの精製用アフィニ
ティーマトリックスを製造した。FK−ZAPを含む凍結細胞を温水で融解させ
、ドライアイス上で約25分間再凍結させ、次に再度融解させた。0.1%オク
チルグリコシド、1mMジチオトレイトール(DTT)及び500mM NaC
lの添加後、抽出液を35,000×gで約30分間遠心分離した。上清を約4
℃でホスホペプチドアフィニティーカラムにかけ、1mM DTTと0.1%オ
クチルグリコシドを含むリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄した。
FK−ZAPを約37℃で同緩衝液中の200mMフェニルホスフェートで溶出
した。タンパク質プールを濃縮し、フェニルホスフェートを脱塩カラムで除去し
た。精製FK−ZAPを、10mM HEPES/150mM NaCl/1m
M DTT/0.1mM EDTA/10%グリセロール中、約−30℃で保存
した。
実施例6 FK−SYK
pET9dFKBPt/SykSH2プラスミドを含む
E.coliBL21(DE3)を実施例5に記載のように、増殖、誘導、回収した。
FK−SYKを、実施例5に記載の同一のアフィニティーマトリックスと方法を
用いて精製した。
実施例7 FK−LCK
pET9dFKBPt/LckSH2プラスミドを含むE.coliBL21(DE
3)を実施例5に記載のように、増殖、誘導、回収した。FK−LCKの精製用
アフィニティーマトリックスは、アガロースに固定化したアビジンを過剰のビオ
チニル−EPQpYEEIPIYLと混合し、非結合ペプチドを洗い流して製造
した。精製の残りの方法は実施例5と同じであった。
実施例8 FK−ZAPへのホスホペプチド結合のアッセイ
25mM HEPES、10mM DTT、0.01%TWEEN−20、p
H7.0からなる緩衝液中、外界温度でアッセイを行った。緩衝液と種々の量の
ビオチニル−ホスホペプチドの混合液300μLを、FK−ZAPタンパク質2
5μLと[3H]−ジヒドロFK506(DuPont NEN)50μLと、微量遠心チュ
ーブ中で混合した。次に、ストレプトアビジンで被覆されたFlashPlate Plus(Du
Pont-NEN)のウエルに各アッセイの150μL部分を移し、緩衝液を更に50μ
L加えた。アッセイ成分の最終濃度は、0〜50nM ビオチニル−GSNQL
pYNELNLGRREEpYDVLDK、100nM FK−ZAP融合タン
パク質、25nM[3H]−ジヒドロFK506であった。プレートを密封し、
20時間インキュベートした。プレート結合放射活性を、パッカードトップカウ
ントミクロプレートシンチレーション計測器で、種々の時点で計測した。
実施例9 FK−ZAPのアンタゴニストのスクリーニング方法
25mM HEPES、10mM DTT、0.01%TWEEN−20、p
H7.0からなる緩衝液中、外界温度でアッセイを行う。試験化合物のDMSO
溶液10μLとビオチニル−ホスホペプチド保存溶液120μLを標準的96ウ
エルプレートのウエルに分配する。次に、FK−ZAPタンパク質と[3H]−
ジヒドロFK506(DuPont NEN)の混合液20μLを各試験ウエルに加える。次
に、アッセイ溶液を、ストレプトアビジン−被覆 FlashPlate(DuPont NEN)のウ
エルに移す。アッセイ成
分の最終濃度は、25nM ビオチニル−GSNQLpYNELNLGRREE
pYDVLDK、25nM FK−ZAP融合タンパク質、10nM[3H]−
ジヒドロFK506、5%DMSOである。プレートを密封し、1〜8時間イン
キュベートする。次に、ビーズ結合放射活性をパッカードトップカウントミクロ
プレートシンチレーション計測器で測定する。
実施例10 FK−SYKのアンタゴニストのスクリーニング方法
アッセイを、FK−ZAPの変りにFK−SYKを用いることを除いて実施例
9に記載のように行う。
実施例11 FK−LCKのアンタゴニストのスクリーニング方法
アッセイを、FK−ZAPの変りにFK−LCKを用い、タッグ付きリガンド
が25nMビオチニル−EPQpYEEIPIYLであることを除いて実施例9
に記載のように行う。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年9月19日
【補正内容】
融合タンパク質を用いるハイスループットアッセイ 発明の背景
Srcホモロジー2(SH2)ドメインは、特定のペプチドコンテキストの中
でリン酸化チロシン残基の認識という共通の性質を有する相同性タンパク質ドメ
インの一ファミリーである。該ドメインは、グルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)との融合タンパク質としてE.coliで定型的に発現された。通常、
このために、高レベルの発現とグルタチオン−セファロースでの簡単なアフィニ
ティー精製が可能となる。続いてリガンド結合は、GST/SH2を放射性標識
ホスホペプチドとインキュベートし、グルタチオン−セファロースとの複合体を
沈殿させ、ビーズを洗浄し、次にビーズをカウントして結合放射活性を測定する
ことによりアッセイする[Isakovら、J.Exp.Med.,181,375-380(1995);Piccione
ら、Biochemistry,32,3197-3202(1993);Huyerら、Biochemistry,34,1040-1049(
1995)]。この方法には幾つかの欠点がある。特に、薬剤開発のための新規リード
化合物としてアゴニスト、アンタゴニスト、又は阻害剤のハイスループットスク
リーニングに適用する場合に当ては
まる。第1に、ペプチドの放射性標識を、キナーゼと[32P]ATPを用いて酵
素的に、又は[125I]Bolton-Hunter試薬を用いて化学的に行う。両方の場合に、
アイソトープは短寿命であり、そのため材料を頻度高く調製する必要がある。酵
素的リン酸化の場合には、適当なキナーゼも、スクリーニング目的のために十分
な材料を生じさせるために十分な量利用できなけらばならない。第2に、プロト
コルにおいて、グルタチオン−セファロースビーズを洗浄して、遊離ホスホペプ
チドから結合複合体を分離する必要がある。これは、結合リガンドの解離の危険
のある非平衡方法である。特に解離速度が速い場合に当てはまる。このため、結
果を誤らせる可能性がある。最後に、含まれる操作と遠心分離の数のために、プ
ロトコルは手動で行うためには非常に面倒で、スループットを増加させるための
ロボット自動化には容易には適合させられない。
SH2ドメインに適用された、タンパク質とリガンドの相互作用の別の2種の
測定方法は、表面プラスモン共鳴と等温滴定熱量測定を用いる生物特異的相互作
用分析である(Felderら、Mol.Cell.Biol.,13,1449-1455(1993);Panayotouら、
Mol.Cell.Biol.,13,3567-3576(1993);Payneら、Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,90,4902-4906(1993);Morelockら、J.Med.Chem.,38,1309-18(1995);L
adburyら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,92,3199-3203(1995);Lemmonら、Bi
ochemistry,33,5070-5076(1994))。これらの技術はSH2ドメインの特別の融
合パートナーを必要としないが、ハイスループットスクリーニングに適さない複
雑な装置が必要である。発明の概要
本発明は、融合タンパク質に結合できる化合物のスクリーニング方法であって
、被覆されたミクロシンチレーションプレートに、試験化合物、タッグ付けリガ
ンド、融合タンパク質(標的タンパク質、ペプチドリンカー及びFK506−結
合タンパク質)、及び放射標識リガンドを結合させ、試験化合物の非存在下の対
照アッセイに比較して、試験化合物の存在下、融合タンパク質へのタッグ付けリ
ガンドの結合のせいであるシンチレーションカウントを測定し、試験化合物がタ
ッグ付けリガンドの結合に及ぼす効果を測定することを特徴とする該方法を包含
する。融合タンパク質をコードする組換えDNAの調製及び発現の方法も本発明
の範囲内である。更に、本発明は、融合タンパク質を発現できる組換えDNA発
現ベクターに関する。更に、
本発明は、組換え融合タンパク質の精製方法に関する。本発明は、単一又は多数
のシグナル伝達ドメインへのリガンド結合、例えば、SH2ドメインへのホスホ
ペプチド結合の機能性アッセイのためにミクロシンチレーションプレート技術を
使用する即時性方法を提供する。本発明は、特別の放射化学合成を必要とせず、
アゴニスト、アンタゴニスト、及び/又は阻害剤の高能力スクリーニングのため
のロボット自動化に容易に適合できる。図面の簡単な説明
図1.
A)ストレプトアビジンミクロシンチレーションプレート、ビオチニル化リガン
ド及び融合タンパク質(SH−2:FKBP)の結合。その結合は検出可能なシ
グナルを発する。
B)試験化合物と融合タンパク質(SH−2:FKBP)の結合。その結合では
シグナル検出ができない。発明の詳細な説明
本発明は、標的タンパク質に優先的に結合する化合物のスクリーニング方法に
関する。
本発明の一実施態様は、
融合タンパク質に結合できる化合物のシクリーニング方法であって、
a)試験化合物、タッグ付けリガンド、融合タンパク質、及び放射性標識リガン
ドを混合すること;
b)被覆されたミクロシンチレーションプレートに混合液を添加すること;
c)混合液を約1〜約24時間インキュベートすること;
d)シンチレーション計測を用い、試験化合物の存在下、融合タンパク質へのタ
ッグ付けリガンドの結合のためであるプレート結合カウントを測定すること;及
び
e)試験化合物の非存在下での対照アッセイランに比較して、試験化合物の存在
下、融合タンパク質へのタッグ付けリガンドの結合を決定すること:
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
本発明の第2の実施態様は、
融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法であって、
a)FK−506結合タンパク質をコードするDNAの終止コドンを除去するこ
と;
b)FK506結合タンパク質をコードするDNA上に、ペプチドリンカーをコ
ードする修飾DNAフラグメントを合成すること;
c)クローニング部位で発現ベクターを消化すること;
d)ペプチドリンカーを有するFK506結合タンパク質をコードする修飾DN
Aフラグメントを消化された発現ベクターにクローニングし、ペプチドリンカー
を有するFK506結合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターを産
生させること;及び
e)標的タンパク質をコードするDNAを、ペプチドリンカーを有するFK50
6結合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターにクローニングするこ
と;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
本発明の第3の実施態様は、
発現ベクター中の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法であって
、
a)宿主細胞を融合タンパク質発現ベクターで形質転換すること;
b)宿主細胞中で融合タンパク質の発現を誘導すること;
c)宿主細胞から融合タンパク質を回収すること;及び
d)融合タンパク質を精製すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
本発明の第4の実施態様は、
単離されるFKBP−SH2融合タンパク質の精製方法であって、
a)固体支持体に固定化したアビジン又はストレプトアビジンに結合したビオチ
ニル化ホスホペプチドからなるアフィニティーマトリックスを製造すること;
b)融合タンパク質を発現する細胞から凍結/融解抽出液を製造すること;及び
c)アフィニティーマトリックスに抽出液を負荷し、非結合タンパク質を洗い流
すこと;及び
d)所望の融合タンパク質をフェニルホスフェートで溶出すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法である。
“融合タンパク質”という用語は、2個のタンパク質が“ペプチドリンカー”
で分離されていることを特徴とする、“FK506結合タンパク質”(FKBP
)に融合した“標的タンパ
ク質”を指す。
“ペプチドリンカー”は、約1〜約20個のアミノ酸を含む配列からなりうる
が、プロテアーゼ切断部位のための配列を含んでも含まなくともよい。プロテア
ーゼ切断部位であるペプチドリンカーの例は、アミノ酸配列GLPRGS(配列
番号7)によって表される。
“標的タンパク質”という用語は、規定されたリガンドを有するタンパク質を
指す。標的タンパク質のこの定義内に、単一及び複数のシグナル伝達ドメイン、
例えばSrcホモロジー1(SH1)ドメイン、Srcホモロジー2(SH2)
ドメイン、Srcホモロジー3ドメイン(SH3)、及びプレクストリンホモロ
ジー(PH)ドメイン[Hanks & Hunter,FASEBJ.,9,576-596(1995);Bolen,Cur
r.Opin.Immunol.,7,306-311(1995);Kuriyan & Cowburn,Curr.Opin.Struct.Bi
ol.,3,828-837(1993);Cohenら、Cell,80,237-248(1995)]など(これらに限定
されない)が含まれる。“SH1ドメイン”という用語は、ATPを結合し、ペ
プチド基質とタンパク質基質のチロシンリン酸化を触媒する相同性タンパク質ド
メインの一ファミリーを指す。“SH2ドメイン”という用語は、特定のペプ
チドコンテキスト中のリン酸化チロシン残基を認識するという共通の性質を有す
る相同性タンパク質ドメインの一ファミリーを指す。“SH3ドメイン”という
用語は、ポリプロリンII型ヘリックスを認識するという共通の性質を有する相同
性タンパク質ドメインの一ファミリーを指す。“PHドメイン”という用語は、
タンパク質−タンパク質相互作用とタンパク質−脂質相互作用の両方を媒介する
相同性タンパク質ドメインの一ファミリーを指す。本発明の方法で使用できるS
H2ドメインの例は、チロシンキナーゼであるZAP、SYK及びLCK中に存
在する単一及びタンデムSH2ドメインなどがある(これらに限定されない)。D
NA配列は、GenBank,National Center for Biotechnology Information,Nati
onal Library of Medicine,8600 Rockville Pike,Bethesda,MD20894から得た
。配列の受託番号は、ヒトZAP(L05148)、ヒトSYK(L28824
)及びヒトLCK(X13529)である。ZAP、SYK及びLCKは以下に
記載の配列で開示されている:ZAPを含む融合タンパク質をコードする単離D
NAは配列番号1である;SYKを含む融合タンパク質をコードする単離DNA
は配列番号2である;LCKを含む融合タンパク質をコードする単離
DNAは配列番号3である;FKBP−ZAP:SH2融合タンパク質の配列は
配列番号4である;FKBP−SYK:SH2融合タンパク質の配列は配列番号
5である;及び、FKBP−LCK:SH2融合タンパク質の配列は配列番号6
である。
“タッグ付きリガンド”という用語は、標的タンパク質のためのビオチニル化
又はエピトープをタッグとしたリガンドを指す。
“放射性標識リガンド”という用語は、FKBPに結合する[3H]−、[125
I]−、[14C]−、[35S]−、[32P]−、又は[33P]−標識リガンドを
指す。本発明において有用な放射性標識リガンドの例は[3H]−ジヒドロFK
506である。
“被覆されたミクロシンチレーションプレート”という用語は、タッグ付きリ
ガンドがビオチニル化されている場合にはストレプトアビジンで被覆されたミク
ロシンチレーションプレート、及びタッグ付きリガンドがエピトープタッグ付き
である場合には抗−抗体被覆もしくはプロテインA被覆ミクロシンチレーション
プレートに結合した抗エピトープ抗体を指す。本発明において有用な被覆された
ミクロシンチレーションプレートの
例は、ストレプトアビジン被覆、ヒツジ抗ウサギ被覆、及びヤギ抗マウス被覆Fl
ashPlate Plus(DuPont-NEN)である。プロテインA(これに限定されない)な
どの別の被覆を、当業者公知の方法で、非被覆FlashPlateに適用できる。
“対照アッセイ”という用語は、タッグ付きリガンド、融合タンパク質、放射
性標識リガンド、及び被覆されたミクロシンチレーションプレートの存在下、但
し試験化合物の非存在下で行うアッセイを指す。
“FK506結合タンパク質”という用語は、下記のFKBP及びFKBP相
同体を含みうる(それらに限定されない)[それらを開示する参考文献を引用す
る]。このリストで本発明の範囲を限定するものではない。哺乳動物
細菌
菌類
種々の宿主細胞が本発明で使用できるが、それらには細菌、酵母、藍藻、植物
細胞、昆虫細胞及び動物細胞がある(これらに限定されない)。
発現ベクターとは、本明細書で、適当な宿主中で、遺伝子のクローン化コピー
の転写及びそれらのmRNAの翻訳に必要なDNA配列と定義される。このよう
なベクターを用い、細菌、酵母、藍藻、植物細胞、昆虫細胞及び動物細胞などの
種々の宿主細胞で遺伝子を発現できる。
特別に設計したベクターでは、細菌−酵母又は細菌−動物細胞などの宿主間の
DNAシャトルが可能となる。適切に構築した発現ベクターは、宿主細胞での自
律的複製の複製起点;選択可能マーカー、限定数の有用な制限酵素部位、高コピ
ー数能、及び活性プロモーターを含みうる。プロモーターとは、RNAポリメラ
ーゼをDNAに結合させ、RNA合成を開始させるDNA配列と定義される。強
力なプロモーターとは、mRNAを高頻度で開始させるプロモーターである。発
現ベクターとは、クローニングベクター、修飾クローニングベクター、特別に設
計したプラスミド又はウイルスでありうる(これらに限定されない)。FKBP
融合タンパク質発現に適した市販のベクターには、pBR322(Promega)、
pGEX(Amersham)、pT7(USB)、pET(Novagen)、pIBI(IBI)
、pProEX−1(Gibco/BRL)、pBluescriptII(Stratagene)
、pTZ18RとpTZ19R(USB)、pSE420(Invitrogen)、pVL
1392(Invitrogen)、pBlueBac(Invitrogen)、pBAcPAK(
Clontech)、pHIL(Invitrogen)、pYES(Invitrogen)、pCDNA(
Invitrogen)、pREP(Invitrogen)などがある(これらには限定されない)
。
発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、感染、プロトプラスト融
合、及びエレクトロポレーションなど(これらに限定されない)の幾つかの技術
のいずれかにより、宿主細胞に導入できる。
FKBPに融合した標的遺伝子を有する発現プラスミドを含有するE.coliを増
殖させ、適切に誘導する。次に細胞をペレットにし、適切な緩衝液に再懸濁させ
る。FKBP−12はそれを特別にペリプラズムに向かわせる配列を欠くけれど
も、FKBPは主にそこに局在し、細胞ペレットの標準的な凍結/融解処理によ
って放出されうる。遠心分離後、得られた上清は80%超の純度のFKBP融合
タンパク質を含み、所望ならば更に通常の方法で精製できる。あるいは、アッセ
イは純粋なタンパク質に依存せず、最初のペリプラズム調製物を直接使用できる
。FKBPと標的タンパク質間に位置するトロンビン部位を、融合タンパク質か
らFKBPを切断する手段として使用できる。このような切断された物質は次の
アッセイでの適切な陰性対照でありうる。
単一又は複数のSH2ドメインを含む融合タンパク質は、固体支持体上に固定
化されたアビジン又はストレプトアビジンに
結合したビオチニル化ホスホペプチドからなるアフィニティーマトリックスを製
造することによって精製できる。凍結/融解抽出液を、融合タンパク質を発現す
る細胞から調製し、アフィニティーマトリックスに負荷する。次に、所望の融合
タンパク質をフェニルホスフェートで特異的に溶出する。
標的タンパク質とそのリガンド間の複合体の形成をアッセイするために、適切
な緩衝液中、放射性標識リガンドの存在下、タッグ付きリガンドをFKBP融合
タンパク質と混合する。複合体形成が起る適切なインキュベーション時間後、混
合液を被覆されたミクロシンチレーションプレートに移し、タッグ付きリガンド
と結合融合タンパク質を捕捉させる。プレートを密封し、捕捉が完全に行われる
のに十分な時間インキュベートし、次にマルチウエルシンチレーションカウンタ
ーで計測する。最初のインキュベーションを行い、次いで単一又は複数の試験化
合物の存在下、ミクロシンチレーションプレートでの捕捉工程を行い、試験化合
物が融合タンパク質へのタッグ付きリガンドの結合に効果を有するかどうかを測
定することによって、アゴニスト/アンタゴニスト/阻害剤のスクリーニングを
行う。この原理を図1に示す。
以下の実施例によって更に本発明を理解することができるが、実施例は本発明
を限定するものではない。
実施例1 FKBP融合体クローニングベクター製造方法
種々の宿主細胞での遺伝子の修飾と発現の一般的技術は、Ausubel,F.M.,Bren
t,R.,Kingston,R.E.,Moore,D.D.,Seidman,J.G.,Smith,J.A.及びStruhl,K.
Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,New York,New
York,1989)に記載されている。終止コドン(TGA)の変りにグリシンコドン
(GGT)、続いてトロンビン部位(Leu−Val−Pro−Arg)とBa
mHI制限部位(GAATTC)をコードする配列を含む3′−改変FKBPフ
ラグメントの配列を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅させた。PCR反
応液は、以下のプライマー、即ち5′−GATCGCCATGGGAGTGCA
GGTGGAAACCATCTCCCCA−3′(配列番号8)と5′−TAC
GAATTCTGGCGTGGATCCACGCGGAACCAGACCTTC
CAGTTTTAG−3′(配列番号9)及び鋳型としてヒトFKBP−12を
含むプラスミドを含んでいた。得られた367塩基対
増幅産物をベクターpCRII(Invitrogen)に連結し、連結混合物でコンピテント
Escherichia coli細胞を形質転換した。挿入物を含むクローンを隣接ベクタープ
ライマーを用いるPCRで同定した。ジデオキシDNA配列決定により、一つの
ポジティブ単鎖のヌクレオチドを確認した。改変した338塩基対のFKBPフ
ラグメントを、NcoIとBamHIを用いpCRIIプラスミドから切出し、N
coIとBamHI消化pET9d(Novagen)プラスミドに連結した。コンピテ
ントE.coliを連結混合物で形質転換し、挿入体を含むコロニーを、隣接ベクター
配列をコードするプライマーを用いるPCRで同定した。FKBP融合クローニ
ングベクターをpET9dFKBPtと命名する。
実施例2 FK−ZAP融合発現ベクターの製造方法
読取り枠が融合ベクター中のFKBPの読取り枠で保存されるよう、に、5′
−末端のBamHI部位を含ませるように、ZAP−70のタンデムSH2ドメ
インをコードするDNAフラグメントをPCRにより製造した。3′−末端で、
フラグメントはまた、終止コドン、続いてBamHI部位を含んでいた。
PCR反応液はMolt−4 cDNA(Clontech)と以下のプライマー、即ち5
′−ATTAGGATCCATGCCAGATCCTGCAGCTCACCTG
CCCT−3′(配列番号10)と5′−ATATGGATCCTTACCAG
AGGCGTTGCT−3′(配列番号11)を含んでいた。フラグメントを、
適切なベクターにクローンし、配列決定し、BamHIで消化し、SH2ドメイ
ンを含む挿入体を、BamHI処理pET9dFKBPtに連結し、E.coliを形
質転換した。正しい方向で挿入体を含むクローンをPCR又は制限酵素分析で同
定した。プラスミドDNAを調製し、それを用いてBL21(DE3)細胞を形
質転換した。
実施例3 FK−SYK融合発現ベクターの製造方法
FKBPに融合したSYKのタンデムSH2ドメイン用発現ベクターを、実施
例2のように、但しPCR反応液はRaji細胞cDNA(Clontech)と以下のプ
ライマー、即ち5′−CAATAGGATCCATGGCCAGCAGCGGC
ATGGCTGA−3′(配列番号12)と5′−GACCTAGGATCCC
TAATTAACATTTCCCTGTGTGCC
GAT−3′(配列番号13)を含んでいたことを除いて製造した。
実施例4 FK−LCK融合発現ベクターの製造方法
FKBPに融合したLCKのSH2ドメイン用発現ベクターを、実施例2のよ
うに、但し、PCR反応液はMolt−4cDNA(Clontech)と以下のプライマ
ー、即ち5′−ATATGGATCCATGGCGAACAGCCTGGAGC
CCGAACCCT−3′(配列番号14)と5′−ATTAGGATCCTT
AGGTCTGGCAGGGGCGGCTCAACCGTGTGCA−3′(配
列番号15)を含んでいたことを除いて製造した。
実施例5 FK−ZAP 工程A:FK−ZAPの発現方法
pET9dFKBPt/ZAPSH2プラスミドを含むE.coliBL21(DE3
)を、600nmで測定した光学密度が約0.5〜1.0になるまで、50μg
/mL カナマイシンを含むLuria-Bertani(LB)培地で、約37℃で増殖さ
せた。
FK−ZAP融合タンパク質の発現を、0.1mMイソプロピルベータ−チオガ
ラクトピラノシドで誘導し、更に3〜5時間、約30℃で細胞を増殖させた。4
400×gで約10分、約4℃で細胞をペレットにし、細胞を、各1μg/mL
のアプロチニン、ペプスタチン、ロイペプチン及びべスタチンを含む100mM
トリスpH8.0を用いて最初の培養液容量の2%に再懸濁した。再懸濁したペ
レットを、更なる精製まで、約−20℃で凍結した。工程B:FK−ZAPの精製方法
アガロースに固定化したアビジンを、ヒトT細胞レセプターのζ1 ITAM
配列由来の過剰のビオチニル化ホスホペプチド、即ちビオチニル−GSNQLp
YNELNLGRREEpYDVLDK(配列番号16)と混合し、非結合ペプ
チドを洗い流すことによって、FK−ZAPの精製用アフィニティーマトリック
スを製造した。FK−ZAPを含む凍結細胞を温水で融解させ、ドライアイス上
で約25分間再凍結させ、次に再度融解させた。0.1%オクチルグリコシド、
1mMジチオトレイトール(DTT)及び500mM NaClの添加後、抽出
液を35,000×gで約30分間遠心分離した。上清を約4℃
でホスホペプチドアフィニティーカラムにかけ、1mM DTTと0.1%オク
チルグリコシドを含むリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄した。FK−ZAPを約3
7℃で同緩衝液中の200mMフェニルホスフェートで溶出した。タンパク質プ
ールを濃縮し、フェニルホスフェートを脱塩カラムで除去した。精製FK−ZA
Pを、10mM HEPES/150mM NaCl/1mM DTT/0.1
mM EDTA/10%グリセロール中、約−30℃で保存した。
実施例6 FK−SYK
pET9dFKBPt/SYKSH2プラスミドを含むE.coliBL21(DE
3)を実施例5に記載のように、増殖、誘導、回収した。FK−SYKを、実施
例5に記載の同一のアフィニティーマトリックスと方法を用いて精製した。
実施例7 FK−LCK
pET9dFKBPt/LCKSH2プラスミドを含むE.coliBL21(DE
3)を実施例5に記載のように、増殖、誘導、回収した。FK−LCKの精製用
アフィニティーマトリ
ックスは、アガロースに固定化したアビジンを過剰のビオチニル−EPQpYE
EIPIYL(配列番号17)と混合し、非結合ペプチドを洗い流して製造した
。精製の残りの方法は実施例5と同じであった。
実施例8 FK−ZAPへのホスホペプチド結合のアッセイ
25mM HEPES、10mM DTT、0.01%TWEEN−20、p
H7.0からなる緩衝液中、外界温度でアッセイを行った。緩衝液と種々の量の
ビオチニル−ホスホペプチドの混合液300μLを、FK−ZAPタンパク質2
5μLと[3H]−ジヒドロFK506(DuPont NEN)50μLと、微量遠心チュ
ーブ中で混合した。次に、ストレプトアビジンで被覆されたFlashPlate Plus(Du
Pont-NEN)のウエルに各アッセイの150μL部分を移し、緩衝液を更に50μ
L加えた。アッセイ成分の最終濃度は、0〜50nM ビオチニル−GSNQL
pYNELNLGRREEpYDVLDK(配列番号16)、100nM FK
−ZAP融合タンパク質、25nM[3H]−ジヒドロFK506であった。プ
レートを密封し、20時間インキュベートした。プレート結合放射活性を、パッ
カードトップカ
ウントミクロプレートシンチレーション計測器で、種々の時点で計測した。
実施例9 FK−ZAPのアンタゴニストのスクリーニング方法
25mM HEPES、10mM DTT、0.01%TWEEN−20、p
H7.0からなる緩衝液中、外界温度でアッセイを行う。試験化合物のDMSO
溶液10μLとビオチニル−ホスホペプチド保存溶液120μLを標準的96ウ
エルプレートのウエルに分配する。次に、FK−ZAPタンパク質と[3H]−
ジヒドロFK506(DuPont NEN)の混合液20μLを各試験ウエルに加える。次
に、アッセイ溶液を、ストレプトアビジン−被覆FlashPlate(DuPont NEN)のウエ
ルに移す。アッセイ成分の最終濃度は、25nM ビオチニル−GSNQLpY
NELNLGRREEpYDVLDK(配列番号16)、25nM FK−ZA
P融合タンパク質、10nM[3H]−ジヒドロFK506、5%DMSOであ
る。プレートを密封し、1〜8時間インキュベートする。次に、ビーズ結合放射
活性をパッカードトップカウントミクロプレートシンチレーション計測器で測定
する。
実施例10 FK−SYKのアンタゴニストのスクリーニング方法
アッセイを、FK−ZAPの変りにFK−SYKを用いることを除いて実施例
9に記載のように行う。
実施例11 FK−LCKのアンタゴニストのスクリーニング方法
アッセイを、FK−ZAPの変りにFK−LCKを用い、タッグ付きリガンド
が25nMビオチニル−EPQpYEEIPIYL(配列番号17)であること
を除いて実施例9に記載のように行う。
請求の範囲
1. 融合タンパク質に結合できる化合物のスクリーニング方法であって、
a)試験化合物、タッグ付けリガンド、融合タンパク質、及び放射性標識リガン
ドを混合すること;
b)被覆されたミクロシンチレーションプレートに混合液を添加すること;
c)混合液を約1〜約24時間インキュベートすること;
d)シンチレーション計測を用い、試験化合物の存在下、融合タンパク質へのタ
ッグ付けリガンドの結合のためであるプレート結合カウントを測定すること;及
び
e)試験化合物の非存在下での対照アッセイランに比較して、試験化合物の存在
下、融合タンパク質へのタッグ付けリガンドの結合を決定すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法。
2. タッグ付けリガンドがビオチニル化リガンド又はエピトープ付けリガンド
であることを特徴とする、請求項1に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物
のスクリーニング方法。
3. 被覆されたミクロシンチレーションプレートが、ストレプトアビジン被覆
又は抗−抗体もしくはプロテインA被覆であることを特徴とする、請求項2に記
載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング方法。
4. 放射性標識リガンドが、[3H]−、[125I]−、[14C]−、[35S]−、[3 2
P]−、又は[33P]−標識FK506アナログからなることを特徴とする、請求
項3に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング方法。
5. 融合タンパク質が、標的タンパク質にペプチドリンカーを介し結合したF
K506結合タンパク質を含むことを特徴とする、請求項4に記載の融合タンパ
ク質へ結合できる化合物のスクリーニング方法。
6. 標的タンパク質が単一又は複数のシグナル伝達ドメインを含むことを特徴
とする、請求項5に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング
方法。
7. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインが、SH1、SH2、SH3、及び
PHドメインからなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の融
合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング方法。
8. 標的タンパク質が単一又は複数のSH2ドメインであることを特徴とする
、請求項7に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング方法。
9. 放射性標識リガンドが[3H]−ジヒドロFK506であることを特徴とす
る、請求項8に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング方法
。
10. FK506結合タンパク質が12kDaのヒトFK506結合タンパク
質であることを特徴とする、請求項9に記載の融合タンパク質へ結合できる化合
物のスクリーニング方法。
11. 標的タンパク質が、ZAP:SH2、SYK:SH2及びLCK:SH
2からなる群から選択される単一又は複数のSH2ドメインであることを特徴と
する、請求項10に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニング
方法。
12. 標的タンパク質がSH2ドメインであるZAP:SH2であることを特
徴とする、請求項11に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニ
ング方法。
13. 標的タンパク質がSH2ドメインであるSYK:SH2であることを特
徴とする、請求項11に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニ
ング方法。
14. 標的タンパク質がSH2ドメインであるLCK:SH2であることを特
徴とする、請求項11に記載の融合タンパク質へ結合できる化合物のスクリーニ
ング方法。
15. 融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法であ
って、
a)FK506結合タンパク質をコードするDNAの終止コドンを除去すること
;
b)FK506結合タンパク質をコードするDNA上に、ペプチドリンカーをコ
ードする修飾DNAフラグメントを合成すること;
c)クローニング部位で発現ベクターを消化すること;
d)ペプチドリンカーを有するFK506結合タンパク質をコードする修飾DN
Aフラグメントを消化された発現ベクターにクローニングし、ペプチドリンカー
を有するFK506結合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターを産
生させること;及び
e)標的タンパク質をコードするDNAを、ペプチドリンカーを有するFK50
6結合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターにクローニングするこ
と;
の各工程を含むことを特徴とする該方法。
16. 標的タンパク質が単一又は複数のシグナル伝達ドメインであることを特
徴とする、請求項15に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベ
クターの製造方法。
17. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインが、SH1、SH2、SH3、及
びPHドメインからなる群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載
の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法。
18. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインがSH2ドメインであることを特
徴とする、請求項17に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベ
クターの製造方法。
19. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインが、ZAP:SH2、SYK:S
H2及びLCK:SH2からなる群から選択されるSH2ドメインであることを
特徴とする、請求項18に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現
ベクターの製造方法。
20. FK506結合タンパク質が12kDaのFK506結合タンパク質で
あることを特徴とする、請求項19に記載の融合タンパク質をコードする組換え
DNA発現ベクターの製造
方法。
21. ペプチドリンカーがアミノ酸配列GLVPRGS(配列番号7)を有す
ることを特徴とする、請求項20に記載の融合タンパク質をコードする組換えD
NA発現ベクターの製造方法。
22. 標的タンパク質がZAP:SH2であることを特徴とする、請求項21
に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法。
23. 標的タンパク質がSYK:SH2であることを特徴とする、請求項21
に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法。
24. 標的タンパク質がLCK:SH2であることを特徴とする、請求項21
に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNA発現ベクターの製造方法。
25. 配列番号1である配列を含む融合タンパク質をコードする単離DNA。
26. 配列番号2である配列を含む融合タンパク質をコードする単離DNA。
27. 配列番号3である配列を含む融合タンパク質をコード
する単離DNA。
28. 配列番号4である配列を含むFKBP−ZAP:SH2融合タンパク質
。
29. 配列番号5である配列を含むFKBP−SYK:SH2融合タンパク質
。
30. 配列番号6である配列を含むFKBP−LCK:SH2融合タンパク質
。
31. 発現ベクター中の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法
であって、
a)宿主細胞を融合タンパク質発現ベクターで形質転換すること;
b)宿主細胞中で融合タンパク質の発現を誘導すること;
c)宿主細胞から融合タンパク質を回収すること;及び
d)融合タンパク質を精製すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法。
32. 標的タンパク質が単一又は複数のシグナル伝達ドメインであることを特
徴とする、請求項31に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現
方法。
33. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインが、SH1、
SH2、SH3、及びPHドメインからなる群から選択されることを特徴とする
、請求項32に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法。
34. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインが単一又は複数のSH2ドメイン
であることを特徴とする、請求項33に記載の融合タンパク質をコードする組換
えDNAの発現方法。
35. 単一又は複数のシグナル伝達ドメインが、ZAP:SH2、SYK:S
H2及びLCK:SH2からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3
4に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法。
36. FK506結合タンパク質がヒト12kDaのFK506結合タンパク
質であることを特徴とする、請求項35に記載の融合タンパク質をコードする組
換えDNAの発現方法。
37. 宿主細胞が細菌、酵母、藍藻、植物細胞、昆虫細胞、又は動物細胞山来
であることを特徴とする、請求項36に記載の融合タンパク質をコードする組換
えDNAの発現方法。
38. 宿主細胞が、BL21(DE3)、Nova Blue(DE3)、及
びJM109(DE3)からなる群から選択されるE.coli株であることを特徴と
する、請求項37に記載の
融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法。
39. 単一又は複数のSH2ドメインがZAP:SH2であることを特徴とす
る、請求項38に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法。
40. 単一又は複数のSH2ドメインがSYK:SH2であることを特徴とす
る、請求項38に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法。
41. 単一又は複数のSH2ドメインがLCK:SH2であることを特徴とす
る、請求項38に記載の融合タンパク質をコードする組換えDNAの発現方法。
42. 単離されるFKBP−SH2融合タンパク質の精製方法であって、
a)固体支持体に固定化したアビジン又はストレプトアビジンに結合したビオチ
ニル化ホスホペプチドからなるアフィニティーマトリックスを製造すること;
b)融合タンパク質を発現する細胞から凍結/融解抽出液を製造すること;及び
c)アフィニティーマトリックスに抽出液を負荷し、非結合タンパク質を洗い流
すこと;及び
d)所望の融合タンパク質をフェニルホスフェートで溶出すること;
の各工程を含むことを特徴とする該方法。
43. DNAが、FKBP−ZAP:SH2融合タンパク質をコードし、配列
番号1であるDNA配列を有することを特徴とする、組換えFKBP−SH2ド
メイン T7RNAポリメラーゼをベースとした発現ベクター。
44. DNAが、FKBP−SYK:SH2融合タンパク質をコードし、配列
番号2であるDNA配列を有することを特徴とする、組換えFKBP−SH2ド
メイン T7RNAポリメラーゼをベースとした発現ベクター。
45. DNAが、FKBP−LCK:SH2融合タンパク質をコードし、配列
番号3であるDNA配列を有することを特徴とする、組換えFKBP−SH2ド
メイン T7RNAポリメラーゼをベースとした発現ベクター。
46. 組換え宿主細胞が、E.coliBL21(DE3)、E.coliNova Bl
ue(DE3)、及びE.coli JM109(DE3)からなる群から選択される
ことを特徴とする、組換えFKBP−SH2ドメイン T7RNAポリメラーゼ
をベースとした発
現ベクターを含む組換え宿主細胞。
47. 組換え宿主細胞が、E.coliBL21(DE3)であることを特徴とする
、請求項46に記載の、組換えFKBP−SH2ドメイン T7RNAポリメラ
ーゼをベースとした発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
【図1】
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CA,JP,US
(72)発明者 サロウ,スコツト・ピー
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 ウイスニユウスキイ,ダグラス
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126