JPH11511650A - 改変されたミエリンタンパク質分子 - Google Patents

改変されたミエリンタンパク質分子

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JPH11511650A JP8533344A JP53334496A JPH11511650A JP H11511650 A JPH11511650 A JP H11511650A JP 8533344 A JP8533344 A JP 8533344A JP 53334496 A JP53334496 A JP 53334496A JP H11511650 A JPH11511650 A JP H11511650A
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Abstract

(57)【要約】 多発性硬化症の臨床的評価、診断および治療のための組成物および方法を提供する。本発明の組成物は、ヒトプロテオリピドタンパク質(PLP)および/またはヒトミエリン塩基性タンパク質(MBP)に関連する分子であり、核酸およびポリペプチドを包含する。本発明の核酸分子は、改変されたPLPポリペプチドおよび改変されたMBPポリペプチドの生産に有用であり、このようなポリペプチドは、PLPおよびMBPエピトープに対する応答性についてT細胞をアッセイすることにおいて有用である。本発明のポリペプチドは、多発性硬化症を治療する手段としてアネルギーおよびアポトーシスを含むT細胞応答を誘導することにより作用する治療剤としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 改変されたミエリンタンパク質分子 発明の分野 本発明は、自己免疫疾患の治療に関する。特に、本発明は、多発性硬化症(M S)の診断および治療を容易にする組成物および方法を提供する。さらに具体的 には、工学処理されたヒトミエリン塩基性タンパク質(MBP)分子、すなわち MBPポリペプチド、およびMBPポリペプチドをコードする核酸分子、ならび にプロテオリピドタンパク質(PLP)分子、すなわちPLP配列を含むポリペ プチド、およびそのようなポリペプチドをコードする核酸分子を提供し、また、 多発性硬化症の診断、臨床的評価および治療的処置のためのこのようなポリペプ チドの使用方法も提供する。 本発明の背景 このセクションにおける論述は、本発明に対して「従来技術」となる資格を有 する対象に限らない。したがって、この論述において特定の対象物が包含されて いるという理由により、このような従来技術の水準の認容が解釈され、または引 用されるものではなく、そのような包含の理由により、本発明者らの興味に対す る宣言が解釈されるものではない。 自己免疫疾患 自己免疫疾患は、ある種の自己抗原に対する寛容性の喪失によりもたらされ、 これらの抗原に対する免疫系による不適切な攻撃を生じる。免疫系の抗体媒介性 (体液性)および細胞性の側面の両方において、免疫自己寛容性を維持するため に、多数の機構が通常は機能している。自己免疫疾患が起こるのは、これらの機 構が誤って働く場合である。 このような誤って指示された免疫系の活性により生じる疾患には、米国におい てだけでも一千万人を超える患者が罹っている。これらの疾患の症状ではなく原 因を治療する治療法が長い間求められてきた。自己免疫活性の有益な減少を提供 する薬剤が見出されている一方で、このような治療は、一般に、正常な免疫機能 をも低めるという危険な望ましくない影響を有するので、最適なものとは考えら れていない。 多発性硬化症 多発性硬化症(MS)は、進行性の神経退行性自己免疫障害であり、約35万 人の米国人が罹患している(例えばHauser,1994を参照されたい)。女性はこ の疾患を発病する可能性が男性の2倍である。MSは、通常、年齢15〜50歳 の患者、最も一般的には20〜40歳の若い女性が罹る。MSの名前は、罹患し た個体の中枢神経系(CNS)の肉眼(macroscopic)検査で見られる複数の傷 ついた(硬化した)退行領域に由来する。多発性硬化症に付随するこの退行は、 脱髄、慢性的炎症、および脳、視神経および脊髄の罹患領域のグリオーシス(瘢 痕)を含む。 MSは、疾患の進行の異なるタイプおよび段階により特徴づけられる。悪化と 寛解の期間を示す場合、患者は再発寛解(relapsing and remitting)MSを有 すると診断される。急速進行性または慢性的進行性MSは、疾患の進行のペース に応じて診断される。これらの段階は、通常、個々の発作からの回復の程度が減 少し、悪化の期間のあいだに臨床的に安定な期間がある、疾患の経過の後期に起 こる。不活性MSは、典型的には疾患の進行の後期に起こり、種々の程度の固定 した神経学的欠陥を特徴とする。 MSは、常に患者を衰弱させ、しばしば麻痺および死亡に至らせる。MSの当 初の発病の引き金となる因子は未知のままであるが、MSの病理学はミエリン鞘 に対する異常な免疫応答により生じるという証拠は説得力がある。この免疫応答 は、ある種の白血球の自己免疫作用に関与する。神経抗原特異的T細胞はこの点 において特に重要であると信じられている。 病理学的には、MSは、慢性的な炎症、脱髄、および白質のグリオーシスを特 徴とする。MSの古典的な病巣は、プラークと呼ばれ、周囲の白質から容易に区 別されるはっきり画定された灰色またはピンクの領域である。(白質の着色は、 この組織におけるミエリンの高濃度によるものである。)急性MS病巣は、単核 球、主にT細胞(ヘルパーおよび細胞傷害性の両方)およびマクロファージによ る組織浸潤を伴う脱髄を特徴とし、B細胞および形質細胞は稀にしか存在しない 。これらの炎症性浸潤物は、この疾患に特徴的な脱髄を媒介するように見える。 活性化されたT細胞はマクロファージの浸潤および活性化を促進するサイトカイ ンを放出するため、T細胞はMSにおける病理的自己免疫発作の一次媒介因子と 考 えられる。T細胞およびミエリンのより詳細な論述は、「T細胞生理学」、「T 細胞および自己免疫病因論」および「MSにおけるT細胞標的特定自己抗原」と 題して後記する。 現在のMSの治療はさまざまである。疾患の重症度および処置に対する応答に 応じて、薬物療法の多様な選択枝が利用可能である。MSの治療に用いられる薬 物としては、プレドニゾンおよびメチルプレドニゾンのようなステロイド、副腎 皮質刺激ホルモン(ACTH)のようなホルモン、アザチオプリンのような代謝 拮抗物質、シクロホスファミドのようなアルキル化剤、およびシクロスポリンの ようなT細胞阻害剤が挙げられる。これらの薬剤はすべて典型的にいくらかのレ ベルの全身的免疫抑制を生じ、患者を感染しやすい状態に置くので、これらのい ずれの薬剤の投与も危険である。患者は、このような薬剤による処置を受けると 、吐き気、脱毛、高血圧および腎不全などの副作用を経験する可能性もある。さ らに、これらの薬剤のいくつかは発ガン性である。 MSを治療する新規なアプローチとしては、インターフェロンβ療法が挙げら れ、これは、MS発作の頻度を低めることができ、疾患の進行を遅らせる可能性 もある。別の新規なアプローチとしては、以下に述べるようなMS自己免疫応答 に関与する抗原の投与が挙げられる。 MSの診断 MSは、典型的には診療歴および物理的検査に基づいて診断される。MSに特 有の臨床的徴候または診断試験はない。再発および寛解疾患の症状はMSの診断 の可能性を上昇させるものではあるが、MSに一般に付随する単一の初期症状を 有する患者の診断は、断定的であり得ない。各々が24時間もしくは少なくとも 1ヵ月離れた2以上の悪化の症状、または少なくとも6ヵ月にわたる持続する徴 候および症状の遅い段階的な進行は、MSを強く示唆するものと考えられる。C NS白質の2以上の領域における関与を示すMRIによる知見および全身的疾患 の証拠もまた、MSの表示である。 現在、この疾患の診断を確認し、その進行を評価するために種々の実験室試験 が行われている。このような試験としては、MS病理学の化学的および細胞の徴 候についてのヒト脳脊髄液(CSF)および血液の分析が挙げられる。 MSに付随するCSF異常は、単核球細胞増加および自己反応性(典型的には ミエリン反応性)T細胞の存在、総Igレベルの上昇、およびオリゴクローナル Igの存在(典型的には2以上のオリゴクローナルバンドとして見られる)から なる。約80%の患者において、CSFのIgG含量は、正常濃度の総タンパク 質の存在下で増加する。これは、CNSにおけるIgGの選択的産生によって生 じる。 CSF IgGのオリゴクローナルバンド形成は、アガロースゲル電気泳動技 術によって検出される。MS患者の75〜90%において2以上のオリゴクロー ナルバンドが見出される。オリゴクローナルバンド形成の存在は、MSにおける 総IgGレベルの上昇と相関する。MSのCSFにおける他のIg異常としては 、遊離のカッパまたはラムダ軽鎖、およびIgAを含む他のIgアイソタイプの レベルの上昇が挙げられる。 ミエリンの崩壊に由来する代謝産物もまたCSF中に検出される。PLPまた はそのフラグメントの上昇したレベルは、例えばラジオイムノアッセイにより、 MS患者および他の神経疾患を有するいくらかの患者の両方において検出されう る。 CSFについて上述した病理学的徴候の多くに加えて、MS患者の血液は、I gG合成の上昇したレベル、多核白血球、減少した血清B12レベル、上昇した赤 血球沈降率、および自己抗体または自己反応性T細胞の存在を示しうる。後述す るように、「反応性T細胞インデックス」はMSの臨床的経過を監視するための 特に有用な細胞の知見である。 MS疾患のこれらの種々の指標は臨床的に有用である一方、(MRIのような 高価な画像(イメージ)技術に対して)血液または脳脊髄液試験のような、比較 的低価格で容易に定量可能な試験を用いた、MS患者における自己免疫活性の経 過および程度を追跡する他の手段が必要とされている。 T細胞、抗原提示細胞、およびT細胞エピトープ 上述したように、MS病因論は白血球、最も重要にはT細胞の不適切な作用に より媒介されると信じられている。T細胞は、多くの必須の免疫機能を提供する 単核白血球である。ヒトの自己免疫疾患におけるT細胞の重要性は過去10年間 の間にますます認識されてきている。全身的な免疫抑制をもたらす処理を用いる 研究により、CD4+またはヘルパーT細胞として知られるT細胞のサブセット について、タンパク質またはペプチド抗原に対するすべての免疫応答(細胞性お よび体液性の両方)の一次調節因子としての臨床的な役割が定義された。 T細胞は、直接的および間接的な手段により組織損傷を媒介する。CD8+( 細胞傷害性)およびCD4+(ヘルパー)サブセットの両方のT細胞は、種々の 他のタイプの白血球を活性化することにより間接的に組織を損傷させうる多様な 炎症性サイトカインを分泌する。このようなT細胞効果の例としては、抗体分泌 B細胞の活性化(体液性免疫活性の刺激)およびマクロファージの活性化が挙げ られ、これらは加水分解酵素、反応性酸素種およびさらなる前炎症性サイトカイ ンを放出することにより急性の組織損傷および炎症を引き起こしうる。これらの T細胞活性の間接的な効果に加えて、標的抗原を提示する細胞を攻撃するCD8+ 細胞傷害性T細胞により、直接的な組織損傷が媒介されうる。 T細胞の生理学の1つの独特の側面は、その細胞表面上のT細胞レセプター( TCR)と呼ばれる膜結合性の抗体様結合構造の存在である。抗体のように、T CRは特定の抗原に高い特異性で結合する。非常に多くの細胞クローンとして発 生し、各クローンが独特の特異性を有する抗体を産生する抗体産生細胞のように 、T細胞は、広大な数の異なるクローンとして発生し、あらゆる特定のT細胞ク ローンも、一定の結合特異性を有するTCRの単一のタイプを発現する。自己抗 原に特異的に結合するTCRを有するT細胞クローンは、自己免疫疾患の発症に 関与する。 可溶性分子であるのではなく細胞表面に存在することに加えて、TCRは、抗 原を認識する方法において抗体と異なる。抗体は種々の状況における抗原(例え ばネイティブの、変性した、可溶性の、または膜に結合した抗原)に結合するが 、TCRは、ほとんどの抗原と、それらの抗原が抗原提示細胞(APC)として 知られるある種の細胞により分解(処理、プロセッシング)され、生じるペプチ ドが主要組織適合性複合体(MHC)のクラスIまたはクラスIIタンパク質と関 連してAPCの細胞表面に展示(提示、ディスプレイ)された後にのみ、結合す る。ヒトの集団においては、異なる個体は、非常に異なるこれらのクラスのMH C分 子を現しうる。したがって、多くの異なるエピトープが、このような個体におい て優先的に提示されうる。 APCにより抗原のプロセッシングが行われる機構の詳細については、よくわ かっていない。したがって、ある一定の抗原を特定のペプチドが産生され展示さ れるような方法でプロセッシングするAPCの能力に関しては、その抗原が既に その点に関して特徴づけされているのでない限り、かなりの不確実性がある。 抗原がT細胞をそのTCRを介して刺激するためには、APCが抗原をプロセ ッシングして提示するという要件についての1つの例外は、小さいペプチド抗原 の場合である。このようなペプチドは、APCによりプロセッシングされること なく、細胞表面上のMHCクラスI分子に直接結合することができ、次いで、特 異的TCRにより「認識」され、結合されて、それによりT細胞を刺激しうる。 抗体およびTCRとその特異的抗原との相互作用の研究により、特定のポリペ プチド抗原が、典型的には、エピトープとして知られる多数のサブ分子的特徴を 含み、それらの各々が特定の抗体または(APCによるポリペプチドのプロセッ シングおよびT細胞エピトープを含む派生ペプチドのMHCによる展示の後に) 特定のTCRのための異なる結合部位として役立つことが示された。 したがって、TCRと抗体とは、各々ポリペプチド抗原の小さい部分を認識す るのみであることにおいて同様である。それらは、抗体が典型的にはその特異的 エピトープをインタクトなポリペプチドの状況において認識し、一方、TCRは APCの表面上のプロセッシングされたポリペプチドのMHCクラスIIまたはク ラスI結合ペプチドフラグメントとして特異的エピトープを認識するのみである ことにおいて異なる。重要なことには、このTCRエピトープ認識過程は、AP Cが、適切なペプチドを生成し展示するように、ポリペプチド抗原をプロセッシ ングすることができる場合のみ起こりうる。したがって、特異的TCRによって 認識されるペプチドが特定のポリペプチド抗原中に存在しうるとしても、その特 異的TCRを発現するT細胞を刺激することができるペプチドがインビボでその ポリペプチド抗原かが誘導されるかどうかは不確実である。これは、APCがそ の特定のポリペプチド抗原をプロセッシングすることによって特異的TCRによ り認識されるペプチドを生成できるかどうかが不確実であるためである。 この、特定のポリペプチド抗原のAPCによるプロセッシングの結果について の確実性の欠如は、いくつかの要因に起因している。APCが特定のポリペプチ ド抗原をそのポリペプチドに含まれる特異的ペプチドエピトープを展示するよう にプロセッシングしない可能性がある1つの理由は、APCはエピトープ内の部 位でポリペプチドを効率的に切断し、そのためそれを破壊することである。第二 の理由は、ポリペプチドのプロセッシングに関与するAPCの細胞内区画にその ポリペプチドが入れない、またはそれにより有効に分解されないことである。 一次構造(直線状のアミノ酸配列)、二次構造(直線状のアミノ酸配列におい て互いに近接するアミノ酸残基の相互作用により生じる三次元構造)、または三 次構造(直線状のアミノ酸配列においては互いに離れているが、ポリペプチド鎖 の折りたたみ(フォールディング)の結果として互いに近傍にくるアミノ酸残基 の相互作用により生じる三次元構造)のある側面は、APCのプロセッシングに 影響を与えうる。ポリペプチドのアミノ酸配列は、特異的T細胞を刺激するよう にAPCによりプロセッシングされ展示されるその潜在能を決定することにおい て、明らかに最も重要な要因である。特異的T細胞のTCRにより認識されるペ プチドは、ポリペプチドのアミノ酸配列内に含まれていなければならない。アミ ノ酸配列は、ポリペプチドの潜在的二次および三次構造(すなわちフォールディ ング)をも決定する。 ポリペプチドのフォールディングは、APCのプロセッシングにも重大な影響 を与えうる。特定のポリペプチドに由来する特異的エピトープのAPCによる展 示の不確実性についての上述した第一および第二の理由の両方が、ポリペプチド がフォールディングされる方法によりもたらされうる。APC内でのプロセッシ ング中の加水分解による切断は、フォールディングによる切断部位のマスキング または露出により影響されうる。細胞内区画へのポリペプチドの進入は、ポリペ プチドの三次元構造により影響されることがよく知られているが、この三次元構 造はフォールディングの作用による。 T細胞および自己免疫疾患 自己免疫疾患においては、少数の自己抗原の種々のエピトープと反応性である 限られた数のT細胞クローンのみが活性化され、病因論に関与する。疾患原因の 自己反応性T細胞のこの病理的活性化において、種々の機構が役割を果たすと仮 定されている。感染または局所的炎症による抗原提示細胞(APC)の一次的活 性化は、そのような機構の1つと解されている。このようにして活性化されたA PCは、それまでのところ非反応性であるT細胞に対する強力な共刺激を提供す ることができる。 他の提案された機構は、細菌の毒素のようなスーパー抗原による従来鎮静期の 自己反応性T細胞のポリクローナル活性化;または外来および自己抗原の間の偶 然の分子ミミクリー(molecular mimicry)を包含する(Abbas et al.,1994) 。この最後の場合においては、宿主の免疫系は、宿主タンパク質上の相同エピト ープに似た、ウイルスのような病原因子により発現されるタンパク質上のエピト ープに対する応答を装備する。自己免疫攻撃は、次いで後で起こる交差反応性免 疫応答によってもたらされる。 外部的要因に加えて、すべてのT細胞媒介性自己免疫疾患の出現の根底にある のは、複数遺伝性因子により決定される遺伝性の感受性の複雑なパターンである 。これらの種々の要因についてのさらなる論述については、Steinman,1995 に おいて自己免疫の現在の諸説が論評されている。 MS(次に「MSにおけるT細胞標的特定自己抗原」と題して詳述する)を含 むいくつかの自己免疫疾患においては、異常な免疫応答により標的とされる自己 抗原のいくつかまたはすべてが同定されている。MSのような自己免疫障害にお いて自己反応性T細胞により標的とされるこれらの自己抗原およびこれらの抗原 中の特異的エピトープの知見は、「抗原の投与によるMSの治療」および「アポ トーシスの治療的誘導」と題して以下に詳述するように、治療法へのアプローチ を提供する。 MSにおけるT細胞標的特定自己抗原 上述したように、MSの正確な原因学は不明のままであるが、自己免疫攻撃は 明らかに中枢神経系(CNS)ミエリンの破壊に関連があり、これがこの疾患の 証明である。ミエリンはある種のニューロンの軸索を取り囲むミエリン鞘の特徴 的な成分であり、電気的絶縁体として作用するものであり、これらのニューロン の適正な信号伝達機能に必須である。したがって、MSに付随する脱髄は、ニュ ーロンの信号授受を破壊し、感覚機能の重度の障害および麻痺をもたらして、罹 患したニューロンにおける機能の喪失を引き起こす。 ミエリン鞘は、(中枢神経系の)オリゴデンドロサイト(乏突起神経膠細胞) および(末梢神経系の)シュワン細胞により作られる。ミエリンは、規則的に交 互になった脂質(例えばコレステロール、リン脂質およびスフィンゴ脂質)およ びタンパク質の層から構成される。 ミエリンの4つの主要なタンパク質成分、すなわちミエリン塩基性タンパク質 (MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリン関連糖タンパク質 (MAG)およびミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質(MOG)は、MS 患者から単離された自己反応性Tリンパ球により認識される(Endoh,et al.,19 86;Martin,et al.,1992;Kerlero de Rosbo et al.,1993;Amor et al.,1994; Johns et al.,1995)。 ミエリン塩基性タンパク質(MBP)およびプロテオリピドタンパク質(PL P)は、ミエリンの主要タンパク質成分であり、それぞれミエリン鞘の総タンパ ク質含量の約30%および50%を構成する。MBPおよびPLPは、MSにお ける主要な標的自己抗原であることが示されており、MBPおよびPLPと反応 性のT細胞はその病因論において重要な役割を果たす(例えば、Schwartz,199 3;Brown and McFarlin,1981,Lab.Invest.45,pp.278-284;Allegretta et a l.,1990;Lehmann et al.,1992;Martin et al.,1992;Sprent,1994; Su and Sriram,1991,J.of Neuroimmunol. 34,pp.181-190;およびWeimbs and Stoff el,1992を参照されたい)。 MBP特異的およびPLP特異的Tリンパ球は、MS患者の血液中に見出され ている。これらはしばしば健康な個体の血液中に見出されうるが、典型的にはM S患者の脳脊髄液(CSF)中に存在する。重要なことには、このようなT細胞 は健康な個体からのCSF中には見出されない(Kerlero de Rosbo et al.,19 93;Zhang et al.,1994)。 MBPおよびPLPに対するMS患者の免疫応答は、健康な個体のそれとは明 らかに異なる。MS患者においては活性化のマーカー(例えばIL−2レセプタ ー)を発現するMBP特異的およびPLP特異的T細胞の頻度が上昇するという 観察により証明されるように、MBPおよびPLP反応性T細胞は、MS患者に おいて優先的に活性化される(例えば、Zhang,et al.,1994を参照されたい)。 遺伝子突然変異頻度解析も、MBP反応性Tリンパ球がMS患者において特異 的に活性化されるという証拠を提供する。遺伝子突然変異は、休息中のT細胞よ りも分裂中のT細胞において高頻度であるため、特定の特異性のT細胞における 上昇した突然変異頻度は、インビボにおけるこれらの細胞の特異的活性化の指標 を提供する(Allegretta et al.,1990)。 MS患者からのTリンパ球は、チオグアニン中で培養され、このプリンアナロ グに対して細胞を抵抗性にするhprt遺伝子中の突然変異の頻度が試験された 。正常個体からのT細胞の頻度の10倍にのぼる高頻度のチオグアニン抵抗性T 細胞クローンがMS患者において見出され、意図的に脳MBPに暴露されたこと は全くなかったが、これらの突然変異体クローンのかなりの割合がこの抗原に応 答して増殖した。これに対し、正常被検者から得られた抵抗性クローンは全くM BPを認識しなかった。 MBP、PLPおよびMOGは、動物において実験的アレルギー性脳脊髄炎( EAE)を誘導するその能力のため、MS患者における一次自己抗原であるとも 考えられている。EAEは、MSによく似た実験的に誘導された状態であり、M Sのベンチマーク動物モデルである。さらに、EAE(またはMS)を患う個体 から健康な動物へのT細胞の移入は、受容者においてEAEを起こすことができ 、これは、「養子移入(adoptive transfer)」と呼ばれる疾患誘導方法である 。例えば、ヒトから動物への移入実験において、MS患者からのCSF単核細胞 (T細胞を含む)は、重症複合免疫不全(SCID)マウスの脳室中のCSFに 注入した場合、麻痺、運動失調、および炎症性脳病巣を引き起こした(Saeki et al.,1992)。また、MBPおよび/またはPLPおよび/またはMOGでの動物 の免疫は、CNS炎症、麻痺およびEAEのその他の徴候および症状を誘起する ことができる(例えば、Alvord et al.,1984;Abbas et al.,1994;Amor et al .,1994;およびJohns et al.,1995を参照されたい)。 MBP、PLPおよびMOGがMSにおける異常な免疫応答により標的とされ る一次抗原であることは明らかであるが、研究により、T細胞増殖応答を誘導し うるMBPおよびPLPエピトープの顕著な異質性が解明されている。これらの 研究は、MS患者の反応性T細胞により正常な健康個体のそれよりも高頻度で認 識される単一のエピトープを一致して解明していない(Chou et al.,1989;Ric hert et al.,1989;Martin et al.,1990;Ota et al.,1990;Pette et al.,1990 ;Martin et al.,1992;Meinl et al.,1993)。抗原の標的化におけるこの異質 性は、一部には、ヒト集団において異なる個体により発現されるMHC分子およ びTCRの多様性の作用である可能性がある。 MBPの異なる分子形態(アイソフォーム)は、MBP hnRNAの差次的 (differential)スプライシングにより生成され、単一のMBP遺伝子の7つの エクソンのいくつかまたはすべてのコードされるタンパク質の存在をもたらす。 健康な成人においては、MBPは、ほとんど排他的に、MBP遺伝子のエクソン 2以外のすべてのエクソンを含むmRNAから生成される18.5kDa 分子とし て見出される(Kamholtz et al.,1988)。MBPの他の形態としては、全長( 7つすべてのエクソン)の21.5kDa アイソフォーム、および別の2つの少 量のアイソフォーム(17.2および20.2kDa)が挙げられる。2つのエク ソン2含有アイソフォーム(21.5および20.2kDa)の発現は、初期胚発 生中および損傷組織の再有髄化中の両方において、ミエリンの形成とともに増加 するように見える(Kamholtz et al.,1988;Roth et al.,1987)。これらの2 つのアイソフォームは、損傷した成人組織の再有髄化においても見出されるが、 当業界において、そして本明細書において、「胎児性」アイソフォームと呼ばれ る。 MSプラークは、再有髄化の領域を含み、したがって、健康な成人CNS組織 に見出されるよりも高レベルのMBPの21.5アイソフォームを含有するはず であり、エクソン2によりコードされるMBPの2つの胎児性アイソフォーム( これらの領域は「X2MBP」または単に「X2」と呼ばれる)の各々の共通す る26アミノ酸の領域(配列番号1のアミノ酸残基60〜アミノ酸残基85にわ たる配列に相当する)内のエピトープに対する免疫応答は、確立した疾患の経過 を悪化させうることを示唆している(Prineas et al.,1993;Raine and Wu,19 93;Bruck et al.,1994)。 再有髄化は、MSの経過において周期的に起こりうるので、再有髄化の各サイ クルは、理論的にはCNSにおける休止中のX2MBP特異的T細胞を活性化す ることにより進行中の免疫応答を駆り立てるのに役立つことができる。この仮説 を支持するものとして、いくつかの証拠が、MS病因論におけるMBP遺伝子の エクソン2によりコードされたエピトープ(すなわちX2MBP内のエピトープ )の関与を示唆している。 MSにおけるMBPの代替的アイソフォームの役割の研究は、その免疫学的特 性を評価するためには精製された大量のミエリン抗原が利用可能であることを必 要とする。したがって、このような研究は、一般に、合成的に誘導したペプチド 、例えばX2MBPを含むペプチドを用いることに限られていた。最近、ヒトM BPのエクソン2にコードされた配列を含むペプチドと反応性のCD4+MHC クラスII制限T細胞が、MS患者および正常な健康対照者の両方の末梢血から単 離された(Voskuhl et al.,1993a;Voskuhl et al.,1994)。MSに罹患した家 族において、X2包含ペプチドに特異的なTリンパ球の頻度は、X2を含まない MBPの18.5kDa アイソフォーム内のエピトープに特異的なT細胞の頻度 よりも高かった(Voskuhl et al.,1993b)。ヒト被検者からのこのデータに加 えて、最近、マウスのX2包含ペプチドがSJL/Jマウスにおいて免疫原性で あることが見出され、エクソン2ペプチド感作リンパ球の養子移入により重度の EAEが誘導された(Segal et al.,1994;Fritz and Zhao,1994)。 総合すると、これらのヒトおよび動物での知見は、ミエリン由来抗原MBPに 対するインビボでの細胞性免疫応答は、多発性硬化症に付随した病因論の少なく ともいくつかを引き起こすことを明らかにしている。しかし、X2エピトープに 関するこれらの研究の全てが抗原として合成ペプチドを使用しており、これらの 研究のどれひとつとして全長MBP21.5タンパク質を用いていないことは留 意されるべきである。APCによる試験されていないタンパク質の特定のエピト ープのプロセッシングおよび展示に関する不確実性に照らして、これらの結果が インビボでのMS病因論に真に関連するかどうかは、当業界において疑問とされ た。 PLPは、非常に疎水性の内在性ミエリン膜タンパク質であり、その物理的お よび化学的特性により単離、研究または患者への投与が困難である(例えば、So bel et al.,1994;Tuohy,1994;Van der Venn et al.,1989;Van der Venn et al. ,1990;Van der Venn et al.,1992;van Noort et al.,1994を参照されたい)。 PLPの一次アミノ酸配列は種間でよく保存されている。典型的には、成熟PL Pポリペプチドは、PLP遺伝子によりコードされる開始メチオニンを含まない 。このアミノ酸は、哺乳類細胞において翻訳後プロセッシングにより除去される ようである。したがって、本明細書において用いる場合、ヒトPLPのアミノ酸 番号は配列番号22に示すものであり、グリシン残基をアミノ酸番号1として番 号を開始してある。 276アミノ酸のPLPポリペプチドは、約50%の疎水性残基を含み、5つ の親水性ドメインおよび4つの非常に疎水性の高いドメインに分けられると記載 されており、これらはタンパク質のアミノ末端から開始して1から4までの番号 が付されている。タンパク質のドメインは、ドメインの境界を定義するのに使用 する基準によって、異なる範囲を有するように定義されうる。したがって、最も 厳密な基準によると、ヒトPLP分子の疎水性ドメインは、ヒトPLPのアミノ 酸配列(配列番号22)のアミノ酸残基10〜36(疎水性ドメイン1)、59 〜87(疎水性ドメイン2)、151〜178(疎水性ドメイン3)、および2 38〜267(疎水性ドメイン4)にわたる。これより厳密性の低い基準もこれ らのドメインを定義するのに用いられ、代わりに、疎水性ドメインは、ヒトPL Pのアミノ酸配列(配列番号22)のアミノ酸残基10〜18(疎水性ドメイン 1)、70〜80(疎水性ドメイン2)、162〜170(疎水性ドメイン3) 、および250〜258(疎水性ドメイン4)にわたるということができる。 したがって、PLPの親水性ドメインは、ヒトPLPのアミノ酸配列(配列番 号22)のアミノ酸残基1〜9(親水性ドメイン1)、37〜58(親水性ドメ イン2)、88〜150(親水性ドメイン3)、179〜237(親水性ドメイ ン4)、および267〜276(親水性ドメイン5)と定義することができる。 PLP反応性T細胞株は、PLPペプチドに対して強く反応する。PLP配列 に基づく配列を有する合成ペプチドは、マウスおよびヒト脳炎誘発性エピトープ を同定するために用いられてきた。例えば、Fritz et al.,1983,J.Immunol. 130,pp.191-194;Endoh et al.,1986;Greer et al.,1992;Kuchroo et al.,199 2;Kuchroo et al.,1994;McRae et al.,1992;Pelfrey et al.,1993;Pelfrey et al.,199 4;Sobel et al.,1992;Tuohy et al.,1988;Tuohy et al.,1989;Tuohy et al. ,1992;Whitham et al.,1991,J.Immunol. 147,pp.101-107;Whitham et al.,1 991,J.Immunol.,147pp.3803-3808; およびCorreale et al,1995を参照され たい。これらのヒトペプチドにより定義されたエピトープを表1に示す。 PLPの最近提案された構造に従えば(Weimbs and Stoffel,1992)、これ らの脳炎誘発性エピトープは、PLPの膜内ドメインおよび膜外ドメインの両方 に見出される。 PLPペプチドは、脳炎誘発性であることが示されており、ウサギ、ラット、 モルモット、および種々のマウス系統において疾患を誘発することができる(例 えば、Trotter et al.,1987を参照されたい)。マウスPLPは、配列において ヒトPLP(配列番号22)と同一である。マウスのモデルにおける脳炎誘発性 エピトープとしては、表2に示すものが挙げられる。少なくともいくつかのマウ ス系統において、PLPは、CNS内の主要な脳炎誘発物質を表す(Kennedy e t al.1990)。種々のげっ歯類モデルにおいて、MBP誘導性疾患に比較して、 PLP誘導性EAEについて有意に多い脱髄が観察された(Tabira,1988)。臨 床的研究においては、MS患者対正常健康対照個体においてPLPペプチド反応 性T細胞の数の有意な差が報告されている(Sun et al.,1991;Trotter et al. ,1991;Chou et al.,1992;Zhang et al.,1994)。 これらの観察に加えて、MS病因論におけるPLPの重要性は、PLPが、M BPとは違って、CNSにおいてのみ見出され、末梢神経系には見出されず、そ こではMSにおいて損傷が相対的にほとんど起こらない、という観察によって示 唆されている(Lees and Mackin,1988)。 抗原の投与によるMSの治療 あらゆる疾患の理想的な治療的処置は、正常な生理学に影響を与えずに病因論 を遮断するものである。自己免疫疾患の場合には、このような理想的療法へのア プローチは、外来抗原に対する免疫応答に影響を与えずに自己免疫疾患関連自己 抗原に対する免疫寛容性を特異的に誘発する処置である。免疫機能の他のすべて の側面を変えないまま、特異的な自己抗原に対する寛容性を誘発しうる新規な治 療剤および治療戦略が模索されている。 特異的自己反応性リンパ球、特にT細胞を抑制するために抗原を投与すること を介してT細胞応答を治療的に改変し、それにより疾患関連自己抗原に対する寛 容性を誘起する試みが行われてきた。このような抗原特異的療法の顕著な利点は 、それが、自己抗原と反応することにより病理生成に関与するT細胞のみの活性 の治療的調節を達成しうることである。この特異性は、他の抗原と反応性のT細 胞の重要な免疫活性を変えずに、治療的利益を提供する。 自己反応性T細胞を抑制する療法は神経組織の脱髄および生じる症状を有意に 軽減する可能性があるため、MS抗原は、MS/EAEの治療のための寛容性誘 導剤として研究されてきた(例えば、Adronni et al.,1993;Critchfield et a l.,1994;Miller and Karpus,1994;Racke et al.,1995を参照されたい)。こ れらの研究において、多数の治療プロトコールおよび抗原が用いられており、ヒ ト形態の抗原よりも動物の抗原が主に使用された。例えば、Weiner et al.,199 3はウシミエリンから精製したMBPを用い、Miller et al.,1992はモルモット 、ラットおよびマウスのMBPを用いた。ヒトMBP抗原を用いた研究において は、MBPは死体のヒト脳から精製された(例えば、Zhang et al.,1994を参照 されたい)。 経口寛容性は、TGF―βを含むサイトカインの分泌を通じてインビトロおよ びインビボの両方で免疫応答を抑制する調節CD8+T細胞に関与する(Chen e t al.,1994,Science,265:1237-1240)。この機構により媒介されるT細胞の活 性のダウンレギュレーションは、特定のT細胞クローンに特異的ではなく、抗原 特異的免疫抑制に関与しないが、抑制性T細胞の分泌したサイトカインにより影 響を受けるのに十分なほどそれらの細胞の近傍にあるあらゆるT細胞に作用する 。この現象は、「傍観者抑制(bystander suppression)」と呼ばれてきた。 最近の研究においては、MS患者に対するウシミエリンの経口投与の寛容誘導 効果が調べられてきた(Weiner et al.,1993,Science,259:1321-1324;Yoon e t al.,1993)。プラセボで処理した患者よりも少数の経口ミエリン処理患者がそ のMS症状の悪化を生じたが、患者が適正に無作為化されていなかったため、こ の研究の結果は、確定的ではなかった。実際、著者らは、「この研究はMSの治 療における経口ミエリンの有効性を証明するものではないことは強く強調されな ければ ならない」ということを注意していた。したがって、経口寛容誘導の研究はMS の治療のための免疫調節剤としてのミエリンタンパク質の有用性を支持する一方 、新規なより有効な抗原、およびMSの免疫調節治療のためのこのような抗原の 代替的な投与モードは模索されつづけている。 明らかに、ヒト疾患の治療のためには、ヒト由来の抗原の方が、ヒト疾患にお いて自己免疫攻撃のために標的とされる実際の自己抗原であり、疾患の抑制は相 同タンパク質が投与された場合に最も有効であるはずであるため、動物由来抗原 よりも有利である(Miller et al.,1992)。これは、ヒトタンパク質は同じM HC結合特異性を有し、自己免疫応答により標的とされる内在性タンパク質と同 じ抗原プロセッシングを受けるであろうからである。 実際、重要なMS自己抗原の免疫優性エピトープ(すなわち、CD4+自己反 応性T細胞により最もしばしば認識されるタンパク質の抗原性領域)は、多くの ミエリン抗原がアミノ酸配列レベルで高い種間相同性を呈するとはいえ、抗原が 由来する動物種によって異なる。例えば、MS患者から得られるT細胞の解析に よって決定されたように、ヒトMBPの免疫優性エピトープはアミノ酸84〜1 02にわたる領域に含まれ、別の1つはアミノ酸143〜168にわたる領域に 見出される。これに対し、マウスMBPの主要免疫優性エピトープはアミノ酸1 〜9にわたる領域に見出され(Zamvil et al.,Nature,324:258,1986)、ラッ トMBPの主要免疫優性エピトープはアミノ酸68〜88にわたる領域に見出さ れる(Burns,et al.,J.Ex.Med.169:27,1989)。 しかし、治療剤としてのヒトCNS組織から単離された抗原の使用は、望まし くない。これは、一般にCNS組織から抗原を精製することに伴う問題およびヒ ト原材料の入手の困難性によるだけでなく、より重要なことには、病原因子の汚 染の可能性の排除の問題による。CNS由来タンパク質の精製における潜在的な 汚染物質の一例は、海綿状脳障害であるクロイツフェルト・ヤコブ病およびクー ルー病を伝播するプリオン粒子である。プリオン粒子は、精製すべきタンパク質 を破壊しないようなあらゆる公知の滅菌手段に対して耐性であるため、特に手に おえない問題を呈する。 これらの問題を回避するヒト抗原の入手の有用なアプローチは、組換えDNA 技術を用いるタンパク質抗原の生産であり、これは、典型的には抗原をコードす るDNA分子を調製し、そのDNAを用いて非ヒト宿主細胞において抗原の発現 を駆動することによって行う。Oettinger et al.(1993)は、ヒトMBPの18 .5kDa形態をコードする未改変のヒト配列を含む組換えDNA分子を調製し、 このDNAを用いて Escherichia coli において組換えヒト18.5kDa MB Pを発現させた。しかし、E.coli におけるPLPポリペプチドの発現は、少な くともいくつかのPLP配列は細菌に有害な効果を有するようであるため、現在 に至るまで手におえない問題であることがわかっていた。 実際、PLPの疎水性は、水溶性を厳密に制限し(Tuohy,1994)、あらゆる 供給源からのネイティブなPLP形態を、調製および静脈投与が困難なものとし ている。 T細胞削除 T細胞レパートリーの変更は、天然にはT細胞発生の間に起こる。胸腺細胞( 未成熟T細胞)のわずかな一部のみが胸腺におけるこの発生および選択事象を生 き延び、末梢循環への発生中のT細胞の移住をもたらされ、ここでT細胞は成熟 を完了する(von Boehmer,1988;Marrack and Kappler,1987)。実験的証拠 は、胸腺中には自己抗原のレセプターを担持する多数の胸腺細胞が当初は存在す ることを強く示唆する。胸腺中でのT細胞発生の間に、これらの自己抗原と反応 性の細胞は、正常な発生経路の一部として削除される(殺される)。この胸腺内 寛容誘導過程は「胸腺寛容性(thymic tolerance)」と呼ばれる。 発生中のT細胞は胸腺中では一定の自己抗原に出会わないが、成熟末梢T細胞 としてこれらに遭遇しうる。例えば、神経抗原は胸腺中ではまったく提示される ことがない可能性がある。このような自己抗原に対する寛容性は、通常は胸腺の 外で形成され、「末梢寛容性(peripheral tolerance)」と呼ばれる。末梢寛容 性は少なくとも2つの機構により起こることができ、その1つは、胸腺寛容性と 同様であるが異なる過程であり、以前遭遇していない自己抗原と特異的に反応性 の成熟末梢T細胞の削除をもたらすものである。さらに、ある種の特異的反応性 を有するT細胞は、不活性(アネルギー)になるように誘導されうる。末梢削除 およびアネルギーの誘導は、「末梢寛容性」の発生をもたらす生理学的な機構で あ る。胸腺および末梢寛容誘導の結果として、成熟T細胞は、通常、ほとんどの自 己抗原に対して寛容であるが、自己反応性T細胞は、その抗原が必要な共刺激と ともに提示されないため、または免疫学的に特典的な部位に見出されるため、存 続しうる。 T細胞削除を介して寛容誘導が生成される機構は、ある種の定義された条件下 での抗原に対する反復的な暴露に依存することが最近示された。したがって、特 異的T細胞削除は、関連エピトープを含む外来性化合物の適切な投与によって誘 導することができる。個々の自己免疫疾患の病因論にはいずれも限られた数の自 己抗原のみ(ずっと多数のエピトープを含む)が関与するので、それらが知られ ている場合には、疾患において標的とされる自己エピトープを、病因論に関与す るエピトープを含む1以上の単離された自己抗原由来化合物の形態で患者に投与 することが可能である。最適な臨床的効果を得るためには、MBPおよびPLP の総合的な混合物(おそらくはMOGエピトープとともに)を有することが必要 でありうる。これは、ヒトMHCおよびTCR多型の程度の大きさのためであり 、また、新規なエピトープ反応性が自己免疫疾患進行中に出現しうるためである (McCarron et al.,1990;Lehmann et al.,1992;Kaufman et al.,1993)。 アポトーシス 自己反応性T細胞の削除は、多くの生物系の調節における重要な過程を表すプ ログラムされた細胞死の例である(Singer et al.,1994)。プログラムされた 細胞死は、アポトーシスと呼ばれる機構により起こる。アポトーシスにおいては 、細胞は、一定の刺激に対して、細胞の自殺を効果的に構成する予め決められた 事象の特定の連続を行うことにより応答する。アポトーシスは、明らかにT細胞 レパートリーの形成および維持において大きな役割を果たし、自己反応性TCR を発現する細胞を積極的に排除することにより自己寛容性の確立に貢献する。 最近、T細胞がその一生において複数の地点で多様な刺激により誘導されるア ポトーシスによる細胞死に感受性であることが発見された(例えば、Lenardo,199 1;Boehmer and Lenardo,1993;Critchfield et al.,1994を参照されたい)。正 の選択因子も、特異的T細胞クローンの生存を調節することにおいて役割を果た すと信じられている。これらの、または他の機構による、生物中の特定のクロー ンの 個々のT細胞の数の減少または増大は、特定の抗原に対するその生物の免疫系の 応答性を調節することに役立つ。いくつかの自己免疫疾患モデルにおいて、なら びにある種のウイルス感染において、アポトーシスを、成熟末梢抗原特異的Tリ ンパ球および未成熟胸腺細胞に(一定の定義された条件下で抗原に対して暴露さ れた際に)誘導することができることが現在確立されている。 アポトーシスは多くの生物系において起こる(例えば、Kerr et al.,1991;L ockshin and Zakeri,1991;Cohen et al.,1992;Duvall and Wyllie,1986;Co tter et al.,1990を参照されたい)。アポトーシスを行っている細胞は、特定の 事象のプログラム、すなわち活性な代謝に依存し、細胞の自己破壊に寄与する細 胞および生化学的過程を行う。アポトーシスのT細胞においては、核が縮み、ク ロマチンが凝縮し、遺伝物質(DNA)が漸進的に小さいフラグメント(ヌクレ オソームのリピートのサイズ)に分解し、細胞質の簡潔化が起こり、細胞膜は気 泡を形成し、最終的には細胞が崩壊する(Kawabe and Ochi,1991;Smith et a l.,1989)。細胞はアポトーシスから回復することはできず、アポトーシスは不 可逆的な細胞死をもたらす(Kawabe and Ochi,1991;Smith et al.,1989)。 最近の報告によると、T細胞におけるアポトーシスの誘導において、FASリ ガンドとして知られるTNF関連サイトカインおよびそのレセプターであるCD 95(FASレセプター)が役割を有することが示されている(Crispe et al. ,1994;Nagata and Suda,1995;Strasser,1995;Dhein et al.,1995;Brunner et al.,1995;およびJu et al.,1995)。 アポトーシスを行わないが、活性化されたT細胞は、細胞溶解を引き起こすこ とにより、またはB細胞応答または他の免疫作用を起こすリンホカインを分泌す ることにより、その「エフェクター」機能を実施する(Paul,1989)。これら のエフェクター機能は、自己免疫および他の疾患における組織損傷の原因である 。 アポトーシスの治療的誘導 自己免疫疾患を回避または治療する1つの強力なアプローチは、アポトーシス により自己免疫応答に関与するリンパ球を永久に排除することである。例えば、 ほとんどのT細胞レパートリーを無傷のままにしながら、治療対象の特定の自己 免疫疾患において標的とされる自己抗原と反応性であるT細胞のみを排除するこ とにより、治療効果を達成することができる。インビボ研究により、ミエリン抗 原と反応性のT細胞のアポトーシスを誘導するのに有効な用量および間隔でミエ リン抗原を投与することによりEAEを治療しうることが明らかになった(例え ば、Critchfield,et al.,1994を参照されたい)。 このアプローチは、「自己免疫疾患、アレルギー性障害および移植片拒絶の治 療のためのインターロイキン2刺激Tリンパ球細胞死」と題され、Michael J. Lenardo の名前で出願された係属中の米国特許出願07/751,090号、 および「自己免疫疾患、アレルギー性障害および移植片拒絶の治療のためのイン ターロイキン4刺激Tリンパ球細胞死」と題され、Michael J.Lenardo の名 前で出願された係属中の米国特許出願07/926,290号に記載されている 。 添付の図面は、本明細書中に取り込まれ、その一部を構成するものであり、本 発明のある側面を説明し、記載とともに、本発明の原理を説明するのに役立つも のである。もちろん、これらの図面および記載の両方が説明のためだけのもので あり、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。 図面の簡単な説明 図1: CFAアジュバント中で投与したオブアルブミン(図1A−OVA) 、PLPペプチド139−151(図1B−配列番号22のアミノ酸残基139 〜151に相当するアミノ酸配列を有するペプチド)、ΔPLP4(図1C−P LP4)、またはMP4(図1D)で処理した4匹の個別のSJL/Jマウスの 活動性(抗原誘発)EAEの臨床経過。疾患は、0=異常無し、1=弱々しい尾 、2=弱々しい尾および反転された際に直ちに回復できない、3=弱い後脚また は一方の後脚を引きずる、4=両後脚の麻痺、5=瀕死の状態、および6=死亡 、として採点した。臨床スコアは白丸、重量(g)は黒丸で示す。 図2: 静脈内ΔPLP4投与による養子EAEの予防・治療。ΔPLP4/ CFAで免疫したマウスからのPLP特異的リンパ節細胞を、インビトロでPL Pペプチド139−151(図1について上述したもの)で刺激した。これらの 動物からのT細胞を、0日目にマウス1匹当たり107細胞でナイーブ受容者に 静脈注射することにより移入した。処理群の5匹のマウス(PLP4;2、4、 6日)には、移入後2、4、6日に125μgのΔPLP4の2回の注射(6〜 8時間間 隔)を与えた。非処理群の5匹のマウス(対照動物)には、等量(100μl) の滅菌水を与えた。マウスは毎日監視し、各群の平均臨床スコアを決定した(図 1におけるように採点した)。 図3: X軸上に示すようにナイーブマウス(SJL/J)およびPLPペプ チド139−151(図1について上述したもの)(「ペプチド」)またはΔP LP4(PLP4)で免疫したマウスからのT細胞濃縮リンパ節細胞の、示した 濃度の合成PLPペプチド(139−151、または178−191、すなわち 配列番号22のアミノ酸残基178〜191に相当するアミノ酸配列を有するペ プチド)またはインタクトなΔPLP4(「PLP4」)によるインビトロ刺激 に応答しての増殖応答。T細胞は、培地単独中または抗原とともに72時間イン キュベートした。増殖は、18時間パルス後の3H−チミジンの取り込みにより 測定した。すべてのアッセイは、3連の培養で複製した。 図4: 静脈内ΔPLP4投与によるΔPLP4誘発活動性EAEの予防・治 療。 EAEは、SJL/Jマウスに、0日および3日に100μgのCFA中のΔ PLP4を皮下注射し、続いて300ng の百日咳毒素を注射することにより誘 発した。5匹の実験マウスには、免疫後5、7および9日に125μgのΔPL P4の2回の静脈注射(6〜8時間間隔)を与えた(PLP4;5、7、9日、 黒丸)。非処理群の5匹のマウス(対照動物、白丸)には、等量(100μl) の滅菌水を同じスケジュールで与えた。マウスは毎日監視し、各群の平均臨床ス コアを各群について決定した(図1におけるように採点した)。 図5: PLP処理はPLPおよびMBP抗原に対する応答におけるT細胞増 殖を排除する。T細胞増殖アッセイは、EAEを誘発するために免疫し、ΔPL P4で処理したマウスから得たリンパ節細胞について実施した。誘導および処理 は、図4について記載したとおりであった。50μg/ml でインビトロT細胞増 殖アッセイに用いた抗原は、示したようにΔPLP4(PLP4)またはMP4 であった。 図6: 組換えMP4による刺激に応答してのヒトMBP特異的T細胞株の増 殖。MP4は、10μg/ml の濃度で用いた。ヒトT細胞株2A2(MBPペプ チド31−50と反応性)、3H5(MBPペプチド87−106と反応性)お よび5 B2(MBPペプチド151−170と反応性)は、当初、健康な個人から入手 した。これらの細胞株は、かっこ内に示す成人脳(18.5kDa)MBP(配列 番号4)の相当するアミノ酸位置により示されるMBPエピトープに特異的であ る。 図7: MP4はPLPによる疾患誘発後のマウスT細胞を刺激し、PLP処 理はMP4抗原に応答するT細胞増殖を排除する。T細胞増殖アッセイは、EA Eを誘発するためにΔPLP4で免疫し、ΔPLP4で処理したマウスから得た リンパ節細胞について実施した。MP4は、50μg/ml でインビトロT細胞増 殖アッセイに用いた。 図8: PLPペプチド139−151(図1について上述したもの)で免疫 したSJL/JマウスからのT細胞濃縮リンパ節細胞の、10μg/ml の合成P LPペプチド(139−151、43−64(すなわち配列番号22のアミノ酸 残基43〜64に相当するアミノ酸配列を有するペプチド)または215−23 2(すなわち配列番号22のアミノ酸残基215〜232に相当するアミノ酸配 列を有するペプチド))またはインタクトなΔPLP4(「PLP4」)による インビトロ刺激に応答しての増殖応答。T細胞は、培地単独中または抗原ととも に72時間インキュベートした。増殖は、18時間パルス後の3H−チミジンの 取り込みにより測定した。すべてのアッセイは、3連の培養で複製した。 図9: PLPペプチド103−116で免疫したSWRマウスからのT細胞 濃縮リンパ節細胞の、10μg/mlの合成PLPペプチド(178−191(上述 )、139−151(上述)、または103−116(すなわち配列番号22の アミノ酸残基103〜116に相当するアミノ酸配列を有するペプチド))また はインタクトなΔPLP4(「PLP4」)によるインビトロ刺激に応答しての 増殖応答。T細胞は、培地単独中または抗原とともに72時間インキュベートし た。増殖は、18時間パルス後の3H−チミジンの取り込みにより測定した。す べてのアッセイは、3連の培養で複製した。 図10: PLPペプチド43−64で免疫したPL/JマウスからのT細胞 濃縮リンパ節細胞の、10μg/ml の上述の合成PLPペプチド(139−15 1、43−64または178−191)またはインタクトなΔPLP4(「PL P4」) によるインビトロ刺激に応答しての増殖応答。T細胞は、培地単独中または抗原 とともに72時間インキュベートした。増殖は、18時間パルス後の3H−チミ ジンの取り込みにより測定した。すべてのアッセイは、3連の培養で複製した。 図11: モルモットMBPで活性化した30,000,000個のT細胞の 移入により誘発したEAEの治療。処理は、示したとおり、200μg MP4; 200μg モルモットMBP(GP−MBP);400μg モルモットMBP; または400μg オブアルブミン(OVA、対照)であった。これらの処理は、 脳炎誘発性T細胞の養子移入の後、6、8および10日に静脈内に1日2回(6 時間間隔で)投与した。各処理群は、3〜5匹の動物で構成した。 図12: 図1について上述した100μg のPLPペプチド139−151 でのSJLマウスの免疫により誘発したEAEの治療。処理は、示したように、 250μg のMP4または250μg のハトシトクロームc(対照)を用いて行 った。これらの処理は、免疫後、5、7および9日に静脈内に1日2回(6時間 間隔で)投与した。各処理群は、3匹の動物で構成した。 図13: 合成MBP21.5遺伝子(cDNA)の構築のためのPCR戦略 。かっこAで示すのは、MBP+X2Cys81/Bact.遺伝子の構築に用いた重複す るオリゴヌクレオチド1から6(配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番 号8、配列番号9および配列番号10)の整列図である。この遺伝子の3つのサ ブドメイン(I、IIおよびIII、かっこBで示す図により表す)を最初に合成し た。より大きいドメイン(I+II、II+III)は、かっこCにより示す図で表す ように適切な外側のオリゴヌクレオチド(それぞれオリゴヌクレオチド1および 4、および3および6)を用いる重複PCRにより形成した。全長分子は、外側 オリゴヌクレオチド1および6を用いてドメインI+IIおよびII+IIIの重複P CRにより完成した。最終生成物のマップを、かっこDで示す図に表す。この図 において、全長分子のこのマップ中の斜線領域はエクソン2の位置を示し、アミ ノ酸残基81のシステイン(Cys81)はセリン(Ser81)に変更されたもの として示されている。遺伝子の3′末端(図の右手側)の黒四角は、精製を容易 にするために付加されたヒスチジンタッグをコードする配列を表す。 図14: 細菌細胞における組換えMBP発現および細胞内局在(未分画全細 胞 溶解物)。細胞溶解物は、付加的なインサート(挿入片)を含まない対照pET 22bベクター(「1」)、pET22b/MBP18.5hum.(「2」)、ま たはpET22b/MBP+X2Cys81/Bact.(「3」)で形質転換したBL2 1(DE3)細胞の誘導した培養から調製した。全細胞溶解物は、還元条件下で 16%SDS−PAGEにより分離し(これらの条件下では2量体は見られない ことに注意されたい)、次いでクマシー染色(「クマシー」)、あるいはヒト脳 MBPのカルボキシ末端エピトープ(「C−term Ab」)またはアミノ末 端エピトープ(「N−term Ab」)を認識するモノクローナル抗体を用い てイムノブロットを行った。星印は、「N−term Ab」モノクローナル抗 体によってのみ認識されるMBP+X2Cys81の2つのフラグメントの位置を明 らかにする。キロダルトンで表す分子量(マーカータンパク質の電気泳動により 決定した)は、左にある。白および黒の矢印は、それぞれMBP+X2Cys81お よびMBP18.5の位置を表す。 図15: 細菌細胞における組換えMBP発現および細胞内局在(可溶性画分 対不溶性画分)。細胞溶解物は、インサートを含まない対照pET22bベクタ ー(「1」)、pET22b/MBP18.5hum.(「2」)、またはpET2 2b/MBP+X2Cys81/Bact.(「3」)で形質転換したBL21(DE3) 細胞の誘導した培養から調製した。細菌溶解物は、上述したように中性緩衝液( 「トリス」)または0.1N塩酸(「酸」)条件のいずれかを用いて、可溶性( 「S」)または不溶性ペレット(「P」)画分に分画した。還元条件下で細胞画 分のSDS−PAGEにより得られたクマシー染色ゲルを示す(これらの条件下 では2量体は見られないことに注意されたい)。白および黒の矢印は、それぞれ MBP+X2Cys81およびMBP18.5の位置を表す。酸抽出(中性抽出では なく)により可溶性画分中へのMBP+X2Cys81およびMBP18.5ポリペ プチドの回収が可能になったことに注意されたい。 図16: 細菌細胞からの組換えMBPの大量酸抽出。還元条件下で行った、 クマシー染色したSDS−PAGEゲルを示す(これらの条件下では2量体は見 られないことに注意されたい)。3つのレーンの各群は、同時の酸抽出および機 械的破壊により得られた全細胞溶解物(「溶解物」)ならびに不溶性(「不溶」 ) および可溶性(「可溶」)画分を示す。細胞溶解物は、付加的なインサートを含 まない対照pET22bベクター(「1」)、pET22b/MBP18.5hu m. (「2」)、またはpET22b/MBP+X2Cys81/Bact.(「3」)で形 質転換したBL21(DE3)細胞の誘導した培養から回収した。MBP+X2Cys81 (白矢印)およびMBP18.5hum.(黒矢印)の位置を示す。この大量 酸抽出により、ほとんどすべてのMBP+X2Cys81およびMBP18.5ポリ ペプチドの可溶性画分中への回収が可能になったことに注意されたい。 図17: 酸抽出MBP+X2Cys81の逆相クロマトグラフィによる単離を示す クロマトグラフ。図16に示す実験により回収された可溶性画分(「可溶」レー ン「3」)を、VYDAC C4逆相カラム上でクロマトグラフィを行い、25 〜50%(CH3CN)/0.1%TFA勾配により溶出した。MBP+X2Cys 81 は、17分と20分の間に溶出する大きいピークに相当するプール画分中に見 出される。MBP18.5についても同様のクロマトグラフが得られた。 図18: 細菌細胞の酸抽出物の金属キレートクロマトグラフィによるMBP +X2Cys81(上のパネル)およびMBP18.5(下のパネル)の精製。アフ ィニティ精製中に回収し、SDS−PAGEにかけたタンパク質画分のクマシー 染色ゲルを示す。MBP+X2Cys81(白矢印)およびMBP18.5(黒矢印 )の位置を示す。レーンは、「ロード」(カラムに注入した溶解物)、「未結合 」(カラムのフロースルー(素通り)物)、「洗浄1」、「洗浄2」および「洗 浄3」(各洗浄からのカラム溶出物)、「溶出1」、「溶出2」および「溶出3 」(各溶出工程からのカラム溶出物)、および樹脂(最終溶出の後に採取し、試 料緩衝液中で煮沸し、ゲルにかけたカラム樹脂の試料)と標識してある。 図19: 示すとおりに、核酸配列MBP18.5hum.(配列番号4)、MB P+X2Cys81/hum.(配列番号1)、MBP+X2Ser81/bact.(配列番号3) およびMBP+X2Cys81/bact.(配列番号2)を含む核酸ベクターで形質転換 した細菌における細菌発現MBPポリペプチドの収率。 図20: MBP抗原は成人脳由来MBPに特異的なヒトT細胞クローンの増 殖応答を誘起する。成人脳MBP18.5に特異的なT細胞株を、培地のみ(「 対照」)、または10mg の精製成人脳MBP(「脳MBP」)、細菌により産 生さ せたMBP18.5(「MBP18.5」)もしくは細菌により産生させたMB P+X2Cys81(「MBP+X2Cys81」)を含有する培地で刺激した。実施例に おいて記載したように3連で行った単一の代表的な増殖アッセイからの総3H取 り込み cpm を報告してある。「2A2」および「3H5」は実施例に記載した ように正常個体から得たヒトT細胞株である。 図21: MBP抗原に対するエクソン2特異的ヒトT細胞株の増殖応答。ヒ トT細胞株1H7および1G1を、培地のみ(「対照」)、または10μg の精 製成人脳MBP(「脳MBP」)、細菌により産生させたMBP18.5(「M BP18.5」)、細菌により産生させたMBP+X2Cys81(「MBP+X2C ys81 」)もしくは配列番号1のアミノ酸59〜84に相当するエクソン2にコー ドされるペプチド(「X2ペプチド」)を含有する培地で刺激した。実施例にお いて記載したように3連で行った増殖アッセイ中に取り込まれた総3H(cpm)を 示す。1H7および1G1は、MBPのエクソン2にコードされた領域に特異的 なヒトT細胞株であり、以下に図22について説明する実験において用いた3A 11株と同じMS患者から得たものである。実施例において記載したように3連 で行った増殖アッセイ中に取り込まれた総3H(cpm)を示す。 図22: MBP+X2Cys81およびMBP+X2Ser81に対するエクソン2特 異的ヒトT細胞株の増殖応答。ヒトT細胞株3A11を、種々の用量のエクソン 2ペプチド(「A」)、MBP+X2Cys81(「B」)、MBP+X2Ser81(「 C」)または培地のみ(「D」)で刺激した。3A11は、MBPのエクソン2 にコードされた領域に特異的なヒトT細胞株であり、図21について説明する実 験において用いた1H7および1G1と同じMS患者から得たものである。実施 例において記載したように3連で行った増殖アッセイ中に取り込まれた総3H(c pm)を示す。 図23: 組換えヒトMBP+X2Cys81/bact.(胎児形態、「f」、配列番号 1)の、成人脳由来ヒトMBP(成人形態、「a」、配列番号4)の配列との配 列比較。成人脳由来ヒトMBP配列(GenBank 受託番号#M13577)は、 MBP+X2Cys81/bact.E.coli優先コドン配列と不一致の位置においての み記載してある。開始(ATG)および停止(TAA)コドンは両方の遺伝子に つい て示す。成人脳由来ヒトMBP配列におけるダッシュは、エクソン2(bp177 〜255)およびMBP+X2Cys81/bact.のこのバージョンに付加されたヒスチ ジンタッグ(bp595〜612)(すなわち、6個のカルボキシ末端ヒスチジン 残基を有するMBP+X2Cys81/bact.、これもまたヒスチジンタッグと呼ばれ る)の位置を示す。MBP+X2Cys81/bact.遺伝子の構築に用いた合成オリゴ ヌクレオチド間の重複領域に下線を付してある。意図的なMBP+X2Cys81/ba ct. 遺伝子配列のCからTへの塩基対突然変異は、位置462、528および5 32の上の星印によって記してある。これらの変化は、MBP+X2Cys81アミ ノ酸配列を保存する。センスオリゴヌクレオチド1(配列番号5)は、NdeI クローニング部位の5′側に位置するGGAATTCCGTAAGGAGGTA TAG(この図に示していない)を含み、塩基108まで広がる。オリゴヌクレ オチド6(bp516〜622、配列番号10)は、示した配列に対するアンチセ ンスオリゴヌクレオチドであり、HindIII部位の3′側に位置するテトラヌ クレオチドCCCC(この図に示していない)を含む。用いた他の4つのオリゴ ヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチド3(配列番号7)および5(配列番 号9)ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド2(配列番号6)および4(配 列番号8)を含む。アミノ酸81のシステインは太字で記してある。 図24: 組換えヒトMBP21.5(「rhMBP21.5」)のMBPエ ピトープの位置の図。数字は、試験したT細胞株の既知のエピトープ特異性(数 字の命名または「Gimer」により示す)に相当する配列番号1のアミノ酸残基を 示す。示した各々のT細胞株は、本発明の精製rhMBP21.5分子に対して 陽性のT細胞応答を与えた。 図25: 試験した特異的分子の詳細および図24に示す各T細胞株について 得られた結果。 発明の概要 したがって、ヒト患者におけるMSの診断、臨床的評価および治療のための、 ならびにそのような治療に対するMS患者の潜在的応答性の評価のための、組成 物および方法を提供することは、本発明の1つの目的である。 本発明は、新規な組換えヒトPLPポリペプチドを含む組成物を提供する。本 明細書および請求の範囲において用いる場合、「PLPポリペプチド」は、上述 のように、ヒトPLPの少なくとも1つの親水性ドメインに相当する少なくとも 1つの配列を含むポリペプチドをいう。本発明に従えば、このようなPLPポリ ペプチドは、MBP、MOG、および/またはMAGポリペプチド配列、ならび に他の関連ポリペプチド配列をさらに含んでいてもよい。また、PLPポリペプ チドをコードし、細菌細胞からのこのような分子の産生および単離を最適化する ように工学処理されているDNA構築体も提供する。 より具体的には、本発明の分子は、ネイティブなPLPポリペプチドから少な くとも1つの疎水性ペプチド領域を除いた配列、好ましくは少なくとも2つの疎 水性ペプチド領域を除いた配列を含むアミノ酸の配列を含むPLPムテイン(mu teins)を含む免疫反応性ポリペプチドを包含する。より好ましくは、アミノ酸 の配列は、ネイティブなPLPポリペプチドから少なくとも3つの疎水性ペプチ ド領域を除いた配列を含む。最も好ましいのは、ネイティブなPLPポリペプチ ドからPLPの4つの疎水性ドメインすべての各々を構成する少なくともいくつ かのアミノ酸残基を除いた配列を含むアミノ酸の配列を含むPLPムテインを含 む免疫反応性ポリペプチドである。 本発明のポリペプチドおよび核酸分子は、さらにMBP配列、すなわち配列番 号1または配列番号3の少なくとも10個の連続するアミノ酸残基の任意のスパ ン(範囲)に相当する配列を含む。本明細書および請求の範囲において用いる場 合、「MBPポリペプチド」は、このようなMBP配列を含むポリペプチドをい い、「ヒトMBP遺伝子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされるアミ ノ酸配列」は、配列番号1のアミノ酸60〜85にわたる領域からの少なくとも 10個の連続するアミノ酸に相当する少なくとも10個の連続するアミノ酸の配 列をいう。 本発明は、新規な組換えヒトMBP21.5ポリペプチド(すなわち、ヒトM BP遺伝子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされるアミノ酸配列を含 むMBPポリペプチド)を含む組成物を提供する。好ましくは、これらのMBP ポリペプチドは、ヒトMBP遺伝子の7つすべてのエクソンによりコードされる アミノ酸配列を含有する。ある好ましい態様においては、エクソン2によりコー ドされる配列は、ポリペプチドの大量産生および精製を容易にするために改変さ れている。また、MBP21.5ポリペプチドをコードし、細菌細胞からのこの ような分子の産生および単離を最適化するように工学処理されているDNA構築 体も提供する。 本発明の方法は、MSの診断および臨床的評価、ならびにMSの治療およびこ のような治療に対するMS患者の潜在的応答性の評価における本発明の組成物の 使用を含む。 好ましい態様の説明 上述のように、本発明は、MSの治療、診断および臨床的評価における使用の ためのMBPおよびPLPポリペプチド(タンパク質)、およびMBPおよびP LPポリペプチドの産生に有用な核酸分子に関する。 I.MBPポリペプチド 本明細書および請求の範囲において用いる場合、「MBP21.5ポリペプチ ド」は、以下のポリペプチドの1つまたはそれ以上のものをいう :配列番号1 のポリペプチド(ヒト21.5kDaMBP、「MBP+X2」)、アミノ酸81 が任意の標準アミノ酸である配列番号1のポリペプチド(「MBP+X2Xxx81 」)、システイン81が他の任意の標準アミノ酸で置換された配列番号1のポリ ペプチド(「MBP+X2Xaa81」)、システイン81が無電荷のアミノ酸(す なわち、pH6〜7の間で荷電していないアミノ酸)により置換された、約15 9未満の分子量を有する配列番号1のポリペプチド(「MBP+X2Xaa81<150 」)、およびシステイン81がセリンで置換された配列番号1のポリペプチド( 「MBP+X2Ser81」)。 「MBP21.5ポリペプチド」は、その配列がヒトMBP遺伝子のエクソン 2によりコードされるアミノ酸の配列の少なくともいくらかを含み続けること、 さらに、そのポリペプチドがMS患者から単離されたMBP反応性T細胞の集団 において「T細胞応答」を誘導しうることを条件として、前述の4つの配列の変 異体をも含む。「T細胞応答」という用語については以下に述べる。 本発明の1つの好ましいMBP21.5ポリペプチドは、ヒトMBPのエクソ ン2によりコードされるアミノ酸を含有し、約21.5kDa の分子量を有し、 C ys81が別の標準アミノ酸で置換されている、細菌により発現されたヒト組換 えMBP(このポリペプチドは、本明細書において「MBP+X2Xaa81」と呼 び、それをコードする核酸分子は、「MBP+X2Xaa81/hum.」または「MBP +X2Xaa81/bact.」と呼ぶ。ここで、右肩の「hum.」または「bact.」は後述の ように核酸分子のコード領域におけるコドン利用度を示す)である。当業界にお いて用いるように、「標準」アミノ酸は、タンパク質に一般的に見出される20 種のアミノ酸の1つである。 本明細書において用いる場合、エクソン2によりコードされるアミノ酸配列は 、X2MBPまたは単にX2と呼ぶこととなる。本発明に従えば、X2MBP配 列は、ネイティブなエクソン2によりコードされる配列の天然の位置(配列番号 1、配列番号2および配列番号3により示すもの)が好ましいが、MBP+X2Xxx81 ポリペプチド中のいかなる位置にあってもよい。X2MBP配列を含む他 のポリペプチドは、以下に記載する。 好ましくは、置換アミノ酸は、エピトープ変換を起こさない、すなわち、X2 MBPの免疫優性エピトープ(1つまたは複数)のT細胞認識は、特定の置換ア ミノ酸でのCys81の置換により実質的に変化しない。本発明以前には、別の 標準アミノ酸によるアミノ酸残基81の置換がこのようなエピトープ変換を起こ すであろうかどうか(すなわち、このような変更がエピトープ中性であるか否か )は未知であった。 任意の標準アミノ酸の置換によるエピトープ変換の欠如は、X2MBPと特異 的に反応性であるT細胞(例えばT細胞株)(X2MBP特異的T細胞)の、M BP+X2Xaa81に対する、または、好ましくは以下に詳述するようにMBP+ X2Xaa81のエクソン2にコードされる領域を含む試験ペプチド(X2Xaa81ペプ チド)に対する応答を試験することにより、本発明に従って決定することができ る。試験ペプチドは、好ましくはCys81が他の標準アミノ酸で置換されてい る配列番号1のアミノ酸残基59〜84に相当する配列を有する26アミノ酸の ペプチド(「X2Xaa8126mer」)である。 X2MBP特異的T細胞は、エクソン2にコードされるアミノ酸配列を含有す るペプチド(以下、「X2MBPペプチド」と呼ぶ)を用いて従来の方法により T細胞株として得ることができる。例えば、Voskuhl et al.,1993aに記載され た方法を用いてもよい。Voskuhl et al.,1993b;Segal et al.,1994;Voskuhl et al.,1994;およびFritz and Zhao,1994も参照されたい。 好ましくは、ヒトT細胞株は、ちょうどエクソン2によりコードされる26ア ミノ酸を有するX2MBPペプチド、すなわち配列番号1のアミノ酸残基59〜 84に相当する配列のX2MBPペプチド(「X2 26mer」)を用いた刺激に 続いてこのような標準的方法により得る。特に、X2 26merでの刺激は、Vos kuhl et al.,1993a文献に記載された40アミノ酸のX2MBPペプチドまたは MBPの18.5kDaアイソフォームでの刺激より好ましい。 本発明に従えば、このようにして得られたX2MBP特異的T細胞株は、中で も、位置81での特定のアミノ酸置換のエピトープ中性度を決定するために用い る。これは、X2Xaa81ペプチドに対するX2MBP特異的ヒトT細胞株の細胞 の反応を評価することにより達成される。(MBP+X2Xaa81もエピトープ中 性度を試験するために使用することができるが、好ましさは劣る。)X2MBP 特異的T細胞がVoskuhl et al.,1993aにより規定されたX2MBP特異性につい ての基準を満足する程度に、特定のアミノ酸置換を含有するX2Xaa81ペプチド に応答する場合、すなわち、その特定のX2Xaa81ペプチドが培地のみの対照と 比較して2を超える刺激インデックスを示す場合、特定の置換アミノ酸のエピト ープ中性度が確認される。好ましくは、刺激インデックスは3を超える。 本発明に従えば、このようなエピトープ中性置換は、一般的に、好ましくは強 疎水性ではない、分子量約150未満の荷電していないアミノ酸を用いて、達成 することができる。 これらの要件を満たすアミノ酸は、Ala、Asn、Gly、Pro、Thr 、およびSerである。最も好ましくは、置換はSerであり、Cys81がS er81に変化しているエクソン2コード領域を含むMBP21.5ポリペプチ ドがもたらされる(以下、このポリペプチドを「MBP+X2Ser81」と呼び、 それをコードする核酸分子は、「MBP+X2Ser81/hum.」または「MBP+X 2Ser81/bact.」と呼ぶ。ここで、右肩の「hum.」または「bact.」は後述のよう に核酸分子のコード領域におけるコドン利用度を示す)である。 本発明以前には、T細胞が、細菌により発現されたMBP+X2ポリペプチド を哺乳類により発現されたMBPポリペプチド(例えば、ヒト由来MBP−X2 )と同程度まで認識し、それに対して応答するであろうかどうかは未知であった 。この不確実性は、中でも、細菌または哺乳類細胞におけるタンパク質発現中の タンパク質の折りたたみ(フォールディング)の差異による。細菌により発現さ れたポリペプチドは、典型的には哺乳類細胞により発現されたタンパク質のネイ ティブなコンフォメーションには折りたたまれない。上で「T細胞、抗原提示細 胞およびT細胞エピトープ」と題して発明の背景のセクションで論述したように 、タンパフォールディングは、特異的エピトープがAPCにより適切にプロセッ シングされるかどうかを決定しうる。この理由のため、細菌により発現されたタ ンパク質は、ネイティブなタンパク質と同じようにAPCによりプロセッシング され提示されない可能性があり、したがって、T細胞により認識されない可能性 がある。 MBP+X2Cys81のエクソン2配列は、このような配列が合成ペプチド(こ れらは、TCRにより認識されT細胞により応答されるために、APCによりプ ロセッシングされる必要がない)としてT細胞に加えられた場合にT細胞を刺激 することが示されていたにすぎないため、さらなる不確実性の原因であった。本 発明以前には、(供給源を問わず)MBPの21.5kDa アイソフォームが脳 炎誘発性T細胞を刺激するようにAPCによって正しくプロセッシングされうる こと、(MS病因論におけるX2エピトープの役割に関する特別に興味深い疑問 である)は示されたことがなかった。本発明は、従来報告されたX2MBPペプ チドの研究の臨床的関連性を明らかにし、これが事実であることの証明を可能に した。 II .PLPポリペプチド 本発明の好ましいPLPペプチドは、親水性ドメイン2、3および4を含む細 菌により発現されたヒト組換えPLPである。このようなPLPポリペプチドは 、1つまたはそれ以上の疎水性ドメインを含んでいてもよい。より好ましくは、 PLPポリペプチドは、表1に示すMS関連PLPエピトープを含む。このよう な好ましいPLPポリペプチドとしては、ΔPLP3(配列番号23)およびΔ P LP4(配列番号24)が挙げられる。本発明の特に好ましい分子は、配列番号 23もしくは配列番号24、または好ましくは配列番号25、配列番号26(好 ましくは配列番号26のアミノ酸残基1〜368、1および368を含む)、配 列番号27(好ましくは配列番号27のアミノ酸残基6〜374、6と374を 含む)もしくは配列番号28(好ましくは配列番号28のアミノ酸残基1〜48 7、1と487を含む)に相当するアミノ酸配列を含むPLPムテインである。 特に好ましい態様の1つにおいては、免疫反応性ポリペプチドは、少なくとも 10個の連続するアミノ酸(すなわち、エピトープを含むのに十分なサイズのア ミノ酸の直鎖状ポリマー)を含み、そのうち1つの標的アミノ酸残基を除いてす べてが配列番号1のアミノ酸残基81を含むヒトMBPの21.5kDa アイソ フォーム(配列番号1)の領域に相当する。この態様においては、標的アミノ酸 残基は、配列番号1のアミノ酸残基81の位置に相当するMBPアミノ酸配列内 の位置にあり、標的アミノ酸残基はシステイン以外の任意の標準アミノ酸である 。 本発明のある好ましい免疫反応性ポリペプチドは、ヒトミエリンオリゴデンド ロサイト糖タンパク質(配列番号28のアミノ酸残基199〜319、199と 319を含む)のアミノ酸配列の少なくとも10個の連続するアミノ酸に相当す るミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質アミノ酸配列を、さらに含む。 好ましくは、本発明の免疫反応性ポリペプチドは、ネイティブなPLPポリペ プチドよりも高いレベルで細菌中において発現され、および/または水性溶液中 でネイティブなPLPポリペプチドよりも可溶性である。 PLP特異的T細胞は、PLPアミノ酸配列を含むペプチドを用いて従来の方 法によりT細胞株として得ることができる。例えば、Voskuhl et al.,1993a に より記載された方法を用いることができる。Voskuhl et al.,1993b;Segal et al.,1994;Voskuhl et al.,1994;Fritz and Zhao,1994;Pelfrey et al.,1993 ;Pelfrey et al.,1994;およびCorreale et al.,1995も参照されたい。 本発明以前には、細菌により発現されたPLPポリペプチドがそれを治療剤と して使用することが可能なようにT細胞により認識され応答されるであろうかど うかは未知であった。この不確実性は、中でも、細菌または哺乳類細胞における タンパク質発現中のタンパク質フォールディングの差異による。細菌により発現 されたタンパク質は、典型的には哺乳類細胞により発現されたタンパク質のネイ ティブなコンフォメーションには折りたたまれない。上で「T細胞、抗原提示細 胞およびT細胞エピトープ」と題して発明の背景のセクションで論述したように 、タンパク質フォールディングは、特異的エピトープがAPCにより適切にプロ セッシングされるかどうかを決定しうる。この理由のため、細菌により発現され たタンパク質は、ネイティブなタンパク質と同じようにAPCによりプロセッシ ングされ提示されない可能性がある。したがって、このような細菌により発現さ れたタンパク質のいくつかまたはすべてのエピトープがT細胞により認識されな い可能性がある。 III .MBPおよびPLPポリペプチドをコードする核酸分子 本発明の実施において有用な核酸分子は、当業界で現在公知のあるいは後に開 発される種々の技術を用いて調製することができる。例えば、当業界で周知の技 術を用いて、これらをクローン化された遺伝子を用いて製造することができる。 本明細書において用いる場合、遺伝子(単数または複数)という用語は、イント ロンを包含する配列を有するまたはイントロンを有さない、発現される(例えば タンパク質をコードする)核酸分子、例えばcDNAにわたる。クローン化され た遺伝子は、従来の技術、例えばMBPもしくはPLPポリペプチドの部分をコ ードする制限フラグメントを生成するための核酸分子の制限消化および/または PCR増幅により操作される。これらのフラグメントは、例えばPCR融合(重 複PCR)または制限消化生成物の酵素的連結を用いて組み立てることができる 。組み立てられた構築体またはそのフラグメントは、オリゴヌクレオチドを介す る位置特異的突然変異誘発のような突然変異誘発技術により改変することができ る。 これらの従来技術を教示する多数の刊行物が利用可能であり、Sambrook,et a l.,1989;Ho et al.,Gene 1989;Farrell,1993; Ausubel et al.,1994;Griff in and Griffin,1994;Mullis et al.,1994;Harwood,1994;およびDavis et a l.,1994が挙げられる。あるいは、本発明の実施に用いられるMBPまたはPL Pポリペプチドをコードする核酸分子またはこのような核酸分子を組み立てるの に用いられる核酸フラグメントのいずれかもしくはすべては、化学的手段により 合成することができる(例えば、Talib et al.,1991 およびAusubel et al.,1 994 を参照さ れたい)。 本発明に従えば、本発明のMBPおよびPLPポリペプチドの種々のアミノ酸 についてのコドンは、細菌中でのタンパク質産生を強化するために「細菌化」し てもよい。当業界で公知のように、細菌は、特定のアミノ酸についてのある一定 のコドンを、同じアミノ酸をコードする他の可能なコドンよりも優先して用いる 傾向がある。したがって、細菌のタンパク質合成装置(マシナリー)は好まれる コドンを処理する場合により有効に働きうると信じられている。ミエリンタンパ ク質をコードするコドンの細菌化およびその他の変更は、本発明のMBP分子を 具体的に引用して例示し、以下に詳述する。 配列番号1は、ネイティブなMBPのヒト21.5kDa 胎児性アイソフォー ムについてのアミノ酸およびヌクレオチド配列を規定する。MBP+X2Xaa81 をコードする核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド241から243(すなわ ちコドン81)の少なくとも1つのヌクレオチドを、そのコドンが所望の置換ア ミノ酸に相当するように改変することにより、製造することができる。このよう な改変は、上述したオリゴヌクレオチド媒介位置特異的突然変異誘発、PCR突 然変異誘発、または所望のポリヌクレオチドのデノボ合成のような従来の組換え DNA技術を含め、当業界で現在公知のまたは今後開発される種々の核酸操作技 術を用いて達成することができる。 MBP+X2Ser81については、ネイティブなTGCコドンは、AGC、AG T、TCA、TCC、TCGおよびTCTのいずれかに変更することができる。 一般に、この変更は、好ましくはTCGへのものである。これは、この変更がそ の位置に新しいTCGA制限部位を創設する結果となるからである。この位置で の新しい制限部位の創設は、MBP+X2Ser81をコードする核酸分子のような MBP+X2Xaa81をコードする核酸分子の製造の全体的過程における中間工程 として典型的に得られる改変および未改変核酸分子の混合物からの、所望の改変 を有する核酸分子の同定および単離を容易にする。タンパク質産生の最適化の配 慮が核酸操作の容易さの配慮に優先する場合、およびMBP+X2Ser81が細菌 (例えばE.coli)中で産生されるべき場合(この場合、TCGは細菌に好まれ るコドンではない)、TCC、TCTまたはAGCが細菌中で好まれるコドンで あるから、この 変更は、好ましくはTCC、TCTまたはAGCへのものである。 配列番号2は、MBPのネイティブなヒト21.5kDa 胎児性アイソフォー ムについてのアミノ酸配列、およびこのタンパク質をコードする改変されたヌク レオチド配列(ここでは細菌中でのタンパク質の産生を強化するために種々のア ミノ酸についてのコドンが「細菌化」されている)を規定する。当業界で公知の ように、細菌は、特定のアミノ酸についてのある一定のコドンを、同じアミノ酸 をコードする他の可能なコドンよりも優先して用いる傾向がある。したがって、 細菌のタンパク質合成装置は好まれるコドンを処理する場合により有効に働きう ると信じられている。しかし、これも当業界で公知のように、好まれないコドン を好まれるコドンで置き換えることが実際に細菌中での特定のタンパク質の産生 の実質的な強化をもたらすかどうかは予測ができない。以下に実施例において詳 細に述べるように、配列番号2の細菌化は、E.coli 中におけるMBPの産生を 少なくとも50%増加させた。 配列番号2においては、細菌化は、既に細菌により好まれるコドン(基準1) に相当していないネイティブなヒトコドンを細菌により好まれるコドンで置換す ることにより行った。どのコドンを変更するかを選択するに際し、次の7つのア ミノ酸に特に注意を払った:Arg(21個のうち17個のコドンを変更した) ;Gly(28個のうち13個のコドンを変更した);Pro(17個のうち1 0個のコドンを変更した);Lys(14個のうち12個のコドンを変更した) ;Leu(11個のうち3個のコドンを変更した);Thr(8個のうち6個の コドンを変更した);およびVal(5個のうち3個のコドンを変更した)。こ れらのアミノ酸は、E.coli 中におけるその重複コドンの一定のものの使用につ いての強い偏向(Wada et al.,1992)のため、強調した。これらの7種のうち 、Arg、ProおよびLysは、これらがMBP21.5中のアミノ酸残基の 26%を構成するので、最も重要と考えられた。代替的な基準として、いくつか のコドンは、高度に発現される細菌遺伝子において優先的に用いられるコドンに 変更した(基準2、Grosjean and Fiers,1982を参照されたい)。配列番号3 に相当する核酸分子に取り入れられたコドン変更の完全なリスト(配列番号3に 見出されるアミノ酸番号81についてのSerコドンの代わりに、この比較にお いてはネイ ティブなシステイン81が維持されていることを除く)を表4に示す。ここでは 、ネイティブな(胎児性)ヒトMBP21.5配列データは「huMBP21. 5」として示し、細菌化した組換えMBP配列データ(MBP+X2Cys81/bact . )は「recMBP21.5」として示す。 本明細書および請求の範囲において用いる場合、「細菌により好まれるコドン 」という表現は、上記の2つの基準のいずれかに基づいて選択されるコドンをい い、右肩に付した(1)「hum.」および(2)「bact.」は、(1)ネイティブなヒトコ ドンおよび(2)ネイティブなヒトコドンから細菌により好まれるコドンへ変更さ れている少なくともいくつかのコドン、を有するMBPコード核酸配列を表す。 望ましい場合には、所望のレベルの産生の増加が達成されるかどうかを基準と し、多かれ少なかれ細菌化を行うことができる。また、MBPに関しては、細菌 化された配列は、MBP+X2Xaa81/bact.または好ましくはMBP+X2Ser81 /bact. を産生するようにさらに変更することができる。細菌化および付加的なコ ドン81の変更は、上述および実施例に記載する核酸操作技術を用いて行うこと ができる。 上述のように、配列番号3は、MBP+X2Ser81をコードし、さらにコード されるポリペプチドのカルボキシ末端の6個のヒスチジン残基をコードする3′ 末端の付加的な18ヌクレオチド配列(終止コドンの直前、すなわち配列番号3 のヌクレオチド592〜609)(このような少なくとも4残基の複数のヒスチ ジン添加をヒスチジンタッグと呼ぶ)を含む細菌化ヌクレオチド配列を示す。こ のヒスチジンタッグは、ネイティブなMBP+X2Cys81/hum.タンパク質には見 出されず、このMBP+X2Ser81/bact.遺伝子の発現のポリペプチド産物の精 製を容易にするために付加された。 ヒスチジンタッグは、金属キレート剤として作用する少なくとも5個の連続す るヒスチジン残基の群であり、金属キレートクロマトグラフィまたは同様のもの を使用してこのようなタッグを含むポリペプチドをタンパク質の混合物から迅速 かつ効率よく精製することを可能にする。本発明に従えば、本発明のポリペプチ ドの容易な精製を可能にするように、このようなヒスチジンタッグは、本発明の いずれのポリペプチドに付加してもよく、あるいはこのようなタッグをコードす る配列を本発明のいずれの核酸分子に付加してもよい。 本発明の好ましい核酸分子は、好適な宿主において発現された場合に本発明の MBPおよび/またはPLPポリペプチドの発現を指示するヌクレオチド配列( および/またはそれに相補的なヌクレオチド配列)を含む単離された核酸分子で ある。 本発明のタンパク質コード核酸分子は、適切な発現ベクター、すなわち挿入さ れたタンパク質コード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクター中に挿 入することができ、MBPおよび/またはPLPポリペプチドの産生に用いるこ とができる。タンパク質コード配列を発現させるために、多様な宿主ベクター系 を利用することができる。それらのものとしては、ワクシニアウイルス、アデノ ウイルス、レトロウイルス等のようなウイルスにより感染される哺乳類細胞系; プラスミドでトランスフェクションされる哺乳類細胞系;バキュロウイルスのよ うなウイルスにより感染される昆虫細胞系;酵母発現ベクターを含む酵母または バクテリオファージDNA、プラスミドDNA、コスミドDNAもしくは同様の ものにより形質転換される細菌のような微生物が挙げられるが、これらに限定さ れない。 細菌の使用に有用な発現ベクターは、周知のクローニングベクターpBR32 2の遺伝要素(American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Dri ve,Rockville, Maryland 20852,USA;ATCC受託番号37017)を 含むものなどの市販のプラスミド由来の選択マーカーおよび細菌複製起点を含む ことができる。これらのpBR322「骨格セクション」または機能的に等価な 配列は、適切なプロモーターおよび発現すべき構造遺伝子と組み合わせる。 好ましい細菌発現ベクターとしては、ファージT7プロモータープラスミドp ET14b、およびpET22b(Novagen,Madison,WI)が挙げられるが、 これらに限定されない。これらのベクターは、好ましくはE.coliBL21(D E3)(Novagen,Madison,WI)において発現させる。この菌株は、T7ポリ メラーゼ遺伝子をE.colilacUV5プロモーターのうしろに含む組換えバク テリオファージDE3溶原(Studier et al.,1990)について溶原性である。他 の好ましい細菌発現ベクターは、pETTrc SO5/NIベクター(配列番 号21)、pT rc 99Aベクター(Pharmacia)およびpSEベクター(Invitrogen,San Di ego,CA)を含むTrcベクターである。 組換え微生物発現ベクターにおいて一般に用いられる他のプロモーターとして は、ラクトースプロモーター系(Chang,et al.,1978)、トリプトファン(tr p)プロモーター(Goeddel,et al.,1980)およびtacプロモーター、または trcプロモーターと呼ばれるtacプロモーターとtrpプロモーターとの融 合物(Sambrook,et al.,1989、およびManiatis et al,1982、特に412頁を参照 されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいプロモーター は、バクテリオファージプロモーター、例えば上述のT7プロモーターであり、 これは、宿主細胞中において対応するバクテリオファージRNAポリメラーゼ、 例えばT7RNAポリメラーゼの発現とともに用いることができる。 組換えMBPおよびPLPポリペプチドは、菌類宿主、好ましくはS.cerevis iae のような Saccharomyces 属の酵母においても発現させることができる。As pergillusPicha または Kluyveromyces のような他の属の菌類もまた、用い てもよい。菌類ベクターは、一般的に酵母2μm プラスミドまたは別の自律複製 配列(ARS)由来の複製起点、プロモーター、MBPおよび/またはPLPを コードするDNA、ポリアデニル化および転写終結を指示する配列、および選択 マーカー遺伝子を含む。好ましくは、菌類ベクターは、E.coli および菌類の両 方の形質転換を可能にする複製起点および選択マーカーを含む。 菌類における好適なプロモーター系としては、メタロチオネイン、3−ホスホ グリセリン酸キナーゼ、またはエノラーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸キナー ゼおよびグルコキナーゼのような他の解糖酵素のプロモーター、ならびにグルコ ース抑制アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(ADH2)、アルコールデ ヒドロゲナーゼ遺伝子ADH1由来の構成的プロモーターなどが挙げられる。例 えば、Schena,et al.,1991を参照されたい。酵母α因子または酵母インベルタ ーゼの分泌を指示するもののような分泌シグナルは、菌類ベクターに取り入れて 、菌類生育培地中へのMBPおよび/またはPLPポリペプチドの分泌を促進す ることができる。Moir,et al.,1991を参照されたい。 好ましい菌類発現ベクターは、細菌中においての選択および複製についてpB R322からのDNA配列、および菌類DNA配列(ベクターpAAH5に見出 されるようなADH1プロモーターおよびアルコールデヒドロゲナーゼADH1 終結配列を含む(Ammerer,1983))を用いて構築することができる。 種々の哺乳類または昆虫細胞培養系を用いて本発明の組換えMBPおよび/ま たはPLPポリペプチドを発現させることができる。昆虫細胞における非相同タ ンパク質の産生のための好適なバキュロウイルス系は、Luckow,et al.,1988に より論評されている。好適な哺乳類宿主細胞株の例としては、サル腎臓起源のC OS細胞、マウスC127乳上皮細胞、マウスBALB/c−3T3細胞、マウ スMOP8細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒト293T細 胞、HeLa、ミエローマ、およびベビーハムスター腎臓(BHK)細胞が挙げ られる。哺乳類発現ベクターは、複製起点、発現されるべきMBPおよび/また はPLPコード配列にリンクしたエンハンサーおよび好適なプロモーター、およ びリボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、スプライスドナーおよびアクセプ ター部位および転写終結配列などの他の5′もしくは3′隣接(フランキング) 配列のような非翻訳要素を含んでいてもよい。 脊椎動物細胞の形質転換に用いるべき哺乳類発現ベクター系中の転写および翻 訳制御配列は、ウイルス起源のものであってもよい。例えば、一般的に用いられ るプロモーターおよびエンハンサーは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、 シミアンウイルス40(SV40)、ワクシニアウイルス、およびヒトサイトメ ガロウイルス由来であり、サイトメガロウイルス immediate-early 遺伝子1プ ロモーターおよびエンハンサーが含まれる。 組換えMBPおよび/またはPLPポリペプチドの発現のための特に好ましい 真核細胞ベクターは、pAPEX−1(配列番号11)であり、より好ましくは pAPEX−3p(配列番号12)である。ベクターpAPEX−1は、タンパ ク質発現レベルを増加するように改変されたベクターpcDNAI/Amp(I nvitrogen)の誘導体である。第一に、3′非翻訳SV40スモールt抗原イン トロンを、601塩基対のXbaI/HpaIフラグメントの欠失により除去し た。これは、このイントロンが上流コード領域への異常なスプライシングを受け やすいためである(Evans and Scarpulla,1989;huang and Gorman,1990)。 第二に、484塩基対のNdeI−NotIフラグメントをベクターpRc/C MV7SB由来(Sato et al.,1994,J.Biol.Chem.269:17267、以下参照)の 対応する845塩基対のNdeI−NotIフラグメントで置き換えることによ り、アデノウイルス/免疫グロブリンキメラハイブリッドイントロンを5′非翻 訳領域に導入した。最後に、E.coli からのプラスミドDNA収率を上げるため に、得られたCMVプロモーター発現カセットをベクターpGEM−4Z(Pro mega Corp.Madison,WI)にシャトル化した。 ベクターpAPEX−3は、EBNA遺伝子が最初に2.4kbClaI/Ac cIフラグメントの欠失により除去されているベクターpDR2(Clontech L aboratories,Inc.Palo Alto,CA)の誘導体である。次いで、RSVプロモ ーターがCMVプロモーターで置き換えられ、アデノウイルス/免疫グロブリン キメライントロンが、pDR2からの450bp のMlul/BamHIフラグ メントをベクターpAPEX−1からの1.0kb のMluI/BamHIフラ グメントと交換することにより置き換えられている。pAPEX−3Pの構築の ためには、HSV tkプロモーターおよびハイグロマイシンホスホトランスフ ェラーゼ(hyg)遺伝子を含む1.7kb のBstI/SwaIフラグメント をpAPEX−3から除去し、SV40初期プロモーターおよびピューロマイシ ンアセチルトランスフェラーゼ(pac)遺伝子を含む1.1kb のSnaBI /NheIフラグメント(Morgenstern and Land,1990,Nucleic Acids Res .18:3587-3596)およびベクターpAPEX−1からのSV40ポリアデニル化 シグナルを含む137bpのXbaI/ClaIフラグメントで置き換えた。 pAPEXベクター中の組換えMBPおよび/またはPLPをコードするイン サートの発現のための特に好ましい宿主細胞は、ヒト293EBNA細胞株(I nvitorgen,San Diego,CA)である。 組換えMBPおよび/またはPLPの発現のための別の好ましい真核細胞ベク ターは、pcDNAI/Amp(Invitrogen Corporation,San Diego,CA )である。pcDNAI/Amp発現ベクターは、ヒトサイトメガロウイルス最 初期(immediate-early)遺伝子Iプロモーターおよびエンハンサー要素、シミ アンウイルス40(SV40)コンセンサスイントロンドナーおよびアクセプタ ースプ ライシング配列、およびSV40コンセンサスポリアデニル化シグナルを含む。 このベクターは、SV40ラージT抗原により形質転換された細胞(例えばCO S細胞、MOP8細胞など)中でのエピゾーム性増幅を可能にするSV40複製 起点、および細菌宿主における増殖および選択のためのアンピシリン耐性遺伝子 をも含む。 III .本発明のポリペプチドの調製 精製組換えMBPおよびPLPは、好適な宿主/ベクター系(好ましくは細菌 系)を培養して本発明の核酸分子の組換えMBPおよび/またはPLP翻訳生成 物を発現させ、次いでこれを宿主系、例えば細菌、昆虫細胞、菌類または哺乳類 細胞の培地または細胞抽出物から精製することにより調製する。したがって、本 発明は、宿主により本発明の核酸分子が発現されるように本発明の核酸分子を含 有する組換え宿主を生育させること、および発現されたポリペプチドを単離する ことを特徴とするMBPおよびPLPポリペプチドの生産方法を提供する。 分泌産物として1つ以上のヒスチジンタッグ配列(少なくとも5個のヒスチジ ン残基のストレッチを含む配列)を含有する組換えMBPおよび/またはPLP タンパク質を発現する細胞の発酵は、精製を大幅に簡素化する。このようなヒス チジンタッグ配列は、特異的条件下でニッケルのような金属への、したがって精 製用ニッケル(または他の金属)カラムへの結合を可能にする。 一般的に言って、精製は、好適なセットの濃縮および分画(例えばクロマトグ ラフィ)工程を用いて行う。MBPポリペプチドの精製のためには、特に好まし い精製工程は、「MBPポリペプチドの精製および特徴づけ」と題して以下に実 施例に記載するように、酸抽出を包含する。 本発明の精製されたMBPおよびPLPポリペプチドは、どのようにして調製 されたものであっても、いくらかの不純物の存在を特徴とする。これらの不純物 は、用いた産生および精製過程に依存する量および特徴のタンパク質、炭水化物 、脂質、または他の分子を含んでいる可能性がある。これらの成分は、通常、ウ イルス、原核細胞、真核細胞または合成起源であり、好ましくは非発熱性であっ て約1重量%未満の桁の特に害のない夾雑物の量で存在する。 IV .臨床的適用 上述のように、本発明のMBPおよび/またはPLP核酸分子によりコードさ れるMBPおよびPLPポリペプチドは、MSの診断、臨床的評価および治療の ため、およびPLPポリペプチドの投与に関与する治療的処置に対するMS患者 の潜在的応答性の評価のために用いることができる。このような診断および評価 の手順は、本明細書で論述するMBPおよびPLPポリペプチドの1つまたはそ れ以上の存在下および非存在下におけるT細胞の複製(レプリカ)培養物のイン キュベーション、およびその1つまたはそれ以上のポリペプチドの存在下でのイ ンキュベーションの結果もたらされるが、非存在下でのインキュベーションによ ってはもたらされないT細胞活性化および/またはT細胞アポトーシス(この明 細書においておよび請求の範囲において「T細胞応答」と呼ぶ)の検出を必要と するアッセイを含む。 より具体的には、このようなアッセイは、好ましくは患者からT細胞を単離し 部分的に精製すること、単離されたT細胞を、配列番号1のポリペプチド、シス テイン81が他の任意の標準アミノ酸で置き換えられている配列番号1のポリペ プチド、システイン81が分子量約150未満の荷電していないアミノ酸で置き 換えられている配列番号1のポリペプチド、およびシステイン81がセリンで置 き換えられている配列番号1のポリペプチドよりなる群から選択されるポリペプ チドのようなPLPおよび/またはMBPポリペプチド;および/または配列番 号23のポリペプチド、配列番号24のポリペプチド、配列番号26のポリペプ チド、配列番号27のポリペプチド、配列番号28のポリペプチド、または上述 のその他の好ましいMBPまたはPLPポリペプチドと一緒にすること、および 上記ポリペプチドにより誘導されたT細胞応答のレベルを測定することを含む。 T細胞応答の測定方法は、以下に「T細胞応答の検出」の小見出しの下に記載す る。 本発明に従えば、このようなアッセイは、単離されたPLPまたはMBP21 .5ポリペプチドを、以下に「T細胞応答の検出」の小見出しの下に記載する要 素の任意のもののようなT細胞応答の検出に使用するための要素の近傍におよび /または密封して(in close confinement)含む、MBPまたはPLP反応性T 細胞の検出のためのキットとして提供してもよい。このようなキットの1つの好 まし い態様においては、キットは、そのキットが多発性硬化症の診断および/または 臨床的評価における使用のためのものであることを示すラベルをも含む。 患者のCSF中のT細胞がこのようにしてPLPまたはMBP21.5ポリペ プチドとともにインキュベーションされた場合にT細胞応答を呈するという発見 は、その患者がMSを患っているという表示として受け取られる。MS患者のC SFおよび/または血液中のこのようなMBPまたはPLP応答性T細胞の発見 は、その患者がMBPおよび/またはPLPポリペプチドによる治療の適切な候 補者であることの表示である。血液またはCSF中のこのようなT細胞のレベル は、疾患の進行および治療に対する応答の表示として監視してもよい。 患者の血液および/またはCSF中のこのような反応性T細胞の数(「前駆体 頻度」または「反応性T細胞インデックス」)は、経時的に監視することができ 、増加する数は悪化を示し、減少する数は改善を示すものとして、疾患の臨床的 進行の指標として用いることができる。反応性T細胞インデックスは、いつ治療 的処置が適切であるかを予言するものとしても役立つ。例えば、インデックスの 突然の増加は、治療的介入を開始または強化すべきであることを示唆する。イン デックスが治療の経過中監視される場合、その治療がMBPおよび/またはPL Pポリペプチドの投与を包含するか否かにかかわらず、反応性T細胞インデック スの有意な減少は、治療の成功の表示であり、一方、インデックスの有意な上昇 は治療の失敗を示し、治療法を調整すべきであることを示唆する。 したがって、本発明は、患者からのT細胞を単離し部分的に精製すること、単 離されたT細胞を免疫反応性MBP21.5ポリペプチドまたはPLPポリペプ チド(PLPポリペプチドはネイティブなPLPポリペプチドから少なくとも1 つまたは2つの疎水性ペプチド領域を除いたもの、好ましくは少なくとも3つの 疎水性ペプチド領域を除いたものであるアミノ酸配列を有するPLPムテインア ミノ酸配列を含む)と一緒にすること、および上記ポリペプチドにより誘導され たT細胞応答のレベルを測定することを特徴とするアッセイを提供する。 本発明は、免疫反応性PLPポリペプチド(ネイティブなPLPポリペプチド から少なくとも1つまたは2つの疎水性ペプチド領域を除いたもの、好ましくは 少なくとも3つの疎水性ペプチド領域を除いたものであるアミノ酸配列を有する PLPムテインアミノ酸配列を含む)を、T細胞応答の検出に用いる薬剤と密接 に制限および/または近傍に含むMBP反応性T細胞の検出のためのキットをさ らに提供する。本発明に従えば、このようなキットは、そのキットが多発性硬化 症の臨床的評価における使用のためのものであることを示すラベルをさらに含ん でいてもよい。 A.T細胞応答の検出 T細胞活性化およびアポトーシスのアッセイは、当業者には周知である。この ようなアッセイの詳細な論述およびプロトコールは、Wier,1978;Klaus,1987; Voskuhl et al.,1993;およびOrmerod,1994を含む多数の刊行物に見出すことが できる。このようなアッセイは、T細胞活性化および/またはアポトーシスのあ る種の重要な指標の変化を測定する。 T細胞活性化については、これらの指標は、一般的にT細胞増殖、サイトカイ ン放出、およびサイトカインレセプターおよび他の活性化関連細胞表面マーカー の発現の検出のための試薬を含む。アポトーシスについては、これらの指標は、 一般的に核の収縮および/または細胞死の観察/検出のための色素、染色、およ び他の試薬;アポトーシス性の細胞死を阻害しうる代謝阻害剤;染色、酵素、標 識核酸前駆体、およびDNA分解の他の指標を含む。 T細胞活性化およびアポトーシスのすべてのアッセイは、細胞培養(組織培養 )の供給品(典型的にはマルチウェルプレート、シャーレおよびフラスコのよう な培養容器、ならびに試験管および遠心管、ピペット、ドロッパーおよびドロッ パー瓶のような液体測定具、細胞培養培地、および緩衝溶液)の使用を包含する 。これらのアッセイの多くは、標識抗体(しばしは測定対象の指標に特異的に結 合する非標識一次抗体に対する二次抗体である)の読み出しをも包含する。さら に、これらのアッセイは、以下および実施例において述べるように多数の他の試 薬および機器にも関与する。本明細書および請求の範囲において用いる場合、「 T細胞応答の検出における使用のための要素」は、このような検出のために使用 しうる、本明細書において論述する試薬(抗体を含む)、供給品、培地、および 機器の任意のものをいう。 T細胞に特異的な試薬を指標として用いるのでない限り、T細胞応答の測定は 、 一般的に白血球の調製物からのT細胞(これらは典型的にはそれらが単離されて いる体液(例えば脳脊髄液または非凝集血)の遠心および/またはろ過により得 られる(すなわち部分的に精製される))の標識および/またはさらなる精製に 関与する。以下の本明細書および請求の範囲において用いる場合、「単離された T細胞」は、生体から除去されたT細胞であって、しかし必ずしも(例えば体液 から白血球を除去するための遠心により、または他の血液細胞からのT細胞の分 離により)さらに精製されていないものをいう。T細胞の単離は、したがって、 ランセット、注射針、注射筒、真空血液採取管、および他の血液および/または CSF採取供給品に関与し、さらにろ過および遠心供給品にも関与しうる。 T細胞を特異的に標識するための方法は、典型的には、T細胞特異的マーカー (これらは一般的にはT細胞レセプター、そのサブユニット、およびCD3のよ うな関連分子である)に対する抗体を包含する従来の免疫組織化学および/また はFACS技術に関与する。このような抗体は、多数の供給源から市販されてい る。 T細胞を少なくとも部分的に精製する方法は、上述の抗体を用いるFACSに よる細胞ソーティング、グラスビーズおよび/またはナイロンウールの通過を含 む種々のアフィニティ精製法、白血球細胞の混合物からT細胞以外の細胞を除去 するための他の白血球細胞タイプマーカーに対する抗体の使用、および差次的遠 心分離(例えば、ポリスクロース(FICOLL)、アルブミン、コロイド状シ リカなどの密度勾配媒体を用いる密度勾配遠心および/または遠心エルトリエー ション)を含む。 T細胞増殖の検出は、上述のようなT細胞の標識または部分的精製、および一 般的に細胞増殖を検出するために用いられる方法の適用により達成することがで きる。このような方法の1つは、生細胞により発生期のDNA中に取り込まれう る検出可能な核酸前駆体分子の存在下でT細胞を培養することにより新規に合成 されるDNAを標識することを包含する。このような前駆体としては、3H−チ ミジンおよび他の放射性標識前駆体、ならびにBrdUおよび他の好都合に検出 可能な非放射性前駆体が挙げられる。放射性標識前駆体を用いる場合、取り込ま れなかった前駆体は洗浄除去し、取り込まれた前駆体を、オートラジオグラフィ 、 シンチレーション計測、または他の従来の放射能定量法により測定する。 BrdUなどを用いる場合、取り込まれなかった前駆体は洗浄除去し、前駆体 に特異的に結合することができる抗体または他の試薬を用いて、核DNA中に取 り込まれた前駆体を検出する。さらに、代謝的に活性な細胞を標識する試薬を用 いて、細胞数の増加を追跡することができる。このような試薬としては、MTT 、XTT、MTSおよびWST−1が挙げられる。これらは、ミトコンドリアの 酵素で切断されて、分光光度計測により容易に検出および測定しうる生成物を生 じ、このようにして測定される切断生成物のレベルは試験対象の試料中の代謝的 に活性な細胞の数に比例する。このような試薬は、多数の供給源から市販されて いる。 T細胞活性化の多数の細胞表面マーカーが当業界で知られており、一般的に従 来の免疫組織化学および/またはFACS技術を用いて抗体(多数の供給源から 市販されている)により検出される。これらのマーカーとしては、CD25(I L−2レセプター)、CD26、CD30、CD69、およびCD71(トラン スフェリンレセプター)が挙げられる。 T細胞活性化は、培地中へのサイトカインの放出を測定することによっても検 出することができる(例えば、Correale et al.,1995を参照さたい)。不活性 T細胞はサイトカインを放出しないが、一方、少なくともいくらかの活性T細胞 はIL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−I0、IL−11、IL− 12、IL−13、IL−14、γ−インターフェロン、TNF−α、およびF ASリガンドとして知られるTNF関連サイトカインを放出する。さらに、T細 胞活性化は、CD95(FASレセプター)を含む活性化特異的マーカーのT細 胞表面発現により検出してもよい。これらのサイトカインおよびマーカーの各々 を検出するための抗体は、当業界で周知であり、市販されている。(例えば培地 中の)サイトカインを測定するためのこのような抗体を用いるアッセイも、当業 界で周知であり、商品化されている。 T細胞活性化についての特に感度のよいアッセイは、最近開発された酵素結合 免疫スポット(ELISPOT)アッセイであり、これは、典型的にはT細胞を 培養した抗体コーティング基質上のスポットとして単一のT細胞によるサイトカ イン放出を検出する。このようなアッセイは、Taguchi et al.,1990およびSun et al., 1991 に記載されている。好ましくは、ELISPOTアッセイを用いてγ−イ ンターフェロンの分泌を検出する。 細胞の死が進行中のアポトーシスの結果であるか否かを決定するための材料お よび方法も、当業者には周知である。アポトーシス関連の超微細構造の変化の検 出を可能にする従来の組織化学的染色に加えて、アッセイおよび染色技術を含む アポトーシス検出手順は、何年もの間、当業界で使用されている。これらの手順 は、典型的には、細胞死が活性代謝(例えばタンパク質合成)に依存するかどう か、または死んでいく細胞がDNA分解(断片化)を呈するかどうかを決定する 。 前者のタイプの手順は、代謝阻害剤(例えばシクロヘキシミドのようなタンパ ク質合成阻害剤、アクチノマイシンDのようなRNA合成阻害剤、またはシクロ スポリンのような免疫特異的阻害剤)の存在下または非存在下で死んでいく細胞 を含有するレプリカ培養を生育させること、およびこのような阻害が細胞死を遅 延させるかどうかを決定することを包含する。遅延する場合には、ほぼ確実にア ポトーシスが関与する。例えば、細胞死を色素ヨウ化プロピジウムが細胞に進入 する能力として検出しているDhein et al.,1995を参照されたい。 DNA断片化の検出のための手順は、典型的にはフェノール抽出およびゲル電 気泳動による、DNAの単離およびサイズ分離を包含しうる。より新しい技術は 、酵素ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(「TdT」また は「ターミナルトランスフェラーゼ」)、適切な緩衝液(例えば、コバルト塩、 およびDTT、DTEまたはBMEのような還元剤を含有するカコジル酸緩衝液 )および標識デオキシヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)またはその標 識誘導体もしくはアナログ(例えば、BrdUTP、ビオチニル化dNTP、ジ ゴキシゲン標識dNTP、または放射性標識dNTP、集合的に「標識XTP」 と呼ぶ)の使用を包含する。 TdTは、標識XTPsをDNA分子の遊離末端に取り込む。アポトーシスに 付随するDNA分解は、健康な細胞におけるずっと少数のものと比較して、はる かに多数の遊離末端の生成を包含するので、健康な細胞と比較して高いレベルの 標識XTPsの取り込みは、進行中のアポトーシスを示す。したがって、アポト ーシスを検出するためのTdT法は、オートラジオグラフィまたは免疫組織化学 (例えば標識XTPに対する抗体を、蛍光または酵素タッグを付した抗体として 、またはタッグを付した二次抗体とともに、使用するもの)のような従来の技術 を典型的には用いる取り込まれた標識XTPの検出(通常は細胞を洗浄して取り 込まれなかった標識XTPを除去した後)を包含する。この方法の実施のための 市販キットは、ONCOR,Inc.,Gaithersburg,MDより「APOPTAG」 キットとして入手可能である。 別の最近開発された技術は、抗ヒストン捕獲抗体および抗DNA検出抗体を用 いるELISAを包含する。このアッセイは、断片化したクロマチンからのイン タクトなクロマチンの従来の分離に依拠し、このような分離した断片化したクロ マチンのレベルは上述のELISAにより測定する。この方法の実施のための市 販のキットは、Boehringer Mannheim Corporation,Indianapolis,INより 「細胞死検出キット」として入手可能である。 B.処理 本発明のMBPポリペプチドを用いる処理について、本発明のMBP21.5 ポリペプチド(例えばMBP+X2Ser81)は、MS患者において抗原寛容誘導 を得るための以前のアプローチにおいて用いられる非ヒト由来MBP抗原と比較 して種々の利点を有することは留意されるべきである。このような利点としては 、MBP免疫優性領域の全範囲の包含、および結果としてのこれらのポリペプチ ドがこのようなMBP免疫優性領域のいずれかと反応性のT細胞に寛容性を誘導 する能力が挙げられる。 自己反応性の抗原内および抗原間の拡散は、自己免疫疾患に付随する関連した 現象であり、抗原中の付加的なエピトープまたは標的組織中の付加的な抗原が疾 患の進行中に自己免疫性T細胞により標的にされるようになる。このような抗原 拡散は、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)およびインスリン依存性糖尿病 のマウスモデルにおける炎症性自己免疫過程の経過中に観察されていた(Lehma nn et al.,1992;McCarron et al.,1990;Kaufman et al.,1993;Tisch et al. ,1993)。 抗原拡散のこれらの知見は、MS患者におけるMBP反応性活性化T細胞によ り認識される免疫優性エピトープの可変性の証明とともに、有効なMBP特異的 療法はMBP特異的自己反応性T細胞の不均質集団を標的とする必要があるであ ろうことを示す。したがって、MBPの非経口投与がMS治療において最大に効 果的であるためには、その免疫優性エピトープの完全なレパートリーがTリンパ 球に提示されなければならない。 本発明のある側面に従えば、多発性硬化症を患う患者の治療方法は、患者にM BP21.5ポリペプチドを投与することを特徴とする。好ましくは、MBP2 1.5ポリペプチドは、MBP免疫優性エピトープの完全なレパートリーを包含 する。MBP21.5ポリペプチドは、患者の体の関連区画(すなわち体液また は組織区画)、例えば患者の血液、脳脊髄液、リンパ、細網内皮系、肝臓、リン パ節、脾臓、胸腺などにおいて、MBP反応性T細胞のアポトーシスを誘導する のに十分なポリペプチド濃度を達成するのに十分な量で投与される。好ましくは 、このポリペプチドは、少なくとも12時間であって4日を超えない間隔で、少 なくとも2回、患者に投与される。 本発明のある側面に従えば、多発性硬化症を患う患者の治療方法は、患者にP LPポリペプチド(例えば、ΔPLP3、ΔPLP4、MP3、MP4、PM4 、MMOGP4)を投与することを特徴とする。好ましくは、PLPポリペプチ ドは、既知のヒトPLP免疫優性エピトープの完全なレパートリーを包含する。 PLPポリペプチドは、患者の体の関連区画(すなわち体液または組織区画)、 例えば患者の血液、脳脊髄液、リンパ、細網内皮系、肝臓、リンパ節、脾臓、胸 腺などにおいて、PLP反応性T細胞のアポトーシスを誘導するのに十分なポリ ペプチド濃度を達成するのに十分な量で投与される。好ましくは、このポリペプ チドは、投与間が少なくとも12時間であって4日を超えない間隔で、反復的に 患者に投与される。このポリペプチドは、疾患の悪化でなく寛容性がもらたされ るように、好ましくは付随するアジュバント投与なしに投与される。 本発明に従えば、MBPおよび/またはPLP反応性T細胞のアポトーシスを 誘導するのに十分な、患者の体液または組織区画におけるMBPおよび/または PLPポリペプチドの濃度は、「臨床的適用」および「T細胞応答の検出」と題 して上述した材料、方法およびアッセイを用いて決定される。濃度は、関連のな いポリペプチド(例えばアルブミン)を用いて行った対照アッセイと比較して、 MBPまたはPLPエピトープに対する応答を示す末梢血からのT細胞の数の実 質的な減少(「前駆体頻度」または「反応性T細胞インデックス」)が、このポ リペプチドに応答して(処理前に採取した血液試料からのT細胞と比較して)処 理の後に見られた場合に、MBPまたはPLP反応性T細胞のアポトーシスを誘 導するのに十分と考えられる。反応性T細胞インデックスの少なくとも25%の 減少は、一般に、「実質的な減少」を構成する。より小さい減少も、統計的に有 意な減少、すなわちスチューデントT試験のような標準的統計的試験により解析 した場合に確立値pが0.05以下、好ましくは0.015以下であるとき、「 実質的」と考えられる。 あるいは、MBPまたはPLP反応性T細胞のアポトーシスを誘導するのに十 分な患者血液および/または脳脊髄液中のポリペプチド濃度は、EAEまたはM Sの臨床的経過を安定化するまたは臨床的症状を改善するのに必要な量としてル ーチンのインビボ実験により決定してもよい。 本発明に従えば、PLPおよび/またはMBP21.5ポリペプチドは、アポ トーシスを誘発せずに寛容性を誘導するよう設計されたスケジュールでの投与に より(例えばT細胞アネルギーを誘発することにより)、MS患者においてPL Pおよび/またはMBP反応性T細胞の寛容性を誘導するために用いてもよい。 このようなスケジュールは、典型的には患者をアレルゲンに対して寛容誘導する ために用いられ、一般的には毎週、隔週または毎月ベースの寛容誘導剤(この場 合、MBP21.5調製物)の少量の用量(典型的には数マイクログラムから数 百マイクログラムの範囲)の投与を包含する。 患者の体液または組織区画中のポリペプチドの所望の濃度を達成するのに十分 な投与ポリペプチドの量は、当業者に周知の標準的な薬物動態学的計算を用いて ルーチンのヒトおよび動物の研究データから容易に決定することができる。当初 のインビボ研究はEAEを誘発するように処理されたマウスで行う。好ましくは 、ポリペプチドの用量は、続いて霊長類、例えばヒト患者またはマーモセット( 末梢血中にMBP反応性T細胞を有することが知られているサル)において決定 する。好ましくは、用量は、MBPまたはPLPエピトープに対する応答を示す 末梢血からのT細胞の数の実質的な減少または臨床的改善(好ましくは動物にお け る)を達成するように調整する。 用量は、投与の方式、治療される患者の具体的な症状、患者の全体的な健康、 状態、サイズおよび年齢、および処方する医師の判断によっても変化する。 医師の判断によるが、典型的な治療処理は、通常は疾患の臨床的重症度および 反応性T細胞インデックスの監視と同時に投与される一連の用量を含む。ポリペ プチドの投与は、一般に静脈ルート、例えば注射による静脈内注入によって行う 。他の投与ルート(例えば皮下注射、皮内注射、筋内注射、エアロゾル吸入、経 口、鼻、膣、直腸など)も、医師により決定されるように所望であれば用いても よい。 注射に好適な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publ ishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に見出される。このよう な製剤は、無菌的で、非発熱性でなければならず、一般には、生理食塩水、緩衝 (例えばリン酸緩衝)生理食塩水、ハンクス液、リンゲル液、デキストロース/ 生理食塩水、グルコース溶液などのような医薬的に有効な担体を含有する。製剤 は、必要に応じて医薬的に許容されうる補助物質、例えば浸透圧調整剤、湿潤剤 、殺菌剤、保存剤、安定剤などを含有してもよい。 本発明の製剤は、包装材およびポリペプチドを含む製造物として頒布すること ができる。包装材は、この製剤は神経疾患の治療における使用のためのものであ ることを示し、具体的に多発性硬化症に言及してもよいラベルを含む。 本発明を、いかなる方式においても制限する意図ではなく、以下の実施例にお いてより十分に説明する。 実施例 MBP21.5ポリペプチドおよびネイティブMBP18.5の発現を指示す る細菌ベクターの構築 ヒトMBPの18.5kDa アイソフォームをコードする全長cDNAは、A TCCから入手した(#5748;ATCC,Rockville,MD)。プラスミドp HBP−1を、AmpliTaq(Perkin-Elmer、Norwalk,CT)を用いる、94 ℃で1分間の変性、52℃で1分間のアニーリングおよび72℃で1分間の伸長 を含む30サイクルの標準的PCR反応において、鋳型として用いた。センスオ リゴヌクレオチドプライマー(5′-CATATGGCGT CACAGAAGA G AC-3′、配列番号13) は、hMBP18.5のN末端(MASQKR)をコードし、NdeIクローニ ング部位を含む。一方、アンチセンスプライマー(5′-GGATCCTTAG CGTCTAGCCA TGGGTG-3′、配列番号14)はC末端残基(PM ARR)をコードし、BamHIクローニング部位を含む。72℃で10分間の 付加的な伸長の後、得られる526塩基対(bp)のフラグメントを、製造者の記 載にしたがってpCRII(Invitrogen,San Diego,CA)中にサブクローニン グした。カナマイシン耐性E.coliDH10B(Gibco/BRL,Gaithersburg, MD)形質転換体を選択し、インサートを、制限酵素解析によって同定し、ジデ オキシ配列解析によって確認した。MBPコード領域を、ファージT7プロモー タープラスミドpET14b(Novagen,Madison,WI)のNdeIおよびXh oI部位にサブクローニングし、後にpET22b(Novagen,Madison,WI) 中に再クローニングした。得られた組換えMBP18.5遺伝子は、ネイティブ なヒトMBP18.5タンパク質には見出されない、このMBP18.5hum.遺 伝子産物の精製を容易にするために付加された3′末端のヒスチジンタッグをコ ードする付加的な18ヌクレオチドの配列(終止コドンの直前)を除き、改変さ れていないネイティブなコドンのみを含む。得られた組換えベクター(pET2 2b/MBP18.5hum.)を、DE3溶原がE.colilacUV5プロモータ ー(Studier et al.,1990)の後ろにT7ポリメラーゼ遺伝子を含むE.coliB L21(DE3)(Novagen,Madison,WI)中に形質転換により導入した。 ヒトMBPの21.5kDa アイソフォームをコードする合成組換え遺伝子は 、3ラウンドの重複PCR(Ho et al.,1989)において構築した(図13を参 照されたい)。3つの遺伝子サブドメインの各々を、5pmol のHPLC精製オ リゴヌクレオチドの適切な対の各々および0.5単位のTaqポリメラーゼ(P erkin-Elmer)を用いて100μl反応物において合成した。95℃で1分間の 変性、50℃で1分間のアニーリングおよび72℃で1分間の30サイクルを行 った。次いで、精製PCRフラグメントの各々の5%を、第二ラウンドPCRに おいて鋳型として用いた。ここで、2つのサブドメインをフランキングオリゴヌ クレオチドを用いて結合した。これらのDNAフラグメントの精製および第三ラ ウンドPCRにより、648bp 生成物の増幅がもたらされた。このPCR産物 をEcoR IおよびHindIIIで消化し、pBS(−)中にサブクローニングし、E.coliX L−1Blue(Stratagene,La Jolla,CA)中に形質転換により導入した。ア ンピシリン耐性形質転換体を選択し、目的の構築体を制限酵素解析および配列解 析により同定した。いくつかの独立したクローンからの制限フラグメントを一緒 にして、PCRクローニング中に起こった望ましくない突然変異を除去し、得ら れたMBP+X2Cys81/Bact.遺伝子をpET22bのNdeIおよびHindI II部位にクローニングした。 ヒトMBPの21.5kDa アイソフォームのアミノ酸残基81のシステイン からセリンへの置換をコードする変更された遺伝子は、以下の工程により構築し た。中間MBPフラグメントのPCR増幅は、pET22b/MBp21.5hu m. を鋳型とし、突然変異導入アンチセンスプライマー(5′-GTCTTTGT ACATGTTCGACA GGCCCGGCTG GCTACG−3′、配列番 号15、Ser81コドンに下線を付した;NspI部位は斜字体で示す)とセン スオリゴヌクレオチドプライマー(5′-CAGCACCATG GACC-3′ 、配列番号16、NcoI部位は斜字体で示す)とともに用いて行った。次いで 、MBP+X2Cys81/Bact.のNspI−NcoI制限フラグメントを、突然変 異を導入したフラグメントと交換し、MBP+X2Ser81/Bact.を作成した。 重複PCRにおいてMBP18.5hum.遺伝子を鋳型として用いて、ネイティ ブなヒトコドンを用いてMBP+X2Cys81の1バージョンを作成した。ヒトエ クソン2配列を含むPCRフラグメントは、センスオリゴヌクレオチド(配列番 号17): 5′-GGTGCGCCAA AGCGGGGCTC TGGCAAGGTA C CCTGGCTAA AGCCGGGCCG GAGCCCTCTG CCCTC TCATG CCCGCAGCCA GCCTGGGCTG TGCAACATG T ACAAGGACTC ACACCACCCG GCAAGAAC−3′ をプラスミドpET22bのT7ターミネーターにハイブリダイズするアンチセ ンスオリゴヌクレオチド(配列番号18)と組み合わせて用いて、pET22b /rhMBP18.5から作成した。第二のPCRフラグメントは、同じ鋳型を 用い、T7プロモーターオリゴヌクレオチド(配列番号19)をエクソン2の5 ′末端にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド(5′-GGCT TTAGCC AGGGTACCTT GCCAGAGCCC CGCTTTGGC-3′、配列 番号20)と組み合わせて用いて作成した。第二ラウンドPCRにおけるT7プ ロモーターおよびターミネーターオリゴヌクレオチドを用いる増幅による両PC R産物の融合により、MBP+X2Cys81/hum.遺伝子を含むPCR産物の構築を 完成した。このPCR産物から得られる制限フラグメントを、次いでNdeIお よびHindIII部位でpET22b中にサブクローニングし、目的のクローン の選択は、配列解析により確認した。組換えMBPの細菌による発現および同定 組換えMBPポリペプチドの発現のために、E.coliBL21(DE3)株を 発現プラスミドで形質転換し、アンピシリン耐性コロニーを選択してテリフィッ クブロス(TB)培地(Sambrook et al.,1989)でOD600が0.6になるまで 生育させた。タンパク質発現は、1mMイソプロピルチオガラクトシド(IPT G)で4時間誘導した。組換えにより発現されたMBPポリペプチドの分析的特 徴づけは、OD600が1.5のとき誘導した細胞の 1ml を採取して行った。細 胞ペレットを100μl の20mMトリス−塩酸、pH7.5中で煮沸して溶解 し、10%の溶解物を16%SDS−PAGE(Novex,San Diego,CA)に より解析した。組換えにより発現されたMBPポリペプチドは、クマシーR−2 50染色またはMBPエクソン1に相当するヒトMBPアミノ末端残基36〜5 0(MCA408,SeroTec,Indianapolis,IN)もしくはMBPエクソン6に相 当するカルボキシ末端残基129〜138(MCA 70,SeroTec,Indianapo hs,IN)のいずれかに特異的なラットモノクローナル抗体を用いる免疫ブロッ ティングにより同定した。 可溶性および不溶性画分へのE.coli 細胞の分画のためには、誘導した培養の 各々の2mlからの細胞ペレットを、OD600が1.5のとき回収し、400mlの 20mM トリス−塩酸、pH8.0中に再懸濁した。全細胞溶解物を調製するた め、懸濁液を100mg/mlリゾチームおよび 1mMフェニルメチルスルホニルフ ルオリドに調整し、次いで30℃で15分間インキュベートした。この後、10 mM MgCl2および200mg/mlのDNaseI(Sigma,St.Louis,MO) を添加し、室温で20分間インキュベートした。細胞溶解物を2つに分け、一方 の 半分にはさらにトリス緩衝液を加え、他方の半分は0.1N塩酸とし、室温で3 0分間抽出した。遠心後、可溶性上清を不溶性ペレットから採取し、各画分をS DS含有ローディング色素中で5分間煮沸した。各画分の20%のSDS−PA GEゲルを、上述のように組換えにより発現されたMBPポリペプチドについて 解析した。 組換えMBPの精製および特徴づけ 組換えにより発現されたポリペプチドの精製のために、誘導した細胞の1l培 養物を、遠心して回収し、ペレットを、TEKMARホモジナイザー(The Te kmarCo.,Cincinnati,OH)を用いて10ml/g(10%w/v)の0.1N塩酸中 でホモジナイズした。細胞は、マイクロフルイダイザーMICROFLUIDI ZER(Model M110-T,Microfluidics Corp.,Newton,MA)を3回通過さ せて機械的に破壊した。すべての操作は氷上で行った。組換えにより発現された MBPを含有する可溶性画分は、Beckman JA-10 ローター中で10,000 ×gで4℃、30分間の細胞溶解物の遠心後、上清として回収した。上清は、W HATMAN POLYCAP TF膜(0.45μm)(Whatman LabSales, Hillsboro,OR)を通してろ過し、AMICON stir cell装置(Amicon,Be verly,MA)においてPM-10膜を用いて5〜10倍濃縮した。濃縮した画分 から、MILLEX GV(0.2mm)シリンジフィルター(Millipore Corpor ation,Bedford,MA)を通過させて粒状物を除去し、ろ過した試料をVYDAC C4逆相カラム(直径1.0cm/長さ25cm、VYDAC,Hesperia,CA)に 4.1ml/分で注入した。タンパク質は、30分間の直線状25〜40%アセト ニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)勾配を用いて溶出し、次いで凍 結乾燥した。 組換えにより発現されたMBPポリペプチドの精製のため、凍結乾燥した物質 を、結合緩衝液(8M尿素、10mM β-メルカプトエタノール、0.1M Na H2PO4、0.01Mトリス−塩酸、pH8.0)中に再懸濁し、製造者の指示 に従ってNi−NTA樹脂に結合させた(Qiagen Inc.,Chadsworth,CA) 。カラムは、同じ結合緩衝液で2回洗浄し、混在する E.coli タンパク質を p H6.3に調整した同じ結合緩衝液で除去した(洗浄3)。rhMBPは、pH 5.9(溶出1)および pH4.5(溶出2)の結合緩衝液、および最後に 6 M 塩酸グア ニジン、0.2M酢酸(溶出3)を含む段階的勾配で溶出した。すべての画分お よびカラムの一部を、還元剤の存在下で16%SDS−PAGEにより解析した 。 MBPポリペプチドを、迅速分析逆相HPLCアッセイにより定量した。4. 6×50mmのC18カラム(C18HYTACH,Glycotech,Branford,CT)を 用い、アッセイは、Kalghatgi and Horvath,1987により記載されたHPLCと 同様にして80℃で行った。組換えにより発現されたMBPポリペプチドは、破 壊した細胞から0.1N塩酸を用いて抽出し、1分間の直線状10〜30%アセ トニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)勾配を用いてC18 HYTA CH 逆相カラム上で分画した。直線状のアッセイ範囲において、MBPポリペ プチドのピーク高の測定値は、MBPポリペプチドの量に正比例する。MBP+ X2Cys81標準の濃度は、アミノ酸組成により決定した。MBP+X2Cys81の分 子量は、質量分析により22,188ダルトンと決定された。精製MBP+X2Cys81 タンパク質のN末端配列決定の結果は、アミノ酸配列AlaSerGln LysArgProSerGlnArgHisGlySerLysTyrLeu AlaThrAlaSerThrMetAspHisAlaArgであり、MB P+X2Cys81/hum.のヌクレオチド配列(配列番号1)から予測される最初の2 5アミノ酸に相当した。 MBP18.5およびエクソン2特異的T細胞株の樹立および増殖アッセイ ネイティブなヒトMBPを、以前記載されたとおりに調製した(Voskuhl et al.,1993a)。MBPエクソン2にコードされる合成ペプチドは、Synthecell Corp.(Rockville,MD)から購入したものであり、HPLC解析で95%を 超える純度であった。末梢血リンパ球は、白血球除去血輸血およびFICOLL 勾配上での分離により単離した。次いで、細胞を、10%DMSOを含むRPM I1640(Whittaker Bioproducts,Walkersville,MD)中で低温保存し、 使用時まで液体窒素中で保存した。T細胞株は、以前記載したとおりに限界細胞 濃度法を用いて生成した(Voskuhl et al.,1993a)。2A2および3H5は、 正常個体から得られたヒトT細胞株である。1H7、1G1および3A11は、 MS患者から得られたT細胞株であり、MBPのエクソン2にコードされる領域 に特異的である。 T細胞株は、最後の再刺激後10日間休ませ、その後2×105細胞/ml の濃度 でレスポンダー(応答者)として使用した。自己の照射(3000rad)末梢血 リンパ球(PBL)をスティミュレーター(刺激者)として1×106細胞/ml の濃度で用いた。応答者細胞および刺激者細胞の両方の50μlずつを、100 μlの特定のMBP抗原または培地のみを含む丸底96ウェルマイクロタイター プレート(Nunc,Roskilde,Denmark)の各ウェル中で混合した。組換えMBP については、逆相HPLC精製からの凍結乾燥調製物を8〜10mg/ml の濃度に PBS中で再懸濁し、次いで使用直前に培地で希釈した。アッセイは、3連で、 10%ヒトプール血清(4〜7人の正常AB型NIH血液銀行供血者から入手し た;使用前に熱非働化しろ過滅菌したもの)を添加した、2mML−グルタミン 、100U/mlペニシリンおよび100mg/ml ストレプトマイシン(すべて Wh ittaker Bioproducts,Walkersville,MD)を含有するイスコフ改変ダルベッ コ培地(IMDM、Gibco,Grand Island,NY)中で行った。培養は、5%C O2の存在下、37℃で72時間インキュベートした。培養の最後の18時間の 間、細胞を1ウェル当たり1mCiの3[H]-チミジンでパルスし、グラスファイバ ーフィルター上に回収し、チミジンの取り込みをシンチレーション計測により測 定した。 組換えヒトMBP遺伝子の構築および細菌による発現 成人ヒトMBPの胎児型アイソフォームをコードするように合成遺伝子を構築 した(21.5kDa アイソフォーム、MBP+X2Cys81)(図1および2を参 照されたい)。他者は典型的には特定のコード領域の完全センス鎖およびアンチ センス鎖にわたる多数のオリゴヌクレオチドを連結することにより合成遺伝子を 構築していたが(Jayarman et al.,1991; Williams et al.,1988; Hernan et al.,1992; Wosnick et al.,1987)、ここではたった6つのオリゴヌクレオチ ド(配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列 番号10)を用いて組換えヒトMBP+X2Cys81をコードする 644bp の遺 伝子を合成した。これらのHPLC精製したオリゴヌクレオチドは、110〜1 30bp の範囲のサイズであり、20〜25bp の重複領域が3ラウンドのPCR 中のセンス鎖およびアンチセンス鎖のハイブリダイゼーションのために設計され ていた(図13)。組換えMBP遺伝子の最適な細菌による発現のために、ヒト コドンの多 くを、すべての既知の(Wada et al.,1992)または高度発現される(Grosjean and Fiers,1982)E.coli 遺伝子について作成されたコドン傾向表に基づいて 、好まれる細菌コドンに変換した。かなりのコドン変更を、特にアルギニン、プ ロリンおよびリジン(MBP21.5中のアミノ酸残基の26%を包含する)を コードするものについて行った。 いくつかの独立のクローンを配列決定したところ、各々が細菌クローニング菌 株による合成DNAの拒絶またはPCRに基づく誤りのいずれかに帰すことがで きる複数のヌクレオチド置換または欠失を有していた。これらの誤りのすべては 、ヌクレオチド位置462、528および532に同定されたシトシンからチミ ンへの置換を除き、修正した。これらの変更は、コードされるMBP+X2Cys8 1 のアミノ酸配列を保存しており、細菌コドン偏向に対して有害ではないため(W ada et al.,1992)、修正しなかった。MBPの成人脳由来(18.5kDa)アイ ソフォームの組換えによる発現については、このアイソフォームをコードするネ イティブなヒトコドンを有するcDNAクローン(MBP18.5/hum.、MBP1 8.5をコードする)を、同じ発現ベクターへのクローニングのための適切な制 限部位を含むようにPCRにより改変した。 細菌における組換えMBPポリペプチドの発現は、当初は栄養豊富なTB培地 中で生育させた小規模振とうフラスコ培養を用いて特徴づけした。10ml 培養 をIPTGで誘導した後、BL21(DE3)細胞中で高レベルでMBPの両組 換え形態が発現された。MBP18.5およびMBP+X2Cys81は、SDS− PAGEにより分離した全細菌タンパク質のクマシー色素染色により同定される 主要なタンパク質であり(図14、「クマシー」)、ヒトMBPのカルボキシ末 端(図14、「C末端Ab」)またはアミノ末端(図14、「N末端Ab」)に 対する抗体により特異的に認識された。2つのより小さいMBP免疫反応性ポリ ペプチド(6〜16kDa)がMBP+X2Cys81溶解物において同定しうるが、 N末端抗体を用いるイムノブロット解析によってのみであり、タンパク質分解で はなく、カルボキシ末端付近での未熟な翻訳終結がこの存在に関与することが示 唆される。このことは、これらの小さいポリペプチドが実験の経過中安定である ことを示したパルス−チェイス標識実験において確認された。 封入体は、振とうフラスコ実験において顕著ではなかったが、組換えMBPは 溶解した細菌細胞の不溶性画分に観察された(図15、「トリス」)。従来、ウ シ脊髄から精製された相同タンパク質は脳炎誘発活性を持ち、pH2〜3で可溶 性であることが示された(Einstein et al.,1962)。この脳炎誘発性タンパク 質は、後にMBPとして同定されたものであり、ほとんど完全に18.5kDa アイソフォームからなっている(Deibler et al.,1972)。MBPは酸可溶性で あるので、本発明者らは、細菌溶解物の直接酸抽出による精製を合理化すること が可能であろうと理由づけた。したがって、本発明者らは、rhMBPを酸性条 件下で可溶化することを試みた。0.1N塩酸による全細胞溶解物の処理(図1 5、「酸」)により、可溶性画分(S)へのrhMBPのほとんどの放出が得ら れた。不溶性ペレット画分(P)からrhMBPの全部を抽出できないのは、こ の特定の試料調製中の細胞の不完全な溶解による可能性がある。 MBPポリペプチドの精製および特徴づけ 組換えにより発現されたMBPポリペプチドの精製のために、1lの振とうフ ラスコ培養からの細胞を、上述の酸性条件下で機械的に破壊した。同時の細胞破 壊および酸抽出の後、組換えにより発現されたMBPポリペプチドのすべては、 可溶性画分中に見出された(図16、「可溶」)。可溶性酸画分を、直接VYD ACC4逆相カラムにかけ、25〜40%アセトニトリル/0.1%TFA勾配 を用いて17〜20分で単一の鋭いピークとしてrhMBPを溶出した(図17 )。このピーク画分のN末端の配列決定により、上述のとおりのMBPポリペプ チドについての正しいアミノ末端配列を確認した。付加的なカルボキシ末端のヒ スチジンタッグを有するMBP+X2Cys81の予測された分子量は、このピーク 画分の質量分析により得られた質量22,185ダルトンと一致した。プールし たピーク画分のクマシー染色ゲルにより、組換えMBPポリペプチドが同定され たが、全長MBPポリペプチドの限られた酸加水分解により生成されたとみられ る短縮型MBPフラグメントの不均質な混合物もまた示された(図18、「注入 物」)。C末端のヒスチジンタッグを用いることにより、変性条件および酸性p H溶出を用いる金属キレートクロマトグラフィにより全長MBP物質を得た(図 18)。全長MBPポリペプチドの大部分は、溶出2(8M尿素、10mMβ− メルカプト エタノール、0.1MNaH2PO4、0.01Mトリス、pH4.5)または溶 出3(6M塩酸グアニジン、0.2M酢酸)を用いて溶出されたが、混在する .coli タンパク質はよりストリンジェントでない第二の溶出からの溶出物中に観 察された(図18、「溶出2」)。 MBP+X2Cys81/bact.の発現をMBP18.5/hum.のそれと定量的に比較 するために、3セットの1l細菌培養から可溶性酸溶解物を調製し、上述の迅速 分析逆相HPLCアッセイを用いて解析した。アミノ酸解析により決定したとお りの、標準量のMBP+X2Cys81を用い、ピーク高をタンパク質濃度と関連づ けて、本発明者らは、MBP18.5/hum.遺伝子からの発現と比較して1.5 〜2.0倍多いMBP21.5ポリペプチドが合成MBP+X2Cys81/bact.遺 伝子から発現されることを観察した。細菌コドンを有するMBP遺伝子からの組 換えタンパク質の平均発現レベルは、ヒトコドンを有する遺伝子からの30mg/l と比較して、50mg/l であった。MBP+X2Cys81/hum.遺伝子を発現した菌 株はMBP18.5/hum.を発現する菌株と同様の量のMBPポリペプチドを生 成したので、これは、細菌コドン偏向を反映し、エクソン2関連配列の効果では ない(図19および表5を参照されたい)。 生理学的条件下で、MBP18.5ではなく、MBP+X2Cys81の一部は、 非還元試料のSDS−PAGEゲル上でのクマシー染色およびウェスタンブロッ ティングにより同定される見かけ上の2量体分子を形成した。2量体は、還元試 料については同様の条件下では観察されなかった。MBP2量体は、ウシCNS からのミエリンタンパク質の逆相HPLC分画後にも観察された(van Noort e t al.,1994)。 このような2量体は、医薬的投与のために処方されるべきタンパク質調製物に おいては特に望ましくない。これは、このような用途のためには、このようなタ ンパク質は一般に単一の分子量を含む定義された特徴を有する単一の分子の実体 であるのが好ましいからである。したがって、単一の単量体形態のMBP21. 5ポリペプチドを好都合に効率よく調製しうる手段を考案することが重要である 。MBP+X2Cys81の2量体形成がエクソン2の位置81の単一のシステイン 残基(Cys81)を通じて媒介されたかどうかを試験するために、このシステイ ン(C ys81)を位置特異的突然変異誘発によりセリン(Ser81)に変換した。 逆相HPLCにより、MBP+X2Ser81がMBP+X2Cys81と同様のレベル で細菌中で発現され(平均50mg/ml、図19を参照されたい)、還元剤なしで 生理的溶液中で単量体のままでいることが示された。2量体形成の効果的な排除 のためのこのようなアミノ酸置換を試験する代替的な方法として、X2MBPペ プチドを調製し、還元剤なしで生理的溶液中で2量体形成について試験してもよ い。 MBP18.5およびMBPエクソン2特異的T細胞は組換えヒト(rh)M BPを認識する MBPの組換え形態の生物活性を評価するために、本発明者らは、組換えタン パク質を抗原投与した場合の、ヒトMBP特異的T細胞株のインビトロ増殖応答 を試験した。脳由来ヒトMBP18.5または合成エクソン2ペプチド(MBP 21.5のアミノ酸残基60〜85、配列番号1)に応答するT細胞株を生成し た。2つのMBP18.5特異的株、2A2(残基31〜50を認識する)およ び3H5(残基87〜106を認識する)を、MBP18.5またはMBP+X ポリペプチドのいずれかとのインキュベーションによりインビトロで72時間刺 激した。このインキュベーションの最後の18時間の間に、細胞を3H−チミジ ンでパルスし、細胞増殖の測定を可能にした。図20に示すように、両T細胞株 は、ヒト脳から精製したか細菌から精製したかにかかわらず、MBP+X2Cys8 1 およびMBP18.5に等しく良好に応答した。本発明者らは、当業界で記載 されたMBPエピトープに応答するさらなるヒトT細胞株の抗原認識をも解析し た。当業界で命名されているように、そして本明細書において記載するように、 これらのMBP18.5エピトープは、MBP18.5の残基106〜125、 136〜155、141〜170および151〜170内に含まれている。ここ で、番号付けは当業界で用いられているものであり、ブタMBP分子のアミノ酸 配列に基づくものである。それぞれの場合において、ネイティブなMBP18. 5および組換えMBP+X2Cys81に応答して有意なT細胞増殖が観察された。 エクソン2にコードされるペプチド配列を含むようにMBP+X2分子を工作 した。X2を含む治療剤を調製する手段を提供することに加えて、これらの分子 は、APCが全長MBP21.5由来のエクソン2エピトープをT細胞による認 識が可能なように提示しうるかどうかの決定を可能にした。これは、エクソン2 中の単一のシステイン残基がT細胞認識に必須であるかどうかが未知であったた め、MBP+X2Ser81ポリペプチドについても重要であった。 2つの独立のエクソン2ペプチド特異的ヒトT細胞株を用いた増殖アッセイは 、合成エクソン2ペプチド、MBP+X2Cys81(図21)およびMBp+X2S er81 (図22)のみがT細胞応答を誘起しうることを明らかに証明した。さらに 、用量効果アッセイ(図22)により、MBP+X2Cys81およびMBP+X2S er81 の両方が効率的にインビトロでT細胞に提示されることが解明された。この ことは、Cys81は試験したクローンにより認識されるエクソン2にコードされ るエピトープの提示のために重要ではないことを示す。T細胞増殖データは、図 24および図25にも示す。 これらの結果は、ヒトT細胞は全長MBP21.5分子に由来するプロセッシ ングされたX2エピトープに応答することができること、およびMBP18.5 、MBP+X2Cy181およびMBP+X2Ser81を含む細菌により発現されたMB Pの組換え形態はネイティブなMBP18.5タンパク質と同様に脳炎誘発性T 細胞を刺激することにおいて有効でありうることを明らかにする。 ΔPLP4および他のPLPムテインの合成、発現および精製 プラスミドpUC8(ATCC#57466)中にクローニングされた全長ヒト PLP標的配列を含む1.5kb フラグメントからなるDNA鋳型を、広範に改 変して、ΔPLP4を作成した。各々親水性ドメイン2、3および4を含むペプ チドをコードする3つのポリヌクレオチドを、PCRにより個別に合成し、続い て重複PCRにより融合した。ΔPLP4のオープンリーディングフレーム全体 を含むDNAの配列の完全性は、ジデオキシ配列解析により確認した。ΔPLP 4コード領域をNdeI/HindIIIフラグメントとしてプラスミドpET2 2b(Novagen)にサブクローニングした。ΔPLP4タンパク質は、N末端に 融合した5つの付加的なアミノ酸(Met−Leu−Glu−Asp−Pro) およびC末端ヒスチジンに融合した5つの付加的なヒスチジン(ヒスチジンタッ グ)を含む。 プラスミドΔPLP4を、λDE3溶原を含むE.coli 菌株W3110(D E3)(Studier et al.,1990)に形質転換により導入し、形質転換した細菌に より産生されたΔPLP4ポリペプチドを、クマシーブルー染色により、そして ウェスタンブロットにヒトPLPの合成ペプチド(アミノ酸118〜130)に 対するウサギポリクローナル血清(Serotec,AHP261)をプローブとして 用い、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギ抗体および増強化学 発光(ECL)検出系(Amersham)を用いて検出することにより同定した。1m MIPTGによる誘導の後、ΔPLP4は、全細胞タンパク質の約50%を構成 し、封入体のみに局在するようであった。封入体の選択的抽出は、6M塩酸グア ニジン、または好ましくは5M塩酸グアニジン、20mMクエン酸ナトリウム、p H5.0、を含有する緩衝液を用いて行う。このような抽出は、SDS−PAG Eおよび分析逆相HPLCによる判定で90%にのぼる純度の調製物をもたらし た。N末端アミノ酸配列決定により、この単離されたポリペプチドの配列がΔP LP4の予測されたアミノ末端残基を含むことを確認した。 同様の従来技術を用いて、他のPLPムテインポリペプチドをコードする核酸 分子を構築し、W3110(DE3)において発現させた。これらとしては、疎 水性ドメイン1、3および4が欠如したΔPLP3(配列番号23)、および疎 水性ドメイン1および4のみを欠くPLPムテインをコードする同様の構築体( ΔPLP2、配列番号29)が挙げられる。ΔPLP2は、アミノ末端に付した ヒスチジンタッグをも含み、これは、トロンビン切断部位を含むリンカー(配列 番号29のアミノ酸残基14〜19)により、PLPの第二の親水性ドメインの アミノ末端に連結し、それとは分離されている。コードされるPLPムテインの 発現により、ΔPLP3は上記のΔPLP4に匹敵するレベルで発現されたこと 、一方、ΔPLP2はパルス−チェイス放射標識分析によって検出されうるにす ぎない非常に低いレベルで発現されたことが解明された。同じ発現系で試験した ネイティブなPLP構築体は、パルス−チェイス放射標識によって分析した場合 でさえ、検出可能なPLPポリペプチドをまったく生じなかった。 MP4および他のキメラPLP分子の構築、発現および精製 MBP21.5−ΔPLP4融合タンパク質であるMP4を、以下のようにし て構築した。MBP21.5(配列番号1)をコードする合成DNAフラグメン トを上述の発現ベクターpET22b中のT7プロモーターの制御下においた。 次に、適切に間隔をおいたリボソーム結合部位およびΔPLP4遺伝子を含むD NAフラグメントをMBP21.5遺伝子の下流に連結し、MBP21.5およ びΔPLP4の独立の発現のためのジシストロン性オペロンを作成した。このジ シストロン性構築体をAatII−XhoIで消化し、合成AatII−XhoIリ ンカー/アダプター(配列番号26のヌクレオチド588〜605にわたる配列 に相当する)に連結して、MP4と名付けたMBP21.5/ΔPLP4キメラ タンパク質をコードする遺伝子融合体(配列番号26)を作成した。得られたM P4融合タンパク質のための発現構築体の配列の完全性を確認し、MP4をコー ドするプラスミドを用いて上述のバクテリオファージT7RNAポリメラーゼの 溶原性染色体コピーを担持するE.coliW3110(DE3)を形質転換した。 同様の従来技術を用いて、他のキメラPLPポリペプチドをコードする核酸分 子を構築し、W3110(DE3)において発現させた。これらとしては、MP 3(配列番号25)、PM4(配列番号27)、およびMMOGP4(配列番号 28)が挙げられる。MP3は、PLPムテイン部分が配列番号23のΔPLP 3キメラであること以外はMP4と同様のキメラであった。PM4は、MP4に おけるのと異なる向きにMBP21.5とΔPLP4とを連結するために重複P CR手順において異なるリンカー(配列番号27のヌクレオチド508〜519 にわたる配列に相当する)を用いたこと以外は、MP4と同様であった。MMO GP4は、ヒトミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(Pham-Dinh et a l,J.Neurochem.1994,63:2353、以下参照)の細胞外ドメインをコードする配列 をMBPとPLP由来配列との間に挿入することにより構築した。これらのコー ドされたキメラPLPポリペプチドの発現により、これらが以下に述べるように MP4のレベルと匹敵するレベルで発現されたことが解明された。 MP4合成は、1mMIPTGの添加によりMP4プラスミドを担持するE.co li W3110(DE3)において誘導した。このタンパク質は、不溶性画分のみ に局在するようであり、全細胞タンパク質の約20%を構成した。MP4は以下 のようにして単離した。201のIPTG誘導発酵物からのE.coliペーストを 、1 0倍容(10ml/g湿潤重量)の溶解緩衝液(20mMクエン酸ナトリウム、1mM EDTA、pH5.0)中に再懸濁した。このペーストを、氷上で UltraTurra xT50ホモジナイザーを用いて均一に懸濁した。pH5.0まで塩酸を添加し、 氷上で Microfluidizer モデルM−110Tホモジナイザーを相互作用チャン バーで15,000〜20,000psi の圧力で用いて細胞を溶解した。得られ た溶解物を約10,000×g で遠心して、可溶性および不溶性画分を分離した 。可溶性画分を捨て、不溶性画分を、ホモジナイザー(Tekmar TP 18/1051) を用いて10倍容(10ml/g湿潤重量)の抽出緩衝液(6Mグアニジン塩酸、0 .5M塩化ナトリウム、20mM リン酸ナトリウム、pH5.0)中に再懸濁し た。抽出物を、2〜8℃で60分間攪拌しながらインキュベートした。次いで、 抽出物を、10,000×gで30分、遠心した。遠心後の上清を、Branson S onifier 450を用いて氷上で5分間超音波処理して混在する核酸をせん断し、0 .45μフィルター(Whatman 75AS Polycap)を通してろ過し、ろ過上清を 得た。 カラムクロマトグラフィを2工程で行った。第一工程においては、以下のよう にして金属キレートクロマトグラフィを用いた。キレート SEPHAROSE Fast Flow(Pharmacia Biotech)を含む直径5cm×長さ20cmの大きさのカ ラムを脱イオン水中で充填した。カラムのおよそ上3分の2を、樹脂7.8ml当 たり1mlの0.1M NiCl2を注入することによりNi++で荷電させた。次い で、カラムを 5CV の脱イオン水で洗浄した。カラムを、2CV の緩衝液A (6Mグアニジン塩酸、0.5M塩化ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム、 1mM2−メルカプトエタノール、pH7.2)で平衡化し、280nm でベース ラインの光学密度を測定した。ろ過した上清をNaOHでpH7.2に調整し、 最終濃度1mMになるように2−メルカプトエタノールを添加した。この還元試 料を室温に暖めた。還元試料を流速50ml/分で注入した。次いで流速を100m l/分に調整し、カラムを、カラム流出物が280nmでベースラインの光学密度に 達するまで緩衝液Aで洗浄した。次いで、最初はpH7.2、次にpH6.3、そ して最後にpH5.5の6M尿素、0.5M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸 ナトリウムを用いて、カラムを連続的に3回洗浄した。各洗浄は光学密度がベー スラインに戻るまで行った。 MP4は、6M尿素、0.5M塩化ナトリウム、0.02Mリン酸ナトリウム 、pH3.5を用いて、280nm で光学密度を監視しながらカラムから溶出した 。タンパク質含有画分をプールし、MP4を、以下のようにしてさらに精製した 。約35mg のMP4を含む(分析HPLCおよびSDS−PAGEにより概算 した)プール画分のアリコートを、ジチオスレイトールを最終濃度50mM およ び塩酸グアニジンを最終濃度6Mになるよう添加し、pHを8.0に調整するこ とにより、十分に還元した。次いで、試料を、37℃で0.5時間インキュベー トした。得られた還元および変性した調製物を、次いで0.45μフィルターを 通してろ過し、55%ソルベントA(50%ギ酸/50%H2O)および45% ソルベントB(50%アセトニトリル/50%ギ酸)で平衡化した直径1cm×長さ 25cmの C4 VYDAC(Hesperia,CA)逆相HPLCカラムに室温で適 用した。(280nm でのベースライン光学密度の読み取りは、試料をカラムに 注入する前に行った。)注入後、カラム流出液を、読み取り値がベースラインに 戻るまで監視した。次いで、カラムを、55%ソルベントA、45%ソルベント Bから0%ソルベントA、100%ソルベントBまでソルベントBが増加する直 線状勾配を用いて溶出した。 プールしたタンパク質含有画分を、約2〜3mg/mlの濃度になるまで、Rotava p濃縮機(Buchi Corp.)中で濃縮した。次いで、脱イオン水をフラスコに添加 して、試料をおよそもとの容量にし、再び試料を濃縮して残存するギ酸を除去し た。この過程は、もとの容量の約5〜10倍の水を添加し除去するまで繰り返し た。次いで、試料を、10,000ダルトンカットオフPM−10膜を備えた攪 拌細胞濃縮器(Amicon)に移した。全部で12透析容量(diavolumes)の脱イ オン水が試料を通過するまで3回脱イオン水を添加して、4℃で透析ろ過(diaf iltration)を行った。(試料の最終のpHは3.5であった。) 得られた濃縮物質は、SDS−PAGEおよび分析逆相HPLCによる判定で 90%にのぼるMP4の純度を有していた。N末端アミノ酸配列決定により、単 離されたポリペプチドは配列番号26の予測されたアミノ末端残基を含むことが 確認された。 MP4のさらなる精製が望まれる可能性がある。さらなる精製工程としては、 ゲルろ過クロマトグラフィおよびイオン交換クロマトグラフィ(好ましくはカチ オン交換クロマトグラフィ)が挙げられる。これらの工程は、0.1%〜1.0 %の濃度の非イオン性界面活性剤(好ましくはTWEEN 20)の添加により容 易になる。非イオン性界面活性剤は、金属キレートクロマトグラフィに干渉しな いので、細胞溶解後の精製のいずれの時点で添加してもよい。 細菌由来のあらゆる医薬調製物についてのように、MP4調製物は、ヒトへの 投与の前に動物における毒性について試験され、有毒な調製物はいずれもさらに 精製されるか、廃棄される。このような毒性試験は、好ましくはマウスを用いて 、最も好ましくは後述するようにEAEを誘発したマウスを用いて、脳炎誘発性 タンパク質の注射により、または好ましくはEAEを患う動物からのT細胞の養 子移入により、行う。このような方式の試験は、処置の有効性が動物モデル系に おいて評価されるのを可能にするという付加的な利点を有する。このような試験 のためには、細菌により産生されたポリペプチドの300μg用量を、好ましく は「EAEを有するマウスの治療」の小見出しの下に後述する適切な治療スケジ ュールにしたがって投与する。 本発明のPLPポリペプチドにより誘発されるT細胞応答 本発明のΔPLP4およびMP4ポリペプチドを、T細胞応答を刺激し、EA E/MSを予防および治療するその能力について、インビトロおよびインビボ系 において試験した。これらの研究の結果を図1〜12および表3に示す。これら の結果は、本発明のPLPポリペプチドがT細胞応答を誘発することができ、種 々のMBPおよびPLPエピトープに対するT細胞反応性に影響を与えることが でき、そして、EAEを誘発し、予防し、治療することができることを明らかに する。 能動免疫によるEAEの誘発 雌のSJL/Jマウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME)か ら購入した。すべてのマウスは、8週齢から12週齢の間で用いた。すべてのマ ウスは、無制限の標準的な実験室飼料および水で維持した。食餌は、麻痺した動 物が飼料および水に容易に近づけることを確実にするよう調整した。 雌のSJL/Jマウスを、150μg の結核菌H37Ra(Difco;完全フロ イ ントアジュバント)および抗原を含有する150μl の不完全フロイントアジュ バント乳剤を用いて皮下注射により免疫した。抗原は、100μg のオブアルブ ミン、100μg の組換えΔPLP4、300μg のMP4または150μg の PLPペプチドICS(位置140のシステインがセリンで置換されている配列 番号22のアミノ酸残基139〜151)を含有していた。各150μl の注射 は、背側側面の3ヶ所に分配した。 予備的試験において百日咳毒素を同時投与した場合により高い発病率が得られ たので、0日目および3日目にすべてのマウスに、続いて300ng の百日咳毒 素(List Biologicals,Campbell,CA)の注射も与えた。その正確な作用 モードは知られていないが、EAE誘発における百日咳毒素の免疫調節効果は周 知である。百日咳毒素は、血液脳関門透過性を生成し、したがってCNSへの脳 炎誘発性細胞の進入を容易にすると信じられている血管作用物質である。 疾患の当初の臨床的徴候は、通常、免疫後12日と16日の間に観察された。 マウスは毎日監視し、平均臨床スコアを各群に与えた。発病の平均日数は、臨床 的徴候の最初の出現に基づいて算出した。 EAEの養子移入 供与者SJL/Jマウスは、上述のように100μg のΔPLP4を用いて皮 下経路で免疫した。9〜11日後、疲弊しているリンパ節細胞を収穫し、同系S JL/J抗原提示細胞(APC)の存在下で25μg/ml のPLPペプチド1C Sで4日間刺激した。ペプチドで活性化したT細胞(0.1mlのPBS中、1. 6×107個)を収穫し、2回洗浄し、同系のナイーブ受容者に静脈経路で注射 した。 EAEを有するマウスの治療 マウスを、非処理マウス、および125μgのΔPLP4またはハトシトクロ ームc(対照として)のいずれかの静脈注射を、養子移入実験においては2、4 および6日に、能動免疫実験においては5、7および9日に、1日2回(6〜8 時間間隔)受けるマウスを含む処置群に分けた。 本明細書を通じて、種々の刊行物および特許の開示を引用している。これらの 教示および開示は、その全体が、本発明が属する分野の技術水準をより十分に説 明するために、参照により本明細書に取り込まれる。 本明細書において本発明の好ましいおよびその他の態様を記載したが、当業者 は、以下の請求の範囲に定義するとおりの本発明の範囲を逸脱することなく、さ らなる態様を企図し、実施することができる。 PLPペプチド名(左欄)中、PLPの文字に続く数字は、そのペプチドの配 列が配列番号22のそれらの数字(両端を含む)のアミノ酸残基にわたり、それ らに相当することを示す。 ペプチド配列の最後の右肩の小文字は、そのペプチドを論述する参考文献を、 以下のように示す: 左欄(「PLPペプチド」)中の数字は、そのペプチドの配列が配列番号22 のそれらの数字(両端を含む)のアミノ酸残基にわたり、それらに相当すること を示す。 *免疫は、CFA(150μgH37Ra)を用いて0日目に行った。用いた抗 原は、100μgオブアルブミン(Sigma)、100μgΔPLP4、150μ gPLPペプチド139−151、または300μgMP4であった。すべての 群に、0日目および3日目に300ng百日咳毒素を静脈内注射により与えた。 免疫と最初のEAEの徴候との間の平均日数を各群の動物について示す(範囲 をかっこ内に示す)。 疾患の重症度が最高のときの平均臨床等級を示す(範囲をかっこ内に示す)。 *recMBP21.5は、C末端に6個の付加的なヒスチジンを含む。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/02 G01N 33/53 D G01N 33/53 33/564 Z 33/564 A61K 37/02 //(C12P 21/02 C12R 1:19) (31)優先権主張番号 08/482,114 (32)優先日 1995年6月7日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,BB,BG ,BR,CA,CN,CZ,EE,FI,GE,HU, IS,JP,KG,KP,KR,LK,LR,LT,L V,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL ,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,UZ, VN (71)出願人 ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリ カ、リプレゼンテッド・バイ・ザ・セクレ タリー・デパートメント・オブ・ヘルス・ アンド・ヒューマン・サービシーズ アメリカ合衆国、メリーランド州 20852、 ロックビル、エグゼキューティブ・ブール バード 6011、スイート 325、オフィ ス・オブ・テクノロジー・トランスファ ー、ディレクター、ナショナル・インステ ィテュート・オブ・ヘルス (72)発明者 ミラー、ジョン・ピー アメリカ合衆国、コネチカット州 06512、 イースト・ヘイブン、シルバー・サンズ・ ロード 30、ユニット・19 エフ (72)発明者 レナード、マイケル・ジェイ アメリカ合衆国、メリーランド州 20854、 ポトマック、フォールズ・チャペル・ウェ イ 9117 (72)発明者 マクファーランド、ヘンリー・エフ アメリカ合衆国、メリーランド州 20879、 ゲイザーズ バーグ、ブリンク・ロード 1902 (72)発明者 マティス、ルイス アメリカ合衆国、コネチカット州 06490、 サウスポート、フリントロック・ロード 775 (72)発明者 ミラー、アイリーン・エリオット アメリカ合衆国、コネチカット州 06512、 イースト・ヘイブン、シルバー・サンズ・ ロード 30、ユニット・19 エフ (72)発明者 ナイ、スティーブン・エイチ アメリカ合衆国、ウィスコンシン州 53092、メコン、ウェスト・ウォーナキ ー・サークル 6906 (72)発明者 ペルフレイ、クララ・エム アメリカ合衆国、メリーランド州 20879、 ゲイザーズ バーグ、ブリングズ・コート 19803 (72)発明者 スクウィント、スティーブン・ピー アメリカ合衆国、コネチカット州 06524、 ベサニー、コーチマンズ・レーン 16 (72)発明者 ウィルキンズ、ジェイムズ・エイ アメリカ合衆国、コネチカット州 06525、 ウッドブリッジ、クラーク・ロード 21

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.アミノ酸81が任意の標準アミノ酸であってよいことを除き配列番号1に規 定するアミノ酸配列を含む単離された免疫反応性ポリペプチド。 2.標準アミノ酸がシステインではない、請求項1記載のポリペプチド。 3.標準アミノ酸が、約150未満の分子量を有する荷電していないアミノ酸で ある、請求項1記載のポリペプチド。 4.他の標準アミノ酸がセリンである、請求項3記載のポリペプチド。 5.以下のもの: (a)好適な宿主において発現された場合、請求項1記載のポリペプチドの発現 を指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 6.以下のもの: (a)好適な宿主において発現された場合、アミノ酸81が任意の標準アミノ酸 であってよいことを除き配列番号1に規定するアミノ酸配列を含むポリペプチド の発現を指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方、 を含む単離された核酸分子であって、上記ヌクレオチド配列は、変更されたコド ンのセットを定義し、上記変更されたコドンのセットは、アミノ酸81について のコドン以外の、少なくとも1つの変更されたコドンのセットのコドンが、ネイ ティブなコドンのセットを有する核酸分子が細菌において発現された場合よりも 変更されたコドンのセットを有する核酸分子が細菌で発現された場合に高いレベ ルのポリペプチドが産生されるように細菌により好まれるコドンであることにお いて、配列番号1に定義されたネイティブなコドンのセットと異なる、核酸分子 。 7.位置81のアミノ酸がシステインではない、請求項6記載の単離された核酸 分子。 8.位置81のアミノ酸がセリンである、請求項7記載の単離された核酸分子。 9.変更されたコドンのセットを有する核酸分子が細菌において発現された場合 に産生されるポリペプチドのレベルが、ネイティブなコドンのセットを有する核 酸分子が細菌において発現された場合に産生されるポリペプチドのレベルの少な くとも1.5倍である、請求項6記載の単離された核酸分子。 10.以下の工程: (1)上記核酸分子が宿主により発現されるように請求項5、6、7または8記 載の核酸分子を含む組換え宿主を生育させる工程;および (2)発現されたポリペプチドを単離する工程 を含む、ミエリン塩基性タンパク質ポリペプチドの製造方法。 11.宿主が細菌宿主である、請求項10記載の方法。 12.発現されたポリペプチドの単離を、宿主を破壊して破壊物を生成した後、 上記破壊物を分画し、上記分画が破壊物の酸抽出を包含する工程を含むことを特 徴とする方法により達成する、請求項10記載の方法。 13.多発性硬化症患者を処置する方法であって、上記患者に、ヒトMBP遺伝 子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされるアミノ酸配列を含むミエリ ン塩基性タンパク質アミノ酸配列を含む単離された免疫反応性ポリペプチドを、 MBP反応性T細胞の寛容性を誘導するのに十分な患者の身体区画における上記 ポリペプチドの濃度を達成するのに十分な量で投与することを特徴とする方法。 14.上記区画が患者の脳脊髄液である、請求項13記載の方法。 15.上記区画が患者の血液である、請求項13記載の方法。 16.上記区画がリンパ節である、請求項13記載の方法。 17.上記ポリペプチドを、少なくとも12時間であって4日を超えない間隔で 少なくとも2回患者にポリペプチドを投与することを含む養生法にしたがって、 患者に投与する、請求項13記載の方法。 18.方法が、T細胞分裂を刺激するのに十分な患者の血液または脳脊髄液中の インターロイキン−2濃度を達成するのに十分な量でインターロイキン−2を患 者に投与することをさらに含む、請求項13記載の方法。 19.精製されたミエリン塩基性タンパク質ポリペプチドおよび医薬的に許容さ れうる担体を含む寛容性誘導組成物であって、上記ミエリン塩基性タンパク質ポ リペ プチドが、ヒトMBP遺伝子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされる アミノ酸配列を含み、上記組成物が、ヒト患者に対する投与に好適である、組成 物。 20.上記ミエリン塩基性タンパク質ポリペプチドが、配列番号1のポリペプチ ドである、請求項18記載の組成物。 21.上記ミエリン塩基性タンパク質ポリペプチドが、請求項4記載のポリペプ チドである、請求項18記載の組成物。 22.包装材および上記包装材に含有される医薬製剤を含む製造物であって、 (a)上記医薬製剤が、精製されたミエリン塩基性タンパク質ポリペプチドおよ び医薬的に許容されうる担体を含み、上記ミエリン塩基性タンパク質ポリペプチ ドが、ヒトMBP遺伝子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされるアミ ノ酸配列を含むこと; (b)上記製剤が、ヒト患者に対する投与に好適であること;および (c)上記包装材が、上記製剤は多発性硬化症の処置における使用のためのもの であることを示すラベルを含むこと を特徴とする製造物。 23.患者からT細胞を単離し部分的に精製すること、単離されたT細胞をヒト MBP遺伝子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされるアミノ酸配列を 含むミエリン塩基性タンパク質ポリペプチドを含む精製された免疫反応性ポリペ プチドと一緒にすること、および上記ポリペプチドにより誘導されたT細胞応答 のレベルを測定することを特徴とするアッセイ。 24.ヒトMBP遺伝子のエクソン2の少なくとも一部によりコードされるアミ ノ酸配列を含む約21.5kD の質量を有する精製されたミエリン塩基性タンパ ク質ポリペプチドを、T細胞応答の検出における使用のための要素の近傍におよ び/または密封して含む、MBP反応性T細胞の検出のためのキット。 25.上記キットが、そのキットは多発性硬化症の臨床的評価における使用のた めのものであることを示すラベルをさらに含む、請求項24記載のキット。 26.PLPムテインを含む免疫反応性ポリペプチドであって、上記ムテインが アミノ酸配列を含み、上記配列がネイティブなPLPポリペプチドから少なくと も3つの疎水性ペプチド領域を除いたものの配列を含む、ポリペプチド。 27.上記PLPムテインが、配列番号23のアミノ酸残基6〜186(6およ び186を含む)にわたるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項 26記載の免疫反応性ポリペプチド。 28.上記PLPムテインが、ネイティブなPLPポリペプチドよりも高いレベ ルで細菌中で発現される、請求項26記載の免疫反応性ポリペプチド。 29.上記PLPムテインが、ネイティブなPLPポリペプチドよりも水性溶液 中において可溶性が高い、請求項26記載の免疫反応性ポリペプチド。 30.上記PLPムテインが、配列番号24のアミノ酸残基6〜169(6およ び169を含む)にわたるアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項 26記載の免疫反応性ポリペプチド。 31.配列番号1のミエリン塩基性タンパク質の少なくとも10個の連続するア ミノ酸を含むMBPアミノ酸配列をさらに含む、請求項26記載の免疫反応性ポ リペプチド。 32.1つの標的アミノ酸残基以外のすべてが配列番号1のアミノ酸残基81を 含む配列番号1の領域に相当する少なくとも10個の連続するアミノ酸を含むM BPアミノ酸配列をさらに含む請求項26記載の免疫反応性ポリペプチドであっ て、上記標的アミノ酸残基が配列番号1のアミノ酸残基81の位置に相当するM BPアミノ酸配列内の位置に存在し、上記標的アミノ酸残基が、配列番号1のア ミノ酸残基81であるシステイン以外の任意の標準アミノ酸である、ポリペプチ ド。 33.配列番号25に規定するアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請 求項26記載のPLPムテイン。 34.配列番号26のアミノ酸残基1〜368(1および368を含む)にわた るアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項26記載のPLPムテイ ン。 35.配列番号27のアミノ酸残基6〜374(6および374を含む)にわた るアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項26記載のPLPムテイ ン。 36.配列番号28のアミノ酸残基1〜487(1および487を含む)にわた るアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項26記載のPLPムテイ ン。 37.ヒトミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質のアミノ酸配列の少なく とも10個の連続するアミノ酸に相当するミエリンオリゴデンドロサイト糖タン パ ク質アミノ酸配列をさらに含む請求項26記載のポリペプチドであって、上記ヒ トミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号28 のアミノ酸残基199〜319(199および319を含む)にわたるアミノ酸 配列に相当する、ポリペプチド。 38.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項26記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 39.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項27記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 40.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項29記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 41.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項30記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 42.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項25記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 43.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項31記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 44.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項32記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 45.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項33記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 46.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項34記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 47.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項35記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 48.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項36記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 49.以下のもの: (a)好適な宿主中で発現された場合、請求項37記載のポリペプチドの発現を 指示するヌクレオチド配列;または (b)(a)に相補的な配列;または (c)(a)および(b)の両方 を含む単離された核酸分子。 50.請求項28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、 38または39記載の核酸分子を含む組換え宿主を宿主により上記核酸分子が発 現されるように生育させること、および発現されたポリペプチドを単離すること を特徴とするPLPポリペプチドの製造方法。 51.上記宿主が細菌宿主である、請求項50記載の方法。 52.多発性硬化症患者を処置する方法であって、上記患者に、単離された免疫 反応性ポリペプチドを、PLP反応性T細胞の寛容性を誘導するのに十分な患者 身体の区画における上記ポリペプチドの濃度を達成するのに十分な量で投与する ことを含み、上記ポリペプチドが、ネイティブなPLPポリペプチドから少なく とも3つの疎水性ペプチド領域を除いたもののアミノ酸配列を含むアミノ酸配列 を有するPLPムテインを含む、方法。 53.上記区画が患者の脳脊髄液である、請求項52記載の方法。 54.上記区画が患者の血液である、請求項52記載の方法。 55.上記区画がリンパ節である、請求項52記載の方法。 56.上記ポリペプチドを、投与間が少なくとも12時間であって4日を超えな い間隔で少なくとも2回患者に上記ポリペプチドを反復的に投与することを含む 養生法にしたがって、患者に投与する、請求項52記載の方法。 57.方法が、T細胞分裂を刺激するのに十分な患者の血液または脳脊髄液中の インターロイキン−2濃度を達成するのに十分な量でインターロイキン−2を患 者に投与することをさらに含む、請求項52記載の方法。 58.以下のもの: (1)ネイティブなPLPポリペプチドから少なくとも3つの疎水性ペプチド領 域を除いたもののアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有するPLPムテインを含 む、精製されたPLPポリペプチド;および (2)医薬的に許容されうる担体 を含む組成物であって、ヒト患者に対する投与に好適である組成物。 59.上記PLPムテインが、配列番号23のアミノ酸配列に相当するアミノ酸 配列を含む、請求項58記載の組成物。 60.上記PLPムテインが、配列番号24のアミノ酸配列に相当するアミノ酸 配列を含む、請求項58記載の組成物。 61.以下のものを含むアミノ酸配列を有するPLPムテイン: (1)上記PLPムテインがネイティブなPLPポリペプチドよりも高いレベル で細菌中で発現されるようにネイティブなPLPポリペプチドから少なくとも3 つの疎水性ペプチド領域を除いたもののアミノ酸配列;および (2)医薬的に許容されうる担体 を含む寛容性誘導組成物であって、ヒト患者に対する投与に好適である組成物。 62.包装材および上記包装材に含有される医薬製剤を含む製造物であって、 (a)上記医薬製剤が、ネイティブなPLPポリペプチドから少なくとも3つの 疎水性ペプチド領域を除いたもののアミノ酸配列を有するPLPムテインアミノ 酸配列を含むPLPポリペプチド、および医薬的に許容されうる担体を含むこと ; (b)上記製剤が、ヒト患者に対する投与に好適であること;および (c)上記包装材が、上記製剤は多発性硬化症の処置における使用のためのもの であることを示すラベルを含むこと を特徴とする製造物。 63.患者からT細胞を単離し部分的に精製すること、単離されたT細胞をネイ ティブなPLPポリペプチドから少なくとも3つの疎水性ペプチド領域を除いた もののアミノ酸配列を有するPLPムテインアミノ酸配列を含む免疫反応性ポリ ペプチドと一緒にすること、および上記ポリペプチドにより誘導されたT細胞応 答のレベルを測定することを特徴とするアッセイ。 64.ネイティブなPLPポリペプチドから少なくとも3つの疎水性ペプチド領 域を除いたもののアミノ酸配列を有するPLPムテインアミノ酸配列を含むPL Pポリペプチドを、T細胞応答の検出における使用のための要素の近傍におよび /または密封して含む、PLP反応性T細胞の検出のためのキット。 65.上記キットが、そのキットは多発性硬化症の臨床的評価における使用のた めのものであることを示すラベルをさらに含む、請求項64記載のキット。
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