JPH11510704A - 非内在性細胞シグナル受容体の異所性発現による細胞機能の調節 - Google Patents

非内在性細胞シグナル受容体の異所性発現による細胞機能の調節

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JPH11510704A
JPH11510704A JP9509404A JP50940497A JPH11510704A JP H11510704 A JPH11510704 A JP H11510704A JP 9509404 A JP9509404 A JP 9509404A JP 50940497 A JP50940497 A JP 50940497A JP H11510704 A JPH11510704 A JP H11510704A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞に内在していない細胞シグナル受容体をコードするDNAで形質転換されたインビボ細胞を提供する。細胞シグナル受容体は細胞にとって内在性のシグナル形質導入受容体を活性化することができ、細胞シグナル受容体は調整的に活性化され、それによってシグナル形質導入経路を調整的に活性して、シグナル形質導入経路によりコントロールされる細胞機能を調節する。本発明はまた、細胞における非内在性受容体を異所的に発現する方法、およびインビボ細胞機能を調節する方法を提供する。細胞機能調節方法は、細胞に内在しない細胞シグナル受容体をコードするDNAで形質転換する方法、および非内在性細胞シグナル受容体を活性化し得る細胞外分子に細胞を調整的に接触せしめる方法を含む。細胞シグナル受容体の活性化は、内在性シグナル形質導入経路によりコントロールされる細胞機能を調節するように、内在性シグナル形質導入経路を活性にする。

Description

【発明の詳細な説明】 非内在性細胞シグナル受容体の異所性発現による細胞機能の調節 本出願の主対象は米国政府の援助のもとになされた(国立衛生研究所認可番号 ROI DK43036)。 発明の分野 本発明は、細胞機能のコントロールを得るために細胞における非内在性細胞シ グナル受容体の発現に関し、特に細胞における内在性シグナル形質導入経路を利 用する非内在性細胞シグナル受容体をコードするDNAで細胞を形質転換するこ とに関する。その場合、受容体はシグナル形質導入経路によってコントロールさ れる細胞機能を調節するために、調整的に活性化され得る。 発明の背景 本明細書には種々の公表文献が引用され、その多くはカッコ中に記載されてい る。これらの文献の書示事項は詳細な説明の最後に掲げられている。これらの公 表文献の開示は、引用されることにより本明細書の一部とみなされる。 細胞の様々な機能は、細胞がその環境にいかに応答するかによって、部分的に は定義される。ある細胞が無数のシグナルにさらされると、細胞外調節分子に対 する細胞応答の特異性がその細胞に存在する受容体の配置によって変調される( 1−5)、細胞調節分子とその細胞シグナル受容体との相互作用は、1以上の細 胞内シグナル形質導入経路の活性化をおこし、細胞に特異的な応答をなす。細胞 反応の特異性は、受容体の特殊な結合特性およびシグナル形質導入カスケードの 分子ターゲット下流の特異性によって決定される。同じ細胞において多数の異な る受容体が同一のシグナル形質導入経路を利用することができ、そして相異する 受容体の活性化が時々類似の応答を誘発することがある(1−5)。 特定のシグナル形質導入経路がコントロール下、または調節下に特殊な細胞/ 組織において活性化されると、疾患の表現型が訂正され得るか、少なくとも改善 され得るような先天的および後天的なヒトの異常が多数存在する。このアプロー チの一般的な適用は、疾患において過度に刺激されるプロセスを抑制するためか 、または疾患によって阻害されている細胞応答を刺激するためのシグナルカスケ ードの活性化であろう。これらの場合、疾患の病因は特殊なシグナル経路に関連 しない。疾患表現型は非内在性受容体により引きおこされる他の細胞応答によっ て克服されるのであろう。このアプローチの特殊な適用は、細胞外調節分子また はその特殊な受容体に関連する異常性による2次的な様々な機能の調節喪失が存 在する混乱においてである。これらの場合、非内在性受容体は、疾患により壊さ れているシグナル経路を引き起こすのに用いられる。 発明の概要 本発明の目的は、病的または正常な細胞/組織の機能を調節する方法を提供す ることであり、この方法は、その細胞/組織または他の細胞/組織において病的 な表現型に打ち勝つか、または改善するであろう応答を細胞/組織において産生 する。 特に、本発明は、細胞シグナル受容体(この細胞に内在していない)をコード するDNAで形質転換されたインビボ細胞を提供する。細胞シグナル受容体は細 胞にとって内在性のシグナル形質導入受容体を活性化することができ、細胞シグ ナル受容体は調整的に活性化され、それによってシグナル形質導入経路を調整的 に活性して、シグナル形質導入経路によりコントロールされる細胞機能を調節す る。 本発明はまた、細胞における非内在性受容体を異所的に発現する方法を提供す る。この方法は、細胞シグナル受容体(この細胞に内在していない)をコードす るDNAでの形質転換のための細胞を選択することを含む。細胞シグナル受容体 は細胞に内在するシグナル形質導入経路を活性化できる。次いで、細胞は細胞シ グナル受容体をコードするDNAで形質転換され、そしてDNAは発現され、そ れによって細胞において細胞シグナル受容体を異所的に発現する。 本発明はインビボ細胞機能を調節する方法を提供する。この方法は、細胞シグ ナル受容体(この細胞に内在していない)をコードするDNAでの形質転換のた めの細胞を選択することを含む。細胞シグナル受容体は細胞に内在するシグナル 形質導入経路を活性化できる。次いで、細胞は細胞シグナル受容体をコードする DNAで形質転換され、そしてDNAは発現され、それによって細胞において細 胞シグナル受容体を異所的に発現する。次いで、インビボ細胞は非内在性細胞シ グナル受容体を活性化し得る細胞外分子に調整的に接触され、そこで細胞シグナ ル受容体の活性化が、内在性シグナル形質導入経路によりコントロールされる細 胞機能を調節するように、内在性シグナル形質導入経路を活性にする。 このように本発明は、特定の細胞機能を正常にコントロールしない細胞内分子 を用いて細胞機能をコントロールするための方法を提供する。内在性細胞受容体 の脱感作あるいは内在性細胞受容体の欠失または変異による細胞機能の様々な機 能異常が、本発明の組成物および方法を用いることで、克服される。 図面の簡単な説明 本発明の上記および他の特徴や利点は、次の添付図面と共に、下記の望ましい 実施態様についての詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。 図1は、マウスTRH−R cDNAプローブ(1−6欄)またはヒトγ−アクチ ンcDNAプローブ(7−12欄)を用いての、アデノウイルスベクターとのイン キュベート後のインビトロ1次肝細胞からのRNAについてのノーザン解析であ る。 図2は、TRH−R cDNAのアデノウイルス仲介インビトロ転移後のメチル チロトロピン放出ホルモンの肝細胞への結合を表わす。 図3は、TRH−R cDNAのアデノウイルス仲介インビトロ転移後の肝細胞 におけるイノシトールホスフェート形成のTRH刺激を表わす。 図4は、マウスがインビボでAdCMV・βgalベクター(1欄)またはAdCM V・mTRH−Rベクター(2欄)を受け入れた後のマウスTRH−R cDNA プローブを有する肝RNAのノーザン解析である。 図5は、マウスがインビボでAdCMV・βgalベクター(3欄)またはAdCM V・mTRH−Rベクター(4欄)を受け入れた後のγ−アクチンcDNAプロー ブを有する肝RNAのノーザン解析である。 図6は、インビボTRH−R cDNAのアデノウイルス仲介転移後のメチルチ ロトロピン放出ホルモンのラットから誘導される1次肝細胞への結合を表わす。 図7は、インビボTRH−R cDNAのアデノウイルス仲介転移後のイノシト ールホスフェート形成のラットから誘導される1次肝細胞へのTRH刺激を表わ す。 図8は、TRHによる血清グルコースの変調を表わす。 図9は、血清グルコース値の平均変化を表わす。 詳細な説明 本発明は、細胞シグナル受容体(この細胞に内在していない)をコードするD NAで形質転換されたインビボ細胞を提供する。細胞シグナル受容体は細胞にと って内在性のシグナル形質導入受容体を活性化することができ、細胞シグナル受 容体は調整的に活性化され、それによってシグナル形質導入経路を調整的に活性 して、シグナル形質導入経路によりコントロールされる細胞機能を調節する。 本発明はまた、細胞における非内在性受容体を異所的に発現する方法を提供す る。この方法は、細胞シグナル受容体(この細胞に内在していない)をコードす るDNAでの形質転換のための細胞を選択することを含む。細胞シグナル受容体 は細胞に内在するシグナル形質導入経路を活性化できる。次いで、細胞は細胞シ グナル受容体をコードするDNAで形質転換され、そしてDNAは発現され、そ れによって細胞において細胞シグナル受容体を異所的に発現する。 本発明はインビボ細胞機能を調節する方法を提供する。この方法は、細胞シグ ナル受容体(この細胞に内在していない)をコードするDNAでの形質転換のた めの細胞を選択することを含む。細胞シグナル受容体は細胞に内在するシグナル 形質導入経路を活性化できる。次いで、細胞は細胞シグナル受容体をコードする DNAで形質転換され、そしてDNAは発現され、それによって細胞において細 胞シグナル受容体を異所的に発現する。次いで、インビボ細胞は非内在性細胞シ グナル受容体を活性化し得る細胞外分子に調整的にさらされ、そこで細胞シグナ ル受容体の活性化が、内在性シグナル形質導入経路によりコントロールされる細 胞機能を調節するように、内在性シグナル形質導入経路を活性にする。 形質転換されるインビボ細胞は、細胞機能をコントロールしたい適当な細胞で ある。コントロールは、細胞シグナル受容体(この細胞に内在していない)をコ ードするDNAで細胞を形質転換し、そして非内在性受容体を細胞の内在性シグ ナル形質導入経路に利用せしめることにより達成される。シグナル形質導入経路 により影響される細胞機能は、非内在性受容体の活性化をコントロールすること により(すなわち非内在性受容体のその細胞外シグナル分子に対する、コントロ ールされた接触により)コントロールされ得る。 本発明の主題は、本発明で利用し得る種々の受容体およびシグナル形質導入経 路について説明することにより、よく理解される。高等動物における細胞は何百 種類もの細胞外シグナル分子によって正常に連絡し合っている。この分子には、 タンパク質、小ポリペプチド、アミノ酸、ヌクレオチド、ステロイド、レチノイ ド、脂肪酸誘導体、さらに酸化窒素および一酸化炭素などの溶存気体も含まれる 。これらのシグナル分子は他の細胞(“ターゲット細胞”)に、一般的に細胞機能 に影響を与えながら、“シグナル”を取り継ぐ。本発明により、このような細胞 外シグナル分子はインビボ細胞に調整的に投与すなわち提供される。インビボ細 胞は、細胞により発現された非内在性受容体を通して細胞外シグナル分子を細胞 が認識するように、形質転換される。非内在性受容体は、細胞外シグナル分子に 特異的であって結合し、非内在性受容体の存在が、この非存在では認識できない であろう細胞外シグナル分子をインビボ細胞が認識するのを可能とする。次いで 細胞外シグナル分子との非内在性受容体の結合が形質転換細胞における応答を開 始する。本明細書では、細胞外シグナル分子についてのこれらの受容体を総括的 に“細胞シグナル受容体”と称する。 多くの細胞シグナル受容体は、形質転換細胞表面での透過膜タンパク質である 。これらが細胞外シグナル分子(リガンド)に結合しすると、細胞の行動を変化せ しめる細胞内シグナルのカスケードを生むように活性化される。本明細書ではこ れらの受容体を総括的に“細胞表面シグナル受容体”と称する。ある場合には受 容体は形質転換細胞の内部にあり、それを活性化するためにシグナルリガンドが 細胞内に入れねばならない。従って、これらのシグナル分子は、細胞の細胞質膜 を通過するのに充分小さく、かつ疎水性でなければならない。本明細書ではこれ ら の受容体を総括的に“細胞内細胞シグナル受容体”と称する。 細胞表面シグナル受容体は、用いられる形質導入メカニズムにより、一般に3 類がある。イオンチャネル連結受容体、グアニンヌクレオチド結合タンパク質連 結受容体および酵素連結受容体である。 イオンチャネル連結受容体は、伝達物質ゲート・イオンチャネルとしても知ら れ、電気的に興奮する細胞間の高速シナップシグナルに関与する。この型のシグ ナルは、神経伝達物質が結合する受容体タンパク質によって形成されるイオンチ ャネルを、一時的に開閉する伝達物質として知られる少数の細胞外シグナル分子 によって仲介される。イオンチャネル連結受容体は、相同の多パス透過膜タンパ ク質に属し、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびクロライド・イオンのイ オンチャネルを含む。 イオンチャネルは継続的には開いていない。その代わり、短時間開き、再び閉 じる“ゲート”を有している。多くの場合、ゲートは、リガンドの結合(リガン ドゲートチャネル)などの特異な刺激に対する応答で開く。リガンドは、細胞外 シグナル分子、特殊的には神経伝達物質(伝達物質ゲート・チャネル)か、イオ ン(イオン−ゲート・チャネル)またはヌクレオチド(ヌクレオチド−ゲート・ チャネル)などの細胞内分子かのいずれかである。 細胞表面シグナル受容体タンパク質の第2類はグアニンヌクレオチド結合タン パク質連結受容体である。この受容体はGタンパク質連結受容体としても知られ ている。この受容体は分離細胞質−膜結合ターゲットタンパク質(酵素またはイ オンチャネルであり得る)の活性を調節するために間接的に作用する。受容体と ターゲットタンパク質との相互作用は、トリメリックGTP結合・調節タンパク 質(Gタンパク質)と呼ばれる第3のタンパク質によって仲介される。ターゲット タンパク質の活性化は、1以上の細胞内仲介物の濃度を変えるか(ターゲットタ ンパク質が酵素であれば)、あるいは細胞質膜の透過性を変えるか(ターゲットタ ンパク質がイオンチャネルであれば)である。細胞内メディエーターは細胞内の 他のタンパク質の行動を変えるように順番に働く。すべてのGタンパク質連結受 容体は、相同の7−パス透過膜タンパク質の上位ファミリーに属している。 Gタンパク質連結受容体は細胞表面受容体で最も大きいファミリーである。哺 乳動物ですでに100以上のものが定義されている。Gタンパク質連結受容体は 、非常に大きい多種性のシグナル分子に対する細胞応答を仲介する。その分子に は、ホルモン、神経伝達物質および局所メディエーターがあり、これらは作用も 構造も相違している。さらにタンパク質、小ペプチド、アミノ酸、脂肪酸誘導体 も含まれる。同じリガンドが多くの相違するファミリー受容体を活性にできる。 少なくとも9種のGタンパク質連結受容体がアドレナリンで活性され、他の5以 上がアセチルコリンで、少なくとも15がセロトニンで活性化される。Gタンパ ク質連結受容体には、例えばα−アドレナリン性受容体、β−アドレナリン性受 容体、ドパミン性受容体、セロトニン性受容体、ムスカリン性コリン様受容体、 ペプチド作用性受容体およびチロトロピン放出ホルモン受容体が含まれる。 大部分のGタンパク質連結受容体は、1以上の小さい細胞内シグナル分子の濃 度を変える鎖を活性化する。これらの小分子は、しばしば細胞内メディエーター と称せられ(細胞内メッセンジャーあるいは第2メッセンジャーとも言う)、選 択した細胞タンパク質の行動を変えることによってシグナルを順次伝える。最も 広く用いられている細胞内メディエーターの2つは、サイクリックAMP(cA MP)およびCa2+である。濃度の変化はほとんどの動物細胞において明白な経 路によって刺激される。大部分のGタンパク質連絡受容体がその1またはいくつ かを調節する。 細胞表面受容体タンパク質の第3類は、酵素連結受容体であって、活性化され ると、酵素として直接的に、または酵素に関連して機能する。大部分はシングル ・パス透過膜タンパク質で、細胞の外側にリガンド結合部位と内側に触媒的部位 を有する。他の2つの類と比較すると、酵素連結受容体は、大部分はタンパク質 キナーゼであり、またはタンパク質キナーゼに関係しているが不均質で、ターゲ ット細胞におけるタンパク質の特異的部分はリン酸エステル化されている。 酵素連結受容体には5クラスが知られている。 (1)透過膜グアニリルシクラーゼで、サイクリックGMPを直接的に生成する 。 (2)受容体チロシン・ホスファターゼで、特異的タンパク質のホスホチロシン 側鎖からホスフェートを除去する、(3)透過膜受容体セリン/スレオニンキナ ーゼで、これはターゲットタンパク質上でセリンおよびスレオニンの側鎖にホス フェート基を加える;(4)受容体チロシンキナーゼ;および(5)チロシン−キナ ーゼ関連受容体。後2種の受容体ははるかに数が多く、同様に働くものと考えら れている。リガンド結合は受容体が二量体化するのを常に誘発し、それは受容体 またはその関連非受容体チロシンキナーゼのキナーゼ活性を活性化する。受容体 チロシンキナーゼは多チロシン残基上で自体を相互−リン酸エステル化し、それ は細胞内シグナルタンパク質の小さい組のためのドッキング部位として働く。こ のように、多タンパク質シグナル複合体はシグナルが細胞内部に拡がることから 活性化される。 これらの多数の型の細胞表面シグナル受容体に加えて、細胞シグナル化は細胞 内細胞シグナル受容体を通して達成される。上記したように、これらの受容体は ターゲット細胞内に存し、シグナルリガンドは受容体を活性化するために細胞に 入らなければならない。ステロイドホルモン、チロイドホルモン、レチノイドお よびビタミンDは、化学構造および機能の両方において非常に相違している小さ い疎水性分子の例である。それにもかかわらず、これらはすべて同様のメカニズ ムによって作用する。これらはターゲット細胞の細胞質膜にそって直接的に拡散 し、細胞内細胞シグナル受容体に結合する。リガンド結合は受容体を活性化し、 次いで特殊な遺伝子の転写を調節する。これらの受容体は構造的に関連し、細胞 内受容体の上位ファミリー(すなわちステロイドホルモン受容体上位ファミリー) を形成する。 ステロイドホルモン受容体には、プロジェステロン受容体、エストロジェン受 容体、アンドロジェン受容体、グルココルチコイド受容体およびミネラルコルチ コイド受容体が含まれる。甲状腺ホルモン受容体には、甲状腺刺激ホルモン受容 体が含まれる。レチノイド受容体には、レチノ酸の受容体が含まれる。 本発明の主題に従い、細胞は、細胞に内在しないこれら細胞シグナル受容体( 細胞表面シグナル受容体または細胞内細胞シグナル受容体であり得る)の1以上 をコードするDNAで形質転換される。 非内在性受容体は細胞に内在しないシグナル形質導入経路を活性化し得る。本 明細書で用いる“非内在性”受容体は、特定の細胞内/上(相互変換的に本明細 書で用いる)に通常は存在しない受容体である。従って、選択した生物体の他の 細胞内/上に受容体が存在するけれども、受容体は形質転換された細胞に非内在 性であり得る。例えば、心臓筋肉組織にのみ存在する受容体は、肝細胞において は“非内在性”受容体である。他方、本明細書で用いる“内在性”経路は形質転 換細胞に正常に存在するシグナル形質導入経路を意味する。同様に、ここで用い る“異所性”発現は、受容体が正常に存在していない特定の細胞内/中における 受容体の発現を意味する。他方“ユートピック”発現は、受容体が正常に存在し ている特定の組織内/上における受容体の発現である。 非内在性受容体をコードするDNAは形質転換細胞における内在性シグナル形 質導入経路を活性化し得る。シグナル形質導入経路は多数あり、例えばアデニレ ート・シクラーゼ経路、グアニレート・シクラーゼ経路、ホスホイノシトール代 謝回転経路、チロシンキナーゼ経路、イオンチャネル経路およびカルシウムイオ ン経路を含む。細胞内シグナル分子の細胞シグナル受容体への結合によってつく られる開始シグナルは、多様で相互作用的であるシグナル形質導入経路を通して 細胞内的に形質導入される。 シグナル形質導入経路は、cAMP、cGMP、アラキドン酸、イノシトール1 ,4,5−トリホスフェート(IP3)、Ca2+および第2メッセンジャーとしての他 のイオンを含み、酵素(アデニレートおよびグアニレートシクラーゼならびにホ スホリパーゼA2およびCなど)およびイオンチャネルによってつくられる。多く の場合、細胞外分子−受容体複合体はこれらの作用体と直接的に連動せず、中間 的仲介シグナル形質導入体、しばしばGタンパク質を通して作用する。 cAMPは原型的第2メッセンジャーである。cAMPの細胞内レベルは主にリ ガンド−受容体相互作用により決定される。この生理的事項は細胞質膜の近くに 位置する3種の細胞成分の相互作用である。それらは、リガンド受容体、シグナ ル形質導入体(Gタンパク質)および作用体酵素(アデニレートシクラーゼ)である 。 サイクリックAMPは、エピネフィリン、グルカゴン、ノルエピネフィリン、 パラチロイド、黄体化ホルモンならびにチロイド刺激およびメラノサイト刺激ホ ルモンを含む多くのホルモンの第2メッセンジャーである。サイクリックAMP は広範な細胞プロセスに作用する。すなわち脂肪分解の増化、グリコーゲン分解 、糖新生、ケトン体生成、上皮のイオン透過性、腎でのレニン産生、心筋収縮、 胃粘膜でのHCl分泌、耳下腺によるアミラーゼ放出、メラニン・グラニュール の拡散および膵臓によるインスリン放出、血小板凝固の低下および組織培養にお ける腫瘍細胞の生育である。 アデニルシクラーゼの活性化は細胞内でのサイクリックAMP量を増加せしめ る。次いでサイクリックAMPはタンパク質キナーゼを活性にし、1以上のタン パク質をリン酸エステル化する。例えば、筋肉および肝におけるグリコーゲン・ シンセターゼおよびホスホリラーゼ・キナーゼのリン酸エステル化は、グリコー ゲンの合成を低下し、分解を高める。表1に用いられる経路に従って種々のホル モン受容体と作用体を分類した。 いくつかの受容体は内因性ホルモン活性化チロシンキナーゼ活性を含む。 グアニレートシクラーゼは、アデニレートシクラーゼと同様に、GTPからの cGMPの形成に触媒として働く。しかしグアニレートシクラーゼは、可溶およ び膜関連形態の両方で細胞中に存在する。膜関連形態はホルモンおよび他のリガ ンドで調節される。チロシンキナーゼのように、そしてアデニレートシクラーゼ のようにではなく、グアニレートシクラーゼは受容体および作用体の機能に直接 的に働き得る。 多くのホルモンおよびリガンドは、カルシウムイオンおよび第2メッセンジャ ーとしのDAGを通して細胞作用を仲介する。第2メッセンジャーは、カルシウ ム結合−調節タンパク質(例えばカルモデュリン)により調節されるタンパク質キ ナーゼの活性を変調し、そしてDAGはタンパク質キナーゼCを活性化する。こ れらの酵素は特殊な細胞内タンパク質をリン酸エステル化し、さらにホルモン作 用をもたらす。特殊な組織におけるこのシグナル系を利用するホルモンの例とし ては、α−1−アドレナリンおよびムスカリンコリン性剤、バゾプレッシン、ヒ スタミン、コレシストキニン、LHRH、チロトロピン放出ホルモン、アンギオ テンシンIIおよびオキシトシンがある。 一般的に、ホスホイノシチド代謝回転を刺激する種々のホルモンリガンドは、 アデニレートシクラーゼについて記載したように、Gタンパク質を活性化する受 容体と相互作用する。これらの活性化Gタンパク質はホスホリパーゼC活性の刺 激にカップルする。 利用された経路に従い、多くの異なる細胞機能がそれらの種々の経路によって コントロールされる。多数のホルモン誘発細胞応答がサイクリックAMPにより 仲介される。それには、甲状腺において甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺 ホルモン合成および分泌の誘発する;副腎皮質において副腎皮質刺激ホルモンが 皮質分泌を誘発する;卵巣において黄体ホルモン(LH)がプロゲステロ分泌を誘 発する;筋肉においてアドレナリンがグリコーゲン分解を誘発する;骨においてパ ラトホルモンが骨吸収を誘発する;心臓においてアドレナリンが心博の増加と収 縮の強化をなす;肝においてグルカゴンがグリコーゲンの分解を誘発する。腎臓 においてバゾプレッシンが水吸収を誘発する;脂肪においてアドレナリン、AC THグリカゴンおよびTSHがトリグリセライド分解を誘発する。 多数の細胞応答がイノシトールホスホリピドシグナル経路にカップルしたGタ ンパク質連結受容体によって仲介される。それには、肝臓においてシグナル分子 バゾプレシンがグリコーゲン分解を誘発する;膵臓においてシグナル分子アセチ ルコリンがアミラーゼ分泌を誘発する;平滑筋においてシグナル分子アセチルコ リンが収縮を誘発する;マスト細胞においてシグナル分子として抗原がヒスタミ ン分泌を誘発するのに機能する;血小板においてシグナル分子トロンビンが凝固 を誘発することを含む。 これらの種々の細胞機能は、1以上の内在性シグナル形質導入経路を活性化で きる非内在性細胞シグナル受容体をコードするDNAで細胞を形質転換すること によりコントロールされ得る。 細胞シグナルの一般的事項については引用文献を参照(37−42)。 非内在性受容体および内在性シグナル形質導入経路を選択することに加えて、 細胞を形質転換する方法も選択されねばならない。種々の方法が知られている。 第一の方法の一つはミクロインジェクションで、細いガラス針を通して細胞核中 に直接、DNAが注入される。これは細胞当りでは効率的な方法である。すなわ ち、注入された細胞の多くがDNAを取得するが、1実験で数百細胞しか注入し 得ない。 DNAを細胞に大量に導入する初期の方法は、陽電位の化学基(DEAE、ジ メチルアミノエチルについて)をカップルさせておいた不活性カルボキシレート ・ポリマー(デキストラン)でDNAをインキュベートすることであった。DNA は陰電位のホスフェート基を通してDEAE−デキストランに接着する。一方、 大きいDNA含有粒子は、細胞表面に接着し、エンドサイト−シスとして知られ る過程によって細胞に取りこまれると考えられている。いくつかのDNAは細胞 質における分解を免がれ、核にのがれて、そこで細胞中の他の遺伝子と同様にR NAに転写される。 DEAE−デキストラン法は、比較的簡単であるが、多くの型の細胞にとって 非常に効率が悪く、精製DNA製造の生物活性を日常的に検定する方法としては 信頼できるものでなかった。その後に哺乳動物細胞の研究者にとって遺伝子移転 を日常的なものにした画期的なことは、細胞がDNAをメルシウムホスフェート との沈澱の形態で効率的に取りこむことの発見であった。この新しい方法におい て、ウイルスDNAでトラスフェクトされた細胞からのウイルスの収量はDEA E−デストラン法より100倍も大きかった。 組換えDNA分子を有する細胞を同定するために、生物マーカーが用いられる 。微生物において、それは一般的な薬剤耐性遺伝子である。薬剤耐性は、クロー ンDNAを取りこんだ細菌を、取りこんでない細菌の非常に数の大きい集団から 選択するのに用いられる。ウイルス遺伝子を含む哺乳動物遺伝子転移の初期の実 験では、外因性DNAの細胞への転移はDNAが生物活性を有することで検出さ れ、これはトランスフェクトされた細胞の生長特性における感染ウイルスの産生 または安定的変化をもたらした。次いでDNA腫瘍ウイルス、単純ヘルペスウイ ルス (HSV)が酵素チミジンキナーゼをコードする遺伝子(tk遺伝子)を含むことが発 見された。HSVtk遺伝子は、細菌における薬剤耐性遺伝子の作用と同じように 、哺乳動物における選択され得る遺伝子マーカーとして用いられ、いかなるDN Aをも取りこんでいない大集団から稀トランスフェクト細胞を生育するのを可能 とする。細胞は選択的生有培地に移され、そこでは機能的tk遺伝子(および望む 移転DNA)を取りこんだ細胞のみが生長できる。種々の優越的な選択マーカー が現在、知られている。それには: アミノグリコシド、ホスホトランスフェラーゼ(APH)、タンパク質合成を阻 害する選択のための薬剤G418を用いる;APHインアクチベータG418; ジヒドロフォレート・リダクターゼ(DHFR):Mtx−耐性変種;DHFRを阻 害する選択のための薬剤メトトレキセート(Mtx)を用いる;変種DHFRはMtx に耐性である; ヒグロマイシン−β−ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、タンパク質合成を 阻害する薬剤ヒグロマイシン−βを用いる;HPHインアクチベーターヒグロマ イシンβ; チミジンキナーゼ(TK)、ノボプリンおよびチミジレート合成を阻害する薬剤 アミノプテリンを用いる;TKはチミジレートを合成する; キサンチン−グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)、ノ ボGMP合成を阻害する薬剤ミコフェノール酸を用いる;XGPRTはキサンチ ンからGMPを合成する; アデノシンデアミラーゼ(ADA)、DNAに障害を与える薬剤9−β−D−キ シロフラノシルアデニン(Xyl−A)を用いる;ADAはXyl−Aを不活性する。 遺伝子増幅もトランスフェクト遺伝子の発現の高いレベルを得るために利用さ れる。細胞培養をMtx、必須の代謝酵素の阻害剤、DHFRで処理すると、ほと んどの細胞は死滅するが、最後にある種のMtx耐性細胞が生育する。細胞中で発 現されるべき遺伝子は、クローン化dhfr遺伝子でコントランスフェクトされ、ト ランスフェクトされた細胞は低濃度のMtxでの選択に供せられる。dhfr遺伝子( および多くの場合、コントランスフェクト遺伝子)を取り込んだ耐性細胞が増殖 す る。徐々に生有培地でのMtx濃度を増加すると、連結DNAと共に進行的にdhfr 遺伝子を増幅した細胞集団が生成する。このプロセスに数カ月かかるが、最も高 濃度のMtxで生有し得る細胞培養は、100倍以上にdhfr遺伝子を含有のDNA を安定的に増幅し、コントランスフェクト遺伝子の発現を顕著に上昇する。 カルシウムホスフェート共沈澱はDNAを哺乳動物細胞に導入するのに最も広 く用いられている方法であるが、ある細胞においては役立たない。懸濁液中で生 有するリンパ球などの細胞はカルシウムホスフェート共沈澱によるトランスフェ クトに特に耐性である。 他の方法、エレクトロポレーションにおいて、細胞はDNA含有の溶液に入れ られて、一時的に膜に穴を開ける短い電気博動にかけられる。DNAはその穴を 通って直接に細胞質に入り、DEAE−デキストランおよびカルシウムホスフェ ート法においてDNAが通るエンドサイトテック小胞(小胞を通る経路は時にD NAを破壊したり、傷つけたりする)をバイパスとする。DNAは人工的なリピ ド小胞、リポソームに合体されて細胞膜に融合して、その内容物を直接に細胞質 に運ぶ。ミクロインジェクションは、DNAを細胞に入れる最も確実な方法であ り、コンピュータ付の機器で現在実施され、1実験で注入できる細胞の数は10 倍以上となった。より直接なアプローチにおいて、植物の細胞および組織に最初 に用いると、DNAはタングステンミクロ放射体の表面に吸収されて、ショット ガンのような器具で細胞中に打ちこまれる。 これらの方法のいくつか、ミクロインジェクション、エレクトロポレーション およびリポソーム溶融は、タンパク質を細胞中に導入するのに用いられている。 総説としては、引用文献(47−50)を参照のこと。 トランスフェクションにより導入された裸のDNAは培養基において細胞の半 分まで一時的に発現されるが、よりしばしば一時的にトランスフェクトされた細 胞の部分は非常に低い。実際、ある種の細胞は、上記の人的方法によるトランス フェクションに対してほとんど完全に対応しない。組換えDNA技術の多くの適 用が外遺伝子(すなわち非内在性受容体)の反抗的なタイプの細胞への導入するを 必要としている。可能性の大きい遺伝子治療は、例えば遺伝子を正常なヒト細胞 に転移する効率的な手段を必要としている。 この問題を解決するために、研究者達の目はウイルスにもどっている。ウイル スの生長はウイルスゲノムを細胞に入れる能力に依存しており、ウイルスはそれ をなすための賢く効率的な方法を創造してきた。最も初期のウイルスベクターは 、サル腫瘍ウイルスSV40に基づくもので、外部遺伝子でウイルス遺伝子を簡 単に置きかえることができた。これらの組換分子は、細菌プラスミドとしてつく られ、失なわれているウイルス遺伝子を満たす第2プラスミドでサル細胞中にト ランスフェクトされた。細胞内部では、2つのプラスミドからのつくられたウイ ルス遺伝子産物がプラスミドとパッケイジの両方をウイルス粒子中に複製するた めに共同作業をする。細胞から出てくるウイルスストックは2ウイルスの混合物 であり、その各々は欠損ウイルス(すなわち、自分自体を複製できない、それに 要するウイルス遺伝子を欠いている)である。しかし、このウイルスストックは 新しい細胞の感染に用いられて、受容体細胞における外部遺伝子を効率的に導入 および発現する。 DNAを細胞中にトランスフェクトするのに用いるハイブリド方法および内部 でそれを複製するためのウイルスタンパク質がクローン遺伝子からタンパク質の 高レベル産生のために普通に用いられる。この手法は、SV40ゲノムの安定な 組み込み部分を有する細胞系、COS細胞を用いる。これらの細胞はウイルスT 抗原タンパク質を産生し、これは、複製源と名付けられるDNA配列と結合する ことでウイルスDNAの複製を開始する。発現されるべき外部遺伝子は複製SV 40源を有するプラスミドにクローンされる。COS細胞へのトランスフェクシ ョン後、プラスミドは、外部遺伝子の発現レベルを増加して、非常な多数に複製 される。 SV40を基とするウイルスベクターの使用はいくつかの理由により利用が限 定される。それは、ベクターがサル細胞にしか感染しない、挿入できる外部遺伝 子のサイズが小さい、およびゲノムがしばしば再編または消失することである。 他のウイルスベクターが現在は普通に用いられる。その理由は、広範な細胞に感 染することおよび広範な外部遺伝子を受け入れることによる。ワクシニアウイル スは、細胞質中で完全に複製する大きいDNA含有ウィルスである。初期に、ワ クシニアウイルスは外部遺伝子をウイルスゲノムの非必須的領域に直接的組み入 れた。組み換えウイルスは生育でき、感染時に隣接のウイルスプロモーターから 外部遺伝子を転写する。ウイルスゲノムが大きいので(185,000bp)、外部 遺伝子はワクシニアに標準的な組換え方法では挿入できない。その代りに、細胞 内部での組換えがなされねばならず、厄介で長くかかる手法である。さらに用途 の広いワクシニア発現系がバクテリオファージRNAポリメラーゼを発現するレ ディメイド組換体を利用する。発現されるべき遺伝子はバクテリオファージ、プ ロモーターを有するプラスミド中に簡単にクローン化される。プラスミドは、R NAポリメラーゼを発現するワクシニアウイルスで前に感染された細胞中にトラ ンスフェクトされる。プラスミド上の遺伝子はバクテリオファージ・ポリメラー ゼによって効率的に転写され、細胞中のRNAの30%にまでなる。ワクシニア ウイルス感染の他の特徴は、ウイルスmRNA(およびプラスミドからのmRNA) がタンパク質に優先的に翻訳されるように、ウイルスが宿主細胞タンパク質合成 をしめ出すことである。 タンパク質産生に広く用いられている他のウイルスは昆虫ウイルスのバキュロ ウイルスである。バキュロウイルスは、感染中にその構造タンパク質の一つ(コ ートタンパク質)を非常に高いレベルで産生することから、研究者達の注目を集 めた。外部遺伝子がこのウイルス遺伝子に代るときは、高レベルで産生されなけ ればならない。バキュロウイルスは、ワクシニアのように非常に大きく、従って 外部遺伝子は組換えによりウイルスゲノムに置かれねばならない。バキュロウイ ルスにおいて外部遺伝子を発現するために、少量のウイルスゲノムを有するプラ スミドにおいてウイルスコートタンパク質遺伝子に代えて、望む遺伝子をクロー ンする。組換えプラスミドは野生型バキュロウイルスDNAで昆虫細胞中にコト ランスフェクトする。低い頻度で、プラスミドとウイルスDNAは均一配列を通 して組み換わり、外部遺伝子のウイルスゲノムへの挿入をもたらす。ウイルスプ ラークが生育し、組換えウイルス含有プラクはコートタンパク質を欠くので、相 違してみえる。組換えウイルス含有プラクは取り出され、次いで拡大される。こ のウイルスストックは昆虫細胞の新しい培養組織を感染するのに用いられ、外部 タンパク質の高発現をもたらす。バキュロウイルスベクターについての総説は引 用文献を参照(51)。 上記のウイルスはすべて細胞溶解性ウイルスであり、細胞に入り、転換し、大 量に複製し、とり出され、プロセス中に細胞を殺す。これらのベクターは遺伝子 を細胞中に安定な状態で導入するのに用いることはできない。これはレトロウイ ルスで最もなされる。レトロウイルスは、細胞溶解性ウイルスとはまったく異な るライフサイクルを有するRNAウイルスである。細胞に感染すると、そのRN AゲノムがDNA形態に転換される(ウイルス逆転写酵素により)。ウイルスDN Aは効率的に宿主ゲノムに組み込まれ、そこに住みついて、各細胞分裂時に宿主 DNAと共に複製される。この組み込まれたプロウイルスは、(長末端反復すな わちLTRと呼ばれる配列において)ゲノムの末端に位置する強力なプロモータ からウイルスRNAを着実に産生する。このウイルスRNAは、ウイルスタンパ ク質の産生のためのmRNAとして、および新ウイルスのゲノムRNAとしての 両方に働く。ウイルスは細胞膜に集まり、通常細胞の健康にほとんど作用しない でそこから発育する。このように、レトロウイルスゲノムは宿主細胞ゲノムの永 久的部分となり、レトロウイルスに入れられた外部遺伝子は細胞内で永続的に発 現する。 このように、レトロウイルスは細胞中で永久的に外部遺伝子を発現できるので 魅力的なベクターである。さらにレトロウイルスは哺乳動物細胞のすべての型に 実際上感染し得るので例外的に広範な働きをする。その用途の広さからレトロウ イルスは遺伝子治療に選択されるベクターでもある。レトロウイルスベクターの 設計および利用において、ベクターは発現すべき外部遺伝子と共に選択できるマ ーカーを常に含有している。大部分のウイルスの構造的遺伝子はgoneであり、こ れらのベクターはそれ自体にウイルスとして複製しない。ウイルスストックをつ くるために、クローン化プロウイルスDNAは封入細胞中にトランスフェクトさ れる。これらの細胞はすべての不活性遺伝子で組みこまれたプロウイルスを含有 するが、封入機器で認識される発現を欠く。封入プロウイルスは、ウイルスRN Aを感染ウイルス粒子に封入するのに要するすべてのタンパク質を産生するが、 それ自体のRNAを封入することができない。代りに、トラスフェクトウイルス から転写されたRNAは、感染ウイルス粒子中に封入されて細胞から放出される 。得たウイルスストックは、野生型複製能ウイルスを欠くことからヘルパーフリ ーと称せられる。このウイルスストックはターゲット細胞培養を感染さすのに用 いられる。組換えゲノムは効率的に導入されて、DNAに逆転写され(封入細胞 によってウイルス中に置かれた逆転写酵素により)、次いでゲノム中に組み入れ られる。こうして、細胞は新しい生育的に導入された遺伝子を発現するが、組換 えウイルスゲノムが必要なウイルス遺伝子を欠いているので、いかなるウイルス も産生することはない。レトロウイルスベクターの総説として、引用文献(52 、53)を参照。 他のウイルスベクターはBerkner K.L.(54)に総説されているアデノ ウイルスである。また他のウイルスベクターとしてヘルペスウイルスもある。 細胞を形質転換するこれらの方法のいくつかは、中間プラスミドベクターの使 用を必要とする。CohenおよびBoyerのUSP4,237,224に、制限酵素解 裂およびDNAリガーゼでの連結反応を用いて、組換えプラスミドの形態での発 現系をつくることが記載されている。これらの組換えプラスミドは、形質転換の 手段によって製造され、組織培養中での生育した原核生物および真核細胞を含む 単細胞培養中で複製される。DNA発現はプラスミドベクター中に、Maniatis et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Sprin gs Laboratory,Cold Springs Harbor,New York(1982)記載のよう に従来技術である標準クローニング法によってクローン化される。 望む外部遺伝子(すなわち非内在性受容体)含有の形質転換細胞は、遺伝子治療 の目的に使用される。細胞はインビトロで形質転換されて、多細胞生物体に再挿 入されるか、あるいは細胞がインビボで形質転換されるかできることに注意。レ トロウイルスがベクターとして働いて遺伝子を細胞に運ぶのと同じように、細胞 は、遺伝子を患者体中に運ぶベクターとみることができる。 形質転換に適した細胞および遺伝子治療への利用は、容易に得られるもので、 培養中でよく生育し、例えばレトロウイルスやアデノウイルス感染に関連する種 々の手法に適合し得るものでなければならない。インビトロ形質転換については 、ベクター細胞は、形質転換後に患者に容易にもどすことができ、長い間、望ま しくは患者の生きている間、生き続けられるべきである。遺伝子治療については Friedmann(55),Verma(56),Anderson(62)and Mulligan(63)参照。 骨髄細胞は多くの望ましい特質を有している。骨髄細胞は造血系のすべての細 胞を生み出す幹細胞を含有している。これらの幹細胞の感染は治療遺伝子含有の 細胞の継続的供給をもたらす。さらに、患者および実験動物の骨髄を再構成する 技法はよく行なわれる。造血幹細胞中に導入された遺伝子が発現すること、およ びそれが治療効果を生じること明らかにする根拠は、ミュータント・ジヒドロフ ォレート・レダクターゼ遺伝子(DHFR)での実験に由来する。参照、Corey et al(57)。 遺伝子移転の担体としてよく研究されている他の型の細胞は、皮膚線維芽細胞 である。線維芽細胞は容易に入手でき、培養でよく生育し、多くの実験に用いら れている。皮膚線維芽細胞はレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターで 効率よく感染せしめ得る。参照Palmer et al.(58)。 遺伝子治療の他の標的組織は肝である。多数の遺伝的代謝障害が肝に影響を与 え、肝移植においてこのことおよび高コレステロール血症や血友病などの他の状 態を処置するために努力がなされて来た。肝細胞を分離し、培養する技術は開発 されており、ウイルス仲介遺伝子移植のために適当なターゲット細胞が利用でき る。参照Anderson et al.(59)。 患者に遺伝子を運ぶための細胞を基とする系での合併症を避ける一つの方法は 、ウイルスベクターをターゲット細胞に直接的運ぶことである。この技法は、レ トロウイルスベクターを用いて血管の内皮細胞を感染さす効率的な方法が示され ている。参照Nabel et al(60)およびNabel et al(61)。 上記したように、本発明によって形質転換されるべき適当な細胞は、例えば肝 細胞であって、その中でグリコーゲン分解をコントロールしようとする。これは 、非内在性細胞シグナル受容体(すなわち肝細胞に通常は存在しない)をコードす る DNAで肝細胞を形質転換することにより達成され、そこで肝細胞に内在する( すなわち細胞に普通に存在する)シグナル形質導入経路を受容体が活性化し得る 。非内在性受容体は、細胞におけるグリコーゲン分解を適合シグナル形質導入経 路が調節するように選ばれる。肝細胞の例では、肝細胞内のcAMP経路および ホスホイノシチド経路がグリコーゲン分解を調節し、チロトロピン放出ホルモン 受容体(肝細胞に内在しない受容体)をコードするDNAが肝細胞中に形質転換さ れて、この2内在性経路を活性化し、それにより経路のコントロール可能な活性 化(非内在性受容体に結合し得る細胞外分子を導入すること、およびそれで内在 性経路を刺激することによって)を提供する。 肝細胞は本発明によるインビボ細胞に適する1例である。他の細胞、肺気道の 細胞なども等しく形質転換し得る。これらの細胞は、肺気道の内在性サイクリッ クAMPシグナル形質導入経路を利用し得る甲状腺刺激ホルモン受容体で形質転 換し得る。甲状腺刺激ホルモン受容体を活性化し得る細胞内分子は、(細胞機能 を正常にコントロールするためにcAMP経路を利用する)アドレナリン性アン タゴニストおよび気管支拡張剤がなすように同じ細胞機能をコントロールするで あろう。 多数の他の適当な細胞が当業者に明らかであろう。 特定の例として、肝細胞を形質転換するためにアデノウイルスを基とするベク ターが用いられる。アデノウイルスを基とするベクターは多くの哺乳動物のもの を発現するのに成功しているが、インビボ細胞シグナル受容体を異所的に発現す るのは用いられない。下記の例からして、特殊な細胞型の機能がアゴニストによ り無傷の動物において調節され、このアゴニストの受容体がアデノウイルス仲介 遺伝子移転により発現されたときに、このアゴニストはこの細胞型における機能 に常に影響することはない(なぜなら、細胞がこのアゴニストの受容体を内在的 に発現しないから)。これは発現非内在性受容体が内在性シグナル形質導入経路 にカップルし、それによって細胞機能を調節することによる。 下記するように、神経ホルモン、チロトロピン放出ホルモン(TRH)は無傷 ラットの肝でアデノウイルス仲介遺伝子移転によって発現される。これらのラッ トに投与されたとき(非感染ラットにもnullウイルスで感染したラットにも 投与されない)、TRHは血糖を上昇する。この血糖の上昇は、バゾプレッシン をラットに投与したときに観察されるのと同じである。なぜなら、肝細胞は、T RH受容体と同じシグナル形質導入系を通してシグナルするバゾブレッシンの受 容体を内在的に発現するからである。この仕方によって、いかなる細胞タイプで も内在的に発現する受容体がその細胞の機能をコントロールするようにつくられ る。 本発明は重要な医療上の適用を有する。この適用には、病的組織および病気プ ロセスにより影響されない組織における受容体発現でもって、生命を脅かす疾患 の一時的な緩解を含む。病的組織での適用の例は、慢性閉塞性肺疾患または激し い再発性喘息の患者における気管支拡張応答を、サイクリックAMPの上昇を通 して(アドレナリン性アゴニストおよび気管支拡張剤に用いられるのと同じ経路 )仲介するために、肺気道における甲状腺刺激ホルモンの受容体を発現すること である。望む応答を仲介するために1以上の受容体を用いる治療上の利点は、多 くの薬剤の効率が繰り返し投与において、受容体の脱感作によって常におきる過 耐性と呼ばれるプロセスを低下せしめる。異なる時に異なる受容体を活性化する ことによって、良い治療上の応答を知ることができる。例えば、下記したように 激しい気管支の収縮に悩む患者においては、アドレナリン性アゴニストを慢性的 に用いていたときには、アドレナリン性アゴニストに対する応答よりも甲状腺刺 激ホルモンに対してよい応答であると予測できる。 他の適用は、健康な臓器における生理的機能の調節が疾病プロセスの効果に対 抗して調和をとるような疾患の処置である。この例は下記の実施例に示されるが 、血糖が肝のTRH受容体の異所性発現の後にTRHによって上昇する。このア プローチは、処理不能のインスリン分泌腫瘍(膵細胞腫)を持つ重い低血糖症の 患者に、正常血糖を長期間保つように、用いられる。このような患者において、 cAMP形質導入システムを通してシグナルする非内在性受容体、例えば甲状腺 刺激ホルモンを異所的に発現するのが好ましい。ヒト肝でのグリコーゲン分解は 、この経路によって、TRH受容体がカップルするホスホイノシチド経路よりも 効 果的に調節される。天然のペプチド・アゴニストよりも非ペプチドアゴニスト剤 を用いるのがよく、受容体活性化が経口投与で達成されることは重要である。 肝でのグリコーゲン分解による血糖の維持は、cAMPまたはホスホイノシチ ドシグナル形質導入経路を活性化するために、肝細胞上の特殊な受容体を引き起 こすグルカゴンおよびバゾプレシンなどの細胞外調節分子によって正常に開始さ れる。本発明は、ラット肝インビボで非内在性マウス下垂体チロトロピン放出ホ ルモン受容体(TRH−R)cDNAを異所的に発現するために、アデノウイル スベクターを用いてグリコーゲン分解の正常なリガンド受容体調節体がバイパス されることを明らかにする。異所的に発現されたTRH−Rはホスホイノシチド 経路に連結し、肝生理に正常には関連しない細胞外リガンド、TRHでグリコー ゲン分解を活性化する手段を提供する。TRHがこれらの動物に投与されたとき に、ホスホイノシチド経路が活性化されて、血糖が持続的に上昇することになる 。 相違する細胞において特殊なシグナル形質導入経路の活性化がシグナル形質導 入経路を正常に活性化するリガンドまたは受容体に独立的な細胞特異的応答を引 き起こすので(8、9)、本発明は、正常な細胞外調節分子およびその特殊な内 在性受容体を関連内在性シグナル形質導入経路を引き起こすために、代替のリガ ンドおよび非内在性受容体を用いて、迂回すべきであるような異常を治療するア プローチを提供する。かかる戦略は、特殊なシグナル形質導入経路の再構築コン トロールにより細胞外調節分子またはその特殊な内在性受容体の異常を正すため に、また、疾患状態の特殊な生理機能を調整するために用いられる。 本発明は、正常には発現しない天然の受容体を臓器細胞中で異所的に発現せし める遺伝子移転ベクターを用いて(非内在性受容体)、特殊なシグナル形質導入 経路を引き起こす手段を提供することによりインビボで細胞の相違する機能を特 異的にコントロールする新しい戦略を提供する。発現受容体は、その天然シグナ ル形質導入経路に連結し、この受容体に関連するリガンドによって、ターゲット 細胞中で引き起こされる特異的応答を可能とする。インビトロ・データについて は、引用を参照のこと(10−12)。 下記の例において、アデノウイルス仲介移転後のチロトロピン放出ホルモン( T RH)の全身投与およびインビボ肝細胞でのチロトロピン放出ホルモン受容体( TRH−R)の異所性発現を示す。TRH−Rは、下垂体前方で正常に発現され 、肝細胞では発現されないセブン透過膜スパニング受容体である(13)。下垂 体におけるTRH−RsがTRHにより刺激されると、TRH−Rは、グアニン ヌクレオチド結合タンパク質を通して、ホスホイノシチド−カルシウム−タンパ ク質キナーゼC形質導入経路を引き起こし、次いで下垂体が甲状腺刺激ホルモン (TSH)を放出する(2、13、14)。一方、肝細胞におけるホスホイノシ チド経路が引き起こされると(例えば、バゾプレシンで)、TSH放出を生じな いで、グリコーゲンを分解し、グルコースの循環中への放出をもたらす(5)。 本発明は、発現受容体の肝細胞ホスホイノシチド経路との連結でインビボ肝細 胞におけるTRH−R cDNAの転移と発現を提供する。従って、肝において TRH受容体を発現する動物にTRHを全身的に投与することは、肝細胞でのホ スホイノシチド経路を引き起こし、血糖を上昇する。 実施例1 AdCMV.mTRH−Rの構築 親プラスミドpAdCMV.mTRH−Rは、マウスTRH−R cDNAのタ ンパク質暗号化領域、プラスミドpBSmTRHR(43)のヌクレオチド23 3−1462を含む1.2kbのEcoRI−NotI断片を、EcoRI−B amHI部位におけるプラスミドpGEM2−L3−114へ挿入することによ り構築された。EcoRIで消化し、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を用 いて平滑DNA末端を形成させた後、HindIIIリンカーをライゲーションし 、マウスTRH−R cDNAおよびアデノウイルスE2ポリ(A)シグナル配 列を含む1.4kbのHindIII断片を単離し、アデノウイルスの左端複製およ びパッケージング成分、サイトメガロウイルス−1プロモーターおよびプラスミ ドpML−IS Cat(44)からのスプライシング成分を含むpAdCMV −HS−ベクターのHindIII部位へ挿入した。制限部位地図作製によりプラ スミドを証明し、pAdCMV.mTRH−RをCOS−1細胞へ一時的トラン スフェクションしてTRH−R発現を立証した後、タントラヴァヒらによる記載 (45)に従いオーバーラップ組換えによりウイルスAdCMV.mTRH−R を構築した。トランスフェクションは全て、グラハムらの方法(46)に従いア デノウイルス5型のE1領域により形質転換されたヒト胚腎臓細胞において行わ れた。プラーク精製後、タントラヴァヒらによる記載(45)に従い懸濁液培養 中293細胞においてウイルスを培養した。アデノウイルスE1a遺伝子をコー ドする全配列を、5´1.8kbのE1b遺伝子と同様に除去した。pAdCM V.mTRH−Rをアデノウイルスの大断片(3.8−100地図単位)と共に2 93細胞へ同時トランスフェクションすることにより、組換えウイルスAdCM VmTRHRが製造された。 pAdCMV.mTRH−Rと称する組換えプラスミドおよびAdCMV.mT RH−Rと称するアデノウイルスベクターの構築は、ガーシェンゴーンら(10 )およびファルク-ペーダーゼンら(30)により詳述されている。 実施例2 AdCMV.mTRH−RがマウスTRH−R cDNAを転移し、ラット肝細 胞で発現させ得ることを、まずインビトロで立証した。複製欠失組換えアデノウ イルスベクターは、アデノウイルス5型に基づく全E1a-、部分E1b-、部分 E3-であり、そこでは組換え遺伝子の発現を推進するプロモーターを含む発現 カセットがE1欠失部位に挿入されている。AdCMV.mTRH−Rは、サイ トメガロウイルス初期中間プロモーター/エンハンサー(CMV)、次いでマウ スチロトロピン放出ホルモン受容体(TRH−R)cDNA(30)を伴う発現 カセットを含む。AdCMV.βgalは、CMVプロモーターおよびエシェリ ヒア・コリLacZ遺伝子を運ぶ[β−ガラクトシダーゼ(βgal)をコード 化する](31)。以前に記載されている要領で(32、33)、アデノウイル スベクターを製造し、精製し、滴定した。250−300g雄スプラーグ-ドー リーラット(19)から確立された一次肝細胞培養物を、様々な感染多重度(感 染多重度(moi)、1、10、50、100)のAdCMV.mTRH−Rに 暴露した。非感染細胞およびAdCMV.βgal(感染多重度50)に感染し た細胞を対照として用いた。 図1のノーザン分析で示されているように、マウスTRH−R cDNAプロ ーブ(欄1-6)または陽性対照としてヒトγ−アクチンcDNAプローブ(欄 7-12)を用いるベクターとのインキュベーションの24時間後に、一次肝細 胞からのRNA(10μg/欄)を評価した。転写物の大きさは示されている。 肝細胞をAdCMV.mTRH−Rとインキュベーションすることにより、TR H−R mRNA転写物が用量依存的に発現された(図1、欄3−6参照)。対 照的に、非感染または対照ベクターAdCMV.βgalにより感染した肝細胞 は、TRH−R mRNA転写物を全く示さなかったが(図1、欄1および2参 照)、対照γ−アクチンmRNA転写物はどの試料においても類似していた(図 1、欄7−12参照)。 図2は、TRH−R cDNAのアデノウイルス伝達インビトロ転移後のメチ ル−チロトロピン放出ホルモン(メチル−TRH)と肝細胞との結合を説明して いる。予備試験は、メチル−TRH結合が3.18±0.39ナノモルのKdを有 することを証明していた。これに基づき、1ナノモルのメチル−TRHを結合性 試験に使用した。ベクターAdCMV.βgalまたはAdCMV.mTRH−R と24時間インキュベーション後、肝細胞(106/ウェル)を、[3H]メチル −TRH(82.5Ci/ミリモル、ニューイングランド・ヌクリアー-デュポン 、ボストン、マサチューセッツ)または[3H]メチル−TRH+過剰の非標識 メチル−TRH(シグマ、セントルイス、ミズーリ)と60分間インキュベーシ ョンした。培地を吸引し、細胞を2ml(4℃)ハンクス平衡塩溶液で5回洗浄 することにより、遊離リガンドを除去した。1mlの0.4N NaOHで細胞を 溶解し、計数することにより、細胞性放射能を測定した。[3H]メチル−TR Hの特異結合を次の要領で計算した:[([3H]メチル−TRHのdpm)− (非標識メチル−TRHの存在下における[3H]メチル−TRHのdpm)] (34)。各用量のベクターについて、2種の異なる動物からの肝細胞で3回全 く同じ測定を行った。リガンド対受容体の1対1化学量論およびTRH−Rの均 一分布を仮定してTRH−R受容体部位の数を計算した。標識メチル−TRH[ 親和力がTRHより高い類似体(15)]を加えると、メチル−TRHの特異結 合が立証され、結合量は肝細胞の感染に使用されたAdCMV.mTRH−Rの 用量に依存していた(図2参照)。対照的に、非感染または対照ベクターAdC MV.βgalにより感染した肝細胞を分析しても、メチル−TRHの特異結合 は全く示されなかった(図2参照)。メチル−TRHの結合部位数を定量すると 、5.7×105部位/細胞で、Kdが3.18±0.39ナノモルであることが 立証された(AdCMV.mTRH−R 50moi)。AdCMV.mTRH− Rにより感染した肝細胞にメチル−TRHを加えた後、リガンド−受容体複合体 をインターナリゼーションした(図示せず)。 図3は、TRH−R cDNAのアデノウイルス伝達インビトロ転移後の肝細 胞におけるイノシトールホスフェート形成のTRH刺激を示している。一次肝細 胞をベクターAdCMV.βgalまたはAdCMV.mTRH−Rに暴露した。 24時間後、細胞を24時間ミオ−[3H]イノシトール(ミオ−[2−3H]イ ノシトール、20Ci/ミリモル、アマーシャム・コーポレーション、アーリン トン・ハイツ、イリノイ)により標識し、10ミリモルのLiCiとインキュベ ーション(5分、37℃)し、メチル−TRHで刺激を加えた(60分、37℃) 。次いで細胞を溶解し、アニオン交換クロマトグラフィーによりイノシトールホ スフェートを分離し、放射能を計数した。イノシトールホスフェート形成の比刺 激を次の要領で算出した:(イノシトールホスフェートにおけるdpm×100 /刺激細胞の脂質におけるdpm)−(イノシトールホスフェートにおけるdp m×100/非刺激細胞の脂質におけるdpm)(35)。各用量のベクターに ついて、2種の異なる動物からの肝細胞で3回全く同じ測定を行った。 AdCMV.mTRH−R感染肝細胞におけるTRHによるホスホイノシチド 経路の特異的活性化の直接的証拠は、AdCMV.mTRH−Rにより感染し、 メチル−TRHにより刺激された肝細胞においてイノシトールホスフェートの量 が増加したことの証明であった(図3参照)。重要なことに、イノシトールホス フェートの増加は、細胞の感染に使用されたAdCMV.mTRH−Rの用量に 依存していたが、非感染肝細胞および対照ベクターAdCMV.βgalにより 感染した肝細胞は、メチル−TRHとのインキュベーション時にイノシトールホ スフェートの増加を示さなかった。 実施例3 インビトロでの観察によると、AdCMV.mTRH−RベクターがTRH− R cDNAをインビボでラット肝臓に効果的に転移した結果、肝細胞において 機能的TRH−Rの異所性発現がみられた。これを達成するため、AdCMV. mTRH−Rを動物に静脈内投与したが、複製欠失アデノウイルスベクターの投 与経路は肝細胞における外性遺伝子の発現が>90%の割合で検出されるもので ある(16)。 スプラーグ-ドーリーラット(250−300g、3か月令、食餌制限無し) に対しケタミン−HCl(60mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg) により麻酔をかけた。Adベクター[AdCMV.mTRH−R、AdCMV.β gal、AdCMV.Null(「Null」ベクターは、発現カセットがCM Vプロモーターを含むが組換え遺伝子を全く含まない点を除き、他のベクターに 類似している)(31)]を、右外頚静脈から投与した(5×109pfu、100 μl、0.9%NaCl)。肝臓を5日後に採取した。 AdCMV.mTRH−Rにより5日前にインビボ感染させた動物からの一次 肝細胞の培養物は、TRH−R mRNA転写物の存在を示し、TRHと特異結 合し得、ホスホイノシチド経路を活性化することを立証した(図4−7)。図4 および5はノーザン分析である。肝臓RNA(10μg/欄)を、マウスTRH −R cDNAプローブ(図4、欄1および2)または陽性対照としてγ−アク チンcDNA(図5、欄3および4)により評価した。転写物の大きさは示され ている。欄1および3(それぞれ図4および図5)は、AdCMV.βgalが 投与された動物である。欄2および4(それぞれ図4および図5)は、AdCM V.mTRH−Rが投与された動物である。対照ベクターAdCMV.βgalが 投与された動物から得られた肝細胞のノーザン分析は、TRH−R mRNA特 異的転写物の存在を全く示さなかった(図4、欄1および図5、欄3)。対照的 に、AdCMV.mTRH−R感染動物から得られた肝細胞は、予想された大き さのTRH−R mRNA転写物を示した(図4、欄2参照)。対照として、γ −アクチンmRNA転写物は全試料で観察された。この観察結果と一致して、イ ンビボでAdCMV.mTRH−Rが投与された動物から採取した肝細胞は、高 レベルのメチル−TRH特異的結合を示したが、特定の実験を受けたことがない 動物または対照ベクターAdCMV.βgalが投与された動物においては特異 的メチル−TRH結合は全く観察されなかった(図6)。[3H]メチル−TR H結合の分析結果は、図2に関して記載されたものと同一であった。一条件につ き個々の3動物から同様の方法による3測定結果を得た。AdCMV.mTRH −R感染動物から誘導された肝細胞は、6.1×105TRH−R受容体/細胞を 示し、Kdは2.51±0.32ナノモルであった。メチル−TRH複合体に対し 、AdCMV.mTRH−R感染動物からの肝細胞においてインターナリゼーシ ョンを行った(図示せず)。 最後に、非感染動物および対照ベクターAdCMV.βgalによりインビボ 感染した動物からの肝細胞にTRHを加えても、イノシトールホスフェート形成 の刺激を示さなかった(図7)。イノシトールホスフェート形成の測定結果は、 図3に関して記載されたものと同一であった。一条件につき個々の3動物から同 様の方法による3測定結果を得た。対照的に、TRHは、AdCMV.mTRH −Rベクターにより5日前に感染させた動物からの肝細胞においてホスホイノシ チド経路を活性化した(メチル−TRHを加えなかった対照に対し16.9±1. 8倍の刺激)。これらの培養物における時間の関数としてTRH刺激を評価する と、メチル−TRHを加えてから少なくとも1時間にわたってイノシトールホス フェート形成の増加を立証した(図示せず)。 実施例4 肝臓は、肝細胞グリコーゲン貯蔵から誘導されたグルコースを循環系へ分泌す ることにより血中グルコースレベルを維持する。このプロセスは、2種のシグナ ル変換経路、すなわちcAMP経路またはホスホイノシチド経路のいずれかを活 性化する特異的細胞表面受容体により調節される。両方が収斂してホスホリラー ゼBを活性化し、グリコーゲンがグルコース−1−ホスフェートに開裂され、次 いでホスホグルコムターゼによりグルコース−6−ホスフェートに異性化され、 最後にグルコース−6−ホスファターゼにより脱燐酸化されてグルコースとなり 、分泌される(17)。 この実施例は、TRH−R cDNAが肝臓へインビボで転移された後の動物 におけるTRHによる血清グルコースレベルの調節について開示している。ベク ターAdCMV.mTRH−RまたはAdCMV.Null(5×109pfu)、ま たは陰性対照として食塩水(0.9%)(全て100μl中)を、上記要領でラ ットに投与した。5日後、メトキシフルレイン(ピットマン-ムーア、ムンデレ イン、イリノイ)吸入により動物に麻酔をかけ、左右外頚静脈にカニューレを挿 入した。15分安定化させた後、15分のベースライン期間が開始され、その間 5分毎にグルコースレベルに関する血清試料を採取した。「0時点」でメチル− TRH(100μl中500μg)または食塩水(0.9%、100μl)を一 方のカニューレで投与し、55分間5分毎に他方のカニューレから血清試料を採 取した。比色分析検定法(シグマ・ダイアグノスティックス、セントルイス、 ミズーリ)により、血清グルコースレベルを測定した。 図8は、TRHによる血清グルコースの調節について説明している。メチル− TRHまたは食塩水投与前に平均−15〜0として、ベースラインのグルコース レベルを各動物について測定した。データは、個々の各動物をそれ自体の対照と して用い、各動物群について各時点での平均値をとって、平均ベースライン血清 グルコースレベル(ミリモル)からの絶対変化として示されている。AdCMV .mTRH−R(IV)/TRH=0日目にベクターを静脈投与、5日目にメチ ル−TRHを投与、n=6動物、AdCMV.mTRH−R(IP)/TRH= 0日目にベクターを門脈から投与、5日目にメチル−TRHを投与、n=5、A dCMV.Null(IV)/TRH=0日目にベクターを静脈内投与、5日目 にメチル−TRHを投与、n=6、食塩水/TRH=0日目にベクターではなく 食塩水を投与、5日目にメチル−TRH、n=6、および無投薬/食塩水=0日 目に何も投与せず、5日目に食塩水、n=5。データは、各時点での群における 全動物に関する平均として示されている。スプラーグ-ドーリーラットの血清グ ルコースに関する正常範囲は、2.5−6.7ミリモルである(36)。平均ベー スライン値(平均±標準偏差)は、AdCMV.mTRH−R(IV)/TRH 群6.1±0.8ミリモル、AdCMV.mTRH−R(IP)/TRH群5.6± 0.5ミリモル、AdCMV.Null(IV)/TRH群4.6±0.5ミリモル 、AdCMV.Null(IV)/食塩水群7.9±1.8ミリモル、食塩水(I V)/TRH群9.2±1.4ミリモル、および無投薬/食塩水群8.6±0.7ミ リモルであった。 図9は、ベースラインからの血清グルコースレベルの平均変化について説明し ている。ベースラインからの血清グルコースレベルの平均変化を、5日目のメチ ル−TRHまたは食塩水投与の15〜55分後における各時点について測定した 。データは、平均±標準偏差として示されている。両側スチューデントのt−テ ストを用いて全統計比較を行った。 初期の試験は、安定した血中グルコースレベルが、吸入麻酔を用い、実験的試 験中に環境刺激因子を制限することにより確立され得ることを立証していた(1 8)。陽性対照として、[Arg8]バソプレッシン(100μlの0.9%Na Cl中1μg)を静脈内経路により投与したとき、血中グルコースが増加し、次 いで55分の評価期間にわたって減少した(図示せず)。 5日前にAdCMV.mTRH−Rベクターを投与された動物から単離された 肝細胞においてTRHがホスホイノシチド経路を活性化し得ること、および肝細 胞におけるホスホイノシチド経路の活性化によりグリコーゲン分解が始まるとい う認識と一致して、メチル−TRHの静脈内投与により、5日前にAdCMV. mTRH−Rを投与された動物群において血中グルコースレベルの顕著な増加が 誘導された(図8)。食塩水、および5日後に静脈内メチル−TRHを投与され た動物群では、AdCMV.Null、次いで5日後に静脈内メチル−TRHを 投与された群、および食塩水を投与された無投薬群で観察された結果と同様、ベ ースラインレベルを越える血中グルコースの小さな増加が観察された。しかしな がら、これらの対照群の各々において観察されたベースラインを越える血中グル コースの増加は、5日前に静脈内経路によりAdCMV.mTRH−Rベクター を与えられた動物においてメチル−TRHにより誘導されたベースラインを越え る血中グルコースの増加と比べて極僅かであった。これらの動物において、血中 グルコースの増加は、メチル−TRH投与の15分後にピークに達し、血中グル コースレベルの上昇が少なくとも55分間維持された時点で、実験は終結した。 メチル−TRH投与の15〜55分後におけるベースラインを越える血中グルコ ースの増加は1.73±0.26ミリモルであり、同期間にわたり対照のいずれか で(食塩水(IV)/TRH、無投薬/食塩水、AdCMV.Null(IV) /TRHおよびAdCMV.Null(IV)/食塩水、p<0.0001 全対 照)観察された結果よりも著しく高い増加であった(図9)。 肝臓が血中グルコースの上昇に関与するという概念に対する直接的支持は、門 脈を介したラットへのAdCMV.mTRH−Rベクターの投与[肝細胞におい てのみベクター遺伝子発現の限界をもたらすことが知られているラットへのアデ ノウイルスベクターの投与経路(19、20)]、続いて5日後のメチル−TR Hの静脈内投与から得られた。これらの動物において、観察された血中グルコー スの上昇は、AdCMV.mTRH−Rベクターを静脈内投与、次いで5日後メ チル−TRHを投与された動物(門脈から投与されたAdCMV.mTRH−R を静脈内投与されたAdCMV.mTRH−Rと比較し、メチル−TRHの15 〜55分後に平均をとった、p=0.09、AdCMV.mTRH−Rの門脈投与 後メチル−TRHを、対照群と比較、p<0.0001 全対照)で観察される結 果と重ね合わせることができた(図8および9)。 実施例5 この発明は、非内在性の天然に存する受容体の異所性発現を用いることにより インビボで分化した細胞機能を制御することができ、この場合受容体に対する天 然リガンドを用いて受容体を活性化し、今度は細胞における特異的シグナル変換 経路を活性化することにより、細胞特異応答を誘発し得るという概念を立証する ものである。ほとんどの臓器へインビボで遺伝子を転移できるベクターの利用能 を考慮に入れると、この方法は代替的手段として使用され得るもので、天然に存 するリガンドまたは受容体特異的薬剤およびその細胞型に通常は関係しないそれ らの対応する受容体を用いて細胞の特異的分化機能を調節することができる。こ こに記載された要領による天然受容体の発現方法は、特異的シグナル変換経路に よる細胞の特異的分化機能の活性化を誘発する手段として自然な位置(21)に おける天然受容体および人工リガンド(22)に応答する「デザイナー」受容体 の過剰発現、および正常受容体をそれらの正常位置へ転移して天然受容体におけ る突然変異を補正すること(23、24)を含む、受容体数および/または機能 の修正方法の増大するリストに加えられる。 この方法の臨床適用には、シグナル発生分子またはそれらの特異的受容体に伴 う先天的または後天的異常が副因となった虚弱および/または機能不全である分 化機能の活性化がある。ホルモンまたは受容体をコードする遺伝子における突然 変異が副因であるシグナル発生の欠乏に加えて(1、6、25、26)、リガン ドを指向した抗体、例えばヒトおよび非ヒト起源のインスリンを投与されている 糖尿病を患う個体で観察されるもの、様々な自己免疫疾患を患う個体におけるポ リクローナル抗インスリン抗体および免疫甲状腺疾患および形質細胞異形成の患 者における抗チロキシン抗体に伴う後天的リガンド欠乏状態を副行路で置き換え るといった方法が使用され得る(1、6、7)。さらに、細胞外調節分子がそれ らの特異的受容体と相互作用する能力を受容体特異的自己抗体が奪う一群の後天 的疾患が存在し、上記抗体には、特発性拡張型心筋症およびシャーガス病に伴う 心筋症の病原に関与するβ1−アドレナリン性受容体に対する自己抗体、若干の 喘息形態の病原に結合したβ2−アドレナリン性受容体に対する自己抗体、黒色 表皮症および毛細管拡張性運動失調を患う個体から見いだされ、B型インスリン 耐性が観察された糖尿病に伴うインスリン受容体に対する抗体、重症筋無力症に おけるアセチルコリン受容体およびラスムッセン脳炎におけるグルタミン酸受容 体に対する自己抗体がある(1、6、7、27、28)。最後に、この方法はま た、健康な臓器における生理学的機能の調節により病的状態の影響が相殺される 疾患の処置に適用され得る。この一例は前記実施例により示唆されており、この 場合肝臓におけるTRH−Rの異所性発現後に血中グルコースがTRHにより高 められた。この方法は、手術不能なインスリン分泌性腫瘍(インスリノーマ)が ある重度の低血糖症患者においてさらに長期間にわたって正常血糖を維持するた めに使用され得る(29)。これは、ホスホイノシチド経路(例、肝臓で発現さ れるTRHおよびTRH−R)を誘発することにより、またおそらくはさらに効 果的には、cAMP変換系によりシグナルを発する非内在性受容体を肝臓で発現 させることによっても達成され得、これはヒト肝臓におけるグリコーゲン分解が 、ホスホイノシチド経路よりもこの経路によってさらに有効に調節されるためで あり、このためには経口非ペプチド性アゴニスト薬剤が活性化に利用可能である 。 好ましい実施態様を詳細に描写および記載したが、この発明の精神から逸脱す ることなく様々な修正、追加、置換などが為され得、従ってこれらも後記する請 求の範囲に記載された本発明の範囲内に含まれるとみなされることは、当業者に は明白なはずである。 引用文献リスト 1.S.Gammeltoft and R.C.Kahn,Endocrinology,L.J.DeGroot,et al.,E ds.,W.B.Saunders 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───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 15/09 C12R 1:92) (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG, MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM ,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 ファルク−ペダーセン,エリック・エス アメリカ合衆国10522ニューヨーク州 ド ッブズ・フェリー、ブエナ・ビスタ・ドラ イブ87番 (72)発明者 クリスタル,ロナルド・ジー アメリカ合衆国20854メリーランド州 ポ トマック、カナル・ビスタ・コート13712 番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細胞シグナル受容体(該細胞に内在していない)をコードするDNAで形 質転換されたインビボ細胞を含み、該細胞シグナル受容体は該細胞にとって内在 性のシグナル形質導入経路を活性化することができ、該細胞シグナル受容体は調 整的に活性化され、それによって該シグナル形質導入経路を調整的に活性して、 該シグナル形質導入経路によりコントロールされる細胞機能を調節する、インビ ボ細胞における組換体。 2.該細胞が臓器細胞である、請求項1のインビボ細胞の組換体。 3.該臓器が肝臓であり、そして該細胞が肝細胞である、請求項2のインビボ 細胞の組換体。 4.該受容体が細胞表面シグナル受容体である、請求項1のインビボ細胞の組 換体。 5.該細胞表面シグナル受容体がイオンチャネル連結受容体である、請求項4 のインビボ細胞の組換体。 6.該イオンチャネル連結受容体がナトリウムチャネル連結受容体、カリウム チャネル連結受容体、カルシウムチャネル連結受容体およびクロライドチャネル 連結受容体よりなる群から選択される、請求項5のインビボ細胞の組換体。 7.該細胞表面シグナル受容体がグアニン−ヌクレオチド結合タンパク質連結 受容体である、請求項4のインビボ細胞の組換体。 8.該グアニン−ヌクレオチド結合タンパク質連結受容体がα−アドレナリン 性受容体、β−アドレナリン性受容体、ドパミン性受容体、セロトニン性受容体 、ムスカリン性コリン様受容体およびペプチド作用性受容体よりなる群から選択 される、請求項7のインビボ細胞の組換体。 9.該グアニン−ヌクレオチド結合タンパク質の連結受容体がチロトロピン放 出ホルモン受容体である、請求項7のインビボ細胞の組換体。 10.該細胞表面シグナル受容体が酵素連結受容体である、請求項4のインビ ボ細胞の組換体。 11.該酵素連結受容体が透過膜グアニリルシクラーゼ受容体、受容体チロシ ン・ホスファターゼ、透過膜受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体チロシ ンキナーゼおよびチロシンキナーゼ関連受容体よりなる群から選択される、請求 項10のインビボ細胞の組換体。 12.該受容体が細胞内細胞シグナル受容体である、請求項1のインビボ細胞 の組換体。 13.該細胞内細胞シグナル受容体がステロイドホルモン受容体である、請求 項12のインビボ細胞の組換体。 14.該ステロイドホルモン受容体がプロゲステロン受容体、エストロジェン 受容体、アンドロジェン受容体、グルココルチコイド受容体およびミネラルコル チコイド受容体からなる群より選択される、請求項13のインビボ細胞の組換体 。 15.該細胞内細胞シグナル受容体が甲状腺ホルモン受容体である、請求項1 2のインビボ細胞の組換体。 16.該甲状腺ホルモン受容体が甲状腺刺激ホルモンの受容体を含む、請求項 15のインビボ細胞の組換体。 17.該細胞内細胞シグナル受容体がレチノイド受容体である、請求項12の インビボ細胞の組換体。 18.該レチノイド受容体がレチノン酸の受容体を含む、請求項17のインビ ボ細胞の組換体。 19.該細胞内細胞シグナル受容体がビタミンD受容体である、請求項12の インビボ細胞の組換体。 20.該シグナル形質導入経路がアデニレートシクラーゼ経路である、請求項 1のインビボ細胞の組換体。 21.該シグナル形質導入経路がグアニレートシクラーゼ経路である、請求項 1のインビボ細胞の組換体。 22.該シグナル形質導入経路がホスホイノシトル・ターンオーバ経路である 、請求項1のインビボ細胞の組換体。 23.該シグナル形質導入経路がチロシンキナーゼ経路である、請求項1のイ ンビボ細胞の組換体。 24.該シグナル形質導入経路がイオンチャネル経路である、請求項1のイン ビボ細胞の組換体。 25.該シグナル形質導入経路がカルシウムイオン経路である、請求項1のイ ンビボ細胞の組換体。 26.該細胞機能がグリコーゲン分解である、請求項1のインビボ細胞の組換 体。 27.該細胞機能が脂肪分解、糖新生、ケトン体生成、イオン透過性、レニン 産生、筋収縮、タンパク質リン酸エステル化、甲状腺ホルモン合成、コルチゾル 分泌、プロゲステロン分泌、骨吸収、水分吸収、トリグリセリド分解、アミラー ゼ分泌、ヒスタミン分泌および凝集からなる群より選択される、請求項1のイン ビボ細胞の組換体。 28.細胞において非内在性受容体を異所的に発現する方法で、 該細胞に内在していない細胞シグナル受容体をコードするDNAで形質転換す るためのインビボ細胞を選択し(該細胞シグナル受容体は該細胞にとって内在性 のシグナル形質導入受容体を活性化することができる)、 該細胞シグナル受容体をコードするDNAで該細胞を形質転換し、そして 該細胞において該細胞シグナル受容体を異所的に発現すること、 を含む該方法。 29.該形質転換がウイルス仲介形質転換を含む、請求項28の方法。 30.該ウイルス仲介形質転換がアデノウイルス仲介形質転換を含む、請求項 29の方法。 31.該ウイルス仲介形質転換がヘルペスウイルス仲介形質転換を含む、請求 項29の方法。 32.該形質転換がリポソーム仲介形質転換を含む、請求項28の方法。 33.該形質転換が化学的仲介形質転換を含む、請求項28の方法。 34.該化学的仲介形質転換がカルシウムホスフェート仲介形質転換を含む、 請求項33の方法。 35.該細胞が臓器細胞である、請求項28の方法。 36.該臓器が肝臓であり、そして該細胞が肝細胞である、請求項35の方法 。 37.該受容体が細胞表面シグナル受容体である、請求項28の方法。 38.該細胞表面シグナル受容体がイオンチャネル連結受容体である、請求項 37の方法。 39.該イオンチャネル連結受容体がナトリウムチャネル連結受容体、カリウ ムチャネル連結受容体、カルシウムチャネル連結受容体およびクロライドチャネ ル連結受容体よりなる群から選択される、請求項38の方法。 40.該細胞表面シグナル受容体がグアニン−ヌクレオチド結合タンパク質連 結受容体である、請求項37の方法。 41.該グアニン−ヌクレオチド結合タンパク質連結受容体がα−アドレナリ ン性受容体、β−アドレナリン性受容体、ドパミン性受容体、セロトニン性受容 体、ムスカリン性コリン様受容体およびペプチド作用性受容体よりなる群から選 択される、請求項40の方法。 42.該グアニン−ヌクレオチド結合タンパク質の連結受容体がチロトロピン 放出ホルモン受容体である、請求項40の方法。 43.該細胞表面シグナル受容体が酵素連結受容体である、請求項37の方法 。 44.該酵素連結受容体が透過膜グアニリルシクラーゼ受容体、受容体チロシ ン・ホスファターゼ、透過膜受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体チロシ ンキナーゼおよびチロシンキナーゼ関連受容体よりなる群から選択される、請求 項43の方法。 45.該受容体が細胞内細胞シグナル受容体である、請求項28の方法。 46.該細胞内細胞シグナル受容体がステロイドホルモン受容体である、請求 項45の方法。 47.該ステロイドホルモン受容体がプロゲステロン受容体、エストロジェン 受容体、アンドロジェン受容体、グルココルチコイド受容体およびミネラルコル チコイド受容体からなる群より選択される、請求項46の方法。 48.該細胞内細胞シグナル受容体が甲状腺ホルモン受容体である、請求項4 5の方法。 49.該甲状腺ホルモン受容体が甲状腺刺激ホルモンの受容体を含む、請求項 48の方法。 50.該細胞内細胞シグナル受容体がレチノイド受容体である、請求項45の 方法。 51.該レチノイド受容体がレチノン酸の受容体を含む、請求項50の方法。 52.該細胞内細胞シグナル受容体がビタミンD受容体である、請求項45の 方法。 53.該シグナル形質導入経路がアデニレートシクラーゼ経路である、請求項 28の方法。 54.該シグナル形質導入経路がグアニレートシクラーゼ経路である、請求項 28の方法。 55.該シグナル形質導入経路がホスホイノシトル・ターンオーバ経路である 、請求項28の方法。 56.該シグナル形質導入経路がチロシンキナーゼ経路である、請求項28の 方法。 57.該シグナル形質導入経路がイオンチャネル経路である、請求項28の方 法。 58.該シグナル形質導入経路がカルシウムイオン経路である、請求項28の 方法。 59.該細胞機能がグリコーゲン分解である、請求項28の方法。 60.該細胞機能が脂肪分解、糖新生、ケトン体生成、イオン透過性、レニン 産生、筋収縮、タンパク質リン酸エステル化、甲状腺ホルモン合成、コルチゾル 分泌、プロゲステロン分泌、骨吸収、水分吸収、トリグリセリド分解、アミラー ゼ分泌、ヒスタミン分泌および凝集からなる群より選択される、請求項28の方 法。 61.細胞機能を調節する方法で、 該細胞に内在していない細胞シグナル受容体をコードするDNAで形質転換す るためのインビボ細胞を選択し(該細胞シグナル受容体は該細胞にとって内在性 のシグナル形質導入受容体を活性化することができる)、 該細胞シグナル受容体をコードするDNAで該細胞を形質転換し、 該細胞において該細胞シグナル受容体を異所的に発現し、そして 該細胞シグナル受容体を活性化し得る細胞外分子に該細胞を調整的に接触せし めること(該細胞シグナル受容体の活性化は該シグナル形質導入経路を活性化し 、該シグナル形質導入経路によりコントロールされる細胞機能を調節する)、 を含む方法。 62.該形質転換がウイルス仲介形質転換を含む、請求項61の方法。 63.該ウイルス仲介形質転換がアデノウイルス仲介形質転換を含む、請求項 62の方法。 64.該ウイルス仲介形質転換がヘルペスウイルス仲介形質転換を含む、請求 項62の方法。 65.該形質転換がリポソーム仲介形質転換を含む、請求項61の方法。 66.該形質転換が化学的仲介形質転換を含む、請求項61の方法。 67.該化学的仲介形質転換がカルシウムホスフェート仲介形質転換を含む、 請求項66の方法。 68.該細胞が臓器細胞である、請求項61の方法。 69.該臓器が肝臓であり、そして該細胞が肝細胞である、請求項68の方法 。 70.該受容体が細胞表面シグナル受容体である、請求項61の方法。 71.該細胞表面シグナル受容体がイオンチャネル連結受容体である、請求項 70の方法。 72.該イオンチャネル連結受容体がナトリウムチャネル連結受容体、カリウ ムチャネル連結受容体、カルシウムチャネル連結受容体およびクロライドチャネ ル連結受容体よりなる群から選択される、請求項71の方法。 73.該細胞表面シグナル受容体がグアニン−ヌクレオチド結合タンパク質連 結受容体である、請求項70の方法。 74.該グアニン−ヌクレオチド結合タンパク質連結受容体がα−アドレナリ ン性受容体、β−アドレナリン性受容体、ドパミン性受容体、セロトニン性受容 体、ムスカリン性コリン様受容体およびペプチド作用性受容体よりなる群から選 択される、請求項73の方法。 75.グアニン−ヌクレオチド結合タンパク質の連結受容体がチロトロピン放 出ホルモン受容体である、請求項73の方法。 76.該細胞表面シグナル受容体が酵素連結受容体である、請求項70の方法 。 77.該酵素連結受容体が透過膜グアニリルシクラーゼ受容体、受容体チロシ ン・ホスファターゼ、透過膜受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体チロシ ンキナーゼおよびチロシンキナーゼ関連受容体よりなる群から選択される、請求 項76の方法。 78.該受容体が細胞内細胞シグナル受容体である、請求項61の方法。 79.該細胞内細胞シグナル受容体がステロイドホルモン受容体である、請求 項78の方法。 80.該ステロイドホルモン受容体がプロゲステロン受容体、エストロジェン 受容体、アンドロジェン受容体、グルココルチコイド受容体およびミネラルコル チコイド受容体からなる群より選択される、請求項79の方法。 81.該細胞内細胞シグナル受容体が甲状腺ホルモン受容体である、請求項7 8の方法。 82.該甲状腺ホルモン受容体が甲状腺刺激ホルモンの受容体を含む、請求項 81の方法。 83.該細胞内細胞シグナル受容体がレチノイド受容体である、請求項78の 方法。 84.該レチノイド受容体がレチノン酸の受容体を含む、請求項83の方法。 85.該細胞内細胞シグナル受容体がビタミンD受容体である、請求項78の 方法。 86.該シグナル形質導入経路がアデニレートシクラーゼ経路である、請求項 61の方法。 87.該シグナル形質導入経路がグアニレートシクラーゼ経路である、請求項 61の方法。 88.該シグナル形質導入経路がホスホイノシトル・ターンオーバ経路である 、請求項61の方法。 89.該シグナル形質導入経路がチロシンキナーゼ経路である、請求項61の 方法。 90.該シグナル形質導入経路がイオンチャネル経路である、請求項61の方 法。 91.該シグナル形質導入経路がカルシウムイオン経路である、請求項61の 方法。 92.該細胞機能がグリコーゲン分解である、請求項61の方法。 93.該細胞機能が脂肪分解、糖新生、ケトン体生成、イオン透過性、レニン 産生、筋収縮、タンパク質リン酸エステル化、甲状腺ホルモン合成、コルチゾル 分泌、プロゲステロン分泌、骨吸収、水分吸収、トリグリセリド分解、アミラー ゼ分泌、ヒスタミン分泌および凝集からなる群より選択される、請求項61の方 法。 94.該細胞外分子が薬剤を含む、請求項61の方法。 95.該細胞機能が該細胞外分子に該細胞を接触せしめる前の該細胞における 機能悪化である、請求項61の方法。 96.該機能悪化が、該細胞に正常に存在し、該シグナル形質導入経路を正常 に活性化し得る内在性受容体の脱感作によるものである、請求項61の方法。 97.該機能悪化が、該細胞に正常に存在し、該シグナル形質導入経路を正常 に活性化し得る内在性受容体の不存在または変異によるものである、請求項61 の方法。
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