JPH11510371A - ヘルパーウイルスを含まないaav産生 - Google Patents

ヘルパーウイルスを含まないaav産生

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Abstract

(57)【要約】 混入ヘルパーウイルスを実質的に含まない、アデノ随伴ウイルスストックおよび組換えアデノ随伴ウイルスストックを産生する方法が記載される。この方法は、従来方法で使用されるヘルパーウイルスでの感染の代わりに、ヘルパーウイルスベクターでのトランスフェクションを利用する。

Description

【発明の詳細な説明】 ヘルパーウイルスを含まないAAV産生 序論 技術分野 本発明は、実質的にヘルパーウイルスを含まない、アデノ随伴ウイルスストッ クを産生するための方法、細胞、およびベクターに関する。背景 アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス科の欠損メンバーである。AAV ゲノムは、プラスまたはマイナス極性の一本鎖DNA分子としてキャプシドに包ま れる(BernsおよびRose,1970,J.Virol.5:693-699; Blacklowら、1967,J.E xp.Med.115:755-763)。両極性の鎖がパッケージングされるが、別々のウイル ス粒子にパッケージングされ(BernsおよびAdler,1972,Virology 9:394-396) 、そして両方の鎖は感染性である(Samulskiら、1987,J.Virol.61:3096-3101 )。 ヒトアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)の一本鎖DNAゲノムは、4681塩基対の長 さであり、各145塩基対の末端反復配列によって隣接されている(Lusbyら、1982 , J.Virol.41:518-526)。最初の125ヌクレオチドは、「T」型ヘアピン構造を 形成するように自身で折り畳み得、そして2配向(フリップまたはフロップ)の いずれでも存在し得るパリンドローム配列を形成し、このことは、AAVが、AAVの 末端ヘアピンがDNA複製開始用のプライマーとして使用される直鎖状染色体DNAに ついてCavalier-Smithによって最初に提案されたモデル(1974,Nature 250:467 -470)に従って複製し得る示唆(BernsおよびHauswirth,1979,Adv.Virus Res.25: 407-449)に導く。ウイルスDNAのパッケージング、組み込み/レスキュー、およ び複製のためにシスに必要とされるAAV配列は、末端反復配列を含む284塩基対( bp)配列内に配置されるようである(McLaughlinら、1988,J.Virol.62:1963- 1973)。 変異される場合に、表現型的に異なるウイルスを生じさせる少なくとも3つの 領域が、AAVゲノム中に同定されている(Hermonatら、1984,J.Virol.51:329- 339)。rep領域は、DNA複製および組換えプラスミドからのレスキューに必要と される、少なくとも4つのタンパク質(Mendelsonら、1986,J.Virol 60:823-8 32)をコードする。cap領域は、AAVキャプシドタンパク質をコードし;この領域 内に損傷を含む変異体は、DNA複製が可能である(Hermonatら、1984,J.Virol. 51:329-339)。AAVは、3つの転写プロモーターを含む(Carterら、1983,「The Parvoviruses」、K.Berns編、Plenum Publishing Corp.,NY 153-207頁; Gree nおよびRoeder、180,Cell 22:231-242,Laughlinら、1979,Proc.Natl.Acad. Sci.U.S.A.76:5567-5571; LusbyおよびBerns、1982,J.Virol.41:518-526; Marcusら、1981,Eur.J.Biochem.121:147-154)。ウイルスDNA配列は、2つ の主要な読み取り枠である、従来のAAVマップの左半分の1つおよび右半分のも う1つを示す(Srivastavaら、1985,J.Virol.45:555-564)。 AAVは、溶菌ウイルスとして増殖され得るか、またはプロウイルスとして維持 され、宿主細胞DNAに組み込まれ得る(Cukorら、1984,「The Parvoviruses」、B erns編、Plenum Publishing Corp.,NY 33-66頁)。特定の条件下で、AAVは、ヘ ルパーウイルスの非存在下で複製し得るが(Yakobsonら、1987,J.Virol.61:9 72-981)、効率的な複製には、ヘルパーウイルス(アデノウイルス(Atchinsonら 、1965,Science 194:754-756; Hoggan,19865,Fed.Proc.Am.Soc.Exp.Bio l. 24:248; Parksら、1967,J.Virol.1:171-180);ヘルペス単純ウイルス(B ullerら、1981,J.Virol.40:241-247)、またはサイトメガロウイルス、エプ スタインバーウイルス、あるいはワクシニアウイルスを含む)との同時感染が必 要とされる。従って、AAVは「欠損」ウイルスとして分類される。 ヘルパーウイルスが入手不可能なときは、AAVは、組み込まれたプロウイルス として、宿主細胞ゲノムDNAに持続し得る(Bernsら、1975,Virology 68:556-56 0; Cheungら、1980,J.Virol.33:739-748)。ウイルス組み込みは、細胞増殖 または形態には明白な影響を有さないようである(Handaら、1977,Virology 82 :84-92; Hogganら、1972、「Proceedings of the Fourth Lapetit Colloquium, North Holland Publishing Co.,Amsterdam 243-249頁)。組み込まれたAAVゲノ ムの物理学的構造の研究(Cheungら、1980、前出;Bernsら、1982「Viurs Per sistence」、Mahyら編、Cambridge University Press,NY 249-265頁)は、ウイ ルス挿入は、宿主染色体のランダムな位置に生じるが、AAV DNAに関しては独特 の位置である、末端反復配列内に生じることを示唆する。より最近の研究は、宿 主染色体へのAAV組み込みは、ランダムであり得ず、第19染色体上の部位にほと んど優先的に標的化される(Samulski 1993 Curr.Opinion in Genet.and Deve l.3:74-80)ことを明らかにした。組み込まれたAAVゲノムは、本質的に安定で あることが見いだされ、100継代を超えて組織培養で維持される(Cheungら、198 0、前出)。 AAVは、ヒトウイルスであると考えられるが、溶菌増殖に対するその宿主範囲 は通常広範である。実質的に評価された全ての哺乳動物細胞株(種々のヒト、サ ル、およびげっ歯類細胞株を含む)は、適切なヘルパーウイルスが使用されれば 、AAVで生産的に感染され得る(Cukorら、1984,「The Parvoviruses」、Berns編 、Plenum Publishing Corp.NY,33-66頁)。 ヒトでも動物集団でも、広範囲な曝露および明白な感染にもかかわらず、AAV に関連する疾患はない(Ostroveら、1987,Virology 113:521-533)。抗AAV抗体 は、ヒトおよびサルにおいてしばしば見いだされている。最初の10年以内に、約 70〜80パーセントの子供が、AAV1型、2型、および3型に対する抗体を獲得す ると評価され;50%を超える成人が検出可能な抗AAV抗体を保持することが見いだ された。AAVは、急性アデノウイルス感染間の糞便、眼球、および呼吸標本から 単離されているが、その他の疾患の間は単離されなかった(Davis,Dulbecco,E isenおよびGinsbergの「Microbiology」、第三版、Harper and Row Publishers, Hagerstown,1059頁から再版された、DulbeccoおよびGinsberg,1980,「Virolo gy」)。 組換えアデノ随伴ウイルス Samulskiら(1982,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.79:2077-2081)は、細菌 プラスミドpBR322にインタクトな二重鎖AAV DNAをクローン化し、そしてそのAAV ゲノムが、ヘルパーとしてアデノウイルス5と共に、ヒト細胞へのプラスミドDN Aのトランスフェクションによって、組換えプラスミドからレスキューされ得る ことを見出した。プラスミドからのレスキュー効率は、当量の精製AAVビリオンD NAでのトランスフェション後に観察されたものに匹敵するAAV DNA収率を生じる のに十分に高かった。 組換えプラスミド中でのAAV配列は修飾され得、次に、トランスフェクション によって真核生物細胞へ「往復される(shuttled)」。ヘルパーアデノウイルス の存在下で、いずれのプラスミドDNA配列も含まないAAVゲノムがレスキューされ 、そして複製されて感染性AAV粒子を産生することが認められた(Samulskiら、1 982,Proc.Natl.Acad.Sci 79:2077-2081:Laughlinら、1983,Gene 23:65-73; Samulskiら、1983,Cell 33:134-143; Senapathyら、1982,J.Mol.Biol.179 :1-20)。 AAVベクター系は、種々の遺伝子を真核生物細胞で発現するために使用された 。HermonatおよびMuzyczka(1984,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6466-64 70)は、ネオマイシン耐性遺伝子(neo)がAAVキャプシド遺伝子の代わりに置換 された、組換えAAV(rAAV)ウイルスストックを産生し、マウスおよびヒト細胞 株へのネオマイシン耐性のrAAV形質導入を観察した。Tratschenら(1984,Mol. Cell,Biol.4:2072-2081)は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラ ーゼ(CAT)遺伝子をヒト細胞で発現することが見いだされたrAAVを作製した。L afareら(1988,Virology 162:483-486)は、AAVベクターを使用して、造血前駆 細胞への遺伝子導入を観察した。Ohiら(1988,J.Cell.Biol.107:304A)は、 ヒトβ-グロビンcDNAを含む組換えAAVゲノムを構築した。Wondisfordら(1988, Mol.Endocrinol.2:32-39)は、2つの異なる組換えAAVベクター(各ベクター は、ヒトチロトロピンのサブユニットをコードする)で細胞をコトランスフェク トし、生物学的に活性なチロトロピンの発現を観察した。 いくつかのrAAVベクター系が設計されている。Samulskiら(1987,J.Virol. 61:3096-3101)は、ウイルスコードドメインに隣接する2つのXbaI切断部位を含 む、感染性アデノ随伴ウイルスゲノムを構築した;これらの制限酵素切断部位は 、非ウイルス配列が、AAVのシス作用末端反復間に挿入され得るように作製され た。米国特許第4,797,368号は、プラスミドに含有され、AAV粒子にパッケージン グされ得、AAV転写プロモーターの制御下の場合、真核生物細胞において遺伝子 また はDNA配列の安定な維持または発現のためのベクターとして機能する、AAVベクタ ーに関する。その他のAAVベクターおよびそれらの使用は、米国特許第5,139,941 号およびWO 9413788に記載される。 組換えAAV(RAAV)ウイルスストックの現在の産生方法は、アデノウイルスの ようなヘルパーウイルスでの宿主細胞の感染、ならびにrAAVでのトランスフェク ションおよびrAAVから欠失した必須のAAV機能をトランスで供給するヘルパーAAV DNAでのトランスフェクションを必要とする。最近の研究は、AAVヘルパーを本 質的に含まない、rAAVストックの産生を達成した(Samulskiら、1989, J.Viro l.63:3822-3828)。しかし、これらのrAAVストックはまだ、毒性のアデノウイ ルスまたはその他のヘルパーウイルスをrAAVビリオンとともに含有する。本発明 の方法は、アデノウイルスまたはその他のヘルパーウイルスによる同時感染を伴 わないで、組換えAAVまたは野生型AAVのインビボでの産生を可能にする。従って 、感染性ヘルパーウイルス混入物の産生は、減少あるいは排除される。 発明の要旨 本発明の目的は、実質的にヘルパーウイルスを含まないアデノ随伴ウイルス( AAV)ストックを産生する方法を提供することである。この方法は、野生型AAVス トックまたは組換えAAV(rAAV)ストックのいずれかの産生に使用され得る。こ の方法は、従来のヘルパーウイルスによる感染の必要性を排除する。特に、本発 明の方法では、AAVによる増殖性感染に必須のヘルパーウイルス機能は、ヘルパ ーウイルスベクターでの宿主細胞のトランスフェクションによって提供される。 あるいは、ヘルパーウイルスベクターは、宿主細胞中の染色体外エレメントから 提供され得るか、または宿主細胞染色体へ安定に組み込まれ得、AAVによる増殖 性感染に必須のヘルパーウイルス機能を発現する細胞株を提供する。 図面の簡単な説明 本発明は、本出願の一部を形成する図面と組み合わせて考慮される場合、特定 の実施態様の以下の詳細な説明を参考にしてより良く理解される。 図1.組換えAAVストックの調製のための従来方法の模式図。pAAV/AdおよびpA AV/β-galプラスミドは、アデノウイルス感染の存在下で、293細胞へトランスフ ェクトされる。感染/トランスフェクト細胞は、2つの型の感染性ウイルス粒子 であるアデノウイルスビリオンおよびrAAV/β-galビリオンを生じる。 図2.本発明の方法の1つの実施態様の模式図。アデノウイルスゲノムが単離 され、そして制限酵素XbaIを用いて切断される。次に、アデノウイルスの大きな XbaIフラグメントを用いて、pAAV/AdおよびpAAV/β-galプラスミドと共に293細 胞をトランスフェクトする。トランスフェクト細胞は、感染性ウイルス粒子であ るrAAV/β-galビリオンの1つの型のみを生じる。 図3.rAAVを含有するCsCl勾配画分のドットブロットハイブリダイゼーション のデンシトメータースキャン。棒の高さは、1mlあたりの(rAAV DNAの)ゲノム 当量中のハイブリダイゼーションシグナル強度を示す。白棒は、細胞破壊が超音 波処理によって達成されているrAAV調製物からの画分を示す。黒棒は、細胞破壊 が、凍結-解凍溶解、その後のヌクレアーゼ処理によって達成されている、rAAV 調製物からの画分を示す。 特定の実施態様の説明 AAVストックおよびrAAVストックを産生するために現在用いられる方法は、AAV またはrAAVによる増殖性感染を達成するための、アデノウイルスのようなヘルパ ーウイルスとの同時感染を必要とする(図1を参照のこと)。これは、AAVまた はrAAVストックのヘルパーウイルス混入の有意なレベルをもたらし得る。本発明 は、ヘルパーウイルスによる感染の必要性を排除することによって、この問題を 解決する。本発明の方法によって、増殖性AAV感染に必須のヘルパーウイルス機 能は、必要なウイルス機能を提供するが、ヘルパーウイルスビリオンにパッケー ジングされ得ない、ヘルパーウイルスベクターでのトランスフェクションによっ て、トランスに供給される。 一般に、本発明の方法は、先行技術の方法において使用されているようなヘル パーウイルスでの感染よりむしろ、ヘルパーウイルスベクターでのトランスフェ クションを用いることにより、ヘルパーウイルスを実質的に含まないrAAVストッ クを産生するために使用され得る。別の実施態様では、本発明の方法は、ヘルパ ーウイルスを実質的に含まない野生型AAVストックを産生するために使用され得 る。wt AAVストックは、例えば、ヘルパーウイルスベクターによるトランスフェ クションと組み合わせたwt AAVビリオンでの感染、または感染性クローン化AAV プラスミドでのトランスフェクションによって作製され得る。さらなる実施態様 では、ヘルパーウイルスベクターは、染色体外エレメントとして、宿主細胞株へ 安定に組み込まれ得る。この実施態様では、必須のヘルパーウイルス機能が、染 色体外エレメントから提供され、ヘルパーウイルスベクターでのさらなるトラン スフェクションは必要とされない。 特に、1つの実施態様において本発明の方法は: (a)アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を以下のもの: i)感染性AAVビリオン中にパッケージングされ得る組換えアデノ随伴ウイル スベクター、 ii)この組換えアデノ随伴ウイルスベクターの複製、および感染性AAVビリオ ン中へのパッケージングに必須のAAVウイルス機能を提供するヘルパーAAVベクタ ー、および iii)増殖性アデノ随伴ウイルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供す るが、それ自身は感染性ヘルパーウイルスビリオン中にパッケージングされ得な いヘルパーウイルスベクター、 でコトランスフェクトする工程;ならびに (b)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する。 別の実施態様において本発明の方法は: (a)増殖性アデノ随伴ウイルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供するが 、それ自身は感染性ヘルパーウイルスビリオン中にパッケージングされ得ないヘ ルパーウイルスベクターで、アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を トランスフェクションする工程; (b)この細胞をアデノ随伴ウイルスで感染する工程;および (c)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する。 第3の実施態様において本発明は: (a)アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を、以下のもの: i)感染性AAVビリオン中にパッケージングされ得る組換えアデノ随伴ウイル スベクター、および ii)この組換えアデノ随伴ウイルスベクターの複製、および感染性AAVビリオ ン中へのパッケージングに必須のAAVウイルス機能を提供するヘルパーAAVベクタ ー、 でコトランスフェクトする工程であって、ここでこの細胞が、増殖性アデノ随伴 ウイルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供するヘルパーウイルスベクタ ーを含有する染色体外エレメントを含有する工程;ならびに (b)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する。 本発明者らは、驚くべきことに、AAVまたはrAAVの増殖性感染は、増殖性AAV感 染に必須のヘルパーウイルス機能が供給されれば、ヘルパーウイルスによる感染 が無くとも、宿主細胞で生じ得ることを見出した。増殖性AAV感染は、AAVまたは rAAV DNAが、宿主細胞において複製され、そして感染性ビリオン中にパッケージ ングされることを意味する。 本発明のヘルパーウイルスベクターは、当該分野で周知の多数のヘルパーウイ ルスのいずれか由来のDNAを包含する(例えば、BernsおよびLabow,1987,J.Ge n,Virol.68:601-614; Muzyczka.1992,Curr.Top.Microbiol.Immun.158:9 7-129; Berns,1990,Microbil.Rev.54:316-329を参照のこと)。ヘルパーウ イルスは、増殖性AAV感染を支持するウイルスである。これらのウイルスとして は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン バーウイルス、およびワクシニアウイルスが挙げられるが、これらに限定されな い。本発明のヘルパーウイルスベクターは、ヘルパーウイルス由来のDNAを含み 、このDNAは増殖性AAV感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供するが、ベクタ ー自身は感染性ヘルパーウイルスビリオン中にパッケージングされ得ない。好ま しくは、本発明の方法の実施には、ヘルパーウイルスベクターは、ヘルパーウイ ルスの複製および/またはパッケージングに機能するシス作用シグナル以外は、 ヘ ルパーウイルスの全ゲノムDNAを含有し得る。多くのヘルパーウイルスについて 、これらのシス作用シグナルが同定されている(例えば、Sussenbach「The Aden oviruses」、Ginsberg,H.編、Plenum Press 1984、およびその中の参考文献;F raenkel-Conrat,「Virology」1982 Prentice-Hall、およびその中の参考文献を 参照のこと)。シス作用シグナルはまた、本明細書に記載の方法;例えば、種々 の変異を含むヘルパーウイルスゲノムDNAまたはヘルパーウイルスDNAフラグメン トでの宿主細胞のトランスフェクション、およびヘルパーウイルスビリオン産生 についてのアッセイによって同定され得る。本発明の実施のためにより好ましく は、ヘルパーウイルスベクターは、増殖性AAV感染に必須のヘルパーウイルス遺 伝子または他の配列を含有する、ゲノムヘルパーウイルスDNAの部分のみを含有 する。例えば、アデノウイルスE1、E2、E4、およびVA遺伝子産物が、増殖性アデ ノ随伴ウイルス感染に必須のアデノウイルス機能であることは公知である(Bern sおよびLabow,1987,J.Gen.Virol.68:601-614)。 一般的に、ヘルパーウイルスベクターは、全ての必須のヘルパーウイルス機能 をコードするヘルパーウイルスDNAを含有する。しかし、増殖性AAV感染に必須の 1つ以上のヘルパーウイルス機能を発現し得る特定の宿主細胞と組み合わせて使 用されると、従って、ヘルパーウイルスベクターは、ヘルパーウイルスゲノム配 列をほとんど含有しなくてもよい。例えば、1つの好ましいヘルパーウイルスベ クターは、アデノウイルス(Ad)dl309の大きなXbaIフラグメントである。この フラグメントは、アデノウイルスゲノムから左の大部分の約900塩基を欠失して いる。アデノウイルスdl309の左末端は、アデノウイルスの複製およびパッケー ジングに必須のシス作用シグナルを含むだけではなく、Ad E1遺伝子に対するプ ロモーター領域も含有する。Ad E1遺伝子産物は、AAVの増殖性感染に必須である 。しかし、ヒト細胞株293は、トランスフェクション用の宿主として293およびヘ ルパーウイルスベクターとして大きなXbaIフラグメントの使用が、必須のヘルパ ーウイルス機能の全相補を提供するように、Ad E1遺伝子を発現する。本明細書 に記載の方法または当該分野で周知の他の匹敵する方法を使用することにより、 当業者は、増殖性AAV感染に必須のいずれか特定のヘルパーウイルスの特定のゲ ノム配列を容易に決定し得る。 ヘルパーウイルスベクターに含有されるべき特定のヘルパーウイルスDNA配列 は、ヘルパーウイルスの従来の変異分析によって決定され得る。例えば、ヘルパ ーウイルスゲノムを通しての種々の欠失または点変異を含むヘルパーウイルスベ クターでのトランスフェクションの使用によって、AAVの増殖性感染のための必 須の機能を提供する、ヘルパーウイルスゲノムの領域が決定され得る。変異分析 の代替として、ヘルパーウイルスゲノムDNAの種々の制限フラグメントまたはそ の他のフラグメントが、トランスフェクションのためにフラグメントを直接使用 すること、またはフラグメントをクローン化して、トランスフェクションのため にそのクローンを使用することのいずれかによって、必須の機能の存在について アッセイされ得る。これらの技術のいずれについても、ヘルパーウイルスDNAが 、AAVによってトランスフェクトされるか、または感染される宿主細胞中へトラ ンスフェクトされ、そして増殖性AAV感染の存在または非存在が、従来方法(例 えば、感染センターアッセイ、McLaughlinら、1988)によって決定される。ある いは、AAVの増殖性感染は、AAV repおよびcap遺伝子の発現に依存するので、AAV repおよびcap遺伝子(ヘルパーAAVベクターに由来する)の発現を誘導するトラ ンスフェクトされたヘルパーウイルスDNAの能力が決定され得る。上記のように 、増殖性AAV感染に必須の機能をコードするヘルパーウイルス領域の多くは、す でに公知である。少なくともこれらの既知の必須の領域は、ヘルパーウイルスベ クターに含有される。 ヘルパーウイルスベクターは、任意の都合の良い形態であるDNA分子(例えば 、全ウイルスゲノム、ウイルスゲノムの制限フラグメント、ヘルパーウイルス配 列を含有するプラスミドまたはバクテリオファージ、または、化学的または酵素 的に合成されたDNA)であり得る。ヘルパーウイルスベクターDNAは、任意の適切 な方法によって調製され得る。 特に、Ad dl309由来の大きなXbaIフラグメント(JonesおよびShenk,Cell,19 79 17:683-689)は、ヘルパーウイルスベクターとして使用され得る。Ad dl309 は、1つのXbaI部位を含み、そしてXbaIでの切断は、左末端からの約900 bpフラ グメントおよび右末端からの約35,000 bpフラグメントを提供する。より大きな フラグメントが、Ad E1以外の増殖性AAV感染に必須の全ヘルパーウイルス機能を 提供する。XbaIの大きなフラグメントを用いてヒト293細胞をトランスフェクト すると、Ad E1は293細胞によって供給される。 ヘルパーAAVベクターおよび組換えAAVベクターは、当該分野で周知である(例 えば、Muzyczka,1992,前出;米国特許番号第5139941号;WO9413788を参照のこ と)。一般的に、組換えAAVベクターは、外来(すなわち、非AAV)遺伝子または 目的のDNA配列に連結された、AAV逆方向末端反復(または、ベクターが、複製お よび/または組み込み、ならびにパッケージングするのを可能にするその他の配 列、例えば、WO9413788に記載されている2重(double)Dベクター)を含有する 。本発明による使用に適した組換えAAVベクターとして、psub201(Samulski 198 7 J.Virol.61:3096)、およびdl3-94(McLaughlinら、1988 J.Virol.62:196 3)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、ヘルパーAAVベクターは 、例えば、AAV repおよびキャプシド遺伝子を含む、rAAVを複製およびパッケー ジングするのに必要なAAV機能を発現する。本発明による使用に適したヘルパーA AVベクターは、pAAV/Ad(Samulski,1989)を含むが、これに限定されない。本 発明の方法は、いずれの特定のrAAVベクターまたはヘルパーAAVベクターにも依 存せず、従来方法により(すなわち、ヘルパーウイルスとの同時感染により)感 染性rAAVを産生し得る任意のこのような系が、本発明の方法での使用に適してい る。 トランスフェクションは、DEAE-デキストラン法(McCutchenおよびPagano,19 68,J.Natl.Cancer Inst.41:351-357)、リン酸カルシウム手順(Grahamら19 73,J.Virol.33:739-748)、または当該分野で公知の任意の他の方法(例えば 、マイクロインジェクション、リポフェクション、およびエレクトロポレーショ ンを含むが、これらに限定されない)によって実施され得る。トランスフェクシ ョンに使用されるベクターDNA量は、106細胞あたり約0.2〜10μgの適切な各DNA であるが、異なるDNA構築物および異なる細胞型の間で変化し得る。トランスフ ェクションの数時間から数日後の最後に、トランスフェクトされた細胞は、例え ば、凍結-解凍技術、超音波処理またはダンス型ホモナジナイゼーションによっ て破壊され、そして産生されたビリオンが得られた溶解物から回収され得る。溶 解物は、ビリオン濃度のアッセイにまたはレシピエント細胞の感染に直接使用さ れ得る。あるいは、溶解物中のビリオンはまず、遠心分離により(例えば、CsCl 勾配 中の密度勾配遠心分離により)、または高速度でウイルスをペレット化すること によって濃縮され得る。 典型的に、本発明の方法には、約106宿主細胞は、0.2 ugと10 ugとの間のヘル パーウイルスベクター、ヘルパーAAVベクター、およびrAAVベクターの各々でト ランスフェクトされる。DNA量は、使用される特定のベクターおよび細胞に依存 するが、一般的に、DNAモル比は約1:2:9 rAAVベクター:ヘルパーウイルス ベクター:ヘルパーAAVベクターである。しかし、ベクターのいずれか特定の組 み合わせに対するこの比の変化は、異なる量のいずれか特定のベクターでトラン スフェクションし、そして最大ビリオン収率を得るための最適量を決定すること によって、当業者により容易に決定され得る。一般的に、ヘルパーウイルスベク ター量は、感染に使用される感染性ウイルス量(プラーク形成単位)の103倍と1 05倍(ゲノム当量)との間である。例えば、Ad dl309の大きなXbaIフラグメント がヘルパーウイルスベクターである場合、5×106細胞のトランスフェクションに 使用されるDNA量は、2.6×1011ゲノム当量である。同量の細胞が、アデノウイル スdl309で感染される場合には、感染に対してのウイルス最適量(MOI = 5)は、 2×107プラーク形成単位である。細胞を、数時間〜数日間、好ましくは24時間〜 72時間インキュベートして、次に、その細胞を回収し、溶解して、ビリオンを回 収して力価を決定する。 本発明の方法に有用な宿主細胞としては、AAVの複製を許容する任意の細胞、 特に哺乳動物細胞(HeLa細胞またはヒト293細胞を含むが、これらに限定されな い)が挙げられる。宿主細胞の選択が、使用される特定のヘルパーウイルスベク ターに部分的に依存し得ることは、前記の考察から理解される。潜伏感染を有す る細胞もまた使用され得る。 本発明の方法によって得られたAAVまたはrAAVビリオンの力価は、従来方法で 調製されたウイルスストックに対するAAVウイルス力価の決定に一般的に使用さ れる方法(例えば、McLaughlinら、1988 J.Virol.62:1963; Dhawanら、1991を 参照のこと)と同じ方法によって決定され得る。選択される特定の方法は、ビリ オンが有する特定の遺伝子または他のDNAに依存する。例えば、ビリオンDNAがβ -ガラクトシダーゼ遺伝子(Lac Z)を有する場合、力価は、レシピエント細胞を 形質導入し、形質導入体中のβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の発現頻度を測定する ことによって、評価され得る(例えば、Dhawanら、Science 254:1509 1991を参 照のこと)。典型的には、本発明の方法は、従来の方法によって(すなわち、ヘ ルパーウイルス感染を用いて)提供される力価に匹敵するか、またはそれより大 きい、rAAVに対するウイルス力価を提供する。驚くことに、ヘルパーウイルスに よる感染よりむしろヘルパーウイルスDNAによるトランスフェクションの使用は 、ウイルス収率において有意な減少をもたらさない。おそらく、両方の系が、rA AVプラスミドおよびヘルパーAAVプラスミドのトランスフェクション効率によっ て制限されるからである。典型的に、本発明の方法によって産生されるwt AAVの 収率は、より従来の方法によって一般的に得られるものより少ないが、産生され るwt AAVは実質的にヘルパーウイルスを含まない。 本発明の方法は、実質的にヘルパーウイルスを含まないrAAVまたはAAVストッ クを提供する。実質的にヘルパーウイルスを含まないことは、本発明の方法によ って産生されたウイルスストックが、ヘルパーウイルス感染に感受性のある細胞 に対して、検出可能な細胞変性効果(CPE)を生じないことを意味する。細胞変 性効果は、4×105の適切な宿主細胞を、本発明の方法によって産生された、1 ml あたり106〜108AAVを含有する、AAVウイルスストックの1〜1000希釈物の10 ulで 感染させることによって、好都合に測定され得る。AAVまたはrAAVストックの産 生に関する限り、CPE決定には同じ種類の細胞が好都合に使用されるが、特定の ヘルパーウイルベクターが由来するヘルパーウイルスによる感染に感受性のある いずれの細胞もCPE決定に適している。感染は1時間進行され、培地は適切に交 換され、そして細胞はどのクリアランスについても観察される。CPEが、48時間 後に観察されないときには、AAVウイルスストックは、実質的にヘルパーウイル スを含まない。CPE決定の他の方法は、本発明の方法に有用であり、そして当該 分野で周知である(例えば、Aghaら、1988 J.Med.Virol.26:85-92を参照のこ と)。 本発明の方法の別の実施態様では、細胞は、ヘルパーウイルスベクターでトラ ンスフェクトされ、そして野生型(wt)AAvで感染され、混入するヘルパーウイ ルスを含まないwt AAVビリオンを産生する。トランスフェクションおよび感染は 、 当該分野で周知の手順および上記の手順によって実施される。あるいは、細胞は 、ヘルパーウイルスベクターおよび感染性AAVプラスミド、例えば、pSM620(Sam ulski,1982)でコトランスフェクトされる。これらの方法のいずれかは、rAAV ストックについて上記のように、実質的にヘルパーウイルスを含まないwt AAVス トックを提供する。 本発明のさらなる実施態様では、ヘルパーウイルスベクターは、宿主細胞中で 染色体外エレメント(例えば、ミニクロモソームまたはエピソーム)に存在し得 る。このような染色体外エレメントは、宿主細胞で安定に維持され、そして毎回 ヘルパーウイルスベクターでのトランスフェクションの必要性がなく、増殖性AA V感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供する。哺乳動物染色体外エレメント (例えば、エプスタインバーウイルス(EBV)に基づく核エピソーム(Margolski , 1992,Curr.Top.Microbiol.Immun.158:67-95))は公知であり、そして周 知の方法(例えば、Giraudら(Proc.Natl Acad.Sci.,1994,91:10039-10043) )によって容易にヘルパーウイルスベクターから調製され得る。好ましくは、ヘ ルパーウイルスベクターを含む染色体外エレメントは、細胞あたり1〜100コピ ー存在する。あるいは、ヘルパーウイルスベクターは、宿主細胞の染色体に安定 に組み込まれて、増殖性AAV感染に必須のヘルパーウイルス機能を発現する細胞 株を産生し得る。ヘルパーウイルスベクターが染色体外エレメントに存在するか 、または染色体DNAに安定に組み込まれる細胞株が、ヘルパーウイルスベクター で適切な宿主細胞をトランスフェクトし、そしてAAVの増殖性感染を支持し得る クローン化された細胞株を選択することによって、同定および単離され得る。こ のような細胞株は、特に、ヘルパーAAVベクターでトランスフェクトし、AAV rep およびcap遺伝子の誘導についてアッセイするか、rAAVでトランスフェクトし、r AAVゲノムの複製についてアッセイするか、または感染性AAVプラスミドでトラン スフェクトし、感染性AAVビリオンの産生をアッセイすることを含む当該分野で 周知の技術、およびこれらの技術の任意の組み合わせによって決定され得る。必 須のヘルパーウイルス機能の発現を調節するための染色体外エレメントまたは組 み込まれたヘルパーウイルスベクター中の誘導性プロモーターの使用は、宿主細 胞に対して有害な影響を有し得るヘルパーウイルス遺伝子の未成熟発現を防ぐ のに望ましい。適切な誘導性プロモーターとしては、マウスメタロチオネインプ ロモーター、熱ショックプロモーター(Wurmら、PNAS 1986 83:5414-5418)、グ ルココルチコイド誘導性プロモーター(Heynesら、PNAS 1981 78:2038; Leeら、 Nature 1991 294:228)、およびDeuschleら(Mol.Cell.Biol.1995 15:1907-1 914)に記載の転写アクチベータードメインが挙げられるが、これらに限定され ない。 上記記載された工程の特定の例が、以下の実施例に掲載されている。しかし、 多くの改変が可能であり、その実施例は例示目的のみに提供され、明記しない限 り本発明を限定しないことは、当業者には明白である。 実施例 実施例1 アデノウイルスゲノムDNAの調製 宿主細胞を、感染多重度(MOI)5においてアデノウイルスで感染し、明確なC PEで回収する。細胞を、1000 rpmで5分間遠心分離してペレット化する。使用す る細胞の10 cmプレート5個ずつについて、細胞ペレットを、5 ml Tris-生理食 塩水(0.025 M Tris pH 7.4、0.14 M NaCl、30 mM KCl、7 mM Na2HPO4、6 mM デ キストロース)に再懸濁する。再懸濁ペレットを、凍結-解凍に3回供する。細 胞片を遠心分離で除去し、そして上清をCsCl段階(step)勾配(1.4 g/ml下層、1. 2 g/ml上層)に重層する。勾配を、SW41ローターで1時間、30,000 rpmで行う。 下層のウイルスバンドを取り出し、1.34 g/mlに調整し、40,000 rpmで24時間、S W41ローターで遠心分離する。下層のウイルスバンドを取り出し、そして10 mM T ris(pH 7.5)、1 mM EDTA、200 mM NaClで透析し、その後200 ug/ml プロテイ ナーゼ K、0.5% SDSで、37℃で1時間処理する。透析物を、2容量のフェノール で2回、2容量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)で1回抽出する 。DNAを、1/10容量の3 M 酢酸ナトリウムおよび2.5容量のエタノールで沈澱させ る。実施例2 アデノウイルスdl309 DNAの大きなXbaIフラグメントの調製 アデノウイルスdl309ゲノムDNAを、実施例1に記載されているように単離する 。次に、精製Ad DNA(50 ug)を、製造者の示唆に従って、50単位の制限酵素Xba I とともに、消化が完了するまでインキュベートする。XbaI消化DNAを、0.8%アガ ロースゲルでの電気泳動によって分離し(Maniatisら、1982,Molecular Cloning : a laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratories)、そしてより大き なフラグメント(35,000 bp)を、ゲルから切り出す。アガロースを、ゲラーゼ (gelase)(5Prime-3Prime)を使用して可溶化し、そしてDNAをエタノールで沈 澱させ、水に再懸濁する。実施例3 アデノウイルスdl309の大きなXbaIフラグメントでのトランスフェク ションによる感染性rAAV/β-galの調製 293細胞(Grahamら、1977 J.Gen.Virol.36:59-72)を、密度9.09×104細胞 /cm2で、10 cm組織培養プレート中で継代した。翌日、細胞を、CaPO4沈澱法(G ibco-BRL)を用いて、12時間トランスフェクトした。各10 cmディッシュについ て、以下の量のDNAを使用した:pAAV/β-gal(1μg)(pAAV/β-galは、Goodman ら、1994 Blood 84:1492-1500に記載されているpAB11と同じである)、pAAV/Ad (9μg)、アデノウイルスdl309 DNAの大きなXbaIフラグメント(10μg)。12時 間の最後に、培地を、DMEM+10% FCSと交換し、細胞をさらに48時間インキュベ ートした。インキュベーションの最後に、細胞を回収し、超音波処理より溶解し 、感染性ビリオンを含有する得られた溶解物を、293細胞またはHeLa細胞のいず れかの次の感染の際にβ-ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした(青色の 染色核は、パッケージングされた感染性rAAVを示す)。細胞を、種々の量の溶解 物で感染させ、固定し、24時間後に染色した。うまくパッケージングされたrAAV の存在は、青色の染色核の数により明らかであった。さらに、細胞変性効果(CP E)の形跡はなく、これらはいずれの混入Adも存在しないことを示す。実施例4 ウイルス力価決定のためのドットブロットアッセイ 293細胞の10個の10 cmディッシュを、実施例3のようにトランスフェクトする 。トランスフェクションの48時間後に、その細胞を回収し、超音波処理または凍 結-解凍のいずれかによって溶解し、その後、RNaseAおよびDNaseIによって処理 し、そして細胞片を遠心分離により除去する。ウイルスを、等容量の飽和硫酸ア ンモ ニウムの添加により沈澱させる。沈澱をCsCl溶液(密度=1.4 g/ml)に再懸濁し 、SW41ローターで、48時間40,000 rpmにて遠心分離する。勾配を滴下し、そして 0.4 ml画分を回収する。画分を、以下の手順によってDNAについてアッセイする 。 5 ulのCsCl勾配画分を、2 ul RNase(1 mg/ml)、2 ul DNase(1 mg/ml)、1 ul 1 M CaCl2、1 ul 1 M MgCl2、および189 ul 50 mM Tris(pH 8)と混合する 。その混合物を37℃で30分間インキュベートし、次に、2 ul 0.5 M EDTA(pH 8 )、4 ul 0.25 M EGTA(pH 8)、および10 ul 10%サルコシンを加える。混合物 を70℃まで10分間加熱し、次に、37℃まで冷却する。20 ulプロテイナーゼ K(1 0 mg/ml)を加えて、そして37℃にて2時間インキュベートする。40 ul 5 M NaO H、20 ul 0.5 M EDTA(pH 8)、および224 ulの水を加え、そして試料をドット ブロット装置の別々のウェルにアプライする。ドットブロットを、従来手順によ って、適切なAAV(またはヘルパーウイルス)プローブにハイブリダイズさせ、 そしてDNA量を標準と比較して決定する。図3は、rAAVの2つの異なる調製物か らの、CsCl勾配画分のドットブロットのデンシトメータースキャンを示す。白棒 は、細胞を超音波処理によって破壊した場合の、勾配画分中のrAAV DNA量(ゲノ ム当量/ml)を示し;黒棒は、細胞を凍結-解凍により破壊し、その後、RNaseA およびDNaseIの組み合わせで処理した場合の、勾配画分中のrAAV DNA量を示す。 本明細書に記載されている全ての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊 行物または特許出願が、詳細におよび個々に示されて参考として援用される場合 と同程度に、参考として本明細書に援用されている。 本発明は、ここに十分に記載され、多くの変化および改変が、添付の請求の範 囲の精神または範囲を逸脱することなく実施され得ることは、当業者には明白で ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 48/00 C12N 5/00 B (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 ギアオ,ギアオ アメリカ合衆国 ノースカロライナ 27514,チャペル ヒル,リバー バーチ レーン 210 (72)発明者 サムルスキー,リチャード ジェイ. アメリカ合衆国 ノースカロライナ 27514,チャペル ヒル,ダーリン サー クル 102

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.組換えアデノ随伴ウイルスの実質的にヘルパーウイルスを含まないストッ クを産生する方法であって、以下の工程: (a)アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を以下のもの: i)感染性AAVビリオン中にパッケージングされ得る組換えアデノ随伴ウイル スベクター、 ii)該組換えアデノ随伴ウイルスベクターの複製、および感染性AAVビリオン へのパッケージングに必須のAAVウイルス機能を提供するヘルパーAAVベクター、 および iii)増殖性アデノ随伴ウイルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供す るが、それ自身は感染性ヘルパーウイルスビリオン中にパッケージングされ得な いヘルパーウイルスベクター、 でコトランスフェクトする工程;ならびに (b)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する、方法。 2.前記ヘルパーウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、請求 項1に記載の方法。 3.前記ヘルパーウイルスベクターが、アデノウイルスの大きなXbaIフラグメ ントを含有する、請求項1に記載の方法。 4.前記細胞が、ヒト293細胞である、請求項3に記載の方法。 5.前記ヘルパーAAVベクターが、感染性AAVビリオン中にパッケージングされ 得ない、請求項1に記載の方法。 6.アデノ随伴ウイルスの実質的にヘルパーウイルスを含まないストックを産 生する方法であって、以下の工程: (a)増殖性アデノ随伴ウイルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供する が、それ自身は感染性ヘルパーウイルスビリオン中にパッケージングされ得ない ヘルパーウイルスベクターでアデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を トランスフェクトする工程; (b)該細胞をアデノ随伴ウイルスで感染する工程;および (c)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する、方法。 7.アデノ随伴ウイルスの実質的にヘルパーウイルスを含まないストックを産 生する方法であって、以下の工程: (a)増殖性アデノ随伴ウイルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供する が、それ自身は感染性ヘルパーウイルスビリオン中にパッケージングされ得ない ヘルパーウイルスベクターでアデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を 、トランスフェクトする工程; (b)該細胞を感染性アデノ随伴ウイルスDNAでトランスフェクトする工程;およ び (c)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する、方法。 8.請求項1に記載の方法によって産生された、実質的にヘルパーウイルスを 含まないストック。 9.請求項6に記載の方法によって産生された、実質的にヘルパーウイルスを 含まないストック。 10.請求項7に記載の方法によって産生された、実質的にヘルパーウイルス を含まないストック。 11.組換えアデノ随伴ウイルスの実質的にヘルパーウイルスを含まないスト ックを産生する方法であって、以下の工程: (a)アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を、以下のもの: i)感染性AAVビリオン中にパッケージングされ得る組換えアデノ随伴ウイル スベクター、および ii)該組換えアデノ随伴ウイルスベクターの複製および感染性AAVビリオンへ のパッケージングに必須のAAVウイルス機能を提供するヘルパーAAVベクター、で コトランスフェクトする工程であって、ここで該細胞が、増殖性アデノ随伴ウイ ルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供するヘルパーウイルスベクターを 有する染色体外エレメントを含有する工程;ならびに (b)産生されたビリオンを回収する工程、 を包含する、方法。 12.請求項11に記載の方法によって産生された、実質的にヘルパーウイル スを含まないストック。 13.以下の工程を包含する方法によって産生される細胞株: (a)アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を、増殖性アデノ随伴ウ イルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供するが、それ自身は感染性ヘル パーウイルスビリオン中にパッケージングされ得ないヘルパーウイルスベクター でトランスフェクトする工程;および (b)該ヘルパーウイルスベクターが、染色体外エレメント上に存在する細胞株 を選択する工程。 14.以下の工程を包含する方法によって産生される細胞株: (a)アデノウイルス随伴ウイルス複製を許容する細胞を、増殖性アデノ随伴ウ イルス感染に必須のヘルパーウイルス機能を提供するが、それ自身は感染性ヘル パーウイルスビリオン中にパッケージングされ得ないヘルパーウイルスベクター でトランスフェクトする工程;および (b)該ヘルパーウイルスベクターが、染色体DNA中に安定に組み込まれた細胞株 を選択する工程。
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