【発明の詳細な説明】
液晶ポリマーデバイス及び材料
本発明は、液晶デバイス内での液晶ポリマーの分子整列(alignment
of liquid crystal polymers)、及び新規な液晶
ポリマーの提供に係わる。
ポリマーの基本的構成ブロックである単位をモノマーと呼称する。
重合過程、即ちポリマー構成モノマーからのポリマーの生成では普通均一分子
量のポリマーは生成せず、分子量の分布が認められる。ポリマー試料を説明する
際には、重合度(D.P.)と呼称される、ポリマー1分子当たりの平均モノマ
ー数に言及しなければならない。大多数のポリマー分子のモノマー数が前記平均
値とどれだけ相違するか(もしくは分子量の広がりを説明する数値)を、多分子
度(polydispersity)と呼称する。
所与の試料に関し、数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを含めた幾つか
の異なる平均分子量がゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から引き出せる。
D.P.の算出に用いる値は普通Mnであり、多分子度は普通Mw/M
nと定義される。
ポリマーを複数の異なる種類のモノマーから製造することが可能であり、その
ようなポリマーはコポリマーと呼称される。2種類のモノマーがランダムに結合
している場合、ポリマーはランダムコポリマーと呼称される。2種類のモノマー
がまずそれぞれ短いモノマー鎖を形成し、これらのモノマー鎖が組み合わされて
最終的なポリマーを形成すると、ブロックコポリマーが得られる。一方のモノマ
ーの短い鎖が他方のモノマーから成る長い鎖に側鎖として結合した場合は、ポリ
マーはグラフトコポリマーと呼称される。
液晶ポリマーでは、モノマーは実質的に二つの方法で互いに結合し得る。液晶
ポリマーの液晶部分もしくはメソーゲン単位はポリマーバックボーンの一部とし
て主鎖ポリマーをもたらし得、あるいはまたメソーゲン単位はポリマーバックボ
ーンに側基として結合し得、即ちポリマーバックボーンから伸長し得、この場合
は側鎖ポリマーをもたらす。これらの異なる種類のポリマー液晶を、次に概略的
に図示する。メソーゲン単位を長方形によって示す。
側鎖型液晶ポリマーは通常、硬質セグメント(メソーゲン単位)が結合した軟
質ポリマーから成ると考えることができ、前記セグメントは次の概略的説明図に
示した短い軟質(または硬質)単位を介して軟質ポリマーに、該ポリマーの長手
方向に沿って結合している。液晶相において配向を示すのは、メソーゲン単位の
異方性硬質セクションである。液晶が示す諸相、及び相変化の結果生じる光学特
性に影響を及ぼすべく変更し得る要点は多数存在し、そのうちの幾つかは側鎖型
液晶ポリマーに特に適する。そのような要点の一つに、メソーゲン単位をポリマ
ーバックボーンと結合させる軟質部分が有り、この部分は通常スペーサーと呼称
される。スペーサーの長さは変更可能であり、その柔軟性も変更可能である。
側鎖型液晶ポリマーは幾つかが公知である。例えば英国特許出願公開第214
6787号を参照されたい。
液晶ポリアクリレートは公知の液晶ポリマー(LCP)類である。LCPは公
知であり、電気光学的用途、例えばパイロ電気的デバイス、非線形光学デバイス
及び光学的記憶デバイスに用いられている。例えば、上記英国特許出願公開及び
Makromol. Chem. 186, pp.2639−2647, 1
985を参照されたい。
Polymer Communications 24,pp.364−36
5, 1988に、例えば式
〔式中(CH2)m−Xはメソーゲン単位側鎖であり、Rは水素またはアルキルで
ある〕を有する側鎖型液晶ポリアクリレートが記載されている。
Makromol. Chem.Rapid Commun. 5, pp.
393−398, 1984には、例えば式
〔式中Rは塩素である〕を有する側鎖型液晶ポリクロロアクリレートが記載され
ている。
英国特許出願第9203730.8号には、反復単位
〔式中R1及びR2は独立にアルキルまたは水素であり、
R3はアルキル、水素または塩素であり、mは0または整数1〜20であり、W
は結合基COOもしくはOOC、またはOであり、Xはメソーゲン基である〕を
有するポリアクリレートホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法が開示さ
れている。
ポリマー液晶に伴う主要な問題点の一つに、この液晶はデバイス内での分子整
列がきわめて困難であることが有る。ポリマー液晶の分子整列には実質的に二つ
の技術が用いられている。液晶ポリマーを後段に詳述する、低モル質量(mol
ar mass)液晶を分子整列させる方法と同様の方法で分子整列させる試み
が可能である。あるいは他の場合には、剪断などの機械的技術を用い得る。機械
的剪断は、典型的にはホットローラー上で行ない、この技術は通常軟質基板にし
か適さない。スライドガラス間に配置した試料を剪断することが可能であるが、
スライドガラスは通常の方法では封止できない。
Morozumi, “Materials and Assembling
Process of LCDs,” Liquid Crystals A pplications and Uses
, vol.1, Ba
hadur編, World Scientific Publishing
Co. Pte. Ltd., pp.171−194, 1990及びこの論
文に引用された参考文献では、標題が示唆するように、液晶デバイスを組み立て
る方法が検討されている。
低モル質量液晶を分子整列させる技術は、典型的には次のような技術である。
典型的にはガラス、例えばスライドガラスから成る基板の表面上に透明電極を形
成する。例えば捻じれネマチックデバイスまたは超捻じれ(supertwis
ted)ネマチックデバイスでは、分子整列は両方の基板にとって必要である。
液晶分子を整列させるのには薄い整列層をデポジットし、その際典型的には有機
または無機整列層を用い、例えば蒸着したSiOは典型的な無機整列層である。
整列層を形成する一方法では、織り地もしくは布地で表面を擦る。層表面での分
子整列にはポリイミドも用いられている。電極を支持する基板を、遠心機(sp
inner)を用いてポリイミドで被覆し、その後ポリイミドを硬化させて厚み
約50nmの層を形成する。次に、各層表面を適当な材料で実質的に一方向へ繰
り返し擦る。この層に液晶分子をデポジットすると、分子は層を
擦った方向へ自動的に整列する。分子が僅かな角度、典型的には2〜3°の予備
傾斜(pre−tilt)を有することがしばしば好ましい。時にはより大きい
角度の予備傾斜が必要となる。
電極形成後、2個の基板を、例えば接着剤によって互いに固定し、その際間隙
形成材料によって基板同士を離隔した状態に維持する。このようにして均一でか
つ正確なセルスペースを実現する。典型的な接着剤はエポキシ樹脂である。この
封止材料は普通、適用後予備硬化させる。次に、電極を正確に並べて、例えば表
示画素とし得る。その後セルを、例えば100〜150℃で硬化させる。この時
点で、空の液晶セルが完成する。
セルに液晶材料を充填するのは上記時点である。液晶セルの封止域の開口寸法
はかなり小さく、従って、例えば真空チャンバ内でセル内を真空化し、このセル
に液晶をガス圧によって押し込むことができる。これには、封止域に設けた2個
以上の孔を用い得る。空のセルを真空チャンバに入れ、その後真空チャンバをポ
ンプで吸引する。セル内が真空になった後、シーラントの開口領域を液晶材料に
浸漬し、真空チャンバを常圧に戻す。毛管作用の結果として液
晶材料がセル内に吸い込まれ、この時外部ガスを適用して圧力を高めることが可
能である。充填が完了したらシーラントの孔をキャップ材料で覆い、セルを液晶
材料透明点(clearing point)より高い温度で硬化させ、それに
よって液晶分子の整列を安定にし、かつキャップ材料の硬化を実現する。
ポリマー液晶分子は低分子量液晶材料よりも粘稠となる傾向を有し、従ってよ
り整列しにくく、またデバイスへの充填がより困難である。低い分子量を有する
液晶ポリマーのみがセルに流入充填(flow fill)され得、重合度が3
0または40反復単位前後を越えると、ほとんどの液晶ポリマーはセルへの流入
充填がきわめて困難なほど粘稠となる。このような液晶ポリマーを分子整列させ
ようとすればはるかに緩慢な冷却が必要となり、結果として普通、分子整列の均
一性が低下する。
十分に整列しない液晶分子は、通常必要とされる高速スイッチング高コントラ
スト材料及びデバイスを実現しない。
上述の技術は、スメクチック中間相を示し、かつ該相で用いられる液晶材料、
例えば強誘電体を用いるデバイスを含めた多くの液晶材料に適する。適当な分子
整列技術は、
英国特許第2210469号中にも見出すことができる。
強誘電性液晶混合物を含むデバイスは短いスイッチング時間(100マイクロ
秒未満)を示し得る(Clark及びLagerwall, Appl. Ph
ys. Lett. 36, 89, 1980)。このデバイスは双安定性で
あり得、即ちライン走査(line−at−a−time scan)技術を用
いて高レベルで多重化され得る。強誘電性材料は高解像度フラットパネル型表示
装置に適用されるため、該材料には研究者の多大な関心が寄せられ続けている。
液晶材料を含むデバイスの重要な一特徴は、応答時間が短いということである。
応答時間は幾つかの要因に依存し、そのような要因の一つに記号Psによって表
わされる自発分極(nC/cm2として測定)が有る。液晶混合物にキラルドー
パントを添加することによってPsの値を高めることができ、即ちデバイスの応
答時間は短縮される。アキラルな親材料(host)とキラルドーパントとの混
合によって製造可能である強誘電性スメクチック液晶材料は、傾斜キラルスメク
チックC、F、G、H、I、J及びK相の強誘電特性を有する。キラルスメクチ
ックC相を記号SC *によって表わす。星印はキラルである
ことを示している。SC *相は最速のスイッチング特性を有するので、通常最も有
用であると看做される。液晶材料を含むデバイスにおいて表面分子整列が助長さ
れるためには、材料がキラルスメクチック相よりも高い温度においてネマチック
(Nと表記)及びSA相を示すことが望ましい。強誘電性スメクチック液晶材料
は、理想的には次の諸特徴を有する。即ち、低い粘度と、制御可能なPsと、周
囲温度を含む広い温度範囲にわたって存続し、かつ化学的及び光化学的に安定で
あるSC *相とである。これらの特徴を有する材料によって、超高速スイッチング
液晶を含むデバイスを製造する見込みが得られる。
Dijon, “Ferroelectric LCDs,” Liquid Crystals Applications and Uses
, vol
.1, Bahadur編, World Scientific Publi
shing Co. Pte. Ltd., pp.350−360, 199
0及びこの論文に引用された参考文献では、低モル質量材料のスメクチック相に
関する分子整列法が検討されている。スメクチック相は粘稠であるので、セルへ
の充填は等方性相またはネマチック相で
のみ可能であると考えられる。通常、次の相順序
I−N*−SA−SC *またはI−SA−SC *
を有する材料は良好な分子整列を示すが、次の相順序
I−N*−SC *
を有する材料はより整列しにくい。従って、スメクチック相の液晶材料を用いる
ためには典型的には、材料を加熱してネマチック相または等方性相とし、これを
ゆっくり冷却して分子整列したスメクチック状態とする。このような技術をポリ
マー液晶材料に適用した場合は普通、分子整列の助長のために冷却時間が甚だし
く長くなり、しかも実現する分子整列はきわめてしばしば不十分である。
本発明は上述の問題点を、液晶モノマー材料の使用時(in situ)重合
によって解決する。
本発明はその第一の構成において、
電気光学的デバイスを製造する方法であって、
離隔して配置された2個のセル壁を含み、これらの壁の内側面は電極構造体を構
成するセルを形成するステップ、
モノマー材料及びカチオン性重合開始剤を含有する混合物を用意するステップ、
混合物をセル壁同士の間に導入するステップ、
混合物を重合させるステップ
を含む方法
を提供する。
好ましくは、少なくとも一方のセル壁を表面処理し、それによって液晶分子整
列を実現する。
モノマー材料を重合前に分子整列させ得、及び/または重合後にポリマーを分
子整列させ得る。モノマーは、ネマチック、コレステリックまたはスメクチック
を含めた既知の液晶相のうちのいずれかで存在させ得る。
好ましくは、重合はUV光下に、及び/または付加的に加熱しつつ生起させる
。
セル壁は実質的に硬質であり得、または少なくとも一方のセル壁は実質的に軟
質であり得る。このようなセルは液晶ポリマー、例えばスメクチック液晶ポリマ
ーの薄層の製造に用い得る。この場合、電極は必要ない。分子整列した液晶ポリ
マー層を先に述べたように製造する。実質的に軟質であるセル壁のうちの少なく
とも1個を、例えば分子整列したポリマー層からの剥離によって除去する。必要
であれば、少なくとも1個の層上に電極を形成し得る。電極は、例えばインジウ
ム錫酸化物、アルミニウムまたは金から成
り得る。導電性ポリマーから、または上記物質の組み合わせから成る電極を形成
することも可能である。電極は透明であってもなくてもよい。層、または層電極
は1個の支持体上にか、または支持体間に設置し得る。このような方法は、パイ
ロ電気的デバイス、圧電デバイス及び他の電気活性デバイス、例えばセンサーの
製造に有用であり得る。
英国特許出願第9420632.3号に、液晶ポリマーの分子量の制御への連
鎖移動試薬の使用が開示されている。本発明の混合物中に連鎖移動試薬を存在さ
せることも可能である。
本発明は別の一構成において、式I
〔式中
X及びX1は直鎖または分枝鎖C1 〜16アルキル、ハロゲ
ン及びHの中から独立に選択され、
Zは単一共有結合(single covalent bond)、酸素、CO2
またはOCOであり、
nは1〜20であり、
YはO、CO2、OCO、CH2、CHOHであり、
mは3〜10,000である〕の材料も提供し、前記メソーゲン基は一般構造式
II
〔式中
A、B及びDは
の中から独立に選択され、
W1及びW2は単一共有結合、COO、OCO、CH2CH2、CH2O、OCH2及
びOの中から独立に選択され、QはCN、ハロゲン、R、OR、COOR、OO
CR、CF3及びラクテート誘導体の中から選択され、その際Rはキラルの直鎖
または分枝鎖アルキルであり得、かつ1〜16個の炭素原子を有し得、また隣接
しない1個以上のCH2基がCH(CN)、CH(CF3)、CH(Cl)、CH
(CH3)によって置換された場合を包含し、
前記フェニル環及びシクロヘキシル環上の置換基は特定の前記環上に少なくとも
1個の置換基が存在し得ることを示し、その際フェニル環上に存在する置換基は
4個以下、シクロヘキシル環上に存在する置換基は10個以下である〕
によって定義される。
本発明の開示する液晶ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーを含めた公
知の種類のうちのいずれかであり得る。
YはCHOHであり得、またOH基はエラストマーを形成する架橋剤のための
結合点として用いられ得、前記架橋剤の例には
〔式中n及びmは1〜20である〕が含まれる。
本発明は更に別の構成において、1種以上の式Iの材料を含む電気光学的デバ
イスを製造する方法であって、
離隔して配置された2個のセル壁を含み、これらの壁の内側面は電極構造体を構
成するセルを形成するステップ、
モノマー材料及びカチオン性重合開始剤を含有する混合物を用意するステップ、
混合物をセル壁同士の間に導入するステップ、
混合物を重合させるステップ
を含む方法も提供する。
混合物中にラジカル光重合開始剤を存在させることも可
能である。
好ましくは、少なくとも一方のセル壁を表面処理し、それによって液晶分子整
列を実現する。
モノマー材料を重合前に分子整列させ得、及び/または重合後にポリマーを分
子整列させ得る。モノマーは、ネマチック、コレステリックまたはスメクチック
を含めた既知の液晶相のうちのいずれかで存在させ得る。
好ましくは、重合はUV光下に、及び/または付加的に加熱しつつ生起させる
。
以下の図式に関し本発明を説明する。
図1はエポキシドモノマーの製造の合成スキームである。
図2はエポキシドモノマーの重合を示す。
図3は液晶装置(デバイス)を示す。
図4は焦(パイロ)電気装置を示す。
スキーム1は図1に示す。
z/塩化ベンジル、K2CO3、ブタノン、24時間還流
a/Mg、B(OMe)3、THF、HCl(aq)
b/(CH3CO)2O、H2O、NaOH、24時間還流
c/Pd(PPh3)4、K3PO4・H2O、1,4−ジ
オキサン、80℃、N2(g)、24時間
d/KOH、IMS/H2O、24時間還流、
e/CH2=CH(CH2)9Br、K2CO3/ブタノン、24時間還流
f/CH3(CH2)7OH、PPh3、DEAD、THF、25℃、N2(g)、
24時間
g/KOH、IMS/H2O、24時間還流
h/H2(g)、THF、Pd/C(5%)、25℃、24時間
i/TFAA、DCM、25℃、N2(g)、8時間
j/m−CPBA、DCM、0℃、N2(g)、18時間
上記中、DCM=ジクロロメタン、DEAD=ジエチルアゾジカルボキシレート
、TMS=工業用メチルアルコール、m−CPBA=メタ−クロロ過安息香酸、
TFAA=トリフルオロ酢酸無水物、THF=テトラヒドロフラン。
4−ブロムフェノールはAldrichから、2−フルオロ−4−ブロモ−フェノール
はWychem UKから、他の全ての出発物質はAldrichから購入した。
本発明を具体化する材料と装置の使用の例は図3に関し述べる。
液晶装置は、例えばガラスから作製される2枚の透明プレートからなる。これ
らのプレートは、透明な導電性電極3と4で内面を被覆される。液晶材料を作る
分子の平面配向がガラスプレート1と2にほぼ平行となるように、整列層をセル
の内面に導入する。このために、各列と各行の間の交差点がアドレス可能な要素
即ち画素のx、yマトリックスを形成するように、導電性電極で完全にガラスプ
レート1、2を被覆する。セルの構築の前に、フィルム5、6を(例えばベルベ
ット製の)布に包まれたローラーで一定の方向にこする。こすった方向はセルの
構築の際に平行にする(同一方向又は逆方向)。例えばポリメチルメタクリレー
トのスペーサー7が、ガラスプレート1と2を適切な距離、例えば2ミクロンで
隔てる。液晶材料8を、ガラスプレート1、2の間のスペースに充填することに
よってガラスプレート1、2の間に導入する。このことは、標準技術によりセル
に流動充填することによってなされうる。スペーサー7は、現在の技術によって
、真空中で接着剤9で密封する。偏光板10、11をセルの前後に配置しうる。
整列層は、こすり、斜蒸発、又はポリマー整列層の使用による上記のような標
準的表面処理技術の1種以上により、
一つ以上のセル上に導入できる。
装置は透過モード又は反射モードで働きうる。前者において、装置を通過する
光(例えば、タングステンバルブからの)は選択的に透過されるか、又はブロッ
クされて、所望のディスプレイを形成する。反射モードにおいて、ミラー又は拡
散反射板(12)は第2の偏光板11の後ろに置いて、セルと2枚の偏光板を通
し外界の光を反射させる。ミラーを部分的に反射させることによって、装置は透
過モードでも反射モードでも働かせうる。
別の実施態様においては、単一の偏光板と色素材料(染料)を組合せることが
できる。
セルに導入された液晶材料8は液晶モノマーとカチオン性(重合)開始剤から
なり、ポリマーの分子量を制限する試薬、例えば連鎖移動試薬も含みえ、ラジカ
ル光開始剤及び/又は熱開始剤も含みうる。
モノマー材料は、標準的技術、例えば等方性相又は液晶相、例えばネマチック
もしくはキラルネマチック相までの加熱及び該相からの冷却によって、重合前に
整列させることができる。液晶ポリマーは、表面力、剪断整列又は電磁場整列の
使用を含む1種以上の技術によっても整列させる
ことができる。
重合後、モノマー材料のある量が残っていることが可能である。これは未反応
モノマーであるか、又は重合可能基を有しない低分子量添加剤でありうる。
重合は公知の技術によって行いうる。例えば、モノマー材料とカチオン性開始
剤(の混合物)は光開始剤も含みうるし、UV光に曝されうる。熱も適用され、
モノマー及び/又はポリマーの一定相内での重合ができうる。
あるいは、重合プロセスは熱及び熱開始剤の存在下で起りうる。しかし、この
技術を用いる場合、好ましくはモノマー材料の液晶相に対応する温度で行う。
エポキシドを重合させるために(図2参照)、幾つかの混合物を製造した。こ
れらの混合物は、下記のエポキシドモノマー(RM255と命名)、ラジカル光
開始剤Irgacure 651(チバガイギーから市販)、及びカチオン性光開始剤か
らなっていた。カチオン性開始剤の濃度を変化させた。使用したカチオン性開始
剤はCyracure UVI−6974(ユニオンカーバイドから市販)であった。
転移温度/℃
K67.5 S144.4 N153.6I
混合物を茶色のガラス試験管で製造し、過剰の日光があたらないように注意し
た。混合物の総重量は約100mgであった。ラジカル光開始剤Irgacure651
を秤量して試験管に入れ、計算重量の光開始剤を加えた。次に、混合物を、エポ
キシドモノマーで総重量に調整した。次に、混合物を数滴のジクロロメタンに溶
解し、よく混合し、乾燥窒素流下室温で乾固するまで蒸発させた。混合物が重合
する用意ができた。
薄いサンプル、例えばガラス顕微鏡スライド間のモノマー混合物の重合を行っ
た。試験管内のモノマー混合物を熱空気流装置で等方性相にゆっくりと融解させ
、小サンプルをガラス棒に採り、モノマーの清澄点を僅かに超えた温度(約16
0℃)のホットプレート上の予め加熱したガラススライド上に置いた。次に、第
2のガラススライドを載せ、ゆっくりと圧縮し、モノマー混合液の薄いフィルム
を得た。
続いて、サンプルをホットプレートから取外し、重合の用意ができた。
調製したサンプルを所望温度のホットプレートに置き、厚いカードで被覆し、
平衡化させた(約5分)。その間に、ホットプレート上の所望のUVランプをつ
け、一定の状態まで温めた。カードを被曝時間の間取外し、次に再度置いた。次
にランプを消し、ホットプレートから重合したサンプルを取外した。
重合度を測定するために、ポリマー全てをGPCで試験した。この方法は以下
のようであった。
ポリマーを含むガラススライドを温め、2枚のスライドを分離させた。次に、
スライドをTHFで洗浄し、全てのポリマーとモノマーを除去した。次にTHF
溶液をGPCで試験した。ポリマーとモノマーのピークの相対的面積を用い、重
合度を測定した。
以下の混合物を試験した。
RM255 98.5%
Irgacure651 0.5%
Cyracure UVI 6974 1.0%
温度110℃でDr Honleランプ(約50mW/cm2)
を用い、種々の被曝時間で以下の結果を得た。
以下の系で、異なる硬化温度を試験した。
RM255 97.3%
Irgacure 65 0.8%
Cyracure UVI-6974 1.8%
以下の系で、異なる被曝時間を試験した。
RM255 98.5%
Irgacure 65 10.5%
Cyracure UVI-6974 1.0%
以下の系で、異なる被曝時間を試験した。
RM255 97.3%
Irgacure 65 0.8%
Cyracure UVI-6974 1.8%
以下の系で、異なる被曝時間を試験した。
RM255 90.8%
Irgacure 65 2.8%
Cyracure UVI-6974 6.4%
レーザービームを用い、材料の表面を走査するか、又はその上に書き込み跡を
残すレーザーアドレス適用を材料のために企てた。種々の理由のために、これら
の材料の多くは、可視領域で少なくとも部分的に透明である有機材料から構成し
た。該技術はレーザーエネルギーの局在化吸収によるが、これは局在化加熱を引
起し、レーザービームとの接触領域で、レーザーを当てなければ透明である材料
の光学的性質を変化させる。即ち、ビームが材料を通過するときにその経路の書
き込み跡を背後に残す。これらの適用のうちで最重要の一つは、レーザーアドレ
ス光学記憶装置、及び光が材料を含むセルに進み、スクリーン上に投射されるレ
ーザーアドレス保護ディスプレイにある。このような装置は、Khan Appl.Phys
.Lett.Vol.22,p.111,1973;Harold及びSteele、Proceedings of Euro displa
y 84,pp.29-31,1984年9月,パリ,フランスで報告された。その中で装置中の材
料はスメクチック液晶材料である。光学的記憶媒質として液晶材料を用いる装置
はこのような装置の重要なクラスである。レーザーとして半導体レーザー、特に
GaxAl1-x(xは0〜1、好ましくは1)の使用は、上記適用でポピュラーに
なった。何故ならば、それら
は、見ることができず、可視ディスプレーと干渉できない近赤外波長範囲でレー
ザーエネルギーを提供でき、十分に定められた、強い熱エネルギーの有用な源を
提供できるからである。ヒ化ガリウムレーザーは約850nmの波長のレーザー
光を提供し、上記適用のために有用である。Al含量(x<1)の増加とともに
、レーザー波長は約750nmまで減少しうる。記憶密度は、より短い波長のレ
ーザーによって増加しうる。
本発明の化合物は、光学的記憶媒質として適切でありえ、レーザーアドレス系
、例えば光学記録媒質での使用のために色素と一緒にしうる。
本発明によって記載された材料のスメクチック及び/又はネマチックの性質を
活用できる。例えば、本発明の材料は、強誘電性混合物及び装置に使用できうる
。
本発明の化合物は、焦電気装置、例えば検出器、ステアリングアレイ、及びビ
ジコンカメラでも使用できる。
図4は、本発明の材料が導入できる単純な焦電気検出器を示す。
焦電気検出器は電極板1、2からなる。そのうちの少なくとも一つは画素であ
りうる。操作において、検出器は放
射線R、例えば赤外線に曝され、それは電極1に吸収される。このことにより、
電導によって焦電気材料層に伝達される温度が上昇する。温度の変化により、熱
膨張が起り、電荷が発生する。電荷のこの変化は、温度の変化による自然発生偏
光Psの変化による電荷アウトプットと比較すると、通常小さい。このことは、
第1次焦電気効果を構成する。電荷の変化により、電極間の電位差の変化が起る
。各画素の電荷が読まれえ、得られたシグナルを用いて、例えばビデオモニター
において、及び赤外走査の可視画像のために、走査回路を調整する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年7月21日
【補正内容】請求の範囲
1. 電気光学的デバイスを製造する方法であって、
離隔して配置された2個のセル壁を含み、これらの壁の内側面は電極構造体を構
成するセルを形成するステップ、
モノマー材料及びカチオン性光重合開始剤を含有する混合物を用意するステップ
、
混合物をセル壁同士の間に導入するステップ、
混合物を重合させるステップ
を含む方法。
2. 混合物がラジカル光重合開始剤も含有することを特徴とする請求項1に記
載の方法。
5. 混合物がラジカル光重合開始剤も含有することを特徴とする請求項3に記
載の方法。
6. 一般式I
〔式中
X及びX1は直鎖または分枝鎖C1 〜16アルキル、ハロゲン及びHの中から独立に
選択され、
Zは単一共有結合、酸素、CO2またはOCOであり、
nは1〜20であり、
YはO、CO2、OCO、CH2、CHOHであり、
mは3〜10,000であり、
ただし前記メソーゲン基は次の基
を少なくとも1個有し、その際置換基Fはフェニル環が少なくとも1個のフッ素
で置換されていることを示す〕の液晶ポリマー。
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(72)発明者 ブラツクウツド,キース・マリー
イギリス国、ウスターシヤー・ダブリユ・
アール・14・3・ピー・エス、モールバー
ン、セント・アンドリユーズ・ロード、デ
イフエンス・リサーチ・エージエンシー
(番地なし)
(72)発明者 ベロール,マーク・アンドリユー
イギリス国、ドーセツト・ビー・エイチ・
15・1・テイー・デイー、プール、メル
ク・ハウス、メルク・インダストリアル・
ケミカルズ、メルク(番地なし)
(72)発明者 コーツ,デイビツド
イギリス国、ドーセツト・ビー・エイチ・
15・1・テイー・デイー、プール、メル
ク・ハウス、メルク・インダストリアル・
ケミカルズ、メルク(番地なし)
(72)発明者 ビーテイー,デイビツド・リチヤード
イギリス国、ドーセツト・ビー・エイチ・
15・1・テイー・デイー、プール、メル
ク・ハウス、メルク・インダストリアル・
ケミカルズ、メルク(番地なし)