JPH11509840A - 炎症性疾患と喘息の治療におけるil−8拮抗剤 - Google Patents
炎症性疾患と喘息の治療におけるil−8拮抗剤Info
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Abstract
(57)【要約】
IL-8拮抗剤を用いた喘息の治療法を提供する。
Description
【発明の詳細な説明】
炎症性疾患と喘息の治療におけるIL-8拮抗剤
発明の分野
本出願は抗インターロイキン-8(IL-8)抗体のようなIL-8拮抗剤と、炎症性疾患
および喘息の治療におけるそれらの使用法に関する。
発明の背景
インターロイキン-8(IL-8)は、炎症性メディエーターに応じて様々な細胞によ
って分泌される好中球走化性ペプチドである(Hebert等,Cancer Investigation 1
1(6):743(1993))。IL-8は、成人性呼吸促進症候群(ARDS)、敗血症性ショックそ
して多発性器官機能不全のような炎症性疾患の病因において、重要な役割を果た
しうる。上記炎症性疾患に対する免疫治療は、好IL-8抗体を用いた非罹患患者の
治療を含み得る。
Sticherling等,(J.Immunol.143:1628(1989))は、IL-8に対する四つのモノクロ
ーナル抗体の生産と特性を開示している。1992年3月19日に印刷されたWO92/0437
2は、IL-8とIL-8のペプチド類似体の受容体接触部位に作用するポリクローナル
抗体と、それに加えて患者の炎症性応答を予防するための該抗体の使用法を開示
している。St.John等(Chest 103:932(1993))は、抗IL-8抗体の潜在的な治療上の
使用を含むARDS、敗血症性ショックそして多発性器官機能不全に対する免疫治療
をレビューしている。Sekido等,(Nature 365:654(1993))は、IL-8に対するモノ
クローナル抗体によるウサギにおける肺再潅流傷害の予防法を開示している。Mu
lligan等(J.Immunol.150:5585(1993))は、ラットでの炎症性肺傷害における、ヒ
トIL-8に対するネズミモノクローナル抗体の促進効果を開示している。
本発明の抗IL-8モノクローナル抗体は、細菌性肺炎および炎症性結腸疾患のよ
うな他の炎症性疾患の治療において治療学的に用い得ることを本発明は証明する
。
加えて抗IL-8抗体はIL-8のアッセイに対する試薬としても有用である。例えば
、Sticherling等(Arch.Dermatol.Res.284:82(1992))は、免疫組織化学的研究に
おける試薬としての抗IL-8モノクローナル抗体の使用法を開示している。Ko等(J
.Imm
unol.Methods 149:227(1992))は、IL-8に対する固相酵素免疫検定法(ELISA)にお
ける試薬としての抗IL-8モノクローナル抗体の使用法を開示している。
さらに本発明は、抗IL-8モノクローナル抗体を含むIL-8拮抗剤が喘息の治療に
おいて治療学的に用い得ることを説明する。
発明の概要
本発明は治療学的に有効量のIL-8拮抗剤を投与することを含む患者における喘
息の治療法を提供する。本発明の方法は喘息の発症前および/または後に患者にI
L-8拮抗剤を投与することを提供する。
一面では、本発明は抗IL-8抗体を用いた喘息の治療法を提供する。
さらなる一面では、本発明はIL-8の好中球への結合を阻害するIL-8拮抗剤を用
いた喘息の治療法を提供する。
またさらなる一面では、本発明はIL-8によって誘発される好中球走化性を阻害
するIL-8拮抗剤を用いた喘息の治療法を提供する。
さらに一面では、本発明はIL-8によって誘発される好中球エラスターゼ放出を
阻害するIL-8拮抗剤を用いた喘息の治療法を提供する。
図面の簡単な説明
図1は好中球によるIL-8介在性エラスターゼ放出の、抗IL-8モノクローナル抗
体5.12.14によるブロックを表すグラフである。
図2は125I-IL-8の好中球に対する結合の、非ラベルIL-8による阻害を表すグラ
フである。
図3はFabにマッチするネガティブアイソタイプが、125I-IL-8のヒト好中球に
対する結合を阻害しないことを説明する。
図4は125I-IL-8の好中球に対する結合の、1.6ナノモル/リットル(nM)の平均IC50
を持つキメラ5.12.14Fabによる阻害を表すグラフである。
図5は125I-IL-8の好中球に対する結合の、50%結合阻害(IC50)を成し遂げるた
めに必要とされる平均濃度が7.5nMであるキメラ6G.4.25Fabによる阻害を表すグ
ラフである。
図6はヒトIL-8介在性好中球走化性の、キメラ6G4.2.5Fabおよび5.12.14Fabに
よ
る阻害を説明する。
図7はウサギIL-8介在性好中球走化性を阻害するためのキメラ6G4.2.5Fab及び
キメラ5.12.14Fabの相対的能力を説明する。
図8は様々な濃度のヒトおよびウサギIL-8による、ヒト好中球からのエラスタ
ーゼ放出の刺激を表す。エラスターゼ放出の相対的範囲は405ナノメーター(nm)
の波長での吸光度の測定により見積もった。データは3個のサンプルの平均±平
均の標準誤差(SEM)を表す。
図9はヒトIL-8によって刺激されたヒト好中球からのエラスターゼ放出を阻害
する、キメラ6G4.2.5Fabおよびキメラ5.12.14Fabの能力を表すグラフである。そ
の結果は100nMのIL-8単独によって導き出されるエラスターゼ放出のパーセンテ
ージを反映するために標準化された。データは異なる血液ドナーを用いて異なる
日に実施された三つの独立の実験の平均±SEMを表す。IC50値は四つのパラメー
ターをフィットさせて計算された。
図10はウサギIL-8によって刺激されたヒト好中球からのエラスターゼ放出を阻
害する、キメラ6G4.2.5Fabおよびキメラ5.12.14Fabの相対的能力を表すグラフで
ある。その結果は100nMのIL-8単独によって導き出されるエラスターゼ放出のパ
ーセンテージを反映するために標準化された。データは異なる血液ドナーを用い
て異なる日に実施された三つの独立の実験の平均±SEMを表す。IC50値は四つの
パラメーターをフィットさせて計算された。
a-jの図から成る図11はウサギ潰瘍性結腸炎モデルにおける以下のパラメータ
ーを表す一連のグラフである:(a)組織内のミエロペルオキシダーゼ濃度;(b)組織
内のIL-8濃度;(c)結腸重量;(d)全炎症;(e)浮腫;(f)壊死の範囲;(g)壊死のひどさ
;(h)好中球辺縁趨向;(i)好中球侵入;(j)単核白血球侵入。
図12は肺炎連鎖球菌、大腸菌または緑膿菌に感染した動物における気管支肺胞
洗浄(BAL)液内の好中球数に対する、抗IL-8モノクローナル抗体治療の効果を表
すグラフである。6G4.2.5を用いた治療では、アイソタイプコントロールマウスI
gGを用いて治療された動物と比較してBAL液内に存在する好中球の数は有意に減
少した。
図13はL鎖とH鎖のそれぞれのためにデザインされた三つのプライマーのDNA配
列を表す。モノクローナル抗体5.12.14のL鎖とH鎖の可変領域をクローニングす
るこ
とを目的とし、プライマーハイブリダイゼーションの機会と第一ストランドcDNA
合成の効率を高めるために複数のプライマーがデザインされた。
図14は5.12.14L鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーと一つの逆のプ
ライマーのDNA配列を表す。
図15は5.12.14H鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーと一つの逆のプ
ライマーのDNA配列を表す。
図16は5.12.14L鎖可変領域のDNA配列を表す。相補性決定領域(CDR)はX線結晶
解析(アンダーラインアミノ酸)またはカバット配列比較(星印のついたアミノ酸)
のそれぞれによって示されている。重要な制限部位はイタリックで示されている
。STIIのシグナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネズミL鎖可変領域は1
から109アミノ酸である。ネズミL鎖定常領域の一部が110から123アミノ酸(イタ
リック)である。
図17は5.12.14H鎖可変領域のDNA配列を表す。CDRはX線結晶解析(アンダーライ
ンアミノ酸)またはカバット配列比較(星印のついたアミノ酸)のそれぞれによっ
て示されている。重要な制限部位はイタリックで示されている。STIIのシグナル
ペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネズミH鎖可変領域は1から120アミノ酸で
ある。ネズミH鎖定常領域の一部が121から130アミノ酸(イタリック)である。
図18はネズミL鎖およびH鎖定常領域をヒトの各鎖の同等なものに変換するため
に用いられる増幅プライマーのDNA配列である。
図19は5.12.14L鎖可変領域およびヒトIgG1L鎖定常領域に対するコード配列で
ある。CDRはX線結晶解析(アンダーラインアミノ酸)またはカバット配列比較(星
印のついたアミノ酸)のそれぞれによって示されている。ヒト定常領域はイタリ
ックで示されている。STIIのシグナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネ
ズミL鎖可変領域は1から109アミノ酸である。ヒトL鎖定常領域は110から215アミ
ノ酸である。
図20は5.12.14H鎖可変領域およびヒトIgG1H鎖定常領域に対するコード配列で
ある。CDRはX線結晶解析(アンダーラインアミノ酸)またはカバット配列比較(星
印のついたアミノ酸)のそれぞれによって示されている。ヒト定常領域はイタリ
ックで示されている。STIIのシグナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネ
ズミH鎖可変領域は1から120アミノ酸である。ヒトH鎖定常領域は121から229ア
ミノ酸であ
る。
図21はL鎖とH鎖のそれぞれのためにデザインされた三つのプライマーのDNA配
列を表す。モノクローナル抗体6G4.2.5のL鎖とH鎖の可変領域をクローニングす
ることを目的とし、プライマーハイブリダイゼーションの機会と第一ストランド
cDNA合成の効率を高めるために複数のプライマーがデザインされた。
図22は6G4.2.5L鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーと一つの逆のプ
ライマーのDNA配列を表す。
図23は6G4.2.5H鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーと一つの逆のプ
ライマーのDNA配列を表す。
図24は6G4.2.5L鎖可変領域のDNA配列を表す。相補性決定領域(CDR)はX線結晶
解析(アンダーラインアミノ酸)またはカバット配列比較(星印のついたアミノ酸)
のそれぞれによって示されている。有用なクローニング部位はイタリックで示さ
れている。STIIのシグナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネズミL鎖可変
領域は1から114アミノ酸である。ネズミL鎖定常領域の一部が115から131アミノ
酸(イタリック)である。
図25は6G4.2.5H鎖可変領域のDNA配列を表す。CDRはX線結晶解析(アンダーライ
ンアミノ酸)またはカバット配列比較(星印のついたアミノ酸)のそれぞれによっ
て示されている。有用なクローニング部位はイタリックで示されている。STIIの
シグナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネズミH鎖可変領域は1から122ア
ミノ酸である。ネズミH鎖定常領域の一部が123から135アミノ酸(イタリック)で
ある。
図26はネズミL鎖およびH鎖定常領域をヒトの各鎖の同等なものに変換するため
に用いられる増幅プライマーのDNA配列である。
図27はキメラ6G4.2.5L鎖に対するコード配列である。CDRはX線結晶解析(アン
ダーラインアミノ酸)またはカバット配列比較(星印のついたアミノ酸)のそれぞ
れによって示されている。ヒト定常領域はイタリックで示されている。STIIのシ
グナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネズミH鎖可変領域は1から114アミ
ノ酸である。ヒトH鎖定常領域は115から220アミノ酸である。
図28はキメラ6G4.2.5H鎖可変領域に対するコード配列である。CDRはX線結晶解
析(アンダーラインアミノ酸)またはカバット配列比較(星印のついたアミノ酸)の
それぞれによって示されている。ヒト定常領域はイタリックで示されている。ST
IIのシグナルペプチドは-23から-1アミノ酸である。ネズミH鎖可変領域は1から1
22アミノ酸である。ヒトH鎖定常領域は123から231アミノ酸である。
図29は野生型およびIL-8受容体ホモローグ(IL8Rh)ノックアウト(KO)マウスを
用いた喘息モデルの肺内への、好酸球、マクロファージ、リンパ球移住に対する
IL8Rh不存在の影響を表すグラフである。移住レベルは気管支肺胞洗浄(BAL)液の
細胞数として提供される。以前にアレルゲンチャレンジを受けることなく、エー
ロゾルにして散布されたオボアルブミンアレルゲンにさらされた野生型(WT)およ
びIL8Rh KOコントロールマウスに対する細胞数は、それぞれ「WT OVA aero」およ
び「KO OVA aero」として記述される。オボアルブミンアレルゲンを腹膜内に接種
され、続いてエーロゾルにして散布されたアレルゲンにさらされた野生型マウス
とIL8Rh KOマウスに対する細胞数は、それぞれ「WT OVA ip/aero」および「KO OVA
ip/aero」として記述される。好酸球、マクロファージ、リンパ球および好中球細
胞数はそれぞれ斜線、ハッチ、縦線及び塗りつぶした各棒グラフで表されている
。
図30は野生型およびIL8Rhノックアウトマウスを用いた喘息モデルにおける末
梢の好酸球数に対するIL8Rh不存在の影響を表すグラフである。末梢の好酸球レ
ベルは循環血好酸球細胞数として提供される。オボアルブミンアレルゲンを腹膜
内(ip)に接種され、続いてエーロゾルにして散布されたアレルゲンにさらされた
野生型マウスとKOマウスに対する細胞数は、それぞれ「WT」および「KO」として記述
される。0日(アレルゲンの腹膜内接種前)に得られた細胞数は、斜線の棒グラフ
で表されている。21日(エーロゾルにして散布されたアレルゲンチャレンジの終
了に引き続く日)に得られた細胞数は塗りつぶした棒グラフで表されている。
図31は野生型およびIL8Rhノックアウト(KO)マウスを用いた喘息モデルにおけ
る肺への好酸球移住と末梢の好酸球増殖に対するIL8Rh不存在の影響を表すグラ
フである。好酸球移住はBAL液好酸球数として提供されている(斜線の棒グラフ)
。循環血好酸球数は塗りつぶした棒グラフとして提供されている。WTおよびIL8R
h KOマウスのipアレルゲン接種の前の0日に得られた細胞数は、それぞれ「WT day
0」および「KO day0」として表されている。WTおよびIL8Rh KOマウスのエーロゾル
にして散布されたアレルゲンチャレンジの終了に引き続く日に得られた細胞数は
、それぞれ「WT day21」および「KO day21」として表されている。
図32は始めにオボアルブミンアレルゲンのip接種でチャレンジされ、続いてア
レルゲンエーロゾルでチャレンジを受けたWTおよびIL8Rh KOマウスにおける二次
IgE応答を表すグラフである。以前にアレルゲンチャレンジを受けることなくエ
ーロゾルにして散布されたアレルゲンでチャレンジを受けたWTおよびIL8Rh KOコ
ントロールマウスに対するアレルゲン特異的IgE力価は、それぞれ「WT OVA」およ
び「KO OVA」として表されている。始めにip接種によってアレルゲンのチャレンジ
を受け、続いてエーロゾルにして散布されたアレルゲンにさらされたWTおよびIL
8Rh KOマウスのアレルゲン特異的IgE力価は、それぞれ「WT OVA ip/aero」および「
KO OVA ip/aero」として表されている。
図33-35は最もひどく罹患したWT喘息マウスの肺組織構造を表す顕微鏡写真で
ある。肺組織の単一の切片の顕微鏡写真は、図33-35に示されているようにそれ
ぞれ40×、200×そして320×倍率で得られた。図33はほとんどすべての気管支が
顆粒球によりひどく侵入されていることを示す。最も罹患している部位の高倍率
のものによると(図34参照)、強い単球がいくつかの好酸球に侵入していることが
明らかにされている。肺胞のレベルでは(最高倍率、図35参照)、マクロファージ
および好酸球が明らかである。
図36-38は最も弱く罹患したWT喘息マウスの肺組織構造を表す顕微鏡写真であ
る。図36-38に示されているようにそれぞれ40×、200×そして320×倍率で得ら
れた。図36と37が示すように、最も弱く罹患した喘息マウスでは、最もひどく罹
患したWTマウス(図33-35)によって存在する侵入より狭い範囲であるにもかかわ
らず、ほとんどの気管支内で細胞侵入が存在している。最も弱く罹患したWT動物
の肺胞はまた、図38に示されているように最も少なく閉塞している。
図39-41は最もひどく罹患したIL8Rh KO喘息マウスの肺組織構造を表す顕微鏡
写真である。肺組織の単一の切片の顕微鏡写真は、図39-41に示されているよう
にそれぞれ40×、200×そして320×倍率で得られた。図39はより大きい気管支だ
けが侵入されていることを示す。図39および40に示されている侵入の範囲は、最
も弱く罹患したWTマウスに対する図36および37に示されているものに匹敵してい
る。肺胞のレベルでは、少数の侵入している細胞だけが最もひどく罹患している
IL8Rh KOマウスにおいて明らかである(図41)。
好ましい実施態様の説明
A.定義
一般的に以下の単語またはフレーズは、本記述、実施例および請求項で用いら
れる場合に、示された定義を意味する。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」なる語は、ごく少量の核酸、RNAおよび/
またはDNAの特異的な部分を1987年7月28日に査定された米国特許第4,683,195号
に記述されたように増幅する方法または技術を示す。一般的に、オリゴヌクレオ
チドプライマーがデザインできるように、興味ある部分の端またはそれを越える
部分の配列情報を入手する必要がある;これらのプライマーは増幅されるテンプ
レートの反対のストランドの配列と一致するかまたは同一であろう。二つのプラ
イマーの5'末端ヌクレオチドは増幅される物質の端に一致し得る。PCRは特異的
なRNA配列、全てのゲノムDNA由来の特異的なDNA配列そして全ての細胞のRNA、バ
クテリオファージまたはプラスミド等から転写された相補的DNA(cDNA)を増幅す
るために用いられる。一般的にはMullis等,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Bio
l.51:263(1987);Erlich編,PCR Technology(Stockton Press,NY,1989)参照。ここ
で用いられているように、PCRは核酸の特異的断片を増幅または生産するために
既知の核酸をプライマーとして用い、核酸ポリメラーゼを用いることを含む核酸
試料サンプルの増幅のための核酸ポリメラーゼ反応法の唯一ではないが一つの例
であると考えられる。
「抗体」(Ab)および「免疫グロブリン」(Ig)は同じ構造的特徴を持つ糖タンパク質
である。抗体が特異的抗原に対する特異的な結合を示す一方、免疫グロブリンは
抗原特異性を欠いた抗体と他の抗体様分子の両方を含む。例えば、後者の種類の
ポリペプチドはリンパ系によって低レベルでそしてミエローマによってより高レ
ベルで生産される。
「天然の抗体および免疫グロブリン」は通常約150,000ドルトンのヘテロ四量体
糖タンパク質であり、二つの同一のL鎖と二つの同一のH鎖より成る。各L鎖は一
つの共有結合のジスルフィド結合によってH鎖と結合しており、一方ジスルフィ
ド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプのH鎖間で異なる。H鎖とL鎖の
それぞれも規則的に一定の間隔をあけた鎖内ジスルフィド架橋を持っている。各
H鎖は一方の端に可変ドメイン(VH)をもち、それにたくさんの定常ドメインが続
く。各L鎖は一方の端に可変ドメイン(VL)をもち、もう一方の端に定常ドメイン
をもつ;L鎖の
定常ドメインはH鎖の最初の定常ドメインと一直線に並び、そしてL鎖の可変ドメ
インはH鎖の可変ドメインと一直線に並ぶ。特定のアミノ酸残基がL鎖とH鎖の可
変ドメイン間の界面を形成していると考えられている(Clothia等,J.Mol.Biol.18
6:651(1985);NovotnyとHaber,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:4592(1985))。
「可変」なる語は、可変ドメインの特定の部分が抗体間の配列において広く異な
り、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合と特異性において用いられると
いう事実を示す。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインを通して均等に配
置されているわけではない。それはL鎖とH鎖の可変ドメインの両方内の相補性決
定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる三つの部分に集中している。可変ドメ
インのより高度に保存されている部分はフレームワーク(FR)と呼ばれている。天
然のH鎖とL鎖の可変ドメインは、それぞれ四つのFR領域を含んでおり、それらは
主にβ-シート構造を採用し、三つのCDRと結合している。その結合体はβ-シー
ト構造と接続する、そしてある場合にはその一部を形成するループを形成する。
各鎖内のCDRはFR領域によって極めて近接してまとまっており、そして他の鎖のC
DRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等,Sequences of Prot
eins of Immunological Interest,第五版、National Institute of Health,Beth
esda,MD(1991)参照)。定常ドメインは抗原に対する抗体の結合には直接は含まれ
ないが、抗体依存性細胞傷害における抗体の関与のような様々なエフェクター機
能を示す。
抗体のパパイン切断は、それぞれ単一の抗原結合部位をもつ「Fab」断片と呼ば
れる二つの同一の抗原結合断片を生じ、そして残りの「Fc」断片を生じるが、後者
の名前は容易に結晶化が可能なことを反映している。ペプシン処理は二つの抗原
結合部位をもち、未だ抗原とクロスリンク可能なF(ab')2断片を生じる。
「Fv」とは完全な抗原認識、そして抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。
この領域はタイトな非共有結合会合にある一つのH鎖と一つのL鎖可変ドメインの
二量体より成る。この構成では、各可変ドメインの三つのCDRがVH-VL二量体の表
面の抗原結合部位を規定するために相互作用している。一まとめにして、六つの
CDRが抗体に対して抗原結合特異性を授けている。しかしながら単一の可変ドメ
イン(または抗原に対して特異的な三つのCDRのみを含むFvの半分)は、完全な結
合部位より低いアフィニティーながら抗原を認識し結合する能力を持っている。
Fab断片はまたL鎖の定常ドメインとH鎖の最初の定常ドメイン(CH1)を含む。Fa
b'断片は抗体ヒンジ領域由来の一つかそれ以上のシステインを含むH鎖CH1ドメイ
ンのカルボキシ末端にいくつかの残基が付加されている点で、Fab断片と異なる
。Fab'-SHは定常ドメインのシステイン残基(類)がフリーなチオール基をもつFab
'をここでは示す。F(ab')2抗体断片はもともとは、間にヒンジシステインをもつ
Fab'断片のペアーとして生産された。他の化学的な抗体断片の結合もまた知られ
ている。
いかなる脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「L鎖」も、その定常ドメイ
ンのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる二つの明ら
かに別個のタイプの一つに割り当てられ得る。
H鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、免疫グロブリンは異なるクラ
スに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgA,IgD,IgE,IgGそしてIgMという
五つの主要なクラスがあり、これらのいくつかは、例えばIgG1,IgG2,IgG3,IgG4,
IgA1そしてIgA2というサブクラス(アイソタイプ)にさらに分けられる。異なるク
ラスの免疫グロブリンに相当するH鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ
及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三
次元構造はよく知られている。
「抗体」なる語は、最も広い意味で用いられ、単一のモノクローナル抗体(作用
剤および拮抗剤抗体を含む)およびポリエピトープ特異性を持つ抗体構成物をも
特にカバーする。
ここで用いられているような「モノクローナル抗体」(mAb)なる語は、実質的に
同質な抗体の集団から得られる抗体を示す、すなわち集団に含まれる個々の抗体
が、少量存在するであろう自然に生じ得る突然変異を除いて同一なのである。モ
ノクローナル抗体は高い特異性を持っており、単一の抗原部位に対して向けられ
ている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を典
型的に含むありきたりの(ポリクローナル)抗体調製物とは異なり、各mAbは抗原
の単一の決定基に対して向けられている。その特異性に加えて、モノクローナル
抗体は他の免疫グロブリンの混ざっていないハイブリドーマカルチャーによって
合成され得る点で有利である。
ここではモノクローナル抗体は、由来する種や免疫グロブリンのクラスまたは
サブクラスの名称に関わらず、抗IL-8抗体の可変ドメイン(超可変ドメインを含
む)
を定常ドメインに接合したもの(例えば「ヒト化」抗体)、L鎖をH鎖に接合したもの
、ある種の鎖をもう一つの種の鎖に接合したものまたは異種構造のタンパク質の
融合によるものによって生産されるハイブリッド及び組換え抗体を含む。また望
ましい生物学的活性を示す範囲で、抗体断片(例えばFab,F(ab')2およびFv)も含
む。(例えば、Cabilly等,米国特許第4,816,567号;MageとLamoyi,Monoclonal Ant
ibody Production Techniques and Applications内のpp.79-97(Marcel Dekker,I
nc.,New York,1987)参照)。
それゆえ緩和した「モノクローナル」なる語は、実質的に同質の抗体の集団から
得られたような抗体の性質を示し、いかなる特定の方法によって抗体を生産する
必要があるとは解釈すべきではない。例えば本発明にしたがって用いられるモノ
クローナル抗体は、KohlerとMilstein,Nature 256:495(1975)によって最初に記
述されたハイブリドーマ法によって得られ得るし、または組換えDNA法によって
も得られ得る(Cabilly等,上記参照)。
ここでいうモノクローナル抗体は、H鎖および/またはL鎖の一部が特定の種か
ら由来する、または特定の抗体のクラスやサブクラスに属する抗体における相当
する配列と同一なまたは同種構造のものであり、一方で鎖(類)における残りの部
分がもう一つの特定の種から由来する、またはもう一つの特定の抗体のクラスや
サブクラスに属する抗体における相当する配列と同一なまたは同種構造のもので
ある「キメラ」抗体(免疫グロブリン)をも特別に含み、また望ましい生物学的活性
を示す範囲で、該抗体の断片も含まれる(Cabilly等,上記参照;Morrison等,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA,81:6851(1984))。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリンから由
来する最小限の配列を含む、特異的なキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖
またはそれらの断片(Fv,Fab,Fab',F(ab')2または他の抗体の抗原結合部分配列)
である。ほとんどの場合が、ヒト化抗体は受容者の相補性決定領域(CDR)由来の
残基が、望ましい特異性、アフィニティーそして力量を持つマウス、ラットまた
はウサギのような非ヒト種(提供者抗体)のCDR由来の残基に置き換えられている
ヒト免疫グロブリン(受容者抗体)である。ある例では、ヒト免疫グロブリンのFv
フレームワーク残基が、相当する非ヒト残基で置き換えられている。さらにヒト
化抗体は受容者抗体にもインポートCDRまたはフレームワーク配列にも見出され
ない残基
をも含み得る。これらの変形は、抗体の能力をさらに洗練し最適化するためにな
される。一般的にはヒト化抗体は、少なくとも一つ、そして典型的には二つの可
変ドメインの実質的にすべてを含むであろうし、可変ドメイン内には非ヒト免疫
グロブリンのものに相当するCDR領域の全てまたは実質的にすべておよびFR領域
の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであ
る。ヒト化抗体はまた最適には、免疫グロブリンコンセンサス領域(Fc)の少なく
とも一部を含み、それは典型的にはヒト免疫グロブリンのものである。さらに詳
細には、Jones等,Nature 321:522(1986);Reichmann等,Nature 332:323(1988);お
よびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593(1992)を参照。ここで用いられる「IL-8
拮抗剤」なる語は、IL-8とIL-8受容体間の相互作用を妨害するまたはブロックす
ることが可能な化合物を示す。IL-8拮抗剤は、抗IL-8抗体およびそれらの断片、
IL-8結合ペプチドおよびIL-8に結合し、またはIL-8受容体に結合するためにIL-8
と競合することが可能な非タンパク質性小分子を含む。
「治療」とは、治療学上の治療及び予防のまたは予防的な方法の両方を示す。治
療の必要があるものとは、すでに疾患に罹患しているものと同様に疾患に罹患し
やすいものまたは疾患を予防すべきものも含む。
治療の目的としての「哺乳動物」とは、ヒト、そしてイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等
のような家畜および農場の動物、そして動物園、スポーツ、またはペットの動物
を含む哺乳動物に分類されるあらゆる動物を示す。好ましくはここでいう哺乳動
物はヒトである。
ここで用いられているように、タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドとは
、アミノ酸ポリマー、または一連の二つかそれ以上の相互作用しているまたは結
合したアミノ酸ポリマーを示すために互換性をもって用いられる。
ここで用いられているように、「炎症性疾患」なる語は炎症の結果として起こる
、典型的には好中球走化性によって引き起こされる病理学上の状態を示す。上記
疾患の例としては、乾癬を含む炎症性皮膚疾患;炎症性結腸疾患(クローン病や潰
瘍性結腸炎のような)と関連した応答;虚血性再潅流;成人呼吸促進症候群;皮膚炎
;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;リウマチ様関節炎、シェーグレン症候群、脈管炎のよ
うな自己免疫疾患;白血球漏出を含む疾患;中枢神経系(CNS)炎症性疾患;敗血症ま
たは傷害の二次的な多発性器官傷害症候群;アルコール性肝炎,細菌性肺炎,抗原
抗体複
合体介在性疾患;胸膜炎,肺胞炎,脈管炎,肺炎,慢性気管支炎,気管支拡張症および
膿胞性繊維症を含む肺の炎症;等を含む。好ましい用途は細菌性肺炎および潰瘍
性結腸炎のような炎症性結腸疾患である。
ここで用いられているように、「喘息」、「喘息性疾患」および「気管支喘息」なる
語は、下気道の拡張と収縮が存在する肺の病気を示す。「アトピー性喘息」および「
アレルギー性喘息」なる語は、下気道におけるIgE-介在性過敏症反応の現れであ
る喘息を示し、例えば喘息症状をコントロールするために頻繁なまたは一定の、
吸入によるまたは全身性のステロイドの使用が必要であるような、並みのまたは
ひどい慢性喘息を含む。好ましい用途はアレルギー性喘息である。
B.本発明を実施するための方法
I.IL-8拮抗剤調製
本発明の方法は、好中球に対するIL-8の結合を阻害またはブロックすることが
可能ないかなるIL-8拮抗剤を用いても実施可能である。好ましくはIL-8拮抗剤は
IL-8に応じた好中球走化性を阻害でき、および/または好中球のIL-8介在性エラ
スターゼ放出を阻害できる。ここで用いられるのに適したIL-8拮抗剤は、抗IL-8
抗体、IL-8結合ペプチドおよびIL-8とその受容体間の相互作用を妨害するまたは
ブロックすることが可能な非タンパク質性小分子を含む。IL-8拮抗剤候補は、好
中球に対するIL-8の結合の阻害、IL-8介在性好中球走化性の阻害およびIL-8介在
性好中球エラスターゼ放出の阻害を以下のように試験され得る。
1.好中球に対するIL-8の結合の阻害
好ましくはIL-8拮抗剤候補は、IL-8拮抗剤治療を予定している患者のもののよ
うに、同種の哺乳動物種の好中球に対するIL-8の結合を阻害する能力を試験され
る。一つの実施態様として、患者から得られた好中球が、IL-8拮抗剤候補を試験
するために用いられ、それによって医師が特定の患者に対する最大の治療上の効
力を持つ試薬を同定することができる。しかしながら、本発明はIL-8拮抗剤候補
の治療上の可能性をアッセイするために、予定されている患者のもの以外の哺乳
動物の種から得られた好中球を使用することもまた包含する。好中球は1.5%デキ
ストランT500(Pharmacia,Sweden)において全血液を沈降し、Lymphocyte Separat
ion Medium(Organon Teknika,Durham,NC)上で上清を層状にし、製品の使用法に
したがって遠心分離し、細胞沈殿物を回収し、そしてそれから細胞沈殿物を2ま
たは3サイクルの低張性溶解にかけることによって赤血球と単核細胞から分離さ
れうる。代わりに、好中球は全血液サンプルをMono-Poly Resolving Medium(M-P
RM)(Flow Laboratories,McLean,VA)に置き、販売主の使用法にしたがって好中球
バンドを回収することによっても、赤血球および末梢血単核細胞から分離し得る
。
同様に好中球に対するIL-8の結合を阻害するIL-8拮抗剤候補の能力を試験する
ために、予定されている患者のものと同じ哺乳動物種由来のIL-8を用いることが
好ましい。しかしながら、もしIL-8がIL-8拮抗剤候補を用いる試験のために選択
された好中球に結合するのであれば、いかなる哺乳動物種由来のIL-8を用いても
本発明の範囲に属する。好ましくは、試験のために用いられるIL-8と好中球は同
種の哺乳動物種由来のものである。
IL-8は興味ある種由来の内皮細胞または活性化T細胞および単球からもin vitr
oで単離されうる。IL-8はGimbrone等,Science,246:1601(1989)の方法にしたがっ
て内皮細胞から、またはLindley等,Proc.Natl.Acad.Sci.,85:9199(1988)の方法
にしたがって活性化T細胞および単球から便利に集められ得る。
ヒトIL-8のアミノ酸配列のように(Walz等,Biochem.Biophys.Res.Comm.,149:75
5-761(1987);Yoshimura等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:9233-9237(1987);Van Da
mme等,J.Exp.Med.,167:1364-1376(1988);Gregory等,Biochem.Biophys.Res.Comm.
,151:883-890(1988)に開示されている)、もし特定のIL-8種のアミノ酸配列が既
知のものであれは、興味あるIL-8種はMerrifield,Science,232:342-347(1986)に
よって記述されている固相合成法を用いることによって化学的に合成され得る。
この方法では、伸長しているポリペプチド鎖は通常C末端でポリスチレン樹脂の
ビーズのように不溶性の固体の支持体に共有結合でつなぎ留められており、適当
にブロックされたアミノ酸と試薬が正しい配列に加えられる。これにより、ビー
ズの単純な濾過および洗浄によって望ましいIL-8産物の量的な回収が可能になる
。
代わりに興味あるIL-8種は組換え法によっても生産される。組換えIL-8は望ま
しいIL-8をコードするDNAの単離または合成、適当な発現ベクター内でのIL-8コ
ードDNAのクローニング、組換えベクターを用いた適した発現ホスト細胞へのト
ランスフェクション、組換えホスト細胞の選択または検出、およびIL-8発現を許
容す
るコンディションの下での組換えホスト細胞の成育とそれからのIL-8産物の回収
によって得られ得る。好ましい実施態様としては、組換えヒトIL-8は、Hebert等
,J.Immunol.,145:3033-3040(1990)に記述されているように得られる。
商業的に入手可能なIL-8種もまたここでの使用に適している。例えば組換えヒ
トIL-8は、R&D Systems,Minneapolis,MN(1995年のカタログではカタログナンバ
ー208-IL)から購入できる。
好中球に対するIL-8の結合をアッセイするいかなる方法であっても、IL-8拮抗
剤候補を試験するために用いられうる。適したアッセイは好中球に対するIL-8の
結合をIL-8拮抗剤候補の存在下と不存在下で測定する競合的結合アッセイを含む
。IL-8結合は例えばラジオラベル、蛍光色素ラベル、酵素ラベル、スピンラベル
等のようなラベルされたIL-8を用いて、またはラベルされた抗IL-8抗体を用いて
便利に検出できる。典型的なIL-8競合的結合アッセイでは、好中球を様々な濃度
のIL-8拮抗剤候補を含む適当なバッファー溶液に懸濁し、ラベルされたIL-8を細
胞懸濁液に混ぜ、混合物を競合的な結合反応が平行に達するのに十分な一定時間
IL-8が好中球に結合するのを許容するコンディションの下でインキュベートし、
非結合ラベルIL-8を細胞懸濁液の遠心分離または濾過によって除去し、そして好
中球に結合したラベルIL-8をラベルの検出、例えばラジオラベルに対するシンチ
レーションカウンター、色素生産性の基質の添加および色素生産性酵素ラベルに
対する分光測光的アッセイ、蛍光色素ラベルに対するフロー活性化細胞ソーティ
ング等により定量する。
好ましい実施態様では、IL-8拮抗剤候補は以下の実施例に記述されているよう
にヒト好中球に対するヒトIL-8の結合の阻害をスクリーニングされる。
IL-8拮抗剤候補の特定の濃度でのIL-8結合阻害のパーセンテージは、試薬の存
在下での好中球に対するラベルIL-8の特異的な結合の量を、試薬の不存在下での
好中球に対するラベルIL-8の特異的な結合のトータルの量で割ったもので形成さ
れる商を用いて計算し得る。ラベルIL-8の特異的な結合の量は、ラベルIL-8の結
合のトータルの量からラベル非特異的な結合の量を差し引くことによって決定さ
れ得る。ラベルIL-8の非特異的な結合の量は、非ラベルIL-8の過剰量の存在下で
ラベルIL-8の特異的な結合を測定することによって決定され得る。IL-8結合の50
%阻害に対して必要とされるIL-8拮抗剤候補の濃度(IC50)は、試験される様々な
濃
度の試薬に対する阻害のパーセンテージを用いて測定される。
もし、約0.5nMのIL-8濃度の存在下で試薬の濃度が約100ナノモル/リットル(nM
)またはそれ以下、好ましくは1nMまたはそれ以下、およびより好ましくは10ピコ
モル/リットル(pM)またはそれ以下で、試薬の不存在下で同じIL-8濃度を含むコ
ントロールサンプルと比較して、減少した好中球に対するIL-8の結合を生じた場
合には、その試薬は好中球に対するIL-8の結合を阻害することについてポジティ
ブとして記録される。好ましくはIL-8拮抗剤候補は、約0.5nMの濃度のヒトIL-8
の存在下で、約50nMまたはそれ以下のIC50で、好ましくは約7.5nMまたはそれ以
下の平均IC50で、より好ましくは約1.6nMまたはそれ以下の平均IC50でヒト好中
球に対するヒトIL-8の結合を阻害することが可能である。
2.IL-8介在性好中球走化性の阻害
好ましくはIL-8拮抗剤候補はまた、IL-8に応じた好中球走化性を阻害する能力
に対する試験もなされる。IL-8拮抗剤治療を予定されている患者のもののように
同じ哺乳動物種由来の好中球のIL-8介在性走化性を阻害する能力のためIL-8拮抗
剤候補を試験することが望ましい。一つの実施態様として、患者から得られた好
中球がIL-8拮抗剤候補を試験するのに用いられ、それによって医師が特定の患者
に対する最大の治療上の効力を持つ試薬を同定することができる。しかしながら
、本発明はIL-8拮抗剤候補の治療上の可能性をアッセイするために、予定されて
いる患者のもの以外の哺乳動物の種から得られた好中球を使用することもまた包
含する。
同様にIL-8介在性好中球走化性を阻害するIL-8拮抗剤の候補の能力を試験する
ために、予定されている患者のものと同じ哺乳動物種由来のIL-8を用いることが
好ましい。しかしながら、もしIL-8がIL-8拮抗剤候補を用いる試験のために選択
された好中球の走化性を導き出すのであれば、いかなる哺乳動物種由来のIL-8を
用いても本発明の範囲に属する。好ましくは、試験のために用いられるIL-8と好
中球は同種の哺乳動物種由来のものである。
一つの面として、IL-8拮抗剤候補は、中の各ウェルを5ミクロンフィルターで
二つのチェンバーに水平に分割した96穴ミクロタイター走化性装置(Neuro Probe
,Cabin John,Maryland)を用いて、IL-8介在性好中球走化性の阻害を試験される
。望
ましいIL-8のサンプルを上記セクション1に記述されたように得て、IL-8拮抗剤
候補の特定の濃度のものと組み合わせ、それから走化性装置の下段のチェンバー
に置く。望ましい好中球サンプルを上述のセクション1に記述したように得て、
細胞を蛍光色素カルセインAM(Molecular Probe,Eugene,OR)を用いてラベルする
。細胞を洗い、適当なバッファーに再懸濁し、走化性装置の上段のチェンバーに
数えて置く。接しているチェンバー内に好中球が移動するのを導き出すのに十分
な一定時間、IL-8が好中球装填(上段)チェンバー内で拡散するのを許容するコン
ディションの下で走化性装置をインキュベートする。インキュベーションの後、
好中球装填(上段)チェンバー内に残っている細胞を吸引によって取り除き、上段
チェンバー側のフィルターを洗い非移動細胞を取り除くために削ぎ落とす。それ
から下段チェンバーと下段チェンバー側のフィルターに存在するラベル好中球を
分析のため定量する。
好ましい実施態様では、IL-8拮抗剤候補は以下の実施例に記述されているよう
にヒトIL-8に応じたヒト好中球移動の阻害のためアッセイされる。
IL-8拮抗剤を含むサンプル内の移動および非移動好中球の相対数は、IL-8単独
を含むサンプル内で検出されるシグナル(非阻害IL-8に誘発される移動のためポ
ジティブコントロールを提供する)と、バッファー単独を含むサンプル内で検出
されるシグナル(バックグランド移動のためネガティブコントロールを提供する)
を用いたIL-8拮抗剤サンプル内で検出されるシグナルの比較により測定され得る
。もし、約2nMの初めのIL-8濃度の存在下で試薬の濃度が約100nMまたはそれ以下
、好ましくは1nMまたはそれ以下、およびより好ましくは10ピコモル/リットル(p
M)またはそれ以下で、試薬の不存在下で同じIL-8濃度を含むコントロールサンプ
ルと比較して、減少した好中球移動を生じた場合には、その試薬はIL-8介在性好
中球移動を阻害することについてポジティブとして記録される。好ましくはIL-8
拮抗剤候補は、約4nMの初めの濃度のヒトIL-8の存在下で、約6.0nMまたはそれ以
下の濃度で、より好ましくは約3.0nMまたはそれ以下の濃度でヒト好中球移動の5
0%をを阻害する。
3.IL-8介在性好中球エラスターゼ放出の阻害
好ましくはIL-8拮抗剤候補は、IL-8拮抗剤治療を予定している患者のもののよ
うに、同種の哺乳動物種由来の好中球のIL-8介在性エラスターゼ放出を阻害する
能力をさらに試験される。一つの実施態様として、患者から得られた好中球が、
IL-8拮抗剤候補を試験するために用いられ、それによって医師が特定の患者に対
する最大の治療上の効力を持つ試薬を同定することができる。しかしながら、本
発明はIL-8拮抗剤候補の治療上の可能性をアッセイするために、予定されている
患者のもの以外の哺乳動物の種から得られた好中球を使用することもまた包含す
る。
同様にIL-8介在性好中球エラスターゼ放出を阻害するIL-8拮抗剤の候補の能力
を試験するために、予定されている患者のものと同じ哺乳動物種由来のIL-8を用
いることが好ましい。しかしながら、もしIL-8がIL-8拮抗剤候補を用いる試験の
ために選択された好中球におけるエラスターゼ放出を誘発するのであれば、いか
なる哺乳動物種由来のIL-8を用いても本発明の範囲に属する。好ましくは、試験
のために用いられるIL-8と好中球は同種の哺乳動物種由来のものである。
非刺激化好中球では、IL-8はアズール顆粒の放出を引き起こさない。サイトカ
ラシンBの存在下では、IL-8はアズール顆粒の脱顆粒およびエラスターゼの放出
を引き起こす。それゆえIL-8に応答した好中球エラスターゼ放出を阻害するIL-8
拮抗剤候補の能力は、上述のセクション1に記述されたように望ましい好中球お
よびIL-8を得て、サイトカラシンBと共に懸濁液中の好中球をインキュベートし
、IL-8拮抗剤候補の存在下および不存在下においてIL-8と共にサイトカラシンB
で満たされた好中球をインキュベートし、細胞を取り除くため細胞懸濁液を遠心
分離し、エラスターゼ基質たるメトキシスクシニル-アラニル-アラニル-プロリ
ル-バリル-p-ニトロアニリドと共に細胞フリー上清をインキュベートし、そして
405ナノメーター(nm)の波長で分光測光法的分析によって、試験サンプル内のp-
ニトロアニリンの存在を検出することによって測定されうる。
好ましい実施態様では、IL-8拮抗剤候補は以下の実施例に記述されているよう
にヒトIL-8に応答したヒト好中球エラスターゼ放出の阻害によりアッセイされる
。
特定の濃度のIL-8拮抗剤候補のIL-8介在性好中球エラスターゼ放出の阻害パー
センテージは、IL-8拮抗剤候補で処理されたサンプルの上清において検出される
405nmの蛍光を、IL-8で処理されたコントロールサンプルの上清において検出さ
れる405nmの蛍光で割ることにより形成される商を用いて計算され得る。もし、
約1
00nMのIL-8濃度の存在下で試薬の濃度が約10マイクロモル/リットル(μM)または
それ以下、好ましくは100nMまたはそれ以下、およびより好ましくは1nMまたはそ
れ以下で、試薬の不存在下で同じIL-8濃度を含むコントロールサンプルと比較し
て、減少した好中球エラスターゼ放出を生じた場合には、その試薬はIL-8介在性
好中球エラスターゼ放出を阻害することについてポジティブとして記録される。
好ましくはIL-8拮抗剤候補は、IL-8拮抗剤候補:ヒトIL-8のモル比が約1.0または
それ以下、およびより好ましくは約0.65またはそれ以下で、ヒトIL-8によって誘
発されるヒト好中球エラスターゼ放出の50%を阻害する。
II.抗IL-8抗体調製
1.モノクローナル抗体
本発明の抗IL-8抗体は、好ましくは約1×10-8から1×10-11、より好ましくは1
×10-9から1×10-10の解離定数(Kd)でIL-8に結合するモノクローナルである。本
発明の抗体は好ましくは、C5a、血小板第4因子またはβ-TGのようなIL-8以外の
ケモカインと固相酵素免疫検定法(ELISA)において測定可能な程度に結合するも
のではない。さらに本発明の抗体は好ましくは、IL-8で刺激される好中球からの
エラスターゼ放出を阻害し、IL-8で刺激される好中球の走化性を阻害する。本発
明の一つの実施態様として、本発明の抗体は、ウサギIL-8のようにヒトIL-8に加
えて非ヒト種由来のIL-8に結合し得る。
本発明のもう一つの実施態様として、本発明の抗IL-8抗体のFab,Fab',Fab'-SH
またはF(ab')2断片が作られる。これらの抗体「断片」は、酵素的切断のように伝
統的な手段によって作り出すことができ、または組換え法によって生産されるで
あろう。該抗体断片はキメラまたはヒト化されたものであろう。これらの断片は
以下に示すように診断上のまたは治療上の目的のために有用である。
本発明の抗IL-8モノクローナル抗体は例えば、KohlerとMilstein,Nature 256:
495(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法を用いて作り出すことが
可能であり、または組換えDNA法(Cabilly等,上記参照)によって作り出され得る
。
ハイブリドーマ法では、マウスや他の適当なホスト動物、ハムスターのような
ものが、免疫化に用いられたIL-8またはIL-8断片に特異的に結合するであろう抗
体を生産するまたは生産を可能にするリンパ球を導き出すために上述のように免
疫化される。IL-8に対する抗体は一般的に、IL-8およびアジュバントの複数回の
皮下注射(sc)または腹膜内注射(ip)によって動物において生じる。動物は普通は
、一リン酸化リピドA(MPL)/トレハロースジコリノミコレート(TDM)(Ribi Immuno
chem.Research,Inc.,Hamilton,MT)と共にIL-8の免疫原性複合物または誘導体に
対して免疫化され、溶液は複数の部位に皮内で注射される。二週間後動物は抗体
を作る。7から14日後動物から血を採り、抗IL-8力価について血清をアッセイす
る。力価が安定水準に達するまで動物に抗体を作らせる。
代わりに、リンパ球をin vitroで免疫化しうる。それからハイブリドーマ細胞
を形成するためにポリエチレングリコールのような適当な融合試薬を用いて、リ
ンパ球をミエローマ細胞と融合する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles
and Practice pp.59-103(Academic Press,1986))。
それゆえハイブリドーマ細胞は、非融合の元となるミエローマ細胞の成育と生
存を阻害する一つかそれ以上の物質を好ましくは含む適当な培地において、接種
されそして成育される。例えばもし元となるミエローマ細胞が、酵素ヒポキサン
チングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠失して
いたならば、ハイブリドーマに対する培地は典型的には、HGPRT欠失細胞の成長
を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を
含むであろう。
好ましいミエローマ細胞は効率よく融合し、選択された抗体生産細胞による抗
体の安定な高レベルの生産を維持し、そしてHAT培地のような培地に感受性なも
のである。これらの中から好ましいミエローマ細胞系は、Salk Institute Cell
Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能なMOPC-21およびM
PC-11由来のもののようなネズミミエローマ系、およびAmerican Type Culture C
ollection,Rockville,Maryland USAから入手可能なSP-2細胞である。
ハイブリドーマ細胞が成育している培地は、IL-8に対して向けられるモノクロ
ーナル抗体の生産のためアッセイされる。好ましくはハイブリドーマ細胞によっ
て生産されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法によって、または
放射性免疫検定法(RIA)あるいは固相酵素免疫検定法(ELISA)のようなin vitro結
合アッセイによって測定される。
mAbの結合アフィニティーは、例えばMunsonとPollard,Anal.Biochem.107:220
(1980)のスキャッチャード分析によって測定される。
ハイブリドーマ細胞が望ましい特異性、アフィニティーおよび/または活性の
抗体を生産することを同定された後、該クローンを限界希釈法によってサブクロ
ーン化し、標準的な方法(Goding,上記参照)によって成育させる。この目的のた
めに適当な培地は、例えばD-MEMまたはRPMI-1640培地である。加えてハイブリド
ーマ細胞は、動物における腹水腫瘍のようにin vivoで成育させることもできる
。
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セ
ファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析
及びアフィニティークロマトグラフィーのようなありきたりの免疫グロブリン精
製法によって、培地、腹水分泌液または血清から適当に分離される。
本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、ありきたりの方法を用いて
容易に単離されシークエンスされる(例えばネズミ抗体のH鎖とL鎖をコードする
遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって
)。本発明のハイブリドーマ細胞は上記DNAの好ましいソースとしても役に立つ。
一度単離されると、DNAを発現ベクターにつなぎ、それからそれを組換えホスト
細胞においてモノクローナル抗体の合成を得るために、大腸菌、サルCOS細胞、
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはさもなければ免疫グロブリンタン
パク質を生産しないミエローマ細胞のようなホスト細胞にトランスフェクトする
。抗体をコードするDNAの細菌での組換え発現についてのレビュー論説は、Skerr
a等,Curr.Opi
む。
DNAはまた、相同のネズミ配列の代わりにヒトH鎖およびL鎖定常ドメインのコ
ード配列で置換することによって、あるいは非免疫グロブリンポリペプチドのコ
ード配列を免疫グロブリンコード配列に共有結合でつなぐことによって修飾し得
る。上記方法では、ここでいう抗IL-8mAbの結合特異性をもつ「キメラ」または「ハ
イブリッド」抗体が調製される。
典型的には上記非免疫グロブリンポリペプチドは本発明の抗体の定常ドメイン
によって置換され、それらはIL-8に特異性を持つ一つの抗原結合部位と、異なる
抗原に特異性をもつもう一つの抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を作り出すた
めに、本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインで置換される。
キメラまたはハイブリッド抗体はまた架橋試薬を含むものを含む合成タンパク
質化学における既知の方法を用いてin vitroで調製されうる。例えば免疫毒素が
、ジスルフィド交換反応を用いてまたはチオエーテル結合を形成することによっ
て構築されうる。この目的のため適した試薬の例として、イミノチオレート及び
メチル1-4-メルカプトブチリミデートが含まれる。
2.ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は本分野でよく知られている。一般的に、ヒト化
抗体は非ヒトであるソースからそれに導入された一つかそれ以上のアミノ酸残基
をもつ。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「インポート残基」として示さ
れ、典型的には「インポート」可変ドメインから由来している。ヒト化は本質的に
、Winterと共同研究者(Jones等,Nature 321:522(1986);Riechmann等,Nature 332
:323(1988);Verhoeyen等,Science 239:1534(1988))の方法にしたがって実施され
、ネズミCDRまたはCDR配列を、相当するヒト抗体の配列で置換することによって
なされる。したがって該「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(Cabilly等,上記参照)
、そこでは実質的に完全なヒト可変ドメインより短い部分が、相当する非ヒト種
由来の配列で置換されている。実際問題として、ヒト化抗体は典型的には、いく
つかのCDR残基および可能ないくつかのFR残基がネズミ抗体の相似性の部位由来
の残基によって置換されているヒト抗体である。
ヒト化抗体を作製する場合に用いられるL鎖とH鎖の両方のヒト可変領域の選択
は、抗原性を減少する上で大変重要である。「ベスト-フィット」法と呼ばれる方
法にしたがって、ネズミ抗体の可変ドメインの配列が既知のヒト可変ドメイン配
列の完全なライブラリーからスクリーニングされる。それからネズミのものに最
も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためにヒトフレームワーク(FR)として受け入れ
られる(Sims等,J.Immunol,151:2296(1993);ChothiaとLesk,J.Mol.Biol.196:901(
1987))。もう一つの方法は、L鎖とH鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体の
コンセンサス配列由来の特定のフレームワークを用いる。同様のフレームワーク
はいくつかの異なるヒト化抗体のためにも用いられ得る(Carter等,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA.89:4285(1992);Presta等,J.Immunol.151:2623(1993))。
抗体は抗原に対する高アフィニティーおよび他の好ましい生物学的性質を保持
したまま免疫化されることがさらに重要である。この目的を達成するため好まし
い方法にしたがって、もととなるおよびヒト化配列の三次元モデルを用いてもと
となる配列および様々な概念上のヒト化産物の分析の過程によって、ヒト化抗体
を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは、公に入手可能であり当業者には親
しまれている。選択された免疫グロブリン配列の候補の可能な三次元構造を描写
し表示するコンピュータープログラムも入手可能である。これらの表示を見るこ
とによって、免疫グロブリン配列の候補の機能において残基の考え得る役割の分
析、すなわち抗原に結合する場合に免疫グロブリン候補の能力に影響する残基の
解析が可能となる。この方法では、FR残基が、標的抗原(類)に対する増大したア
フィニティーのような望ましい抗体特性を達成するためのコンセンサス配列およ
びインポート配列から選択され結合され得る。一般的にCDR残基は直接にそして
最も実質的に抗原結合を影響する部位に含まれる。
3.ヒト抗体
ヒトモノクローナル抗体はハイブリドーマ法によって作製され得る。ヒトモノ
クローナル抗体の生産のためのヒトミエローマ細胞系及びマウス-ヒトヘテロミ
エローマ細胞系は、例えばKozbor,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeur等,Monocl
onal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dek
ker,Inc.,New York,1987);およびBoerner等,J.Immunol.147:86(1991)に記述され
ている。
免疫化により内因性の免疫グロブリン生産の不存在下でヒト抗体のフルレパー
トリーを生産することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を生産す
ることが現代では可能である。例えば、キメラで生殖系列ミュータントマウスの
抗体H鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合体性欠失が、内因性抗体生産の完全な阻
害を引き起こすことが記述されている。該生殖系列ミュータントマウスへのヒト
生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列のトランスファーは、抗原チャレンジにより
ヒト抗体の生産を引き起こすであろう。例えばJakobovits等,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA.90:2551(1993);Jakobovits等,Nature 362:255(1993);Bruggermann等,Year
in Immuno.7:33(1993)参照。
代わりに非ヒトドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパート
リ
ーからin vitroでヒト抗体および抗体断片を生産するために、ファージディスプ
レー法(McCafferty等,Nature 348:552(1990))を用いることができる。この方法
では、抗体Vドメイン遺伝子がM13またはfdのような繊維状バクテリオファージの
メジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかのフレーム中にクロ
ーン化され、ファージ粒子の表面に機能的な抗体断片として展示される。繊維状
粒子はファージゲノムのシングルストランドDNAコピーを含むので、抗体の機能
的な性質に基づく選択はその性質を示す抗体をコードする遺伝子の選択という結
果にもなる。それゆえファージは、B細胞の性質のいくつかを真似る。ファージ
ディスプレーは様々な形式で実施されうる;それらのレビューについては、例え
ばJohnson等,Current Opinion in Structural Biology 3:564(1993)を参照。V遺
伝子配列のいくつかのソースがファージディスプレー法に用いられうる。Clacks
on等,Nature 352:624(1991)は、免疫化マウスの脾臓由来のV遺伝子の小さなラン
ダムな組み合わせのライブラリーから抗オキサゾロン抗体の様々な配列を単離し
た。非免疫化ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーが構築され得、抗原(自己
抗原を含む)の様々な配列に対する抗体が本質的にMarks等,J.Mol.Biol.222:581(
1991)、またはGriffith等,EMBO J.12:725(1993)に記述された方法にしたがって
単離されうる。
天然の免疫応答では、抗体遺伝子は高い割合でミューテーションを蓄積する(
体細胞超突然変異)。導入されたいくつかの変化は高アフィニティーを示し、抗
アフィニティー表面免疫グロブリンを展示しているB細胞が好ましくは後の抗原
チャレンジの間反復生産され分化される。この天然の過程は「チェーンシャッフ
リング」として知られている方法を用いて真似し得る(Marks等,Bio/Technol.10:7
79(1992))。この方法では、ファージディスプレーにより得られた「一次の」ヒト
抗体のアフィニティーが、非免疫化ドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然
に起こり得る変異体のレパートリーを用いた、H鎖とL鎖のV領域遺伝子の連続的
な置き換えによって改良され得る。この方法はnMの範囲でのアフィニティーを持
つ抗体および抗体断片の生産が可能となる。大変大きなファージ抗体レパートリ
ーを作製するストラテジーは、Waterhouse等,Nucl.Acids Res.21:2265(1993)に
記述されている。
遺伝子シャッフリングもまたネズミ抗体からヒト抗体を由来させるのに用いら
れ、そこではヒト抗体がスタート時のネズミ抗体と同じアフィニティーおよび特
異性をもつ。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法にしたがっ
て、ファージディスプレー法によって得られたネズミ抗体のH鎖およびL鎖Vドメ
イン遺伝子は、ネズミ-ヒトキメラを作製するために、ヒトVドメイン遺伝子のレ
パートリーを用いて置換される。すなわちエピトープがパートナーの選択を決定
する(インプリントする)。残ったネズミVドメインを置換するために本過程が繰
り返されると、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に印刷されたPCT WO 93/06213
参照)。CDR接合による伝統的なネズミ抗体のヒト化と異なり、この方法はネズミ
起源のフレームワークまたはCDR残基を含まないヒト抗体を完全に提供する。
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体とは、少なくとも二つの異なる抗原に対する結合特異性を持つ
モノクローナルで、好ましくはヒトのまたはヒト化された抗体である。本ケース
では、IL-8および好中球の因子、または二つの異なるタイプのIL-8ポリペプチド
を特異的に結合する二重特異性抗体が本発明の範囲にある。
二重特異性抗体を作成する方法は本分野で知られている。伝統的には、二重特
異性抗体の組換え生産は、二つの免疫グロブリンH鎖-L鎖ペアの共同発現に基づ
いており、そこでは二つのH鎖は異なる特異性をもつ(MilsteinとCuello,Nature
305:537(1983))。免疫グロブリンH鎖とL鎖のランダムな識別のため、これらのハ
イブリドーマ(クアッドローマ)は10種類の異なる抗体分子の混合物を潜在的に生
産し、その中の一種だけが正しい二重特異性抗体なのである。正しい分子の精製
は、通常アフィニティークロマトグラフィーステップによりなされるが、むしろ
煩わしく、生産性は低い。同様の方法は1993年5月13日に印刷されたWO 93/08829
およびTraunecker等,EMBO J.10:3655(1991)に記述されている。
異なるそしてより好ましいアプローチにしたがうと、望ましい結合特異性を持
つ抗体可変ドメイン(抗体抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融
合する。好ましくは融合は、少なくともヒンジ部、第二のH鎖定常領域(CH2)、お
よび第三のH鎖定常領域(CH3)を含む免疫グロブリンH鎖定常領域となされる。L鎖
との結合に必要な部位を含む第一のH鎖定常領域(CH1)を融合物の少なくとも一つ
に存在させるのも好ましい。免疫グロブリンH鎖融合物をコードするDNAおよび必
要であれば免疫グロブリンL鎖をコードするDNAを、別々の発現ベクターに組み込
み、適したホスト生物内に共同してトランスフェクトする。構築に用いられる非
等量割合の三つのポリペプチド鎖が最適条件収率を提供すると、これにより実施
態様における三つのポリペプチド断片の相互の性質を調製する大きな柔軟性が提
供される。しかしながら、等量割合で少なくとも二つのポリペプチド鎖の生産が
高い収率を引き起こした場合、またはその割合が特定の重要性を持たない場合、
一つの発現ベクターに二つまたは三つ全てのポリペプチド鎖をコードする配列を
組み込むことが可能である。このアプローチの好ましい実施態様によると、二重
特異性抗体は一つの腕の第一の結合特異性を持つハイブリッド免疫グロブリンH
鎖と、もう一方の腕のハイブリッド免疫グロブリンH鎖-L鎖ペア(第二の結合特異
性を提供する)より成る。この非対称の構造は、二重特異性分子の半分だけを占
める免疫グロブリンL鎖の存在が選別の容易な方法を提供するように、望まない
免疫グロブリン鎖の組み合わせから望ましい二重特異性化合物を選別するのを容
易にする。二重特異性抗体のさらに詳細を生産する方法については、例えばSure
sh等,Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照。
5.ヘテロ接合抗体
ヘテロ接合抗体もまた本発明の範囲にある。ヘテロ接合抗体は二つの共有結合
で結合された抗体より成る。該抗体は例えば、望まない細胞に対して免疫系細胞
の標的にするため(米国特許第4,676,980号)またはHIV感染の治療のため(WO 91/0
0360;WO 92/00373;そしてEP 03089)提案されている。ヘテロ接合抗体はいかなる
便利な架橋法を用いてでも作製されうる。適した架橋試薬は本分野でよく知られ
ており、たくさんの架橋法と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
III.抗IL-8抗体の診断における使用法
IL-8の検出または定量を必要とする診断への応用のため、本発明の抗体は典型
的には検出可能な部分を用いてラベルされるであろう。検出可能な部分は直接ま
たは間接に検出可能なシグナルを生ずることが可能ないかなるものでもあり得る
。例えば検出可能な部分は、3H,14C,32P,35Sまたは125Iのようなラジオアイソト
ープ;フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミンまたはルシフェリンの
ような蛍光化合物または化学ルミネセンス化合物;例えば125I,32P,14Cまたは3H
のよう
な放射性のあるアイソトープラベル;アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクト
シダーゼまたはセイヨウワサビペルオキシダーゼのような酵素が挙げられる。
検出可能な部分と抗体を別々に接合するための本分野で既知の方法も用いるこ
とができ、それにはHunter等,Nature 144:945(1962);David等,Biochemistry 13:
1014(1974);Pain等,J.Immunol.Meth.40:219(1981);およびNygren,J.Histochem.a
nd Cytochem.30:407(1982)に記述された方法を含む。
本発明の抗体は、競合的結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ
、そして免疫沈降アッセイのようないかなる既知のアッセイ法でも用いられ得る
。例えば、Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(C
RC Press,Inc.,1987)参照。
競合的結合アッセイは、限られた量の抗体と結合するテストサンプル分析物(I
L-8)と競合するラベルされたスタンダード(それはIL-8またはそれの免疫学的反
応部分であり得る)の能力を当てにしている。テストサンプル中のIL-8の量は、
抗体と結合するようになるスタンダードの量と逆につりあっている。結合するよ
うになるスタンダードの量の測定を容易にするために、抗体は一般的に競合の前
後で不溶化され、それによって抗体と結合したスタンダードと分析物を結合して
いないままのスタンタードと分析物から簡便に分離できる。
サンドイッチアッセイは検出すべきタンパク質(IL-8)の異なる抗原部位または
エピトープに対して各々結合できる二つの抗体の使用を含む。サンドイッチアッ
セイでは、テストサンプル分析物が固体の支持体に固定されている第一の抗体に
結合され、その後第二の抗体が分析物に結合し、それゆえ三つの部分からなる不
溶性の複合体を形成する(米国特許第4,376,110号)。第二の抗体はそれ自体検出
可能な部分でラベルされている(直接サンドイッチアッセイ)かまたは検出可能な
部分でラベルされている抗免疫グロブリン抗体を用いて測定される(間接サンド
イッチアッセイ)。例えばサンドイッチアッセイの一つのタイプがELISAであり、
その場合には検出可能な部分は酵素(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)である。
IL-8はまた組換え細胞カルチャーまたは天然由来のものからのIL-8のアフィニ
ティー精製にも有用である。例えばカルチャー上清または組織のようなソースか
らIL-8を精製するために、これらの抗体を本分野でよく知られた技術によって固
体の支持体に固定することができる。
IV.IL-8拮抗剤の治療上の構成および投与
IL-8の治療上の処方は、凍結乾燥した塊または水溶液の形態で、任意の生理学
的に許容できるキャリアー、賦形剤または安定剤(Remington's Pharmaceutical
Sciences,上記参照)と共に望ましい純度を持つIL-8拮抗剤による貯蔵から調製さ
れる。許容できるキャリアー、賦形剤または安定剤は、用いられる投与量と濃度
で受容者に対して非毒性であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸のようなバ
ッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10酸基より小さい)ポリ
ペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;
ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパ
ラギン、アルギニンまたはリシンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類およびグル
コース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレ
ート試薬;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムの
ような塩を形成しているカウンターイオン;および/またはTween、Pluronicsまた
はポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を含む。
in vivoの投与に用いられるIL-8拮抗剤は、滅菌されていなければならない。
これは、凍結乾燥および水を加えて元に戻す操作の前または引き続いて、滅菌濾
過メンブレンを通した濾過により容易に成し遂げられる。IL-8拮抗剤は通常は凍
結乾燥した形態または水溶液で貯蔵されるであろう。
治療上のIL-8拮抗剤構成は一般的に、例えば皮下注射針で貫けるストッパーを
持つ静脈注射溶液バッグまたはバイアルのような、滅菌アクセスポートをもつ容
器内に置かれる。
IL-8拮抗剤投与の経路は、例えば静脈内、腹膜内、大脳内、筋肉内、眼球内、
動脈内または病変内の経路による、浣腸または坐薬によるまたは持続放出システ
ムによる吸入、注射または点滴のような既知の方法に調和している。
一つの実施態様として、本発明はIL-8拮抗剤の気道への投与による喘息性疾患
の治療を提供する。本発明は、製薬学的構成および治療上の処方の気道への輸送
のためにデザインされた広範囲の手段における使用のためのIL-8拮抗剤を含む処
方を企図している。本発明の一つの面として、IL-8拮抗剤はエーロゾル化または
吸入形態で投与される。分散試薬または分散剤と結合したIL-8拮抗剤は、ドライ
パウダーとしてエーロゾル処方で、または希釈液を用いた溶液や懸濁液で投与さ
れ得る。
適した分散試薬は本分野でよく知られており、界面活性剤およびそれに類似す
るものを限定することなく含む。界面活性剤は一般的に、液体エーロゾルを形成
する溶液の霧状化によって生ずるタンパク質の凝集を誘発する表面を減少するた
めに本分野で用いられる。該界面活性剤の例として、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル及びアルコール、そしてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
が含まれる。用いられる界面活性剤の量は変化し、一般的に処方の重さの約0.00
1から4%の範囲にあるであろう。特徴的な面として、界面活性剤はポリオキシエ
チレンソルビタンモノオレエートまたはソルビタントリオレエートである。
液体エーロゾル処方は、生理学的に許容できる希釈液中のIL-8拮抗剤および分
散試薬を含む。本発明のドライパウダーエーロゾル処方は、IL-8拮抗剤の細かく
分割された固体の形態および分散試薬、そして任意にパウダーの散布を容易にす
るための、ラクトース、ソルビトール、スクロースまたはマンニトールおよびそ
れらの類似体のような膨張試薬より成る。液体であれドライパウダーエーロゾル
処方であれ、処方はエーロゾル化されなければならない。つまりそれは、エーロ
ゾル化した投与が実際に気管支及び/または肺胞のような望ましい場所に届くこ
とを確立するために、液体または固体の粒子に細分化されなければならないとい
うことを示す。例えば、ここで提供される喘息の治療法においては、エーロゾル
化したIL-8拮抗剤を気管支に運ぶことが望ましい。成人性呼吸促進症候群を治療
するための本方法のような他の実施態様では、エーロゾル化したIL-8拮抗剤を肺
胞に運ぶことが望ましい。一般的に、絶えず変化する粒子の平均の直径は、薬剤
粒子が肺気管支または肺胞に届くことを確立するために、5マイクロメーター(μ
m)またはそれより小さいであろう(Wearley,L.L.,1991,1991,Crit.Rev.in Ther.D
rug Carrier Systems 8:333)。
デリバリー装置の構造に関しては、液体処方のネブライザー、アトマイザーま
たはポンプエーロゾル、そしてドライパウダー処方のエーロゾルを限定すること
なく含む、本分野で既知のエーロゾル化のいかなる形態も本発明を実施する上で
用いられ得る。固体処方の投与のため独特にデザインされたデリバリー装置が構
想されている。しばしば、液体またはドライパウダー処方のエーロゾル化は高圧
ガスを必要とするであろう。高圧ガスは本分野で一般的に用いられるいかなる高
圧ガスをも含み得る。有用な高圧ガスの例として、クロロフルオロカーボン、ヒ
ドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボンおよび、トリフルオロメ
タン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノールおよび1,
1,1,2-テトラフルオロエタンを含む炭化水素、そしてそれらの組み合わせが含ま
れる。
本発明の好ましい面として、エーロゾル化のための装置は定量投与量吸入器で
ある。定量投与量吸入器は投与されると、投与に依存した可変的な投与量よりむ
しろ特異的な投与量を提供する。該定量投与量吸入器は、液体でもドライパウダ
ーエーロゾル処方でも用いられ得る。
加圧した定量投与量吸入器及びドライパウダー吸入器のようなエーロゾル装置
のシステムは、Newman,S.P.,Aerosols and the Lung,Clarke,S.W.とDavia,D.偏,
pp.197-22に開示され、本発明と関連して用いられ得る。
持続放出システムも本発明の方法を実施する上で用いられうる。持続放出調製
の適した例として、形作られた商品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの
ような形態の半透膜のポリマーマトリックスを含む。持続放出マトリックスには
、ポリエステルヒドロゲルポリラクチド(U.S.3,773,919,EP 58,481)、L-グルタ
ミン酸とガンマエチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman等,Biopolymers 22:
547(1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer等,J.Biomed.Ma
ter.Res.15:167(1981)およびLanger,Chem.Tech.12:98(1982))、エチレンビニル
アセテート(Langer等,上記参照)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,98
8)が含まれる。持続放出IL-8拮抗剤構成はまた、リポソームに封入されたIL-8拮
抗剤を含む。IL-8拮抗剤を含むリポソームはそれ自体が既知の方法によって調製
される:DE 3,218,121;Epstein等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.82:3688(1985);Hwang
等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.77:4030(1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP
143,949;EP 142,641;日本国特許出願83-118008;米国特許第4,485,045号および
第4,544,545号;そしてEP 102,324。普通はリポソームは脂質含有量が約30モルパ
ーセントコレステロールより大きい、小さな(約200-800オングストローム)単層
上のタイプであり、選択される割合は最適のIL-8拮抗剤治療のために調製される
。
治療学的に用いられるIL-8拮抗剤の「有効量」とは、例えば治療の目的物、投与
経路、そして患者の体調に依存するであろう。よって、セラピストは最適の治療
上の効果を得る必要性から投与量を調節し、投与経路を修正することが必要であ
ろう。典型的には臨床医は、投与量が望ましい効果を達成するのに到達するまで
IL-8拮抗剤を投与するであろう。本治療の進行はありきたりのアッセイによって
容易にモニターされる。
IL-8拮抗剤を用いた炎症性疾患または喘息性疾患の治療と予防においては、IL
-8拮抗剤構成は適した医療の実施に一致した方式で処方され、投与されるであろ
う。この意味で考慮されるファクターは、治療される特定の疾患、治療される特
定の哺乳動物、個々の患者の臨床上の体調、疾患の原因、IL-8拮抗剤の輸送部位
、IL-8拮抗剤の特定のタイプ、投与方法、投与スケジュールおよび医療従業者に
知られている他のファクターを含む。投与される抗体の「治療上の有効量」とは、
上記考慮に左右され、急性または慢性呼吸病を治療すること及び炎症応答を減少
することを含む疾患の予防、改善、治療に必要な最小量である。上記量は好まし
くは、ホストに毒性であり、感染に対してホストをさらに有意に感受性にする量
より低量である。
一般的な計画としては、投与量当たり非経口的に投与されるIL-8拮抗剤の初め
の製薬学的な有効量は、一日当たり患者の体重当たり約0.1から50ミリグラム(mg
/kg/日)の範囲にあり、用いられるIL-8拮抗剤の典型的な初めの範囲は0.3から20
mg/kg/日であり、好ましくは0.3から15mg/kg/日であろう。
全身の投与で用いられる一つの実施態様として、初めの製薬学的な有効量は、
約2から5mg/kg/日の範囲にあろう。
吸入による投与で用いられる本発明の方法にとっては、初めの製薬学的な有効
量は抗体試薬では約1マイクログラム(μg)/kg/日から100mg/kg/日の範囲にあり
、小分子試薬では約1μg/kg/日から20mg/kg/日の範囲にあるであろう。
本発明はIL-8拮抗剤を用いた喘息の予防法と治療法の両方を提供する。IL-8
拮抗剤を用いたアレルギー性喘息の予防的な治療の場合には、予想されるアレル
ゲンにさらす前またはアレルギー性喘息の発症前約24時間までに、患者に対して
約0.1から10mg/kgの抗体試薬を投与することが望ましい。アレルギー性喘息を含
む急性喘息の治療学上の治療の場合には、喘息の罹患の始まりに引き続いてでき
るだけ速やかに喘息の患者を治療することが望ましい。一つの実施態様として、
急性喘息の症状の発現では抗IL-8抗体試薬の約0.1から10mg/kgの投与によって徴
候の始まった24時間以内に治療される。しかしながら本発明の方法は喘息性疾患
の病因におけるいかなる時点でも徴候を改善するのに用いられ得ることが認めら
れるであろう。加えて本発明の方法は、慢性喘息性疾患の徴候を緩和するのに用
いられ得る。
しかしながら上記注意したように、IL-8拮抗剤の提案されている量は治療上の
裁量に大きく従う。適した投与量とスケジュールを選択するのに鍵となるファク
ターは、上記指摘したように得られた結果である。
IL-8拮抗剤は問題となっている炎症性疾患または喘息性疾患を予防または治療
するために目下用いられている一つかそれ以上の試薬と共に処方される必要はな
いがそれも任意に許される。例えばリューマチ性関節炎の場合には、抗体はグル
ココルチコステロイドと共に与えられうる。IL-8拮抗剤を用いて喘息性疾患を治
療する場合には、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、エピネフリンおよびそれらの
類似薬のような喘息の治療に有用である一つかそれ以上の付加的な試薬とIL-8拮
抗剤を共に投与することを企図している。上記他の試薬の有効量は処方に存在す
るIL-8拮抗剤の量、疾患または治療のタイプそして上記議論したような他のファ
クターに依存する。これらは一般的にこれまで用いられてきたのと同じ投与量で
同じ投与経路で用いられるかまたはこれまで用いられてきた投与量の約1から99%
で用いられる。
以下の実施例は証明として提供され、限定のためではない。明細書中の全ての
引例の開示は参考としてここに明白に取り込まれる。
実施例
A.ヒトIL-8に対するモノクローナル抗体の生産と特性
Balb/cマウスを10マイクログラム(μg)の組換えヒトIL-8((Ser-IL-8)72とユビ
キチンの融合物として生産された(Hebert等,J.Immunology 145:3033-3040(1990)
);IL-8はPepro Tech,Inc.,Rocky Hill,NJから商業的にに入手可能である)のMPL/
TDM(Ribi Immunochem.Research Inc.,Hamilton,MT)で再懸濁したものを用いて各
後脚肉趾または腹膜内に免疫化し、同量のIL-8を用いて二度追加免疫をした。こ
れらの実験では、「IL-8」なる語は特に断りがなければ(Ser-IL-8)72を意味するこ
と
を示す。10μgのIL-8の最後の追加免疫を融合の三日前に行った。脾臓細胞また
は膝窩のリンパ節細胞を、前述したように35%ポリエチレングリコールを用いて
ミエローマP3X63Ag8の非分泌クローンであるマウスミエローマP3X63Ag8U.1(ATCC
CRL1597)と融合した。融合の10日後、ELISAによってIL-8に対するモノクローナ
ル抗体の存在のためカルチャー上清をスクリーニングした。
ELISAは以下のように実施した。Nunc96穴イムノプレート(Flow Lab,McLean,VA
)を4℃オーバーナイトでリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の2マイクログラム/ミリ
リットル(μg/ml)のIL-8の50マイクロリットル(μl)/ウェルを用いてコートした
。残りの工程は室温で実施した。非特異的結合部位を1時間(hr)0.5%ウシ血清ア
ルブミン(BSA)を用いてブロックした。それからプレートを1時間、672の成育し
ている元の融合ウェルからハイブリドーマカルチャー上清の50μl/ウェルと共に
インキュベートし、引き続き1時間アルカリホスファターゼ接合ヤギ抗マウスIg(
Tago Co.,Foster City,CA)の1ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)ストック溶液の1
:1000希釈液の50μl/ウェルを用いてインキュベートした。プレートに結合した
酵素接合抗体のレベルをpH9.6の炭酸水素ナトリウムバッファー中の0.5mg/mlのr
-ニトロフェニルリン酸塩の100μl/ウェルを加えることによって測定した。色素
反応をELISAプレートリーダー(Titertrek Multiscan,Flow Lab,McLean、VA)を用
いて405nmで測定した。各工程の間プレートを0.05%Tween20を含むPBSで3回洗っ
た。
コントロール培地より4倍より多くIL-8の結合を促進したカルチャー上清をポ
ジティブとして選択した。この基準にしたがって、672の成育している元の融合
ウェルの16がポジティブであった(2%)。これらのポジティブハイブリドーマ細胞
系を限界希釈法を用いて少なくとも二回クローン化した。
ポジティブハイブリドーマの7つをさらに以下のように特徴付けた。モノクロ
ーナル抗体のアイソタイプを、オーバーナイトでのIL-8を用いたNunc96穴イムノ
プレート(Flow Lab,McLean,VA)のコート、BSAでのブロッキング、カルチャー上
清を用いたインキュベーション、引き続いてアイソタイプ特異的アルカリホスフ
ァターゼ接合ヤギ抗マウスIg(Fisher Biotech,Pittsburgh,PA)の所定量の添加に
よって測定した。プレートに結合した接合抗体のレベルを上述したようにr-ニト
ロフェニルリン酸塩の添加によって測定した。
試験された全てのモノクローナル抗体がIgG1またはIgG2免疫グロブリンアイソ
タイプのいずれかに属していた。これらのモノクローナル抗体を含む腹水分泌液
は、ELISAにおいて最大の結合の50%を与える希釈因子の逆数によって測定される
ように、10,000から100,000の範囲の抗体力価を持っていた。
これらのモノクローナル抗体が同じエピトープに結合するかどうかを評価する
ために、競合的結合アッセイを実施した。ビオチン化mAbと非ラベルmAbの割合を
1:100で、ビオチン化mAb5.12.14の結合は同一源のmAbによって有意に阻害された
がmAb4.1.3によっては阻害されず、一方でビオチン化mAb4.1.3の結合はmAb4.1.3
によって阻害されたがmAb5.12.14によっては阻害されなかった。モノクローナル
抗体5.2.3はmAb4.1.3と同様に振る舞い、一方でモノクローナル抗体4.8と12.3.9
はmAb5.12.14と同様であった。それゆえmAb4.1.3とmAb5.2.3は、モノクローナル
抗体12.3.9、4.8そして5.12.14によって認識されるエピトープとは異なるエピト
ープ(類)に結合する。ニトロセルロースペーパーに固定化されたIL-8に対する抗
体の反応性を評価するために、イムノドットプロット解析が実施された。コント
ロールマウスIgG抗体が認識しない一方で、7つ全ての抗体がペーパーに固定化さ
れたIL-8を認識した。
これらの抗体の可溶性125I-IL-8を捕らえる能力をラジオイムノ沈降試験(RIP)
により評価した。略記すると、トレサー125I-IL-8(4×104カウントバー分(cpm))
を室温で1時間0.5%BSAと0.05%Tween20を含むPBS(アッセイバッファー)の0.2ml中
にモノクローナル抗IL-8抗体の様々な希釈溶液を用いてインキュベートした。所
定濃度のヤギ抗マウスIg抗血清(Pel-Freez,Rogers,AR)の100mlを加えて、混合物
を室温で1時間インキュベートした。4℃に保存された6%ポリエチレングリコール
(分子量(M.W.)8000)の0.5ミリリットル(ml)を加えることにより免疫複合体が沈
殿した。4℃で20分の2,000×重(g)の遠心分離の後、上清をアスピレーターで除
去し、沈殿に残存している放射能をガンマカウンターで計測した。特異的な結合
のパーセントは(予想されるcpm-バックグランドcpm)/(全cpm-バックグランドcpm
)として計算された。モノクローナル抗体4.1.3、5.2.3、4.8、5.12.14そして12.
3.9は125I-IL-8を大変効率よく捕らえたが、一方で抗体9.2.4および8.9.1はELIS
Aプレーと上でコートされたIL-8には結合できるにもかかわらずRIPでは可溶性12 5
I-IL-8を捕らえることができなかった(表I)。
これらのモノクローナル抗体の解離定数を競合的結合RIPアッセイを用いて測
定
した。略記すると様々な濃度の非ラベルIL-8による125I-IL-8(20,000-40,000cpm
/アッセイ)に対する各抗体の結合の競合的な阻害を、上述したRIPによって測定
した。各mAbの解離定数(アフィニティー)をVersaTerm-PROコンピュータープログ
ラム(Synergy Software,Reading,PA)で提供されるようなスキャッチャードプロ
ット分析(Munson等,Anal.Biochem.107:220(1980))を用いることによって測定し
た。これらのモノクローナル抗体(9.2.4.および8.9.1は除く)の解離定数(Kd)は2
×10-8から3×10-10モル/リットル(M)の範囲である。3×10-10MのKdを持つモノ
クローナル抗体5.12.14が、試験した全てのモノクローナル抗体の中で最高アフ
ィニティーを示した(表I)。
これらのモノクローナル抗体のIL-8活性を中和する能力を評価するために、様
々な濃度のカルチャー上清及び精製したモノクローナル抗体の存在下でヒト好中
球に結合する125I-IL-8の量を測定した。好中球はMono-Poly Resolving Medium(
M-PRM)(Flow Lab.Inc.,McLean,VA)を用いて調製した。略記すると、新鮮でヘパ
リンで凝血防止したヒト血液を、血液と培地の割合が3.5:3.0でM-PRMに流し、室
温で30分300×gで遠心分離した。中間層に多く存在する好中球を集め、PBSで一
度
洗った。上記調製では決まってライトギームザ染色法にしたがって95%の好中球
より多い量が含まれた。受容体結合アッセイが以下のようになされた。50マイク
ロリットル(μl)の125I−IL-8(5ナノグラム/ミリリットル(ng/ml))を室温で30分
0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)内の50μlの非
ラベルIL-8(100マイクログラム/ミリリットル(μg/ml))またはモノクローナル抗
体と共にインキュベートした。それから混合物を37℃で15分100μlの好中球(107
細胞/ml)と共にインキュベートした。20%スクロースと0.1%BSAを含む0.4mlのPBS
に混合物を流し15分300×gで遠心分離することによって結合した125I-IL-8を非
結合物質から分離した。上清をアスピレーターで取り除き、ペレットと関連する
放射能をガンマカウンターで計測した。
モノクローナル抗体4.1.3、5.2.3、4.8、5.12.14そして12.3.9はIL-8とmAbの
モル比が1:25でヒト好中球に対するIL-8の結合を85%より多く阻害した。それと
は反対に、モノクローナル抗体9.2.4および8.9.1はヒト好中球上のその受容体に
対するIL-8の結合を促進するようにみえた。コントロールマウスIgGもまた好中
球に対するIL-8の結合を促進したので、mAb9.2.4および8.9.1によるその受容体
に対するIL-8結合の促進は非特異的なもののようである。それゆえモノクローナ
ル抗体4.1.3、5.1.3、4.8、5.12.14そして12.3.9は、潜在的な中和モノクローナ
ル抗体であり、一方でモノクローナル抗体8.9.1および9.2.4は非中和モノクロー
ナル抗体である。
IL-8によって誘発される好中球走化性をブロックする抗IL-8抗体の能力は以下
のように試験された。IL-8によって誘発される好中球走化性はボイデンチェンバ
ー法を用いて測定された(Larsen等,Science 243:1464(1989))。0.1%BSAを含むRP
MIに再懸濁された100μlのヒト好中球(106細胞/ミリリットル(細胞/ml))を上部
チェンバーに置き、モノクローナル抗体有りまたは無しで29μlのIL-8(20nM)を
下部チェンバーに置いた。細胞を37℃で1時間インキュベートした。下部チェン
バーに移動した好中球をライトギームザ染色で染色し、顕微鏡化で計測した(100
×倍率)。実験グループ当たりおよそ10の異なる場所を実験した。中和モノクロ
ーナル抗体5.12.14および4.1.3は、IL-8とmAbの比が1:10でIL-8の好中球走化性
活性のほぼ70%をブロックした。各mAbの等電点電気泳動(IEF)パターンをFastゲ
ルシステム(Pharmacia,Piscataway,NJ)を用いて精製した抗体をIEFポリアクリル
アミドゲル(p
H3-9,Pharmacia)に乗せることによって測定した。サンプルを流す前にIEFゲルを
1%TritonX100を含むファルマライトを用いて10分間前処理した。IEFパターンを
製品の説明書にしたがって銀染色によって明視化した。全てのモノクローナル抗
体が異なるIEFパターンをもち、それらが異なるクローンから生じたことが確認
された。抗体のpI値は表Iに挙げられている。
これら全てのモノクローナル抗体がIL-8の(ala-IL-8)77および(ser-IL-8)72型
の両方に等しくよく結合した。IL-8はβ-TG(Van Damme等,Eur.J.Biochem.181:33
7(1989);Tanaka等,FEB 236(2):467(1988))およびPF4(Deuel等,Proc.Natl.Acad.S
ci.USA.74:2256(1977))のような、炎症性サイトカインの血小板第4因子(PF4)フ
ァミリーの他のメンバーと30%より大きい配列ホモロジーをもつので、それらは
β-TGおよびPF4との考え得る交差反応性のため試験され、同様にもう一つの好中
球活性化因子C5aに対しても試験された。β-TGに対してわずかな交差反応性を示
したmAb4.1.3を除いて、これらのタンパク質のいずれに対しても検出可能な結合
は観察されなかった。
抗体の中の一つmAb5.12.14は好中球によるIL-8介在性エラスターゼ放出をブロ
ックするかどうかを測定するためさらに研究された。略記するとヒト好中球を1.
0%BSA、フラクションV(Sigma、St Louis,MO)、2mg/mlアルファ-D-グルコース(S
igma)、4.2ミリモル/リットル(mM)炭酸水素ナトリウム(Sigma)および0.01M HEPE
S,pH7.1(JRH Bioscience,Lenexa,KS)を含むハンクス平衡塩類溶液(Gibco,Grand
Island,NY)中に再懸濁した。サイトカラシンB(Sigma)のストックを調製し(ジメ
チルスルホキシド(Sigma)中に5mg/ml)、2-8℃で貯蔵した。最終濃度5μg/mlにな
るようにサイトカラシンBを好中球調製物に加え、37℃で15分インキュベートし
た。ヒトIL-8を37℃で30分1mlポリプロピレンチューブ(DBM Scientific,San Fer
nando,CA)中で、mAb5.12.14(20μl)またはネガティブコントロール抗体と共にイ
ンキュベートした。IL-8の最終アッセイ濃度は50および500nMであった。モノク
ローナル抗体を以下の割合(IL-8:Mab):1:50、1:10、1:2、1:1および1:0.25にな
るように希釈した。サイトカラシンBで処理した好中球を加え(100μl/チューブ)
、25℃で2時間インキュベートした。チューブを10分間遠心分離し(210×g、2-8
℃)、上清を96穴組織カルチャープレート(30μl/ウェル)に移した。DMSO中の10m
Mメトキシスクシニル-アラニル-アラニル-プロリル-バリル-p-ニトロアニリド(C
albioch
em,La Jolla,CA)のエラスターゼ基質ストックを調製し、2-8℃で貯蔵した。エラ
スターゼ基質溶液(蒸留水中に1.2mM基質、1.2M NaCl(Mallinckrodt,Paris,Kentu
cky)、0.12M HEPES pH7.2)を上清に加え(170μl/ウェル)、37℃で0.5から2時間
インキュベートした(1.0のコントロール光学濃度(O.D.)に到達するまで)。405nm
で吸光度を測定した(SLT 340 ATTCプレートリーダー、SLT Lab Instruments,Aus
tria)。
その結果は図1に示されている。IL-8とmAb5.12.14の比が1:1で、抗体は能率
よく好中球からのエラスターゼ放出をブロックできた。
抗体5.12.14を生産するハイブリドーマを1993年2月15日にAmerican Type Cult
ure Collection,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD,USA.(ATCC)に寄託し、ATT
C登録番号HB 11553と指定された。本寄託は特許手続上の微生物の寄託の国際的
承認に関するブダペスト条約の規定の下になされた。
B.ウサギIL-8に対するモノクローナル抗体の生産と特性
ウサギIL-8に対する抗体を、免疫原としてウサギIL-8を用いて抗ヒトIL-8抗体
と本質的に同様の工程で生産した(C.Broaddusにより丁寧に提供されている;Yosh
imura等,J.Immunol.146:3483(1991)も参照)。ELISAプレート上にコートされた他
のサイトカインに対する結合のため上記したように特徴付けた;MGSA,fMLP,C5a,b
-TG,TNF,PF4またはIL-1に対する測定可能な結合は見出されなかった。
抗体6G4.2.5を生産するハイブリドーマを1994年9月28日にAmerican Type Cult
ure Collection,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD,USA.(ATCC)に寄託し、ATT
C登録番号HB 11722と指定された。本寄託は特許手続上の微生物の寄託の国際的
承認に関するブダペスト条約の規定の下になされた。
5.12.14および6G4.2.5に対する組換えヒト-ネズミキメラFabを以下に記述する
ように構築した。キメラ6G4.2.5Fabはキメラ5.12.14Fabと以下に詳細に述べるよ
うに比較できる。
I.5.12.14Fabおよび6G4.2.5Fabによるヒト好中球に対するIL-8結合の阻害
能率よくIL-8に結合しヒト好中球上のIL-8受容体に対するIL-8の結合を妨げる
、5.12.14Fabおよび6G4.2.5Fabという二つのキメラFabの能力を、IL-8結合の50%
阻
害を達成するのに必要なIC50濃度の計算を可能にする競合的結合アッセイを実施
することによって測定した。
ヒト好中球(5×105)を様々な濃度(0から300nM)の5.12.14Fab、6G4.2.5Fab、ア
イソタイプコントロール(4D5-Fab)または非ラベルIL-8の存在下で、0.5nM125I-I
L-8と共に4℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、非結合125I-
IL-8をリン酸緩衝生理食塩水中に20%スクロースと0.1%ウシ血清アルブミンの溶
液を用いた遠心分離により除去し、細胞に結合した125I-IL-8の量をガンマカウ
ンターで細胞沈殿物を計測することにより測定した。図2は非ラベルIL-8による
好中球に対する125I-IL-8の結合の阻害を示す。図3はネガティブアイソタイプに
マッチするFabはヒト好中球に対する125I-IL-8の結合を阻害しないことを示す。
5.12.14Fab(図4)および6G4.2.5Fab(図5)の両抗IL-8Fabは、平均IC50がそれぞれ1
.6nMおよび7.5nMでヒト好中球に対する125I-IL-8の結合を阻害できた。
II.5.12.14Fabおよび6G4.2.5FabによるIL-8介在性好中球走化性の阻害
ヒト好中球を単離し、計測して0.1%ウシ血清アルブミンを含むハンクス平衡塩
類溶液(HBSSと略記する;カルシウムとマグネシウムが含まれていない)に5×106
細胞/mlになるように再懸濁した。好中球を最終濃度2.0マイクロモル/リットル(
μM)になるようにカルセインAM(Molecular Probe,Eugene,OR)を加えてラベルし
た。37℃で30分引き続きインキュベートし、細胞をHBSS-BSAで二回洗い、5×106
細胞/mlに再懸濁した。
走化性実験はNeuro Probe(Cabin John,MD)96穴チェンバー、モデルMBB96内で
実施した。実験サンプル(バッファーのみのコントロール、IL-8単独またはIL-8+
Fab)を下部チェンバーに置かれたPolyfiltronics96穴Viewプレート内に流した。
AMラベル好中球の100μlを上部チェンバーに加え、下部チェンバーサンプルに向
かって5マイクメーター孔を持つPVPフリーポリカルボネートで作られたフィルタ
ー(Neuro Probe Inc.)を通過して移動させるようにした。それから走化性装置を
5%CO2と共に37℃で40から60分間インキュベートした。インキュベーションの最
後に、上部チェンバーに残存している好中球をアスピレーターで吸い取り、上部
チェンバーをPBSで3回洗った。それからポリカルボネートフィルターを取り外し
、非移動細胞をPBSで湿らせたスキージで拭い去り、フィルターを15分間風乾さ
せた。
フィルターを通して移動した好中球の相対数(好中球移動指数)は、フィルター
の蛍光強度および下部チェンバーの内容物の蛍光強度を測定し、二つの値を共に
加えることによって決定された。蛍光強度は、感度セット3で485-20nmのエクサ
イテーションフィルターおよび530-25のエミッションフィルターを用いてCornin
g96穴プレートを読むために形成されたCytoFluor2300蛍光プレートリーダー(Mil
lipore Corp.Bedford,MA)を用いて測定された。
その結果が図6および図7に示されている。図6はキメラ6G4.2.5および5.12.14F
abによるヒトIL-8介在性好中球走化性の阻害を示す。図7はウサギIL-8介在性好
中球走化性を阻害するキメラ6G4.2.5および5.12.14Fabの相対的能力を示す。
III.様々な濃度の6G4.2.5および5.12.14FabによるIL-8介在性好中球エラスター
ゼ放出の阻害
ヘパリンで凝血防止した注射器に男性のドナーから血液を採血した。デキスト
ラン沈降、Lymphocyte Separation Medium(Organon Teknika,Durham,NC)での遠
心分離そしてBerman等(J.Cell Biochem.52:183(1993))に記述されているように
混入した赤血球の低張性溶解によって、好中球を単離した。最終好中球沈殿物を
1.0%BSA(フラクションV,Sigma,St.Louis,MO)、2mg/mlグルコース、4.2mM炭酸水
素ナトリウムそして0.01M HEPES,pH7.2を補ったハンクス平衡塩類溶液(GIBCO,Gr
and Island,NY)より成るアッセイバッファーに、1×107細胞/mlの濃度に再懸濁
した。好中球を1時間より長くない時間4℃で貯蔵した。
IL-8(10μl)を抗IL-8Fab、アイソタイプコントロールFabまたはバッファー(20
μl)と共に1mlポリプロピレンチューブで混ぜ、30分37℃のウォーターバス内で
インキュベートした。IL-8は投与量応答実験(図8)では0.01から1000nMの範囲の
最終濃度で用い、エラスターゼ放出におけるFabの影響に向けられた実験(図9お
よび10)では100nMの最終濃度で用いた。Fab濃度がおよそ20nMから300nMの範囲で
、Fab:IL-8のモル比が0.2:1から3:1となった。サイトカラシンB(Sigma)を濃度5
μg/ml(DMSOで作られた5mg/mlのストック溶液を用いる)で好中球懸濁液に加え、
細胞を37℃のウォーターバスで15分インキュベートした。それからサイトカラシ
ンBで処理された好中球(100μl)をIL-8/Fab混合物に加えた。室温での3時間のイ
ンキュベーションの後、好中球を遠心分離(200×g、5分)によってペレット化し
、細胞のな
い上清の部分標本を96穴プレート(30μl/ウェル)にトランスファーした。エラス
ターゼ基質たるメトキシスクシニル-アラニル-アラニル-プロリル-バリル-p-ニ
トロアニリド(Calbiochem,La Jolla,CA)を、DMSO内に10mMストック溶液として調
製し、4℃貯蔵した。エラスターゼ基質作用溶液を使用する直前に調製し(1.2mM
エラスターゼ基質、1.2M NaCl,0.12M HEPES,pH7.2)そして170μlを各サンプルを
含むウェルに加えた。プレートを37℃の組織カルチャーインキュベーター30分ま
たはポジティブコントロールを読み取る光学濃度が少なくとも1.0に到達するま
で置いた。SLT 340プレートリーダー(SLT Lab Instruments,Austria)を用いて40
5nmの吸光度を測定した。
図9はヒトIL-8によって刺激されたヒト好中球からのエラスターゼ放出を阻害
するキメラ抗IL-8Fabの能力を示す;図10はウサギIL-8によって刺激されたヒト好
中球からのエラスターゼ放出を阻害するキメラ抗IL-8Fabの相対的能力を示す。
C.実験的結腸炎モデル
慢性実験的結腸炎の最も広く受け入れられているモデルの一つは、最近Morris
等,Gastroenterology96:795(1989)に記述された2,4,6-トリニトロベンゼンスル
ホン酸(TNBS)誘発性傷害である。略記すると、50%エタノールの0.25ml中に10か
ら30ミリグラム(mg)のTNBSの直腸投与により、結腸重量の投与量依存的増大、ひ
どい潰瘍そしてミエロペルオキシダーゼ値により証明される急性および慢性局所
的炎症が生じる。エタノール中のTNBSの高投与量(30mg)により1週間で最高点に
達するが投与後少なくとも8週間は持続する結腸傷害を生じる。結腸炎症は一週
目で体重減を、1から3週間で動物の90%で下痢を伴い、そして近位の膨張と共に
末端の結腸で狭窄を伴うが死亡率は3%のみである。慢性の状態では炎症は直線状
の(横断的な)潰瘍と共に部分的であり、結腸が太くなることで特徴付けられる。
経壁の急性および慢性炎症は、3から5週間で外筋および漿膜において炎症性細胞
湿潤における進行性の増大と共に組織学的に注目される。粘膜のおよび漿膜の肉
芽種は2から3週間で調べられた55%の動物で存在し、傷害の4週またはそれ以上で
はおよそ20%の動物で存在する。
本発明の抗IL-8抗体のウサギにおける急性結腸炎を緩和する能力を研究するた
めに、30%エタノール内の17-35mg/mlトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS/EtOH)
(Morris等,Gastroenterology 96:795(1989)の方法を翻案した)の5mlの結腸内点
滴注入により、結腸炎をNew Zealand Whiteウサギ(1.8-2キログラムの体重)内に
誘発した。五匹のウサギを5mg/kgの6G4.2.5を用いて静脈注射で処理した。三匹
のコントロールウサギはPBSを受け取った。TNBS/EtOHで処理された動物は投与の
24時間後安楽死させ、IL-8、ミエロペルオキシダーゼ(多形核白血球またはヘテ
ロフィルの酵素マーカー)、湿った結腸重量、全炎症そして組織変化のレベルの
ため結腸組織を調べた。二つの結腸切片をありきたりのヘマトキシリンおよびエ
オシン切片のための標準的な方法によって加工したホルマリンで保存した。固相
酵素免疫測定法により結腸組織のIL-8レベルを調べた。治療および非治療ウサギ
由来の湿った結腸重量を測定し比較した。浮腫をサンプル当たり3から5部位の粘
膜下組織の厚さとして測定した。どの組織切片内の血管に影響を及ぼかを測定す
ることによって、白血球辺縁趨向を評価した(例えば表在性か、固有層内の上皮
下血管のみを含むか、著しくは粘膜下組織内の血管を含むか)。壊死の範囲は明
らかに壊死である結腸のパーセントとして測定した。壊死のひどさは結腸壁内へ
の壊死の浸透の深さとして測定した。全炎症は含まれる結腸の長さ以上の炎症の
ひどさとして定義され、腫脹および配色の程度に基づいて視覚的に記録された。
白血球浸透は高倍率の視野(HPF)(40×倍率)当たりの好中球数を数えることによ
って測定された。単核細胞浸透はHPF(40×倍率)当たりの単核細胞数を数えるこ
とによって測定された。
炎症を起こしているウサギ結腸組織内へのヘテロフィル(好中球)流入は、MPO
レベルの測定によりモニターされた(例えばBradley等,J.Invest.Dermatol.7B:20
6(1982)を参照)。略記すると結腸切片を15mlポリプロピレンチューブに置き、60
℃で2時間インキュベートした。組織を液体窒素で凍らせた。細かい粉状の組織
溶解物をモルタルと乳棒で調製し、15mlのポリプロピレンチューブ内に移した。
組織ホモジェナイザーを用いて組織のグラム当たり3.5mlの割合で、0.5%ヘキサ
デシルトリメチルアンモニウム(HTAB)(50mM KPO4バッファー、pH6内で0.5%の容
量当たりの重さ(w/v))内に可溶化した。サンプルを二回液体窒素内で凍らせ、60
度ウォーターバスで解凍した。それからサンプルを2.5パワーレベルで50%デュー
ティーサイクルで10秒間超音波処理にかけた。各サンプル溶解物をマイクロフュ
ージチューブに移し、室温で15分15,600×gで遠心分離した。サンプルを新しく
て清潔なM
icrofugeチューブに移した。各サンプルの75μlおよびウェル当たり0.03ユニッ
トに希釈したHTAB内のヒトMPOスタンダードポジティブコントロール(Calbiochem
Corp.,San Diego,CA)の75μlを、96穴フラットボトムプレートに三重に移した
。HTAB(50mMKPO4バッファー、pH6.0内に0.5%w/v)の75μlをブランクに参考とし
て加えた。H2O2の100μlを各ウェルに加えた。96穴プレート内での反応をThermo
Max光学プレートリーダー(Molecular Devices Co.Menlo Park,CA)上でモニター
した。1.0ml蒸留水中の10mgドライパウダーでO-ジアニシジン(Sigma,St.Louis,M
O)のストック溶液を調製し、0.2ミクロンフィルターに通した。25μlを各ウェル
に加えた。プレートを30分以上3-5分間隔で連続的にOD450nmで読み取った。
ミエロペルオキシダーゼおよびIL-8の増大したレベルを偽の治療を受けたコン
トロール動物と比較してTNBS/EtOHの増大した投与量を用いて投与された動物内
で検出した。増大した結腸重量と全炎症もまた明らかであった。組織学的評価に
より、侵されている組織の結腸壁の粘膜の壊死、血管のヘテロフィル辺縁趨向お
よび浸透が明らかにされた。
しかしながら抗IL-8抗体を用いたウサギの治療により、TNBS/EtOH誘発性結腸
炎のひどさは減少した。TNBS/EtOHを用いた結腸炎誘発の直前、体重のキログラ
ム当たり5ミリグラムの(mg/kg)6G4.2.5の静脈注射で治療された動物内の病変は
、3匹のコントロール動物に比較して5匹の動物のうち4匹で緩和した。抗体治療
は壊死の範囲およびひどさ、全炎症、結腸重量、浮腫、ヘテロフィル辺縁趨向そ
して浸透を減少した。結腸ミエロペルオキシダーゼおよびIL-8のレベルは大きく
減少した。これらの実験の結果が図11に示されている。これらの観察結果は結腸
炎の緩和における抗IL-8抗体の有用性を支持する。
D.細菌性肺炎における好中球移動に対する抗IL-8の効果
好中球は肺炎連鎖球菌による感染を含む様々な刺激に応答して肺に移動する。
本発明の抗IL-8抗体が上記好中球移動を阻害し、それによって肺内の炎症を改善
できるかどうかを測定するために、ウサギ肺炎モデルを用いた。略記すると麻酔
をかけられたNew Zealand Whiteウサキに全容量が0.5mlになるように抗ウサギIL
-8抗体(6G4.2.5クローン)またはコントロールマウスIgG(最終濃度0.5mg/ml)のい
ずれかおよびコロイド状の炭素(5%)と組み合わせた、肺炎連鎖球菌、大腸菌、緑
膿菌(3×109細胞/ml)を気管支内に点滴注入した。3時間50分後、肺の血液流量を
測定するためにウサギにラジオラベルしたミクロスフェアの静脈注射を与えた。
4時間で心臓および肺を摘出し、肺を分離した。コロイド状の炭素で示されてい
るような肺炎部位(通常は左下葉)および反対側の肺内の相当する部位をリン酸緩
衝生理食塩水を用いて洗浄した。洗浄液で血球計算機を用いて全白血球数を得、
ライト染色サイトスピン調整を実施して異なる計測を為した。
抗ウサギIL-8抗体を用いての治療はアイソタイプコントロールマウスIgGを用
いて治療された動物と比較してBAL液内に存在する好中球の数を有意に減少した(
図12)。それゆえ抗IL-8抗体は肺炎の肺内の好中球移動を効果的に減少する。
E.ネズミ5.12.14(抗IL-8)モノクローナル抗体の様々なL鎖およびH鎖の分子的ク
ローニング
ChomczynskiとSacchi(Anal.Biochem.162:156(1987))に記述された方法を用い
て1×108細胞(ハイブリドーマ細胞系ATCCHB-11722)からRNAを単離した。カッパL
鎖およびIgG2aH鎖の定常領域(これらの領域のDNA配列はSequences of Proteins
of Immunological Interest,Kabat,E.A.等(1991)NIH Publication91-3242,V1-3
に印刷されている)をコードするネズミRNAの領域とハイブリダイズするようにデ
ザインされた合成DNAオリゴヌクレオチドを用いてmRNAを特別に準備することに
よって第一ストランドcDNAを合成した。プライマーハイブリダイゼーションの機
会と第一ストランドcDNA合成の効率を高めるために各L鎖およびH鎖のために三つ
のプライマーをデザインした(図13)。第一ストランドcDNAのダブルストランド(d
s)DNAへの増幅は、二つのセットの合成DNAオリゴヌクレオチドプライマーを用い
て達成される:L鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーおよび一つの逆の
プライマー(図14)そしてH鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーおよび
一つの逆のプライマー(図15)である。5.12.14のL鎖またはH鎖のいずれかの最初
の8アミノ酸のN末端配列を、この領域に相当する推定のネズミDNA配列を生じる
ために用いた(エドマン分解タンパク質配列決定法を用いてL鎖およびH鎖の両方
のN末端から合計29アミノ酸をシークエンスした)。この情報を正の増幅プライマ
ーをデザインするために用い、該プライマーは天然のネズミDNAコドンとのプラ
イマーハイブリダイゼーションの機会を増大するためいくつかのコドンで第3番
目の位置が縮重
して作られており、クローニングベクター内のSTII要素の3'末端へのライゲーシ
ョンを容易にするためL鎖可変領域正プライマーおよびH鎖可変領域正プライマー
の両方に対して独特の制限部位、MluIをも含ませた。可変/定常接合部の近くで
L鎖またはH鎖の定常領域の部分に相当するネズミDNA配列とアニールするように
、逆の増幅プライマーをデザインした。ベクター、pB13.1(L鎖)およびpB14(H鎖)
内でヒトIgG1定常L鎖またはIgG1定常H鎖のそれぞれの5'末端にライゲーションす
るため、L鎖可変領域逆プライマーは独特のBstBI制限部位を含み、H鎖可変領域
逆プライマーは独特のApaI制限部位を含んだ。これらのプライマーのセットを
用いたポリメラーゼ連鎖反応により、およそ400bpのDNA断片を生じた。5.12.14L
鎖可変領域をコードするcDNAをpA51214VLを形成するためにベクターpB13.1内に
クローニングし、5.12.14H鎖可変領域をコードするcDNAをpA51214VHを形成する
ためにベクターpB14内にクローニングした。cDNA挿入物はDNAシークエンスによ
り特徴付けられ、図16(ネズミL鎖可変領域)内と図17(ネズミH鎖可変領域)に存在
する。
F.5.12.14Fabベクターの構築
始めの構築物たるpA51214VLでは、5.12.14ネズミL鎖可変配列とヒトIgG1定常L
鎖配列内の独特のクローニング部位BstBIの間のアミノ酸は、ネズミ定常部位の
最初の13アミノ酸に相当するネズミ由来のものであった(図16)。それゆえこのプ
ラスミドは5.12.14ネズミL鎖可変領域およびヒトL鎖IgG1定常領域を分離するネ
ズミ定常領域の不必要な部分を含んでいた。この介在配列はキメラのアミノ酸配
列を変え、誤ったフォールディングのFabをおそらく生産するであろう。A109の
後ろのcDNAクローンを即座に切り詰めポリメラーゼ連鎖反応によって可変/定常
接合部にBstBI部位を再配置することによって、この問題は解消された。図18は
これらの修正をなすために用いられた増幅プライマーを示す。正のプライマーVL
.frontはMluIクローニング部位を含むSTIIシグナル配列の最後の5アミノ酸およ
び5.12.14ネズミL鎖可変配列の最初の4アミノ酸にマッチするようにデザインさ
れた。その配列は後の構築に用いられる独特のEcoRVクローニング部位を作り出
すために最初の二つのコドンD1(TをCに)および12(CをTに)の第三位置においてオ
リジナルのcDNAから変更された。逆のプライマーVL.rearはヒトIgG1定常L鎖配列
の最初の3アミノ酸および独特のBStBIクローニング部位を含む5.12.14L鎖可変
配列の最後
の7アミノ酸にマッチするようにデザインされた。BstBI部位を加える工程にお
いて、いくつかのアミノ酸をコードする核酸配列を変更した:アルギニンへの保
存的なアミノ酸置換を引き起こすL106(TTGをCTTに)、K107(AAAをCGAに)そしてR1
08(CGGをAGAに)。それから修正された5.12.14L鎖可変配列をコードするPCR産物
を、二個所のライゲーションによりpB13.1内にサブクローン化した。MluI-Bst
Iで切断したL鎖可変領域をコードする5.12.14PCR産物をプラスミドpA51214VL'
を形成するためにMluI-BstBIで切断したベクターにライゲーションした。修正
されたcDNAをDNAシークエンスにより特徴付けた。5.12.14L鎖のコード配列は図1
9に示されている。
同様にH鎖可変領域の最後とpA51214VHのヒトIgG1H鎖定常ドメイン内の独特の
クローニング部位ApaIの間にあるDNA配列を、ネズミからヒトへこのエリア内の
アミノ酸を換えることにより再構成した。これはポリメラーゼ連鎖反応によって
なされた。ネズミ5.12.14H鎖可変配列の増幅は図18に示されたプライマーを用い
て達成された。正のPCRプライマーをSTIIシグナル配列およびH鎖可変領域をコー
ドする推定のcDNA配列の上流のpA51214VH内の核酸867-887にマッチするようにデ
ザインし、SpeIという独特のクローニング部位を含ませた。逆のPCRプライマー
を5.12.14H鎖可変配列の最後の4アミノ酸およびApaIという独特のクローニング
部位もまた含むヒトIgG1H鎖定常配列に相当する最初の6アミノ酸にマッチするよ
うにデザインした。それから修正された5.12.14H鎖可変配列をコードするPCR産
物を二個所のライゲーションによって発現ベクターpMHM24.2.28にサブクローン
化した。該ベクターはSpeIおよびApaIを用いて切断され、SpeI-ApaIで切断
されたH鎖可変領域をコードする5.12.14PCR産物をプラスミドpA51214VH'を形成
するためにその中にライゲーションした。修正されたcDNAはDNAシークエンスで
特徴付けられた。5.12.14H鎖のコード配列は図20に示されている。
キメラ5.12.14Fabをコードしている最初の発現ベクターpantiIL-8.1をEcoRV-
BpuI1021断片を、pA51214VL'のネズミ5.12.14L鎖可変領域をコードするEcoRV-
BpuI1021断片を用いて入れ替えるために、pA51214VH'をEcoRVおよびBpuI1021
で切断することによって作製した。それゆえその結果として生じたプラスミドは
512.14のL鎖およびH鎖両方のネズミ-ヒト可変/定常領域を含んだ。
L鎖およびH鎖を示すpantiIL-8.1を用いるFab発現の予備分析を細胞内で実施し
たが、大腸菌のペリプラズム空間にほんの少ししか分泌しなかった。この問題を
正すために、第二の発現プラスミドを構築した。
第二の発現プラスミドpantiIL-8.2はベクターとしてプラスミドpmy187を用い
て構築された。プラスミドpantiIL-8.2をpmy187をMluIおよびSphIを用いて切
断することによって作製し、pantiIL-8.1のネズミ5.12.14ネズミ-ヒトキメラFab
をコードするMluI(パーシャル)-SphI断片をそれにライゲーションした。それ
ゆえその結果として生じたプラスミドは5.12.14のL鎖およびH鎖両方のネズミ-ヒ
ト可変/定常領域を含んだ。
プラスミドpantiIL-8.2を1995年2月10日にAmerican Type Culture Collection
,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD,USA.(ATCC)に寄託し、ATTC登録番号97056
と指定された。本寄託は特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペ
スト条約の規定の下になされた。
G.ネズミ6G4.2.5モノクローナル抗体のL鎖およびH鎖可変領域の分子的クローニ
ング
ChomczynskiとSacchi(Anal.Biochem.162:156(1987))に記述された方法を用い
て1×108細胞(ハイブリドーマ細胞系6G4.2.5)からRNAを単離した。カッパL鎖お
よびIgG2aH鎖の定常領域(これらの領域のDNA配列はSequences of Proteins of I
mmunological Interest,Kabat等(1991)NIH Publication91-3242,V1-3に印刷さ
れている)をコードするネズミRNAの領域とハイブリダイズするようにデザインさ
れた合成DNAオリゴヌクレオチドを用いてmRNAを特別に準備することによって第
一ストランドcDNAを合成した。プライマーハイブリダイゼーションの機会と第一
ストランドcDNA合成の効率を高めるために各L鎖およびH鎖のために三つのプライ
マーをデザインした(図21)。第一ストランドcDNAのダブルストランド(ds)DNAへ
の増幅は、二つのセットの合成DNAオリゴヌクレオチドプライマーを用いて達成
される:L鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーおよび一つの逆のプライ
マー(図22)そしてH鎖可変領域増幅のための一つの正のプライマーおよび一つの
逆のプライマー(図23)である。6G4.2.5のL鎖またはH鎖のいずれかの最初の8アミ
ノ酸のN末端配列を、この領域に相当する推定のネズミDNA配列を生じるために用
いた(エドマン分解タンパク質配列決定法を用いてL鎖およびH鎖の両方のN末端か
ら合計29アミノ酸
をシークエンスした)。この情報を正の増幅プライマーをデザインするために用
い、該プライマーは天然のネズミDNAコドンとのプライマーハイブリダイゼーシ
ョンの機会を増大するためいくつかのコドンで第3番目の位置が縮重して作られ
ており、ベクターpchimFab内のSTII要素の3'末端へのライゲーションを容易にす
るためL鎖可変領域正プライマーには独特の制限部位、NsiIを、およびH鎖可変
領域正プライマーには独特の制限部位、MluIをも含ませた。可変/定常接合部の
近くでL鎖またはH鎖の定常領域の部分に相当するネズミDNA配列とアニールする
ように、逆の増幅プライマーをデザインした。ベクター、pchimFab内でヒトIgG1
定常L鎖またはIgG1定常H鎖のそれぞれの5'末端にライゲーションするため、L鎖
可変領域逆プライマーは独特のMunI制限部位を含み、H鎖可変領域逆プライマー
は独特のApaI制限部位を含んだ。これらのプライマーのセットを用いたポリメ
ラーゼ連鎖反応により、およそ400bpのDNA断片を生じ、p6G425Vlおよびp6G425VH
を形成するためにベクターpchimFab内に個別的にクローン化した。cDNA挿入物は
DNAシークエンスにより特徴付けられ、図24(ネズミL鎖可変領域)内と図25(ネズ
ミH鎖可変領域)に存在する。
H.6G4.2.5キメラFabベクターの構築
始めの構築物たるp6G425VLでは、6G4.2.5ネズミL鎖可変配列とヒトIgG1定常L
鎖配列内の独特のクローニング部位MunIの間のアミノ酸は、ネズミ由来のもの
であった。これらのアミノ酸はキメラFabの正しいホールディングを可能にする
ためヒトIgGアミノ酸配列にマッチしなければならない。二つのネズミアミノ酸D
115およびS121はヒトIgG定常ドメインのβ-ストランドのループに見出されるア
ミノ酸と劇的に異なり、図26に示されたプライマーを用いたサイトディレクトミ
ュータジェネシスによって正しいヒトアミノ酸残基V115およびF121に変換された
。これらの特異的なミューテーションはDNAシークエンスにより確かめられ、修
正されたプラスミドはp6G425VL'と名付けられた。コード配列を図27に示す。
同様にH鎖可変領域の末端とp6G425VHのヒトIgG1H鎖定常ドメイン内の独特なク
ローニング部位ApaIの間のDNA配列を、ネズミからヒトへこのエリアのアミノ酸
を変化させるために再構成した。この工程はH鎖可変領域の末端に近いBstEII部
位の発見により容易になった。この部位およびApaI部位をIgGヒトアミノ酸配列
に
相当するものをコードするDNAの合成断片の付加のために用いた。図26に示され
ている合成オリゴヌクレオチドをdsDNAの27bpの形成を可能にするためにお互い
に相補するように切断した。プラスミドp6G425VHはベクター配列内に付加的なBs
tEIIを含むため、該構築は三箇所のライゲーションで実施された。MluI-ApaI
を用いて切断されたp6G425VHの5309断片をプラスミドp6G425VH'を形成するため
に6G4.2.5H鎖可変領域を運んでいる388bp断片およびヒトIgG1定常領域の最初の6
アミノ酸をコードする27bpの合成DNA断片とライゲーションした。DNAの合成断片
の挿入はDNAシークエンスにより確認された。コード配列を図28に示す。
6G4.2.5のキメラFabをコードする発現ベクターp6G425chim2をSTIIネズミHPC4H
鎖可変領域を除去するためp6G425chimVL'をMluIおよびApaIを用いて切断し、
それをp6G425chimVH'のSTIIネズミ6G4.2.5H鎖可変領域をコードするMluI-ApaI
を用いて取り替えることによって作製した。それゆえ結果として生じたプラスミ
ドは、6G4.2.5のL鎖およびH鎖の両方のネズミ-ヒト可変/定常領域を含んだ。
プラスミドp6G425chim2を1995年2月10日にAmerican Type Culture Collection
,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD,USA.(ATCC)に寄託し、ATTC登録番号97055
と指定された。本寄託は特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペ
スト条約の規定の下になされた。
I.トランスジェニックマウス喘息モデルにおけるIL-8ホモローグ受容体ノックア
ウトの効果
IL-8は好中球に対する強い誘因物質であり、好酸球活性化もまた示されている
。喘息における白血球の移動および活性化でのIL-8の機能を調べるために、野生
型およびIL-8ホモローグ受容体ノックアウトマウスを利用したアレルギー性喘息
に対するネズミモデルを創り出した。ネズミ喘息モデルはアレルゲン特異的IgE
力価、気管支肺胞洗浄における好酸球の高パーセンテージ、マクロファージ、リ
ンパ球そして形質細胞の肺粘膜浸および粘液の過分泌を含む、この疾患のいくつ
かの面を再現する。
Balb/CIL-8ホモローグ受容体ノックアウトマウスをbalb/C遺伝子バックグラン
ドに対する染色体をもつIL-8ホモローグ受容体(IL8Rh)ノックアウトより成る遺
伝子型が得られるまで、balb/Cマウスに対してC57BL/6JIL8Rhノックアウトマウ
ス
(Caralano等,Science,265:682-684(1994)の方法にしたがって生産された)を掛け
合わせることによって生じさせた。メスのBalb/C野生型(WT)およびIL-8ホモロー
グ受容体ノックアウト(KO)同腹子を掛け合わせ、尾からのサンプリングにより遺
伝子型をチェックした。動物は研究の始めで6から8週齢であった。WTおよびKOの
両方をコントロールと喘息のグループにランダムに分け、各グループは統計的分
析のため7匹の動物を含むようにした。喘息のグループにはダルベッコリン酸緩
衝生理食塩水(DPBS)(HyClone,UT)中に100μg/mオボアルブミングレードV(Sigma
,MO)および10mg/ml酸化アルミニウム(Intergen,NY)を含む溶液の0.1mlを用いて
、0日に腹膜内に注射した。14日から20日に喘息グループとコントロールグルー
プの両方にDPBS中の10mg/mlオボアルブミンの溶液を用いて各日30分間エーロゾ
ルにして散布した。エーロゾル散布は1.7ml/分の噴射にセットしたUltra-Neb99
ネブライザー(DeVilbiss,PA)を接続した16.5×17×52cmのプレクシグラスかご内
に14匹の動物を置くことによって実施された。以下に示すように21日に血清、全
血、気管支肺胞洗浄液および肺組織を採取した。
血液は眼窩洞から集めMicrotainer Serum Separator(Becton Dickinson,NJ)内
で血清採集のため凝固した。
オボアルブミン特異的IgE力価を以下のように測定した。Maxi-Sorp F96 Nunc-
イムノプレート(Nunc,Denmark)内のウェルをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の2μ
g/mlFcεRI-HuIgG1(Haak-Frendscho等,J.Immunol.,151:351-358(1993)に記述さ
れているように得られた)の100μlを用いてそれぞれコートし、4℃オーバーナイ
トでインキュベートした。プレートをPBSで二回すすぎ、コートされたウェルを4
00μlのブロッキング溶液(PBS内に50mMトリス緩衝生理食塩水、0.5%ウシ血清ア
ルブミン(BSA)、0.05%Tween20)内で室温(RT)で1-2時間インキュベートした。血
清サンプルをブロッキング溶液内で連続的に希釈し(1:20の希釈から始める)、各
希釈溶液をコートされたウェル内に層状に重ねた。プレートを振動と共にRTで2
時間インキュベートした。
血清サンプルと共なるコートされたプレーとのインキュベーションに引き続い
て、プレートを洗浄バッファーで3回すすぎ、各ウェルをRTで1時間ブロッキング
バッファー内の10μg/mlオボアルブミンの100μlを用いてインキュベートした。
ヤギ抗オボアルブミン(Cappel(Organon Teknika)カタログナンバー55297、Durha
m,NC)をセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)に接合し、ブロッキングバッファ
ーで1:7000に希釈した。それからプレートを洗浄バッファーで3回洗い、各ウェ
ルをRTで1時間振動と共にHRP-接合ヤギ抗オボアルブミン希釈液の100μlを用い
てインキュベートした。プレートを再び洗浄バッファーで3回洗い、各ウェルをR
Tで30分100μlo-フェニレンジアミンジヒドロクロライド(OPD)溶液(一錠の5mgOP
Dの錠剤、12.5mlPBSそして5μlH2O2を混ぜた)および100μl2MH2SO4内で顕色させ
た。プレートをUV Kinetic Microplate Reader(Molecular Devices,CA)内で492n
mで蛍光をアッセイした。
全血を0.2%K2EDTA内に眼窩洞から採集し、凝血をチェックした。各動物の血液
スメアを空気乾燥し、メタノールで固定し、Diff-Quick(Baxter,IL)を用いて染
色した。これらのスライドの顕微鏡検査により好酸球、マクロファージ、リンパ
球、好中球および好塩基球特異形態を測定した。Serono 9018 Hematology Analy
zer(Baker Diagnostics,NJ)で全血の1:250希釈液の10mlを分析することによって
ヘモグラムを得た。全細胞数の計算はマウス体重の7%が血液であると仮定するこ
とによってなされた。
単一の腹膜内注射で運ばれた0.1mg/kg塩酸ケタミン(Ketaset,Fort Dodge Labo
ratories,IO)および0.5mg/kg Acepromazine Maleate(PromAce,Aveco Co.Inc.,IO
)を用いてマウスに麻酔をかけた。マウスを背側を下にして置き、気管を外科的
にさらしカニューレを挿入するために1/2から2/3まで切開した。カニューレ(Mic
ro-renathane,0.040OD×0.025ID)に22ゲージの短い太い針を接続し、これに二つ
の3ccシリンジを組み立てた3方向バルブを接続した。一つのシリンジに2mlHBSS(
Bio Whittaker,MD)を含ませ、残りのシリンジは採集のため空にした。4×0.5ml
の等分したHBSSを用いて肺を穏やかに洗浄し、その液を空のシリンジに集めた。
一度採集されると洗浄液を冷蔵し続けた。
洗浄液中の細胞を沈殿化し、0.2mlの塩水に再懸濁した。上述のようにヘモグ
ラムを得、濃度を200-400細胞/μlに調節した。150μlの等分液をShandon Cytos
pin 3遠心機を用いてスライドを調製するのに利用した。スライドを乾燥させ、
固定し、染色して特異形態を上述のように観察した。
洗浄液を採集した後マウスを頚部脱臼により安楽死させ、肺を外科的に摘出し
た。22ゲージの短い太い針を装着した3ccシリンジを10%中性緩衝ホルマリン、pH
6.8-7.2(Richard-Allan,MI)でいっぱいにし、気管内に挿入した。肺を穏やかに
膨らませ、気管を縫合した。更なる加工のため組織標本を10%緩衝ホルマリンで
貯蔵した。
左葉の縦の切片および3つの右葉の横断面にカットし、水をパラフィンに交換
するためにサンプルをTissueTek VIP(Miles,NY)で加工し、各サンプルをパラフ
ィンキューブに包埋し、ミクロトーンカット(Leica,Germany)により超薄切片を
得、スライドに超薄切片を置き、ヘマトキシン-エオシンを用いて乗せられたサ
ンプルを染色しそしてカバーグラスで封をすることによって肺組織標本を調製し
た。
以下の表IIおよび図29に示されている喘息IL8RhKOマウスおよび喘息WTマウス
から得られた好酸球気管支肺胞洗浄(BAL)数に示されているように、WT喘息マウ
スと比較すると喘息KOマウスでは気管支肺胞洗浄における好酸球の数において劇
的に18倍の減少が存在した。
コントロールおよび喘息動物血清におけるオボアルブミン特異的IgE力価により
、喘息グループの全ての動物が毎日エーロゾルにさらされる過程でオボアルブミ
ンに過敏になっていた。それゆえKO喘息マウスで観察された減少した好酸球応答
は、アレルゲン過敏化の不存在のためであった。好酸球はロイコトリエンC4を合
成し、マスト細胞および好塩基球からのエラスターゼ放出を刺激し、主要塩基性
タンパク質を放出することによって喘息の病因に寄与することが知られているの
で、減少した好酸球応答は喘息のマウス肺の総合的な病状における改善を示す。
IL8Rhの欠失は直接的に肺内への細胞の移住に影響し、間接的に好酸球の増殖
および/または循環半減期を調節することによって肺好酸球浸透を減少し得る。
図3
0に示されているように、喘息WT動物における末梢血好酸球数は繰り返されるア
レルゲンを用いた刺激により24倍増大し、その一方でKO動物は3倍の増大を示し
た。ヒト喘息もまた循環好酸球の増大したレベルが存在するので、これらのデー
タはIL-8がヒト内の好酸球の発達に中枢の役割を果たすことを強く示す。
上記表IIおよび図31に示されているように、WTマウスと比較してKOマウスは循
環好酸球に対する浸透の部分において2倍の減少を示した。これはネズミIL8Rh(m
uIL8Rh)が好酸球が気管の管腔に肺の内皮および上皮を通過して移動することを
可能にすることに直接的に含まれることの強い証拠となる。この移住障害はまた
リンパ球および好中球に対しても観察される。上記表IIに示されているように、
WT喘息マウスと比較して喘息IL8RhKOマウスでは、気管支肺胞洗浄液でリンパ球
および好中球の数においてそれぞれ2.5倍および18倍の減少が存在した。これら
のデータはヒトリンパ球および好中球はIL-8受容体を持っていることが知られて
おり、喘息ヒトドナー由来の好酸球は同様にIL-8受容体を示すことが知られてい
るという事実に照らして特に重要性をもつ。
リンパ球浸透応答におけるmuIL8Rhの総合的な効果は、図33-41に示されている
肺切片の顕微鏡分析から明白である。たとえKOマウスにいまだ白血球の穏やかな
肺の浸透が存在しているとしても、総合的なひどさはWT動物と比較して著しく減
少しており、WT動物では平均的な並みの浸透および著しい浸透が存在していた。
それほどひどくないWT喘息動物でさえ、ほとんどすべての気管支及び血管が単球
および好酸球である程度末梢で浸透されているが(図36-35に示されている)、そ
の一方でほとんどの影響を受けているKOマウスでは主要気管支だけが影響を受け
ているのみであった(図39-41に示されている)。
このネズミ喘息モデルはヒトアレルギー性喘息の鍵となる生理学上の特徴の多
くを再現しているため、およびmuIL8Rhはいくつかの喘息の特徴の発達において
劇的な役割を果たしているため、これらのデータは特に白血球浸透応答のコント
ロールに関してはヒトにおける喘息の病因においてIL-8が重要な役割を演じてい
ることを強く示唆する。IL-8拮抗剤の使用はベースラインレベルに近づけるため
に循環好酸球のプールを減少し、浸透好酸球およびリンパ球の数を減少すること
によって肺の総合的な病状を改善することが可能である。好酸球は平滑筋収縮お
よびその結果として気管支収縮を誘発するのに役割を果たすヒスタミンを放出す
る
ためにマスト細胞および好塩基球を刺激するので、IL-8拮抗剤を用いた治療は空
気流障害の強さおよび/または頻度を減少し、喘息患者の総合的な肺機能を改善
することが期待される。
IL-8拮抗剤を用いた喘息の治療は上述のネズミ喘息モデルのものと同様のプロ
トコールを使用したアレルゲンを用いたエーロゾル化が引き続くアレルゲンの腹
膜内注射によって喘息を誘発するという、霊長類喘息モデルを用いることによっ
て研究されている。用いられるアレルゲンはオボアルブミンまたはちりダニ、ブ
タクサ、ネコ鱗屑等のような人にアレルギーを引き起こすことが知られている他
のいかなるアレルゲンをも含む。予防治療様式は上述のようなアレルゲンを用い
たエーロゾル化による喘息の誘発の約10分前までに、約0.1から10mg/kgの単一巨
丸剤投与量で静脈内に投与される抗IL-8抗体を用いて(または化合物の薬力学的
プロフィールにしたがって決定された投与量で静脈内に投与される小分子IL-8拮
抗剤を用いて)動物を前処理することによって研究される。IL-8拮抗剤を用いた
前処理は喘息の誘発に起因する徴候の開始を予防するまたは減少することが期待
される。同様に治療上の治療様式は上述のように動物に喘息を誘発し、約0.1か
ら10mg/kgの単一の巨丸剤投与量で静脈内に投与された抗IL-8抗体を用いて(また
は化合物の薬力学的プロフィールにしたがって決定された投与量で静脈内に投与
される小分子IL-8拮抗剤を用いて)喘息の発症に引き続いて動物を治療すること
によって研究される。発症後にIL-8拮抗剤を用いた治療上の治療は喘息の誘発に
起因する徴候を減少または除去することが期待される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
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(72)発明者 ムーリ,マーク ダブリュ
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94131
サンフランシスコ ダイアモンド スト
リート 1301
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物における喘息を治療するための薬剤の製品におけるIL-8拮抗剤の使 用。 2.喘息がアレルギー性喘息である請求項1の使用。 3.哺乳動物がヒトである請求項1の使用。 4.IL-8拮抗剤がIL-8に応じた好中球走化性を阻害する請求項1の使用。 5.IL-8拮抗剤が好中球によるIL-8介在性エラスターゼ放出を阻害する請求項1 の使用。 6.IL-8拮抗剤がヒト好中球に対するヒトIL-8の結合を阻害する請求項1の使用 。 7.上記薬剤が哺乳動物における喘息の発症前に哺乳動物に投与される請求項1 の使用。 8.上記薬剤が哺乳動物における喘息の発症後に哺乳動物に投与される請求項1 の使用。 9.IL-8拮抗剤が抗IL-8抗体である請求項1の使用。 10.抗IL-8抗体がモノクローナル抗体である請求項9の使用。 11.抗IL-8抗体がキメラ抗体である請求項10の使用。 12.抗IL-8抗体がヒト化抗体である請求項10の使用。 13.抗IL-8抗体が6G4.2.5の相補性決定領域を持つ請求項10の使用。 14.抗IL-8抗体が5.12.14の相補性決定領域を持つ請求項10の使用。 15.哺乳動物にIL-8拮抗剤の有効量を投与することを含む哺乳動物における喘息 の治療法。 16.喘息がアレルギー性喘息である請求項15の方法。 17.哺乳動物がヒトである請求項15の方法。 18.IL-8拮抗剤がIL-8に応じた好中球走化性を阻害する請求項15の方法。 19.IL-8拮抗剤が好中球によるIL-8介在性エラスターゼ放出を阻害する請求項15 の方法。 20.IL-8拮抗剤がヒト好中球に対するヒトIL-8の結合を阻害する請求項15の方法 。 21.IL-8拮抗剤が哺乳動物における喘息の発症前に投与される請求項15の方法。 22.IL-8拮抗剤が哺乳動物における喘息の発症後に投与される請求項15の方法。 23.IL-8拮抗剤が抗IL-8抗体である請求項15の方法。 24.抗IL-8抗体がモノクローナル抗体である請求項23の方法。 25.抗IL-8抗体がキメラ抗体である請求項24の方法。 26.抗IL-8抗体がヒト化抗体である請求項25の方法。 27.抗IL-8抗体が6G4.2.5の相補性決定領域を持つ請求項24の使用。 28.抗IL-8抗体が5.12.14の相補性決定領域を持つ請求項24の使用。
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