JPH1150908A - 耐摩耗性摺動部材 - Google Patents
耐摩耗性摺動部材Info
- Publication number
- JPH1150908A JPH1150908A JP20626597A JP20626597A JPH1150908A JP H1150908 A JPH1150908 A JP H1150908A JP 20626597 A JP20626597 A JP 20626597A JP 20626597 A JP20626597 A JP 20626597A JP H1150908 A JPH1150908 A JP H1150908A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nickel
- sliding surface
- weight
- sliding member
- flame
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】単層の溶射皮膜を有するピストンリング等の耐
摩耗性摺動部材であって、使用条件の苛酷な舶用ディー
ゼルエンジンにも使用可能なものを提供する。 【解決手段】摺動部材の母材(M)の外周面にMo,C
rを主成分とするニッケル基摺動面材料(デロロステラ
イト社商品名トリバロイ)65重量%以上と、残部Cr
3C2/Ni−Cr硬質粒子とからなる単層の溶射皮膜
(C)を形成した。
摩耗性摺動部材であって、使用条件の苛酷な舶用ディー
ゼルエンジンにも使用可能なものを提供する。 【解決手段】摺動部材の母材(M)の外周面にMo,C
rを主成分とするニッケル基摺動面材料(デロロステラ
イト社商品名トリバロイ)65重量%以上と、残部Cr
3C2/Ni−Cr硬質粒子とからなる単層の溶射皮膜
(C)を形成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外周摺動面に耐摩耗
性溶射皮膜が形成されたピストンリング等の摺動部材に
関する。
性溶射皮膜が形成されたピストンリング等の摺動部材に
関する。
【0002】
【従来の技術】高速酸素火炎溶射により外周面に耐摩耗
性皮膜が形成されたピストンリングは、特開平8−21
0504号により公知である。この公知ピストンリング
は外周面に第一層と第二層からなる複層の耐摩耗性に優
れた溶射皮膜を有するので、使用条件の厳しい舶用ディ
ーゼルエンジンにも使用することができる。その第一層
は、Cr3C220〜80重量%とNi−Cr合金残部と
からなり、第二層はMo,Crを主成分とするコバルト
基もしくはニッケル基摺動面材料とからなる。又、第二
層は硬質粒子としてCr3C2を50重量%以下含むこと
ができる。
性皮膜が形成されたピストンリングは、特開平8−21
0504号により公知である。この公知ピストンリング
は外周面に第一層と第二層からなる複層の耐摩耗性に優
れた溶射皮膜を有するので、使用条件の厳しい舶用ディ
ーゼルエンジンにも使用することができる。その第一層
は、Cr3C220〜80重量%とNi−Cr合金残部と
からなり、第二層はMo,Crを主成分とするコバルト
基もしくはニッケル基摺動面材料とからなる。又、第二
層は硬質粒子としてCr3C2を50重量%以下含むこと
ができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この公知ピス
トンリングは外周摺動面に複層の溶射皮膜を形成するた
め、単層のものに比べるとコストが高いという問題があ
った。本発明は、単層の溶射皮膜を有する摺動部材であ
って、ディーゼルエンジン用摺動部材として使用されて
いるMo,Crを主成分とするニッケル基摺動面材料と
同等又はそれ以上の性能を有するものを得ることを課題
とするものである。このため本出願の発明者は多くのテ
ストを繰り返し実施して、本発明に到達した。
トンリングは外周摺動面に複層の溶射皮膜を形成するた
め、単層のものに比べるとコストが高いという問題があ
った。本発明は、単層の溶射皮膜を有する摺動部材であ
って、ディーゼルエンジン用摺動部材として使用されて
いるMo,Crを主成分とするニッケル基摺動面材料と
同等又はそれ以上の性能を有するものを得ることを課題
とするものである。このため本出願の発明者は多くのテ
ストを繰り返し実施して、本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するた
め、本発明が採用した手段は、Mo,Crを主成分とす
るニッケル基摺動面材料(デロロステライト社商品名:
トリバロイ)と、Cr3C2/Ni−Cr(炭化クロム−
ニッケルクロム合金サーメット)粒子とからなる溶射皮
膜を形成したことにある。溶射は高速酸素火炎溶射(H
VOF)法によることが好ましいが、他の溶射方法、例
えばプラズマ溶射法とすることも可能である。
め、本発明が採用した手段は、Mo,Crを主成分とす
るニッケル基摺動面材料(デロロステライト社商品名:
トリバロイ)と、Cr3C2/Ni−Cr(炭化クロム−
ニッケルクロム合金サーメット)粒子とからなる溶射皮
膜を形成したことにある。溶射は高速酸素火炎溶射(H
VOF)法によることが好ましいが、他の溶射方法、例
えばプラズマ溶射法とすることも可能である。
【0005】高速酸素火炎(HVOF)溶射は火炎温度
が2700℃程度と比較的低温であるため、溶射粉末が
熱分解をおこしたり気化してしまう可能性が少なく、溶
射材は本来の特性を維持し発揮する。ニッケル基摺動面
材料だけでは相手攻撃性は弱いが、耐スカッフィング性
及び耐摩耗性に若干難がある。そのため、耐スカッフィ
ング性耐摩耗性を共に向上させるCr3C2/Ni−Cr
複合材料を硬質粒子として分散させることによって、耐
摩耗性及び耐スカッフィング性に優れ、かつ相手攻撃性
の弱い材料となる。しかし、Cr3C2/Ni−Cr複合
材料が35重量%を超えると、相手攻撃性が多核なり、
相手材の表面を損傷するので、溶射材はニッケル基摺動
面材料にCr3C2/Ni−Cr複合材料を35重量%以
下添加したものとする。
が2700℃程度と比較的低温であるため、溶射粉末が
熱分解をおこしたり気化してしまう可能性が少なく、溶
射材は本来の特性を維持し発揮する。ニッケル基摺動面
材料だけでは相手攻撃性は弱いが、耐スカッフィング性
及び耐摩耗性に若干難がある。そのため、耐スカッフィ
ング性耐摩耗性を共に向上させるCr3C2/Ni−Cr
複合材料を硬質粒子として分散させることによって、耐
摩耗性及び耐スカッフィング性に優れ、かつ相手攻撃性
の弱い材料となる。しかし、Cr3C2/Ni−Cr複合
材料が35重量%を超えると、相手攻撃性が多核なり、
相手材の表面を損傷するので、溶射材はニッケル基摺動
面材料にCr3C2/Ni−Cr複合材料を35重量%以
下添加したものとする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のピストンリング等の摺動
部材10は、図1に示すように、母材Mの摺動面に溶射
皮膜Cを溶射法により、例えば高速酸素火炎(HVO
F)溶射法によって形成したものである。溶射皮膜C
は、Mo,Crを主成分とするニッケル基摺動材料にC
r3C2/Ni−Cr複合材料を硬質粒子として35重量
%以下添加したものである。ニッケル基摺動面材料はM
oが30〜40重量%、Crが14.5〜16.5重量
%、Siが2〜5重量%、Ni残部である。Moの含有
量が30重量%未満では耐スカッフィング性が損なわ
れ、40重量%を超えると硬度が低下する。Crの含有
量が14.5重量%未満では十分な機械的強度を得られ
ず、16.5重量%を超えると耐スカッフィング性を損
なう。Siの含有量が2重量%未満のときは十分が硬度
が得られず、5重量%を超えると脆くなる。
部材10は、図1に示すように、母材Mの摺動面に溶射
皮膜Cを溶射法により、例えば高速酸素火炎(HVO
F)溶射法によって形成したものである。溶射皮膜C
は、Mo,Crを主成分とするニッケル基摺動材料にC
r3C2/Ni−Cr複合材料を硬質粒子として35重量
%以下添加したものである。ニッケル基摺動面材料はM
oが30〜40重量%、Crが14.5〜16.5重量
%、Siが2〜5重量%、Ni残部である。Moの含有
量が30重量%未満では耐スカッフィング性が損なわ
れ、40重量%を超えると硬度が低下する。Crの含有
量が14.5重量%未満では十分な機械的強度を得られ
ず、16.5重量%を超えると耐スカッフィング性を損
なう。Siの含有量が2重量%未満のときは十分が硬度
が得られず、5重量%を超えると脆くなる。
【0007】Cr3C2/Ni−Cr複合材料はCr3C2
が50〜80重量%、残部がNi−Cr合金からなる。
Cr3C2が50重量%未満のときは十分な硬度が得られ
ず、又、耐スカッフィング性も劣る。80重量%を超え
ると相手攻撃性が強くなる。このCr3C2/Ni−Cr
複合材料を35重量%を超えて添加すると、相手攻撃性
が強くなる。
が50〜80重量%、残部がNi−Cr合金からなる。
Cr3C2が50重量%未満のときは十分な硬度が得られ
ず、又、耐スカッフィング性も劣る。80重量%を超え
ると相手攻撃性が強くなる。このCr3C2/Ni−Cr
複合材料を35重量%を超えて添加すると、相手攻撃性
が強くなる。
【0008】高速酸素火炎(HVOF)溶射は図2に示
すメテコ社製ダイヤモンドジェットガン(商品名)を用
いて実施する。ガン20は二重構造のノズル21とその
ノズルに外嵌したエアキャップ23とそのエアキャップ
を支持するエアキャップボディ24からなる。ノズル2
1は内側がインサート25、外側がシェル26である。
インサート25の内部中央にパウダーインジェクター2
2が挿入され、その内部に窒素ガスで溶射粉末が搬送さ
れ、ガン20から噴出する。
すメテコ社製ダイヤモンドジェットガン(商品名)を用
いて実施する。ガン20は二重構造のノズル21とその
ノズルに外嵌したエアキャップ23とそのエアキャップ
を支持するエアキャップボディ24からなる。ノズル2
1は内側がインサート25、外側がシェル26である。
インサート25の内部中央にパウダーインジェクター2
2が挿入され、その内部に窒素ガスで溶射粉末が搬送さ
れ、ガン20から噴出する。
【0009】インサート25とシェル26の間の環状空
隙に酸素−プロパン、又は酸素−プロピレン又は酸素−
水素の燃焼用ガスが送られ、そのガスはガン20から噴
出し、出口で点火する。点火したガスは2700℃程度
の円筒形火炎を形成して同じく噴出する溶射粉末を包
む。この火炎により溶射粉末は均一に加熱されて溶融す
る。溶融した溶射粉末は800m/sec以上の高速で
摺動面母材に衝突する。衝突した溶射粉末は瞬時に偏平
化し、母材温度まで急冷し、そこに溶射皮膜を形成す
る。シェル26とエアキャップ23の間の環状空隙にも
圧縮空気が入り、火炎を包んでガン20を冷却する。
隙に酸素−プロパン、又は酸素−プロピレン又は酸素−
水素の燃焼用ガスが送られ、そのガスはガン20から噴
出し、出口で点火する。点火したガスは2700℃程度
の円筒形火炎を形成して同じく噴出する溶射粉末を包
む。この火炎により溶射粉末は均一に加熱されて溶融す
る。溶融した溶射粉末は800m/sec以上の高速で
摺動面母材に衝突する。衝突した溶射粉末は瞬時に偏平
化し、母材温度まで急冷し、そこに溶射皮膜を形成す
る。シェル26とエアキャップ23の間の環状空隙にも
圧縮空気が入り、火炎を包んでガン20を冷却する。
【0010】溶射粉末は火炎軸と同方向の軸心に供給さ
れるため、溶射粉末は均一に分散する。粉末は800m
/sec以上の高速火炎によって母材に衝突させられる
ため、皮膜は高緻密で密着強度が高く極めて空孔の少な
い皮膜となる。
れるため、溶射粉末は均一に分散する。粉末は800m
/sec以上の高速火炎によって母材に衝突させられる
ため、皮膜は高緻密で密着強度が高く極めて空孔の少な
い皮膜となる。
【0011】
【実施例】本発明の耐摩耗性摺動部材を各種テストによ
って説明する。同一鋳鉄材の母材上に次の4種類の皮膜
を形成してテスト片とした。 テスト片No.1(比較例):HVOF溶射皮膜(350μm) トリバロイT−800 テスト片No.2(実施例):HVOF溶射皮膜(350μm) ニッケル基摺動面材料:95重量%、Cr3C2/Ni−Cr複合材料: 5重量% テスト片No.3(実施例):HVOF溶射皮膜(350μm) ニッケル基摺動面材料:80重量%、Cr3C2/Ni−Cr複合材料: 20重量% テスト片No.4(実施例):HVOF溶射皮膜(350μm) ニッケル基摺動面材料:65重量%、Cr3C2/Ni−Cr複合材料: 35重量% 高速酸素火炎(HVOF)溶射は図2に示すガンを使用
し、溶射条件は次のとおりである。
って説明する。同一鋳鉄材の母材上に次の4種類の皮膜
を形成してテスト片とした。 テスト片No.1(比較例):HVOF溶射皮膜(350μm) トリバロイT−800 テスト片No.2(実施例):HVOF溶射皮膜(350μm) ニッケル基摺動面材料:95重量%、Cr3C2/Ni−Cr複合材料: 5重量% テスト片No.3(実施例):HVOF溶射皮膜(350μm) ニッケル基摺動面材料:80重量%、Cr3C2/Ni−Cr複合材料: 20重量% テスト片No.4(実施例):HVOF溶射皮膜(350μm) ニッケル基摺動面材料:65重量%、Cr3C2/Ni−Cr複合材料: 35重量% 高速酸素火炎(HVOF)溶射は図2に示すガンを使用
し、溶射条件は次のとおりである。
【0012】燃焼ガス:酸素−プロパン 溶射粉末: ニッケル基摺動面材料:昭和電工トリバロイT−700
(商品名) −45μm(#325アンダー) 組成(重量%):Mo32.5、Cr15.5、Si
3.4 C0.08以下、Ni残部 Cr3C2/Ni−Cr複合材料:昭和電工ショーコート
KC−21HM(商品名) −38+6μm Cr3C2:75重量%、NiCr合金:25重量% 各テスト片について各種の評価試験を実施した。 耐摩耗性及び耐相手攻撃性試験 図5に模式的に示すアムスラー型摩耗試験機により、各
テスト片と相手材の摩耗量を測定した。摩耗試験機の容
器15内には潤滑油14が溜められており、摩耗試験用
の相手材12が潤滑油14に部分的に浸されている。相
手材12は円板状もしくはローラー状のものであり、一
定の速度で回転している。この状態でテスト片11を相
手材12の外周面に接した状態で回転軸に垂直に押圧
し、摩耗の程度を測定したものである。
(商品名) −45μm(#325アンダー) 組成(重量%):Mo32.5、Cr15.5、Si
3.4 C0.08以下、Ni残部 Cr3C2/Ni−Cr複合材料:昭和電工ショーコート
KC−21HM(商品名) −38+6μm Cr3C2:75重量%、NiCr合金:25重量% 各テスト片について各種の評価試験を実施した。 耐摩耗性及び耐相手攻撃性試験 図5に模式的に示すアムスラー型摩耗試験機により、各
テスト片と相手材の摩耗量を測定した。摩耗試験機の容
器15内には潤滑油14が溜められており、摩耗試験用
の相手材12が潤滑油14に部分的に浸されている。相
手材12は円板状もしくはローラー状のものであり、一
定の速度で回転している。この状態でテスト片11を相
手材12の外周面に接した状態で回転軸に垂直に押圧
し、摩耗の程度を測定したものである。
【0013】測定条件は以下のとおりである。 周速:1m/s 荷重:45kgf 潤滑油:軸受油(日本石油 スピノックスS−Z) 油温:室温(25℃±10℃) 時間:100時間 相手材:ターカロイ(日本ピストンリング(株)の商品
名として知られているボロン鋳鉄) 測定結果は図3に示すとおりであった。
名として知られているボロン鋳鉄) 測定結果は図3に示すとおりであった。
【0014】耐摩耗性の順位は実施例テスト片No.4、N
o.3、No.2、比較例テスト片No.1の順である。耐相手
攻撃性の順位はこの逆で比較例テスト片No.1、実施例
テスト片No.2、No.3、No.4の順である。 耐スカッフィング性試験 各テスト片の耐スカッフィング性を図6に模式的に示す
回転式平面滑り摩擦試験機により測定した。摩擦試験機
は一定速度で回転する相手材12の回転面にテスト片1
1を一定時間、所定の面圧(P)で圧接し、スカッフィ
ングの発生した時の面圧を限界面圧として測定したもの
である。圧接操作は初期面圧を25kgf/cm2と
し、面圧を30分後に50kgf/cm2、それから5
分毎に10kgf/cm2ずつ漸次増加させていく方法
で行われた。
o.3、No.2、比較例テスト片No.1の順である。耐相手
攻撃性の順位はこの逆で比較例テスト片No.1、実施例
テスト片No.2、No.3、No.4の順である。 耐スカッフィング性試験 各テスト片の耐スカッフィング性を図6に模式的に示す
回転式平面滑り摩擦試験機により測定した。摩擦試験機
は一定速度で回転する相手材12の回転面にテスト片1
1を一定時間、所定の面圧(P)で圧接し、スカッフィ
ングの発生した時の面圧を限界面圧として測定したもの
である。圧接操作は初期面圧を25kgf/cm2と
し、面圧を30分後に50kgf/cm2、それから5
分毎に10kgf/cm2ずつ漸次増加させていく方法
で行われた。
【0015】測定条件は以下のとおりである。 滑り速度:5m/sec 潤滑油:SAE#30+白灯油(1:1) 油量:無給油、初期塗布 相手材:ターカロイ 測定結果は図4に示すとおりであった。この図から、耐
スカッフィング性は、実施例テスト片No.4が一番良
く、実施例テスト片No.2と実施例テスト片No.3は同等
であり、比較例テスト片No.1が一番劣っている。これ
らの評価試験から、実施例テスト片No.4は比較例テス
ト片No.1よりも耐摩耗性及び耐スカッフィング性が明
らかに良好である。又、実施例テスト片No.2と実施例
テスト片No.3は耐相手攻撃性が若干劣っているが、耐
摩耗性、耐スカッフィング性及び耐相手攻撃性を総合的
に見ると、比較例テスト片No.1よりもやはり良好であ
るといえる。
スカッフィング性は、実施例テスト片No.4が一番良
く、実施例テスト片No.2と実施例テスト片No.3は同等
であり、比較例テスト片No.1が一番劣っている。これ
らの評価試験から、実施例テスト片No.4は比較例テス
ト片No.1よりも耐摩耗性及び耐スカッフィング性が明
らかに良好である。又、実施例テスト片No.2と実施例
テスト片No.3は耐相手攻撃性が若干劣っているが、耐
摩耗性、耐スカッフィング性及び耐相手攻撃性を総合的
に見ると、比較例テスト片No.1よりもやはり良好であ
るといえる。
【0016】
【発明の効果】上記のとおり、本発明の耐摩耗性摺動部
材は母材の外周摺動面にMo,Crを主成分とするニッ
ケル基摺動面材料とCr3C2とNi−Cr合金からなる
単層の溶射皮膜が形成されたものであるから、従来の複
層溶射皮膜からなるものよりも低コストであり、かつ対
摩耗性、耐相手攻撃性及び耐スカッフィング性の総合的
性能は従来のものと同等であり、自動車用ディーゼルエ
ンジンはもとより、燃料が粗悪な舶用ディーゼルエンジ
ンにも使用できるという優れた効果を奏する。
材は母材の外周摺動面にMo,Crを主成分とするニッ
ケル基摺動面材料とCr3C2とNi−Cr合金からなる
単層の溶射皮膜が形成されたものであるから、従来の複
層溶射皮膜からなるものよりも低コストであり、かつ対
摩耗性、耐相手攻撃性及び耐スカッフィング性の総合的
性能は従来のものと同等であり、自動車用ディーゼルエ
ンジンはもとより、燃料が粗悪な舶用ディーゼルエンジ
ンにも使用できるという優れた効果を奏する。
【図1】本発明の一実施例の摺動部材の断面図、
【図2】高速酸素火炎溶射用ガンの模式的断面図、
【図3】本発明の実施例及び比較例の耐摩耗性、及び耐
相手攻撃性試験の結果を示すグラフ、
相手攻撃性試験の結果を示すグラフ、
【図4】本発明の実施例及び比較例の耐スカッフィング
性試験結果を示すグラフ、
性試験結果を示すグラフ、
【図5】耐摩耗性及び耐相手攻撃性試験に用いた試験機
の略図、
の略図、
【図6】耐スカッフィング性試験に用いた試験機の略
図、
図、
C:溶射皮膜 M:母材 10:摺動部材
Claims (4)
- 【請求項1】 Mo,Crを主成分とするニッケル基摺
動面材料(デロロステライト社商品名トリバロイ)65
重量%以上と、残部Cr3C2/Ni−Cr(炭化クロム
−ニッケルクロム合金サーメット)硬質粒子とからなる
溶射皮膜(C)を母材(M)の外周面に形成した耐摩耗
性摺動部材。 - 【請求項2】 前記ニッケル基摺動面部材はMoを30
〜40重量%、Crを14.5〜16.5重量%、Si
を2〜5重量%を含み、残部がNiであることを特徴と
する請求項1記載の耐摩耗性摺動部材。 - 【請求項3】 前記Cr3C2/Ni−Cr硬質粒子はC
r3C2を50〜80重量%、残部がNi−Cr合金であ
ることを特徴とする請求項1又は2記載の耐摩耗性摺動
部材。 - 【請求項4】 前記溶射皮膜(C)は高速酸素火炎(H
VOF)溶射により形成されたことを特徴とする請求項
1ないし3のいずれか1つに記載の耐摩耗性摺動部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20626597A JPH1150908A (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 耐摩耗性摺動部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20626597A JPH1150908A (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 耐摩耗性摺動部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1150908A true JPH1150908A (ja) | 1999-02-23 |
Family
ID=16520475
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20626597A Pending JPH1150908A (ja) | 1997-07-31 | 1997-07-31 | 耐摩耗性摺動部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1150908A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004514795A (ja) * | 2000-12-12 | 2004-05-20 | フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 炭化タングステンおよび炭化クロムを含有する、ピストンリング用の耐磨耗層 |
EP2662582A1 (en) | 2012-05-08 | 2013-11-13 | Technymon S.R.L. | Manufacturing process of a multi-layer sliding bearing and multi-layer sliding bearing |
-
1997
- 1997-07-31 JP JP20626597A patent/JPH1150908A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004514795A (ja) * | 2000-12-12 | 2004-05-20 | フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 炭化タングステンおよび炭化クロムを含有する、ピストンリング用の耐磨耗層 |
EP2662582A1 (en) | 2012-05-08 | 2013-11-13 | Technymon S.R.L. | Manufacturing process of a multi-layer sliding bearing and multi-layer sliding bearing |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4612256A (en) | Wear-resistant coating | |
US5592927A (en) | Method of depositing and using a composite coating on light metal substrates | |
KR101731746B1 (ko) | 피스톤 링용 용사 피막, 피스톤 링 및 피스톤 링용 용사 피막의 제조 방법 | |
KR100531995B1 (ko) | 내마모성 슬라이딩 부재 | |
JP5689735B2 (ja) | ピストンリング | |
KR100501985B1 (ko) | 미끄럼 부재용 내마모성 용사피막 | |
JP5514187B2 (ja) | ピストンリング | |
US5098748A (en) | Method of producing a flame-spray-coated article and flame spraying powder | |
US8530050B2 (en) | Wear resistant coating | |
JP3582684B2 (ja) | 摺動部材の耐摩耗性溶射被覆層 | |
JPH1171664A (ja) | 内燃機関用摺動部材 | |
JPH09196176A (ja) | ピストンリング | |
JPH1150908A (ja) | 耐摩耗性摺動部材 | |
JPH08210504A (ja) | ピストンリング | |
JPH10183327A (ja) | 摺動部材のなじみ性溶射被膜層 | |
JP3547583B2 (ja) | シリンダーライナー | |
KR100304299B1 (ko) | 슬라이딩부재의융합성용사피막층 | |
JP3473738B2 (ja) | ピストンリング | |
JP2004307975A (ja) | 摺動部材 | |
JP3244959B2 (ja) | 耐摩耗性溶射層およびその形成方法ならびに耐摩耗性溶射層を被覆した摺動部材 | |
JP3059793B2 (ja) | ピストンリング | |
JPS5993865A (ja) | 摺動部材 | |
KR19990013380A (ko) | 슬라이딩 부재의 피복성 용사피막층 | |
CN117255872A (zh) | 喷镀被膜、滑动构件及活塞环 | |
JPH08199328A (ja) | 摺動部材 |