JPH11506176A - 柔軟な軽量保護パッド - Google Patents

柔軟な軽量保護パッド

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JPH11506176A
JPH11506176A JP9532628A JP53262897A JPH11506176A JP H11506176 A JPH11506176 A JP H11506176A JP 9532628 A JP9532628 A JP 9532628A JP 53262897 A JP53262897 A JP 53262897A JP H11506176 A JPH11506176 A JP H11506176A
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Abstract

(57)【要約】 衝撃力に対し人体を保護するための、改善された保護パッドが開示される。このパッドは、高密度の独立気泡ポリマー発泡体の層と、低密度の独立気泡ポリマー発泡体の層で形成される。高密度層は衝撃力を吸収、放散し、低密度層は人体に対するクッションとして作用し、快適な装着感を提供する。パッドは、その厚みを通る複数の穴を有することで、通気性と、人体からの熱の放散を提供することができる。穴の表面積は、十分な通気ができるくらいに大きいが、パッドによる保護を有意に損なうほど大きくはない。また、パッドには、その表面にわたり、かつその厚みの一部に及ぶ複数の刻み線を有することで、柔軟性と、保護する人体の部位における快適な装着感を提供することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】 柔軟な軽量保護パッド 発明の属する技術分野 本発明は、人体に用いる保護パッドに関する。本発明は更に、軽量で、衝撃吸 収性、柔軟性、そして通気性のある保護パッドに関する。 発明の背景 腰パッド、およびその他の保護パッドは、転倒や事故、スポーツ、およびその ような突発事の衝撃による損傷から、人体を保護するために用いられている。特 に年配者や、骨粗鬆症の人、および足が不自由で歩行困難な人は、偶発的な転倒 により骨折しやすい。年配者、特に骨粗鬆症の年配者にとって、骨折は非常に治 りにくいものなので、まず骨折を避けることがきわめて望ましい。 これまでに様々な保護用パッドや衣服が市販されてきたが、それらにはみな欠 点があった。典型的なものとしては、永続的に衣服に固定されているパッドや、 衣服のポケットに入れるパッド、または体の損傷を受けやすい部位にパッドがか ぶさるように、ヒモや皮膚に無害な接着剤で保持されているパッドがある。特に 年配者にとって、損傷を受けやすい部位は、腰のあたりである。腰の骨折は、年 配者が転倒した場合2〜3%の割合で起こり、一般に大腿骨の基部の骨折を含む ものである。この大腿骨の基部部分は、頭部、頚部、大転子、および小転子から なっている。大転子は腰の最も側面の部位で外に突き出しているため、特に側面 から転倒したときに、転倒によって生じる衝撃を、もろに受けてしまう。 腰を保護するためには、典型的には、パッドを衣服の腰を覆う部分の内側に固 定するか、またはパッドを衣服の腰のあたりに作ったポケットに入れる。より詳 細には、パッドを、典型的には大転子を覆うようにするか、もしくは、ある種の 力またはエネルギーを遮断するパッドの場合は、実際に大転子を覆わずに、大転 子を囲むように配置する。 転倒の際にパッドが弱めなくてはならない衝撃力の度合いについては、議論の 余地が大いにある。これは、疑似転倒荷重配置において、年配者の死体の大腿骨 を骨折させるのに必要な力を測定すると、ばらつきが大きいからである。この測 定値は、荷重速度によって、2110ニュートン(J.C.Lotz & W.C.Hayes.J .Bone Joint Surg.[Am],Vol.72,pp689-700,1990)から6020ニュー トン(T.G.Weber,K.H.Yang,R.Woo,R.H.Fitzgerald.ASME Adv.Bioeng. BED22: pp111-114,1992)にわたっている。その上、転倒して、タイル床のよう な硬い面に胴体が当たる速度は、約2.0〜約4.5メートル/秒まで変化しう る。ある研究者は、ボランティアの被験者に腰から転倒させて速度を測定し、平 均速度が約2.6メートル/秒と報告している(S.N.Robinovitch,J.Biomech .Eng.Vol.9,pp1391-1396,1994)。また、転倒の際の、パッドをつけていな い大転子にかかる力についての報告も、約5700ニュートンから10,400 ニュートンと幅広い(J.Parkkari ら、J.Bone and Mineral Res.,Vol.10,N o..10,pp1437-1442,1995)。 パッドの効果の最も明らかな証拠は、生体についての臨床研究から得られる。 そのような研究は、Lauritzen らによって、硬いシェル型のパッドを用いて行わ れている(Lancet,Vol.341,pp11-13,1993)。このパッドは、腰の骨折事故 を、対象とした集団の約50%にまで減らしたことがわかっている。こうした強 力な臨床結果にもかかわらず、Lauritzen のパッドは、代理腰にのせ、2.6メ ートル/秒の速度で動く重い(35kg)振り子で衝撃を加えた場合、力を弱め る度合いが比較的低いことが示されている(S.N.Robinovitchら、J.Biomechni cal Engineering,Vol.117,pp409-413,1995)。このようなインビトロの試験 条件下では、Lauritzen パッドは大腿部のピーク力を約5770ニュートンから 約4800ニュートンまで、または約17%しか緩和しなかった。Lauritzen パ ッドに基づく腰用プロテクターは、デンマークで、SAFEHIP(登録商標)の商品 名で、Sahvatex社(Sahva A/S とTytex A/S との合弁会社)より販売されている 。卵形をしたカップがポリプロピレンの硬いシェルを含んでいるこの腰用プロテ クターは、木綿の下着に縫い付けてある。 臨床的な知見は、2つの仮説を示唆している。第一に、他の研究者によって採 用された振り子衝撃試験は、様々なパッド・システムの衝撃力緩和能をたがいに 比較するのに有用といえるとしても、生体条件内でのパッドの性能とはあまり相 関しないかもしれない。そのような試験では、パッドを、固定した代理腰にのせ て、35kg以上ある塊を振って、側面からパッドに衝突させる。実際の転倒で は、力のかかり方はいくらかちがってくる。転倒の際、パッドと人体は共に下方 に動くどころか、重力のために下方に向かって加速し、あまりはね返りのない地 面や、かたい床のような固定された物体に衝突する。転倒の際の力のかかり方を うまく再現するために、機器を備え付けた代理腰をかたい面に落とした場合、さ まざまなパッド・システムのランクはおそらく同じようなものになるだろうが、 パーセント力減少(percent force reduction )はいくらか違ってくると考えら れるだろう。第二の仮説は、振り子試験は生体条件下でのパッドの性能と相関し ており、ピーク力減少(peak force reduction)が比較的低いレベル(約20% 程度)にあるパッドでも、転倒しやすい年配者の体の腰の骨折を、ある部位につ いて減少させることができるというものである。いずれの場合も、そして試験方 法にかかわらず、臨床的に試験をしたLauritzen/Sahvatexパッドよりもピーク力 を減少させるパッドは、腰の骨折の予防により有効なはずで、年配者の体のより 広い部位を保護するはずである。 明らかに、パッドから得られる力減少が大きいほど、腰の骨折事故は減少する はずである。しかし、われわれが行った消費者を対象とする調査は、転倒の際に 大転子にかかる衝撃力を減少させることに加え、パッドは、着用者に受け入れら れるためのその他の長所も備えていなくてはならないことを教示している。それ は、外見と、快適な装着感の両方に関することで、最大厚み、厚みプロフィール 、重さ、通気性、柔軟性、および体に対する適合性のような特性を含んでいる。 従来のパッドには、こういったところで不十分な点が多い。 従来技術のパッドには、かさばっていて、衝撃から身体を適当に保護しようと すると扱いづらいものがある。有効な耐衝撃性を提供することを意図した従来技 術のパッドの多くは、厚みが25.4mm(1インチ)より大きい。従来技術の パッドで薄いものは、典型的には衝撃に対する耐性が低く、代理腰に重い振り子 を落とすか、またはそれで叩くかして測定したときのピーク力減少が30%未満 というのが特徴である。その他のパッドは通気性が悪く、パッドに覆われている 皮膚に熱が蓄積してしまう。またそのほかにも、柔軟ではなく、硬いために、 パッドに覆われた体の部位に適合しないものもある。その上、硬いシェル型のパ ッドは、着用してすわったり、寝たりする際に違和感を感じやすい。柔らかい発 泡パッドは、衝撃力を吸収するために厚みをより大きくしなくてはならない。厚 みを大きくすると、かさばって、あまり快適でないパッドとなってしまい、パッ ドの下で熱が蓄積されることになる。いずれも、パッドの使用者にとっては、比 較的不快なものである。 われわれが行った消費者を対象とする調査によると、着用者となる人は、年齢 や肉体的な状態にかかわらず、外見を気にすることが示されている。好ましいの は、厚みが約25.4mm(1インチ)以下、より好ましくは最大厚みが約19 mm(3/4インチ)以下の腰パッドである。厚みのプロフィールも重要である 。好ましいのは、パッドのふちが通常の衣服を通して見えないように、最大厚み の部位からパッドのふちにかけて厚みが減少しているパッドである。パッドの周 囲のふちの厚みは、一般に12.77mm(1/2インチ)以下であることが好 ましい。更に好ましいふちの厚みは、6.35mm(1/4インチ)以下である 。 最もパッドをつける可能性があるのは、やせ型で体重の軽い年配の女性である ため、パッドの重量は重要である。好ましいのは、おのおのが約300g(一対 で600g)未満のパッドである。より好ましいのは、おのおのが約200g( 一対で400g)未満のパッドである。最も好ましいのは、おのおのが約100 g(一対で200g)未満のパッドである。 非常に短時間の着用しか意図していないスポーツ用のパッドとは違い、年配者 用の腰保護パッドは、1日中、屋内でも屋外でも、暑さ寒さにかかわらずあらゆ る気候で、そしてあらゆる湿度条件下において、着用することを意図するもので ある。典型的な発泡パッドは、体から出る水分や汗を通さない独立気泡発泡体で 作られている。その上、そのようなパッドは断熱体であり、体の熱を有効には放 散しない。このため、パッドの下に蓄積した汗や水分が、年配の着用者の皮膚を 損なうことがある。したがって、実質的な開口部分を、好ましくは少なくとも約 5%以上、より好ましくは約10%以上有することで、汗を蒸発させ、体の熱を 逃がすパッドが好ましい。 ここに開示するのは、新規で改善された保護パッドで、比較的薄く、軽量なパ ッドにおいて耐衝撃性が高められたものである。高い耐衝撃性は、熱の蓄積とそ れに伴う不快感を防ぐような通気性を提供しながら維持される。その上、この新 規なパッドは、保護特性にいかなる悪影響も受けずに、柔軟性と、保護する人体 部位に対する適合性を提供する。 発明の要旨 本発明によれば、人体の特定部位を衝撃から保護するための保護パッドであっ て、表面と厚みを有し、着用者の体から離れたパッドの外表面上に比較的高密度 な独立気泡ポリマー発泡体層を、また着用者の体に対してパッドの内表面上に比 較的低密度な独立気泡ポリマー発泡体層を含むパッドが提供される。典型的には 、高密度発泡体の密度は、約128〜約192kg/立方メートル(約8〜約1 2ポンド/立方フィート)、好ましくは約160kg/立方メートル(約10ポ ンド/立方フィート)である。低密度発泡体の密度は、典型的には、約48〜約 80kg/立方メートル(約3〜約5ポンド/立方フィート)、好ましくは約6 4kg/立方メートル(約4ポンド/立方フィート)である。これら二つの層は 共に固定されて、衝撃力に対する比較的高い耐性と、比較的快適な装着感を使用 者に提供する、比較的軽量のパッドとなる。 本発明のパッドは、衝撃力に対する耐性に有意な影響を受けることなく、パッ ドに覆われた人体の部位に対し実質的な柔軟性と適合性を提供するような、表面 上にわたりかつ厚みの一部におよぶ複数の刻み線を有していてよい。本発明のパ ッドは、また、衝撃力に対する有意な耐性を維持しながら、通気性を提供し、か つパッドに覆われた人体部位の熱が発散するように、表面上にわたりかつ厚みを 貫通する複数の開口部分を有していてよい。 一般に、本発明のパッドは、重量が約75g未満であり、好ましい最大厚みが 約25.4mm未満である。パッドの全体的な広さ、またはパッドに覆われる部 位の広さは、約96.7〜約322.6平方センチメートル(約15〜約50平 方インチ)にわたる。開口部分のパーセンテージは、パッドの全体的な広さに応 じて、約10%〜約50%とすることができる。一般に、パッドの開口部分のパ ーセンテージは、代理腰衝撃試験で測定して40%以上のピーク力減少を提供し ながら、通気が最大となるように選択する。 そのようなパッドは、衣服に永続的または着脱可能なように付けることができ る。衣服は、体から汗を逃がしやすい織物から作られていることが好ましい。 図面の簡単な説明 本願明細書は、本発明を特定し、明確に請求している請求項で結ばれるが、本 願明細書は、添付の図面と関連させた以下の記載から、より深く理解されるもの と考える。図面において: 図1は、本発明の保護パッドの平面図である。 図2は、図1の線2−2に沿って切った場合の部分断面図である。 図3は、本発明の別の態様の保護パッドの平面図である。 図4は、図1の腰パッドの透視図であり、曲げた状態でのパッドを示している 。 発明の詳細な説明 図面(図中の同じ数字は、同じ要素を示す)に詳細に参照する。図1には、本 発明の保護パッド10の一つの態様が示されている。保護パッド10は比較的軽 量で、比較的薄い(厚みは25mm未満であるが、最も好ましくは19mm以下 である)。保護パッド10は、あとでより詳細に説明するように、比較的柔軟で もよいし、特定の用途により、必要に応じてふち部分を設けてもよい。パッド1 0では、穴12で示すように、有意な耐衝撃性を維持しながら通気性を提供する ための、厚みを貫通する開口部分が占める割合が高い。本発明のパッド10は、 また、保護をしない場合に較べ、衝撃力を約40〜50%まで、有効に減少させ るものである。 パッド10は、特定の望ましいスタイルおよび用途に基づき、方形(図3に示 すような形)、四角形、円形、卵形等のような、多様な形で作ってよい。通気と 、パッドの下の体熱の放散のためにある穴12は、所望の通気性および耐衝撃性 の程度に応じて、直径を約3.18mm〜約25.4mmの範囲にすることが できる。その他の、卵形、四角形等のような形状の穴も採用することができる。 穴12の分の表面積は、じゅうぶんな通気が得られるほど大きくなくてはならな いが、パッド10のピーク力減少能が約40%未満になるほど大きくすべきでは ない。穴12の分の表面積は、有意な耐衝撃性を維持した上で、全表面積の10 〜50%の範囲でよい。パッド10には、その厚みに部分的に切れ目を入れるこ とで網目をつけ、刻み線14としてよい。刻み線14は、図1および図3に示す ように、好ましくはパッド全体の厚みの約1/4〜3/4インチの深さで、表面 全体にわたって入れる。刻み線14は、パッドの外表面または高密度発泡体側か らパッドの内部に入れるか、またはそのように形をつける。これにより、パッド の柔軟性が非常に高くなり、多様な形や大きさに適合することができるようにな る。刻み線14により付与された柔軟さを、図4に示す。 刻み線の形状および間隔は、変えることができる。図解する目的で図1、図3 、および図4に示すのは、パッドのまっすぐなへりに対し+または−45度の角 度で、パッドの穴を通るように入れた刻み線である。刻み線は、パッドのまっす ぐなへりに対し90度の角度で入れることもできるし、もしくは+および−45 度と90度の間のいかなる角度でも入れることができる。刻み線は、穴の中、穴 と穴の間、またはその組み合わせで通すことができる。刻み線は、図1、図3、 および図4に示すように、互いに平行および直角な直線として入れる必要はない 。また、パッドの片側から扇形のパターンで入れることもできる。パッド上で、 曲線、波線、ジグザグ線を描くこともできる。刻み線間の好ましい間隔は、約6 .53mm〜約50.8mmである。刻み線間の更に好ましい間隔は、約12. 7mm〜約25.4mmである。 パッドは、2種の異なる発泡材料で作る。外側の衝撃吸収層16は固い高密度 材で、独立気泡ポリマー発泡体であることが好ましく、たとえばVoltekL100 0ポリエチレン発泡体(マサチューセッツ州01843、ローレンス所在のVolt ek社製)がある。内側の層18は柔らかい低密度クッション材で、これも独立気 泡ポリマー発泡体であることが好ましく、たとえばSentinelMC3800ポリエ チレン発泡体(マサチューセッツ州02601、ハイアニス所在のSentinel Pro ducts Corporation 社製)がある。外層16は、衝撃吸収を 最大とすることができ、衝撃下でパッドがつぶれないほど固いものであるが、内 層18は固くなく、人体の様々な部位に適合するのに必要な柔軟性を付与するも のである。そしてこの結果、最大の衝撃吸収効果と快適な装着感を組み合せるこ とができるのである。パッド10は、二つの層を合わせて積層して、成形用ロー ルや研磨用の刃を用い、機械的に摩耗させ成形することによって作ることができ る。あるいは、パッドは、二つの層を加熱し、熱と圧力をかけて合わせて圧縮す ることで作ることもできる。そのような製造法は、当業者に知られている。 パッドの材料は独立気泡発泡体、好ましくはポリオレフィン独立気泡発泡体で あるが、同様の特性をもつその他の材料も用いることができる。適切なポリオレ フィン独立気泡発泡体は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエ チレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン (HDPE)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン−アクリ ル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレンイオノマー、ポリプロピレン、およ びポリプロピレンコポリマーに由来するものである。これらのポリオレフィン材 料は、水や汗を吸収せず、微生物も増殖させず、また一般に人が皮膚に不快感を 覚えたり、また皮膚が過敏になったりしないことから好ましい。適切なその他の 材料としては、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ ノルボルネン、スチレン−ブタジエン、ネオプレン、ニトリルゴム、および関連 するゴム材料、ポリウレタン発泡体、および可塑化したポリ塩化ビニル(PVC )発泡体に由来するゴム発泡体を挙げることができる。ポリウレタンやゴム発泡 体のようなその他の材料は、所望の耐衝撃性を発揮するが、人の皮膚に対し直接 または間接的に用いるパッドとして、そのような材料は注意して選択しなくては ならない。当業者に知られているそうした材料の特殊なグレード品は、使用者が 不快になったり、その健康が損なわれないように、水や汗の吸収を阻害し、微生 物の増殖を予防し、皮膚に不快感を覚えたり、また皮膚が過敏にならないように 処方することができる。 外層16の密度は、約128〜約192kg/立方メートル(約8〜約12ポ ンド/立方フィート)であり、好ましくは約160kg/立方メートル(約10 ポンド/立方フィート)であって、内層18の密度は、約48〜約80kg/立 方メートル(約3〜約5ポンド/立方フィート)であり、好ましくは約64kg /立方メートル(約4ポンド/立方フィート)である。各層をその密度範囲の上 限で作った場合、耐衝撃性が最大となる。また各層をその密度範囲の下限で作っ た場合、最も装着感が良くなる。上記の好ましい密度で作ることによって、一つ のパッドにおいて、有意な装着感と耐衝撃性を合わせて達成することができる。 また、高密度の上層または外層を、パッドの厚み全体の少なくとも50%の厚み で提供すると、パッドの性能が最大となる。 腰パッドの装着感は、衣服のデザインによって更に改善することができる。衣 服に使われる織物は、特に空気流通口をつけたパッドと組みあわせた場合、通気 性を高めることができる。自然に生じる水分を皮膚から逃がしやすくする織物は 、温度調整を促進し、装着感を高める。ノース・カロライナ州ウィンストン・セ ーレム所在のColville Inc.社製の「Cottonwick」は、この目的には特に有効な 織物である。この織物は、水分を織物中に逃がす、ポリマー化シリコーンでコー ティングした特殊なニット・ループを有している。このニット・ループは円すい 形の毛管を形成し、上記のシリコーン・コーティングが織物表面の水分を円すい の中に送り込む。 本発明のパッドは、たとえば、パッドを動かないようにポケットに縫い込むこ とで、衣服に永続的に固定してよい。したがって、そのような衣服に用いるパッ ドは、少なくとも衣服とともに手洗いでき、好ましくは洗濯機で洗える必要があ る。洗濯後、衣服とパッドは乾燥させなくてはならない。物干しに干して室温の 空気中で乾燥する場合も、乾燥機に入れて加熱した空気中で乾燥する場合も、衣 服の織物とパッドの双方の通風を促進するパッドの開口部分によって、乾燥が促 進される。あるいは、衣服は、ジッパーやホック、パイル・ファスナー(pile f astener)等を用いて開け閉め可能となっているポケットを有していてよい。こ れにより、所望であればパッドを衣服から外して、衣服を別に洗うことができる 。 以下の実施例は本発明の具体例であるが、本発明を限定するものではない。 実施例1 機械加工した発泡積層体パッド 多層パッドを構築するにあたっては、まず、MC3800ポリエチレン発泡体 (マサチューセッツ州02601、ハイアニス所在のSentinel Products Corpor ation 社製)の、密度が64kg/立方メートルの断片を、図1に示すように、 その断片が二つの互いに平行に対向するまっすぐな辺と、二つの互いに対抗する 湾曲した辺を有するように、厚みが9.52mmのシートからダイ打抜きする。 同時に、12個の12.77mm径の穴を、間隔をあけて上記断片からダイ打抜 きする。まっすぐな方の辺と辺との距離は約127mmで、湾曲した方の辺と辺 との距離は、断片の中心を通して測定して約139.7mmである。この第一の 断片は、パッドの皮膚または着用者の側にくる。 密度が約160ポンド/立方メートル、厚みが9.52mmのMinicellL10 00ポリエチレン発泡体(マサチューセッツ州01843、ローレンス所在のVo ltek社製)から、円形で直径が約114.3mmの第二の発泡体断片をダイ打抜 きする。この断片は、同時にダイ打抜きされた、第一の発泡体断片と同じ間隔で 配置されている12個の12.77mm径の穴を有している。この第二の断片は 、着用者の体から離れて、パッドの外側に来る。 上記した二つの発泡体断片を、各断片の12個の穴が互いにそろうように合わ せて、3M #343両面接着テープ(ミネソタ州55144、セント・ポール 所在の3M Co.社製)を用いて積層する。次いでこの積層体を、カップ型の研削と いしを用いて機械処理して、パッドがすべての辺にむかってなめらかに薄くなっ ていくようにし、パッドの一番外側または凸面上にL1000発泡体を残しなが ら、積層体の断面がドーム型となるかまたは曲面を描くようにする。これを図2 に概略的に示す。最終的なパッドは、重さが約15グラムあり、約12%の開口 部分を有している。パッドの中心部における最大厚みは約19mmで、パッドの ふちの辺りで約6.35mm以下となるまで薄くなっている。 パッドが固い面に当たったときの衝撃吸収能を、ポリオレフィンおよびネオプ レンの独立気泡発泡体その他の成分から作り、人が腰から転倒したときの柔らか い組織の応答と骨盤の応答の双方を模倣するように設計された代理腰を用いて測 定する。代理腰を、水平なスチール板に衝突するときの速度が約2.7メートル /秒となるように、約37.5cmの高さから落とす。代理腰は、およそ35k gの重さで、代理の大腿骨と大転子を含んでいる。代理腰をスチール板に落とし たときの代理大転子に伝わる力を、5000ポンドのロード・セル(load cell (製品番号8496−01、カリフォルニア州サンタ・バーバラ所在のGRC Inst ruments 社製)で測定する。パッドをしていない代理腰を落としてスチール板と 衝突させたとき、代理大転子上で測定される力は、約6000ニュートンである 。 本発明のパッドと比較するために、SAFEHIP(登録商標)(デンマーク国、Sah vatex社製)から腰プロテクターを外し、前記の代理腰に付け、腰の外側の皮膚 を覆う伸縮性の織物を用いて、代理大転子の部位を覆う位置に固定する。パッド をつけた代理腰を落とし、2.7メートル/秒でスチール板に衝突させると、代 理転子上で測定するピーク力は、パッドを付けない代理腰で測定するときより約 30%小さい。 本実施例のパッドを代理腰に付け、腰の外側の皮膚を覆う伸縮性の織物を用い て、代理大転子の部位を覆う位置に固定する。パッドをつけた代理腰を落とし、 2.7メートル/秒でスチール板に衝突させると、代理転子上で測定するピーク 力は、パッドを付けない代理腰で測定するときより約44%小さい。 実施例2 機械加工し、刻み線を入れた発泡積層体パッド 実施例1に記載したのとまったく同じパッドを構築する。次いで、このパッド に、Exactoナイフを用いてパッドのL1000側から刻み線を入れる。刻み線は 、パッドのまっすぐな辺に対し+および−45度の角度で、パッド全体の厚みの 約3/4まで入れてある。得られるパッドは非常に柔軟で、あらゆる方向に曲 げることができる。代理腰落下試験機で評価する場合、代理転子上で測定するピ ーク力は、パッドを付けない代理腰について測定するときよりも約43%小さい 。このように、刻み線は、パッドの衝撃力低下能に対し、実質的に何の影響も及 ぼさない。 実施例3 圧縮成形パッド 9.52mm厚さのMC3800発泡体の152.4mmx152.4mmの 断片を、大きなシートから切り出す。円形で101.6mm径、15.8mm厚 の第二の発泡体断片を、L1000発泡体のシートから切り出す。このL100 0断片を、二つの断片の中心がそろうように、3M #343粘着テープを用い て、MC3800断片に積層する。 この積層体を対流式オーブンに入れ、華氏350度で3分間加熱する。次いで 積層体をオーブンから出し、直ちにアルミニウムの圧縮金型のプラテンのあいだ に置く。閉じた金型が作り出す三日月形の空間は、パッドの中央部分の最大厚み が約19mmとなり、二つの発泡体の境目が自然な状態で、そして断面がはじに 向かってだんだん薄くなるように設計されている。前記の積層体を、1900ポ ンド/平方インチの圧力で、30秒間圧縮する。金型から積層体をはずし、ルー ル・ダイ(rule die)を用いてパッドをダイ打抜きし、図1に示すような実施例 1および2と同じ間隔配置とした、12個の12.77mm径の穴を開けて、最 終的な形を作る。得られるパッドの重さは、約21gである。代理腰落下試験機 で衝突速度を2.7m/秒として評価する場合、代理転子上で測定するピーク力 は、パッドを付けない代理腰について測定するときよりも約40%小さい。 このパッドが、機械的な洗濯および乾燥において安定か調べるために、数個の パッドを、Norge Heavy Duty洗濯機に入れ、液体タイド洗剤を用いて、通常の洗 濯を3サイクル行なう。水温は高く設定し、この洗濯機で約華氏120度とする 。洗濯を3サイクル行なったのち、パッドをSears Kenmore 乾燥機に入れ、約1 80Fで、実際にパッドを乾燥するのに必要とされるよりもかなり長い時間、 すなわち2時間乾燥する。上記したような洗濯と乾燥の後で、パッドに目に見え る劣化はない。 実施例4 刻み線を入れた圧縮成形パッド 実施例3に記載したのとまったく同じパッドを構築する。次いで、このパッド に、Exactoナイフを用いてパッドのL1000側から刻み線を入れる。刻み線は 、実施例2に記載したのと同じパターンで、パッド全体の厚みの約3/4まで入 れる。代理腰落下試験機で評価する場合、代理転子上で測定するピーク力は、パ ッドを付けない代理腰について測定するときよりも約43%小さい。 実施例5 方形の圧縮成形パッド 図3に示すような、通常は幅127.0mm、長さ177.8mm、厚さ9. 2mmで、15個の25.4mm径の穴を有しているMC3800発泡体の断片 を、大きいシートからダイ打抜きする。これも127.0mmx177.8mm で、15個の25.4mm径の穴を有している第二の発泡体断片を、厚さ15. mmのL1000発泡体のシートから打抜く。二つの発泡体断片を、3M #3 43接着テープを用いて、15個の穴がそろうように合わせて積層する。 この積層体を対流式オーブンに入れ、華氏350度で3分間加熱する。次いで 積層体をオーブンから出し、直ちにアルミニウムの圧縮金型のプラテンのあいだ に、L1000側が上側または凸型のプラテンに面し、かつMC3800が下側 または凹型のプラテンに面するように置く。閉じた金型が作り出す三日月形の空 間は、パッドの中央部分の最大厚みが約19mmで、パッドのふちにむかって薄 くなり、その辺りの厚みが6.35mm以下となるように設計されている。前記 の積層体を、約1900ポンド/平方インチの圧力で、30秒間圧縮する。得ら れるパッドの重さは、約41gで、開口部分が約33%である。 代理腰落下試験機で衝突速度を2.7m/秒として評価する場合、代理転子上 で測定するピーク力は、パッドを付けない代理腰について測定するときよりも約 46%小さい。 実施例6 開口部分が大きな、刻み線を入れた方形パッド 実施例5に記載したのとまったく同じパッドを構築する。次いで、このパッド に、Exactoナイフを用いてパッドのL1000側から刻み線を入れる。刻み線は 、図3に示すのと同じパターンで、パッド全体の厚みの約3/4まで入れる。代 理腰落下試験機で評価する場合、代理転子上で測定するピーク力は、パッドを付 けない代理腰について測定するときよりも約45%小さい。再度、刻み線の存在 は、パッドの衝撃力減少能について有意な影響をおよぼさなかった。 ここに本発明の特定の態様を例示し、記載したが、当業者にとって、本発明の 精神や範囲を逸脱することなく多様な変更や改変が可能であること、ならびに、 添付の請求項が、本発明の範囲であるそのような改変をすべて包含することを意 図していることは、自明のことであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, UZ,VN,YU (72)発明者 ナク,アンドリュー,ジュリアン アメリカ合衆国 45215 オハイオ州 ワ イオミング ヒドゥン ヴァレイ レーン 450

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.人体の特定部位を衝撃から保護するための保護パッドであって、表面と厚み を有し、比較的高密度な独立気泡ポリマー発泡体層と、比較的低密度な独立気泡 ポリマー発泡体層が、共に固定されて、衝撃力に対する耐性と、比較的快適な装 着感を使用者に提供する、比較的軽量のパッドとなることを特徴とするパッド。 2.人体の特定部位を衝撃から保護するための保護パッドであって、表面と厚み を有し、パッドに覆われた人体の部位に対し実質的な柔軟性と適合性を提供する ような、前記表面上にわたりかつ前記厚みの一部におよぶ複数の刻み線を有する ことを特徴とするパッド。 3.更に、衝撃力に対し有意な耐性を維持しながら、パッドに覆われた人体の部 位に対し実質的な柔軟性と適合性を提供するような、前記表面上にわたりかつ前 記厚みの一部におよぶ複数の刻み線を含むことを特徴とする、請求項1に記載の パッド。 4.更に、好ましくは128〜192kg/立方メートルの密度を有する高密度 の独立気泡ポリマー発泡体層と、好ましくは48〜80kg/立方メートルの密 度を有する低密度の独立気泡ポリマー発泡体層とを含み、これら二つの層が共に 固定されて、衝撃力に対する比較的高い耐性と、比較的快適な装着感を使用者に 提供する、比較的軽量のパッドとなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれ かに記載のパッド。 5.前記した高密度の独立気泡ポリマー発泡体の密度が、最も好ましくは160 kg/立方メートルであり、前記した低密度の独立気泡ポリマー発泡体の密度が 、最も好ましくは64kg/立方メートルであることを特徴とする、請求項1〜 4のいずれかに記載のパッド。 6.衝撃力に対する有意な耐性を維持しながら、通気性を提供し、かつパッドに 覆われた人体部位の熱が発散するように、前記表面上にわたりかつ前記厚みを貫 通する複数の開口部分を更に含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに 記載のパッド。 7.更に、体から汗を逃げやすくする織物を含む衣服がパッドに付いていること を特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のパッド。
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