JPH11506029A - ウイルス性および細菌性血液混入物の不活化の方法 - Google Patents

ウイルス性および細菌性血液混入物の不活化の方法

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Abstract

(57)【要約】 生体溶液中に存在するウイルス性および細菌性混入物が、新規な種類の光増感剤の一つとこの溶液とを混合し、そしてこの混合物を照射することによって、不活化される。キノリンおよびキノロン化合物は、この方法における光増感剤として有用である。特定の光増感剤と共に、ブロッキング剤もまた、使用され得る。

Description

【発明の詳細な説明】 ウイルス性および細菌性血液混入物の不活化の方法発明の分野 本発明は、採取した全血由来の末梢血細胞(赤血球、血小板、白血球、幹細胞 など)、血漿タンパク質画分(アルブミン、凝固因子など)、ウイルス感染したヒ トの血液、抗ウイルスワクチンの調製に用いるエクスビボ培地、および細胞培養 培地(例えば、ウシ胎児血清、ウシ血清、またはこれらの供給源由来の産物)を含 有する組成物を含む血液および血液製品の、ウイルス性および細菌性混入物の不 活化の一般的分野に関する。発明の背景 献血され、貯蔵されたヒト全血液、または全血から分離した種々の血液細胞ま たはタンパク質画分の輸注における最大の関心事は、ウイルス混入の可能性であ る。その中でも特に、肝炎(特に、A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎)および 後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こす血液で運ばれるウイルスに関心が集ま っている。いくつかの細胞洗浄プロトコルにより、非常に小さなウイルス粒子の 物理的除去によって血液細胞サンプルのウイルス混入量が減少し得る一方で、こ のような洗浄だけでは、安全なレベルまでウイルス混入を減少させるには十分で はない。実際、いくつかのウイルスは、細胞に結合しているものと考えられてお り、そして細胞の広範囲の洗浄および遠心分離によるペレット化によっては除去 されないようである。最近の説では、安全なレベルとは、最終的には細胞性血液 成分に対する感染性ウイルスの力価が少なくとも6log(大きさが6けた)減少し たことの証明が必要であることを示唆する。この6logの閾値とは、血漿タンパ ク質成分、特に一部の血友病患者の生涯を通じて投与される凝固因子(第VIII因 子、第IX因子)に対してはより大きいものであり得る。 米国で採取された全血は、現在以下の6つの感染因子に対するスクリーニング がなされる:HIV-1、HIV-2、HTLV-1、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、お よび梅毒。さらに、提供者は複数の危険因子に対しスクリーニングがなされ、そ してHIVウイルスについての危険があると考えられる可能性のある提供者は除外 される。これらの測定にかかわらず、血液あるいは血液製品の輸注を介する、致 命的である可能性のあるウイルスまたは細菌によって感染されたものから生じる 危険は深刻なままである。混入物に対するスクリーニングは本来確実なものでは ない。またその結果の重大性が既知となる前に、血液供給物へ入る新しい感染因 子の発生があり得る。例えば、1992年の6月末までに、4,959例のAIDSの原因が 、輸血、血液成分、あるいは組織の受け入れに直接的に帰因し得ることを、Cent er for Disease Controlは報告している。 ストリンジェントな滅菌によるウイルスの不活化は、この方法が血液中の機能 的な成分(特に、赤血球(red blood cell)、血小板(platelet)、および第VIII凝 固因子のような不安定な血漿タンパク質)もまた破壊し得るため受け入れられな い。生きている赤血球(RBC)は、以下の1つ以上により特徴付けられ得る:ATPの 合成能;細胞形態;P50値;濾過能または変形能;オキシヘモグロビン、メトヘ モグロビン、およびヘモクロム値;MCV、MCH、およびMCHC値;細胞酵素活性;そ してインビボでの生存。それゆえ、もしウイルス的に不活化された細胞が、ATP を代謝または合成できなくなる程度まで、あるいは細胞循環が弱くなる程度まで 損傷されるならば、それらの輸注医薬中での利用性は危うくなる。 ストリンジェントな蒸気滅菌によるウイルスの不活化はまた、血液の機能的成 分、特に血液細胞および血漿タンパク質を破壊するため、受け入れ得ない。乾式 熱滅菌は、湿式蒸気と同様に、ウイルス感染性を減少させるために必要とされる レベルでは、血液細胞および血液タンパク質にとって有害である。安定剤(例え ば、炭水化物)の使用は、高温および高圧への曝露による一般的な影響から、も ろい血液細胞およびタンパク質を保護するためには十分ではない。 現在、精製血漿タンパク質画分に用いられる方法(しばしば、タンパク質調製 物を凍結乾燥がこれに続く)として、有機溶媒および熱での処理、あるいは、膜 エンベロープをもつウイルスの脂質コートを破壊するための界面活性剤での抽出 が挙げられる。凍結乾燥(フリーズドライ)だけでは、ウイルスを不活化すること 、または血液タンパク質を熱滅菌の影響に対して十分安定化すること、いずれに も 不十分である。精製血液タンパク質に用いる有機溶媒または界面活性剤法は、こ れらの化学物質が、細胞を取り囲む脂質膜を破壊するので、血液細胞には用いら れ得ない。 血漿タンパク質についての別のウイルス不活化アプローチ(1958年に初めて示 された)として、紫外線(UV)照射とともに化合物β-プロピオラクトンを使用する ことが挙げられる。この方法は、いくらかの例示的なウイルス不活化を達成する ために必要な使用量のβ-プロピオラクトンの毒性に関わる懸念、そしてまた化 学薬剤により引き起こされるタンパク質への損傷の受容し得ないレベルのために 、米国では受け入れられていない。懸念は、同様にβ-プロピオラクトンの爆発 性の可能性にも及んでいる。 重要な関心は、貴重な血液細胞あるいはタンパク質には損傷を与えず、ヒト血 液成分に対する効果的なウイルス不活化処理にある。この処理は、非毒性かつウ イルスに対し選択的でなければならない一方で、混ぜ合わされた血液細胞または タンパク質を害なく生き残らせるものでもなければならない。 ヒト赤血球供給物中に存在し得るウイルスの不活化に対するプロトコルを開発 するための即時的な必要性が存在する。例えば、非A非B型肝炎に対する試験は ごく最近開発されたが、そのようなスクリニング方法は、ウイルスの伝達の発生 を引き下げているが、血液供給物を完全に安全な状態またはウイルスのない状態 にはしていない。目下の統計が示すところによれば、輸血された血液の単位当た りの輸注危険度は非A非B肝炎(C型肝炎)に関しては1:3,000であり、そしてH IVに関しては地理的位置に依存して1:60,000〜1:225,000に変化する。明ら かに、血液由来のウイルスを無差別的に不活化するあるいは除去する方法を開発 することが所望されている。 混入の問題はまた、免疫グロブリンおよび凝固因子を含有する血漿画分のよう な血漿タンパク質画分にも存在する。例えば、非A非B型肝炎およびA型肝炎の 新しい事例が、承認された方法に従い、ウイルス不活化処理を施した第VIII因子 を含有するタンパク質画分を受け入れた血友病患者において生じている。それゆ え、血液タンパク質画分のウイルス不活化処理の改善の必要性が存在する。 血液および血液製品由来の細菌混入物を不活化する能力は、ウイルス混入物を 減少させることと同じくらい重要であり得る。1986年と1991年との間で、米国食 品医薬品局は、輸注に関連した死者全体の15.9%が、細菌の混入した血液成分の 輸注と関係していることを報告した。これらの死者のほとんどは細菌の混入した 血小板の輸注のためであった。 ソラレン(psoralen)は、アジアおよびアフリカにおいて数千年にわたり治療的 に用いられてきた天然に存在する化合物である。ソラレンと光との作用は、白斑 および乾癬(PUVA療法;ソラレン紫外線A)、そしてより最近は種々の形態のリン パ腫の処置に用いられている。 ソラレンは塩基対(すなわち、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミン( DNA)またはウラシル(RNA))の間へのインターカレーションにより二重らせんの核 酸へ結合する。UVA光子の吸収の際、ソラレンの励起状態は、チミンまたはウラ シルの二重結合と反応し、そして核酸らせんの両方の鎖に共有結合的に結合する ことが示された。 架橋反応は、チミン(DNA)またはウラシル(RNA)塩基に特異的であり、そしてソ ラレンがチミンまたはウラシルを含有する部位にインターカレートされる場合の み進行する。最初の光アダクトは第2のUVA光子を吸収し、そして二重らせんの 反対側の鎖上の第2のチミンまたはウラシルと反応し、二重らせんの2本の鎖を 架橋し得る。 細胞またはウイルスへの致死的損傷は、向かい合う鎖上の2つのチミン(また はウラシル)を含有する部位で、核酸二重鎖にインターカレートしたソラレンが 連続的に2UVA光子を吸収する場合に生じる。これは非効率的なプロセスである 。なぜならば、2つの確立の低い事象が要求されるからである;それは、2つの チミン(またはウラシル)を有する部位へのソラレンの局在化およびその2UVA光 子の連続的吸収である。 Wieseahnの米国特許第4,748,120号は、血液あるいは血液製品の処理のための 光化学的浄化プロセスによる特定の置換ソラレンの使用例である。このプロセス に用いるために記載されたソラレンは、ハロゲン化ソラレンまたは非水素結合イ オン性置換基を有するソラレンを包含してはいない。従来のソラレン(例えば、8 -MOP、AMT、およびHMT)を用いる場合、ソラレンの照射により生じる1重項酸素 および他の反応性の高い酸素種を捕捉するために、UV照射とともに血液製品溶液 に加える添加物物が加えられることは不可避的なことである。活性酸素種捕捉剤 の添加なしでは、血液製品中の細胞性成分およびタンパク質成分は照射により重 篤な損傷を受ける(米国特許第5,176,921号を参照のこと)。その結果、水溶液中 での8-MOPおよびAMTのようなソラレンの照射により、非効率的な光架橋反応と反 応性の高い酸素種の生成との間の競合が生じることは明らかである。また、これ らの光増感剤を用いるときに見られるウイルス失活の多くが、実際は非効率的な 光架橋機構よりもむしろウイルス混入物に対する活性酸素種の作用から生じる可 能性がある。 光活性化技術が任意の合成または失活化プロセスに依存するときはいつでも、 分子性発色団へのエネルギーの導入により、エネルギー放散のための1つの化学 的経路が生じることは、非常にまれであることを記憶していることは重大である 。研究のこの特定の領域におけるこのジレンマの結果は、1)ウイルス不活化の 機構は、種々の経路を取り得る、および2)保証されないそして予期できない副 反応が生じ得る、ということである。 本出願が共通に所有する以前の出願に記載されたように、光に補助されるウイ ルスの不活化における使用のための最適な化合物のいくつかは、ソラレンまたは クマリン骨格を有する。これらの化合物は、核酸インターカレーターであり、従 って光増感剤が、生体溶液中のウイルスまたは細菌混入物の核酸と結合すること を確実にする。不幸なことに、ソラレンおよびクマリン光増感剤の使用により、 ウイルス不活化の終結に有益でないか、または実際にこの過程に有害である、励 起状態の放散のための別の化学的経路が生じることが示されている。ソラレンお よびクマリンについては、この化学的経路は種々の開環種の形成を導くようであ る。図1は、クマリン光増感剤の不活化により生じ得るいくつかの可能性のある 開環種の構造を示す。開環種の類似の型は、ソラレン骨格光増感剤の不活化によ り生じると予見され得る。 照射の際の非生産性反応産物の形成は、2つの懸念を導く。第1の懸念は、形 成される副産物の毒性に関し、そして第2の懸念はこのような副産物のさらなる 反応性である。副産物に対するさらなる反応は、光に補助されるものであるか、 または単にこの化合物の高い反応特性のいずれかであり得る。 例えば、照射される赤血球および光増感剤を含む系の複雑さを考慮すれば、赤 血球の表面の有害な改変とは対照的に、首尾よくウイルスの不活化を導く反応の すべての様式を正確に示すことは当然不可能である。この分野の研究者は、代表 的にはこのような複雑な系と関連する請求の機構を過剰に単純化したことが欠点 である。この分野の多くで、ソラレン照射により、上記の光活性化機構によって 徹底したウイルス照射が導かれると考えられている。1重項酸素のような反応性 の高い酸素種の形成が、実際にウイルス不活化および細胞表面の改変の両方を導 く種であると推測した研究者もいた。 これらの系の複雑さは、ウイルス不活化のプロセスのための光増感剤の利用を 探索している研究者らによってごく最近になって、十分に認識された: 不幸なことに、1つの型の化学反応を受ける光化学薬剤を見出すことは非常にま れである。1重項酸素を生成するほとんど全ての光増感剤は、少なくとも原則と して、特に生体系に特徴的な化合物の複雑な混合物において、基質上の増感剤に よる励起状態、またはラジカルの形成の直接的な攻撃のような、多くの他も型の 反応を受け得る。(「Psoralen DNA Photobiology」第II巻、第4章、F.P.Gasp arro編、1988)。 この認識、および照射の間に細胞およびタンパク質を損傷する原因化合物の性 質が知られていないという明らかな事実にも関わらず、先行技術は1重項酸素、 および抗酸化剤クエンチャーの使用に焦点を当てる傾向がある。必要であるのは 、損傷を導く請求する反応から独立している細胞またはタンパク質の有害な損傷 をブロックするのに作用する「ブロッキング」剤である。 米国特許出願第07/510,234号(1990年4月16日出願)および第07/686,334号(199 1年4月16日出願)(これらは両方とも本明細書中で参考として援用する)は、キノ ロン骨格を利用する新規な光増感剤を記載する。キノリンまたはキノロン骨格と 共に光増感剤を使用することで、照射の際の開環の副反応に対して感受性がより 低くなることが推測される。 光増感剤および光を用いてウイルス混入物を不活化する試みはまた、いくつか のソラレンではない光増感剤を用いて開発されてきた。用いられてきた光増感剤 は代表的には染料である。例として、ジヘマトポルフィリンエーテル(DHE)、メ ロシアニン540(MC540)、およびメチレンブルーが挙げられる。 いずれにおいても、効果的な照射光増感剤は、核酸に特異的に結合しなければ ならず、そしてウイルス、赤血球、および血小板に共通する脂質二重層に有意な 量が蓄積されてはならない。ソラレンがインターカレーションにより核酸に結合 することの証明が示されるが、8-MOP(8-メトキシソラレン)のような天然のソラ レンは荷電しておらず、そしてそれゆえ脂質二重層および細胞膜の内部に対し高 い親和性を有している。 上記の8-MOPの細胞膜への結合は、脂質に結合するソラレンが光化学的に不活 性である場合、受容可能である。しかし、Midden(W.R.Midden,Psoralen DNA Ph otobiology,第II巻(F.P.Gasparro編)CRC press,1頁(1988))は、ソラレンが不 飽和脂質と光反応し、そして分子状酸素と光反応して膜に対し致死的損傷を引き 起こすスーパーオキシドおよび一重項酸素のような活性酸素種を生成する証拠を 提出した。このように、8-MOPは、細胞およびウイルス両方に対し無差別の損傷 を感作するため、受容できない光増感剤であると考えられている。 AMT(4'-アミノメチル-4,5',8-トリメチルソラレン)のような正に荷電したソラ レンは、その電荷の存在のためにリン脂質二重層(膜)の内部には結合しない。し かし、AMTは酸性水素を含有し、これは下記のように水素結合によりリン脂質の 頭部の基に結合し得る。 このように、AMTは、ウイルス膜、ならびに赤血球および血小板の膜に対する 損傷を無差別に感作するため、受容不能な光増感剤であると考えられている。 光増感剤としてのフロクマリンにおけるカチオン性側鎖の影響に関する研究が 、Psoralen DNA Photobiology,I巻,F.Gasparro,CRC Press,Inc.,Boca Raton ,Fla.,第2章に総説されている。この総説から以下の要点が収集され得る: 1) この系列の研究の意図は、塩基性ソラレン核の低い水溶性を向上させるこ とであった。 2) 記載のソラレンは、いずれも本発明の光増感剤と同様にハロゲン化されて いなかった。 3) 後に行われた研究は、巨大リンカー上のカチオン性基が、ソラレン環上の 5または8位に付加された場合、ソラレン核の天然のDNAとの結合が、対応する5 -MOPおよび8-MOPアナログに比べ、改善されていることを示した。 4) 5位よりも8位での側鎖の置換が望ましいことが見出された。 5) 8-MOPの5-アミノメチル誘導体の研究により、8-MOPにくらべ、ほとんどの アミノ化合物はDNAへの光結合および架橋の形成の能力がいずれとも非常に低い ことが示された。これらの報告は実際、第一級アミノ官能基が光結合および架橋 両方には好適なイオン種であることを示唆している。 Heindelの米国特許第5,216,176号には、上皮増殖因子の光活性化インヒビター としていくらか有効性を有する多数のソラレンおよびクマリンが記載されている 。ソラレンまたはクマリンの骨格に含まれ得る膨大な官能基の中に包含されるも のとしてハロゲンおよびアミンが挙げられる。発明者らは、両方の官能基を含む 光増感剤の機能性あるいは有益性のいずれの意義も認識してはいなかった。 米国特許出願第08/165,305号および同第08/091,674号は、本出願、および本出 願の親出願とともに同一人に譲渡された。これらの出願は、血液および血液製品 中のウイルスおよび細菌混入物を不活化するための、照射とともに用いる優れた 新規な種類のソラレン光増感剤の使用を開示している。このソラレンは、塩基性 ソラレン側鎖へのハロゲン置換基および非水素結合性イオン性置換基の存在によ り特徴付けされる。Goodrichら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5552-56(1994 )も参照のこと。発明の要旨 本発明は、血液および血液タンパク質画分中に存在するウイルスおよび細菌混 入物を不活化する方法を提供する。 本発明は、ウイルス核酸、コートタンパク質、または膜エンベロープに選択的 に結合する光増感剤の使用を含む。光増感剤はまた、放射線に曝される際に活性 化され得る部分である。放射線は、混入物を含有するサンプルを透過し得る紫外 線照射または電離放射線(例えば、X線)照射の形態であり得る。 本発明はまた、血液で運ばれる細菌性混入物および血液で運ばれる寄生性混入 物の不活化にも適用可能である。なぜなら、このような感染生物は、それらの成 長および増殖が核酸に依存するからである。精製血漿タンパク質画分は実質的に ヒト核酸を含有せず、そして成熟ヒト末梢血液細胞(特に赤血球および血小板) は、それら自身のゲノムDNA/RNAを有しないので、核酸結合光増感剤の使用は、 血液混入物処理の問題に特に有用である。 本発明はまた、移植のために用いられる組織および器官のウイルス不活化に適 用され得、そして皮膚障害の処置または局所浄化のための局所クリームまたは軟 膏に使用され得る。本発明はまた、ヒトまたは獣医的用途のためのウイルスワク チンの製造において、特に生ウイルスワクチン、非生存ウイルスワクチン、また は弱毒ウイルスワクチンを生成するために用いられ得る。本発明はまた、特定の 増殖性癌、特に光ファイバーデバイスにより接近可能な固形局在腫瘍、および表 在性皮膚癌の処置において用いられ得る。 本発明は、核酸に対して選択的親和性を有する化合物類の利用を包含する。こ の化合物類はまた、ハロゲン置換基および水溶性部分、例えば4級アンモニウム イオンまたはホスホニウムイオンを含有する。これらの材料は、比較的低い毒性 の化合物類を含み、この化合物類は、ウイルスの遺伝物質を含む核酸(一本鎖DN A、二本鎖DNA、またはRNA)に選択的に結合し得る。結合された化合物は、紫外 線照射(規定の波長のUV光)、またはX線のような電離放射線のような放射線へ の曝露により活性化され得、その後活性化された化合物は、結合したウイルス核 酸またはウイルス膜を損傷し、ウイルスを殺菌および非感染性とし得る。選択的 に結合された化学光増感剤の活性化は、光化学および放射線化学をウイルス核酸 またはウイルス膜に集中させ、被爆を細胞成分または血漿タンパク質の付近に制 限する。 本発明と共に用いられる光増感剤の好ましい種類は、一般に以下のように特徴 づけられる:a)それらはインターカレーターであり、そしてそれらはb)少な くとも1つのハロゲン置換基またはc)少なくとも1つの非水素結合イオン性置 換基のいずれかで構成される。好ましい実施態様では、光増感剤は、少なくとも 1つのハロゲン置換基および少なくとも1つの非水素結合イオン性置換基を含む 。特に好ましい光増感剤は、少なくとも1つのハロゲン置換基および少なくとも 1つの非水素結合イオン性置換基を含むソラレンおよびクマリンである。 本明細書中に開示された光増感剤は、血液および血液製品と関連した種々のウ イルスおよび細菌混入物の不活化に適する。本発明は、特に、本発明の光増感剤 を用いる、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)、シンドビスウイルス、サイトメ ガロウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、および単純ヘルペス1型ウイル ス(HSV-1)が混入した血液および血液製品の光不活化を含む。 本発明はまた、インターカレーターに新たな光活性特性を付与するために、核 酸(DNAまたはRNAのいずれか)におけるスタッキングされたヌクレオチド塩基間 に挿入し得る任意の環式環構造に、1つ以上のハロゲン原子を付加するフレキシ ビリティーを実証する。本発明において、特に、本質的にいかなるインターカレ ート分子(ソラレン、クマリン、または他の多環式環構造)も、ハロゲン化また は非水素結合イオン性置換基の付加により選択的に修飾され得、その反応光化学 、および細胞膜または荷電タンパク質よりも核酸に対するその競合的結合親和性 において利点がある。 1つの実施態様では、ソラレンのハロゲン化により、その分子は、一旦核酸内 に挿入されると、非ハロゲン化ソラレンでは開始し得ない光活性化の際に、鎖切 断反応を受け得る。核酸鎖切断は、適切な放射線エネルギーを利用することによ る炭素−ハロゲン結合の破壊により形成される新規な電子伝達経路に起因する。 この代替化学反応の機構は、光の単一の光子しか必要とせず、そして非ハロゲン 化ソラレンで通常起こる架橋反応より効率的である。さらに、電子伝達反応は、 供与体(インターカレーターが核酸内に挿入されるとき通常グアニン塩基であ る)および受容体(破壊された炭素−ハロゲン結合により形成される炭素ラジカ ル)からの伝達を含む。供与体種および受容体種は、進行する伝達反応が物理的 に非常に近接しているのにちがいないで、ウイルス不活化において所望されるよ うに、ほとんどの損傷は核酸に制限される。 第二の実施態様では、クマリンのハロゲン化が、ウイルス不活化に有用な全体 的に新規な光活性特性を付与する。クマリンは、ソラレンとは異なり、照射への 曝露の際に核酸鎖を架橋する固有の能力を有しないので、光増感剤としての適用 がこれまでは見出されていなかった。しかし、本発明において示されるように、 この種類のインターカレート分子のハロゲン化は、電子伝達機構を受ける能力を 与え、それによりその分子に新規な特性を与える。本発明を制限することを意図 することなく、本発明者らは、クマリンハロゲン化の例は、本明細書中に開示さ れる原理が新規な光活性化特性を与えることをいかなるインターカレート分子に も拡大し得ることを実証すると信じる。 ハロゲン置換基または非水素結合イオン性置換基の実質的にいずれの環式また は多環式環構造にも付加することにおけるフレキシビリティーにより、本発明者 らは、新規および有用な分子が、本発明を多くの公知の環状化合物類(これらの 化合物がインターカレーターを含んでもまたは含まなくても)に適合させること により作出され得ることを予見する。例えば、本発明により改善され得る公知の 種類の化合物は、ポルフィリン類、フタロシアニン類、キノン類、ヒペリシン、 および有機染料分子(例えば、クマリン)(メロシアニン染料、メチレンブルー 、およびエオシン染料を含む)が挙げられる。 本発明を限定することを意図することなく、本発明者らは、本発明の原理に従 って調製される新規な種類の化合物は、血液および血液製品の浄化の分野に加え て、多数の分野において適用が見出されることを予期する。ハロゲン化により与 えられる新規な化学反応特性、および非水素結合イオン性置換基の使用により与 えられる選択的結合特性は、公知の種類の分子にグラフトされて、これらの分子 に有利な化学反応および標的化特性を与え得る。ソラレン(例えば、8-メトキシ ソラレン(8-MOP))は、皮膚T細胞リンパ腫、強皮症、ならびに他の癌および皮 膚障害を処置するために治療的フォトフォレシス(photophoresis)において用 いられている。本発明の修飾ソラレン誘導体(または本発明に従って修飾された 他の種類の化合物)は、治療的フォトフォレシス応用においてより有効であると 判明し得る。 第二の例として、有機染料(例えば、メチレンブルー(これは核酸インターカレ ート化合物とはみなされない))が血漿のウイルス不活化処置に用いられるが、そ の成功は疑わしい。本発明に従って修飾されたこのような有機染料は、そのよう な応用において、非修飾染料より有効であると判明し得ることが意図される。 本発明の1つの実施態様では、本発明の光増感剤を、「ブロッキング」剤の存 在下で照射する。ブロッキング剤は、細胞表面修飾またはタンパク質修飾のよう な有害な副反応を低減することが可能な化学物質である。特に懸念されることは 、ウイルスまたは細菌の不活化をもたらさない光増感剤に対する、照射で誘導さ れた反応の結果である有害な副反応のブロッキングである。より詳細には、それ らは、照射の際に、ソラレンおよびクマリン骨格の光増感剤に起こる反応である ;おそらく、これらの反応は、高度に反応性である開環種をもたらす。 種々のブロッキング剤がこの目的に適切であることが見出されており、そのい くつかは、従来の抗酸化剤であり、そしてそのいくつかは、従来の抗酸化剤では ない。本発明の好ましい実施態様では、ブロッキング剤はシステインであり、そ して最も好ましい実施態様では、ブロッキング剤はN-アセチル-L-システインで ある。 従って、本発明は、光増感剤およびブロッキング剤と上記生体溶液とを混合す る工程、および上記混合物を、上記混入物の全てが実質的に不活化され、そして 上記生体溶液の生理学的活性が実質的に損なわれる条件下で照射する工程を包含 する、生体溶液からウイルス性および細菌性混入物を不活化するための方法を含 む。この方法によれば、光増感剤は、上記ブロッキング剤の存在しないときに、 排他的または優勢には活性酸素種の結果ではない、有害な副反応に関与し、そし て、ブロッキング剤の作用の様式は、活性酸素種のクエンチングにおいて、優勢 ではない。 本発明はまた、光増感剤のさらなる新規なファミリーを包含する。これらの光 増感剤の新規なファミリーにおいて規定される特性は、キノリンまたはキノロン の化学的骨格である。種々の異なる方法で修飾されたこのような光増感剤は、生 体溶液の生理学的機能に対して少ない損傷で、生体溶液のウイルス不活化をもた らすことが示されている。 従って、本発明は、上記生体溶液と光増感剤(ここで、この光増感剤は、キノ リンまたはキノロンである)とを混合する工程、ならびに上記混合物を、上記混 入物の全てが実質的に不活化され、そして上記生体溶液の生理学的活性が実質的 に損なわれない条件下で照射する工程を包含する、生体溶液のウイルス性および 細菌性混入物を不活化するための方法を包含する。 本発明が適用を見出し得る、適用の他の分野として、非感染性ウイルスワクチ ンの調製、フォトフォレシスによる免疫系障害の治療的処置、核酸結合光増感剤 の細胞毒性を介する白血球のような生存する有核細胞の除去、ならびに特定の接 近可能なガンおよび腫瘍の可能な処置(核酸結合光増感剤の細胞毒性硬化を再び 利用する)ことが挙げられる。図面の簡単な説明 図1は、光増感剤Aの照射から生じる、潜在的光生成物を図示する。 図2は、ブロッキング剤システインの存在下および非存在下における光増感剤 AおよびBに対するCapture-Pアッセイの結果を表す。 図3は、コントロール(a)のリストセチン(ristocetin)、光増感剤B(b )、ならびに光増感剤Bおよびブロッキング剤システイン(c)に対する凝集応 答を図示する。 図4は、照射の後の、タンパク質コーティングスライドグラスへの血小板の接 着を示すプロットである。このグラフは、コントロール(-□-)、光増感剤B( -■-)、およびシステイン(-◇-)の流速に対する血小板接着の百分率をプロッ トしている。 図5は、ヒト血漿中での10mM N-アセチル-L-システイン存在下(-◆-)および 非存在下(-■-)における218μMの光増感剤Aを用いるシンドビスウイルスの不 活化のキネティックスを示すプロットである。このグラフは、UVAフルエンス(f luence)に対するウイルス力価をプロットしている。 図6は、55μM(-▲-)、109μM(-◆-)、および218μM(-■-)の光増感剤 Aを血漿中で、10mM N-アセチル-L-システインと共に用いる、シンドビスウイル スの不活化を示すプロットである。このグラフは、UVAフルエンスに対するウイ ルス力価をプロットしている。 図7は、109μM(-◆-)、218μM(-■-)、および327μM(-▲-)の光増感剤 Aを血漿中で、25mM N-アセチル-L-システインと共に用いる、シンドビスウイル スの不活化を示すプロットである。このグラフは、UVAフルエンスに対するウイ ルス力価をプロットしている。 図8は、照射後の光増感剤Aを、単独で(図8A)、および10mMのN-アセチル -L-システイン存在下で(図8B)含有する溶液のHPLCクロマトグラムを示す。 図9は、300μg/mLの光増感剤QA(-■-)、QB(-▲-)およびカルボスチリル1 24(CARBOSTYRIL 124) (-◆-)をヒト血漿中で用いるシンドビスウイルスの不 活化のキネティックスを示すプロットである。このグラフは、UVAフルエンスに 対するウイルスの低減をプロットしている。 図10は、300μg/mLのブロモキノリン(-◆-)、ブロモキノリンおよび10mMのN -アセチル-L-システイン(-■-)、カルボスチリル 124(-◇-)、ならびにカル ボスチリル 124および10mMのN-アセチル-L-システイン(-□-)を用いる、シン ドビスウイルスの不活化のキネティックスを示すプロットである。このグラフは 、UVAフルエンスに対するウイルスの低減をプロットしている。 図11は、20J/cm2UVAの照射前(図11A)および照射後(図11B)における光増感 剤QAを含有する溶液のHPLCクロマトグラムを示す。 図12は、16.7μg/mlのカルボスチリル 124を血漿中で、10mMのN-アセチル-L- システインと共に用いる、シンドビスウイルスの不活化のキネティックスを示す プロットである。このグラフは、UVAフルエンスに対するウイルスの低減をプロ ットしている。 図13は、16.7μg/mlのカルボスチリル 124(-◆-)および300μg/mlのカルボ スチリル 124(-■-)を血漿中で、10mMのN-アセチル-L-システインと共に用い る、シンドビスウイルスの不活化のキネティックスを示すプロットである。この グラフは、UVAフルエンスに対するウイルスの低減をプロットしている。 図14は、光増感剤A(-■-)またはカルボスチリル 124(-◆-)を血漿中で、10 mMのN-アセチル-L-システインと共に用いる、シンドビスウイルスの不活化のキ ネティックスを示すプロットである。このグラフは、UVAフルエンスに対するウ イルスの低減をプロットしている。発明の詳細な説明 本発明は、化学的光増感剤の存在下での照射による、血液、血液成分、細胞培 養物、または細胞培養物成分中の、ウイルス、細菌、および他の寄生体の混入を 減少させる方法に関する。UV放射を使用して、液体組成物(例えば、血液、血液 成分、再構成された凍結乾燥細胞など)の浄化に、特に有用な光増感剤が開示さ れる。 本発明によれば、照射増感化合物が、ウイルスおよび/または細菌および/ま たは寄生体の液体懸濁物に添加され、そしてその混合物はUV光または電離性放射 線に曝される。ウイルス感染性のアッセイは、放射処理単独と比較した、この化 合物のウイルスを不活化する効果を示す。 本発明は、生体溶液からウイルス、細菌および他の寄生体の混入を減少させる 方法を包含する。生体溶液は、血液、血液成分、細胞培地、または細胞培養物の 成分を含む溶液を包含するが、これらには限定されない。本方法は、その組成物 を液体状態中で、ウイルス、細菌、または寄生体の混入物に結合し得る光化学的 増感剤と混合する工程を包含する。光化学的光増感剤は、混入物を不活化するの に十分な波長、強度、および曝露時間の条件下での照射により活性化され得るが 、一方同時に照射条件は、実質的に処理された組成物の生理学的活性を損なうレ ベルで組成物中に活性酸素種を生成するのに不十分である。次いで、光増感剤を 含有する組成物は、生物学的に活性な混入物の濃度が減少し、且つその組成物の 生理学的活性が実質的に損なわれない条件下で照射される。 本発明の一つの実施態様において、最も重要な要素の1つは、新規種類の光増 感剤の使用である。本出願の目的のために定義される光増感剤は、紫外また可視 放射線を吸収する光吸収発色団を有し、そして血液あるいは血液製品中のウイル スまたは、細菌混入物を不活化し得る化合物である。 本発明の光増感剤は、不活化されるべきウイルスまたは細菌混入物の核酸成分 に結合する能力により特徴付けられる。本発明の方法によって処理されるべき血 液および血液製品組成物はすべて、少なくともいくつかの細胞成分または複合タ ンパク質を含有する。 本発明の1つの実施態様では、本発明の光増感剤は、親油性部分、親水性部分 、および光反応性部分を含有することにより特徴付けられる。 本発明に含まれる光増感剤は、好ましくは核酸インターカレーターであり、1) 少なくとも1つのハロゲン原子;およびb)少なくとも1つの非ハロゲン結合イオ ン部分、のいずれかから構成される。インターカレーターは、二重鎖または一重 鎖核酸に特異的な親和性を有する任意の化合物として、本明細書中で広範に定義 される。より詳細には、インターカレーターは、核酸、タンパク質またはペプチ ドを含まない化学薬品であり、核酸内の近接する塩基対の間に位置する。インタ ーカレーターは一般に、比較的に平面固定の多環π構造の化学的骨格の存在によ り特徴付けられる。当業者は、比較的多数のインカレーターに精通しており、そ して一般的に、化学種の骨格の化学的構造に基づいてインターカレーターとして 機能し得る化学種を予想し得る。本発明のインターカレーターに好ましい基本構 造であるソラレンおよびクマリンは、核酸インターカレーションし得る化学的骨 格構造の2つの例であるに過ぎない。 本発明の好ましい特定の光増感剤は、少なくとも1つのハロゲン置換体を含む 。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、およびIが挙げられる。本発明の好ましい実 施態様では、光増感剤は少なくとも1つの臭素原子または塩素原子を含む。 本発明の特定の好ましい光増感剤は、少なくとも1つの非水素結合イオン性置 換体を含む。イオン性であり、かつ非水素結合性である化学的官能基としては、 4級アンモニウム官能基およびホスホニウム官能基が挙げられる。イオン性であ りかつ非水素結合性の両方である、種々のさらなる官能基が、当業者に精通され ており、そして等しく本発明での使用に適用可能である。 本発明の特定の好ましい実施態様では、非水素結合性イオン性置換体は、スペ ーサーユニット(spacer unit)により化学的インターカレーターの骨格に結合 する。スペーサーは、当業者に公知の多数の化学的サブユニットのいずれかから 選択され得るが、好ましい実施態様では、飽和直線状アルコキシ基から構成され る。最も好ましい実施態様においては、スペーサーエレメントは-O(CH2)3-であ る。 最も好ましい非水素結合性イオン性官能基は4級アンモニウム官能基であり、 より詳細には、トリアルキル4級アンモニウムであり、さらにより好ましくは、 -O(CH2)3N(CH2CH3)3である。 本発明の2つの好ましい光増感剤は、以下である: 化合物Aはクマリンベースの光増感剤であり、そして化合物Bはソラレンまたは フロクマリンベースの光増感剤である。 本発明のさらに好ましい実施態様は、以下のクマリンベースの光増感剤を含む : 光増感剤Aおよび光増感剤Dの合成は、1994年11月22日に出願された同時係属 中の米国特許出願08/343,680号(本明細書中に参考として援用される)に記載され ている。 UV光を用いるUV放射に際し、化合物Aは、ウイルス不活化に有効であることが 示されており、一方、化合物Bは、ウイルスおよび細菌の不活化に有効であるこ とが示されている。化合物A、D、およびEはまたUV放射において蛍光を発する 。本発明者らは、照射された化合物A、D、およびEの励起状態からのエネルギ ーの分散に関する蛍光経路が、血液および血液成分中の高活性酸素種の産生を減 少するように作用することを理論化している。提案される機構(これは理論上で あり、そして本発明の範囲を限定することを意図しない)によれば、光反応はグ アニン残基から一重項状態の達成された光増感剤への電子伝達により開始される 。電子伝達に続いてハロ-C結合ホモリシスおよび核酸骨格を攻撃し得るクマリン ラジカルの生成が生じる。 ブロモソラレン、特に光増感剤Bは特に、溶液中の照射ではフリーラジカルを 形成しない。ドナーは光増感剤Bを活性化する必要がある。蛍光分光学を用いて 、アミノ酸は、光増感剤Bを活性化するのに適切なドナーではないことが示され ている。したがって、タンパク質に結合または会合するこれらの光増感剤のいず れも、タンパク質を損傷し得るラジカルを生成しないはずである。 それゆえ、本発明の方法の1つの好ましい実施態様は、蛍光を発し得る光増感 剤を使用することである。蛍光を発するクマリンおよびフロクマリンは、当業者 に公知であり、そして蛍光特性を決定するための光増感剤のスクリーニングは容 易に決定される。 蛍光を発し得る光増感剤は、非蛍光の変種よりも優位であるようである。光増 感剤が有用であるためには、ウイルスおよび細菌の不活化の機構がなければなら ない。非ハロゲン化ソラレンは、処理されるべき溶液中に適切に位置される場合 には、いっそう有用な光増感剤として機能する。このような化合物は、伝統的な 光架橋機構によりウイルスを不活化し得る。他の光増感剤(例えば、クマリン骨 格構造を有するもの)は、顕著なウイルス不活化または細菌不活化を達成するた めに、ハロゲン化されなければならない。したがって、本発明の実施態様では、 好ましい光増感剤は、蛍光を発し得、かつ1)ハロゲン化されているか、または2) ソラレン骨格構造を有するかのいずれかであるインターカレーターである。 本明細書中で記載する4級アンモニウムまたはリンで置換されたハローインタ ーカレーターは、電荷の存在のために、血液および血液製品中に見られる脂質二 重層(膜)の内部に蓄積せず、そして水素結合のための酸性水素を欠くので、そ れらはまた、膜のリン脂質の頭の基に結合しない。 光増感剤の1つの好ましい種類は、式(I)の化合物からなる群から選択され る: ここで、uは1から6の整数であり;Xは陰イオン性の対イオンであり;ZはN またはPであり;R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、独立して、ハロ;H ;1〜10個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル;1〜10個の炭素原子の 直鎖状または分岐状アルコキシ;(CH2)-mO(CH2)pR',R'',R'''または- O(CH2)nR',R'',R'''、ここでn、m、およびpは、独立して1から10 までの整数であり、そしてR'、R''、およびR'''は、独立して、H、または1 から10個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状アルキルであり、但し、各Z原子に おいて、R'、R''、またはR'''のうちの2つより多くがHであり得ることはな く;そしてR1、R2、R3、R4、R5、またはR6の少なくとも1つが、(CH2)mO (CH2)pR',R'',R'''または-O(CH2)nR',R'',R'''である。特 に好ましいのは、R4が-O(CH2)nR',R'',R'''である化合物であり、と りわけ、R'、R''、およびR'''がエチルであり、そしてn=3である化合物であ る。好ましくは、R6、R5、R2、およびR1は水素であり、そしてR3はHまた はハロ(好ましくは臭素)である。 光増感剤のさらに好ましい種類は、式(II)からなる群から選択される。 ここで、uは1から6の整数であり;Xは陰イオン性の対イオンであり;ZはN またはPであり;R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、独立して、ハロ;H ;1〜10個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル;1〜10個の炭素原子の 直鎖状または分岐状アルコキシ;(CH2)-mO(CH2)PR',R'',R'''または- O(CH2)nR',R'',R'''、ここでn,m、およびpは、独立して1から10 までの整数であり、そしてR'、R''、およびR''’は、独立して、H、または 1から10個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状アルキルであり、但し、各Z原子 において、R'、R''、またはR'''のうちの2つより多くがHであり得ることは なく;そしてR1、R2、R3、R4、R5、またはR6の少なくとも1つが、(CH2)m O(CH2)pR',R'',R'''または-O(CH2)nR',R'',R'''である。 特に好ましいのは、R4が-O(CH2)nR',R'',R'''である化合物であり、 とりわけ、R'、R''、およびR'''がエチルであり、そしてn=3である化合物で ある。好ましくは、R3、R5、R2、およびR1は水素であり、そしてR3はHま たはハロ(好ましくは臭素)である。 一般に、上記の化合物は、ソラレンをハロゲン化し、そして適切な置換異性体 を単離することにより作製される。環置換基が4級アンモニウムアルコキシ基ま たはホスホニウムアルコキシ基である化合物については、その基は、対応するヒ ドロキシ置換ソラレンから、以下のスキームに例示するように、作製され得る。 上記のように、本発明の最も好ましい光増感剤は、非水素結合性イオン性官能 基を含む。しかし、1つ(またはいくつかの場合においては2つ)のアミン水素 を有するアミン官能基を含む光増感剤は、本発明の範囲内に含まれる。これらの 化合物は、もちろん、水素結合を形成し得る。アミン上の使用可能な水素の数と 、ある種類のソラレン化合物により引き起こされる細胞破壊との間に直接的な相 関 56(1994)。従って、2つの水素を有するアミン官能基を含有する光増感剤は、1 つの水素を有するものよりも好ましくなく、そしてそれはまた、アミンに結合し た水素を有さないものよりも好ましくない。 従って、本発明によれば、ウイルス不活化のための増感化合物は、好ましくは 細胞膜への水素結合を示し得る遊離水素基を有する置換基を含まない。 本発明において有用な、さらなる新規な種類の光増感剤は、キノリン骨格構造 またはキノロン骨格構造のいずれかを有する。照射時にこのような化合物が生体 溶液中のウイルスを不活化し得ることが、驚いたことに明らかにされている。こ のことは、ハロゲンを含まない化合物に対してさえも事実である。さらに、キノ リンまたはキノロンがソラレンのような核酸と架橋反応をすることは知られてい ない。従って、このような光増感剤による光誘起ウイルス不活化に関する正確な 機構は知られていない。 本出願に包含されるのは、任意の様式で修飾されたキノリンおよびキノロンであ る。 特に包含されるのは、以下の構造の光増感剤である: ここで、R1〜R13は、独立して任意の化学的置換基(ハロ、H、1〜15個の炭 素原子の直鎖状または分岐状または置換されたアルキル、1〜15個の炭素原子の 直鎖状または分岐状または置換されたアルコキシ、任意のアルケニル(C1〜C1 5 )、アルキニル(C1〜C15)アリール、アミノ、チオ、チオエステル、金属、 シリコーンベースの置換基が挙げられるが、これらに限定されない)である。 この種類における特定の好ましい光増感剤は以下を包含する: システインブロック剤を用いる先行技術、およびソラレンおよびクマリン光増 感剤の両方から得られる光分解生成物に基づいて、キノロンおよびキノリンの環 構造を、可能なインターカレート剤として考察した。これらの二環化合物は、フ ロクマリンおよびクマリン(ここで、環中のヘテロ原子は酸素−炭素結合と対照 的により安定な窒素−炭素結合に組み込まれ、これは光不安定であるようである )とは異なる。従って、N-C環化合物が、クマリンおよびソラレンに関して観 察されたUV照射によるその種の開環反応に対して耐性であることが予測された。 ネイティブな光増感剤Bおよび光増感剤Aをこれらの光副生成物混合物と比較す る動物毒性学研究は、両方の場合において、光分解生成物が親分子より毒性であ ることを示した(データは未掲載)。従って、本発明者らが起こると考えるこれ らの他の光増感剤との光分解反応の種類を最小にすることが、毒性の面および細 胞の質の面の両方から重要である。 以下の実験データは、種々のキノリン(光増感剤QAおよびQBならびにカルボス チリル 124;図9を参照のこと)を用いる、シンドビスウイルスのウイルス不活 化の研究を含む。図9に示されるように、カルボスチリル 124化合物は、ヒト血 漿に潘種され、そしてUVA光で照射されたシンドビスウイルスに対して最も有効 であった。図10に示されるように、カルボスチリル 124は、N-アセチル-L-シス テインを用いても用いなくても、3-ブロモキノリンよりシンドビスウイルスに対 して効果的であり、これはシンドビスに対して相対的に効果がないようである。 インビトロ細胞機能アッセイデータ(表3)は、カルボスチリル 124処理した 血小板が、いくらかの機能損失(特に、300μg/mLのカルボスチリル 124および3 0J/cm2の光エネルギーにおける凝集応答)を示すことを示す。より低いカルボス チリル 124濃度レベルでさえ、細胞はいくらかの機能損失を示す。表5は、N-ア セチル-L-システインを伴うまたは伴わないカルボスチリル 124処理後の、血小 板特性を示す。細胞機能のこのような減少にもかかわらず、図12および図13は、 N-アセチル-L-システインを伴うカルボスチリル 124は、血漿中16.7μg/mlの濃 度で、シンドビスウイルスを4倍不活化し;より効果的には、300μg/mlの濃度 で、シンドビスウイルスを6倍不活化することを示す。さらに、図14は、N-アセ チル-L-システインを伴うカルボスチリル 124のうちの前者の濃度は、光増感剤 AおよびN-アセチル-L-システインより効果的であることを示す。 バクテリオファージT4のカルボスチリル 124およびUVAによる不活化を実施例 6に示す。ファージT4は、血液サンプル中に見出されるパルボウイルスおよび A型肝炎のモデルである。このウイルスDNAは、いかなる増感剤も内部に入らせ ずそしてウイルスDNAを不活化させない、カプシドタンパク質で覆われている。 目的は、このウイルスのカプシドタンパク質を破壊することなくウイルスDNAを 不活化することである。血友病患者の生存を通して必要とされる、第VIII因子お よび第IX因子のような血液凝固タンパク質が存在する。T4カプシドタンパク質 を破壊する任意の増感剤はまた、第VIII因子タンパク質または第IX因子タンパク 質を破壊する。従って、血液中に見出されるウイルスのモデルとしてファージT4 を用いて、カプシドタンパク質を破壊することなくT4ウイルスを破壊し得る増 感剤を見出すことを意図する。 現在まで試験されたキノロン化合物はどれも、本発明の好ましい光増感剤中に 存在する炭素−ハロゲン結合を有さないことに留意のこと。 カルボスチリル 124化合物は、形式電荷を有さないが、水溶性である。これは 、両性イオン種を形成し得る共鳴構造に起因する。 生理食塩水中で、0 j/cm2および20 j/cm2のUVA光で処理された3つのHPLCト レースを図11AおよびBに示す。このプロフィール中には、UVA照射後に差は見 られ得ず、これは窒素ヘテロ環式環が光分解に対してより耐性である仮説を支持 する。20 j/cm2の照射では、全物質のうちの99%を超えるものが、ネイティブな 光増感剤QA化合物である。3-ブロモキノリンは、シンドビスに対する効果に関し て期待はずれであるようだが、この試験は、この化合物の最大吸収領域波長(計 算値 280〜320nm)での励起を繰り返す必要がある。 前記から、本発明は、化学的光増感剤を血液伝達ウイルス、細菌、または寄生 体に選択的に結合させるのに用いられ得ることが理解される。特定のウイルス抗 原(コートタンパク質またはエンベロープタンパク質のいずれか)に指向するモ ノクローナル抗体またはポリクローナル抗体はまた、光増感剤化合物と共有結合 し得る。 細胞組成物はまた、種々のタンパク質を含むので、本明細書中に記載の細胞の 浄化方法はまた、タンパク質画分、特に、血漿タンパク質画分(凝固因子(例え ば、第VIII因子および第IX因子)、血清アルブミン、および/または免疫グロブ リンを含む画分を包含するがこれらに限定されない)に適用可能である。ウイル スおよび細菌の不活化は、タンパク質画分を本明細書中に記載の光増感剤で処理 することにより、達成され得る。 ウイルスに関して記載されているが、本発明の方法は、一般に、保存血液また は血液製品において見出される任意の生物学的混入物(細菌および血液伝達寄生 体を含む)を不活化するのにも有用であることが理解される。 本発明によるハロゲン化ソラレンおよびクマリンは、改良されており、そして より有効な光増感剤である。なぜなら、それらは活性化のためにただ1つのUVA 光子しか必要としないからである。ハロゲン光増感剤の任意の塩基対と反応する 能力は、インターカレーション部位に対して制限を課さない。グアニン(または 任意のヌクレオチド塩基)存在下でのブロモクマリンによるUVA光子の吸収は、 電子移動および結合ラジカルの形成、ならびに最終的には核酸の切断およびウイ ルス死または細胞死を導く。この切断機構は、非ハロゲン化ソラレンの従来の架 橋反応よりも有効である。 クマリンラジカルは、リボース(RNA)またはデオキシリボース(DNA)糖炭素 水素結合の引抜きにより結合している核酸2重らせんに損傷を与え得る。これは 公知の機構によるDNA切断を導き得る。例として示されたグアニンラジカルカチ オンはまた、分子状酸素と反応し、DNAを切断する一連の反応を開始することが 知られている。結合ラジカル光化学の副生成物は、ソラレンとは異なりDNAに架 橋を形成し得ない脱臭素化クマリンである。 好ましい種類の光増感剤は、血漿または血漿画分に添加され、続いてUV放射に よりその中のウイルス混入を減少させ得る核酸インターカレーターを含む。本発 明によれば、ウイルス混入の減少は、ハロゲン化インターカレーターの使用によ り予期せず減少し得る。例えば、ブロモソラレンは、その非臭素化等価体の使用 と比較した場合、ウイルス活性の低減において約200,000倍有効であることが観 察され た。 臭素化インターカレーターは、光増感剤として使用される場合、公知のソラレ ンおよび他の置換ソラレンよりも改善されている。なぜなら、臭素化光増感剤を 活性化するために光のわずか1つの光子しか必要とせず、一方、非臭素化光増感 剤を活性化するために2つの光子を必要とするからである。第2に、臭素化イン ターカレーターは、実質的に全てのインターカレート部位において有効であるが 、一方、非臭素化光増感剤は、DNAまたはRNAの異なる鎖上のウラシルまたはチミ ンを含むインターカレーション部位においてのみしか有効でない。臭素化インタ ーカレーターはまた、公知のクマリンよりも改善されている。このクマリンは、 公知のソラレンとは異なり、架橋能を有さず、従って、一般に以前にはウイルス 不活化のための光増感剤としても、特定のガン処置および免疫障害のための治療 フォトフォレシス手順における光活性化薬剤としても使用されていなかった。 臭素化またはハロゲン化インターカレーターの使用は、水和系(例えば、血漿 、免疫血清、動物血清または血清成分(例えば、ウシ胎児血清)を含む組織培養 培地、あるいは組織培養培地から単離された組換え産物)における不活化に特に 有用である。 本発明は、例えば、米国特許第4,889,129号、および同第4,878,891号、および 同第4,613,322号に記載の方法および装置による、エキスビボでの照射における 液体血液の処置に適用され得る。 光増感剤はまた、インビボにおいて使用され得、そしてリポソーム(人工細胞 )または薬物負荷された天然細胞に送達され得る。リポソームまたは薬物負荷さ れた細胞の導入後、患者は、光増感剤を活性化するため、放射により処置され得 る。 本発明は、1本鎖または2本鎖核酸鎖を含む混入物(RNAおよびDNA、ならびに ウイルス、細菌、ならびにRNAおよび/またはDNAを含む他の寄生体を含む)に適 用可能である。 本発明は、、生体溶液中の混入物を不活化する方法において、光増感剤ととも に「ブロッキング」剤の使用を包含する。このようなブロッキング剤は、光増感 剤が、非生産的な副反応、および生体溶液の成分の生理学的特性の低下を導き得 る副反応を生じることを防止する。本発明のブロッキング剤は、反応性の副生成 物(これは、一重項酸素のような活性酸素種とは会合しない)の形成を導く、光 増感剤の反応を防ぐことによって主に作用する。 選択された「ブロッキング」剤を光増感剤Aまたは光増感剤Bのいずれかと共 に使用した場合に観察される3つの有利な点は、以下の通りである:1)機能ア ッセイにより測定されるような改善された細胞の質、2)ウイルス不活化効率の 保持、および3)光増感剤Aまたは光増感剤BのいずれかのUVA光への曝露後の 、開環した光分解生成物の形成の劇的な抑制。1.改善された細胞の質 実施例1、2および3、ならびに図3および4は、システインブロック剤の使 用が処理された血小板の機能的な質を改善することを示す。これは、3つのイン ビトロアッセイによって測定される:IgG結合、リストセチン(Ristocetin)によ って誘発される凝集、および人工基質への細胞接着。各アッセイの簡単な説明を 提供する。IgG結合アッセイは、最も重要である。なぜなら、血漿IgGの非特異的 結合を誘発する細胞表面化学への任意の改変が、免疫系により循環血液細胞の迅 速なインビボ除去を引き起こすからである。 表1に、ヒト血小板と光増感剤AおよびUVA放射との組み合わせにおける多く の試薬を用いるIgG結合のデータを要約する。使用したアッセイは、血小板へのI gG結合の検出の用の、Immucor Inc.により販売される市販の試験キット中で行っ た(「Capture-P Assay」)。このような1つの現像されたアッセイの写真を図2 に示す。表1に示されるように、いくつかの古典的な酸化防止剤(例えば、アス コルベート)は、細胞へのIgG結合をブロックするのに効果的であるが、他のク エンチャー(例えば、マンニトールおよびグルコース)は効果的でない。脱気は また、抗酸化剤として働く特定の還元剤(DTT)および食品保存剤(BHT、BHA)と同 様に効果的である。しかし、特定のアミノ酸(例えば、システイン、チロシン、 ヒスチジン、およびトリプトファン)はまた効果的であり、そしてこれらは酸化 防止型に合わない。表1のデータは、酸化反応が原因的役割を演じることを示す が、他の化学反応も含まれているである。それゆえ、有用な「ブロッキング」剤 の選択は複雑なプロセスである。 表2の結論は、システインおよびアスコルベートが光増感剤Bを用いて照射後 の血小板へのIgG結合を抑制するように最も良く働くことを示す。これらの候補 種のなかで、関連N-アセチル-L-システインが本発明の好ましい化合物である。 なぜなら、それはIgG結合を防止において、システインまたはアスコルベートと 同様に効果的であるが、さらに、薬学的グレードで市販されており、そしてハロ ゲン化増感剤を含む溶液中でより良い貯蔵特性を示すからである。 図3および図4は、それぞれ凝集応答データおよび接着アッセイデータを示す 。システインおよび光増感剤Bの存在下での血小板の照射は、光増感剤Bのみを 用いる照射より通常に近い凝集応答プロフィールをもたらす。同様に図4におい ては、タンパク質コートされた表面上の流速(flow rate)に供した血小板の接着 能力は、システインを用いると最小であり、そして光増感剤B+UVAのみにより 大いに誘発される(すなわち、システイン処理された血小板は、循環時と同様に 正常に流れ、そして活性化された細胞のようには振る舞わない)。2.N-アセチル-L-システインの存在下での効果的なウイルス死滅 データは、N-アセチル-L-システインが光増感剤A+UVA光のウイルス性不活化 効果を阻害しないことを示す。図5は、シンドビスウイルス、哺乳動物エンベロ ープをもつRNAウイルスの不活化に関して、光増感剤Aのみおよび光増感剤A+1 0mM N-アセチル-L-システインとの間の比較を示す。図6は、10mM N-アセチル-L -システインの存在下で、光増感剤Aの濃度増加に伴うウイルス死滅の用量依存 性を示す。図7は、25mM N-アセチル-L-システインを用いた同様の試験を示す。 全ての場合において、「ブロッキング」剤の封入は、ウイルスの不活化キネティ ックスまたは用量依存性に影響を与えなかった。3.N-アセチル-L-システインの存在は、所望でない光増感剤Aの光分解生成物 の形成を阻害する 図8は、生理食塩水溶液中でUVA光に曝露された光増感剤Aの2つのHPLCトレ ースを示す。トレース1は、単独で照射された光増感剤Aのプロフィールを示す 。元の光増感剤A化合物の残存量は、ピーク4.36(全物質の約0.72%)として現れ る。3.53の主要なピークは、脱臭素化された光増感剤Aに対応し、これは、物質 の約61%である。全物質の約38%を占める残りのピークは、光増感剤Aの種々の光 分解生成物を含む。これは、図1に示すように可能な開環構造の混合物を含むと 考えられる(各開環生成物は、臭素化または脱臭素化形態で存在し得る)。これ らのHPLCデータは、「ブロッキング」剤作用の1つの機構が、アルデヒドまたは カルボン酸基を介して細胞と順番に反応し得る反応性開環化合物の形成をブロッ クするためであり得ることを明確に示す。さらに、同様のプロフィールは光増感 剤Bにおいても見られ、ソラレン核がフランまたはピロン環のいずれかで開環し 得るので、光分解生成物はブロッキング剤の非存在下で明らかである。実施例1:免疫グロブリン結合アッセイ 免疫グロブリン(IgG)-感作血小板を、細網内皮系(RE)の単球およびマクロファ ージにより貧食される。RE細胞は、体の至る所に位置するが、脾臓、肝臓、肺お よび骨髄に集中している。血小板は、いくつかの方法(例えば、血小板特異的抗 原など)により免疫感作され得る。血小板は、促進された免疫クリアランスに貢 献するIgGの血小板への非特異的結合によりIgG-感作され得る。血小板へのIgG結 合は、Immucor Capture-Pアッセイ(Capture-P、血小板に対する抗体の検出の ための固相系、Immucor Inc.Norcross、GA 30071)を用いることにより、容易に 検出され得る。 血小板濃度または血小板の豊富な血漿を、研究(10または20mM、表1および2 を参照のこと)において増感剤(光増感剤Bおよび光増感剤A)(100μg/mLまた は300μg/mL)ならびにブッロキング剤の存在下で10〜30J/cm2に照射する。光不 活化処理後、血小板をCapture-Pアッセイにより分析した。結果を表1(光増感 剤B)および表2(光増感剤A)に要約する。試験結果を、本文のキットの製造 者により記載された方法に従って、IgG結合(IgG感作されたもの)に対して陽性 (+)および非結合(IgG感作のないもの)に対して陰性(-)と解釈する。実施例2:リストセチン凝集応答 出血部位においてプラグを形成するための血小板の凝集は、止血応答における 重要な反応である。この現象は、互いの付着を許容する循環血小板の表面特性に おける変化に依存する。凝固因子と血小板との相互作用は、凝集現象に含まれる 。血漿von Willebrand因子の血小板へのインビトロ結合および血小板凝集は、ア ゴニストとしてのリストセチンの添加により誘発され得る。 増感剤(光増感剤B)の存在下における光活性化処理は、コントロールと比較 して、リストセチンアゴニストに対する血小板の凝集応答を減じる(図3)。し かし、光不活化処理の間、システイン(図4)および表1に列挙される他の試薬 の存在は、血小板凝集損傷を減じる。凝集応答を、最終濃度2.5mg/mLを用いてア ゴリメーター(aggregometer)で測定した。実施例3:接着アッセイ 光不活化された血小板の接着特性を、シリンジポンプおよひ顕微鏡を備えるミ クロフローシステムを用いて測定した。光不活化された血小板は、血漿の存在下 でガラスフローセル上に残ることを可能にした。37℃で30分間インキュベートし た後、異なるせん断応力を、異なる流速で血漿をポンプすることにより与えた。 接着細胞を定量し、そしてコントロールと比較した。結果を図4に示す。これら の結果は、光不活化の間、システインの存在が、システインを含まない試料と比 較して血小板の付着特性(stickiness)を実質的に減ずることを明らかに示す。実施例4:ウイルスの不活化における光増感剤AおよびN-アセチル-L-システイ ンの異なる濃度の効果 6log以上の既知力価のシンドビスウイルスのアリコートをSTERICONバッグに 加えた。3つのバッグの2つのセットそれぞれを使用した。第1セットは109、2 18および327μMの光増感剤Aならびに25mM N-アセチル-L-システイン(NAC)を含 み、そして第2セットは55、109および218μMの光増感剤Aおよび10mM NACを含 む。2つの別のバッグは、それぞれ増感剤のかわりに生理食塩水を含み、コント ロールとして供した。バッグを、異なるレベルの紫外光Aに曝露した(通常の光 に露光されるコントロールは除く)。試料を0、5、10、15、20および30J/cm2に おいて採取し、そしてVERO細胞を用いて、50%の組織培養感染用量(TCID50)終点 滴定により、ウイルスの存在についてアッセイした。 この実験の結果は、ウイルスの不活化が増感剤およびNAC濃度に依存している ことを示す(図5、6および7)。100μg/mLの光増感剤Aおよび10mM N-アセチ ル-L-システインのウイルス不活化能力は、100μg/mLおよび25mMのN-アセチル-L -システインでの5logと比較して6logシンドビス以上であった。これらの結果 はまた、50μg/mLの光増感剤Aが、25mMおよび10mM N-アセチル-L-システインで それぞれ3および4logのウイルスの顕著なウイルス不活化を達成したことを示 す。実施例5:いくつかのキノロンのシンドビスウイルス不活化能力の評価 光増感剤QA、光増感剤QBおよびカルボスチリル 124を含む、いくつかのキノロ ンのシンドビスウイルス不活化能力を試験した(図9)。既知力価のシンドビス ウイルスのアリコート(6log以上)を、Stericonバッグに加えた。各バッグは、3 00μg/mLの光増感剤QA、光増感剤QBおよびカルボスチリル 124をそれぞれ含んだ 。増感剤の代わりに生理食塩水を含む1つのバッグは、コントロールとして供し た。バッグを、異なるレベルの紫外光Aに曝露した(通常の光に曝露されたコン トロールを除く)。試料を0、5、10、15、20および30J/cm2に設定し、そしてV ERO細胞を用いて50%の組織培養感染用量(TCID50)終点滴定を用い、ウイルスの存 在についてアッセイした。 この実験からの結果は、3つのキノロン全てがウイルス不活化能力を有するこ とを示す(図9)。しかし、カルボスチリル 124は、6log以上のウイルス減少 に最も最良であった。光増感剤QAおよび光増感剤QBは、それぞれ2および4log のシンドビスを死滅させた。光増感剤QBおよび光増感剤QAによるウイルス不活化 は、N-アセチル-L-システインをなしで行われた。しかし、カルボスチリル 124 を用いるウイルス不活化は、N-アセチル-L-システインを用いておよび用いずに 行った(図10)。N-アセチル-L-システインは、カルボスチリル 124のウイルス 不活化能力を妨害しなかった。実施例6:カルボスチリル 124(7-アミノ,4-メチル,2-ヒドロキシキノリン)およ び紫外光によるエンベロープのないウイルスの不活化 バクテリオファージT4(エンベロープのない細菌ウイルス)を使用して、カ ルボスチリル 124および紫外光による不活化を試験した。T4は不活化に対して かなり抵抗性であることが知られており、そしてCP-38およびCP-45(データは未 掲載)の両方に対する抵抗性を示している。 凍結乾燥されたE.coli細菌ペレットをATCCから入手した。このペレットを、ボ ルテックスしながら1.0mLのLB培地に懸濁させた。細菌懸濁液の1部を、滅菌し た接種耳で掻き取り、そしてLBプレートのローン上にストリークした。ストリー クしたプレートを、単離された細菌コロニーを増殖させるために37℃で24時間イ ンキュベーター内に置いた。細菌のコロニーを滅菌した白金耳で掻き集め、そし てスクリューキャップのフラスコ中で50mLのLB培養液および0.5mLの20%マルトー ス溶液で洗浄した。次いで、フラスコを、適切な通気を確保するためにフラスコ キャップ緩め、37℃のインキュベーター中にて120rpmのローラードラム上に置き 、飽和した細菌懸濁液を得た。次に、懸濁液を無菌チューブに移し、そして5000 rpmで10分間遠心分離し、引き続いて上清を捨てた。得られた細菌ペレットを、 約50mLの0.1M硫酸マグネシウム溶液に再懸濁し、そして冷蔵庫に保存した。 ATCCから入手した凍結乾燥T4ペレットを、小さい無菌バイアル中でボルテッ クスすることにより0.3mLのLB培養液で再構築した。100μLの得られたウイルス 溶液を10倍連続希釈用に除いた。 連続希釈を達成するために、900μLのSM培地を6個の無菌培養チューブに入れ た。100μLのウイルス懸濁液を元のウイルス溶液から第1培養チューブに移した 。次いで、チューブをボルテックスし、そして第1の培養チューブから100μLの 懸濁液を第2の培養チューブに移した。6個の培養チューブへの6回の連続希釈 が達成されるまでこの工程を繰り返す。 次に、6個の調製された各ウイルス希釈物(100μL)を、6個の無菌培養チュ ーブの第2セットに置いた。6個の各培養チューブに、100μLの予め調製された 細菌懸濁液を添加した。6個チューブを37℃で約30分間インキュベートして、T4 ウイルスがE.coli細菌に感染させた。 感染後、2.8mLの溶融LBトップ寒天を、各培養チューブに取り入れ、穏やかに ボルテックスし、そして予め調製しかつ標識化されたLBプレートのローン上に注 いだ。硬化後、プレートを37℃のインキュベーター中に一晩置いた。 ウイルス力価をプラーク形成アッセイにより得た。数えられるプレート上のプ ラーク数を計数することにより、ウイルス力価を決定した: ウイルス力価=(プラーク#)×10(希釈#+1) ウイルス不活化実験のためのウイルス保存溶液を、非常に多数の透明なプラー クのプレートを単離することにより調製した。これら各々に3mLのSM培養液を添 加した。次いで、プレートを7時間冷蔵庫に置いた。次に、プレートを掻き取り 、そして上清を遠心分離チューブに置き、そして5000rpmで15分間遠心分離した 。次いで、ウイルス上清を分離し、そして1滴の希クロロホルムを加えて4℃で 保存した。 増感剤カルボスチリル 124(7-アミノ,4-メチル1,2-ヒドロキシキノリン)のT4 ウイルスにおける効果を、プラークアッセイ法により試験した。T4ウイルスを1 00μg/mLの増感剤に24時間曝露した。この後、それを3〜4J/cm2と見積もられ るUV光に10分間露光した。曝露後のウイルス力価における効果を表4に示す。 実験データは、力価1.5×109プラーク形成ユニット(pfu)で始まり、そしてリ ン酸緩衝化生理食塩水(PBS)またはPBS中の7%ウシ血清アルブミンのいずれかに 溶解したカルボスチリル 124を添加することにより、それぞれ2.0×106pfuまた は1.0×105pfuの残存ウイルス力価を示した。おおよそ、3log10減少を、PBSに わずかに溶解する増感剤のPBS懸濁液を用いてこれらのデータにより示す。4log 減少を、BSA/PBS懸濁液(これは、増感剤の溶解を幾分助ける)において示す。 3〜4J/cm2と見積もられる低用量のUVA光を全ての場合に使用した。増感剤の濃 度は理論的に100μg/mLであったが、溶解性の問題のために実際の溶液濃度はお そらくそれより低かった。 上記のデータは、処理に耐性を示すエンベロープのないモデルウイルスの顕著 な不活化(3〜4log)を示す。さらに、これらのデータは、ヒト病原体(例えば 、A型肝炎およびパルボウイルスB19)のモデルとして供する。不活化は、低UVA 用量での露光において、低濃度のわずかに水に可溶な分子を用いて達成された。 これは、ウイルス不活化に関して光増感剤としてキノリンおよび/またはキノロ ンの使用を支持する。さらに、カルボスチリル 124のウイルス不活化特性は、ハ ロゲンの添加により高められ得、そして側鎖の特徴を保持し得る。 7-アミノ,4-メチル,2-ヒドロキシキノリンの構造は以下である:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 イェルマン,ナジェンダー アメリカ合衆国 カリフォルニア 91036, サウス パサディナ,アンバーウッド ド ライブ ナンバー106 1699 (72)発明者 グッドリッチ,レイモンド ピー.ジュニ ア アメリカ合衆国 カリフォルニア 91107, パサディナ,サウス オーク アベニュー 400 (72)発明者 プラッツ,マシュー アメリカ合衆国 オハイオ 43235,コロ ンバス,ロッキー リル ロード 5999 (72)発明者 パーク,サング チュル アメリカ合衆国 カリフォルニア 91007, アルカディア,ウエスト ハンティントン ドライブ ナンバーイー 592

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.生体溶液からのウイルス性、細菌性、および他の寄生性混入物を不活化する 方法であって: a)該生体溶液を、照射で補助される開環に耐性である少なくとも1つの環状 構造を含む化学的骨格構造を含む化学的骨格構造を有する光増感剤と混合する工 程、ここで、該光増感剤が該ウイルス性、細菌性、寄生性混入物を電磁放射の吸 収の際に不活化する;および、 b)該生体溶液、および該光増感剤を、該光増感剤を活性化させるに十分な期 間、十分な波長および強度の電磁放射に曝露する工程、ここで、それにより該光 増感剤の活性化が、該溶液中の該混入物を減少させる、 を包含する、方法。 2.前記化学的骨格構造が、キノリンまたはキノロンを含む、請求項1に記載の 方法。 3.前記生体溶液が、血液、血液成分、細胞培養物、および細胞培養物の成分か らなる群より選択される成分を含む、請求項1に記載の方法。 4.前記生体溶液が、全血漿を含む、請求項1に記載の方法。 5.前記生体組成物が、全血または全血から調製される細胞画分を含む、請求項 1に記載の方法。 6.前記血液細胞画分が、赤血球、血小板、白血球、および幹細胞を含む、請求 項5に記載の方法。 7.前記生体溶液が、血漿タンパク質画分を含む、請求項1に記載の方法。 8.前記血漿タンパク質画分が、血清アルブミン、免疫グロブリン、または凝固 因子を含む、請求項7に記載の方法。 9.前記凝固因子が、第VIII因子である、請求項8に記載の方法。 10.前記光増感剤が、キノリンである、請求項1に記載の方法。 11.前記キノリンが、ハロゲン化されている、請求項10に記載の方法。 12.前記キノリンが、以下の構造: ここで、R1〜R7が、ハロ、H、直鎖状または分岐状または置換されたアルキル (C1〜C15)、アルコキシ(C1〜C15)、アルケニル(C1〜C15)、アルキニル(C1 〜C15)、アリール、アミノ、チオ、チオエステル、金属、またはシリコーンベ ースの置換基からなる群より独立して選択される、を有する請求項10に記載の 方法。 13.前記キノリンが、以下の構造: を有する、請求項12に記載の方法。 14.前記光増感剤が、キノロンである、請求項1に記載の方法。 15.前記キノロンが、ハロゲン化されている、請求項14に記載の方法。 16.前記キノロンが、以下の構造: ここで、R1〜R6は、ハロ、H、直鎖状または分岐状または置換されたアルキル (C1〜C15)、アルコキシ(C1〜C15)、アルケニル(C1〜C15)、アルキニル(C1 〜C15)、アリール、アミノ、チオ、チオエステル、金属、またはシリコーンベ ースの置換基からなる群より独立して選択される構造を有する、請求項14に記 載の方法。 17.前記キノロンが、以下: からなる群より選択される構造を有する、請求項16に記載の方法。 18.生体溶液由来のウイルス性、細菌性、および他の寄生性混入物を不活化す る方法であって: a)該生体溶液を、光増感剤およびブロッキング剤と混合する工程、ここで、 該光増感剤が該ウイルス性、細菌性、寄生性混入物を電磁放射の吸収の際に不活 化する;および、 b)前記生体溶液、および該光増感剤を、該光増感剤を活性化させるに十分な 期間、十分な波長および強度の電磁放射に曝露する工程、それにより該光増感剤 の活性化が該溶液中の該混入物を減少させ、そしてここで、該生体溶液の生理学 的活性が実質的に損傷されない、 の工程を包含する、方法。 19.前記生体溶液が、血液、血液成分、細胞培養物、および細胞培養物の成分 からなる群より選択される成分を含む、請求項1に記載の方法。 20.前記生体溶液が、全血漿を含む、請求項1に記載の方法。 21.前記生体組成物が、全血または全血から調製された細胞画分を含む、請求 項1に記載の方法。 22.前記血液細胞画分が、赤血球、血小板、白血球、または幹細胞を含む、請 求項4に記載の方法。 23.前記生体溶液が、血漿タンパク質画分を含む、請求項1に記載の方法。 24.前記血漿タンパク質画分が、血清アルブミン、免疫グロブリン、または凝 固因子を含む、請求項6に記載の方法。 25.前記凝固因子が、第VIII因子を含む、請求項7に記載の方法。 26.前記光増感剤が、ソラレン、またはクマリン化学的骨格構造を有する、請 求項1に記載の方法。 27.前記ブロッキング剤が、前記光増感剤の光分解を阻害するかまたは減少す るように作用する、請求項9に記載の方法。 28.前記ブロッキング剤が、L-システインである、請求項9に記載の方法。 29.前記ブロッキング剤が、N-アセチル-L-システインである、請求項9に記 載の方法。 30.前記光分解が、前記光増感剤の開環を含む、請求項10に記載の方法。 31.前記光分解が、反応性化学基を有する光増感剤由来の分解産物を生じる、 請求項10に記載の方法。 32.前記反応性化学基が、アルデヒドおよびカルボキシル基を含む、請求項に 記載14の方法。 33.前記ブロッキング剤が、活性酸素種のクエンチングを主に含まない機構に よって、前記生体溶液の生理学的活性を維持するように作用する、請求項1に記 載の方法。 34.前記ブロッキング剤が、L-システインである、請求項16に記載の方法。 35.前記ブロッキング剤が、N-アセチル-L-システインである、請求項16に 記載の方法。
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