JPH11505548A - グリア細胞系由来神経栄養因子(gdnf)蛋白産物を用いたハンチントン病の治療方法 - Google Patents

グリア細胞系由来神経栄養因子(gdnf)蛋白産物を用いたハンチントン病の治療方法

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JPH11505548A JP9533644A JP53364497A JPH11505548A JP H11505548 A JPH11505548 A JP H11505548A JP 9533644 A JP9533644 A JP 9533644A JP 53364497 A JP53364497 A JP 53364497A JP H11505548 A JPH11505548 A JP H11505548A
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Abstract

(57)【要約】 グリア細胞系由来の神経栄養因子(GDNF)蛋白産物を投与することで、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト介在神経細胞死を防止あるいは軽減するための方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産物を 用いたハンチントン病の治療方法 発明の背景発明の分野 本発明は一般的に、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産物を治 療有効量投与することで、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体 アゴニスト介在型細胞死に関連する神経変性病を治療する方法に関する。特に、 本発明はハンチントン病の様な神経変性疾患の治療に関する。背景 神経栄養因子は神経系あるいは神経系の支配を受けている非神経組織中に見ら れる天然蛋白質で、神経及び/又はグリアル細胞の生存を促進し、表現型分化を 維持する機能を有する天然蛋白である(Varonら.,Ann.Rev.Ne uroscience,1:327.1979;Thoenenら.,Scie nce,229:238,1985)。神経栄養因子は神経損傷に起因する神経 細胞の変性や分化機能の消失の治療に有効であることが知られている。神経損傷 は(1)損傷近傍 の軸索突起および/又は神経細胞体の変性を引き起こす物理的損傷、(2)発作 の様な神経系の一部への血流の一時的あるいは永続的中断(虚血)、(3)それ ぞれ癌とAIDSに対する化学治療薬であるシスプラスチンやジデオキシシチジ ン(ddC)の様な神経毒素への意図的あるいは偶発的な暴露、(4)糖尿病や 腎不全の様な慢性代謝性疾患、あるいは(5)パーキンソン病やアルツハイマー 病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)の様な特定の神経集団が退化すことに起 因する神経退行性疾患、を含む1つ以上の型の神経細胞の存続および/あるいは 正常な機能を障害する条件により引き起こされる。特定の神経栄養因子だけがあ る神経傷害の治療に潜在的に有用であるために、損傷を受けた神経細胞の属がこ の因子に対して反応性でなければならず、異なる神経栄養因子は典型的に異なる 属の神経細胞に厳密に作用する。 同定された最初の神経栄養因子は神経成長因子である(NGF)。一群の栄養 因子として同定された最初の一員であり、NGFはニューロトロフィンと呼ばれ る、現在この群には脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3 (NT−3)、NT−4/5ならびにNT−6が含まれている (Thoene,Trends,Neurosci.,14:165−170, 1991;Lapchakら.,Rev.Neurosci.,3:1−10、 1993;Bothwell,Ann.Rev.Neurosci.,18:2 23−253,1995)。これらのニューロトロフィンはtrkチロシンキナ ーゼ受容体ファミリー、すなわちtrkA,trkB,trkCならびに低親和 性p75受容体を介して作用することが知られている(Lapchakら.,R ev.Neurosci.,3:1−10、1993;Bothwell,An n.Rev.Neurosci.,18;223−253,1995;Chao ら.,TINS 18:321−326,1995)。 グリアル細胞株由来神経栄養因子(GDNF)は、試験管内で中脳のドーパミ ン作動性ニューロンの伝達表現形の生存を促進、刺激作用を促進したアッセーに より同定、精製された、最近発見された蛋白質である(Linら.,Scien ce,260:1130−1132,1993)。GDNFはグリコシル化した ジスルフィド結合を有するホモダイマーで、神経栄養蛋白質ファミリーの形質転 換成長因子−β(TGF−β)フ ァミリーに近い構造上の相同性を有している(Linら.,Science,2 60:1130−1132,1993;Krieglsteinら.,EMBO J.,14:736−742,1995;Poulsenら,Neuron, 13:1245−1252,1994)。生体内では外因性のGDNF処理によ り黒質神経のドーパミン作動性表現形を刺激すること、そしてパーキンソン病の 動物モデルでは軸索除去により誘導された、あるいはドーパミン性神経毒による 機能欠損が保存される(Hudsonら.,Brain Res.Bull.3 6:425−432,1995;Beckら,Nature,373:339− 341,1995;Thonasら,Nature、373:335−339, 1995;Hofferら.,Neurosci.Lett,182:107− 111,1994)。GDNFはまた生体内と試験管内の両方で脳幹や脊髄のコ リン作動性運動神経に対して神経栄養作用を有している(Oppenheimら .,Nature,373:344−346,1995;Zumら.,Neur oreport,6;113−118,1994;Yanら.,Nature, 373:341−344,1995;Hendersonら., Science,266:1062−1064,1994)。GDNFが中脳の ドーパミン作動性神経や体制運動神経以外の広い範囲に神経栄養作用を持つこと を示す証拠が得られつつある(YanとMatheson,Nature)37 3:341−344,1995;Millerら.,Soc.Neurosci .Abstr.,20:130,1994)。GDNFmRNAは筋肉や末梢神 経系のシュワン細胞や中枢神経系のタイプIのアストロ細胞に発見されている( Schaarら.,Exp.Neurol.,124:368−371,199 3)。 ハンチントン病(HD)は、不随意の手足の運動、痴呆、情緒障害、発症後1 5から20年での死という特徴を有する遺伝性の神経退行性の疾患である。本疾 患は常染色体性の優性遺伝病で、男女100,000人当たり5人の等しい割合 で発症する。発症した親を持つ子供は50%の確率で本疾患が遺伝する。本疾患 は一般には40−50代で発病し、多くの患者は結婚し子供を持っている。 病気の最初の徴候は目立たないものである:放心、過敏症ならびに落ち着きを 失い、ぎこちなくなり突然抑鬱状態になる。本疾患の最も顕著な特徴である制御 できない舞踏病様の運動は 患者が起きあがれない状態あるいは車椅子に拘束される状態になるまで漸次増加 する。患者の口調は最初は早口で不明瞭となり、次に意味不明となり、最後に話 さなくなる。認識機能もまた障害され、突然分別の機能が消失する。治療方法は 無い。本疾患がひとたび発症すると情け容赦なく進行し、患者は年ごとに能力を 失い、最後には完全に機能を消失して死を迎える。HDの病因の主要部位は線状 体であり、ここでは神経単位の90%までが消失する。線状体内においては特定 の神経単位集団が選択的に脱落する。神経化学マーカーであるガンマアミノ酪酸 (GABA)、サブスタンスP、ディノルフィン、エンケファリンを含む、線状 体内の中程度の大きさの脊髄神経単位がより影響を受けやすい。逆に、神経ペプ チドであるソマトスタチンや神経ペプチドYを含む中程度の大きさの脊髄神経単 位やコリンエステラーゼ(ChAT)活性を含む大きな脊髄神経単位は残る傾向 にある(ただしChAT活性は完全に消失する)。ドーパミン作動性ならびにセ ロトニン作動性球心性投影系統も影響が小さい(Bealら.,J.Neuro sci.,11:1649−1659、1991)。 障害された認識機能と結果としての痴呆は皮質神経単位の消 失あるいは基底神経節認識部位、すなわち背側部正面と側方眼窩正面回路の正常 活動の破綻のいずれかが原因と考えられている。舞踏病の特徴は、視床下核の活 動の減少も同時におこるものの、線状体の神経消失がその原因であると信じられ ている。通常、3種類の生化学的には異なるが、機能的には相互に関係してる以 下の系の間でバランスが取られている:(1)黒質線状体のドーパミン作動系; (2)線状内コリン作動系;ならびに(3)線状体から淡蒼球に伸びるGABA 作動系。ドーパミン、アセチルコリン、あるいはGABA系のいずれかのバラン スが崩れることで不随意運動が引き起こされる。アセチルコリンを作る上に必要 なコリンアセチル転移酵素と、GABAの合成に必要な酵素であるグルタミン酸 炭素酵素がHD患者の線状体中では顕著に減少している。これらの酵素の欠損と 、L−DOPA投与後に舞踏病様の運動が悪化するという臨床観察に一致してい る。 グルタミン酸の誘導による神経細胞死がハンチントン病に関与していると信じ られている。グルタミン酸は脳の重要な興奮性伝達物質である。あらゆる中枢神 経を強く興奮させ、神経末端部に高濃度で存在している(10-3M)。グルタミ ン酸受 容体は4つのタイプに分けられている(代表的なアゴニスト名を冠して称される ):カイニン酸受容体、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体、 a−アミノ−3−ヒロドキシ−5−メチル−4−イソキザオルプロピオン酸(A MDA)受容体、とメタボロトロフィック受容体。多くの正常のシナプス伝達事 象にグルタミン酸の放出が関与している。 グルタミン酸は神経毒性も有し、高濃度で細胞死を誘導する(Choi,D. W,Neuron、1:623−634,1988)。細胞死の機序は主に、N −メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)型のグルタミン酸受容体に持続的に グルタミン酸が作用することでおき、その結果過剰のCa2+の流入が起きる。過 剰のCa2+によりCa2+依存型プロテアーゼが活性化されて、さらにポスフォリ パーゼA2が活性化した結果アラキドン酸放出が起き、炎症を引き起こす物質を 産生させ、またその後の破壊的事象の引き金となるフリーラジカルが作られる。 これらのグルタミン酸により引き起こされる有害な変化はグルタミン酸刺激毒性 と呼ばれ、発作やひどい痙攣といった急性の脳傷害の後におきる細胞死が原因と 信じられている。刺激毒性は脳虚血やアルツハイマー病、HDにも関与している 可 能性も示唆されている(Greenamyreら.,Science、227: 1496−1499,1985;Choi,D.W,Neuron,1:623 −634,1988)。 グルタミン酸受容体アゴニストをラット線状体に注入するとHDに似た神経細 胞消失パターンを作り出すことができる。実際に注入した部位内の神経は大部分 が死ぬものの、周囲部分に漸次移行域が観察されこの部分では細胞の選択死が見 られる。カイニン酸(KA)−誘導傷害に関する初期の研究により、HDとの強 い類似性が示された。KAは海藻のDigineasimplexから分離され たものであり、ほ乳類の脳には無い。KAを線状体内に注入すると神経消失と神 経膠腫病が現れ、それに伴って線状体固有の神経マーカーが減少するがドーパミ ン作動性の球心作用は保存されている。しかし、これらのKAによる傷害は、ソ マトスタチンレベルの有意な減少とソマトスタイン神経単位の消失も引き起こす ことからHDのモデルとしは不完全である。キノリン酸(QA)の様なNMDA 受容体アゴニストによる傷害は、比較的ソマトスタチンやニューロペプチドYレ ベルは維持される一方でGABAやサブスタンスPのレベルは有意に低下するこ とからHDのモデルとしてより良い ものを提供する。長期間(6ヶ月から1年)のQA傷害の追跡調査の結果は、ソ マトスタチンとニューロペプチドYならびにセレトニンとHIAAの増加(KA 傷害の長期追跡調査では認められない)が認められるが、これは実際のHD患者 の所見に類似している。したがって、慢性のQA傷害はHDの神経化学上の特徴 に極めて近いものである(Bealら.,J.Neurosci.,11:16 49−1659、1991)他の研究者もQAに誘導された線状体の傷害がHD の組織病理に類似していることを確認している(Robersら.,のExp. Neurol.,124:274−282,1993)。 本発明の一般観点は1993年の4月1日に公開されたWO93/06116 (Linら.,Synte−Synergen Neuroscience J oint Venture)であり、それにはGDNFがパーキンソン病に伴う 傷害を含む神経傷害の治療に有用であることが報告されている。別の観点はSc hmidt−Kastnerら.,のGDNFmRNAがピロカルピン誘導の癲 癇後に検出可能になり上流制御されているというMol.Brain Res. ,26:325−330、1994の報告:Schaarら.,Exp . Neurol.,124:368−371、ならびにSchaarら.,Exp .Neurol.,130:387−393,1994の基底前脳部アストロ細 胞が培養条件下に分子レベルのGDNFmRNAを発現するか、GDNFは基底 前脳部のChAT活性を変化させないという報告、ならびに係属中の1995年 9月28日公開の米国出願連続番号08/535,682(Yanら)のGDN Fが基底前脳部コリン作動性神経の傷害あるいは退化の治療に有用であるという 報告;係属中の1995年11月29日出願の米国出願連続番号08/564. 458(Yanら)は、GDNFが網膜神経節細胞傷害の治療に有用であるとい う報告、そして係属中の1995年11月29日出願の米国出願連続番号08/ 564,833(Louis)によるGDNFが光受容器傷害の治療に有用であ るという報告である。 特に関心のある点はHumpelら.,のカイニン酸により痙攣を誘導すると 海馬中のGDNFmRNAレベルが増加するというNeurosci.,59: 791−795,1994の報告や、GDNFがカイニン酸(非哺乳動物興奮性 アミノ酸)(現在係属中の1994年11月15日出願の”GDNFを神 経保護材剤として利用する方法”という名称の米国出願連続番号08/340, 821(Martin)と1995年5月22日出願の米国出願連続番号07/ 446,383も参照のこと)の投与により誘導された脳の海馬、視床部ならび に扁桃体域での痙攣運動と痙攣に伴う神経細胞の消失を阻害するというMart inらのBrain.Res.,683:172−178,1995の報告であ る。さらに別の観点はPerez−NavarroらのNGFと塩基性繊維芽細 胞増殖因子(bFGF)がキノリン酸が介在する線状体のChAT活性の減少を 防止し、NGFとbFGFがキノリン酸傷害からコリン作動性の線状体神経を保 護するという報告である。これまでにGDNFはキノリン酸に曝され傷害を受け た線状体神経の生存あるいは再生を促進し、あるいはNMDA受容体アゴニスト が介在した細胞死を伴うハンチントン病の様な神経退行性疾患に作用することが 示唆あるいは示されてきた。 これまでもハンチントン病の治療に有効な方法と治療処方に対する要望があっ た。その様な方法ならびに治療処方は理想的に退行性疾患の進行を完全に停止さ せ、さらに傷害を受けた神経の再生を重度の副作用なく促進するだろう。 発明の要約 本発明は、NMDA受容体アゴニスト介在型の細胞死に関連する神経変性疾患 を、治療効果量のグリアル系の神経栄養因子(GDNF)蛋白産物を投与するこ とにより治療する方法を提供する。そのような神経変性の疾患の例にはハンチン トン病(HD)がある。この様なGDNF蛋白産物には配列番号1記載のアミノ 酸配列、その変種、ならびに誘導体が含まれる。本発明は、組換体ヒトGDNF を頭内投与することで、ハンチントン病の生体内モデルへのキノリン酸(QA) 投与により誘導される特徴的な皮質と線状体細胞の死が軽減されたという発見に 基づく。特異的NMDA受容体アゴニストであるQAを介した傷害に対するGD NF活性はNMDA受容体介在の毒作用も改善する。 本発明によれば、GDNF蛋白産物は非経口的に(好ましくは静脈あるいは大 脳脳室内に(intracerebroventricularly))約10μg/kg/日から100m g/kg/日の範囲の用量、好ましくは約1mg/kg/日から25mg/kg /日の範囲の用量、そして最も好ましくはおよそ5から20mg/kg/日の範 囲の用量で投与する。さらにGDNF蛋白産物はハンチ ントン病に対し有効な第二の治療薬の有効量と共に投与することもできる。 本発明はまた、ハンチントン病に伴う神経細胞死を軽減させることも含めたハ ンチントン病治療の為の医薬品製造におけるGDNF蛋白産物の使用も提供する 。 さらに多くある本発明の別の観点ならびに優位点については以下好適な実施態 様をもって記載する本発明の詳細な記述により当業者に明らかになるだろう。 簡単な図表の説明 図1は脳の断面図で、生存しているニューロン細胞を数えるためにとったサン プル域ならびにおおよその線状体の位置、キノリン酸により誘導された傷害部位 、そしてそこからの移行域が分かる。 図2Aおよび2Bは、それぞれキノリン酸(QA)、QA+ビヒクル、あるい はQA+組換体ヒトGDNF(たとえば図4記載のアミノ酸配列を有するrhG DNF)投与後の左と右それぞれの前方ならびに頭頂部の皮質部の生存ニューロ ン細胞数を示す。 図3はQA、QAとビヒクル、あるいはQAとrhGDNF を投与した後に右と左の線状体内に見られた生存ニューロン細胞数を示す。 図4はGDNF蛋白産物のアミノ酸配列例を示す。 発明の詳細な説明 本発明は、グリアル細胞系由来の神経栄養因子(GDNF)蛋白産物を治療有 効量投与することでハンチントン病に伴う神経細胞死を軽減する方法を提供する 。本発明は、配列番号1記載のアミノ酸配列、その変種、ならびにその誘導体を 有するGDNFを含む生物学的に活性なGDNF蛋白産物を用いて実行できる。 本発明は、当該分野にてハンチントン病の生体モデルと認知されているキノリ ン酸(QA)投与による特徴的な皮質と線状体の神経細胞の死が、組換体ヒトG DNFの頭内投与により軽減されたという発見に基づく。キノリン酸投与はハン チントン病の多くの組織病理学的特徴を表すことから該疾患の進行と潜在的治療 法の研究に最も一般的に使用されるモデルである。 キノリン酸の神経興奮性作用は、その惹起された放出パターンがNMDAのそ れに類似しており、また競合的NMDAアンタゴニストがキノリン酸誘導型の興 奮を減少させることから、 NMDA型受容体によって介在されると考えられている(MartinとLod ge,Neurosci.Lett.,75:175−180,1987)。し かして、GDNFはNMDA受容体アゴニストにより介在される神経傷害あるい は神経変性を改善することが期待される。NMDAアゴニストは、側頭葉てんか ん、肝性脳症、脳虚血症、低血糖症、ならびにAIDS痴呆を含む多くの脳障害 に潜在的に関与している(SchwarczとDu,”哺乳動物の脳におけるキ ノリン酸とキヌレン酸”、キヌレニンとセロトニン経路、Schwarczら. ,編.,Plenum Press、NY、1991)。 グルタミン酸シナプスに影響する異なるシナプス前およびシナプス後の異常が NMDA受容体介在性の神経毒性を生成すると予想される。シナプス前異常とし ては過剰な神経活性、過剰のグルタミン酸の放出あるいはグルタミン酸の(神経 末端あるいはグリアへの)取り込みの減少が考えられる。シナプス後の異常とし てはNMDA受容体数の異常な増加、NMDA受容体チャンネル複合体の変化( 例えば平均チャンネル開口時間の延長)、平均静止ポテンシャルの減少(例えば 、Mg2+ブロックの減少を招く)あるいはCa2+介在型傷害の受け易さの増 大(例えばCa2+緩衝能力の減少による)が考えられる。上記の全てのことがN MDA受容体介在型の傷害の基礎となる。さらに、NMDA受容体介在型の有害 作用もまた変調因子の異常、シナプスのZn2+の減少、シナプスのグリシン(G ly)の過剰あるいは変化したNMDAアゴニスト(例えばキノリナート)の量 の異常により引き起こされる可能性がある。NMDA受容体活性型チャンネルが 、フェンサイクリジン(PCP)部位に対する内因性リガンドにより部分的に正 常にブロックされる場合には、このリガンドのレベルの減少が別の形のNMDA 受容体介在型の有毒作用の源となる可能性がある。 本発明によれば、GDNF蛋白産物は非経口的に(静脈あるいは大脳脳室内投 与を含む)約10μg/kg/日から100mg/kg/日の範囲の用量、好ま しくは約1mg/kg/日から25mg/kg/日の範囲の用量、そして最も好 ましくはおよそ5から20mg/kg/日の範囲の用量で投与する。さらに本発 明は注射以外の方法によりデリバリーされ、非経口投与形態と生物有効性のうえ で等価な効果をもたらすにのに十分な量のGDNF蛋白産物を含む様処方された 医薬組成物も意図する。さらに本発明はGDNF蛋白産物を、キノリン酸が誘導 する線状体ChAT活性の減少を阻止すると報告されているNGFやbFGFの 様なハンチントン病に対する第二の治療薬の治療有効量と共に投与することも意 図する。 本発明は、ハンチントン病に関連する神経細胞死の軽減も包含するハンチント ン病の治療薬の調製へのGDNF蛋白産物の使用も提供する。 本明細書で使用する“GDNF蛋白産物”という言葉には、生物学的に活性な 精製した天然、合成あるいは組換体GDNFとその断片、GDNF変種(挿入、 置換、ならびに欠損変種)ならびに化学的に修飾された誘導体が含まれる。さら に配列番号1記載のアミノ酸配列を有するヒトGDNFに実質的に相同な生物学 的に活性なGDNF蛋白も含まれる。GDNF蛋白産物は生物学的に活性な形で はホモダイマーあるいはヘテロダイマーの形で存在しうる。 本明細書における“生物学的に活性”という言葉は、GDNF蛋白産物が以下 の実施例に記載する神経栄養上の特性を示すことを意味するが、少なくともキノ リン酸誘導型の皮質と線状体内の神経細胞死や、ハンチントン病に伴うNMDA 受容体アゴニスト介在型の細胞死を軽減し、配列番号1記載のアミノ酸 配列を有するGDNF蛋白産物について示された性質を有していれば、その性質 は必ずしも全て同じである必要はなく、且つ、同じ程度である必要はない。必要 とする特定の神経栄養特性の選定は、どのGDNF蛋白産物を投与するかによっ て行う。本記載内容を利用すれば、対象とするポリペプチドが本明細書記載のG DNF蛋白産物と実質的に同等の生物学的活性を有するものであるかを決めるこ とは当業者にとって容易である。 本明細書に使用する“実質的に相同”という言葉は配列番号1記載のアミノ酸 配列を有するGDNFとある程度の相同性を有することを意味しており、好まし くは70%以上、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最 も好ましくは95%以上の相同性を有する。例えば、ラットとヒトの該蛋白の相 同性はおよそ93%であり、全ての哺乳動物のGDNFは同程度の相同性を持つ と考えられる。本明細書記載の相同性のパーセンテージは、比較する配列中で、 アミノ酸配列が同一である2つの配列の内の、短い方の配列中に認められるアミ ノ酸残基のパーセンテージとして計算したもので、この時、100アミノ酸の長 さ当り平均3から4のギャップを挿入して配列を調節しても良い(本明細書中に 参考資料として採用 している、Dayhoffによる報告参照:Atlas of Protein Sequence and Structure V.5,p.124,Na tional Biochemical Research Foundati on,Washington,D.C.(1972))。すなわち、配列相同性 の程度は、比較する分子のアミノ酸残基を配列番号1記載の様なGDNFポリペ プチドのアミノ酸残基と比較し、2つの配列間の残基の一致が最大になるように (比較配列において、保存的残基置換を適当に行い、必要に応じてギャップを導 入して、末端部(truncations)及び内部の欠損あるいは挿入は無視する)最適 に並べて決定する。一度並べてパーセンテージを比較するポリペプチドの全残基 数で一致した残基数を除して決定するが、比較ポリペプチドが参照のポリペプチ ドの末端を越えた部分を有している場合には、これを無視する。保存的置換の例 としては以下の一群間での置換がある:グリシン、アラニン;バリン、イソロイ シン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン; セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;ならびにフェニルアラニン、チロシ ン。さらに実質的相同性には配列番号1のGDNFに対する抗体との交叉反応に より分離され得るGDNF蛋白産物、あるいはその遺伝子が配列番号1のGDN Fをコードする遺伝子あるいはその断片とハイブリダイゼーションすることで分 離できるものも含む。 本発明のGDNF蛋白産物は当業者に公知な方法により分離あるいは生成でき る。本発明の利用可能なGDNF蛋白産物を製造する方法の例は1994年、5 月23日出願の米国特許出願番号08/182,183とその親特許出願;19 92年9月17日出願のPCT出願番号PCT/US92/07888で、WO 93/06116(Linら.,Syntex−Synergen Neruo science Joint Venture)で開示;欧州特許出願番号92 921022.7、EP610254で公開;ならびに共有、係属中の1995 年9月28日出願の切断GDNF蛋白産物あるいはGDNF欠損変種を含む米国 出願番号08/535,681に記載されており、これら開示情報は全て本明細 書に参考資料として採用されている。 全長のGDNFポリペプチドあるいは断片は、Sambrookら.,(Mo lecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY[1989])及び/又はAusubelら.,編集(Cu rrent Protocols in Molecular Biology 、Green Publishers Inc.and Wiley and Sons,NY[1994])中に記載の公知の組み替えDNA技術を利用して 調製できる。GDNF蛋白あるいはその切断片(truncated version)をコード する遺伝子あるいはcDNAは、たとえばゲノムライブラリーもしくはcDNA ライブラリーのスクリーニング、あるいはPCR増幅法により得ることができる だろう。あるいは、GDNFポリペプチドもしくは断片をコードする遺伝子は、 Engelsら(Angew.Chem.Intl.Ed.,28:716−7 34[1989])に記載された当業者公知の方法を用いた化学合成法で調製で きるだろう。これらの方法には、特に核酸合成法としてのホスホトリエステル、 ホスホルアミジト(phosphoramidite)、ならびにH−ホスホネート法が含まれ る。これら化学合成に好適な方法は、標準的なホスホルアミジト化学を利用した ポリマー支持型合成法である。典型的にGDNFポリペプチドをコードするDN A は数百ヌクレオチドの長さを有している。およそ100ヌクレオチドを越える長 さの核酸はこれらの方法を用いて幾つかの断片として合成される。それからこれ らの断片を結合して全長のGDNFポリペプチドを作成する。 天然のGDNFをコードしている核酸及び/又はそのアミノ酸の変種の調製が 望ましいこともある。核酸変種(野生型あるいは天然に存在するGDNFと1個 以上のヌクレオチドが異なるもの)は位置指定突然変異誘発法あるいはPCR増 幅法を用いて調製でき、この場合にはプライマーに所望の点突然変位を持たせる (突然変異誘発技術についてはSambrookら.,上記ならびにAusub elら.,上記を参照)。上記のEngelsら.,の化学合成法はまた、この 様な変種の合成にも利用できるだろう。当業者に公知の他の方法も同様に使用で きる。好適な核酸変種はGDNF産生に使用する宿主細胞中の選択されたコドン を補償する核酸の置換を含むものである。その他の好適な変種は、野生型に比べ て保存的アミノ酸変更をコードするものであり(例えば、天然のアミノ酸側鎖の 電荷あるいは極性が実質的には変化しないように他のアミノ酸へ置換されたもの )、及び/又はGDNF上に新たにグリコシル化及び/ 又はリン酸化部位ができるように設計されたもの、あるいはGDNF上の既存の グリコシル化または/あるいはリン酸化部位を除去するよう設計されたものであ る。 天然に存在するGDNF蛋白産物は哺乳動物の神経細胞調製物より分離でき、 あるいはGDNFを分泌あるいは発現する哺乳動物細胞系より分離することがで きる。例えば、WO93/06116はB49神経膠芽腫細胞の無血清増殖培地 からのGDNFの分離を記載している。GDNF蛋白産物はまた当業者に公知な 方法により化学的に合成することもできる。比較的大量の蛋白を高純度に得るこ とができることから組換体技術がGDNF蛋白産物の製造方法として好適である 。組換体GDNF蛋白産物には蛋白のグリコシル化型と非グリコシル化型、また は細菌、哺乳動物、あるいは昆虫細胞系で発現した蛋白が含まれる。 一般に組換体技術には、GDNFをコードする遺伝子を分離し、適当なベクタ ー及び細胞型に該遺伝子をクローニングし、必要に応じて所望の変種をコードす る様に遺伝子を修飾し、該遺伝子を発現させてGDNF蛋白産物を生産する工程 が含まれる。あるいは、所望GDNF蛋白産物をコードする核酸配列を 化学的に合成することもできる。またGDNF蛋白産物は、遺伝子コードの退縮 や対立遺伝子変異によりコドンが異なった核酸配列を利用して発現することも意 図される。WO93/06116はラツトGDNF遺伝子のcDNAクローンの 単離及び配列決定、並びに、ヒトGDNF遺伝子のゲノムDNAクローンの単離 、配列決定及び発現を記載している。WO93/06116は更に、ベクター、 宿主細胞、GDNF蛋白産物の発現のための培養増殖条件についても記している 。GDNF蛋白産物の大腸菌での発現に適した別のベクターは、本明細書中に参 考資料として採用した1991年4月24日公開の欧州特許出願番号04239 80(“幹細胞因子”)に開示されている。成熟型のヒトGDNFをコードする 遺伝子のDNA配列ならびにGDNFのアミノ酸配列はWO93/06116の 図19(配列番号:5)に示されている。図19にはGDNFのプレプロ体の全 配列は示されていないが、ヒトプレプロGDNFの最初の50アミノ酸がWO9 3/06116の図22に示されている(配列番号:8)。 天然のGDNFは生物学的に活性な形ではジスルフィド結合したダイマーであ る。細菌系で発現した後に分離した物質は本 質的には生物学的には非活性で、モノマーとして存在している。生物学的に活性 なジスルフィド結合ダイマーを生成するためには再生が必要である。細菌の系で 発現したGDNFの再生と成熟についてはWO93/06116に記載されてい る。例えば、再生は、GDNF含有抽出物に、まず最初にジチオトレイトールを 加え、次いでグルタチオン2ナトリウム塩さらに再生バッファーを加えることで 実施できる。GDNF活性の初測定のための試験管内アッセーの標準法について 、本明細書に参考資料として採用されているWO93/06116と1995年 9月28日に申請された共有、係属中の米国出願番号08/535,681に記 載されている。これらのアッセーには以前に記載されたアッセーに基づくドーパ ミン取り込みアッセーも含まれている(Friedmanら.,Neuro.S ci.Lett.79:65−72、1987,この開示は本明細書に参考資料 として取り込まれる)。ドーパミン取り込み測定により、高親和性ドーパミン再 取り込みトランスポーター部位の数と活性が測定され、ドーパミン作動性神経の 機能差を知ることができる。 A.GDNF変種 本書で使用する“GDNF変種”という言葉には、天然型のGDNFのアミノ 酸配列の残基から、アミノ酸が欠損したペプチド(“欠損型変種”)、上記残基 にアミノ酸を挿入したペプチド(“付加型変種”)あるいは上記残基に対してア ミノ酸を置換したペプチド(“置換型変種”)が含まれる。この様な変種は適当 なヌクレオチドの変更をポリペプチドをコードするDNAに導入するか、あるい は試験管内にて所望のポリペプチドを化学的に合成することで調製できる。これ らの欠損、挿入および置換を種々組み合わせて、GDNF生物学的活性を有する 最終型分子である成熟ヒト型GDNFのアミノ酸配列を作成できることが当業者 によって認識される。 1つ以上の特定のアミノ酸残基を交換、挿入あるいは欠損する突然変異誘発技 術は当業者に公知である(例えば、本明細書に参考資料として採用している米国 特許番号4,518,584)。置換型変種の構築には基本的に2種類の変異があ る:突然変異部位の位置と突然変異の種類である。GDNF置換型変種の設計で は突然変異の部位とその種類は修飾しようとするGDNF特性によって選択する 。変異部位は個々にあるいは連続して修 飾することができ、たとえば(1)最初の置換を保存的アミノ酸で行い、ついで 得られた結果を見てよりラジカルなアミノ酸で置換する、(2)標的のアミノ酸 残基を欠損させる、(3)現場の部位の隣にアミノ酸残基を挿入することで行え る。保存的な変更は1から20のアミノで行うのが好ましい。所望のGDNF蛋 白産物のアミノ酸配列が決まったら、該蛋白の発現に使用するに好適な核酸配列 は自動的に決まる。N−末端とC−末端の欠損変種はまた蛋白分解酵素を使用し て生成できる。 GDNF欠損変種については、通常欠損域はおよそ1から30残基であり、通 常はおよそ1から10残基であり、さらに典型的な例ではおよそ1から5の連続 する残基である。N−末端、C−末端ならびに内部配列の欠損も意図される。欠 損は他のTGF−βファミリーメンバーと相同性の低い領域に導入され、GDN Fの活性を修飾する。本質的に他のTGF−βファミリー配列に相同な領域の欠 損は、GDNFの生物学的活性を著しく修飾すると予想される。連続して欠損す る場合の残基の数は、影響を受けるドメインにおけるGDNF蛋白産物の、例え ばシステイン架橋結合の様な三次元構造が保存される様に選別される。限定され ない欠損変種の例には、本明細書に参考資 料として採用している共有、同時係属中の米国出願番号08/535,681に 記載されている様に、GDNFの1から40のN−末端アミノ酸を欠く切断(tr uncated)GDNF蛋白産物、あるいはGNDFのC−末端残基を欠く変種、あ るいはその組み合わせが含まれている。 GDNFの付加型変種については、付加するアミノ酸配列は、1残基の長さか ら100残基数以上のポリペプチドまでの長さの範囲のものをN−末端及び/又 はC−末端に融合するもの、そして1個以上のアミノ酸残基を内部に付加するも のが含まれる。内部への付加の場合の残基数は一般には1から10であり、より 典型的な場合には1から5残基であり、さらに通常は1から3アミノ酸残基数で ある。N−末端への付加変種の例には[Met-1]GDNFと呼ばれるN−末端 にメチオニル残基を付加したGDNF(細菌組換体細胞培養でGDNFを直接発 現させる時の人工加工)やGDNFのN−末端に異種のN−末端シグナル配列を 融合して組換体宿主細胞から成熟型のGDNFを分泌させるようにしたものも含 まれる。この様なシグナル配列は通常は使用する宿主細胞種から、すなわち相同 的なものとして得ることができる。付加体には他の神経栄養因子の配 列から得たアミノ酸配列も含ませることができる。本発明の使用に好適なGDN F蛋白産物は組換体ヒト[Met-1]GDNFである。 GDNF置換変種は、GDNFのアミノ酸配列のアミノ酸残基を少なくとも1 個取り除き、そして異なる残基をその位置に挿入したものである。この様な置換 変種には生物種集団中に天然に生じる核酸変位でアミノ酸の変化を起こすものも 、起こさないものもあり得る対立遺伝子変種(allelic variants)が含まれる。 置換型変種の例(配列番号50を参照)は共有、同時係属中の、本明細書に参考 資料として採用した米国出願連続番号08/535、681に開示されている。 GDNFアミノ酸配列の特異的突然変異にはグリコシル化位置の修飾も含まれ る(例えば、セリン、トレオニン、あるはアスパラギン)。グリコシル化の欠除 又は部分的なグリコシル化の欠除は、アスパラギン結合性グリコシル化認識部位 のアミノ酸の置換もしくは欠損、あるいはO−結合炭化水素の付加により修飾さ れた分子のいずれかの位置を置換もしくは欠損させることで生じる。アスパラギ ン結合グリコシル化認識部位は、適当な細胞性グリコシル化酵素により特異的に 認識される3ペプ チド配列を含む。これらの3ペプチド配列にはAsn−Xaa−Thrあるいは Asn−Xaa−Serがあり、式中のXaaはPro以外のいずれかのアミノ 酸である。グリコシル化認識部位の最初あるいは3番目のアミノ酸位置の一方又 は両方についてアミノ酸置換あるいは欠損(及び/又は2番目の位置のアミノ酸 の欠損)がある場合の変種では、修飾された3ペプチド配列においてグリコシル 化を生じない。したがって、適当にヌクレオチド配列を変更し発現することで、 その部位がグリコシル化されていない変種産物を製造することができる。あるい は、DNFアミノ酸配列を修飾してグリコシル化部位を付加することもできる。 突然変異を起こすGDNFアミノ酸残基あるいは領域を特定する方法の一つは “アラニンスキャニング突然変異誘発法”と呼ばれる、Cunninghamと Wellにより報告された方法である(Science,244:1081−1 085,1989)。本法では、標的とするアミノ酸残基あるいは残基群を同定 し(例えばArg,Asp,His,Lys,ならびにGluの様な荷電した残 基)、中性あるいは陰性に荷電したアミノ酸(最も好適な例はアラニンあるいは ポリアラニン)で 置換し、アミノ酸と細胞内外の周囲の水性環境との相互作用を変化させる。それ から、これらの置換により機能的に感受性であることが判明した領域について、 先の置換部位において残基の付加あるいは変更を行いさらに細かな決定を行う。 こうしてアミノ酸配列変異を導入する標的の部位を決め、アラニンスキャニング あるいはランダム突然変異誘発をDNA配列の対応する標的コドン又は領域で実 施し、発現されたGDNF変種について、所望の活性が得られるかどうか、また その活性度がどのくらいかスクリーニングする。 置換型突然変異誘発の最も興味深い部位には、様々な種由来のGDNF蛋白に あるアミノ酸が、側鎖の大きさや荷電、及び/又は疎水性に関して本質的に異な る部位が含まれる。別の候補部位としては様々な種より得られたGDNF様蛋白 で同一な残基である。この様な位置は一般にその蛋白の生物学的活性に重要であ る。まず、これらの部位を比較的保存的な手法で置換する。この保存的置換につ いて、好ましい置換の見出しと共に表1に示す。この置換により生物学的活性が 変化した場合には、より実質的な変更を(例示の置換)行い、及び/又は別の付 加あるいは欠損を行い、その産物について活性を調べる。 アミノ酸配列への保存的修飾(ならびにエンコーディング核酸配列に対する対 応する修飾)により機能的ならびに化学的に天然のGDNFに近い性質を有する GDNF蛋白産物が生み出 されることが期待される。逆に、GDNF蛋白産物の機能的及び/又は化学的性 質の実質的な修飾は、(a)シ−ト構造あるいは螺旋構造のような置換域のポリ ペプチドバックボ−ン構造や、(b)標的部位の分子の電荷と疎水性、あるいは (c)側鎖の大きさ、の維持に対する影響が著しく異なる置換を選び行われる。 天然の残基は共通する側鎖の特性に基づき以下のグル−プに分類される: 1)疎水群:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; 2)中性親水群:Cys,Ser,Thr; 3)酸性群:Asp,Glu; 4)塩基性群:Asn,Gln,Hls,Lys,Arg; 5)鎖の方向に影響する残基:Gly,Pro;ならびに 6)芳香群:Trp,Tyr,Phe. 非保存的置換にはこれらの群の一つのメンバーを他のものに交換することが含 まれる。この様な置換した残基は別のTGF−β蛋白質に相同なGDNF蛋白の 領域あるいは該分子の非相同領域に挿入できる。 B.GDNF誘導体 GDNF又はGDNF変種の化学的に修飾した誘導体は本明細書に開示した方 法の一つによりを調製できる。誘導体化に最適な化学成分には水溶性ポリマーが 含まれる。水溶性ポリマーは結合した蛋白質が水性環境内でも沈殿しないことか ら望ましい。好ましくはポリマーは治療用製品あるいは組成物の調製に対して医 薬的に受容可能なものである。当業者はポリマー/蛋白質結合体が治療に使用で きるかどうかという観点からポリマーを選別することは可能であり、治療に使用 できる場合、望ましい用量、循環時間、蛋白分解に対する耐性、その他の必要な 点を考慮して選別することもできる。誘導体化の効果は誘導体を所望の形態で( 例えば、浸透圧ポンプ、あるいはより好ましくは注射や注入、もしくは経口、経 肺、あるいはその他の投与経路用に更に製剤した形態で)投与して確認し、その 効果を決定することができる。 好適な水溶性ポリマーにはポリエチレングリコール、エチレングリコール/プ ロピレングリコールのコポリマー、カルボキシルメチルセルロース、デキストラ ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラ ン、ポリ− 1,3,6−トリオキサン、エチレン/マレイン酸無水物共重合体、ポリアミノ 酸(ホモポリマーあるいはランダムコポリマー)およびデキストランもしくはポ リ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコー ルホモポリマー、プロリプロピレンオキサイド/エチレンオキサイド共重合体、 ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコー ルやこれらの混合物であるが、もとよりこれに限定されるものでは無い。ポリエ チレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定であることから製造に有 利である。 ポリマーはいずれの分子量でも、また分枝状態でも非分枝状態でもかまわない 。ポリエチレングリコールにおいては、取り扱いならびに製造における容易性と いう観点から好ましい分子量はおよそ2kDaからおよそ100kDaの間であ る(“およそ”という言葉はポリエチレングリコールの調製においては、記載の 分子量より大きな分子もあり、また小さな分子もあることを意味する)。その他 の分子量のものも、所望の治療様式によっては利用可能である(例えば、所望の 放出持続期間;もし有していれば、生物学的活性に対する作用;取り扱い易さ; 抗 原性の程度又は欠損、及び、ポリエチレングリコールの持つ治療用蛋白あるいは 変種に対する既知の作用がある)。 結合するポリマー分子の数は多様であるが、当業者は機能に及ぼすその影響を 確認することができる。一つはモノ誘導体化であり得、あるいは同一あるいは異 なる化学的部分を有するジ−、トリ−、テトラ、もしくはそれらを組みあわせた 誘導体化(例えば、異なる分子量のポリエチレングリコールの様なポリマー)を 提供することができる。蛋白分子に対する(あるいはペプチド分子に対する)ポ リマー分子の比率は、その反応混合液中での濃度が多様であることから様々であ る。一般的には、最適比率(反応効率に関して、過剰の未反応蛋白あるいはポリ マーが存在しないという点で最適)は誘導化の所望程度(例えばモノ−、ジ−、 トリ−、等)、選択したポリマーの分子量、ポリマーが分枝しているかいないか 、反応条件といった条件より決定される。 ポリエチレングリコール分子(もしくは他の化学的成分)は蛋白の機能性もし くは抗原性領域への影響を考慮しながら結合させなければならない。当業者が利 用可能な結合方法は多数ある。例えば、開示内容を本書に参考資料として採用し ている欧 州特許0401384(PEGのG−CSFへのカップリング)、またはMal ikら.,Exp.Hematol.,20−:1028−1035,1992 (塩化トレシル(tresylchloride)を用いたGM−CSFのペジル化(pegylatlon) を報告している)を参照。例えば、ポリエチレングリコールは遊離アミノ基もし くはカルボキシル基の様な反応性基を介してアミノ酸残基に共有結合的に結合で きる。反応性基は活性化されたポリエチレングリコール分子が結合できるもので ある。遊離アミノ基を持つアミノ酸残基にはリジン残基とN−末端アミノ酸残基 が含まれるだろう。遊離カルボキシル基を持つものにはアスパラギン酸残基、グ ルタミン酸残基、およびC−末端アミノ酸残基が含まれる。スルフィジル(sulfh ydrl)基もポリエチレングリコール分子と結合するための反応性基として利用す ることができる。治療の目的では、N−末端あるいリジン基における結合の様な アミノ基の結合が望ましい。受容体結合に重要な残基への結合は、受容体との結 合が必要な場合には避けなければならない。 特にN−末端を化学的に修飾した蛋白を望むこともできる。 ポリエチレングリコールを本書に示す様に用いる時には、様々 なポリエチレングリコール分子から使用する種類(分子量、分枝等)、混合液中 の蛋白(あるいはペプチド)分子とポリエチレングリコール分子の比率、実施す るペジル化の種類、選択されたN−末端がペジル化された蛋白の獲得方法を選択 することができる。N−末端がペジル化された調製物を得る方法(すなわち、他 のモノペジル化分子から必要に応じて本分子を分離する)は、ペジル化された蛋 白分子集団からN−末端がペジル化された分子を精製することで行われる。選択 的なN−末端の化学修飾は、特定蛋白の中の誘導体化に利用可能な異なる第一級 アミノ基(リジン対N−末端)の異なる反応性を活用する還元的アルキル化によ り実施できる。適当な反応条件下では、カルボキシル基を含むポリマーによる実 質的に選択的は蛋白のN−末端の誘導体化が達成できる。例えば、リジン残基の e−アミノ基と蛋白のN−末端残基のa−アミノ基の間のpKa差が利用できる 様なpH条件で反応を行うことで蛋白のN−末端を選択的ペジル化できる。この 様な選択的誘導体化により、水溶性ポリマーの蛋白質への結合を制御できる:ポ リマーによる結合は蛋白のN−末端に優先的に起き、リジン側鎖アミノ基の様な その他の反応性基には重大な修飾は起こさない。還元的アルキ ル化を用いる場合、水溶性ポリマーは上記記載の型であるが、蛋白への結合には 単反応性アルデヒドを利用すべきである。単反応性アルデヒドを含むポリエチレ ングリコールプロピオンアルデヒドが利用できるだろう。 本発明は、原核生物の発現するGDEFあるいはその変種であって、少なくと も1分子のポリエチレングリコールに結合している誘導体の使用、ならびに、ア シルあるいはアルキル結合を介して1つ以上のポリエチレングリコール分子に結 合しているGDNFとその変種の使用も意図する。 ペジル化は当業者に周知のいずれかのペジル化反応を用いて実施できる。例と しては:Focus on Growth Factors、3(2):4−1 0,1992;開示内容を本書に参考資料として採用しているEP015431 6;EP0401384;ならびにペジル化に関して本書に引用するその他の刊 公物を参照のこと。ペジル化は、反応性ポリエチレングリコール分子(あるいは 反応性水溶性ポリマー類似体)を用いるアシル化反応あるいはアルキル化反応を 介して行う。 アシル化によるペジル化には通常ポリエチレングリコール(PEG)の活性エ ステル誘導体とGDNF蛋白あるいはその 変種との反応が含まれる。GDNF蛋白質あるいはその変種のペジル化には、既 知あるいは今後発見される反応性PEG分子のいずれも使用できる。好ましい活 性化PEGエステルはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)にエステル化し たPEGである。本書で使用する”アシル化”とは治療用蛋白とPEGの様な水 溶性ポリマー間のアミド、カルバメート、ウレタン等の結合を含むが、もとより これに限定されない。Bioconjugate Chem.,5:133−1 40、1994を参照。反応条件は既知のペジル化法のいずれか、あるいは今後 開発されるペジル化法のいずれかから選択できるが、温度、溶媒、pHについて は修飾するGDNFあるいはその変種が不活性化されるような条件は避けなけれ ばならない。 アシル化によるペジル化では普通にはポリペジル化されたGDNF蛋白質もし くは変種ができる。好ましい連結結合はアミドである。また好ましくは、得られ た産物は実質的(例えば、>95%)にはモノ、ジ−、あるいはトリペジル化産 物だけである。しかし、反応条件によって量は異なるがよりペジル化されたもの もできる。必要であれば、より精製度の高いペジル化した種類を混合体、特に未 反応のものから、透析、塩析、限外 濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーや電気泳動 等を含む、標準的な精製技術を用いて分離することもできる。 アルキル化によるペジルには通常還元剤存在下にPEGの末端アルデヒド誘導 体とGDNF蛋白あるいはその変種との反応が含まれる。アルキル化によるペジ ル化もまたポリペジル化したGDNF蛋白あるいは変種を産生する。さらに反応 条件を調整することでGDNF蛋白あるいは変種のN−末端のa−アミノ基だけ を実質的にペジル化することもできる(すなわちモノペジル化蛋白)。モノペジ ル化あるいはポリペジル化のいずれの場合でも、PEG基はCH2−NH−基を 介して蛋白に結合することが好ましい。特に−CH2−基を介した結合を本書で は“アルキル”結合と言う。 還元的アルキル化を介した誘導体化により、誘導体化に利用できる様々なタイ プの第一級アミノ基(リジン対N−末端)の持つ様々な反応性を利用して、モノ ペジル化産物を生成できる。反応はリジン基のe−アミノ基と蛋白質のN−末端 残基のa−アミノ基の間のpKa差を利用できるpHで実施する。この選択的誘 導体化により、アルデヒドの様な反応性基を含む水溶性 ポリマーの蛋白への結合を制御することができる:ポリマーとの結合は蛋白のN −末端で主に起き、その他のリジン側鎖アミノ基の様な反応性基には重大な修飾 は生じない。重要な観点は、本発明にはモノポリマー/GDNF蛋白質(あるい は変種)結合分子の実施的に均一な調製物の使用が意図される点である(ポリマ ー分子が実施的には(例えば>95%)一カ所に結合しているGDEF蛋白ある いその変種を意味する)。より詳細には、ポリエチレングリコールを使用する場 合には、本発明はまた抗原性結合基と思われるものを欠き、GDNF蛋白あるい は変種と直接結合したポリエチレングリコール分子を有するペジル化したGDN F蛋白質あるいは変種の使用も包含している。 すなわち、本発明によるGDNF蛋白産物にはペジル化GDNF蛋白あるいは 変種が含まれており、PEG基はアシル基あるいはアルキル基を介して結合する 。上記の如く、これらの産物はモノペジル化あるいはポリペジル化(例えば、2 −6、好ましくは2−5のPEG基を含む)されていて良い。PEG基は一般に は蛋白質にアミノ酸のa−あるいはe−アミノ基の位置で結合しているが、適当 な条件下においてPEG基に結合できるに十分な反応性を有している蛋白結合ア ミノ基であれば、 いずれのアミノ基にもPEGは結合できる。 アシル化ならびにアルキル化による方法で用いたポリマー分子は上記の水溶性 ポリマーの中から選択できる。選択したポリマーは、アシル化の為の活性化エス テルやアルキル化の為のアルデヒドの様な単一の反応性基を持たせ、好ましくは 重合の程度を本方法に示す様に制御できる様に修飾すべきである。典型的な反応 性PEGアルデヒドは水に安定であるポリエチレングリコールプロピオンアルデ ヒドか、そのモノC1−C10アルキルもしくはアリールオキシ誘導体である( 米国特許5,252,714を参照)。ポリマーは分枝型でも未分枝型でもよい 。アシル化反応の場合には、単反応性エステル基を持ったポリマー選択しなけれ ばならない。本発明の還元的アルキル化の場合には、単一活性アルデヒド基を持 ったポリマーでなければならない。一般には水溶性ポリマーは天然のグリコシル 残基から選択されることはない。それは哺乳動物組換体発現系を利用してより簡 単に作ることができるからである。該ポリマーの分子量はいずれのものでもよく 、また分枝していても分枝していなくともよい。 本例に使用できる代表的な水溶性ポリマーはポリエチレング リコールである。本例で使用する如く、ポリエチレングリコールはモノ−(C1 −C10)アルコキシ−あるいはアリールオキシポリエチレングリコールの様な 他の蛋白質の誘導体化に使用されるあらゆる型のPEGも包含している。 一般的には、生物学的に活性な物質を活性化ポリマー分子と反応させるのに使 用される任意の適当な条件下で化学的誘導体化を行うことができる。ペジル化G DNF蛋白産物の調製方法は一般的には(a)GDNF蛋白産物をポリエチレン グリコール(例えばPEGの反応性エステルもしくはアルデヒド誘導体)と、蛋 白が1つ以上のPEG基に結合する条件下で反応させる工程、(b)反応産物を 回収する工程から成っている。通常、アシル化反応の至適反応条件はケースバイ ケースで既知のパラメータと望む結果を基に決められる。例えば、PEG:蛋白 比が大きくなると、ポリペジル化産物の量が多くなる。 還元的アルキル化を利用した実質的に均一なモノ−ポリマー/GDNF蛋白産 物の集団の作成は一般的には以下の:(a)GDNF蛋白あるいはその変種を反 応性のPEG分子と還元的アルキル化条件下に、該GDNF蛋白あるいは変種の アミノ末端にあるa−アミノ基を選択的に修飾するのに好適なpHで反 応させる工程;と(b)反応産物を回収する工程からなる。 実質的に均一なモノ−ポリマー/GDNF蛋白産物の集団の場合、還元的アル キル化反応条件では水溶性ポリマー分子はGDNF蛋白あるいは変種に選択的に 結合する。この様な反応条件では通常リジンアミノ基とN−末端のa−アミノ基 のpKaの間に差が生じる(pKaとはアミノ基の50%がプロトン化し、残り の50%はプロトン化していないpHである)。pHもまた使用するポリマーと 蛋白の割合に影響を与える。一般的にはpHが低い程、蛋白に対するポリマーの 割合が大きくなることが求められる(すなわちN−末端のa−アミノ基の反応性 が低い程、至適条件に必要なポリマー量が多くなる)。pHが高い場合には大き なポリマー/蛋白比は必要なくなる(すなわち、より強い反応性基が利用できる ので、より少ないポリマー分子しか必要なくなる)。本発明の目的に適したpH は、一般には3−9の間であり、好ましくは3−6である。 その他の重要な点はポリマーの分子量である。一般には、ポリマーの分子量が 大きいほど蛋白に結合するポリマーの数は少なくなる。同様にポリマーの分枝も これらのパラメータを最適化する場合考慮に入れなくてはならない。一般的には 、分子量 が大きいほど(あるいはより多くの枝をもっているほど)、ポリマー:蛋白の比 は大きくなる。一般には、本発明におけるペジル化反応では、好ましい平均分子 量はおよそ2kDaからおよそ100kDaである。好ましい平均分子量はおよ そ5kDaからおよそ50kDaであり、特に好ましくはおよそ12kDaから およそ25kDaである。GDNF蛋白あるいは変種に対する水溶性ポリマーの 比は通常は1:1から100:1であり、好ましくは(ポリペジル化については )1:1から20:1と(モノペジル化については)1:1から5:1である。 上記の条件下で還元的にアルキル化すると、アミノ末端にa−アミノ基を持つ GDNF蛋白あるいは変種にポリマーを選択的に結合させることができ、実質的 に均一なモノポリマー/GDNF蛋白(あるいは変種)結合体の調製物を得るこ とができる。本明細書における“モノポリマー/GDNF蛋白(あるいは変種) 結合体”という言葉は、GDNF蛋白あるいはGDNF変種蛋白分子に単一のポ リマー分子が結合したものから成る成分を意味する。モノポリマー/GDNF蛋 白(あるいは変種)結合体は典型例ではポリマーはN末端に局在するがリ ジンアミノ側鎖基には存在しない。該調製物は一般的には90%以上がモノポリ マー/GDNF蛋白(又は変種)結合体であり、通常は95%以上がモノポリマ ー/GDNF蛋白(又は変種)結合体であり、観察される残りの分子は未反応の ものである(すなわちポリマー分子を持たない蛋白)。GDNF蛋白産物は2種 類のGDNFモノマーが非ペプチド性の重合スペーサーを用いて結合して2量体 分子の分子間結合を形成するペジル化分子の調製方法も本発明の範囲である。例 えば、2つのGDNF分子は、非天然又は天然のシステイン残基、例えば各々天 然のCys101アミノ酸残基において、開示内容を本書に参考資料として採用し たWO92/16221(Thompsonらの国際出願番号PCT/US92 /02122)記載のPEG成分を用いて結合できる。 本発明の還元的アルキル化では、還元剤は水溶液において安定していなければ ならず、還元的アルキル化の初期の工程で形成されるシッフ塩基だけを還元し得 るものが好ましい。好適な還元剤はホウ水素化ナトリウム、シアノホウ水素化ナ トリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ピリジンボランか ら選択できる。特に好ましい還元剤はシアノホウ水素化 ナトリウムである。その他の、溶媒や反応時間、温度等の反応パラメータと産物 の精製方法は、水溶性ポリマーを用いた蛋白質の誘導体化と関連した刊行物に基 づいて状況に応じて決めることができる(本書引用資料を参照)。 C.GDNF蛋白産物の医薬組成物 GDNF蛋白産物医薬組成物は、典型的には治療効果的あるいは予防効果的に 十分な量のGDNF蛋白産物を、投与方法に適合する様に選ばれた1つ以上の医 薬的および生理学的に受容可能な製剤材料との混合物として含有する。好適な製 剤材料には、もとよりこれに限定されるものではないが、抗酸化剤、保存剤、着 色剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、懸濁剤、溶媒、充てん剤、増量剤、緩衝剤、デ リバリービヒクル、希釈液、賦形剤及び/又は医薬用アジュバントがある。例え ば、好適なビヒクルとしては注射する場合では水、生理食塩水溶液、人工CSF があり、その他の非経口投与用組成物に共通の成分を補給することもできる。中 性緩衝食塩水又は血清アルブミンと混合した食塩水はビヒクルの更なる例である 。本明細書で使用する「医薬的に受容可能な担体」又は「生理学的に受容可能な 担体」という用語は、医薬組成物としてのGDNF蛋白産物のデリバリーを行う 又は 増強するのに適した製剤材料を意味する。 ビヒクル中の一次溶媒は水性あるいは非水性いずれでもよい。さらに、ビヒク ルには、製剤のpHや浸透圧、粘度、透明度、色彩、無菌性、安定性、溶解速度 、あるいはにおいを改良したり維持したりするために、他の医薬として受容でき る賦形剤を含むことができる。同様にビヒクルには別種の医薬として受容可能な 賦形剤を、GDNF蛋白産物の放出速度を改良あるいは維持するために、あるい はGDNF蛋白産物の血液−脳関門を通過して吸収又は浸透するのを促進するた めに、含ませることもできる。 治療用組成物を製剤した後には、無菌のバイアル中に溶液、懸濁液、ゲル、エ マルション、固体、あるいは脱水もしくは凍結乾燥した粉末として保存すること ができる。このような製剤はまたそのまま使用できる形態、又は凍結乾燥状態の 様な投与前に再調製する必要のある形態で保存できる。 当業者は医薬として最適な製剤を投与経路や所望の用量から決めることができ る。例えば開示内容を本書中に参考資料として採用しているRemington ’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.( 1990, Mack Publishing Co.,Easton,PA18042)の 1435−1712ページを参照せよ。この様な組成物は本発明の蛋白とその誘 導体の物理的状態、安定性、生体内放出速度、ならびに生体内排泄速度に影響し てくるだろう。 その他に、(1)徐放性製剤、(2)吸入噴霧、あるいは(3)経口活性製剤 等も有効な投与形態として考慮される。GDNF蛋白産物医薬組成物は非経口投 与として処方することができる。この様な非経口投与される治療用組成物は通常 は、医薬的に受容可能なビヒクル中にGDNF蛋白産物を含む発熱原不含有の非 経口的に受容可能な水溶液の形をとる。好ましいビヒクルの1つは生理食塩水で ある。GDNF蛋白産物医薬組成物はまたポリ乳酸やポリグリコール酸等の重合 体化合物の粒状調製物を包含し、あるいはリポソームに入れることができる。ヒ アルロン酸も利用でき、これは循環期間の持続促進に効果を示す。 非経口注射に特に好適なビヒクルは滅菌蒸留水で、この中にGDNF蛋白産物 を無菌の等張液として処方し、適切に保存する。その他の調剤にはGDNF蛋白 産物を注射可能なミクロスフェアあるいはリポソームの様なものと製剤し、デポ 剤注射 としてデリバリーされる蛋白をゆっくり放出させたり持続的に放出させることも できる。その他の好適なGDNF蛋白産物の投与方法としては、GDNF蛋白産 物を含むインプラント可能な薬剤デリバリー装置がある。 本発明の調剤には、例えば非経口的に受容可能な保存剤、緊張剤、共溶媒、湿 潤剤、複合剤、緩衝剤、抗菌剤、酸化防止剤、ならびに表面活性剤やその他当業 者公知のものを含むことができる。例えば、好適な緊張増強剤としてはアルカリ 金属ハロゲン化物(塩化ナトリウムあるいは塩化カリウムが好ましい)、マンニ トール、ソルビトール等がある。好適な保存剤としては塩化ベンザルコニウム、 チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ク ロロヘキシジン、ソルビン酸等があるが、これに限定されるものではない。過酸 化水素もまた保存剤として利用できる。好適な共溶媒の例としては、グリセリン 、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールがある。好適な複合剤(compl exing agents)の例にはカフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキス トリンあるいはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンがある。好適な表 面活性剤あるいは湿潤剤にはソルビタンエステル、ポリソル ベート80の様なポリソルベート類、トルメタミン、レシチン、コレステロール 、チロキサパル等がある。緩衝剤はホウ酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、重炭酸塩 あるいはTris−HClの様な通常の緩衝剤が利用できる。 製剤成分は投与部位に受容可能な濃度で存在する。例えば、緩衝剤を用いて該 組成物を生理的pHあるいは若干低めのpH、通常はおよそ5からおよそ8の間 にpHを維持する。 医薬組成物は吸入剤としても処方できる。例えばGDNF蛋白産物を吸入用の 乾燥粉末に処方できる。GDNF蛋白産物吸入溶液はエーロゾルデリバリー用の 溶液状プロペラント中に処方することもできる。その他製剤形態で溶液を噴霧す ることもできる。 GDNF蛋白産物を含む特定の製剤を経口的に投与することもできる。この方 法で投与されるGDNF蛋白産物は、錠剤やカプセルの様な固形投与形態の構成 に通常使用される担体を用いて、又は用いずに処方される。例えばカプセルは製 剤中の活性成分が胃腸管で放出される様に設計され、生物有効性を最大化し全身 へ移行前の分解を最小にする。その他の賦形剤として、GDNF蛋白産物の吸収 を促進させるものを含有することが できる。希釈液、香味剤、低融点蝋、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、結 合剤も利用できる。 その他の調製法は、効果的な量のGDNF蛋白産物を錠剤製造に適する無毒の 賦形剤と共に混合したものがある。錠剤を滅菌水あるいは他の適当なビヒクルで 溶解し、溶液を単位用量の形に調製する。好適な賦形剤としては、炭酸カルシウ ムや炭酸ナトリウム、あるいは重炭酸ナトリウム、乳糖、もしくはリン酸カルシ ウムの様な不活性希釈液;あるいはデンプン、ゼラチン、もしくはアラビアゴム の様な結合剤;あるいはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸あるいはタル クの様な潤滑剤があるが、もとよりこれに限定されるものではない。 D.GDNF蛋白産物の投与 GDNF蛋白産物は皮下、筋肉内、静脈内、経肺的、経皮的、髄腔内あるいは 脳内経路により投与できる。さらに血液脳関門を通過しない蛋白成長因子を直接 脳内に投与するか、あるいは該関門を通過させる他のエレメントとともに投与す ることができる。例えばGDNF蛋白産物を脳室内投与あるいは脳内あるいは脊 髄クモ膜下に投与できる。GDNF蛋白産物はまた脳内の脳実質内に直接投与す ることもできる。GDNF蛋白産物は 血液脳関門を通過できる形に化学的に修飾されたり包剤化されるか、該関門のG DNF蛋白産物の通過を促進する1種類以上の成分と共に脳外投与することもで きる。例えば、NGFとモノクローナル抗トランスフェリン受容体抗体を結合し たものは、トランスフェリン受容体への結合を介して脳に運搬されることが示さ れている。 GDNF蛋白産物の所望の用量を得るためには、GDNF蛋白産物を毎日ある いはそれより低い頻度で注射するか、GDNF蛋白産物を連続的あるいは定期的 に一定あるいはプログラム可能な埋め込み型フローポンプを利用して注入するこ ともできる。生体分解性ポリマーマトリックスで包埋した神経栄養因子を含む徐 放性インプラントを利用してGDNF蛋白産物をデリバリーすることもできる。 投与の頻度は製剤としてのGDNF蛋白産物の薬力学パラメータや投与経路によ り決まる。 投与方法とは無関係に、特定用量は体重、体表面積、あるいは器官の大きさか ら計算できる。上記の各製剤を用いた治療に適当な用量を決定するには、さらに 細かい計算が必要であるが、当業者は過度の実験をすることなく日常的に決定し ており、特に本書中に開示した用量情報とアッセー方法を参考にすれば容 易である。適当な用量は、適当な用量−反応データを利用した確立した用量決定 方法を利用して確めることができる。 上記記載の状態の治療法での最終用量計画は担当医により、薬物の作用を変え てしまう様々な因子、例えば患者の年齢、状態、体重、性別や食事、感染の重症 度、投与時間やその他の臨床因子を考慮しながら決定される。研究の進行により 、様々な疾患や症状に対する治療にとって適当な用量に関するさらなる情報が得 られるだろう。 GDNFの連続投与あるいは持続的デリバリーは特定の治療には有用である。 連続投与は注入ポンプの様な機械的方法により可能となるが、その他の連続ある いは連続に近い状態の投与も実施できる。例えば、化学的に誘導体化あるいはカ プセル化して該蛋白を持続的に放出される形にして、血流中に決定した投与計画 より予想さえる量が持続して存在する様にできる。すなわち、GDNF蛋白産物 は誘導体化された蛋白を含むか、あるいは連続的投与に効果的な形に製剤する。 GDNF蛋白産物の持続放出形態は望まれる効果的な1日用量あるいは1週間用 量が提供される様に処方される。 GDNF蛋白産物の細胞治療、例えばGDNF蛋白産物を産 生する細胞を脳内に移植する様な治療も包含される。この様な実施態様には、生 物学的に活性なGDNF蛋白産物を合成し分泌できる細胞を患者に移植すること も含まれる。この様なGDNF蛋白産物産生細胞はGDNF蛋白産物の天然の生 産細胞(B49神経膠芽腫細胞の類似細胞)か、所望のGDNF蛋白産物をコー ドする遺伝子で形質転換されてGDNF蛋白産物の産生能が増強された組換体細 胞である。この様な形質転換は遺伝子デリバリーならびに発現と分泌の促進に適 したベクターを用いて実施できる。異種のGDNF蛋白産物が投与された患者で の免疫反応を最小限にするためには、GDNF蛋白産物を産生するヒト由来の天 然の細胞でヒト型GDNF蛋白産物を産生するものが好ましい。同様に、ヒト型 GDNF蛋白産物をコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換されたGD NF蛋白産物産生組換体細胞が好ましい。移植細胞はカプセル化することで周囲 組織への浸潤を避けることができるだろう。ヒトあるいはヒト以外の動物細胞は 、生体適合性を有し且つGDNF蛋白産物は放出できるが、患者の免疫系や周囲 の組織からの有害因子による細胞の破壊を防止できる半透過性の重合閉鎖物ある いは膜に包んで患者に移植することができる。あるいは患者 自身の細胞をGDNF蛋白産物を産生する様に生体外で形質転換し、上記の様な カプセル化しないで直接患者体内に移植することもできる。 生体内でのGDNF蛋白産物遺伝子治療もまた本発明の範囲であり、GDNF 蛋白産物をコードする遺伝子を、標的細胞に核酸構築物又は適当なデリバリーベ クターを局所注射して導入する。(Hefti,J.Neurobiol.,2 5:1418−1435,1994)。例えばGDNF蛋白産物をコードする核 酸配列はアデノ随伴ウイルスベクターに含ませて標的細胞にデリバリーすること ができる。他のウイルスベクターには、レテロウイルス、アデノウイルス、単純 ヘルペスウイルス、パピローアウイルスベクターがあるが、もとよりこれに限定 されない。生体内ならびに生体外での物理的な転送も、リポソーム介在転送や直 接注射する方法(裸のDNA)、受容体を介した転送(リガンドDNA複合体) 、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法あるいは微粒子爆撃法(遺 伝子銃)により実施できる。 生きている細胞を膜でカプセル化する方法は当業者に周知であり、こうしたカ プセル化細胞の調製や患者への移植も過度の 実験なしに実施することができる。本書に参考資料として採用している米国特許 番号4,892,538号,5,011,472号ならびに5,106,627 号を参照のこと。生きている細胞をカプセル化する系については、本書に参考資 料として採用したAebischerらのPCT出願WO91/10425に記 載されている。また本書に参考資料として採用したAebischerらのPC T出願WO91/10470、Winnら.,のExper.Neurol., 113:322−329、1991、Aebischerら.,Exper.N eurol.,111:269−275、1991;Trescoら.,ASA IO、38:17−23、1992も参照のこと。リポソーム担体、生体分解性 粒子あるいはビーズやデポ注射剤といった様々な他の持続性あるいは制御された デリバリー方法による製剤技術についても当業者には公知である。 GDNF蛋白産物を、相同的組換体により、あるいは、既にGDNFをコード するDNAを含んでいる細胞に導入した制御エレメントを用いた組換体作成法に より生成することもできるだろう。例えば相同的組換体技術を利用することで、 通常は転写活性がサイレントあるいは低発現状態にあるGDNF遺伝子 を持つ細胞を修飾して、GDNFを発現する細胞にすることができる。相同的組 換体技術は元々は標的遺伝子を転写活性を有する遺伝子内に誘導するか、あるい は突然変異を補正するために開発された(Kucherlapati.Prog .in Nucl.Acid Res.とMol.Biol.36:301(1 989))。基本的技術は哺乳動物遺伝子の特定領域に特定の突然変異を導入す る方法として(Thomasら.,Cell.44:419−428,1986 ;ThomasとCapecchi,Cell.51:503−512,198 7;Doetschmanら.,Proc.Natl.Acad.Sci.85 :8583−8587,1988)、あるいは欠陥遺伝子内の特定突然変異を補 正する技術として(Doetschmanら.,Nature.330:576 −578.1987)開発された。相同的組み替え技術の例は本書で参考資料と して採用している米国5,272,071(EP91903051,EP公開番 号505500;PCT/US90/07642,国際公開番号WO91/09 955)に記載されている。 相同的組み替えにより、ゲノムに挿入するDNA配列を標的 DNAに結合させることで、目的の特定遺伝子領域に直接向けることができる。 標的DNAはゲノムDNAのある領域に相補的(相同)であるDNAである。ゲ ノムの特定領域に相補的な標的DNAの小片をDNA複製時期の間に親鎖に接触 させる。細胞内に入れられたDNAはDNAの一般的な性質として相同領域を共 通に持つ内因性のDNA片とハイブリダイズし、その結果組み替えが起きる。こ の相補鎖が突然変異あるいは異なるDNA配列を含むオリゴヌクレオチドと結合 すると、これは組み替えの結果として新しく合成された鎖にも取り込まれる。校 正機能の結果、新しいDNAの配列が鋳型として機能する可能性もある。こうし て転移されたDNAはゲノムに取り込まれる。 特定の遺伝子の配列がGDNFの核酸配列やプレープロ配列あるいは発現制御 配列の様に既知の場合、選択した遺伝子領域に相補的なDNA片は合成すること ができ、あるいは、例えば、天然DNAを問題の領域に結合する特定な認識部位 で適当に制限して得ることができる。このDNA片を標的配列として細胞内に挿 入すると、ゲノム内の相同域とハイブリダズする。DNA複製時にハイブリダイ ズが起きると、このDNA片とそれに結合した任意の付加的配列はOkazak i断片として働 き、新しく合成されたDNAの嬢鎖中に取り込まれる。 結合が起きた標的DNA片はGDNF蛋白の発現に影響するDNA領域である 。例えばプロモーター/エンハンサーエレメント、やサプレッサー、もしくは外 因性転写変調エレメントが、目的の宿主細胞のゲノム中に、所望のGDNF蛋白 産物をコードするDNAの転写に作用するのに十分近い距離と方向に挿入される 。制御エレメント(control element)はGDNFをコードしていないが、その代 わりに宿主細胞ゲノム中に存在するDNAの一部を制御する。したがってGDN F蛋白の発現はGDNF遺伝子そのものをコードするDNAのトランスフェクシ ョンでは達成できず、むしろ標的DNA(目的の内因性遺伝子に相補的な配列を 含む)にGDNF蛋白の転写についての認識可能シグナルを有する内因性遺伝子 配列を提供するDNA調節断片を結合させたものを利用することで達成できる。 本明細書に記載したGDNF蛋白産物製剤は動物及びヒトへの適用が可能であ るが、“患者”という言葉は限定的に使用してはならない。動物への応用の場合 には、用量域は上記に同じである。 本発明の他の観点ならびに優位点については以下の実施例を 考慮することで理解されるだろう。実施例1ではGDNF蛋白産物をキノリン酸 を線状体内に注射した結果神経細胞が消失した例に作用させた。 実施例 実施例1 線状体ならびに皮質の選択的神経細胞消失例に対するGDNF蛋白産物の作用 本実験では、体重200−225gの成熟雄ラットF344を2.5%イソフ ラン+O2で麻酔し、kopf固定フレーム内に配置して麻酔を持続した。これ らの動物に一方の側部からの脳室内注射(ICV)によりrhGDNF(用量1 00μg/4μl)あるいはビヒクル(4μlのリン酸緩衝生理食塩水)を5分 間かけて右側部脳室に26ゲージのHamilton注射器を用いて投与した。 Hamilton注射器はさらに除去前にその場所に5分間置いた。注射は前頂 部を基軸に位置決めした:硬膜下3.5mmの深さでAP−0.8、ML−1. 5に行った。1時間後にキノリン酸(用量120nmol/4μl)を26ゲー ジHamilton注射器を用いて5分間かけて線状体内に投与した。Hami lton注射器は除去する 前にさらに5分間その場所に置いた。注射は頭頂部を基軸に位置決めした:硬膜 下4.5mmの深さでAP−0.3,ML−3.0に行った。動物は傷クリップ で皮膚を縫合して回復させた。 キノリン酸投与後14日目にラットはナトリウムペントバルビトン(55mg /kg腹腔内投与)で麻酔し、リン酸で緩衝作用を持たせたフオルマリン溶液を 経心臓的に灌流する。脳を取り出し、同じ固定液に24時間浸して固定する。そ れから脳を脱水し、パラフィンに包埋して5μm厚で冠状切片を作成してNis sl染色した。生存細胞数は両側で、線状体(ハッチド領域)、頭頂皮質(PC )ならびに前頭部皮質(FC)について測定した。これらの領域のおおよその位 置を図1の脳断面図に示す。図1中の(L)と記した領域は障害部位であり、図 1中に(T)と記した領域は移行域である。サンプリングはMethods i n Neurosci.,7:28−38,1991、Lesisons an d Transplantation,Conn編中のRobertsの”Ex citotoxin−Lesioned Rat Stratum”に従って実 施した。 キノリン酸の線状体への注射により線状体と皮質の神経細胞が選択的に消失し た。前頭ならびに頭頂皮質の生存神経細胞数を図2Aと2Bに示す。組織学的実 験では、ICV rhGDNFにより有意に(p<0.01、スチューデントの t−試験)皮質(頭頂ならびに前頭の両方)におけるキノリン酸の線状体注入に より誘導される神経細胞の消失が、担体だけを処置した動物に比べて減少した( 図2Aと2Bを参照)。線状体中の生存神経細胞数を図3に示す。 キノリン酸は大きく線状体の細胞消失を引き起こすが、消失細胞数はrhGD NFのICV投与により軽減した。 これらの結果は、rhGDNFがキノリン酸により誘導された皮質と線状体中 の神経細胞の消失を軽減することを示している。rhGDNFのこの作用は、G DNF蛋白産物の治療的利用をNMDA受容体アゴニスト介在型細胞死を伴うハ ンチントン病の様な神経変性疾患の治療への適用まで広げる。 当業者が上記の本発明の好適な実施態様を考慮することで、本発明の実施につ いて様々な改良ならび変更を行うことが期待される。従って、本発明の範囲は付 記した請求項にのみ限定されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP ,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU, LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI ,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ, VN,YU

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.グリア細胞系由来の神経栄養因子(GDNF)蛋白産物の有効量を、N−メ チル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト介在神経細胞死に罹患 した患者に投与することから成る、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA )受容体アゴニスト介在神経細胞死を減少させる方法。 2.該神経細胞死がハンチントン病に関連するものである請求項1記載の方法。 3.GDNF蛋白産物が配列番号1記載のアミノ酸配列あるいはその変種もしく はその誘導体である請求項1記載の方法。 4.GDNF蛋白産物が配列番号1記載のアミノ酸配列を有する請求項3記載の 方法。 5.GDNF蛋白産物が[Met-1]GDNFである請求項3記載の方法。 6.誘導体が水溶性ポリマーを含む請求項3記載の方法。 7.水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである請求項6記載の方法。 8.GDNF蛋白産物をおよそ10μg/kg/日から100 mg/kg/日の間の用量で投与する請求項1記載の方法。 9.GDNF蛋白産物をおよそ1mg/kg/日から25mg/kg/日の間の 用量で投与する請求項1記載の方法。 10.N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト介在神経 細胞死の治療用の医薬組成物を製造するための、グリア細胞系由来神経栄養因子 (GDNF)蛋白産物の使用。 11.該神経細胞死がハンチントン病に関連するものである請求項10記載の使 用。 12.GDNF蛋白産物が配列番号1記載のアミノ酸配列あるいはその変種もし くはその誘導体である請求項10記載の使用。 13.GDNF蛋白産物が配列番号1記載のアミノ酸配列を有する請求項12記 載の使用。 14.GDNF蛋白産物が[Met-1]GDNFである請求項12記載の使用。 15.誘導体が水溶性ポリマーを含む請求項12記載の使用。 16.水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである請求項15記載の使用。 17.GDNF蛋白産物をおよそ10μg/kg/日から 100mg/kg/日の間の用量で投与する請求項10記載の使用。 18.GDNF蛋白産物をおよそ1mg/kg/日から25mg/kg/日の間 の用量で投与する請求項10記載の使用。 19.ハンチントン病に関連する神経細胞死の治療用の医薬組成物を製造するた めの、グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)蛋白産物の使用。 20.GDNF蛋白産物が[Met-1]GDNFである請求項19記載の使用。 21.GDNF蛋白産物が、GDNF蛋白産物を産生し且つ分泌するように修飾 された細胞を用いる細胞治療あるいは遺伝子治療により投与される請求項10又 は19に記載の使用。 22.生体外で修飾された細胞を用いる請求項21記載の使用。 23.生体内で修飾された細胞を用いる請求項21記載の使用。
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