JPH11505106A - 指数的濃縮によるリガンドの系統的進化:組織セレックス - Google Patents

指数的濃縮によるリガンドの系統的進化:組織セレックス

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JPH11505106A JP8532024A JP53202496A JPH11505106A JP H11505106 A JPH11505106 A JP H11505106A JP 8532024 A JP8532024 A JP 8532024A JP 53202496 A JP53202496 A JP 53202496A JP H11505106 A JPH11505106 A JP H11505106A
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ビー. ジェンセン,カーク
チェン,ハン
エヌ. モーリス,ケビン
スチーブンス,アンドリュー
ゴールド,ラリー
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ネクスター ファーマスーティカルズ,インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、複合組織標的に対する高親和性オリゴヌクレオチドリガンド、具体的には複合組織標的に結合する能力を有する核酸リガンド、およびそのようなリガンドを得るための方法を開示する。組織標的は、細胞、細胞内成分、細胞の凝集物、細胞の集合体、および高次構造を含む。特に、赤血球ゴースト、神経膠芽腫、およびリンパ腫に対する核酸リガンドが記載される。

Description

【発明の詳細な説明】 指数的濃縮によるリガンドの系統的進化:組織セレックス 本研究は、国立衛生研究所を通して米国政府の基金により支持されたものであ る。米国政府は本発明に対してある権利を有する。発明の分野 本明細書は、組織に対する核酸リガンドを同定し調製するための方法を記載す る。本明細書において組織とは、不均一な環境中の巨大分子のとして記載される 。この定義によれば、組織は単一の細胞タイプ、細胞タイプの、細胞の凝集物ま たは巨大分子の凝集物を包含する。このような核酸リガンドを同定するために本 明細書で利用される方法は、セレックス(SELEX)と呼ばれ、これは、指数 的濃縮によるリガンドの系統的進化(Systematic Evolution of Ligands by EXp onential Enrichment)の頭文字をとったものである。本明細書では、種々の組 織に結合する高親和性核酸リガンドが具体的に開示される。発明の背景 標的分子に対して高特異性結合を有する核酸分子のインビトロでの進化方法が 開発されている。この指数的濃縮によるリガンドの系統的進化(Systematic Evo lution of Ligands by EXponential enrichment)(セレックス(SELEX) と呼ばれる)方法は、現在は放棄されている米国特許出願第07/536、42 8号(標題「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化」)、1991年6月10 日出願の米国特許出願第07/714,131号(標題「核酸リガンド」)、1 992年8月17日出願の米国特許出願第07/931,473号(標題「核酸 リガンド」(現在、米国特許第5,270,163号、PCT/US91/04 078号も参照)に記載されており、この各々は本明細書に具体的に引用される 。これらの各出願は本明細書においてまとめてセレックス(SELEX)特許出 願と呼び、任意の所望の標的分子に対して核酸リガンドを作成するための基本的 に新規な方法を記載している。 セレックス法は、候補オリゴヌクレオチドの混合物からの選択と、同じ一般的 選択法を用いる結合、分配および増幅の段階的繰り返しを用いて、結合親和性と 選択性の事実上すべての所望の基準を達成する。セレックス法は、核酸の混合物 (好ましくは、ランダム化された配列のセグメントからなる)から出発して、結 合に好ましい条件下で標的に混合物を接触させる工程、標的分子に特異的に結合 した核酸から結合しなかった核酸を分離する工程、核酸−標的分子複合体を解離 させる工程、核酸−標的分子複合体から解離した核酸を増幅して、リガンドが濃 縮された核酸の混合物を得る工程、次に標的分子に対して高特異性、高親和性の 核酸リガンドを得るのに必要な回数、結合、分離、解離および増幅工程を繰り返 す工程からなる。 基本的なセレックス法は、多くの具体的な目的を達成するために修飾されてい る。例えば、1992年10月14日出願の米国特許出願第07/960,09 3号(標題「構造の基本に基づく核酸の選択方法」)は、ゲル電気泳動とともに セレックスを用いて、具体的な構造的特徴(例えば、ベントDNA)を有する核 酸分子を選択する。1993年9月17日出願の米国特許出願第08/123, 935号(標題「核酸リガンドの光選択」)は、標的分子に結合および/または これを架橋および/または光不活性化することができる光反応性基を含有する核 酸リガンドを選択するための、セレックスに基づく方法を記載する。1993年 10月7日出願の米国特許出願第08/134,028号(標題「テオフィリン とカフェインを区別する高親和性核酸リガンド」)は、密接に関連した分子を区 別することができる高特異性の核酸リガンドを同定するための方法(逆セレック ス(Counter−SELEX)と呼ぶ)を記載する。1993年10月25 日出願の米国特許出願第08/143,564号(標題「指数的濃縮によるリガ ンドの系統的進化:溶液セレックス」)は、標的分子に対して高い親和性および 低い親和性を有するオリゴヌクレオチドを効率よく分離する、セレックスに基づ く方法を記載する。1992年10月21日出願の米国特許出願第07/964 ,624号(標題「核酸リガンドの製造方法」)は、セレックス実施後の改良さ れた核酸リガンドを得るための方法を記載する。1995年3月8日出願の米国 特許出願第08/400,440号(標題「指数的濃縮によるリガンドの系統的 進化:ケミ−セレックス(Chemi−SELEX)」)は、リガンドをその標 的 に共有結合させるための方法を記載する。 セレックス法は、リガンドに改良された特性(例えば、改良されたインビボの 安定性または改良された送達特性)を与える修飾されたヌクレオチドを含有する 高親和性核酸リガンドの同定を包含する。そのような修飾の例には、リボースお よび/またはリン酸塩および/または塩基の位置での化学的置換がある。修飾ヌ クレオチドを含有するセレックスで同定される核酸リガンドは、1993年9月 8日出願の米国特許出願第08/117,991号(標題「修飾ヌクレオチドを 含有する高親和性核酸リガンド」)に記載されており、これはピリミジンの5− および2’−位で化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオ チドを記載する。米国特許出願第08/134,028号(前述)は、2’−ア ミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O −メチル(2’−O−Me)で修飾された1つまたはそれ以上のヌクレオチドを 含有する高特異性の核酸リガンドを記載する。1994年6月22日出願の米国 特許出願第08/264,029号(標題「分子内求核性置換による2’修飾ピ リミジンの新規調製法」)は、種々の2’−修飾ピリミジンを含有するオリゴヌ クレオチドを記載する。 セレックス法は、1994年8月2日出願の米国特許出願第08/284,0 63号(標題「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化:キメラ−セレックス」 )、および1994年8月28日出願の米国特許出願第08/234,997号 (標題「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化:ブレンドセレックス」)に記 載されるように、選択されたオリゴヌクレオチドを他の選択されたオリゴヌクレ オチドおよび非オリゴヌクレオチド機能単位と組合せを包含する。これらの出願 は、オリゴヌクレオチドの広範囲の形や他の性質および効率的な増幅や複製能を 、他の分子の好ましい性質と組合せることを可能にする。基本的なセレックス法 の修飾を記載する前述の出願の各々は、参考のためその全体が本明細書に引用さ れる。 セレックス法が非常に強力であることは明らかである。しかしこの方法は今日 まで、複雑な標的もセレックス法が応用できることを単に証明するのみであった 。組織セレックスは、複数の標的に対する核酸リガンドを同時に得ることを可能 に し、特定の組織のすべての別々の成分に対して各セレックス実験を行うことに類 似している。 種々の理由により、複合組織標的(complex tissue targets)に対する核酸リ ガンドを得ることができることが好ましい。第1に、明確な標的は未知であるが 所望のリガンドの一般的作用様式が示唆されている時、核酸リガンドを得るのに 組織セレックスは有用となり得る。第2に、機能的結果に基づく核酸リガンドが 必要な場合、組織セレックスが有用となり得る。セレックス法では組織全体また は細胞全体が使用されるため、組織または細胞中の特定の表現型を産生する核酸 リガンドについて選択することが可能である。第3に、どの単一標的が有効であ るか不明な場合、複合組織標的に対する核酸リガンドを得ることが好ましい。ま た精製された標的が入手できないかまたはその純粋な型では不安定な場合(すな わち、膜タンパク質)も、複合組織標的に対する核酸リガンドを得ることが有用 である。組織セレックスは、まだ未知の標的に対するリガンドの作成を可能にす る能力を有し、これは研究用試薬、診断薬、および治療薬としてモノクローナル 抗体と対抗する。 発明の要約 本発明は、組織のような複合標的(complex target)に対する核酸リガンドを 同定および産生するための方法、およびこのように同定および産生された核酸リ ガンドを含む。さらに詳しくは、不均一な環境(例えば、全細胞またはその細胞 内構造物、細胞の凝集物、細胞の集合体、巨大分子の凝集物など)中の巨大分子 である組織に特異的に結合できる核酸リガンドが提供される。 本発明にはさらに、(a)核酸の候補混合物を調製する工程、(b)組織に対 する親和性に基づき、該候補混合物のメンバーを分離する工程、そして(c)選 択された分子を増幅して、組織への結合について比較的高親和性を有する核酸配 列が濃縮された核酸の混合物を得る工程、からなる組織に対する核酸リガンドの 同定方法を含む。またそのような方法で同定された核酸リガンドが含まれる。 本発明の別の実施態様は、同様の組織タイプの小さな差を完全に区別するため に陰性選択が行われる方法を含む。この実施態様では、得られるリガンドは特定 の組織タイプについて特異的であるだけでなく、同じタイプのわずかに異なる組 織を区別することもできる。例えば、この方法は、正常な組織タイプと異常な組 織タイプ、誘導された組織タイプと誘導されない組織タイプなどの区別が可能で ある。 本発明の別の実施態様では、組織標的上の大きい未知の巨大分子の成分である 従来は未知のまたは性状解析されていないエピトープの同定方法が提供される。 本発明により進化(evolve)されるリガンドは、従来は未知のエピトープに結合 することができ、次にこの未知のエピトープからなる巨大分子は標準的方法によ り同定される。例えば、複合組織標的中に存在する従来は未知のタンパク質に対 するリガンドが進化される。本発明のリガンドは、標準的タンパク質精製法およ び同定法により、組織標的からタンパク質を精製するのに使用することができる 。これらの標準的方法には、親和性精製、微量配列決定およびcDNAデータバ ンク検索を含む。この点で、大きな未知の巨大分子(例えば、新しいかまたは従 来は性状解析されていないタンパク質)の成分である新たに同定されるエピトー プが本発明により提供される。これらの新しいエピトープおよびこれをその成分 とする巨大分子は、これらを同定するのに役だったリガンドと同様に診断薬や治 療薬として有用であろう。 さらに詳しくは本発明は、赤血球ゴースト、ヒト腫瘍細胞株(例えば、表1お よび2に記載のリガンドを含む、T細胞リンパ芽球細胞株、CEMss、および 接着性細胞株である神経膠腫U−251)に対する核酸リガンドを含む。また任 意の特定のリガンドと実質的に相同的であり、上記組織に結合する実質的に同じ 能力を有する上記組織に対する核酸リガンドが含まれる。さらに本発明には、本 明細書に記載のリガンドと実質的に同じ構造を有する上記組織に対する核酸リガ ンドが含まれる。図面の簡単な説明 図1は、赤血球ゴーストに対するリガンド[(c56t)(配列番号4)]と 、赤血球ゴースト膜抽出物に対する同様の(しかし、雑多に混ざった(スクラン ブル))配列の核酸の架橋の結果を示す。明瞭なタンパク質バンドが、リガンド により特異的に同定される。銀染色した6%SDSゲルと、同じゲルのオートラ ジオグラフィーを示す。照射は、手持ちサイズのトランスイルミネーター(25 4 nm)を用いて行い、試料は変性および還元条件下でゲル電気泳動により分離した 。1−0’照射c56t(配列番号4);2−5’照射c56t(配列番号4) ;3−0’照射スクランブルオリゴ#1;4−5’照射スクランブルオリゴ#1 ;5−0’照射スクランブルオリゴ#2;6−5’照射対照オリゴ#2。 図2は、赤血球ゴーストに対するトランケートリガンドc56tの光親和性架 橋を示す。107ゴーストを1nMのc56tと混合し、245nmの手持ちサイズ のトランスイルミネーターで0〜5分間照射した。照射は冷競合物質の非存在下 で、10μM の冷c56t(特異的競合物質として)または10μM の冷c16 t(非特異的競合物質)とともに行った。光親和性反応は、リガンド−タンパク 質相互作用の高親和性および高特異性を示す。還元および非還元条件下(いずれ も変性条件下)でのSDS−PAGEの結果を示す。非還元条件下で架橋タンパ ク質の分子量が2倍になっているのは、標的タンパク質がジスルフィド結合した ヘテロダイマーまたはホモダイマーであることを示唆する。 図3は、赤血球ゴーストセレックスの結果である6つのリガンドの予測される 2次構造を示す。6つの配列は、モチーフI(図3A)、II(図3B)およびII I (図3C)クラスの配列(各モチーフから2つ)由来であり、系統樹およびコ ンピューター折り畳みアルゴリズムに基づき、最も小さいサイズになるように端 が切り取られている。各分子内の塩基対合は、系統樹およびコンピューター折り 畳みアルゴリズムに基づいて予測される。モチーフIII からの2つのリガンドは 共通の一次および2次構造を有するが、たがいに円形に置換されていることに注 意されたい。 図4は、モチーフIトランケート(truncate)c56tおよびモチーフIIトラ ンケートc16tの親和性光架橋データを示す。核酸リガンドは図1に示すよう に、6炭素のアミノリンカーが各分子の5’末端上に存在して合成される。これ らの5’で修飾したリガンドは、アルファ32P ddATPで3’末端で放射能 標識された。アミノリンカーは、リガンドを光架橋試薬であるスルホ−HSAB に結合するのに使用された。約5nMのssDNAを、200mMトリエチルアミン CO2(pH9.5)中の10mMスルホ−HSABと混合し、室温で15分間お よび37℃で15分間反応させた。約107ゴーストを、15μl 中の10nMの 各リガンド結合体と混合し、室温で30分間インキュベートし、100パルスの 308nmのエキシマーレーザーを照射した(175mJ/パルス/cm2)。次に反 応物を等量の2X還元SDSローディング緩衝液と混合し、4〜12%勾配SD Sポリアクリルアミドゲルで流した。ゲルを流し、固定しそして乾燥した。放射 能はフジホスホリメージャー(Fuji phophorimager)で検出した。c56tとc 16tについて記載した光架橋反応を示し、各リガンドについて2つの追加の反 応を示す:1つは10μM の冷、非結合c56tを含有し、他は同じ濃度のc1 6tを含有する。これらの「交差競合」反応は、光親和性架橋法の高親和性と高 特異性を証明する。 図5は、赤血球ゴースト膜上の4つの明瞭なタンパク質に特異的な最終ラウン ドの赤血球ゴーストセレックスプール内の配列についての3ラウンドの選択の結 果を示す。最終ラウンドのセレックスプール(第25ラウンド)は、5’の6炭 素アミノリンカー基で合成した「センス鎖」プライマーを用いて増幅した。PC R産物は、3,000Ci/mmol の1.3μM (最終)アルファ32P dCTPで 放射能標識した([冷dNTPS]=100μM (最終))。センス鎖は変性P AGEを用いて精製し、ゲルマトリックスから溶出し、沈殿させた。フェニルア ザイド化合物スルホ−HSABをプールに結合させ、赤血球ゴーストとの光親和 性架橋に核酸結合体を使用した。107ゴーストに、15μl の容量中で12μM の非特異的核酸競合物質(30塩基のランダムプール)の存在下で10nMプー ル結合体で照射した。反応物を室温で30分間インキュベートし、100パルス の308nmのエキシマーレーザーを照射した(175mJ/パルス/cm2)。次に 反応物を、等量の2X還元SDSローディング緩衝液と混合し、4〜12%勾配 SDSポリアクリルアミドゲル上で流した。ゲル内容物をニトロセルロースフィ ルターに電気ブロットし、フィルターを水で洗浄し乾燥した。放射能は、フジホ スホリメージャー(Fuji phophorimager)で検出した。見かけの分子量が170 〜30kda まで変化する4つのタンパク質(タンパク質5、6、7、および8と 呼んだ)に架橋したDNA配列を、ニトロセルロースフィルターを切断し、適当 なフィルタースライスを直接PCR反応させて配列を増幅することにより単離し た。配列は、約22ラウンド増幅し、センス鎖を精製し、DNAをさらに22 ラウンド再増幅した。得られたDNAを再度精製し、スルホ−HSABに結合さ せ、次のラウンドの光親和性架橋に使用した。図5は、前述の3ラウンドの濃縮 プロセスにより得られる光親和性架橋を示す。発明の詳細な説明 本出願は、セレックス法として知られている方法により一般的に同定される複 合組織標的に対する核酸リガンドを記載する。前述のように、セレックス技術は セレックス特許出願において詳細に記載されており、これは参考のため本明細書 に引用される。従来のセレックス法で使用されているより単純な標的に比較して 、組織セレックス法と呼ぶこの方法は複雑な標的を扱う。本明細書の発明を説明 するためにいくつかの用語を以下のように定義する: 「セレックス(SELEX)」法とは、好ましい方法で標的と相互作用(例え ば、タンパク質に結合)する核酸リガンドの選択と、前記およびセレックス特許 出願で詳述した選択された核酸の増幅の組合せを意味する。選択/増幅工程の繰 り返しサイクリングにより、非常の多くの核酸を含有するプールから、標的と最 も強く相互作用する1つまたは少数の核酸を選択することを可能にする。選択/ 増幅操作のサイクリングは、選択された目標が達成されるまで続けられる。 「組織セレックス」法は、組織標的にセレックス法を応用する。組織セレック スはいくつかの利点を有する。第1に、組織セレックスを用いることにより、関 連するエピトープが明確に理解されていない場合に特定の細胞タイプに対するリ ガンドを得ることができる。リガンドが進化されるエピトープは通常、より大き な巨大分子の構造成分である。この方法により見いだされるリガンドは、組織標 的上の新しいタンパク質または他の新しい巨大分子を同定するのにも有用であろ う。新たに同定されたエピトープからなる新しいタンパク質または他の新しい巨 大分子は、標準的方法により精製され性状解析することができる。第2に、系統 樹的細胞環境または膜環境において規定されたエピトープまたは巨大分子に対す るリガンドを得ることができる。種々の組織標的の例には、細胞全体の膜タンパ ク質、血漿中の血漿タンパク質、核抽出物全体の存在下の核タンパク質などがあ る。第3に、機能的に改変された表現型(例えば、活性化、移動性など)の組織 に対するリガンドを得ることができる。この方法により同定されたリガンドとリ ガンドエピトープを含有する新しい巨大分子は、診断薬または治療薬として有用 となり得る。第4に、組織セレックスは、多くの異なる細胞挙動(例えば、アポ トーシス、アネルギー、分化、増殖など)に介在する核酸リガンドを、これらの 変化を調節する特異的組織標的の本体に対する知識がなくても、同定することを 可能にする強力な方法である。セレックス法の感度は、複合組織標的上の潜在的 にすべての異なるエピトープを認識するオリゴヌクレオチドの産生を可能にする ものである。異なるモチーフは複合組織標的上の明確なエピトープを認識すると 考えられるため、単純な標的セレックスに比較して、組織セレックス法を用いる と多くの異なる配列モチーフが予測される。いくつかのエピトープは同じタンパ ク質内にあるが、多くは組織上の種々のタンパク質または他の分子に対するもの である。組織セレックスはインビボまたはインビトロでも行うことができる。 組織セレックスは、完全に生きている「成分」(細胞またはそれより大きいも の)を扱うことを可能にし、この「成分」に影響を与える標的−リガンド相互作 用について表現型的にスクリーニングすることを可能にする。例えば、膜タンパ ク質に結合し、フロー装置で測定される生化学的変換を細胞に行わせる配列につ いてフローサイトメトリーを用いて、進化した高親和性組織セレックスをスクリ ーニングできるであろう。 組織セレックスは、複数の標的に対する核酸リガンドを同時に得ることを可能 にする。組織または細胞のような非常に大きな巨大分子複合体上のすべての独立 した結合部位は、選択の潜在的な標的である。実際これは、組織を取って、この 組織について多くのセレックス法(これは、特定の組織のすべての個別の成分に ついて各セレックスを行うことと理論的に等しい)を行うことを可能にする。 1つの実施態様において、組織セレックスにより得られるリガンドが正確な特 異性と親和性を有する可能性を増強するために、陰性選択法(逆セレックスと呼 ぶ)が使用される。この実施態様では、特定の組織についてリガンドが選択され 、次にリガンドについて必要なある特性を持たない関連組織に対して陰性選択が 行われる。陰性選択は、同様の細胞株または細胞タイプ、異なる細胞、正常組織 、血漿または血液、非特異的抗体または他の入手できるリガンドに対して行うこ とができる。この陰性選択の例では、まず腫瘍細胞標的(例えば、悪性黒色腫) を 用いて選択を行い、次に得られる核酸を、腫瘍原性のない同様の細胞タイプ(例 えば、正常ヒトメラノサイト)に対して逆選択を行う。正常および新生物組織の 両方と相互作用するリガンドは、この陰性選択により除去され、腫瘍細胞に特異 的に結合する核酸リガンドのみが同定(または保持)されるであろう。得られる 核酸リガンドは、腫瘍について特異的であろう。この方法は、2つの密接に関連 する標的(すなわち、癌細胞および同じ組織タイプの非形質転換細胞)を区別す ることができる核酸リガンドを同定する能力を与える。陰性選択はまた、インビ ボでも行うことができる。この方法を用いて、複雑な組織表面上の特異的標的に 対するリガンドを作成できるのみでなく、特定のタイプの正常および異常な組織 の差を認識することができる。 「セレックス標的」または「標的」とは、あらかじめ決められた好ましい方法 で核酸が作用する任意の化合物を意味する。セレックス標的分子は、タンパク質 、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、 抗原、抗体、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝物、遷移状態類似体、補 助因子、インヒビター、薬剤、色素、栄養物質、増殖因子、細胞、組織などであ り、限定されない。事実上すべての化学的または生物学的エフェクターは、適切 なセレックス標的である。任意のサイズの分子がセレックス標的となり得る。標 的はまた、標的と核酸の間の相互作用の可能性を増強するような方法で修飾され る。 「組織標的」または「組織」とは、前述のセレックス標的のあるサブセットを 意味する。この定義によれば、組織は不均一な環境における巨大分子である。本 明細書において、組織は単一の細胞タイプ、細胞タイプの集合体、細胞の凝集物 、または巨大分子の凝集物を意味する。これは、典型的には単離された可溶性分 子(例えば、タンパク質)であるより単純なセレックス標的とは異なる。好適な 実施態様において、組織は、単純なセレックス標的より数オーダー大きい不溶性 巨大分子である。組織は、各巨大分子が無数の可能性のあるエピトープを有する 無数の巨大分子から作成される複合標的である。無数のエピトープからなる異な る巨大分子は、タンパク質、脂質、炭水化物など、またはこれらの組合せであっ てよい。組織は一般的に、構造と組成において流動的なまたは固定されている巨 大分子の物理的つながりである。細胞外マトリックスは、構造および組成がより 固 定した組織の例であり、膜2重層は、構造と組成がより流動的である。組織は一 般的に可溶性ではなく固相で維持され、従って比較的容易に分離できる。組織は 、特定の臓器の一般的細胞構造(例えば、腎臓組織、脳組織)を示すのに一般的 に使用される構造物質の1つを構成する細胞内物質とともに、通常特定の種類の 細胞の凝集物を含有するが、これらに限定されない。4つの一般的なクラスの組 織は、表皮組織、結合組織、神経組織、および筋肉組織である。 この定義に属する組織の例には、巨大分子の不均一な凝集物、例えば無細胞性 であるフィブリン塊;細胞の均一または不均一凝集物;特定の機能を有する細胞 を含有する高次構造、例えば臓器、腫瘍、リンパ節、動脈など;および各細胞が あるが、これらに限定されない。組織または細胞は、その自然の環境中にあるか 、単離されているか、または組織培養物中であってよい。組織は完全でも修飾さ れていてもよい。この修飾には、形質転換、トランスフェクション、活性化、お よびサブ構造単離物(例えば、細胞膜、細胞核、細胞オルガネラなど)のような 多くの変化が含まれる。 組織、細胞または細胞内構造物の供給源は、原核生物および真核生物でもよい 。これには、ヒト、動物、植物、細菌、真菌、およびウイルス構造物を含む。 「核酸」とは、1本鎖または2本鎖のDNA、RNA、およびこれらの化学的 修飾物を意味する。修飾には、追加の電荷、極性、水素結合、静電気的相互作用 、および流動性(fluxionality)を有する他の化学的基を、各核酸塩基または核 酸全体に与えるものがあるが、これらに限定されない。このような修飾には、2 ’−位の糖の修飾、5−位のピリミジン修飾、8−位のプリン修飾、シトシン環 外アミンの修飾、5−ブロモウラシルの置換;骨格修飾、メチル化、普通ではな い塩基対合組合せ(例えば、イソ塩基イソシチジンおよびイソグアニジンなど) があるが、これらに限定されない。各増幅後の修飾もまた本発明に適合する。増 幅後修飾は、各ラウンドの増幅後に可逆的または不可逆的に加えられる。核酸の 実質的にすべての修飾は、本発明に包含される。 「核酸試験混合物」または「核酸候補混合物」とは、異なる、ランダムな配列 の核酸の混合物である。「核酸試験混合物」の供給源は、天然に存在する核酸も しくはその断片、化学的に合成された核酸、酵素的に合成された核酸、または前 記技術の組合せにより作成された核酸である。好適な実施態様において、各核酸 は、増幅工程を促進するためにランダム化された領域の周りに固定された配列を 有する。核酸のランダム化されたセクションの長さは、一般的に8〜250ヌク レオチド、好ましくは8〜60ヌクレオチドである。 「核酸リガンド」とは、好ましい方法で標的に作用する核酸候補混合物から単 離される核酸である。好ましい方法での標的への作用の例には、標的の結合、標 的を触媒的に変化、標的もしくは標的の機能活性を修飾/改変するような方法で 標的と反応、自殺インヒビター中におけるように標的に共有結合、標的と他の分 子との反応の促進があるが、これらに限定されない。ほとんど(しかしすべてで はない)の例で、この好ましい方法は標的への結合である。最も好ましい実施態 様において、核酸リガンドは、組織標的分子に対して特異的結合親和性を有する 天然には存在しない核酸リガンドであり、このような標的分子は、主にワトソン /クリックの塩基対合または3重らせん結合に依存する機構により核酸リガンド に結合するポリヌクレオチド以外の3次元化学構造を有し、ここで核酸リガンド は、標的分子により結合される既知の生理学的機能を有する核酸ではない。核酸 リガンドは、組織セレックス法により実際に単離される核酸リガンドと実質的に 相同的な核酸配列を包含する。実質的に相同的とは、70%を超え、最も好適に は80%を超える一次配列相同性を意味する。これまで、種々の核酸リガンドと 特定の標的の配列相同性が、ほとんどまたは全く一次相同性を持たない配列が標 的に結合する実質的に同じ能力を有することもあることを示すことが証明されて いる。これらの理由のために、本発明はまた、組織セレックス法により同定され る核酸リガンドとして標的に結合する実質的に同じ能力を有する核酸リガンドを 含む。標的に結合する実質的に同じ能力とは、その親和性が本明細書に記載のリ ガンドの親和性の強さと数オーダー以内にあることを意味する。ある配列(本明 細書に具体的に記載されるものと実質的に相同的)が組織標的に結合する実質的 に同じ能力を有するか否かを決定することは、当業者の技術の範囲内である。 「分離(partitioning)」とは、核酸リガンドを残りの未反応の核酸候補混合 物から分離する任意の工程を意味する。分離は、当該分野で公知の種々の方法に より行われる。フィルター結合、親和性クロマトグラフィー、液−液分離、濾過 、 ゲルシフト、密度勾配遠心分離はすべて、適切な分離法の例である。以下に詳述 する平衡分離法を使用してもよい。本発明の組織標的は不溶性であるため、本発 明に適した多くの簡便な分離法がある。簡便な分離法には、液体から固体を分離 する任意の方法、例えば油を用いるかまたは用いない遠心分離、膜分離および不 溶性組織標的の単なる洗浄がある。リガンドはまた、特異的抗体またはリガンド を有する標的から特異的に溶出される。分離法の選択は、標的と核酸の性質に依 存し、当業者に公知の原理および性質に従って行われる。 「増幅」とは、分子または分子のクラスのコピー量もしくは数を増加させる任 意の工程または工程の組合せを意味する。好適な実施態様において、増幅は試験 混合物のメンバーが分離された後に行われ、増幅されるものは好ましい生成物に 関連する促進性核酸である。例えば、RNA分子の増幅は3つの反応の連続によ り行われる:選択されたRNAのcDNAコピーを作成し、ポリメラーゼチェイ ン反応を用いて各cDNAのコピー数を増加させ、そしてcDNAコピーを転写 して、選択されたRNAと同じ配列を有するRNA分子を得る。当業者により理 解されるように当該分野で公知の任意の反応または反応の組合せ(例えば、直接 DNA複製、直接RNA増幅など)が適宜使用される。増幅法は、増幅された混 合物の比率が基本的に増幅前の混合物中の異なる配列の比率を与えるものである 。核酸への多くの修飾は酵素的増幅に適合することは公知である。増幅に適合し ない修飾は、必要であれば、各ラウンドの増幅後に行われる。 「ランダム化された」とは、原則的にある長さにわたって任意の可能な配列を 有する核酸のセグメントを示すために使用される用語である。ランダム化された 配列は種々の長さを有し、必要であれば約8〜100以上のヌクレオチドの範囲 である。ランダム配列セグメントが作成される化学反応または酵素反応は、未知 の偏りまたはヌクレオチド選択性のために、数学的にランダムな配列を与えない こともある。「ランダム化された」という用語は、非理想的なものからのこのよ うな偏りの可能性を反映させるために、「ランダム」の代わりに使用される。現 在知られている方法では(例えば連続的化学合成)では、大きな偏りは起きない ことが知られている。20ヌクレオチドまたはそれ以下の短いセグメントについ ては、小さな偏りがあっても影響は無視できるであろう。1回の合成の配列が長 いほど、偏りの影響が大きくなる。 例えば、合成反応において前駆体であるヌクレオシド(またはデオキシヌクレ オシド)三リン酸のモル比を変えるか、または化学合成においてホスホラミダイ ト(phosphoramidites)の比率を変えることにより、ランダム化された配列に意 図的に偏りが導入される。意図的な偏りは、例えば2次構造に影響を与えたり、 促進活性を有することが知られている分子に偏りを導入したり、ある構造的特徴 を導入したり、または予備的結果に基づくことが好ましい。 多くの基本的な型では、セレックス法は以下の一連の工程により定義される: 1)異なる配列の核酸の候補混合物を調製する。候補混合物は一般的に、固定 された配列(すなわち、候補混合物の各メンバーは同じ位置に同じ配列を含有す る)およびランダム化された配列を含有する。固定された配列領域は:(a)下 記の増幅工程を助ける、(b)標的に結合することが知られている配列を模倣す る、または(c)候補混合物中の核酸の特定の構造配置の濃度を増強させること により、選択される。ランダム化された配列は完全にランダム化されている(す なわち、任意の位置に塩基が見つかる確立は4分の1である)か、または部分的 にランダム化されている(例えば、任意の位置に塩基が見つかる確立は、0〜1 00%の任意のレベルである)。 2)候補混合物は、標的と候補混合物中のメンバーとの結合に適した条件下で 、選択された標的と接触される。これらの条件下で、標的と候補混合物の核酸と の相互作用は、標的と標的に対して最も強い親和性を有する核酸との間の核酸− 標的対を形成すると考えられる。 3)標的に対して最も強い親和性を有する核酸は、標的に対してより弱い親和 性を有する核酸から分離される。候補混合物中には最も強い親和性の核酸に対応 するほんのわずかの配列(おそらく1分子のみの核酸)しか存在しないため、分 離中に候補混合物中の多量の核酸(約5〜50%)が保持されるように、分離基 準を設定することが一般的に好ましい。 4)標的に対して比較的強い親和性を有するものとして分離中に選択される核 酸は、次に標的に対して比較的高い親和性を有する核酸が濃縮されている新しい 候補混合物を作成するために増幅される。 5)前述の分離および増幅工程を繰り返すことにより、新たに形成される候補 混合物はユニーク配列がより少なくなり、標的に対する核酸の平均的な親和性の 程度は一般的に上昇する。極端な場合は、セレックス法は、標的分子に対して最 も強い親和性を有する元々の候補混合物からの核酸である1つまたは少数のユニ ークな核酸しか含有しない候補混合物を与えるであろう。 セレックス特許出願は、この方法を記載し、詳細に説明している。ここには、 この方法で使用される標的;候補混合物内の核酸の分離方法;および濃縮された 候補混合物を作成するための分離された核酸の増幅方法が含まれる。セレックス 特許出願はまた、多くの標的分子種(核酸結合性および非核酸結合性タンパク質 である両方のタンパク質を含む)に対して得られるリガンドを記載している。 セレックスは、標的分子の高親和性リガンドを提供する。これは、核酸研究の 分野では前例のないユニークな業績である。本発明は、セレックス法をより複雑 な組織標的に応用する。 陰性選択(逆選択)は随時、組織セレックス法の前、間、または後に使用され る。陰性選択は、密接に関連するが異なる組織タイプを区別する能力を与える。 例えば、腫瘍細胞に対して高い特異性を有するが同種の正常組織は認識しない核 酸リガンドを同定するために、陰性選択を導入することができる。同様に、動脈 硬化性の動脈組織を特異的に認識するが正常動脈組織は認識しない核酸リガンド を同定することができる。フィブリンを認識するがフィブリノゲンを認識しない 核酸リガンドもまた、本方法により同定することができる。さらに、ある受容体 を発現する細胞タイプに対する核酸リガンドは、受容体(または他の巨大分子) を発現しないように作成した細胞株で逆選択することができる。 この陰性選択を行うために種々の機序を用いることができることは、当業者は 容易に理解できるであろう。以下の例は主に例示のために提供されるものであり 、決して陰性選択の方法を限定するものではない。陰性選択または逆セレックス 法は、1993年10月7日出願の米国特許出願第08/134,028号(標 題「テオフィリンとカフェインを区別する高親和性核酸リガンド」)に初めて記 載された(これは参考のため本明細書に引用される)。陰性選択の具体的な実施 は、平衡分離法を用いて行われる。この方法では、2つの細胞株または他の組織 タイ プが、平衡透析チャンバー中の半透膜(0.45〜0.90μm の孔径)により 分離され、1つの細胞株は新生物標的細胞株であり、他は陰性選択に使用される 正常組織である。陰性選択のための細胞または組織タイプの選択は、所望の特異 的末端の結果により行われ、時に新生物標的として同じ組織タイプの非悪性細胞 株からなる。他の実験については、種々の正常細胞タイプを組合せて、陰性エピ トープである「シンク」("sink")を作成する。核酸のランダムプールを透析チ ャンバー(正常細胞の側;これにより、腫瘍細胞と正常細胞に共通の高結合力標 的からのバックグランドを避けることができる)に入れ、2つの細胞株の間で平 衡させる。標的細胞株または組織に平衡状態で結合している核酸配列は選択的に 回収され、次ラウンドのセレックスのために増幅される。 この陰性選択方法の例は非常に強力である。第1に、平衡透析陰性選択は、陽 性および陰性選択を同時に行うことを可能にする。第2に、陰性選択の厳密性は 、透析膜の両側の「陽性」および「陰性」細胞の相対量を変化させることにより 変更することができる。平衡透析陰性選択のこれらの2つの特徴は、標的細胞ま たは組織タイプに特異的な核酸リガンドの進化に対して正確な調節を可能にする 。 この同じタイプの平衡分離陰性選択は、接着細胞株で行うことができる。この 実施態様では、標的および陰性細胞または組織の単層を、複数のウェルのプレー トの異なるウェルに入れる。接着後、オリゴヌクレオチドプールとともに媒体を 、ウェルが細胞媒体の容量により連結されるように加える。オリゴヌクレオチド プールの平衡後、標的細胞株または組織タイプにより結合される配列が単離され 、次ラウンドのセレックスのために増幅される。 前記平衡陰性選択法は、組織標的および特に腫瘍関連抗原(TAA)に対する 核酸リガンドを作成するための強力な方法である。 さらに、いくつかの他の陰性選択法があり、これらは「セレックス後スクリー ニング法」として分類することができる。これらの方法の最も簡単なものは、交 差反応性について正常な組織に対する各核酸リガンド(これらの配列は組織セレ ックスにより産生され、組織標的に対する高親和性リガンドであることが証明さ れている)を試験することである。しかしこのアプローチは面倒で時間がかかる 工程である。 より有利な「セレックス後」法は、好ましい複合組織標的(例えば、形質転換 された細胞株)に対するセレックスからすでに進化したプールについて、陰性選 択標的として正常組織を用いて陰性選択を行うことである。この例は、形質転換 した細胞株のセレックスからの、後期ラウンドの非常に進化したプールを用いる 正常組織の2回または3回の陰性選択の実施を示唆するであろう。正常組織への ある配列の結合は、進化したプールからこれらの配列を減ずるのに使用される。 この方法は、正常および形質転換した細胞株の両方に共通の標的に対して高親和 性を示す数百〜数千の核酸配列を排除することを可能にする。 別の「セレックス後」スクリーニング法は、以下の例2に記載の光架橋実験を 改変したものである。例として、組織セレックスプロトコールで使用されるPC Rプライマーの5’末端の光反応性の高い亜硝酸塩基(これはまたヨード化可能 である)を合成的に取り込むことができる。例えば腫瘍細胞株セレックスからの 後期ラウンドのプールは、光活性化可能な(および125I−標識された)プライ マーで増幅され、この配列プールは次に、腫瘍細胞株の存在下でおよび正常組織 の存在下で照射される。膜タンパク質は単離され、SDSゲル上での解析のため に可溶化される。腫瘍細胞および正常細胞株の両方について、特異的なオリゴヌ クレオチド配列で標識された多くの異なるタンパク質エピトープが見られること が期待されるであろう。数個の標識された標的は腫瘍細胞株にユニークなもので ある。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの塩基配列を破壊しない方法 でタンパク質標的に光化学的に結合しているため、SDSゲルから腫瘍特異的な バンドを単離し、PCRを用いて特定の腫瘍抗原を認識する特異的な配列モチー フを回収することができる。すなわち1つの工程で、数百の細胞表面抗原を認識 するオリゴヌクレオチド配列をプールから除去し、1つの腫瘍特異的抗原に特異 的に結合する1つまたは数個の配列のファミリーを残すことが可能であろう。 前述のように、組織セレックス法は、組織標的上の新しいエピトープからなる 巨大分子の同定を含むことができる。巨大分子の新しいエピトープ成分に対する 核酸リガンドは、巨大分子を精製し、同定しそして性状解析するために使用する ことができる。この新しい巨大分子は、従来は未知のタンパク質またはペプチド 、脂質、炭水化物などでもよい。組織の分子的構成物の一部である実質的にすべ て の分子は、組織セレックス法により同定することができる。 本発明のこの面を充分利用するためには、新しいエピトープからの新しい巨大 分子の精製と同定の方策を開発し、生物学的系において組織のこれらの新しい巨 大分子成分が果たす役割を測定することが重要である。新しい巨大分子を精製す るための方法は、特にタンパク質精製の分野で公知である。これらの標準的精製 法には、架橋、親和性クロマトグラフィー、ペプチド微量配列決定、エドマン配 列決定、質量スペクトル、およびcDNAライブラリー検索がある。 以下の考察は、新しい腫瘍関連抗原(TAA)の同定に応用されるこの方法を 記載する。この考察のために、TAAは腫瘍細胞で発現されるが同様の正常細胞 では発現されない巨大分子である。TAAは免疫原性であってもなくてもよい。 TAAは組織セレックス法により同定される巨大分子の種類の一例であり、単に 例示目的で使用される。しかし、組織セレックス法により同定される任意の新し い巨大分子に応用できることは明らかである。 TAAに応用されるように、組織セレックスによる新しいTAAの同定は2つ の主要な部分からなる:1つは、新しいTAAの精製と同定のための方策の開発 、2つ目はこれらの腫瘍抗原が腫瘍において果たす役割の解明(すなわち、特定 の腫瘍の発生と進展における各特定のTAAの生物学的意義の決定)である。 ほとんどのTAAの精製と同定の工程は、直接的であり、タンパク質精製の分 野で当業者により理解されている。抗体と同様に、セレックスは、細胞全体また は他の組織からの抗原の精製に驚くほど有用な試薬(腫瘍抗原に特異的な高親和 性リガンド)を提供する。非限定例として、例1の赤血球ゴーストセレックス実 験または前述の陰性選択方策セクションに記載のように、多くの抗原はなんらか のタイプの光親和性架橋に応用できる。3’ビオチン結合体を有する光活性化可 能なオリゴヌクレオチドを用いるTAAの具体的な架橋は、ストレプトアビジン 被覆ビーズを用いるTAA標的の1回精製を可能にする。この精製方策の代替法 は、カラム結合高親和性核酸リガンドを使用して、可溶化標的細胞膜調製物から TAA標的を親和性精製することである。 組織上の新しいエピトープからなる巨大分子を同定するために本明細書で提供 される方法が、新しい巨大分子発見の伝統的方法に対して顕著な利点を有すると 思わせる多くのもっともな理由がある。再度、以下の考察は、腫瘍抗原の発見に 関するが、これはすべての新しい巨大分子発見に広く応用できることは容易に理 解できるであろう。 TAAに応用されるように、腫瘍抗原について知られているすべては、特定の 抗原に対する免疫系の反応に由来し、科学は免疫系の特定の制限に依存し、免疫 系の役割は新生物組織と正常組織の抗原性の差を区別することであることを充分 考慮する必要がある。免疫応答を受けない他の抗原が存在することは完全に可能 である。免疫原性ではない腫瘍細胞と正常細胞の多くの抗原性の差が実際にある という仮説を唱える研究者もいる。 セレックス法は、免疫系が与える制限を避けて、TAAを同定する改良された 方法を提供する: a.セレックスは、生物のすべての可能な抗体レパートリーが提供するよりも 深いTAAの検索を与える。セレックスで使用される核酸ライブラリーのサイズ は、どの生物系より優れている。 b.セレックス法は、寛容のために免疫系に対して抗原性でないものも含む、 標的に対する核酸リガンドを提供する。同定されているTAAの多くは、癌胎児 性であり、発生または細胞分化のある時点で発現される抗原である。これらは先 行の「自己」抗原として、早期の免疫系寛容のために明瞭な免疫応答を誘発しな い。TAAのセレックスベースの検索は、腫瘍抗原を同定するために免疫系を使 用するという循環性を避ける。 c.セレックス核酸リガンドは、標的コンフォメーションに非常に感受性があ ることが証明されている。多くの抗体はコンフォメーション性、または不連続な エピトープを認識するが、抗体機能性エピトープはわずかに数個のアミノ酸から なる。オリゴヌクレオチドリガンドの可能な結合表面は、抗体の可変領域のもの よりはるかに大きく、大きな標的のより大きなコンフォメーション性区別を提供 する。さらに、セレックスリガンドの架橋反応性の問題は、モノクローナル抗体 の場合より実質的に小さい。多くのセットの制限もまたT細胞介在腫瘍応答を調 節する。これらの免疫系の制限は、重要な生物学的機能を提供するが、TAAを 同定する免疫系の力を制限する。 d.セレックスはおそらく、免疫系よりも少量の抗原に対して感受性である。 免疫系の反応性の閾値は、抗原性MHC−提示ペプチドについて200コピー/ 細胞であると推定されているが、1価標的に対するB細胞抗体応答(ペプチドで ないすべての抗原(炭水化物、脂質またはコンフォメーション性抗原)に必要) は、約100mMの抗原濃度を必要とする。セレックスは細胞表面上の量が少ない 場合でもTAA標的に対するリガンドを生成することができる。 e.セレックスは、TAA発見の迅速で完全な方法を提供する。組織セクショ ンに対するモノクローナル抗体のスクリーニング、およびMHCペプチドの精製 と同定は、TAAの検索の深さと完全性を実際的に制限する手間のかかる工程で ある。組織セレックス実験は、はるかに少ない時間でよい。 本発明の方法により同定される組織標的または組織エピトープに対する核酸リ ガンドは、診断試薬および薬剤として有用である。核酸リガンドはまた、新しい 巨大分子の同定に有用である。核酸リガンドは、抗体を使用するのに適した任意 の応用で有用である。 診断薬として、組織エピトープ上のリガンドはインビトロの診断薬およびイン ビボのイメージング応用に使用することができる。セレックス法は一般に、およ び本明細書に教示し特許請求しているセレックス法の具体的な応用は、特に診断 的応用に適している。セレックスは、高親和性と驚くほどの特異性で標的に結合 することができる核酸リガンドを同定する。これらの特徴はもちろん、当業者が 診断用リガンドに求める好ましい性質である。診断応用でリガンドの使用に関す る詳細は、当業者には公知である。腫瘍などの病原性組織に特異的に結合する核 酸リガンドは、ヒト腫瘍イメージングのような症状のイメージング、および細胞 毒性化合物または免疫増強物質の治療用送達においてある役割を有するかも知れ ない。 本発明の核酸リガンドは、当業者の用いる任意の数の方法に従って、日常的に 診断目的に応用することができる。診断薬は、特定の位置または濃度でのある標 的の存在を同定することができさえすればよい。単純にいえば、標的と結合対を 形成する能力は、診断目的の陽性シグナルを開始するのに充分である。当業者は 、当業者に公知の方法により核酸リガンドを、リガンドの存在を追跡するために 標 識物を取り込むことができるであろう。そのような標識物は多くの診断法におい て使用されるであろう。 具体的には、特定の腫瘍抗原に対する高特異性を有するオリゴヌクレオチドリ ガンドは、腫瘍の検出、イメージングおよび監視のためのモノクローナル抗体と 同様に重要になるであろう。修飾された核酸リガンドは血漿中でヌクレアーゼ耐 性を示し、5’および3’キャッピング構造は、(動物由来のモノクローナル抗 体の免疫原性を示さず)モノクローナル抗体のそれに匹敵する動物での安定性を 提供するであろう。放射性核種、磁性化合物などは、腫瘍イメージングのために 腫瘍特異的オリゴヌクレオチドに結合することができる。セレックス腫瘍リガン ドは、これらの腫瘍抗原が腫瘍から脱却したかどうかを測定するのに使用でき、 PSAのように血漿中で検出される。 組織標的または組織の新たに同定された巨大分子成分に対する核酸リガンドは また、薬剤としても有用である。治療用途には、ヒト患者の疾患または医学的症 状の治療または防止がある。治療用途にはまた獣医学的応用がある。リガンドは 受容体に結合し、受容体アンタゴニストとして有用である。逆にある条件下では リガンドは受容体に結合し、受容体キャッピングを引き起こし、受容体アゴニス トとして作用する。 薬剤としての使用に好ましい核酸を産生するために、核酸リガンドは、(1) 標的に対する所望の効果を達成することができる方法で標的に結合し、(2)所 望の効果を得るためにできるだけ小さく、(3)できるだけ安定であり、そして (4)選択された標的に対して特異的なリガンドであることが好ましい。多くの 状況で、核酸リガンドは標的に対してできるだけ高い親和性を有することが好ま しい。 標準的処方が本発明の核酸リガンドに使用でき、これは当業者には公知である 。 以下の例は、本発明の非限定例である。例1は、複合組織標的である赤血球ゴ ーストに対するssDNAリガンドを得る方法を説明する。赤血球ゴーストは有 限のセットの膜結合エピトープからなり、選択の間変化しない非生体標的である 。赤血球ゴーストに対するリガンドは、多くの用途があり、例えば頭部または腹 膜後傷害に必要な血管外血液をインビボでイメージングする能力、または赤血球 ゴ ーストリガンドに結合する他のリガンドの血管半減期を延長する能力などがある が、これらに限定されない。例2は、例1で得られるリガンドを用いる赤血球ゴ ースト上の巨大分子成分の同定を記載する。例3は、赤血球ゴーストセレックス は、標的細胞膜の2つ以上の巨大分子成分に対する高親和性および高特異性リガ ンドを産生したことを示す。例4は、複雑な巨大分子標的の各成分に結合する高 親和性核酸リガンドの同定と濃縮を示す。例5は、神経膠芽腫細胞株に対するs sDNAリガンドを得る方法を示す。高親和性および高特異性核酸リガンドは、 腫瘍関連(または腫瘍特異的)抗原に結合するか、または細胞兄弟の変化を引き 起こす細胞表面受容体との相互作用でサイトカインを模倣する。神経膠芽腫細胞 株に対するリガンドは、多くの用途を有し、神経膠芽腫のインビボイメージング 、リガンドまたはそこに結合した他の治療薬剤の治療用局在化などがあるが、こ れらに限定されない。例6は、ヒトリンパ腫細胞株に対するssDNAリガンド を記載する。例1 赤血球ゴーストに対するssDNAリガンド この例は、複合組織標的であるヒト赤血球ゴースト(RBCゴースト)に対す るssDNAリガンドを得る能力を証明する。赤血球ゴーストとは、溶解され、 細胞含有物が追い出され、内側が外に出て再度選択的に密封された赤血球細胞で ある(ステック(Steck)ら、(1994)Biochemistry 10:2 617−2624)。赤血球ゴーストは、インビトロ選択が行われた最初の複合 組織標的である。赤血球ゴーストは、最も複雑ではない組織標的の1つであるが 、従来セレックス法に使用された純粋なタンパク質または小分子よりも数オーダ ー複雑である。赤血球ゴーストは、限定されたセットの膜結合エピトープからな り、選択の間中変化しなかった非生体標的である。RBCゴーストに対するリガ ンドは無数の用途があり、頭部または腹膜後傷害に必要な血管外血液をインビボ でイメージングする能力、またはRBCゴーストリガンドに結合する他のリガン ドの血管半減期を延長する能力などがあるが、これらに限定されない。 簡単に説明すると、30塩基のランダム化された領域を用いて、選択のために 1本鎖DNAにより赤血球ゴーストセレックスを行った。1本鎖DNAプールを 赤血球ゴーストとインキュベートし、反応物をニトロセルロースフィルターで濾 過することにより、より強固に結合する配列を残りのプールから分離した。セレ ックス実験が進行するに従い、低下する濃度のゴーストを用いて、25ラウンド の選択を行った。25ラウンド目のプールをクローン化し、標準的方法に従って 配列決定した。25ラウンド目のプールから単離した66配列(配列番号5〜7 0)を表1に示す。これらの配列の約60%は、7つの配列特異的モチーフに分 類され、ピリミジンが豊富な配列(12%)のクラスと、他の19%は「オーフ ァン」であり、他の配列と何の類似性も示さない。 0ラウンド目と25ラウンド目のプールの結合挙動および選択されたクローン は、25ラウンド目のプールが出発プールよりよく結合し、モチーフ1のいくつ かは25ラウンド目のプールよりよく結合することを示す。これまで結合につい て試験したすべての配列は、全赤血球細胞に対して同様の結合を示すため、セレ ックスリガンドは、赤血球ゴーストの細胞外上の膜標的に進化したと考えられる 。 A.材料と方法赤血球ゴースト 赤血球ゴーストとは、溶解され、細胞含有物が追い出され、内側が外に出て再 度選択的に密封された赤血球細胞である(ステック(Steck )ら、(1994) Biochemistry 10:2617−2624)。調製物中のタンパク 質の濃度は、クマシーブリラントブルーG−250(バイオラッド(Bio-Rad)) で測定した。ssDNAの初期プールの合成 プライマーに相補的な固定配列が隣接する30個のランダムヌクレオチドを有 する鋳型(配列番号1)10pmolを、10mMトリス−塩酸(pH8.6)、50 mM KCl、2.5mM MgCl2、170mg/ml BSA、1mM dNTP、0 .5単位/ml TaqDNAポリメラーゼおよび5mMの各プライマー(5’−GG GAGCTCAGAATAAACGCTCAA−3’(配列番号2)および5’ −BBBGATCCGGGCCTCATGTCGAA−3’(配列番号3)、こ こでB=ビオチン)中で、25ラウンドのPCRにより増幅した。同様の反応物 は、プールの結合親和性を追跡するための内部で標識されたssDNAを産生す るた めに、1pmolの鋳型、0.1mM dCTPおよび1.25mM[α−322P]dC TP(800Ci/mmol)を含有した。非ビオチン化ssDNAは、尿素を含有する 8%ポリアクリルアミドゲル中の電気泳動により、大きなビオチン化鎖から精製 した。セレックスプロトコール 40pmolの非標識ssDNAと微量の放射能標識したssDNAを、200μ l のPBS(pH7.3)中で70℃で5分間加熱して変性させ、0℃で10分 間再生した。ニトロセルロースに結合するであろう配列の逆選択を行うために、 DNA溶液の前濾過を行った。300μl のPBSでフィルターを洗浄後、フィ ルターを通過させたssDNA分子を50μl のアリコートに分けた。種々の濃 度の赤血球ゴースト(0〜1.72mg/ml 総タンパク質)を含有する等量のPB Sを、各アリコートに加えた。混合物を室温で20分間インキュベートし、次に ニトロセルロースで濾過した。フィルターを5mlのPBSで洗浄し、保持された 放射能標識したssDNAの量をシンチレーション計測により測定した。バック グランド対照フィルターに結合した放射能の5〜10倍の放射能を保持したフィ ルターからssDNAを単離し、次ラウンドの選択のためにPCRで増幅した。ニトロセルロースフィルター結合測定法 セレックス特許出願に記載のようにニトロセルロースフィルター分離法を使用 して、赤血球ゴーストと他のタンパク質に対する核酸リガンドの親和性を測定し た。フィルターディスク(ニトロセルロース/酢酸セルロース混合マトリックス 、孔径0.45μm 、ミリポア(Millipore))を、真空マニフォールドに置き、 真空下で5mlのTBSC緩衝液で洗浄した。32P標識核酸プールと赤血球ゴース トを含有する反応混合物を、TBSC中で37℃で5分間インキュベートし、濾 過し、次に直ちに5mlのTBSCで洗浄した。フィルターを空気乾燥し、ベック マン(Beckman)液体シンチレーションカウンター中でフルオール(fluor)無しで計 測した。単一の赤血球ゴーストリガンドの解離定数は、ゴースト濃度は一定で核 酸リガンド濃度を変化させて、スキャチャード解析(ジー・スキャチャード(Sca tchard,G.)(1949)Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660− 627;アール・ジェイ・ロブ、エー・ムンクおよびケー・エー・スミス (Robb,R.J.,Muchck,A.,and Smith,K..)(1985)J.Immunol .Methods 81:15−30)により測定した。非結合リガンドから結 合リガンドをニトロセルロースで分離して、スキャチャード解析を行った。ラン ダムおよび進化した核酸リガンドプールの間の比較のためにおよびリガンド/リ ガンド比較のために、セレックス特許出願に記載のように標準的フィルター結合 測定法を使用した。クローニングおよびヌクレオチド配列決定 DNAの5’末端および3’末端にBamHIおよびHindIII 制限部位を 導入するプライマーを用いて、PCR増幅により25ラウンド目のプールから、 各DNA分子を単離した。制限消化したPCR産物をpUC18に結合させ、電 気穿孔法により大腸菌(E.coli)SURE株(ストラタジーン(Stratagene)) に導入した。プラスミドを単離し、挿入したDNA中のヌクレオチド配列を、標 準的ジデオキシ鎖法により測定した。一次配列と可能な2次配列中のパターンに ついて、目視とコンピューターアルゴリズムの両方により配列を検索した。 B.セレックス法の結果 クローン セクションAに記載のように、30個のランダム化された位置を有するssD NAを、赤血球ゴーストを標的としてセレックスで使用した。膜のssDNA集 団の親和性は、25ラウンドの選択と増幅で増加した。25ラウンド目のPCR 産物をクローン化し、66個のヌクレオチド配列を表1に示すように測定した( 配列番号5〜70)。8つのクローンは、3〜14個の塩基で分離される1つの 8ヌクレオチドおよび11ヌクレオチド共通配列を含有した(配列番号5〜12 )。この群の配列は、モチーフI配列と命名した。これらのクローンのいくつか は、PCR突然変異誘発により1つの始原配列に由来する可能性がある(すなわ ち、20、121および117)。この群のクローンの1つ(クローン25)( 配列番号12)は、共通配列を完結するために5’末端固定領域の一部を使用し てもよい。この固定配列および共通配列の領域は、2つのヌクレオチドでのみ異 なる。モチーフI配列の部分の結合解析は、8塩基および11塩基以上の共通配 列を含有する領域として最小結合配列を規定した。モチーフI配列から2つの 端を切り取った合成配列を作成したc56t(配列番号4)(親56から)およ びc20t(配列番号236)(親20から)。すべてのモチーフI配列はきわ めてよく似ているため、配列の系統樹的解析が難しく、図3に記載のようにこの モチーフの2次構造に関するデータは得られていない。 別の群の7つの配列(配列番号22〜25と35〜37)は、18塩基の保存 一次配列を含有し、さらに2次構造成分を共有する。コンピューター折り畳みア ルゴリズムと系統樹的解析は、これらの配列について図3に示すヘアピン−バル ジ−ステム(hairpin-bulge-stem)構造を予測する。これらの配列はモチーフII 配列と命名した。この配列モチーフについて2つのトランケートリガンドを作成 した(c16t(配列番号237)(親16)とc79t(配列番号238)( 親79))。 さらなる群の10個の配列は、追加の保存2次構造成分に囲まれた13塩基の 共通領域を共有する。コンピューター折り畳みアルゴリズムと系統樹的解析は、 この群の配列(モチーフIII 配列(配列番号18〜21;28〜30;40〜4 2))と呼ぶ)について図3に示すヘアピン−バルジ−ステム(hairpin-bulge- stem)構造を予測する。モチーフIII リガンドは2つの循環性置換法でこの構造 を達成するため、モチーフIII 配列のメンバーの間の類似性は、2次構造レベル でより実質的になる。図3はモチーフIII の端を切り取った2つのリガンドの置 換を示す、c53t(配列番号240)(親53)およびc111t(配列番号 239)(親111)。 さらに3つの配列モチーフが配列相同性により規定されている。表1に示すよ うに、モチーフIVは5つのメンバー、モチーフVは5つのメンバー、およびモチ ーフVIは2つのメンバーを含有する。これらのセットのリガンドの可能な2次構 造はまだ決定されていない。 20個の配列は他の配列に対して大きな配列相同性を示さないため、オーファ ンと命名した。いくつかの同じクローンがこの群内にあるが、これらのクローン はおそらく1つの始原配列に由来し、別の「モチーフ」ではない。 最後の群の配列は、きわめて高いピリミジン含量(77〜90%)を示し、共 通の2次構造は提唱されていない。 親和性 0ラウンド目および25ラウンド目のプールの結合挙動、および25ラウンド 目のクローンの選択された数を試験した。25ラウンド目のプールは、出発プー ルより約10倍結合し、モチーフIクローンのいくつかは0ラウンド目のプール より100倍結合する。結合について試験したすべての配列は、全赤血球に対し て類似の結合を示し、従って本発明者は、リガンドは赤血球ゴーストの細胞の外 側で膜標的に対して選択されていると考えている。 4つの介在ヌクレオチドとともに共通配列のみを含有するクローン56(c5 6t)(配列番号4)の22の合成ヌクレオチドトランケートは、全ssDNA 配列が示す結合親和性の大部分を保持した。c56tのスキャチャードプロット 解析により、細胞当たり1600個の結合部位が測定され、赤血球ゴースト上に 提示される標的について4nMの解離定数が計算された。モチーフIIおよびモチー フIII からのトランケートリガンドは、ゴーストへの結合について解析されてい ないが、例3と4に示すこれらのリガンドの光親和性試験は、解離定数がc56 tと同等かあるいはこれより優れていることを示す。ピリミジンの豊富なクロー ンは、25ラウンド目のプールより高いが共通クローンより小さい親和性を示し た。例2 赤血球ゴースト上の巨大分子成分の同定 c56tリガンド(配列番号4)が、赤血球ゴースト上の単一の明瞭な標的を 認識することを確認するために、c56tリガンドをチミジン架橋を介してその 膜標的に光化学的に結合させるために一連の短波長UV架橋実験を行った。対照 として同じ塩基組成の22塩基のDNAオリゴヌクレオチド(しかし、配列は雑 多に混ざっている)も、赤血球ゴースト標的に架橋させた。簡単に説明すると、 c56tにより認識される標的を短波長(254nm)UV架橋実験により同定し た。5’32P末端標識したトランケートリガンドc56tおよび同じ長さと塩基 組成(しかし、一次配列は「シャフリング」コンピューターアルゴリズムを用い て雑多に混ざっている)の2つの対照オリゴヌクレオチドを、RBCゴーストの 存在下で照射した。ゴースト膜タンパク質を、変性SDSゲル電気泳動を用いて 分画し、架橋リガンドの存在を乾燥ゲルのオートラジオグラフィーにより検出し た。結果を図1に示す。オートラジオグラフィーは、c56tに対する1本鎖の 特異的架橋産物を示した(すべての3つのオリゴは、2つの別のRBCゴースト タンパク質に対して弱い架橋を示す)。c56tリガンドは、見かけの分子量が 105kda のRBCゴースト膜タンパク質を選択的標識するが、2つの対照はそ うではない。このタンパク質標的の銀染色は、これが豊富にあるタンパク質では ないことを示す。 光架橋反応で特異的および非特異的核酸競合物質を用いて、同様の短波長光親 和性架橋実験を行った(図3)。103モル過剰の冷c56tを反応物に添加す ると、105kda ゴースト成分への架橋がなくなった。しかし、103モル過剰 の冷モチーフII配列c16tの添加は、c56tの架橋に影響を与えなかった。 この「架橋競合」実験は、トランケートリガンドc56tのタンパク質標的に対 する驚くべき親和性と特異性を証明している。 さらに、光親和性架橋反応の生成物を、図2に示すように還元性および非還元 性SDS−PAGEで試験した。還元性条件下では、架橋したタンパク質は見か けの分子量が105kda で泳動する。非還元性条件下では、架橋したタンパク質 は、約210kda で泳動し、架橋したタンパク質はゴースト膜の上でジスルフィ ド結合したヘテロダイマーまたはホモダイマーとして存在することを示唆する。 現在、分子量が90〜110kda の範囲内のモノマー分子量のジスルフィド結合 したホモダイマーである2つのヒトCD抗原のみが知られており、1つのみが赤 血球およびその直接の始原物質上に存在する。この抗原はトランスフェリン受容 体である(モノマーの分子量は95kda である)。c56tで架橋したタンパク 質の本体の決定的な証明は、現在試験中である。例3 赤血球ゴーストセレックスは標的細胞膜の2つ以上の巨大分子成分に対する高親 和性および高特異性リガンドを産生した 組織セレックスの重要な仮定は、大きな巨大分子構造の集合体の核酸選択によ り、これらの構造上のすべての独立の結合部位に対する高親和性リガンドが形成 するということである。細胞または組織は精製されたタンパク質標的より数オー ダー大きいため、これらの独立した結合部位の数は大きいはずである。簡単に説 明すると、この理論は複数の標的の選択は複数の結合特異性を有するリガンドを 産生することを予測する。 赤血球ゴーストの選択により、高親和性核酸リガンドが、膜表面上に存在する 2つ以上そして潜在的にはすべてのタンパク質標的に進化する。この仮説の決定 的証拠を得るために、最初の2つの赤血球ゴースト配列クラス(モチーフIおよ びモチーフII;図3を参照)から、トランケートリガンドをゴースト膜に親和性 光架橋させた。トランケートであるc56t(モチーフI)(配列番号4)およ びc16t(モチーフII)(配列番号237)を合成して作成し、各分子の5’ 末端に一級脂肪族アミン(6炭素スペーサー基を有する)を添加した。このアミ ノ基を用いて、トランケートリガンドを、アジ化フェニル光活性化分子スルホ− HSAB(N−ヒドロキシスルホ−スクシンイミジル4−アジドベンゾエート、 ピアスケミカルカンパニー(Pierce Chemical Company))に結合させた。さらに 、これらの分子を、アルファ32PddATPを用いて3’末端で放射能標識し た。トランケートリガンド結合体をゴーストと混合し、図4に示すように308 nmのエキシマーレーザーを用いて光架橋を行った。親和性と特異性を証明するた めに、光活性化したトランケートを、同種または異種の非放射能標識、非結合の トランケートの存在下でゴーストとともに照射した。 モチーフIのトランケートリガンドc56tは見かけの分子量105kda のダ イマータンパク質バンドを特異的に標識し、短波長UV光架橋を用いてこのトラ ンケートにより同じタンパク質バンドが標識された。この光親和性架橋は、104 モル過剰の「冷」c56tの添加により妨害されるが、104モル過剰の冷c1 6tの添加によっては妨害されない。同様にモチーフIIトランケートは、見かけ の分子量40kda のタンパク質を特異的に標識する。この架橋は、冷c16tの 添加により妨害されるが、正c56tの添加によっては妨害されない。すなわち 、赤血球ゴーストセレックスは、標的細胞膜の2つ以上の巨大分子成分に対する 高親和性および高特異性リガンドを産生することは明らかである。 現在は、図3に示すすべてのトランケートリガンドについて光親和性解析が行 われている。モチーフIトランケートc20t(配列番号236)は、モチーフ Iトランケートc56tと同じタンパク質ダイマーバンドを特異的に標識し、モ チーフIIトランケートc79t(配列番号238)はモチーフIIトランケートc 16tと同じ40kda タンパク質バンドを標識する。2つのモチーフIII トラン ケートリガンドc53t(配列番号240)とc111t(配列番号239)は 、分子量が42〜55kda の範囲の3つのタンパク質の群を特異的に標識する、 これらのタンパク質はおそらく、ゴースト膜上でタンパク質複合体として物理的 に会合している。配列モチーフ内のこの一貫したパターンの同一の光親和性架橋 挙動、およびモチーフ間の異なるタンパク質バンド架橋は、組織セレックス−複 数標的により複数の特異性を有するリガンドが生ずるという基本的な仮説の非常 に強力な証拠である。例4 複合巨大分子標的の各成分に結合する高親和性核酸リガンドの同定と濃縮 組織セレックスによる複合混合物内の多くの標的に対する高親和性リガンドの 作成後、複合混合物内の特定の不連続の標的を認識する核酸分子の配列の大きな プールをスクリーニングできることが好ましい。このための方法は、「プールデ コンボルーション」と呼ばれる赤血球ゴーストセレックスのために開発されてい る。最後のラウンドのRBCゴーストセレックス(25ラウンド目)からの配列 のプールを、内部放射能標識物、および5’末端に例3記載の同じ一級アミンを 有する「センス鎖」PCRプライマー(例3に記載の6炭素スペーサー)を用い て増幅した。すなわち、精製されたssDNAプールのすべての配列は、その5 ’末端に一級アミノ基を含有した。配列のプールをアジ化フェニル化合物スルホ −HSABに結合し、精製し、そして103モル過剰の非特異的競合物質の存在 下で、RBCゴーストでインキュベートした。混合物を308nmのエキシマーレ ーザーで照射し、架橋した生成物をSDS−PAGEにより分離した。 最終ラウンドのプールの架橋パターンを図5に示す。ゴースト膜内に存在する 多くの異なるタンパク質が、プール配列により特異的に光標識されていることが わかる。SDS−PAGEで分離した生成物をニトロセルロースフィルターに電 気ブロットし、4つの異なる架橋タンパク質に対応するフィルターのセクション を切り出し、選択された特定のタンパク質に架橋したプール配列の増幅のための PCR反応物に入れた。この「デコンボルーションセレックス」を3ラウンド行 い、選択の結果を図5に示す。レーン5、6、7および8は、25ラウンド目の レーンに示すように、4つの選択されたタンパク質バンドに一致する。3ラウン ドの選択により、選択されたゴースト膜タンパク質に特異的に光架橋できる配列 の素晴らしい増強が得られる。レーン5と8を産生するのに使用されるプールは 、いずれも選択されたタンパク質に完全に特異的になることに近い。さらなる選 択の厳密性は、高濃度の非特異的競合核酸を使用し、特定のプール(例えばバン ド5のプール)を残りの3つのプールの冷、非結合画分と競合させることにより 増加する。このようなスキームは、2つまたはそれ以上のプールに共通の配列の 選択的除去を可能にする。例えば、バンド5についてのプールの光架橋をバンド 6、7、および8プールからの冷物質と競合させると、バンド5プールと他のプ ールの間の共通の架橋が排除される。選択の完了後、特定のタンパク質バンドに ついて単離されたDNAは、標準的方法により容易に配列決定することができ、 特定の核酸配列を別々のタンパク質に対する高親和性結合に相関させることを可 能にする。このデコンボルション法は、目的の特定の標的に結合する配列の高親 和性組織セレックスプールをスクリーニングするための強力な方法である。例5 神経膠芽腫U251細胞株に対するssDNAリガンド この例は、ヒト脳腫瘍由来の複合組織標的神経膠芽腫U251細胞株に対する ssDNAリガンドを得る能力を証明する(Hum.Hered.(1971) 21:238)。腫瘍関連(または腫瘍特異的)抗原と相互作用するかまたは細 胞表面受容体とのその相互作用でサイトカインを模倣し細胞形態変化を引き起こ す高親和性および高特異性核酸リガンドを単離した。この例で使用される多くの プロトコールは例1に概説されているか、または下記のように若干変更される。 神経膠芽腫細胞株に対するリガンドは無数の用途を有し、神経膠芽腫のインビボ イメージング、そこに結合するリガンドまたは他の治療物質の治療的局在化があ るが、これらに限定されない。 このセレックス例では、34ヌクレオチドのランダム化された領域を有する蛍 光標識1本鎖DNAライブラリーを使用した(配列番号71)。変性ポリアクリ ルアミドゲルにより蛍光標識ssDNAを精製した。プライマーと鋳型の配列は 以下の通りである: 鋳型: 簡単に説明すると、セレックス法は以下の通りである。100万〜1000万 個の神経膠芽腫細胞株U251細胞を、4℃で20mlの冷RPMI−1640無 血清培地を含む培養フラスコ中で2回洗浄した。100μl のPBS緩衝液中の 50〜100ピコモルのssDNAを90℃に5分間加熱し、5分間氷の上に置 いた。ssDNAプールを、20〜40倍過剰の超音波処理した精子DNAおよ び酵母tRNA(モル比1:1)とともに20mlのRPMI−1640培地中の 細胞培養物に加えた。溶液を静かに攪拌しながら4℃で20分間インキュベート した。細胞を20mlの冷RPMI−1640培地で2回洗浄して、遊離オリゴヌ クレオチドを除去した。細胞を1mlの0.25%トリプシンでトリプシン処理し た。細胞とオリゴヌクレオチドを含有する溶液を2mlの試験管に集め、95℃で 5分間沸騰させ、次にフェノール抽出とエタノール沈殿を行った。回収したss DNAをPCR増幅のために使用した。20ラウンドの選択により、最終プール の結合親和性は出発物質の結合親和性に比較して有意に上昇した。親和性の上昇 はスキャチャードグラフにより明らかになった。20ラウンド目のプールを、ラ シュチェイン(Rashtchain)らの記載するDUGクローニング(Anal.Bi ochem.(1992)206:91)によりpUC18ベクターにクローン 化した。約158配列が得られ、これを22個のサブファミリーに分類でき、こ れを表2に示す(配列番号74〜232)。例6 ヒトリンパ腫細胞株に対するssDNAリガンド この例は、CD4陽性細胞株である複合組織標的ヒトリンパ腫細胞株CEMs s(フォレイ(Foley)ら、Cancer(1965)18:522)に対するs sDNAリガンドを得る能力を証明する。この例で使用される多くのプロトコー ルは例1に概説されているか、または以下のように若干変更する。 このセレックス例では、フルオレセイン標識1本鎖DNA分子を、組合せライ ブラリーの作成のために使用した。フルオレセイン標識は、細胞表面へのオリゴ ヌクレオチドの結合のイメージおよびフローサイトメトリーの目的を可能にする 。プライマーと鋳型の配列は以下の通りである: 鋳型: 簡単に説明すると、セレックス法は以下の通りである。標的細胞株は、CD4 陽性であるヒトリンパ腫細胞株CEMssである。5×106細胞を、15mlの 円錐試験管中の10mlの冷PBS緩衝液で2回洗浄した。細胞を1mlのPBSに 再懸濁し、氷上で保存した。100μl のPBS中の50〜100ピコモルのフ ルオレセイン標識(およびPCRで32P標識した)1本鎖DNA(配列番号23 5)を90℃で5分間変性し、氷上で5分間維持した。1本鎖DNAを20〜5 0倍過剰の競合物質である酵母rRNAと超音波処理した変性精子DNA(比率 :1:1)とともに、細胞を静かに攪拌しながら室温で20分間インキュベート する。反応溶液を0.5mlの結合油(84%のシリコン油と16%のパラフィン 油)の上にのせ、最高速度で15秒間遠心分離し、ドライアイス/エタノールで 直ちに凍結した。試験管の底の端を切り取り、先端を2mlの試験管に入れ、10 0μl の水、100μl の7M尿素、および400μl のフェノールを加え、攪 拌し、5分間沸騰させる。cpm を計測し、さらに20分間攪拌し、最高速度で1 0分間遠心分離し、上層を新しい試験管に移し、エタノール沈殿を行う。回収し た DNAをPCR増幅し、変性ゲル上で精製する。フルオレセイン標識鎖は泳動が 遅い。回収したssDNAを次のラウンドのセレックスに使用した。 結合親和性の改良は結合測定法により測定した。反応条件は前記した通りであ るが、反応容量は100μl であり、競合物質は加えなかった。12ラウンドの 選択後、結合親和性は0ラウンドプールに比較して増加した。12ラウンド目の プールの複雑さは、まだ比較的高く、プールの得られる複雑さが少し低下するま でラウンドを続ける。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/437,425 (32)優先日 1995年5月3日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/434,667 (32)優先日 1995年5月3日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 モーリス,ケビン エヌ. オーストリア国 エイ−5620 シュヴァル ツァッハ,マルクト 24 (72)発明者 スチーブンス,アンドリュー アメリカ合衆国 80220 コロラド州 デ ンバー,レイドン ストリート 720 (72)発明者 ゴールド,ラリー アメリカ合衆国 80302 コロラド州 ボ ールダー,フィフス ストリート 1033

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.組織標的に対する核酸リガンドの同定方法であって、 a)核酸配列の候補混合物を調製する工程、 b)核酸の候補混合物を組織と接触させ、ここで候補混合物より組織への親和 性が上昇している核酸は、残りの候補混合物から分離される工程、 c)残りの候補混合物から親和性が上昇した核酸を分離する工程、および d)親和性が上昇した核酸を増幅して、組織への結合について比較的高い親和 性と特異性を有する核酸配列が濃縮された核酸の混合物を得て、こうして組織の 核酸リガンドを同定する工程、 からなる上記方法。 2.e)工程b)、c)およびd)を繰り返す工程を、さらに含む請求の範囲 第1項に記載の方法。 3.組織は、細胞、細胞内成分、細胞の凝集物、細胞の集合体、巨大分子の凝 集物よりなる群から選択される、請求の範囲第1項に記載の方法。 4.候補混合物は1本鎖核酸からなる、請求の範囲第1項に記載の方法。 5.1本鎖核酸はリボ核酸である、請求の範囲第4項に記載の方法。 6.1本鎖核酸はデオキシリボ核酸である、請求の範囲第4項に記載の方法。 7.組織は、赤血球ゴースト、神経膠芽腫、およびリンパ腫呼ぶ、請求の範囲 第1項に記載の方法。 8.請求の範囲第1項に記載の方法に従って同定される組織標的に対する核酸 リガンド。 9.組織に対する精製され単離された天然には存在しない核酸リガンド。 10.組織標的分子に対して特異的結合親和性を有する天然には存在しない核酸 リガンドである請求の範囲第9項に記載の精製された核酸リガンドであって、こ のような標的分子は、主にワトソン/クリックの塩基対合または3重らせん結合 に依存する機構により核酸リガンドに結合するポリヌクレオチド以外の3次元化 学構造であり、ここで核酸リガンドは、標的分子により結合される既知の生理学 的機能を有する核酸ではない、上記核酸リガンド。 11.デオキシリボ核酸リガンドである、請求の範囲第9項記載の核酸リガンド 。 12.リボ核酸リガンドである、請求の範囲第9項記載の核酸リガンド。 13.組織は、細胞、細胞内成分、細胞の凝集物、細胞の集合体、巨大分子の凝 集物よりなる群から選択される、請求の範囲第9項に核酸リガンド。 14.細胞内成分は赤血球ゴーストである、請求の範囲第13項に記載の方法。 15.請求の範囲第14項記載の赤血球ゴーストに対する核酸リガンドであって 、表1に記載のヌクレオチド配列、またはその対応するRNA配列、またはその 対応する相補的配列よりなる群から選択されるDNAリガンドである、上記核酸 リガンド。 16.リガンドは、配列番号4〜70よりなる群から選択される、請求の範囲第 15項に記載の核酸リガンド。 17.赤血球ゴーストに対する精製され単離された天然には存在しないDNAリ ガンドであって、表1に記載の配列、またはその対応するRNA配列、またはそ の対応する相補的配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に相同的で あり、かつ赤血球ゴーストに結合する実質的に同じ能力を有する、上記リガンド 。 18.赤血球ゴーストに対する精製され単離された天然には存在しないDNAリ ガンドであって、表1に記載の配列、またはその対応するRNA配列、またはそ の対応する相補的配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に同じ構造 かつ赤血球ゴーストに結合する実質的に同じ能力を有する、上記リガンド。 19.細胞は腫瘍細胞である、請求の範囲第13項に記載の核酸リガンド。 20.腫瘍細胞は神経膠芽腫細胞である、請求の範囲第19項に記載の核酸リガ ンド。 21.請求の範囲第20項記載の核酸リガンドであって、表2に記載のヌクレオ チド配列、またはその対応するRNA配列、またはその対応する相補的配列より なる群から選択されるDNAリガンドである、上記核酸リガンド。 22.リガンドは、配列番号74〜232よりなる群から選択される、請求の範 囲第21項に記載の核酸リガンド。 23.神経膠芽腫に対する精製され単離された天然には存在しないDNAリガン ドであって、表2に記載の配列、またはその対応するRNA配列、またはその対 応する相補的配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に相同的であり 、かつ神経膠芽腫に結合する実質的に同じ能力を有する、上記リガンド。 24.神経膠芽腫に対する精製され単離された天然には存在しないDNAリガン ドであって、表2に記載の配列、またはその対応するRNA配列、またはその対 応する相補的配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に同じ構造かつ 神経膠芽腫に結合する実質的に同じ能力を有する、上記リガンド。 25.腫瘍細胞はリンパ腫である、請求の範囲第19項に記載の核酸リガンド。 26.組織の巨大分子成分の同定方法であって、 a)巨大分子の新しいエピトープに対する核酸リガンドを請求の範囲第1項の 方法により同定する工程、 b)新しいエピトープと核酸リガンドの間の親和性に基づき、組織の巨大分子 成分を残りの組織から精製する工程、および c)巨大分子を同定する工程、 からなる上記方法。 27.巨大分子は、タンパク質、脂質および炭水化物よりなる群から選択される 、請求の範囲第26項に記載の方法。 28.請求の範囲第26項に記載の方法に従って同定される精製された巨大分子 。 29.タンパク質、脂質および炭水化物よりなる群から選択される、請求の範囲 第28項に記載の精製された巨大分子。 30.腫瘍関連抗原である、請求の範囲第29項に記載の精製された巨大分子。
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