JPH11504737A - 価値振替システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、通常ＩＣまたは「スマート」カードの形でインターフェース装置を介して電子財布間で価値を移動するシステムに関する。財布間の価値の流れを制御するために階層クラス構造が提案される。これは財布へ、および（主に）財布から価値の移動を行う条件を制御するクラスを各財布に割り当てることによって達成される。したがって各財布は、自らのクラスの表現を財布が価値を移動することのできる先のクラスのリストと共に、メモリ内に保存する。

Description

【発明の詳細な説明】 価値振替システム 本発明は財布キャリア装置（purse carrier devices）に付属する、電子財布 間の金銭価値の振替を行うための価値振替システムに関する。 財布キャリア装置とは、電子財布を担持するあらゆる装置を指す。短期ないし 中期的には、財布キャリア装置はスマート・カードであり、本明細書においては 便宜上、このスマート・カードの実施態様を想定する。しかしながら長期的には 、その他の実施態様も考えることができ（主な要件は不正防止）、本発明はスマ ート・カードのみに限定されるものではない。 スマート・カードは、ＩＣ（集積回路）カードとしても知られ、公知のクレジ ット・カードやキャッシュ・カードに似た小型のプラスチック製カードであるが 、ＩＣマイクロプロセッサの形で、ある程度のコンピュータ機能を含む。スマー ト・カードは何らかの形のメモリを含み、通常マイクロプロセッサ自体に組み込 まれている。メモリには揮発性、不揮発性の２種類がある。典型的なスマート・ カードは両方のメモリを内蔵する。 本発明が関係する価値振替システムは、たとえば特許出願ＷＯ９１／１６６９ １号に記載されている。この特許出願はインタフェース装置、たとえば少なくと もカード読取装置を 含むＰＯＳ（point of sales）装置の形のインタフェース装置を介して２枚のス マート・カード間で現金に相当する価値を移動するシステムを記述している。こ のようにして、商品およびサービスが現金同様に、つまり支払人口座と受取人口 座の特定の勘定調整なしに支払われる。 広義において、本発明が関係する基本的システムは、複数の電子財布と、電子 財布がトランザクションによってお互いに通信するためのインタフェース装置を 備え、各財布のうち１つが支払人財布を、１つが受取人財布の役割を果たす一対 の財布間で電気信号を交換し、前記信号が支払人財布から受取人財布に金銭価値 を移動するように動作可能である。 各財布はデータ領域と財布機能を実行するコンピュータ・プログラムとを備え 、双方ともスマート・カード内のメモリに保存されている。データ領域は、とり わけ財布内に現在の時点で含まれている累計された価値の記録を含む。累計され た価値を保存している財布のデータ領域の部分は、ポケット（pocket）として知 られる。１つの財布が、いくつかのポケットを有してもよく、それぞれが異なる 通貨の価値を保存する。未使用のポケットは、ゼロ値であるか、あるいはプログ ラム内で割り当てられない。本明細書では、スマート・カードと財布を事実上同 一のエンティティと見なすが、単一のスマート・カードが多数の財布を担持し、 かつ／または電子マネー（electronic cash）の移動とは関連しない、その他の 機能を実行するプログラムを追加的に担持することも可能である。 本発明では、ある財布から他の財布への金銭価値の移動を、より厳密に制御す る手段が提供される。今のところ財布による価値の受取りに対する制御の必要性 は考えないが（将来はどうなるか分からない）、財布による価値の発行の制御は 必要である。 これを実施するため、本発明によれば、各財布に階層構造の１クラスが割り当 てられ、たとえば番号の形態でクラスの記録が財布のデータ領域に保存される。 財布のデータ領域には、財布が価値を移動することのできるクラスがリストされ たクラス・リストが保存される。２種類以上の通貨をサポートする財布では、各 通貨ごとにクラス・リストが存在する。したがって、各財布に単一の財布クラス が割り当てられ、サポートする通貨の数に応じて、メモリ内に１つまたは複数の 財布クラス・リストを含む。 財布間の価値の移動は、インタフェース装置を介して２つの財布間の電気信号 の交換によって行われることはすでに述べた。前述のＷＯ９１／１６６９１号に 説明されているように、実際の移動の前に、２つの財布およびインタフェース装 置によって発行される、コマンドおよび応答の形での様々なチェック信号の交換 が行われる。 本発明ではこれらのチェックにはさらに、移動の実行を許可する前に、受取人 財布の財布クラスが支払人財布のクラス・リストにあるかどうかをチェックする ことも含まれる。これは、受取人財布の財布クラスをインタフェース装置を介し て支払人財布に渡し、支払人財布が自らのコンピュータ機能 を使用して、必要なチェックを実行することによって実施できる。財布から出る 前に、財布クラスを暗号化して保護することによって保全性が保たれる。典型的 な暗号化方法の詳細はＷＯ９１／１６６９１号に記載されている。たとえば、財 布クラスの記録は、財布のグローバル秘密鍵によって署名された部分に保存され る。ただし、このメカニズムはある特定の暗号化実施態様に依存するものではな い。支払人財布が、送られた財布クラスの保全性と信憑性を認証できさえすれば よい。実際には、財布クラスは価値の移動中このようにして保護されるいくつか のデータ項目の１つにすぎない。 このメカニズムには以下に挙げる利点がある。 ａ．財布クラスがセキュリティおよび制御メカニズムを提供するので、所与の 財布が価値を移動できる財布クラスを制御することにより、露出を柔軟に制限す ることができる。たとえば、これにより財布発行者は、支払いのできる財布のタ イプを制約することにより、盗まれた財布内での価値の現金化を制限することが できる。 ｂ．財布クラスを、少なくとも以下に挙げる主なグループ、すなわち利用者、 サービス提供者、銀行、価値製造者からなる階層を形成するものと考える。昇順 の階層は通常、昇順の１組の価値限度に関連付けられる。階層における位置は、 価値面での財布の重要性を反映し、制御の際に払うべき注意に関係する。 ｃ．通貨別の財布クラス・リストの可変性により、価値移動の制御における柔 軟性が向上する。ビジネス上妥当であれ ば、異なる通貨に異なる規則を適用することもできる。 ｄ．財布クラス・カテゴリ（たとえば、利用者、サービス提供者、銀行）の使 用を、他の制御手段と併用すると有用である。たとえば、遠隔地からの支払いの 場合、支払いは他の財布にではなく、銀行財布に行われていることがわかるよう になっていることが肝要である。これは、遠隔地の財布から送られた、暗号で保 護された受取人財布を認証することによって達成される。 この例では、４つの主なグループが識別され、階層順に以下のように配置でき る。 価値製造者 銀行 サービス提供者 利用者 価値製造者は、時としてオリジネータとしても知られ、その国における貨幣の 鋳造・発行機関である中央銀行に相当する。価値製造者は、階層の最上位に位置 する。サービス提供者とは、たとえば店内またはガレージ内のＰＯＳ装置などで 商品やサービスあるいは相当物を提供する組織である。銀行および利用者につい ては説明するまでもなかろう。各グループは、たとえば番号などの識別コードを 付与され、それが以下に詳細に説明するように、財布のメモリ内に保存される。 たとえば、次に挙げる財布クラス・カテゴリ価値をここでは使用する。 １．価値製造者 ２．銀行 ３．サービス提供者 ４．利用者 本発明の一実施形態では、上記グループの各々から少なくとも１つ、財布クラ スのサブセットがグループ間のやりとり（interworking）をサポートするように グローバルに定義されている（たとえば財布提供者は、サービス提供者および銀 行財布と確実にやりとりができるように、利用者カードに対し財布クラス・リス ト中に割り振るべきクラスの最小セット数を理解していなければならない）。実 際の運用の場合には、少なくとも４つのサービス提供者、３つの銀行、２つの利 用者の財布クラスと単独の価値製造者の財布クラスが必要であると考えられる。 これらの「グローバル財布クラス」をたとえば符号を用いて以下のように示す。 価値製造者−１ 銀行−１、銀行−２、銀行−３ サービス提供者−１、サービス提供者−２、 サービス提供者−３、サービス提供者−４ 利用者−１、利用者−２ 以下の表にグローバル財布クラスをまとめる。 上の表から財布クラスは２つの別個の項目の情報からなることがわかり、その 詳細は２つの別個の番号、財布クラス・カテゴリおよび財布クラス番号として、 以下のフォーマットでメモリ内に保存される。 財布クラス＝財布クラス・カテゴリ＋財布クラス番号 上式で財布クラス・カテゴリが定義され、財布クラス番号は上の例で記号で表さ れるサブセット番号である。 たとえば、財布クラスは財布のメモリに１バイトの番号として保存され、最初 の４ビットが財布クラス・カテゴリを表し、続く４ビットが財布クラス番号を表 す。これにより、商業要件を念頭に置いて、現時点で妥当とされる１６の財布ク ラスが得られる。 財布クラス・リストも同様に１６ビット（２バイト）のビット・マップとして メモリ内に保存される。たとえば、１６ビットに０から１５の番号が振られてい ると想定する。４要素の表のオフセットは、エンティティ１、２、３、４がそれ ぞれ０、２、６、１２ビットに定義される。よって、クラス・リストに属する財 布クラスはビット位置によって決まる。 オフセット（カテゴリ）＋クラス番号−１が設定されている。 たとえば、サービス提供者−１はビット位置６に相当する。 ６＋１−１＝６ 同様に、利用者−２はビット位置１３に相当する。 １２＋２−１＝１３ したがって、クラス・リスト・ビット・マップのビット６とビット１３だけが 設定されている財布が、サービス提供者−１クラスまたは利用者−２クラスを有 する財布だけに価値を移動することができる（この例は、単に例を示したに過ぎ ずこのような財布は実用的ではない）。 この実施態様は、価値製造者と銀行財布クラスを１つ、サービス提供者と利用 者財布クラスを２つ余分に設けることができる。 簡単なグローバル財布クラス・スキームの例を、例示のスキームの財布クラス 間のやりとりの規則を要約したチャート図である添付の図を参照しながら単に例 示としてのみ説明する。 例示のスキーム中、限定された数の財布クラスは以下のように定義される。 価値製造者 最もセンシティブで、高位の財布クラスである。この財布がイン タフェースできるのは銀行財布だけであり、サービス提供者または利用者財布と はインタフェースできないことに留意されたい。 銀行 一般的に、利用者、サービス提供者、他行への価値の分配およびそれら からの価値の受取りに使用される。 サービス提供者−１ 「標準」。この財布の構成では利用者に返金をすること はできないが、上位の銀行財布に対して は支払い可能である。同クラスの財布にも支払うことができ、したがって、同ク ラスの財布間での価値移動のオプションがある。 サービス提供者−２ 「返金」。この財布はサービス提供者−１の財布クラス よりも多能であり、したがって潜在的に最も露出度の高い財布である。返金の目 的で利用者に支払うことができ、必要とあらば銀行からの価値の受取りに使用で きる財布クラスとなる。このルートに限り、銀行財布からサービス提供者は返金 を受けることができることに留意されたい。 利用者 標準的な利用者財布クラスであり、銀行財布とインタフェース可能で ある。 財布クラス・リストの選択は、所定の規則に則って、通常財布提供者が下す商 業的決定である。決定のほとんどは、財布を発行する相手であるサービス提供者 または銀行がどのように動作する必要があるかを理解して決定される。 財布クラス「規則」−各財布クラスに関連づけられた財布クラス・リストのセ ット−は、個々の支払いスキームごとに定義される。各財布は、割り振られた財 布クラスに適用される財布クラス・リストに「個別化（personalised）」される 。 したがって、財布クラス・メカニズムと支払いスキーム用に定義された規則は 明確に分離されている。 上記の規則による財布クラス間のやりとり規則の要約は、添付図のチャートに 例示的スキームとして示されている。図 中、グローバル財布クラスは以下の参照番号で示されている。 参照番号１：価値製造者 参照番号２：銀行 参照番号３：サービス提供者−１（標準） 参照番号４：サービス提供者−２（返金） 参照番号５：利用者 矢印は価値が移動できる方向を示す。したがって価値製造者と銀行の間のよう に両端が矢になっている矢印は、双方の財布間で価値の移動が可能であることを 示す。片方だけが矢になっている矢印は、サービス提供者−１と銀行間のように 一方向だけに価値の移動が可能であることを示す。ブロック２（銀行）に関連す る矢印６など同じブロックに戻る矢印は、各財布が同クラスの他の財布に価値の 移動が可能であることを示す。 上記は、仮定上の財布クラスおよび規則であって、既知のスキームに相当する ことを意図したものではないことを強調しておく。実際、実用的なスキームでは 、特に銀行およびサービス提供者レベルではもっと多くのクラスを使用する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，Ｉ Ｓ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，Ｓ Ｄ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 ヴァイナー ジョン イギリス国，ジーユー20 ６エイエヌ サ リー，ワインドルシャム，ウッドランズ レーン，ハイズ（番地なし) (72)発明者 ベイリー アラン イギリス国，エスエム２ ６ピージー サ リー，サットン，ウスター ロード 24番 地

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．複数の電子財布と、財布がトランザクションによって互いに通信して価値を 移動するためのインタフェース装置とを備え、各トランザクションで一対の財布 間で電気信号の交換を行い、各財布は現在の時点で財布内に含まれている累計価 値の記録を含んでいる価値振替システムにおいて、各財布に階層構造の１クラス が割り当てられ、前記メモリ手段が、財布のクラスの記録を財布が価値を移動す ることのできる先のクラスのリストと共にさらに保存することを特徴とする価値 振替システム。 ２．支払人の財布から受取人の財布への価値の移動トランザクションが、価値の 移動が行われる前に、受取人財布の財布クラスが支払人財布のクラス・リストに あるかどうかチェックするステップを少なくとも含むようにプログラムされたマ イクロプロセッサを、各財布または関連する移動装置内に内蔵する、請求の範囲 第１項に記載の価値振替システム。 ３．前記チェックするステップが、受取人財布の財布クラスを表す電気信号を前 記インタフェース装置を介して受取人財布から支払人財布に渡し、前記支払人財 布内でチェックを実行することを特徴とする、請求の範囲第２項に記載の価値振 替システム。 ４．受取人財布の財布クラスに関連する情報が、支払人財布に渡される前に暗号 で保護されることを特徴とする、請求の範囲第３項に記載の価値振替システム。 ５．財布クラスが、階層木で財布使用者のカテゴリを表すことを特徴とする、請 求の範囲第１項ないし第４項のいずれか一項に記載の価値振替システム。 ６．前記クラス・カテゴリが以下に挙げるカテゴリ 価値製造者 銀行 サービス提供者 利用者 または相当物の１つまたは複数のカテゴリを含むことを特徴とする、請求の範囲 第５項に記載の価値振替システム。 ７．前記カテゴリ中のそれぞれの財布のクラス・リストが、価値製造者の財布だ けが銀行財布へ、または銀行財布から価値の移動ができ、サービス提供者財布お よび／または利用者財布へ、またはサービス提供者財布および／または利用者財 布から直接価値の移動はできないことを特徴とする、請求の範囲第６項に記載の 価値振替システム。 ８．前記財布カテゴリの１つまたは複数が各々、カテゴリ内の階層を表す財布ク ラスのサブセットを含むことを特徴とする、請求の範囲第５項、第６項、第７項 のいずれか一項に記載の価値振替システム。 ９．財布クラスが財布の前記メモリ手段内に１バイトの番号として保存され、最 初の４ビットが財布クラス・カテゴリを表し、続く４ビットが財布クラス・カテ ゴリ内のサブジェクトを表す番号であることを特徴とする、請求の範囲第８項に 記載の価値振替システム。 １０．前記メモリ手段内にクラス・リストがビットのパターンを含むビット・マ ップとして保存され、各カテゴリおよび／または各カテゴリ内のサブジェクトが 、ビットのパターン中で１ビットで表されることを特徴とする、請求の範囲第８ 項または第９項に記載の価値移動システム。 １１．各クラス・カテゴリが、前記ビット・マップ内で一義的オフセットを与え られ、ビット・マップ内のビット位置ｎが特定の値をもつ場合、すなわち ｎ＝オフセット＋サブセット・クラス番号−１ である場合に財布クラスがクラス・リストに属するようになっていることを特徴 とする、請求の範囲第１０項に記載の価値振替システム。 １２．少なくとも前記財布のいくつかが、メモリ手段内に複数のクラス・リスト を保存し、各クラスが特定の通貨に割り当てられることを特徴とする、請求の範 囲第１項ないし第１１項のいずれか一項に記載の価値振替システム。