JPH1150195A - イヤリングが著しく小さい硬質2ピース容器用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
イヤリングが著しく小さい硬質2ピース容器用鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
れによる生産性の低下を回避できる、絞りおよびしごき
または引き延ばし加工を経て製造される2ピース容器に
使用される鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%でC:0.004%以下、N:
0.004%以下を含み、B/N:0.6〜1.4、
(AlNとして存在するN)/(BNとして存在する
N)<0.4、平均結晶粒径10μm以上、引張強度4
00MPa以上であることを特徴とし、必要に応じて、
P:0.01〜0.05%、最終焼鈍後に10〜40%
の2次冷間圧延を施し、または熱間圧延におけるスラブ
加熱温度を1100℃以下とする。
Description
分野において、イヤリングが小さく、かつ高生産性にて
製造できる極薄容器材料に関するもので、特に絞り、し
ごきおよび引き延ばし加工を経て製造される2ピース缶
用の材料として利用される鋼板及びその製造方法に関す
るものである。
素材の使用量を減らすことで缶コストを低減するため、
素材の薄手化が求められている。この背景で製造される
極薄材料の製造時に必要とされるのは、焼鈍工程におい
てヒートバックルと呼ばれる鋼板の腰折れを抑制し、生
産効率を高めることである。このためには鋼板の焼鈍温
度を低く抑えることが有効で、再結晶温度の低い鋼板が
求められている。再結晶の観点から焼鈍温度を高く設定
せざるを得ない状況でのヒートバックル対策としては、
焼鈍時には目的の板厚より厚い鋼板を通板し、その後再
冷延(2CR)を施し目的とする板厚を得る方法が実用
化されている。この方法は缶強度を確保する観点で、極
薄材の適用による強度低下分を加工硬化により補うため
都合のよい製造法である。
る、絞り成形工程の後、しごきまたは引き延ばしなどに
より缶壁高さを高くしたDI缶やDTR缶に代表される
ような、底と胴部を一体成形した容器の製造量が増加し
つつある。これらの成形時には、鋼板歩留まりやしごき
または引き延ばし成形性を低下させるイヤリング発生を
低く抑えることが望まれている。イヤリングは鋼板の集
合組織に起因して発生するもので、集合組織形成に大き
な影響を持つ冷延圧下率の制御が重要となっている。
と2CRの圧下配分を制御した鋼板が特開昭58−15
1426、特開昭59−113123、特開平7−22
8925などに開示されている。しかしこれらの鋼板で
は近年要求される0.2mm以下での極薄材料において
は、耐ヒートバックル性、低イヤリング性を満足しきれ
ていない。
755、特開平6−41683で容器材料への適用が検
討されているが、B添加の目的は硬度、時効性および粒
径などの調整のためであり、イヤリングを制御する目的
で使用されているものは見あたらない。
経て製造される2ピース缶用容器に適した鋼板及びその
製造方法を提供するものである。
ろは、B添加極低炭素鋼において、Bの添加に伴い形態
が大きく変化する窒化物について、Al窒化物として存
在するNとB窒化物として存在するNの比を限定するこ
とで集合組織を制御し、2CR後のイヤリング発生を抑
制しうる鋼板を得ることである。
4%以下を含み、B/N:0.6〜1.4、(AlNと
して存在するN)/(BNとして存在するN)<0.
4、引張強度400MPa以上であることを特徴とする
イヤリングが小さい2ピース容器用鋼板。
することを特徴とする前記(1)記載の2ピース容器用
鋼板。
冷間圧延を施すことを特徴とする前記(1)又は(2)
記載の2ピース容器用鋼板の製造方法。
を1100℃以下とすることを特徴とする前記(1)〜
(3)の内のいづれかに記載の2ピース容器用鋼板の製
造方法。がある。
先ず、本発明の基本的な技術思想を述べる。
生する。この集合組織は鋼板製造工程の全般にわたって
変化するが、加工により直接的に結晶回転を起こさせる
冷延工程の影響が相対的に大きい。われわれは2CR工
程で製造される極低炭素鋼について、1CRおよび2C
Rの冷延率配分とイヤリング発生を検討する内、B添加
により2CRへの冷延率配分が高くても低イヤリングと
なることを知見した。一般には冷延加工によって集合組
織は{111}〜{211}面強度が高くなり、イヤリ
ングとしては圧延方向と45゜の方向に耳が発生するよ
うになる。このため、2CRによって低イヤリング化を
達成するには2CR前、つまり焼鈍後の状態で0°、9
0゜の方向に耳が発生するように制御しておくことが好
ましいと考えられる。または2CRによって{111}
〜{211}方位へ結晶回転しにくい方位を焼鈍後に形
成しておくことも2CR材で低イヤリングを達成するた
めに有効と考えられる。現時点ではメカニズムは明確で
はないが、本発明における焼鈍後の集合組織と2CRに
よる結晶回転の組み合わせがイヤリングを小さくするも
のとなっていることは間違いない。現象的には、各種製
造要因とイヤリング性についての関係を検討し、各要因
の中でも特に、B、AlおよびNとの関連が強いことを
知見し、さらに詳細な検討を行い、Al窒化物として存
在するNとB窒化物として存在するNの比で、イヤリン
グ性を判別できるとの結果を得た。一般にNのような侵
入型固溶元素は転位との相互作用が強く、また鋼中での
拡散も早いため材質に大きな影響を与える。また析出物
についても鋼中析出物としては比較的微細なAlN、B
Nなどは材質への影響が大きいと考えられ、固溶Nまた
は窒化物を制御することで前述のような集合組織変化が
もたらされたものと思われる。
まず、成分について説明する。成分はすべて重量%であ
る。
ごき性、引き延ばし性、縮径時の耐ネックしわ性、フラ
ンジ成形性などの点から低い方が好ましく、上限を0.
004%とする。特に、しごき、引き延ばし、フランジ
成形時に延性が良好な材質が必要な場合は、0.001
5%以下まで低減すれば、特性を大幅に向上させること
が可能である。しかし、過剰な低減はコストの上昇を招
くばかりでなく、鋼板を軟質にし缶強度不足まねくの
で、下限を0.0003%とする。
物の形成を制御する上で、重要な元素である。多量に含
有すると窒化物が過剰に生成し、本発明の目的を達成で
きないため、上限を0.004%とする。
性を向上させるので本発明においては必須元素として添
加される。しかし過剰な添加はイヤリング性、その他の
缶特性を劣化させるとともに再結晶温度を上昇させ焼鈍
温度上昇の必要が生じヒートバックルを発生しやすくな
る。要点はNとの比であるのでB/Nで0.6〜1.4
とする。
の制御であり、B添加極低炭素鋼中で、AlNとして存
在するNとBNとして存在するNの比が、0.4以下で
あることが必要である。ここでAlNとして存在するN
とは、鋼板をヨウ素アルコール溶液中で溶解した時の残
滓を水酸化ナトリウム水溶液中で溶解した溶液中のAl
量を分析し、これを全量AlNとしてN量に換算した値
である。またBNとして存在するNとは、鋼板を臭素ア
ルコール溶液中で溶解した時の残滓をリン酸、硝酸、過
塩素酸、硫酸の混合液中で溶解した溶液中のB量を分析
し、これを全量BNとしてN量に換算した値である。
加量およびその比、窒化物の析出核となる酸化物すなわ
ち鋼中Oの含有量、製造工程全般にわたる熱履歴が重要
となる。Al/B:20以下、Al:0.02%以下と
することで、鋼中に過剰に存在する固溶Nが窒化物を析
出する際に、AlよりBと優先的に結合することで窒化
物の種類と量の好ましい制御が可能となる。また、Oは
0.001〜0.008%が窒化物制御に有効である。
これは鋼中Oは、Si、Al、Mnの酸化物として存在
するが、適当な量だけ存在することで窒化物の析出核と
して有効に働き、好ましい窒化物制御が可能となると思
われる。しかし、過剰な鋼中Oは酸化物を粗大化させ2
P缶のような極薄加工で割れ起点となり製品品質を著し
く劣化させるため、上限を0.007%とすることが好
ましい。
じて添加される。過剰な添加は、材料を硬化させ缶成形
ができなくなる場合があるばかりでなく、イヤリング性
も劣化させるため上限を0.05%とする。また、0.
01〜0.05%の範囲でPを添加することで2CR後
のイヤリング性も向上する。
缶の強度、特に耐圧強度確保の観点から材料は硬質とし
ておく必要がある。このため、本発明では鋼板の引張強
度を400MPa以上と限定する。
CRは焼鈍通板性確保のため、または必要な缶強度を得
るために行われる。本発明鋼は2CR率が低い場合でも
従来材と同等以上の良好なイヤリング性を示すが、特に
表2及び図4の鋼種aについての2CR率とイヤリング
率との関係を示すグラフから明らかなように、2CR率
が10〜40%の場合に従来材では見られない良好なイ
ヤリング性を示す。
ることにより、図2に示すように、良好なイヤリング率
を示す。
時のスラブ加熱温度の影響が大きく、図3に示すよう
に、この温度を1100℃以下と制限することでイヤリ
ング性ばかりでなく、深絞り性、耐ネックしわ性も向上
させることができる。
強度をもたせるため種々の方法が採られるが、P添加や
2CRばかりでなく、Si、Mnなどの強化元素を添加
しても、また耐食性など各種特性向上のための元素添加
をした場合にも本発明の効果が失われるものではない。
として使用されるが、表面処理により本発明の効果はな
んら損なわれるものではない。缶用表面処理としては通
常、錫、クロム(ティンフリー)などが施される。ま
た、近年使用されるようになっている有機皮膜を貼った
ラミネート鋼板用の原板としても発明の効果を損なうこ
となく使用できる。
とし、1200℃でスラブ加熱を行った。その後熱間圧
延を行い630℃で巻き取り、86−94%の範囲で一
次冷間圧延を行い、670℃の連続焼鈍を行った。さら
に2CRとして1−50%の範囲で冷間圧延を行った。
いてイヤリング率と耐ヒートバックルの評価を行った。
とカップ胴壁高さとの関係、即ち、耳発生の状態を示し
ている。イヤリングの評価においては耳発生の程度を示
す指標として、図1、式1によって表されるイヤリング
率を使用した。イヤリング率が大きいほど耳発生が顕著
となる。なお、通常の2ピース缶用材料としては本式に
よるイヤリング率で約4%以下のものが使用されてい
る。
を含む種々の圧下率で2CRを施した最終板厚0.18
mmの鋼板で特性を評価した結果である。なお、トータ
ル冷延率は87〜95%であった。ヒートバックルにつ
いては再結晶温度+40℃で連続焼鈍ラインを通板した
際の、ヒートバックル発生の有無で判定した。
である。ここでトータル冷延率とは(最終板厚)/(冷
延前板厚)で定義され、1CRおよび2CRを含んだ冷
延工程での圧延率である。図2に示すように、本発明鋼
では90%以上の高冷延率領域で比較鋼と比しイヤリン
グ率が小さい。また比較鋼は、2CRを適用すると1C
Rよりもイヤリング率が大きくなるが、本発明鋼では、
2CRを適用した場合にも非常に低いイヤリング率とな
るため、低イヤリングと良好な耐ヒートバックル性の両
立が可能となる。
造されたものはイヤリング性、耐ヒートバックル性とも
に良好な特性が得られている。
延率92〜93%、2CR率25〜35%の発明鋼につ
いて、(AlNとして存在するN)/(BNとして存在
するN)の影響を見たものである。図3に示すように、
同程度の(AlNとして存在するN)/(BNとして存
在するN)であっても、スラブ加熱温度が1100℃以
下の場合にはイヤリング性の向上が見られる。特に、
(AlNとして存在するN)/(BNとして存在する
N)の比が、0.4を境として、0.4以下になると急
激にイヤリング率が小さくなる。
リング率を小さくしつつ、焼鈍時のヒートバックル発生
率を低減することができ、極薄容器材料の高効率な製造
が可能となる。
図である。
/(BNとして存在するN)とがイヤリング率に及ぼす
影響を示す図である。
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%でC:0.004%以下、N:
0.004%以下を含み、B/N:0.6〜1.4、
(AlNとして存在するN)/(BNとして存在する
N)<0.4、引張強度400MPa以上であることを
特徴とするイヤリングが小さい2ピース容器用鋼板。 - 【請求項2】 P:0.01〜0.05%を含有するこ
とを特徴とする請求項1記載の2ピース容器用鋼板。 - 【請求項3】 最終焼鈍後、10〜40%の2次冷間圧
延を施すことを特徴とする請求項1又は2記載の2ピー
ス容器用鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 熱間圧延におけるスラブ加熱温度を11
00℃以下とすることを特徴とする請求項1〜3の内の
いづれかに記載の2ピース容器用鋼板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1136579A1 (en) * | 2000-03-22 | 2001-09-26 | Corus UK Limited | Ultra low carbon boron steels (ULCB) for applications requiring extreme drawability and/or cold formability |
EP2700731A1 (en) * | 2011-04-21 | 2014-02-26 | JFE Steel Corporation | Steel sheet for can with high barrel-part buckling strength under external pressure and with excellent formability and excellent surface properties after forming, and process for producing same |
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- 1997-07-29 JP JP21698097A patent/JP3548390B2/ja not_active Expired - Fee Related
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EP2700731A4 (en) * | 2011-04-21 | 2015-04-08 | Jfe Steel Corp | STEEL PLATE FOR CANS WITH HIGH RUMP NICKNESS STRENGTH UNDER EXTERNAL PRINTING AND WITH EXCELLENT FORMABILITY AND EXCELLENT SURFACE PROPERTIES AFTER FORMING, AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF |
US10174393B2 (en) | 2011-04-21 | 2019-01-08 | Jfe Steel Corporation | Steel sheet for can with high barrel-part buckling strength under external pressure and with excellent formability and excellent surface properties after forming, and process for producing same |
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