JPH11501851A - 歯科矯正用ヘッドギアの装着遵守モニター - Google Patents

歯科矯正用ヘッドギアの装着遵守モニター

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Abstract

(57)【要約】 線形のばね対力モジュールを使用する型式の歯科矯正用ヘッドギアのユーザの装着遵守程度を監視し且つ装着を動機付ける装置及び方法である。該ばね対力モジュールは、直線状に動いて分離するとき、ばね張力を提供し得るように相互に接続された第一及び第二の対向した取り付け部材を備えている。位置センサが取り付け部材間の線形動作を検出する。マイクロプロセッサが位置センサから信号を受け取り、装着の持続時間、力の大きさ、及びかかる動作が性質上、生物学的であるとするのに十分な程変わりやすいものであるか、又は誤魔化そうとする行為が為されたかどうかを判断する。プロセッサにより為された多数の判断事項をある時間に亙って記録し、ヘッドギアを装着する指導の遵守程度を評価し、また、ユーザが装着を遵守するように常時動機付ける。

Description

【発明の詳細な説明】 歯科矯正用ヘッドギアの装着遵守モニター技術分野 本発明は、若年者の歯科矯正者が一般的な脱着可能な歯科矯正用装置である歯 科矯正用ヘッドギアを装着すべしとする指導を遵守する程度を測定し且つ向上さ せる電子装置に関する。更に、この装置は、ヘッドギアを使用する間に、臨床時 に且つ科学的に重要な情報である付与された力の持続時間及びその大きさも測定 する。関連する出願 本出願は、最初に、1995年9月27日付けで「歯科矯正用ヘッドギアの装 着遵守モニター(Orthodontics Headgear Compli ance Monitor)」という名称の米国特許仮出願第60/004,3 82号として出願された。背景 米国では、約8,856人の歯科矯正専門医がおり、また、歯科矯正を行う把 握し得ない数の歯科医がいる。アメリカ歯科矯正医団体(the Americ an Association of Orthodontists(米国の歯 科矯正医の90%以上がAAOの構成員である))の構成員を調査した結果、1 992年に、1,358,000人の患者が歯科矯正の治療を始めたことが分か った。歯科矯正治療の平均コストは、永久歯を持つ子供の患者1人当たり320 0ドルであり、大人の患者1人当たり3500ドルと推定される。1992年に 治療を始めた新たな患者の内、約77%は、18才以下である。患者が治療の指 導方法を守らないことが1つの難しい問題であることに反対する歯科矯正医は殆 どいないであろう。その経済的なコストに加えて、治療の指導を守らないことは 、治療期間が長引き、また、歯科矯正効果を達成し得ない結果となる可能性があ る。歯科矯正医の仕事を更に面倒にするのは、患者が実際に、所定の矯正方法( 例えば、ヘッドギアを使用すること)を守る程度に関する客観的な情報が無いこ とである。1つの最近の歯科矯正医に対する調査によれば、治療の指導を守って いることを評価するための何ら特別な方法がないという。 広義において、歯科矯正治療の目的は、患者に対して、歯列を正しくし、機能 し得る咬合とし、また、顔の外観を最適なものにすることである。米国の子供の 5乃至20%に角度等級IIの咬合せ不良が見られる。この一般的な状態は、男女 双方に生じ、社会経済的地位に関係せず、また、自然に矯正されることは稀れで ある。この型式の咬合せ不良は、上顎骨と下顎骨との位置の不一致として生ずる 前後空隙面が原因であると診断される。具体的には、下顎骨が上顎骨に対して理 想的な位置よりも後方の位置にある。この咬合せ不良の患者(類I、角度等級II )は、典型的には、前傾又は突出した上側門歯、後退した下顎、及び過度の上歯 突出を有する者として記載されている。 軽症の等級IIの患者を除く全ての患者において、下側骨格の不調和が存在する が、少なくともその原因の一つは、歯の間の空間的な関係が異常であることであ る。その結果、この咬合せ不良の一般的な治療は、顎同士の間における相対的な 成長パターンを変更し、これにより、顎同士が適当な整列状態となるように、成 長する子供に歯科的矯正力を加えることを必要とする。これは、下顎骨の前方へ の成長が妨害されずに続くことを許容しつつ、上顎骨の前方への成長を制限する ヘッドギア装置によって一般的に行われる。最近の全国的な調査の結果、10人 の歯科矯正医の内9人が等級IIの咬合せ不良の治療に際して、ヘッドギアを「常 時」又は「時々」使用している。 歯科矯正治療法は、歯同士及び/又は歯と顎骨との間における空間的関係の不 良を矯正するため、歯及び骨に力を付与すべく脱着可能な器具を使用することに 頼ることが多い。こうした装置の脱着可能な性質のため、患者(一般に、成長中 の子供)は歯科矯正医から装置を着用する旨の指導に従わなければならない。不 都合なことに、脱着可能な歯科矯正装置を着用するという指導を十分に守らない ことは、例外的なことではなく、通常のことである。また、この一般的な問題は 、薬剤治療(例えば、処方通りに薬を飲むこと)の場合にもみられる。 ヘッドギア装置は、19世紀以降、使用されている。この装置は、脱着型の歯 科矯正用装置であり、患者は一般的に、1日12−14時間、この装置を装着す るように指導される。ヘッドギアは、口内に入り、上顎の第一臼歯によって上顎 骨に取り付けられる内側の金属製の顔弓から成っている。2つのアームがこの内 側顔弓から口の外側まで伸長し、次に、頬の外側に沿って後方に曲がって、頭の 後部に向けた方向を向く。柔軟な可撓性の布ストラップが首の後側に当てられ、 首ストラップの各端部にて、力モジュールが金属製ヘッドギア弓状部材のそれぞ れの外側アームに取り付けられる。このようにして、首の後側は、力モジュール に対する口外の固定点を提供し、上顎骨に対し後方への引張り力を付与する。こ の力は、正常に成長する下顎骨に対して上顎骨が前方に成長するのを妨害する。 この顎骨間における成長の差が患者が有する歯科矯正上の問題点を矯正する。こ の型式の問題点が成長する子供(成長の調整が可能であるとき)にて矯正されな かったならば、治療方法の選択枝は制限され、抜歯するか、又は、患者の顎の位 置を外科的に矯正しなければならなくなる。ヘッドギア装置は、顎骨の関係を歯 科矯正的に矯正することに加えて、歯槽の変化により咬合せ不良をも矯正する。 1974年、ノースカット(Northcutt)は、アレダイン・コーポレ ーション(Aledyne Corporation)が開発し且つ販売する装 置である、最初のタイミングヘッドギアを発表した。この装置は、ノースカット は、実例を基に、このタイミングヘッドギアを導入した後、その患者は1週間当 たり平均約35−50時間から1週間当たり平均100時間以上まで、そのヘッ ドギアを装着する時間が長くなったと報告している。不都合なことに、これは実 験に基づくものではなく、単なる実例の観察によるものである。しかしながら、 最近の研究では、14名の対象についてカレンダを使用して、改造した「特製」 ヘッドギアタイマーから実際にヘッドギアを装着したデータを集める一方で、そ のヘッドギアの装着状態を監視している。簡単な監視の結果、着用を遵守する程 度が大きく増大している(p<0.05)。装着行為を監視することを可能にす るためフィードバックを提供することが指導を遵守する上で顕著に有利な効果が あることを示す更なる証拠がある。ヘッドギアモニターの設計が適切であるなら ば、その監視は極めて容易となり、また、行動が効果的に監視され、また、その 結果、指導を遵守する程度が強まり、ヘッドギアの装着時間を長くするために、 複雑な行動の修正原理を適用することも可能にする。 アレダイン型式のヘッドギアタイマーには、幾つかの欠点があり、その結果、 このヘッドギアタイマーは、現在、製造されていない。その最悪の欠点は、生体 外での信頼性試験において、14個のタイマーの内、70%以上、不正確なもの が9個あることである。また、このタイマーの設計には、その他の欠点もある。 装着時間は、ヘッドギアを歯科矯正医院の高価なデジタル読み出しメータに接続 しなければ解読できない。このため、患者及びその親は、歯科矯正の指定時間の 間の装着時間を監視することができない。更に、このタイマーは、製造メーカの 特別なヘッドギアの設計及び力モジュールと共にしか使用できない。当該出願人 が知る限り、現在、ヘッドギアタイマーを業として製造している会社は存在しな い。その結果、腕時計から、「特製」のタイマーを製造するための方法を記載し た最近の論文があるが、従来の型式のもののように、次の問題がある。即ち、1 )弾性的なモジュールを首ストラップに取り付け、これにより、装置を取り外さ ずに、異なる弾性的モジュールを変更し、又は選択する歯科矯正医の選択が不可 能となること、2)力モジュールを安全に取り外すという特徴(これは、全ての ヘッドギア装置に必要とされる)が無くなることである。更に、この簡単なタイ マーは、患者が容易に誤魔かすことができ、このことは、患者が装着の指導を遵 守することを正確に測定しようとするとき、重大な制約となる。この問題点に対 する当該出願人等の新規な取り組みの結果、原型としてのヘッドギアモニターが 設計され且つ製造されるに至った(歯科矯正の科学的原理、行動科学及び電子技 術に基づく)。これらは、従来のヘッドギアタイマーの欠点を解消する。全国健 康調査のデータ(1973)から、米国の子供の15−20%は、ある型式の咬 合せ不良(角度等級IIの咬合せ不良)を有しており、これは、一般に、ヘッドギ ア装置を使用して治療していることを明らかにしている。付与された力の持続時 間及びその大きさを測定することのできる、信頼性の高い、装着指導を遵守して いるかどうかを監視するモニターは、この状態の治療を向上させる非常に価値あ る研究の道具となるであろう。更に、ヘッドギアのモニターが歯科矯正の治療効 果を向上させるならば、これは、ヘッドギア装置の標準的な構成要素の一つとな るであろう。発明の概要 本発明は、線形ばね力モジュールを備える型式の歯科矯正用ヘッドギアの装着 指導を遵守しているかどうかを監視するモニターを提供するものである。該力モ ジュールは、直線方向に動かして分離させたときに、ばね張力を提供し得るよう に相互に接続された対向する第一及び第二の取り付け部材を備えている。取り付 け部材間の直線方向への動作を検出するため、位置センサが力モジュールに設け られている。また、バッテリー作動式のマイクロプロセッサのようなプロセッサ 手段が搭載されており、位置センサから信号を受け取り、その検出された動きが 生物学的な出所によるものとするのに十分な程変わりやすいものであるか否かを 判断する。非揮発性EEPROMのような記憶手段がプロセッサ手段により為さ れた判断を記録する。 好適な形態において、視覚的なディスプレイがその記録された判断を表示し、 遵守程度の集合的な記録を提供する。また、好適な形態において、位置センサは 、取り付け部材の一方と共に動き得るように取り付けられた磁石と、該磁石の直 線状の動作を検出する位置に配置された少なくとも1つのホール効果センサとを 有している。複数のホール効果センサを使用することにより、磁石の動作及び位 置を明確に判断することができる。このように、この装置は、時間に亙って付与 されるばね張力を定量的に測定し得るように較正することができる。 本発明の別の特徴によれば、赤外線LED/フォトトランジスタのような光学 的インターフェイスを使用して、記録されたデータをダウンロードし且つプログ ラミング命令をアップロードすることができる。 また、本発明は、歯科矯正用ヘッドギアを装着する指導を遵守する程度を測定 し且つその装着を動機付ける方法も含む。線形ばね力モジュール及びモジュール 内の直線状の動作を検出する位置センサが提供される。センサからの信号を受け 取り、その検出された動きが生物学的な出所によるものとするのに十分な程変わ りやすいものであるかどうかを判断し得るように処理される。ヘッドギアの装着 遵守の程度を評価するため多数の判断が時間に亙って記録される。 集合的な記録内で記憶された判断を視覚的に表示することにより、ユーザは刺 激されて、更にその指導を遵守するようになる。更に、付与されたばね張力の定 量的測定値を治療効果の評価に使用することができる。 本発明は、指導の遵守程度を測定することと、患者の遵守程度を顕著に増大さ せることとの双方を目的とするものである。この装置は、既存の歯科矯正用の脱 着装置内に内蔵し、また患者の遵守程度を正確に記録し得るよう十分に小型化す ることができる。顕著な有利な点は、本発明はソフトウェアアルゴリズムを使用 して、偽の又は見せかけのデータを除外することが可能な点である。力モジュー ルに長時間、静的な張力が加わることは、指導に遵守として記録されない。測定 された動作及び張力は、出所が生物学的原因によるものとする程十分に変わりや すいものであるとみなさなければならない。患者、親及び歯科矯正医は、遵守程 度に関するフィードバックが容易に利用可能であり、所望であるならば、歯科矯 正医院にて一般に見られるコンピュータ装置に実際のデータを呼び出すことがで きる。 可能性のある市場が大であるため、歯科矯正的な指導を遵守する程度を評価す るための装置を開発すべく従来商業的な試みが為されていた。当該出願人が設計 した装置は、従来の装置の問題点を解決するもである。更に、このモデル(従来 の試みと異なる)が指導を遵守する程度を向上させ、従って、治療効果を向上さ せ得るように生理学的原理が当該設計に組み込まれている。 図面の簡単な説明 幾つかの図面の全体を通じて同様の部品は同様の参照番号を使用して表示され ている。図面において、 図1は、本発明に従って、現在使用される監視装置が内蔵された一対の安全− 解放機構を採用する、歯科矯正用ヘッドギアを装着する状態を示す図解図である 。 図2は、本発明を具体化するヘッドギアに使用される安全−解放機構の一つ の構造の詳細を示す拡大縮尺図である。 図3は、図2の頂側部から見た図である。 図4は、図2の略線4−4に沿った断面図である。 図5は、本発明を具体化するヘッドギアに使用される安全−解放機構の一つの 代替的な好適な構造の詳細を示す、拡大部分側面図である。 図6は、図5の頂側部から見た図である。 図7は、本発明の電気回路の概略図である。 図8は、ばねが弛緩した位置にあるときの、センサの構成要素の過度に弛緩し た位置を示す、取り付けストラップ(帯ひも)の側面図である。 図9は、本発明の構成要素の相対的な配置を示す、概略図的な側面図である。 図10は、グラム単位の付与されたばね力と比較した、線形に隔たったホール センサからの相対的なA/D値を示すグラフである。 発明を実施する最良の形態 簡単に説明すれば、当該装置10は、患者、親、歯科矯正医に指導の遵守程度 に関するフィードバック信号を提供し得るように液晶表示器(LCD)14を備 える、低エネルギ消費のバッテリ作動式のマイクロプロセッサを使用する。この マイクロプロセッサは、装着を測定するため、2つの型式の磁気検出器16、1 8、19と、患者の誤魔化しを防止するため、ソフトウェアルーチンとを使用す る。ヘッドギアが使用されたことは、EEPROM(電気的消去書き込み可能な 読み出し専用メモリ)20内に記憶される。市販のパーソナルコンピュータ(例 えば、IBM及びマッキントッシュ)を使用して、データをダウンロードし、表 又はグラフでディスプレイし且つ治療記録を得ることができる。 特に、図1を参照すると、歯科矯正用ヘッドギア24が患者の頭に使用するよ うに適正に配置された状態で図示されている。該ヘッドギア24は、患者の顔の 両側部に沿って伸長する外端を有する従来の顔弓26と、従来の可撓性で且つ非 弾性的な首ストラップ(帯ひも)28とを備えている。従来の方法にて顔弓26 に後方へのばね張力を付与する、同一の2つの安全−解放張力付与機構が全体と して、参照番号22で表示されている。 同様に、図2乃至図4を参照すると、安全−解放機構は、首ストラップ28に 取り付けられた、開放端のスナップリング30を備えており、該スナップリング 30は、力付与モジュール22の溝34に係合する一対の自由端部分32を有し ている。顔弓26が着用者の顔から前方に引っ張られたとき、安全解放機構を通 して伝達された張力の程度は、その安全解放機構が伝達可能な最大の張力レベル に達し、この状態となったとき、その機構の一方、又はその双方は、顔弓26と 首ストラップ28との間の接続を解放し、このため、何等、顕著な影響が生ずる ことはない。安全解放機構を非係合状態にするのに必要な力の程度は、自由端部 分32が溝34の中を外方に摺動するのに十分な距離だけ、その自由端を拡げる のに必要な力により決まる。 図5及び図6には、この装置10′の一つの代替的な実施の形態が図示されて いる。この実施の形態10′は、上述したものと略同一の機能を果たすが、装置 10′の全体寸法を増すことなく、電子構成要素を収容するためのより有用な内 部空隙を提供する。全体寸法が小さく、溝34に係合する開放端の代替的なスナ ップリング30′を使用することにより、空隙の効率が達成される。この溝は、 後方に伸長する部分35の一部である。 ばね張力は、力モジュール22、22′内にて内部ばね36により顔弓26に 付与される。このばね36は、接続ストラップ40の頭部分38により部分的に 圧縮され、このストラップ40は、ヘッドギア24を使用する間に、ばね36を 圧縮する。ばね36は、完全に圧縮されないため、着用者がその頭を自由に動か すことを許容し得るように、顕著に制限することなく僅かな動きを為し得るよう にする。典型的な接続具の完全な開示は、その内容を特に引用して本明細書に含 めた、米国特許第4,226,589号に見ることができる。 幾つかの着想からこの技術を開発することが可能となった。その第一は、「力 −モジュール」22内に完全に発生され、その後に、静止した金属製の顔弓26 により上顎に伝達される力がヘッドギアによる治療効果のある力成分であること を認識したことである。この力が発生される過程の幾つかを測定することは、ヘ ッドギアを使用すること(即ち、指導を遵守すること)を評価する理想的な方法 であろう。第二に、この測定が「力モジュール」22内で完全に為され、このた め、歯科矯正医が使用する顔弓26又は首ストラップ28の型式に関係ないよう にするという着想である。この設計的特徴は、ヘッドギアの設計にとって重要で ある、首ストラップからの力モジュールの安全な接続解除という特徴に影響を及 ぼさない。 典型的な歯科矯正用の力モジュール22を観察すれば、この力モジュールの中 心に形成された中空の円筒状穴42内に着座している受動的なコイルばね36を 見ることができる。力は、力モジュール内でばねを圧縮することにより発生され る。ヘッドギアを適正に装着したならば、このばねは、力モジュールの一端を首 ストラップ28に取り付け、力モジュールの他の構成要素(即ち、ばねを動かし 且つ圧縮する構成要素)を顔弓の他方のアームに取り付けることにより、圧縮さ れた(作用)位置に保持される。患者は、力が発生する(即ち、ばねが圧縮され る)ように、力モジュール22の可調節部分40を顔弓26の他方のアームに取 り付けるように指導を受ける。この状態では、顔弓26の外側のアームが頭の後 部により近接する位置まで動く場合にのみ、ばねはより弛緩した状態となること ができる。これは、実際には、患者が頭の位置を自然に変える際に起こる。頭を 回転させ、又は動かすと、右側及び左側の力モジュール22内のばねが弛緩し又 はより圧縮された状態となる。このことは、当該モニター10の設計に対して、 別の重要な要素を提供することになる。ヘッドギアのタイマーを誤魔化そうとす る殆どの試みは、ばねを圧縮することを含む。最も簡単には、このことは、ヘッ ドギアを擬人的なマネキンの頭に嵌めるか、又は力モジュール22の両側に重り (例えば、本を積み重ねたもの)を付与することによりばね36を作用位置に保 持することによって行われる。しかしながら、誤魔化そうとするこうした試みは 、ばねを静的なやり方で圧縮する一方、患者が実際に装着している際には、ばね 36は、頭の位置の変化に対して常に調節される。従って、ばねの圧縮程度が時 間と共に評価されるに場合には、ソフトウェアアルゴリズムを使用して、実際の (有効な)ヘッドギアの装着間に生ずるばね圧縮程度を、静的な(無効な)装着 から識別することができる。アルゴリズムの特性(信号の変わり易さの幾つかの 統計学的測定値に基づく)、信号がサンプリングされるとき及びサンプリング時 間は、この装置を装着している患者から得られたデータに基づいて測定すること ができる。周知の統計学的等式を使用すれば、中央値フィルタを使用して、その 集めたデータから外部ノイズにより生じたスパイクを除去することができる。有 効なヘッドギアの装着から集めたデータ、及び誤魔化そうと試みが為されたこと を示す規則性を有する無効な静的動作又は機械的に作られた動作から集めたデー タに基づいて、信号の標準偏差及び信号の変化を所定の時間に亙って評価する。 こうした判断基準を使用すれば、当業者は、本発明に使用するための適切なソフ トウェアを容易に書くことができると考えられる。 最後に、ヘッドギアモニター用の当該新規な設計における最後の重要なファク タは、力モジュール22、22′内でのばねの圧縮程度を検出し得ることである 。ばね36の後側は、圧縮中、力モジュールの前面側により近接した位置となる ようにされる。患者は、力モジュール22、22′の可動部分40を前方に引っ 張り(ばねにより)、その可動部分を顔弓26の外方のアームに取り付ける。力 モジュール22、22′のこの可動部分は、「ストッパ」38を有しており、こ のストッパは、ばね36がモジュール内で受動的な状態に止まるの許容しないが 、人間が力モジュールの可動部分40を顔弓26の外側アームまで前方に引っ張 ったとき、ばねを付勢して圧縮する。このように、ストッパ38は、力モジュー ル22、22′内での位置を変化させ、ばね36が圧縮される。 強力な磁石44がストッパ38に取り付けられている。力モジュール22の外 側部分に空間的に固定したホールセンサ18、19は、磁石44が力モジュール 22内を動くときの磁力の相対的な変化を明確に測定することができる。ホール センサは、磁界の強度の変化を測定する。このように、ホールセンサ18、19 は、ストッパ38の位置従ってばねの圧縮値に直接関係した磁界の強度のアナロ グ測定値を提供する。また、小型の磁性リードスイッチ16を採用し、ヘッドギ アを最初に装着したとき、磁石44の位置を最初に検出し、これにより、より多 くの電力を消費することになる磁石の位置を追跡するためにホールセンサ18を 常時使用することを不要にすることができる。 テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)から販 売されているTSS400−S3マイクロプロセッサ12は、磁性リードスイッ チ16を監視し且つホールセンサ18、19からのアナログ信号を監視すること ができる。このマイクロプロセッサは、信号の可変性を評価することにより実際 に装着したことの証拠を得るためホール信号を統計学的に評価することができる 。実際の装着時間は、マイクロプロセッサ12を使用して測定し且つ液晶表示器 14上に表示することができる。データは、EEPROMを使用して、非揮発性 記憶装置20内に保存することができる。また、このマイクロプロセッサ12は 、外部装置(図示せず)から赤外線フォトトランジスタ47に送られた赤外線パ ルスを検出することもできる。この赤外線フォトトランジスタ47はディスプレ イのリセット、クロックのセット、新しいソフトウェアルーチンのリロード、又 はヘッドギアモニターの一部として含めた赤外線LED46を介してデータのダ ウンロードのような種々の機能を行うようにマイクロプロセッサ12に信号を送 る。 TSS400−S3センサの信号プロセッサ12は、時間維持機能と、12ビ ットの多チャンネルアナログ−デジタル変換部と、液晶表示器ドライバと、6桁 出力部と、4ビットの入力ポートとを備え、容易にプログラム可能である。この マイクロプロセッサは、市販の製品にて使用し得るように超小型化を容易にする ダイ(die)として利用可能である。ヘッドギアに最初に力を加えたときを検 出することのできるために使用されるセンサは、磁性リードスイッチ16である 。2つのホールセンサ18、19がヘッドギアの力を発生させるばねの位置を明 確に測定する。このようにして、相対的な力を定量的に測定し且つ記録すること ができる。 4桁の液晶表示器14は、マイクロプロセッサ12により直接駆動することが でき、また、1日当たりの平均装着時間、及び最後にリセットした後、装着した 合計時間を交互に表示することができる。水からの保護及びいたずら防止のため 全ての電子機器を密封することができる。 市販の3ボルトのリチウム電池電源48は、上述した電子機器を通常使用する のに十分な電力を供給する。マイクロプロセッサは、リチウム電池電力に対して 最適化され、作動モードにて、80マイクロオーム、睡眠モードにて4マイクロ アンペアしか消費しない。記憶装置は非揮発性であり、停電によってその記憶が 失われることはない。 赤外線LED46及びフォトトランジスタ47を力モジュール22、22′内 に組み込むことにより、モジュールとオフィスコンピュータとの間を外部の直列 インターフェースを介して双方向に連絡させることができる。このように、ヘッ ドギアの使用データは、容易にダウンロードし、データログの消去、ソフトウェ アプロトコルの変更を含むプログラムミングを赤外線アップロード機能部を使用 して行うことができる。タイミングは、典型的な水晶クロック装置50により制 御することができる。電子回路の全体は図7に概略図で図示されている。 磁石44は、ホールセンサ18の感度を最適なものにし得るような形状とし且 つ方向決めすることが好ましい。図8に概略図で図示するように、弛緩位置から 作用可能なばね位置まで動くとき、磁石は、領域52の上方に亙って動き、これ により、該磁石は、最初に、リードスイッチ16の状態を変化させ、次に、ホー ルセンサ18、19によって、増大する磁界の強度を検出することができる。所 望であるならば、その寸法に対して比較的により大きい磁界強度を有する希土類 磁石を装置内にて使用することができる。 図9には、力モジュール22内の構成要素の好適な配置が概略図で図示されて いる。この特定の配置は、本発明にとってそれ程重要ではないが、力モジュール 22、22′の寸法又は体積を著しく増大させないように、構成要素の各々を十 分に小型化することが重要である。 所望であるならば、本発明は、ヘッドギア24が使用された時間に対してのみ ならず特定の時間内に付与された力を定量化するためにも、データを補正し得る ように、ホールセンサ18、19により記録された磁界の強度を記録し得るよう にすることができる。 図10を参照すると、直線状に隔たったホールセンサ18、19のアナログ− デジタル値を示す、実験室データに基づくグラフが図示されている。また、リー ドスイッチ16のようなウェイクアップセンサの作用領域も図示されている。磁 石44がその移動路に沿って動かされるとき、各ホールセンサにより記録された 値は、最初に増大し、次に減少する。装着の指導を遵守しているかどうかを定量 的に判断するためには、単一のホールセンサで十分である。所定の時間に亙って 付与される力の量を定量的に測定し且つ記録することが望まれるならば、1つ以 上のホールセンサを有することが必要である。その理由は、そうすれば1つ以上 の線形磁石の位置を単一のホールセンサにより測定した所定の正又は負の値に関 連付けることができるからである。このことは、ある程度の不明確さを生じる。 この不明確さを解消する一つの簡単な方法は、図10に図示するように、直線状 に隔たった複数のホールセンサを使用し、磁石の位置を明確に判断し得るように することである。装置の較正により、相対的又は正確な力の量を任意の磁石の位 置と関連付けることが可能となる。好適な形態において、マイクロプロセッサ1 2は、最初の1つをサンプリングし、次に、その他のホールセンサ18、19が 時間通りに閉じる。 プロセッサ12は、この解決策をホールセンサの使用に一般に関連する技術的 難点に適用している。プロセッサの高インピーダンスの12ビットアナログ−デ ジタル(A/D)の2つの入力をホール素子の異なる電圧導線の各々に接続する 。単一のホールセンサの各導線からのA/D値をサンプリングし、数値の差を磁 界の検出値として使用する。TSS400マイクロプロセッサは、4つのA/D 入力を有するため、複数のホールセンサを追加的な電子機器を使用せずに接続す ることができる。電圧差の信号は、温度及び供給電力の変化に起因する基準供給 電圧に対するホール電圧のドリフト効果を解消する。高インピーダンス入力は、 ホール電流供給源に対する検出電圧の必要とされる独立性を提供する。12ビッ トのA/D分解能は、150マイクロボルトの変化を検出し、これにより、別個 の差動増幅器を不要にすることができる。 上述したように、本発明のヘッドギアモニターは実際の装着の遵守と誤魔化そ うとした行為とを識別できることが重要である。この識別は、ヘッドギアの使用 を誤魔化す(即ち、騙そうとする)試みを識別しつつ、ヘッドギアの装着時間を 記録し得る設計とされた適当なソフトウェアを利用してプロセッサ12により判 断することができる。また、このソフトウェアは、エネルギの使用を最適にし、 電池の寿命を引き延ばすものでなければならない。 このプロセッサは、ヘッドギアが頭に装着されると、磁性リードスイッチが作 動する迄、低電力使用状態(即ち、睡眠モード)に設定される。次に、このプロ セッサは起動され、プログラムは、装着の開始時間を一時的に記録する。ホール センサ18、19によりばねの位置を検出することにより、プログラムは、周期 的に、現在の位置をその前の測定値と比較する。通常のヘッドギアの使用中にお けるばねの位置の生物学的な変動又は不規則性により、ソフトウェアアルゴリズ ムは、誤魔化そうとした試みを示す長時間に亙るばねの静止状態とは異なる実際 の装着時間を判断することができる。 このプログラムは、所定の時間間隔で、プロセッサを停止させ且つばね位置( 即ち、装着時間の有効性)を繰り返し評価するためプロセッサを再作動させるこ とができる。より正確な装着時間の測定は不要であるかもしれないので、サンプ リングは、数分毎に行うならば十分である。このことは、また、エネルギの使用 を最適にし、電池の寿命を引き延ばすのに役立つ。ばねが受動位置まで弛緩した とき、一時的な停止時間を記録する。公称時間(例えば、30分間)内に装着を 示す行為が検出されないならば、有効とされ且つ時間を記入した装着データ(例 えば、装着、取り外し時間、平均的なばね位置)を非揮発性メモリ20内に記録 する。その前のばね位置対力の関係の較正から得られた検索表を使用して、力の 平均値を知ることができる。周知の型式の関連付けられたソフトウェアは、装着 の遵守モニターとコンピュータとの間で双方向の連絡を可能にし、モニターから データをダウンロードし、また、モニター内のソフトウェアをリセットし且つ修 正する。更に、関連付けられたソフトウェアは、表形式及びグラフ形式の双方に てヘッドギアのモニターのデータを評価することを可能にする。 動作を検出するためにホールセンサ及び磁石を使用することは好適な方法であ るが、種々の同等の代替的な選択が採用可能である。例えば、機械的又はその他 の手段の何れかにより可変抵抗を発生させ且つ測定する装置を使用することがで きる。また、光学的にコード化した位置センサ又は流体圧力センサに置き換えて もよい。その他の可能なセンサとしては、超音波素子、磁気−抵抗センサとし、 又は、圧縮可能な可変の力変換器として作用することのできる材料が含まれる。 十分に小型化することのできる、ばねの位置及び/又は圧縮を検出する任意の手 段は、同等の機能を果たすことができる。 その精神及び範囲から逸脱せずに、本発明をその他の多くの変形例及び改変例 に具体化することができる。発明の保護は、本明細書に開示した好適な実施の形 態にのみ限定されるものではなく、均等の理論及び部品の逆配置を含む、請求の 範囲の許容された解釈理論に従って解釈される、次の請求の範囲により判断され るべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ソマ,マニ アメリカ合衆国ワシントン州98103,シア トル,ノース・エイティファースト・スト リート 1134 (72)発明者 プラル,クリス アメリカ合衆国ワシントン州98103,シア トル,ノース・エイティファースト・スト リート 101 (72)発明者 バーレット,ジョージ・エイ アメリカ合衆国ワシントン州98115,シア トル,ノースイースト・セブンティセブン ス 3801,ナンバー 205

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.線形のばね対力モジュールを備える型式の歯科矯正用ヘッドギアの装着遵 守モニターにおいて、 直線状に動いて分離するとき、ばね張力を提供し得るように相互に接続された 第一及び第二の対向した取り付け部材と、 該取り付け部材間の線形動作を検出し得るように配置された位置センサと、 該位置センサからの信号を受け取り且つ該動作が性質上生物学的なものである とするのに十分な程度に変わり易いかどうかを判断するプロセッサ手段と、 該プロセッサ手段により為された判断事項を記録する記憶手段と、を含む装着 遵守モニター。 2.請求項1に記載の装着遵守モニターにおいて、 プロセッサにより為された記録した判断事項を表示する視覚的表示器を更に備 える、装着遵守モニター。 3.請求項2に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記記憶手段が、装着の遵守状態の類型的な記録を提供する、装着遵守モニタ 。 4.請求項1に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記位置センサが、前記取り付け部材の一方と共に動き得るように取り付けら れた磁石と、該磁石の線形動作を検出し得るような位置に配置されたホール効果 センサとを備える、装着遵守モニター。 5.請求項4に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記磁石の動作及び位置を明確に検出する複数のホール効果センサを備える、 装着遵守モニター。 6.請求項1に記載の装着遵守モニターにおいて、 線形動作を検出し且つ前記取り付け部材間の位置を検出し得る位置に配置され た複数の線形位置センサを備える、装着遵守モニター。 7.請求項1に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記線形位置センサが、前記第一及び第二の対向した取り付け部材間に付与さ れたばね張力の定量的測定値を提供する、装着遵守モニター。 8.請求項7に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記第一及び第二の取り付け部材の一方と共に動き得るように取り付けられた 磁石を更に備え、前記線形位置センサが、前記取り付け部材間の線形動作を明確 に検出し且つ定量化する複数のホール効果センサを備える、装着遵守モニター。 9.請求項1に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記記憶手段からの前記記録した判断事項を外部装置に伝達する手段を更に備 える、装着遵守モニター。 10.請求項9に記載の装着遵守モニターにおいて、 前記伝達手段が光学的インターフェースを有する、装着遵守モニター。 11.請求項9に記載の装着遵守モニターにおいて、 外部装置からのプログラム化情報を前記プロセッサ手段に伝達する手段を更に 備える、装着遵守モニター。 12.歯科矯正用ヘッドギアの装着遵守状態を測定し且つその装着遵守を動機 付ける方法において、 線形ばね対力モジュールを提供することと、 該ばね対力モジュール内の線形動作を検出する位置センサを提供することと、 前記センサから受け取った信号を処理し且つ該動作がその性質上生物学的なも のであるとするのに十分な程変化し易いものであるかどうかを判断することと、 ヘッドギアの装着遵守の程度を評価するため、ある時間に亙って多数の判断事 項を記録することとを含む、方法。 13.請求項12に記載の方法において、 前記プロセッサにより為された記録した判断事項を視覚的に表示するステップ を更に含む、方法。 14.請求項13に記載の方法において、装着遵守の累計的な記録が記録され る、方法。 15.請求項12に記載の方法において、 前記位置センサが、前記取り付け部材の一方と共に動き得るように取り付けら れた磁石と、該磁石の線形動作を検出し得る位置に配置されたホール効果センサ とを有する、方法。 16.請求項15に記載の方法において、 前記磁石の動作及び位置が複数のホール効果センサにより明確に検出される、 方法。 17.請求項12に記載の方法において、複数の位置センサが、前記ばね対力 モジュールの線形動作及び位置を検出し得る位置に配置される、方法。 18.請求項12に記載の方法において、 ばね張力の定量的測定値を提供するステップを更に含む、方法。 19.請求項12に記載の方法において、記憶手段からの前記記録した判断事 項を外部の装置に伝達するステップを更に含む、方法。 20.請求項19に記載の方法において、前記伝達が光学的インターフェース により為される、方法。
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