JPH114912A - 中空ソリッドゴルフボール - Google Patents
中空ソリッドゴルフボールInfo
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Abstract
衝撃吸収性を向上することにより、打撃時フィーリング
に優れた中空ソリッドゴルフボールを提供する。 【解決手段】 本発明は、中空コア(4)と該コア上に形
成されたカバー(3)から成る中空ソリッドゴルフボール
において、該中空コア(4)が直径5〜23mmを有する中空
部(1)と該中空部以外の中空コア外層部(2)とから成り、
該中空コア外層部(2)が弾性率265〜985kgf/cm2を有し、
該カバー(3)が厚さ2.5〜5.0mmを有することを特徴とす
る中空ソリッドゴルフボールに関する。
Description
ことなく、衝撃吸収性を向上することにより、打撃時フ
ィーリングに優れた中空ソリッドゴルフボールに関す
る。
ゴルフボールがある。一方は、中実のツーピースボール
等のソリッドゴルフボールであり、一体成形されたゴム
製部材から成るコアおよび該コア上に被覆したアイオノ
マー樹脂等の熱可塑性樹脂カバーから構成される。ま
た、他方は糸巻きゴルフボールであり、中心の固体また
は液体の芯部を、ゴム糸の巻線で巻き付け、次いで1〜
2mm厚のアイオノマー樹脂やバラタ等によるカバーで被
覆したものである。ツーピースソリッドゴルフボール
は、糸巻きゴルフボールと比較すると、耐久性、および
打撃時のボール速度が大きいことから飛距離が大きく、
飛行特性に優れ、特にアマチュアゴルファーを中心に多
くのゴルファーに使用されている。その反面、ツーピー
スソリッドゴルフボールは、打撃時のフィーリングが硬
いという問題点があった。
のフィーリングを改善するために、カバーを軟らかくし
たり、コアを軟らかくしたりする方法が数多く提案され
ているが、いずれもツーピースソリッドゴルフボールの
優れた飛距離を多少犠牲にするものであった。また、コ
アやカバーを多層構造にして改善する方法も提案されて
いるが、製造方法が複雑になり、作業効率上問題が残さ
れている。
を中空にした中空ソリッドゴルフボールを提案した(特
願平8-126973号)。この中空ソリッドゴルフボールは、
中空部分の直径5〜30mmを有し、かつ中空コア外層部が
一般のソリッドゴルフボールのコアを構成するゴムから
構成されているが、中空コア外層部には高比重金属粉末
を配合して、重量の調整を行っている。
ことにより衝撃吸収性が向上し、打撃時のフィーリング
が改善される。また、重量をボールの外側に配すること
から、慣性モーメントが大きくなり、打出角が大きく、
打出直後のスピン量は小さくなるが、スピンの減衰率が
小さくなるので、飛行性能が優れ、飛距離は大きく保た
れた状態になる。中空ゴルフボールは上述の如き優れた
特性を有しているが、本発明等はそれらの性能をより高
いものにする努力を行っている。
衝撃吸収性を更に向上させる手段として、中空部を大き
くする方法が考えられる。但し、中空部を大きくする
と、反発性が低下して飛距離が低下し、打撃時にカバー
およびコア外層部にかかる歪が大きくなってゴルフボー
ルの耐久性が低下し、カット傷が発生し易くなる。
撃吸収性を更に向上することにより、打撃時フィーリン
グの優れた中空ソリッドゴルフボールを提供することを
目的とする。
達成すべく鋭意検討を行った結果、直径5〜23mmを有す
る中空部(1)と中空コア外層部(2)から成る中空コア(4)
を用いる中空ソリッドゴルフボールにおいて、上記中空
コア外層部(2)の弾性率に着目し、それを特定範囲に設
定することにより、飛行性能をを損なうことなく、衝撃
吸収性を向上することにより、打撃時フィーリングを向
上させ得ることを見い出し、本発明を完成させるに至っ
た。
に形成されたカバー(3)から成る中空ソリッドゴルフボ
ールにおいて、該中空コア(4)が直径5〜23mmを有する
中空部(1)と該中空部以外の中空コア外層部(2)とから成
り、該中空コア外層部(2)が弾性率265〜985kgf/cm2を有
することを特徴とする中空ソリッドゴルフボールに関す
る。
記中空コア外層部(2)はシス-1,4-結合を少なくとも40%
以上有するポリブタジエンゴムを基材ゴムに対して90重
量%以上含む基材ゴム、不飽和カルボン酸金属塩、有機
過酸化物、および充填材を含有するゴム組成物の加硫成
形物から成ることが好ましい。
は本発明の中空ソリッドゴルフボールの断面を模式的に
示す図である。本発明のゴルフボールは、中空部(1)と
中空コア外層部(2)から成る中空コア(4)と、該コア上に
形成されたカバー(3)から成る。中空部(1)の直径が大き
いほど、慣性モーメントが大きいゴルフボールを得るこ
とができるが、コアにおいて反発弾性を有するゴム組成
物の加硫成形物層が減少することから、中空部の直径は
5〜23mm、好ましくは10〜20mmの範囲である。中空部の
直径を23mmより大きくすると中空コア外層部に比重調整
のために充填材を大量に使用する必要があり、反発が低
くなり過ぎ、飛距離が低下する。また5mmより小さいと
衝撃力の低減や慣性モーメントの増大によるスピン持続
性などの中空の効果が見られなくなる。
m2を有することが好ましい。本明細書中において、「弾
性率」とはコア外層部(2)の特定の部位から切り出した
縦4mm×横4mm×厚さ2mmの直方体試料を粘弾性スペク
トロメーター(レオロジー社製)を用いて圧縮モードで
周波数10Hzで強制振動させ、4℃/分で昇温させた時
の、20℃での駆動部と応答部の振幅の比と位相差より求
めた複素弾性率E*値を意味する。切り出す特定の部位
は中空部分の大きさ等により変化するが、実施例中に示
した部位を中心とする。弾性率が265kgf/cm2より小さい
と十分な反発特性が得られず、飛距離が低下する。この
理由は次のように考えられている。飛距離性能は、ボー
ル打出し初速、打出角、スピン量が関係して決まる。一
般的にはボール打出し初速が大きく、打出角が大きく、
スピン量が小さくなると飛距離が伸びる。後述する実施
例と比較例との比較において、弾性率が265kgf/cm2より
小さくなると飛距離が低下しているのは、打出角は高い
が、その打出角に対してボール打出し初速が低過ぎるた
めに、高い弾道で低飛距離で落下することとなり、飛距
離が低下するものと考えられる。よって、弾性率は265k
gf/cm2以上が好ましく、飛距離性能に着目すると弾性率
は455kgf/cm2以上が好ましく、更に好ましくは弾性率は
635kgf/cm2以上である。逆に、弾性率が985kgf/cm2を越
えると、硬くなり過ぎて打撃時のフィーリングが悪くな
ると共に、打出角が低いために飛距離が低下する。ま
た、衝撃吸収性も悪化する。よって、弾性率は985kgf/c
m2以下であり、更に衝撃吸収性を高めるためには弾性率
は790kgf/cm2以下が好ましく、更に715kgf/cm2以下が好
適である。よって高い飛距離性能が要求される場合、弾
性率は455〜985kgf/cm2が好ましく、更に635〜985kgf/c
m2が最善であり、飛距離と衝撃吸収性のバランスを考え
ると、弾性率は265〜790kgf/cm2が好ましく、更に455〜
790kgf/cm2が好ましく、更に455〜790kgf/cm2が最善で
ある。
985kgf/cm2を有するとは、コア外層部全域における平均
値がその範囲であればよいが、好ましくは全域において
実質的にその範囲であるのがよい。または、弾性率は内
側から外側にかけて均一であるか、または弾性率はコア
外層部の外側にいくほど大きくなる分布を有することが
好ましく、外側部位の弾性率/内側部位の弾性率の比が
1.005以上、更に1.01以上であることが好ましい。外側
にいくほど大きくなる分布を有すると、打出初速度を低
下させることなくスピン量を低減でき、ドライバーでの
打撃時のボールの打出初期条件が飛距離の良くなる方向
に変化する。上記のような分布を持たせる方法として
は、外側部位と内側部位との配合を変える方法や、金型
内での加硫熱量を外側部位と内側部位とで異なるように
熱源の位置や温度、あるいは加硫時間を設定する方法等
を採用し得る。
は、中空コア用のゴム組成物からハーフシェルを作製し
ておき、それを2つ貼り合わせて中空コアを作製する。
このハーフシェルは中空コア用ゴム組成物を図2に示す
ような金型を用いて140〜160℃で圧縮成形することによ
り全加硫または半加硫して得られる。ハーフシェルの貼
り合わせは貼り合わせ面に接着剤を塗布して行ってもよ
い。半加硫ハーフシェルを用いる場合は、貼り合わせた
後、加硫を完結する必要がある。中空コア(4)の直径は3
2〜38mmであり、それにより中空コア外層部(2)の厚さは
9〜17mmとなる。
(1)は高圧、大気圧、低圧とすることができるが、中空
コア(4)の内圧を大気圧より低圧または高圧にするに
は、製造が困難であったり、または複雑な製造設備が必
要となるなどして製造コストが高くなり余り好ましくな
い。特に大気圧より低圧にすると、中空コアにカバーを
被覆成形する工程等において、中空コアが変形しやすく
なるという大きな問題がある。また、大気圧より非常に
高圧にすると、中空部による打撃時のフィーリングの向
上効果が小さくなる。上記の理由により、得られるゴル
フボールにおける中空部分の内圧は、略大気圧〜1kgf/
cm2、好ましくは略大気圧〜0.5kgf/cm2、より好ましく
は略大気圧とするのが好ましい。大気圧の気体をコアに
封入して作製する方法が、最も生産性が優れ好ましい。
後述の実施例および比較例の中空部には、大気圧の空気
を封入して中空ゴルフボールを作製したため、完成した
中空ゴルフボールの中空部内圧は略大気圧となってい
る。略大気圧とは、気体の封入温度と、完成後のゴルフ
ボール(常温)との間の温度差によって発生する内圧変
化に相当するものとし、具体的には、上記温度差は気体
温度や、成形場所の周辺温度や、成形用部材の温度管理
によってコントロールすることができ、これらの温度の
管理可能範囲を考慮すれば、上記温度差は100℃以下、
好ましくは50℃以下とすることにより、生産性の向上ま
たはコストダウンにつながる。温度が100℃変化すれ
ば、内圧は40%変化し、50℃変化すれば、内圧は20%変
化する。大きな温度差を与えるには、非常に高温の空気
や非常に低温の空気を封入する必要があり、生産性低下
またはコスト上昇につながる。これらの理由により、得
られるゴルフボールにおける常温での内圧は、大気圧±
40%、好ましくは大気圧±20%の範囲である。
るものではなく、2層または3層構造を有してもよい。
製造が容易であるので、1層であるのが好ましい。中空
コア外層部(2)の形成に用いられるゴム組成物は従来か
らソリッドゴルフボールに用いられるゴム組成物が有効
に用いられる。具体的には、ゴム組成物は基材ゴム、不
飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物、充填材等を含
有する。基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボ
ールに用いられている天然ゴムおよび/または合成ゴム
が用いられ、特にシス-1,4-結合を少なくとも40%以
上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上を有
するハイシスポリブタジエンゴムが好ましく、所望によ
り、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタ
ジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPD
M)等を配合してもよい。更に、本発明では上記ポリブ
タジエンゴムは基材ゴムの90重量%以上を占めることが
好ましい。
作用し、特にアクリル酸またはメタクリル酸等のような
炭素数3〜8のα,β-不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグ
ネシウム塩等の一価または二価の金属塩が挙げられる
が、高い反発性を付与するアクリル酸亜鉛が好適であ
る。配合量は特に限定されるものではないが、基材ゴム
100重量部に対して、15〜45重量部、好ましくは25〜35
重量部が好適である。45重量部より多いと硬くなり過
ぎ、フィーリングが悪くなり、150重量部より少ないと
反発が悪くなり飛距離が低下する。また、この配合量
は、中空部径の大きさ、カバー材料等の種類によって所
望の弾性率を付与するために調整されてもよい。
作用し、例えばジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-
ブチルパーオキシ)-3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,
5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-
t-ブチルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオ
キサイドが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部
に対して0.3〜3.0重量部、好ましくは0.5〜1.2重量部で
ある。0.3重量部未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪
くなり飛距離が低下する。3.0重量部を越えると硬くな
り過ぎ、フィーリングが悪くなる。
されるものであればよく、例えば無機塩、具体的には、
酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げら
れ、高比重金属充填材、例えばタングステン粉末、モリ
ブデン粉末等およびそれらの混合物と併用してもよい。
本発明に用いるコアは中空部を有するため通常のコアに
比べて重量が不足する傾向があるので、無機塩と高比重
金属粉末の混合物を用いるのが好ましい。配合量は、そ
れぞれ基材ゴム100重量部に対して20〜80重量部である
ことが好ましい。20重量部未満では重量調整が難しく、
80重量部を越えるとゴムの重量分率が小さくなり反発が
低くなり過ぎる。
化防止剤またはしゃく解剤、その他ソリッドゴルフボー
ルのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合しても
よい。
カバー(3)を被覆する。カバーはソリッドゴルフボール
のカバー材として通常使用されるアイオノマー樹脂やバ
ラタ等の熱可塑性樹脂で形成することができるが、高反
発性を達成するためにアイオノマー樹脂で形成すること
が好ましい。またアイオノマー樹脂に少量の他の樹脂を
加えてもよいが、他の樹脂の量はアイオノマー樹脂100
重量部に対して30重量部以下、好ましくは10重量部以下
とするのがよい。アイオノマー樹脂としては、エチレン
-(メタ)アクリル酸の共重合体中のカルボン酸の一部を
金属イオンで中和したもの、またはその混合物が用いら
れる。(メタ)アクリル酸という表現は、メタクリル
酸、あるいはアクリル酸、または両者を表すものであ
る。上記の中和する金属イオンとしては、アルカリ金属
イオン、例えばNaイオン、Kイオン、Liイオン等;2
価金属イオン、例えばZnイオン、Caイオン、Mgイオ
ン等;3価金属イオン、例えばAlイオン、Ndイオン
等;およびそれらの混合物が挙げられるが、Naイオ
ン、Znイオン、Liイオン等が反発性、耐久性等からよ
く用いられる。アイオノマー樹脂の具体例としては、そ
れだけに限定されないが、ハイミラン1557、1605、165
2、1705、1706、1707、1805、1855、1856(三井デュポン
ポリケミカル社製)、IOTEC 7010、8000(エクソン(Exxo
n)社製)等を例示することができる。
ウム等の充填材や、着色のために二酸化チタン等の添加
物や、その他の添加剤、例えば紫外線吸収剤、光安定剤
並びに蛍光材料または蛍光増白剤等を、ゴルフボールカ
バーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有してい
てもよいが、通常、着色剤の配合量は0.01〜2重量部が
好ましい。
ーの形成に使用されている一般に公知の方法、例えば射
出成形、プレス成形等により形成される。カバーの厚さ
は1.5〜5.0 mm、好ましくは2.5〜5.0mm、更に好ましく
は3.2〜4.5mmである。1.5mmより小さいとボール全体の
硬度が小さくなって反発係数が小さくなり、5.0mmより
大きいと中空ゴルフボールの本来の効果である良好な衝
撃吸収性を発揮しにくくなり、打撃時フィーリングが悪
くなる。本発明のカバーには、曲げ弾性率3,000〜4,500
kgf/cm2、好ましくは3,200〜4,000kgf/cm2、より好まし
くは3,300〜3,600kgf/cm2を有する樹脂が好ましく用い
られる。曲げ剛性率3,000kgf/cm2未満では軟らかくなり
過ぎて飛距離が低下し、4,500kgf/cm2を越えると硬くな
り過ぎて打撃時フィーリングが悪くなる。また、カバー
のショアーD硬度は60〜80、より好ましくは65〜73、更
に好ましくは68〜71を有するのが好ましい。カバーのシ
ョアーD硬度が60より小さいと反発係数が小さくなり、
80より大きいと打撃時フィーリングが悪くなる。
と呼ばれるくぼみを多数表面上に形成する。本発明のゴ
ルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通
常ペイントで被覆され、市場に投入される。
衝撃吸収性を向上することにより、打撃時フィーリング
に優れた中空ソリッドゴルフボールを提供する。
但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
ゴム組成物を、コアプレス用金型の間に、図2に示すよ
うな半球金型(5)と、表1および表2に示す中空部直径
と同様の外径を有する半球凸型中子部分(8)を備えた中
子金型(6)とを用いて、表1および表2に示した条件で
加硫を行い、ハーフシェル成形品(7)を作製した。その
後、作製した2個のハーフシェル成形品(7)を接着剤を
用いて貼り合わせて、中空コアを作製した。中空コアの
中空部の直径も表1および表2に示す。得られた中空コ
アについて、弾性率を後記の方法に従って測定した。
測定結果を表1および表2に示す。また、測定結果の平
均値も各表に記載する。
物を、図5に示すような上金型(9)と下金型(10)とから
成るコア成形用金型(11)を用いて、表1および表2に示
した条件で加硫を行い、中実コアを作製した。この中実
コアの弾性率を後記の方法に従って測定した。結果を
表1および表2に示す。また、測定結果の平均値も各表
に記載する。
成物を、射出形成により厚さ3.8mmで被覆し、2液硬化
型ウレタンペイントでペイント塗装を施して、表4およ
び表5に示したカバー厚さおよび直径42.8mmを有する中
空ソリッドゴルフボールを作製した。ゴルフボールの重
量は、酸化亜鉛の充填量を変えることにより、45.4gと
なるように調節した。得られた各ゴルフボールの、ボー
ル初速、スピン量、打出角、飛距離、打撃時フィーリン
グおよび衝撃力を評価し、その結果を表4および表5に
示した。試験方法は後述の通り行った。
実施例1〜11および比較例1および3と同様にして中実
ゴルフボールを作製し、得られたゴルフボールの特性評
価を行った。
図4(中空)および図7(中実)に示すような、a、b
およびc部において、縦4mm×横4mm×厚さ2mmの直方
体試料を切り出し、粘弾性スペクトロメーター(レオロ
ジー社製)を用いて圧縮モードで周波数10Hzで強制振
動させ、4℃/分で昇温させた時の、20℃での駆動部と
応答部の振幅の比と位相差より求めた複素弾性率E*値
を示すものとする。尚、中空部を有する中空ゴルフボー
ルの場合のa、bおよびc部の中心部分からの距離の求
め方は図4に示す。 飛行性能 ツルーテンパー社製スイングマシーンにドライバー(住
友ゴム工業(株)製DP914 ロフト9度)を取付け、ゴルフ
ボールをヘッドスピード45m/秒で打撃した際の、ボール
初速、バックスピン量、打出角および飛距離(キャリー
+ラン)を測定した。 打撃時フィーリング ハンデ10以下のアマチュアゴルファー10人によるドライ
バーでの実打を行い、打撃時の衝撃の強さをゴルファー
のフィーリングにより以下の採点基準で採点し、その平
均値によって評価した。評価基準は以下の通りとした。 採点基準 5 … 非常に軟らかく良好 4 … 軟らかく良好 3 … 普通 2 … 硬くて悪い1 … 非常に硬くて悪い 判定基準 ◎ … 4.1 〜 5.0 〇 … 3.1 〜 4.0 △ … 2.1 〜 3.0× … 1.1 〜 2.0 衝撃力 ツルーテンパー社製スイングマシーンを用い、ドライバ
ー(住友ゴム工業(株)製DP-10 ロフト9度)にてヘッド
スピード43m/秒で打撃する際に、ゴルフクラブヘッドの
サイドソール部に加速度ピックアップを取り付けて、イ
ンパクト時のヘッドの進行方向に対して逆方向に生ずる
加速度を測定し、この加速度の最大値を力に変換する
(インパクト時の最大加速度×ヘッド重量(210g))こと
により求めた。
が弾性率265〜985kgf/cm2を有する中空コアを用いたソ
リッドゴルフボールは(実施例1〜11)は、中空コア外
層部の弾性率が低い従来中空ソリッドゴルフボール(比
較例1)および弾性率の高い従来中空ソリッドゴルフボ
ール(比較例3)に比べて、飛行性能を損なうことな
く、衝撃吸収性を向上することにより、打撃時フィーリ
ングが向上していることが認められた。また、中空部を
有さない中実ゴルフボール(比較例2および比較例4)
は飛行性能が悪く、衝撃力が大きくて打撃時フィーリン
グが悪くなることが認められた。尚、中空部直径が15mm
の実施例1〜3および6〜9を比較すると明らかなよう
に、中空コア外層部の弾性率が453kgf/cm2以上、更に61
9kgf/cm2以上の実施例は、他の実施例より飛距離が大き
くなっており、また中空コア外層部の弾性率が790kgf/c
m2以下の実施例は、他の実施例より打撃時フィーリング
が良好となっている。
得られたゴルフボールの飛距離および衝撃力(最大値)
との関係をわかりやすくするため、中空ソリッドゴルフ
ボール、即ち実施例1〜11と比較例1および3に関して
グラフ化し、図6に示した。図6において、横軸は中空
コア外層部弾性率の平均値であり、縦軸は衝撃力および
飛距離である。図6から明らかなように、中空コア外層
部の弾性率が実施例3の265kgf/cm2より小さくなると、
飛距離が急激に低下する。逆に、弾性率が実施例7の98
5kgf/cm2を越えると、同様に飛距離が急激に低下する。
これは前述のように、弾性率が265kgf/cm2より小さくな
ると、打出角は高いが、その打出角に対してボール打出
し初速が低過ぎるために、高い弾道で低飛距離で落下す
ることとなり、飛距離が低下するものと考えられ、逆に
弾性率が985kgf/cm2より大きくなると、打出角が低いた
めに飛距離が低下するものと考えられる。よって、弾性
率は265〜985kgf/cm2であることが必要である。
の弾性率が実施例7の985kgf/cm2を越えると、急激な増
加が見られ、衝撃吸収性が大きく悪化し、打撃時のフィ
ーリングの低下につながる。よって、弾性率は985kgf/c
m2以下であることが必要である。以上の結果から、飛距
離と衝撃吸収性のバランスを考えると、中空コア外層部
の弾性率は265〜985kgf/cm2であることが必要である。
部と中空コア外層部から成る中空コアを用いると共に、
上記中空外層部が特定範囲の弾性率を有することによ
り、飛行性能を損なうことなく、衝撃吸収性を向上する
ことにより、打撃時フィーリングを向上させたものであ
る。
の断面概略図である。
中空部直径10mmおよび15mmを有する本発明のゴルフボー
ルの断面概略図である。
中空部直径20mmを有する本発明のゴルフボールの断面概
略図である。
略図である。
ールの飛距離および衝撃力との関係を表すグラフであ
る。
中実ゴルフボールの断面概略図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 中空コア(4)と該コア上に形成されたカ
バー(3)から成る中空ソリッドゴルフボールにおいて、
該中空コア(4)が直径5〜23mmを有する中空部(1)と該中
空部以外の中空コア外層部(2)とから成り、該中空コア
外層部(2)が弾性率265〜985kgf/cm2を有することを特徴
とする中空ソリッドゴルフボール。 - 【請求項2】 前記カバー(3)が厚さ1.5〜5.0mmを有す
る請求項1記載の中空ソリッドゴルフボール。 - 【請求項3】 前記中空コア外層部(2)が、シス-1,4-結
合を少なくとも40%以上有するポリブタジエンゴムを基
材ゴムに対して90重量%以上含む基材ゴム、不飽和カル
ボン酸金属塩、有機過酸化物および充填材を含有するゴ
ム組成物の加硫成形物から成る請求項1記載の中空ソリ
ッドゴルフボール。
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