JPH114699A - リビトールの分離、回収方法 - Google Patents

リビトールの分離、回収方法

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JPH114699A
JPH114699A JP15859597A JP15859597A JPH114699A JP H114699 A JPH114699 A JP H114699A JP 15859597 A JP15859597 A JP 15859597A JP 15859597 A JP15859597 A JP 15859597A JP H114699 A JPH114699 A JP H114699A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 培養終了後のリビトール含有液からリビトー
ルを効率よく分離、精製する方法の開発が求められてい
た。 【解決手段】 リビトール生産菌を水性培地中で好気的
条件下で培養し、培養液から菌体を除去し、得られた上
清液にC1 〜C3 のアルコールを添加してリビトール結
晶を晶析することを特徴とするリビトールの分離、回収
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リビトールの分
離、回収方法に関し、より詳細にはリビトール含有液か
ら、リビトール結晶を分離、回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、リビトールは生物の構成糖として
のみならず、医薬及び農薬の中間原料として注目されて
いる。従来、微生物を用いてリビトールを製造する方法
としてはD−リボースを原料として酵素反応により製造
する方法、グルコースなどの発酵により製造する方法、
及び藻類の炭酸固定による方法が知られている。これら
の内、グルコースなどの糖の発酵による方法としては、
ピキア ギリエルモンディ(Pichia guilliermondii
を用いる方法(Biochem.Physiol.Pflanz 175(8/9)732(1
980)) 、モニリエラ トメントーサ バー ポリニス
Moniliella tomentosa var polinis)を用いる方法
(特公平6−30591号公報、特公平6−30592
号公報、特公平6−30593号公報、特公平6−30
594号公報)等が報告されている。
【0003】リビトール結晶を高純度に得るためには、
これらのリビトール生産菌を水性培地中で培養して得ら
れた培養液からリビトールを高純度で分離、回収する必
要が生じる。従来、水溶性の糖アルコール含有溶液から
純度の高い糖アルコールを回収する方法としては、クロ
マト分離を用いる方法や低温晶析法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】リビトールの場合、こ
れまで培養液からの有効な分離、精製方法は報告されて
いない。従来の方法はエリスリトールなどの他の糖アル
コールは効率的に分離、精製できるものの、リビトール
に関しては必ずしも応用され得る方法ではなかった。そ
こで、培養終了後のリビトール含有液からリビトールを
効率よく分離、精製する方法の開発が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題を解決すべく鋭意検討した結果、リビトールがC1
3 のアルコールにより容易に晶析されることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、
リビトール生産菌を水性培地中で好気的条件下で培養
し、培養液から菌体を除去し、得られた上清液にC1
3 のアルコールを添加してリビトール結晶を晶析する
ことを特徴とするリビトールの分離、回収方法に存す
る。
【0006】本発明の好ましい実施の形態としては、上
記のリビトールの分離、回収方法において、(1)C1
〜C3 のアルコールを添加してリビトール結晶を晶析す
るに先立って、培養液から菌体を除去した上清液に消石
灰を添加した後、二酸化炭素を吹き込み、上清液中に共
存した糖以外の不純物質を不溶性の金属塩に吸着させ、
ろ過によって除去することを特徴とする方法、(2)C
1 〜C3 のアルコールを添加してリビトール結晶を晶析
するに先立って、菌体を除去した上清液を濃縮すること
を特徴とする方法、(3)C1 〜C3 のアルコールを添
加してリビトール結晶を晶析するに先立って、培養液か
ら菌体を除去した上清液に消石灰を添加した後、二酸化
炭素を吹き込み、上清液中に共存した糖以外の不純物質
を不溶性の金属塩に吸着させ、ろ過した後得られたろ過
液を濃縮することを特徴とする方法、(4)晶析により
得られたリビトール結晶を水に溶解し、消石灰を添加し
た後二酸化炭素を吹き込み、上清液中に共存した糖以外
の不純物質を不溶性の金属塩に吸着させ、ろ過によって
除去することを特徴とする方法が挙げられる。
【0007】更に、上記の方法は(1)菌体を除去した
上清液中に含まれる糖がリビトール、エリスリトールお
よびグリセロールを主成分とすること、(2)C1 〜C
3 のアルコールがメタノール、エタノールまたはプロパ
ノールであること(3)C1〜C3 のアルコールを濃度
が50%以上となるよう添加することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するC1 〜C3 のアルコールとしては、水
溶性溶液中のリビトールを晶析させる能力を有するアル
コールであれば、特に限定されないが、好ましくは、メ
タノール、エタノール、1ープロパノール、2ープロパ
ノールが挙げられ、さらに好ましくは、メタノールとエ
タノールが挙げられる。なお、上記アルコールは1種類
あるいは2種類以上が用いられる。効率よくリビトール
を回収するためには、添加したアルコール濃度が50%
以上好ましくは80%程度になるように、アルコールを
加える必要がある。
【0009】次に、本発明の分離、精製方法について具
体的に説明する。本発明の分離、精製方法において培養
終了後、微生物は定法、即ち遠心分離や膜ろ過により除
去される。除菌に先立ち、培養終了液に熱を加え殺菌を
行ってもよい。また更に、必要に応じて脱塩、脱色等、
通常の糖の精製における操作を加えることもできる。こ
うして得られた除菌済みの培養上清液はそのままか、あ
るいは濃縮、好ましくは5倍から15倍に濃縮される。
【0010】このリビトール含有シロップにC1 〜C3
のアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、1
ープロパノール、2ープロパノール、更に好ましくはメ
タノールまたはエタノールを、1種類あるいは2種類以
上を、シロップ容量の2分の1量以上、好ましくは2倍
以上、更に好ましくは5倍以上攪拌しながら加える。こ
うして得られたアルコール混液を室温以下、好ましくは
0℃以上10℃以下で静置するとリビトールが晶析され
る。
【0011】こうして得られた結晶は、遠心分離や膜ろ
過といった定法を用いることで容易にアルコール溶液中
から分離できる。得られた湿潤結晶は真空乾燥等により
乾固される。こうして得られたリビトール結晶は必要に
応じて再度水溶液に溶解し、脱塩、脱色など、通常の糖
の精製における操作を加えさらに精製することも可能で
ある。
【0012】本発明の分離、精製方法においては、必要
に応じてアルコール晶析の前後に脱塩・脱色と行った工
程を組み合わせることが可能であるが、晶析前の濃縮工
程以前に炭酸飽充を行うことが有効である。即ち、除菌
済みの培養上清液に、その培養上清液に含まれると思わ
れる固形分の0.1%から10%、好ましくは0.5%
から2.0%の消石灰を添加し、好ましくは60℃前後
で15分から1時間保持した後、二酸化炭素を吹き込み
中和する。液中に共存したタンパク質、多糖、核酸、色
素などの糖以外の不純物質は不溶性の金属塩に吸着さ
れ、ろ過によって除去される。
【0013】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分
野における通常の変更をすることができる。 a)使用微生物 菌株E Trichosporonoides.megachiliensis CBS5
67.85 b)培養方法 30%グルコース、1.0%酵母エキスよりなる培地2
0mlを入れた200mlバッフル付きフラスコに、上
記a)記載の菌株Eを接種し、160rpmで回転する
振とう培養機にセットされ、30℃で7日間培養した。
【0014】c)リビトールの生産確認 まず上記b)記載の培養にて得られた培養終了液を各々
遠心分離し、微生物菌体を除去した。得られた培養上清
液に含まれるリビトールの含量を高速液体クロマトグラ
フィーにより下記の条件で測定した。リビトールの保持
時間は下記分析条件において12.22分である。 高速液体クロマトグラフィー分析条件 カ ラ ム: MCI GEL CK08EH 8mmI.D.×300mm (三菱化学株式会社製) 溶 離 液: 1N リン酸水溶液 流 速: 0.6ml/分 カラム温度: 50℃ 検 出 器: RI
【0015】実施例1 上述の培養で得られた培養終了液500mlを100℃
で20分間加熱殺菌した後、菌体及び熱変性した不溶性
タンパク質等を遠心分離により除去した。得られた培養
上清液480mlを60℃に加熱し、消石灰2gを添加
して30分間緩やかに攪拌した後、遠心分離により不溶
性物質を除去した。得られた清澄な上清液をさらにイオ
ン交換樹脂カラム(DIAION PA312(三菱化
学株式会社製)とDIAION WK10(三菱化学株
式会社製)の混合床)に通し脱塩した。次に粉末活性炭
0.6gを加えて60℃、30分攪拌した後、活性炭を
除去した。得られた上清液は淡黄色を呈している。これ
を50mlまで濃縮した。このシロップにメタノール2
00mlを攪拌しながら加え、4℃で15時間静置し、結
晶を成長させた。十分結晶が成長しメタノール中で沈降
してることを確認の上、上清液の糖組成をHPLCにて
分析し、晶析率を算出したところ、リビトールが85%
であったのに対して、エリスリトール及びグリセロール
は10%未満であった。上清液をデカンテーションによ
り除いた後、メタノールで3回洗浄した。得られた湿潤
結晶を減圧乾燥し、糖質純度99.9%の白色のリビト
ール粉末結晶22gを得た。
【0016】
【表1】
【0017】実施例2 上述の培養で得られた培養終了液500mlを100℃
で20分間加熱殺菌した後、菌体及び熱変性した不溶性
タンパク質等を遠心分離により除去した。得られた培養
上清液480mlを60℃に加熱し、消石灰2gを添加
して30分間緩やかに攪拌した後、遠心分離により不溶
性物質を除去した。得られた清澄な上清液を50mlま
で濃縮した。このシロップにエタノール200mlを攪拌
しながら加え、4℃で15時間静置し、結晶を成長させ
た。十分結晶が成長しメタノール中で沈降してることを
確認の上、上清液の糖組成をHPLCにて分析した。晶
析率を算出したところ、リビトールは71.8%であっ
た。上清液をデカンテーションにより除いた後、エタノ
ールで3回洗浄した。得られた湿潤結晶を減圧乾燥し、
糖質純度98.6%の乳白色のリビトール粉末結晶2
7.7gを得た。
【0018】
【表2】
【0019】実施例3 上述の培養で得られた培養終了液500mlを100℃
で20分間加熱殺菌した後、菌体及び熱変性した不溶性
タンパク質等を遠心分離により除去した。得られた培養
上清液480mlを50mlまで濃縮した。このシロッ
プにメタノール200mlを攪拌しながら加え、4℃で1
5時間静置し、結晶を成長させた。十分結晶が成長しメ
タノール中で沈降してることを確認の上、上清液の糖組
成をHPLCにて分析した。晶析率を算出したところ、
リビトールは73.5%であった。上清液をデカンテー
ションにより除いた後、メタノールで3回洗浄した。得
られた湿潤結晶を減圧乾燥し、糖質純度87.5%の淡
褐色のリビトール粉末結晶23.7gを得た。
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】本発明の分離、回収方法により、微生物
発酵液からリビトールを高純度に分離、精製することが
できる。更にこの方法を用いた場合、培養液中にグリセ
ロールがかなりの割合で副製していても、グリセロール
はC1 〜C3 のアルコールには比較的容易に溶解するた
め、容易にリビトールと分離することができる。また更
に、このようなアルコール晶析を行った場合、アルコー
ルに可溶な着色成分がアルコール溶液中に溶解し、得ら
れた結晶中から除去されているため、晶析の前、あるい
は後で脱色工程を行う場合でも、その負荷を著しく軽減
することが可能である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リビトール生産菌を水性培地中で好気的条
    件下で培養し、培養液から菌体を除去し、得られた上清
    液にC1 〜C3 のアルコールを添加してリビトール結晶
    を晶析することを特徴とするリビトールの分離、回収方
    法。
  2. 【請求項2】C1 〜C3 のアルコールを添加してリビト
    ール結晶を晶析するに先立って、培養液から菌体を除去
    した上清液に消石灰を添加した後、二酸化炭素を吹き込
    み、上清液中に共存した糖以外の不純物質を不溶性の金
    属塩に吸着させ、ろ過によって除去することを特徴とす
    る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】C1 〜C3 のアルコールを添加してリビト
    ール結晶を晶析するに先立って、菌体を除去した上清液
    を濃縮することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】C1 〜C3 のアルコールを添加してリビト
    ール結晶を晶析するに先立って、培養液から菌体を除去
    した上清液に消石灰を添加した後、二酸化炭素を吹き込
    み、上清液中に共存した糖以外の不純物質を不溶性の金
    属塩に吸着させ、ろ過した後得られたろ過液を濃縮する
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】晶析により得られたリビトール結晶を水に
    溶解し、消石灰を添加した後二酸化炭素を吹き込み、上
    清液中に共存した糖以外の不純物質を不溶性の金属塩に
    吸着させ、ろ過によって除去することを特徴とする請求
    項1または3記載の方法。
  6. 【請求項6】菌体を除去した上清液中に含まれる糖がリ
    ビトール、エリスリトールおよびグリセロールを主成分
    とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
    の方法。
  7. 【請求項7】C1 〜C3 のアルコールがメタノール、エ
    タノールまたはプロパノールであることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】C1 〜C3 のアルコールを濃度が50%以
    上となるよう添加することを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の方法。
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