JPH1144353A - 非円形歯車と曲線形ラックギヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 テーブルの直進移動の際、開始や停止時に発
生する衝撃を小さく抑え、高速化を図った非円形歯車と
曲線形ラックギヤを提供する。 【解決手段】 非円形歯車６と曲線形ラックギヤ７のピ
ッチ曲線上の転がり接触点の半径距離を任意に変化させ
て該ラックギヤの移動の速度制御を行う。移動の開始や
停止のときは、接触点の半径を短くして低い速度の状態
で動き始め、止まる。該歯車の中央部は、接触点の半径
を長くして高い速度で移動するようにする。この間の半
径の差を正弦系の曲線で繋げることで、速度も徐々に変
化し滑らかな移動を得る。このような速度制御の方法を
採ることで高速化が図られ、動作１行程の時間が短縮さ
れた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ラックギヤの直進
移動の速度が任意分割された区間によって、変化する非
円形歯車と曲線形ラックギヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のラックギヤは、平歯車の回転軸中
心と一定の距離で保たれているとき、平歯車の噛み合い
ピッチ円とラックギヤのピッチ直線上を転がり移動す
る。平歯車の入力回転の速度が等速度であるとき、該平
歯車と噛み合うラックギヤの直進移動の速度は、ピッチ
円とピッチ直線の転がり接触点の半径が一定のため等速
度となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のラッ
クギヤの移動は、移動の開始から停止まで常に一定速度
で動くことから、開始や停止のときに衝撃が発生し、音
や振動が起きるという問題がある。そこで、移動の絶対
的な速度を低く抑えたり、また、サーボモーターで平歯
車の回転速度を制御する方法が採られていた。そのため
装置が複雑化し、製造費用も高くなるという欠点があっ
た。

【０００４】よって本発明の目的は、移動する際の開始
や停止時に発生する衝撃を小さく抑えスムーズに移動
し、高速化が図れる非円形歯車と曲線形ラックギヤを提
供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１に記載の発明は、非円形歯車の回転軸中心
と、該歯車と噛み合う曲線形ラックギヤのピッチ曲線上
の転がり接触点の半径を変化させて行うものである。移
動の開始のとき相対的に低速度とするため接触点の半径
を短くし、移動中の速度を高速化するため徐々に該半径
を長くし、等速度に保ち、また徐々に該半径を短くし低
速度の状態で停止する。このような速度制御の方法を採
って互いのピッチ曲線を決めたのち、当該の非円形歯車
及び曲線形ラックギヤの歯形を歯切り創生法により作り
だした。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下図示の実施の形態について説
明する。

【０００７】図１は、本発明に係る非円形歯車と曲線形
ラックギヤを組み合わせた装置図であり、図２は非円形
歯車の正面図であり、図３は曲線形ラックギヤの正面図
である。

【０００８】図１の実施の構成は、回転駆動源とベルト
プーリ２をつなげるベルト１がある。ベルトプーリ２と
軸４を滑りなく回転させるためにキー３を隙間なくかん
合させ、同様に非円形歯車６も軸４とキー５とで隙間な
くかん合させている。非円形歯車６と曲線形ラックギヤ
７の歯形噛み合い位置は、互いのピッチ曲線上を接触
し、非円形歯車の歯の山６ａと曲線形ラックギヤの歯の
谷７ａが組み合わせられる。曲線形ラックギヤ７とテー
ブル８は、ボルト等で締結固着され外れることはない。

【０００９】図２の非円形歯車６は、軸孔６ｂを回転軸
中心として回転する。曲線形ラックギヤの移動への伝達
速度を相対的に低速度とするため、回転軸中心からピッ
チ曲線の半径が短い区間６ｃと、移動への伝達速度を相
対的に高速度とするため、ピッチ曲線の半径の長い区間
６ｅとがある。この間のピッチ曲線の半径の変化を正弦
系の曲線でなめらかに繋いだ区間６ｄ，６ｆがある。こ
のようにピッチ曲線６ｇが全周にわたり決まったのち、
歯切り創生法によって歯形輪郭を作りだした。

【００１０】図３の曲線形ラックギヤ７は、非円形歯車
６の回転伝達を受け、水平直進の移動を行う。噛み合い
は、該歯車６のピッチ曲線の半径の短い区間６ｃと該ラ
ックギヤの底面７ｂからのピッチ曲線の高さが高い区間
７ｃと合い、移動の速度は、相対的に低速度となる。ま
た、移動の速度が最も速くなるピッチ曲線の高さが低い
区間７ｅは、該歯車６のピッチ曲線の半径の長い区間６
ｅと噛み合う。この間の高さの変化を該歯車６のピッチ
曲線６ｇと滑りなく転がりながら繋いだ曲線が曲線形ラ
ックギヤのピッチ曲線となる。全体にわたりピッチ曲線
７ｇを求めたのち、歯切り創生法によって歯形輪郭を作
りだした。

【００１１】次に図示の実施の形態の作用について説明
する。

【００１２】回転の入力からテーブル８の動きについて
説明すると、ベルトプーリ２がベルト１からの回転駆動
を受け、等速度で１回転する。回転は、軸４を通じて非
円形歯車６に伝達し、曲線形ラックギヤ７の直進移動へ
と変えられテーブル８が任意目的の動きを得る。この動
きを該歯車６と該ラックギヤ７の噛み合い分割区間に沿
って説明する。

【００１３】非円形歯車６と該ラックギヤ７の噛み合い
が６ｃ，７ｃの区間は、該歯車の回転軸中心６ｂからの
ピッチ曲線上の接触点の半径が短いことから該ラックギ
ヤの移動速度が相対的に低速度となる。よって、移動の
際の開始や停止時に発生する衝撃が小さく抑えられスム
ーズに動くことになる。

【００１４】該噛み合いが６ｄ，７ｄの区間は、ピッチ
曲線上の接触点の半径が徐々に長くなることから、該ラ
ックギヤの移動速度は、正の加速度の状態になり速さが
増すことになる。

【００１５】該噛み合いが６ｅ、７ｅの区間は、ピッチ
曲線上の接触点の半径が最も長く一定の半径になること
から、曲線形ラックギヤの移動速度は、相対的に高速度
の状態であり、なお、一定の速度で動くことになる。

【００１６】該噛み合いが６ｆ，７ｆの区間は、ピッチ
曲線上の接触点の半径が徐々に短くなることから、該ラ
ックギヤの移動速度は、負の加速度の状態になり速さが
減少することになる。

【００１７】以上のように図示の実施の形態によると、
曲線形ラックギヤ７とテーブル８の移動は、開始のとき
低い速度で動き出し、徐々に速度が速くなり、高い速度
の等速移動の状態になり、徐々に減速したのち低い速度
で停止する。よって、移動する際の衝撃が小さく抑えら
れ、音や振動がなくなり、全域にわたりスムーズな動き
が得られる。また、高速化が図られたことにより動作１
行程の時間が短縮された。

【００１８】本発明の実施の形態について説明したが、
非円形歯車を２段とし、曲線形ラックギヤも２段の組み
合わせで１行程の移動を得るものや、非円形歯車と曲線
形ラックギヤのピッチ曲線の形状を変形し、移動の状態
を加速域だけで使用するものでもよく、互いのピッチ曲
線上を滑りなく移動するものであれば適宜変形可能であ
ることは言うまでもない。

【００１９】

【発明の効果】以上のように請求項１の記載の発明に係
る非円形歯車と曲線形ラックギヤを、直進の一定速度で
動くベルトコンベアーに物を受け渡す際の機構に応用す
ると、該ラックギヤの移動速度の状態が高速で一定速度
のときに、ベルトコンベアーの動きと一致する。この同
調速度であるとき物を受け渡す。特に重量物に適してお
り、歯車の噛み合いのため、高負荷で高速化に対応出来
る。複雑な制御も不要となり、構造も簡単で故障もな
く、製造費用も安価にできて経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明に係る非円形歯車と曲線形ラッ
クギヤの装置の実施の形態を示す図面である。

【図２】図２は、非円形歯車の正面図である。

【図３】図３は、曲線形ラックギヤの正面図である。

【符号の説明】

６ 非円形歯車 ６ａ 非円形歯車の初期噛み合い位置 ６ｂ 非円形歯車の軸孔 ６ｃ〜ｆ非円形歯車の噛み合い分割区間 ６ｇ 非円形歯車のピッチ曲線 ７ 曲線形ラックギヤ ７ａ 曲線形ラックギヤの初期噛み合い位置 ７ｂ 曲線形ラックギヤの底面 ７ｃ〜ｆ曲線形ラックギヤの噛み合い分割区間 ７ｇ 曲線形ラックギヤのピッチ曲線

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非円形歯車の回転軸中心と曲線形ラック
   ギヤの底面の距離が一定に保たれているとき、噛み合い
   が互いのピッチ曲線上を外れることなく回転と直進の運
   動をするものとする。非円形歯車が入力回転駆動を受
   け、等速度で回転するとき、該歯車と噛み合うラックギ
   ヤの直進移動の速度が任意の分割区間に於いて変化する
   ことを特徴とする非円形歯車と曲線形ラックギヤ。