JPH11349598A - 血管内皮細胞増殖抑制因子およびその用途 - Google Patents

血管内皮細胞増殖抑制因子およびその用途

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JPH11349598A
JPH11349598A JP10162037A JP16203798A JPH11349598A JP H11349598 A JPH11349598 A JP H11349598A JP 10162037 A JP10162037 A JP 10162037A JP 16203798 A JP16203798 A JP 16203798A JP H11349598 A JPH11349598 A JP H11349598A
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JP
Japan
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endoregulin
endothelial cell
factor
column chromatography
blood vessel
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Application number
JP10162037A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Taniguchi
直之 谷口
Shigeki Higashiyama
繁樹 東山
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エンドレギュリン、その精製方法、その抗
体、それらを含有する薬学的組成物およびその作動剤ま
たは拮抗剤のスクリーニング方法。 【効果】 本発明のエンドレギュリンは、マクロファー
ジが産生する因子であり、血管平滑筋には作用すること
なく、血管内皮細胞の増殖を特異的に抑制する。エンド
レギュリンを含めたエンドレギュリンの作動剤は、血管
の内皮細胞の増殖を抑制するため、固形ガンの成長、ガ
ン転移、糖尿病性網膜症、アテローム性動脈硬化症、新
生血管性緑内障、リューマチ性関節炎の予防/治療に用
いることができる。また、エンドレギュリンの抗体は、
血管新生を促すので、排卵、胎盤形成および創傷治癒に
おいて起こる異常を正常化させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な血管内皮細
胞増殖抑制因子に関する。更に詳細に述べると、新規な
血管内皮細胞増殖抑制因子、その抗体、その因子または
抗体を含有する薬学的組成物、その因子の作動剤および
拮抗剤のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【発明の背景】血管内皮細胞の増殖は、増殖因子と増殖
阻害因子のバランスによって厳密に制御されている(Sc
ience, 235, 442 (1987)およびAnnu. Rev. Physiol. 5
3, 217(1991))。血管内皮細胞により新しい血管が形成
される過程、すなわち血管新生は多くの生理的な現象に
関っている。血管新生は、正常な状態では排卵、胎盤形
成および創傷治癒過程において起こるが、固形ガンの成
長、ガン転移、糖尿病性網膜症、アテローム性動脈硬化
症、新生血管性緑内障、リューマチ性関節炎などの種々
の臨床過程においても重要な役割を果たしている(Nat.
Med. 1, 27-31 (1995)およびCell 86, 353 (1996))。
【0003】血管内皮細胞増殖制御のバランスは、通
常、抑制性に傾いているので、線維芽細胞成長因子−1
(FGF−1)、線維芽細胞成長因子−2(FGF−
2)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)等の血管新生
因子が広範囲に分布しているにも関わらず、成熟組織に
おいて血管内皮細胞は静止状態にある。加えて、多くの
タンパクが培養内皮細胞の増殖を抑制することが示され
ている。これらはTGF(トランスフォーミング成長因
子)−β1、TNF(腫瘍え死因子)−α、血小板因子
4、インターフェロン−γ、軟骨由来阻害因子(CD
I)、白血病阻害因子(LIF)、トロンボスポンディ
ン−1、オンコスタチンM(OSM)、アンジオスタチ
ン、エンドスタチン等である。またインテフリンαvβ
3抗体も内皮細胞の増殖を抑制することが知られてい
る。
【0004】マクロファージは、通常、創傷などのよう
に生理的に血管新生が生じる部位、さらには固形ガン、
アテローム性動脈硬化プラークなどのように病的に血管
新生が生じる部位に存在している。そのため、マクロフ
ァージは可溶性メディエーターの産生を通して血管新生
(内皮細胞の増殖)を制御していると考えられている
(J. Leukocyte Biol. 39, 233(1986), Arch. Dermato
l. 121, 1018(1985), LabInvest. 51, 635(1984))。
【0005】また、マクロファージはFGF−2、PD
GF(血小板由来成長因子)、VEGFなどの多くの血
管新生因子を産生・放出することに加えて、細胞外マト
リックス構成成分を調節することなどにより血管新生過
程に影響を与えることが知られている(Biochem. Bioph
ys. Res. Commun. 126, 358(1985), J. Clin. Invest.
78, 61(1986)およびMol. Biol. Cell 3, 211(1992))。
【0006】
【発明の概要】先の研究によってU−937細胞株(マ
クロファージ由来)はOSM、LIF(白血球遊走阻止
因子)、TGF−β1およびTNF−αのような血管内
皮細胞成長阻害因子、VEGFのような血管内皮細胞成
長因子を産生することが報告されている。本発明者等
は、マクロファージが内皮細胞増殖因子と増殖阻害因子
のバランスを生み出しているとの仮説に基づき、U−9
37細胞株の培養上清を詳細に分析した。すなわち、フ
ォルボールエステル処理したヒトマクロファージ様U−
934細胞株の培養上清液から、血管内皮細胞増殖抑制
因子を単離・精製した。精製には、銅親和性、ヘパリン
親和性、陽イオン交換樹脂および逆相クロマトグラフィ
ーを用いた。その結果、還元条件下、非還元条件下とも
に65kDaのバンドを示すタンパクでかつ、新規な配
列を有する血管内皮細胞阻害因子(以下、本因子をエン
ドレギュリンと称する。)が得られた。
【0007】トリプシン消化による断片のアミノ酸配列
分析およびBLAST検索の結果から、この血管内皮阻
害因子は既知タンパクと相同性が全くない、新規なアミ
ノ酸配列を有することが明らかになった。精製されたタ
ンパク(エンドレギュリン)は、血管内皮細胞の増殖を
容量依存的に阻害し、一方平滑筋細胞の増殖には影響を
与えなかった。この因子は、線維芽細胞成長因子−2
(FGF−2)あるいは血管内皮細胞成長因子(VEG
F)で誘発された血管内皮細胞の増殖をともに阻止し
た。また、この因子はTNF−α、TGF−β1よりも
強力に血管内皮細胞の増殖を阻害した。本発明者は以上
の知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
【発明の構成】本発明は、(1)エンドレギュリン、
(2)その抗体、(3)それらを含有する薬剤および
(4)エンドレギュリンを用いるエンドレギュリン作動
剤または拮抗剤のスクリーニング方法に関する。
【0009】本発明は、実質的に精製されたエンドレギ
ュリンに関する。ここで、実質的に精製されたエンドレ
ギュリンとは、一般に精製時のポリペプチドの90%以
上、例えば95、98または99%が目的とするエンド
レギュリンであることを意味する。
【0010】さらに、本発明には本発明のエンドレギュ
リンの単離・精製方法も含まれる。単離・精製方法は、
以下の手順で行なわれる。 1)細胞の培養 ヒト組織リンパ細胞腫株をウシ胎児血清培地で培養す
る。培養細胞をフラスコに播種し、12−o−テトラデ
カノイルフォルボール−13−アセテート(TPA,phorbol
ester)の存在下、インキュベーションする。処理後、
血清無添加のRPMI/PS(Roswell Park Memorial
Institute/ペニシリン、ストレプトマイシン)に培地
を交換し、数日間培養する。
【0011】2)培養液上清 培養液を遠心分離により、細胞残渣と上清に分離する。
【0000】3)増殖阻害活性の測定 内皮細胞および血管平滑筋をダルベッコ改変イーグル培
養液で培養し、マイクロプレートに一定細胞数になるよ
うに播種する。インキュベーション後、培養液を新鮮な
ものに交換し、サンプルを加えて一定時間インキュベー
ションを行なう。[3H]チミジンを添加し、チミジン
の取り込み量(DNA合成量)から細胞の増殖阻害(抑
制)活性を計算する。
【0012】4)限外ろ過 2)で得た培養上清液を限外ろ過により濃縮する。 5)銅キレートカラムによる精製 平衡化させた銅キレートセファロースカラムに濃縮液を
かけ、結合したタンパクを溶出させる。
【0013】6)ヘパリン親和性カラムによる精製 5)で得たタンパク液をヘパリン親和性カラムにかけ、
結合したタンパクを溶出させる。 7)陽イオン交換樹脂カラムによる精製 6)で得たタンパク液をイオン交換樹脂カラムにかけ、
結合タンパクを塩化ナトリウムの濃度勾配による溶出に
より分画し、阻害活性を有する画分を集める。
【0014】8)フェニル逆相カラムによる精製 7)で得た画分をフェニル逆相カラムにかけ、結合タン
パクをアセトニトリルの濃度勾配による溶出により分画
し、阻害活性を有する画分を集める。 9)C4逆相カラムによる精製 8)で得た画分をC4逆相カラムにかけ、結合タンパク
をアセトニトリルの濃度勾配による溶出により分画し、
阻害活性を有する画分を集める。 10)電気泳動によるバンドの確認 9)で得られたエンドレギュリン画分を電気泳動によ
り、分子量約65kDaの単一バンドであることを確認
する。
【0015】本発明は、本発明におけるエンドレギュリ
ンの抗体も含む。さらに本発明におけるエンドレギュリ
ンの抗体の製造方法をも含む。抗体は、宿主動物(例え
ば、ラットやウサギ等)に本発明のエンドレギュリンを
接種し、免疫血清を回収する通常の方法により製造する
ことができる。
【0016】本発明には、本発明のエンドレギュリン、
その抗体と薬学的に許容される賦形剤および/または担
体を含有する薬学的組成物も含まれる。本発明には、さ
らに本発明のエンドレギュリンを用いたエンドレギュリ
ンの作動剤または拮抗剤のスクリーニング方法も含まれ
る。スクリーニングは、例えばバッファー中に本願のエ
ンドレギュリンとスクリーニングしようとする化合物を
共存させ、合成基質に発色剤をつけたもの等を用いて、
吸光度等から生物活性を測定することにより行なわれ
る。
【0017】
【発明の効果】本発明のエンドレギュリンは、マクロフ
ァージが産生する因子であり、血管平滑筋には作用する
ことなく、血管内皮細胞の増殖を特異的に抑制する。本
発明のエンドレギュリンの作動剤、拮抗剤を得るための
スクリーニングを行なう上で、エンドレギュリンは必須
のものである。エンドレギュリンを含めたエンドレギュ
リンの作動剤は、血管の内皮細胞の増殖を抑制するた
め、固形ガンの成長、ガン転移、糖尿病性網膜症、アテ
ローム性動脈硬化症、新生血管性緑内障、リューマチ性
関節炎の予防/治療に用いることができる。
【0018】本発明のエンドレギュリンの抗体は、上記
疾患の診断のために用いることができる。本発明のエン
ドレギュリンの抗体を用いることにより、生体における
本発明エンドレギュリンの定量が行なえ、これによって
本発明エンドレギュリンと疾患との関係の研究あるいは
疾患の診断等に利用することができる。抗体はエンドレ
ギュリンあるいはその断片を抗原として用い、常法によ
り作製することができる。さらに、本発明のエンドレギ
ュリンを用いることにより本ポリペプチドと結合するタ
ンパク(受容体)の精製あるいはその遺伝子をクローニ
ングすることができる。また、本発明エンドレギュリン
の作動剤、拮抗剤の検索にも用いることができる。ま
た、エンドレギュリンの拮抗剤および抗体は血管新生を
促すので、排卵、胎盤形成および創傷治癒において起こ
る異常を正常化させることができる。
【0019】
【医薬品への適用】本発明のエンドレギュリンまたはそ
の抗体は通常、全身的または局所的に投与される。本発
明のエンドレギュリンまたはその抗体を投与する際に
は、経口投与のための固体組成物、液体組成物およびそ
の他の組成物、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐
剤等として用いられる。経口投与のための固体組成物に
は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれ
る。カプセルには、ソフトカプセルおよびハードカプセ
ルが含まれる。
【0020】投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、
投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人
あたり、一回につき、100μgから100mgの範囲
で、一日一回から数回経口投与されるかまたは、成人一
人当り一回につき10μgから100mgの範囲で、一
日一回から数回非経口投与される。もちろん前記したよ
うに、投与量は種々の条件により変動するので、上記投
与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超
えて必要な場合もある。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものでは
ない。実施例において使用したウシ大動脈血管内皮細胞
および血管平滑筋(SMC)はNature 227, 680 (1970)
に記載の方法により、ウシの胸部大動脈から取り出し
た。FGF−2、VEGF、TGF−β1およびTNF
−αは、シグマーアルドリッチ社より購入した。
【0022】実施例1:U−937細胞培養上清液の調
製 ヒト組織リンパ細胞腫株U−937をアメリカンタイプ
カルチャーコレクション(American Type Culture Colle
ction)社から購入し、10%ウシ胎児血清(FCS)、
ペニシリン(100単位/ml)および硫酸ストレプト
マイシン(100μg/ml)を加えたRPMI−16
40培地で培養した。U−937細胞をT−150フラ
スコに1×108個/50mlの密度で播種し、12−
o−テトラデカノイルフォルボール−13−アセテート
(TPA, phorbol ester)(60nM)の存在下、10%ウ
シ胎児血清(FCS)、ペニシリン(100単位/m
l)および硫酸ストレプトマイシン(100μg/m
l)を加えたRPMI−1640を用いて、24時間イ
ンキュベーションした。TPA24時間処理後、培養液
を血清無添加のRPMI/PSに交換した。培養上清液
を5〜7日間48時間毎に採取し、新鮮培養液と交換し
た。集められた培養液を10,000rpmで10分間遠心分
離し、細胞残渣を除去した。タンパク分解を防ぐため
に、上清に塩酸ベンザミジン(シグマ−アルドリッチ
社)を終濃度1mMとなるように添加した。上清は精製
までの間、−20℃で保存した。
【0023】実施例2:増殖阻害の測定 ウシ動脈内皮細胞および血管平滑筋を10%ウシ胎児血
清およびペニシリン(100単位/ml)および硫酸ス
トレプトマイシン(100μg/ml)を添加したダル
ベッコ改変イーグル培養液(D−MEM)で培養した。
細胞数アッセイのために、D−MEM/10%FCS/
PSに再懸濁した細胞を6穴マイクロプレートに2×1
3細胞/2ml/ウェルの濃度で播種した。プレート
を37℃で24時間インキュベートした後、培養液をD
−MEM/5%FCS/PSに交換した。3時間後、阻
害活性を測定するサンプルを培養液に添加した。72時
間のインキュベーション後、細胞を採取し、コールター
カウンター(Coulter electronics社)で細胞数を計測し
た。DNA合成のアッセイのために、内皮細胞をD−M
EM/10%FCS/PSに再懸濁し、96穴マイクロ
プレートに2×103セル/200μl/ウェルの濃度
で播種した。プレートを37℃で、24時間インキュベ
ーションした後、培養液をD−MEM/5%FCS/P
Sに交換した。
【0024】3時間後、阻害活性を測定するためにサン
プルおよび/または成長因子(4ng/mlのFGF−
2あるいは10ng/mlのVEGF)を添加した。2
4時間のインキュベーション後、10μl(0.2μキュ
リー)の[3H]チミジンを添加し、さらに6時間培養
を続けた。DNAに取り込まれる[3H]チミジン量を
液体シンチレーションカウンター(1450マイクロベ
ータトリラックス、アマーシャムファルマシアバイオテ
ック社)を用いて測定した。取り込まれた[3H]チミ
ジン量、すなわちDNA合成量をコントロールサンプル
と比較して増殖阻害活性を調べた。
【0025】実施例3:内皮細胞増殖阻害因子の精製 1)限外ろ過および銅キレートカラムクロマトグラフィ
ー U−937細胞株の血清フリーの培養上清(50リッタ
ー)を限外ろ過(S1Y210 spiral-wound membrane, molec
ular weight cut off 10,000;アミコン社)により1,800
mlに濃縮した。硫酸銅で飽和し、塩化ナトリウム(0.
5M)を加えたトリス塩酸バッファー(20mM、pH
8.0)で平衡化させた銅キレートセファロースカラム
(50×50mm;アマーシャム ファーマシア バイ
オテク社)に濃縮液をかけた。平衡用バッファーでカラ
ムを十分洗浄した後、結合しているタンパクを、塩化ナ
トリウム(0.5M)およびイミダゾ−ル(60mM)含
有のトリス塩酸バッファー(20mM、pH8.0)で溶
出させた。
【0026】2)ヘパリン親和性カラムクロマトグラフ
ィー この溶出液を、塩化ナトリウム(0.15M)含有のトリス
塩酸バッファー(20mM、pH7.2)で平衡化させた
AF−ヘパリントヨパール 650Mカラム(50×1
00mm;トーソー社)にかけた。平衡用バッファーで
十分洗浄し、続けて0.15M塩化ナトリウム含有の20m
M MES(pH6.0)で洗浄した後、結合タンパクを
1M塩化ナトリウム含有の20mM MES(pH6.
0)で溶出させた。
【0027】3)イオン交換樹脂カラムクロマトグラフ
ィー 溶出液をpH6.0のMES(20mM)で5倍に希釈
し、FPLCシステム(アマーシャムファルマシアバイ
オテック社)を用いて、MES(20mM、pH6.0)
で平衡化させたS−セファロースHPカラム(16×1
00mm;アマーシャムファルマシアバイオテック社)
にかけた。カラムを平衡用バッファーにて洗浄し、ME
S(20mM、pH6.0)に0〜1.5M塩化ナトリウムを
直線濃度勾配で加えた溶液120mlを毎分2mlの速
度で流すことにより、結合タンパクを溶出した。溶出分
画を1.5mlずつ集め、各分画の2μlを阻害試験に供
した。各分画のUV吸光度(実線)とDNA合成量
(●)を調べた結果、図1に示すクロマトグラフを得
た。図中、横軸はフラクション番号、右縦軸はUV吸光
度および塩化ナトリウム濃度、左縦軸はDNA合成量を
3H]チミジンのカウント数を示す。これらの分画か
ら、UV吸光度が高くDNA合成量が低下している分画
を集めた。
【0028】4.逆相カラムクロマトグラフィー 前記で集めた試料を、LC−10A高速液体カラムクロ
マトシステム(島津製作所)を用いて、5%アセトニト
リル含有のトリフルオロ酢酸(0.05%)で平衡化したフ
ェニル逆相カラム(10×250mm、ナカライテック
社)にかけた。カラムを平衡用緩衝液で十分洗浄し、ト
リフルオロ酢酸溶液(0.05%)に15〜50%アセトニ
トリルを直線濃度勾配で加えた溶液75mlを毎分2m
lの速度で流すことにより、結合タンパクを溶出した。
溶出は、280nmおよび214nmの紫外吸収をモニ
ターしながら行なった。溶出分画を1.5mlずつ集め、
各分画の2μlを阻害試験に供した。その結果、図2に
示すクロマトグラフを得た(図2の縦横軸は、右横軸の
塩化ナトリウム濃度(図中の点線の説明)がアセトニト
リル濃度に変った以外は図1に同じ。)。
【0029】5.逆相カラムクロマトグラフィー 図2に示したグラフからDNA合成量が低下している分
画(内皮細胞増殖阻害活性を示した分画)をプールし、
0.05%のトリフルオロ酢酸を含有する蒸留水(2回蒸留
+ろ過)で2倍希釈した。この溶液を5%アセトニトリ
ルを含有するトリフルオロ酢酸溶液(0.05%)で平衡化
したC4逆相カラム(4.6×250mm、ビダック社)
にかけた。カラムを平衡用緩衝溶液で十分洗浄し、トリ
フルオロ酢酸溶液(0.05%)に20〜40%アセトニト
リルを直線濃度勾配で加えた溶液60mlを毎分1ml
の速度で流すことにより、結合タンパクを溶出した。溶
出分画を1mlずつ集め、各分画の2μlを阻害試験に
供した。その結果、図3に示すようなクロマトグラフを
得た(図中の縦横軸のは図2に同じ)。DNA合成量が
低下している分画(活性分画)を集め、希釈後、C4カ
ラムで再度分離した。トリフルオロ酢酸溶液(0.05%)
に25〜40%アセトニトリルを直線濃度勾配で加えた
溶液90mlにより、結合タンパクを溶出した。溶出分
画を1mlずつ集め、各分画の2μlを阻害試験に供し
た。その結果を図4に示す(図中の説明は、図2の説明
で記した通りである。)。非特異的な吸着による活性の
消失を避けるために、チューブはすべてシグマコート
(シグマ−アルドリッチ社)でシリコンコートしたもの
を用いた。
【0030】実施例4:SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動 15%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動および
銀染色用キット(ナカライテスク社)を用いて実施例3
で得られた試料(フラクションNo.83〜87)を分
析した。図5に示すように、還元下(A)および非還元
下(B)による電気泳動の結果、ともに65kDaに相
当する単一のバンドが得られ、エンドレギュリンは一本
鎖ポリペプチドであることが示唆された(フラクション
No.86)。銀染色法により見積もった結果、約2μ
gの精製エンドレギュリンが得られた。
【0031】実施例5:トリプシン消化および配列解析 2回目のC4カラムクロマトで得た増殖阻害活性画分を
乾燥し、4Mの塩酸グアニジンを含有する0.1Mのトリ
ス塩酸バッファー(pH8.0)150mlに再懸濁し
た。終濃度20mMになるようにジチオスレイトールを
添加し、反応混合液を37℃で60分間インキュベート
した。固形のヨード化アセトアミドを終濃度25mMに
なるように添加し、室温で30分間インキュベーション
することによりアルキル化を行った。タンパクをC18
逆相高速液体クロマト(4.6×250mm、ナカライテ
スク社、溶出溶媒:10〜40%アセトニトリルを濃度
勾配で加えたトリフルオロ酢酸(0.05%))を用いて脱
塩した後、乾燥し、炭酸水素アンモニウム溶液(150
ml、0.1M)に再懸濁した。懸濁液にトリプシン(0.4
mg、ベーリンガーマンハイム社)を加え、27℃で2
時間インキュベートした。さらにトリプシン(0.3m
g)を加え、27℃で2時間インキュベートした。消化
生成物をC18高速液体クロマト(溶出溶媒:3〜63
%アセトニトリルを濃度勾配で加えたトリフルオロ酢酸
溶液(0.05%))で分画した。
【0032】強い吸収を示した2つのフラクションを集
め、ヒューレットパッカードシークエンシングシステム
(HP G1005A)に供した。内部アミノ酸配列を
調べるために、精製エンドレギュリンの残りをトリプシ
ン消化し、C18逆相カラムを用いた高速液体クロマト
グラフィーにより、展開・分画した。ピークIおよびII
の主要ピークを分離し、アミノ酸配列の解析を行なっ
た。ピークIのペプチドのアミノ酸配列は検出されなか
ったことより、N末端断片がブロックされている可能性
が示唆された。一方、ピークIIペプチドは、C.エレガ
ンスコスミドF32B5(Nature 368, 32(1994))と8
7%相同性のある部分配列(配列番号1) Gln Ser Arg Val Gln Ile Ser Try を示したが、FASTA3サーチによるタンパクデータ
ベース中には相同性のあるタンパクは見られなかった。
【0033】実施例6:増殖抑制活性 内皮細胞と平滑筋細胞の細胞増殖制御におけるエンドレ
ギュリンの関与を調べた。結果を図6に示す。図6中の
横軸は反応系に添加したエンドレギュリンの濃度を示
し、縦軸は細胞数を示す。図から明らかなように、エン
ドレギュリンは、内皮細胞の増殖を濃度依存的に阻害し
た(●)が、ウシ動脈平滑筋細胞の増殖に対しては、阻
害も刺激もしなかった(○)。また、エンドレギュリン
処理した内皮細胞は、生存を続け、アポトーシス(計画
死)もネクローシス(壊死)もみられなかった。このこ
とより、内皮細胞に対する増殖阻害作用は細胞の生存能
力を下げたことによるものではないことが示唆された。
これらのデータは、エンドレギュリンがある特異性を有
した増殖抑制因子として機能していることを示唆してい
る。
【0034】実施例7:増殖阻害活性 内皮細胞に対するエンドレギュリンの増殖阻害活性の強
度を評価するため、既知の内皮細胞増殖阻害剤であるT
NF−αおよびTGF−β1と阻害活性を比較した。そ
の結果を図7に示す。図7中の横軸は反応系に添加した
各種阻害剤の濃度を示し、縦軸はDNA合成量を示す。
TNF−α(○)およびTGF−β1(黒三角)は共
に、約1ng/mlで約50%の阻害活性を示し、両者
は類似の阻害パターンを示した。1〜10ng/mlの
用量においても、それ以上の効果は観察されなかった。
エンドレギュリン(●)は、TNF−αおよびTGF−
β1と異なる阻害パターンを示し、約2ng/mlでは
約50%のより強力な内皮細胞増殖阻害作用を示した。
これらの知見は、エンドレギュリンによる内皮細胞増殖
阻害の分子機序がTNF−αやTGF−β1のそれと異
なることを示唆している。
【0035】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント
【図面の簡単な説明】
【図1】 陽イオン交換カラムクロマトグラフィー精製
における塩化ナトリウムの濃度勾配、DNA合成および
UV吸光の関係を表わしたグラフである。
【図2】 フェニル逆相カラムクロマトグラフィー精製
における塩化ナトリウムの濃度勾配、DNA合成および
UV吸光の関係を表わしたグラフである。
【図3】 C4逆相カラムクロマトグラフィー精製にお
ける塩化ナトリウムの濃度勾配、DNA合成およびUV
吸光の関係を表わしたグラフである。
【図4】 C4逆相カラムクロマトグラフィー精製にお
ける塩化ナトリウムの濃度勾配、DNA合成およびUV
吸光の関係を表わしたグラフである。
【図5】 還元下(A:図4中分画86)および非還元
下(B:図4中画分86)のエンドレギュリンのSDS
−PAGE分析後、銀染色によって検出した泳動図(写
真)である。
【図6】 エンドレギュリンの血管内皮細胞(●)およ
び血管平滑筋細胞(○)に対する増殖抑制作用を表わす
図である。
【図7】 エンドレギュリン(●)、TNF−α(○)
およびTGF−β1(黒三角)による増殖阻害効果を示
す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に精製されたエンドレギュリン。
  2. 【請求項2】 ヒト由来である請求項1に記載のエンド
    レギュリン。
  3. 【請求項3】 マクロファージの培養上清を、銅親和性
    カラムクロマトグラフィー、ヘパリン親和性カラムクロ
    マトグラフィー、陽イオン交換樹脂カラムクロマトグラ
    フィーおよび逆相クロマトグラフィーを用いて、単離精
    製して得られる分子量65kDaである請求項1または
    2記載のエンドレギュリン。
  4. 【請求項4】 血管内皮細胞の増殖抑制作用を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエン
    ドレギュリン。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のエン
    ドレギュリンの抗体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の記載
    のエンドレギュリンまたは請求項5に記載の抗体および
    薬学的に許容される賦形剤および/または担体を含有す
    ることを特徴とする薬学的組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のエン
    ドレギュリンを用いることを特徴とするエンドレギュリ
    ン作動剤または拮抗剤のスクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003534857A (ja) * 2000-05-29 2003-11-25 アウグスチナス バデル, レシピエント特異的組織移植片または組織インプラントの作製方法

Cited By (2)

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JP2003534857A (ja) * 2000-05-29 2003-11-25 アウグスチナス バデル, レシピエント特異的組織移植片または組織インプラントの作製方法
JP4898068B2 (ja) * 2000-05-29 2012-03-14 アウグスチナス バデル, レシピエント特異的組織移植片または組織インプラントの作製方法

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