JPH11347127A - 医療用酸素供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素濃度センサが故障した場合であっても、
正確に酸素濃度の異常を検出できる安全装置を提供す
る。 【解決手段】 酸素発生手段、酸素濃縮空気を使用者に
供給するための酸素供給手段、及び酸素濃度センサーを
具備した医療用酸素濃縮装置において、該酸素濃度セン
サーが酸素濃度異常を検出した場合に、酸素濃度センサ
ーの異常の有無を判定する手段を備えた医療用酸素供給
装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気中から酸素濃
縮空気を安定して使用者に供給する酸素供給装置に関す
る。更に詳細には、酸素濃縮空気の濃度異常検出を複数
の情報をもとに判断し、高い信頼性を実現し得る医療用
の酸素供給装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、喘息や肺気腫、慢性気管支炎等の
呼吸器系疾患に苦しむ患者が増加する傾向にあり、その
最も効果的な治療法の一つとして酸素吸入療法がある。
かかる酸素療法に用いられる酸素源としては、空気中か
ら酸素濃縮空気を直接分離する酸素濃縮装置が開発さ
れ、使用時の利便性、保守管理の容易さから治療装置と
して次第に普及するようになってきている。

【０００３】かかる酸素濃縮装置として、酸素を選択的
に透過する膜を用いた膜型酸素濃縮装置や、窒素又は酸
素を選択的に吸着し得る吸着剤を用いた吸着型酸素濃縮
装置が多用されており、中でも窒素を選択的に吸着し得
る吸着剤を充填した吸着床にコンプレッサーで圧縮空気
を導入して加圧状態で窒素を吸着させることにより酸素
濃縮気体を得る吸着工程と、吸着床の内圧を減少させて
窒素を脱着させ吸着剤の再生を行う脱着工程を交互に行
うことにより酸素濃縮気体を得る圧力変動吸着型酸素濃
縮装置が用いられている。

【０００４】酸素濃縮装置は酸素濃縮空気を、医者の処
方した流量で患者に供給するものであり、酸素濃縮装置
から得られる酸素濃縮空気の酸素濃度および供給量を正
確に管理する必要がある。

【０００５】酸素濃縮装置から取得される酸素濃縮空気
の酸素濃度は、一般に９０％程度もしくは４０％程度で
ある。酸素濃縮装置が酸素濃度の異常な酸素濃縮空気を
供給することを防ぐため、安全装置として酸素濃度セン
サが備えられる酸素濃縮装置が多い。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の酸素濃縮装置
は、酸素濃縮装置1台につき1個備えられる酸素濃度セン
サが、酸素濃縮空気の酸素濃度の値を測定し、あらかじ
め設定された正常な酸素濃度範囲に、測定された酸素濃
度の値が入るか否かを判断することにより酸素濃度異常
を検出している。

【０００７】かかる酸素センサーとしては、ジルコニア
式酸素センサーやガルバニ電池式酸素センサー等がある
がセンサー寿命等の関係からジルコニア式酸素センサー
が多用されている。これらの酸素センサーは、通常大気
中の空気など低濃度領域を測定するに適しているが、９
０％など高濃度領域の測定は低濃度測定用のセンサーに
比較してバラツキも大きくなり信頼性が多少落ちる傾向
にある。

【０００８】酸素濃縮装置は、通常装置に搭載した１つ
の酸素センサーによって発生酸素濃度異常を検出してい
るが、酸素濃度センサが故障した場合、酸素センサから
の出力が安定しなくなるため、酸素濃縮装置が正常な酸
素濃度の酸素濃縮空気を供給しているにもかかわらず、
濃度異常と判断されることがある。

【０００９】酸素濃縮装置には、安全装置として酸素濃
度センサ以外にも圧力センサなどが備えられるが、それ
らのセンサは酸素濃縮プロセスを管理するものであり、
それらのセンサが故障しても酸素濃縮空気の酸素濃度お
よび流量を管理しておれば、患者に不適切な酸素濃縮空
気を供給することは防止できる。

【００１０】即ち、酸素濃度センサは、酸素濃縮空気の
最終的な管理を行うものであるため、故障による誤動作
は患者に悪影響を与える可能性が高い。そのため、万が
一酸素濃度センサが故障した場合であっても、正確に酸
素濃度の異常を検出できる安全装置が望まれている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者はかかる課題に
対して鋭意検討した結果、酸素濃縮空気の酸素濃度を酸
素濃度センサだけではなく、圧力センサやその他のセン
サからの情報を総合的に判断して酸素濃度の異常を検出
することにより、酸素濃度異常か酸素センサー異常かを
判断することが出来ることを見出した。

【００１２】すなわち、本発明は、酸素濃縮空気を発生
する酸素発生手段、酸素濃縮空気を使用者に供給するた
めの酸素供給手段、及び該酸素濃縮空気の酸素濃度を検
出する酸素濃度センサーを具備した医療用酸素濃縮装置
において、該酸素濃度センサーが酸素濃度異常を検出し
た場合に、酸素濃度センサーの異常の有無を判定する手
段を備えたことを特徴とする医療用酸素供給装置を提供
するものである。

【００１３】また、本発明は、かかる判定手段が、酸素
濃度センサー以外の検知手段、及び検知結果の記憶手段
を備え、検知結果の変動から酸素濃度異常か酸素センサ
ー異常かのいずれであるかを判断する手段であることを
特徴とする医療用酸素供給装置であり、特に該発生手段
が酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した
吸着床を備えた圧力変動吸着型酸素発生手段であり、該
判定手段が該吸着床の圧力を検知する圧力検知手段であ
ることを特徴とする医療用酸素供給装置を提供するもの
である。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明は、酸素発生手段から供給
される酸素濃縮空気の酸素濃度異常を検出することを目
的とした異常検出機構を備えたものであり、複数の種類
のセンサから得られる情報を総合的に判断して酸素濃度
異常、酸素センサー異常を検出、判断する異常検出機構
を備えたものである。

【００１５】かかる複数の種類のセンサーとは酸素濃度
センサーとそれ以外の検出手段をいい、特に酸素発生手
段のプロセス管理のためのセンサーを用いることが出来
る。中でも圧力センサー、温度センサー、差圧センサー
が用いることができる。

【００１６】酸素発生手段から発生する酸素濃縮空気の
酸素濃度は、劣化に伴って一般的に経時的に低下してい
く傾向にあるが、突然濃度がゼロになることは殆どな
い。一方、酸素濃度センサーも経時的に劣化して行き、
こちらの場合は突然測定不能になる場合がある。通常、
酸素濃縮器などの酸素供給手段の場合、酸素濃度異常と
判断し、異常警報を発したり、機器停止を行なったりす
る。これらは呼吸器疾患患者に低濃度酸素乃至空気を供
給し続け、病態を増悪させる危険性を回避するためであ
る。酸素センサー異常を酸素センサー自信で検出するこ
とは出来ず、複数の酸素センサーを搭載してもどちらの
値が正しいのか更に判断する機構が必要になる。

【００１７】本発明の医療用酸素供給装置は、該酸素濃
度センサーが酸素濃度異常を検出した場合に、酸素濃度
センサーの異常の有無を判定する手段として酸素濃度セ
ンサー以外の検知手段、及び検知結果の記憶手段を備
え、検知結果の変動から酸素濃度異常か酸素センサー異
常かのいずれであるかを判断する機構を備えたものであ
る。

【００１８】例えば、圧力変動吸着型酸素濃縮器の場
合、吸着搭の圧力を検知する圧力センサーを備え、吸着
搭の異常圧力上昇の危険を防止するための異常プロセス
管理を行なっている。吸着搭の吸着剤が劣化していくと
酸素濃度が低下していくが、同時に吸着圧力が上昇して
いく傾向にある。かかる吸着搭の正常酸素濃度を発生す
る吸着圧を記憶する手段を備えることで、一定閾値ない
であれば正常のプロセス運転をしており酸素濃度は正常
で、酸素センサー異常の可能性が高いことを判定するこ
とが出来る。更に、吸気温度センサーや流量計などのデ
ータを元に、酸素発生プロセス異常による酸素濃度異常
の可能性を判断し、酸素濃度異常、センサー異常を更に
正確に評価することが出来る。

【００１９】かかる判断機構は酸素発生手段として膜
型、吸着型酸素濃縮装置や、酸素ボンベ、液体酸素に適
用することができ、中でも圧力変動吸着型酸素濃縮装置
に適用することが好ましい。

【００２０】

【実施例】図１は本願発明の酸素濃度異常検出機構を用
いた酸素供給装置の実施様態の一例を示したものであ
る。

【００２１】かかる酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を
選択的に吸着し得る吸着剤を充填した吸着床を備えた圧
力変動吸着型酸素濃縮装置であり、安全装置として吸気
温度センサ、ボックス温度センサ、圧力センサ、酸素濃
度センサ、差圧センサが備えられており、吸気温度セン
サは酸素濃縮装置が取込む空気の温度を測定し、ボック
ス温度センサはコンプレッサボックス内の温度を測定
し、圧力センサはコンプレッサーによって吸着筒内に負
荷する圧力を測定し、酸素濃度センサは生成される酸素
濃縮空気の酸素濃度を測定し、差圧センサは流量設定器
の通過前後の酸素濃縮空気の流量を測定する。図示され
ていないが酸素濃縮装置の制御部のＣＰＵは、各センサ
からの情報を処理し、酸素濃縮装置の運転を制御する。

【００２２】ボックス温度センサは、コンプレッサーボ
ックス内の温度が上昇するとコンプレッサーのグリスが
漏れ可動部分が焼き付きを起こす可能性があるため、コ
ンプレッサー保護を目的とし過剰な温度上昇を防止す
る。

【００２３】圧力センサは、酸素濃縮空気を生成するた
めに必要な吸着筒への圧力スイングにおいて、最大到達
圧力が正常な圧力範囲を越える場合は、酸素濃縮装置の
運転環境が使用条件に合致していない可能性や、電磁弁
の制御が正常に行われていない可能性があり、酸素濃縮
装置の保護を目的として運転を停止させる。また、最大
到達圧力が正常な圧力範囲に達しない場合は、酸素濃縮
装置内の配管外れなどが考えられるため、運転を停止す
る。

【００２４】差圧センサは流量設定器を通過する酸素濃
縮空気の前後の圧力差を測定することにより、おおまか
にではあるが設定通りの流量で酸素濃縮空気が供給され
ているかを監視する。

【００２５】酸素濃度センサは酸素濃縮空気の酸素濃度
を測定するが、酸素濃度の異常の判断は前述のセンサの
情報にもよる。酸素濃度が低下する場合は、前述のセン
サからの情報にも異常が認められる可能性が高く、複数
の情報を総合的に判断することで酸素濃度の異常検出の
信頼性を高めることができる。

【００２６】以下は複数センサの情報から酸素濃度の異
常を検出する一実施例である。例えば、酸素濃度センサ
が酸素濃度の異常を検出しても、酸素濃度センサが故障
しておれば実際の酸素濃度が正常である可能性がある。

【００２７】そこでＣＰＵは酸素濃度センサが酸素濃度
の異常を検出した場合、圧力センサの情報を参照する。
吸着筒の最大到達圧力が正常範囲内にあっても、最大圧
力が上昇傾向にある場合もしくは下降傾向にある場合
は、ＣＰＵは酸素濃度が異常であるという信号が正確で
あると判断する。

【００２８】吸着筒の最大到達圧力が上昇傾向にも下降
傾向にもなく正常な場合は、ＣＰＵは吸気温度センサお
よびボックス温度センサの情報を参照する。吸気温度ま
たはコンプレッサーボックス内温度が正常範囲内にあっ
ても、上昇傾向、または低下傾向にある場合は、ＣＰＵ
は酸素濃度が異常であるという信号が正確であると判断
する。

【００２９】各温度が上昇傾向にも下降傾向にもなく正
常な場合は、ＣＰＵは差圧センサの情報を参照する。差
圧から算出される酸素濃縮空気の流量が設定されている
流量と大きく異なる場合は、ＣＰＵは酸素濃度が異常で
あるという信号が正確であると判断する。

【００３０】酸素濃度センサ以外の何れのセンサも安定
して正常な場合は、ＣＰＵは酸素濃度センサが故障して
いると判断する。

【００３１】ＣＰＵは酸素濃度が異常であると判断した
場合、酸素濃縮装置の運転を停止させるか警報を発報す
るなどの制御を行うが、酸素センサが故障していると判
断した場合は、例えば点検ランプを点滅させるなど酸素
濃度が異常の場合とは異なった制御を行い、酸素濃度セ
ンサの点検または交換を促す。

【００３２】

【発明の効果】本発明の濃度異常検出機構は、複数の種
類のセンサの情報をもとに酸素濃度の異常を検出するた
め、酸素濃度センサの故障による異常出力を原因とする
誤動作を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の酸素供給装置のフロー図。

【符号の説明】

１．吸着搭 ２．サージタンク ３．流量設定器 ４．コンプレッサ ５．流路切替弁 ６．ファン ７．加湿器 ８．コンプレッサーボックス ９．ＣＰＵ １０．メモリ １１．警報手段 Ｐ１．圧力センサー Ｐ２．差圧センサー Ｏ１．酸素濃度センサー Ｔ１．吸気温度センサー Ｔ２．ボックス温度センサー

フロントページの続き (72)発明者 小林 英樹 東京都千代田区内幸町２丁目１番１号 帝 人株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 酸素濃縮空気を発生する酸素発生手段、
   酸素濃縮空気を使用者に供給するための酸素供給手段、
   及び該酸素濃縮空気の酸素濃度を検出する酸素濃度セン
   サーを具備した医療用酸素濃縮装置において、該酸素濃
   度センサーが酸素濃度異常を検出した場合に、酸素濃度
   センサーの異常の有無を判定する手段を備えたことを特
   徴とする医療用酸素供給装置。
2. 【請求項２】 該判定手段が、酸素濃度センサー以外の
   検知手段、及び検知結果の記憶手段を備え、検知結果の
   変動から酸素濃度異常か酸素センサー異常かのいずれで
   あるかを判断する手段であることを特徴とする請求項１
   記載の医療用酸素供給装置。
3. 【請求項３】 該発生手段が酸素よりも窒素を選択的に
   吸着する吸着剤を充填した吸着床を備えた圧力変動吸着
   型酸素発生手段であり、該判定手段が該吸着床の圧力を
   検知する圧力検知手段であることを特徴とする請求項
   １、２記載の医療用酸素供給装置。