JPH11345573A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャドウマスクの着脱や衝撃力による弾性支
持体の永久変形を低減して、良好なビームランディング
が得られるカラー受像管を構成することを目的とする。 【解決手段】 シャドウマスクがマスクフレームのコー
ナー部に固定される固定部、スタッドピンに係止する係
止部およびこれら固定部36と係止部とに傾斜する傾斜部
からなる弾性支持体によりシャドウマスクを支持するカ
ラー受像管において、固定部の管軸と直交する幅方向に
離間した少なくとも２個の溶接点43で溶接し、この幅方
向の最も離れて位置する２個の溶接点間隔を固定部の幅
寸法の５５％以上とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、カラー受像管に
係り、特にシャドウマスクを支持する弾性支持体の塑性
変形によるビームランディングのずれを防止したカラー
受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管は、ほぼ矩形状のパ
ネルの内面に設けられた３色蛍光体層からなる蛍光体ス
クリーンに対向してほぼ矩形状のシャドウマスクが配置
され、このシャドウマスクにより電子銃から放出される
３電子ビームを選別して、上記３色蛍光体層に入射させ
る構造に形成されている。そのシャドウマスクは、蛍光
体スクリーンと対向する面に多数の電子ビーム通過孔が
設けられたほぼ矩形状のマスク本体とこのマスク本体の
周辺部に取付けられたほぼ矩形状のマスクフレームとか
らなり、このマスクフレームに取付けられた弾性支持体
をパネルに設けられたスタッドピンに係止することによ
り支持されている。

【０００３】上記シャドウマスクの支持方式として、図
５に示すように、弾性支持体１を管軸（Ｚ軸）に対して
傾斜した傾斜部を有する構造に形成して、マスクフレー
ム２のコーナー部に取付けたものがある。このような弾
性支持体１でシャドウマスク３を支持すると、一点鎖線
で示すようにシャドウマスク３が熱膨張した場合に、パ
ネル４の内面に設けられた蛍光体スクリーン５方向に押
上げて、シャドウマスク３の熱膨張による３色蛍光体層
に対するビームランディングのずれを補正することがで
きる。

【０００４】このような弾性支持体の具体的な設計例と
して、図６に示すように、マスクフレーム２に固定され
る固定部６、スタッドピン７に係止する係止部８および
これら固定部６と係止部８とに傾斜する傾斜部９が折曲
げ形成され、その傾斜部９に対して固定部６と係止部８
とが互いに反対方向に延在する弾性支持体１がある。

【０００５】しかし、この弾性支持体１は、シャドウマ
スク３を光学マスクとして写真印刷法により蛍光体スク
リーンを形成するとき繰返されるシャドウマスク３の着
脱の際に係止部８に加えられる力により、一点鎖線で示
したように塑性変形して、もとの形状に戻らないという
問題がある。

【０００６】この弾性支持体１の問題点を解決するもの
として、図７に示すように、折曲げ成形により、傾斜部
９に対して固定部６と係止部８とを同方向に折曲げて楔
形状の弾性支持体１としたものがある。

【０００７】このように折曲げ成形により楔形状に形成
すると、シャドウマスク３の着脱の際に係止部８に力を
加えても、一点鎖線で示したように固定部６とマスクフ
レーム２との溶接点を起点としてそれよりも先の全体が
曲がるため、もとの形状に戻らなくなる塑性変形による
永久変形を緩和できる。しかし、この折曲げ成形された
弾性支持体１は、図８（ａ）に示すように、カラー受像
管に衝撃が加わると、スタッドピンを介して係止部８に
矢印１２a で示す方向の力Ｆ1 が作用し、これに対応し
て、固定部６に矢印１２b で示す反対方向の力Ｆ2 が作
用する。このような偶力Ｆ1 ，Ｆ2 は、固定部６と傾斜
部９との間の折曲げ部１３の両端部１４a ，１４b に大
きく加わり、同（ｂ）に一点鎖線で示すように、係止部
８を傾斜させる永久変形を生じさせる。これは、同
（ｃ）に示すように、矢印で示す上記折曲げ部１３の湾
曲部分が曲りやすく、上記端部１４a での弧の半径が相
対的に小さく、端部１４b での弧の半径が相対的に大き
くなるためである。

【０００８】さらに、この弾性支持体１の変形を低減す
るために、図９に示すように、折曲げ成形により係止部
８と傾斜部９とを形成し、その傾斜部９の一端部と固定
部６の一端部とを溶接した弾性支持体１がある。

【０００９】このように形成することにより、固定部６
と傾斜部９との境界部の強度を向上させることができ
る。しかしこのような弾性支持体１でも、図８（ａ）に
示した力Ｆ1 ，Ｆ2 が作用すると、図１０に一点鎖線で
示すように、変形量は小さいが、係止部８を傾斜させる
同様の永久変形が生ずる。

【００１０】この永久変形を実質的に零にするために
は、板厚を厚くすればよいが、板厚を厚くすると、弾性
支持体１のばね圧力が増し、シャドウマスクの着脱の作
業性を悪化させるばかりでなく、板厚の薄いマスク本体
を変形させる。

【００１１】このような問題点を解決する弾性支持体１
として、図１１に示すように、固定部６および係止部８
の幅方向の両側にねじれ防止部１６，１７がほぼ直角に
突出形成された弾性支持体１がある。

【００１２】このようにねじれ防止部１６，１７を設け
ると、板厚を厚くすることなく、シャドウマスクの着脱
による永久変形や、スタッドピンを介して係止部に加わ
る衝撃力による永久変形を低減して、３色蛍光体層に対
するビームランディングのずれを小さくすることができ
る。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、シャド
ウマスクを支持する弾性支持体を管軸に対して傾斜した
傾斜部を有する構造に形成すると、シャドウマスクが熱
膨張した場合に蛍光体スクリーン方向に押上げて、シャ
ドウマスクの熱膨張による３色蛍光体層に対するビーム
ランディングのずれを補正することができる。

【００１４】このような弾性支持体の具体的な設計例と
して、 （イ） マスクフレームに固定される固定部、スタッド
ピンに係止する係止部およびこれら固定部と係止部に傾
斜する傾斜部が折曲げ形成され、この傾斜部に対して固
定部と係止部とが互いに反対方向に延在する弾性支持体 （ロ） 傾斜部に対して固定部と係止部とを同方向に折
曲げて楔形状に形成された弾性支持体 （ハ） 係止部と傾斜部とを折曲げ成形し、その傾斜部
の一端部と固定部の一端部とを溶接した弾性支持体 （ニ） （ハ）の弾性支持体の固定部および係止部の幅
方向の両側にねじれ防止部がほぼ直角に突出形成された
弾性支持体 など、各種構造のものが知られており、特に（ニ）のよ
うに構成することにより、シャドウマスクの着脱やスタ
ッドピンを介して係止部に加わる衝撃力による永久変形
を低減して、３色蛍光体層に対するビームランディング
のずれを小さくすることができる。

【００１５】しかし、最近の高精細化カラー受像管で
は、より厳しいビームランディングが求められており、
上記弾性支持体では、最早、対応しきれなくなってい
る。

【００１６】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、シャドウマスクの着脱や衝撃力によるの弾
性支持体の永久変形を低減して、良好なビームランディ
ングが得られるカラー受像管を構成することを目的とす
る。

【００１７】

【課題を解決するための手段】（１） ほぼ矩形状のパ
ネルの内側にこのパネルの内面に設けられた蛍光体スク
リーンと対向するほぼ矩形状のマスク本体とこのマスク
本体の周辺部に取付けられたほぼ矩形状のマスクフレー
ムとからなるほぼ矩形状のシャドウマスクが配置され、
このシャドウマスクがマスクフレームのコーナー部に複
数の溶接点で固定される固定部、パネルのコーナー部に
設けられたスタッドピンに係止する係止部およびこれら
固定部と係止部とに傾斜する傾斜部からなる弾性支持体
を上記スタッドピンに係止することにより支持されてな
るカラー受像管において、弾性支持体を、固定部の管軸
と直交する幅方向に離間した少なくとも２個の溶接点で
溶接し、この幅方向の最も離れて位置する２個の溶接点
の間隔を固定部の幅寸法の５５％以上とした。

【００１８】（２） （１）のカラー受像管において、
幅方向に離間した少なくとも２個の溶接点を管軸方向に
複数存在させた。

【００１９】（３） （１）または（２）のカラー受像
管において、弾性支持体を、固定部の一端部と係止部に
対して折曲げ成形された傾斜部の一端部とを溶接した楔
形状に形成した。

【００２０】（４） （１）または（２）のカラー受像
管において、弾性支持体を、折曲げ成形により形成され
た固定部、係止部および傾斜部からなる楔形状に形成し
た。

【００２１】（５） （３）または（４）のカラー受像
管において、固定部および係止部の幅方向の両側にほぼ
直角にねじれ防止部を突出形成した。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。

【００２３】図１にその一形態であるカラー受像管を示
す。このカラー受像管は、周辺部にスカート部２０が設
けられたほぼ矩形状のパネル２１と漏斗状のファンネル
２２とからなる外囲器を有する。そのパネル２１の内面
に青、緑、赤に発光する３色蛍光体層からなる蛍光体ス
クリーン２３が設けられている。また、この蛍光体スク
リーン２３に対向してほぼ矩形状のシャドウマスク２４
が配置されている。一方、ファンネル２２のネック２５
内に３電子ビーム２６B ，２６G ，２６R を放出する電
子銃２７が配設されている。そして、この電子銃２７か
ら放出される３電子ビーム２６B ，２６G ，２６R をフ
ァンネル２２の外側に装着された偏向装置２８により偏
向し、上記シャドウマスク２４を介して蛍光体スクリー
ン２３を水平、垂直走査することにより、カラー画像を
表示する構造に形成されている。

【００２４】上記シャドウマスク２４は、図２に示すよ
うに、蛍光体スクリーンと対向する面に多数の電子ビー
ム通過孔３０が設けられたほぼ矩形状のマスク本体３１
と、このマスク本体３１の周辺部に取付けられたほぼ矩
形状のマスクフレーム３２とからなり、図１に示したよ
うに、パネル２１のコーナー部のスカート部２０に設け
られたスタッドピン３３と、マスクフレーム３２のコー
ナー部に取付けられて上記スタッドピン３３に係止する
弾性支持体３４とによりパネル２１の内側に支持されて
いる。

【００２５】その弾性支持体３４は、図３に示すよう
に、マスクフレームに取付けられる固定部３６、上記ス
タッドピンに嵌合する係止孔３７が設けられた係止部３
８およびこれら固定部３６と係止部３８に傾斜する傾斜
部３９からなる楔形状に形成されている。その係止部３
８と傾斜部３９とは、折曲げ成形により一体に成形さ
れ、この係止部３８と一体の傾斜部３９の一端部と固定
部３６の一端部とが溶接により固着された構造に形成さ
れている。その固定部３６および係止部３８の幅方向の
両側には、それぞれ板面にほぼ直角にねじれ防止部４
０，４１が突出形成されている。

【００２６】そして、この弾性支持体３４は、図４に示
すように、固定部３６が、管軸（Ｚ軸）および管軸と直
交する幅方向に離間した複数個（図示例では４個）の溶
接点４３でマスクフレームに溶接され、特にこの実施の
形態では、その幅方向の少なくとも２個の溶接点４３の
うち、最も離れて位置する２個の溶接点４３の間隔（図
示例では２個の溶接点４３の間隔）が固定部３６の幅寸
法の５５％以上となっている。

【００２７】上記のようにマスクフレーム３２のコーナ
ー部に弾性支持体３４を取付けると、従来の弾性支持体
と形状、寸法、構造などを格別変えることなく、したが
ってシャドウマスクを光学マスクとして写真印刷法によ
り蛍光体スクリーンを形成するとき繰返される着脱によ
る永久変形を避け、かつスタッドピン３３を介して係止
部３８に加わる衝撃力による弾性支持体の永久変形を低
減して、３色蛍光体層に対するビームランディングのず
れが小さいカラー受像管を構成することができる。

【００２８】具体的な一例として、２０インチ８５度偏
向カラー受像管について、従来のカラー受像管と同一形
状、寸法、構造の弾性支持体を用い、マスクフレームに
対する固定部の溶接のみを異ならしめたカラー受像管を
製作し、管軸方向に衝撃力を加えた場合のビームランデ
ィングのずれを、従来のカラー受像管のそれと比較して
表１に示す。

【００２９】なお、表の固定部幅Ｗ、管軸と直交する幅
方向溶接間隔Ａ、固定部長さＨ、管軸方向溶接間隔Ｂ
は、それぞれ図４にＷ，Ａ，Ｈ，Ｂで示した寸法であ
る。

【００３０】

【表１】 この表１に示したように、管軸と直交する幅方向溶接間
隔Ａを従来のそれよりも広く、固定部の幅寸法の５５％
以上とすると、従来の弾性支持体と同じ弾性支持体を用
いても、ビームランディングを良好にすることができ
る。

【００３１】

【発明の効果】マスクフレームのコーナー部に取付けら
れる弾性支持体の固定部を管軸と直交する幅方向に離間
した少なくとも２個の溶接点で溶接し、この幅方向の溶
接点間隔を固定部の幅寸法の５５％以上とすると、従来
の弾性支持体の形状、寸法、構造などを格別変えること
なく、衝撃力による弾性支持体の永久変形を低減して、
３色蛍光体層に対するビームランディングのずれが小さ
いカラー受像管を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態であるカラー受像管の
構成を示す図である。

【図２】上記カラー受像管のシャドウマスクの構成を示
す図である。

【図３】上記シャドウマスクを支持する弾性支持体の構
成を示す図である。

【図４】上記弾性支持体の固定部のマスクフレームに対
する溶接点を説明するための図である。

【図５】傾斜部を有する弾性支持体によるシャドウマス
クの熱膨張した場合のビームランディングのずれ補正を
説明するための図である。

【図６】傾斜部を有する弾性支持体の具体的な設計例を
示す図である。

【図７】傾斜部を有する弾性支持体の具体的な異なる設
計例を示す図である。

【図８】図８（ａ）乃至（ｃ）はそれぞれ図７に示した
弾性支持体の永久変形を説明するための図である。

【図９】傾斜部を有する弾性支持体の具体的な異なる他
の設計例を示す図である。

【図１０】図９に示した弾性支持体の永久変形を説明す
るための図である。

【図１１】傾斜部を有する弾性支持体の具体的なさらに
異なる設計例を示す図である。

【符号の説明】

２０…パネル ２３…蛍光体スクリーン ２４…シャドウマスク ３１…マスク本体 ３２…マスクフレーム ３３…スタッドピン ３４…弾性支持体 ３６…固定部 ３８…係止部 ３９…傾斜部 ４０…ねじれ防止部 ４２…ねじれ防止部 ４３…溶接点

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ矩形状のパネルの内側にこのパネル
   の内面に設けられた蛍光体スクリーンと対向するほぼ矩
   形状のマスク本体とこのマスク本体の周辺部に取付けら
   れたほぼ矩形状のマスクフレームとからなるほぼ矩形状
   のシャドウマスクが配置され、このシャドウマスクが上
   記マスクフレームのコーナー部に複数の溶接点で固定さ
   れる固定部、上記パネルのコーナー部に設けられたスタ
   ッドピンに係止する係止部およびこれら固定部と係止部
   とに傾斜する傾斜部からなる弾性支持体を上記スタッド
   ピンに係止することにより支持されてなるカラー受像管
   において、 上記弾性支持体は上記固定部の管軸と直交する幅方向に
   離間した少なくとも２個の溶接点で溶接され、この幅方
   向の最も離れて位置する２個の溶接点の間隔が上記固定
   部の幅寸法の５５％以上であることを特徴とするカラー
   受像管。
2. 【請求項２】 幅方向に離間した少なくとも２個の溶接
   点が管軸方向に複数存在することを特徴とする請求項１
   記載のカラー受像管。
3. 【請求項３】 弾性支持体が固定部の一端部と係止部に
   対して折曲げ成形された傾斜部の一端部とが溶接された
   楔形状に形成されていることを特徴とする請求項１また
   は２記載のカラー受像管。
4. 【請求項４】 弾性支持体が折曲げ成形により形成され
   た固定部、係止部および傾斜部からなる楔形状に形成さ
   れていることを特徴とする請求項１または２記載のカラ
   ー受像管。
5. 【請求項５】 固定部および係止部の幅方向の両側にほ
   ぼ直角にねじれ防止部が突出形成されていることを特徴
   とする請求項３または４記載のカラー受像管。