JPH11343242A - 造血幹細胞移植用剤 - Google Patents

造血幹細胞移植用剤

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JPH11343242A
JPH11343242A JP11058942A JP5894299A JPH11343242A JP H11343242 A JPH11343242 A JP H11343242A JP 11058942 A JP11058942 A JP 11058942A JP 5894299 A JP5894299 A JP 5894299A JP H11343242 A JPH11343242 A JP H11343242A
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hematopoietic stem
cells
transplantation
bone marrow
stem cells
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JP11058942A
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English (en)
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Susumu Ikehara
進 池原
Muneo Inaba
宗夫 稲葉
Kenji Takeuchi
賢治 竹内
Tsuyotoshi Kushida
剛俊 串田
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ドナー細胞の生着不全/拒絶を回避しその良好
な維持を可能とする造血幹細胞の移植方法を提供。 【解決手段】造血幹細胞移植に有効量の放射線を照射す
る移植前処置を行なった後、造血幹細胞を門脈内投与し
て移植することを特徴とする造血幹細胞の移植方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造血幹細胞の移植
方法、より詳しくはドナー細胞の生着不全/拒絶を回避
しその良好な維持を可能とする新しい造血幹細胞の移植
方法、そのための造血幹細胞移植用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる近代的骨髄移植(BMT)は、
HLA遺伝的適合者を骨髄提供者とし、移植後の血液学
的回復が得られるまでの期間、移植骨髄の拒絶を予防す
るための十分な免疫抑制を患者に施し且つ該患者を無菌
環境におくものである。このBMTは、近年、移植の真
の対象である多能性造血幹細胞の源が、HLA表現型一
致或いは一部不適合骨髄、自己骨髄、自己末梢血、同種
末梢血、臍帯血へと拡がってきている。またこの広がり
と共に、これらの源から得られた精製多能性造血幹細胞
の移植も可能となり、上記BMTは、造血幹細胞移植と
いう概念に拡大されてきている。
【0003】また現在、その対象患者も、再生不良性貧
血、白血病、一部の遺伝性疾患から悪性リンパ腫や乳癌
等の固形癌までも含むようになり、上記造血幹細胞移植
は実にさまざまな疾患に対して行われている。
【0004】これら造血幹細胞移植に関しては、「造血
幹細胞移植の基礎と臨床」(最新医学、特集、第53巻、
第2号、1998年)が参照され、それら内容を本明細書に
おいて引用する。
【0005】更に、近年、自己免疫疾患が血液幹細胞疾
患(stem cell disorder)として認識されてきており
[International Journal of Molecular Medicine, 1:
5-16,1998]、BMT、殊に同種骨髄移植(アロBM
T)による各種自己免疫疾患の処置が注目をあびてきて
いる。
【0006】このように多様化する近年のBMTにあっ
て、中心的役割を果たしているのがアロBMTである。
殊に、骨髄バンクの整備により非血縁者間BMTが増加
してきており、その効果と共に、移植細胞の生着不全/
拒絶や移植片対宿主病(GVHD)への対応が、問題点
或いは課題として指摘されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、現在
の造血幹細胞移植に認められる問題、殊に生着不全/拒
絶の問題を解消する新しい造血幹細胞の移植方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、造血幹
細胞移植に有効量の放射線を照射する移植前処置を行っ
た後、ドナー由来の造血幹細胞を門脈内投与して移植す
ることを特徴とする造血幹細胞の移植方法が提供され
る。
【0009】また、本発明によれば、造血幹細胞の門脈
内投与後に更に造血幹細胞を静脈内投与する上記移植方
法;放射線照射が1日に2回の分割による全身照射によ
り行われる上記移植方法;及び自己免疫疾患の処置のた
めに用いられる上記移植方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係わる造血幹細胞の移植
方法は、前述した目的に合致するものである。特に、本
発明方法によれば、生着不全或いは拒絶の発生頻度を非
常に低減させて、移植された造血幹細胞の良好な維持を
行うことができ、かくして、移植された造血幹細胞によ
る本来の効果、即ち造血機能の正常化による血液学的回
復、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄白血病(A
ML)、急性リンパ性白血病(ALL)、悪性リンパ
腫、多発性骨髄腫、重症再生不良性貧血、骨髄異形成症
候群(MDS)及びその他の遺伝性疾患等の治療を始め
として、自己免疫疾患の治療や遺伝子導入による遺伝子
治療への利用等の効果を十分に発揮させることが可能で
ある。
【0011】本発明方法において、移植される造血幹細
胞は、特に制限はなく、例えば既存の造血幹細胞移植に
おいて採用されている各種の細胞であることができる。
より具体的には、これは、造血幹細胞を含む骨髄細胞、
末梢血細胞(特に、G−CSF等のサイトカイン投与に
より動員される造血幹細胞を含む末梢血細胞)、臍帯血
細胞及びそれらの混合物であることができる。好ましい
造血幹細胞としては、骨髄細胞を例示できる。
【0012】また、造血幹細胞のドナー(提供者)にも
特に制限はなく、移植を受けるレシピエント(患者)に
とり造血幹細胞の移植が通常適当とされる条件において
ドナーを適宜に決定することができる。
【0013】これら造血幹細胞の分離及び単離は、当業
者に周知であり、通常の造血幹細胞移植における場合と
相違はない。
【0014】本発明において特に好ましい造血幹細胞と
しては、GVHDが発症せずに生着率を高めることよ
り、T細胞が1〜2%程度存在している骨髄細胞を例示
できる。より詳しくは、一般に移植用の造血幹細胞は、
通常の抗T細胞抗体(例えば、抗CD3抗体や抗CD4
抗体と抗CD8抗体とを混合したもの等)を細胞集団に
添加後、補体を加えて、抗T細胞抗体が結合した細胞
(T細胞)を殺すことによりその中に含まれるT細胞を
除去して調製されるか、或いは、抗T細胞抗体を添加
後、通常の磁気ビーズ法により抗T細胞抗体が結合した
細胞を選択的に除去して調製される。また、T細胞の純
化(単離)は、常法に従い、末梢血より赤血球を除去し
て単核細胞とし、この細胞集団に上記の抗T細胞抗体を
加え、磁気ビーズ法により抗T細胞抗体が結合した細胞
のみを選択的に回収することにより、或いは、蛍光色素
を結合した抗T細胞抗体を単核細胞集団に加え、自動蛍
光分離装置にてT細胞を回収することにより実施でき
る。本発明に利用する上記好ましい骨髄細胞、即ちT細
胞を所望濃度で含有する骨髄細胞の調製は、上記の如く
して純化したT細胞と、上記T細胞を除去した骨髄細胞
とを適当に混合することにより調製できる。
【0015】本発明に係る造血幹細胞の移植方法は、造
血幹細胞移植に有効量の放射線を照射する移植前処置を
行うこと及び造血幹細胞を門脈内投与することの両要件
を必須とすることを最大の特徴とする。かかる要件以外
は、いずれも通常の造血幹細胞の移植方法における場合
に準ずることができる。
【0016】例えば、本発明において門脈内投与される
造血幹細胞は、通常この種の細胞成分からなる各種医薬
製剤と同様にして適当な医薬製剤形態(以下単に薬剤と
いう)に調製できる。即ち、該造血幹細胞は、これが門
脈内投与されることを除いては、通常の造血幹細胞移植
における造血幹細胞の利用と同一の態様で利用すること
ができる。所望により、上記造血幹細胞は、注射剤形態
とすることができる。
【0017】上記薬剤の調製に当たっては、薬学的に許
容される各種の担体を利用することができる。該担体
は、この分野で従来よりよく知られているもののいずれ
でもよい。また、上記薬剤の調製に際しては、現在汎用
されている各種の輸液用製剤を利用することも可能であ
る。更に、上記薬剤は、移植に際してドナーより用時調
製することもできる。
【0018】上記薬剤の用量は、造血幹細胞移植に有効
量である限り特に制限されず、これは通常の造血幹細胞
移植における場合に準ずることができる。好ましい用量
としては、例えば骨髄細胞として3×108個/kg程
度或いはそれ以上となる用量を例示することができる。
【0019】上記薬剤の門脈内投与は、放射線照射によ
る移植前処置の後に行われることが重要である。
【0020】上記移植前処置としての放射線照射は、移
植が行われるレシピエントに、造血幹細胞移植に有効量
の放射線を照射することにより行われる。該有効量の放
射線は、レシピエントの骨髄細胞が回復してこない照射
量(lethal)として特徴付けられ、常法に従う医学的許
容量である限りにおいて特に制限されることはない。
【0021】該照射は、全身照射(TBI)により、好
ましくは、1日に2回程度に分割して照射する方法によ
り行うことができ、例えば、10〜12Gy程度の総放
射線量を1日に2回程度に分割して照射する方法、特に
5〜6Gyの2回照射を例示することができる。
【0022】本発明方法の好ましい一実施態様によれ
ば、放射線照射の約24時間以内に、造血幹細胞を単一
回門脈内投与する方法を挙げることができる。この方法
により、ドナー由来細胞の生着不全或いは拒絶を好適に
回避できる。
【0023】更に本発明方法のより好ましい一実施態様
によれば、上記造血幹細胞の門脈内投与後に、更に同細
胞を静脈内投与により補充する方法を挙げることができ
る。この方法によれば、ドナー由来細胞の生着不全或い
は拒絶をより好適に回避できると共に、移植前処置とし
ての放射線用量を低減する効果を有する。
【0024】尚、上記静脈内投与による補充は、所望に
より門脈内投与による補充とすることもできる。また、
当該補充は、造血幹細胞の当初の門脈内投与後に実施さ
れることを前提として、その時期は特に限定されるもの
ではないが、例えば、当初門脈内投与の5日程度以内に
実施することが望ましい。
【0025】造血幹細胞の門脈内投与手段自体及び静脈
内投与は、当業者に周知であり、前者は、例えば腹腔鏡
下での投与等の常法によることができる。
【0026】かくして、所定の放射線照射後に造血幹細
胞を門脈内投与することにより、より好ましくは更に同
細胞を静脈内投与することにより、移植された造血幹細
胞の良好な維持が可能となる。
【0027】尚、本発明方法は、本発明の効果が害され
ない限りにおいて、造血幹細胞移植に際して通常利用さ
れることの知られている各種の医療処置の利用や、他の
医薬製剤を投与する化学療法等と併用することができ
る。併用できる化学療法に用いられる医薬製剤の例とし
ては、例えば、シクロフォスファミド(CY)、シクロ
スポリンA(CsA)、メトトレキサート(MTX)、
タクロリムス(FK506)等の免疫抑制剤等を例示で
きる。それらの用量、用法等は既知(市販品)のそれら
に従うことができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため本発
明方法を実施した試験例及び本発明方法に利用する製剤
の例を挙げる。
【0029】
【試験例1】(1)骨髄細胞浮遊液の調製 ドナーマウスより大腿骨及び脛骨を取り外し、それぞ
れ、膝関節側よりシリンジ(2.5ml, Code No. SS-02S,
Terumo Co., Ltd.)につけた22ゲージ針(CodeNo. NN
-2225RSS-02S, Terumo Co., Ltd.)を刺入し、シリンジ
中のRPMI1640溶液にて骨髄細胞を滅菌シャーレ
(90×15mm, Iwaki Clinical Test Wares)へ押し流し
た後、RPMI1640溶液中に懸濁させ、得られる骨
髄細胞をRPMI1640溶液にて1回洗浄後、同溶液
中に浮遊させて所望の骨髄細胞浮遊液(1×108/ml濃
度)を調製した。 (2)T細胞の除去 RPMI1640溶液中に浮遊させた骨髄細胞(2×107
/ml濃度)に、モノクローナル抗Thy-1.2抗体(American
Type Culture Collection, Rockville, MD)を細胞浮
遊液量の1/10倍量加え、4℃、30分間静置した
後、RPMI1640溶液にて1回洗浄し、その後再
び、2×107/ml濃度に調整し、補体源としてのウサギ血
清を加え(細胞浮遊液量の1/16倍量)、37℃、3
0分間恒温槽内にて撹拌した。RPMI1640溶液に
て2回洗浄した後、1×108/ml濃度に調整した。 (3)放射線照射 レシピエントマウスの放射線照射は、137Csを線源と
したガンマセル40エグザクター(Nordion Internatio
nal Inc.社製)を用いた1回の全身照射もしくは2回に
分割した全身照射により行った。尚、分割照射の場合、
1回目と2回目の照射間隔は4時間とした。これらの放
射線照射は、門脈内注射又は比較のための静脈内注射の
前日に実施した。 (4)門脈内注射 レシピエントマウスをペントバルビタール(Pitman-Moo
r Inc.; 37.5mg/kg体重i.p.)麻酔下にて剃毛、消毒
し、腹部正中切開を行った後、腸間膜を露出させ、1m
l−ツベルクリン用シリンジにつけた27ゲージ針(Te
rumo Co., Ltd.)を腸間膜脂肪組織を経て刺入させ、前
記で調製したドナーマウスの骨髄細胞の5×107個(浮遊
液 0.5ml)を門脈内に注射投与した。 (5)静脈内注射 ドナーマウスの骨髄細胞を、1×108/ml濃度に調整
し、その5×107個(0.5ml)をレシピエントマウスの尾静
脈より注射投与した。 (6)骨髄移植及び結果 MRL/MP−lpr/lpr(MRL/lpr)マウ
スは、異常T細胞の集積と共にリンパ節腫脹を自然発症
し、全身性エリテマトーデス(SLE)や慢性関節リュ
ーマチ(RA)等、自己免疫疾患の動物モデルとして知
られている。
【0030】このMRL/lprマウス(Japan SLC In
c.)をレシーピエントとし、C57BL/6マウス(B
6、Japan SLC Inc.)をドナーとする骨髄移植を実施
し、レシーピエントマウスの生存とドナー由来細胞の生
着につき確認した。また自己免疫疾患の治療効果を併せ
て確認した。
【0031】骨髄移植は、所定の放射線照射後に全骨髄
細胞(T細胞を除去していない骨髄細胞。以下同じ。)
を所定の投与経路にて注射投与することにより行なっ
た。
【0032】尚、試験した各群は次のとおりである。 グループI:放射線の2回分割照射(5.5Gy×2)及
び全骨髄細胞の門脈内投与からなる群(n=13)。 グループII:放射線の2回分割照射(5.5Gy×2)及
び全骨髄細胞の門脈内投与に加え、門脈内投与の5日後
に全骨髄細胞を静脈内投与した群(n=10)。 グループIII:放射線の2回分割照射(5Gy×2)及び
全骨髄細胞の門脈内投与からなる群(n=7)。 グループIV:放射線の2回分割照射(5Gy×2)及び全
骨髄細胞の門脈内投与に加え、門脈内投与の5日後に全
骨髄細胞を静脈内投与した群(n=13)。 グループV:放射線の2回分割照射(6Gy×2)及び全
骨髄細胞の門脈内投与からなる群(n=4)。 グループVI:放射線の1回照射(8.5Gy)及び全骨髄
細胞の静脈投与からなる群(n=10)。
【0033】結果を図1に示す。図1において、縦軸
は、生存率(Survival rate)(%)を、横軸は、移植
術後の経過週数(Weeks after treatment)を示し、各
群をそれぞれグループ名にて表示した。 (7)結果の説明 発症した自己免疫疾患の治療を目的として、蛋白尿2.
5以上でリンパ節腫脹の認められるMRL/lprマウ
スに骨髄移植療法を行なった。
【0034】従来の方法である経静脈的骨髄移植(グル
ープVI:対照群)を行なった場合、全てのレシピエント
MRL/lprマウスが4週間以内に死亡した。
【0035】これに対して、本発明方法に従う、放射線
の5.5Gy2回分割照射及び全骨髄細胞の門脈内投与
群(グループI)においては、処置後40週の時点にお
いて71%のレシピエントが生存しており良好な結果が
得られた。また、このレシピエントにおいて、ドナー由
来細胞の生着及び自己免疫疾患の治癒が確認された。
【0036】注目すべきことは、放射線の5.5Gy2
回分割照射後、全骨髄細胞の門脈内投与に加え、5日後
に更に全骨髄細胞を静脈内投与した群(グループII)に
おいては、処置後25週を経過した時点で全例が生存
し、自己免疫疾患の治癒が確認された。
【0037】更に、5Gy2回分割照射の実験群(グル
ープIV:他の処置はグループIIと同様)は、処置後5週
を経過したのみではあるが良好な結果を示しており、門
脈内及び静脈内投与を併用することにより、放射線照射
量を軽減させることが可能と思われる。また、放射線の
5Gy2回分割照射及び全骨髄細胞の門脈内投与群(グ
ループIII)においては、処置後80週において全例が
死亡したが、これは生後96週となり、正常マウスの寿
命とほぼ同等である。処置後30週以内に死亡した個体
では、ドナー由来の細胞の生着が認められず、既存の自
己免疫疾患の進行により死亡したものと考える。従っ
て、ドナー由来細胞の生着が得られた個体(移植後30
週以上生存個体)では長期間の生存が可能となったもの
と考える。5Gy×2回照射は、ホスト側の造血・免疫
系の細胞がドナー側に置き換わるクリティカルな線量
で、従って、門脈内投与に静脈内投与の追加(グループ
IV)処置が有効となるものと考えられる。
【0038】一方、放射線の6Gy2回分割照射及び全
骨髄細胞の門脈内投与群(グループV)においては、処
置後7週以内に全例が死亡し、放射線の侵襲に耐え得な
かったものと推測され、6Gy2回分割照射はMRL/
lprマウスのような放射線感受性のマウスに対しては
不適当であることが判明した。但し、MRL/lprマ
ウス以外の系統のマウスでは6Gy2回分割照射が最善
であることが判明している。 (8)考察 MRL/lprマウスは個体レベルで放射線感受性が高
く、更に自己免疫疾患発症後はこの傾向が更に強く認め
られる。しかしながら、細胞レベルにおいては、放射線
抵抗性の造血幹細胞を有しており、このため骨髄移植に
よるMRL/lprマウスの自己免疫疾患の治療は極め
て困難であった。本発明によれば、適切な放射線照射と
その後の門脈内投与により、ドナー骨髄細胞の生着が促
進され、かくしてMRL/lprマウスにおいてもその
自己免疫疾患の満足できる治療法が確立できた。
【0039】以上の結果より、本発明にかかる処置によ
り、ドナー細胞に対する免疫寛容が誘導されることが明
らかである。このため、これまでの骨髄細胞の静脈内投
与による骨髄移植法では必須であった長期にわたる免疫
抑制剤の使用が、本発明では必要がなくなり、かくして
患者の身体的負担を軽減させることができる。また、患
者への腹腔鏡下での門脈内投与法は、既に確立された安
全な方法であり、開腹手術を伴わずに施行可能であり、
この点からも患者の負担が軽度であると考えられる。
【0040】従って、本発明は、ヒトにおける、例えば
自己免疫疾患等の骨髄移植対象疾患の治療に有効である
と結論される。
【0041】
【製剤例1】骨髄細胞を生理食塩水に懸濁して、1×1
8細胞/mlの細胞浮遊液を調製する。門脈投与用と
して、ヒトの場合、通常3×108細胞/kg以上の骨
髄細胞投与量で投与されるのが好ましく、少なくとも当
該投与量を含有する投与用形態である注射剤を調製す
る。
【0042】
【製剤例2】抗T細胞抗体(抗CD3抗体又は抗CD4
抗体と抗CD8抗体の混合抗体)を使用して調製した1
×108細胞/mlのT細胞除去骨髄細胞浮遊液に、末
梢血より同抗体を使用して調製したT細胞を1〜2%程
度含まれるように加えて、門脈内投与用の注射剤を調製
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における骨髄移植の結果を示す図面で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造血幹細胞を有効成分とし、造血幹細胞
    移植に有効量の放射線を照射する移植前処置を行なった
    後に、門脈内投与により移植されることを特徴とする造
    血幹細胞移植用剤。
  2. 【請求項2】 門脈内投与後に更に造血幹細胞を静脈内
    投与する請求項1に記載の移植用剤。
  3. 【請求項3】 放射線照射が1日に2回の分割による全
    身照射により行われる請求項1に記載の移植用剤。
  4. 【請求項4】 自己免疫疾患の処置のために用いられる
    請求項1に記載の移植用剤。
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