JPH11342344A - 酸化チタン含有光触媒 - Google Patents

酸化チタン含有光触媒

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JPH11342344A
JPH11342344A JP10151613A JP15161398A JPH11342344A JP H11342344 A JPH11342344 A JP H11342344A JP 10151613 A JP10151613 A JP 10151613A JP 15161398 A JP15161398 A JP 15161398A JP H11342344 A JPH11342344 A JP H11342344A
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JP
Japan
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titanium oxide
photocatalyst
oxygen
titanium
light
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Pending
Application number
JP10151613A
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English (en)
Inventor
Atsushi Nanjo
敦 南條
Tetsushi Ikeda
哲史 池田
Shoichi Anpo
正一 安保
Hiromi Yamashita
弘巳 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】硝酸等の腐食性の高い物質を生成せずに、酸素
非共存下のみならず酸素共存下においても気体中の窒素
酸化物を除去することのできる光触媒を提供する。 【解決手段】金属酸化物担体、及び該担体上に担持され
たTi種が4配位構造をとり、好ましくは平均配位数が
3.9〜5.0である酸化チタンを含む、酸素共存下及
び酸素非共存下における光照射による窒素酸化物の還元
反応を触媒する酸化チタン含有光触媒、並びにV、C
u、Fe、Mg、Ag、Pd、Ni、Mn、Pt及びこ
れらの混合物からなる群より選択される金属のイオンを
さらに含む前記酸化チタン含有光触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒素酸化物を還元
するための酸化チタン含有光触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】大気等の気体に含まれるNO、NO2
24、N2O等のNOxの除去方法として、二酸化チ
タンを光触媒として用い、紫外光を含む光を照射するこ
とによって気体中の汚染物質であるNOxを除去するこ
とが一般に行なわれつつある。このような従来の二酸化
チタンを用いる方法においては、酸素が共存しない気体
について行う場合には主に還元反応が進行して窒素酸化
物をN2等とすることができるが、酸素が共存する通常
の気体について行う場合、気体中で光触媒に紫外光を照
射することにより生成するO2 -やOHラジカルによるN
Oxの酸化反応が主に進行し、NO3、さらには硝酸を
生成するので、これらを除去することによりNOxの除
去が達成される。
【0003】しかしながらこれらの方法では、反応生成
物である硝酸等による腐食等の問題があり、また紫外線
照射下でしか触媒作用がないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、硝酸
等の腐食性の高い物質を生成せずに、酸素非共存下のみ
ならず酸素共存下においても気体中の窒素酸化物を除去
することのできる光触媒を提供することにある。
【0005】本発明のさらなる目的は、紫外線のみなら
ず可視光によっても、硝酸等の腐食性の高い物質を生成
せずに、酸素非共存下のみならず酸素共存下においても
気体中の窒素酸化物を除去することのできる光触媒を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属酸
化物担体、及び該担体上に担持されたTi種が4配位構
造をとる酸化チタンを含む、酸素共存下及び酸素非共存
下における光照射による窒素酸化物の還元反応を触媒す
る酸化チタン含有光触媒が提供される。
【0007】また、本発明によれば、前記Ti種の平均
配位数が3.9〜5.0である前記酸化チタン含有光触
媒。
【0008】さらに、本発明によればCr、V、Cu、
Fe、Mg、Ag、Pd、Ni、Mn、Pt及びこれら
の混合物からなる群より選択される金属のイオンをさら
に含む前記酸化チタン含有光触媒が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の酸化チタン含有光触媒
は、金属酸化物担体、及び該担体上に担持されたTi種
が4配位構造をとる酸化チタンを含む。このような構成
により、本発明の酸化チタン含有光触媒は、酸素非共存
下のみならず、従来酸化チタン含有光触媒では達成する
ことができなかった酸素共存下においても、光照射によ
る窒素酸化物の還元反応を選択的に触媒することができ
る。
【0010】前記金属酸化物担体としては、後述する特
定の酸化チタンを担持することができるものであれば特
に限定されないが、ゼオライト、非晶質シリカ、ガラス
板、非晶質シリカ多孔体、石英質多孔体、無定型アルミ
ナ、非晶質アルミナ多孔体、結晶質アルミナ多孔体等が
挙げられ、好ましくはゼオライト、非晶質シリカ、ガラ
ス板、又は非晶質シリカ多孔体が用いられる。
【0011】前記Ti種が4配位構造をとる酸化チタン
とは、具体的には例えば下記式(1)に示す配位をとる
酸化チタンをいう。
【0012】
【化1】
【0013】酸化チタンは、前記担体上において、Ti
種が分散してTi−O−Tiの結合が少なくなる程前記
4配位構造を取りやすく、逆にTi種が密集してTi−
O−Tiの結合が多くなる程、下記式(2)に示す6配
位構造を取りやすい。
【0014】
【化2】
【0015】従って、Ti種を前記担体上において高分
散された状態で担持させることにより、4配位構造とす
ることができる。
【0016】本発明の酸化チタン含有光触媒が、4配位
構造をとる酸化チタンを含むことは、XANES、FT
−EXAFS等のX線吸収スペクトルによる微細構造分
析により確認することができる。XANES分析におい
ては、4960〜4990eV付近にpre-edgeピークが
観察されることにより、4配位構造をとる酸化チタンの
存在が確認できる。また、FT−EXAFS分析によっ
て酸化チタン含有光触媒中の酸化チタンの平均配位数及
びTi−O原子間距離を測定することにより、酸化チタ
ン含有光触媒中の酸化チタン全量中に対する、4配位構
造をとる酸化チタンの存在割合の指標を得ることができ
る。4配位構造をとる酸化チタンの存在割合が高い程、
酸素共存下における窒素酸化物の触媒反応において、酸
化反応及び還元反応のうちの還元反応のみを選択的に行
うことができる。
【0017】本発明の酸化チタン含有光触媒における酸
化チタンの平均配位数は通常3.7〜5.9、好ましく
は3.9〜5.0、さらに好ましくは3.9〜4.5で
あり、Ti−O原子間距離は好ましくは1.75〜1.
95Å、さらに好ましくは1.78〜1.91Åであ
る。平均配位数が5.0以下、又はTi−O原子間距離
が1.95Å以下となるような酸化チタン含有光触媒の
場合、還元反応のみを選択的に行うことができ好まし
い。
【0018】本発明の酸化チタン含有光触媒中の酸化チ
タンの含有量は、前記金属酸化物担体及び酸化チタンの
合計量に対してTiO2換算で通常0.1〜20重量
%、好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ま
しくは0.5〜5重量%とすることができる。酸化チタ
ンの含有量が0.1重量%未満であると、光触媒反応速
度が遅くなり好ましくない。また20重量%を超える
と、酸化チタン全量に対する4配位構造をとるものの比
率が低くなり、窒素酸化物の選択的還元反応を起こすこ
とができなくなるため好ましくない。
【0019】本発明の酸化チタン含有光触媒は、必須成
分として前記金属酸化物担体、及び前記特定の酸化チタ
ンを含むが、これらに加えて、Cr、V、Cu、Fe、
Mg、Ag、Pd、Ni、Mn、Pt及びこれらの混合
物、好ましくはCr、V、Fe、Ni、Mn及びこれら
の混合物、さらに好ましくはCr、V及びこれらの混合
物からなる群より選択される金属のイオンをさらに含む
ことができる。これらの金属イオンを含むことにより、
紫外線照射下のみならず、450nm以上の波長を持つ
可視光照射下でも窒素酸化物の還元反応を促進すること
のできる光触媒とすることができる。
【0020】本発明の酸化チタン含有光触媒中に含まれ
る前記金属イオンの電荷は特に制限はないが、1〜5価
のイオンとして存在することができる。
【0021】本発明の酸化チタン含有光触媒中の前記金
属イオンの含有割合は、6×10-7〜6×10-6mol/g
が好ましい。含有割合が6×10-7mol/g未満の場合、
可視光域の光を吸収して光触媒活性を発現する効果が十
分に得られないので好ましくない。含有割合が6×10
-6mol/gを超えると、遷移金属イオンのクラスター生成
により光触媒反応の効率が悪くなることがある。
【0022】前記金属イオンは、光触媒中に、均一に分
散されていることが好ましい。
【0023】本発明の酸化チタン含有光触媒は、以下の
方法等により製造することができる。これらの方法によ
り、金属酸化物担体上に酸化チタンが高分散で担持さ
れ、Ti種が4配位構造をとる酸化チタン含有光触媒を
製造することができる。
【0024】第1の製造方法として、有機チタン化合物
と有機シリコン化合物とを混合したゾル溶液をゲル化さ
せる方法が挙げられる。
【0025】前記有機チタン化合物としては、チタンの
アルコキシド、キレート、アセテート等が挙げられ、好
ましくはチタンのアルコキシドが用いられる。前記チタ
ンのアルコキシドとしては、チタンメトキシド、テトラ
エトキシチタン、チタンテトライソプロポキシド、チタ
ンテトラブトキシド、チタン2エチル1ヘキサノラート
等が挙げられる。
【0026】また前記有機シリコン化合物としては、珪
素のアルコキシド、キレート、アセテート等が挙げら
れ、好ましくは珪素のアルコキシドが用いられる。前記
珪素のアルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、
テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げ
られる。
【0027】これらの有機チタン化合物と有機シリコン
化合物とを、これらの合計に対する酸化チタンの含有割
合がTiO2として0.1〜20重量%、好ましくは
0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量
%となる割合で混合し、ゾル溶液を調製する。この時必
要に応じて、アルコールを混合してもよい。前記アルコ
ールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
ブタノール等が挙げられる。また、混合はスターラー等
で撹拌すること等により行うことができる。
【0028】このように調製されたゾル溶液をさらにゲ
ル化する。ゲル化は、空気中で放置し空気中の水分を吸
収させることにより行うことができ、あるいは、蒸留水
をゾル溶液中に滴下して行うこともできる。得られたゲ
ルを、イオン交換水で煮沸洗浄後、乾燥させ、さらに空
気中400〜500℃で焼成することによって、金属酸
化物担体上にTi種が4配位構造をとる酸化チタンが担
持された材料を得ることができる。
【0029】第2の製造方法として、ゼオライトを金属
酸化物担体として用い、これにチタンイオンを作用させ
る方法が挙げられる。
【0030】前記ゼオライトとは、一般に下記式(3)
【0031】
【化3】
【0032】(但し、nは陽イオンMの原子価、xは
0.8〜1.2の範囲の数、yは2以上の数、zは0以
上の数である)で表される組成を有する結晶性のアルミ
ノシリケートであり、天然品及び合成品として多くの種
類が知られている。
【0033】前記ゼオライトの種類は特に限定されない
が、代表的にはX型ゼオライト、Y型ゼオライト、モル
デナイト、ZSM−5、ZSM−11等のZSM型ゼオ
ライト、ペンタシル型ゼオライト及びA型ゼオライト等
が挙げられる。
【0034】これらのゼオライトはそのまま用いてもよ
いが、これをNH4Cl、NH4NO3(NH42SO4
でイオン交換したNH4型ゼオライトあるいは水素イオ
ンで交換したH 型ゼオライトを好ましく用いることも
できる。またアルカリ金属、アルカリ土類金属等の陽イ
オンを含んでいてもよい。
【0035】ゼオライトに酸化チタンを作用させる方法
としては、含浸法、共沈法、沈着法、混練法等によるイ
オン交換法、又はCVD法等を使用できるが、本発明で
はイオン交換法が好ましく用いられる。
【0036】前記イオン交換法は、特に制限はないが、
例えばチタンイオンを含む水溶液等の溶液にゼオライト
を浸漬し、20〜100℃で数時間撹拌した後、ろ別
し、洗浄し、酸素中で焼成することにより行うことがで
きる。前記溶液を調製するのに使用するチタン塩として
は、酢酸塩、硝酸塩、蓚酸塩、塩化物等を挙げることが
できる。
【0037】第3の製造方法として、非晶質シリカ多孔
体にハロゲン化チタンガスを反応させる方法が挙げられ
る。
【0038】前記反応は、非晶質シリカ多孔体をチャン
バーに入れ、400〜500℃で真空排気し、表面を清
浄にした後、室温に戻し、ハロゲン化チタンガスを導入
し、100〜300℃で熱処理し固着させ、その後室温
で水蒸気を導入し加水分解させた後、200〜300℃
で加熱処理し、100〜200℃で水蒸気を排気し、さ
らに空気中で400〜500℃で焼成することにより行
うことができる。
【0039】前記非晶質シリカ多孔体としては、多孔質
バイコールガラス、シリカゲル等が挙げられる。ハロゲ
ン化チタンガスとしては塩化チタンガス、よう化チタン
ガス等が挙げられ、好ましくは塩化チタンガスが用いら
れる。
【0040】本発明の酸化チタン含有光触媒のうち前記
金属イオンをさらに含むものは、前記第1〜3の製造方
法により得られた材料等の、金属酸化物担体及び該担体
上に担持されたTi種が4配位構造をとる酸化チタンを
含む材料に、Cr、V、Cu、Fe、Mg、Ag、P
d、Ni、Mn、Pt及びこれらの混合物、好ましくは
Cr、V、Fe、Ni、Mn及びこれらの混合物、さら
に好ましくはCr、V及びこれらの混合物からなる群よ
り選択される金属をイオン化し、加速し、イオン注入し
て、さらにイオン注入された材料を400〜500℃の
空気中において1〜3時間焼成することにより製造する
ことができる。
【0041】前記イオン注入は、半導体分野における不
純物のドーピング又は鋼等の金属材料の表面改質にに利
用されているイオン注入方法、即ち加速された高エネル
ギーの金属イオンを試料に照射させることによって金属
イオンを試料に注入し、試料の電子状態の改質を行うの
に使用されている方法と同様の方法で行うことができ
る。
【0042】イオン注入に際して、前記材料をペレット
状、板状等に成形し、これに注入を行なうことができ
る。また、成形したものを、イオン注入に先立ち空気中
で300〜500℃、1〜2時間空気中で焼成し形が崩
れにくくすることもできる。
【0043】イオン注入方法のイオン入射角度は特に限
定されない。イオン源の方式も特に限定はなく、例えば
カウフマン型、バケット型等のものを用いることができ
る。また、イオン照射量は、イオン電流測定器を用いて
モニタで制御することができる。前記イオン電流測定器
としては例えばファラデーカップ等を用いることができ
る。これらを用いてイオン照射量を適宜制御することに
より、得られる光触媒中の金属イオンの含有割合を前記
の好ましい範囲に制御することができる。
【0044】注入時における前記金属イオンの電荷は特
に制限はないが、通常注入前の金属イオンが加速された
状態では、1価で存在する場合が多い。
【0045】注入時の加速電圧は、通常70keV〜50
0keV、好ましくは150keV〜200keVで行うこと
ができる。70keVより小さいと、イオンが十分に前記
材料中に注入されず、表面に堆積するだけになってしま
い金属イオンの注入の効果が得られないため好ましくな
い。また、500keV以上では、加速装置が大規模にな
りコストが高くつくため好ましくない。
【0046】本発明の酸化チタン含有光触媒は、酸素共
存下及び酸素非共存下における光照射による窒素酸化物
の還元反応を触媒する。
【0047】前記窒素酸化物とはいわゆるNOxのこと
であり、NO、NO2、N24、N2O等を包含する。
【0048】前記還元反応は、特に限定されないが、本
発明における酸化チタン含有光触媒は、特にNOxのN
2とO2への還元反応を直接行なうことができる。
【0049】本発明の酸化チタン含有光触媒は、酸素非
共存下のみならず、酸素共存下においても窒素酸化物の
還元反応を選択的に行うことができる。即ち、従来酸化
チタン含有光触媒は酸素非共存下では窒素酸化物を還元
することができるが、酸素共存下では窒素酸化物を還元
する反応を選択的に触媒することができず、窒素酸化物
を酸化する反応を主に触媒することが知られていたが、
本発明の酸化チタン含有光触媒は、上記特定の構成を有
することにより、酸素共存下においても、光照射による
窒素酸化物の還元反応を選択的に触媒することができ
る。
【0050】前記光照射に用いる光としては、波長約4
00nm以下、好ましくは200〜370nmの紫外
光、又はこの紫外光に加えてそれ以外の範囲の光、例え
ば可視光、赤外光、遠紫外光等が含まれる光を用いるこ
とができる。また紫外光からある特定の波長を選択して
照射しても良い。
【0051】さらに、本発明の酸化チタン含有光触媒の
うち前記金属イオンをさらに含むものの場合、紫外領域
はもちろんのこと、これまで利用することが不可能とさ
れてきた可視光領域、例えば波長約400〜800nm
の範囲、好ましくは200〜500nmの範囲の光によ
っても活性化することができるので、この範囲の光も好
ましく用いることができる。従って、この範囲の光のみ
を含む光、又はこの範囲の光に加えてそれ以外の範囲の
光、例えば赤外光、紫外光、遠紫外光等が含まれる光を
用いることができる。さらにこの範囲の光からある特定
の波長を選択して照射しても良い。
【0052】本発明の酸化チタン含有光触媒が触媒する
反応において使用される光の照射強度は、特に制限はな
いが、1μW/cm2以上であることが好ましい。
【0053】高分散な4配位の酸化チタンに紫外光等の
光を照射すると、酸化チタン種を構成するTi(チタ
ン)イオンからO(酸素)イオンに電荷移動が起こり、
基底状態の電子状態である(Ti4+−O2-)から(Ti
3+−O-)への電荷移動型励起状態が生成し、この電荷
移動型の励起状態が極めて高い還元作用を示す。このた
め、本発明の酸化チタン含有光触媒は、従来窒素酸化物
を還元するために用いられている半導体粉末二酸化チタ
ン(TiO2)等の6配位の酸化チタンとは異なり高い
光触媒活性を示すことになり、酸素存在中でも窒素酸化
物を選択的に還元することができると考えられる。本発
明の酸化チタン含有光触媒は、このような作用によって
空気中の窒素酸化物を還元除去できる。
【0054】
【発明の効果】本発明の酸化チタン含有光触媒は、金属
酸化物担体上に担持された特定の酸化チタンを含むの
で、酸素非共存下のみならず酸素共存下においても光照
射による窒素酸化物の還元反応を触媒しうる。従って、
硝酸等の腐食性の高い物質を生成せずに気体中の窒素酸
化物を除去することのできる酸化チタン含有光触媒とし
て有用である。また、本発明の酸化チタン含有光触媒
は、特定の金属イオンを含む場合、紫外線のみならず可
視光においても前記反応を触媒しうる。
【0055】
【実施例】以下に本発明について実施例で具体的に説明
するが本発明はこれによって制限されるものではない。
【0056】なおXANESとEXAFSの測定では、
アナタース酸化チタン、ルチル酸化チタン、チタンテト
ライソプロポキシドを標準試料として平均配位数を求め
た。これらの測定にはBL−7Cを使用し、蛍光法又は
透過法にて測定した。モノクロ分光器はSi(lll)単
結晶、検出器はHe70/Ar30混合ガス電離箱をそ
れぞれ用い、ビームエネルギー2.5GeVの条件で測
定した。
【0057】製造例1a〜1d けい酸エチル(和光純薬工業(株)製)とチタンテトラ
ブトキシド(和光純薬工業(株)製)とを、エタノール
中で、TiとSiとがTiO2及びSiO2の重量比とし
て1:99(製造例1a)、5:95(製造例1b)、
20:80(製造例1c)又は80:20(製造例1
d)になる比率で混合しゾルを調製した。さらに、室温
で撹拌し空気中の水分によりゲル化させた。このゲルを
イオン交換水で1時間煮沸洗浄し、1時間乾燥し、空気
中450℃で2時間焼成し、シリカ担体酸化チタン光触
媒とした。
【0058】これらの触媒のX線吸収スペクトルの微細
構造をXANES法とFT−EXAFS法により解析し
た。製造例1a〜1dそれぞれの結果を図1a〜1d及
び図2a〜2dに示す。製造例1a〜1dで得られた各
光触媒のFT−EXAFSに基づいたチタンの平均配位
数はそれぞれ3.9、4.4、4.9及び5.8であ
り、またTi−O結合距離はそれぞれ1.78、1.7
9、1.84及び1.91Åであった。また、製造例1
a〜1dで得られた各光触媒のうち、酸化チタンの配合
量が少ないもの程、XANES分析において、4980
eV付近に著明なpre-edgeピークが観察された。これら
の結果から、得られた光触媒中には、6配位と4配位の
酸化チタンが混在し、酸化チタンの配合量が少ないほど
4配位の酸化チタンが増加していたことが分かる。
【0059】実施例1a〜1c 容積110mlの石英セル反応容器に製造例1bで得た
光触媒を150mg充填し、200℃で真空排気した
後、NOを4Torr導入すると共に、表1に示す濃度
のO2を供給し、2時間高圧水銀ランプで常温で光照射
した。そしてその生成物をガスクロマトグラフで分析し
た。その結果を表1に示す。表1において、NO転換率
は、導入された全てのNOに対する酸化又は還元された
NOの割合を、またN2生成率、N2O生成率及びNO2
生成率は、それぞれ酸化又は還元されたNO全量に対す
る、N2に還元されたNO、N2Oに還元されたNO及び
NO2に酸化されたNOの割合を示す。
【0060】実施例1では、酸素非共存下及び酸素共存
下の両方で還元反応が進み、N2生成率が高かった。
【0061】比較例1a〜1c 容積110mlの石英セル反応容器にTiO2(アナタ
ーゼ型二酸化チタン)150mgを充填し、200℃で
真空排気した後、NOを4Torr導入するとともに、
表1に示す濃度のO2を供給し、2時間高圧水銀ランプ
で常温で光照射した。そしてその生成物をガスクロマト
グラフで分析した。その結果を表1に示す。比較例1で
は酸素非共存下では還元反応が促進されていたが、酸素
共存下では逆に酸化反応が進みN2は生成せず、NO2
生成していた。
【0062】製造例2 Y−ゼオライト(東洋曹達製)をH 型に変換後、0.
1M−TiCl3(和光純薬工業(株)製)溶液でイオ
ン交換し、乾燥後空気中450℃で焼成することにより
光触媒を得た。得られた光触媒には、光触媒全量中酸化
チタンがTiO2として1.1重量%担持されていた。
【0063】実施例2a〜2c 容積110mlの石英セル反応容器に、製造例2で得た
光触媒を0.1g充填し、450℃で酸素処理後、20
0℃で真空排気した後、NOを4Torr導入するとと
もに、表1に示す濃度のO2を供給し、2時間高圧水銀
ランプで常温で光照射した。そしてその生成物をガスク
ロマトグラフで分析した。その結果を表1に示す。実施
例2では、酸素非共存下及び酸素共存下の両方で還元反
応が進み、N2生成率が高かった。
【0064】製造例3 多孔質バイコールガラスをチャンバーに入れ、723K
にて2時間真空排気した。その後、723Kで酸素ガス
を注入し、2時間処理し、さらに7時間真空排気した。
その後室温に戻し、TiCl4ガスを導入し、473K
で2時間熱処理した。室温で水蒸気を導入し、523K
で2時間熱処理した後、473Kで2時間水蒸気を排気
した。773Kで2時間酸素処理を行った後、空気中で
773Kで7時間焼成し、光触媒を得た。TiO2とし
ての担持量は0.2重量%であった。
【0065】得られた光触媒のX線吸収スペクトルの微
細構造をXANES法とFT−EXAFS法により解析
した結果、XANES法では4975eVにおいてpre
−edge ピークが観察された。またFT−EXAFS分
析により測定されたチタンの平均配位数は4.1であ
り、得られた光触媒は4配位構造の酸化チタンであっ
た。
【0066】実施例3a〜3c 容積110mlの石英セル反応容器に、製造例3で得ら
れた光触媒を0.1g充填し、450℃で酸素処理後、
200℃で真空排気した後、NOを4Torr導入する
とともに表1に示す量のO2を供給し、2時間高圧水銀
ランプで常温で光照射した。そしてその生成物をガスク
ロマトグラフで分析した。その結果を表1に示す。実施
例3では、酸素非共存下及び酸素共存下の両方で還元反
応が進み、N2生成率が高かった。
【0067】製造例4a〜d 製造例1bで得られた光触媒に、200KeVイオン注
入装置を用いてCrイオンを加速して、150KeVの
エネルギーにて、6.6×10-7(製造例4a)、1.
3×10-6(製造例4b)、2.0×10-6(製造例4
c)又は2.6×10-6(製造例4d)イオンmol/
g注入した。イオン注入後、450℃、2時間空気中で
熱処理を行い、Crイオン含有光触媒を得た。
【0068】得られたCrイオン含有光触媒及び製造例
1bで得られた光触媒について、250〜650nmの
光に対する拡散反射UV−VIS吸収スペクトルを測定
した。結果を図3に示す。図3の結果から、Crイオン
の注入量が増加するにともない長波長側における光の吸
収が増加していることが分かる。
【0069】実施例4a〜4c 容積110mlの石英セル反応容器に、製造例4dで得
られたCrイオン含有光触媒0.1gを充填し、450
℃で酸素処理後、200℃で真空排気した後、NOを4
Torr導入するとともに表1に示す量のO2を供給
し、常温で、450以下の波長の光をカットするフィル
ターを介して、高圧水銀ランプで2時間光照射した。そ
してその生成物をガスクロマトグラフで分析した。その
結果を表1に示す。実施例4では、可視光のみの照射下
において還元反応が進んだ。
【0070】比較例2a〜2c 容積110mlの石英セル反応容器にTiO2(アナタ
ーゼ型二酸化チタン)150mgを充填し、200℃で
真空排気した後、NOを4Torr導入するとともに、
表1に示す濃度のO2を供給し、常温で、450以下の
波長の光をカットするフィルターを介して、高圧水銀ラ
ンプで2時間光照射した。そしてその生成物をガスクロ
マトグラフで分析した。その結果を表1に示す。比較例
2では、可視光のみを照射しても還元反応が進まなかっ
た。
【0071】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1a〜1dにおいて得られた光触媒につ
いてのXANES分析結果を表すグラフである。
【図2】製造例1a〜1dにおいて得られた光触媒につ
いてのFT−EXAFS分析結果を表すグラフである。
【図3】製造例4a〜4d及び製造例1bで得られた光
触媒についての、250〜650nmの光に対する拡散
反射UV−VIS吸収スペクトルの測定結果を表すグラ
フである。
【符号の説明】
1b;製造例1bで得られた光触媒についての結果 4a;製造例4aで得られた光触媒についての結果 4b;製造例4bで得られた光触媒についての結果 4c;製造例4cで得られた光触媒についての結果 4d;製造例4dで得られた光触媒についての結果
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 23/26 B01J 23/26 A 23/38 23/38 A 23/70 23/70 A 29/08 29/08 A C01G 23/04 C01G 23/04 Z (72)発明者 山下 弘巳 大阪府堺市学園町1番1号 大阪府立大学 工学部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物担体、及び該担体上に担持さ
    れたTi種が4配位構造をとる酸化チタンを含む、酸素
    共存下及び酸素非共存下における光照射による窒素酸化
    物の還元反応を触媒する酸化チタン含有光触媒。
  2. 【請求項2】 前記Ti種の平均配位数が3.9〜5.
    0である請求項1記載の酸化チタン含有光触媒。
  3. 【請求項3】 Cr、V、Cu、Fe、Mg、Ag、P
    d、Ni、Mn、Pt及びこれらの混合物からなる群よ
    り選択される金属のイオンをさらに含む請求項1又は2
    記載の酸化チタン含有光触媒。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010057595A (ko) * 1999-12-22 2001-07-05 김무강 은이 도포된 광촉매 제조방법
JP2002136878A (ja) * 2000-10-31 2002-05-14 Japan Atom Energy Res Inst 非金属不純物を添加した光触媒材料とその作製法
JP2007244974A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Ryukoku Univ NOxガス吸着分解剤及びその製造方法、並びにNOxガス吸着分解方法
JP4507376B2 (ja) * 2000-09-14 2010-07-21 東ソー株式会社 ゼオライト系光触媒および光触媒反応方法
CN104722296A (zh) * 2015-04-02 2015-06-24 东北林业大学 一种低温制备Ag-TiO2复合光催化剂的方法
CN106378195A (zh) * 2016-08-26 2017-02-08 江苏大学 一种Ag‑POPD嵌入型磁性印迹光催化剂及其制备方法

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