JPH11341708A - フライホイール式エネルギー貯蔵システム、及びフライホイールを用いたエネルギー貯蔵方法 - Google Patents

フライホイール式エネルギー貯蔵システム、及びフライホイールを用いたエネルギー貯蔵方法

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JPH11341708A
JPH11341708A JP10159891A JP15989198A JPH11341708A JP H11341708 A JPH11341708 A JP H11341708A JP 10159891 A JP10159891 A JP 10159891A JP 15989198 A JP15989198 A JP 15989198A JP H11341708 A JPH11341708 A JP H11341708A
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JP
Japan
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flywheel
coil
stator
rotor
storage system
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JP10159891A
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Hiroshi Nakajima
洋 中島
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Railway Technical Research Institute
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転軸を介さずにエネルギーをフライホイー
ルに授受し、かつ回転子と固定子の間の空隙を十分確保
しつつ、低損失で高効率のフライホイール式エネルギー
貯蔵システム、及びフライホイールを用いたエネルギー
貯蔵方法を提供する。 【解決手段】 回転可能なフライホイール20の外周付
近に複数の回転子コイル21を配設し、これに対応させ
て複数の固定子コイル11を配置し、直流をインバータ
30で三相交流にして固定子コイル11に供給して電磁
気力を発生させフライホイール20を回転させ、電気エ
ネルギーをフライホイール20の回転運動エネルギーと
して貯蔵し、回転する回転子コイル21と固定子コイル
11との間に働く発電作用により誘起する電流をインバ
ータ30によって取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エネルギーをフラ
イホイールの回転運動エネルギーとして貯蔵し又は回収
するフライホイール式エネルギー貯蔵システム、及びフ
ライホイールを用いたエネルギー貯蔵方法の改良に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種のエネルギーを、フライホイ
ール(はずみ車)の回転運動エネルギーとして貯蔵し、
又は取り出すフライホイール式エネルギー貯蔵システム
が知られている。このフライホイール式エネルギー貯蔵
システムは、図13に示すような構成となっており、入
出力端子205,206を有する電動モーター201
と、回転軸202と、フライホイール203と、軸受2
04を備えている。
【0003】このフライホイール式エネルギー貯蔵シス
テムでは、入出力端子205,206に電流を入力する
ことにより電動モーター201を駆動させ、フライホイ
ール203を回転させる。したがって、これにより、電
動モーター201へ入力する以前は電気エネルギーであ
ったエネルギーを、フライホイール203の回転運動エ
ネルギーとして蓄えることができる。
【0004】上記した電動モーター201は、逆に用い
れば発電機としても機能するから、フライホイール20
3の回転中には、入出力端子205,206から電気を
取り出すことができる。このようにして、フライホイー
ル203にエネルギーを貯蔵し、又は取り出すことがで
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のフライホイール式エネルギー貯蔵システムで
は、以下のような問題があった。
【0006】大きなエネルギーを貯蔵するためには、フ
ライホイールの径を大きくするとよい。しかし、フライ
ホイール外周縁の周速度には限界がある。また、半径r
で角速度ωの場合の外周縁の周速度vは、v=r×ωと
なる。このため、vが一定ならば、フライホイールの直
径を大きくすると、フライホイールの回転軸の回転速度
(回転数)は小さくなる。すなわち、従来例のように、
フライホイールの回転軸を介してエネルギーの授受を行
うエネルギー貯蔵システムでは、大きなエネルギーの貯
蔵や取出しを行おうとすると、低い回転数でのエネルギ
ー入力及びエネルギー出力が必要となる。
【0007】このため、エネルギー貯蔵時には電動モー
ターとフライホイール軸との間に減速機を介在させる必
要があり、エネルギー取出し時にはフライホイール軸と
発電機との間に増速機を介在させる必要がある。したが
って、コストが増大するとともに、各接続箇所において
エネルギーの損失が発生する、という問題があった。ま
た、一般に、回転数が低い領域では、発電機の効率が悪
い、という問題もあった。
【0008】また、フライホイールの直径を大きくする
と、それに伴い、フライホイールの外周付近は「たわ
み」により下方に垂下するように変形する。このため、
大直径のフライホイールの場合には、フライホイールの
外周下縁がフライホイールの固定床等に接触するおそれ
がある、という問題もあった。
【0009】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の解決しようとする課題は、回
転軸を介さずにエネルギーをフライホイールに授受し、
かつ回転子と固定子の間の空隙を十分確保しつつ、低損
失でかつ効率の高いフライホイール式エネルギー貯蔵シ
ステム、及びフライホイールを用いたエネルギー貯蔵方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るフライホイール式エネルギー貯蔵シス
テムは、回転可能に構成されるフライホイールと、前記
フライホイールの円周付近に配設される複数の回転子
と、前記フライホイールの外部でかつ前記回転子との間
で電磁気的な相互作用が可能な第1位置に配設される複
数の固定子と、電力授受手段を備え、前記固定子及び前
記回転子のうちの少なくとも一方を超電導磁石又は超電
導コイルで構成し、前記電力授受手段により供給電流を
供給して前記固定子と前記回転子との間に電磁気力を発
生させ前記フライホイールを回転させることにより、前
記供給電流の電気エネルギーを前記フライホイールの回
転運動エネルギーとして貯蔵し、かつ、前記フライホイ
ールとともに回転する前記回転子と固定子との間に働く
発電作用により発生する誘起電流を前記電力授受手段に
よって取り出すことにより、前記フライホイールに貯蔵
された前記回転運動エネルギーを前記誘起電流の電気エ
ネルギーとして回収することを特徴とする。
【0011】上記したフライホイール式エネルギー貯蔵
システムにおいて、好ましくは、前記回転子は前記超電
導磁石で構成され、かつ前記固定子は常電導コイル又は
超電導コイルで構成される。
【0012】また、上記したフライホイール式エネルギ
ー貯蔵システムにおいて、好ましくは、前記回転子は常
電導コイル又は超電導コイルで構成され、かつ前記固定
子は前記超電導磁石で構成される。
【0013】また、上記したフライホイール式エネルギ
ー貯蔵システムにおいて、好ましくは、前記常電導コイ
ルは、相互にヌルフラックス接続され、前記フライホイ
ールの回転中心線の方向の位置を一定に制御する。
【0014】また、上記したフライホイール式エネルギ
ー貯蔵システムにおいて、好ましくは、前記常電導コイ
ルは、略8字状に形成されるとともに相互にヌルフラッ
クス接続され、前記フライホイールの半径の方向の位置
を一定に制御する。
【0015】また、上記したフライホイール式エネルギ
ー貯蔵システムにおいて、好ましくは、前記固定子は、
前記第1位置と、前記回転子と前記固定子との間で前記
電磁気的な相互作用が微弱な第2位置とを取り得るよう
に構成され、前記フライホイールへの前記回転エネルギ
ーの貯蔵動作を行う時点以外の時点、又は前記フライホ
イールからの前記回転エネルギーの取出し動作を行う時
点以外の時点においては、前記固定子は前記第2位置に
配置される。
【0016】また、本発明に係るフライホイールを用い
たエネルギー貯蔵方法は、回転可能に構成されるフライ
ホイールと、前記フライホイールの円周付近に配設され
る複数の回転子と、前記フライホイールの外部でかつ前
記回転子との間で電磁気的な相互作用が可能な第1位置
に配設される複数の固定子と、電力授受手段を備えると
ともに、前記固定子及び前記回転子のうちの少なくとも
一方を超電導磁石又は超電導コイルで構成したフライホ
イール式エネルギー貯蔵システムを用い、前記電力授受
手段により供給電流を供給して前記固定子と前記回転子
との間に電磁気力を発生させ前記フライホイールを回転
させることにより、前記供給電流の電気エネルギーを前
記フライホイールの回転運動エネルギーとして貯蔵し、
かつ、前記フライホイールとともに回転する前記回転子
と固定子との間に働く発電作用により発生する誘起電流
を前記電力授受手段によって取り出すことにより、前記
フライホイールに貯蔵された前記回転運動エネルギーを
前記誘起電流の電気エネルギーとして回収することを特
徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】(1)第1実施形態 図1は、本発明の第1実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す一部欠截斜視図で
ある。また、図2は、図1に示すフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システムの構成を示す断面図である。図1,
2に示すように、このフライホイール式エネルギー貯蔵
システム101は、ガイド部1Aと、回転部2Aと、電
力授受部3Aを備えて構成されている。
【0019】ガイド部1Aは、ガイドリング10Aと、
N1 個(N1 :正の整数)の固定子コイル11を有して
いる。ガイドリング10Aは、FRP(繊維強化プラス
チック)、コンクリート等の低磁性材料からなり、全体
としては略環状に形成されている。また、ガイドリング
10Aは、コイル支持部10aと直壁部10bを有して
いる。コイル支持部10aは、略環状に形成され、上面
が平面状に形成されている。
【0020】固定子コイル11は、ガイドリング10A
のコイル支持部10aの上面に配置され、所定の円周に
沿って所定間隔で配置されている。また、固定子コイル
11は、後述する回転子コイル21に対応する位置(第
1位置)に設置されている。
【0021】固定子コイル11の巻線は、銅(Cu)等
の常電導材料によって形成され、固定子コイル11は常
電導コイルとして構成されている。また、固定子コイル
11の巻線は、略「ロ」字状(レーストラック状)のル
ープ(環)をなすように巻回されている。固定子コイル
11の巻線は、1本の線であってもよいし、複数回巻か
れてもよい。
【0022】また、回転部2Aは、フライホイール20
と、回転子コイル21と、フライホイール軸22と、軸
受23を有している。フライホイール軸22は、軸受
(ベアリング)23によって回転可能な状態で軸支され
ており、このフライホイール軸22には、略円盤状のフ
ライホイール20が同軸となるように取り付けられてい
る。フライホイール20は、質量が大きく低磁性の材
料、例えば銅(Cu),亜鉛(Zn),鉛(Pb)等の
金属材料等で形成され、外周縁までの半径が大きく、全
体として回転慣性モーメントが大きくなるように構成さ
れている。
【0023】軸受23は、転動体等の転がり摩擦を利用
する「転がり軸受」、流体や固体等の滑り摩擦を利用す
る「滑り軸受」、吸引磁力又は反発磁力を利用する「磁
気軸受」等を含む公知の構成の軸受であり、フライホイ
ール軸22を円滑に回転させる。なお、磁気軸受の場合
は、磁気力を受ける2つの部材(図示せず)のうち、少
なくとも一方、又は両方を超電導磁石としてもよい。
【0024】回転子コイル21は、フライホイール20
の外周付近の所定円周に沿って所定間隔で所定個数N2
個(N2 :正の整数)配置されている。この回転子コイ
ル21の巻線は、Nb−Ti(ニオブ−チタン),Nb
3 Sn (ニオブ三スズ)等の合金系超電導体やセラミ
ックス系高温超電導体等を含む超電導材料によって形成
されている。また、回転子コイル21の巻線は、略
「ロ」字状のループをなすように巻回されている。回転
子コイル21の巻線は、1本の線であってもよいし、複
数回巻かれてもよい。
【0025】各回転子コイル21の巻線は、クライオス
タット等の断熱容器(図示せず)内に封入された液体ヘ
リウムや液体窒素等の冷却剤(図示せず)内に配置さ
れ、超電導コイルとして構成されている。このため、回
転子コイル21の巻線は、冷却剤によって臨界温度より
も低い温度に冷却されて超電導状態になっており、巻線
にいったん電流を流すと、ほぼ永久的に電流(以下、
「超電導電流」という。)が流れる。このため、各回転
子コイル21は、強力な磁界を発生させる永久磁石(以
下、「超電導磁石」という。)となっている。
【0026】この場合、隣接する回転子コイル21ごと
に超電導電流の通電方向は逆向きに設定され、超電導磁
石の磁極がN,S交互に並ぶように配置されている。
【0027】電力授受部3Aは、インバータ30(図2
参照)と、入出力端子31及び32を有している。イン
バータ30は、サイリスタ等の半導体素子を用い、直流
電流を、フライホイール20の回転数に応じた任意の周
波数の三相交流に変換する装置である。インバータ30
の出力は、端子Tに入力されるように接続されている。
【0028】上記した第1実施形態のフライホイール式
エネルギー貯蔵システム101におけるフライホイール
20の回転(推進)の原理について、図3を参照しつ
つ、以下に詳述する。図3は、図1に示すガイド部の固
定子コイルの接続構成と作用を説明する図である。
【0029】図3に示すように、固定子コイル11は、
通電用配線15a,15b,15cにより、3個おきに
接続され、通電用配線15a,15b,15cは、端子
T(図2参照)と接続されている。したがって、固定子
コイル11のうち任意のもの、あるいは特定のものに電
力が供給可能で、かつ後述する電力が取り出し可能な構
成となっている。また、図3の左右両端に示す端子Tは
互いに接続され、N1個の固定子コイル11,…,11
は全体として環状となっている。
【0030】上記のような構成により、外部から、入出
力端子31,32を介して、直流電流を入力すると、電
力授受部3A内のインバータ30がこの直流を三相交流
電流(供給電流)に変換し、固定子コイル11に三相交
流電流を流す。これにより、固定子コイル11の側に
は、円周に沿って回転移動する磁界(以下、「回転移動
磁界」という。)を発生させることができる。
【0031】すなわち、図3の左側の部分において11
(i-1) ,11(i) ,11(i+1) で示すように、上記した
三相交流の通電により、ある瞬間には、例えば、(i−
1)番目(i:1≦i≦N1 なる整数)の固定子コイル
11(i-1) の上部の磁極はN極となり、隣接するi番目
の固定子コイル11(i) の上部の磁極はS極となり、
(i+1)番目の固定子コイル11(i+1) の上部の磁極
はN極となり、これらの磁極は、図3の右方向へ向かっ
て移動(回転)していく。
【0032】一方、図3の左側の部分において11(j)
,11(j+1) で示すように、上記した回転移動磁界の
近傍の回転子コイル、例えば、(j)番目(i:1≦j
≦N2なる整数)の回転子コイル21(j) は超電導磁石
となっていて下部の磁極がN極であり、隣接する(j+
1)番目の回転子コイル(超電導磁石)21(j+1) の下
部の磁極がS極であった場合には、これらの磁極は、下
方にあって図3の右方向へ向かって移動していく回転移
動磁界により磁気吸引力を受ける。このため、回転子コ
イルが取り付けられているフライホイール20はフライ
ホイール軸22の中心線を回転中心線として回転を始め
る。
【0033】その後、十分な時間が経過すると、回転子
コイル(超電導磁石)21(j) の移動速度は、固定子コ
イル11上を移動する回転移動磁界の移動速度と等しく
なる。すなわち、この場合、固定子コイル11と回転子
コイル(超電導磁石)21は、一種の同期電動機(シン
クロナス・モータ)を構成している。
【0034】上記のようにして、入出力端子31,32
に直流電流を入力し、インバータ30によって三相交流
電流(供給電流)に変換し、これを各固定子コイル11
に供給することにより、固定子コイル11上を移動する
回転移動磁界を発生させ、この回転移動磁界に同期させ
てフライホイール20を回転させることができる。した
がって、この動作により、入出力端子31,32へ入力
する以前は電気エネルギーであったエネルギーを、フラ
イホイール20の回転運動エネルギーとして蓄えること
ができる。
【0035】上記した回転子コイル21(超電導磁石)
と固定子コイル11が構成する同期電動機は、逆に用い
れば発電機としても機能し、三相交流電流(誘起電流)
を誘起させることができる。また、インバータ30は、
逆に用いれば整流回路として機能するから、フライホイ
ール20の回転中には、入出力端子31,32から直流
電流を得ることができる。このようにして、フライホイ
ール20に回転運動のエネルギーとして蓄えられたエネ
ルギーを、再び電気エネルギーとして取り出すことがで
きる。
【0036】このように、第1実施形態のフライホイー
ル式エネルギー貯蔵システム101は、環状に並設され
た固定子コイル11に交流を入力し固定子コイル11上
に直接回転移動磁界を発生させて回転子コイル21(超
電導磁石)を駆動させフライホイール20を回転させて
電気エネルギーをフライホイール20の回転運動エネル
ギーに変換して貯蔵し、逆に回転中の固定子コイル11
から直接電力を回収する点に特徴がある。
【0037】なお、第1実施形態のフライホイール式エ
ネルギー貯蔵システム101においては、固定子コイル
11上を回転子コイル(超電導磁石)21が回転移動す
ることに伴い、回転子コイル21には、図1,2におけ
る上方へ向かう磁気力が作用する。この第1実施形態の
フライホイール式エネルギー貯蔵システム101におけ
るフライホイール20の磁気浮上の原理について、図3
を参照しつつ、以下に詳述する。
【0038】図3の右側の部分において、11(k-1) ,
11(k) ,11(k+1) は固定子コイルを示し、21(m)
,21(m+1) は回転子コイル(超電導磁石)を示して
いる。図に示すように、高速で回転移動するフライホイ
ールの動きにより、ある瞬間には、例えば、N極である
回転子コイル21(m) が接近してくるk番目(i:1≦
k≦N1 なる整数)の固定子コイル11(k) 内には、こ
の変化を阻止しようとする電流が誘起され、固定子コイ
ル11(k) の上部の磁極はN極となって、接近してくる
回転子コイル21(m) に反発力を作用させる。
【0039】これにより、回転子コイル21(m) の接線
速度がある値以上になると、フライホイールと回転子コ
イルの合計自重と反発力が均衡し、回転子コイル21
(m) は固定子コイルの上方に押し上げられ、所定値だけ
浮上することになる。
【0040】したがって、フライホイール20の回転速
度が十分高速の場合には、フライホイール軸22は図2
の上方に十分な間隙をもって浮上する。このため、通常
は、ベアリング(図示せず)等により摩擦を低減させて
支持していたフライホイール軸22の押付部23aは、
磁気支持されることになり、ベアリング等を不要するこ
とも可能である。
【0041】上記した第1実施形態のフライホイール式
エネルギー貯蔵システム101は、以下に述べるような
利点を有している。
【0042】1)第1実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム101は、従来例のフライホイール
式エネルギー貯蔵システムのようにフライホイール軸を
介してエネルギーの授受を行う方式、すなわち電気で電
動モーターを駆動させフライホイール軸を回転させて回
転エネルギーに変換し、回転するフライホイール軸によ
り発電機軸を回転させて発電を行う方式ではなく、環状
の複数の固定子コイル11に交流を入力し直接回転移動
磁界を発生させて回転子コイル21(超電導磁石)に磁
気力を作用させてフライホイール20を回転させ、かつ
回転中の固定子コイル11から直接電力を取り出す方式
であり、エネルギーの変換又は授受を「軸」を介して行
うことはない。第1実施形態のフライホイール式エネル
ギー貯蔵システム101におけるフライホイール軸22
には何らのエネルギー変換手段も接続していない。軸受
23は、単にフライホイール軸22の回転を支持してい
るだけである。後述するように、適切な支持やガイドを
行えば、フライホイール軸22は不要となる。
【0043】第1実施形態のフライホイール式エネルギ
ー貯蔵システム101において貯蔵エネルギーを増大さ
せる場合には、フライホイール20の直径を大きくする
ことになるが、それに伴って必要となるのは、フライホ
イール20の外周付近に並設する回転子コイル(超電導
磁石)21の個数を増加させ、ガイド部1Aもそれに応
じて拡大し、固定子コイル11の個数を増加させるだけ
でよい。この点、貯蔵エネルギーの増大(フライホイー
ルの拡大)によりフライホイール軸回転数が低下し発電
効率が低下することを補うために増速機や減速機等を設
ける必要がある従来例よりも構成が簡易であり、コスト
も低廉で、かつ、電力損失等の問題もまったく生じな
い。
【0044】上記した第1実施形態のフライホイール式
エネルギー貯蔵システム101では、例えば、フライホ
イールの直径を10メートルとし、その外周縁(周長:
約31.4メートル)に、超電導コイルからなる長さ1
メートルの回転子コイル(超電導磁石)を31個配置
し、フライホイールの回転数を300回/分としたシス
テム等が可能である。
【0045】この規格のフライホイール式エネルギー貯
蔵システムでは、フライホイールの外周縁における周速
度は、565キロメートル/時となり、これは我国の磁
気浮上式鉄道の試験線等で現在までに達成された車両の
走行速度と同程度の値である。また、長さ1メートルの
超電導磁石についても、我国の磁気浮上式鉄道の試験線
等での車両に搭載されているものと同等のものである。
したがって、このレベルのフライホイール式エネルギー
貯蔵システムは、現時点で十分に実用可能である。上記
の規格値のフライホイール式エネルギー貯蔵システムで
は、数万キロワット時の電力を貯蔵可能である。
【0046】2)第1実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム101では、固定子コイルと回転子
コイル(超電導磁石)との間の間隙として、十分に大き
な値を確保することができる。例えば、我国の磁気浮上
式鉄道の試験線等での車両走行時の車両コイルと地上コ
イルとの間の磁気浮上時の空隙は80ミリメートルとな
っているから、この程度の値は確保可能である。したが
って、第1実施形態のフライホイール式エネルギー貯蔵
システム101で貯蔵エネルギーを増大させる場合に
は、フライホイール20の直径を大きくすることになる
が、それに伴い、フライホイール20の外周付近は「た
わみ」により下方に垂下するように変形するが、上記し
た磁気浮上により、回転子コイル(超電導磁石)が固定
子コイルに接触することは十分に防止することができ
る。
【0047】3)第1実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム101では、回転子コイルの超電導
磁石として、コイル型のもののほか、バルク型のものも
使用可能である。バルク型超電導磁石とする場合、超電
導材料からなるバルク部材をフライホイールの外周部に
配置した後に冷却して超電導状態とした状態でその上下
をパルス励磁装置(図示せず)で挟み込み、パルス的な
電流を流してクエンチさせ、超電導バルク部材内に磁化
部分を形成させ(以下、「パルス励磁式着磁」とい
う。)バルク型超電導磁石とすることができる。第1実
施形態の場合、フライホイール外周の回転子部分は厚み
が薄くてもよいので、上記したパルス励磁式着磁を容易
に行うことができる。
【0048】4)第1実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム101においては、回転子コイル
(超電導磁石)の中心位置はつねに固定子コイル11の
中心を結んだ所定の円周上を動くように制御されるた
め、原理的にはフライホイール軸は不要である。第1実
施形態のフライホイール式エネルギー貯蔵システム10
1においてフライホイール軸22を設けているのは、地
震等の過大な外力によりフライホイール20が固定子コ
イルの環状列から大きく離脱する可能性等を考慮して、
最終的な安全を確保するためである。第1実施形態のフ
ライホイール式エネルギー貯蔵システム101における
ガイドリング10Aの外周の直壁部10bも、同様に不
測の外力が作用した場合の離脱防止対策である。
【0049】(2)第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0050】図4は、本発明の第2実施形態であるフラ
イホイール式エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面
図である。図4に示すように、このフライホイール式エ
ネルギー貯蔵システム102は、ガイド部1Bと、回転
部2Bと、電力授受部3Bを備えて構成されている。
【0051】この第2実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム102が第1実施形態のフライホイ
ール式エネルギー貯蔵システム101と異なる点は、異
なるガイド部1Bと、異なる回転部1Bと、異なる電力
授受部3Bを備えた点である。
【0052】ガイド部1Bは、ガイドリング10Bと、
N1 個(N1 :正の整数)の固定子コイル16を有して
いる。ガイドリング10Bは、外周縁に直壁部を有して
いない点を除き、上記したガイドリング10Aとまった
く同様の構成と作用を有している。
【0053】固定子コイル16は、ガイドリング10B
のコイル支持部10aの上面に配置され、所定の円周に
沿って所定間隔で配置されている。また、固定子コイル
16は、後述する回転子コイル24に対応する位置(第
1位置)に設置されている。
【0054】この固定子コイル16は、上記した回転子
コイル(超電導磁石)21と全く同様の構成と作用を有
している。
【0055】また、回転部2Bは、フライホイール20
と、異なる回転子コイル24と、フライホイール軸22
と、軸受23を有している。この回転子コイル24は、
上記した固定子コイル16と全く同様の構成と作用を有
しており、強力な磁界を発生させる超電導磁石となって
いる。フライホイール20と、フライホイール軸22
と、軸受23の構成と作用は、第1実施形態の場合とま
ったく同様であるので、その説明は省略する。
【0056】電力授受部3Bは、第1実施形態の場合と
同様なインバータ30と、入出力端子31及び32と、
新たな構成要素であるスリップリング33を有してい
る。インバータ30と、入出力端子31及び32の構成
と作用は、第1実施形態の場合とまったく同様であるの
で、その説明は省略する。
【0057】スリップリング33は、固定側端子(図示
せず)上を回転側端子(図示せず)が摺動ように構成さ
れ、両者間で電流を供給したり、電流を取り出すための
機構である。スリップリング33の回転側端子(図示せ
ず)は、フライホイール軸22上に設置されている。各
回転子コイル24にはリード線(図示せず)が接続して
おり、各リード線はスリップリング33の回転側端子
(図示せず)に接続している。また、スリップリング3
3の固定側端子(図示せず)には、リード線(図示せ
ず)が接続され、このリード線はインバータ30に接続
されている。
【0058】上記のような構成により、外部から、入出
力端子31,32を介して、直流電流を入力すると、電
力授受部3B内のインバータ30がこの直流を三相交流
電流(供給電流)に変換し、スリップリング33の固定
側端子(図示せず)から回転側端子(図示せず)を介し
て各回転子コイル24に三相交流電流を流す。これによ
り、第1実施形態の場合とは逆に、回転子コイル24の
側に、円周に沿って回転移動する回転移動磁界を発生さ
せることができる。
【0059】したがって、第1実施形態とは構成は逆で
あるが、まったく同様の原理により、回転子コイル24
は固定子コイル(超電導磁石)16から磁気吸引力を受
け、これによって、回転子コイル24が取り付けられて
いるフライホイール20はフライホイール軸22の中心
線を回転中心線として回転を始める。
【0060】その後、十分な時間が経過すると、回転子
コイル24の移動速度は、回転子コイル24上を移動す
る回転移動磁界の移動速度と等しくなる。すなわち、こ
の場合も、固定子コイル(超電導磁石)16と回転子コ
イル24は、一種の同期電動機(シンクロナス・モー
タ)を構成している。
【0061】上記のようにして、入出力端子31,32
に直流電流を入力し、インバータ30によって三相交流
電流(供給電流)に変換し、これをスリップリング33
を介して各回転子コイル24に供給することにより、回
転子コイル24上を移動する回転移動磁界を発生させ、
この回転移動磁界に同期させてフライホイール20を回
転させることができる。したがって、この動作により、
入出力端子31,32へ入力する以前は電気エネルギー
であったエネルギーを、フライホイール20の回転運動
エネルギーとして蓄えることができる。
【0062】上記した回転子コイル24と固定子コイル
(超電導磁石)16が構成する同期電動機は、逆に用い
れば発電機としても機能し、三相交流電流(誘起電流)
を誘起させることができる。また、インバータ30は、
逆に用いれば整流回路として機能するから、フライホイ
ール20の回転中には、スリップリング33を介し入出
力端子31,32から直流電流を得ることができる。こ
のようにして、フライホイール20に回転運動のエネル
ギーとして蓄えられたエネルギーを、再び電気エネルギ
ーとして回収することができる。
【0063】このように、第2実施形態のフライホイー
ル式エネルギー貯蔵システム102は、第1実施形態と
基本的にはまったく同様の作用・効果を有する。フライ
ホイール20の高速回転による磁気浮上作用についても
第1実施形態と同様である。
【0064】なお、第2実施形態は、さらに他の構成も
可能である。例えば、スリップリング33のような接触
式の通電方式のかわりに他の通電方式、例えば、高周波
誘導等によって回転子コイル24に非接触方式で電力移
送を行い、フライホイール20内にインバータ等(図示
せず)を配置することによって回転子コイル24の環状
列に回転移動磁界を発生させるように構成してもよい。
【0065】さらに、第1実施形態、第2実施形態は、
さらに他の構成も可能である。例えば、第1実施形態に
おける固定子コイル11(常電導コイル)のかわりに、
超電導コイルを用い、この超電導コイルへの通電を制御
することにより電磁石とし、固定子コイル11の環状列
に回転移動磁界を発生させるように構成してもよい。同
様に、第2実施形態における回転子コイル24(常電導
コイル)のかわりに、超電導コイルを用い、この超電導
コイルへの通電を制御することにより電磁石とし、回転
子コイル24の環状列に回転移動磁界を発生させるよう
に構成してもよい。
【0066】(3)第3実施形態 次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0067】図5は、本発明の第3実施形態であるフラ
イホイール式エネルギー貯蔵システムの構成を示す一部
欠截斜視図である。また、図6は、本発明の第3実施形
態であるフライホイール式エネルギー貯蔵システムの構
成を示す断面図である。
【0068】図5及び図6に示すように、このフライホ
イール式エネルギー貯蔵システム103は、ガイド部1
Cと、回転部2Aと、電力授受部3Aを備えて構成され
ている。
【0069】この第3実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム103が第1実施形態のフライホイ
ール式エネルギー貯蔵システム101と異なる点は、異
なるガイド部1Cを備えた点である。回転部2Aと電力
授受部3Aの構成と作用については、第1実施形態の場
合とまったく同様であるので、その説明は省略する。
【0070】ガイド部1Cは、ガイドリング10Cと、
N1 個(N1 :正の整数)の固定子コイル11と、N1
個の固定子コイル12を有している。ガイドリング10
Cは、FRP(繊維強化プラスチック)、コンクリート
等の低磁性材料からなり、全体としては略環状に形成さ
れている。また、ガイドリング10Cは、円環板状のコ
イル支持部10aと、直壁部10bと、円環板状のコイ
ル支持部10dを有している。このような構成により、
ガイドリング10Cのリングの対称軸を含む平面におけ
る断面は、図6に示すような略「コ」字状となってい
る。
【0071】固定子コイル11は、第1実施形態の場合
とまったく同様な構成を有している。また、固定子コイ
ル12は、固定子コイル11とまったく同様な構成を有
している。
【0072】固定子コイル11は、ガイドリング10A
のコイル支持部10aの上面に配置され、所定の円周に
沿って所定間隔で配置されている。また、固定子コイル
12は、ガイドリング10Aのコイル支持部10dの下
面に配置され、所定の円周に沿って所定間隔で配置され
ている。上部の固定子コイル12は、下部の固定子コイ
ル11の直上位置となるように配置されている。また、
下部の固定子コイル11と上部の固定子コイル12は、
回転子コイル21に対応する位置に設置され、回転子コ
イル21を挟んで1対をなすように上下に配置され、ペ
ア(以下、「固定子コイルペア」という。)を構成して
いる。
【0073】また、図7に示すように、各固定子ペアを
なす下部の固定子コイル11と上部の固定子コイル12
は、展開した場合に、通電用配線15(15a,15
b,15c)を対称軸とする線対称となるような接続方
式(以下、「ヌルフラックス接続」という。)で、上下
接続用配線13a,13bにより結線されている。
【0074】また、各固定子コイルペアの上下接続用配
線13a,13bは、通電用配線15a,15b,15
cにより、3個おきに接続され、通電用配線15a,1
5b,15cは、端子T(図2参照)と接続されてい
る。したがって、各固定子コイルペアのうち任意のも
の、あるいは特定のものに電力が供給可能で、かつ後述
する電力が取り出し可能な構成となっている。また、図
7の左右両端に示す端子Tは互いに接続され、N1 個の
固定子コイルペアは全体として環状となっている。
【0075】上記のような構成により、第3実施形態の
フライホイール式エネルギー貯蔵システム103は、第
1実施形態では1個であった固定子コイルが、回転子コ
イルを挟んで2個(1対)配置された点に特徴があり、
外部からの電流入力によりフライホイール20を回転さ
せるとともにフライホイール20から電流を取り出す原
理は、上記した第1実施形態の回転(推進)原理とまっ
たく同様である。フライホイール20の高速回転による
磁気浮上原理についても第1実施形態と同様である。
【0076】この第3実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム103は、フライホイール20を回
転中心線の方向(以下、「フライホイール軸方向」とい
う。)の所定位置からはずれないように位置を一定に制
御する作用(以下、「フライホイール軸方向位置制御」
という。)を有している。この第3実施形態のフライホ
イール式エネルギー貯蔵システム103におけるフライ
ホイール軸方向位置制御の原理について、図8を参照し
つつ、以下に詳述する。
【0077】回転子コイル21には、予め超電導電流i
0 が図5において矢印で図示したように流されて永久磁
石化され、超電導磁石となっている。したがって、図8
において、回転子コイル(超電導磁石)21の上面側は
N磁極となっており、下面側はS磁極となっている。以
下、この回転子コイル(超電導磁石)21が、任意の固
定子コイルペアの間に進入した場合について説明する。
【0078】まず、回転子コイル(超電導磁石)21が
下部の固定子コイル11と上部の固定子コイル12の間
の空間の中央位置にある場合には、下部の固定子コイル
11に生じる誘起電圧と上部の固定子コイル12に生じ
る誘起電圧とは互いに相殺されるため、下部の固定子コ
イル11,上部の固定子コイル12のいずれにも電流は
流れない。したがって、この場合には回転子コイル(超
電導磁石)21には力は作用しない。
【0079】これに対し、外部からの変動力等を受ける
ことにより、回転子コイル(超電導磁石)21が、下部
の固定子コイル11と上部の固定子コイル12の間の中
央位置から、図8における鉛直方向(フライホイールの
軸方向)のうち上下いずれかの方向、例えば図8におい
て矢印D2 で示される鉛直下方へずれた場合には、下部
の固定子コイル11には接近してくる回転子コイル(超
電導磁石)21の下面からの磁界と逆方向の磁界を発生
させるような誘起電圧が生じる一方、上部の固定子コイ
ル12には遠ざかる回転子コイル21の上面からの磁界
と同方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じるた
め、下部の固定子コイル11と上部の固定子コイル12
に生じる誘起電圧には差が生じる。
【0080】この結果、下部の固定子コイル11と上下
接続用配線13a,13bと上部の固定子コイル12と
の間を循環して流れる循環電流i1 が発生する。この循
環電流i1 により、下部の固定子コイル11は上面側が
S磁極となる電磁石となり、上部の固定子コイル12は
下面側がN磁極となる電磁石となる。このため、下部の
固定子コイル11の上面側(S磁極)は接近してくる回
転子コイル(超電導磁石)21の下面側(S磁極)に対
し反発磁力を作用させるとともに、上部の固定子コイル
12の下面側(S磁極)は遠ざかっていく回転子コイル
(超電導磁石)21の上面側(N磁極)に対し吸引磁力
を作用させる。
【0081】また、上記とは逆に、回転子コイル(超電
導磁石)21が、下部の固定子コイル11と上部の固定
子コイル12の間の中央位置から、図8における矢印D
1 の方向とは反対方向の鉛直上方へずれた場合には、上
記の作用とはまったく逆の作用により、下部の固定子コ
イル11は回転子コイル21の下面側に対し吸引磁力を
作用させるとともに、上部の固定子コイル12は回転子
コイル21の上面側に対し反発磁力を作用させる。
【0082】したがって、回転子コイル(超電導磁石)
21には、下部の固定子コイル11と上部の固定子コイ
ル12の間の中央位置からずれた場合に、元の中央位置
に戻そうとする復元力が作用することになる。この復元
力は、下部の固定子コイル11と上部の固定子コイル1
2の間の中央位置からの回転子コイル(超電導磁石)2
1のずれ量にほぼ比例する。
【0083】このようにして、回転子コイル(超電導磁
石)21は、固定子コイルペア11,12の中間におい
て、例えばフライホイールの重量に見合った位置で磁気
的に支持され、かつ、その位置が一定に維持されるよう
に制御される。したがって、フライホイール20は、回
転子コイル(超電導磁石)21と、ヌルフラックス接続
された固定子コイルペア(11,12)の制御により、
フライホイールの軸方向の位置が一定となるように維持
される。
【0084】(4)第4実施形態 次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0085】図9は、本発明の第4実施形態であるフラ
イホイール式エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面
図である。図9に示すように、このフライホイール式エ
ネルギー貯蔵システム104は、ガイド部1Dと、回転
部2Cと、電力授受部3Bを備えて構成されている。
【0086】この第4実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム104は、第3実施形態の技術的思
想に第2実施形態の技術的思想を応用したものである。
電力授受部3Bは、第2実施形態の場合とまったく同様
の構成と作用を有しているので、その説明は省略する。
【0087】ガイド部1Dは、ガイドリング10Dと、
N1 個(N1 :正の整数)の固定子コイル16を有して
いる。ガイドリング10Dは、直壁部10bを有してい
る。
【0088】固定子コイル16は、ガイドリング10D
の直壁部10bの内側面に配置され、所定の円周に沿っ
て所定間隔で配置されている。また、固定子コイル16
は、後述する回転子コイル24,25に対応する位置
(第1位置)に設置されている。
【0089】この固定子コイル16は、上記した回転子
コイル(超電導磁石)21と全く同様の構成と作用を有
している。
【0090】また、回転部2Bは、フライホイール20
と、コイル支持部26と、回転子コイル24,25と、
フライホイール軸22と、軸受23を有している。コイ
ル支持部は、フライホイール20の外周部に設けられ、
FRP(繊維強化プラスチック)等の低磁性材料からな
り、全体としては略環状に形成され、その断面は、図9
に示すような略「コ」字状となっている。
【0091】また、回転子コイル24,25は、上記し
た固定子コイル11と全く同様の構成と作用を有してお
り、常電導コイルで構成されている。
【0092】また、回転子コイル24は、コイル支持部
26の底板部の内側上面に配置され、所定の円周に沿っ
て所定間隔で配置されている。また、回転子コイル25
は、コイル支持部26の上板部の内側下面に配置され、
所定の円周に沿って所定間隔で配置されている。上部の
回転子コイル25は、下部の回転子コイル25の直上位
置となるように配置されている。また、下部の回転子コ
イル24と上部の回転子コイル25は、固定子コイル
(超電導磁石)16に対応する位置(第1位置)に設置
され、固定子コイル16を挟んで1対をなすように上下
に配置され、ペア(以下、「回転子コイルペア」とい
う。)を構成している。
【0093】また、図示はしていないが、各回転子ペア
をなす下部の回転子コイル24と上部の回転子コイル2
5は、展開した場合に、通電用配線(図示せず)を対称
軸とする線対称となるようなヌルフラックス接続方式に
より、上下接続用配線(図示せず)を用いて結線されて
いる。
【0094】また、図示はしていないが、各回転子コイ
ルペアの上下接続用配線(図示せず)は、通電用配線
(図示せず)により、3個おきに接続され、通電用配線
(図示せず)は、スリップリング33を介してインバー
タ30と接続されている。
【0095】このような回転子コイルペアの接続構成
は、図7において、下部の固定子コイル11を下部の回
転子コイル24に置き換え、上部の固定子コイル12を
上部の回転子コイル25に置き換えた構成とまったく同
様である。
【0096】したがって、各固定子コイルペアのうち任
意のもの、あるいは特定のものに電力が供給可能で、か
つ後述する電力が取り出し可能な構成となっている。ま
た、図7の左右両端に示す端子Tは互いに接続され、N
1 個の固定子コイルペアは全体として環状となってい
る。
【0097】フライホイール20と、フライホイール軸
22と、軸受23は、第1実施形態の場合とまったく同
様であるので、その説明は省略する。
【0098】上記のような構成により、第4実施形態の
フライホイール式エネルギー貯蔵システム104は、第
3実施形態における常電導コイルと超電導磁石とを逆に
配置した点に特徴があり、外部からの電流入力によりフ
ライホイール20を回転させるとともにフライホイール
20から電流を取り出す原理は、上記した第1実施形態
の回転(推進)原理とまったく同様である。フライホイ
ール20の高速回転による磁気浮上原理についても第1
実施形態と同様である。また、常電導コイルペアのヌル
フラックス接続によるフライホイールの軸方向位置の一
定制御の原理については、上記した第3実施形態と同様
である。
【0099】なお、第4実施形態は、接触式のスリップ
リングのかわりに、高周波誘導等による非接触方式での
電力移送を利用して回転子コイル24,25への通電を
行ってもよい。また、第3,4実施形態において、常電
導コイルのかわりに超電導コイルを用いてもよい。
【0100】(5)第5実施形態 次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0101】図10は、本発明の第5実施形態であるフ
ライホイール式エネルギー貯蔵システムの構成を示す断
面図である。図10に示すように、このフライホイール
式エネルギー貯蔵システム105は、ガイド部1Eと、
回転部2Dと、電力授受部3Aを備えて構成されてい
る。
【0102】ガイド部1Eは、第3実施形態の場合と同
様なガイドリング10Cと、N1 個(N1 :正の整数)
の固定子コイル11′とN1 個の固定子コイル12′か
らなる固定子コイルペアを有している。
【0103】また、回転部2Dは、フライホイール軸2
2を備えていない点を除き、第3実施形態の場合とまっ
たく同様の構成となっている。
【0104】第5実施形態のフライホイール式エネルギ
ー貯蔵システム105は、第3実施形態における固定子
コイルペアのかわりに異なる構成の固定子コイルペアを
設けるとともにフライホイール軸を除去したものであ
り、他の要素の構成と作用については第3実施形態の場
合とまったく同様である。
【0105】図11は、本発明の第5実施形態図のフラ
イホイール式エネルギー貯蔵システムにおける固定子コ
イルの構成と、フライホイール半径方向の一定位置制御
の原理を説明する図である。
【0106】図11に示すように、第5実施形態の固定
子コイルペアは、下部の固定子コイル11′と上部の固
定子コイル12′を有している。下部の固定子コイル1
1′は、略「8」字状に形成されており、略「ロ」字状
の2つのコイル素子11a及び11bにより構成されて
いる。また、上部の固定子コイル12′は、略「8」字
状に形成されており、略「ロ」字状の2つのコイル素子
12a及び12bにより構成されている。
【0107】各固定子コイル11′,12′の巻線は、
銅(Cu)等の常電導材料によって形成され、各固定子
コイル11′,12′は常電導コイルとして構成されて
いる。また、各固定子コイル11′,12′の巻線は、
1本の線であってもよいし、複数回巻かれてもよい。
【0108】また、図11に示すように、各固定子ペア
をなす下部の固定子コイル11′と上部の固定子コイル
12′は、略「8」字状の巻線の所定位置どうしが上下
接続用配線13a,13bにより結線されている。これ
により、各固定子ペアは、展開した場合に、通電用配線
(例えば15a)を対称軸とする線対称となっており、
ヌルフラックス接続となっている。
【0109】また、各固定子コイルペアの上下接続用配
線13a,13bは、通電用配線15a,15b(図1
1においては図示せず),15c(図11においては図
示せず)により、3個おきに接続され、通電用配線15
a等は、インバータ(図6における30を参照)と接続
されている。したがって、各固定子コイルペアのうち任
意のもの、あるいは特定のものに電力が供給可能で、か
つ後述する電力が取り出し可能な構成となっている。
【0110】上記のような構成により、第5実施形態の
フライホイール式エネルギー貯蔵システム104は、第
3実施形態の場合とまったく同様の原理により、外部か
らの電流入力によりフライホイール20を回転させると
ともにフライホイール20から電流を取り出すことがで
きる。また、フライホイール20の高速回転による磁気
浮上原理についても第3実施形態と同様である。また、
フライホイール回転中心線方向(フライホイール軸方
向)の一定位置制御の原理についても第3実施形態と同
様である。
【0111】この第5実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム105は、フライホイール20をフ
ライホイール回転中心軸の半径方向の所定位置(例えば
軸中心位置)からはずれないように位置を一定に制御す
る作用(以下、「フライホイール半径方向位置制御」と
いう。)を有している。この第5実施形態におけるフラ
イホイール半径方向位置制御の原理について、図11を
参照しつつ、以下に詳述する。
【0112】回転子コイル21には、予め超電導電流i
0 が図5において矢印で図示したように流されて永久磁
石化され、超電導磁石となっている。したがって、図8
において、回転子コイル(超電導磁石)21の上面側は
N磁極となっており、下面側はS磁極となっている。以
下、この回転子コイル(超電導磁石)21が、任意の固
定子コイルペアの間に進入した場合について説明する。
【0113】まず、回転子コイル(超電導磁石)21の
中心位置(以下、「回転子コイル中心位置」という。)
が、下部のコイル素子11aと11bの間の中心を結ぶ
円弧線(以下、「固定子コイル中心線」という。)の直
上位置にある場合には、コイル素子11aに生じる誘起
電圧とコイル素子11bに生じる誘起電圧とは互いに相
殺されるため、下部のコイル素子11a,11bのいず
れにも電流は流れない。したがって、この場合には回転
子コイル21には力は作用しない。なお、固定子コイル
中心線を直上へ投影すると、上部のコイル素子12aと
12bの間の中心を結ぶ円弧線と合致する。
【0114】これに対し、外部からの変動力等を受ける
ことにより、回転子コイル中心位置が固定子コイル中心
線の直上位置から、図11における水平方向のうちフラ
イホイールの回転接線方向に対して垂直となるフライホ
イール半径方向のうちいずれかの方向、例えば図11に
おいて矢印D2 で示される方向へずれた場合には、下部
のコイル素子11aには遠ざかる回転子コイル(超電導
磁石)21の下面からの磁界と逆方向の磁界を発生させ
るような誘起電圧が生じる一方、下部の他のコイル素子
11bには接近してくる回転子コイル21の下面からの
磁界と同方向の磁界を発生させるような誘起電圧が生じ
る。
【0115】このため、下部のコイル素子11aと11
bに生じる誘起電圧には差が生じる。この結果、下部の
コイル素子11aと11bとの間を循環して流れる循環
電流i2 が発生する。この循環電流i2 により、下部の
コイル素子11aは上面側がN磁極となる電磁石とな
り、下部の他のコイル素子11bは上面側がS磁極とな
る電磁石となる。このため、下部のコイル素子11aの
上面側(N磁極)は遠ざかっていく回転子コイル(超電
導磁石)21の下面側(S磁極)に対し吸引磁力を作用
させる。また、同時に、下部の他のコイル素子11bの
上面側(S磁極)は、接近してくる回転子コイル(超電
導磁石)21の下面側(S磁極)に対し反発磁力を作用
させる。
【0116】また、回転子コイル中心位置が固定子コイ
ル中心線の直上位置から、図11における矢印D2 の方
向とは反対方向へずれた場合には、上記の作用とはまっ
たく逆の作用により、下部のコイル素子11aは回転子
コイル(超電導磁石)21の下面側に対し反発磁力を作
用させるとともに、下部の他のコイル素子11bは回転
子コイル(超電導磁石)21の下面側に対し吸引磁力を
作用させる。
【0117】したがって、回転子コイル21には、回転
子コイル中心位置が固定子コイル中心線の直上位置から
フライホイール半径方向のいずれかへずれた場合に、回
転子コイル中心位置を固定子コイル中心線の直上位置に
戻そうとする復元力が作用することになる。この復元力
は、固定子コイル中心線の直上位置からの回転子コイル
中心位置のずれ量にほぼ比例する。
【0118】回転子コイル(超電導磁石)21と上部の
コイル素子12a,12bとの間においても同様の作用
がなされ、この場合には、回転子コイル中心位置が、固
定子コイル中心線の直上位置から、図11におけるフラ
イホイール半径方向D2 又はその反対方向へずれた場合
には、上部のコイル素子12aとコイル素子12bの誘
起電圧に差が生じ、上部のコイル素子12aとコイル素
子12bとの間を循環して流れる循環電流(例えば、回
転子コイル21が方向D2 へずれた場合には電流i3 )
が流れ、これにより回転子コイル21の回転子コイル中
心位置を固定子コイル中心線の直上位置に戻そうとする
復元力が作用することになる。
【0119】このようにして、回転子コイル21は、固
定子コイルペア11′,12′の中間において、回転子
コイル中心位置が固定子コイル中心線の直上となる位置
をつねに維持するよう磁気的力により制御される。した
がって、フライホイール20は、回転子コイル(超電導
磁石)21と、略「8」状コイルがPLG接続された固
定子コイルペア(11′,12′)の制御により、フラ
イホイールの半径方向の位置が所定位置に維持される。
【0120】したがって、この第5実施形態のフライホ
イール式エネルギー貯蔵システム105は、PLG接続
された2個の略「8」字状固定子コイル11′,12′
の間に回転子コイル(超電導)21を挟み込むように構
成したので、上記した第1〜4実施形態におけるフライ
ホイール軸22がなくても、フライホイール20の中心
を通る回転中心線のまわりをはずれることなく回転する
ことができ、かつ軸受23等がなくても磁気浮上により
支持される。ただし、フライホイール20が停止した状
態から、上記の位置制御が可能な回転速度に到達するま
での間は、何らかの補助的な支持手段、例えば、回転可
能な台、磁気支持機構等(図示せず)により支持される
必要がある。
【0121】なお、第5実施形態は、さらに他の構成も
可能である。例えば、第5実施形態において、回転子コ
イルとして略「8」字状のものを用い、これにより固定
子と回転子の両方を略「8」字状コイルとしてもよい。
このように構成すると、回転子が超電導磁石の場合に、
超電導磁石からの強大な磁束が外部に漏洩することを防
止することができる。
【0122】また、他の変化例としては、略「8」字状
でヌルフラックス接続された常電導コイルの上下1対の
ペアを回転子コイルとして用い、回転子コイルペアに挟
まれる固定子を超電導磁石とし、スリップリング又は高
周波誘導等によって回転子コイルに電力移送を行い、フ
ライホイール内にインバータ等を配置することによって
回転子コイルの環状列に回転移動磁界を発生させるよう
に構成してもよい。また、常電導コイルのかわりに超電
導コイルを用いてもよい。
【0123】(6)第6実施形態 次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0124】図12は、本発明の第6実施形態であるフ
ライホイール式エネルギー貯蔵システムの構成とその作
用を示す断面図である。図12に示すように、このフラ
イホイール式エネルギー貯蔵システム106は、ガイド
部1Fと、回転部2Aと、電力授受部3Aを備えて構成
されている。
【0125】この第6実施形態のフライホイール式エネ
ルギー貯蔵システム106は、位置移動可能なガイド部
1Fを備えた点である。回転部2A,電力授受部3Aの
構成と作用は、上記各実施形態の場合とまったく同様で
あるので、その説明は省略する。
【0126】ガイド部1Fは、ガイドリング10Cと、
複数の固定子コイル11と、固定子コイル11と同数の
固定子コイル12と、可動機構18を有している。ガイ
ドリング10Cと、固定子コイル11と、固定子コイル
12の構成と作用は、第3実施形態の場合と同様である
ので、その説明は省略する。
【0127】第6実施形態の特徴点は、新たな構成要素
である可動機構18を有する点である。可動機構18
は、駆動源18aと、駆動アーム18bと、台車18c
を有している。また、台車18cは、ガイドリング10
Cの下部に取り付けられている。
【0128】駆動源18aは、図示しない電動モータ
ー、油圧シリンダー、空圧シリンダー、ソレノイド等を
有しており、駆動アーム18bを図の左右方向(フライ
ホイール半径方向)に伸縮駆動する。
【0129】上記のような構成により、フライホイール
20へのエネルギー入力時、又はフライホイール20か
らのエネルギー取出し時には、図12(A)に示すよう
に、駆動源18aにより駆動アーム18bを延ばしてガ
イドリング10Cを所定位置(第1位置)に移動し、固
定子コイル11と固定子コイル12とで回転子コイル2
1を挟み込む。これにより、固定子コイル11,固定子
コイル12と回転子コイル21との間で電磁気的な相互
作用が可能となる。
【0130】一方、フライホイール20へのエネルギー
授受を行わない時点では、図12(B)に示すように、
駆動源18aにより駆動アーム18bを縮めてガイドリ
ング10Cを他の所定位置(第2位置)に移動し、固定
子コイル11と固定子コイル12との間に回転子コイル
21が挟み込まれないようにする。これにより、固定子
コイル11,固定子コイル12と回転子コイル21との
間での電磁気的な相互作用は微弱となる。
【0131】上記の構成を有する第6実施形態の場合
は、第3実施形態と基本的には同様の作用・効果を有
し、さらにフライホイールへのエネルギー授受時以外の
時点では固定子コイルと回転子コイルとの磁気的結合を
解除するように構成したので、固定子コイルと回転子コ
イルとの磁気的結合によってフライホイールの蓄積エネ
ルギーがわずかずつ失われることを防止することがで
き、エネルギー効率の良いフライホイール式エネルギー
貯蔵システムとすることができる。
【0132】なお、この第6実施形態の場合も、上記各
実施形態と同様に他の構成が可能であり、例えば、第6
実施形態において、常電導コイルのペアを回転子コイル
として用い、固定子を超電導磁石とし、スリップリング
又は高周波誘導等によって回転子コイルに電力移送を行
い、フライホイール内にインバータ等を配置することに
よって回転子コイルの環状列に回転移動磁界を発生させ
るように構成してもよい。また、常電導コイルペアを略
「8」字状に形成してもよい。また、常電導コイルのか
わりに超電導コイルを用いてもよい。
【0133】上記において、固定子コイル11、固定子
コイル11と固定子コイル12、固定子コイル11′と
固定子コイル12′、固定子コイル16は、固定子に相
当している。また、回転子コイル21、回転子コイル2
4、回転子コイル24と回転子コイル25は、回転子に
相当している。また、各実施形態101〜106におけ
るエネルギー授受時の固定子の位置は、第1位置に相当
している。また、第6実施形態106の図12(B)に
おける位置は、第2位置に相当している。また、電力授
受部3A,3Bは、電力授受手段に相当している。
【0134】なお、本発明は、上記各実施形態に限定さ
れるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発
明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に
同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、い
かなるものであっても本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0135】例えば、上記した各実施形態では、常電導
コイルを2個上下に配置して各々をヌルフラックス接続
する例について説明したが、本発明はこれには限定され
ず、他の構成であってもよく、例えば、上下の常電導コ
イルを接続する上下接続用配線13aと13bは設けな
くてもよい。このような構成としても、外部とフライホ
イールとの間でのエネルギー授受は可能である。この場
合は、フライホイール半径方向位置を一定にする制御は
行うことはできないが、回転により固定子は上下の常電
導コイルから反発力を受けるため、フライホイールの軸
方向位置を一定にする制御は可能である。
【0136】また、上記した第1〜4実施形態では、固
定子コイル(又は常電導コイルによる上下1対の固定子
コイルペア)、回転子コイル(又は常電導コイルによる
上下1対の回転子コイルペア)とも略「ロ」字状の場合
を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定され
ず、他の構成であってもよく、例えば、固定子コイル
(又は常電導コイルによる上下1対の固定子コイルペ
ア)、回転子コイル(又は常電導コイルによる上下1対
の回転子コイルペア)のいずれか一方(又は一方のコイ
ルペア)、あるいは両方を略「8」字状としてもよい。
このような構成としても、外部とフライホイールとの間
でのエネルギー授受は可能である。
【0137】この場合、上下1対の常電導コイルペアを
ヌルフラックス接続すれば、フライホイールの軸方向位
置を一定にする制御が可能である。また、上下1対の常
電導コイルペアを両方とも略「8」状としかつヌルフラ
ックス接続すれば、フライホイールの半径方向位置を一
定にする制御が可能となる。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るフラ
イホイール式エネルギー貯蔵システムによれば、回転可
能に構成されるフライホイールと、フライホイールの円
周付近に配設される複数の回転子と、フライホイールの
外部でかつ回転子との間で電磁気的な相互作用が可能な
第1位置に配設される複数の固定子と、電力授受手段を
備え、固定子及び回転子のうちの少なくとも一方を超電
導磁石又は超電導コイルで構成し、電力授受手段により
固定子と回転子との間に電磁気力を発生させフライホイ
ールを回転させることにより、供給電流の電気エネルギ
ーをフライホイールの回転運動エネルギーとして貯蔵
し、かつ、フライホイールとともに回転する回転子と固
定子との間に働く発電作用により発生する誘起電流を電
力授受手段によって取り出すことにより、フライホイー
ルに貯蔵された回転運動エネルギーを誘起電流の電気エ
ネルギーとして回収するように構成したので、回転軸を
介さずに大量のエネルギーをフライホイールに授受し、
低損失かつ高効率でエネルギーを貯蔵することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す一部欠截斜視図で
ある。
【図2】本発明の第1実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のガイド部の固定子コイ
ルの接続構成と作用を説明する図である。
【図4】本発明の第2実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す一部欠截斜視図で
ある。
【図6】本発明の第3実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態のガイド部の固定子コイ
ル及び固定子コイルの接続構成を示す展開図である。
【図8】本発明の第3実施形態図のフライホイール式エ
ネルギー貯蔵システムにおけるフライホイール軸方向の
位置制御の原理を説明する図である。
【図9】本発明の第4実施形態であるフライホイール式
エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態であるフライホイール
式エネルギー貯蔵システムの構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態図のフライホイール式
エネルギー貯蔵システムにおける固定子コイルの構成
と、フライホイール半径方向の位置制御の原理を説明す
る図である。
【図12】本発明の第6実施形態であるフライホイール
式エネルギー貯蔵システムの構成とその作用を示す断面
図である。
【図13】従来のフライホイール式エネルギー貯蔵シス
テムの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1A〜1F ガイド部 2A〜2D 回転部 3A,3B 電力授受部 10A〜10D ガイドリング 10a コイル支持部 10b 直壁部 10d コイル支持部 11,11′ 固定子コイル 11a,11b コイル素子 12,12′ 固定子コイル 12a,12b コイル素子 13a,13b 上下接続用配線 15,15a,15b,15c 通電用配線 16 固定子コイル 18 可動機構 18a 駆動源 18b 駆動アーム 18c 台車 20 フライホイール 21 回転子コイル 22 フライホイール軸 23 軸受 23a 押付部 24,25 回転子コイル 26 コイル支持部 30 インバータ 31,32 入出力端子 33 スリップリング 101〜106,200 フライホイール式エネルギー
貯蔵システム 200 フライホイール式エネルギー貯蔵システム 201 電動モーター 202 回転軸 203 フライホイール 204 軸受 205,206 入出力端子 D1 フライホイール軸方向 D2 フライホイール半径方向 i0 超電導電流 i1 〜i3 常電導コイル内の誘起電流

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転可能に構成されるフライホイール
    と、 前記フライホイールの円周付近に配設される複数の回転
    子と、 前記フライホイールの外部でかつ前記回転子との間で電
    磁気的な相互作用が可能な第1位置に配設される複数の
    固定子と、 電力授受手段を備え、 前記固定子及び前記回転子のうちの少なくとも一方を超
    電導磁石又は超電導コイルで構成し、 前記電力授受手段により供給電流を供給して前記固定子
    と前記回転子との間に電磁気力を発生させ前記フライホ
    イールを回転させることにより、前記供給電流の電気エ
    ネルギーを前記フライホイールの回転運動エネルギーと
    して貯蔵し、 かつ、前記フライホイールとともに回転する前記回転子
    と固定子との間に働く発電作用により発生する誘起電流
    を前記電力授受手段によって取り出すことにより、前記
    フライホイールに貯蔵された前記回転運動エネルギーを
    前記誘起電流の電気エネルギーとして回収することを特
    徴とするフライホイール式エネルギー貯蔵システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフライホイール式エネ
    ルギー貯蔵システムにおいて、 前記回転子は前記超電導磁石で構成され、かつ前記固定
    子は常電導コイル又は超電導コイルで構成されることを
    特徴とするフライホイール式エネルギー貯蔵システム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のフライホイール式エネ
    ルギー貯蔵システムにおいて、 前記回転子は常電導コイル又は超電導コイルで構成さ
    れ、かつ前記固定子は前記超電導磁石で構成されること
    を特徴とするフライホイール式エネルギー貯蔵システ
    ム。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のフライホイール式エネ
    ルギー貯蔵システムにおいて、 前記常電導コイルは、相互にヌルフラックス接続され、
    前記フライホイールの回転中心線の方向の位置を一定に
    制御することを特徴とするフライホイール式エネルギー
    貯蔵システム。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のフライホイール式エネ
    ルギー貯蔵システムにおいて、 前記常電導コイルは、略8字状に形成されるとともに相
    互にヌルフラックス接続され、前記フライホイールの半
    径の方向の位置を一定に制御することを特徴とするフラ
    イホイール式エネルギー貯蔵システム。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のフライホイール式エネ
    ルギー貯蔵システムにおいて、 前記固定子は、前記第1位置と、前記回転子と前記固定
    子との間で前記電磁気的な相互作用が微弱な第2位置と
    を取り得るように構成され、 前記フライホイールへの前記回転エネルギーの貯蔵動作
    を行う時点以外の時点、又は前記フライホイールからの
    前記回転エネルギーの取出し動作を行う時点以外の時点
    においては、前記固定子は前記第2位置に配置されるこ
    とを特徴とするフライホイール式エネルギー貯蔵システ
    ム。
  7. 【請求項7】 回転可能に構成されるフライホイール
    と、前記フライホイールの円周付近に配設される複数の
    回転子と、前記フライホイールの外部でかつ前記回転子
    との間で電磁気的な相互作用が可能な第1位置に配設さ
    れる複数の固定子と、電力授受手段を備えるとともに、
    前記固定子及び前記回転子のうちの少なくとも一方を超
    電導磁石又は超電導コイルで構成したフライホイール式
    エネルギー貯蔵システムを用い、 前記電力授受手段により供給電流を供給して前記固定子
    と前記回転子との間に電磁気力を発生させ前記フライホ
    イールを回転させることにより、前記供給電流の電気エ
    ネルギーを前記フライホイールの回転運動エネルギーと
    して貯蔵し、 かつ、前記フライホイールとともに回転する前記回転子
    と固定子との間に働く発電作用により発生する誘起電流
    を前記電力授受手段によって取り出すことにより、前記
    フライホイールに貯蔵された前記回転運動エネルギーを
    前記誘起電流の電気エネルギーとして回収することを特
    徴とするフライホイールを用いたエネルギー貯蔵方法。
JP10159891A 1998-05-25 1998-05-25 フライホイール式エネルギー貯蔵システム、及びフライホイールを用いたエネルギー貯蔵方法 Pending JPH11341708A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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