JPH1133572A - 多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法 - Google Patents
多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法Info
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- JPH1133572A JPH1133572A JP9191036A JP19103697A JPH1133572A JP H1133572 A JPH1133572 A JP H1133572A JP 9191036 A JP9191036 A JP 9191036A JP 19103697 A JP19103697 A JP 19103697A JP H1133572 A JPH1133572 A JP H1133572A
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- lignin
- soil
- pah
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- Processing Of Solid Wastes (AREA)
- Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)
- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 BODを高めることなく効率良く多環芳香族
炭化水素で汚染された水又は土壌を浄化することができ
る多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌を浄化方
法を提供する。 【解決手段】 微生物を用いて多環芳香族炭化水素で汚
染された水又は土壌を浄化するに際し、このような水又
は土壌にリグニンを添加することを特徴とする多環芳香
族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法。
炭化水素で汚染された水又は土壌を浄化することができ
る多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌を浄化方
法を提供する。 【解決手段】 微生物を用いて多環芳香族炭化水素で汚
染された水又は土壌を浄化するに際し、このような水又
は土壌にリグニンを添加することを特徴とする多環芳香
族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多環芳香族炭化水
素(以下PAHと略す)で汚染された水又は土壌を微生
物を用いて浄化処理する方法に関するものである。
素(以下PAHと略す)で汚染された水又は土壌を微生
物を用いて浄化処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大型タンカーの船舶事故、石油コンビナ
ートの破損、地下貯蔵タンクの老朽化、石炭ガス化プラ
ントや石油精製工場からの石炭、石油廃棄物の不法投棄
等の原因による石油類の土壌、海洋汚染は近年特に増大
している。この結果として、地下水、海浜、海洋、河川
等で広域的な石油類(特に人の健康を害することが懸念
されるPAH)による汚染が深刻化し、生物的濃縮によ
る人類への影響が心配されはじめている。土壌あるいは
海洋に流出した石油は蒸発、希散を受け、低沸点の脂肪
族炭化水素類や単環芳香族類を中心とした軽質分、つま
り易分解性成分は比較的速やかに環境中から消失する。
しかし、高沸点なタール成分である重質の脂肪族炭化水
素類、PAH等は物理的にも安定であり、生物的にも難
分解性であるため、長期間環境中に残存し、食物連鎖に
より生物体内に蓄積し、ある一定濃度以上に蓄積すると
動物に対して発ガン性、変異原性を発揮する可能性があ
ると言われている。これらPAHは様々な化学薬品の原
料として現在もなお広く使用されており、工業廃水中に
も排出されている。工業廃水中のPAHについては、従
来化学的、物理的処理方法あるいは通常の活性汚泥法に
より分解除去されていた。しかしながら、化学的、物理
的分解方法は非効率的で、コストが高くつく等の問題点
があった。また、活性汚泥法のような一般的な易分解成
分を除去する生物的分解方法においては、PAHは疎水
性で難分解性化合物であるため、従来の方法で完全に分
解、除去されていたかどうかは大いに疑問の残るところ
であり、簡便で効率のよいPAHの完全分解除去方法の
開発が期待されていた。
ートの破損、地下貯蔵タンクの老朽化、石炭ガス化プラ
ントや石油精製工場からの石炭、石油廃棄物の不法投棄
等の原因による石油類の土壌、海洋汚染は近年特に増大
している。この結果として、地下水、海浜、海洋、河川
等で広域的な石油類(特に人の健康を害することが懸念
されるPAH)による汚染が深刻化し、生物的濃縮によ
る人類への影響が心配されはじめている。土壌あるいは
海洋に流出した石油は蒸発、希散を受け、低沸点の脂肪
族炭化水素類や単環芳香族類を中心とした軽質分、つま
り易分解性成分は比較的速やかに環境中から消失する。
しかし、高沸点なタール成分である重質の脂肪族炭化水
素類、PAH等は物理的にも安定であり、生物的にも難
分解性であるため、長期間環境中に残存し、食物連鎖に
より生物体内に蓄積し、ある一定濃度以上に蓄積すると
動物に対して発ガン性、変異原性を発揮する可能性があ
ると言われている。これらPAHは様々な化学薬品の原
料として現在もなお広く使用されており、工業廃水中に
も排出されている。工業廃水中のPAHについては、従
来化学的、物理的処理方法あるいは通常の活性汚泥法に
より分解除去されていた。しかしながら、化学的、物理
的分解方法は非効率的で、コストが高くつく等の問題点
があった。また、活性汚泥法のような一般的な易分解成
分を除去する生物的分解方法においては、PAHは疎水
性で難分解性化合物であるため、従来の方法で完全に分
解、除去されていたかどうかは大いに疑問の残るところ
であり、簡便で効率のよいPAHの完全分解除去方法の
開発が期待されていた。
【0003】近年、このようなPAHに対して分解活性
を有する微生物を用いた石油汚染海域や汚染土壌、地下
水の分解に関する研究、開発が行われており、例えば、
シュードモナス・スツッチェリ 5A株(特開昭63−
207391号公報)、シュードモナス・プチダ 9−
Ant株(特開昭63−231575号公報)、シュー
ドモナス属 AJ−1−1−1株(特開平7−2377
3号公報)、カンジダ属 M−23−2株(特開平6−
319530号公報)、トリコデルマ属 A5−2株
(特開平6−319529号公報)、モラキセラ属 KE-
2991株(特開平5ー276931号公報)、アエロモナ
ス属 S45pl株(アグリカルチュアル・アンド・バイオロ
ジカル・ケミストリー;Agricultual and Biological C
hemistry、Vol.40、p1075 、1976)、マイコバクテリウ
ム属の細菌(アプライド・アンド・エンバイロメンタル
・マイクロバイオロジー;Applied and Enviromental M
icrobiology 、Vol.54、p937、1988)、シュードモナス
・パウチモビリス細菌(アプライド・マイクロバイオロ
ジー・アンド・バイオテクノロジー;Applied Microbio
logy and Biotechnology、Vol.32、p479,1990 )、ファ
ネリカエーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chry
sosporium )BMK−F1767株(アプライド・アン
ド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー;Appl
ied and Enviromental Microbiology 、Vol.54、p937、
1988)がフェナントレンやアントラセン等を分解するこ
とが報告されている。また、マイコバクテリウム エス
ピー(アプライド・アンド・エンバイロメンタル・ミク
ロバイオロジー;Applied and Environmental Microbio
logy、Vol.54、2549-2555 、1988)や、ロドコッカス
エスピーUW1株(アプライド・ミクロバイオロジー・
アンド・バイオテクノロジー;Applied Microbiology a
nd Biotechnology、Vol.34、671-676 、1991)が、ピレ
ンを分解することが報告されている。なお、ファネロカ
エーテ・クリソスポリウム(Phanerochaet
e chrysosporium)の産生するリグニナ
ーゼがベンゾピレンを酸化することが報告されている
(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー;
The Journal of Biological
Chemistry 、Vol.261 、p6900-6903、1986)
が、リグニンがPAHの分解に影響を与えることについ
ては記載されていない。
を有する微生物を用いた石油汚染海域や汚染土壌、地下
水の分解に関する研究、開発が行われており、例えば、
シュードモナス・スツッチェリ 5A株(特開昭63−
207391号公報)、シュードモナス・プチダ 9−
Ant株(特開昭63−231575号公報)、シュー
ドモナス属 AJ−1−1−1株(特開平7−2377
3号公報)、カンジダ属 M−23−2株(特開平6−
319530号公報)、トリコデルマ属 A5−2株
(特開平6−319529号公報)、モラキセラ属 KE-
2991株(特開平5ー276931号公報)、アエロモナ
ス属 S45pl株(アグリカルチュアル・アンド・バイオロ
ジカル・ケミストリー;Agricultual and Biological C
hemistry、Vol.40、p1075 、1976)、マイコバクテリウ
ム属の細菌(アプライド・アンド・エンバイロメンタル
・マイクロバイオロジー;Applied and Enviromental M
icrobiology 、Vol.54、p937、1988)、シュードモナス
・パウチモビリス細菌(アプライド・マイクロバイオロ
ジー・アンド・バイオテクノロジー;Applied Microbio
logy and Biotechnology、Vol.32、p479,1990 )、ファ
ネリカエーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chry
sosporium )BMK−F1767株(アプライド・アン
ド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー;Appl
ied and Enviromental Microbiology 、Vol.54、p937、
1988)がフェナントレンやアントラセン等を分解するこ
とが報告されている。また、マイコバクテリウム エス
ピー(アプライド・アンド・エンバイロメンタル・ミク
ロバイオロジー;Applied and Environmental Microbio
logy、Vol.54、2549-2555 、1988)や、ロドコッカス
エスピーUW1株(アプライド・ミクロバイオロジー・
アンド・バイオテクノロジー;Applied Microbiology a
nd Biotechnology、Vol.34、671-676 、1991)が、ピレ
ンを分解することが報告されている。なお、ファネロカ
エーテ・クリソスポリウム(Phanerochaet
e chrysosporium)の産生するリグニナ
ーゼがベンゾピレンを酸化することが報告されている
(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー;
The Journal of Biological
Chemistry 、Vol.261 、p6900-6903、1986)
が、リグニンがPAHの分解に影響を与えることについ
ては記載されていない。
【0004】さらに、各種の微生物栄養剤や界面活性剤
を含有する分解促進剤を添加して石油類で汚染された海
域あるいは土壌中で分解菌を増殖させ、微生物による分
解を促進させる方法が報告されている。このような分解
促進剤としては、例えば、脂肪酸と炭酸カルシウム、炭
水化物又は蛋白質から構成される微生物栄養剤(特開昭
53−149868号公報)や、フラボバクテリウムが
産生する炭化水素乳化剤を含有する可溶化剤(特開平5
−92133号公報)が挙げられる。
を含有する分解促進剤を添加して石油類で汚染された海
域あるいは土壌中で分解菌を増殖させ、微生物による分
解を促進させる方法が報告されている。このような分解
促進剤としては、例えば、脂肪酸と炭酸カルシウム、炭
水化物又は蛋白質から構成される微生物栄養剤(特開昭
53−149868号公報)や、フラボバクテリウムが
産生する炭化水素乳化剤を含有する可溶化剤(特開平5
−92133号公報)が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな微生物栄養剤や界面活性剤を散布する方法は、新た
な2次汚染を引き起こす原因になることが懸念され、ま
た効果も一過性である。さらに、汚染水を処理する場合
には、栄養剤や界面活性剤の添加によって生物学的酸素
要求量(以下BODと略す)が増大してしまい、処理負
荷量の増加による汚泥成分のバルキングが心配されるこ
ととなる。本発明は、PAHで汚染された土壌、河川、
地下水、海浜、海洋又は工業廃水中に含有されるPAH
を微生物を用いて浄化する際に、BODをほとんど増加
することなしに微生物によるPAHの分解を促進し、効
率良く浄化することのできる方法を提供することを目的
とするものである。
うな微生物栄養剤や界面活性剤を散布する方法は、新た
な2次汚染を引き起こす原因になることが懸念され、ま
た効果も一過性である。さらに、汚染水を処理する場合
には、栄養剤や界面活性剤の添加によって生物学的酸素
要求量(以下BODと略す)が増大してしまい、処理負
荷量の増加による汚泥成分のバルキングが心配されるこ
ととなる。本発明は、PAHで汚染された土壌、河川、
地下水、海浜、海洋又は工業廃水中に含有されるPAH
を微生物を用いて浄化する際に、BODをほとんど増加
することなしに微生物によるPAHの分解を促進し、効
率良く浄化することのできる方法を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
課題を解決するために鋭意検討の結果、木材成分である
リグニンをPAHで汚染されたところに添加することに
より微生物によるPAHの分解を促進することができる
ということを見出し、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、微生物を用いてPAHで汚染された水
又は土壌を浄化するに際し、このような水又は土壌にリ
グニンを添加することを特徴とするPAHで汚染された
水又は土壌の浄化方法を要旨とするものである。
課題を解決するために鋭意検討の結果、木材成分である
リグニンをPAHで汚染されたところに添加することに
より微生物によるPAHの分解を促進することができる
ということを見出し、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、微生物を用いてPAHで汚染された水
又は土壌を浄化するに際し、このような水又は土壌にリ
グニンを添加することを特徴とするPAHで汚染された
水又は土壌の浄化方法を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるリグニンとは、高等植物中に存在す
る主要な構成成分であり、その含有量は針葉樹では25
〜30%、広葉樹では20〜25%を占め、セルロース
に次いで多い植物光合成産物である。リグニンはメトキ
シル基と水酸基をもつ芳香環に炭化水素3の側鎖が結合
したフェニルプロパンを基本単位としている。木材中に
存在するリグニンはプロトリグニンと呼ばれており、単
離されたものとしてはパルプ製造工程で大量に副生し排
出されるクラフトリグニンやリグニンスルホン酸があ
る。なお、本発明において使用されるリグニンとして
は、このような単離・精製されたリグニンであってもよ
いし、未精製のままの木材チップを用いてもよい。
本発明に用いられるリグニンとは、高等植物中に存在す
る主要な構成成分であり、その含有量は針葉樹では25
〜30%、広葉樹では20〜25%を占め、セルロース
に次いで多い植物光合成産物である。リグニンはメトキ
シル基と水酸基をもつ芳香環に炭化水素3の側鎖が結合
したフェニルプロパンを基本単位としている。木材中に
存在するリグニンはプロトリグニンと呼ばれており、単
離されたものとしてはパルプ製造工程で大量に副生し排
出されるクラフトリグニンやリグニンスルホン酸があ
る。なお、本発明において使用されるリグニンとして
は、このような単離・精製されたリグニンであってもよ
いし、未精製のままの木材チップを用いてもよい。
【0008】本発明でいうPAHとは、ベンゼン環が2
個以上結合した化合物のことであり、例えば、ナフタレ
ン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン、フ
ルオレン、カルバゾール、ピレン、クリセン、ペリレ
ン、ジベンゾチオフェン、ジベンフラン、フルオランセ
ン、ビフェニール、キサンテン等が挙げられる。また、
本発明の処理対象となるPAHで汚染された水又は土壌
としては、特に限定されるものではなく、このようなP
AHで汚染された土壌、河川、海浜、海洋、廃水等が挙
げられる。
個以上結合した化合物のことであり、例えば、ナフタレ
ン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン、フ
ルオレン、カルバゾール、ピレン、クリセン、ペリレ
ン、ジベンゾチオフェン、ジベンフラン、フルオランセ
ン、ビフェニール、キサンテン等が挙げられる。また、
本発明の処理対象となるPAHで汚染された水又は土壌
としては、特に限定されるものではなく、このようなP
AHで汚染された土壌、河川、海浜、海洋、廃水等が挙
げられる。
【0009】本発明においては、このようなPAHで汚
染された水又は土壌にリグニンを添加することによっ
て、PAHの微生物による分解を促進することができ
る。添加の方法としては、粉末状態のリグニン又はリグ
ニンの水溶液を、直接、汚染水又は土壌に添加してもよ
いし、公知のPAH分解微生物や微生物栄養剤、界面活
性剤等と混合し、粉末状、顆粒状、ペレット状に製剤化
し、汚染水又は土壌に添加することも可能である。ま
た、添加濃度としては、水中に添加する場合には、リグ
ニンの濃度で、10〜5000mg/リットルが好まし
く、さらに好ましくは100〜2000mg/リットル
であり、最も好ましくは250〜1000mg/リット
ルである。
染された水又は土壌にリグニンを添加することによっ
て、PAHの微生物による分解を促進することができ
る。添加の方法としては、粉末状態のリグニン又はリグ
ニンの水溶液を、直接、汚染水又は土壌に添加してもよ
いし、公知のPAH分解微生物や微生物栄養剤、界面活
性剤等と混合し、粉末状、顆粒状、ペレット状に製剤化
し、汚染水又は土壌に添加することも可能である。ま
た、添加濃度としては、水中に添加する場合には、リグ
ニンの濃度で、10〜5000mg/リットルが好まし
く、さらに好ましくは100〜2000mg/リットル
であり、最も好ましくは250〜1000mg/リット
ルである。
【0010】本発明に用いられる微生物としては、PA
H分解能を有するものであれば特に限定されず、例え
ば、シュードモナス属、カンジダ属、トリコデルマ属、
モラキセラ属、アエロモナス属、マイコバクテリウム
属、バクフォルデリア属に属する微生物が挙げられる。
本発明においては、これらの微生物をリグニンと共に添
加してもよいし、浄化しようとする水や土壌中にこれら
の微生物が存在している場合には、特に添加しなくても
よい。さらに、土壌改良剤、界面活性剤、生石灰、微生
物栄養剤、pH緩衝剤、酸素供給剤等をPAHで汚染さ
れた水又は土壌に添加してもよい。
H分解能を有するものであれば特に限定されず、例え
ば、シュードモナス属、カンジダ属、トリコデルマ属、
モラキセラ属、アエロモナス属、マイコバクテリウム
属、バクフォルデリア属に属する微生物が挙げられる。
本発明においては、これらの微生物をリグニンと共に添
加してもよいし、浄化しようとする水や土壌中にこれら
の微生物が存在している場合には、特に添加しなくても
よい。さらに、土壌改良剤、界面活性剤、生石灰、微生
物栄養剤、pH緩衝剤、酸素供給剤等をPAHで汚染さ
れた水又は土壌に添加してもよい。
【0011】
【作用】本発明によれば、PAHで汚染された水や土壌
にリグニンを添加することによって、PAHの水への分
散性が向上し、このため、微生物によるPAHの分解が
促進される。
にリグニンを添加することによって、PAHの水への分
散性が向上し、このため、微生物によるPAHの分解が
促進される。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1、比較例1〜5 無機液体培地(硫酸アンモニウム 2.5g/L、硫酸
マグネシウム7水和物250mg/L、リン酸2水素カ
リウム 500mg/L、塩化カルシウム2水和物 1
0mg/L、塩化ナトリウム 500mg/L:pH
6.5)40mlに、予めジメチルスルホキシド(DM
SO)に10mg/mlとなるように溶解したピレンを
1ml加えた。さらに最終培地濃度250mg/Lとな
るようにリグニン(アルカリ処理リグニン、ナカライテ
スク社製:実施例1)、グルコース(比較例1)、グリ
セロール(比較例2)、カテコール(比較例3)、プロ
トカテキュ酸(比較例4)を添加した培地と、何も添加
しない培地(比較例5)を作製した。これらの培地をオ
ートクレーブ滅菌(121℃で20分間)し、さらにピ
レン分解菌であるバクフォルデリア(Burkhorderia)属
PYR−1株(FERM P−16230)を1白金耳
添加し、25℃で4日間振盪培養した。
する。 実施例1、比較例1〜5 無機液体培地(硫酸アンモニウム 2.5g/L、硫酸
マグネシウム7水和物250mg/L、リン酸2水素カ
リウム 500mg/L、塩化カルシウム2水和物 1
0mg/L、塩化ナトリウム 500mg/L:pH
6.5)40mlに、予めジメチルスルホキシド(DM
SO)に10mg/mlとなるように溶解したピレンを
1ml加えた。さらに最終培地濃度250mg/Lとな
るようにリグニン(アルカリ処理リグニン、ナカライテ
スク社製:実施例1)、グルコース(比較例1)、グリ
セロール(比較例2)、カテコール(比較例3)、プロ
トカテキュ酸(比較例4)を添加した培地と、何も添加
しない培地(比較例5)を作製した。これらの培地をオ
ートクレーブ滅菌(121℃で20分間)し、さらにピ
レン分解菌であるバクフォルデリア(Burkhorderia)属
PYR−1株(FERM P−16230)を1白金耳
添加し、25℃で4日間振盪培養した。
【0013】培養液中のピレンの定量は、同条件の培養
液を数本分用意しておき、サンプリング時毎にその内の
一本の培養液の全量を酸性下で同量のジエチルエーテル
により、数回抽出して溶媒相を回収し、溶媒をエバポレ
ーターで留去して得られた残留物を再度一定量の酢酸エ
チルに溶解してガスクロマトグラフィーにより定量を行
った。ガスクロマトグラフィーはカラムをTC−1(G
Lサイエンス社製 0.25mm×6m)とし、150
℃で試料を注入して2分間保持させた後、10℃/分で
昇温し、300℃で5分間保持させ、FIDで検出し
た。試薬類は全てナカライテスク社のものを使用した。
その結果、培養4日目のピレン分解率は、実施例1では
97.2%、比較例1では48.1%、比較例2では5
6.2%、比較例3では75.4、比較例4では65.
7%、比較例5では5.8%であった。この結果より、
リグニンが顕著なPAH分解促進効果を有することがわ
かる。
液を数本分用意しておき、サンプリング時毎にその内の
一本の培養液の全量を酸性下で同量のジエチルエーテル
により、数回抽出して溶媒相を回収し、溶媒をエバポレ
ーターで留去して得られた残留物を再度一定量の酢酸エ
チルに溶解してガスクロマトグラフィーにより定量を行
った。ガスクロマトグラフィーはカラムをTC−1(G
Lサイエンス社製 0.25mm×6m)とし、150
℃で試料を注入して2分間保持させた後、10℃/分で
昇温し、300℃で5分間保持させ、FIDで検出し
た。試薬類は全てナカライテスク社のものを使用した。
その結果、培養4日目のピレン分解率は、実施例1では
97.2%、比較例1では48.1%、比較例2では5
6.2%、比較例3では75.4、比較例4では65.
7%、比較例5では5.8%であった。この結果より、
リグニンが顕著なPAH分解促進効果を有することがわ
かる。
【0014】参考例1、比較例6 250mg/Lのリグニン溶液40mlに、予めジメチ
ルスルホキシド(DMSO)に10mg/mlとなるよ
うに溶解したピレンを1ml加え、12時間振盪して過
剰な不溶ピレンを粒子状で浮遊させた(参考例1)。ま
た、比較のため、リグニン溶液の代わりに水を用いて同
様に12時間振盪した(比較例6)。これらを5,00
0×gで遠心分離し、上液と沈殿物に分け、さらに上液
を15,000×gで遠心分離して上液と沈殿物に分け
た。これらの上液と沈殿物中のピレンを実施例1と同様
にして定量した。その結果を表1に示す。
ルスルホキシド(DMSO)に10mg/mlとなるよ
うに溶解したピレンを1ml加え、12時間振盪して過
剰な不溶ピレンを粒子状で浮遊させた(参考例1)。ま
た、比較のため、リグニン溶液の代わりに水を用いて同
様に12時間振盪した(比較例6)。これらを5,00
0×gで遠心分離し、上液と沈殿物に分け、さらに上液
を15,000×gで遠心分離して上液と沈殿物に分け
た。これらの上液と沈殿物中のピレンを実施例1と同様
にして定量した。その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】この結果から、リグニンが存在しないと、
ピレンは5,000×gで遠心分離することにより再結
晶化してしまい、沈殿してしまう(比較例6)が、リグ
ニンの存在下では、ピレンは再結晶化せず、非常に小さ
な微粒子状態で液体中を浮遊しているため、15,00
0×gで遠心分離しても沈殿しないことがわかる。
ピレンは5,000×gで遠心分離することにより再結
晶化してしまい、沈殿してしまう(比較例6)が、リグ
ニンの存在下では、ピレンは再結晶化せず、非常に小さ
な微粒子状態で液体中を浮遊しているため、15,00
0×gで遠心分離しても沈殿しないことがわかる。
【0017】実施例2、比較例7 宇治市周辺の非フェナントレン汚染土壌数種類を採取、
混合し、その25gをビーカーに入れ、炭酸カルシウム
25mgと混合した。これに、粉末状のフェナントレ
ン12.5mgを添加、撹拌し、最終濃度が1,000
mg/kgとなるよう粉末状リグニン(ナカライテスク
社製)を混合した(実施例2)。また、リグニンを添加
しないフェナントレン汚染土壌も作製した(比較例
7)。予めサブロー培地(グルコース4重量%、ペプト
ン1重量%)で2日間振盪培養し、遠心分離して回収し
ておいたN372B株〔バクフォルデリア(Burkhorder
ia)属の細菌:FERM P−15025〕の菌体20
mgをこれらの土壌に混合し、25℃で10日間放置し
た。この間、土壌の水分含量は12W/W%程度に保た
れるよう水分補給と通気のための土壌撹拌を2日に1回
行った。10日間放置した後、各土壌中フェナントレン
を定量した。定量は、土壌1gを乾燥させ、これを酢酸
エチルと懸濁して5時間放置した後、グラスフィルター
でろ過して土壌を除去した後、実施例1と同様の方法で
ガスクロマトグラフィーにより定量した。その結果、リ
グニンを添加した土壌(実施例2)では、土壌中にフェ
ナントレンは1.8mgしか存在しなかったが(分解率
85.6%)、リグニンを添加しなかった土壌(比較例
7)では、5.6mgのフェナントレンが残存していた
(分解率55.2%)。
混合し、その25gをビーカーに入れ、炭酸カルシウム
25mgと混合した。これに、粉末状のフェナントレ
ン12.5mgを添加、撹拌し、最終濃度が1,000
mg/kgとなるよう粉末状リグニン(ナカライテスク
社製)を混合した(実施例2)。また、リグニンを添加
しないフェナントレン汚染土壌も作製した(比較例
7)。予めサブロー培地(グルコース4重量%、ペプト
ン1重量%)で2日間振盪培養し、遠心分離して回収し
ておいたN372B株〔バクフォルデリア(Burkhorder
ia)属の細菌:FERM P−15025〕の菌体20
mgをこれらの土壌に混合し、25℃で10日間放置し
た。この間、土壌の水分含量は12W/W%程度に保た
れるよう水分補給と通気のための土壌撹拌を2日に1回
行った。10日間放置した後、各土壌中フェナントレン
を定量した。定量は、土壌1gを乾燥させ、これを酢酸
エチルと懸濁して5時間放置した後、グラスフィルター
でろ過して土壌を除去した後、実施例1と同様の方法で
ガスクロマトグラフィーにより定量した。その結果、リ
グニンを添加した土壌(実施例2)では、土壌中にフェ
ナントレンは1.8mgしか存在しなかったが(分解率
85.6%)、リグニンを添加しなかった土壌(比較例
7)では、5.6mgのフェナントレンが残存していた
(分解率55.2%)。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、微生物によるPAHの
分解を促進させることができ、効率良くPAHで汚染さ
れた水又は土壌を浄化することができる。
分解を促進させることができ、効率良くPAHで汚染さ
れた水又は土壌を浄化することができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 微生物を用いて多環芳香族炭化水素で汚
染された水又は土壌を浄化するに際し、このような水又
は土壌にリグニンを添加することを特徴とする多環芳香
族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9191036A JPH1133572A (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9191036A JPH1133572A (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1133572A true JPH1133572A (ja) | 1999-02-09 |
Family
ID=16267835
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9191036A Pending JPH1133572A (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 多環芳香族炭化水素で汚染された水又は土壌の浄化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1133572A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102250801A (zh) * | 2011-06-22 | 2011-11-23 | 中国农业科学院农业环境与可持续发展研究所 | 一种微生物菌剂及其制备方法和应用 |
CN105903759A (zh) * | 2016-04-13 | 2016-08-31 | 沈阳大学 | 一种生物剂修复滴滴涕-多环芳烃复合污染土壤的方法 |
CN115213215A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-10-21 | 北京师范大学 | 一种用于修复多环芳烃污染土壤的修复剂及其制备方法 |
-
1997
- 1997-07-16 JP JP9191036A patent/JPH1133572A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102250801A (zh) * | 2011-06-22 | 2011-11-23 | 中国农业科学院农业环境与可持续发展研究所 | 一种微生物菌剂及其制备方法和应用 |
CN105903759A (zh) * | 2016-04-13 | 2016-08-31 | 沈阳大学 | 一种生物剂修复滴滴涕-多环芳烃复合污染土壤的方法 |
CN115213215A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-10-21 | 北京师范大学 | 一种用于修复多环芳烃污染土壤的修复剂及其制备方法 |
CN115213215B (zh) * | 2022-06-21 | 2023-05-26 | 北京师范大学 | 一种用于修复多环芳烃污染土壤的修复剂及其制备方法 |
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