JPH11332312A - 播種シート及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 野菜や草花等の種子が所望の形態で高精度に
整列され、簡易で省力的な栽培を行うことが可能な播種
シート及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 種子３よりも小なる多数の孔２ａが開設
された種子整列シート２の一方の面上に撒いた種子３
を、種子整列シート２の他方の面に作用させた吸引力に
よって各孔２ａに位置させて固定させるようにしてか
ら、種子整列シート２の各孔２ａに位置固定されている
各種子３を第１の水溶性シートに４転写固定させ、この
第１の水溶性シート４と第２の水溶性シート５との間に
種子３を挟持固定して、播種シート１を形成するように
した。これにより、小さい種子を所望の形態で高精度に
かつ迅速に水溶性シート４，５に配置することが可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、野菜、草花等の栽
培において使用される播種シート及びその製造方法に関
し、特に、播種作業の合理化を図る技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、主としてアパート、マンショ
ン等の借家に居住する者が、プランター等を利用して、
手軽に家庭菜園等が楽しめるように、予めＰＶＡに代表
される水溶性シートに、野菜、草花等の種子が必要量だ
け整列して固定して構成した播種シートが知られてお
り、かかる播種シートの公知技術は、例えば、特公平５
−６５１２４号公報、特開平１−２９６９０９号公報、
特開昭６４−５１００４号公報、特開平７−１８４４１
７号公報、特開平７−１９４２０６号公報、特開平９−
７０２０６号公報等に開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
播種シートを製造するに際しては、種子が２〜３ｍｍ以
下と極小であるため、このような種子を所望の形態で高
精度にかつ迅速に水溶性シートに配置することは困難で
あった。

【０００４】即ち、種子は水溶性シート上に所定の間隔
をもって整列させることが好ましいが、上記のように種
子の粒は極小であり、水溶性シートにおいて種子の位置
や動きを一つずつコントロールすることは困難であり、
比較的に広い範囲にわたる密度等巨視的なコントール、
即ち、大まかなコントールしかできず、各種子が近接す
る等、乱雑に配置され、所定の間隔をもって整列させる
ことはできなかった。

【０００５】このように各種子が乱雑に配置された播種
シートにあっては、種子の発芽、生育にも良いとは言え
ず、発芽後の間引き作業等が必要となり、余分な作業が
必要となるため、簡易で省力的な栽培を行うには限界が
あった。

【０００６】本発明は上記した課題を解消するためにな
されたものであり、野菜や草花等の種子が所望の形態で
高精度に整列され、簡易で省力的な栽培を行うことが可
能な播種シート及びその製造方法を提供することを目的
とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため本発明の播種シートは、多数の孔を有し、各孔に種
子が位置して固定された種子整列シートに重合されるこ
とによって、前記種子整列シート側の各種子が一方の面
に転写固定された粘着性を有する第１の水溶性シート
と、該第１の水溶性シートの種子転写固定面に貼り合わ
され、第１の水溶性シートとの間に種子を挟持固定する
粘着性を有する第２の水溶性シートと、を含んで構成さ
れる。

【０００８】この場合、前記各水溶性シートに代えて夫
々生物分解性シートを用いるようにしても良い。又、前
記各水溶性シート若しくは各第１の生物分解性シート
は、水分付加によって粘着性を付与される材料から構成
するのが好ましい。この場合、特に、前記水分付加によ
って粘着性を付与される材料として、ポリビニルアルコ
ールとするのが好ましい。

【０００９】上記した目的を達成するため本発明の播種
シートの製造方法は、種子よりも小なる多数の孔が開設
された種子整列シートの一方の面上に種子を撒く第１の
工程と、前記種子整列シートの他方の面に吸引力を作用
させて各種子を各孔に位置させて固定させる第２の工程
と、前記吸引力を作用させた状態で種子整列シート上の
余分な種子を除去する第３の工程と、前記吸引力を作用
させた状態で種子整列シートの種子が位置する面に粘着
性を有する第１の水溶性シートを重合させて、種子整列
シートの各孔に挿入されている各種子を第１の水溶性シ
ートに転写固定させる第４の工程と、前記第１の水溶性
シートの種子転写固定面に粘着性を有する第２の水溶性
シートを貼り合わせて、第１の水溶性シートと第２の水
溶性シートとの間に種子を挟持固定する第５の工程と、
を含むことを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施の形態に
基づき本発明をさらに詳細に説明する。先ず、図１に基
づいて、本発明の一の実施の形態にかかる播種シートに
ついて説明する。

【００１１】即ち、本発明の播種シート１は、多数の孔
２ａを有し、各孔２ａに種子３が位置された種子整列シ
ート２（図２参照）に重合されることによって、前記種
子整列シート１側の各種子３が一方の面に転写固定され
た粘着性を有する第１の水溶性シート４と該第１の水溶
性シート４の種子転写固定面４ａに貼り合わされ、第１
の水溶性シート４との間に種子３を挟持固定する粘着性
を有する第２の水溶性シート５とを含んで構成される。
尚、各第２の水溶性シート４，５に代えて、生物分解性
シートを用いても良い。

【００１２】かかる播種シート１を製造するに際して
は、次のような工程が採られる。 （１）種子３よりも小なる多数の孔２ａが開設された種
子整列シート２の一方の面上に種子３を撒く第１の工程 （２）前記種子整列シート２の他方の面に吸引力を作用
させて各種子３を各孔２ａに位置させて固定させる第２
の工程（図３（Ａ）参照） （３）前記種子整列シート２上の余分な種子３を除去す
る第３の工程 （４）前記種子整列シート２の種子３が位置する面に第
１の水溶性シート４を重合させて、種子整列シート２の
各孔２ａに挿入されている各種子３を第１の水溶性シー
ト４に転写固定させる第４の工程（図３（Ｂ）参照） （５）前記第１の水溶性シート４の種子転写固定面４ａ
に第２の水溶性シート５を貼り合わせて（図３（Ｃ）参
照）、第１の水溶性シート４と第２の水溶性シート５と
の間に種子３を挟持固定する第５の工程（図３（Ｄ）参
照）

【００１３】かかる製造方法をより具体的に説明する
と、種子３よりも小なる孔２ａが所定間隔で整列して開
設されたゴム、プラスチック、金属等からなる種子整列
シート２の一方の面上に種子を乱雑に撒き、該種子整列
シート２を振動させながら、種子整列シート２の他方の
面側に吸引力を作用させることで、種子３を種子整列シ
ート２の孔２ａに位置させて固定させた後、種子整列シ
ート２の種子３が位置する面に第１の水溶性シート４を
重合させて、種子整列シート２の各孔２ａに挿入されて
いる各種子３を第１の水溶性シート４に転写させる。

【００１４】ここで、種子整列シート２の一方の面に撒
かれて孔２ａに位置されずかつ固定されなかった余分な
種子３を取り除くには、種子３を孔２ａに固定する吸引
力を作用させた状態で、弱い風を種子整列シート２に当
て、風で余分な種子３を吹き飛ばすようにする。

【００１５】この場合、種子３を孔２ａに固定する吸引
力と種子３を吹き飛ばす風力の加減を調整する必要があ
る。或いは、種子３を孔２ａに固定する吸引力を作用さ
せた状態で、種子整列シート３を逆さにして、種子３が
位置している側の面を下側にし、重力で余分な種子３を
落下させて取り除くようにしても良い。

【００１６】上記のように、種子整列シート２の一方の
面上に種子３を乱雑に撒き、種子整列シート２の他方の
面側に吸引力を作用させることで、種子３を種子整列シ
ート２の孔２ａに位置させて固定させる方法の特徴は、
各孔２ａにかならず種子３が一つずつ位置して固定され
る点にあり、種子３の整列が確実に行えるという利点が
ある。

【００１７】因みに、種子整列シート２の種子３を固定
したいポイントに粘着材を付着させておき、この粘着材
を利用して各種子３を固着させる方法では、一つの粘着
材部分に複数の種子３が付着する可能性があり、各ポイ
ントに確実に種子３を一つずつ位置して固定できず、種
子３の整列が不確実であるという問題がある。

【００１８】更に、上記のように第１の水溶性シート４
に種子３を転写移動させるには、この水溶性シート４に
水分を吹きつける等して粘着性を持たせ、この場合の粘
着力を種子整列シート２に種子３を固定している力より
も大きくする必要がある。上記の第１の水溶性シート４
及び第２の水溶性シート５としては、例えば、数ミクロ
ンと薄い厚みでも強度が高く、水分の加減で粘着力のコ
ントロールが容易なＰＶＡが経済性の面でも最適な材料
であるが、例えばデンプン性シート（オブラート）等、
他の粘着性を有するを材料でも良い。

【００１９】第１の水溶性シート４への種子３の転写の
ときに、第１の水溶性シート４と種子整列シート２の孔
２ａの非形成部分との粘着力が強すぎると、種子３が転
写できずに、第１の水溶性シート４が破れるおそれがあ
るため、第１の水溶性シート４に吹きつける水分量を適
正に調節する必要がある。

【００２０】又、種子整列シート２の表面をエンボス加
工して、粘着力を適正にコントロールする。或いは、種
子３自体を水に濡らして、種子３自体が第１の水溶性シ
ート４に付着し易くすると良い。

【００２１】尚、かかる方法は、種子整列シート２に形
成された孔２ａに種子３がフィットして固定化されてい
ることが前提となるめ、種子３全体の形状が均一で揃っ
ていることが重要であり、予め種子３を篩を通して均一
形状に揃うように選別することが重要である。

【００２２】上述の方法に適用する種子３としては、例
えばアブラナ科の大根やハーブに属するセージ等の粒径
の小さいものが最適であるが、これらに限定されるもの
ではない。種子３の粒径、形状に応じて種子整列シート
２の孔２ａの形状を変化させ、種子整列シート２に作用
させる吸引力や第１の水溶性シート４の粘着力をコント
ロールすれば、いかなる種子でも適用可能である。

【００２３】種子３が転写された第１の水溶性シート４
には、種子３をサンドイッチ状に挟むように、粘着性を
有する第２の水溶性シート５がプレスにより貼り合わさ
れる。この場合、第２の水溶性シート５は、粘着性が付
与された数十ミクロンの厚みのものであり、これによっ
て種子３が使用前には動かないように確実に固定化され
る。

【００２４】上述した播種シート１の製造方法は、上記
のような種子３を選別する工程、種子３を種子整列シー
ト２に整列させる工程、第１の水溶性シート４を種子整
列シート２に対して供給する工程、種子３を第１の水溶
性シート４に転写させる工程、第１の水溶性シート４と
第２の水溶性シート５とを貼り合わせる工程の他に、第
１の水溶性シート４と第２の水溶性シート５とを貼り合
わせて形成したシートを乾燥させる工程、該シートを裁
断して所定形状の播種シート１を得る工程、播種シート
１を包装する工程等からなり、エンドレスなシートの連
続生産も可能であり、必要量に応じて簡単な装置による
所望のサイズの播種シートの生産も可能であり、安価な
播種シートの生産が可能である。

【００２５】次に、本発明の播種シート及びその製造方
法の一実施例を次に説明する。粒径が約１．２ｍｍの大
根の球状種子１ｍｌ（約１５０粒）を２０ｍｍ間隔で周
追う直角に１ｍｍφの孔が形成されたアルミニウム製の
３ｍｍ肉厚の１５０×１５０ｍｍの種子整列シート（周
囲に高さ１０ｍｍの堰付）にばらまき、振動させつつ吸
引力を作用させて孔の上で種子を動かし、各孔に各種子
を位置させて固定化する。

【００２６】種子整列シートに吸引力を作用させたま
ま、孔に位置固定されなかった余分な種子を風に種子整
列シートの外へ引き飛ばした後、霧吹きで種子を湿ら
せ、厚み３０ミクロンの水溶性ＰＶＡシート（第１の水
溶性シート）を種子整列シート上に被せ、軽くプレスを
加えて、該水溶性ＰＶＡシートの粘着力で種子を水溶性
ＰＶＡシート側に付着させ、種子整列シート側の種子を
水溶性ＰＶＡシート側に転写する。尚、ここまで、種子
整列シートに吸引力を作用させたままにする。

【００２７】種子が転写された水溶性ＰＶＡシートに
は、種子をサンドイッチ状に挟むように、別の水溶性Ｐ
ＶＡシート（第２の水溶性シート）がプレスにより貼り
合わされる。上記のように粘着力を付与するために使用
した水分は、乾燥によって製品中の水分が平衡含水率１
５％のレベルとなるようにコントロールされる。

【００２８】以上のような播種シート及びその製造方法
においては、種子３よりも小なる多数の孔２ａが開設さ
れた種子整列シート２の一方の面上に撒いた種子３を、
種子整列シート２の他方の面に作用させた吸引力によっ
て各孔２ａに位置させて固定させるようにしてから、種
子整列シート２の各孔２ａに位置固定されている各種子
３を第１の水溶性シートに４転写固定させ、この第１の
水溶性シート４と第２の水溶性シート５との間に種子３
を挟持固定して、播種シート１を形成するようにしたか
ら、小さい種子を所望の形態で高精度にかつ迅速に水溶
性シート４，５に配置することが可能となる。

【００２９】即ち、各種子３が近接する等、乱雑に配置
されずに、所定の間隔をもって整列させることができ、
種子３の発芽、生育にも良好であり、発芽後の間引き作
業等も不要で、余分な作業が不要となるため、簡易で省
力的な栽培を行うことができる。

【００３０】又、種子整列シート２における孔２ａの径
や孔２ａの配列パターンの適宜設定によって、従来では
不可能であった数ｍｍ以下の極小の種子を含めて種々の
サイズの種子を所望の配列パターンで配列でき、発芽発
育効率の良い播種シートを安価に製造することができ
る。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、野菜や草花等の種子が
所望の形態で高精度に整列され、簡易で省力的な栽培を
行うことが可能な播種シート及びその製造方法を提供す
ることができる。

【００３２】特に、各水溶性シートに代えて夫々生物分
解性シートを用いるようにしても良く、栽培時に土中に
て生物分解される。又、前記各水溶性シート若しくは各
第１の生物分解性シートは、水分付加によって粘着性を
付与される材料から構成するのが好ましく、これによ
り、簡単にかつ最適な粘着性が付与される。

【００３３】この場合、特に、前記水分付加によって粘
着性を付与される材料として、ポリビニルアルコールと
するのが好ましく、これにより、数ミクロンと薄い厚み
でも強度が高く、水分の加減で粘着力のコントロールが
容易で、経済性の面でも優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の播種シートの一の実施の形態
を説明するための縦断面図である。

【図２】図２は、同上の播種シートの製造に用いる種子
整列シートの構成を示す図で、（Ａ）は平面図、（Ｂ）
は（Ａ）中Ａ−Ａ矢視断面図である。

【図３】図３（Ａ）〜（Ｄ）は、同上の播種シートの製
造方法を説明する概略断面図である。

【符号の説明】

１ 播種シート ２ 種子整列シート ２ａ 孔 ３ 種子 ４ 第１の水溶性シート ５ 第２の水溶性シート

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の孔を有し、各孔に種子が位置して
   固定された種子整列シートに重合されることによって、
   前記種子整列シート側の各種子が一方の面に転写固定さ
   れた粘着性を有する第１の水溶性シートと、該第１の水
   溶性シートの種子転写固定面に貼り合わされ、第１の水
   溶性シートとの間に種子を挟持固定する粘着性を有する
   第２の水溶性シートと、を含んで構成される播種シー
   ト。
2. 【請求項２】 前記各水溶性シートに代えて夫々生物分
   解性シートを用いたことを特徴とする請求項１記載の播
   種シート。
3. 【請求項３】 前記各水溶性シート若しくは各生物分解
   性シートは、水分付加によって粘着性を付与される材料
   からなる請求項１又は２記載の播種シート。
4. 【請求項４】 前記水分付加によって粘着性を付与され
   る材料は、ポリビニルアルコールであることを特徴とす
   る請求項１〜３のうちいずれか１つに記載の播種シー
   ト。
5. 【請求項５】 種子よりも小なる多数の孔が開設された
   種子整列シートの一方の面上に種子を撒く第１の工程
   と、 前記種子整列シートの他方の面に吸引力を作用させて各
   種子を各孔に位置させて固定させる第２の工程と、 前記吸引力を作用させた状態で種子整列シート上の余分
   な種子を除去する第３の工程と、 前記吸引力を作用させた状態で種子整列シートの種子が
   位置する面に粘着性を有する第１の水溶性シートを重合
   させて、種子整列シートの各孔に挿入されている各種子
   を第１の水溶性シートに転写固定させる第４の工程と、 前記第１の水溶性シートの種子転写固定面に粘着性を有
   する第２の水溶性シートを貼り合わせて、第１の水溶性
   シートと第２の水溶性シートとの間に種子を挟持固定す
   る第５の工程と、 を含むことを特徴とする播種シートの製造方法。