JPH11329501A - ポリマー電池の製造方法 - Google Patents

ポリマー電池の製造方法

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JPH11329501A
JPH11329501A JP10137068A JP13706898A JPH11329501A JP H11329501 A JPH11329501 A JP H11329501A JP 10137068 A JP10137068 A JP 10137068A JP 13706898 A JP13706898 A JP 13706898A JP H11329501 A JPH11329501 A JP H11329501A
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JP
Japan
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polymer
electrolyte
solid electrolyte
polymer solid
active material
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Application number
JP10137068A
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English (en)
Inventor
Mutsuhiro Maruyama
睦弘 丸山
Chomei Yokoyama
朝明 横山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】充放電サイクル特性に優れたポリマー電池を提
供する。 【解決手段】加熱プレスにより、正極と負極との間に高
分子固体電解質を接合して積層体を得る接合工程で、正
極および負極の高分子固体電解質と対向させる活物質層
面に、所定の液体を塗布した後に加熱プレスを行う。前
記液体としては、高分子固体電解質をなす有機高分子化
合物を溶解させる液体(例えば高分子固体電解質に含ま
れる電解液)を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマー電池の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子固体電解質をイオン移動媒体とす
るポリマー電池は、電解液をイオン移動媒体とする従来
の電池に比べて、液漏れがないため、電池の信頼性およ
び安全性が高い。また、電池の薄膜化や、パッケージの
簡略化および軽量化が期待される。さらに、高分子固体
電解質は加工柔軟性を有するため、電極との積層体形成
が容易であり、電極のイオン吸蔵放出による体積変化に
追随した界面保持もできる。
【0003】このような高分子固体電解質の試みとして
は、Wrightにより、British Polym
er Jornal、7 p.319(1975)に、
ポリエチレンオキシドのアルカリ金属塩複合体が報告さ
れている。また、それ以来、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレンオキシド等のポリアルキレンエーテル系
材料をはじめ、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼ
ン、ポリシロキサン等を骨格とした高分子固体電解質に
ついての研究が活発になされている。この高分子固体電
解質は、ポリマー骨格に金属塩(電解質)が均一に固溶
しているものであり、ドライ系高分子固体電解質として
知られている。
【0004】しかしながら、このドライ系高分子固体電
解質のイオン伝導度は電解液に比べて著しく低いため、
これを用いた電池は、充放電の電流密度を高くできな
い、電池抵抗が高いなどの課題を有していた。したがっ
て、より高いイオン伝導度を有する高分子固体電解質が
求められている。
【0005】そのため、例えば、電解質を溶解する有機
溶媒を高分子固体電解質中に含有させることにより、電
解質の解離度を高くしたり、高分子の分子運動を促進さ
せたりして、イオン伝導度を向上させることが提案され
ている(特開昭57−143356号公報等参照)。特
に、高分子固体電解質中に有機溶媒を大量に含有させた
ものは、液体と固体の中間的な性質を有するハイブリッ
ド電解質として、比較的高いイオン伝導度が得られるこ
とが報告されている(例えば、Gozdzらの米国特許
第5296318号明細書参照)。
【0006】一方、ポリマー電池の製造の際には、高分
子固体電解質を正極と負極との間に挟んで加熱プレスす
ることにより、正極と負極との間に高分子固体電解質が
接合された積層体を得る接合工程を行うが、この積層体
における正極および負極と高分子固体電解質との間の接
合状態が電池性能に大きな影響を与える。また、正極お
よび負極の構造としては、活物質粒子がバインダーで結
着された活物質層をシート状の集電体上に有するものが
多い。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】このような活物質層
を有する電極を備えた積層体においては、活物質層をな
すバインダーの材質が高分子固体電解質をなすポリマー
の材質と異なる場合には、正極および負極と高分子固体
電解質との間での接合状態が不十分となって、電池性能
の劣化(特に、充放電を繰り返すことによる容量の劣
化)が生じ易くなるという問題があった。
【0008】本発明は、このような従来技術の問題点を
解決するためのものであり、正極および負極と高分子固
体電解質との間の接合状態を向上させて、充放電を繰り
返すことによる容量の劣化が少ない、充放電サイクル特
性に優れたポリマー電池を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、正極および負極の少なくと
も一方として活物質粒子がバインダーで結着された活物
質層を有する構造の電極を用い、高分子固体電解質を正
極と負極との間に挟んで加熱プレスを行うことにより、
正極と負極との間に高分子固体電解質が接合された積層
体を得る接合工程を行うポリマー電池の製造方法におい
て、前記活物質層の高分子固体電解質との対向面および
/または前記高分子固体電解質の活物質層との対向面
に、当該高分子固体電解質をなす有機高分子化合物を溶
解させる液体を塗布した後に、加熱プレスを行うことを
特徴とするポリマー電池の製造方法を提供する。
【0010】請求項2に係る発明は、請求項1の方法に
おいて、有機高分子化合物と電解液とがゲル化により一
体化された高分子固体電解質を用い、前記液体として、
当該高分子固体電解質に含まれる電解液を用いることを
特徴とする。
【0011】請求項3に係る発明は、請求項1または2
の方法において、高分子固体電解質をなす有機高分子化
合物はポリフッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴と
する。
【0012】請求項4に係る発明は、請求項1または2
の方法において、高分子固体電解質をなす有機高分子化
合物は独立泡および/または貫通孔を有する多孔性ポリ
フッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする。
【0013】本発明の方法によれば、接合工程の加熱プ
レス時に、前記活物質層の高分子固体電解質との対向面
および/または前記高分子固体電解質の活物質層との対
向面に塗布された前記液体が、高分子固体電解質をなす
有機高分子化合物を溶解し、この溶解物が活物質層の高
分子固体電解質との対向面近傍にある空隙に入り込むこ
とによってアンカー効果が生じると推定される。
【0014】前記液体の塗布量は、例えば、高分子固体
電解質の重量に対する比率で0.5%以上80%以下と
する。好ましくは前記比率で3%以上60%以下の塗布
量とする。塗布量が過剰であると、必要以上の液体は加
熱プレス時に積層体の外に流れ出るため無駄になる。
【0015】本発明の方法において、接合工程で使用す
る液体は、高分子固体電解質をなす有機高分子化合物を
溶解させる液体であればいずれのものでもよい。しかし
ながら、液体を塗布する際に、この液体に高分子固体電
解質中の電解質が溶け出して、高分子固体電解質の電解
質濃度が低下することが考えられる。したがって、有機
高分子化合物と電解液とがゲル化により一体化された高
分子固体電解質を用いる場合には、前記液体として、当
該高分子固体電解質に含まれる電解液を用いることが好
ましい。これにより、高分子固体電解質の電解質濃度を
保持できる。
【0016】本発明の方法で使用可能な高分子固体電解
質としては、有機高分子化合物と電解液とがゲル化によ
り一体化された高分子固体電解質(ゲル状高分子固体電
解質)が好ましい。
【0017】このようなゲル状高分子固体電解質を構成
する有機高分子化合物(支持ポリマー)としては、例え
ば、ポリアルキレングリコール類、ポリ(メタ)アクリ
レート類、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリフッ化ビ
ニリデン系樹脂、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン
等が挙げられる。これらのうち、特にリチウムイオン電
池用高分子固体電解質の支持ポリマーとしては、イオン
伝導度が高いことからポリアクリロニトリル系樹脂やポ
リフッ化ビニリデン系樹脂が好ましい。中でもポリフッ
化ビニリデン系樹脂は、電気化学的安定性にも優れてい
るため特に好ましい。
【0018】ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、ポ
リビニリデンフルオライドや、ポリビニリデンフルオラ
イドを主成分とする共重合体(共重合成分として、ポリ
ヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロビニルエ
ーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフル
オロプロピレンオキシド、またはポリフルオロエチレン
等を含むもの)が挙げられる。
【0019】ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる支持
ポリマーとしては、バルク構造以外に、独立泡や貫通孔
を有する多孔質構造、架橋構造を有するものがあり、本
発明ではこれらのいずれのものも使用可能であるが、独
立泡や貫通孔を有する多孔性ポリフッ化ビニリデン系樹
脂を支持ポリマーとして用いることが好ましい。これに
より、機械的強度とイオン伝導度の両方を高くすること
ができる。なお、独立泡を有するポリフッ化ビニリデン
系樹脂成形体の製造方法についてはWO97−1859
6号公報等に、貫通孔を有するポリフッ化ビニリデン系
樹脂成形体の製造方法についてはWO97−48106
号公報等に記載されている。
【0020】また、ゲル状高分子固体電解質を構成する
電解液は、電解質を有機溶媒に溶解したものであり、電
解質としては、無機塩、有機塩、無機酸、有機酸のいず
れもが使用可能である。無機酸としては、テトラフルオ
ロホウ酸、過塩素酸、硝酸、および塩酸等が挙げられ
る。有機酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸、
酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。無機塩および有機
塩としては、これらの無機酸および有機酸の塩が挙げら
れる。
【0021】塩型の電解質は有機溶媒に溶解して、プロ
トンや、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金
属、および遷移金属のカチオンを生じるが、電解液には
これらのカチオンが単独で含まれていても二つ以上含ま
れていてもよい。
【0022】ゲル状高分子固体電解質を用いてリチウム
電池を構成する場合には、電解質としてリチウム塩を用
いることが好ましい。リチウム塩の具体例としては、L
iAsF6 、LiBF4 、LiPF6 、LiClO4
LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiC
(CF3 SO2 3 などが挙げられる。
【0023】電解質を溶解させる有機溶媒としては、プ
ロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブ
チロラクトン、1、2−ジメトキシエタン、1、3−ジ
オキソラン、テトラヒドロフラン、蟻酸メチル、アセト
ニトリル、ジメチルスルホキシド、2−メチルテトラヒ
ドロフラン、3−メチルー1、3−オキソザリジン−2
−オン、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート、ジエチルエーテル、スル
ホラン等が、単独でまたは混合溶媒として用いられる。
【0024】また、これらの有機溶媒に、ポリエチレン
オキシド、ポリプロピレンオキシドなどの脂肪族ポリエ
ーテル、ポリビニリデンフルオライド系重合体、ポリア
クリロニトリル、脂肪族ポリエステル、脂肪族カーボネ
ートなどのポリマーを溶解させた混合物に、電解質を溶
解させてもよい。
【0025】ゲル状高分子固体電解質は、例えば、支持
ポリマーを電解液中に所定時間浸漬して、支持ポリマー
を電解液で膨潤させることにより作製される。また、こ
の膨潤工程は、電解液をアセトン、テトラヒドロフラン
などの低沸点溶媒と混合した混合溶液に、支持ポリマー
を所定時間浸漬した後、低沸点の溶媒を揮発させること
により行ってもよい。
【0026】ポリマー電池がリチウム電池の場合には、
電極の正極および負極の活物質として、リチウムイオン
が吸蔵放出可能な活物質を用いる。リチウム電池の正極
活物質としては、負極に対して高い電位を有する材料を
用いる。この例としては、Li(1-x) CoO2 、Ln
(1-x) NiO2 、Li(1-x)Mn2 4 、Li(1-x)
2 (0<x<1、MはCo、Ni、Mn、Feの混合
体を表す。)、Li(2-y) Mn2 4 (0<y<2)、
結晶性Li(1-x) 25 、アモルファス状Li(2-y)
2 5 (0<y<2)、Li(1.2-x')Nb25 (0
<x’<1.2)などの酸化物、Li(1-x) TiS2
Li(1-x) MoS2 、Li(3-z) NbSe3 (0<z<
3)などの金属カルコゲナイド、ポリピロール、ポリチ
オフェン、ポリアニリン、ポリアセン誘導体、ポリアセ
チレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアリレンビニレ
ン、ジチオール誘導体、ジスルフィド誘導体などの有機
化合物を挙げることができる。
【0027】リチウム電池の負極活物質としては、上記
正極に対して低い電位を有する材料を用いる。この例と
しては、金属リチウム、アルミニウム・リチウム合金、
マグネシウム・アルミニウム・リチウム合金などの金属
リチウム合金、AlSb、Mg2 Ge、NiSi2 など
の金属間化合物、グラファイト、コークス、低温焼成高
分子などの炭素系材料、SnM系酸化物(MはSi,G
e,Pbを表す。)、Si(1-y) M′y z (M′は
W,Sn,Pb,B等を表す。)の複合酸化物、酸化チ
タン、酸化鉄などの金属酸化物のリチウム固溶体、Li
7 MnN4 、Li 3 FeN2 、Li(3-x) Cox N、L
(3-x) NiN、Li(3-x) Cux N、Li3 BN2
Li3 AlN2 、Li3 SiN3 の窒化物などのセラミ
ックス等が挙げられる。
【0028】ポリマー電池の正極および負極は、所定の
活物質材料を所定形状に加工することにより形成され
る。この加工形態としては連続体、または活物質粒子が
バインダーで結着された活物質層を有する構造等が挙げ
られる。連続体の加工方法としては、電解析出法、電解
溶解法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、溶融加
工法、焼結成形法、および圧縮成形法等が挙げられる。
【0029】活物質層は、例えば、粉末状の活物質をバ
インダーおよび有機溶媒と混合したものをシート状に塗
布し、溶媒を乾燥させることにより得ることができる。
バインダーとしては、ポリビニリデンフロライド、ポリ
(ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフロライド)
共重合体などポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリテトラ
フルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、スチレン−ブ
タジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体
等の炭化水素系ポリマー等が用いられる。また、活物質
層は、電気抵抗の低い材料からなる集電体上に形成して
もよい。
【0030】加熱プレスの方法としては、平板プレス
法、ロールラミネーション法等が挙げられる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 [実施例1]ゲル状高分子固体電解質膜の作製は、以下
のようにして行った。
【0032】先ず、高分子固体電解質をなす有機高分子
化合物として、ヘキサフルオロプロピレンを5重量%含
有するポリ(ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロ
プロピレン)樹脂を用意した。また、高分子固体電解質
をなす電解液を以下のようにして調合した。先ず、エチ
レンカーボネート(EC)1体積部、プロピレンカーボ
ネート(PC)1体積部、およびガンマブチロラクタム
(γ−BL)2体積部を混合し、次に、この混合溶媒に
LiBF4 を溶解させて、LiBF4 濃度が1.5mo
l/lである電解液を得た。
【0033】次に、前記樹脂を加熱押し出し成形するこ
とにより、膜厚80μmのシートを得た。このシートを
活栓付容器内に入れた後、この容器内に前記電解液をシ
ート全体が電解液に浸るまで入れた。この状態で容器内
の温度を100℃に保持し、シートに対する電解液の含
浸を2時間行った。これにより、バルク構造のポリ(ビ
ニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン)シ
ートに、電解液がゲル化により一体化された高分子固体
電解質が得られた。
【0034】正極は以下のようにして作製した。平均粒
径10μm のコバルト酸リチウム(LiCoO2 )の粉
末とカーボンブラックを、ポリビニリデンフロライドの
N−メチルピロリドン溶液(ポリビニリデンフロライド
濃度5重量%)に均一に分散させることにより、乾燥重
量混合比でコバルト酸リチウムを85%、カーボンブラ
ックを8%、バインダーであるポリビニリデンフロライ
ドを7%含有するスラリーを得た。このスラリーをアル
ミニウムシート上にドクターブレードを用いて塗布した
後、乾燥させることにより、集電体上に膜厚115μm
の活物質層が形成された正極を得た。
【0035】負極は以下のようにして作製した。平均粒
径12μm のニードルコークス粉末を、ポリビニリデン
フロライドのN−メチルピロリドン溶液(ポリビニリデ
ンフロライド濃度5重量%)に均一に分散させることに
より、乾燥重量混合比でニードルコークスを92%、バ
インダーであるポリビニリデンフロライドを8%含有す
るスラリーを得た。このスラリーを、銅シート上にドク
ターブレードを用いて塗布した後、乾燥させることによ
り、集電体上に膜厚125μm の活物質層が形成された
負極を得た。
【0036】このようにして作製した高分子固体電解質
膜、正極、および負極をそれぞれ7cm×9cmの大き
さに切り出した。切り出した高分子固体電解質の重量は
1.5gであった。高分子固体電解質に含浸させたもの
と同じ電解液を、正極および負極の活物質層面に0.6
g(高分子固体電解質の重量の40%)ずつ塗布した
後、高分子固体電解質を正極と負極との間に挟んで、理
研精機社製のハンドプレス機により100℃、20kg
f/cm2 の条件で加熱プレスを行った。これにより、
正極と負極との間に高分子固体電解質が接合された積層
体を得た。この積層体の両極にステンレス製の端子を固
定することによりポリマー電池を得た。
【0037】このようにして得られたポリマー電池を充
放電機(北斗電工101SM型充放電試験機)に接続し
て、充放電サイクル試験を行った。充電は、電流密度1
mA/cm2 で上限電圧4.2Vの定電流充電を行い、
4.2Vに達した後は定電位充電を行うことにより、1
サイクルの充電時間を8時間とした。放電は、電流密度
1mA/cm2 の定電流放電で電圧が2.7Vとなるま
で行った。
【0038】充電操作により4.2Vの電位収束が確認
された。また、放電および再充電による繰り返し充放電
が可能であることも確認された。初回充放電の電流効率
は79%であり、初回放電量の負極炭素重量に対する比
率は211mAh/gであった。300サイクル経過後
の放電容量保持率は75%であった。 [比較例1]加熱プレス前に正極および負極の活物質層
面に電解液を塗布しなかった。これ以外の点については
すべて実施例1と同じ方法でポリマー電池を作製した。
【0039】得られたポリマー電池に対して、実施例1
と同じ方法で充放電サイクル試験を行ったところ、初回
充放電の電流効率は78%であり、初回放電量の負極炭
素重量に対する比率は207mAh/gであったが、3
00サイクル経過後の放電容量保持率は40%にすぎな
かった。 [実施例2]先ず、ヘキサフルオロプロピレンを3重量
%含有するポリ(ビニリデンフルオライド−ヘキサフル
オロプロピレン)樹脂の粉末を、温度230℃で粉末成
形することにより、膜厚35μmのシートを得た。次
に、このシートに、フロンHFC134a(ダイキン工
業(株)製の「ダイフロン134a(商品名)」)を7
重量%の含有率となるように含浸させた後、このシート
を180℃で加熱した。これにより、このシートは独立
泡を有する白色発泡体(発泡倍率4倍)となり、その膜
厚は70μmとなった。
【0040】次に、このシートに対する電解液の含浸
を、実施例1と同じ電解液を用い、浸漬条件を80℃3
時間とした以外は実施例1と同様にして行った。これに
より、独立泡を有する多孔性構造のポリ(ビニリデンフ
ルオライド−ヘキサフルオロプロピレン)シートに、電
解液がゲル化により一体化された高分子固体電解質が得
られた。
【0041】次に、この高分子固体電解質を7cm×9
cmの大きさに切り出した。その重量は1.4gであっ
た。また、実施例1の方法で作製して同じ大きさに切り
出した正極および負極を用意した。この正極および負極
の活物質層面に、高分子固体電解質に含浸させたものと
同じ電解液を0.2g(高分子固体電解質の重量の14
%)ずつ塗布した。次に、この電解液が塗布された正極
および負極と、前述の切り出された高分子固体電解質と
を用い、実施例1と同じ方法でポリマー電池を作製し
た。
【0042】得られたポリマー電池に対して、実施例1
と同じ方法で充放電サイクル試験を行ったところ、初回
充放電の電流効率は80%であり、初回放電量の負極炭
素重量に対する比率は213mAh/gであった。30
0サイクル経過後の放電容量保持率は73%であった。 [実施例3]正極および負極の活物質層面にγ−BLを
それぞれ0.2gずつ塗布した後に加熱プレスを行った
以外は、実施例2と同じ方法でポリマー電池を作製し
た。
【0043】得られたポリマー電池に対して、実施例1
と同じ方法で充放電サイクル試験を行ったところ、初回
充放電の電流効率は80%であり、初回放電量の負極炭
素重量に対する比率は213mAh/gであった。30
0サイクル経過後の放電容量保持率は73%であった。 [比較例2]加熱プレス前に正極および負極の活物質層
面に電解液を塗布しなかった。これ以外の点については
すべて実施例2と同じ方法でポリマー電池を作製した。
【0044】得られたポリマー電池に対して、実施例1
と同じ方法で充放電サイクル試験を行ったところ、初回
充放電の電流効率は75%であり、初回放電量の負極炭
素重量に対する比率は199mAh/gであったが、3
00サイクル経過後の放電容量保持率は30%にすぎな
かった。
【0045】これらの結果から分かるように、高分子固
体電解質をなすシートを溶解させる液体を正極および負
極の活物質層面に塗布してから加熱プレスを行うことに
より、得られるポリマー電池の充放電サイクル特性が向
上する。
【0046】なお、高分子固体電解質をなすシートを溶
解させる液体を、正極および負極の活物質層面ではな
く、前記シートの両活物質層面との対向面に塗布した場
合にも前記実施例と同様の効果が得られる。また、前記
液体を、いずれか一方の電極の活物質層面と、前記シー
トの他方の電極の活物質層面との対向面に塗布した場合
も、前記実施例と同様の効果が得られる。また、高分子
固体電解質と正極および負極との対向面のいずれか一方
のみ、または正極および負極のいずれか一方の活物質層
面のみに前記液体を塗布する場合も本発明の方法に含ま
れ、この方法は、高分子固体電解質と電極との界面にお
ける接合状態に両極で大きな差がある場合等に適用され
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、充放電サイクル特性に優れたポリマー電池が得ら
れる。
【0048】特に、請求項2の方法によれば、接合工程
の際に高分子固体電解質の電解質濃度が低下しない効果
もある。特に、請求項3の方法によれば、イオン伝導度
が高く、電気化学的安定性にも優れたポリマー電池が得
られる。
【0049】特に、請求項4の方法によれば、機械的強
度とイオン伝導度の両方に優れたポリマー電池が得られ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極および負極の少なくとも一方として
    活物質粒子がバインダーで結着された活物質層を有する
    構造の電極を用い、高分子固体電解質を正極と負極との
    間に挟んで加熱プレスを行うことにより、正極と負極と
    の間に高分子固体電解質が接合された積層体を得る接合
    工程を行うポリマー電池の製造方法において、 前記活物質層の高分子固体電解質との対向面および/ま
    たは前記高分子固体電解質の活物質層との対向面に、当
    該高分子固体電解質をなす有機高分子化合物を溶解させ
    る液体を塗布した後に、加熱プレスを行うことを特徴と
    するポリマー電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機高分子化合物と電解液とがゲル化に
    より一体化された高分子固体電解質を用い、前記液体と
    して、当該高分子固体電解質に含まれる電解液を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載のポリマー電池の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 高分子固体電解質をなす有機高分子化合
    物はポリフッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とす
    る請求項1または2記載のポリマー電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 高分子固体電解質をなす有機高分子化合
    物は、独立泡および/または貫通孔を有する多孔性ポリ
    フッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする請求項
    1または2記載のポリマー電池の製造方法。
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