JPH11319440A - 空気浄化用濾材 - Google Patents

空気浄化用濾材

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JPH11319440A
JPH11319440A JP13566198A JP13566198A JPH11319440A JP H11319440 A JPH11319440 A JP H11319440A JP 13566198 A JP13566198 A JP 13566198A JP 13566198 A JP13566198 A JP 13566198A JP H11319440 A JPH11319440 A JP H11319440A
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JP
Japan
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fiber
fibers
fine particles
filter medium
air purification
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JP13566198A
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English (en)
Inventor
Seiji Tokuda
省二 徳田
Satoshi Takase
敏 高瀬
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、繊維の脱落がなく、形態保持性が
良好で、高風速下での異常な圧力損失の上昇のない、優
れた除塵性能を有する空気浄化用濾材を提供することを
目的とする。 【解決手段】 少なくとも2種の繊維が混合されてなる
繊維集合体からなる空気浄化用濾材であって、前記繊維
の少なくとも1種がフィルムスプリット型エレクトレッ
ト繊維であり、且つ、前記繊維の少なくとも1種が無機
微粒子を担持した繊維である空気浄化用濾材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物内に外気を取
り入れる際や室内空気を循環させながら空気調和を行う
際に使用されるエアフィルタや、自動車、列車等の車両
用や、家庭用、業務用の空気清浄機などに用いられるエ
アフィルタ用途に好適な空気浄化用濾材に関する。
【0002】
【従来技術】フィルムスプリット型エレクトレット繊維
を用いた濾材としては、例えば特公昭56−47299
号公報では、荷電されたスプリット繊維のみを集合した
濾材が開示されている。同公報の技術においては、濾材
の目付を増したり、高風速下で使用すると濾材の圧密化
が起こって異常な圧力損失の増大が起こる。さりとてこ
のような不都合を回避すべく濾材の嵩密度を小さくする
加工を施すと、繊維が脱落しやすいとか、取り扱い時の
形態保持性が著しく悪くなるという問題点があった。
【0003】一方、これらの点を改良した濾材として、
特開平7−251015号公報には、フィルムスプリッ
ト型エレクトレット繊維と熱融着性繊維を混合し熱融着
することによって形態保持された濾材が開示されてい
る。しかしながら、非エレクトレット繊維である熱融着
性繊維を混合すると、エレクトレット繊維のみで構成さ
れた濾材に比べて、どうしても目付あたりの除塵性能は
小さくなるという問題点があった。
【0004】以上の通り、フィルムスプリット型エレク
トレット繊維を用いた濾材であって、取り扱い時の形態
保持生と目付あたりの除塵性能が共に良好な濾材は得ら
れていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フィ
ルムスプリット型エレクトレット繊維を用いた空気浄化
用濾材において、形態保持性と除塵性能が共に優れた濾
材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、少なく
とも2種の繊維が混合されてなる繊維集合体からなる空
気浄化用濾材であって、前記繊維の少なくとも1種がフ
ィルムスプリット型エレクトレット繊維であり、且つ、
前記繊維の少なくとも1種が無機微粒子を担持した繊維
である空気浄化用濾材を提供するものである。
【0007】本発明の空気浄化用濾材の好ましい実施態
様は、前記無機微粒子がシリカ、チタニア、アルミナ、
シリカアルミナ、ゼオライトから選ばれた少なくとも1
種である。
【0008】本発明の空気浄化用濾材の好ましい実施態
様は、前記無機微粒子を担持した繊維が熱融着性繊維で
ある。
【0009】本発明の空気浄化用濾材の好ましい実施態
様は、前記繊維集合体が、前記フィルムスプリット型エ
レクトレット繊維と前記無機微粒子を担持した繊維とは
別に、熱融着性繊維を含むものである。
【0010】本発明の空気浄化用濾材の好ましい実施態
様は、前記繊維集合体を構成する繊維同士が融着されて
なるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の空気浄化用濾材は、少な
くとも2種の繊維が混合されてなる繊維集合体からなる
空気浄化用濾材であって、前記繊維の少なくとも1種が
フィルムスプリット型エレクトレット繊維であり、且
つ、前記繊維の少なくとも1種が無機微粒子を担持した
繊維であることが必要である。ここで言う繊維集合体と
は、少なくともフィルムスプリット型エレクトレット繊
維と無機微粒子を担持した繊維の2種類、もしくは、少
なくとも前記2種類の繊維に熱融着性繊維を加えた3種
類の繊維同士が、互いに混在し、近接し、交絡して形成
される繊維集合体を意味する。即ち、本発明の繊維集合
体は、種類の異なる繊維を種類別に簡単に分離すること
ができない程度に混合されたものであり、例えば、本発
明の繊維集合体から任意の大きさの繊維塊を抜き出して
赤外吸収を測定する場合には、どの部分を抜き出して
も、繊維集合体を構成する複数の種類の繊維成分に対応
するほぼ同じスペクトルが得られるものである。
【0012】本発明の空気浄化用濾材に用いられる無機
微粒子は、シリカ、チタニア、アルミナ、シリカアルミ
ナ、ゼオライトから選ばれた少なくとも1種であること
が好ましい。これらの無機微粒子は粉体の接触などによ
って強く帯電することが知られている。これはこれら無
機微粒子を構成元素であるSi−O,Ti−O,Al−
Oの誘電分極や、表面に存在するH+やOH−の移動
(酸・塩基的性質)によるものと言われている。これら
の無機微粒子はエレクトレット電荷が形成する電界中に
存在すると接触時と同じような機構で帯電が生じる。本
発明は、これらの本来帯電特性の強い無機微粒子を繊維
に担持し、これをフィルムスプリット型エレクトレット
繊維が形成する電界中に置くことで、繊維上の無機微粒
子が帯電することを利用した空気浄化用濾材である。本
発明ではフィルムスプリット型エレクトレット繊維の有
するエレクトレット電荷に加えて、無機微粒子の帯電電
荷も粒子捕集に寄与するため、無機微粒子を担持しない
場合に比べて、除塵性能が大きくなるという利点があ
る。
【0013】本発明の空気浄化用濾材は、前記無機微粒
子を担持した繊維が熱融着性繊維であれば好ましい。即
ち、無機微粒子を担持した繊維が熱融着性を有し、これ
がエレクトレット繊維と混合され、融着されておればよ
り好ましい。余分な繊維を含まない分だけエレクトレッ
ト繊維と無機微粒子の間の距離が小さくなるため、無機
微粒子がより強く帯電して除塵性能が大きくなる。加え
て圧力損失を最小限にできるという利点がある。
【0014】本発明の空気浄化用濾材は、前記繊維集合
体が、前記フィルムスプリット型エレクトレット繊維と
無機微粒子を担持した繊維とは別に、熱融着繊維を含む
ことが好ましい。第3成分として熱融着性繊維を加える
ことにより、濾材を構成する繊維同士の融着がより補強
されるからである。
【0015】本発明の空気浄化用濾材は、前記繊維集合
体が融着されてなることが好ましい。熱融着性繊維によ
り濾材を構成する繊維同士を融着することにより、繊維
集合体を構成する繊維の脱落を防止でき、また融着によ
り濾材中の繊維の三次元的な配置が固定されるため、取
扱い時の形態保持性に優れ、また高風速下での形態変化
や異常な圧力損失の増大が抑制されることとなる。
【0016】本発明の空気浄化用濾材に用いられる熱融
着性繊維とは、加熱によって溶融する成分を含んだ繊維
をいう。熱融着成分としてはポリエチレン、変性ポリエ
チレン、共重合ポリエステル、共重合ナイロン、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体などがある。これらの繊維は単一
の融着成分から成っていてもよいが、多成分から成って
いてもよい。多成分から成る熱融着性繊維としては、シ
ースコア構造やサイドバイサイド構造がある。例えば、
シースコア構造でシース材料にコア材料よりも低融点融
着成分を用いて、両成分の融点の中間の温度で処理する
と、シース部分だけが溶融しコアの繊維はそのままの形
状で保持される。
【0017】上記のような熱融着性繊維を用いて濾材構
成繊維を融着させると、まず従来のフィルムスプリット
型エレクトレット繊維のみで構成される濾材において顕
著であった繊維の脱落が防止できる。また融着材料によ
って濾材構成繊維の三次元的な配置がかなり固定される
ため、取扱い時の形態保持性に優れ、また高風速下での
異常な圧力損失の増大が抑制される。
【0018】本発明において、無機微粒子を繊維に担持
する方法は、無機微粒子の分散液と樹脂バインダーを適
当な比率で混合し、繊維表面にコーティングあるいはス
プレーなどの方法で塗布した後乾燥する方法がある。樹
脂バインダーとしては担体となる繊維の材料によってそ
れぞれ適したバインダーがあるため限定することはでき
ないが、例えばポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、
エポキシ系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、
および有機シリコン系樹脂などが挙げられる。
【0019】本発明において、無機微粒子を熱融着性繊
維に担持する場合には、無機微粒子を繊維表面に塗布し
た後、熱融着成分の融点以上で熱処理することにより、
熱融着成分がバインダーとなって、無機微粒子を極めて
強固に繊維表面に担持できるという利点がある。さらに
この場合には、上記の樹脂バインダー量を極めて少なく
することが可能である。このような方法では、熱融着性
繊維の表面に無機微粒子が繊維のほぼ全体的あるいは局
部的に担持された構造となるが、これが上記の繊維の融
着性および濾材構成繊維の三次元的配置の固定化には何
ら悪影響を及ぼすことはない。
【0020】本発明の空気浄化用濾材に用いられる無機
微粒子の粒径は一次粒子として5μm以下、好ましくは
3μm以下である。粒径が5μmを越える場合には、分
散性が悪い、繊維からの脱落が大きいなどの問題があ
る。これらの一次粒子は繊維表面に独立して個々に担持
されていることが好ましいが、凝集した二次粒子として
担持されていてもさしつかえない。
【0021】本発明の空気浄化用濾材に用いられる無機
微粒子の担持量は、無機微粒子を担持する繊維の繊維重
量に対して5〜30重量%が好ましい。担持量が5%未
満の場合には、除塵性能への効果が小さく、また担持量
が30%を越える場合には、繊維からの脱落が大きくな
る。
【0022】本発明の空気浄化用濾材に用いられるフィ
ルムスプリット型エレクトレット繊維の原料樹脂は、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−4
−メチル−1−ペンテン、ポリ−3−メチル−1−ブテ
ンなどがある。これらの樹脂から溶融押し出しによりキ
ャストフィルムを作製し、次いで5〜10倍に一軸延伸
して延伸フィルムを得る。その後これを荷電工程にてエ
レクトレット化し、次いで開繊カッターで微細に割繊し
てフィルムスプリット型エレクトレット繊維を得ること
ができる。具体的なエレクトレット化の方法にはコロナ
放電による荷電、電子線照射による荷電、高電界下にお
ける荷電などが挙げられる。スプリット繊維の幅は数μ
mから数100μmであり、その分布は特に限定するも
のではないが、好ましい範囲を例示すると40〜100
μmである。また該エレクトレットフィルムの厚さは3
〜30μmが好適である。
【0023】本発明の空気浄化用濾材に用いられるフィ
ルムスプリット型エレクトレット繊維は120℃の雰囲
気温度において、初期表面電荷密度の値に対して70%
以上の保持率で表面電荷密度を維持していることが望ま
しい。なぜなら、熱融着性繊維の融着成分を熱で溶融さ
せ、繊維間を結合、固定化した後にも、十分な捕集効率
を有していることが必須であるためである。このため、
エレクトレットフィルムの原料樹脂には、エレクトレッ
ト耐熱性を付与するため、添加剤を用いることが好まし
い。
【0024】本発明の空気浄化用濾材に用いられるエレ
クトレット耐熱性を付与するための添加剤としては、リ
ン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ソデ
ィウム2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブ
チルフェニル)ホスフェートのごとき樹脂改質剤や、ト
リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチ
ル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、1,1ビス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−
5’−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2−チオ−ジ
エチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス
[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメ
チルエチル]−2,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリトールジホスファイト、エチリデンビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファ
イト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイトのごとき抗酸化剤や、3−(N−サリチロイ
ル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカンジカル
ボン酸ジサリチロイルヒドラジドのごとき重金属不活性
剤や、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N
−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ビス
(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェ
ニル)メタン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテト
ラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチ
ル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン]ジエチル(混合)−1,2,
3,4−ブタンテトラカルボキシレートのごとき光安定
剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニ
ウム、ラウリン酸アルミニウムのごとき脂肪酸金属塩な
どが挙げられる。これらの添加量は、添加剤の種類によ
っても異なるが、原料樹脂に対して0.05〜5重量%
が好適である。
【0025】本発明の空気浄化用濾材を構成する繊維集
合体は、一般的な不織布製造設備で作製し得る。フィル
ムスプリット型エレクトレット繊維と無機微粒子を担持
した繊維、および熱融着性繊維の混合は、開綿機や梳綿
機などで行われる。梳綿機から流出されたフリースは、
そのままニードルパンチ加工や熱処理加工により濾材と
することができる。
【0026】本発明の空気浄化用濾材を構成する繊維集
合体には、前記のフィルムスプリット型エレクトレット
繊維と、無機微粒子を担持した繊維および熱融着性繊維
の他にも、抗菌繊維や消臭繊維および補強繊維など他の
機能を有する繊維を混合することも可能である。
【0027】上記の抗菌繊維とは、その表面あるいは内
部に抗菌剤を保持した繊維である。抗菌剤としては、無
機系、有機系や天然系の各種抗菌剤が用途や目的に応じ
て単独あるいは複合して使用できる。無機系抗菌剤とし
ては銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンを含有したものが
好ましい。また酸化チタンなど、特定の波長領域の紫外
光を受けて強い殺菌作用が発現する光半導体も、その活
性が十分に発現する条件下で使用する場合においては好
適である。有機系抗菌剤としては第4級アンモニウムイ
オンを含有するものが好ましい。繊維に抗菌剤を保持さ
せる方法は特に限定されないが、含浸加工、添着加工、
スプレー加工などにより繊維表面に担持する方法、繊維
製造段階で原料樹脂に練り込む方法、抗菌性を有するイ
オンをイオン交換で導入する方法などがある。
【0028】上記の消臭繊維としては、(1)多孔質無
機物を原料樹脂に練り込んで繊維化したものや、繊維表
面に担持したもの、(2)特定の臭気成分との反応性を
有する官能基を、共重合やグラフト重合、あるいは薬剤
加工などにより繊維表面に導入したもの、(3)前記官
能基にさらに遷移金属を付与したもの、(4)金属錯体
などの消臭剤を繊維中に含有させたもの、(5)酸化チ
タンなどの光半導体を繊維中に含有させたものなどが挙
げられる。
【0029】本発明の空気浄化用濾材を使用する環境に
おいて、特定の波長を有する紫外光が十分な強度照射さ
れ得る場合には、無機微粒子として光半導体である酸化
チタン微粒子を使用することは有効である。除塵性能の
向上とともに、その触媒作用によって悪臭成分の分解や
細菌・かびなどの殺菌が同時に可能となるからである。
【0030】また、本発明の空気浄化用濾材を構成する
繊維集合体をスパンボンド、湿式不織布、乾式不織布、
ネットなどの補強材シートや、活性炭シート、活性炭素
繊維シートなどの脱臭材シート、抗菌材シートなどと貼
り合わせてもよい。
【0031】本発明の空気浄化用濾材を構成する繊維集
合体における繊維の混合比は、特に限定されるものでは
なく、所望の除塵性能や濾材剛性の他、消臭性能、抗菌
性能などの機能によって種々の混合比を設定することが
できる。しかしながら、除塵性能の観点からエレクトレ
ット繊維が全繊維のうち少なくとも10%以上含まれて
いることが好ましい。
【0032】本発明の空気浄化用濾材を構成する繊維集
合体は、熱カレンダーロール、熱エンボスロール、熱風
オーブン、エアースルーオーブンなどにより加熱処理さ
れることが好ましい。かかる加熱処理により、熱融着性
繊維を介して各繊維が相互に融着され、繊維脱落のない
濾材が得られる。この際の加熱温度は、各繊維の素材に
よって異なるが、例えばエレクトレット繊維がポリプロ
ピレン樹脂を原料とするものである場合、100〜14
0℃が好ましく、より好ましくは110〜120℃であ
る。また成形温度に合わせて熱融着性繊維を選定するこ
ともできる。
【0033】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】まず、本実施例で得た空気浄化用濾材の試
験方法を以下に記す。
【0035】(大気塵除去性能)直径47mmの円板状
の空気浄化用濾材を濾過面積12.5cm2 のステンレ
ス製フィルタホルダーに装着した。該フィルタホルダー
には濾材の上流側と下流側にサンプリング管が取り付け
られており、空気をサンプリングしてパーティクルカウ
ンターKC−01(リオン製)で粒子個数濃度が測定で
きるようにした。フィルタホルダーの下流側に真空ポン
プに接続し、濾材に通過風速10cm/秒で空気を導入
しつつ濾材の上流側の0.3μm直径の粒子個数濃度
(Cin)と下流側の0.3μm直径の粒子個数濃度
(Cout)を計測し、次式から粒子捕集効率η1を求
めた。この値が大きいほど大気塵除去性能が優れた濾材
と言える。
【0036】 η1=(Cin−Cout)/Cin×100(%) 但し、η1:大気塵粒子捕集効率 Cin:濾材の上流側の0.3μm直径の粒子個数濃度 Cout:濾材の下流側の0.3μm直径の粒子個数濃
【0037】(圧力損失)直径47mmの円板状の空気
浄化用濾材を濾過面積12.5cm2 のステンレス製フ
ィルタホルダーに装着し、その下流側に真空ポンプに接
続し、濾材に空気を導入しつつ、その上流側と下流側の
圧力損失をマノスターゲージにより測定した。濾材通過
風速は10cm/秒および100cm/秒の2水準で測
定した。
【0038】(繊維脱落性)20cm角の空気浄化用濾
材試料を黒色紙の上に置き、これに重さ100gの20
cm角の板を10cmの高さから3回繰り返して落下さ
せた。その後、濾材試料から黒色紙上に脱落した繊維の
本数を目視にて計測した。評価は、同一の濾材について
4つの試料で行い、その平均値を四捨五入して脱落繊維
本数とした。
【0039】(たばこ煙粒子除去性能)閉鎖循環型の評
価装置として、30cm角のアクリル製ボックス、濾過
面積12.5cm2 のステンレス製フィルタホルダー、
デジタル粉塵計P−5H(柴田科学器械工業製)および
ダイアフラムポンプをこの順序で接続し、アクリル製ボ
ックス内で燃焼させたたばこ煙をフィルタホルダーに装
着した空気浄化用濾材に負荷させた。評価装置の概略を
第1図に示した。詳しくは、密閉したアクリル製ボック
ス内でマイルドセブンを燃焼させ、約1000cpmに
粒子濃度を調整した後、直径47mmの円板状の空気浄
化用濾材をフィルタホルダーに装着し、濾材通過風速1
0cm/秒で10分間循環さた。循環中のたばこ煙粒子
濃度はデジタル粉塵計で経時的に計測され、空気浄化用
濾材を装着しない場合のたばこ煙粒子濃度の減衰率(C
1/C01)と、空気浄化用濾材を装着した場合のたば
こ煙粒子濃度の減衰率(C2/C02)から、それぞれ
の空気浄化用濾材のたばこ煙粒子除去効率η2を次式に
より算出した。
【0040】η2=−V/Qt{ln(C2/C02)
−ln(C1/C01)}×100(%) 但し、η2:たばこ煙粒子除去効率 V:循環型評価装置の容積 Q:濾材の通過風量 t:循環時間 C1:空気浄化用濾材を装着しない場合の初期たばこ煙
粒子濃度 C01:空気浄化用濾材を装着しない場合の時間t後の
残存たばこ煙粒子濃度 C2:空気浄化用濾材を装着した場合の初期たばこ煙粒
子濃度 C02:空気浄化用濾材を装着しした場合の時間t後の
残存たばこ煙粒子濃度
【0041】(たばこ消臭性)上記と同様の閉鎖循環型
装置を用いて、濾材試料にマイルドセブン1/4本分の
たばこ煙を濾材通過風速10cm/秒で10分間循環し
て負荷させた。負荷後の濾材試料をフィルタホルダーか
ら取り出し、清浄空気(相対湿度約20%)2リットル
とともにテドラーバッグに封入し、これに波長365n
mの紫外線強度が約0.5mW/cm2 となるようにブ
ラックライトを1時間照射した。その後テドラーバッグ
内の空気の臭いを官能法で評価した。評価は、あらかじ
め臭覚異常者を除いた男女10名をパネラーとして6段
階臭気強度表示法にて実施した。
【0042】(実施例1)融点が110℃で油剤付着量
が1%である共重合ポリエステル熱融着性繊維(8デニ
ール)に、コロイド状シリカとポリウレタン系バインダ
ーを混合した分散体(固形分重量比が5:1)をスプレ
ー塗布し、これを115℃で1分間熱処理してシリカ担
持熱融着性繊維(A)を得た。これを厚さ8μm、平均
スプリット幅80μmのポリプロピレン製(ステアリン
酸アルミニウム0.3wt%配合)フィルムスプリット
型エレクトレット繊維(B)とA/Bの混合比として5
0/50で開綿機と梳綿機で混合して目付61g/m2
のシート状繊維集合体を作製した。得られた繊維集合体
を115℃のエアースルーオーブンで1分間熱処理し、
実施例1の空気浄化用濾材を得た。
【0043】(実施例2)実施例1と同様のシリカ担持
熱融着性繊維(A)およびフィルムスプリット型エレク
トレット繊維(B)を用いて、A/Bの混合比として7
5/25で開綿機と梳綿機で混合して目付120g/m
2 のシート状繊維集合体を作製した。得られた繊維集合
体を115℃のエアースルーオーブンで1分間熱処理
し、実施例2の空気浄化用濾材を得た。
【0044】(実施例3)実施例1と同様のシリカ担持
熱融着性繊維(A)およびフィルムスプリット型エレク
トレット繊維(B)を用いて、A/Bの混合比として8
5/15で開綿機と梳綿機で混合して目付200g/m
2 のシート状繊維集合体を作製した。得られた繊維集合
体を115℃のエアースルーオーブンで1分間熱処理
し、実施例3の空気浄化用濾材を得た。
【0045】(実施例4)実施例1と同様の熱融着性繊
維とバインダー、および無機微粒子としてコロイド状シ
リカに代わりにアルミナゾル用いて、実施例1と同様の
方法でアルミナ担持熱融着性繊維(A)を得た。これを
実施例1と同様のフィルムスプリット型エレクトレット
繊維(B)とA/Bの混合比を75/25として、同様
の方法で混合、熱処理し、目付115g/m2 の実施例
3の空気浄化用濾材を得た。
【0046】(実施例5)実施例1と同様の熱融着性繊
維に石原産業(株)製光触媒酸化チタンコーティング剤
ST−K03をスプレー塗布し、その後これを115℃
で1分間熱処理してチタニア担持熱融着性繊維(A)を
得た。これを実施例1と同様のフィルムスプリット型エ
レクトレット繊維(B)とA/Bの混合比を75/25
として、同様の方法で混合、熱処理し、目付119g/
2 の実施例4の空気浄化用濾材を得た。
【0047】(比較例1)実施例1と同様の熱融着性繊
維(A)、フィルムスプリット型エレクトレット繊維
(B)を用い、熱融着性繊維に無機微粒子を担持しない
こと以外は、実施例1と全く同様にして比較例1の空気
浄化用濾材を作製した。A/Bの混合比は50/50と
し、目付は60g/m2 とした。
【0048】(比較例2)実施例1と同様の熱融着性繊
維(A)、フィルムスプリット型エレクトレット繊維
(B)を用い、熱融着性繊維に無機微粒子を担持しない
こと以外は、実施例1と全く同様にして比較例2の空気
浄化用濾材を作製した。A/Bの混合比は75/25と
し、目付は118g/m2 とした。
【0049】(比較例3)実施例1と同様のシリカ担持
熱融着性繊維から開綿機と梳綿機により目付50g/m
2 のシート状フリース(A)を作製した。また、これと
は別に実施例1と同様のフィルムスプリット型エレクト
レット繊維から開綿機と梳綿機により目付50g/m2
のシート状フリース(B)を作製した。フリース(A)
とフリース(B)を、(A)が濾材の上流側になるよう
に積層し、ニードルパンチ加工した後115℃のエアー
スルーオーブンで1分間熱処理し、比較例3の濾材を得
た。
【0050】これらの空気浄化用濾材について、先に述
べた方法により、大気塵除去性能、圧力損失、および繊
維脱落性の試験を実施した。それぞれの結果を第1表に
示す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例1〜5の空気浄化用濾材は、無機微
粒子を担持した熱融着性繊維とフィルムスプリット型エ
レクトレット繊維が混合されているため、大気塵除去性
能が大きい。また熱融着性繊維により、繊維集合体を形
成する各繊維の三次元的配置が嵩高な状態で固定化され
ているため圧力損失が小さく、また繊維脱落がない。特
に高風速下においても力損失の異常な上昇がない。
【0053】比較例1〜2の空気浄化用濾材は、無機微
粒子を担持していないため、実施例に比べて大気塵除去
性能が小さい。
【0054】比較例3の空気浄化用濾材は、無機微粒子
を担持した繊維を含有しているが、フィルムスプリット
型エレクトレット繊維層と積層されたのみで、繊維レベ
ルで混合されていない。そのため無機微粒子がエレクト
レット繊維が形成する電界によって帯電されず、大気塵
除去効率の向上に寄与しない。またエレクトレット繊維
層は繊維の三次元的配置が固定化されていないため繊維
脱落を生じ、さらに通気時に濾材の圧密化が起こって圧
力損失が大きくなる。
【0055】次に実施例5および比較例2の空気浄化用
濾材について、たばこ煙粒子除去性能およびたばこ消臭
特性の評価を実施した。たばこ煙粒子除去効率は実施例
4で98%、比較例2で86%であり大気塵除去性能の
評価結果と同様の傾向が認められた。
【0056】たばこ消臭性の官能法による評価結果を第
2図に示した。実施例5の空気浄化用濾材では、臭いを
全く感じないパネラーおよびかすかな臭いしか感じない
パネラーが10人中8人であった。これに対して比較例
2の空気浄化用濾材では強度の差はあるが全員のパネラ
ーが臭いを感じており、10人中3人までが強い臭いと
感じた。この結果より、実施例5の空気浄化用濾材には
たばこ消臭能があると言える。
【0057】
【発明の効果】以上のように、無機微粒子を担持した繊
維とフィルムスプリット型エレクトレット繊維が混合さ
れた空気浄化用濾材であることから、繊維上の無機微粒
子の帯電電荷も粒子捕集に寄与するため除塵性能が優れ
る。さらに熱融着性繊維によって濾材構成繊維の三次元
的な配置がかなり固定されるため繊維の脱落がなく形態
保持性が良好で、高風速下での異常な圧力損失の上昇の
ない空気浄化用濾材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 たばこ煙粒子除去性能の評価装置である。
【図2】 たばこ消臭性の官能法による評価結果であ
る。
【符号の説明】
1:30cm角アクリル性ボックス 2:デジタル粉塵計P−5H 3:空気浄化用濾材 4:ステンレス製フィルタホルダー 5:ダイアフラムポンプ 6:ファン 7:たばこ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種の繊維が混合されてなる
    繊維集合体からなる空気浄化用濾材であって、前記繊維
    の少なくとも1種がフィルムスプリット型エレクトレッ
    ト繊維であり、且つ、前記繊維の少なくとも1種が無機
    微粒子を担持した繊維であることを特徴とする空気浄化
    用濾材。
  2. 【請求項2】 前記無機微粒子がシリカ、チタニア、ア
    ルミナ、シリカアルミナ、ゼオライトから選ばれる少な
    くとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の空
    気浄化用濾材。
  3. 【請求項3】 前記無機微粒子を担持した繊維が熱融着
    性繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    空気浄化用濾材。
  4. 【請求項4】 前記繊維集合体が、前記フィルムスプリ
    ット型エレクトレット繊維と前記無機微粒子を担持した
    繊維とは別に、熱融着性繊維を含むことを特徴とする請
    求項1乃至3に記載の空気浄化用濾材。
  5. 【請求項5】 前記繊維集合体が融着されてなることを
    特徴とする請求項1乃至4に記載の空気浄化用濾材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014518339A (ja) * 2011-06-30 2014-07-28 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 不織布エレクトレット繊維ウェブ及びその製造方法
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