JP4235753B2 - 空気清浄用フィルタ濾材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用途、家庭用途、各種空調用途に使用される空気清浄用フィルタ濾材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、室内で発生するハウスダスト、花粉等の数十ミクロンオーダーの粒子に対する除去やタバコ煙を初め、ディーゼル自動車等から排出されるサブミクロンオーダーの微粒子及びスパイク粉塵等の粗塵に対する除去の要望が、特に、健康上の問題から大きくクローズアップされている。
【0003】
これらの要望に対する濾材としてエレクトレット繊維の静電気力を利用したフィルタがすでに公知でありクトレット繊維単体では実用強度的に弱いため何らかの補強材を組合わせて一体化し濾材強度を向上させて使用するのが一般的である。その場合、補強材として、エレクトレットフィルタ濾材の特徴を最大限に活かすため、多孔性の補強シートを用いるのが一般的である。
【0004】
ところで、近年、これらのフィルタ濾材の安全性の観点から難燃性フィルタ濾材の関心が高まっている。例えば、自動車用空気清浄フィルタ濾材には、JISD1201で規定される難燃性の付与の要求が求められる。
このため、フィルタ濾材の難燃性付与に関しても、下記の通り種々の検討がなされている。
【0005】
例えば、実開平7−9415、実開昭57−119720には難燃剤及び/又は難燃繊維を混入加工した補強用シート状不織布とエレクトレット化不織布を積層したものが開示されているが、補強用シート部もエレクトレット部も不織布であるため、濾材全体の嵩密度が高く、粉塵負荷による急激な目詰まりがおこり、フィルタ寿命が短いという問題があった。
【0006】
また、特開平5−31310、特開昭51−134475では、エレクトレット繊維と難燃性補強シートを積層したものが開示されているが、エレクトレット繊維に極細繊維を使用しているため、嵩高濾材にすることが難しく長期間の粉塵負荷に対して良好な濾過性能を十分発揮できるものではなかった。
【0007】
さらに、特開平6−198108、特開平6−205915にはフィルタの難燃構成材に無機繊維を使用したものが開示されているが、無機材料がガラス繊維や金属繊維であるため、容易に焼却廃棄ができないという問題があった。
【0008】
上記で説明したように、難燃性、易焼却性を有し、且つ、優れた濾過性能を有する濾過材は、存在しないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点に着目して鋭意検討した結果、LOI値が23〜80の難燃性の多孔性補強シートをフィルタ骨材として用いることにより、エレクトレット繊維を含むフィルタ濾材全体が遅燃性又は自消性でありながら、廃棄時に焼却可能となることを見い出した。
【0010】
また、上記のフィルタ濾材において、多孔性補強シート材の開孔率を50〜95%とすることにより、フィルタ濾材の低圧損化、長寿命化を実現することが可能であること、フィルムスプリット型エレクトレット繊維の繊維充填密度を0.01〜0.07cc/ccとすることにより、粉塵等の捕集効率を向上させることが可能であることを見い出した。
【0011】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、濾材全体で難燃性を有しつつも容易に焼却廃棄が可能であり、低圧力損失ながら、サブミクロンオーダーの粒子や粗塵に対して高い捕集効率及び粉塵保持性を有する、安価で実用性に優れたフィルタ濾材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、フィルムスプリット型のエレクトレット繊維と多孔性補強シートを含む空気清浄用フィルタ濾材であって、前記フィルムスプリット型のエレクトレット繊維の充填密度が0.01〜0.07cc/ccであり、且つ、前記多孔性補強シートのJISD1201で規定されるLOI値が23〜80である空気清浄用フィルタ濾材を提供するものである。
【0013】
本発明の空気清浄用フィルタ濾材の好ましい実施態様は、JISD1201で規定される水平燃焼試験での評価が遅燃性又は自消性である。
【0014】
本発明の空気清浄用フィルタ濾材の好ましい実施態様は、前記多孔性補強シートの開口率が50%〜95%である。
【0015】
本発明の空気清浄用フィルタ濾材の好ましい実施態様は、JIS15種の粉塵保持量が70g/m2 以上である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる多孔性補強シートの素材は、合成樹脂、半合成樹脂、再生樹脂等が上げられるが、特に限定されるものではない。
合成樹脂の素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ビニロン、ポリクラール、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。半合成樹脂の素材としては、例えば、アセテート、プロミックス等が挙げられる。
再生樹脂としては、例えば、レーヨン、キュプラ等が挙げられる。
本発明においては、これらの素材を単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明で用いられる多孔性補強シートは、JISD1201で規定されるLOI値が23〜80であることが必要である。LOI値が23より小さい場合には、本発明の濾材全体での難燃性が低下し、LOI値が80を越える場合には、使用後の濾材を廃棄する際の焼却が困難となるため好ましくない。
【0018】
なお、ここでいうLOI値とは酸素と窒素を含む混合ガスの温度が20〜25℃の状態で資材が燃焼をつづけるのに必要な酸素と窒素の混合気体中の容積百分率であらわした最小酸素濃度のことであり、以下の式で計算される。
LOI値(%)=(酸素濃度)/(酸素濃度+窒素濃度)×100
【0019】
本発明で用いられる多孔性補強シートは、補強材の素材自体が必ずしも上記の範囲のLOI値を有している必要はない。
むしろ、上記に列記した補強材の素材自体はLOI値が23以下の素材である場合も多く、かような易燃焼性の素材の場合には、難燃剤を付加して用いてもよい。
【0020】
難燃剤を付加する方法としては、フィラメント製造の紡糸の段階で難燃剤を練り込む方法、紡糸後に難燃剤を添加する方法、バインダーを使用して強固に難燃剤を付着させる方法、あるいは、補強繊維を多孔性のシート状にした後、難燃剤を前述の処方で添加するなど各種の方法を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。
最終的に、JISD1201で規定されるLOI値が23〜80になれば、如何なる方法でもよい。
【0021】
本発明に用いられる多孔性補強シートの形状は、特に制限されるものではなく、例えば織物状、ネット状、編み物状等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる多孔性補強シートの開口率は、50%〜95%であることが好ましい。開孔率が50%未満では圧力損失が高くなり、粉塵負荷による目詰まりが起こり易く、開孔率が95%を越える場合にはフィルターとしての実用強度が不十分となる。
【0023】
なお、ここでいう開口率とは以下の式で定義されるものである。
開孔率(%)=(A−B)/A×100
但し、A:多孔性補強材の全面積
B:多孔性補強材の開口部面積
【0024】
本発明に用いられる多孔性補強材の濾材中での存在様式は、特に限定されるものではないが、例えばエレクトレット繊維層(A層)と補強繊維層(B層)が別々の層として存在するいわゆる2層又は多層型の濾材としては、A層−B層の2層型濾材、A層−B層−A層やB層−A層−B層の3層型濾材、さらに多層型の濾材等が挙げられる。
上記での濾材形成時の積層法も特に限定されるものではないが、ニードルパンチ加工、エアーパンチ加工、熱融着加工、あるいは単なる重ね合わせ等が挙げられる。
【0025】
本発明に用いられるフィルムスプリット型のエレクトレット繊維の素材は、特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、シンジオタクチックポリスチレンなどのポリオレフィン系ポリマー、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのα−ポリオレフィン系ポリマー、テフロン等のフッ素系ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられる。
【0026】
本発明に用いられるフィルムスプリット型エレクトレット繊維の製造方法は何等限定されるものではないが、例えば上記の樹脂から溶融押出しによりキャストフィルムを作製し、次いでこのフィルムを5〜10倍に縦あるいは横方向に延伸することにより延伸フィルムを形成する。その後、荷電によりエレクトレットフィルムとし、開繊カッターでスプリットして繊維とすれば、エレクトレットスプリット繊維が得られる。延伸フィルムのエレクトレット化はコロナ放電、電界放電、電子線照射、摩擦帯電などの荷電法によって行うことができ、又これらの荷電法を組み合わせてもよい。
上記以外にもエレクトレットフィルムからスプリット繊維を作るスプリット法には、針式カッター、ねじ式カッター、ブレード式カッターなどによりフィルムをスプリットする方法等が用いられる。
【0027】
本発明に用いられるフィルムスプリット型のエレクトレット繊維の平均スプリット幅は、10μm〜500μm、より好ましくは20μm〜300μm、最も好ましくは40μm〜200μmである。なお、エレクトレットフィルムの厚さは3μm〜30μmが好ましい。エレクトレットスプリット繊維の表面電荷密度はルースの式で示される最大表面電荷密度を有することが好ましいが、それに限定されるものではない。
【0028】
本発明に用いられるフィルムスプリット型エレクトレット繊維の充填密度は、0.01〜0.07cc/ccであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.07cc/ccである。0.01cc/cc未満であれば、粉塵保持量が低くなり、0.07cc/ccを越える場合には、粉塵負荷による圧力損失の急上昇が生じるため好ましくない。
【0029】
なお、上記の充填密度とは、フィルムスプリット型エレクトレット繊維層での繊維充填密度をいい、下記の式で計算される値である。
繊維充填密度(cc/cc) =(W×10-4)/(T×ρ)
但し、W:繊維層の目付(g/m2)
T:繊維層の厚さ(cm)
ρ:繊維の密度(g/cc)
【0030】
本発明に用いられるエレクトレット繊維の目付は5〜250g/m2 が好ましい。目付が5g/m2 未満の場合は、粉塵の捕集効率が低く、250g/m2 を越える場合には濾材が目詰まりを生じ易くなるためである。
【0031】
本発明に用いられるエレクトレット繊維は、帯電性を向上するため添加剤を用いることが好ましい。ここで用いられる添加剤は何等限定されるものではないが、例えばリン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ソディウム2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートのような樹脂改良剤、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1ビス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス〔2−{3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストリトールジホスファイト、エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトのような抗酸化剤、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジドのような重金属不活性剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン〕ジエチル(混合)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートのような光安定剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムのような脂肪酸金属塩などが挙げられる。
また、これらの添加剤の添加量は、添加剤の種類によっても異なるが、0.05〜5重量%の範囲が効果的である。
【0032】
本発明の空気清浄用フィルタ濾材には、ケバ立ち防止をはじめフィルターとしての取り扱い性を更に良好にするために、濾材表面にカバーファクターを付与したり、熱融着繊維をフィルムスプリット型エレクトレット繊維層中に混入してもよい。
【0033】
本発明の空気清浄用フィルタ濾材には、基本特性を損なわない範囲で、多孔性補強シート、エレクトレットスプリット繊維層もしくはカバーファクターに抗菌剤、抗カビ剤、脱臭剤、芳香剤を使用してもよい。
【0034】
以下実施例をもってさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、前後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0035】
なお、フィルタ濾材の燃焼試験は図1に示すようなJISD1201における水平燃焼試験で実施し、遅燃性以上、すなわち遅燃性、自消性を合格とした。
フィルター濾材の圧力損失は、線速50cm/sの条件下で測定した。
JIS15種粉塵保持量は、初期圧損から150Pa上昇したときを寿命と判断し該時点において濾材に堆積した粉塵量を天秤で秤量した値である。
【0036】
【実施例】
アイソタクチックポリプロピレン(住友化学、銘柄FK−145)にステアリン酸アルミニウム0.5%、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.1%、リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム0.1%を添加し、厚さ50μmのキャストフィルムを溶融押出成型で作成した。次いで一段目120℃で5倍延伸、二段目150℃で1.8倍の延伸を行い、フィルム厚さ10μmの一軸延伸フィルムを得た。このフィルムを10KV(陽極)の印加電圧下でアース板に接触させながら1秒間の走行荷電処理をし、針密度60本/cm2 の8突起体丸刃式開繊カッターでフィブリル化比を種々変えて開繊を施し、しかる後75mmにカットしてカードにてウェッブシートを作製、目付30g/m2 のウエッブAを作製した。
【0037】
(実施例1)
Br系難燃剤を30%練り込んだ1000デニールのポリプロピレン製モノフィラメントを平織り加工した。その際のフィラメントの打ち込み本数は5本/inch2 .(開口率60%)として多孔性補強シートを製造した。この補強シートのLOI値は24であった。つぎに本シートとウェッブAを針密度20本/cm2 、ストローク数340/minの条件でニードルパンチ法にて積層一体化し、エレクトレット繊維層の繊維充填密度が0.05cc/ccの空気清浄フィルタ濾材を得た。この濾材の燃焼性は燃焼速度50mm/minの遅燃性の結果、すなわち合格であった。また、初期圧力損失も20Paと低く、JIS15種の粉塵負荷した場合に終圧に達するまでの圧損上昇が非常にゆるやかで、最終的に150g/m2 もの粉塵を保持でき、すなわち目詰まりしにくい非常に長寿命タイプのものとなった。
【0038】
(実施例2)
1000デニールのポリエステル製マルチフィラメントに燐酸アンモニウム
を30重量%(DRY)で後加工添着したものを5本/inch2 .(開口率52%)の打ち込み本数で多孔性補強シートを製造した。この補強シートのLOI値は25であった。つぎに本シートとウェッブAを実施例1と同様の方法で積層一体化し、エレクトレット繊維層の繊維充填密度0.06cc/ccの空気清浄フィルタ濾材を得た。この濾材の燃焼性は自消性、すなわち合格であった。また、初期圧力損失、JIS15種粉塵供給量は実施例1と同等レベルの高性能品であった。
【0039】
(実施例3)
繊維径0.1mmの塩化ビニル製のモノフィラメントを3本/inch2 .(開口率90%)の打ち込み本数で多孔性補強シートを製造した。この補強シートのLOI値は47であった。つぎに本シートとウェッブAを実施例1と同様の方法で積層一体化し、エレクトレット繊維層の繊維充填密度0.03cc/ccの空気清浄フィルタ濾材を得た。この濾材の燃焼性は自消性、すなわち合格であった。また、初期圧力損失、JIS15種粉塵供給量は実施例1、2と同等レベルの高性能品であった。
【0040】
(比較例1)
繊維径0.3mmの鉄製フィラメントを5本/inch2 .(開口率60%)の打ち込み本数で多孔性補強シートを製造した。この補強シートのLOI値は100であった。つぎに本シートとウェッブAを上例と同様の方法で積層一体化処理後、エレクトレット繊維層の繊維充填密度0.05cc/ccが空気清浄フィルタ濾材を得た。この濾材の燃焼性は自消性(不燃性)、すなわち合格ではあるが、焼却廃棄できない問題があった。
【0041】
(比較例2)
実施例2で示したLOI値が25の多孔性補強シートにメルトブローン法により常套手段でエレクトレット化した繊維充填密度0.09cc/cc、目付30g/m2 のポリプロピレン不織布を、重ね併せ空気清浄用フィルタ濾材を得た。この濾材の燃焼性は自消性、すなわち合格ではあるがこの濾材はエレクトレット繊維層の充填密度が大きいため、初期圧力損失が高く、かつJIS15種粉塵負荷による圧力損失の増加が急で非常に目詰まりしやすい、すなわち低寿命の濾材となった。
【0042】
(比較例3)
1000デニールのポリプロピレン製モノフィラメントを平織り加工した。その際のフィラメントの打ち込み本数は5本/inch2 .(開口率70%)として多孔性補強シートを製造した。この補強シートのLOI値は19であった。つぎに本シートとウェッブAを上例と同様な方法で積層一体化し、エレクトレット繊維層の充填密度が0.05cc/ccの空気清浄用フィルタ濾材を得た。
この濾材は燃焼速度が100mm/minと速く、すなわち不合格であった。
【0043】
(比較例4)
実施例1で示した多孔性補強シートとウェッブAを重ね併せ針密度40本/cm2 、ストローク数340/minでニードルパンチしエレクトレット繊維層の充填密度が0.10cc/ccの空気清浄用フィルタ濾材を得た。この濾材の燃焼性は自消性、すなわち合格ではあるが、エレクトレットスプリット繊維層の充填密度が0.10cc/ccと高いため、初期圧力損失が高く、かつJIS15種粉塵負荷の際に目詰まりが急で、すなわち低寿命であった。
【0044】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明は低密度のエレクトレット繊維層とLOIを規定した多孔性補強シートを含むフィルタ濾材であり、濾材自体が難燃性でありながら、焼却廃棄が可能であり、サブミクロンオーダーの粒子や粗塵に対しての高捕集効率、高粉塵保持性を有し、且つ、低圧力損失で、目詰まりのし難い長寿命フィルタが実現できる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】JISD1201の水平燃焼試験方法の説明図である。
Claims (2)
- フィルムスプリット型のエレクトレット繊維と開口率が50%〜95%である多孔性補強シートを含み、JISD1201で規定される水平燃焼試験での評価が遅燃性又は自消性である空気清浄用フィルタ濾材であって、前記フィルムスプリット型のエレクトレット繊維の充填密度が0.01〜0.07cc/ccであり、且つ、前記多孔性補強シートのJISD1201で規定されるLOI値が23〜80であることを特徴とする空気清浄用フィルタ濾材。
- JIS15種の粉塵保持量が70g/m2 以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄用フィルタ濾材。
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