JPH11318495A - 抗アセチル化リジン抗体およびその利用 - Google Patents

抗アセチル化リジン抗体およびその利用

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JPH11318495A
JPH11318495A JP10146595A JP14659598A JPH11318495A JP H11318495 A JPH11318495 A JP H11318495A JP 10146595 A JP10146595 A JP 10146595A JP 14659598 A JP14659598 A JP 14659598A JP H11318495 A JPH11318495 A JP H11318495A
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JP
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antibody
peptide
acetylated
lysine
acetylated lysine
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JP10146595A
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Toshihiro Nakajima
中島利博
Yukiro Maruyama
丸山征郎
Shinichi Watanabe
渡辺真一
Masao Shibata
柴田昌夫
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Original Assignee
Medical and Biological Laboratories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 基質ペプチドのリジン残基に対するアセチル
基転移酵素活性を簡便に検出する方法およびアセチル化
された基質ペプチドのリジン残基に対する脱アセチル化
酵素活性を簡便に検出する方法を提供する。 【解決手段】 アセチル化若しくは脱アセチル化を受け
る基質ペプチドにおいて、そのリジン残基が酵素による
アセチル化および脱アセチル化の標的になることに着目
し鋭意研究を行った結果、アセチル化されたリジン残基
に特異的に結合する抗体を調製し、該抗体のアセチル化
されたリジンに対する親和性を利用することにより、簡
便に基質ペプチド上のアセチル化されたリジン残基を検
出することが可能であることを見出した。さらに、該抗
体を利用することにより、酵素作用による基質ペプチド
上のアセチル化や脱アセチル化の検出、アセチル化や脱
アセチル化を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニ
ングが可能であることを見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセチル化された
リジンに特異的に結合する抗体、並びに該抗体を利用し
た、アセチル基転移酵素活性および脱アセチル化酵素活
性の検出方法、アセチル基転移酵素および脱アセチル化
酵素の阻害剤もしくは促進剤のスクリーニング方法、ア
セチル化されたリジン残基を有するペプチドのスクリー
ニング方法、並びにこれら検出およびスクリーニングの
ためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】タンパク質は遺伝子の本体であるDNAの
塩基情報に基づいて合成される(転写、翻訳)。多くの
タンパク質は翻訳後、更に修飾されることによってその
活性や機能が調節されることが知られている。現在まで
に最も研究の進んでいるタンパク質の翻訳後修飾として
リン酸化が挙げられる。細胞内シグナル伝達をつかさど
るc-Srcやc-Rafなどの癌遺伝子ファミリータンパク質の
多くがリン酸化、脱リン酸化によって調節され、且つ、
それらの細胞内シグナル伝達自体がリン酸化、脱リン酸
化の連続により行われている(Morrison, D. K., Kapla
n, D. R. et al (1989) Cell 58, 649-657、Howe, L.
R., Leevers, S. J. et al (1992) Cell 71, 335-342、
Kolch, W., Heidecker, G. et al (1993) Nature 364,
249-252、Dent, P., Jelinek, T. et al (1995) Scienc
e 268, 1902-1906)。また、細胞の核内においても多く
の転写因子及びそれらの制御タンパク質もリン酸化、脱
リン酸化によって細かく調節されていることが知られて
いる(Hill, C. S., Marais,R. et al (1993) Cell 73,
395-406、Sanchez, I., Hyghes, R. T. et al (1994)
Nature 372, 794-798、Akoulitchev, S., Makela, T.
P. et al (1995) Nature 377, 447-560、Weinberg, R.
A. (1995) Cell 81, 323-330)。他の翻訳後修飾とし
て、多くの細胞外タンパク質やレセプターなどの細胞表
面タンパク質がグリコシル基などの糖付加を受けること
が報告されている(Guan, J. L., Machamer, C. E. and
Rose, J. K. (1985) Cell 42, 489-496、Sairam, M.
R. and Bhargavi, G. N. (1985) Science 229, 65-67、
Diamond, M. S., Staunton, D. E. et al (1991) Cell
65, 961-971、Entwistle, J., Hall, C. L. and Turle
y, E.A. (1996) J. Cell. Biochem. 61, 569-577)。こ
れらの糖付加は細胞外マトリクスや細胞表面レセプター
の高次構造の形成及び細胞間認識に重要な働きを持つと
考えられている。また、RasなどのGTP結合タンパク質フ
ァミリーなどがファルネシル化やパルミチン酸付加など
の脂質修飾されることも知られている(Willumsen, B.
M., Christensen, A. et al (1984) Nature 310, 583-5
86、Buss, J. E., Solski, P. A. et al (1989) Scienc
e 24, 1600-1603、Lowy, D. R. and Willumsen, B. M.
(1989) Nature 341, 384-385、Vogt, A., Qian, Y. et
al (1995) J. Biol. Chem. 270, 660-664)。これらの
修飾はタンパク質の細胞膜への局在や他のタンパク質と
の相互作用に重要なものと考えられている。さらに今ま
でにヒストンのみに報告されていた翻訳後修飾としてア
セチル化がある。ヒストンはDNAに結合している塩基性
タンパク質で、DNAと結合してクロマチンの基本構造単
位であるヌクレオソームを形成している。このタンパク
質は活性化クロマチン部位、即ち、mRNAの転写が盛んに
行われている部位では高度にアセチル化され、反対に不
活性化クロマチン部位では低アセチル化状態であること
が報告されている(Hebbes, T. R., Thorne, A. W. and
Crane-Robinson, C. (1988) EMBO J. 7,1395-1402、Wol
ffe, A. P. (1996) Nature 272, 371-372)。現在までに
哺乳類細胞においてヒストンにアセチルCoAよりアセチ
ル基を転移する酵素 ( Histoneacetyltransferase : HA
T ) としてGCN5(Kuo, M. -H., Brownell, J. E. et al
(1996) Nature 383, 269-272、Brownell, J. E., and A
llis, C. D. (1996) Curr. Opin. Genet. Dev. 6, 176-
184、Candau, R., Zhou, JX., Allis, C. D. andBerge
r, S. L. (1997) EMBO J. 16, 555-565)、P/CAF(Ogryzk
o, V. V., Sciltz, R. L., Russanova, V., Howard, B.
H., and Nakatani, Y. (1996) Cell 87,953-959)、p3
00/CBP(Bannister, A. J., and Kouzarides. T. (1996)
Nature 384, 641-643、Yang, X. -J., Ogryzko, V. V.
et al (1996) Nature 382, 319-382)、TAFII250(Mizze
n, C. A., Yang, X. -Y. et al (1996) Cell 87, 1261-
1270)、Tip60(第20回 日本分子生物学会年会 平成9
年12月17日 口頭発表 新規なヒストンアセチルトラン
スフェラーゼTip60 familyの解析 (木村 暁、山本
融、堀越 正美 東大・分生研・発生分化))の5種類
が報告されている。また、ヒストンを脱アセチル化する
酵素(Histone deacetylase)としてHDAC1/RPD3 (Taunt
on, J., Hassig, C. A., and Schreiber, S. L. (199
6) Science 272,408-411、Rundlett, S. E., Carmen,
A. A. et al (1996) Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA.
93, 14503-14508)、HDAC2/YY-1BP (Yang, W. -M., Inou
ye, C., Zeng, Y. Y., Bearss, D., and Seto, E. (199
6) Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA. 93, 12845-1285
0、Lusser, A., Brosch, G. et al (1997) Science 27
7, 88-91)、HDAC3 (Yang, W. -M., Yao, Y. -L., Sun,
J. -M., Davie, J. R., and Seto, E. (1997) J. Bio
l. Chem. 272, 28001-28007)の3つの遺伝子が報告され
ている。最近、HATとして報告されたp300/CBPがヒスト
ンのみならずp53をアセチル化し、これによりp53の活性
が上昇することが報告された(Scolinick, D. M., Cheha
b, N. H. and et al. (1997) Cancer Res 57, 3693-369
6、Gu, w., Shi, X.-L., and Roeder, R. G. (1997) Na
ture 387, 819-823、Lill, N. L., Grossman, S. R. et
al (1997) Nature 387, 823-827、Gu, W., and Roede
r, R. G. (1997) Cell 90, 595-606) 。p53は癌細胞で
特異的に高発現している核内タンパク質として同定さ
れ、当初、癌細胞から分離されたp53遺伝子を用いた導
入実験などから癌遺伝子と考えられていた。しかしなが
ら癌細胞から分離されたp53遺伝子が変異体であること
が判明し、反対に正常p53遺伝子は細胞の増殖抑制、細
胞周期停止及び細胞死誘導などの表現型を示すことなど
から実際は癌抑制遺伝子であることが明らかになった。
p53はDNAの損傷などにより発現誘導され、DNAの特異的
配列に結合し転写因子として働くことによって、その癌
抑制遺伝子としての機能を示すと考えられている。p53
はアセチル化されることによって、その特異的DNA配列
への結合能が増強され、その結果、転写活性も上昇す
る。p53はリン酸化によってもその転写活性が制御され
ていることが報告されているが、アセチル化によっても
p53の転写活性が強く誘導されるとの報告がなされたこ
とは、p53の新たな制御機構の存在を示すだけでなく、
アセチル化がヒストンだけにとどまらずリン酸化のよう
に細胞全般のタンパク質の機能制御に関与している可能
性を示唆している。このようにタンパク質の修飾と癌な
どの疾患との関連が見出されてきたことから、近年、免
疫抑制剤や抗がん剤など新薬開発の標的として、リン酸
化、脱リン酸化、脂質修飾に関連する酵素及びその基質
となるタンパク質が注目され、これら酵素などに対する
阻害剤のスクリーニングが行われている。また、アセチ
ル化、脱アセチル化及びその関連タンパク質に関して
も、すでに酪酸ナトリウム、トリコスタチンA 、トラポ
キシンなどの薬剤がヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤
として報告されている。これらの阻害剤はそもそも抗真
菌抗生物質として又はv-sis-トランスフォーム細胞の形
態正常化物質として見いだされ、細胞周期の停止、細胞
分化の誘導を起こすことが明らかにされたものであるが
(Taunton, J., Hassig, C. A., and Schreiber, S. L.
(1996) Science 272, 408-411、Yoshida, M., Kijima,
M., Akita, M., and Beppu, T. (1990) J. Biol. Che
m.265, 17174-17179、Kijima, M., Yoshida, M. and e
t al (1993) J. Biol. Chem. 268, 22429-22435、Chen,
W. Y., Bailey, E. C. et al (1997) Proc. Natl.Ac
ad. Sci. USA. 94, 5798-5803、Medina, V., Edmonds,
B. et al (1997)Cancer Res. 57, 3697-3707) 、その後
の研究により、これらの薬剤の標的がヒストン脱アセチ
ル化酵素であることが判明した。このような阻害剤は抗
がん剤や抗菌物質しての作用が期待されており、今後、
さらに同様の作用を有する物質の探索の一つとしてヒス
トン脱アセチル化酵素の阻害剤のスクリーニングが行わ
れるものと考えられる。
【0003】しかしながら、既存のアセチル基転移酵素
活性及び脱アセチル化酵素活性の測定方法は非常に煩雑
である。すなわち、アセチル基転移酵素活性を測定する
には、細胞より精製したヒストンや合成した基質ペプチ
ドに、アセチル基転移酵素と放射能標識したアセチルCo
Aを添加しアセチル基転移反応を行う。その後、反応液
を一つ一つフィルター上に移し乗せ、洗浄し、液体シン
チレーションカウンターを用いて酵素活性の測定を行う
必要がある(Bannister, A. J., and Kouzarides. T. (1
996) Nature 384, 641-643、Mizzen, C. A., Yang, X.
-Y. et al (1996) Cell 87, 1261-1270、Gu, W., and R
oeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-606、Brownell, J.
E. and Allis, C. D. (1995) Proc. Natl. Ac ad. S
ci. USA.92, 6364-6368) 。また、脱アセチル化酵素活
性を測定するには、培養細胞の培地中に、放射能標識さ
れた酢酸を添加し、細胞のヒストンを代謝的に放射能標
識する。その細胞よりヒストンを精製した後、そのヒス
トンに脱アセチル化酵素を作用させ脱アセチル化反応を
行う。反応後、酢酸エチルを用いて、ヒストンより遊離
した放射能標識アセチル基を分離、抽出した後、液体シ
ンチレーションカウンターを用いて酵素活性の測定を行
う必要がある (Laherty, C. D., Yang, W. -M. et al
(1997) Cell 89, 349-356、Hassig, C., Fleischer, T.
C. et al (1997) Cell 89, 341-347、Hendzel, M. J.,
Delcuve, G. P. and Davie, J. R. (1991) J. Bio. Ch
em. 32, 21936-21942) 。
【0004】このように、これらの測定系は煩雑ゆえ、
多サンプル、多条件での処理は困難であり、新薬開発な
どのスクリーニングのために簡便な系が求められてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基質ペプチ
ドのリジン残基に対するアセチル基転移酵素活性を簡便
に検出する方法およびアセチル化された基質ペプチドの
リジン残基に対する脱アセチル化酵素活性を簡便に検出
する方法を提供することを課題とする。また、本発明
は、アセチル基転移酵素活性もしくは脱アセチル化酵素
活性を阻害もしくは促進する活性を有する化合物を簡便
にスクリーニングする方法を提供することを課題とす
る。さらに、本発明は、アセチル化されたリジン残基を
有するペプチドを簡便にスクリーニングする方法を提供
することを課題とする。さらに、本発明は、これら検出
およびスクリーニングのためのキットを提供することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、アセチル化若しくは脱アセチル化を
受ける基質ペプチドにおいて、そのリジン残基が酵素に
よるアセチル化および脱アセチル化の標的になることに
着目し鋭意研究を行った。その結果、アセチル化された
リジン残基に特異的に結合する抗体を調製し、該抗体の
アセチル化されたリジンに対する親和性を利用すること
により、簡便に基質ペプチド上のアセチル化されたリジ
ン残基を検出することが可能であることを見出した。さ
らに、本発明者らは、該抗体を利用することにより、酵
素作用による基質ペプチド上のアセチル化や脱アセチル
化の検出、アセチル化や脱アセチル化を阻害もしくは促
進する化合物のスクリーニング、並びにアセチル化され
る基質ペプチドのスクリーニングを行うことも可能であ
ることを見出した。
【0007】即ち、本発明は、アセチル化されたリジン
に特異的に結合する抗体、および該抗体を利用したアセ
チル基転移酵素活性および脱アセチル化酵素活性を検出
する方法、アセチル基転移酵素および脱アセチル化酵素
の阻害剤もしくは促進剤をスクリーニングする方法、並
びにアセチル化されたペプチドをスクリーニングする方
法に関し、より具体的には、(1) 基質ペプチドのリ
ジン残基に対する被検ペプチドのアセチル基転移酵素活
性を検出する方法であって、(a)被検ペプチドと基質
ペプチドとを接触させる工程、(b)基質ペプチドに結
合しているアセチル基をアセチル化されたリジンに特異
的に結合する抗体で検出する工程、を含む方法、(2)
基質ペプチドのリジン残基に対するアセチル基転移酵
素のアセチル基転移酵素活性を阻害もしくは促進する化
合物のスクリーニング方法であって、(a)被検化合物
の存在下で、アセチル基転移酵素と基質ペプチドとを接
触させる工程、(b)基質ペプチドのリジン残基に結合
しているアセチル基をアセチル化されたリジンに特異的
に結合する抗体で検出する工程、(c)被検化合物の非
存在下における基質ペプチドのリジン残基に結合してい
るアセチル基の検出量と比較して、基質ペプチドのリジ
ン残基に結合しているアセチル基の検出量を低下もしく
は増加させる化合物を選択する工程、を含む方法、
(3) リジン残基がアセチル化された基質ペプチドに
対する被検ペプチドの脱アセチル化酵素活性を検出する
方法であって、(a)被検ペプチドとリジン残基がアセ
チル化された基質ペプチドとを接触させる工程、(b)
基質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチル基を
アセチル化されたリジンに特異的に結合する抗体で検出
する工程、を含む方法、(4) リジン残基がアセチル
化された基質ペプチドに対する脱アセチル化酵素の脱ア
セチル化酵素活性を阻害もしくは促進する化合物のスク
リーニング方法であって、(a)被検化合物の存在下
で、脱アセチル化酵素とアセチル化された基質ペプチド
とを接触させる工程、(b)基質ペプチドのリジン残基
に結合しているアセチル基をアセチル化されたリジンに
特異的に結合する抗体で検出する工程、(c)被検化合
物の非存在下における基質ペプチドのリジン残基に結合
しているアセチル基の検出量と比較して、基質ペプチド
のリジン残基に結合しているアセチル基の検出量を増加
もしくは低下させる化合物を選択する工程、を含む方
法。(5) 基質ペプチドが標識されている、(1)乃
至(4)のいずれかに記載の方法、(6) 基質ペプチ
ドが固相化されている、(1)乃至(4)のいずれかに
記載の方法、(7) アセチル化されたリジンに特異的
に結合する抗体が標識されている、(1)乃至(4)の
いずれかに記載の方法、(8) 基質ペプチドのリジン
残基に結合しているアセチル基の検出をELISA法により
行う、(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法、
(9) (2)または(4)に記載のスクリーニング方
法により単離しうる化合物、(10) 天然由来であ
る、(9)に記載の化合物、(11) アセチル化され
たリジン残基を有するペプチドをスクリーニングする方
法であって、(a)アセチル化されたリジンに特異的に
結合する抗体に被検試料を接触させる工程、(b)アセ
チル化されたリジンに特異的に結合する抗体に結合する
ペプチドを選択する工程、を含む方法、(12) 被検
試料がアセチル基転移酵素またはアセチル化剤により処
理されている、(11)に記載の方法、(13) アセ
チル化されたリジンに特異的に結合する抗体が支持体に
固定されている、(11)または(12)に記載の方
法、(14) (11)または(12)に記載の方法に
より単離しうるアセチル化されたリジン残基を有するペ
プチド、またはそのアセチル化されていないペプチド、
(15) アセチル化されたリジンに特異的に結合する
抗体、(16) (1)、(2)、(3)、(4)、ま
たは(11)に記載の検出もしくはスクリーニングに用
いるための、(15)に記載の抗体、(17) アセチ
ル化されたリジンに特異的に結合する抗体を含む、
(1)、(2)、(3)、(4)、または(11)に記
載の検出もしくはスクリーニングのためのキット、に関
する。
【0008】なお、本発明において「ペプチド」とは、
2個以上のアミノ酸がペプチド結合により結合した化合
物を指し、その鎖長は問わない。従って、タンパク質も
また本発明における「ペプチド」に含まれる。本発明に
おいて「アセチル基転移酵素」とは、アセチル基(CH3C
O-)をある物質(例えば、アセチルCoA)から他の物質に
移す反応を触媒する酵素を指す。「脱アセチル化酵素」
とは、特定の物質からアセチル基を遊離させる酵素を指
す。また、本発明において「アセチル化されたリジンに
特異的に結合する」とは、抗体がアセチル化されたリジ
ンに実質的に結合し、アセチル化されていないリジンに
実質的に結合しないことを指す。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、第一にアセチル化リジ
ンに特異的に結合する抗体を利用したアセチル基転移酵
素活性の検出方法に関する。本発明のアセチル基転移酵
素活性の検出法は、(a)被検ペプチドと基質ペプチド
とを接触させる工程、(b)基質ペプチドに結合してい
るアセチル基をアセチル化されたリジンに特異的に結合
する抗体で検出する工程、を含む。被検ペプチドとして
は、特に制限はない。アセチル基転移酵素活性を検出し
たい所望のペプチドを用いることができる。また、基質
ペプチドとしては、被検ペプチドによりリジン残基がア
セチル化されることが予想される所望のペプチドを用い
ることができる。被検ペプチドおよび基質ペプチドは、
天然のもの、遺伝子組換技術を利用して調製されたも
の、合成ペプチドのいずれであってもよい。ペプチドの
精製を容易にするなどの目的で、他のペプチド(例え
ば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)と融合され
ていてもよい。また、公知のペプチドであっても、新規
なペプチドであってもよい。公知のアセチル基転移酵素
としては、例えば、GCN5(Kuo, M. -H., Brownell, J.
E. et al(1996) Nature 383, 269-272、Brownell, J.
E., and Allis, C. D. (1996) Curr. Opin. Genet. De
v. 6, 176-184、Candau, R., Zhou, JX., Allis, C. D.
andBerger, S. L. (1997) EMBO J. 16, 555-565)、P/C
AF(Ogryzko, V. V., Sciltz, R. L., Russanova, V., H
oward, B. H., and Nakatani, Y. (1996) Cell 87,953
-959)、p300/CBP(Bannister, A. J., and Kouzarides.
T. (1996) Nature 384, 641-643、Yang, X. -J., Ogryz
ko, V. V. et al (1996) Nature 382, 319-382、Scolin
ick, D. M., Chehab, N. H. and et al. (1997) Cancer
Res 57, 3693-3696、Gu, w., Shi, X. -L., and Roede
r, R. G. (1997) Nature 387, 819-823、Lill, N. L.,
Grossman, S. R. et al (1997) Nature 387, 823-827、
Gu, W., and Roeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-60
6)、TAFII250(Mizzen, C. A., Yang, X. -Y. et al (19
96) Cell 87, 1261-1270)、Tip60(第20回 日本分子生
物学会年会 平成9年12月17日 口頭発表 新規なヒス
トンアセチルトランスフェラーゼTip60 familyの解析
(木村 暁、山本 融、堀越 正美 東大・分生研・発
生分化))などが、また、アセチル化を受けることが知
られているもしくは予想される公知のペプチドとして
は、例えば、p53(Gu, W. and Roeder, R. G.(1997) Ce
ll 90, 595-606)、ヒストン(H1, H2A,H2B, H3, H4)
(Couppez, M.,Ponthieu, A. M. and Sautiere, P. (19
87) J. Bio. Chem. 262,2854-2860、Hebbes, T. R., Th
orne, A. W. and Robinson, C. C. (1988) EMBO J. 7,1
395-1402、Roth, S. Y. and Allis, C. D. (1996) Cell
87, 5-8)、TFIIE(Gu, W. andRoeder, R. G. (1997)
Cell 90, 595-606)、TFIIF(Gu, W. and Roeder, R.
G. (1997) Cell 90, 595-606)、PC4(Gu, W. and Roed
er, R. G. (1997) Cell 90, 595-606)などが知られて
おり、これらを用いることも可能である。
【0010】被検ペプチドと基質ペプチドとの接触は、
液相において、また固相において行うことが可能であ
る。液相において接触を行う場合には、基質ペプチドは
ビオチンなどの標識を有していてもよい。ビオチン標識
した基質ペプチドを用いる場合には、被検ペプチドとの
接触後、ストレプトアビジン感作した支持体に反応液を
添加する(図1参照)。なお、互いに親和性を有するも
のであれば、アビジン-ビオチン系以外でも本発明に適
用することが可能である。一方、固相において接触を行
う場合には、固相化した基質ペプチド上で接触反応を行
う(図2参照)。接触反応においては、反応系にアセチ
ル基の由来する化合物、例えば、アセチルCoAを添加す
る。
【0011】本発明のアセチル基転移酵素活性の検出方
法は、基質に結合したアセチル基の検出にアセチル化さ
れたリジンに特異的に結合する抗体を用いることを特徴
とする。抗体としては、モノクローナル抗体であって
も、ポリクローナル抗体であってもよい。これら抗体
は、当業者に公知の方法(例えば、細胞工学 別冊 抗ペ
プチド抗体実験プロトコール 1994年 秀潤社、Turner,
B.M.and Fellows,G.(1989)Eur.J.Biochem.179,131-13
9、Muller,S.,Isabey,A.et al.(1987)Molecular Immuno
logy 24,779-789、Pfeffer,U.,Ferrari,N.and Vidali,
G.(1986)J.Bio.Chem.261,2496-2498参照)により調製す
ることができる。リジン残基がアセチル化された基質ペ
プチドの検出において、抗体は適宜標識して用いられ
る。標識としては、検出可能な感度を有すれば特に制限
はなく、例えば、ペルオキシダーゼ、β-D-ガラクトシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコース-6-リ
ン酸脱水素酵素、アセチルコリンエステラーゼなどの酵
素標識、デルフィニウムなどの蛍光標識、放射標識など
を用いることが可能である。また、アセチル化されたリ
ジン残基に特異的に結合する抗体を標識せずに、該抗体
と特異的に結合する物質、例えば、二次抗体、プロテイ
ンA、プロテインG、プロテインA/G(AとGの融合タンパ
ク質)などを標識して検出してもよい。基質ペプチドの
リジン残基にに結合したアセチル基の検出は、上記標識
に応じて当業者に公知の方法で行うことができる(例え
ば、超高感度酵素免疫測定法 石川榮治著 学会出版セ
ンター(1993)参照)。その結果、基質ペプチド上にア
セチル基が有意に検出されれば、被検ペプチドはアセチ
ル基転移酵素活性を有すると判定される。
【0012】また、本発明におけるアセチル化されたリ
ジンに特異的に結合する抗体は、被検ペプチドのアセチ
ル基転移酵素活性のみならず、脱アセチル化酵素活性の
検出に利用することも可能である。従って、本発明は、
また、アセチル化されたリジンに特異的に結合する抗体
を利用した脱アセチル化酵素活性の検出方法に関する。
本発明の脱アセチル化酵素活性の検出方法は、(a)被
検ペプチドとリジン残基がアセチル化された基質ペプチ
ドとを接触させる工程、(b)基質ペプチドのリジン残
基に結合しているアセチル基をアセチル化されたリジン
に特異的に結合する抗体で検出する工程、を含む。被検
ペプチドとしては、特に制限はない。脱アセチル化酵素
活性を検出したい所望のペプチドを用いることができ
る。また、基質ペプチドとしては、被検ペプチドにより
脱アセチル化されることが予想される所望のアセチル化
されたリジン残基を有するペプチドを用いることができ
る。被検ペプチドおよび基質ペプチドは、天然のもの、
遺伝子組換技術を利用して調製されたもの、合成ペプチ
ドのいずれであってもよい。ペプチドの精製を容易にす
るなどの目的で、他のペプチド(例えば、グルタチオン
-S-トランスフェラーゼ)と融合されていてもよい。ま
た、公知のペプチドであっても、新規なペプチドであっ
てもよい。公知の脱アセチル化酵素としては、例えば、
HDAC1/RPD3 (Taunton, J., Hassig, C. A., and Schre
iber, S. L. (1996) Science 272, 408-411、Rundlett,
S. E., Carmen, A. A. et al (1996) Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA. 93, 14503-14508)、HDAC2/YY-1BP (Ya
ng, W. -M., Inouye, C., Zeng,Y. Y., Bearss, D., an
d Seto, E. (1996) Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA. 9
3, 12845-12850、Lusser, A., Brosch, G. et al (199
7) Science 277, 88-91)、HDAC3 (Yang, W. -M., Yao,
Y. -L., Sun, J. -M., Davie, J. R., and Seto,E. (1
997) J. Biol. Chem. 272, 28001-28007)などが挙げら
れる。また、脱アセチル化を受けることが知られている
もしくは予想される公知のペプチドとしては、例えば、
p53(Gu, W. and Roeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-
606)、ヒストン(H1, H2A,H2B, H3, H4)(Couppez,
M., Ponthieu, A. M. and Sautiere,P. (1987) J. Bio.
Chem. 262,2854-2860、Hebbes, T. R., Thorne, A. W.
andRobinson, C. C. (1988) EMBO J. 7,1395-1402、Ro
th, S. Y. and Allis, C. D.(1996) Cell 87, 5-8)、T
FIIE(Gu, W. and Roeder, R. G. (1997) Cell 90,595-
606)、TFIIF(Gu, W. and Roeder, R. G. (1997) Cell
90, 595-606)、PC4(Gu, W. and Roeder, R. G. (199
7) Cell 90, 595-606)などが挙げられる。被検ペプチ
ドとリジン残基がアセチル化された基質ペプチドとの接
触、および基質ペプチド上のアセチル基の検出は、上記
のアセチル基転移酵素活性の検出方法と同様に行うこと
ができる(但し、接触反応の反応系にアセチル基の由来
する化合物を添加する必要はない。図3、図4参照)。
その結果、基質ペプチド上のアセチル基の減少が有意に
検出されれば、被検ペプチドは脱アセチル化酵素活性を
有すると判定される。
【0013】これらアセチル基転移酵素活性および脱ア
セチル化酵素活性の検出系は、それぞれアセチル基転移
酵素および脱アセチル化酵素の阻害剤もしくは促進剤の
スクリーニングに利用することができる。従って、本発
明は、また、アセチル基転移酵素の活性を阻害もしくは
促進する化合物のスクリーニング方法および脱アセチル
化酵素の活性を阻害する化合物のスクリーニング方法に
関する。
【0014】本発明のアセチル基転移酵素の活性を阻害
もしくは促進する化合物のスクリーニング方法は、
(a)被検化合物の存在下で、アセチル基転移酵素と基
質ペプチドとを接触させる工程、(b)基質ペプチドの
リジン残基に結合しているアセチル基をアセチル化され
たリジンに特異的に結合する抗体で検出する工程、
(c)被検化合物の非存在下における基質ペプチドのリ
ジン残基に結合しているアセチル基の検出量と比較し
て、基質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチル
基の検出量を低下もしくは増加させる化合物を選択する
工程、を含む。このスクリーニング方法において用いら
れる被検化合物としては、例えば、ペプチド(タンパク
質を含む)、合成低分子化合物、動植物や細菌の細胞抽
出物、細胞培養上清などが用いられるが、これらに制限
されない。また、アセチル基転移酵素としては、例え
ば、GCN5(Kuo, M. -H., Brownell, J. E. et al (1996)
Nature 383, 269-272、Brownell, J. E., and Allis,
C. D. (1996) Curr. Opin. Genet. Dev.6, 176-184、Ca
ndau, R., Zhou, JX., Allis, C. D. and Berger, S.
L. (1997) EMBO J. 16, 555-565)、P/CAF(Ogryzko, V.
V., Sciltz, R. L., Russanova,V., Howard, B. H., an
d Nakatani, Y. (1996) Cell 87, 953-959)、p300/CBP
(Bannister, A. J., and Kouzarides. T. (1996) Natur
e 384, 641-643、Yang, X. -J., Ogryzko, V. V. et al
(1996) Nature 382, 319-382、Scolinick, D. M., Che
hab, N. H. and et al. (1997) Cancer Res 57, 3693-3
696、Gu, w., Shi,X. -L., and Roeder, R. G. (1997)
Nature 387, 819-823、Lill, N. L., Grossman, S. R.
et al (1997) Nature 387, 823-827、Gu, W., and Roed
er, R. G.(1997) Cell 90, 595-606)、TAFII250(Mizze
n, C. A., Yang, X. -Y. et al (1996) Cell 87, 1261-
1270)、Tip60(第20回 日本分子生物学会年会 平成9
年12月17日 口頭発表 新規なヒストンアセチルトラン
スフェラーゼTip60 familyの解析 (木村 暁、山本
融、堀越 正美 東大・分生研・発生分化))などが、
基質ペプチドとしては、例えば、p53(Gu, W. and Roed
er, R. G. (1997) Cell 90, 595-606)、ヒストン(H1,
H2A,H2B, H3, H4)(Couppez, M., Ponthieu,A. M. an
d Sautiere, P. (1987) J. Bio. Chem. 262,2854-286
0、Hebbes, T. R., Thorne, A. W. and Robinson, C.
C. (1988) EMBO J. 7,1395-1402、Roth, S. Y. and All
is, C. D. (1996) Cell 87, 5-8)、TFIIE(Gu, W. and
Roeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-606)、TFIIF(G
u, W. and Roeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-60
6)、PC4(Gu, W. and Roeder, R. G. (1997) Cell 90,
595-606)などが用いられるが、これらに制限されな
い。被検ペプチドと基質ペプチドとの接触、および基質
ペプチド上のアセチル基の検出は、上記のアセチル基転
移酵素活性の検出方法と同様に行うことができる。その
結果、被検化合物の非存在下で基質ペプチドのリジン残
基に結合しているアセチル基を検出した場合(対照)と
比較して、基質ペプチドのリジン残基に結合しているア
セチル基の検出量が低下すれば、スクリーニングに用い
た被検化合物は、アセチル基転移酵素の活性を阻害する
と判定される。逆に、基質ペプチドのリジン残基に結合
しているアセチル基の検出量が増加すれば、スクリーニ
ングに用いた被検化合物は、アセチル基転移酵素の活性
を促進すると判定される。なお、被検化合物として、動
植物や細菌の細胞抽出物、細胞培養上清などを用いた場
合には、当業者に公知の方法(例えば、各種クロマトグ
ラフィー)によりこれらを分画して、それぞれ検出を行
うことにより、アセチル基転移酵素の活性を阻害もしく
は促進する単一の化合物を最終的に特定することが可能
である。
【0015】一方、本発明の脱アセチル化酵素の活性を
阻害もしくは促進する化合物のスクリーニング方法は、
(a)被検化合物の存在下で、脱アセチル化酵素とセチ
ル化された基質ペプチドとを接触させる工程、(b)基
質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチル基をア
セチル化されたリジンに特異的に結合する抗体で検出す
る工程、(c)被検化合物の非存在下における基質ペプ
チドのリジン残基に結合しているアセチル基の検出量と
比較して、基質ペプチドのリジン残基に結合しているア
セチル基の検出量を増加もしくは低下させる化合物を選
択する工程、を含む。このスクリーニング方法において
用いられる被検化合物としては、例えば、ペプチド(タ
ンパク質を含む)、合成低分子化合物、動植物や細菌の
細胞抽出物、細胞培養上清などが用いられるが、これら
に制限されない。また、脱アセチル化酵素としては、例
えば、HDAC1/RPD3 (Taunton, J., Hassig, C. A., and
Schreiber, S. L. (1996) Science 272, 408-411、Run
dlett, S. E., Carmen, A.A. et al (1996) Proc. Nat
l. Ac ad. Sci. USA. 93, 14503-14508)、HDAC2/YY-1
BP (Yang, W. -M., Inouye, C., Zeng, Y. Y., Bearss,
D., and Seto, E.(1996) Proc. Natl. Ac ad. Sci.
USA. 93, 12845-12850、Lusser, A., Brosch, G. et al
(1997) Science 277, 88-91)、HDAC3 (Yang, W. -M.,
Yao, Y. -L., Sun, J. -M., Davie, J. R., and Seto,
E. (1997) J. Biol. Chem. 272, 28001-28007)など
が、また、基質ペプチドとしては、例えば、p53(Gu,
W. and Roeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-606)、ヒ
ストン(H1, H2A,H2B, H3, H4)(Couppez, M., Ponthi
eu, A. M. and Sautiere, P. (1987) J. Bio. Chem. 26
2,2854-2860、Hebbes, T. R., Thorne, A. W. and Robi
nson, C. C. (1988) EMBO J. 7,1395-1402、Roth, S.
Y. and Allis, C. D. (1996) Cell 87, 5-8)、TFIIE
(Gu, W. and Roeder, R. G. (1997) Cell 90, 595-60
6)、TFIIF(Gu, W. andRoeder, R. G. (1997) Cell 9
0, 595-606)、PC4(Gu, W. and Roeder, R. G. (1997)
Cell 90, 595-606)などが用いられるが、これらに制
限されない。被検ペプチドとアセチル化された基質ペプ
チドとの接触、および基質ペプチド上のアセチル基の検
出は、上記の脱アセチル化酵素活性の検出方法と同様に
行うことができる。その結果、被検化合物の非存在下で
基質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチル基を
検出した場合(対照)と比較して、基質ペプチドのリジ
ン残基に結合しているアセチル基の検出量が増加してい
れば、スクリーニングに用いた被検化合物は、脱アセチ
ル化酵素の活性を阻害すると判定される。逆に、基質ペ
プチドのリジン残基に結合しているアセチル基の検出量
が低下していれば、スクリーニングに用いた被検化合物
は、脱アセチル化酵素の活性を促進すると判定される。
なお、被検化合物として、動植物や細菌の細胞抽出物、
細胞培養上清などを用いた場合には、当業者に公知の方
法(例えば、各種クロマトグラフィー)によりこれらを
分画して、それぞれ検出を行うことにより、脱アセチル
化酵素の活性を阻害する単一の化合物を最終的に特定す
ることが可能である。これらスクリーニングにより単離
されたアセチル基転移酵素および脱アセチル化酵素の活
性を阻害もしくは促進する化合物は、特に、癌治療薬や
抗真菌抗生物質の候補化合物として有用である。
【0016】なお、基質ペプチドのアセチル化および脱
アセチル化の検出に関しては、酵素によるアセチル化、
脱アセチル化のみならず、非酵素的なアセチル化、脱ア
セチル化についても報告されている。例えば、シクロオ
キシゲナーゼはアラキドン酸からプロスタグランジンや
トロンボキサンを合成する初発酵素であり、その活性部
位近傍に位置する530番目のセリン残基がアスピリンに
よってアセチル化されて酵素反応が阻害されることが報
告されている(参考文献;Patrono, C. et al.(1989) T
rend. Pharmacol. Sci. 10, 453-458)。従って、本発
明の検出法は、タンパク質のアセチル基転移酵素活性お
よび脱アセチル化酵素活性の検出のみならず、合成低分
子化合物などを含む種々の化合物のアセチル化活性およ
び脱アセチル化活性の検出に用いることも可能である。
さらに、これら化合物のアセチル化活性および脱アセチ
ル化活性を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニン
グを行うことも可能である。
【0017】また、本発明におけるアセチル化リジンに
特異的に結合する抗体は、アセチル化されたリジン残基
を有するペプチドのスクリーニングに利用することがで
きる。従って、本発明は、また、アセチル化リジンに特
異的に結合する抗体を利用したアセチル化されたリジン
残基を有するペプチドのスクリーニング方法に関する。
このスクリーニング方法は、(a)アセチル化されたリ
ジンに特異的に結合する抗体に被検試料を接触させる工
程、(b)アセチル化されたリジンに特異的に結合する
抗体に結合するペプチドを選択する工程、を含む。用い
られる抗体としては、モノクローナル抗体であっても、
ポリクローナル抗体であってもよい。これら抗体は、当
業者に公知の方法(例えば、細胞工学 別冊 抗ペプチド
抗体実験プロトコール 1994年 秀潤社、Turner,B.M.and
Fellows,G.(1989)Eur.J.Biochem.179,131-139、Mulle
r,S.,Isabey,A.et al.(1987)Molecular Immunology 24,
779-789、Pfeffer,U.,Ferrari,N.and Vidali,G.(1986)
J.Bio.Chem.261,2496-2498参照)により調製することが
できる。目的のペプチドの精製を容易にするなどの目的
で、抗体は必要に応じて支持体(例えば、カラムなど)
に固定されていてもよい。被検試料としては、アセチル
化されたリジン残基を有するペプチドを含有しうる試料
であれば特に制限はない。例えば、細胞抽出液(目的に
応じて分画したものを含む)や血漿中のタンパク質など
が挙げられる。また、被検試料はアセチル基転移酵素ま
たはアセチル化剤により処理したものを用いてもよく、
これにより該酵素または薬剤によりアセチル化を受ける
基質ペプチドの探索を行うことができる。アセチル基転
移酵素としては、例えば、上記したGCN5(Kuo, M. -H.,
Brownell, J. E. et al (1996) Nature 383, 269-272、
Brownell, J. E., and Allis, C. D. (1996) Curr. Opi
n. Genet. Dev. 6, 176-184、Candau, R., Zhou, JX.,
Allis, C. D. and Berger, S. L. (1997) EMBO J. 16,
555-565)、P/CAF(Ogryzko, V. V., Sciltz, R. L., Rus
sanova, V., Howard, B. H., and Nakatani, Y. (199
6) Cell 87, 953-959)、p300/CBP(Bannister, A. J., a
nd Kouzarides. T. (1996) Nature 384, 641-643、Yan
g, X. -J., Ogryzko, V. V. et al (1996) Nature 382,
319-382、Scolinick, D. M., Chehab, N. H. and et a
l. (1997) Cancer Res 57, 3693-3696、Gu, w., Shi,
X. -L., and Roeder, R. G. (1997) Nature 387, 819-8
23、Lill, N. L., Grossman, S. R. et al (1997) Natu
re387, 823-827、Gu, W., and Roeder, R. G. (1997) C
ell 90, 595-606)、TAFII250(Mizzen, C. A., Yang, X.
-Y. et al (1996) Cell 87, 1261-1270)、Tip60(第20
回 日本分子生物学会年会 平成9年12月17日 口頭発
表 新規なヒストンアセチルトランスフェラーゼTip60
familyの解析 (木村 暁、山本 融、堀越正美 東大
・分生研・発生分化))などが挙げられ、またアセチル
化剤としては、無水酢酸、塩化アセチル、N-ヒドロキシ
スクシンイミドが挙げられるが、これらに制限されな
い。
【0018】また、本発明は、上記検出またはスクリー
ニングに用いる、アセチル化されたリジンに特異的に結
合する抗体を含むキットに関する。本発明のキットは、
アセチル基転移酵素活性の検出に用いる場合には、アセ
チル化されたリジンに特異的に結合する抗体以外に、例
えば、アセチル基転移酵素、基質ペプチド、および/ま
たは緩衝液を含んでいてもよい。また、脱アセチル化酵
素活性の検出に用いる場合には、アセチル化されたリジ
ンに特異的に結合する抗体以外に、脱アセチル化酵素、
アセチル化された基質ペプチド、および/または緩衝液
を含んでいてもよい。これら酵素の活性を阻害もしくは
促進する化合物のスクリーニングに用いる場合には、さ
らに被検化合物を含んでいてもよい。基質ペプチドおよ
びアセチル化されたリジンに特異的に結合する抗体は、
上記した標識がなされていてもよい。また、アセチル化
されたリジン残基を有するペプチドのスクリーニングに
用いる場合には、キットには、例えば、アセチル基転移
酵素、アセチル化剤、および/または緩衝液を含んでい
てもよい。アセチル化されたリジンに特異的に結合する
抗体は、支持体に固定化されていてもよい。
【0019】酵素標品、基質ペプチド標品、アセチル化
されたリジンに特異的に結合する抗体の標品には、タン
パク質の安定化などのための他の成分が含まれていても
よい。例えば、1%程度のBSA、および終濃度0.2〜10%
(好ましくは1%)のシュークローズ、フルクトースなど
のポリオール類を標品中に添加し、凍結乾燥後のタンパ
ク質変性防止剤として用いることが好ましい。また、ア
セチル基転移酵素活性の検出または該酵素の阻害剤もし
くは促進剤のスクリーニングに用いる緩衝液としては、
例えば、「50 mM Tris-HCl pH8.0, 10% グリセロール,
1 mM DTT, 1 mM PMSF, 10 mM 酪酸ナトリウム, 200 nM
アセチル-CoA」 を、脱アセチル化酵素活性の検出また
は該酵素の阻害剤もしくは促進剤のスクリーニングに用
いる緩衝液としては、例えば、「10mM Tris-HCl pH8.0,
10mM EDTA, 150mM NaCl」を用いることができる。
【0020】なお、本発明におけるアセチル化されたリ
ジンに特異的に結合する抗体は、上記の検出やスクリー
ニングのみならず、抗体治療への応用も考えられる。上
記したように生体内におけるタンパク質のアセチル化
は、癌などを初め種々の疾患に関係していると考えられ
ている。従って、例えば、該抗体に抗がん剤などを結合
して生体に投与することにより癌のミサイル療法などが
可能である。抗体を用いた治療法は、標的部位特異的に
薬剤を送達することが可能であるため、生体の患部以外
への影響を最小限に抑えることが可能である点で有用で
ある。抗体を治療目的で利用する場合には、免疫原性を
低下させるために、ヒト抗体もしくはヒト型抗体を用い
ると好ましい。
【0021】
【実施例】以下、実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0022】[実施例1]抗アセチル化リジン抗体の調製 (1)免疫原の調整 リジンのεアミノ基をアセチル化したε-N-アセチルリ
ジンを免疫原とするため、キャリアータンパク質である
キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet he
mocyaninn)(KLH)と共有結合させた。結合には1-エチル-
3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(EDAC)
を架橋物質として使用した。このアセチル化リジン-KLH
を免疫原として使用した。 (2)免疫及び採血 キャリアータンパク質KLHとそれに結合したアセチル化
リジン550μg(150μl)をウサギの1回あたりの免疫原と
して用いた。1.5mlチューブで、等体積のフルインドの
完全アジュバントとアセチル化リジン-KLH(各150ul)
を1mlシリンジと21ゲージ注射針を用いて、完全にエマ
ルジョン化するまで混合した。このアセチル化リジン-K
LHとアジュバントのエマルジョンをウサギ (Japanese
white) の背後部皮下に4から5ケ所に分け、26ゲージ注
射針を使用して注射した(免疫)。免疫は1週間ごとに
1回、合計5回行った。5回目の免疫の際、抗体力価をチ
ェックするため、ウサギの耳朶静脈より数ml採血し、EL
ISA法により抗体力価の確認を行った。
【0023】十分な抗体力価の確認後、翌週より1週間
ごと採血、休息、免疫の計3週間を1サイクルとして、そ
れを4回繰り返した。採血は抗体力価の確認の際と同様
に、耳朶静脈より行った。1回の採血あたり、おおよそ
60〜70 mlの血液を採取した。5サイクル目の採血におい
て、カテーテルを用いて心臓より可能なかぎりの血液を
回収した。
【0024】採取した血液を 4 ℃に一晩静置し凝固さ
せ、血清を分離した。分離回収された血清に終濃度0.1
%になるようアジ化ナトリウムを添加し、4℃で保存し
た。抗体分画を分離、濃縮するため、回収した血清に終
濃度50 %になるように硫安を添加し、30℃で一時間以
上、撹拌した。高速遠心によりその沈殿を回収した。最
小限の純水で沈殿を完全に溶解後、透析膜を用いてPBS
に対して透析した。完全にPBSに平衡化した後、この抗
体分画をカラムにかけ、抗体の精製を行った。 (3)特異化抗体の精製 a)特異化カラム及び吸収用カラムの作製 リジンのεアミノ基をアセチル化したε-N-アセチルリ
ジンとBSAを1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-
カルボジイミド(EDAC)を架橋物質として結合し、アセチ
ル化リジン-BSAを作製した。5〜10 mlの0.1M炭酸バッフ
ァー中で1〜2 gのCNBr活性化セファロース4Bとアセチル
化リジン-BSAの5mgをローテーターを用いて、4℃、オー
バーナイトで混和することによって、セファロース4Bに
アセチル化リジン-BSAを結合させた。翌日、セファロー
ス4Bをカラムに充填し、カラム体積の4〜10倍量のPBSで
セファロース4Bを洗浄した。洗浄後、1M Tris-HCl( pH
7.0)でカラムを平衡化し、セファロース4B表面に残って
いる活性基をブロッキングするため、そのまま4℃でオ
ーバーナイト放置した。ブロッキング後、PBSで洗浄、
平衡化し使用した。吸収用カラムとして同様の方法で1
〜2 gのCNBr活性化セファロース4BとKLHを結合したカラ
ムを作製した。
【0025】b)特異化カラム及び吸収用カラムによる抗
アセチル化リジン抗体の精製 抗アセチル化リジン特異抗体を精製するため、抗アセチ
ル化リジン抗体分画は特異化カラムにロードした。PBS-
0.1% Tween 20で洗浄後、カラムに吸着している抗アセ
チル化リジン抗体を0.1M グリシン-HCl (pH3.0)で溶出
した。特異化カラムより溶出された抗体分画はKLHを結
合した吸収用カラムにロードした。抗アセチル化リジン
特異抗体は吸収用カラムに吸着せず、カラムを素通りす
る。吸収用カラムで吸収した抗体(抗アセチル化リジン
特異抗体)をPBSに対して透析した後、抗体力価及び特
異性の検定に用いた。
【0026】c)抗体力価及び抗KLH抗体吸収検定用 ELIS
Aプレートの作製 アセチル化リジン-BSAを10 ug/mlになるようにPBSに溶
かし、ELISA用マイクロタイタープレートに1ウェルあた
り100 ulづつ分注して、4℃でオーバーナイト感作し
た。感作後、ペプチド溶液を除き、1 % BSA-0.1% Tween
20-PBSを1ウェルあたり200 ulづつ分注して、 30 ℃で
1時間以上ブロッキングを行った。同様に、KLH感作プレ
ートも作製した。アセチル化リジン-BSA感作プレートは
抗体力価の測定に、またKLH感作プレートはカラムによ
る非特異抗体の吸収の確認に用いた。
【0027】d)抗体力価及び抗KLH抗体吸収の確認 抗アセチル化リジン特異抗体を、それぞれ0.0016〜1.0
ug/mlに希釈し、アセチル化リジン-BSA感作プレート及
びKLH感作プレートを用いて抗体力価及び抗KLH抗体吸収
を確認した。具体的には、血清や抗体を0.1% Tween 20-
PBSで必要に応じて希釈した。希釈したそれらのサンプ
ルを感作プレート1ウェルあたり100 ul添加し、30℃で1
時間、静置した(一次反応)。一次反応後、洗浄瓶を用
いて、各ウェルを0.1% Tween 20-PBSで4回以上、十分に
洗浄した。0.1% Tween 20-PBSで5000倍希釈したヤギ抗
ウサギIgG(H+L)西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horserad
ish Peroxidase)標識抗体 (MBL458)を各ウェルに100 u
lづつ分注し、30℃で1時間、静置した(二次反応)。二
次反応後、同様に、0.1% Tween 20-PBSで洗浄した後、7
50 uM TMB (テトラメチルベンジジン) 溶液を1ウェルあ
たり100 ul添加し、30℃で 5〜20分間発色させた(発色
反応)。1.5Nリン酸溶液を100ulづつ加え発色反応を停
止させ、マイクロタイタープレートリーダーを用いて、
450nmにおける吸光度を測定した。その結果、アセチル
化リジン-BSA感作プレートでは抗体の濃度に応じて基質
の吸光度の上昇が認められたが、KLH感作プレートでは
基質の吸光度の上昇は認められず、本抗体が免疫原とし
て用いたアセチル化リジン-KLHのうち、KLHには反応せ
ず、アセチル化リジンに特異的に反応していることが確
認された(図5)。
【0028】[実施例2] アセチル基転移酵素によりア
セチル化されたヒストンの抗アセチル化リジン抗体によ
る検出 ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)/ファクタ
ーズアセチルトランスフェラーゼ(FAT)の良い基質で
あることが知られているヒストンH2A、H2B、H3及びH4に
2倍濃度のHATバッファー(20mM Tris-HCl pH8.0、50mM
NaCl、2μM 酪酸、2μM DTT)6μ1、最終濃度lμMの14C
アセチルCoA及びリコンピナントCBPを加えて、37℃で30
分間反応させた。反応後の溶液各20μ1を8%ゲルに添加
し、SDS-PAGEを行った後、一次抗体を抗アセチル化リジ
ン抗体とし、2次抗体にベルオキシダーゼ標識抗ウサギI
gG(ヤギ)を用いてウェスタンプロッティングを行っ
た。一方、1 4CアセチルCoAにより取り込ませた14Cをオ
ートラジオグラフィーにより検出した。その結果、図6
に示す通り、リコンピナントCBPによリアセチル化を行
った場合には、14Cで確認されるのと同じ位置にヒスト
ンの鮮明なバンドが認められ、リコンピナントCBPを添
加せずアセチル化を行わなかった場合にはいずれもバン
ドが認められなかった。
【0029】また、抗アセチル化リジン抗体にアセチル
化リジンを1mg/mlの濃度で加えて吸収した後、これを一
次抗体として、同様にウェスタンブロッティングを行っ
た(対照としてリジンを1mg/mlの濃度で加え吸収した液
を一次抗体として用いた)。その結果、アセチル化リジ
ンで吸収した場合にはヒストンの特異バンドは見られな
かったが、リジンで吸収した場合にはヒストンの明りょ
うなバンドが認められ、本抗体がアセチル化リジンに特
異的に反応することが示された。
【0030】なお、検出に利用したリコンビナントCBP
は下記の方法で調製した。まずCBPをPCR法を用いて増
幅、単離した。CBP増幅用プライマーとしては、フォア
ードプライマー「CBPF」(配列番号:1/5'-GCGGGATCC
CAGAATAGGTATCATTTCTGTGAG-3'(5'側3つの塩基(GCG)は制
限酵素処理を円滑におこなわせるためのもの。5'側4番
目から9番目(GGATCC)は制限酵素BamHIサイト)およびリ
バースプライマー「CBPR」(配列番号:2/5'-AGACTCG
AGCTTGCACTCGTTGCAGGTGTAGAC-3'(5'側3つの塩基(AGA)は
制限酵素処理を円滑におこなわせるためのもの。5'側4
番目から9番目(CTCGAG)は制限酵素XhoIサイト)を用い
た。このプライマーセットを用いることによって、アセ
チル基転移酵素活性部位と報告されているCBPの1231番
目から1710番目をコードしているDNAをPCRにより増幅し
た。
【0031】PCR法で増幅する際のテンプレートとし
て、ヒト子宮頸ガン由来HeLa細胞のcDNAを用いた。ま
ず、cDNAを作製するため、HeLe細胞よりフェノール-チ
オシアン酸グアニジン法(ニッポンジーン、ISOGEN)を
用いて全RNAを抽出、精製した。抽出した全RNAをもとに
ランダムプライマーを用いてcDNAを合成した(逆転写反
応)。PCR反応は、1)92℃3分間を1サイクル、2)92℃1
分間(変性)、55 ℃1分間(アニーリング)、72℃1分
間(伸長)を35サイクル、3)72℃10分を1サイクル以上
の条件を基本におこなった。また、これらPCRの耐性DNA
ポリメラーゼとしてTaqポリメラーゼを用いた。
【0032】PCRによって増幅された各DNAバンド(PCR
産物)は1%のアガロースゲル電気泳動によって確認し
た。バンドの確認後、各PCR産物を制限酵素BamHIとXhoI
によって処理した。この処理によって、PCRのプライマ
ーの5'末端側に導入しておいた制限酵素サイトが切断さ
れ、PCR産物の両末端は付着末端となる。制限酵素処理
された各PCR産物はアガロースゲル電気泳動によって分
離した。アガロースゲルで分離されたPCR産物のバンド
をゲルごと切り出し、グラスミルク(glass milk)を用
いてアガロースから分離精製した。
【0033】アガロースゲルから分離精製されたPCR産
物は、発現ベクターpGEX及びpETのクローニングサイト
にサブクローニングした。発現ベクターは前もってPCR
産物の両末端と同じ制限酵素BamHIとXhoIによって処理
した後、アガロースゲルで分離精製しておいた。PCR産
物と発現ベクターをほぼ等モルになるように混和し、T4
ライゲースを用いてライゲーションした。ライゲーショ
ンは16℃、1時間行った。
【0034】ライゲーション後、各サンプルは塩化ルビ
ジウム法によってコンピテント化された大腸菌 DH5αに
導入された(トランスフォーメーション)。100ulのコ
ンピテントDH5αとライゲーションした各サンプル10ul
を1.5 mlチューブ内で穏やかに混和し、氷上に30分間静
置した。チューブを素早く42℃温水中に移し、30秒間ヒ
ートショックした後、再び氷上に戻し、数分間静置し
た。1.0mlのSOC培地を各チューブに加え、37℃、1時間
放置した。これを発現ベクターpGEX及びpETのセレクシ
ョン用の抗生物質であるアンピシリンを50ug/mlで含むL
Bプレートにスプレッドした。それらのプレートは37
℃、O/N培養した。
【0035】プレートから複数のコロニーを拾い、LB-
アンピシリン培地で一晩培養した。培養した大腸菌か
ら、アルカリ法を用いてプラスミド(発現ベクター)を
精製した。それらプラスミドを制限酵素BamHIとXhoIで
処理し、アガロースゲル電気泳動によりインサート(PC
R産物)が入っていることを確認した。また、それらプ
ラスミドのインサートの塩基配列をサンガー法にもとず
き、オートシークエンサーを用いて正しいこと確認し
た。
【0036】正確なプラスミドを持った大腸菌(DH5
α)をLB-アンピシリン培地で一晩培養した。一晩培養
された培養液の一部を取り、LB-アンピシリン培地に数
十倍希釈になるよう添加し、600nmで菌液の濁度を随時
測定しながら、数時間、37℃で振とう培養した。濁度が
0.6〜1.0になった時点で、組み換えタンパク質を発現誘
導するため培養液中にIPTGを終濃度1mMになるよう添加
し、さらに、4時間培養を続けた。その後、培養液から
遠心により菌体を回収した。回収された菌体の一部を用
いてSDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)をお
こなった。泳動後、ゲルをクマシーブルーで染色して発
現誘導された組み換えタンパク質のバンドを確認した。
pGEXベクターでは組み換えタンパク質はグルタチオン-
s-トランスフェラーゼ(GST)とのフュージョンタンパ
ク質として作られる。この還元型GSTがグルタチオン(G
SH)に対して非常に高いアフィニティーを持っているこ
とを利用して、組換えタンパク質の精製をおこなった。
組み換えタンパク質の発現を確認した後、その菌体を1%
Tween 20 - PBS によく懸濁した後、ソニケーションに
より菌体を破砕した。高速遠心により、組換えタンパク
質を含む可溶性分画を分取した。この可溶性分画をGSH-
セファロース4Bカラムに通し、GSTとのフュージョンで
ある組み換えタンパク質をカラムに吸着させた。カラム
をGバッファー(10mMGSH, 50mM Tris-HCl pH9.6 )で十分
に洗浄した後、組換えタンパク質をWEバッファー(10mM
2-メルカプトエタノール, 2mM MgCl, 20mM Tris-HCl pH
7.5) を用いて溶出した。
【0037】一方、pETベクターでの組み換えタンパク
質の発現は、T7 RNAポリメラーゼによって誘導される。
このため発現プラスミドを、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子
を持つ大腸菌BL21(DE3)にトランスフォーメーションし
た。このBL21(DE3)のT7 RNAポリメラーゼはIPTGによっ
て発現誘導されるので、pGEXベクターと同様に、IPTGを
培養に添加することによって組み換えタンパクの発現誘
導をおこなった。誘導後、pGEXの場合と同様に、培養液
から遠心により菌体を回収し、その一部を用いてSDS-ポ
リアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)をおこなった。
泳動後、ゲルをクマシーブルーで染色して発現誘導され
た組み換えタンパク質のバンドを確認した。pETベクタ
ーでは連続した6つのヒスチジン(6His-Tag)が組み換
えタンパク質の両末端に付加される。この6His-Tagがニ
ッケルと錯体を形成することを利用して、組み換えタン
パク質の精製をおこなった。組み換えタンパク質の発現
を確認した後、その菌体をバインディングバッファー
(Binding buffer)( 5 mM イミダゾール, 0.5 M NaCl,
20 mM Tris-HCl pH7.0, 0.1% NP-40 ) によく懸濁した
後、ソニケーションにより菌体を破砕した。高速遠心
し、その上清より組み換えタンパク質を含む可溶性分画
を分取した。この可溶性分画を Ni-NTA-アガロースカラ
ムにロードし、6His-Tag を介して組換えタンパク質を
カラムに吸着させた。カラムをバインディングバッファ
ー(Binding buffer)で十分に洗浄した後、更に洗浄バ
ッファー(10mM イミダゾール, 0.5M NaCl, 20mM Tris-H
Cl pH7.9)で洗浄した。組み換えタンパク質は溶出バッ
ファー(50mMから1Mイミダゾール, 0.5M NaCl, 20mM Tri
s-HCl pH7.9) を用いて溶出した(イミダゾールの濃度
を50mM,100mM,200mM,1Mと濃度を徐々に上げながらおこ
なった)。
【0038】[実施例3] p53の抗アセチル化リジン抗
体による検出 培養したNIH3T3細胞より常法により抽出した核分画を抗
p53抗体を用いて免疫沈降し、得られたp53分画について
SDS-PAGEを行い、抗p53抗体及び抗アセチル化リジン抗
体を一次抗体としてウェスタンプロッティングを行い泳
動像を比較した。その結果、図7に示す通り、抗アセチ
ル化リジン抗体を用いた場合にはp53の位置にバンドが
認められた。なお、高分子量の位置に認められる太いバ
ンドは免疫沈降に用いた抗体と二次抗体の反応によるも
のである。
【0039】[実施例4] 核タンパク質を用いた本抗体
の特異性の検討 細胞の核は通常でも一定程度のアセチル化を受けている
ことから、NIH3T3細胞を用いて染色し、抗アセチル化リ
ジン抗体の特異性を確認した。細胞は培養液にヒストン
脱アセチルトランスフェラーゼ(HDAC)の阻害剤として
知られる酪酸を最終濃度1μMとなるように加え、それぞ
れ0分、5分、15分及び30分間培養した。培養した細胞か
ら常法にしたがって核分画を抽出し、この核抽出液10μ
gを用いてウェスタンブロッティングを行った。ウェス
タンブロッティングは、抗アセチル化リジン抗体(×20
0)を一次抗体として核内のアセチル化タンパク質の検
出を行った。その結果、図8に示す通り、阻害剤存在下
での培養時間に依存して明瞭なバンドが検出された。こ
れは培養時間にともない脱アセチル化酵素の働きが阻害
され、アセチル化された核内タンパク質が蓄積されたこ
とを示しており、本抗体のアセチル化タンパク質に対す
る反応性が確認された。
【0040】また、抗アセチル化リジン抗体(×200)
にそれぞれリジンあるいはアセチル化リジンを最終濃度
1μg/mlの濃度で加え、吸収操作を行った後、これを一
次抗体として反応させ、同様にアセチル化タンパク質の
バンドの検出を行った。対照として、抗アセチル化リジ
ンをBSA(1μg/ml)で吸収したもの、及び免疫前のウサ
ギ血清より精製したIgG分画を一次抗体として用いた。
その結果、BSA吸収抗アセチル化リジン抗体及びリジン
吸収抗アセチル化リジン抗体ではいずれも明確なバンド
が認められたが、アセチル化リジンで吸収した場合及び
正常ウサギIgGではバンドが認められなかった。このこ
とから本抗体がアセチル化リジンに特異的に反応してい
ることが示された。
【0041】[実施例5] 細胞染色による本抗体の特異
性の確認 実施例4と同様にスライドグラス上で酪酸の存在下に培
養時間を変えて培養した細胞を、アセトン・メタノール
混液で固定し、抗アセチル化リジン抗体を30℃で30分反
応させた後、PBSで洗浄し、FITC標識抗ウサギlgG(ヤ
ギ)を30℃で30分反応させ、再度PBSで洗浄し、蛍光顕
微鏡を用いて観察した。その結果、図9に示すように、
阻害剤存在下での培養時間に伴い、細胞核内の蛍光が明
瞭に認められた。このことは本抗体と細胞核内のアセチ
ル化タンパク質との反応性を示している。
【0042】同様に酪酸存在下に培養した細胞を、抗ア
セチル化リジン抗体(×200)にそれぞれリジンあるい
はアセチル化リジンを最終濃度1μg/mlの濃度で加え吸
収操作を行った後、これを一次抗体として反応させ、染
色した。対照として、吸収操作を行わなかった場合
(-)及び免疫前のウサギ血清より精製したIgG分画(P
I)を一次抗体として用い、比較した。その結果、図1
0に示す通り、アセチル化リジンで吸収を行った場合に
は細胞核の蛍光は認められなかったが、リジンで吸収し
た場合には吸収を行わなかった場合と同様に細胞核に蛍
光を認め、本抗体がアセチル化リジンに特異的に反応し
ていることが示された。
【0043】[実施例6] 抗アセチル化リジン抗体カラ
ムを利用したアセチル化されたリジンを有するペプチド
のスクリーニング 1)抗アセチル化リジン抗体結合セファロース4Bゲルの
作製 0.1M炭酸バッファー中で1〜2gのCNBr活性化セファロー
ス4Bと本抗体5mgを4℃オーバーナイトで混和することに
よリセファロース4Bに本抗体を結合させた。次いで、実
施例1(3)と同様に洗浄し、抗アセチル化リジン抗体結合
セファロース4Bカラムを作製した。
【0044】2)アセチル化タンパク質の検出 常法に従い細胞より核分画を抽出し、抗アセチル化リジ
ン抗体結合カラムに添加して、カラムを0.1%tween20/
PBSで十分に洗浄した後、カラムに吸着したアセチル化
された基質をアセチル化リジン1μg/mlで溶出した。溶
出した液をHP G1005A Sequencing Systemにてアミノ酸
配列を確認したところ、「Pro-Glu-Pro-Ala-Lys-Ser-Al
a-Pro-Ala-Pro-Lys-Lys」と分析された。これをデータ
ベースからホモロジーサーチしたところ、多生物種のヒ
ストンH2Bの末端塩基配列と一致した。このことから、
本抗体は、新たなアセチル化基質の探索にも使用可能で
あることが示された。
【0045】
【発明の効果】本発明により、アセチル化されたリジン
に特異的に結合する抗体を利用した、アセチル基転移酵
素活性および脱アセチル化酵素活性の検出方法、アセチ
ル基転移酵素および脱アセチル化酵素の阻害剤のスクリ
ーニング方法、アセチル化されたリジン残基を有するペ
プチドのスクリーニング方法、並びにこれら検出および
スクリーニングのためのキットが提供された。従来のア
セチル基転移酵素活性の検出方法では、酵素反応後、活
性測定のため、サンプルを一つずつフィルターにのせ、
洗浄する必要があり、また従来の脱アセチル化酵素活性
の検出方法では反応液中の遊離したアセチル基を分離、
抽出する必要があった。一方、本発明のアセチル基転移
酵素活性および脱アセチル化酵素活性の検出方法は、酵
素反応と活性測定を同一ウェル上で連続して行うことが
できるため、従来の方法に比して非常に簡便である。ま
た、96穴マルチタイタープレートを用いることが可能で
あり、市販されている機器類を用いることができるた
め、サンプルや抗体の添加、洗浄、測定などを全て自動
化できる点でも優れている。従って、この酵素活性の検
出系を利用すれば、酵素活性の促進剤や阻害剤のスクリ
ーニングも簡便に行うことができる。また、本発明のア
セチル化されたリジン残基を有するペプチドのスクリー
ニングは、抗体と抗原との親和性を利用しているため、
非常に簡便である。
【0046】
【配列表】 (1)出願人氏名又は名称:株式会社 医学生物学研究所 (2)発明の名称:抗アセチル化リジン抗体およびその利用 (3)整理番号:M3−004 (4)出願番号: (5)出願日: (6)配列の数:2 配列番号:1 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GCGGGATCCC AGAATAGGTA TCATTTCTGT GAG 33 配列番号:2 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AGACTCGAGC TTGCACTCGT TGCAGGTGTA GAC 33
【図面の簡単な説明】
【図1】アセチル化されたリジンに特異的に結合する抗
体を用いたアセチル基転移酵素活性の液相解析系の手法
(一例)を示す図である。
【図2】アセチル化されたリジンに特異的に結合する抗
体を用いたアセチル基転移酵素活性の固相解析系の手法
(一例)を示す図である。
【図3】アセチル化されたリジンに特異的に結合する抗
体を用いた脱アセチル化酵素活性の液相解析系の手法
(一例)を示す図である。
【図4】アセチル化されたリジンに特異的に結合する抗
体を用いた脱アセチル化酵素活性の固相解析系の手法
(一例)を示す図である。
【図5】調製した抗アセチル化リジン抗体の抗体力価お
よび抗LKH抗体吸収の解析結果を示す図である。
【図6】アセチル基転移酵素によりアセチル化されたヒ
ストンの抗アセチル化リジン抗体および14Cによる検出
を示す電気泳動写真である。
【図7】細胞核から単離したp53の抗アセチル化リジン
抗体および抗p53抗体による検出を示す電気泳動写真で
ある。なお、図中の「α-AK」は抗アセチル化リジン抗
体での検出を示し、「α-p53」は抗p53抗体での検出を
示す。
【図8】脱アセチル化酵素阻害剤処理した細胞から単離
した核タンパク質の抗アセチル化リジン抗体による検出
を示す電気泳動写真である。図中の時間は、細胞の脱ア
セチル化酵素阻害剤処理の時間を示す。
【図9】脱アセチル化酵素阻害剤処理した細胞を蛍光標
識抗アセチル化リジン抗体で検出した顕微鏡写真であ
る。図中の時間は、細胞の脱アセチル化酵素阻害剤処理
の時間を示す。
【図10】脱アセチル化酵素阻害剤処理した細胞を各種
処理を行った蛍光標識抗アセチル化リジン抗体で検出し
た顕微鏡写真である。図中「-」は吸収操作を行わなか
ったもの、「リジン」はリジンによる吸収操作を行った
もの、「アセチル化リジン」はアセチル化リジンによる
吸収操作を行ったもの、「LM」は光学顕微鏡での観察写
真を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田昌夫 長野県伊那市大字手良沢岡字大原1063− 103 株式会社医学生物学研究所内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基質ペプチドのリジン残基に対する被検
    ペプチドのアセチル基転移酵素活性を検出する方法であ
    って、(a)被検ペプチドと基質ペプチドとを接触させ
    る工程、(b)基質ペプチドに結合しているアセチル基
    をアセチル化されたリジンに特異的に結合する抗体で検
    出する工程、を含む方法。
  2. 【請求項2】 基質ペプチドのリジン残基に対するアセ
    チル基転移酵素のアセチル基転移酵素活性を阻害もしく
    は促進する化合物のスクリーニング方法であって、
    (a)被検化合物の存在下で、アセチル基転移酵素と基
    質ペプチドとを接触させる工程、(b)基質ペプチドの
    リジン残基に結合しているアセチル基をアセチル化され
    たリジンに特異的に結合する抗体で検出する工程、
    (c)被検化合物の非存在下における基質ペプチドのリ
    ジン残基に結合しているアセチル基の検出量と比較し
    て、基質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチル
    基の検出量を低下もしくは増加させる化合物を選択する
    工程、を含む方法。
  3. 【請求項3】 リジン残基がアセチル化された基質ペプ
    チドに対する被検ペプチドの脱アセチル化酵素活性を検
    出する方法であって、(a)被検ペプチドとリジン残基
    がアセチル化された基質ペプチドとを接触させる工程、
    (b)基質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチ
    ル基をアセチル化されたリジンに特異的に結合する抗体
    で検出する工程、を含む方法。
  4. 【請求項4】 リジン残基がアセチル化された基質ペプ
    チドに対する脱アセチル化酵素の脱アセチル化酵素活性
    を阻害もしくは促進する化合物のスクリーニング方法で
    あって、(a)被検化合物の存在下で、脱アセチル化酵
    素とアセチル化された基質ペプチドとを接触させる工
    程、(b)基質ペプチドのリジン残基に結合しているア
    セチル基をアセチル化されたリジンに特異的に結合する
    抗体で検出する工程、(c)被検化合物の非存在下にお
    ける基質ペプチドのリジン残基に結合しているアセチル
    基の検出量と比較して、基質ペプチドのリジン残基に結
    合しているアセチル基の検出量を増加もしくは低下させ
    る化合物を選択する工程、を含む方法。
  5. 【請求項5】 基質ペプチドが標識されている、請求項
    1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 基質ペプチドが固相化されている、請求
    項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 アセチル化されたリジンに特異的に結合
    する抗体が標識されている、請求項1乃至4のいずれか
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 基質ペプチドのリジン残基に結合してい
    るアセチル基の検出をELISA法により行う、請求項1乃
    至4のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項2または4に記載のスクリーニン
    グ方法により単離しうる化合物。
  10. 【請求項10】 天然由来である、請求項9に記載の化
    合物。
  11. 【請求項11】 アセチル化されたリジン残基を有する
    ペプチドをスクリーニングする方法であって、(a)ア
    セチル化されたリジンに特異的に結合する抗体に被検試
    料を接触させる工程、(b)アセチル化されたリジンに
    特異的に結合する抗体に結合するペプチドを選択する工
    程、を含む方法。
  12. 【請求項12】 被検試料がアセチル基転移酵素または
    アセチル化剤により処理されている、請求項11に記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 アセチル化されたリジンに特異的に結
    合する抗体が支持体に固定されている、請求項11また
    は12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項11または12に記載の方法に
    より単離しうるアセチル化されたリジン残基を有するペ
    プチド、またはそのアセチル化されていないペプチド。
  15. 【請求項15】 アセチル化されたリジンに特異的に結
    合する抗体。
  16. 【請求項16】 請求項1、2、3、4、または11に
    記載の検出もしくはスクリーニングに用いるための、請
    求項15に記載の抗体。
  17. 【請求項17】 アセチル化されたリジンに特異的に結
    合する抗体を含む、請求項1、2、3、4、または11
    に記載の検出もしくはスクリーニングのためのキット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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