JPH11318480A - 腸炎ビブリオ検出用オリゴヌクレオチドおよび腸炎ビブリオの検出法 - Google Patents

腸炎ビブリオ検出用オリゴヌクレオチドおよび腸炎ビブリオの検出法

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JPH11318480A
JPH11318480A JP11106870A JP10687099A JPH11318480A JP H11318480 A JPH11318480 A JP H11318480A JP 11106870 A JP11106870 A JP 11106870A JP 10687099 A JP10687099 A JP 10687099A JP H11318480 A JPH11318480 A JP H11318480A
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trh
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vibrio
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Toshio Miwatani
俊夫 三輪谷
Takeshi Honda
武司 本田
Hideji Shibata
秀司 柴田
Shigeru Tamatsukuri
滋 玉造
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】TRH生産性細菌を特異的に検出するために用
いられるオリゴヌクレオチド及び該オリゴヌクレオチド
を用いたTRH生産性細菌の検出法を提供する。 【解決手段】核酸配列が、5’-RGGCCRRRCAACGGRCRRCACA
AAAR-3’(ただし、Aはアデニン、Cはシトシン、Gは
グアニン、Rはチミンまたはウラシルを表す。)または
それらの相補鎖であるTRH生産性細菌検出用オリゴヌ
クレオチド、及び該オリゴヌクレオチドを標識化し、得
られた標識核酸プローブを試料中のDNAまたはRNA
と交雑させ、交雑した結合体の標識を測定することを特
徴とする試料中のTRH生産性細菌の検出法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】腸炎ビブリオ(ビブリオ・パ
ラヘモリティカス;Vibrioparahaemolyticus)は、細菌
性食中毒の原因菌として高い頻度で検出される病原細菌
の一種である。本菌は広く海洋中に分布し、海産物を多
量に接種するわが国では特に重要な病原菌の一つであ
り、特に夏季に本菌が原因の食中毒が多発している。従
って、腸炎ビブリオの検出、同定は食品産業、公衆衛
生、臨床検査分野に於て重要であり、且つ食中毒という
性格上迅速な測定が望まれている。本発明は、TRH生
産性ビブリオ属細菌検出用のオリゴヌクレオチド及びこ
れを用いたTRH生産性ビブリオ属細菌検出法に関す
る。更に詳しくは食品または生体試料中の腸炎ビブリオ
由来のDNAまたはRNAの検出のためのオリゴヌクレ
オチド及びこれを用いたTRH生産性ビブリオ属細菌検
出法に関する。
【0002】
【従来の技術】腸炎ビブリオは1950年に日本で発見
された病原細菌である。本菌には溶血現象を示すものが
あることが知られている。我妻(ワガツマ)寒天培地上
で菌集落周囲に形成される、このβ溶血現象は神奈川現
象と呼ばれている。患者下痢便から分離される腸炎ビブ
リオを検出した場合、96〜99%が神奈川現象陽性を
示す。一方海水や一般の魚介類など環境から分離した腸
炎ビブリオの99%までは神奈川現象陰性である。この
ことは神奈川現象が病原性腸炎ビブリオ検出の良い指標
となることを示している。
【0003】これまで本菌の検出および同定は、食品ま
たは生体試料などより調製した試料をアルカリ性ペプト
ン水での増菌培養、TCBS寒天培地等による分離培養
の後、我妻寒天培地における神奈川現象による判定と多
大な時間と労力を要していた。また使用する血液のロッ
ト差等により検出精度に安全性を欠くことが多かった。
近年の研究により、神奈川現象は腸炎ビブリオ(ビブリ
オ・バラヘモレティカス;Vibrioparahaemolyticus)が
菌体外に放出する耐熱性溶血毒素(Thermostabledirect
hemolysin、TDHと略すことがある)により起こる現
象であることが判明し、腸炎ビブリオの最も重要な病原
因子として注目されている。また更に近年、神奈川現象
陰性でありながら病原性を示す菌株の中からTDHに類
似した溶血毒素(TDH-related hemolysin、TRHと略
すことがある)を産生する菌株も分離された。このTR
H産生株の検出には特別な血液寒天培地が必要である。
【0004】従って、病原性腸炎ビブリオの検出には我
妻寒天培地上での神奈川現象測定だけでは不十分であ
り、TRH産生株の検出のために特別な血液寒天培地で
の検査も同時に実施する必要があり検査が煩雑化する。
食中毒、食品検査など迅速な原因究明、対処を要求され
る分野に於て、このように多大な時間と労力を要する測
定法は問題であり、短時間で正確に測定出来る検査法が
望まれている。
【0005】一方、腸炎ビブリオが有するTDHおよび
TRHの遺伝子配列はジャーナル・オブ・バクテリオロ
ジー(Journal of Bacteriology;第162巻、第558
頁、1985年)及びインフェクション・アンド・イミ
ュニティ(Infection and Immunity; 第57巻、第26
91頁、1989年)に開示されている。これらの毒素
は既にいずれもクローニングされ、それぞれの溶血毒素
活性を持った蛋白質が大腸菌において発現されている。
また毒素蛋白質の化学的、遺伝子工学的修飾実験によ
り、N末端より89番目のTrp89および114番目のGly
114が毒素活性発現のために必須のアミノ酸残基である
ことも判明している。
【0006】病原性腸炎ビブリオを検出するには、その
病因となる溶血毒素の遺伝子であるTDH遺伝子及び/
またはTRH遺伝子を検出すればよいことが考えられ
る。更にこれらの毒素活性に必須な部位をコードしてい
る遺伝子配列を検出することでより確実に活性毒素産生
性の腸炎ビブリオを検出できる。既にNishibuchiら(Jo
urnal of Clinical Microbiology,第23巻,1091,
1986年)により神奈川現象陽性腸炎ビブリオを検出
するオリゴヌクレオチドブローブについての報告はあ
る。本報告は合成したオリゴヌクレオチド(19〜21
ヌクレオチド)を用いて神奈川現象陽性腸炎ビブリオを
検出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】核酸プローブや核酸プ
ライマーは一般に、長鎖のポリヌクレオチドを用いた場
合、遺伝子の存在を容易に知ることができる。このよう
な長鎖ポリヌクレオチドでは、核酸プローブと検査され
る核酸との間の塩基配列の相同性が80%以上であれば
陽性として検出される。しかし、検査される菌株が対象
とする遺伝子は有しているものの、その中に突然変異や
小部分の欠失が存在する場合、そのような小さなミスマ
ッチを検出することはできない。一方、短鎖のオリゴヌ
クレオチドを用いた場合、小さなミスマッチをも検出で
きるが、鎖長が短かすぎると他の生物にも同じヌクレオ
チド配列を持つものが存在し、目的の病原菌に対する特
異性が失われてしまう。
【0008】
【課題を解決するため手段】従って、短鎖のオリゴヌク
レオチドを用いて目的の病原菌のみを検出できる核酸プ
ローブや核酸プライマーを調製することは、配列が既知
の遺伝子であっても必ずしも達成できるものではない。
一方、病原菌を検出しようとする場合、安価に一定の品
質の核酸プローブ及び核酸プライマーを得ようとすると
短鎖のオリゴヌクレオチドを化学合成法により調製する
ことが容易であり好ましい。そこで我々は短鎖で且つ病
原性腸炎ビブリオにのみ反応するオリゴヌクレオチドの
研究を鋭意行なった結果、本発明のオリゴヌクレオチド
が病原性腸炎ビブリオ及びTDH,TRH類似遺伝子を
もつ近縁のビブリオ属菌にのみ特異的に反応することを
見出した。
【0009】本発明はTRH生産性細菌を特異的に検出
するオリゴヌクレオチドを提供する。本発明はまた核酸
交雑(ハイブリダイゼーション)を利用してTRH生産
性細菌の測定を迅速、簡単に実施することを可能とする
TRH生産性細菌に特異的な核酸プローブを提供する。
さらに本発明は、DNAポリメラーゼや逆転写酵素を用
いてTRH生産性細菌の遺伝子増幅や核酸配列解析を行
なう際の核酸プライマーを提供する。
【0010】すなわち本発明は、核酸配列が、 5'-RGGCCRRRCAACGGRCRRCACAAAAR3' (ただし、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニ
ン、Rはチミンまたはウラシルを表す)またはそれらの
相補鎖であるTRH生産性細菌検出用オリゴヌクレオチ
ドおよび上記TRH生産性細菌検出用オリゴヌクレオチ
ドを標識化し、得られた標識核酸プローブを試料中のD
NAまたはRNAと交雑させ、交雑した結合体の標識を
測定することを特徴とする試料中のTRH生産性細菌の
検出法、および上記TRH生産性細菌検出用オリゴヌク
レオチドをそのまま核酸プライマーとするか、または標
識化して得られた標識核酸プライマーを試料中のDNA
またはRNAと交雑させ、プライマー伸長させ、得られ
た結合体の標識を測定することを特徴とする試料中のT
RH生産性細菌の検出法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は具体的に核酸配列がTR
H遺伝子検出のために、 5'-RGGCCRRRCAACGGRCRRCACAAAAR-3' (ただし、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニ
ン、Rはチミンまたはウラシルを表す。)の配列および
それらの相補鎖の配列を有することを特徴とするオリゴ
ヌクレオチド、核酸プローブ及び核酸プライマーとして
示される。またこれらの核酸の一部が修飾され、または
抗原、ハプテン、酵素、蛍光物質、放射性物質などによ
り標識され、または遺伝情報中に欠失変異あるいは点変
異が存在するオリゴヌクレオチド、核酸プローブ及び核
酸プライマーであってもよい。
【0012】これらの核酸プローブ及び核酸プライマー
用のオリゴヌクレオチドの調製は公知の方法により実施
することが可能である。化学的合成法は安価に且つ短時
間に一定の品質をもった核酸が調製出来るために一般的
まに用いられている。これらは、例えばABI社(Appl
ied Biosystems Inc.)製のDNAシンセサイザー39
1型を用いてホスホアミダイト法により合成出来る。他
にもリン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオ
ホスファイト法等が知られている。また生物学的起源、
例えば制限エンドヌクレアーゼ消化物から単離すること
も出来る。
【0013】オリゴヌクレオチドの標識は核酸ブローブ
や核酸プライマーの標識化のための公知の方法によって
実施することができる。このような標識物質としては、
例えば、32Pや3Hによる放射性物質、蛍光物質や発光
物質や酵素基質あるいはそれらの前駆体、酵素、抗体、
ハプテン、ビオチンなどの生理活性物質あるいはラテッ
クス粒子のような不溶性担体であってもよい。例えば、
特表昭60−500717号公報に開示の方法によりリ
ンカーを有するオリゴヌクレオチドのリンカー部分にア
ルカリ性ホスファターゼを結合させた酵素標識プローブ
を用いることが出来る。それらの検出はそれぞれに適し
た一般的な方法により実施することができる。
【0014】例えば、蛍光測定、発光測定、吸光度測
定、色素の沈着、凝集反応、沈殿反応などがある。これ
らの技術は、例えばアルカリ性ホスファターゼならば、
4−メチルウンベリフェリルリン酸を基質として生成す
る4−メチルウンベリフェロンり蛍光を測定する、ま
た、ブロムクロロインドリールホスフェートを基質とし
て生成したブロムクロロインドールにニトロブルーテト
ラゾリウムを反応させて紫色の色素沈着を測定するなど
の方法がある。
【0015】次に本発明の核酸プローブを用いて病原性
腸炎ビブリオを測定する方法について具体的に述べる。
病原性腸炎ビブリオの存在が疑われる下痢患者の糞便や
感染源と推定される植物などから直接またはその培養物
より核酸を分離する。続いて核酸を変性させ、本発明の
核酸プローブを添加する。この核酸プローブは、予め一
本鎖に変性された標的核酸の相補的配列とのみ水素結合
を介して二重鎖を形成する。標的核酸の変性は煮沸によ
る変性、または塩基性媒体中でインキュベートするなど
公知の方法を用いることができる。
【0016】反応した核酸プローブと未反応の核酸プロ
ーブは公知の方法で分離することができる。例えば、T
DH遺伝子を測定する場合、検出用核酸プローブとは異
なる配列のオリゴヌクレオチドを担体に固定した捕捉用
核酸プローブとして使用するサンドイッチ測定法を用い
れば容易に分離することができる。これらの検出用核酸
プローブと捕捉用核酸プローブとを用いるサンドイッチ
測定法の技術は、例えば特開昭58−40099号公報
に示されている。この場合標的となる二本鎖核酸のうち
の一方の核酸鎖に相補的且つ排他的な核酸配列を標識及
び捕捉用プローブとして用いる様に設計しておくことは
言うまでもない。核酸プローブと標的核酸が形成した二
重鎖の検出は核酸プローブに標識された標識物質をその
標識物質に適した種々の方法で実施することができる。
【0017】次に本発明の核酸プライマーを用いて病原
性腸炎ビブリオを測定する方法について述べる。核酸増
幅法(PCR)を行なうに際して、一方のプライマーと
して本発明の核酸プライマーを用いることにより病原性
腸炎ビブリオのみを増幅することが可能となる。従って
増幅された核酸を種々の方法で確認すれば病原性腸炎ビ
ブリオの存在を検出することができる。例えば増幅反応
後、電気泳動により特定の長さの核酸のバンドを見るこ
とが確認できるし、更に増幅反応の際放射性元素標識の
デオキシリボヌクレオチド(dATP,dCTP,dGTP,dTTPな
ど)を増幅産物を他の核酸プローブで検出することも可
能である。核酸プライマーに標識を導入することも可能
である。すなわちDNAポリメラーゼ反応を阻害するこ
とのないような種々の標識を核酸プライマーに導入する
ことができる。
【0018】例えば、放射性同位元素、ビオチン、ハプ
テン、蛍光物質、発光物質、酵素基質等低分子の標識を
核酸プライマーの5′末端側に標識してもDNAポリメ
ラーゼを阻害することなくPCRを実施できることが知
られている。二つのプライマーを二種の標識物質で標識
しておき、一方を担体に結合したレセプターで捕捉すれ
ば、PCRにより増幅が起こる、すなわち病原性腸炎ビ
ブリオが存在した時のみ他方の標識物質が担体に捕捉さ
れこれを測定することで容易に病原性腸炎ビブリオを検
出することができる。捕捉される標識物質としてビオチ
ン、ストレプトアビジンや抗ビオチン抗体を用いる方法
が一般的によく知られている。
【0019】また、本発明の核酸プライマーを用いて病
原性腸炎ビブリオの核酸配列を決定することができる。
すなわち、本核酸プライマーを一種用いてDNAポリメ
ラーゼにより目的核酸を鋳型としてシーケンシングを行
えば、病原性腸炎ビブリオが存在する時のみ反応が起こ
る。サンガー法によるシーケンシングを実施し、電気泳
動を行えば容易に病原性腸炎ビブリオの核酸配列を測定
することができる。前述のように核酸プライマーを標識
することもできるし、放射性同位元素で標識したデオキ
シヌクレオチドを添加して標識を導入することもでき
る。こうして病原性腸炎ビブリオの核酸配列を比較すれ
ば配列中に突然変異、欠失などが存在する場合容易に解
析することができる。このような核酸配列の変化が食中
毒の患者と汚染源と考えられる食品の両者から検出され
たならば、汚染の因果関係をより明確に推定することも
可能となる。
【0020】
【実施例】以下に、実施例により本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。尚、実施例中“n×SSC”は0.3Mクエン酸三
ナトリウムおよび3.0M塩化ナトリウム混合液の(2
0/n)倍希釈液を表す。
【0021】実施例−1〔リンカーアームを有するTD
H検出用のオリゴヌクレオチドの合成〕 オリゴヌクレオチドは、DNA合成機380A型(アプ
ライド バイオシステムズ社)を用いて、ホスホアミダ
イト法により合成した。塩基配列5'-TGGCCTTTCAACGGTCT
TCACAAAAT-3'である。配列中Xは5位にリンカーアーム
を有するウリジンを示す。この5位にリンカーアームを
有するウリジンは、特表昭60−500717号公報に
開示された合成法により、デオキシウリジンから化学合
成により調製しオリゴヌクレオチドに導入した。
【0022】合成されたオリゴヌクレオチドは27%ア
ンモニア水で55℃、4時間脱保護処理を施した後、陰
イオン交換高速液体クロマトグラフィーMonoQ−F
PLC(ファルマシア社)を用いて精製した。0.2μ
molスケールの合成を行い、約11.5A260(260nm
における吸光度より求めた絶対量)のオリゴヌクレオチ
ドを得た。
【0023】実施例−2〔リンカーオリゴヌクレオチド
の酵素・アルカリ性ホスファターゼによる標識〕 実施例1で合成したオリゴヌクレオチドと、そのリンカ
ーアームを介してのアリカリ性ホスファターゼとの結合
を、文献(Nucleic Acids Research, 第14巻,第6115頁,
1986)に従って行った。リンカーオリゴヌクレオチド
1.0A260を0.2M NaHCO3 60μlに溶解
し、ここへスベリン酸ジスクシニミジル(DSS)1.
25mgを加えて室温、2分間反応させた。反応液を1
mMCH 3COONa(pH5.0)で平衡化したSepha
dex G-25(ファルマシア社)カラム(1cmφ×30cm)
でゲル濾過して過剰のDSSを除去した。
【0024】末端のアミノ基が活性化されたリンカーオ
リゴヌクレオチドを、更にモル比で2倍等量のアルカリ
性ホスファターゼ(ベーリンガーマンハイム社)(10
0mM NaHCO3,3MNaClに溶解したもの)
と室温、16時間反応させることでアルカリ性ホスファ
ターゼ標識核酸プローブを得た。得られた標識プローブ
は、陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーMono
−Q−FPLC(ファルマシア社)を用いて精製した。
標識プローブを含む画分を集め、セントリコン30K
(アミコン社)を用いて限外濾過法により濃縮した。
【0025】実施例−3〔アルカリ性ホスファターゼ標
識核酸プローブの感度の検討〕 実施例2で得られたアルカリ性ホスファターゼ標識核酸
プローブの感度を検討した。この検討には、既に培養法
(神奈川現象等)、免疫沈降法、ELISA法により毒
素産生性が同定されている腸炎ビブリオ菌株31株(T
DH産生株16株、TRH産生株15株)を用いた。各
菌株を3%NaClを含むブレインハートインフュージ
ョン培地(Brain Heart Infusion
Agar)に接種し37℃で一晩培養した。生育した
コロニーをそれぞれ1.5mlのエッペンドルフチュー
ブにかきとり、希釈緩衝液(0.1M MaH2PO4
pH7.0)300μlに懸濁した。さらに、ここへプ
ロティナーゼK(ナカライテスク社)0.6mg、溶菌
液(8M尿素、0.25%ドデシル硫酸ナトリウム、
0.25%ラウリルサルコシンナトリウム、50mM
EDTA,pH7.6)600μlを加えて攪拌し、6
0℃で30分間インキュベートした。
【0026】得られた溶解液をフェノールで2回、クロ
ロホルムで1回抽出後、エタノール沈澱し、核酸を得
た。核酸は260nmのUV吸収により定量し100μ
g/mlの濃度でTE緩衝液(10mM Tris−H
Cl,1mM EDTA,pH8.0)に溶解した。こ
の核酸液10μl(核酸1μg)に0.3N NaOH
100μlを加えて室温で15分間変性し、ドットブロ
ッター(BRL社)を用いて5×SSCで湿潤したナイ
ロン膜(ジーン・スクリーン・プラス,NEN−デュポ
ン社)にブロットした。この膜を80℃30分間加熱処
理して核酸を固定化した後、以下に示した手順でハイブ
リダイゼーションを行った。乾燥した膜(9cm×9cm)
を5×SSCに5分間浸した。次にハイブリダイゼーシ
ョンバック(BRL社)に膜を移し、ハイブリダイゼー
ションバッファー(5×SSC,0.5%ウシ血清アル
ブン、0.5%ポリビニールピロリドン、1%ドデシル
硫酸ナトリウム)5mlを加えてポリシーラーでシール
し、50℃15分間プレハイブリダイゼーションを行な
った。
【0027】次に250ngのアルカリ性ホスファター
ゼ標識核酸プローブ液を含むハイブリダイゼーションバ
ッファー5mlで50℃15分間ハイブリダイゼーショ
ンを行なった。膜をポリバッグから取り出し、洗浄液−
1(1×SSC,1%ドデシル硫酸ナトリウム)で50
℃、5分間で2回、振とう洗浄した。更に洗浄液−2
(1×SSC,1%トリトンX−100)で50℃、5
分間で2回、室温5分間で2回振とう洗浄した。最後に
洗浄液−3(1×SSC)で室温5分間で2回振とう洗
浄した。膜を新しいハイブリダイゼーションバッグに移
し、基質液(0.1M Tris−HCl,0.1M
NaCl,0.1M MgCl2,0.3mg/mlニ
トロブルーテトラゾリウム、0.3mgg/mlブロムク
ロロインドフェリールホスフェート)7.5mlを入れ
ポリシーラーでシールし、37℃で3時間インキュベー
トした。
【0028】アルカリ性ホスファターゼにより生じる紫
色色素のスポットを目視により判定した。結果は、TD
H産生株中陽性16株、TRH産生株15株中陽性0株
で培養法(神奈川現象等)、免疫沈降法、ELISA法
の結果とよく一致した。
【0029】実施例−4〔TRH用核酸プライマーを用
いた核酸配列測定の検討〕 TRH用核酸プライマーを実施例1と同様の方法で調製
した。塩基配列は、 5'-TGGCCTTTCAACGGTCTTCACAAAAT-3' である。このブライマー0.5pmolesを用いてM13シ
ーケンシングキット(東洋紡績社)によりTRHにより
TRH株の核酸配列を決定した。
【0030】キット添付のブライマーの代わりに本プラ
イマーを用い、M13mp18ssDNAの代わりに臨床献
体から分離したTRH株(培養法にてTRH産生を確認
している)より抽出した核酸を用いてキットの取扱説明
書に従ってダイレクトシーケンシングを行ない、約10
0塩基配列を決定した。シーケンシングの結果を以下に
示す。 │←−−プライマー−−→│ 5'-TGGCCTTTCAACGGTCTTCACAAAAT- CAGAAAAAACAAGCCTAAATCAGAACTATTCTTCTGTTAGTGATTTCGTTGGTGAAAATGAAGAATCATTGC CAAGTGTAACGTATTTGGATGAAACGCCAGAATAT-3'
【0031】実施例−5〔従来法との比較〕 Nishibuchiら(Journal of Chinical Microbiology,第
23巻,第1091頁,1986年)により示された核酸
プローブと本発明の核酸プローブを比較した。Nishibuc
hiらの核酸プローブとして下記の配列の核酸プローブを
実施例1と同様の方法で調製した。神奈川現象陽性腸炎
ビブリオを検出するオリゴヌクレオチドプローブについ
てのTRH用核酸プライマーを実施例−1及び2と同様
の方法で調製した。 5'-CCATCTGTCCCXTTTCCTGCC-3' (式中Xは実施例−1,2と同様にリンカーアームのつ
いたウリジンを示す。) ハイブリダイゼーション、洗浄の温度は種々検討の結
果、50℃を選択した。
【0032】実施例−3の腸炎ビブリオ菌株31株(T
DH産生株16株、TRH産生株15株)を用いて実施
例−3と同様の方法で測定した。ナイロン膜を乾燥し、
生じた色素のスポットを色彩色差計CR−221(ミノ
ルタカメラ株式会社)を用いて測定した。測定モードは
△(L***)モード(△E*ab)を用いた。実施例
−3の結果も同様に比較した。結果を表1に示すが、本
発明の方が反応性が高いことがわかる。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明により特異性の高いプローブを得
ることができた。TRH遺伝子を検出するオリゴヌクレ
オチドについては、未だ開発されておらず本発明によっ
て初めて可能となった。本発明のオリゴヌクレオチドに
標識をつけた核酸プローブを用いれば、病原性腸炎ビブ
リオ及びTDH,TRH類似遺伝子をもつ近縁のビブリ
オ属菌のみが容易に検出できる。
【0035】また、本発明のオリゴヌクレオチドをプラ
イマーとして用い、核酸増幅法(PCRと略すことがあ
る)を実施すれば、病原性腸炎ビブリオ及びTDH,T
RH類似遺伝子を持つ近縁のビブリオ属菌のみが増幅さ
れる。従って、この増幅した核酸を測定することで容易
に病原性腸炎ビブリオ及びTDH,TRH類似遺伝子を
もつ近縁のビブリオ属菌のみが検出できる。また、本発
明の核酸プライマーを用い、DNAポリメラーゼや逆転
写酵素を用いて病原性腸炎ビブリオ及びTDH,TRH
類似遺伝子をもつ近縁のビブリオ属菌の核酸配列解析を
行なうことが容易に実施できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核酸配列が、 5’-RGGCCRRRCAACGGRCRRCACAAAAR-3’ (ただし、Aはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニ
    ン、Rはチミンまたはウラシルを表す。)またはそれら
    の相補鎖であるTRH生産性細菌検出用オリゴヌクレオ
    チド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のTRH生産性細菌検出用
    オリゴヌクレオチドを標識化し、得られた標識核酸プロ
    ーブを試料中のDNAまたはRNAと交雑させ、交雑し
    た結合体の標識を測定することを特徴とする試料中のT
    RH生産性細菌の検出法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のTRH生産性細菌検出用
    オリゴヌクレオチドをそのまま核酸プライマーとする
    か、または標識化して得られた標識核酸プライマーを試
    料中のDNAまたはRNAと交雑させ、プライマー伸長
    させ、得られた結合体の標識を測定することを特徴とす
    る試料中のTRH生産性細菌の検出法。
JP11106870A 1999-04-14 1999-04-14 腸炎ビブリオ検出用オリゴヌクレオチドおよび腸炎ビブリオの検出法 Pending JPH11318480A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6562955B2 (en) * 2000-03-17 2003-05-13 Tosoh Corporation Oligonucleotides for detection of Vibrio parahaemolyticus and detection method for Vibrio parahaemolyticus using the same oligonucleotides
CN111411161A (zh) * 2020-04-02 2020-07-14 深圳市疾病预防控制中心 检测副溶血弧菌k抗原基因分型的引物组和试剂盒

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CN111411161B (zh) * 2020-04-02 2021-02-23 深圳市疾病预防控制中心 检测副溶血弧菌k抗原基因分型的引物组和试剂盒

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