JPH11317247A - 発電方法および装置 - Google Patents
発電方法および装置Info
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- JPH11317247A JPH11317247A JP13611798A JP13611798A JPH11317247A JP H11317247 A JPH11317247 A JP H11317247A JP 13611798 A JP13611798 A JP 13611798A JP 13611798 A JP13611798 A JP 13611798A JP H11317247 A JPH11317247 A JP H11317247A
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- Japan
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- solution
- power generation
- membrane distillation
- concentration
- membrane
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来の機械的発電方法における熱効率の低さ
や発電量の柔軟な対応についての問題を補うに有効な発
電方法および装置を提供する。 【解決手段】 膜蒸留により調製した濃厚液と希薄液を
濃淡電池に通液して発電することを特徴とする発電方
法、および発電装置。
や発電量の柔軟な対応についての問題を補うに有効な発
電方法および装置を提供する。 【解決手段】 膜蒸留により調製した濃厚液と希薄液を
濃淡電池に通液して発電することを特徴とする発電方
法、および発電装置。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学的作用による
発電、特に溶液の濃度差による起電力を応用した発電技
術に関する。
発電、特に溶液の濃度差による起電力を応用した発電技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、発電方法として、機械的な発
電法と化学的な発電法、半導体による発電法等が知られ
ている。機械的な発電方法は、蒸気タービン(火力、原
子力)や水力、風力、波力等何らかの形でタービンを回
転させ、発電機を回転させて発電する方法である。化学
的な発電方法としては、燃料電池や濃淡電池が知られて
いる。燃料電池は、たとえば水素ガスと酸素ガスを反応
させ、水を生成させると同時に電力を取り出す方法であ
り、濃淡電池は、溶液の濃度差により生じる起電力を利
用する方法である。半導体による発電方法としては太陽
電池や熱電素子が挙げられる。これらのうち、実用に供
されているのは機械的な発電方法と太陽電池が主であ
り、他の方法は研究開発段階である。
電法と化学的な発電法、半導体による発電法等が知られ
ている。機械的な発電方法は、蒸気タービン(火力、原
子力)や水力、風力、波力等何らかの形でタービンを回
転させ、発電機を回転させて発電する方法である。化学
的な発電方法としては、燃料電池や濃淡電池が知られて
いる。燃料電池は、たとえば水素ガスと酸素ガスを反応
させ、水を生成させると同時に電力を取り出す方法であ
り、濃淡電池は、溶液の濃度差により生じる起電力を利
用する方法である。半導体による発電方法としては太陽
電池や熱電素子が挙げられる。これらのうち、実用に供
されているのは機械的な発電方法と太陽電池が主であ
り、他の方法は研究開発段階である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の発電方法のう
ち、特に機械的発電法は最も実用的に利用されているも
のであるが、いくつかの問題点も明らかになっている。
第1の問題点は熱効率の低さである。これは、熱力学の
カルノーサイクルの限界から入力した熱エネルギーの高
々50%程度しか機械エネルギーに変換できず、最終的
に電力まで変換できる割合は高々35%前後である。残
りのエネルギーは利用されることなく、60℃以下の低
品位の熱として環境に廃棄されている。このことは別の
観点からみると、電気エネルギーとして利用できる量以
上の化石燃料等を燃焼させ、その結果大量の熱とともに
大量の炭酸ガス等を廃棄していることになる。第2の問
題点は電力の使用量の変動に対し柔軟に発電量を変動さ
せることができない点である。これは発電システムが巨
大で柔軟に運転変更できないことと、電力が貯蔵できな
いことに起因する問題点である。
ち、特に機械的発電法は最も実用的に利用されているも
のであるが、いくつかの問題点も明らかになっている。
第1の問題点は熱効率の低さである。これは、熱力学の
カルノーサイクルの限界から入力した熱エネルギーの高
々50%程度しか機械エネルギーに変換できず、最終的
に電力まで変換できる割合は高々35%前後である。残
りのエネルギーは利用されることなく、60℃以下の低
品位の熱として環境に廃棄されている。このことは別の
観点からみると、電気エネルギーとして利用できる量以
上の化石燃料等を燃焼させ、その結果大量の熱とともに
大量の炭酸ガス等を廃棄していることになる。第2の問
題点は電力の使用量の変動に対し柔軟に発電量を変動さ
せることができない点である。これは発電システムが巨
大で柔軟に運転変更できないことと、電力が貯蔵できな
いことに起因する問題点である。
【0004】本発明の課題は、とくに上記のような機械
的発電方法における熱効率の低さや発電量の柔軟な対応
についての問題を補うに有効な、しかも単独で用いても
十分に実用に供することのできる電力を得ることが可能
な、新規な発電方法および発電装置を提供することにあ
る。
的発電方法における熱効率の低さや発電量の柔軟な対応
についての問題を補うに有効な、しかも単独で用いても
十分に実用に供することのできる電力を得ることが可能
な、新規な発電方法および発電装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る発電方法は、膜蒸留により調製した濃
厚液と希薄液を濃淡電池に通液して発電することを特徴
とする方法からなる。
に、本発明に係る発電方法は、膜蒸留により調製した濃
厚液と希薄液を濃淡電池に通液して発電することを特徴
とする方法からなる。
【0006】この発電方法においては、膜蒸留により調
製した濃厚液と希薄液を、それぞれ一旦貯留した後に、
濃淡電池に通液できるようにしておくことが好ましい。
このようにすることで、必要に応じて濃淡電池により発
電することが可能になり、発電量や発電のタイミングを
自由にコントロールすることが可能になる。
製した濃厚液と希薄液を、それぞれ一旦貯留した後に、
濃淡電池に通液できるようにしておくことが好ましい。
このようにすることで、必要に応じて濃淡電池により発
電することが可能になり、発電量や発電のタイミングを
自由にコントロールすることが可能になる。
【0007】また、希薄液をより低濃度化したり、その
濃度調整を容易化するために、さらに別の膜蒸留系を設
け、その別の系に係る膜蒸留で調製した蒸留水または超
希薄液を用いて上記希薄液の濃度を調整することも可能
である。
濃度調整を容易化するために、さらに別の膜蒸留系を設
け、その別の系に係る膜蒸留で調製した蒸留水または超
希薄液を用いて上記希薄液の濃度を調整することも可能
である。
【0008】膜蒸留は、基本的には蒸気透過膜の両側に
おける溶液の蒸気圧差に基づいて蒸留する方法である
が、蒸気圧差をもたせる最も代表的な方法として、溶液
間に温度差をもたせる方法を使用できる。つまり、上記
膜蒸留を、蒸気透過膜の各面側に温度差をもたせた原液
をそれぞれ通液することにより行う。
おける溶液の蒸気圧差に基づいて蒸留する方法である
が、蒸気圧差をもたせる最も代表的な方法として、溶液
間に温度差をもたせる方法を使用できる。つまり、上記
膜蒸留を、蒸気透過膜の各面側に温度差をもたせた原液
をそれぞれ通液することにより行う。
【0009】この場合、通液する高温側の原液を加熱す
ることが好ましい。加熱は、100℃以下の加熱で十分
である。
ることが好ましい。加熱は、100℃以下の加熱で十分
である。
【0010】このような高温側の原液の加熱には専用の
加熱源を用いることもできるが、発電所の復水器の復水
の廃熱を有効利用することもできる。復水の廃熱を利
用、回収することにより、発電所における全体としての
熱効率が高められる。
加熱源を用いることもできるが、発電所の復水器の復水
の廃熱を有効利用することもできる。復水の廃熱を利
用、回収することにより、発電所における全体としての
熱効率が高められる。
【0011】また、低温側の原液を冷却し、高温側の原
液との温度差を拡大することは、膜蒸留の効率を高める
上で有効である。低温側の原液の冷却には、たとえば海
水を用いることができる。また、海水を、濃厚液と希薄
液の調製用原液として用いることもできる。
液との温度差を拡大することは、膜蒸留の効率を高める
上で有効である。低温側の原液の冷却には、たとえば海
水を用いることができる。また、海水を、濃厚液と希薄
液の調製用原液として用いることもできる。
【0012】本発明に係る発電装置は、膜蒸留手段と、
膜蒸留手段により調製した濃厚液と希薄液を通液する濃
淡電池とを有することを特徴とするものからなる。
膜蒸留手段により調製した濃厚液と希薄液を通液する濃
淡電池とを有することを特徴とするものからなる。
【0013】この発電装置においては、膜蒸留手段と濃
淡電池の間に、調製した濃厚液と希薄液をそれぞれ一旦
貯留する手段を有することが好ましい。これによって、
貯留手段から必要に応じて濃淡電池に濃厚液と希薄液を
供給でき、発電量や発電のタイミングをコントロールで
きる。
淡電池の間に、調製した濃厚液と希薄液をそれぞれ一旦
貯留する手段を有することが好ましい。これによって、
貯留手段から必要に応じて濃淡電池に濃厚液と希薄液を
供給でき、発電量や発電のタイミングをコントロールで
きる。
【0014】また、膜蒸留手段に供給する濃厚液用原液
を加熱する手段、希薄液用原液を冷却する手段を設けて
おけば、両原液間の温度差を拡大できるとともに所望の
温度に制御でき、膜蒸留の効率を向上できる。また、膜
蒸留手段として複数の膜蒸留モジュールを設けておくこ
とも、濃厚液と希薄液間の濃度差拡大に有効である。
を加熱する手段、希薄液用原液を冷却する手段を設けて
おけば、両原液間の温度差を拡大できるとともに所望の
温度に制御でき、膜蒸留の効率を向上できる。また、膜
蒸留手段として複数の膜蒸留モジュールを設けておくこ
とも、濃厚液と希薄液間の濃度差拡大に有効である。
【0015】このような本発明に係る発電方法および装
置においては、基本的に2プロセス、つまり、膜蒸留に
よる濃厚液と希薄液の調製プロセスと、その濃厚液と希
薄液を通液した濃淡電池による発電プロセスとを有す
る。膜蒸留による濃厚液と希薄液の調製は、比較的低温
の熱源をエネルギー源として行うことが可能であるか
ら、廃熱等を有効利用して容易に調製できる。濃淡電池
における発電は、濃厚液と希薄液との濃度差による起電
力を利用したものであるから、この発電過程においては
基本的に熱源を必要としない。したがって、全体とし
て、低温の熱エネルギーを利用して効率よく発電できる
ことになり、そのようなエネルギー源を有するあらゆる
場所での発電が可能になる。とくに、発電所の廃熱を熱
源とする場合は、環境に対する熱負荷や炭酸ガス負荷の
増大も無く、発電所における総合熱効率を2〜3%ほど
改善することが可能になる。
置においては、基本的に2プロセス、つまり、膜蒸留に
よる濃厚液と希薄液の調製プロセスと、その濃厚液と希
薄液を通液した濃淡電池による発電プロセスとを有す
る。膜蒸留による濃厚液と希薄液の調製は、比較的低温
の熱源をエネルギー源として行うことが可能であるか
ら、廃熱等を有効利用して容易に調製できる。濃淡電池
における発電は、濃厚液と希薄液との濃度差による起電
力を利用したものであるから、この発電過程においては
基本的に熱源を必要としない。したがって、全体とし
て、低温の熱エネルギーを利用して効率よく発電できる
ことになり、そのようなエネルギー源を有するあらゆる
場所での発電が可能になる。とくに、発電所の廃熱を熱
源とする場合は、環境に対する熱負荷や炭酸ガス負荷の
増大も無く、発電所における総合熱効率を2〜3%ほど
改善することが可能になる。
【0016】また、発電に利用する溶液は濃度調整後簡
単に貯蔵でき、保存による変質も少ないので、熱源があ
るときに濃厚液および希薄液を製造貯蔵し、電力が必要
なときに濃淡電池を作動させればよいことになる。さら
に、本発明方法では溶液の濃度差が駆動力なので、通常
のスチームタービン発電等に比較して非常に立ち上がり
がよい。この面からも、必要なときに必要な量だけ迅速
にかつ容易に発電できることになる。
単に貯蔵でき、保存による変質も少ないので、熱源があ
るときに濃厚液および希薄液を製造貯蔵し、電力が必要
なときに濃淡電池を作動させればよいことになる。さら
に、本発明方法では溶液の濃度差が駆動力なので、通常
のスチームタービン発電等に比較して非常に立ち上がり
がよい。この面からも、必要なときに必要な量だけ迅速
にかつ容易に発電できることになる。
【0017】このように、本発明方法は、従来の発電シ
ステムを補完する新規な発電法として極めて有効な優れ
た方法であることがわかる。
ステムを補完する新規な発電法として極めて有効な優れ
た方法であることがわかる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明における
発電は、基本的に、膜蒸留による濃厚液と希薄液の調製
と、この濃厚液と希薄液を用いて発電する濃淡電池との
2つのプロセスを有する。
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明における
発電は、基本的に、膜蒸留による濃厚液と希薄液の調製
と、この濃厚液と希薄液を用いて発電する濃淡電池との
2つのプロセスを有する。
【0019】膜蒸留は、気体や蒸気は透過するが液体は
透過しない多孔質膜を用い、膜両側間の蒸気圧差を駆動
力とする分離技術であり、蒸留水の生成等が検討されて
いる。蒸気圧差は、代表的には膜両側に通液される液体
間に温度差をもたせることにより発生される。
透過しない多孔質膜を用い、膜両側間の蒸気圧差を駆動
力とする分離技術であり、蒸留水の生成等が検討されて
いる。蒸気圧差は、代表的には膜両側に通液される液体
間に温度差をもたせることにより発生される。
【0020】この膜蒸留は、たとえばポリ四フッ化エチ
レン(PTFE)やポリフロロエチレン(PFE)、ポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂やポ
リプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の撥水
性の高い樹脂を薄膜状に加工し、両面に貫通する微孔を
形成した、疎水性多孔質膜を用いて行う蒸発法である。
膜の多孔は、たとえば膜の延伸を利用して形成される。
レン(PTFE)やポリフロロエチレン(PFE)、ポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂やポ
リプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の撥水
性の高い樹脂を薄膜状に加工し、両面に貫通する微孔を
形成した、疎水性多孔質膜を用いて行う蒸発法である。
膜の多孔は、たとえば膜の延伸を利用して形成される。
【0021】このような疎水性多孔質膜の両側に、温度
差による蒸気圧差をもつ原液を通液することにより、高
温側の原液からの水蒸気が低温側の原液に膜透過によっ
て移行し、高温側の原液がより高濃度の濃厚液に調製さ
れ、低温側の原液がより低濃度の希薄液に調製される。
さらに高濃度の濃厚液と低濃度の希薄液にしたい場合に
は、この膜蒸留プロセスをくり返せばよく、それによっ
て濃厚液と希薄液との間に大きな濃度差をもたせること
ができる。
差による蒸気圧差をもつ原液を通液することにより、高
温側の原液からの水蒸気が低温側の原液に膜透過によっ
て移行し、高温側の原液がより高濃度の濃厚液に調製さ
れ、低温側の原液がより低濃度の希薄液に調製される。
さらに高濃度の濃厚液と低濃度の希薄液にしたい場合に
は、この膜蒸留プロセスをくり返せばよく、それによっ
て濃厚液と希薄液との間に大きな濃度差をもたせること
ができる。
【0022】調製された濃厚液と希薄液は、そのまま、
あるいは一旦貯留された後必要に応じて、濃淡電池に通
液される。
あるいは一旦貯留された後必要に応じて、濃淡電池に通
液される。
【0023】濃淡電池は濃度の異なる溶液間に発生する
電位差を利用して発電する電池である。たとえばアニオ
ンを透過させるアニオン交換膜とカチオンを透過させる
カチオン交換膜からなるセルペアを有し、各イオンが各
イオン交換膜を透過することにより生じる起電力を利用
するものである。通常、一組のセルペアでは電位差が不
十分なので、数十から数百組のセルペアを重ねて使用す
る。もちろん、交流の商用電源に使用する場合は直流を
交流に変換して接続すればよい。
電位差を利用して発電する電池である。たとえばアニオ
ンを透過させるアニオン交換膜とカチオンを透過させる
カチオン交換膜からなるセルペアを有し、各イオンが各
イオン交換膜を透過することにより生じる起電力を利用
するものである。通常、一組のセルペアでは電位差が不
十分なので、数十から数百組のセルペアを重ねて使用す
る。もちろん、交流の商用電源に使用する場合は直流を
交流に変換して接続すればよい。
【0024】この濃淡電池に、所定濃度に調整された濃
厚液と希薄液を通液することにより発電が行われる。通
液される濃厚液と希薄液の溶媒としては、電解質を溶解
し膜蒸留法で蒸留できれば何でもよいが、通常、水が利
用しやすい。一方、溶質もイオン化が十分に行われ、膜
蒸留で分解されかつ十分な濃度の溶液ができる電解質で
あれば何でもよいが、通常、ナトリウムやリチウムのハ
ロゲン化塩が用いられる。利用する濃度としては、濃厚
液と希薄液の濃度差が大きいほど起電力は高いが、希薄
液の電気抵抗が電源の内部抵抗として作用するので、希
薄液の濃度には下限がある。通常希薄液の濃度は0.5
〜5%程度とし、濃厚液の濃度は希薄液の5〜20倍程
度とするのが好ましい。
厚液と希薄液を通液することにより発電が行われる。通
液される濃厚液と希薄液の溶媒としては、電解質を溶解
し膜蒸留法で蒸留できれば何でもよいが、通常、水が利
用しやすい。一方、溶質もイオン化が十分に行われ、膜
蒸留で分解されかつ十分な濃度の溶液ができる電解質で
あれば何でもよいが、通常、ナトリウムやリチウムのハ
ロゲン化塩が用いられる。利用する濃度としては、濃厚
液と希薄液の濃度差が大きいほど起電力は高いが、希薄
液の電気抵抗が電源の内部抵抗として作用するので、希
薄液の濃度には下限がある。通常希薄液の濃度は0.5
〜5%程度とし、濃厚液の濃度は希薄液の5〜20倍程
度とするのが好ましい。
【0025】図1に、本発明の第1実施態様に係る発電
装置の構成を示す。図1において、1は発電装置全体を
示しており、2は、原液3(たとえば、溶媒が水、溶質
がNaClの原液)を収容した原液タンクを示してい
る。原液タンク2からの原液3は、途中で分流され、そ
の一方は加熱器4で加熱された後、他方は冷却器5で冷
却された後、それぞれ、膜蒸留手段としての膜蒸留モジ
ュール6に供給される。加熱器4による加熱は、100
℃以下の加熱、つまり、沸騰を伴わない加熱で十分であ
る。
装置の構成を示す。図1において、1は発電装置全体を
示しており、2は、原液3(たとえば、溶媒が水、溶質
がNaClの原液)を収容した原液タンクを示してい
る。原液タンク2からの原液3は、途中で分流され、そ
の一方は加熱器4で加熱された後、他方は冷却器5で冷
却された後、それぞれ、膜蒸留手段としての膜蒸留モジ
ュール6に供給される。加熱器4による加熱は、100
℃以下の加熱、つまり、沸騰を伴わない加熱で十分であ
る。
【0026】膜蒸留モジュール6は、内部を蒸気透過膜
7によって隔成したもの(たとえば平板型やスパイラル
型)からなり、一方の室8aに加熱された原液が、他方
の室8bに冷却された原液が、つまり温度差を有する各
原液がそれぞれの室8a、8bに導入される。膜蒸留モ
ジュール6内では、蒸気透過膜7を介して加熱側原液か
ら冷却側原液へ蒸気圧差に基づき水蒸気のみが移動する
結果、加熱側原液は濃縮されて濃厚液に調製され、冷却
側原液は希釈されて希薄液に調製される。図1では、1
個の膜蒸留モジュール6を模式的に示してあるが、通常
1回の膜蒸留操作では十分な濃縮率が得られないことが
多いので、必要に応じて、複数の膜蒸留モジュールを直
列に設置するか、循環経路に形成することにより複数回
操作できるようにし、目標とする濃度になるまで濃縮を
くり返すことが好ましい。膜蒸留モジュール6で希釈さ
れる溶液についても、同様に操作することにより、たと
えば、加熱側原液、冷却側原液のNaClの濃度が30
g/1000gである場合、膜蒸留モジュール6におい
て蒸気透過膜7を介して加熱側原液から冷却側原液に8
00gのH2 Oを移動させると、調製される濃厚液のN
aClの濃度は30g/200gとなり、希薄液の濃度
は30g/1800gとなる。なお、かかる複数モジュ
ールの直列設置、あるいは循環経路に形成する構成につ
いては、後述の実施態様においても同様に採用すること
ができる。
7によって隔成したもの(たとえば平板型やスパイラル
型)からなり、一方の室8aに加熱された原液が、他方
の室8bに冷却された原液が、つまり温度差を有する各
原液がそれぞれの室8a、8bに導入される。膜蒸留モ
ジュール6内では、蒸気透過膜7を介して加熱側原液か
ら冷却側原液へ蒸気圧差に基づき水蒸気のみが移動する
結果、加熱側原液は濃縮されて濃厚液に調製され、冷却
側原液は希釈されて希薄液に調製される。図1では、1
個の膜蒸留モジュール6を模式的に示してあるが、通常
1回の膜蒸留操作では十分な濃縮率が得られないことが
多いので、必要に応じて、複数の膜蒸留モジュールを直
列に設置するか、循環経路に形成することにより複数回
操作できるようにし、目標とする濃度になるまで濃縮を
くり返すことが好ましい。膜蒸留モジュール6で希釈さ
れる溶液についても、同様に操作することにより、たと
えば、加熱側原液、冷却側原液のNaClの濃度が30
g/1000gである場合、膜蒸留モジュール6におい
て蒸気透過膜7を介して加熱側原液から冷却側原液に8
00gのH2 Oを移動させると、調製される濃厚液のN
aClの濃度は30g/200gとなり、希薄液の濃度
は30g/1800gとなる。なお、かかる複数モジュ
ールの直列設置、あるいは循環経路に形成する構成につ
いては、後述の実施態様においても同様に採用すること
ができる。
【0027】このように調製された濃厚液9と希薄液1
0は、本実施態様では、一旦貯留タンク11、12に貯
蔵される。この貯留タンク11、12から、必要に応じ
て、要求される量、要求されるタイミングで、濃淡電池
13に濃厚液9と希薄液10が通液される。
0は、本実施態様では、一旦貯留タンク11、12に貯
蔵される。この貯留タンク11、12から、必要に応じ
て、要求される量、要求されるタイミングで、濃淡電池
13に濃厚液9と希薄液10が通液される。
【0028】濃淡電池13は、その内部にアニオンを透
過するアニオン交換膜14と、カチオンを透過するカチ
オン交換膜15が配置されており、これらイオン交換膜
で隔成される一方の室に濃厚液9が、他方の室に希薄液
10が通液される。両溶液に濃度差があるために、アニ
オン(本実施態様ではCl- )はアニオン交換膜14を
透過し、カチオン(本実施態様ではNa+ )はカチオン
交換膜15を透過して、それぞれ濃厚液9から希薄液1
0へと移動する。このとき、電位差が発生し、それに基
づく起電力が発生する。この起電力により、プラス極1
6とマイナス極17との間で、ある電圧と電流を有する
電力が取り出され、発電が行われることになる。
過するアニオン交換膜14と、カチオンを透過するカチ
オン交換膜15が配置されており、これらイオン交換膜
で隔成される一方の室に濃厚液9が、他方の室に希薄液
10が通液される。両溶液に濃度差があるために、アニ
オン(本実施態様ではCl- )はアニオン交換膜14を
透過し、カチオン(本実施態様ではNa+ )はカチオン
交換膜15を透過して、それぞれ濃厚液9から希薄液1
0へと移動する。このとき、電位差が発生し、それに基
づく起電力が発生する。この起電力により、プラス極1
6とマイナス極17との間で、ある電圧と電流を有する
電力が取り出され、発電が行われることになる。
【0029】上記電圧(電位差)は、両溶液の濃度比の
関数となり、たとえば一対のセル(セルペア)で10倍
の濃度比の場合、約0.12Vとなる。したがって、た
とえば1000対のセルを重ねることにより、約120
Vの起電力を発生させることができる。このセルを重ね
る構成は、たとえば図2に模式的に示すように、濃淡電
池13a内にアニオン交換膜14aとカチオン交換膜1
5aを複数交互に配設し、それらイオン交換膜によって
隔成される一方の室に濃厚液9を、他方の室に希薄液1
0を通液できるようにすることによって達成される。
関数となり、たとえば一対のセル(セルペア)で10倍
の濃度比の場合、約0.12Vとなる。したがって、た
とえば1000対のセルを重ねることにより、約120
Vの起電力を発生させることができる。このセルを重ね
る構成は、たとえば図2に模式的に示すように、濃淡電
池13a内にアニオン交換膜14aとカチオン交換膜1
5aを複数交互に配設し、それらイオン交換膜によって
隔成される一方の室に濃厚液9を、他方の室に希薄液1
0を通液できるようにすることによって達成される。
【0030】なお、濃淡電池13通液後の濃厚液9、希
薄液10の濃度が均衡している場合、あるいは濃厚液
9、希薄液10が混合される場合には、それら溶液は再
度本プロセスの原液として利用することが可能である。
薄液10の濃度が均衡している場合、あるいは濃厚液
9、希薄液10が混合される場合には、それら溶液は再
度本プロセスの原液として利用することが可能である。
【0031】なお、図1においては、説明の簡素化のた
めに送液ポンプは図示されていないが、これらポンプは
適当な箇所に配置すればよい。
めに送液ポンプは図示されていないが、これらポンプは
適当な箇所に配置すればよい。
【0032】このような発電装置1においては、膜蒸留
プロセスによって調製された濃厚液9と希薄液10を濃
淡電池13に通液することにより、目標とする発電が行
われる。また、膜蒸留プロセスと濃淡電池13のプロセ
スとの間に濃厚液9と希薄液10の貯留タンク11、1
2を設けてあるので必要に応じて発電を行うことができ
る。
プロセスによって調製された濃厚液9と希薄液10を濃
淡電池13に通液することにより、目標とする発電が行
われる。また、膜蒸留プロセスと濃淡電池13のプロセ
スとの間に濃厚液9と希薄液10の貯留タンク11、1
2を設けてあるので必要に応じて発電を行うことができ
る。
【0033】また、本実施態様では、たとえば次のよう
な付加要素を追加することも可能である。濃厚液9と希
薄液10とに、より濃度差をもたせたい場合、たとえば
図1に2点鎖線で示すように、別の膜蒸留モジュール2
0を設け、原液タンク21からの原液22を膜蒸留して
蒸留水23、または超希薄液を生成し、その蒸留水23
を希薄液10の濃度調整用に用いることが可能である。
な付加要素を追加することも可能である。濃厚液9と希
薄液10とに、より濃度差をもたせたい場合、たとえば
図1に2点鎖線で示すように、別の膜蒸留モジュール2
0を設け、原液タンク21からの原液22を膜蒸留して
蒸留水23、または超希薄液を生成し、その蒸留水23
を希薄液10の濃度調整用に用いることが可能である。
【0034】図3は、本発明の第2実施態様に係る発電
装置31を示しており、発電所の復水廃熱を熱源に利用
した場合を示している。本実施態様においては、発電所
の蒸気タービン等からの蒸気を、復水器32で冷却する
際に、たとえば冷却水として海水を用い、復水器32で
加熱された海水33を膜蒸留モジュール34における濃
厚液調製用原液(高温側原液)として供給する。また、
膜蒸留モジュール34の低温側原液としても海水が用い
られる。膜蒸留モジュール34では、蒸気透過膜35を
介してH2 Oが加熱海水33から低温側海水に移動し、
加熱海水33が濃縮されて濃厚液として調製される。
装置31を示しており、発電所の復水廃熱を熱源に利用
した場合を示している。本実施態様においては、発電所
の蒸気タービン等からの蒸気を、復水器32で冷却する
際に、たとえば冷却水として海水を用い、復水器32で
加熱された海水33を膜蒸留モジュール34における濃
厚液調製用原液(高温側原液)として供給する。また、
膜蒸留モジュール34の低温側原液としても海水が用い
られる。膜蒸留モジュール34では、蒸気透過膜35を
介してH2 Oが加熱海水33から低温側海水に移動し、
加熱海水33が濃縮されて濃厚液として調製される。
【0035】膜蒸留モジュール34で濃厚液として濃縮
された海水36は、濃淡電池37に通液される。濃淡電
池37には、前記第1実施態様同様アニオン交換膜38
とカチオン交換膜39が配置され、これらイオン交換膜
によって隔成された一方の室に濃縮海水36が、他方の
室に通常の海水が通液されて、第1実施態様と同じ原理
によって発電される。濃淡電池37で使用後の濃縮海水
36は海へ排出される。なお、濃淡電池37の上記他方
の室には、上記のように海水をそのまま通液させてもよ
いし、図3の2点鎖線で示したライン40で示すよう
に、膜蒸留モジュール34で生成された希薄液を導入し
てもよい。
された海水36は、濃淡電池37に通液される。濃淡電
池37には、前記第1実施態様同様アニオン交換膜38
とカチオン交換膜39が配置され、これらイオン交換膜
によって隔成された一方の室に濃縮海水36が、他方の
室に通常の海水が通液されて、第1実施態様と同じ原理
によって発電される。濃淡電池37で使用後の濃縮海水
36は海へ排出される。なお、濃淡電池37の上記他方
の室には、上記のように海水をそのまま通液させてもよ
いし、図3の2点鎖線で示したライン40で示すよう
に、膜蒸留モジュール34で生成された希薄液を導入し
てもよい。
【0036】濃淡電池37で使用済の希薄液側の海水4
1は、本実施態様では、さらに復水器32の下流側に接
続された熱交換器42に通され、復水器32からの復水
の冷却に供される。この熱交換器42による冷却プロセ
スは、とくに設けなくてもよいが、このようにすること
によって、さらにその下流側に接続された復水脱塩装置
43への通液温度を好適な温度にまで容易に降温させる
ことができるようになる。すなわち、復水脱塩装置43
には、通常、60℃程度の作動上限温度が存在するの
で、この上限温度以下に確実に降温させることができる
ようになる。
1は、本実施態様では、さらに復水器32の下流側に接
続された熱交換器42に通され、復水器32からの復水
の冷却に供される。この熱交換器42による冷却プロセ
スは、とくに設けなくてもよいが、このようにすること
によって、さらにその下流側に接続された復水脱塩装置
43への通液温度を好適な温度にまで容易に降温させる
ことができるようになる。すなわち、復水脱塩装置43
には、通常、60℃程度の作動上限温度が存在するの
で、この上限温度以下に確実に降温させることができる
ようになる。
【0037】なお、図3においても、説明の簡略化のた
めに送液ポンプの図示を省略しているが、これらポンプ
は適当な箇所に配置すればよい。
めに送液ポンプの図示を省略しているが、これらポンプ
は適当な箇所に配置すればよい。
【0038】このように構成された第2実施態様に係る
発電装置31においては、膜蒸留に際して、復水の冷却
を利用して海水を加熱するので、従来無駄に捨てられて
いた復水の廃熱を熱源として有効に活用することがで
き、回収された熱エネルギーを最終的に濃淡電池37で
の発電に利用することができる。その結果、発電所全体
としての熱効率が高められる。発電装置31の仕様にも
よるが、総合熱効率として2〜3%高めることが可能に
なる。
発電装置31においては、膜蒸留に際して、復水の冷却
を利用して海水を加熱するので、従来無駄に捨てられて
いた復水の廃熱を熱源として有効に活用することがで
き、回収された熱エネルギーを最終的に濃淡電池37で
の発電に利用することができる。その結果、発電所全体
としての熱効率が高められる。発電装置31の仕様にも
よるが、総合熱効率として2〜3%高めることが可能に
なる。
【0039】図4は、本発明の第3実施態様に係る発電
装置51を示しており、装置内の回路を閉回路に構成し
た場合を示している。図4において、52は膜蒸留モジ
ュール、53は濃淡電池、54は加熱器、55は冷却器
を示しており、それぞれ模式的に示してある。また、送
液ポンプは、説明の簡略化のために図示を省略してあ
る。
装置51を示しており、装置内の回路を閉回路に構成し
た場合を示している。図4において、52は膜蒸留モジ
ュール、53は濃淡電池、54は加熱器、55は冷却器
を示しており、それぞれ模式的に示してある。また、送
液ポンプは、説明の簡略化のために図示を省略してあ
る。
【0040】全体として閉回路に構成されているので、
図4のA点を起点に説明する。A点においては、濃淡電
池53で塩類濃度が上昇した濃厚液用原液となってお
り、この原液を加熱器54で加熱して膜蒸留モジュール
52に供給する。膜蒸留モジュール52内では、蒸気移
動が透過膜56を介して行われ、必要な濃度にまで濃縮
されて濃厚液に調製され、該濃厚液が濃淡電池53に供
給される。濃淡電池53内においては、イオン交換膜5
7を介して塩類(イオン)は濃厚液から希薄液に移動
し、そのときに起電力が発生して発電される。濃度が低
下した溶液は、冷却器55で冷却された後、膜蒸留モジ
ュール52に供給され、高温側の溶液からの蒸気(H2
O)を吸収して希薄液となる。この希薄液が濃淡電池5
3の希薄液側に供給され、濃厚液側から移動してくる塩
類を吸収してA点における濃厚液用原液となる。
図4のA点を起点に説明する。A点においては、濃淡電
池53で塩類濃度が上昇した濃厚液用原液となってお
り、この原液を加熱器54で加熱して膜蒸留モジュール
52に供給する。膜蒸留モジュール52内では、蒸気移
動が透過膜56を介して行われ、必要な濃度にまで濃縮
されて濃厚液に調製され、該濃厚液が濃淡電池53に供
給される。濃淡電池53内においては、イオン交換膜5
7を介して塩類(イオン)は濃厚液から希薄液に移動
し、そのときに起電力が発生して発電される。濃度が低
下した溶液は、冷却器55で冷却された後、膜蒸留モジ
ュール52に供給され、高温側の溶液からの蒸気(H2
O)を吸収して希薄液となる。この希薄液が濃淡電池5
3の希薄液側に供給され、濃厚液側から移動してくる塩
類を吸収してA点における濃厚液用原液となる。
【0041】このような閉回路構成とすることにより、
外部に対して溶質、溶媒の出入りが無く、熱を回収しな
がら発電することが可能になる。
外部に対して溶質、溶媒の出入りが無く、熱を回収しな
がら発電することが可能になる。
【0042】なお、上述の実施態様では、膜蒸留モジュ
ールとして、透過膜を介して加熱された原液と冷却され
た原液とを直接接触させる、いわゆる直接接触方式の膜
蒸留モジュールを用いた例について説明したが、本発明
に用いる膜蒸留モジュールとしてはこれに限定されず、
たとえば図6に示すような間接接触方式(ガスギャップ
方式)の膜蒸留モジュールを用いることもできる。
ールとして、透過膜を介して加熱された原液と冷却され
た原液とを直接接触させる、いわゆる直接接触方式の膜
蒸留モジュールを用いた例について説明したが、本発明
に用いる膜蒸留モジュールとしてはこれに限定されず、
たとえば図6に示すような間接接触方式(ガスギャップ
方式)の膜蒸留モジュールを用いることもできる。
【0043】図6はガスギャップ方式の膜蒸留モジュー
ルの原理を説明するための概略構成図であり、図1に示
した直接接触方式の膜蒸留モジュール6と異なる点は、
膜蒸留モジュール70内に、蒸気透過膜71との間に中
空のギャップ72を持たせて冷却板73を設けた点にあ
る。
ルの原理を説明するための概略構成図であり、図1に示
した直接接触方式の膜蒸留モジュール6と異なる点は、
膜蒸留モジュール70内に、蒸気透過膜71との間に中
空のギャップ72を持たせて冷却板73を設けた点にあ
る。
【0044】この膜蒸留モジュール70においては、加
熱器74で加熱された原液が蒸気透過膜71と膜蒸留モ
ジュール70本体の側壁との間に形成された室76a
に、また、冷却器75で冷却された原液が冷却板73と
膜蒸留モジュール70本体の側壁との間に形成された室
76bにそれぞれ導入される。
熱器74で加熱された原液が蒸気透過膜71と膜蒸留モ
ジュール70本体の側壁との間に形成された室76a
に、また、冷却器75で冷却された原液が冷却板73と
膜蒸留モジュール70本体の側壁との間に形成された室
76bにそれぞれ導入される。
【0045】膜蒸留モジュール70内では、蒸気透過膜
71を介して加熱側原液からギャップ72側に水蒸気の
みが移動し、移動した水蒸気は室76b内を流れる冷却
側原液により、冷却板73を介して間接的に冷却されて
凝縮水(蒸留水)となり、ギャップ72から流出する。
流出した凝縮水は、室76bから流出した冷却側原液と
混合されて希薄液に調製され、一方、室76aから流出
した加熱側原液は水蒸気が移動した結果、濃縮されて濃
厚液に調製される。
71を介して加熱側原液からギャップ72側に水蒸気の
みが移動し、移動した水蒸気は室76b内を流れる冷却
側原液により、冷却板73を介して間接的に冷却されて
凝縮水(蒸留水)となり、ギャップ72から流出する。
流出した凝縮水は、室76bから流出した冷却側原液と
混合されて希薄液に調製され、一方、室76aから流出
した加熱側原液は水蒸気が移動した結果、濃縮されて濃
厚液に調製される。
【0046】
【実施例】本発明による作用、効果を確認するために、
ベンチスケールで以下のような実験を行った。まず、図
5に示す装置を用いて膜蒸留に関する実験を実施した。
図5において、61は膜蒸留モジュール、62、63は
溶液タンク、64、65は循環ポンプ66は加熱器、6
7は冷却器をそれぞれ示している。膜蒸留モジュール6
1として、ヘキスト社(現セパレーションプロダクト
社)製の“リキセル”2.5インチタイプ(ポリプロピ
レン膜、1.4m2 )を用い、溶液タンク62、63に
収容する溶液の溶媒に水、溶質にNaClを用いた。各
部の温度、流量を図5に示すようにコントロールし、処
理スタート時の溶液の濃度に対し、所定時間処理を行っ
た後の濃厚液、希薄液側の濃度がどのように変化するか
を調べた。結果を表1に示す。
ベンチスケールで以下のような実験を行った。まず、図
5に示す装置を用いて膜蒸留に関する実験を実施した。
図5において、61は膜蒸留モジュール、62、63は
溶液タンク、64、65は循環ポンプ66は加熱器、6
7は冷却器をそれぞれ示している。膜蒸留モジュール6
1として、ヘキスト社(現セパレーションプロダクト
社)製の“リキセル”2.5インチタイプ(ポリプロピ
レン膜、1.4m2 )を用い、溶液タンク62、63に
収容する溶液の溶媒に水、溶質にNaClを用いた。各
部の温度、流量を図5に示すようにコントロールし、処
理スタート時の溶液の濃度に対し、所定時間処理を行っ
た後の濃厚液、希薄液側の濃度がどのように変化するか
を調べた。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示すように、実験開始時に同一濃度
の溶液が、膜蒸留により、濃厚液と希薄液に分離できる
ことが明らかになった。これは、膜蒸留により、水温の
高い液から水蒸気が発生し水温の低い液に吸収された結
果である。
の溶液が、膜蒸留により、濃厚液と希薄液に分離できる
ことが明らかになった。これは、膜蒸留により、水温の
高い液から水蒸気が発生し水温の低い液に吸収された結
果である。
【0049】次に、小型の濃淡電池を用いて発電実験を
行った。濃淡電池には、10cm×20cm(=200
cm2 )のアニオン交換膜およびカチオン交換膜からな
るセルペアを40組組み込んだものを用い、膜間距離を
規制するガスケットには0.75mm厚のものを、電極
には白金メッシュ(1mm間隔のメッシュ)を用いた。
溶質がNaCl、溶媒が水からなる濃厚液と希薄液を流
量20l/hで通液したときに得られる電圧(V)と電
流(A)を測定した。結果を表2に示す。なお、表2に
おける実験No.5では、前記表1における実験No.
1で得られた溶液を、実験No.6では、表1における
実験No.2で得られた溶液を、それぞれ用いた。
行った。濃淡電池には、10cm×20cm(=200
cm2 )のアニオン交換膜およびカチオン交換膜からな
るセルペアを40組組み込んだものを用い、膜間距離を
規制するガスケットには0.75mm厚のものを、電極
には白金メッシュ(1mm間隔のメッシュ)を用いた。
溶質がNaCl、溶媒が水からなる濃厚液と希薄液を流
量20l/hで通液したときに得られる電圧(V)と電
流(A)を測定した。結果を表2に示す。なお、表2に
おける実験No.5では、前記表1における実験No.
1で得られた溶液を、実験No.6では、表1における
実験No.2で得られた溶液を、それぞれ用いた。
【0050】
【表2】
【0051】表2からわかるように、同一濃度の濃厚液
を用いる場合、希薄液は希薄な方が起電力が高くなるが
電流値は低くなる傾向が観察された。これは希薄液の電
気抵抗が内部抵抗になっているためと思われる。そのた
め、濃厚液の濃度を高めた実験を行った結果(実験N
o.6)、起電圧および電流値ともに高い値を記録し
た。これは濃度比を保ちつつ、希薄液の濃度を高くし
て、希薄液による内部抵抗を低く抑えることができたた
めと推定される。
を用いる場合、希薄液は希薄な方が起電力が高くなるが
電流値は低くなる傾向が観察された。これは希薄液の電
気抵抗が内部抵抗になっているためと思われる。そのた
め、濃厚液の濃度を高めた実験を行った結果(実験N
o.6)、起電圧および電流値ともに高い値を記録し
た。これは濃度比を保ちつつ、希薄液の濃度を高くし
て、希薄液による内部抵抗を低く抑えることができたた
めと推定される。
【0052】また、表1、表2に示した実験結果より、
本発明に係る基本技術思想にて、確実に所望の発電を行
うことができることが確認された。
本発明に係る基本技術思想にて、確実に所望の発電を行
うことができることが確認された。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の発電方法
および装置によれば、膜蒸留プロセスと濃淡電池とを組
み合わせた構成により、容易に所望の発電を行うことが
でき、かつ、その発電を必要に応じて行うことが可能に
なる。
および装置によれば、膜蒸留プロセスと濃淡電池とを組
み合わせた構成により、容易に所望の発電を行うことが
でき、かつ、その発電を必要に応じて行うことが可能に
なる。
【0054】この本発明に係る発電方法および装置は、
単独に用いる方法および装置としてももちろん有効なも
のであるが、とくに、発電所における熱効率の低さを補
い、総合熱効率を高めるのに極めて有用である。
単独に用いる方法および装置としてももちろん有効なも
のであるが、とくに、発電所における熱効率の低さを補
い、総合熱効率を高めるのに極めて有用である。
【図1】本発明の第1実施態様に係る発電装置の概略構
成図である。
成図である。
【図2】図1の濃淡電池の構成例を示す概略構成図であ
る。
る。
【図3】本発明の第2実施態様に係る発電装置の概略構
成図である。
成図である。
【図4】本発明の第3実施態様に係る発電装置の概略構
成図である。
成図である。
【図5】実施例の膜蒸留実験に用いた装置の概略構成図
である。
である。
【図6】ガスギャップ方式の膜蒸留モジュールの一例を
示す概略構成図である。
示す概略構成図である。
1、31、51 発電装置 2 原液タンク 3 原液 4、54、66、74 加熱器 5、55、67、75 冷却器 6、34、52、61、70 膜蒸留モジュール 7、35、56、71 蒸気透過膜 9 濃厚液 10 希薄液 11、12 貯留タンク 13、13a、37、53 濃淡電池 14、14a アニオン交換膜 15、15a カチオン交換膜 16、17 電極 20 別の膜蒸留モジュール 21 原液タンク 22 原液 23 蒸留水 32 復水器 33、41 海水 36 濃縮海水 42 熱交換器 43 復水脱塩装置 57 イオン交換膜 62、63 溶液タンク 64、65 循環ポンプ 72 ギャップ 73 冷却板
Claims (17)
- 【請求項1】 膜蒸留により調製した濃厚液と希薄液を
濃淡電池に通液して発電することを特徴とする発電方
法。 - 【請求項2】 調製した濃厚液と希薄液をそれぞれ一旦
貯留した後濃淡電池に通液する、請求項1の発電方法。 - 【請求項3】 前記希薄液の濃度を、別の系に係る膜蒸
留により調製した蒸留水または希薄液を用いて調整す
る、請求項1または2の発電方法。 - 【請求項4】 前記膜蒸留を、蒸気透過膜の各面側に温
度差をもたせた原液をそれぞれ通液することにより行
う、請求項1ないし3のいずれかに記載の発電方法。 - 【請求項5】 通液する高温側の原液を100℃以下に
加熱する、請求項4の発電方法。 - 【請求項6】 高温側の原液の加熱に発電所の復水器の
復水の廃熱を用いる、請求項4または5の発電方法。 - 【請求項7】 低温側の原液の冷却に海水を用いる、請
求項4ないし6のいずれかに記載の発電方法。 - 【請求項8】 廃熱が回収された復水をさらに海水で冷
却する、請求項6または7の発電方法。 - 【請求項9】 海水で冷却された復水を復水脱塩装置に
供給する、請求項8の発電方法。 - 【請求項10】 前記濃厚液と希薄液の調製用原液に海
水を用いる、請求項1ないし9のいずれかに記載の発電
方法。 - 【請求項11】 濃淡電池通液後の濃厚液を膜蒸留の冷
却側に還流して希薄液となし、濃淡電池通液後の希薄液
を膜蒸留の加熱側に還流して濃厚液となし、溶媒および
溶質に関し全体として閉回路の流路に構成して発電す
る、請求項1、2、4ないし10のいずれかに記載の発
電方法。 - 【請求項12】 膜蒸留手段と、膜蒸留手段により調製
した濃厚液と希薄液を通液する濃淡電池とを有すること
を特徴とする発電装置。 - 【請求項13】 膜蒸留手段と濃淡電池の間に、調製し
た濃厚液と希薄液をそれぞれ一旦貯留する手段を有す
る、請求項12の発電装置。 - 【請求項14】 膜蒸留手段に供給する濃厚液用原液を
加熱する手段を有する、請求項12または13の発電装
置。 - 【請求項15】 膜蒸留手段に供給する希薄液用原液を
冷却する手段を有する、請求項12ないし14のいずれ
かに記載の発電装置。 - 【請求項16】 膜蒸留手段が複数の膜蒸留モジュール
を備えている、請求項12ないし15のいずれかに記載
の発電装置。 - 【請求項17】 濃淡電池が、アニオン交換膜とカチオ
ン交換膜からなるセルペアを複数組備えている、請求項
12ないし16のいずれかに記載の発電装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13611798A JPH11317247A (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 発電方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13611798A JPH11317247A (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 発電方法および装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11317247A true JPH11317247A (ja) | 1999-11-16 |
Family
ID=15167709
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13611798A Pending JPH11317247A (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 発電方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11317247A (ja) |
Cited By (6)
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---|---|---|---|---|
JP2011523763A (ja) * | 2008-05-27 | 2011-08-18 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | マイクロシステムへの電力供給 |
JP2012046422A (ja) * | 2011-11-02 | 2012-03-08 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 製塩装置及び製塩方法 |
WO2012061429A2 (en) * | 2010-11-02 | 2012-05-10 | Fabio La Mantia | Batteries for efficient energy extraction from a salinity difference |
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WO2022137749A1 (ja) * | 2020-12-22 | 2022-06-30 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 湿度変動を利用した発電方法及び発電素子 |
-
1998
- 1998-04-30 JP JP13611798A patent/JPH11317247A/ja active Pending
Cited By (10)
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