JPH11315710A - エンジン用オイルフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉に成形されているケースを変形させるこ
となく容易に取り外すことができるエンジン用オイルフ
ィルタを提供する。 【解決手段】 一方の端部に開口部が形成されたカップ
状のケース２内にフィルタ部材３が配置され、前記開口
部を密閉している端板の中心部に形成されている雌ネジ
部を、エンジン側の雄ネジ部に螺合して取付けられるエ
ンジン用オイルフィルタ１であって、前記ケース頂面５
にオイルフィルタ１を回動させてエンジンに対して着脱
するための工具１０が係合する工具受け部材６を固着し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等のエンジ
ンに用いられるオイルフィルタの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車等のエンジンにおいては、
エンジン底部に設けられているオイルパンに貯留されて
いるオイルをオイルポンプでエンジン各部へ循環させる
途中で、オイルフィルタを通過させて、オイル内に混入
したカーボンや摩耗金属粉等の汚れを取り除いている。

【０００３】図３は従来のオイルフィルタの一例を示
す、実開昭６１−１９８５０９号公報に記載されている
オイルフィルタの断面図であって、オイルフィルタＡ１
は、エンジンのシリンダブロックＡ２のクランクケース
上部側方に設けられたブラケットＡ３から外方に突出す
る取付フランジＡ４に、ホルダＡ５を介して固定されて
いる。

【０００４】また、ブラケットＡ３から取付フランジＡ
４の中央部を貫通して油路Ａ６が形成されており、取付
フランジＡ４の油路Ａ６内周に形成された雌ネジ部に、
ホルダＡ５外周に形成された一方の雄ネジ部が螺合され
て、ホルダＡ５が取付フランジＡ４に固定されている。

【０００５】前記ホルダＡ５は、前記油路Ａ６に連通す
る中空状に形成されていて、その外周に形成されている
他方の雄ネジ部をオイルフィルタＡ１の端板Ａ７中央に
形成されている雌ネジ部に螺合させることにより、オイ
ルフィルタＡ１が取付けフランジＡ４に締付け固定され
るようになっている。

【０００６】オイルフィルタＡ１は、外側のケースＡ８
内にフィルタ部材Ａ９が内蔵されており、バネＡ１０、
Ａ１１によってケースＡ８の頂部内面と端板Ａ７との間
に支持されている。

【０００７】また、取付フランジＡ４には端板Ａ７との
間で油路Ａ１２が画成されており、前記油路Ａ１２は端
板Ａ７に形成されている油孔Ａ１３を介してフィルタ部
材Ａ９とケースＡ８内壁との間の空間に連通している。

【０００８】前記構成において、図示しないオイルポン
プから油路Ａ１２を通って供給されたオイルは、油孔Ａ
１３からケースＡ８とフィルタ部材Ａ９間に流入し、前
記フィルタ部材Ａ９で汚れが濾過され、さらにホルダＡ
５内を通って油路Ａ６からクランクジャーナル部や動弁
機構の各潤滑部へ供給される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】前述したような、従来
のオイルフィルタにおいては、オイルフィルタを新しい
ものと交換する際に、エンジン側に堅くねじ結合されて
いるため、ケースの側面上部の断面多角形状に形成され
ている部分に適合する断面多角形状の凹部が形成された
カップ状の専用工具を被せて回したり、実開昭６２−１
６２３２２号公報に記載されているような、ハンドル先
端部に取り付けたベルトでオイルフィルタのケース外周
面を締め付けてハンドルを回して、ベルトとケース外周
面との摩擦によってオイルフィルタを取り外すようにし
ていた。

【００１０】しかしながら、オイルフィルタのケースは
薄鋼板を成形加工して製造されているため、エンジン側
に堅く螺着されている場合には、レンチ等の工具で無理
に緩めようとすると、ケースが変形して取り外すことが
できなくなる恐れがあった。

【００１１】また、オイルフィルタは、エンジン側部や
下部の補助機器や付属部品等が多数配置されている場所
に取り付けられているため、これらの機器や部品類の間
にケースが没入していたり、ケース頂部に対向する部材
が存在する場合が多く、前述したような従来の工具で
は、オイルフィルタを回して取外す作業が困難となる場
合があった。

【００１２】そこで、本発明は、前述したような従来技
術における問題を解消し、薄肉に成形されているケース
を変形させることなく容易に取り外すことができるエン
ジン用オイルフィルタを提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】前記目的のため、本発明
のエンジン用オイルフィルタは、一方の端部に開口部が
形成されたカップ状のケース内にフィルタ部材が配置さ
れ、前記開口部を密閉している端板の中心部に形成され
ている雌ネジ部をエンジン側の雄ネジ部に螺合して取付
けられるものであって、ケース頂面にオイルフィルタを
回動させてエンジンに対して着脱するための工具が係合
する工具受け部材を固着している。

【００１４】前記オイルフィルタにおいては、工具受け
部材が工具に設けられた非円形係合凸部に適合する工具
係合凹部を有していることが望ましい。また、工具受け
部材が工具に設けられた非円形係合凹部に適合する工具
係合凸部を有していることも望ましい。さらに、前記工
具受け部材はケースとの当接面の周囲がスポット溶接に
よって前記ケースに固着されていることも望ましい。

【００１５】

【作用】オイルフィルタをエンジンに装着する場合に
は、オイルフィルタの端板中心部に形成されている雌ネ
ジ部をエンジン側の雄ネジ部に合わせて手で回して螺合
させ、さらに、工具受け部材に工具を係合させてオイル
フィルタがエンジン側に完全に固定されるまで回動させ
て締め付ける。

【００１６】工具から工具受け部材に伝達される締付け
トルクは、工具受け部材からケース頂面に均一に分散し
て伝達され、ケース外周には円周方向に均一なせん断力
のみが作用するため、ケースは変形することなく容易且
つ確実に締め付け固定される。

【００１７】また、オイルフィルタをエンジンから取外
すときには、工具受け部材に工具を係合させて回動させ
る。このときも締付け時と同様に、工具からケースが受
けるトルクは、工具受け部材で均一に分散され、しかも
ケース頂面が工具受け部材によって補強されているた
め、ケースは変形することなく、オイルフィルタをエン
ジンから容易に取外すことができる。

【００１８】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図１は、本発明のエンジン用オイルフィルタの１
実施例を示す斜視図、図２は、その部分断面図であっ
て、オイルフィルタ１は薄肉鋼板を絞り加工して形成さ
れた一方の端部に開口部を有するカップ状のケース２を
有している。前記ケース２の内部にはオイルの汚れを濾
過するフィルタ部材３が設けられており、前述した従来
のオイルフィルタと同様にしてエンジンオイルの濾過を
行う。

【００１９】オイルフィルタ１は、従来のものと同様に
ケース２の開口部を塞いでいる端板４の中心部に形成さ
れている図示しない雌ネジ部を、これも図示しないエン
ジン側の雄ネジ部にオイルフィルタ１全体を回動させて
螺合することにより、エンジンに固定する。

【００２０】ケース頂面５は略平坦に形成されており、
ここに工具受け部材６が固定されている。前記工具受け
部材６は、ケース頂面５の略全体を底面が覆っている鍔
部７とボルト頭部と同様な偏平六角柱状の工具係合凸部
８が一体に形成されており、また、前記工具係合凸部８
の中心部には、断面角形の工具係合凹部９が形成されて
いる。

【００２１】工具受け部材６の鍔部７の外周縁部は、ケ
ース頂面５にスポット溶接Ｓによって強固に固着されて
おり、薄肉で変形し易いケース頂面５を補強してケース
２の剛性を高めている。なお、この実施例においては、
工具受け部材６は一般のボルトやナットと同等の強度を
有する鋼材で形成されている。

【００２２】前述したように構成されているオイルフィ
ルタ１をエンジンに装着する作業は、そのケース２の開
口部を密閉している端板４の中心部に形成されている図
示していない雌ネジ部を、これも図示していないエンジ
ン側の雄ネジ部に合わせて手で回動が可能な位置までね
じ込み、さらに、工具受け部材６に工具１０を係合させ
てオイルフィルタ１がエンジン側に完全に固定されるま
で回動させて締め付ける。

【００２３】なお、図２に示す工具１０はラチェットレ
ンチであり、その係合凸部１１は工具受け部材６の工具
係合凹部９に適合する断面角形の柱状に形成されている
ものが用いられているが、工具係合凸部８にスパナを係
合させてオイルフィルタ１を回動させることもできる。

【００２４】また、エンジン側に固く締付け固定されて
いるオイルフィルタ１を取外す場合には、先ず工具を工
具受け部材６の工具係合凸部８または工具係合凹部９に
係合させてオイルフィルタ１を回動させ、ある程度まで
緩んだらケース２を手で回動させて取外すことができ
る。

【００２５】前述した実施例においては、ケース頂面に
対して工具受け部材をスポット溶接して固定している
が、高強度の接着剤を用いて固着したり、蝋付けしても
よい。また、この実施例では工具受け部材に工具係合凸
部と工具係合凹部を設けて、２種類の工具に適合するよ
うにしているが、工具係合凸部または工具係合凹部の何
れか一方のみを設けてもよい。

【００２６】また、工具係合凸部は偏平六角柱状に限ら
ず、工具からトルクを伝達可能な非円形断面を有する形
状であればよく、同様に、工具係合凹部も断面角形のも
のに限らず、非円形の断面形状を有していればよい。

【００２７】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、オイルフィルタのケース頂面に工具受け部材を固着
していることによってケースが補強され、その剛性を高
めることができる。

【００２８】そして、オイルフィルタをエンジンに着脱
する際に、オイルフィルタを回動させる工具を工具受け
部材に係合させ、工具受け部材が工具から加えられるト
ルクを均一に分散させてケースへ伝達するようにしてい
るため、ケース外周には円周方向に均一なせん断力のみ
が作用し、従来のオイルフィルタのようにケース側面が
工具で圧迫されて変形するようなことがなく、オイルフ
ィルタの着脱を容易且つ確実に行うことができる。

【００２９】また、工具受け部材を工具に適合する形状
に加工するだけで、様々な形状の工具に対応させること
ができるため、オイルフィルタの組付け位置周囲に突出
しているエンジンに付属した機器や部品類に邪魔される
ことなく、オイルフィルタの着脱作業を効率的に行うこ
とができ、且つ、オイルフィルタの他の部分の仕様は従
来構造のままでよいため、低コストで実施することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエンジン用オイルフィルタの１実施例
を示す斜視図である。

【図２】本発明のエンジン用オイルフィルタの１実施例
を示す部分断面図である。

【図３】従来のオイルフィルタの１例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】 １ オイルフィルタ ２ ケース ３ フィルタ部材 ４ 端板 ５ ケース頂面 ６ 工具受け部材 ７ 鍔部 ８ 工具係合凸部 ９ 工具係合凹部 １０ 工具 １１ 係合部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の端部に開口部が形成されたカップ
   状のケース内にフィルタ部材が配置され、前記開口部を
   密閉している端板の中心部に形成されている雌ネジ部を
   エンジン側の雄ネジ部に螺合して取付けられるエンジン
   用オイルフィルタにおいて、 ケース頂面にオイルフィルタを回動させてエンジンに対
   して着脱するための工具が係合する工具受け部材を固着
   したことを特徴とするエンジン用オイルフィルタ。
2. 【請求項２】 工具受け部材が工具に設けられた非円形
   係合凸部に適合する工具係合凹部を有していることを特
   徴とする請求項１記載のエンジン用オイルフィルタ。
3. 【請求項３】 工具受け部材が工具に設けられた非円形
   係合凹部に適合する工具係合凸部を有していることを特
   徴とする請求項１または２記載のエンジン用オイルフィ
   ルタ。
4. 【請求項４】 工具受け部材はケースとの当接面の周囲
   がスポット溶接によって前記ケースに固着されているこ
   とを特徴とする請求項１乃至３の何れかに記載のエンジ
   ン用オイルフィルタ。