JPH11315342A - 微細フェライト主体組織鋼とその製造方法 - Google Patents
微細フェライト主体組織鋼とその製造方法Info
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- JPH11315342A JPH11315342A JP5200499A JP5200499A JPH11315342A JP H11315342 A JPH11315342 A JP H11315342A JP 5200499 A JP5200499 A JP 5200499A JP 5200499 A JP5200499 A JP 5200499A JP H11315342 A JPH11315342 A JP H11315342A
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Abstract
する。 【解決手段】 フェライト粒界の60%以上が15°以
上の大角粒界であり、平均粒径が5μm以下の微細なフ
ェライト組織が主体を占める。
Description
主体組織鋼とその製造方法に関するものである。さらに
詳しくは、この発明は、高強度で疲労寿命の長い、微細
なフェライト主体組織を有する鋼とこれを製造するため
の製造方法に関するものである。
度向上のために組織の微細化が進められている。しかし
ながら、これまでに得られているフェライト粒径はせい
ぜい5μm程度であり、この程度の微細化では強度の大
きな向上は望めない。また、たとえ5μm以下の微細フ
ェライト組織が得られたとしても、フェライト粒界が大
角でなければ十分に高強度化することはできない。
されたものであり、従来のフェライト鋼の高強度化につ
いての欠点を解消し、高強度で疲労寿命の長い、微細な
フェライト主体組織を有する微細フェライト主体組織鋼
とこれを製造するための製造方法を提供することを目的
としている。
を解決するものとして、フェライト粒界の60%以上が
15°以上の大角粒界であり、平均粒径が5μm以下の
微細なフェライト組織を有することを特徴とする微細フ
ェライト主体組織鋼を提供する(請求項1)。またこの
発明は、加工によりフェライト相が生成可能な鋼材をA
c1 以下の温度範囲で加工し、回復・再結晶させ、フェ
ライト粒界の60%以上が15°以上の大角粒界であ
り、平均粒径が5μm以下の微細なフェライト組織を有
する微細フェライト主体組織鋼を製造することを特徴と
する微細フェライト主体組織鋼の製造方法を提供するも
のでもある(請求項2)。
織鋼は、フェライト粒界の60%以上が15°以上の大
角粒界であり、平均粒径が5μm以下の微細なフェライ
ト組織を有している。平均フェライト粒径は5μm以下
と微細であり、このため、鋼は高強度化されており、疲
労寿命も長くなっている。その上、フェライト粒界の6
0%以上が15°以上の大角粒界であるために、鋼の強
度及び疲労寿命はさらに向上する。
字通り、平均粒径が5μm以下の微細なフェライト相が
主となる組織からフェライト単相乃至限りなく単相に近
い組織までを包含する。より具体的には、微細フェライ
ト相の体積率が50%以上の組織を意味する。この微細
フェライト主体組織鋼は、加工によりフェライト相が生
成可能な鋼材をAc1 以下の温度範囲で加工し、回復・
再結晶させることにより得られる。一般には、加工・焼
鈍による。Ac1 は、オーステナイト状態が開始する温
度である。
ることはないが、マルテンサイト又は焼き戻しマルテン
サイトとしておくと有利である。焼き戻しマルテンサイ
トは、マルテンサイトをたとえば 450〜 600℃に焼き戻
しした組織で、マルテンサイト中に過飽和に固溶した炭
素が炭化物として析出した組織である。この焼き戻しマ
ルテンサイトは、マルテンサイトに比べ強度がやや低下
するものの、靱性は向上している。
ンサイトは、内部が微細なパケット又はブロックに分割
されている。これらパケット又はブロックの境界が再結
晶サイトになり、微細フェライト組織の形成を可能にす
る。また、マルテンサイトは、フェライト−パーライト
又はベイナイトに対して高い歪みエネルギーを有してお
り、組織が回復・再結晶してフェライト化しやすく、し
かも再結晶温度を従来の焼鈍温度より低温にすることが
できる。
生成可能である限り、その化学組成は特に制限されな
い。たとえば、C、Si、Mn、及びAlを、それぞ
れ、 C:0.001 〜0.80質量%、 Si:0.80質量%以下、 Mn:0.8 〜3.0 質量%、 Al:0.10質量%以下 含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材が
例示される。
保、Fe3 C等の炭化物の析出、及びマルテンサイトの
生成のためには0.001 質量%以上必要であるが、0.80質
量%を超えると靱性を害するおそれがある。Siは、0.
80質量%を超えて添加すると溶接性を害するおそれがあ
る。Mnは、組織を一時マルテンサイトにするためには
0.8 質量%以上必要であるが、3.0 質量%を超えると溶
接性が劣化しやすくなる。Alは、0.10質量%を超える
と、鋼の清浄度が劣化するおそれがある。
添加配合することもできる。たとえば、 Cu:0.05〜2.5 質量%、 Ni:0.05〜3質量%、 Ti:0.005 〜0.1 質量%、 Nb:0.005 〜0.1 質量%、 V:0.005 〜0.1 質量%、 Cr:0.01〜3質量%、 Mo:0.01〜1質量%、 W:0.01〜0.5 質量%、 Ca:0.001 〜0.01質量%、 REM(希土類元素):0.001 〜0.02質量%、 B:0.0001〜0.006 質量% のうちの1種又は2種以上が例示される。
%以上添加すると、析出強化及び固溶強化により強度の
向上に有効となるが、2.5 質量%を超えると溶接性が劣
化するおそれがある。Niは、0.05質量%以上添加する
と、強度向上及び一時マルテンサイト組織にするのに有
効となるが、3質量%を超えて添加しても強度はそれ以
下の場合とさして変わりがない。Tiは、0.005 質量%
以上の添加でTi(C,N)が析出し、再結晶の核生成
サイトとして働くとともに、フェライト粒の成長を抑制
する。この効果は、0.1 質量%で飽和する。Nb及びV
は、各々、Tiと同様であり、0.005 質量%以上の添加
でNb(C,N)、V(C,N)が析出し、再結晶の核
生成サイトとして働くとともに、フェライト粒の成長を
抑制する。この効果は、0.1 質量%で飽和する。
形成し、再結晶の核生成サイトとして働くとともに、フ
ェライト粒の成長を抑制する。この効果は、3質量%で
飽和する。MoもCrと同様であり、0.01質量%以上の
添加で炭化物を形成し、再結晶の核生成サイトとして働
くとともに、フェライト粒の成長を抑制するが、この効
果は、1質量%で飽和する。Wは、0.01質量%以上の添
加で強度の向上に効果的であるが、添加量が0.5 質量%
を超えると靱性を劣化させるおそれがある。Caは、0.
001 質量%以上添加すると硫化物系介在物の形態を制御
するが、0.01質量%を超えると、鋼中介在物を形成し、
鋼の性質を悪化させるおそれがある。
上の添加でオーステナイト粒の粒成長を抑制し、オース
テナイト粒を微細化するが、0.02質量%を超えると、鋼
の清浄度が損なわれるおそれがある。Bは、0.0001質量
%以上の添加によって鋼の焼入性を高め、一時マルテン
サイト組織にするのに有効である。0.006 質量%を超え
て添加すると、B化合物を形成し、靱性が劣化しやすく
なる。
エネルギーを与える手段であり、鋼材の圧縮変形をとも
なうものである。この加工は、圧延又は鍛造等とするこ
とができるが、いずれの方式においてもAc1 以下の温
度範囲で行う。Ac1 を超えると、結晶粒の成長が速く
なり、組織が粗大化してしまう。一方、加工時の温度の
下限は特に限定的ではない。ただ、 400℃以上の場合に
は、組織の等軸化が起こりやすくなり、好ましい。 400
℃未満の場合には、加工フェライト組織が得られるもの
の、組織の等軸化は起こりにくくなる。全加工量は50
%以上とするのが好ましい。全加工量が50%未満であ
ると、フェライト転位密度を1×109cm -2 以下にし
にくく、フェライト化が起こりにくい。
そのうちの少なくとも任意の2パスは、互いの圧下方向
又は圧延方向が異なるようにすると、回復・再結晶によ
り最終的に得られるフェライト粒が互いに異なる結晶方
位に向きやすくなる。60%以上のフェライト粒界にお
いて15°以上の大角粒界が効果的に形成される。圧下
方向又は圧延方向が異なる少なくとも任意の2パスにお
いて、その変形方向を20°より大きく異なるようにす
ると、フェライト粒界の60%以上が15°以上の大角
粒界を確実に得ることができる。変形方向の相違が20
°以下の場合には、組織の等軸微細化が起こりにくく、
伸長フェライト組織が形成されやすい。伸長フェライト
組織は、一般に、結晶粒界の70%以上が15°未満の
小角粒界であり、強度及び靱性の向上への寄与が小さ
い。また、変形方向の相違は20°より大きければよい
ため、たとえば30°程度とすることもでき、圧下方向
又は圧延方向を容易に変えられ、実用的となる。
少なくとも任意の2パスにおいては、それぞれの全圧下
率又は全圧延率を29%以上とするのが好ましくもあ
る。加工後には、一般に、加工組織の焼鈍を行い、再結
晶化することができる。なお、鋼材の成分、加工量及び
加工温度によっては、加工のみで回復・再結晶が起こ
り、フェライト転位密度が1×109 cm-2以下のフェラ
イト組織が形成される場合があり、このような場合に
は、焼鈍は必ずしも必要ない。一方、冷間加工を行った
時には焼き戻しは必須となる。
好ましい。焼鈍温度がAc1 を超えると、オーステナイ
ト化する。一方、500 ℃以上でないと、フェライト転位
密度を1×109 cm-2以下にすることが難しくなる。保
持時間は、鋼組成、加工量等に依存するが、フェライト
の転位温度が1×109 cm-2以下となる時間以上とする
のが好ましい。しかしながら、再結晶完了後の長時間の
保持は、組織の粗大化を招くため好ましくない。
造方法のより具体的な製造プロセスを以下に示す。まず
鋼材をたとえばAc3 (オーステナイト変態が終了する
温度)〜1350℃の温度範囲に加熱し、オーステナイト域
で加工後または無加工のまま冷却後、組織がマルテンサ
イトとなるように急冷する。オーステナイト域で加工を
行うと、オーステナイト粒が微細化し、これにともなっ
てパケット及びブロックも微細化して再結晶サイトが増
加する。急冷は、鋼成分によっても異なるが、概ね10
℃/秒以上の冷却速度とするのが好ましい。また、加工
前組織をマルテンサイトとすることで、再結晶温度を、
加工前組織がマルテンサイト以外の場合の焼鈍温度より
も低い温度とすることができる。
囲に再加熱後、1〜3600秒(好ましくは1〜1000秒)保
持し、直ちに50%以上の加工を行い、直後に冷却する
か、又はその温度範囲に10秒以上保持して再結晶さ
せ、冷却する。再結晶完了後はできるだけ速やかに冷却
することが、結晶粒の成長を抑制するため、好ましい。
こうして、フェライト粒界の60%以上が15°以上の
大角粒界で、平均フェライト粒径が5μm以下の微細フ
ェライト主体組織鋼が得られる。
織鋼とその製造方法の実施例を示す。
%)鋼を1100℃で60秒間保持した後に、水冷してマル
テンサイト組織にした。次いで、640 ℃に再加熱し、温
間2パス加工後冷却した。また、同様の温間2パス加工
後に200 秒間の焼鈍を行い、冷却した。加工は、640 ℃
で300 秒間保持後、50%ロール圧延を第1パス、640
℃での50%平面歪み圧縮を第2パスとした。この2パ
ス間では、圧延(RD)方向を変化させもした。
1の走査型電子顕微鏡写真に示した通りである。RDを
変化させないものが非回転材(図1a及びb)、RDを
90°回転させたものがRD回転材(図1c及びd)で
ある。RD回転材では、いずれも、フェライト粒界の6
0%以上が15°以上の大角粒界で、平均フェライト粒
径が 2.5μm以下の微細等軸粒となり、微細フェライト
主体組織が形成した。非回転材に比べ、さらに硬度(強
度)が向上した。 (実施例2)化学組成が、Fe− 0.051C− 0.012Si
−2.03Mn− 0.034Al(質量%)である、厚さ8mmの
鋼を1100℃×60sγ処理した後に、水冷してマルテン
サイト組織を得た。次いで、第1パスとして、10℃/s
で 640℃まで加熱し、この温度に 300s保持した後に、
50%のロール圧延・水冷を行った。また、第2パスと
して、 640℃に再加熱後、80%の平面歪み圧縮を行っ
た。
間で圧延方向(RD方向)を、全く変化させない0°か
ら10°刻みで90°まで変化させた。得られた試料の
ミクロ組織を示したのが図2の走査型電子顕微鏡写真で
ある。各写真の左肩に位置する数字がRD方向の変化度
を示している。この図2から明らかなように、RD変化
度が0°及び10°の時には、フェライト粒は、RD方
向に伸長しており、等軸粒組織はほとんど認められな
い。RD変化度が20°では、等軸フェライト組織が一
部観察される。RD変化度が30°以上になると、ほと
んどが等軸フェライト組織となっている。以上の結果か
ら、2パス間の変形方向を20°よりも大きく相違させ
ると、等軸微細な組織が得られることが確認される。
て限定されるものではない。化学組成、加工及び焼鈍条
件等の細部については様々な態様が可能であることは言
うまでもない。
って、高強度で疲労寿命の長いフェライト鋼が提供され
る。構造用鋼として、棒鋼、形鋼、薄板及び厚板に有用
となる。
0 Mn鋼を加工・焼鈍した後のフェライト組織と硬さを
示した図面に代わる走査型顕微鏡写真である。
34Al鋼の加工において、変形方向を、変化させない0
°から10°刻みで90°まで変化させて得られるミク
ロ組織を示した図面に代わる走査型顕微鏡写真である。
Claims (7)
- 【請求項1】 フェライト粒界の60%以上が15°以
上の大角粒界であり、平均粒径が5μm以下の微細なフ
ェライト組織を有することを特徴とする微細フェライト
主体組織鋼。 - 【請求項2】 加工によりフェライト相が生成可能な鋼
材をAc1 以下の温度範囲で加工し、回復・再結晶さ
せ、フェライト粒界の60%以上が15°以上の大角粒
界であり、平均粒径が5μm以下の微細なフェライト組
織を有する微細フェライト主体組織鋼を製造することを
特徴とする微細フェライト主体組織鋼の製造方法。 - 【請求項3】 全加工量で50%以上に加工する請求項
2記載の微細フェライト主体組織鋼の製造方法。 - 【請求項4】 加工は2パス以上で行い、そのうちの少
なくとも任意の2パスは、互いの圧下方向又は圧延方向
が異なる請求項2又は3記載の微細フェライト主体組織
鋼の製造方法。 - 【請求項5】 圧下方向又は圧延方向が異なる少なくと
も任意の2パスにおいて、その変形方向は、20°より
大きく異なる請求項4記載の微細フェライト主体組織鋼
の製造方法。 - 【請求項6】 圧下方向又は圧延方向が異なる少なくと
も任意の2パスにおいて、それぞれの全圧下率又は全圧
延率が29%以上である請求項4又は5記載の微細フェ
ライト主体組織鋼の製造方法。 - 【請求項7】 加工前組織がマルテンサイト又は焼き戻
しマルテンサイトである請求項2乃至6いずれかに記載
の微細フェライト主体組織鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05200499A JP3924631B2 (ja) | 1998-03-04 | 1999-02-26 | 微細フェライト主体組織鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5255798 | 1998-03-04 | ||
JP10-52557 | 1998-03-04 | ||
JP05200499A JP3924631B2 (ja) | 1998-03-04 | 1999-02-26 | 微細フェライト主体組織鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11315342A true JPH11315342A (ja) | 1999-11-16 |
JP3924631B2 JP3924631B2 (ja) | 2007-06-06 |
Family
ID=26392602
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05200499A Expired - Lifetime JP3924631B2 (ja) | 1998-03-04 | 1999-02-26 | 微細フェライト主体組織鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3924631B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008013323A1 (fr) * | 2006-07-28 | 2008-01-31 | Nippon Steel Corporation | Pièce d'acier ayant une couche de surface de grains fins et son procédé de fabrication |
JP5344454B2 (ja) * | 2005-11-21 | 2013-11-20 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 温間加工用鋼、その鋼を用いた温間加工方法、およびそれにより得られる鋼材ならびに鋼部品 |
-
1999
- 1999-02-26 JP JP05200499A patent/JP3924631B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5344454B2 (ja) * | 2005-11-21 | 2013-11-20 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 温間加工用鋼、その鋼を用いた温間加工方法、およびそれにより得られる鋼材ならびに鋼部品 |
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KR100991335B1 (ko) | 2006-07-28 | 2010-11-01 | 신닛뽄세이테쯔 카부시키카이샤 | 표층 세립강 부품과 그 제조 방법 |
US7824508B2 (en) | 2006-07-28 | 2010-11-02 | Nippon Steel Corporation | Fine grain surface layer steel part and method of production of same |
JP5064240B2 (ja) * | 2006-07-28 | 2012-10-31 | 新日本製鐵株式会社 | 表層細粒鋼部品とその製造方法 |
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JP3924631B2 (ja) | 2007-06-06 |
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