JPH11314315A - 繊維強化熱可塑性樹脂板 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂板

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JPH11314315A
JPH11314315A JP12583498A JP12583498A JPH11314315A JP H11314315 A JPH11314315 A JP H11314315A JP 12583498 A JP12583498 A JP 12583498A JP 12583498 A JP12583498 A JP 12583498A JP H11314315 A JPH11314315 A JP H11314315A
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JP
Japan
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fiber
resin
reinforced thermoplastic
soft
resin film
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JP12583498A
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Takahiro Fujimoto
貴博 藤本
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Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維強化熱可塑性樹脂板が局部的に衝撃を受
けても衝撃の伝播が抑制され、クラックが発生し難く、
しかもその拡大が無く、当該樹脂板の全体の破壊を防止
することができる、耐割れ破壊性に優れた繊維強化熱可
塑性樹脂板を提供すること。 【解決手段】 強化用繊維とその両面に配置された熱可
塑性硬質樹脂シートとが積層一体化された繊維強化熱可
塑性樹脂板において、強化用繊維の少なくとも片面側内
層部に特定の厚さの軟質樹脂フィルムを介在させ積層一
体化した繊維強化熱可塑性樹脂板とする。強化用繊維の
含有率は軟質樹脂フィルムの層を除く他の構成材料に対
して2乃至40体積%であり、軟質樹脂フィルムの厚さ
50μm乃至2000μmであって、軟質樹脂フィルム
の層を除く前記繊維強化熱可塑性樹脂板全体の厚さは
0.2mm乃至6.5mmである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性硬質樹脂
シートを強化用繊維で強化した繊維強化熱可塑性樹脂板
に関する。さらに詳しくは、建築内装用の各種パネル、
機械機器類の保護用パネル、車両内外装用部品、各種ス
ポーツ用品等に使用される、外部衝撃に対する耐割れ破
壊性の高い繊維強化熱可塑性樹脂板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂を炭素繊維、ガラス
繊維または有機繊維等の化学繊維からなる強化用繊維を
用いて強化した強化熱可塑性樹脂板は、それ自体の高い
機械的強度を理由に室内用装飾間仕切、壁材等の建築内
装用パネル、機械機器類の保護用パネル、スポイラーや
メーターパネル等の各種車両内外用部品、スキー、スノ
ーボート等のスポーツ用品等、多くの分野に適用されて
いる。
【0003】通常、繊維強化熱可塑性樹脂板の多くは、
構成材料として透明乃至不透明の熱可塑性硬質樹脂を前
記強化用繊維の両面に配置して積層状態とし、これを加
熱加圧して積層一体化したものであって、引張強度、曲
げ強度等の機械的性質の強化を目的にした構成形態のも
のが一般的である。
【0004】しかし、前記従来の繊維強化熱可塑性樹脂
板は、確かに上記のような機械的性質を強化されるので
あるが、例えば自動車のスポイラー等のような用途で
は、小石や砂粒の衝突を高速で受けるような環境に置く
と、かかる衝撃を受けた繊維強化熱可塑性樹脂板は、そ
の表面を構成する熱可塑性硬質樹脂シートにクラックが
発生すると同時に用途物全体の破壊を招くか、あるいは
発生したクラックが経時的に徐々に拡大して用途物全体
の破壊を招くという問題がある。このような破壊は、し
ばしば破断片の飛散を伴う。
【0005】上記のような表面の熱可塑性硬質樹脂シー
トのクラックは、当該シートの全体の機械的強度とは関
係なく、主に衝撃を受ける当該シート自体の物理的性質
に起因することは明らかであるが、一方、当該シートが
耐変形性の高い性質を有するか、ないしは衝撃を受ける
際にそのような耐変形性の高い環境に置かれる場合、す
なわち当該シートがクッション効果を受けられない環境
に置かれる場合にも発生し易い。
【0006】特に、この種の繊維強化熱可塑性樹脂板
は、厚さが比較的薄い場合には、上記のような局部的な
衝撃を受けると、表面の熱可塑性硬質樹脂シートのクラ
ックの発生と同時に、通常のガラスが木端微塵に破壊さ
れる様相に似て、用途物全体の瞬時の破壊を起こす。
【0007】従来のこの種繊維強化熱可塑性樹脂板にお
いては、その表面の熱可塑性硬質樹脂シートにいかなる
性質の熱可塑性樹脂を採用しても、局部的な衝撃を受け
た際の、上記のような問題は避けられない。とりわけ、
全体の厚さが薄いものほどこの傾向は強い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の問題点を解決することにより、この種の繊維強
化熱可塑性樹脂板を、局部的に衝撃を受けても衝撃の伝
播が抑制され、クラックが発生し難く、しかもその拡大
が無く、当該樹脂板の全体の破壊を防止することができ
る、耐割れ破壊性に優れた繊維強化熱可塑性樹脂板を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に対して、強化用繊維の両面に熱可塑性硬質樹脂シー
トを配置する際に、前記強化用繊維と熱可塑性硬質樹脂
シートとの間に、特定の厚さの軟質樹脂フィルムを介在
させて積層一体化すれば、局部的な衝撃を受けても、衝
撃の伝播が抑制され、当該樹脂板の全体の破壊を防止す
ることを見出しこの発明を完成した。
【0010】即ち、本発明は、強化用繊維とその両面に
配置された熱可塑性硬質樹脂シートとが積層一体化され
た繊維強化熱可塑性樹脂板において、前記強化用繊維の
少なくとも片面側内層部に特定の厚さの軟質樹脂フィル
ムを介在させ積層一体化してなることを特徴とする繊維
強化熱可塑性樹脂板を要旨とする。
【0011】本発明の好適な実施態様は、請求項2に記
載した繊維強化熱可塑性樹脂板であって、前記強化用繊
維の含有率が、軟質樹脂フィルムの層を除く他の構成材
料に対して2乃至40体積%であり、軟質樹脂フィルム
の厚さが50μm乃至2000μmであって、軟質樹脂
フィルムの層を除く繊維強化熱可塑性樹脂板全体の厚さ
が0.2mm乃至6.5mmである。
【0012】本発明の別の好適な実施態様は、請求項3
に記載した繊維強化熱可塑性樹脂板であって、前記軟質
樹脂フィルムは、引張弾性率が800kg/cm2 以下
であり、また引張り伸び率が50%以上である。
【0013】本発明のまた別の好適な実施態様は、請求
項4に記載した繊維強化熱可塑性樹脂板であって、前記
軟質樹脂フィルムを構成する樹脂が軟質塩化ビニル樹
脂、熱可塑性エラストマーから選ばれた単体または混合
体である。
【0014】本発明のさらに別の好適な実施態様は、請
求項5に記載した繊維強化熱可塑性樹脂板であって、前
記軟質樹脂フィルムを構成する樹脂がウレタン樹脂であ
り、かつ前記熱可塑性硬質樹脂シートを構成する樹脂が
ポリカーボネート樹脂である。
【0015】本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂板
の熱可塑性硬質樹脂シートに用いられる樹脂は、熱可塑
性硬質樹脂であれば特に限定されないが、例えばポリカ
ーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポ
リスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレー
ト樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン
樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が用いられる。
【0016】本発明で用いられる強化用繊維としては、
有機繊維、ガラス繊維及び炭素繊維等の化学繊維からな
る織布または不織布を適用することができる。中でもこ
の種強化用繊維としては有機繊維が最適であり、例えば
ポリメタフェニレンイソフタールアミド、ポリパラフェ
ニレンテレフタールアミド等のアラミド繊維が好適であ
るが、炭素繊維やガラス繊維はそれ自体の引張り強さ、
耐熱性等の点で極めて重要であり、当然に採用されるも
のである。とくに炭素繊維は、熱可塑性樹脂の強化用と
して多く用いられる反面、繊維強化熱可塑性樹脂に対す
る衝撃、とりわけ本願発明の課題とする局部的な外部衝
撃に対しては、衝撃による炭素繊維自体の変形がこれと
接する熱可塑性樹脂よりも小さいため、両者の変形度合
に差が生じて界面付近で熱可塑性樹脂にクラックが生
じ、繊維強化熱可塑性樹脂板の全体の破壊を起こし易い
という性質をも合わせ有するが、本願発明の手段を採用
すればこのような問題が解消され、最も優れた効果を示
し得る強化用繊維であるということができる。
【0017】上記強化用繊維は、これら化学繊維の一種
以上の混織あるいは交織されたものであってもよく、ま
たその織成形態はストランドから織成された平織、朱子
織、綾織等のクロスあるいは編物等の織布状のものや、
またチョップドストランドマット、サーフェーシングマ
ット等の短繊維マットあるいはダイヤモンドマット、ス
ワールマット等の長繊維マットの不織布状のものが適用
され、一般市販品が適用可能である。また強化用繊維
は、前記熱可塑性硬質樹脂シートと積層一体化される際
に成層可能なものであればよく、さらに熱可塑性樹脂で
含浸処理をされてプリプレグの形態となったものであっ
てもよい。
【0018】前記強化用繊維の含有率は、前記軟質樹脂
フィルムを除く他の構成材料である前記熱可塑性硬質樹
脂シート及び単独もしくは含浸処理用の樹脂を含む前記
強化用繊維に対して2乃至40体積%である。前記含有
率が2体積%未満であると、繊維強化熱可塑性樹脂板と
しての本来の目的である十分な機械的強度を確保でき
ず、また40体積%を超えると、機械的強度のうちでも
とくに基本となる耐衝撃強度が低下し、これを防止する
ために用いる後述の軟質樹脂フィルムによる効果も得ら
れないものとなる。従って、前記強化用繊維の含有率
は、前記軟質樹脂フィルムを除く他の構成材料に対して
3乃至20体積%とするのが好ましい。
【0019】つぎに、本発明で用いられる軟質樹脂フィ
ルムについて述べると、当該フィルムは、前記強化用繊
維の片面側または両面側に配置され、本願発明による繊
維強化熱可塑性樹脂板の内層部に層状に積層形成される
ことにより、表面を構成する熱可塑性硬質樹脂シートの
耐割れ破壊性を高めるために外部衝撃に対する緩衝作用
の役目を果たすものである。
【0020】前記軟質樹脂フィルムの厚さは、50μm
乃至2000μmの範囲とするが、厚さが50μm未満
では前記緩衝作用の効果がでなくなり、また2000μ
mを超えると厚さの増加に見合う効果はもはや期待でき
ないばかりか、かえって曲げ強度等の機械的強度の低下
を招き、また繊維強化熱可塑性樹脂板全体の重量を増す
こととなり好ましくない。従って、軟質樹脂フィルムの
厚さは80μm乃至800μmとするのが望ましい。
【0021】また、前記軟質樹脂フィルムに適用される
熱可塑性樹脂としては、引張り弾性率が800kg/c
2 以下、伸び率が50%以上の熱可塑性軟質樹脂であ
ればよく、例えば軟質ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン
系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、
ポリウレタン系等の熱可塑性エラストマーを挙げること
ができる。この場合、前記引張り弾性率が800kg/
cm2 よりも大きいと当該フィルムの柔軟性が低下し
て、前記熱可塑性硬質樹脂シートへ加えられる外部衝撃
が当該フィルムによって十分に緩衝されずに広く伝播し
やすくなり、熱可塑性硬質樹脂シートのクラックや破壊
を起こし易くなる。また前記伸び率が50%未満である
と、衝撃を受けた際の当該フィルムの変形量が小さくな
り当該フィルム自体が破断し、熱可塑性硬質樹脂シート
はその影響を受けて同様にクラックや破壊を起こし易く
なると同時に破断片の飛散を防止できない。
【0022】ここで、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂板
における積層構成に関し、強化用繊維、熱可塑性硬質樹
脂シート及び軟質樹脂フィルムの積層順序を、図面に従
って説明する。即ち、図1乃至図3は、夫々代表的な積
層態様(A)(B)及び(C)を示すもので、積層態様
(A)及び(B)は、強化用繊維(1)の両面側に熱可
塑性硬質樹脂シート(2)(2)が、また内層部には軟
質樹脂フィルム(3)(3)が配置される。この場合、
積層態様(B)は、図2のように強化用繊維(1)を2
枚に限定されることはなく、前記の含有率を超えない範
囲で多数層を重ねて配置することも可能である。また、
積層態様(C)では、図3に示すように、強化用繊維
(1)の片面側にのみ軟質樹脂フィルム(3)を配置し
た以外は積層態様(A)と同様に熱可塑性硬質樹脂シー
ト(2)が配置される。
【0023】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂板は、上記
積層構成により積層一体化されのちの当該樹脂板の軟質
樹脂フィルムの層を除く全体の厚さが0.2mm乃至
6.5mmの範囲のものとする。これは、当該樹脂板の
厚さが0.2mm未満では十分な機械的強度を確保でき
ず、繊維強化熱可塑性樹脂板としての実用性が乏しいか
らであり、また6.5mmを超えると軟質樹脂フィルム
による外部衝撃の緩衝効果が顕著に得られず、厚さ増加
に伴う繊維強化熱可塑性樹脂板としての機械的強度の増
加は見込めないばかりか、重量増加によりコストアップ
を伴い不経済となる。
【0024】上記のような積層順序で積層配置された強
化用繊維、熱可塑性硬質樹脂シート及び軟質樹脂フィル
ムは、公知のホットプレス法により加熱加圧して積層一
体化され、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂板とされる。
【0025】本発明において、熱可塑性硬質樹脂シート
と軟質樹脂フィルムとは、夫々に適用される各樹脂とし
て、互いに熱時における相溶性の良い樹脂を選択するの
は当然のことであるが、当該シートと当該フィルムとに
適用される樹脂としては、相互の密着性が優れ、積層一
体化後の強化用繊維との剥離が起り難く、いずれの樹脂
もそれ自体が耐衝撃性に優れ、初期のクラックも発生し
難くいという理由から、当該シート用にはポリカーボネ
ート樹脂を、また当該フィルム用にはポリウレタン系エ
ラストマーを選択し、これらの組み合わせによることが
最も好ましい。また、前記両樹脂は透明性に優れるた
め、外観品質上、繊維強化熱可塑性樹脂板に強化用繊維
の意匠性を求める場合にも、積層後の優れた透明性の故
に有効な組み合わせとなる。
【0026】本発明においては、繊維強化熱可塑性樹脂
板の内層部に軟質樹脂フィルムを介在させて表面に熱可
塑性硬質樹脂シートを積層一体化する積層構成のもとす
るから、熱可塑性硬質樹脂シートの表面に局部的な衝撃
が加えられても、前記軟質樹脂フィルムがかかる衝撃を
緩衝して、当該繊維強化熱可塑性樹脂板の全体的な破壊
を防止する作用をする。
【0027】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を、
実施例及び図面に基づいて比較例とともに説明する。ま
ず、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂板の実施例に適用さ
れる材料を以下に示す。 [強化用繊維]炭素繊維からなる格子縞を現した平織り
の織布(東レ社製、品番CO6343、質量200g/
2 )であって、これにポリカーボネート樹脂を30重
量%含浸させてプリプレグとしたもの。 [熱可塑性硬質樹脂シート]下記の各樹脂を用いて押出
成形法により得た透明樹脂シート ・PC(ポリカーボネート樹脂) ・rPVC(硬質ポリ塩化ビニル樹脂) ・PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂) [軟質樹脂フィルム]下記の各樹脂を用いて押出成形法
により得た透明樹脂フィルム ・PU(ポリウレタン) 引張り伸び率400%、引張り弾性率120kg/cm
2 ・sPVC(軟質ポリ塩化ビニル樹脂) 引張り伸び率300%、引張り弾性率180kg/cm
2
【0028】
【実施例】実施例1〜8 図1乃至図3に示す積層態様(A)(B)及び(C)の
いずれかの積層態様を採用して、プリプレグ状の強化用
繊維(1)、熱可塑性硬質樹脂シート(2)及び軟質樹
脂フィルム(3)の各構成材料を、熱可塑性硬質樹脂シ
ート(2)の樹脂の種類と厚さ、軟質樹脂フィルム
(3)の層を除く他の構成材料全体に対する強化用繊維
の含有量(体積%)とその枚数、及び軟質樹脂フィルム
の樹脂の種類と厚さ及びその枚数を、表1に示したとお
り各実施例別に積層した。なお、前記積層態様(A)乃
至(C)の各積層態様に用いる強化用繊維(1)の枚数
は表1の「強化用繊維」欄に示した。ここで、積層態様
(B)は、強化用繊維(1)を複数枚用いる場合を示
し、実施例7では強化用繊維(1)を2枚用いた。ま
た、積層態様(C)は、軟質樹脂フィルム(3)を強化
用繊維(1)の片面側にのみ積層し、実施例8で採用し
た。
【0029】
【表1】
【0030】つぎに、表1の各実施例の積層構成材料
を、各積層態様に従って、2枚の金属製鏡面板の間に挟
み、通常のホットプレス法により、加熱温度180℃、
加圧力5kg/cm2 で、30分間加熱加圧して積層一
体化した繊維強化熱可塑性樹脂板を得た。なお、表1に
併記する繊維強化熱可塑性樹脂板の厚さは、使用前の軟
質樹脂フィルムの層の厚さを差引いた値とした。
【0031】つぎに、上記で得られた繊維強化熱可塑性
樹脂板について、衝撃破壊試験及び曲げ弾性率を、夫々
下記の条件により測定し、その評価結果を表1の評価欄
に示した。 [衝撃破壊試験]衝撃先端球面の曲率半径Rが2分の1
インチ、落錘重量5kg、落下高さ80cmの落錘条件
で衝撃試験を行い、衝撃による割れの発生状況を観察し
た。試験結果の評価は、当該樹脂板の各試料に生じた落
錘先端の貫通孔または凹部の周囲の、破断の有無を観察
し、試料の全体的な破壊のないものを良(○)、試料の
全体的な破壊のあるものを不良(×)とした。 [曲げ弾性率]JIS K7203に準じて曲げ弾性率
を測定し、剛性を評価した。評価の基準値は300kg
/cm2 とし、基準値以上のものを良(○)、基準値未
満のものを不良(×)とした。
【0032】上記実施例の評価結果は、実施例1乃至実
施例8のいずれにおいても、試料の破壊は無く、クラッ
クや破断の発生も認められず、曲げ弾性率も基準値以上
の値を示した。
【0033】比較例1〜7 比較例1乃至比較例7で用いた材料は、いずれも実施例
において用いたものを充当し、比較例1乃至比較例3で
は、軟質フィルムを用いずに強化用繊維(1)の両面に
熱可塑性硬質樹脂シート(2)を図4に示す積層態様
(D)を採用して積層した。また比較例4は、前記実施
例7と同様に積層態様(B)に準じて軟質フィルム
(3)を6枚重ねで用い、その両面に熱可塑性硬質樹脂
シート(2)を積層した。さらに比較例5乃至比較例7
では、前記実施例1乃至実施例6と同様の積層態様
(A)を採用し、表1に併記した各要素に従って積層
し、ホットプレス法により、実施例と同様の条件により
加熱加圧して積層一体化し、夫々比較例別の各積層板を
得た。
【0034】ついで、上記で得られた各積層板につい
て、実施例と同様にして衝撃破壊試験及び曲げ弾性率の
測定を行い、実施例と同様の基準に従って評価し、その
結果を表1に併記した。
【0035】上記比較例の評価結果は、表1に示すとお
り、比較例1乃至比較例5のいずれも衝撃破壊試験にお
いてクラックないしは破壊を生じ不良であった。また比
較例6及び比較例7は全体的な破壊は生じなかったが、
曲げ弾性率の測定において、基準値である300kg/
cm2 を大幅に下回り、実用に供し得ない剛性を示すも
のとなった。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明による繊維強化熱
可塑性樹脂板は、請求項1に記載のとおり、強化用繊維
とその両面に配置された熱可塑性硬質樹脂シートとが積
層一体化された繊維強化熱可塑性樹脂板において、前記
強化用繊維の少なくとも片面側内層部に特定の厚さの軟
質樹脂フィルムを介在させ積層一体化してなるものであ
るから、局部的に衝撃を受けても衝撃の伝播が抑制さ
れ、クラックが発生し難く、しかもその拡大が無く、当
該樹脂板の全体の破壊を防止できる、耐クラック性の高
い繊維強化熱可塑性樹脂板となし得るという効果があ
る。
【0037】また、この発明による繊維強化熱可塑性樹
脂板は、請求項2に記載のとおり、強化用繊維の含有率
が軟質樹脂フィルムの層を除く他の構成材料に対して2
乃至40体積%であり、軟質樹脂フィルムの厚さが50
μm乃至2000μmであって、軟質樹脂フィルムの層
を除く繊維強化熱可塑性樹脂板全体の厚さが0.2mm
乃至6.5mmであるから、当該樹脂板の内層部に占め
る軟質樹脂フィルムの厚さも相対的に過大でなく、その
結果、当該樹脂板の全体の厚さが、従来のこの種繊維強
化熱可塑性樹脂板に比べて比較的薄い厚さ範囲にありな
がらも、耐衝撃強度、引張強度、曲げ強度等の機械的性
質を従来のものと同様に維持し得るという効果があり、
特に適用範囲を厚さの薄い用途のものへ拡大できるとい
う利点がある。
【0038】さらに、この発明においては、請求項3に
記載のとおり、前記軟質樹脂フィルムが、引張弾性率8
00kg/cm2 以下、引張り伸び率50%以上のもの
であるから、繊維強化熱可塑性樹脂板の内層部にあっ
て、当該樹脂板が局部的に外部衝撃を受けても十分に緩
衝作用を発揮する役目を果たし、耐割れ破壊性をより向
上するという効果がある。
【0039】さらにまた、この発明においては、前記軟
質樹脂フィルムを構成する樹脂として、請求項4に記載
のように、軟質塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマー
から選ばれた単体または混合体とするか、または請求項
5に記載のように、ウレタン樹脂としこれにこれに対し
てポリカーボネート樹脂を熱可塑性硬質樹脂シートとし
て選択するものであるから、当該軟質樹脂フィルムが、
繊維強化熱可塑性樹脂板の内層部における熱可塑性硬質
樹脂シートないしは強化用繊維との密着性が良いという
効果があり、しかもいずれの樹脂も極めて汎用的なもの
であり、材料として入手し易く製造コストが低廉である
という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による繊維強化熱可塑性樹脂板の代
表的な積層構成を例示し、積層態様(A)の積層構成を
示す断面図である。
【図2】 この発明による繊維強化熱可塑性樹脂板の代
表的な積層構成を例示し、積層態様(B)の積層構成を
示す断面図である。
【図3】 この発明による繊維強化熱可塑性樹脂板の代
表的な積層構成を例示し、積層態様(C)の積層構成を
示す断面図である。
【図4】 従来例による積層構成を例示するもので積層
態様(D)の積層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…強化用繊維 2…熱可塑性硬質樹脂シート 3…軟質樹脂フィルム A、B、C…積層態様

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化用繊維とその両面に配置された熱可
    塑性硬質樹脂シートとが積層一体化された繊維強化熱可
    塑性樹脂板において、前記強化用繊維の少なくとも片面
    側内層部に特定の厚さの軟質樹脂フィルムを介在させ積
    層一体化してなることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹
    脂板。
  2. 【請求項2】 前記強化用繊維の含有率が、軟質樹脂フ
    ィルムの層を除く他の構成材料に対して2乃至40体積
    %であり、軟質樹脂フィルムの厚さが50μm乃至20
    00μmであって、軟質樹脂フィルムの層を除く繊維強
    化熱可塑性樹脂板全体の厚さが0.2mm乃至6.5m
    mである、請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂板。
  3. 【請求項3】 前記軟質樹脂フィルムは、引張弾性率が
    800kg/cm2以下であり、また引張り伸び率が5
    0%以上である、請求項1または請求項2に記載の繊維
    強化熱可塑性樹脂板。
  4. 【請求項4】 前記軟質樹脂フィルムを構成する樹脂が
    軟質塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマーから選ばれ
    た単体または混合体である、請求項1乃至3のいずれか
    1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂板。
  5. 【請求項5】 前記軟質樹脂フィルムを構成する樹脂が
    ウレタン樹脂であり、かつ前記熱可塑性硬質樹脂シート
    を構成する樹脂がポリカーボネート樹脂である、請求項
    1乃至4のいずれか1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂
    板。
JP12583498A 1998-05-08 1998-05-08 繊維強化熱可塑性樹脂板 Pending JPH11314315A (ja)

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JP12583498A JPH11314315A (ja) 1998-05-08 1998-05-08 繊維強化熱可塑性樹脂板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013177129A (ja) * 2013-04-22 2013-09-09 Delta Tooling Co Ltd シェル型フレーム部材及び座席構造

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