JPH11305494A - 画像形成装置、画像形成方法及び製版方法 - Google Patents

画像形成装置、画像形成方法及び製版方法

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JPH11305494A
JPH11305494A JP11222998A JP11222998A JPH11305494A JP H11305494 A JPH11305494 A JP H11305494A JP 11222998 A JP11222998 A JP 11222998A JP 11222998 A JP11222998 A JP 11222998A JP H11305494 A JPH11305494 A JP H11305494A
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image forming
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carbon atoms
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JP11222998A
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Koichi Sasakura
幸一 笹倉
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Star Micronics Co Ltd
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Publication date
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 印刷用版の効率的な繰り返し使用が可能で、
高速印刷、装置の小型化及び低ランニングコスト化をも
実現できる画像形成装置及び画像形成用印刷用版の製造
方法を提供する。 【解決手段】 導電性基材の表面に吸着して自己集合単
分子膜を形成することが可能な自己集合性化合物を基材
の表面に供給する第1の化合物供給装置;基材の一端に
一方の端子が、他端に他方の端子が接続されている電源
を備え、自己集合性化合物が基材の表面に供給された際
に基材に通電して自己集合単分子膜を形成した画像形成
体を得るための第1の通電装置;自己集合性化合物の一
部を選択的に脱離させて、画像形成体の表面に濡れ性が
相違する面を設ける第1の脱離装置;画像形成体の表面
に、脱離面又は非脱離面のいずれかに優先的に付着する
インクを供給する現像装置;及び画像形成体の表面に付
着したインクを記録媒体に転写する転写装置;を具備す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置、画
像形成方法及び製版方法に関するものである。さらに詳
細には、本発明は、印刷用版として使用される画像形成
体、その製造装置及びその製造方法に特徴のある画像形
成装置、画像形成方法及び製版方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の印刷機としては、電子写真式印刷
機や孔版印刷機などがある。
【0003】電子写真式印刷機においては、コロナ放電
により清浄なドラム表面全面を帯電させ、帯電したドラ
ム表面を選択的に露光する。露光された表面は放電さ
れ、ドラム表面に帯電した領域と帯電していない領域に
よる潜像を形成することができる。潜像形成後、現像部
によりドラム表面にトナーを付着させて画像を形成す
る。そして、形成された画像は転写部において記録媒体
上に転写され、定着部により記録媒体に定着される。
【0004】しかしながら、電子写真式印刷機において
は、複数枚の印刷時に1枚毎に潜像を形成するプロセス
が必要となるため、印刷速度の高速化に限界がある。
【0005】他方、事務用軽印刷機として知られる孔版
印刷機においては、サーマルヘッドにより原紙に選択的
に穿孔を形成し、孔版を形成する。作製された版はドラ
ムに巻き付けられ、その後ドラムの内側から孔版にイン
クが供給され、前記穿孔を通過したインクによるインク
画像が形成される。そして、転写部においてインク画像
が記録媒体上に転写される。
【0006】しかしながら、孔版印刷機においては次の
ような欠点がある。すなわち、印刷終了後、ドラムに巻
き付けてある版をドラムから排棄する必要がある。この
ため、排棄する版材をドラムから除去する機構や剥ぎ取
ったインク付き版を貯蔵する場所を設け、機外へ取り出
すための複雑な構造を必要とする。また、排版にはイン
クが付着するため、インクの使用量が不必要に多くな
り、印刷物のコストアップを招く。さらに、一度作製し
た孔版原紙には新しい画像を形成することはできないた
め、新しい版を形成するためには新しい孔版原紙が必要
となる。従って、多数枚のコピー印刷時の一枚当たりの
ランニングコストは低くなるが、少数枚のコピー印刷時
の一枚当たりのランニングコストは高くなるという欠点
がある。また、新しい画像を印刷するためには、使用済
み原紙の排版及び新しい原紙への版形成とドラムへの巻
き付け等のプロセスが必要となるため、装置の構成が複
雑になり、装置が大型化してしまうという欠点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、短時間で
効率的にかつ確実に印刷用版の形成及び消去を行なうこ
とが可能であるため、同一の印刷用版の効率的な繰り返
し使用が可能となり、高速印刷、装置の小型化及び少数
枚コピー印刷時における低ランニングコスト化をも実現
できる新しい画像形成装置及び画像形成方法、並びにか
かる画像形成用印刷用版の製造方法を提供することを目
的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基材表面に脱離可
能に吸着して分子間相互作用によりほぼ規則正しく配列
する物質(すなわち自己集合性化合物)を画像形成体形
成用材料として用いると共に、その自己集合性化合物を
供給した際に基材自体に通電することによって基材表面
に膜(すなわち自己集合単分子膜)を形成せしめ、その
自己集合単分子膜を形成する自己集合性化合物の少なく
とも一部を選択的に脱離せしめて印刷用版を形成するこ
とによって上記目的が達成されることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の画像形成装置は、導電
性基材、前記基材の表面に吸着して自己集合単分子膜を
形成することが可能な自己集合性化合物を該基材の表面
に供給する第1の化合物供給装置、前記基材の一端に一
方の端子が接続されかつ該基材の他端に他方の端子が接
続されている電源を備え、前記自己集合性化合物が前記
基材の表面に供給された際に該基材に通電して自己集合
単分子膜を形成せしめることにより、前記基材と前記自
己集合性化合物とを備える画像形成体を得るための第1
の通電装置、前記自己集合単分子膜を形成している自己
集合性化合物の少なくとも一部を前記画像形成体から選
択的に脱離せしめて、該画像形成体の表面に互いに濡れ
性が相違する脱離面と非脱離面とを設ける第1の脱離装
置、前記画像形成体の表面に、前記脱離面又は非脱離面
のいずれかに優先的に付着するインクを供給する現像装
置、及び前記画像形成体の表面に付着したインクを記録
媒体に転写する転写装置、を具備することを特徴とする
ものである。
【0010】上記本発明の画像形成装置は、前記画像形
成体の表面に前記自己集合性化合物を再供給する第2の
化合物供給装置と、前記自己集合性化合物が前記画像形
成体の表面に供給された際に前記基材に通電し、前記脱
離面に自己集合単分子膜を再形成せしめる第2の通電装
置とを更に具備してもよい。この場合、前記非脱離面を
形成している自己集合性化合物を前記画像形成体から脱
離せしめ、該画像形成体の全面を脱離面とする第2の脱
離装置を更に具備することが好ましい。
【0011】また、上記本発明の画像形成装置は、前記
インクの供給に先立って、前記脱離面又は非脱離面のい
ずれかに優先的に付着する水分を前記画像形成体の表面
に供給する水分供給装置を更に具備してもよい。
【0012】本発明の画像形成方法は、導電性基材の表
面に吸着して自己集合単分子膜を形成することが可能な
自己集合性化合物を該基材の表面に供給する第1の化合
物供給工程、前記基材の一端に一方の端子が接続されか
つ該基材の他端に他方の端子が接続されている電源を備
えた通電装置により、前記自己集合性化合物が前記基材
の表面に供給された際に該基材に通電して自己集合単分
子膜を形成せしめることにより、前記基材と前記自己集
合性化合物とを備える画像形成体を得る第1の通電工
程、前記自己集合単分子膜を形成している自己集合性化
合物の少なくとも一部を前記画像形成体から選択的に脱
離せしめて、該画像形成体の表面に互いに濡れ性が相違
する脱離面と非脱離面とを設ける第1の脱離工程、前記
画像形成体の表面に、前記脱離面又は非脱離面のいずれ
かに優先的に付着するインクを供給する現像工程、及び
前記画像形成体の表面に付着したインクを記録媒体に転
写する転写工程、を含むことを特徴とする方法である。
【0013】上記本発明の画像形成方法は、前記画像形
成体の表面に前記自己集合性化合物を再供給する第2の
化合物供給工程と、前記自己集合性化合物が前記画像形
成体の表面に供給された際に前記基材に通電し、前記脱
離面に自己集合単分子膜を再形成せしめる第2の通電工
程とを更に含んでもよい。この場合、前記非脱離面を形
成している自己集合性化合物を前記画像形成体から脱離
せしめ、該画像形成体の全面を脱離面とする第2の脱離
工程を更に含むことが好ましい。
【0014】また、上記本発明の画像形成方法は、前記
インクの供給に先立って、前記脱離面又は非脱離面のい
ずれかに優先的に付着する水分を前記画像形成体の表面
に供給する水分供給工程を更に含んでもよい。
【0015】本発明の製版方法は、導電性基材の表面に
吸着して自己集合単分子膜を形成することが可能な自己
集合性化合物を該基材の表面に供給する化合物供給工
程、前記基材の一端に一方の端子が接続されかつ該基材
の他端に他方の端子が接続されている電源を備えた通電
装置により、前記自己集合性化合物が前記基材の表面に
供給された際に該基材に通電して自己集合単分子膜を形
成せしめることにより、前記基材と前記自己集合性化合
物とを備える画像形成体を得る通電工程、及び前記自己
集合単分子膜を形成している自己集合性化合物の少なく
とも一部を前記画像形成体から選択的に脱離せしめて、
該画像形成体の表面に互いに濡れ性が相違する脱離面と
非脱離面とを設けて印刷用版を得る脱離工程、を含むこ
とを特徴とする方法である。
【0016】なお、本発明にかかる前記自己集合性化合
物とは、後で詳述するように、所定の基材表面(固液界
面)に自発的にほぼ均一な単分子層の吸着膜(自己集合
単分子膜)を形成することが可能な化合物であり、前記
基材の表面に吸着可能な吸着官能基とその吸着官能基に
結合している脂肪族化合物残基とを有しているものが挙
げられ、前記吸着官能基と前記脂肪族化合物残基とが少
なくとも一つのイオン結合部を介して結合しているもの
が好ましい。このようにイオン結合部を有する自己集合
性化合物としては、前記基材の表面に吸着可能な吸着官
能基と、その吸着官能基に結合している少なくとも一つ
の炭化水素残基と、前記少なくとも一つのイオン結合部
と、そのイオン結合部を介して前記炭化水素残基に結合
している少なくとも一つの脂肪族化合物残基とを有して
いるものが好適なものとして挙げられる。
【0017】そして、本発明においては、前記自己集合
性化合物が前記基材の表面に供給された際に、前記基材
の一端に一方の端子が接続されかつその基材の他端に他
方の端子が接続されている電源を備えた通電装置により
基材自体に通電されるため、基材表面への自己集合性化
合物の吸着速度が向上し、通電しなかった場合に比べて
短時間で効率的にかつ確実に自己集合性化合物が均一に
配列した自己集合単分子膜が得られる。そのため、印刷
用版として使用される画像形成体の製造時間が短縮さ
れ、より高速度の印刷が実現される。
【0018】更に、本発明によれば、自己集合性化合物
が短時間で確実に基材表面に均一に配列されるようにな
るため、自己集合単分子膜で被覆(修飾)されなかった
基材表面(単分子膜の欠陥部分)に起因する印刷汚れの
発生等が充分に防止され、より解像度の高い印刷が実現
される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
好適な実施形態について詳細に説明する。尚、図面中、
同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0020】先ず、本発明にかかる自己集合単分子膜に
ついて説明する。
【0021】いわゆる自己集合性化合物を特定の基材表
面に吸着(化学吸着)させたときに、その分子集合性
(吸着官能基による吸着作用と、その吸着官能基に結合
している基による分子間相互作用)により、基材表面に
自己集合性化合物がほぼ規則正しく配列する。このよう
な配列により形成された膜を自己集合単分子膜もしくは
自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayersとい
い、SAMと略称される)という。また、このように基材表
面に自己集合性化合物を規則正しく配列させることを、
基材表面に自己集合性化合物を修飾させるという。上記
のような現象は、R.G.Nuzzo et al.,J.Am.Chem.Soc.,10
5(1983),4481-4483等で報告されており、特定の材料
(基材と自己集合性化合物)間で上記の現象が起こるこ
とが知られている。
【0022】そして、このような自己集合単分子膜の形
成反応は2つの段階から構成されている。すなわち、第
1段階は、基材表面に吸着する際における自己集合性化
合物の解離(例えば、後述するチオールの場合は硫黄原
子に結合している水素原子の解離、ジスルフィドの場合
はS−S結合の解離、スルフィドの場合は硫黄原子に結
合している基の一方の解離)であり、第2段階は、解離
(部分的解離を含む)した自己集合性化合物残基の基材
表面への吸着である。例えば、アルカンチオールは水素
の解離と共に基材表面に速やかに吸着することが報告さ
れている(西田直樹ら,信学技報,OME96-33(1996),43-4
8)。従って、本発明においては、自己集合性化合物を
基材表面に供給した際に基材自体に通電することによっ
て、上記の第1段階に対応する解離の速度が向上し、そ
れによって短時間で効率的にかつ確実に自己集合性化合
物が基材表面に均一に配列するようになると考えられ
る。
【0023】本発明にかかる基材は導電性であればよ
く、特に制限されないが、例えば、金、白金、銀、銅等
の金属が挙げられ、金及び白金が特に好ましい。また、
少なくとも基材の自己集合単分子膜が形成されるべき面
が導電性であればよく、絶縁性材料に上記導電性材料が
被覆されてなる基材であってもよい。
【0024】また、本発明にかかる基材の一端には電源
の一方の端子が接続され、基材の他端にはその電源の他
方の端子が接続されており、基材の少なくとも表面に通
電可能となっている。基材と電源との具体的な接続方法
は特に制限されない。
【0025】本発明にかかる自己集合性化合物は、内部
にイオン結合部(イオン対)を有しているものが好まし
く、その一部が低エネルギーで容易に解離される。その
ため、イオン結合部を有する自己集合性化合物を採用す
ることによって、イオン結合部を有しない自己集合性化
合物を用いる場合に比べて、画像形成体に濡れ性が相違
する脱離面と非脱離面とが低エネルギーで容易に形成さ
れる傾向にある。更に、イオン結合部を形成すべきアニ
オン及びカチオンの存在下では容易にイオン結合が形成
される。そのため、自己集合性化合物がイオン結合部で
解離して画像形成体に残存している部分(イオン結合部
より基材に吸着する側の部分(残存部))に自己集合性
化合物(イオン結合部より基材に吸着しない側の部分
(脱離部)のみであってもよい)を再度供給することに
よって、未解離の自己集合単分子膜が容易に再現される
傾向にある。
【0026】本発明に好適な自己集合性化合物として
は、例えば以下のものが挙げられる。
【0027】(I)一般式(1):R3−X1−R1−S
−S−R2−X2−R4 で表わされるジスルフィド化合
物 i)吸着官能基:SS基(ジスルフィド基) ii)基材:金、銀等 iii)R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、それ
ぞれ炭化水素残基であり、より具体的には以下のもの: アルキレン基(例えば、-CxH2xー:x=1〜15) 脂肪族環状炭化水素残基(例えば炭素数3〜6のシク
ロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン残基) 芳香族炭化水素残基(例えばベンゼン残基) が挙げられる。 iv)X1及びX2は、同一でも異なっていてもよく、それ
ぞれイオン結合部であり、より具体的には−COO-+
3N−又は−O-+HN=N−が挙げられる。 v)R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、それぞ
れ脂肪族化合物残基であり、より具体的には以下のも
の: a)アルキル残基(例えば、-CmH2m+1:m=1〜22) b)ハロゲン(F,Br,Cl)置換アルキル残基(例えば、-Cn
AaHb:A=F,Br又はCl、n=1〜22、a+b=2n+1) c)アルケニル残基(例えば、-(CH2)17CH=CH2) d)アルコール残基(例えば、-(CH2)pOH:p=2〜22) e)脂肪族カルボン酸残基(例えば、-(CH2)qCOOH:q=1〜
15) f)脂肪族カルボン酸エステル残基(例えば、-(CH2)rCOO
CH3:r=10〜15) g)脂肪族エーテル残基(例えば、-(CH2)11OCH3) h)脂肪族チオールエステル残基(例えば、-(CH2)12SCOC
H3) i)シアン化アルキル残基(例えば、-(CH2)8CN) j)シロキシル化アルキル残基(例えば、-(CH2)11OSi(CH
3)2(C(CH3)3)) k)カルバモイルアルキル残基(例えば、-(CH2)15CON
H2)) l)脂肪族アミン残基(例えば、-(CH2)2NH2) が挙げられる。
【0028】(II)一般式(2):R7−X3−R5−S
−R6−X4−R8 で表わされるスルフィド化合物 i)吸着官能基:S基(スルフィド基) ii)基材:金、銀等 iii)R5及びR6は、前述のR1及びR2と同様である。 iv)X3及びX4は、前述のX1及びX2と同様である。 v)R7及びR8は、前述のR3及びR4と同様である。
【0029】(III)一般式(3):H−S−R9−X5
−R10 で表わされるチオール化合物 i)吸着官能基:SH基(チオール基) ii)基材:金、銀等 iii)〜v)R9、X5、R10は、それぞれ前述のR1、X1
3と同様である。
【0030】(IV)一般式(4):HOOC−R11−X
6−R12 で表わされるカルボン酸化合物 i)吸着官能基:COOH基(カルボキシル基) ii)基材:白金、アルミニウム等 iii)〜v)R11、X6、R12は、それぞれ前述のR1
1、R3と同様である。
【0031】(V)一般式(5):H2N−R13−X7
14 で表わされるアミン化合物 i)吸着官能基:NH2基(アミノ基) ii)基材:白金等 iii)〜v)R13、X7、R14は、それぞれ前述のR1
1、R3と同様である。
【0032】(VI)一般式(6):N2−R15−X8−R
16 で表わされるジアゾ化合物 i)吸着官能基:N2基(ジアゾ基) ii)基材:白金等 iii)〜v)R15、X8、R16は、それぞれ前述のR1
1、R3と同様である。
【0033】(VII)一般式(7):N3−R17−X9−R
18 で表わされるアジド化合物 i)吸着官能基:N3基(アジド基) ii)基材:白金等 iii)〜v)R17、X9、R18は、それぞれ前述のR1
1、R3と同様である。
【0034】なお、本発明にかかる自己集合性化合物は
上記のものに限定されず、所定の基材表面に自己集合単
分子膜を形成できるものであればよいが、イオウは金に
対して特異的な親和性を示すことから基材として金を使
用する場合は吸着官能基としてイオウを含む前述のジス
ルフィド化合物、スルフィド化合物、チオール化合物が
好ましい。
【0035】また、本発明にかかる自己集合性化合物中
のイオン結合部(イオン対)は特に上記のものに限定さ
れないが、イオン対におけるイオン結合エネルギーが基
材と吸着官能基との間の結合エネルギーよりも低い(結
合が弱い)ことが好ましい。また、イオン結合部の基材
に吸着して残存する側の部分が正の電荷を持ち、他方の
脱離する側の部分が負の電荷を持ってもよく、その逆で
あってもよい。
【0036】本発明にかかる炭化水素残基も特に上記の
ものに限定されず、使用する基材と吸着官能基との組合
わせ等に応じて選択される。
【0037】また、上述の炭化水素残基にはいずれも一
つのイオン結合部が結合しているが、これに限定される
ものではなく、炭化水素残基に複数のイオン結合部が結
合していてもよい。更に、吸着官能基と炭化水素残基と
が一体的に、例えば1個又は2個の硫黄原子を含む5員
又は6員の複素環を構成していてもよい。
【0038】本発明にかかる脂肪族化合物残基も上記の
ものに限定されず、使用する基材と吸着官能基及び炭化
水素残基との組合わせ等に応じて選択されるが、脂肪族
化合物残基としてアルキル残基又はハロゲン置換脂肪族
化合物残基(例えばハロゲン置換アルキル残基)を用い
る場合は炭素数が1〜22の範囲内のものが好ましく、
炭素数が5〜15の範囲内のものが特に好ましい。炭素
数が多過ぎると基材及び炭化水素残基と自己集合性化合
物との結合の熱的安定性が高くなり過ぎる傾向にあり、
他方、炭素数が少な過ぎると基材に吸着した自己集合性
化合物の充分な均一性が得られない可能性が生じる傾向
にあるからである。
【0039】上記自己集合性化合物によって形成される
自己集合単分子膜においては、脂肪族化合物残基の末端
(吸着官能基に結合していない側の端)がほぼ均一に配
列した表面となっており、その単分子膜表面の濡れ性は
基材表面及びイオン結合部からの影響を受けない。従っ
て、自己集合単分子膜表面の末端官能基(脂肪族化合物
残基の末端官能基)を制御することにより、その表面に
種々の特性を持たせることが可能である。すなわち、そ
の末端官能基として撥水・親油性、親水・撥油性もしく
は撥水・撥油性の官能基を使用し、解離によりかかる末
端官能基の濡れ性と相違する濡れ性(例えば親水・親油
性)となる基材表面又はイオン結合部を使用することに
より、それらによって構成される画像形成体表面の濡れ
性を制御して画像形成装置に利用することができる。
【0040】例えば、炭素主鎖に水素原子のみが結合し
たアルキル残基を末端に有する自己集合性化合物を採用
すると単分子膜の表面は撥水・親油性を示すのに対し
て、解離したイオン結合部(イオン結合部の基材に吸着
して残存する部分)は親水・親油性を示す。従って、未
解離の自己集合性化合物が修飾している領域は撥水・親
油性となるが、脂肪族化合物残基がイオン結合部の解離
によって脱離した領域は親水・親油性となる。これに対
して、一部もしくは全部の水素原子がハロゲン(フッ素
など)置換されたアルキル残基を末端に有する自己集合
性化合物を採用すると単分子膜の表面は撥水・撥油性を
示すのに対して、解離したイオン結合部は親水・親油性
を示す。従って、ハロゲン化された未解離の自己集合性
化合物が修飾している領域は撥水・撥油性となるが、脂
肪族化合物残基がイオン結合部の解離によって脱離した
領域は親水・親油性となる。
【0041】次に、図1及び図2を参照しつつ本発明の
画像形成方法及び本発明の製版方法の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。図1は本発明の画像形成方法の
好適な一実施形態を示すフローチャート(図1中の工程
S101〜S103が本発明の製版方法の好適な一実施形態に対
応する)であり、図2(a)〜(g)は本発明の画像形
成方法の好適な一実施形態の諸工程における基材表面の
状態をそれぞれ示す断面模式図(図2(a)〜(c)が
本発明の製版方法の好適な一実施形態の諸工程における
基材表面の状態に対応する)である。
【0042】本実施形態においては、先ず、基材1の表
面を、容器(化合物供給装置)20a中の自己集合性化合
物2の溶液3に浸析して基材1の表面に自己集合性化合
物2を供給する。このようにすると、図2(a)に示す
ように、基材1の表面(固液界面)に一部の自己集合性
化合物2が自発的に配列・吸着し、残りの自己集合性化
合物2は溶液3中に溶解したままの状態となる(第1の
化合物供給工程S101a)。このとき、基材1の一端に一
方の端子が接続されかつ基材1の他端に他方の端子が接
続されている電源(通電装置)20bによって基材1に通
電する。このように基材1に通電すると、図2(b)に
示すように、基材1の表面に自己集合性化合物2が高速
度で配列・吸着し、自己集合性化合物2が高密度で均一
に配列した単分子層の吸着膜(自己集合単分子膜)が短
時間で形成され、画像形成体4が得られる(第1の通電
工程S101b)。なお、第1の化合物供給工程S101aと第1
の通電工程S101bとで第1の製膜工程S101が構成され
る。また、本実施形態にかかる自己集合性化合物2は、
吸着官能基、それに結合している炭化水素残基、イオン
結合部、及びそのイオン結合部を介して炭化水素残基に
結合している脂肪族化合物残基で構成されており、吸着
官能基と炭化水素残基とイオン結合部の一部(基材に吸
着して残存する側の部分)とを2aで示し、脂肪族化合
物残基とイオン結合部の他の部分(脱離する側の部分)
とを2bで示す。以下、2aに相当する部分を「残存
部」と称し、2bに相当する部分を「脱離部」と称す
る。図2(c)に示すように、自己集合性化合物2の吸
着官能基が基材1の表面に吸着し、脂肪族化合物残基の
末端が自己集合単分子膜の表面(露出している側の面)
に露出している。
【0043】このような自己集合単分子膜の形成速度を
左右する因子としては、印加電流、温度、溶媒の種類、
溶液濃度等があり、用いる自己集合性化合物と基材との
組合わせに応じて製膜速度が速くなるように適宜選択さ
れる。なお、基材1に通電する際の印加電流は、より短
時間で単分子膜を形成するためには0.1A以上が好ま
しく、1〜5Aが特に好ましい。印加電流が上記下限未
満では単分子膜の形成に要する時間が充分には短縮され
ない傾向にあり、他方、印加電流が上記上限を超えると
必要な通電装置並びに漏電防止用等の付随装置の規模が
大きくなってコスト面で不都合が生じる傾向にある。ま
た、印加電圧は特に制限されないが、基材1の抵抗に応
じて上記印加電流が通電されるように調節されることが
好ましい。更に、単分子膜の形成は室温でも可能であ
る。溶媒は特に制限されないが、単分子層内への侵入性
が低いことが好ましく、自己集合性化合物の溶解性の観
点から有機溶媒が好ましい。中でも、エタノール(プロ
トン性極性溶媒)、酢酸エチル(非プロトン性極性溶
媒)、ヘキサン(無極性溶媒)等が好適に使用される。
また、溶液3中の自己集合性化合物2の濃度としては、
単分子膜を確実に得るためには0.0001mM以上が
好ましく、0.01mM以上10mM以下が特に好まし
い。溶液濃度が上記下限未満では、単分子膜の形成に要
する時間が長くなる傾向にあり、他方、溶液濃度が上記
上限を超えると、自己集合性化合物自体が自己集合を妨
害したり、過剰な自己集合性化合物が表面に析出したり
する可能性が生じる傾向にあるからである。
【0044】なお、本発明においては、基材自体に通電
しながら自己集合単分子膜を形成させるため、前述のよ
うに自己集合性化合物の吸着速度が向上し、通電しなか
った場合に比べて製膜に要する時間が1/2以下程度に
短縮される。また、基材表面への自己集合単分子膜の形
成は、必ずしも単分子膜が完全に形成されるまで(化合
物密度が飽和状態となるまで)行う必要はなく、基材表
面に自己集合性化合物がほぼ均一に吸着して単分子膜表
面の濡れ性が基材表面の濡れ性に対して相違するまでで
よい。従って、完全な単分子膜を得るためには数分〜数
時間を要する場合であっても、ほぼ均一な単分子膜によ
って濡れ性が相違した画像形成体を十数秒で得ることも
可能である。
【0045】次に、画像形成体4に形成された自己集合
単分子膜を溶媒で洗浄して膜形成に関与していない自己
集合性化合物を除去し、更に乾燥して溶媒を除去する
(洗浄・乾燥工程S102)。なお、かかる洗浄工程は必ず
しも必須ではなく、乾燥工程だけであってもよい。
【0046】そして、図2(c)に示すように、自己集
合単分子膜を形成している自己集合性化合物2に対して
選択的にサーマルヘッド5から熱エネルギー6を加え
て、自己集合性化合物2のイオン結合部を選択的に解離
せしめて、画像形成体4の表面から自己集合性化合物2
の脱離部2bを選択的に脱離せしめる。それによって、表
面に互いに濡れ性が相違する脱離面7と非脱離面8とが
形成された画像形成体4(すなわち画像形成(転写)用
の印刷用版)が得られる(第1の脱離工程S103)。
【0047】このようにイオン結合部を解離せしめる際
の温度及び時間は、用いる自己集合性化合物のイオン結
合部の結合エネルギー(単分子膜の熱安定性)に応じて
適宜選択されるが、通常イオン結合部は共有結合より結
合エネルギーが低いため、イオン結合部を有しない自己
集合性化合物を用いる場合に比べて、低エネルギーで容
易にイオン結合部は解離される。その際の温度として
は、100〜300℃の範囲が好ましい。また、第1の
脱離工程S103の後に、画像形成体4の表面を洗浄して脱
離された脱離部2bを除去し、更に乾燥して洗浄液を除去
する工程(図示せず)を更に含んでもよい。
【0048】なお、上記自己集合性化合物2の脱離工程
においては、脱離面7における一部の自己集合性化合物
2は完全に脱離(基材と吸着官能基との間で解離)して
もよいが、通常はイオン結合部におけるイオン結合エネ
ルギーが基材と吸着官能基との間の結合エネルギーより
も低いことから、基材と吸着官能基との間の解離よりも
イオン結合部の解離が優先する。
【0049】次いで、画像形成体4の表面に水分供給装
置9から水分(添加剤等を含んでいてもよい)10が供
給される(水分供給工程S104)。図2(d)において
は、脱離面7が親水性でかつ非脱離面8が撥水・親油性
である場合が図示されており、したがって水分10は脱
離面7に優先的に付着される。
【0050】その後、画像形成体4の表面に現像装置1
1からインク(油性インク)12が供給される(現像工
程S105)。図2(e)に示すように、インク12は、水
分10が付着している脱離面7を避けて親油性の非脱離
面8に優先的に付着され、それによってインク画像が形
成される。
【0051】そして、図2(f)に示すように画像形成
体4の表面に記録媒体13が当接され、画像形成体4の
表面に付着したインク12が記録媒体13に転写される
(転写工程S106)。これによって、1回目の印刷シーケ
ンス(印刷プロセス)が完了する。
【0052】引き続き同一の画像を複数枚コピー印刷す
る場合は、画像形成体4の表面に付着した未転写インク
12を除去した後(未転写インク除去工程S107)、図1
においてAで示すように水分供給工程S104、現像工程S1
05、転写工程S106及び未転写インク除去工程S107が所定
回数繰り返される。なお、未転写インク除去及び水分供
給は必ずしも毎回行う必要はない。
【0053】このように、本発明の画像形成方法におい
ては、同一の印刷用版を繰り返し使用することが可能で
ある。したがって本発明によれば、従来の電子写真式印
刷機では必要とされた1枚毎の潜像形成は不要となり、
高速印刷が可能となる。
【0054】所望枚数のコピー印刷が終了した後、図2
(g)に示すように非脱離面8を形成している自己集合
性化合物2に対してハロゲンランプ14から熱エネルギ
ー15を加えて、画像形成体4の表面から自己集合性化
合物2の脱離部2bを脱離せしめる。それによって、画像
形成体4の全面が脱離面となる(第2の脱離工程S10
8)。その後、図1においてBで示すように、その画像
形成体4の表面に自己集合性化合物2を再度供給(第2
の化合物供給工程S101a)すると共に基板1に通電(第
2の通電工程S101b)すると、基板1上の残存部2aと新
たに供給された自己集合性化合物2の脱離部2bとの間で
イオン結合が形成され、前記脱離面に未解離の自己集合
単分子膜が効率よくかつ確実に再度形成される(第2の
製膜工程S101)。そして、上述の諸工程(S101〜S108)
を繰り返すことによって、複数の画像について各々所望
枚数のコピー印刷が行われる。
【0055】なお、上記の第2の脱離処理S108を施した
場合、再形成された自己集合単分子膜の均一性がより向
上する傾向にある。しかしながら、溶液中の自己集合性
化合物2の脱離部2bは、図3に示すように、脱離面8の
残存部2aと新たにイオン結合を形成してその部分の単分
子膜を再形成することが可能であり、しかも基板1に通
電することによって単分子膜がより効率よく再形成され
ることから、第2の脱離工程S108は必ずしも必要ではな
い。
【0056】このように、本発明の画像形成方法におい
ては、同一の画像形成体を複数の画像に対して繰り返し
使用することが可能であり、しかも印刷用版の形成及び
消去が溶液への浸析・通電および加熱といった容易な処
理で可能である。したがって本発明によれば、従来の孔
版印刷機に必要とされた原紙の排版や新しい原紙の巻き
付けといった複雑な装置は必要とされず、小型かつ簡単
な装置でより高速な画像形成が可能となる。
【0057】以上、本発明の画像形成方法及び本発明の
製版方法の好適な実施形態について詳細に説明したが、
本発明の方法は上記実施形態に限定されるものではな
い。
【0058】例えば、脱離面における自己集合性化合物
が完全に脱離、すなわち基材と吸着官能基との間で解離
することによって、非脱離面と濡れ性が相違する脱離面
が形成されてもよい。また、脱離面における一部の自己
集合性化合物は完全に脱離し、残りの自己集合性化合物
についてはその一部(脱離部)が脱離していてもよい。
用いる自己集合性化合物と基材との組合わせによって、
基材からの自己集合性化合物の脱離が優先する場合や、
自己集合性化合物からの脂肪族化合物残基(脱離部)の
脱離(解離)が優先する場合や、先ず自己集合性化合物
から脂肪族化合物残基(脱離部)が脱離(解離)した後
に吸着官能基が基材から脱離する場合があるからである
(原正彦ら,応用物理第64巻第12号(1995),1234-1238参
照)。
【0059】また、上記の実施形態では、自己集合性化
合物の供給方法として、基材の溶液への浸析による方法
を示している。しかし、かかる自己集合性化合物の供給
方法としては、後述する基材への溶液の噴霧による方
法、あるいはローラもしくはブレードを介して基材に溶
液を供給する方法であってもよい。
【0060】更に、上記の実施形態では、自己集合性化
合物の脱離方法として、サーマルヘッドを利用した加熱
による方法、並びにハロゲンランプを利用した光照射に
よる加熱による方法を示している。しかし、かかる脱離
方法として、溶媒を噴霧する方法、あるいは電気エネル
ギーによる脱離反応を利用する方法を採用してもよく、
上記加熱方法に限定されるものではない。
【0061】また、上記の実施形態では、脱離面が親水
・親油性でかつ非脱離面が撥水・親油性であり、油性イ
ンクを使用する場合について示している。しかしなが
ら、水性インクを用いてもよく、その場合は水性インク
が脱離面7に優先的に付着されるため水分供給工程S104
は必要なくなる。また、脱離面が親水・親油性でかつ非
脱離面が撥水・撥油性であってもよく、この場合は油性
インクが脱離面7に優先的に付着されるため水分供給工
程S104は同様に必要なくなる。
【0062】次に、図4〜図16を参照しつつ本発明の
画像形成装置の好適な実施形態について詳細に説明す
る。尚、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付す
こととする。
【0063】実施形態1図4は本発明の画像形成装置の
好適な一実施形態を示す模式図である。表面に金膜1aが
蒸着されたドラム1bを画像形成用基材1として用いた。
前記ドラム1bは回転可能に軸支され、矢印Cの方向に回
転駆動される。また、基材1の一端の縁部に4枚の電極
板203が、他端の縁部に4枚の電極板203がそれぞれ形成
され(図4においては一端側の電極板を実線で示し、他
端側の電極板を破線で示す)、各電極板203が導線204を
介して電源205の両端子にそれぞれ接続されている。こ
のように電極板203、導線204及び電源205によって通電
装置(第1の通電装置)20bが構成されており、それに
よって基材1(金膜1a)に通電可能となっている。な
お、ドラム1b並びにその軸(少なくとも中間部)は通電
装置から絶縁されている。
【0064】以下、ドラム1bの回転進行方向の順に画像
形成装置(印刷機)の構成を説明する。先ず、ドラム1b
の下に、金膜1aの表面に自己集合性化合物2を供給する
ための化合物供給装置(第1の化合物供給装置)20aが
設置されている。化合物供給装置20aは、自己集合性化
合物2の溶液(製膜用溶液)3が充填された溶液カート
リッジ201と溶液噴霧器202より構成されている。溶液カ
ートリッジ201には、下記化学式: NH2-C6H4-SS-C6H4-NH2 で表される4,4’−アミノフェニルジスルフィド(残
存部2aに相当)と、下記化学式: C11H23COOH で表されるラウリン酸(脱離部2bに相当)とを溶解させ
たエタノール溶液が充填されている。次に、化合物供給
装置20aから溶液3が供給された金膜1aの表面を乾燥さ
せるためのファン20cが設置されており、前述の化合物
供給装置20a及び通電装置20bと共に、自己集合性化合物
2からなる自己集合単分子膜を形成するための製膜装置
(第1の製膜装置)20が構成されている。
【0065】続いて、自己集合単分子膜が形成された画
像形成体4の表面を選択的に加熱し、印刷用版を形成す
るためのサーマルヘッド(第1の脱離装置)5が設置さ
れている。
【0066】次いで、サーマルヘッド5により印刷用版
が形成された画像形成体4の脱離面(非画線部)に水分
の供給(湿し水)を行なうための水分供給装置(湿し水
器)9が設置されている。水分供給装置9は、水分供給
器9a、水分カートリッジ9b、水分(湿し水)9c、水分供
給ローラ9d及び水分塗布ローラ9eにより構成されてい
る。
【0067】さらに、水分が供給された画像形成体4に
インク画像を形成するための現像器(現像装置)11が
設置されている。現像器11は、インク供給機11a、イ
ンクカートリッジ11b、インク(油性インク)11c、イン
ク供給ローラ11d及びインク塗布ローラ11eにより構成さ
れている。
【0068】そして、ドラム1bの上部には、現像器11
で画像形成体4に形成されたインク画像を記録媒体13
に転写するための転写装置21が設置されている。転写
装置21は、転写用ドラム21c、給紙ローラ21a及びプラ
テンローラ21bにより構成されており、転写用ドラム21c
は画像形成体4の回転に同期して矢印Dの方向に回転し
ている。
【0069】更に、ドラム1b上及び転写用ドラム21c上
の未転写インクを除去するためのインククリーナー22
が設置されている。インククリーナー22はそれぞれ、
クリーニングバフ22a及び巻き取り軸22bにより構成され
ている。
【0070】そして、最後に、画像形成体4の全表面を
加熱して、自己集合単分子膜2の脱離部2bを脱離させる
ためのハロゲンランプ(第2の脱離装置)14が設置さ
れている。なお、ハロゲンランプ14によって自己集合
性化合物2の脱離部2bが全面的に除去された画像形成体
4上に自己集合単分子膜を再形成するための第2の製膜
装置(第2の化合物供給装置及び第2の通電装置)は、
前述の第1の製膜装置(第1の化合物供給装置20a及び
第1の通電装置20b)20が兼ねている。
【0071】次に、本実施形態における上記装置におけ
る作用について説明する。
【0072】先ず、ハロゲンランプ14を用いて金膜1a
の全表面を加熱することにより、金膜1a表面の不純物を
除去する。これにより、より緻密な自己集合単分子膜を
形成することができる。
【0073】続いて、化合物供給装置20aの溶液噴霧器2
02により製膜用溶液3を金膜1aの表面に供給する。この
ように自己集合性化合物2が金膜1a表面に供給される
と、その一部は分子集合性により金膜1a表面に吸着す
る。次いで、自己集合性化合物2が供給された金膜1aに
通電装置20bによって通電すると、図5に示すように、
自己集合性化合物(チオラート)2が金膜1a表面に迅速
にかつ均一に配列・吸着する。そして、ファン20cによ
り、上記製膜用溶液が供給された金膜1aの表面を乾燥さ
せる。乾燥された金膜1aの表面には、同図に示すよう
に、その内部にイオン結合部(イオン対)を有する自己
集合単分子膜2が均一に形成される。
【0074】続いて、自己集合単分子膜2が均一に形成
された金膜1aの表面に、サーマルヘッド5を作用させる
ことによって自己集合単分子膜2を選択的に加熱する
と、図6に示すように、加熱された自己集合単分子膜2
中のイオン結合が解離して、自己集合性化合物の脱離部
2bが選択的に脱離する。
【0075】このようにして自己集合性化合物の脱離部
(ラウリン酸)2bが脱離した金膜1aの表面(脱離面)
は、自己集合性化合物の残存部(アミノフェニルチオラ
ート)2aのみで被覆された面となり、表面にアミノ基が
主として露出することとなる。他方、未解離の自己集合
単分子膜2で被覆されている表面(非脱離面)にはアル
キル基が主として露出している。従って、未解離の自己
集合単分子膜2で被覆されている表面(非脱離面)は撥
水・親油性であり、他方、自己集合性化合物の残存部2a
のみで被覆された面(脱離面)は親水・親油性である。
このように、画像形成体4の表面は部分的に濡れ性が異
なることとなる。従って、サーマルヘッド5を用いた選
択的な加熱により、画像形成体4の表面に任意の印刷用
版を形成することができる。
【0076】次いで、印刷用版が水分供給装置9を通過
するときに、印刷用版が形成された画像形成体4の表面
の脱離面(非画線部)に水分9cが供給される。続いて、
印刷用版が現像器11を通過するときに、印刷用版が形
成された画像形成体4の表面に油性インク11cが供給さ
れることによりインク画像が形成される。脱離面(非画
線部)には水分9cが付着しているので油性インク11cは
付着せず、油性インク11cは未解離の自己集合単分子膜
2で被覆されている表面(非脱離面:画線部)にのみ付
着する。なお、供給ローラと塗布ローラの面粗さ、並び
に、供給ローラ及び塗布ローラと画像形成体4との間の
圧力により、水分9c及びインク11cの膜厚がそれぞれ調
整されて、画像形成体4上に供給される。
【0077】続いて、インク画像が形成された画像形成
体4は転写装置21に送られ、インク画像が画像形成体
4から転写用ドラム21cに転写される。そして、記録媒
体13が転写用ドラム21cの回転に同期して、給紙ロー
ラ21aにより矢印Eの方向に供給されており、記録媒体
13はプラテンローラ21bにより転写用ドラム21cに押圧
されている。記録媒体13が転写用ドラム21cに当接し
ている間に、インク画像が転写用ドラム21cから記録媒
体13に転写される。その後、インク画像が転写された
記録媒体13は、矢印Eの方向に排紙される(排紙機構
は図示せず)。
【0078】上記転写印刷工程を終了した画像形成体4
及び転写用ドラム21cの表面には、未転写インクが残る
ことがある。インククリーナー22により、残った未転
写インクが掻き取られる。未転写インクを掻き取ったク
リーニングバフ22aは、巻き取り軸22bに巻き取られる。
なお、未転写インクの掻き取りは、1枚毎の実行に限定
されず、同一の印刷用版を用いたコピー印刷時には、特
定枚数の印刷終了後(例えば、5枚毎又は10枚毎)に
実行してもよい。インククリーナー22により未転写イ
ンクを掻き取らない場合は、インククリーナー22を画
像形成体4及び転写用ドラム21cから離間させておく。
【0079】同一画像について複数枚コピー印刷する際
には、製膜工程及び印刷用版形成工程を再実行しなくて
良い。従って、画像形成体4は印刷用版を保持したま
ま、水分供給装置9に送られる。この間、ハロゲンラン
プ14及びサーマルヘッド5は加熱されていない。ま
た、それらの余熱により自己集合性化合物2の脱離部2b
が脱離しないように、加熱工程または印刷用版形成工程
終了後にはハロゲンランプ14及びサーマルヘッド5を
画像形成体4から離間させておくことが好ましい。画像
形成体4の表面に水分供給装置9により水分が供給さ
れ、現像器11で油性インク11cが供給される。再形成
されたインク画像が転写装置21において記録媒体13
に転写される。
【0080】所望の枚数のコピー印刷が終了すると、ハ
ロゲンランプ14がドラム1bに近接され、画像形成体4
の全表面を加熱する。それによって、図6に示した反応
と同様にして、加熱された自己集合単分子膜2中のイオ
ン結合が解離して、金膜1aの全表面から自己集合性化合
物2の脱離部2bが脱離する。続いて、新しい印画パター
ンを印刷するときには、金膜1aの表面に自己集合単分子
膜2を再形成する工程から実行する。すなわち、化合物
供給装置20aにより金膜1a表面に製膜用溶液3を供給し
た後に、通電装置20bにより金膜1aに通電し、そしてフ
ァン20cで金膜1aの表面を乾燥することにより、図7に
示すように、金膜1a上の残存部2aと新たに供給された製
膜用溶液3中の脱離部2bとが迅速にイオン結合を形成
し、金膜1aの表面を未解離の自己集合単分子膜2で再修
飾することができる。それ以降の工程は前述と同様にし
て、新しい印画パターンを印刷することができる。
【0081】実施形態2 実施形態1と実施形態2とでは、自己集合単分子膜を形
成するために使用する自己集合性化合物が異なる。すな
わち、溶液カートリッジ201には、下記化学式: NH2-C6H4-SS-C6H4-NH2 で表される4,4’−アミノフェニルジスルフィド(残
存部2aに相当)と、下記化学式: C8F17COOH で表されるヘプタデカフルオロペラルゴン酸(脱離部2b
に相当)とを溶解させたエタノール溶液が充填されてい
る。
【0082】そして、本実施形態において形成される自
己集合単分子膜の濡れ性は撥水・撥油性であるため、水
分供給装置9は不要となる。従って、水分供給装置9が
存在しない以外は実施形態1と同様の画像形成装置が使
用される。但し、本実施形態においては、インク11cと
して油性インクのみならず水性インクを使用することも
可能である。
【0083】次に、実施形態2における上記装置におけ
る作用について説明する。
【0084】先ず、ハロゲンランプ14を用いて金膜1a
表面の不純物を除去した後、溶液噴霧器202により製膜
用溶液3を金膜1aの表面に供給すると、自己集合性化合
物2の一部は分子集合性により金膜1a表面に吸着する。
次いで、自己集合性化合物2が供給された金膜1aに通電
装置20bによって通電すると、図8に示すように、自己
集合性化合物(チオラート)2が金膜1a表面に迅速にか
つ均一に配列・吸着する。そして、ファン20cにより金
膜1aの表面を乾燥させると、同図に示すように、その内
部にイオン結合部(イオン対)を有する自己集合単分子
膜2が金膜1aの表面に均一に形成される。
【0085】続いて、自己集合単分子膜2が均一に形成
された金膜1aの表面に、サーマルヘッド5を作用させる
ことによって自己集合単分子膜2を選択的に加熱する
と、図9に示すように、加熱された自己集合単分子膜2
中のイオン結合が解離して、自己集合性化合物の脱離部
2bが選択的に脱離する。
【0086】このようにして自己集合性化合物の脱離部
(ヘプタデカフルオロペラルゴン酸)2bが脱離した金膜
1aの表面(脱離面)は、自己集合性化合物の残存部(ア
ミノフェニルチオラート)2aのみで被覆された面とな
り、表面にアミノ基が主として露出することとなる。他
方、未解離の自己集合単分子膜2で被覆されている表面
(非脱離面)にはフルオロアルキル基が主として露出し
ている。従って、未解離の自己集合単分子膜2で被覆さ
れている表面(非脱離面)は撥水・撥油性であり、他
方、自己集合性化合物の残存部2aのみで被覆された面
(脱離面)は親水・親油性であり、画像形成体4の表面
に任意の印刷用版が形成されることとなる。
【0087】次いで、本実施形態においては、印刷用版
が現像器11に送られ、印刷用版が形成された画像形成
体4の表面に油性又は水性インク11cが供給されること
によりインク画像が形成される。未解離の自己集合単分
子膜2で被覆されている表面(非脱離面:非画線部)は
撥水・撥油性であるためインク11cは付着せず、インク1
1cは脱離面(画線部)にのみ付着する。続いて、実施形
態1と同様にして、転写装置21においてインク画像が
記録媒体13に転写される。
【0088】上記転写印刷工程を終了した後、実施形態
1と同様に、インククリーナー22により残った未転写
インクが掻き取られる。また、同一画像について複数枚
コピー印刷する際には、画像形成体4は印刷用版を保持
したまま現像器11に送られてインク画像が再形成さ
れ、続いて転写装置21においてインク画像が記録媒体
13に転写される。
【0089】そして、所望の枚数のコピー印刷が終了す
ると、ハロゲンランプ14によって画像形成体4の全表
面が加熱され、図9に示した反応と同様にして、金膜1a
の全表面から自己集合性化合物2の脱離部2bが脱離す
る。続いて、新しい印画パターンを印刷するときには、
化合物供給装置20aにより金膜1a表面に製膜用溶液3を
供給した後に、通電装置20bにより金膜1aに通電し、そ
してファン20cで金膜1aの表面を乾燥することにより、
図10に示すように、金膜1a上の残存部2aと新たに供給
された製膜用溶液3中の脱離部2bとが迅速にイオン結合
を形成し、金膜1aの表面を未解離の自己集合単分子膜2
で再修飾することができる。それ以降の工程は前述と同
様にして、新しい印画パターンを印刷することができ
る。
【0090】実施形態3〜4 実施形態1と実施形態3〜4とでは、自己集合単分子膜
を形成するために使用する自己集合性化合物が異なる。
すなわち、実施形態3における溶液カートリッジ201に
は、下記化学式: NH2-C6H4-S-C6H4-NH2 で表される(ビス(4−アミノフェニル))スルフィド
(残存部2aに相当)と、下記化学式: C11H23COOH で表されるラウリン酸(脱離部2bに相当)とを溶解させ
たエタノール溶液が充填されている。また、実施形態4
における溶液カートリッジ201には、下記化学式: NH2-C6H4-SH で表される4−アミノチオフェノール(残存部2aに相
当)と、下記化学式: C5H11COOH で表されるヘキサン酸(脱離部2bに相当)とを溶解させ
たエタノール溶液が充填されている。そして、実施形態
3〜4においては、実施形態1と同様の画像形成装置が
使用される。
【0091】次に、実施形態3〜4における上記装置に
おける作用について説明する。
【0092】先ず、ハロゲンランプ14を用いて金膜1a
表面の不純物を除去した後、溶液噴霧器202により製膜
用溶液3を金膜1aの表面に供給すると、自己集合性化合
物2の一部は分子集合性により金膜1a表面に吸着する。
次いで、自己集合性化合物2が供給された金膜1aに通電
装置20bによって通電すると、図11(実施形態3)又
は図14(実施形態4)に示すように、自己集合性化合
物(チオラート)2が金膜1a表面に迅速にかつ均一に配
列・吸着する。そして、ファン20cにより金膜1aの表面
を乾燥させると、同図に示すように、その内部にイオン
結合部(イオン対)を有する自己集合単分子膜2が金膜
1aの表面に均一に形成される。
【0093】続いて、自己集合単分子膜2が均一に形成
された金膜1aの表面に、サーマルヘッド5を作用させる
ことによって自己集合単分子膜2を選択的に加熱する
と、図12(実施形態3)又は図15(実施形態4)に
示すように、加熱された自己集合単分子膜2中のイオン
結合が解離して、自己集合性化合物の脱離部2bが選択的
に脱離する。
【0094】このようにして自己集合性化合物の脱離部
(実施形態3ではラウリン酸、実施形態4ではヘキサン
酸)2bが脱離した金膜1aの表面(脱離面)は、自己集合
性化合物の残存部(アミノフェニルチオラート)2aのみ
で被覆された面となり、表面にアミノ基が主として露出
することとなる。他方、未解離の自己集合単分子膜2で
被覆されている表面(非脱離面)にはアルキル基が主と
して露出している。従って、未解離の自己集合単分子膜
2で被覆されている表面(非脱離面)は撥水・親油性で
あり、他方、自己集合性化合物の残存部2aのみで被覆さ
れた面(脱離面)は親水・親油性であり、画像形成体4
の表面に任意の印刷用版が形成されることとなる。
【0095】次いで、実施形態3〜4においては、実施
形態1と同様にして、印刷用版が形成された画像形成体
4の表面の脱離面(非画線部)に水分供給装置9におい
て水分9cが供給された後に、現像器11において未解離
の自己集合単分子膜2で被覆されている表面(非脱離
面:画線部)に油性インク11cが供給され、転写装置2
1においてインク画像が記録媒体13に転写される。
【0096】上記転写印刷工程を終了した後、実施形態
1と同様に、インククリーナー22により残った未転写
インクが掻き取られる。また、同一画像について複数枚
コピー印刷する際には、画像形成体4は印刷用版を保持
したまま水分供給装置9及び現像器11に送られてイン
ク画像が再形成され、続いて転写装置21においてイン
ク画像が記録媒体13に転写される。
【0097】そして、所望の枚数のコピー印刷が終了す
ると、ハロゲンランプ14によって画像形成体4の全表
面が加熱され、図12(実施形態3)又は図15(実施
形態4)に示した反応と同様にして、金膜1aの全表面か
ら自己集合性化合物2の脱離部2bが脱離する。続いて、
新しい印画パターンを印刷するときには、化合物供給装
置20aにより金膜1a表面に製膜用溶液3を供給した後
に、通電装置20bにより金膜1aに通電し、そしてファン2
0cで金膜1aの表面を乾燥することにより、図13(実施
形態3)又は図16(実施形態4)に示すように、金膜
1a上の残存部2aと新たに供給された製膜用溶液3中の脱
離部2bとが迅速にイオン結合を形成し、金膜1aの表面を
未解離の自己集合単分子膜2で再修飾することができ
る。それ以降の工程は前述と同様にして、新しい印画パ
ターンを印刷することができる。
【0098】以上、本発明の画像形成装置の好適な実施
形態について詳細に説明したが、本発明の装置は上記実
施形態に限定されるものではない。
【0099】例えば、上記実施形態では、自己集合単分
子膜を形成するための基材1として、金膜1aを蒸着した
ドラム1bを使用している。しかし、前述したように本発
明に使用される基材及び自己集合性化合物は上記のもの
に限定されるものではない。
【0100】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【0101】(実施例1)印刷用版に用いる画像形成体
の基材として、SUSプレート(10mm×50mm×0.1mm)
上に金膜(膜厚:100nm)を真空蒸着した基材を用い
た。上記基材の金膜表面を350℃に60分間加熱洗浄
した後、4,4’−アミノフェニルジスルフィド(0.
05mM)とラウリン酸(0.1mM)とを撹拌下で溶
解させたエタノール溶液(10ml)中に前記の金膜表
面を浸し、この状態で上記金膜の両端に両端子がそれぞ
れ接続された直流安定化電源(横河電気(株)社製、PR36
31)によって基材自体に3Aの直流電流を30秒間供給
した。すると、図5に示すように、その内部にイオン結
合部を有するチオラート化合物が金膜表面に迅速にかつ
均一に吸着して自己集合単分子膜が形成された。なお、
上記通電の際に基材にかかった電圧は0.45Vであっ
た。そして、上記自己集合単分子膜が形成された金膜表
面にファンからの温風を当てて乾燥させた。
【0102】このようにして図5に示す自己集合単分子
膜が形成された金膜表面の蒸留水に対する接触角を接触
角測定器(共和界面科学社製、CA−A型)により測定
液滴量を0.9μlとして測定したところ、表1に示す
ように68°であり、かかる接触角は金膜の全面にわた
って均一であった。
【0103】次に、図5に示す自己集合単分子膜が形成
された金膜表面を250℃に加熱した後に室温まで冷却
し、加熱後の金膜表面の接触角を前記と同様にして測定
したところ、表1に示すように33°であった。このよ
うに、自己集合単分子膜が形成された金膜表面を加熱す
ることにより接触角が68°から33°に低下したこと
から、図6に示すように、加熱された自己集合単分子膜
中のイオン結合部が解離してその部分からラウリン酸が
脱離し、それにより表面の濡れ性が撥水性から親水性に
変化したことが確認された。
【0104】続いて、上記加熱後の金膜表面を再び前記
のエタノール溶液中に浸し、この状態で上記と同様にし
て基材自体に3Aの直流電流を30秒間供給した後に乾
燥させた。そして、その金膜表面の接触角を前記と同様
にして測定したところ、表1に示すように62°であっ
た。このように再度基材を前記エタノール溶液中に浸
し、基材に通電することによって接触角が33°から6
2°に回復したことから、図7に示すように、溶液中の
ラウリン酸残基が金膜表面上のアミノフェニルチオラー
トとイオン結合を迅速に形成して未解離の自己集合単分
子膜が再形成され、それにより表面の濡れ性が親水性か
ら撥水性に変化したことが確認された。
【0105】
【表1】
【0106】(実施例2)実施例1における4,4’−
アミノフェニルジスルフィド及びラウリン酸を溶解した
エタノール溶液の代わりに4,4’−アミノフェニルジ
スルフィド(0.05mM)及びヘプタデカフルオロペ
ラルゴン酸(0.1mM)を溶解したエタノール溶液
(10ml)を用い、基材に供給する直流電流を2A
(基材にかかる電圧は0.3V)とした以外は実施例1
と同様にして基材を前記エタノール溶液中に浸し、基材
に通電したところ、図8に示すように、その内部にイオ
ン結合部を有するチオラート化合物が金膜表面に迅速に
かつ均一に吸着して自己集合単分子膜が形成された。
【0107】次いで、実施例1と同様にして、上記金膜
表面の加熱前、加熱後、並びに再修飾後の蒸留水に対す
る接触角を測定したところ、表1に示す結果が得られ
た。また、かかる接触角は金膜の全面にわたって均一で
あった。
【0108】このように、自己集合単分子膜が形成され
た金膜表面を加熱することにより接触角が79°から4
9°に低下したことから、図9に示すように、加熱され
た自己集合単分子膜中のイオン結合部が解離してその部
分からヘプタデカフルオロペラルゴン酸が脱離し、それ
により表面の濡れ性が撥水性から親水性に変化したこと
が確認された。
【0109】また、再度基材を前記エタノール溶液中に
浸し、基材に通電することによって接触角が49°から
69°に回復したことから、図10に示すように、溶液
中のヘプタデカフルオロペラルゴン酸残基が金膜表面上
のアミノフェニルチオラートとイオン結合を迅速に形成
して未解離の自己集合単分子膜が再形成され、それによ
り表面の濡れ性が親水性から撥水性に変化したことが確
認された。
【0110】(実施例3)実施例1における4,4’−
アミノフェニルジスルフィド及びラウリン酸を溶解した
エタノール溶液の代わりに(ビス(4−アミノフェニ
ル))スルフィド(1mM)及びラウリン酸(1mM)
を溶解したエタノール溶液(10ml)を用いた以外は
実施例1と同様にして基材を前記エタノール溶液中に浸
し、基材に通電したところ、図11に示すように、その
内部にイオン結合部を有するチオラート化合物が金膜表
面に迅速にかつ均一に吸着して自己集合単分子膜が形成
された。
【0111】次いで、実施例1と同様にして、上記金膜
表面の加熱前、加熱後、並びに再修飾後の蒸留水に対す
る接触角を測定したところ、表1に示す結果が得られ
た。また、かかる接触角は金膜の全面にわたって均一で
あった。
【0112】このように、自己集合単分子膜が形成され
た金膜表面を加熱することにより接触角が68°から3
2°に低下したことから、図12に示すように、加熱さ
れた自己集合単分子膜中のイオン結合部が解離してその
部分からラウリン酸が脱離し、それにより表面の濡れ性
が撥水性から親水性に変化したことが確認された。
【0113】また、再度基材を前記エタノール溶液中に
浸し、基材に通電することによって接触角が32°から
66°に回復したことから、図13に示すように、溶液
中のラウリン酸残基が金膜表面上のアミノフェニルチオ
ラートとイオン結合を迅速に形成して未解離の自己集合
単分子膜が再形成され、それにより表面の濡れ性が親水
性から撥水性に変化したことが確認された。
【0114】(実施例4)実施例1における4,4’−
アミノフェニルジスルフィド及びラウリン酸を溶解した
エタノール溶液の代わりに4−アミノチオフェノール
(0.1mM)及びヘキサン酸(0.1mM)を溶解し
たエタノール溶液(10ml)を用いた以外は実施例1
と同様にして基材を前記エタノール溶液中に浸し、基材
に通電したところ、図14に示すように、その内部にイ
オン結合部を有するチオラート化合物が金膜表面に迅速
にかつ均一に吸着して自己集合単分子膜が形成された。
【0115】次いで、実施例1と同様にして、上記金膜
表面の加熱前、加熱後、並びに再修飾後の蒸留水に対す
る接触角を測定したところ、表1に示す結果が得られ
た。また、かかる接触角は金膜の全面にわたって均一で
あった。
【0116】このように、自己集合単分子膜が形成され
た金膜表面を加熱することにより接触角が44°から2
7°に低下したことから、図15に示すように、加熱さ
れた自己集合単分子膜中のイオン結合部が解離してその
部分からヘキサン酸が脱離し、それにより表面の濡れ性
が撥水性から親水性に変化したことが確認された。
【0117】また、再度基材を前記エタノール溶液中に
浸し、基材に通電することによって接触角が27°から
41°に回復したことから、図16に示すように、溶液
中のヘキサン酸残基が金膜表面上のアミノフェニルチオ
ラートとイオン結合を迅速に形成して未解離の自己集合
単分子膜が再形成され、それにより表面の濡れ性が親水
性から撥水性に変化したことが確認された。
【0118】(実施例5)基材に供給する直流電流を
0.5A(基材にかかる電圧は0.07V)とした以外
は実施例1と同様にして基材を前記エタノール溶液中に
浸し、基材に通電したところ、図5に示すように、その
内部にイオン結合部を有するチオラート化合物が金膜表
面に迅速にかつ均一に吸着して自己集合単分子膜が形成
された。
【0119】次いで、実施例1と同様にして、上記金膜
表面の加熱前、加熱後、並びに再修飾後の蒸留水に対す
る接触角を測定したところ、表1に示す結果が得られ
た。また、かかる接触角は金膜の全面にわたって均一で
あった。
【0120】このように、自己集合単分子膜が形成され
た金膜表面を加熱することにより接触角が52°から4
0°に低下したことから、図6に示すように、加熱され
た自己集合単分子膜中のイオン結合部が解離してその部
分からラウリン酸が脱離し、それにより表面の濡れ性が
撥水性から親水性に変化したことが確認された。
【0121】また、再度基材を前記エタノール溶液中に
浸し、基材に通電することによって接触角が40°から
59°に回復したことから、図7に示すように、溶液中
のラウリン酸残基が金膜表面上のアミノフェニルチオラ
ートとイオン結合を迅速に形成して未解離の自己集合単
分子膜が再形成され、それにより表面の濡れ性が親水性
から撥水性に変化したことが確認された。
【0122】(比較例1〜4)金膜表面に自己集合性化
合物を供給した際に通電しなかった以外は実施例1〜4
とそれぞれ同様にして、自己集合単分子膜が形成された
基材を得た。なお、比較例1が実施例1に、比較例2が
実施例2に、比較例3が実施例3に、比較例4が実施例
4にそれぞれ対応する。次いで、実施例1と同様にし
て、上記金膜表面の加熱前、加熱後、並びに再修飾後の
蒸留水に対する接触角を測定した。得られた結果を表1
に示す。
【0123】表1に示した結果から明らかなように、自
己集合性化合物を供給した際に基材自体に通電した場合
(実施例1〜4)は、通電しなかった場合(比較例1〜
4)に比べて、自己集合性化合物の金膜表面に対する吸
着速度が向上し、短時間で効率的に自己集合性化合物が
均一に配列した自己集合単分子膜が形成及び再形成され
ることが確認された。
【0124】(比較例5)エタノール溶液中に金膜表面
から5mm離間させて白金電極を配置し、前記電源の陽
極を金膜に接続しかつ陰極を白金電極に接続して、自己
集合性化合物を供給した際に金膜から白金電極に2Aの
直流電流が30秒間流れるように設定した以外は実施例
5と同様にして、自己集合単分子膜が形成された基材を
得た。なお、上記通電の際に金膜と白金電極との間には
電流は流れなかった。次いで、実施例1と同様にして、
上記金膜表面の加熱前、加熱後、並びに再修飾後の蒸留
水に対する接触角を測定した。得られた結果を表1に示
す。
【0125】表1に示した結果から明らかなように、金
膜を陽極としかつ白金電極を陰極として、自己集合性化
合物を供給した際に金膜から白金電極に電流を流した場
合(比較例5)は、通電しなかった場合(比較例1)と
同程度にしか自己集合性化合物が金膜表面に吸着せず、
従ってかかる通電によっては自己集合性化合物の金膜表
面に対する吸着速度の向上は認められなかった。
【0126】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の画像形成
装置、画像形成方法及び製版方法においては、自己集合
性化合物が基材表面に供給された際に、基材の一端に一
方の端子が接続されかつその基材の他端に他方の端子が
接続されている電源を備えた通電装置により基材自体に
通電されるため、基材表面への自己集合性化合物の吸着
速度が向上し、通電しなかった場合に比べて短時間で効
率的にかつ確実に自己集合性化合物が均一に配列した自
己集合単分子膜を得ることが可能となる。そのため、本
発明によれば、印刷用版として使用される画像形成体の
製造時間を短縮し、より高速度の印刷を実現することが
可能となる。
【0127】加えて、本発明によれば、自己集合性化合
物が短時間で確実に基材表面に均一に配列されるように
なるため、自己集合単分子膜で被覆(修飾)されなかっ
た基材表面(単分子膜の欠陥部分)に起因する印刷汚れ
の発生等を充分に防止し、より解像度の高い印刷を実現
することが可能となる。
【0128】また、本発明においては、同一の印刷用版
を繰り返し使用することが可能であり、そのため従来の
電子写真式印刷機では必要とされた1枚毎の潜像形成は
不要となり、高速印刷が可能となる。
【0129】更に、本発明においては、同一の画像形成
体を複数の画像に対して繰り返し使用することが可能で
あり、そのため従来の孔版印刷機に必要とされた原紙の
排版や新しい原紙の巻き付けといった複雑な装置及びプ
ロセスは必要とされず、小型かつ簡単な装置でより高速
な画像形成が可能となり、しかも同一原稿での少数枚コ
ピー印刷時における低ランニングコスト化が実現され
る。
【0130】また、本発明にかかる画像形成体が自己集
合単分子膜で形成されているため、分子個々の結合の制
御により版を形成することになる。従って、本発明によ
れば、版のエッジ特性が良好となり、高い解像度の画像
印刷用版の形成が可能となり、結果的に高解像度の印刷
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法及び製版方法の好適な一
実施形態を示すフローチャートである。
【図2】(a)〜(g)は本発明の画像形成方法
((a)〜(c)は本発明の製版方法)の好適な一実施
形態の諸工程における基材表面の状態をそれぞれ示す断
面模式図である。
【図3】本発明にかかる画像形成体に自己集合単分子膜
が再形成される状態の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示
す模式図である。
【図5】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面に
吸着する状態の一例を示す断面模式図である。
【図6】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面か
ら選択的に脱離する状態の一例を示す断面模式図であ
る。
【図7】本発明にかかる自己集合単分子膜が再形成され
る状態の一例を示す断面模式図である。
【図8】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面に
吸着する状態の他の例を示す断面模式図である。
【図9】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面か
ら選択的に脱離する状態の他の例を示す断面模式図であ
る。
【図10】本発明にかかる自己集合単分子膜が再形成さ
れる状態の他の例を示す断面模式図である。
【図11】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面
に吸着する状態の更に他の例を示す断面模式図である。
【図12】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面
から選択的に脱離する状態の更に他の例を示す断面模式
図である。
【図13】本発明にかかる自己集合単分子膜が再形成さ
れる状態の更に他の例を示す断面模式図である。
【図14】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面
に吸着する状態の更に他の例を示す断面模式図である。
【図15】本発明にかかる自己集合性化合物が基材表面
から選択的に脱離する状態の更に他の例を示す断面模式
図である。
【図16】本発明にかかる自己集合単分子膜が再形成さ
れる状態の更に他の例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1…基材、2…自己集合性化合物、2a…残存部、2b…脱
離部、3…自己集合性化合物溶液、4…画像形成体、5
…第1の脱離装置、7…脱離面、8…非脱離面、9…水
分供給装置、10…水分、11…現像装置、12…イン
ク、13…記録媒体、14…第2の脱離装置、20…製
膜装置(第1及び第2の製膜装置を兼ねる)、20a…
化合物供給装置(第1及び第2の化合物供給装置を兼ね
る)、201…溶液カートリッジ、202…溶液噴霧器、20
b…通電装置(第1及び第2の通電装置を兼ねる)、20
3…電極板、204…導線、205…電源、20c…ファン、
21…転写装置、22…インククリーナー。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基材、 前記基材の表面に吸着して自己集合単分子膜を形成する
    ことが可能な自己集合性化合物を該基材の表面に供給す
    る第1の化合物供給装置、 前記基材の一端に一方の端子が接続されかつ該基材の他
    端に他方の端子が接続されている電源を備え、前記自己
    集合性化合物が前記基材の表面に供給された際に該基材
    に通電して自己集合単分子膜を形成せしめることによ
    り、前記基材と前記自己集合性化合物とを備える画像形
    成体を得るための第1の通電装置、 前記自己集合単分子膜を形成している自己集合性化合物
    の少なくとも一部を前記画像形成体から選択的に脱離せ
    しめて、該画像形成体の表面に互いに濡れ性が相違する
    脱離面と非脱離面とを設ける第1の脱離装置、 前記画像形成体の表面に、前記脱離面又は非脱離面のい
    ずれかに優先的に付着するインクを供給する現像装置、
    及び前記画像形成体の表面に付着したインクを記録媒体
    に転写する転写装置、を具備することを特徴とする画像
    形成装置。
  2. 【請求項2】 前記自己集合性化合物が、前記基材の表
    面に吸着可能な吸着官能基と、該吸着官能基に結合して
    いる少なくとも一つの炭化水素残基と、少なくとも一つ
    のイオン結合部と、該イオン結合部を介して前記炭化水
    素残基に結合している少なくとも一つの脂肪族化合物残
    基とを有しており、該基材の表面に自発的にほぼ均一な
    単分子層の吸着膜を形成することが可能なものであるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記自己集合性化合物が、 下記一般式(1) R3−X1−R1−S−S−R2−X2−R4 (1) [式(1)中、R1及びR2は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
    3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化水素残
    基からなる群から選択される炭化水素残基を示し、X1
    及びX2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ−
    COO-+3N−及び−O-+HN=N−からなる群から
    選択されるイオン結合部を示し、R3及びR4は、同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜22のアル
    キル残基及び炭素数1〜22のハロゲン置換脂肪族化合
    物残基からなる群から選択される脂肪族化合物残基を示
    す]で表わされるジスルフィド化合物、 下記一般式(2) R7−X3−R5−S−R6−X4−R8 (2) [式(2)中、R5及びR6は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
    3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化水素残
    基からなる群から選択される炭化水素残基を示し、X3
    及びX4は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ−
    COO-+3N−及び−O-+HN=N−からなる群から
    選択されるイオン結合部を示し、R7及びR8は、同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜22のアル
    キル残基及び炭素数1〜22のハロゲン置換脂肪族化合
    物残基からなる群から選択される脂肪族化合物残基を示
    す]で表わされるスルフィド化合物、並びに 下記一般式(3) H−S−R9−X5−R10 (3) [式(3)中、R9は炭素数1〜15のアルキレン基、
    炭素数3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化
    水素残基からなる群から選択される炭化水素残基を示
    し、X5は−COO-+3N−及び−O-+HN=N−から
    なる群から選択されるイオン結合部を示し、R10は炭素
    数1〜22のアルキル残基及び炭素数1〜22のハロゲ
    ン置換脂肪族化合物残基からなる群から選択される脂肪
    族化合物残基を示す]で表わされるチオール化合物、か
    らなる群から選択される少なくとも1つの化合物である
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装
    置。
  4. 【請求項4】 前記画像形成体の表面に前記自己集合性
    化合物を再供給する第2の化合物供給装置、及び前記自
    己集合性化合物が前記画像形成体の表面に供給された際
    に前記基材に通電し、前記脱離面に自己集合単分子膜を
    再形成せしめる第2の通電装置、を更に具備することを
    特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載
    の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記非脱離面を形成している自己集合性
    化合物を前記画像形成体から脱離せしめ、該画像形成体
    の全面を脱離面とする第2の脱離装置を更に具備するこ
    とを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記インクの供給に先立って、前記脱離
    面又は非脱離面のいずれかに優先的に付着する水分を前
    記画像形成体の表面に供給する水分供給装置を更に具備
    することを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか
    一項に記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 導電性基材の表面に吸着して自己集合単
    分子膜を形成することが可能な自己集合性化合物を該基
    材の表面に供給する第1の化合物供給工程、 前記基材の一端に一方の端子が接続されかつ該基材の他
    端に他方の端子が接続されている電源を備えた通電装置
    により、前記自己集合性化合物が前記基材の表面に供給
    された際に該基材に通電して自己集合単分子膜を形成せ
    しめることにより、前記基材と前記自己集合性化合物と
    を備える画像形成体を得る第1の通電工程、 前記自己集合単分子膜を形成している自己集合性化合物
    の少なくとも一部を前記画像形成体から選択的に脱離せ
    しめて、該画像形成体の表面に互いに濡れ性が相違する
    脱離面と非脱離面とを設ける第1の脱離工程、 前記画像形成体の表面に、前記脱離面又は非脱離面のい
    ずれかに優先的に付着するインクを供給する現像工程、
    及び前記画像形成体の表面に付着したインクを記録媒体
    に転写する転写工程、を含むことを特徴とする画像形成
    方法。
  8. 【請求項8】 前記自己集合性化合物が、前記基材の表
    面に吸着可能な吸着官能基と、該吸着官能基に結合して
    いる少なくとも一つの炭化水素残基と、少なくとも一つ
    のイオン結合部と、該イオン結合部を介して前記炭化水
    素残基に結合している少なくとも一つの脂肪族化合物残
    基とを有しており、該基材の表面に自発的にほぼ均一な
    単分子層の吸着膜を形成することが可能なものであるこ
    とを特徴とする、請求項7に記載の画像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記自己集合性化合物が、 下記一般式(1) R3−X1−R1−S−S−R2−X2−R4 (1) [式(1)中、R1及びR2は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
    3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化水素残
    基からなる群から選択される炭化水素残基を示し、X1
    及びX2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ−
    COO-+3N−及び−O-+HN=N−からなる群から
    選択されるイオン結合部を示し、R3及びR4は、同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜22のアル
    キル残基及び炭素数1〜22のハロゲン置換脂肪族化合
    物残基からなる群から選択される脂肪族化合物残基を示
    す]で表わされるジスルフィド化合物、 下記一般式(2) R7−X3−R5−S−R6−X4−R8 (2) [式(2)中、R5及びR6は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
    3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化水素残
    基からなる群から選択される炭化水素残基を示し、X3
    及びX4は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ−
    COO-+3N−及び−O-+HN=N−からなる群から
    選択されるイオン結合部を示し、R7及びR8は、同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜22のアル
    キル残基及び炭素数1〜22のハロゲン置換脂肪族化合
    物残基からなる群から選択される脂肪族化合物残基を示
    す]で表わされるスルフィド化合物、並びに 下記一般式(3) H−S−R9−X5−R10 (3) [式(3)中、R9は炭素数1〜15のアルキレン基、
    炭素数3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化
    水素残基からなる群から選択される炭化水素残基を示
    し、X5は−COO-+3N−及び−O-+HN=N−から
    なる群から選択されるイオン結合部を示し、R10は炭素
    数1〜22のアルキル残基及び炭素数1〜22のハロゲ
    ン置換脂肪族化合物残基からなる群から選択される脂肪
    族化合物残基を示す]で表わされるチオール化合物、か
    らなる群から選択される少なくとも1つの化合物である
    ことを特徴とする、請求項7又は8に記載の画像形成方
    法。
  10. 【請求項10】 前記画像形成体の表面に前記自己集合
    性化合物を再供給する第2の化合物供給工程、及び前記
    自己集合性化合物が前記画像形成体の表面に供給された
    際に前記基材に通電し、前記脱離面に自己集合単分子膜
    を再形成せしめる第2の通電工程、を更に含むことを特
    徴とする、請求項7〜9のうちのいずれか一項に記載の
    画像形成方法。
  11. 【請求項11】 前記非脱離面を形成している自己集合
    性化合物を前記画像形成体から脱離せしめ、該画像形成
    体の全面を脱離面とする第2の脱離工程を更に含むこと
    を特徴とする、請求項10に記載の画像形成方法。
  12. 【請求項12】 前記インクの供給に先立って、前記脱
    離面又は非脱離面のいずれかに優先的に付着する水分を
    前記画像形成体の表面に供給する水分供給工程を更に含
    むことを特徴とする、請求項7〜11のうちのいずれか
    一項に記載の画像形成方法。
  13. 【請求項13】 導電性基材の表面に吸着して自己集合
    単分子膜を形成することが可能な自己集合性化合物を該
    基材の表面に供給する化合物供給工程、 前記基材の一端に一方の端子が接続されかつ該基材の他
    端に他方の端子が接続されている電源を備えた通電装置
    により、前記自己集合性化合物が前記基材の表面に供給
    された際に該基材に通電して自己集合単分子膜を形成せ
    しめることにより、前記基材と前記自己集合性化合物と
    を備える画像形成体を得る通電工程、及び前記自己集合
    単分子膜を形成している自己集合性化合物の少なくとも
    一部を前記画像形成体から選択的に脱離せしめて、該画
    像形成体の表面に互いに濡れ性が相違する脱離面と非脱
    離面とを設けて印刷用版を得る脱離工程、を含むことを
    特徴とする製版方法。
  14. 【請求項14】 前記自己集合性化合物が、前記基材の
    表面に吸着可能な吸着官能基と、該吸着官能基に結合し
    ている少なくとも一つの炭化水素残基と、少なくとも一
    つのイオン結合部と、該イオン結合部を介して前記炭化
    水素残基に結合している少なくとも一つの脂肪族化合物
    残基とを有しており、該基材の表面に自発的にほぼ均一
    な単分子層の吸着膜を形成することが可能なものである
    ことを特徴とする、請求項13に記載の製版方法。
  15. 【請求項15】 前記自己集合性化合物が、 下記一般式(1) R3−X1−R1−S−S−R2−X2−R4 (1) [式(1)中、R1及びR2は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
    3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化水素残
    基からなる群から選択される炭化水素残基を示し、X1
    及びX2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ−
    COO-+3N−及び−O-+HN=N−からなる群から
    選択されるイオン結合部を示し、R3及びR4は、同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜22のアル
    キル残基及び炭素数1〜22のハロゲン置換脂肪族化合
    物残基からなる群から選択される脂肪族化合物残基を示
    す]で表わされるジスルフィド化合物、 下記一般式(2) R7−X3−R5−S−R6−X4−R8 (2) [式(2)中、R5及びR6は、同一でも異なっていても
    よく、それぞれ炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数
    3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化水素残
    基からなる群から選択される炭化水素残基を示し、X3
    及びX4は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ−
    COO-+3N−及び−O-+HN=N−からなる群から
    選択されるイオン結合部を示し、R7及びR8は、同一で
    も異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜22のアル
    キル残基及び炭素数1〜22のハロゲン置換脂肪族化合
    物残基からなる群から選択される脂肪族化合物残基を示
    す]で表わされるスルフィド化合物、並びに 下記一般式(3) H−S−R9−X5−R10 (3) [式(3)中、R9は炭素数1〜15のアルキレン基、
    炭素数3〜6の脂肪族環状炭化水素残基及び芳香族炭化
    水素残基からなる群から選択される炭化水素残基を示
    し、X5は−COO-+3N−及び−O-+HN=N−から
    なる群から選択されるイオン結合部を示し、R10は炭素
    数1〜22のアルキル残基及び炭素数1〜22のハロゲ
    ン置換脂肪族化合物残基からなる群から選択される脂肪
    族化合物残基を示す]で表わされるチオール化合物、か
    らなる群から選択される少なくとも1つの化合物である
    ことを特徴とする、請求項13又は14に記載の製版方
    法。
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