JPH11304396A - 陽極電解による防食手段を有する水冷却装置 - Google Patents
陽極電解による防食手段を有する水冷却装置Info
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- JPH11304396A JPH11304396A JP10110997A JP11099798A JPH11304396A JP H11304396 A JPH11304396 A JP H11304396A JP 10110997 A JP10110997 A JP 10110997A JP 11099798 A JP11099798 A JP 11099798A JP H11304396 A JPH11304396 A JP H11304396A
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- corrosion
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Abstract
(57)【要約】
【課題】防食効果を有するイオンを陽極電解法により供
給する冷却水路の水冷却装置において、車載上の取り付
け場所等の問題を解消するとともに、新たな機能も兼備
した車載水冷却装置とすることを目的とする。 【解決手段】防食効果を有するイオンを陽極電解法によ
り冷却水に供給する防食手段を持つ水冷却装置におい
て、前記水冷却装置はリザーブタンク10を有し、陽極
電解を起こさせる陽極および陰極からなる電極対15を
前記リザーブタンク10内に設置したことを特徴とする
水冷却装置。
給する冷却水路の水冷却装置において、車載上の取り付
け場所等の問題を解消するとともに、新たな機能も兼備
した車載水冷却装置とすることを目的とする。 【解決手段】防食効果を有するイオンを陽極電解法によ
り冷却水に供給する防食手段を持つ水冷却装置におい
て、前記水冷却装置はリザーブタンク10を有し、陽極
電解を起こさせる陽極および陰極からなる電極対15を
前記リザーブタンク10内に設置したことを特徴とする
水冷却装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン冷却水路
部材等の腐食を低減する冷却液の防食性維持装置に関す
る。
部材等の腐食を低減する冷却液の防食性維持装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用内燃機関などの冷却水系では、
水路を構成するアルミニウム、鉄、銅などの金属材料の
防食性を確保するため、各種の腐食抑制剤を冷却水中に
添加しておくことが一般的である。これらの腐食抑制剤
は、通常イオンの形で冷却水に溶解しているが、冷却水
の使用に伴って熱劣化や、金属材料との反応により失わ
れ、濃度低下をきたすとともに冷却水のpHが変化する
ことがある。これらのことにより、腐食抑制剤が添加さ
れた冷却水は、金属材料の耐腐食能力を長期間にわたっ
て所要のレベルに維持することは極めて困難である。
水路を構成するアルミニウム、鉄、銅などの金属材料の
防食性を確保するため、各種の腐食抑制剤を冷却水中に
添加しておくことが一般的である。これらの腐食抑制剤
は、通常イオンの形で冷却水に溶解しているが、冷却水
の使用に伴って熱劣化や、金属材料との反応により失わ
れ、濃度低下をきたすとともに冷却水のpHが変化する
ことがある。これらのことにより、腐食抑制剤が添加さ
れた冷却水は、金属材料の耐腐食能力を長期間にわたっ
て所要のレベルに維持することは極めて困難である。
【0003】しかし、近年環境保全の観点から、これら
冷却水の防食能力の低下を抑制し、防食能力が失われた
冷却水の廃棄量を極力少なくすることが求められてい
る。この方策として、ラジエータ本体の樹脂タンク内に
防錆剤を封入したカプセルを吊り下げ、冷却水の防食能
力が低い場合にはカプセル容器がまず腐食して、その腐
食孔から防錆剤を冷却水に供給する方法(特開平8−8
2498号公報)、あるいは防食作用を有する酸素酸イ
オンを陽極溶解により冷却水に供給する方法(特開平7
−278857号公報)などが提案されている。
冷却水の防食能力の低下を抑制し、防食能力が失われた
冷却水の廃棄量を極力少なくすることが求められてい
る。この方策として、ラジエータ本体の樹脂タンク内に
防錆剤を封入したカプセルを吊り下げ、冷却水の防食能
力が低い場合にはカプセル容器がまず腐食して、その腐
食孔から防錆剤を冷却水に供給する方法(特開平8−8
2498号公報)、あるいは防食作用を有する酸素酸イ
オンを陽極溶解により冷却水に供給する方法(特開平7
−278857号公報)などが提案されている。
【0004】後者の方法では、たとえば防食イオンとし
てモリブデン酸イオンを電解溶入する場合、モリブデン
を陽極に、ステンレス鋼を陰極として冷却水中に投入
し、外部通電することにより行われる。
てモリブデン酸イオンを電解溶入する場合、モリブデン
を陽極に、ステンレス鋼を陰極として冷却水中に投入
し、外部通電することにより行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した酸素酸イオン
を陽極溶解する電解溶入法を自動車の冷却水系に適用し
て車載装置化する場合、陽極および陰極の取り付け部位
は冷却水の循環水路内、たとえば、前述のラジエータ本
体の樹脂タンク部やエンジンのウォータジャケット部な
どが適当と考えられてきた。すなわち、陽極溶解したモ
リブデン酸等の防食イオンが冷却水路全体に行き渡るこ
とが必要であり、非循環水路であるラジエータリザーブ
タンク内が電極取り付け部位として考慮されることはな
かった。また電極の取り付け方式は脱着性の観点から、
差込方式が優れているが、上記の循環水路内に取り付け
る場合には、十分な外部スペースの確保および冷却水漏
れ防止策の徹底等、車載上大きな制約があった。
を陽極溶解する電解溶入法を自動車の冷却水系に適用し
て車載装置化する場合、陽極および陰極の取り付け部位
は冷却水の循環水路内、たとえば、前述のラジエータ本
体の樹脂タンク部やエンジンのウォータジャケット部な
どが適当と考えられてきた。すなわち、陽極溶解したモ
リブデン酸等の防食イオンが冷却水路全体に行き渡るこ
とが必要であり、非循環水路であるラジエータリザーブ
タンク内が電極取り付け部位として考慮されることはな
かった。また電極の取り付け方式は脱着性の観点から、
差込方式が優れているが、上記の循環水路内に取り付け
る場合には、十分な外部スペースの確保および冷却水漏
れ防止策の徹底等、車載上大きな制約があった。
【0006】さらにこれとは別に、ラジエータリザーブ
タンク内の水位が所定レベル以下に下がった時にドライ
バーにこれを知らせるシステムを付加する場合、フロー
ト式などの水位センサをリザーブタンク内に取り付ける
必要があった。本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、防食効果を有するイオンを陽極電解法により供
給する冷却水路の水冷却装置において、上記の車載上の
問題を解消し、さらに新たな機能も兼備した車載水冷却
装置を提供することを目的とする。
タンク内の水位が所定レベル以下に下がった時にドライ
バーにこれを知らせるシステムを付加する場合、フロー
ト式などの水位センサをリザーブタンク内に取り付ける
必要があった。本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、防食効果を有するイオンを陽極電解法により供
給する冷却水路の水冷却装置において、上記の車載上の
問題を解消し、さらに新たな機能も兼備した車載水冷却
装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の陽極電解による
防食手段を有する水冷却装置は、防食効果を有するイオ
ンを陽極電解法により冷却水に供給する防食手段を持つ
水冷装置において、前記水冷装置はリザーブタンクを有
し、陽極電解を起こさせる陽極および陰極からなる電極
対を前記リザーブタンク内に設置したことを特徴とす
る。
防食手段を有する水冷却装置は、防食効果を有するイオ
ンを陽極電解法により冷却水に供給する防食手段を持つ
水冷装置において、前記水冷装置はリザーブタンクを有
し、陽極電解を起こさせる陽極および陰極からなる電極
対を前記リザーブタンク内に設置したことを特徴とす
る。
【0008】前記電極対は、先端部を前記リザーブタン
ク内の冷却水中に挿入されるようにリザーブタンクのキ
ャップに固定し、電解電源によって該電極対に電流を供
給するのが望ましい。電流の供給を受けた前記電極対
は、陽極溶解を起こし冷却水中に防食イオンを溶出す
る。この防食イオンが溶出したリザーブタンク内の冷却
水は、エンジンの作動、停止に伴う冷却水の膨張、収縮
によってラジエータの冷却水系に導入される。これによ
り、冷却水系全体に防食イオンを短時間で供給すること
ができる。
ク内の冷却水中に挿入されるようにリザーブタンクのキ
ャップに固定し、電解電源によって該電極対に電流を供
給するのが望ましい。電流の供給を受けた前記電極対
は、陽極溶解を起こし冷却水中に防食イオンを溶出す
る。この防食イオンが溶出したリザーブタンク内の冷却
水は、エンジンの作動、停止に伴う冷却水の膨張、収縮
によってラジエータの冷却水系に導入される。これによ
り、冷却水系全体に防食イオンを短時間で供給すること
ができる。
【0009】前記陽極は、Mo、Mo合金、W、W合金
の少なくとも1種であることが望ましい。前記電極対
は、リザーブタンクの水位センサを兼ねたものとするこ
とが望ましい。
の少なくとも1種であることが望ましい。前記電極対
は、リザーブタンクの水位センサを兼ねたものとするこ
とが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動車エンジンの
冷却水系に適用した一実施例を図面に基づいて説明す
る。本発明を具体化した水冷却装置の実施例の概念図を
図1に示す。この水冷却装置は、エンジン1とラジエー
タ4、ヒータ6、リザーブタンク10、電流供給源17
とからなり、冷却水はラジエータ4からラジエータアウ
トレットパイプ9、サーモスタット3を経てウォータポ
ンプ2によりエンジン1に供給される。エンジン1を冷
却し加熱された冷却水は、ラジエータインレットパイプ
8を経てラジエータ4内で冷却され再循環される。な
お、エンジン出口の冷却水の温度がさほど高くない場合
には、サーモスタットが閉じられ冷却水のバイパス管を
通ってエンジン内に戻る。さらに車室内暖房時にはヒー
タバルブ7を介して、ヒータ6中を加熱された冷却水が
通過する。
冷却水系に適用した一実施例を図面に基づいて説明す
る。本発明を具体化した水冷却装置の実施例の概念図を
図1に示す。この水冷却装置は、エンジン1とラジエー
タ4、ヒータ6、リザーブタンク10、電流供給源17
とからなり、冷却水はラジエータ4からラジエータアウ
トレットパイプ9、サーモスタット3を経てウォータポ
ンプ2によりエンジン1に供給される。エンジン1を冷
却し加熱された冷却水は、ラジエータインレットパイプ
8を経てラジエータ4内で冷却され再循環される。な
お、エンジン出口の冷却水の温度がさほど高くない場合
には、サーモスタットが閉じられ冷却水のバイパス管を
通ってエンジン内に戻る。さらに車室内暖房時にはヒー
タバルブ7を介して、ヒータ6中を加熱された冷却水が
通過する。
【0011】リザーブタンク10にはリザーブパイプ1
1が接続され、リザーブパイプ11はネックフィラー5
を介してラジエータ4に接続されており、補充用の冷却
水がリザーブタンク10に用意され必要に応じてラジエ
ータ4に供給されている。リザーブタンク10内には、
キャップ14に固定された防食イオン供給用電極対15
が、キャップ14とリザーブタンク10のはめ合い時に
所定位置に保持される。リザーブタンク10内の冷却液
は、電極対15に電解電源17より1〜10mA程度の
電流が供給され、リザーブタンク10内で陽極溶解が行
われ、防食イオンがリザーブタンク10内の冷却水中に
溶出する。溶出した防食イオンはラジエータ4とリザー
ブタンク10との間での呼吸作用、すなわち、エンジン
の作動、停止に伴う冷却水体積の膨張、収縮によってリ
ザーブパイプ11を経由して冷却水の行き来が生じ、多
少の時間的遅れはあるものの、防食イオンが冷却水系全
体に供給されることになる。
1が接続され、リザーブパイプ11はネックフィラー5
を介してラジエータ4に接続されており、補充用の冷却
水がリザーブタンク10に用意され必要に応じてラジエ
ータ4に供給されている。リザーブタンク10内には、
キャップ14に固定された防食イオン供給用電極対15
が、キャップ14とリザーブタンク10のはめ合い時に
所定位置に保持される。リザーブタンク10内の冷却液
は、電極対15に電解電源17より1〜10mA程度の
電流が供給され、リザーブタンク10内で陽極溶解が行
われ、防食イオンがリザーブタンク10内の冷却水中に
溶出する。溶出した防食イオンはラジエータ4とリザー
ブタンク10との間での呼吸作用、すなわち、エンジン
の作動、停止に伴う冷却水体積の膨張、収縮によってリ
ザーブパイプ11を経由して冷却水の行き来が生じ、多
少の時間的遅れはあるものの、防食イオンが冷却水系全
体に供給されることになる。
【0012】また、電流供給電源17には電流検出回路
18とリザーブタンク水位警告灯19が接続され、リザ
ーブタンク10内の冷却液の水位低下により電流の通電
の有無を電流検出回路18で検出して、リザーブタンク
水位警告灯19を作動させる。電極対15は、図2にそ
の断面模式図を示すように、棒状の陽極20と線状の陰
極22を絶縁樹脂24で固定し陽極リード線21と陰極
リード線23とを保護する電極支持パイプ25とで構成
される。電極対の構造は図2の形状のものが好適である
が、その他板状などいかなる形状のもであっても差し支
えない。ただし、陽極の上下方向の寸法は、水位センサ
として利用する場合にはできるだけ短い方が好ましく、
長くても20mm程度とするのが良い。この陽極の寸法
が大きすぎると、陽極溶解して該陽極の寸法が短くなっ
た場合に、その消耗長さの分だけ初期に設定した下限水
位よりも高い水位センサ信号が発生することになり好ま
しくない。
18とリザーブタンク水位警告灯19が接続され、リザ
ーブタンク10内の冷却液の水位低下により電流の通電
の有無を電流検出回路18で検出して、リザーブタンク
水位警告灯19を作動させる。電極対15は、図2にそ
の断面模式図を示すように、棒状の陽極20と線状の陰
極22を絶縁樹脂24で固定し陽極リード線21と陰極
リード線23とを保護する電極支持パイプ25とで構成
される。電極対の構造は図2の形状のものが好適である
が、その他板状などいかなる形状のもであっても差し支
えない。ただし、陽極の上下方向の寸法は、水位センサ
として利用する場合にはできるだけ短い方が好ましく、
長くても20mm程度とするのが良い。この陽極の寸法
が大きすぎると、陽極溶解して該陽極の寸法が短くなっ
た場合に、その消耗長さの分だけ初期に設定した下限水
位よりも高い水位センサ信号が発生することになり好ま
しくない。
【0013】陽極の材質は、鉄系あるいはアルミニウム
系などの冷却水路構成材料を防食する酸素酸イオンとな
って、陽極溶解するものであればいかなるものでも良い
が、金属モリブデンまたは金属タングステンが溶解効率
が高く特に好ましい。またそれらは純金属は勿論、それ
を主成分とする合金であっても良い。陰極材料は、冷却
水中で事実上腐食しないものであればいかなるものでも
良いが、加工性、コストの観点からステンレス鋼が最適
である。
系などの冷却水路構成材料を防食する酸素酸イオンとな
って、陽極溶解するものであればいかなるものでも良い
が、金属モリブデンまたは金属タングステンが溶解効率
が高く特に好ましい。またそれらは純金属は勿論、それ
を主成分とする合金であっても良い。陰極材料は、冷却
水中で事実上腐食しないものであればいかなるものでも
良いが、加工性、コストの観点からステンレス鋼が最適
である。
【0014】上記電極対15は、図3のリザーブタンク
10の断面模式図に示すように、陽極の下端面がリザー
ブタンクの下限水位と同等以上の位置に保持される。こ
れにより、タンク内の水位が陽極下端位置より下がった
場合は陽極と陰極との間の液路が断たれて陽極溶解が停
止するため、図1に示した電流検出回路18で電流の中
断が検知され、その信号によりリザーブタンク水位警告
灯19が点灯する。
10の断面模式図に示すように、陽極の下端面がリザー
ブタンクの下限水位と同等以上の位置に保持される。こ
れにより、タンク内の水位が陽極下端位置より下がった
場合は陽極と陰極との間の液路が断たれて陽極溶解が停
止するため、図1に示した電流検出回路18で電流の中
断が検知され、その信号によりリザーブタンク水位警告
灯19が点灯する。
【0015】
【実施例】上記で説明した本発明の水冷却装置の動作確
認を実車試験により行った。ここで電極対の陽極には直
径10mm、長さ15mmのモリブデン棒材を用い、一
方陰極には直径1.5mmのSUS304線材を用い、
図2に示すごとく陰極22を陽極20の回りに配した。
陽極20と陰極22との間隔は最大5mmとした。この
電極対15を排気量2000ccのガソリンエンジン車
のラジエータリザーブタンク内に図3に示すごとく配置
し、陽極下端がタンクの底面から50mmの高さとなる
ように調節した。電流供給電源17はバッテリーとし、
図1に示したように電流中断を検出して警告灯19を点
灯させる電子回路18を接続した。冷却水には、モリブ
デン酸系の防食イオンを含まない市販のロングライフク
ーラントを30%濃度の水溶液として使用した。
認を実車試験により行った。ここで電極対の陽極には直
径10mm、長さ15mmのモリブデン棒材を用い、一
方陰極には直径1.5mmのSUS304線材を用い、
図2に示すごとく陰極22を陽極20の回りに配した。
陽極20と陰極22との間隔は最大5mmとした。この
電極対15を排気量2000ccのガソリンエンジン車
のラジエータリザーブタンク内に図3に示すごとく配置
し、陽極下端がタンクの底面から50mmの高さとなる
ように調節した。電流供給電源17はバッテリーとし、
図1に示したように電流中断を検出して警告灯19を点
灯させる電子回路18を接続した。冷却水には、モリブ
デン酸系の防食イオンを含まない市販のロングライフク
ーラントを30%濃度の水溶液として使用した。
【0016】上記の設定後、エンジンを始動しない状態
でバッテリーから電極対に電流を供給し、リザーブタン
ク内のモリブデン酸イオン濃度が約1000ppmとな
るまで陽極溶解を行った後、電流供給電源17の電流供
給を停止した。その後、走行試験を断続的に行い、エン
ジンの始動・停止回数毎のリザーブタンク内およびラジ
エータ内のモリブデン酸イオン濃度を測定した。
でバッテリーから電極対に電流を供給し、リザーブタン
ク内のモリブデン酸イオン濃度が約1000ppmとな
るまで陽極溶解を行った後、電流供給電源17の電流供
給を停止した。その後、走行試験を断続的に行い、エン
ジンの始動・停止回数毎のリザーブタンク内およびラジ
エータ内のモリブデン酸イオン濃度を測定した。
【0017】図4には 縦軸に防食イオンのモリブデン
酸イオン濃度を、横軸にエンジン始動・停止回数をとり
リザーブタンク内とラジエータ内のモリブデン酸イオン
濃度の変化を示した。この測定結果より、リザーブタン
ク内の冷却水に溶解した防食イオンは、比較的少ないエ
ンジンの始動・停止回数で急速にラジエータを含む冷却
水路全体に分布し、始動・停止回数が15回〜20回で
ラジエータ内とリザーブタンク内との濃度がほぼ同じ濃
度となっている。この結果、モリブデン酸イオンをリザ
ーブタンク内に供給してもその防食効果は、直接冷却水
路に供給した場合と実質的に同一であることが確認され
た。したがって、防食用の電極対は、従来のラジエータ
本体の樹脂タンク部やエンジンのウォータジャケット部
に設置しなくとも、配置位置が自由に選べるリザーブタ
ンク内で十分な効果を示すことが分かる。
酸イオン濃度を、横軸にエンジン始動・停止回数をとり
リザーブタンク内とラジエータ内のモリブデン酸イオン
濃度の変化を示した。この測定結果より、リザーブタン
ク内の冷却水に溶解した防食イオンは、比較的少ないエ
ンジンの始動・停止回数で急速にラジエータを含む冷却
水路全体に分布し、始動・停止回数が15回〜20回で
ラジエータ内とリザーブタンク内との濃度がほぼ同じ濃
度となっている。この結果、モリブデン酸イオンをリザ
ーブタンク内に供給してもその防食効果は、直接冷却水
路に供給した場合と実質的に同一であることが確認され
た。したがって、防食用の電極対は、従来のラジエータ
本体の樹脂タンク部やエンジンのウォータジャケット部
に設置しなくとも、配置位置が自由に選べるリザーブタ
ンク内で十分な効果を示すことが分かる。
【0018】次に防食性能について調査した。まず前記
試験で用いた冷却水を新品のものに入れ替え、電極対へ
の電流供給を3mA一定として走行試験を実施した。途
中、少量の冷却水をラジエータ内から抜き取り、冷却水
の性状を表すpHおよびアルミ腐食速度を測定した。な
お、腐食速度の測定にAC2Cアルミ鋳物を用い、分極
抵抗法を適用した。図5に示す結果より、本実施例の水
冷却装置は、走行距離が増加しても冷却水のpHは一定
に維持されている。一方、アルミ腐食速度は、防食剤の
存在しない初期に比べて、走行によるラジエータとリザ
ーブタンクとの間での呼吸作用で、防食イオンがリザー
ブタンク内よりラジエータ内に供給されることにより、
冷却水路構成材料の腐食速度が低下する。よって、本発
明の水冷却装置は、冷却水路構成材料の防食が可能とな
ることが確認された。
試験で用いた冷却水を新品のものに入れ替え、電極対へ
の電流供給を3mA一定として走行試験を実施した。途
中、少量の冷却水をラジエータ内から抜き取り、冷却水
の性状を表すpHおよびアルミ腐食速度を測定した。な
お、腐食速度の測定にAC2Cアルミ鋳物を用い、分極
抵抗法を適用した。図5に示す結果より、本実施例の水
冷却装置は、走行距離が増加しても冷却水のpHは一定
に維持されている。一方、アルミ腐食速度は、防食剤の
存在しない初期に比べて、走行によるラジエータとリザ
ーブタンクとの間での呼吸作用で、防食イオンがリザー
ブタンク内よりラジエータ内に供給されることにより、
冷却水路構成材料の腐食速度が低下する。よって、本発
明の水冷却装置は、冷却水路構成材料の防食が可能とな
ることが確認された。
【0019】また前記試験において途中電流中断を知ら
せる警告灯19が点灯した。これはラジエータから冷却
水を少量ずつ抜き取ったことによるリザーブタンク水位
の過剰低下を検出したものであり、本発明の水冷却装置
がリザーブタンクの水位センサとしての機能も発揮する
ことが確認された。
せる警告灯19が点灯した。これはラジエータから冷却
水を少量ずつ抜き取ったことによるリザーブタンク水位
の過剰低下を検出したものであり、本発明の水冷却装置
がリザーブタンクの水位センサとしての機能も発揮する
ことが確認された。
【0020】
【発明の効果】本発明の水冷却装置では、陽極電解法に
より防食効果を有するイオンを供給する電極対が、冷却
水の非循環水路にあるラジエータのリザーブタンクに装
着される。このリザーブタンク内で供給される防食効果
を有するイオンは、比較的少ないエンジンの始動・停止
回数で急速にラジエータを含む冷却水路全体に分布し、
直接循環系の冷却水路に設置した場合と実質的に同一効
果が得られる。また、電極対の装着部位をラジエータリ
ザーブタンク内としたことにより、電極対の脱着性が向
上し、取り付け上の制約が緩和される。更に電極対が水
位センサを兼ねる場合には、フロート式などの水位セン
サを別途リザーブタンク内に設置する必要がなくなる利
点を有する。
より防食効果を有するイオンを供給する電極対が、冷却
水の非循環水路にあるラジエータのリザーブタンクに装
着される。このリザーブタンク内で供給される防食効果
を有するイオンは、比較的少ないエンジンの始動・停止
回数で急速にラジエータを含む冷却水路全体に分布し、
直接循環系の冷却水路に設置した場合と実質的に同一効
果が得られる。また、電極対の装着部位をラジエータリ
ザーブタンク内としたことにより、電極対の脱着性が向
上し、取り付け上の制約が緩和される。更に電極対が水
位センサを兼ねる場合には、フロート式などの水位セン
サを別途リザーブタンク内に設置する必要がなくなる利
点を有する。
【図1】本発明の水冷却装置を説明する概念図である。
【図2】本発明の電極対の断面図である。
【図3】実施例で用いた電極対の装着位置を示す概念図
である。
である。
【図4】冷却水路内の防食イオン濃度とエンジン始動・
停止回数の関係を示すグラフである。
停止回数の関係を示すグラフである。
【図5】実施例におけるアルミ材料への防食効果を示す
グラフである。
グラフである。
4 ラジエータ、 10 リザーブタンク、 15 電
極対、 20 陽極、 22 陰極、 17 電流供給
電源、 18 電流検出回路、 19 リザーブタンク
水位警告灯、
極対、 20 陽極、 22 陰極、 17 電流供給
電源、 18 電流検出回路、 19 リザーブタンク
水位警告灯、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 富美男 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 梶野 正樹 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 中谷 美孝 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 谷川 正峰 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】防食効果を有するイオンを陽極電解法によ
り冷却水に供給する防食手段を持つ水冷却装置におい
て、 前記水冷却装置はリザーブタンクを有し、陽極電解を起
こさせる陽極および陰極からなる電極対を前記リザーブ
タンク内に設置したことを特徴とする水冷却装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10110997A JPH11304396A (ja) | 1998-04-21 | 1998-04-21 | 陽極電解による防食手段を有する水冷却装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10110997A JPH11304396A (ja) | 1998-04-21 | 1998-04-21 | 陽極電解による防食手段を有する水冷却装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11304396A true JPH11304396A (ja) | 1999-11-05 |
Family
ID=14549791
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10110997A Pending JPH11304396A (ja) | 1998-04-21 | 1998-04-21 | 陽極電解による防食手段を有する水冷却装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11304396A (ja) |
-
1998
- 1998-04-21 JP JP10110997A patent/JPH11304396A/ja active Pending
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A977 | Report on retrieval |
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