JPH11302769A - 盗難防止性に優れる鍵用素材 - Google Patents

盗難防止性に優れる鍵用素材

Info

Publication number
JPH11302769A
JPH11302769A JP10783398A JP10783398A JPH11302769A JP H11302769 A JPH11302769 A JP H11302769A JP 10783398 A JP10783398 A JP 10783398A JP 10783398 A JP10783398 A JP 10783398A JP H11302769 A JPH11302769 A JP H11302769A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
silicon
key
steel
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10783398A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayasu Shimizu
孝晏 清水
Yoshiyuki Shimizu
義之 清水
Hirokatsu Oikawa
広勝 及川
Yoshinobu Saito
吉信 斉藤
Haruo Hirano
治男 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPON SHIRIKOROI KOGYO KK
Tohoku Tokushuko KK
Tohoku Steel Co Ltd
Original Assignee
NIPPON SHIRIKOROI KOGYO KK
Tohoku Tokushuko KK
Tohoku Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIPPON SHIRIKOROI KOGYO KK, Tohoku Tokushuko KK, Tohoku Steel Co Ltd filed Critical NIPPON SHIRIKOROI KOGYO KK
Priority to JP10783398A priority Critical patent/JPH11302769A/ja
Publication of JPH11302769A publication Critical patent/JPH11302769A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐食、弱磁性及び高硬度高靭性をもち、盗
難防止性に優れた鍵用素材を提供せんとする。 【解決手段】 0.05wt%以下の炭素と、3.00
〜5.50wt%の珪素と、2.00wt%以下のマン
ガンと、0.50〜3.00wt%の銅と、5.00〜
10.00wt%のニッケルと、9.00〜14.00
wt%のクロムと、0.30〜2.50wt%のモリブ
デンと、0.10〜2.00wt%のニオブを含有し、
残部は不可避的不純物及び実質的に鉄とからなり、引張
強度150〜175kgf/mm2 、伸び10〜20
%、及びHRC45〜60を満たす鍵用高珪素ステンレ
ス鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性、盗難防止
性に優れた鍵用素材に関し、更に詳しくは、高耐食性、
弱磁性、高靭性及び高硬度を合わせもつ鍵用素材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来からの鍵用素材としては、真鍮、S
US440C等が挙げられる。真鍮製の鍵はCrメッキ
等の防食処理を施すことにより特に海岸地域で問題とさ
れる塩分による錆の発生を防ぐことができ、また非磁性
であることから鉄粉等が吸着して鍵内部が詰まるような
ことは無い。しかし硬度が低いためドリル等の切削で簡
単に破壊してしまうという欠点を有している。一方、S
US440C製の鍵はマルテンサイト系のステンレス鋼
であり、耐食性が良好であるほか一般の高速度鋼工具の
切削限界であるHRC(ロックウェルC硬さ)50〜5
2を十分超えるHRC58〜62を有しているため、ド
リル等による切削破壊はほぼ不可能であり長期間の使用
による変形若しくは摩耗の心配もない。しかしSUS4
40Cはマルテンサイト単相組織であるため靭性が低
く、ハンマー等で叩かれると簡単に割れてしまうことか
ら盗難防止の観点からは適当な素材ではない。また、強
磁性であるため、風によって吹きつけられた砂塵中の鉄
分等を吸着し鍵内部を詰まらせてしまうという問題も有
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって従来からの
素材を用いて盗難や異物の侵入を防止した鍵とするため
には特別な機構を付与した複雑な構造にせざるを得ず、
コストの面からも、高耐食、弱磁性でありながら人為的
な破壊行為にも十分耐え、かつ、加工性に優れた鍵用素
材が望まれていた。
【0004】本発明はかかる現況に鑑みなされたもの
で、高耐食、弱磁性及び高硬度高靭性をもち、盗難防止
性に優れた鍵用素材を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は前述の課題を
解決するに当たり鋭意検討を進めた結果、当社所有の特
許.619383の高珪素強靭鋼及び特許.66124
6の低ニッケル強靭高珪素鋼の組成を検討し、耐食性、
弱磁性、耐衝撃性及び耐ドリル性のすべてを満足しうる
鍵用素材を得ることができることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、0.05wt%以下の
炭素と、3.00〜5.50wt%の珪素と、2.00
wt%以下のマンガンと、0.50〜3.00wt%の
銅と、5.00〜10.00wt%のニッケルと、9.
00〜14.00wt%のクロムと、0.30〜2.5
0wt%のモリブデンと、0.10〜2.00wt%の
ニオブを含有し、残部は不可避的不純物及び実質的に鉄
とからなり、引張強度150〜175kgf/mm2
伸び10〜20%、及びHRC45〜60を満たす鍵用
高珪素ステンレス鋼及び該高珪素ステンレス鋼からなる
鍵、並びに、0.05wt%以下の炭素と、3.00〜
5.50wt%の珪素と、2.00wt%以下のマンガ
ンと、0.50〜3.00wt%の銅と、5.00〜1
0.00wt%のニッケルと、9.00〜14.00w
t%のクロムと、0.30〜2.50wt%のモリブデ
ンと、0.10〜2.00wt%のニオブを含み、か
つ、タングステン、チタン、タンタル、バナジウムのう
ちから選んだ少なくとも一種類又は二種類以上の元素を
2.00wt%以下含有し、残部は不可避的不純物及び
実質的に鉄とからなり、引張強度150〜175kgf
/mm2 、伸び10〜20%、及びHRC45〜60を
満たす鍵用高珪素ステンレス鋼及び該高珪素ステンレス
鋼からなる鍵を提供せんとするものである。ここで引張
強度150kgf/mm2 以上、伸び10%以上、及び
HRC45以上を満たすことは、耐衝撃性及び耐ドリル
性の観点から盗難防止用素材として最低限必要な条件、
すなわち人間がハンマーやドリル等を使用しても破壊で
きないか、若しくは破壊できるとしても十分な時間を要
する条件を示しており、本発明に係る鍵用高珪素ステン
レス鋼はこれを十分達成することができる。また、引張
強度175kgf/mm2 、伸び20%、及びHRC6
0は、それぞれ本発明に係る鍵用高珪素ステンレス鋼が
十分に達成できる範囲の上限値を示している。
【0007】
【発明の詳説】以下、本発明に係る鍵用高珪素ステンレ
ス鋼(以下、「本発明鋼」という)を更に詳細に説明す
る。本発明鋼は、珪素、クロム等のフェライト安定化元
素と、ニッケル等のオーステナイト安定化元素との量的
バランスのもと、マルテンサイト−オーステナイト二相
組織を構成し、これに熱処理をほどこすことで、引張強
度150〜175kgf/mm2 、伸び10〜20%及
びHRC45〜60、すなわち十分な耐衝撃性と耐ドリ
ル性を併せ持つ盗難防止性に優れた鍵材を成している。
前記量的バランスとしては、フェライト安定化元素が1
2.00〜19.00wt%で、かつ、オーステナイト
安定化元素が5.00〜10.00wt%とすることが
好ましい。また前記熱処理としては、900〜1000
℃の温度に所定時間維持した後急冷し、次いで600〜
700℃の温度に所定時間維持した後冷却し調質してな
る第一熱処理工程と、950〜1150℃の溶体化温度
に加熱した後急冷し表面硬度をHRC18〜32にして
なる第二熱処理工程と、鋼材の厚さ1cm当たり少なく
とも10分間以上420〜520℃の温度に維持して時
効硬化させてなる第三熱処理工程とを有し、前記各工程
を順次行い且つ第3熱処理工程に費やす時間を7時間以
内に制限してなる熱処理が好ましい。以下、各成分元素
別に詳細を述べる。
【0008】炭素(C):炭素は、鋼の硬度を高める元
素であり、通常の高硬度鋼においては所定量の炭素の含
有を必須としている。しかし、多量の珪素を含有する本
発明鋼においてはその強度は珪素によってもたらされる
特異な金属組織で確保されるため、炭素の含有は必須で
はない。むしろ炭素は本発明鋼の靭性を低下させるとと
もに耐食性に悪影響をもたらす元素である。従って、炭
素の含有量は出来るだけ少ないものがよく、0.10w
t%が許容上限値となるが、0.05wt%以下が好ま
しく、更に0.02wt%以下に抑えることが一層望ま
しい。
【0009】珪素(Si):珪素は、本発明を特徴づけ
る最も重要な成分の一つである。一般に、鉄−珪素二元
状態図からわかるように、鉄に珪素を2.3wt%以上
合金すればガンマループからはずれ結晶粒の粗大なフェ
ライト一色の組織となり、急激に靭性を失うことにな
る。本発明は、3.0wt%以上の珪素を含有する高珪
素鋼に、マンガン、クロム及びニッケルの適量を合金せ
しめ、A3変態点を750℃以下にしてガンマループを
拡大することにより結晶粒を微細化し、強靭性を得るも
のである。すなわち本発明鋼に用いる珪素は、固溶強化
により母材硬度を向上すると同時に、クロム及びニッケ
ルとの量的バランスにより母材をマルテンサイト−オー
ステナイト二相組織にする効果がある。しかし、3.0
0wt%未満の添加では上記効果に乏しく、また、5.
50wt%を超えると母材の靭性を劣化させるため、本
発明鋼の珪素の成分範囲を3.00〜5.50wt%と
規定する。
【0010】マンガン(Mn):マンガンは、脱酸剤と
して作用するが過剰に添加されると耐食性を劣化させる
ため、本発明鋼のマンガンの成分範囲を通常のステンレ
ス鋼の規格範囲である2.00wt%以下と規定する。
【0011】銅(Cu):銅は、時効熱処理にてニッケ
ルとともに金属間化合物を形成し母材硬度を向上させ、
また、中性雰囲気下での耐食性を向上させる効果があ
る。しかし、0.50wt%未満の添加では上記効果に
乏しく、また3.00wt%を超えて過剰に添加される
と熱間加工性を阻害するため、本発明鋼の銅の成分範囲
を0.50〜3.00wt%と規定する。
【0012】ニッケル(Ni):ニッケルは、オーステ
ナイト生成元素として働き母材の靭性を向上し、また、
時効熱処理において銅とともに金属間化合物を形成し母
材硬度を向上させる効果がある。しかし、5.00wt
%未満の添加では上記効果に乏しく、また、10.00
wt%を超えて過剰に添加されると組織中のオーステナ
イト量が増加し母材硬度を低下させるため、本発明鋼の
ニッケルの成分範囲を5.00〜10.00wt%と規
定する。
【0013】クロム(Cr):クロムは、本発明の耐食
性に最も影響する成分であり、耐孔食性を著しく向上さ
せ、また、シリコン及びニッケルとの量的バランスによ
り母材をマルテンサイト−オーステナイト二相組織にす
る効果がある。しかし、9.00wt%未満の添加では
上記効果に乏しく、14.00wt%を超えて過剰に添
加されると組織中にフェライトが出現し母材硬度を低下
させるため、本発明鋼のクロムの成分範囲を9.00〜
14.00wt%の範囲と規定する。
【0014】モリブデン(Mo):モリブデンは、不働
態を安定化させ耐食性を向上させる効果がある。しか
し、0.30wt%未満の添加では上記効果に乏しく、
2.50wt%を超えるとその効果も飽和するため、本
発明鋼のモリブデンの成分範囲を0.30〜2.50w
t%と規定する。
【0015】ニオブ(Nb):ニオブは、母材硬度を向
上させる効果がある。しかし、0.10wt%未満の添
加ではその効果に乏しく、2.00wt%を超えて過剰
に添加されると熱間加工性を阻害するばかりでなく靭性
を低下させるため、本発明鋼のニオブの成分範囲を0.
10〜2.00wt%と規定する。
【0016】タングステン(W)、チタン(Ti)、タ
ンタル(Ta)、バナジウム(V):タングステン、チ
タン、タンタル、バナジウムは、母材硬度を向上させる
効果があるが、過剰に添加されると熱間加工性を阻害す
るばかりでなく靭性を低下させるため、本発明鋼におい
てはタングステン、チタン、タンタル、バナジウムのう
ち1種類若しくは2種類以上を2.00wt%以下含有
することが好ましい。
【0017】次に、本発明鋼を実施例と比較例の実験に
基づいて説明する。
【0018】(実験1)表1に示す化学組成からなる各
種材料(実施例1、比較例1〜5)に、それぞれ引張り
試験及び硬度試験を行い、引張強度、伸び、及びHRC
を評価した。比較例1はC3601(真鍮)、比較例2
はSUS440C、比較例3はSUS630、比較例4
はSNCM625、比較例5はSKH3である。
【0019】
【表1】
【0020】引張り試験は、JIS規格に基づく試験機
を用い、JISに基づく方法で行う。硬度試験は、JI
S規格に基づくロックウェル試験機を用い、JISに基
づく方法で行う。試験片は、上記表1に示す化学組成を
持つ実施例1及び比較例1〜5の各種材料をそれぞれA
r雰囲気中で高周波誘導溶解を行い直径80mmのイン
ゴットとし、直径25mmの丸棒に鍛造成形し、表2に
示す第一熱処理を行った後、引張り試験ではJIS4号
試験片に、硬度試験では上面の直径が20mmで高さが
15mmの円柱試験片に切削加工し、実施例1及び比較
例3(SUS630)については、さらに表2に示す第
二熱処理を行うものである。
【0021】
【表2】
【0022】試験結果は表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】(実験1の効果)表3より、引張強度15
0kgf/mm2 以上、伸び10%以上、及びHRC4
5以上を満たすものは本発明鋼である実施例1だけであ
る。一般に耐衝撃性は強さとねばさで評価され、本発明
鋼は引張強度(kgf/mm2 )と伸び(%)の関係を
表わす図1に示す如く耐衝撃性に優れていることが分か
る。また耐ドリル性は硬度、即ちHRCで評価でき、4
5以上である本発明鋼は耐ドリル性にも優れていること
が分かる。 (実験2)次に、表4に示す化学組成を持つ実施例1〜
9と比較例6〜11について、それぞれ図2に示す鍵形
状を模した試験片1を作製し、耐食性、弱磁性、耐衝撃
性及び耐ドリル性の試験を行った。
【0025】
【表4】
【0026】a)試験片の作製 上記表4に示す化学組成を持つ実施例1〜9および比較
例6〜11の各種材料を、それぞれAr雰囲気中で高周
波誘導溶解を行い直径80mmのインゴットとし、直径
25mmの丸棒に鍛造成形し、1050℃−急冷の第一
熱処理を行った後、図2に示す試験片1に切削加工し、
さらに480℃−空冷の第二熱処理を行う。ここで試験
片1は、上面に直径12mm、肉厚2mmのつば部4を
設け長手方向22mmの全範囲にわたり幅2mm、深さ
7mmの溝5を設けた直径10mmの円柱3を、外周の
直径20mm、内周の直径10mmで長さ20mmの中
空円柱2に回転自在に嵌合した構成とし、図3にその分
解状態を示す。尚、比較例11(真鍮)は実機状態の再
現の為、Crメッキを実施する。比較例9では熱間加工
時に母材が容易に割れてしまい試験片1を作製すること
ができなかった。
【0027】b)試験及び結果 1.耐食性 JIS Z 2371に規定される塩水噴霧試験を採用
し、試験片1を35℃の温度下にて5%の塩化ナトリウ
ム水溶液を噴霧された状態で8時間保持する。評価は表
5に、○…殆ど腐食なし、×…発錆で示す。これにより
比較例8は腐食が発生する。
【0028】2.弱磁性 電磁石を使用し、試料の軸方向に対して400kAm-1
の磁界を印加した後、送風ファンで粒径10μm以下の
微粒鉄分10gを吹き付ける。評価は表5に、○…鉄粉
吸着殆どなし、×…鉄粉吸着で示す。これにより比較例
10は強磁性であるため鉄粉を吸着する。
【0029】3.耐衝撃性 図4に示す如く、試験片1を、つば部4を上に向けて鉄
板7上に置き、直径60mm、高さ140mmの鉄製の
丸棒6を500mmの高さhから落下させる。評価は表
5に、○…割れなし、×…割れありで示す。これにより
比較例7、比較例10は容易に割れてしまい、比較例1
1は容易に変形する。
【0030】4.耐ドリル性 試験片1の鍵穴に相当する幅2mmのスリット部5a
を、直径5mmの超硬合金ドリルで直接切削する。評価
は表5に、○…切削不可能、×…切削可能で示す。これ
により比較例6及び比較例11はドリル切削可能であ
る。
【0031】
【表5】
【0032】(実験2の効果)以上より実施例1〜9の
本発明鋼は、塩水噴霧試験で殆ど腐食がみられず、磁化
による鉄粉吸着も殆どみられない。また、耐衝撃性試験
も割れは全く見られず、耐ドリル性試験ではドリル刃先
が欠損し切削が出来なくなるほど良好であり、鍵として
のすべての条件を満たすことが分かる。
【0033】比較例6の如くクロムが上限値を超えて添
加されると、耐食性は良好となるが、組織中にフェライ
トが出現し硬度が低下するためドリル切削が可能となる
ことが分かる。
【0034】比較例7の如く珪素が上限値を超えて添加
されると、耐ドリル性は良好となるが、靭性が低下する
ため衝撃により容易に割れてしまうことが分かる。
【0035】比較例8の如く珪素、銅、ニッケル、ニオ
ブが適量含まれると、耐ドリル性、耐衝撃性ともに良好
となるが、クロム及びモリブデンの添加量が下限値未満
であると腐食が生じることが分かる。
【0036】比較例9の如くタングステン、チタン、タ
ンタル、バナジウムの総添加量が上限値を超えると、熱
間加工時に著しい割れが発生して製造できない。
【0037】比較例10のSUS440Cは、クロムの
添加量が多いため耐食性は良好となり、また、マルテン
サイト単相組織であるため耐ドリル性は良好となる。し
かし強磁性であるため著しい鉄粉吸着がみられ、また靭
性が低いため衝撃により容易に割れてしまうことが分か
る。
【0038】比較例11の真鍮は、クロムメッキにより
良好な耐食性を示し、また、非磁性であるため鉄粉の吸
着も見られない。しかし硬度が低くドリル切削が容易と
なり、また衝撃に対しても簡単に変形してしまうことが
分かる。
【0039】
【発明の効果】以上の内容からなる本発明鋼は、従来の
鍵材では不可能であった引張強度150〜175kgf
/mm2 、伸び10〜20%、及びHRC45〜60の
条件を満たしているため、鍵材として用いる場合、人為
的な破壊すなわち盗難の防止に絶大な効果を発揮すると
ともに鍵内部の耐衝撃性及び耐摩耗性も向上し、高耐食
性と合わせて長期間使用してもガタの生じない耐久性に
優れた鍵を提供することができる。また、非磁性を示
し、SUS440C製の鍵の様に鉄粉を吸着して内部を
詰まらせることが無いため、鍵穴開口部等に特別な構造
を採ることなく良好な作動性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験1に係る引張強度と伸びを表わすグラフで
ある。
【図2】実験2に係る鍵形状を模した試験片の簡略斜視
図である。
【図3】同試験片の分解状態を示す簡略斜視図である。
【図4】実験2に係る耐衝撃試験の簡略説明図である。
【符号の説明】
1 試験片 2 中空円柱 3 円柱 4 つば部 5 溝 5a スリット部 6 鉄製の丸棒 7 鉄板 h 落下高さ
フロントページの続き (72)発明者 及川 広勝 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ヶ丘23 東北特殊鋼株式会社内 (72)発明者 斉藤 吉信 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ヶ丘23 東北特殊鋼株式会社内 (72)発明者 平野 治男 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ヶ丘23 東北特殊鋼株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.05wt%以下の炭素と、3.00
    〜5.50wt%の珪素と、2.00wt%以下のマン
    ガンと、0.50〜3.00wt%の銅と、5.00〜
    10.00wt%のニッケルと、9.00〜14.00
    wt%のクロムと、0.30〜2.50wt%のモリブ
    デンと、0.10〜2.00wt%のニオブを含有し、
    残部は不可避的不純物及び実質的に鉄とからなり、引張
    強度150〜175kgf/mm2 、伸び10〜20
    %、及びHRC45〜60を満たす鍵用高珪素ステンレ
    ス鋼。
  2. 【請求項2】 0.05wt%以下の炭素と、3.00
    〜5.50wt%の珪素と、2.00wt%以下のマン
    ガンと、0.50〜3.00wt%の銅と、5.00〜
    10.00wt%のニッケルと、9.00〜14.00
    wt%のクロムと、0.30〜2.50wt%のモリブ
    デンと、0.10〜2.00wt%のニオブを含み、か
    つ、タングステン、チタン、タンタル、バナジウムのう
    ちから選んだ1種類若しくは2種類以上の元素を2.0
    0wt%以下含有し、残部は不可避的不純物及び実質的
    に鉄とからなり、引張強度150〜175kgf/mm
    2 、伸び10〜20%、及びHRC45〜60を満たす
    鍵用高珪素ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の高珪素ステ
    ンレス鋼からなる鍵。
JP10783398A 1998-04-17 1998-04-17 盗難防止性に優れる鍵用素材 Pending JPH11302769A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10783398A JPH11302769A (ja) 1998-04-17 1998-04-17 盗難防止性に優れる鍵用素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10783398A JPH11302769A (ja) 1998-04-17 1998-04-17 盗難防止性に優れる鍵用素材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11302769A true JPH11302769A (ja) 1999-11-02

Family

ID=14469206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10783398A Pending JPH11302769A (ja) 1998-04-17 1998-04-17 盗難防止性に優れる鍵用素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11302769A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1391528B1 (en) Ferritic stainless steal and martensitic stainless steel both being excellent in machinability
US5417777A (en) Alloy for backing steel of a bimetallic band saw blade
EP1954847B1 (en) High-strength steel for seamless, weldable steel pipes
US4919728A (en) Method of manufacturing nonmagnetic drilling string components
US20080210344A1 (en) Precipitation Hardenable Martensitic Stainless Steel
CN107923022B (zh) 马氏体不锈钢
EP1229142B1 (en) High strength, high corrosion-resistant and non-magnetic stainless steel
CA1339652C (en) Hot work tool steel with good temper resistance
US4450006A (en) Martensitic stainless steel
US4798634A (en) Corrosion resistant wrought stainless steel alloys having intermediate strength and good machinability
JP4441295B2 (ja) 耐食性および切削性に優れた溶接用高強度鋼および溶接用高強度鋼板の製造法
EP0446188A1 (en) Stainless steel
US3834897A (en) Low-carbon,high-strength structural steel with good weldability
US6793745B2 (en) Maraging type spring steel
JPH06271975A (ja) 耐水素脆化特性に優れた高強度鋼およびその製法
JPH11302769A (ja) 盗難防止性に優れる鍵用素材
US3928088A (en) Ferritic stainless steel
EP1598437B1 (en) High strength steel product excellent in characteristics of resistance to hydrogen embrittlement
JPH0841599A (ja) 溶接部の耐食性が優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
US4278465A (en) Corrosion-resistant alloys
EP1961831A1 (en) High-strength steel product excelling in fatigue strength and process for producing the same
EP3354764B1 (en) Quench hardened steel
EP0783595B1 (en) Use of a nonmagnetic stainless steel
JP2001247933A (ja)
JPH04354852A (ja) 高速度鋼工具用高硬度シャンク材または胴材