JPH11302715A - 溶銑予備処理方法 - Google Patents

溶銑予備処理方法

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JPH11302715A
JPH11302715A JP11336498A JP11336498A JPH11302715A JP H11302715 A JPH11302715 A JP H11302715A JP 11336498 A JP11336498 A JP 11336498A JP 11336498 A JP11336498 A JP 11336498A JP H11302715 A JPH11302715 A JP H11302715A
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JP
Japan
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hot metal
slag
oxygen
desulfurization
blowing
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Withdrawn
Application number
JP11336498A
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English (en)
Inventor
Yuji Ogawa
雄司 小川
Shinya Kitamura
信也 北村
Mitsutaka Matsuo
充高 松尾
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、温度低下が少なく、かつ、少ない
精錬剤原単位で効率的な脱燐脱硫処理ができる溶銑予備
処理方法を提供する。 【解決手段】 酸素ガス上吹きランスと底吹き羽口とを
有した精錬炉において、気酸比を60%以上、生石灰と
酸素の比(CaO/O)を0. 7〜1. 1とし、蛍石を
生石灰の15〜35%の重量比で精錬剤に配合し、ま
た、スラグ塩基度を2. 5〜3. 5、( T・ Fe) を
7. 5%以下、温度を1340〜1400℃以上とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は温度低下が少なく、
かつ、少ない精錬剤原単位で効率的な脱燐脱硫処理がで
きる溶銑予備処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶銑予備処理において、脱燐処理中に同
時に脱硫を起こさせる、いわゆる同時脱P脱S処理はト
ピードカーや溶銑鍋を用いた場合には広く実施されてい
る(例えば、鉄と鋼,第76年(1990),第11
号,1801ページ以降)。この場合には、溶銑面から
上部の炉頂部までの炉内空間体積(フリーボード)が小
さいためスラグをフォーミングさせない必要がある。従
って、スラグの塩基度は4以上と高く固相を多く含む粘
性の高いスラグとし、さらに、温度を上げすぎてスラグ
を溶融させたり脱炭量が多くなることを避けるため気酸
比は50%程度が最大である。このため、スラグ発生量
が多いことや、転炉装入温度が低いといった本質的な問
題が顕在している。
【0003】ここで、スラグ塩基度はスラグの分析結果
に基づき式で、気酸比は、送酸した酸素ガス量(分子
量に基づき重量に換算した値)と添加した酸化鉄中の酸
素量(分子量に基づき重量に換算した値)を用いて式
で定義されるものである。また、(CaO)、( SiO
2 ) はそれぞれスラグ中のCaO濃度、SiO2 濃度を
重量%で示したものである。
【0004】 塩基度=( CaO) /( SiO2 ) ・・・・・・・ 気酸比=(酸素ガス量×100)/(酸素ガス量+酸化鉄中の酸素量) ・・・・・・・ 一方、転炉を用いた溶銑予備処理も実施されている。転
炉を用いる場合にはフリーボードが大きいためスラグを
フォーミングさせても問題は無いため、トピードカーや
溶銑鍋を用いた溶銑予備処理に比べて低い塩基度で操業
ができ、また、冷却剤としてスクラップが用いられるた
め気酸比も高くすることができる。
【0005】特開平7−70626号公報には、「フラ
ックス添加と酸素上吹きおよび底吹き攪拌とを行って溶
銑を脱りん精錬する際に、底吹き攪拌動力が1.0kW
/t以上、処理後のスラグ中のCaO/SiO2 が0.
6〜2. 5、処理終点温度が1250〜1400℃にな
るように投入フラックス量および/または底吹きガス量
を調整して脱りん精錬を行うことを特徴とする転炉製鋼
法」が開示されている。
【0006】特開平7−90337号公報には、「溶銑
浴面下に設けた複数の羽口から粉体を溶銑中に吹込む機
能を有する底吹き転炉あるいは上底吹き転炉を用いて、
脱燐及び脱硫を行う溶銑予備処理方法において、一部の
羽口からは脱硫用の精錬剤を、また残りの羽口の一部又
は全部からは脱燐用の精錬剤を実質的に同時期に該転炉
内溶銑の別の領域に吹込むことを特徴とする溶銑の同時
脱燐脱硫予備処理方法。」が開示されている。
【0007】特公平1−41681号公報には、「酸素
上吹きを行いつつCaO系フラックスをキャリヤガスと
共に溶銑中へ吹込んで処理後のスラグの塩基度(CaO
/SiO2 )が2.0以上、酸化鉄含有率が15%以下
となる様に溶銑を脱燐処理し、次いで酸素上吹きを停止
してスラグの強制除去を行うことなく、溶銑中にキャリ
ヤガスと共に脱硫剤を吹き込んで脱硫することを特徴と
する溶銑の脱燐・脱硫方法」が開示されている。
【0008】特開平1−147012号公報には、「上
下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方
を脱燐炉、他方を脱炭炉として溶銑の精錬を行う製鋼方
法であって、溶銑を前記脱燐炉内へ注入した後、これに
前記脱炭炉で発生した転炉滓を主成分とする精錬剤と上
吹き酸素により燃焼されて減少する溶銑中炭素を補償す
るための炭材とを添加し、底吹きガス攪拌を行いつつ酸
素ガスを上吹きして溶銑脱燐を行う工程と、得られた脱
燐溶銑を脱炭炉にて精錬する工程とを含んで成ることを
特徴とする製鋼方法。」が開示されている。実施例にお
いては、塩基度が2.4〜3.0とすることで脱燐と同
時に脱硫ができることが示されており、また、炭材を添
加しない場合でも同様の脱硫率が得られると記載されて
いる。
【0009】一方、鉄と鋼,第76年(1990),第
11号,1817ページ以降には、転炉滓をフラックス
として用いて塩基度を2.5以上に上昇させれば同時脱
S率を上げることができるという報告がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−70626
号公報に開示されている方法では同時脱Sはおこらず、
脱Sのためには他の脱硫設備が必要になるという問題が
ある。特開平7−90337号公報に開示されている方
法では吹き込まれた脱S用精錬剤と脱P用精錬剤とが、
浮上後にスラグとして浴面上で混合するため反応効率が
悪く、また、異なる機能を持つ羽口及び配管を独立して
設置する必要があるため制御系等を含めた設備投資が大
きくなるという問題がある。特公平1−41681号公
報に開示されている方法では、吹き込まれた脱S用精錬
剤が浴面にある脱Pスラグと浮上後に混合するため反応
効率が悪く、また、脱S期の温度低下が大きいという問
題がある。
【0011】特開平1−147012号公報に記載され
る、炭材を添加することは炭材コストがかかる上に脱炭
炉での精錬時間が長くなるため経済的ではなく、また、
本発明のように転炉滓を主成分とした脱燐処理の場合に
は、転炉滓から( SiO2 ),( MgO) 等の成分が多
量に入るため、脱燐炉へ供給する精錬剤の量が多くな
り、該精錬剤の顕熱により脱燐処理中の温度低下が大き
くなるという問題がある。さらに、炭材を用いないとき
の脱硫に関しては何ら具体的な記載がないという問題が
ある。また、鉄と鋼,第76年(1990),第11
号,1817ページ以降に記載された発明は、転炉滓を
主成分とした脱燐処理の場合には、脱燐炉へ供給する精
錬剤の量が多くなり脱燐処理中の温度低下が大きくなる
という問題があり、当該例の場合も処理後の温度は12
60〜1320℃と低い。
【0012】本発明は、上記のように開示されている技
術の、転炉滓を主成分とした脱燐処理のために精錬剤の
量が多くなり温度低下が大きくなるという問題を解決
し、温度低下が少なく、かつ、少ない精錬剤原単位で効
率的な脱燐脱硫処理ができる溶銑予備処理方法を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは溶銑予備処
理で温度低下が少なく、かつ、少ない精錬剤原単位で効
率的な脱燐脱硫処理を実施するには、スラグ組成、温
度、造滓剤である蛍石の配合比、気酸比、CaO/Oを
適正に制御し、低い酸素ポテンシャル下の操業で、充分
に滓化した適正塩基度のスラグを造滓する必要があるこ
とを見いだした。
【0014】本発明の要旨は、以下の各方法にある。 ( 1) 酸素ガス上吹きランスと底吹き羽口とを有した
精錬炉において、気酸比を60%以上、生石灰と酸素の
比(CaO/O)を0. 7〜1. 1とし、蛍石を生石灰
の15〜35%の重量比で精錬剤に配合することを特徴
とする溶銑予備処理方法。 ( 2) ( 1) において、予備処理終了時のスラグ塩基
度を2. 5〜3. 5、( T・ Fe) を7. 5%以下、溶
銑温度を1340〜1400℃とすることを特徴とする
溶銑予備処理方法。 ( 3) ( 1) 又は( 2) において、生石灰粉を上吹き
ランスより供給することを特徴とする溶銑予備処理方
法。 ( 4) ( 1) 〜( 3) のいずれか1項において、酸素
ガス上吹き、精錬剤添加と底吹き攪拌を施す脱燐期に引
き続いて、脱燐期に生成したスラグを除滓することなく
底吹き攪拌のみを施す脱硫期を連続して実施することを
特徴とする溶銑予備処理方法。 ( 5) ( 1) 〜( 4) のいずれか1項に記載の溶銑予
備処理を実施した後のスラグを除滓することなしに出銑
し、当該スラグを炉内に残留させたままで次チャージの
溶銑を装入し、酸素ガス上吹きと底吹き攪拌を施す脱硅
期を施し、当該脱硅期に生成したスラグを除滓し、引き
続いて( 1) 〜( 4) のいずれか1項に示した溶銑予備
処理を実施することを特徴とする溶銑予備処理方法。
【0015】ここで、( CaO/O)は、生石灰、石灰
石、ドロマイト等の精錬剤に含まれる総ての生石灰を合
計した全生石灰原単位(kg/t)と、酸素ガス及び酸化鉄か
ら供給される全酸素を分子量に基づき重量換算した全酸
素原単位(kg/t)の比である。また、生石灰粉は粒径が1
00メッシュ以下であることが望ましく、また、供給方
法は、上吹き酸素ガスに混合させて吹き付けても、酸素
供給孔とは別に設けた孔より不活性ガスをキャリアーガ
スとして供給しても良い。
【0016】反応容器は、フリーボードが大きい転炉が
望ましいが、スラグフォーミングを制御したトピードカ
ーや溶銑鍋で実施しても良い。
【0017】酸素は上吹きランスからの吹き付け、及び
/又は、浴中へのインジェクションで供給し、底吹き攪
拌は羽口からのガス吹き込み、及び/又は、浴中へのガ
スインジェクションで実施することが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】溶銑予備処理で同時脱燐脱硫を行うには、
塩基度を高くして( P2 5 ) の活量を高くした上で低
( T・ Fe) とし酸素ポテンシャルを脱硫が可能なレベ
ルまで低くする必要がある。
【0020】溶銑予備処理は飽和に近い濃度の炭素を含
む溶鉄に酸素(酸素ガス又は酸化鉄)を供給するため、
( T・ Fe) 濃度は、溶鉄への酸素の供給速度と、脱炭
で消費される( FeO) の還元速度のバランスで決定さ
れる。脱燐反応において燐を酸化するのに必要な酸素は
全体の酸素バランスから見ると、わずか10%程度であ
り、溶銑脱燐処理とは言うものの、脱炭反応が主体であ
る。この脱炭反応は(T・ Fe) 濃度を支配する要因で
あるとともに、発熱反応であるため処理後の温度を規定
する要因でもあるため、最も重要な制御要因であるにも
関わらず、脱炭反応の制御については何らの研究もなさ
れていなかった。
【0021】従来、低( T・ Fe) を得るには、経験的
に酸素の供給速度を遅くし( FeO) の生成速度を低下
させる方法が採られ、その結果、CaO/Oは2程度と
高くなっていた。この従来方法では、酸素の供給が遅い
ため処理後の温度が著しく低下するという問題が避けら
れなかった。
【0022】脱炭反応は次式で記述される。
【0023】 (FeO)+[ C] →Fe+CO ・・・・・・ 本発明者らは、溶銑予備処理の脱炭反応について詳細な
検討を加えた結果、以下のことを明らかにした。
【0024】1)脱炭反応はスラグ/溶銑界面でCOガ
ス気泡が発生する必要があり、COガスの異相界面が新
たに形成されるために大きなエネルギーが必要となり、
反応速度はCOガスの核発生速度が律速する。
【0025】2)COガスの核発生速度はスラグの粘性
と温度に大きく影響を受け、低粘性で高温の場合ほど核
発生速度は大きい。
【0026】3)酸素ガスとして供給された場合には、
純粋な(FeO)が高温下で生成されるため、酸化鉄と
して供給された場合に比べるとCOの核発生速度は大き
い。
【0027】従って、酸素の供給速度を遅くせずに温度
低下を抑制した状態で低( T・ Fe) を得るには、CO
の核発生速度を大きくするために、酸素ガスを利用する
ことと、高温で低粘性スラグを形成させることが必要と
なる。
【0028】本発明は、上記の知見に基づくものであ
り、蛍石を生石灰の15〜35%の重量比で精錬剤に配
合させたのは、図1に示すように低粘性スラグを形成さ
せ低(T・ Fe) を得るためである。つまり、高塩基度
スラグは、その液相部分は粘性が低いものの、固相率が
大きいためスラグ全体としての粘性は極めて高くなり、
そのままでは脱炭が起こりにくく( T・ Fe) が上昇し
て脱硫が生じなくなる。これに対して、蛍石を配合すれ
ば固相率が小さくなるためスラグ全体としての粘性が低
下しCOの核発生速度が大きくなるため脱炭が促進され
( T・ Fe) が低下して脱硫が生じる。蛍石が15%よ
りも少ない場合には固相率が大きく( T・Fe) が充分
には低下せず、35%よりも多い場合には脱硫は進行す
るものの耐火物損耗が大きい。
【0029】また、気酸比を60%以上としたのは酸素
ガスを最大限に利用するための条件であり、図2に示す
ように気酸比が60%よりも少ない場合には全酸素の供
給速度は同程度でもCOの核発生速度は小さくなるため
( T・ Fe) が上昇して脱硫が生じなくなる。
【0030】生石灰と酸素の比(CaO/O)を0. 7
〜1. 1としたのは酸素の供給速度を適正にして処理後
の温度低下を防ぐとともに脱硫を進行させるためであ
り、図3に示すようにCaO/Oが0. 7よりも小さい
場合には、全酸素の供給速度が大きすぎるため蛍石配合
量や気酸比が適正であっても( T・ Fe) の上昇は避け
られず脱硫が生じなくなり、1. 1よりも大きいと全酸
素の供給速度が小さすぎるため温度低下が大きくなる。
【0031】請求項2における数値の限定理由も脱燐と
同時に脱硫を進行させるための条件を示すものである。
スラグ塩基度が2. 5よりも低い場合にはスラグの脱燐
能、脱硫能が小さすぎるため反応効率が低下し、3. 5
よりも大きい場合には蛍石を適正に配合しても固相率が
大きくスラグ粘性が大きいためCOの核発生速度は小さ
くなり( T・ Fe) が上昇して脱硫が生じなくなる。ま
た、このような高塩基度スラグをさらに多量の蛍石を入
れて滓化させると、脱硫は進行するものの耐火物損耗が
大きい。( T・ Fe) が7. 5%よりも大きいと酸素ポ
テンシャルが高いために脱燐はするものの脱硫が進行し
ない。下限は特に規定しないが、脱燐速度を高く維持す
るためには1%以上であることが望ましい。
【0032】温度が1340℃よりも低い場合には、蛍
石を適正に配合しても固相率が大きくCOの核発生速度
が小さいため( T・ Fe) が上昇して脱硫が生じなくな
ることと、脱炭炉への装入温度が低下するため転炉の熱
裕度が低下し生産性が低下するという問題がある。14
00℃よりも高温では適正な組成であってもスラグの脱
燐能が低下しすぎるため反応効率が低下する。
【0033】請求項3は、より効率的に脱燐と同時に脱
硫を進行させるためのものであり、生石灰粉を上吹きラ
ンスより供給することにより滓化が促進され、固相率が
よりすみやかに低下するため( T・ Fe) の上昇を抑制
することができる。
【0034】請求項4は、酸素ガス上吹き、精錬剤添加
と底吹き攪拌を施す脱燐期に引き続いて、脱燐期に生成
したスラグを除滓することなく底吹き攪拌のみを施す脱
硫期を連続して実施することにより、より低濃度まで硫
黄を低下させるための処理を示したものである。請求項
1〜3のいずれか1項で示した処理により生成したスラ
グは脱燐脱硫能が高く、かつ粘性が低いという特徴を持
つ。このような場合に、脱燐速度と復燐速度との間に大
きな差が生じる。つまり、脱燐の場合には、界面で平衡
する燐の濃度が非常に低いため溶銑側の物質移動の駆動
力は極めて大きく、スラグ中の物質移動速度が溶銑中の
物質移動速度よりも遅くなる。このため、溶銑の燐はス
ラグ/メタル界面まで移動した後、スラグ相中への移動
がしにくいため( P2 5 ) として界面に停滞する。従
って、界面の( P2 5 ) 濃度が上昇するが、この( P
2 5 ) は界面張力を低下させるため、粘性が低いスラ
グの場合には、スラグは微粒となり溶銑中に容易にエマ
ルジョン化され、反応界面積の大幅な増大を引き起こし
脱燐速度は非常に速くなる。反対に復燐の場合には、界
面で平衡する燐の濃度と溶銑バルクの燐濃度の差は大き
くないため溶銑側の物質移動の駆動力は小さく、スラグ
中の物質移動速度と溶銑中の物質移動速度が同等レベル
になる。このような場合には界面の( P2 5 ) 濃度が
上昇せず界面張力は低下しないため、スラグのエマルジ
ョンは起こりにくく復燐速度は脱燐速度に比べて遅くな
る。この原理により、酸素ガス上吹き、精錬剤添加と底
吹き攪拌を施す脱燐期に生成したスラグを除滓すること
なく底吹き攪拌のみを施すことで、( T・ Fe) が低下
しても、復燐を抑制したまま脱硫が継続して進行するこ
とが可能となる。
【0035】請求項5は、請求項1〜4のいずれか1項
に記載した溶銑予備処理を実施した後のスラグを除滓す
ることなしに出銑し、当該溶銑予備処理スラグを炉内に
残留させたままで次チャージの溶銑を装入し、酸素ガス
上吹きと底吹き攪拌を施す脱硅を施し、当該脱硅期に生
成したスラグを除滓し、引き続いて請求項1〜4のいず
れか1項に示した溶銑予備処理を実施する方法を規定し
たものである。
【0036】これも、本発明に基づき生成したスラグは
脱燐能、脱硫能が大きく粘性が低いため、復燐、復硫が
起こりにくいという原理を利用したもので、溶銑予備処
理スラグを炉内に残留させたままで次チャージの溶銑を
装入し脱硅を実施し、スラグの塩基度が低下しても復
燐、復硫が抑制される。従って、該脱硅処理により燐や
硫黄の濃度は変化せずに、珪素濃度のみが選択的に低下
するため、引き続き実施する脱燐脱硫処理では塩基度を
適正値とするために必要な生石灰原単位が低下し、発生
スラグ量も低下するという経済効果が得られる。尚、脱
珪後の中間排滓は、炉を傾動させて自然に流出させる方
法や、排滓機で機械的に除滓する方法等のいずれであっ
てもかまわない。
【0037】
【実施例】(実施例−1)実施例は8トン規模の上底吹
き転炉で実施した。上吹きランスより酸素を供給し、底
吹き羽口より攪拌用のCO2 を供給した。実験は、C=
4. 5%、Si=0. 31%、Mn=0. 25%、P=
0. 101%、S=0. 031%、温度=1350℃の
溶銑を転炉に装入後、上吹きランスから送酸しつつ、生
石灰、鉄鉱石、蛍石からなる精錬剤を上方より半連続的
に添加した。操業条件を以下に示す。
【0038】 酸素ガス原単位:13. 1Nm3/t (重量換算:18. 7kg/t) 鉄鉱石原単位 :15. 1kg/t(酸素換算: 3. 9kg/t) 気酸比 :82. 7% 生石灰原単位 :20. 3kg/t CaO/O :0. 90 蛍石原単位 : 5. 0kg/t 予備処理終了時スラグ塩基度 :3. 06 同 ( T・ Fe) :4. 6% この結果、C=3. 4%、Si=0. 01%、Mn=
0. 15%、P=0. 025%、S=0. 012%、温
度=1375℃の溶銑を、約8分の処理時間で得ること
ができた。
【0039】(実施例−2)実施例−1と同等の条件
で、上吹きランスから供給される酸素ガスに粉生石灰を
混合し吹き付けた。生石灰以外の精錬剤は上方より添加
した。処理前の溶銑はC=4. 6%、Si=0. 30
%、Mn=0. 23%、P=0. 110%、S=0. 0
33%、温度=1345℃であり、操業条件を以下に示
す。
【0040】 酸素ガス原単位:12. 9Nm3/t (重量換算:18. 4kg/t) 鉄鉱石原単位 :14. 1kg/t(酸素換算: 3. 7kg/t) 気酸比 :83. 2% 生石灰原単位 :19. 5kg/t CaO/O :0. 88 蛍石原単位 : 4. 9kg/t 予備処理終了時塩基度 :3. 03 同 (T・ Fe) :3. 8% その結果、C=3. 5%、Si=0. 01%、Mn=
0. 16%、P=0. 021%、S=0. 010%、温
度=1374℃の溶銑を、約8分の処理時間で得ること
ができた。
【0041】(実施例−3)実施例−1と同等の条件で
8分間処理した後、上吹きランスからの送酸と精錬剤の
添加を停止し、引き続いて2分間、底吹き攪拌のみを実
施した(脱硫期)。処理前の溶銑はC=4. 5%、Si
=0. 30%、Mn=0. 25%、P=0.105%、
S=0. 030%、温度=1355℃であり、操業条件
を以下に示す。
【0042】 酸素ガス原単位:14. 0Nm3/t (重量換算:20. 0kg/t) 鉄鉱石原単位 :12. 1kg/t(酸素換算: 3. 2kg/t) 気酸比 :86. 2% 生石灰原単位 :20. 5kg/t CaO/O :0. 88 蛍石原単位 : 4. 5kg/t 予備処理終了時塩基度 :3. 19 同 (T・ Fe) :1. 5% その結果、C=3. 5%、Si=0. 01%、Mn=
0. 19%、P=0. 020%、S=0. 005%、温
度=1365℃の溶銑を得ることができた。
【0043】(実施例−4)実施例−1と同等の条件で
8分間処理した後、出銑し、スラグを残したままで次チ
ャージ溶銑を受銑し、引き続いて上吹きランスからの送
酸と攪拌を3分間実施した(脱硅期)。処理前の溶銑は
C=4. 5%、Si=0. 42%、Mn=0. 25%、
P=0. 115%、S=0. 031%、温度=1350
℃であり、脱硅期の酸素ガス原単位は2. 7Nm3/t であ
り、特に精錬剤は添加しなかった。その結果、C=4.
1%、Si=0. 15%、Mn=0. 19%、P=0.
117%、S=0. 035%、温度=1350℃の溶銑
を得た。その後、炉を傾動させてスラグを自然排滓した
後、再び直立させて脱燐脱硫操業を実施した。操業条件
を以下に示す。
【0044】 酸素ガス原単位: 8. 1Nm3/t (重量換算:11. 6kg/t) 鉄鉱石原単位 : 5. 1kg/t(酸素換算: 1. 3kg/t) 気酸比 :89. 9% 生石灰原単位 :10. 3kg/t CaO/O :0. 80 蛍石原単位 : 2. 2kg/t 予備処理終了時塩基度 :3. 15 同 ( T・ Fe) :5. 7% この結果、C=3. 5%、Si=0. 01%、Mn=
0. 15%、P=0. 024%、S=0. 011%、温
度=1370℃の溶銑を、約6分の処理時間で得ること
ができた。
【0045】(比較例)比較例は8トン規模の上底吹き
転炉で実施した。上吹きランスより酸素を供給し、底吹
き羽口より攪拌用のCO2 を供給した。実験は、C=
4. 5%、Si=0. 32%、Mn=0. 25%、P=
0. 101%、S=0. 031%、温度=1350℃の
溶銑を転炉に装入後、上吹きランスから送酸しつつ、生
石灰、鉄鉱石、蛍石からなる精錬剤を上方より半連続的
に添加した。操業条件を以下に示す。
【0046】 酸素ガス原単位: 9. 0Nm3/t (重量換算:12. 9kg/t) 鉄鉱石原単位 :60. 5kg/t(酸素換算:15. 7kg/t) 気酸比 :45. 0% 生石灰原単位 :14. 3kg/t CaO/O :0. 50 蛍石原単位 : 1. 0kg/t 予備処理終了時塩基度 :2. 07 同 (T・ Fe) :15. 8% この結果、生成した溶銑の組成は、C=3. 4%、Si
=0. 01%、Mn=0. 10%、P=0. 025%、
S=0. 030%、温度=1325℃であり、脱硫が充
分に進行せず、また、温度も低かった。
【0047】
【発明の効果】本発明により、温度低下が少なく、か
つ、少ない精錬剤原単位で効率的な脱燐脱硫処理ができ
る溶銑予備処理が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】精錬剤中の蛍石と生石灰の配合比と処理後の(
T・ Fe) 及び脱燐処理中の同時脱硫率を示す実験結
果。
【図2】気酸比と処理後の( T・ Fe) 及び脱燐処理中
の同時脱硫率を示す実験結果。
【図3】CaO/Oと処理後の( T・ Fe) 及び脱燐処
理中の同時脱硫率を示す実験結果。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素ガス上吹きランスと底吹き羽口とを
    有した精錬炉による溶銑予備処理方法において、気酸比
    を60%以上、生石灰と酸素の比(CaO/O)を0.
    7〜1. 1とし、蛍石を生石灰の15〜35%の重量比
    で精錬剤に配合することを特徴とする溶銑予備処理方
    法。
  2. 【請求項2】 予備処理終了時のスラグ塩基度を2. 5
    〜3. 5、( T・ Fe) を7. 5%以下、溶銑温度を1
    340〜1400℃とすることを特徴とする請求項1に
    記載の溶銑予備処理方法。
  3. 【請求項3】 生石灰粉を上吹きランスより供給するこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の溶銑予備処理方
    法。
  4. 【請求項4】 酸素ガス上吹き、精錬剤添加と底吹き攪
    拌を施す脱燐期に引き続いて、脱燐期に生成したスラグ
    を除滓することなく底吹き攪拌のみを施す脱硫期を連続
    して実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    か1項に記載の溶銑予備処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶
    銑予備処理を実施した後のスラグを除滓することなしに
    出銑し、当該スラグを炉内に残留させたままで次チャー
    ジの溶銑を装入し、酸素ガス上吹きと底吹き攪拌により
    脱硅を施し、当該脱硅期に生成したスラグを除滓し、引
    き続いて請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶銑予備
    処理を実施することを特徴とする溶銑予備処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100361613B1 (ko) * 1998-09-10 2003-01-24 주식회사 포스코 극저탄소·저질소강의 출강중 흡질 방지방법

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