JPH11299597A - 空気環境調整機能付展示ケース及びこれを用いた展示ケースユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部の空気環境を調整することが可能であ
ると共に取扱いが容易で低コストであり、大型の収納物
を収納する際には連結可能な展示ケース、及びこれを複
数連結した展示ケースユニットを提供する。 【解決手段】 展示物を収納する収納部の内部の空気を
清浄する空気清浄手段２１、収納部内の空気を除湿する
除湿手段２２、収納部内の空気を加湿する加湿手段２３
のうちの少なくとも一つからなる空気環境調整手段３を
ケース本体２の少なくとも一つの壁部に設け、ケース本
体２の空気環境調整手段３が設けられた壁部を除く他の
壁部のうちの少なくとも一つの壁部を開放自在とし、こ
の開放された開放壁部を他のケース本体の開放壁部に連
結する連結部４ｂ，７ａを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、図書館、文化財保
存館、公文書館、資料館、美術館、博物館等において主
に用いられる、内部の展示物の保存に適する環境条件を
整える機能を有する環境条件調整機能付展示ケース、及
びこれを複数連結した展示ケースユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】美術品、貴金属、文化財等は、品質の劣
化あるいは盗難等を防止するため、展示の際には展示ケ
ース内に収納される。しかし、従来の展示ケースでは、
内部の空気が浄化されないことから、何らかの理由で塵
埃や黴、あるいはバクテリア等が収納体内に侵入した場
合にその除去を行うことができないため、収納物の品質
低下を防止することができないという問題点があった。

【０００３】そこで、内部の空気環境を調整して収納物
の品質を低下させることなく長期の収納が可能な空気環
境調整機能付展示ケースが、本願出願人によって特願平
８−１７４９７９号にて提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の空気環
境調整機能付展示ケースは単体で使用されるため、巻物
や屏風等の長尺物の展示物、あるいは仏像等の背の高い
展示物を収納する場合には収納部を大型にする必要があ
り、展示ケースの製作や搬入等が大掛かりとなると共
に、大型の空気清浄手段を用いる必要が生じてコストア
ップしてしまうという問題点がある。

【０００５】本発明は、上述の問題点を解決し、内部の
空気環境を調整することが可能であると共に取扱いが容
易で低コストであり、大型の収納物を収納する際には連
結可能な展示ケース、及びこれを複数連結した展示ケー
スユニットの提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
展示物を収納する収納部の内部の空気を清浄する空気清
浄手段、前記空気を除湿する除湿手段、または前記空気
を加湿する加湿手段のうちの少なくとも一つからなる空
気環境調整手段をケース本体の少なくとも一つの壁部に
具備した空気環境調整機能付展示ケースにおいて、前記
ケース本体は、前記空気環境調整手段が設けられた壁部
を除く他の壁部のうちの少なくとも一つの壁部が開放自
在であり、開放された開放壁部を他のケース本体の開放
壁部に連結する連結部を有することを特徴とする。

【０００７】請求項２記載の発明は、請求項１記載の空
気環境調整機能付展示ケースにおいて、さらに、前記開
放壁部は着脱自在な板部材を有し、前記板部材を取り外
すことで前記開放壁部が開放されることを特徴とする。

【０００８】請求項３記載の発明は、請求項１または請
求項２記載の空気環境調整機能付展示ケースにおいて、
さらに、前記連結手段は前記開放壁部同士を気密的に連
結することを特徴とする。

【０００９】請求項４記載の発明は、展示物を収納する
収納部を有する複数のケース本体を互いに連結可能な連
結部を有し、前記連結部を複数連結した際に前記各収納
部が連通される展示ケースユニットであって、互いに連
結された複数の前記ケース本体のうちの少なくとも一つ
に、前記収納部の内部の空気を清浄する空気清浄手段、
前記空気を除湿する除湿手段、または前記空気を加湿す
る加湿手段のうちの少なくとも一つからなる空気環境調
整手段を有することを特徴とする。

【００１０】請求項５記載の発明は、展示物を収納する
収納部を有する複数のケース本体を互いに連結可能な連
結部を有し、前記連結部を複数連結した際に前記各収納
部が連通される展示ケースユニットであって、前記収納
部の内部の空気を清浄する空気清浄手段、前記空気を除
湿する除湿手段、または前記空気を加湿する加湿手段の
うちの少なくとも一つからなる空気環境調整手段を互い
に連結された複数の前記ケース本体にそれぞれ有し、前
記各空気環境調整手段はその作動を制御手段により制御
されることを特徴とする。

【００１１】

【実施例】図１、図２、図３は本発明の第１の実施例を
採用した空気環境調整機能付展示ケースをそれぞれ示し
ている。同図において展示ケース１は、ケース本体２、
空気環境調整手段３から主に構成されており、空気環境
調整手段３がケース本体２の下部に配置されている。ケ
ース本体２は、上箱４、支柱５、載置板６、下箱７、ガ
ラス８、板部材としての側パネル９、背板１０等から主
に構成されている。

【００１２】板材で形成された直方体である上箱４は、
その上面に開放自在な蓋体４ａ，４ａを有しており、各
蓋体４ａ，４ａの内面には複数の紫外線防止蛍光灯１１
が取り付けられている。上箱４の下方にはルーバー１２
が取り付けられ、その下方であって上箱４の側壁４ｂ，
４ｂ間にはピクチャーレール１３が取り付けられてい
る。また、連結部である各側壁４ｂには、側パネル９，
９を取り付けるための取付穴４ｃ，４ｃがそれぞれ穿設
されている。

【００１３】上箱４の四隅には、中空角柱である支柱５
の一端がそれぞれ一体的に取り付けられている。各支柱
５の他端は、下箱７の四隅にそれぞれ一体的に取り付け
られている。各支柱５の、ケース本体２の内部側に位置
する側面には、複数の排気孔５ａがそれぞれ形成されて
いる。また、各支柱５の、側パネル９が取り付けられる
側の側面には、後述するアングル材１４を取り付けるた
めの図示しないタップがそれぞれ形成されている。

【００１４】支柱５の下方には、上面に展示物を載置さ
れる載置板６が配設されている。載置板６には、図３に
示すように、吸気口６ａ，６ｂ、加湿口６ｃ，６ｃが形
成されており、それらにはそれぞれ多数の穴を有する鉄
板１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｃが取り付けられてい
る。吸気口６ｂの内部であって鉄板１５ｂの下方に位置
する部位には、収納部内の湿度を検出する湿度センサー
３９（図６、図７参照）が取り付けられている。

【００１５】載置板６の下方には、内部に空気環境調整
手段３を収納する下箱７が配設されている。複数の側壁
７ａを有する下箱７はその前面と後面とが開放されてお
り、前面側は着脱自在なカバーパネル１６，１６で、後
面側は背板１０でそれぞれ覆われている。連結部である
各側壁７ａには側パネル９，９を取り付けるための取付
穴７ｂ，７ｂがそれぞれ穿設されており、一方のカバー
パネル１６には気化された除湿水分を排出するための排
出口１６ａが形成されている。また、下箱７の下方には
展示ケース移動用のキャスター１７が取り付けられてい
る。

【００１６】展示ケース１の前面側に位置する各支柱５
間にはガラス８がはめ込まれている。ガラス８は、図
３、図４に示すように、上端部を上箱４に下端部を下箱
７に挟まれ、両側端部を各支柱５に取り付けられた支持
部材１８，１８に挟持されている。また、展示ケース１
の後面側に位置する各支柱５間には背板１０がはめ込ま
れている。背板１０もガラス８と同様に、その両側端部
を各支柱５に取り付けられた支持部材１８，１８に挟持
され、下箱７の後面側を覆うように配設されている。な
お、ガラス８及び背板１０を支持する支持部材１８のう
ち、ケース外部側に位置する支持部材１８には、後述す
る化粧パネル１９を係止するための、図５に示す形状の
鈎穴１８ａがそれぞれ形成されている。

【００１７】展示ケース１の両側面側に位置する各支柱
５の外側には側パネル９，９が配設されている。各取付
穴４ｃ及び各取付穴７ｂとそれぞれ対応する位置にタッ
プ９ｆを形成された側パネル９は、ネジやボルト等の締
結手段によって上箱４及び下箱７に取り付けられる。側
パネル９には、図３に示すようなパネル状のものと、図
２、図４に示すような扉９ａを有するものとがある。扉
９ａは蝶番９ｂ，９ｂによって開閉自在に支持され、取
手９ｃを把持して開閉される。扉９ａには錠９ｄが設け
られている。また、側パネル９の側端部には、後述する
化粧パネル１９が取り付けられる際の逃げ部９ｅ，９ｅ
がそれぞれ形成されている。

【００１８】側パネル９の両側端部にはアングル材１４
がそれぞれ配設されている。アングル材１４は、逃げ部
９ｅに対応する位置に鈎穴１８ａと同形の鈎穴１４ａを
有しており、支柱５にネジによって着脱自在に取り付け
られている。

【００１９】各支柱５の外側には化粧パネル１９が取り
付けられる。板材を折り曲げて形成され、複数の係合突
起１９ａを有する化粧パネル１９は、上箱４の上端から
下箱７の下端までの長さを有しており、支柱５、側パネ
ル９、アングル材１４、及び支持部材１８によって形成
された段差を覆い隠すべく、各係合突起１９ａを各鈎穴
１４ａ，１８ａに係合させることで着脱自在に支持され
る。

【００２０】上述の構成より、上箱４の下面、各支柱
５、ガラス８、各板部材９，９、背板１０、載置板６の
上面で囲まれた空間が収納部を形成しており、扉９ａを
開閉することによって収納部への展示物の出し入れが可
能となっている。

【００２１】下箱７の内部には、図６、図７に示すよう
に空気環境調整手段３が配設されている。空気環境調整
手段３は、ファン２０、空気清浄手段としてのフィルタ
ー２１、除湿手段としての乾式除湿器２２、加湿手段と
しての加湿剤２３，２３、制御手段２４等から主に構成
されている。

【００２２】フィルター２１は下箱７の内部に固定され
たフィルターボックス２５の内部に配設されている。フ
ィルター２１としては、電子式空気清浄フィルターが用
いられる。このフィルター２１は通風抵抗が非常に小さ
く、これを用いることにより、ファン２０の風量にほと
んど影響を与えずに１ミクロン以下の微細な粒子（黴の
胞子、バクテリア、花粉、塵埃、ダニの死骸等）を補集
することができる。また、補集できなかった粒子に関し
ても電気的に帯電されることがないため、これらが収納
部内の展示物に電気的に付着することが防止でき、展示
物の品質低下を極力防止することができる。

【００２３】フィルターボックス２５は、上部に２個の
吸入口２５ａ，２５ｂを、側部に２個の排出口２５ｃ，
２５ｄを有しており、排出口２５ｃ，２５ｄにはフィル
ター２１を通過した空気が排出口２５ｃあるいは排出口
２５ｄの何れか一方へ向かうように空気の流路を切り換
える電磁切換弁２６が配設されている。電磁切換弁２６
の作動は制御手段２４によって制御される。

【００２４】各吸入口２５ａ，２５ｂにはパイプ２７，
２８の一端が接続されており、パイプ２７の他端は吸気
口６ａに接続され、パイプ２８の他端は吸気口６ｂに接
続されている。また、各排出口にはパイプ２９，３０の
一端が接続されており、パイプ２９の他端はファン２０
に接続され、パイプ３０の他端は乾式除湿器２２に接続
されている。

【００２５】収納部内の空気をフィルター２１を介して
吸引し、清浄された空気を再び収納部内に送り込むファ
ン２０は、下箱７に固設されている。吸入口と排出口と
を有するファン２０には、その吸入口にパイプ２９の他
端が、また、排出口にパイプ３１の一端がそれぞれ接続
されている。パイプ３１の他端は集合管３２に接続され
ている。

【００２６】図示しないファン及び吸湿ローターを内蔵
し、収納部内部の空気を吸引して除湿する乾式除湿器２
２は、下箱７に固設されている。この乾湿除湿器２２
は、空気を吸入する吸入口２２ａ、除湿した空気を排出
する第１排出口２２ｂ、空気より除去された気化湿気を
排出する第２排出口２２ｃを有しており、吸入口２２ａ
にはパイプ３０の他端が、第１排出口２２ｂにはパイプ
３３の一端が、また、第２排出口２２ｃにはパイプ３４
の一端がそれぞれ接続されている。パイプ３３の他端は
集合管３２に接続され、パイプ３４の他端は排出口１６
ａを介して下箱７の外部に臨んでいる。

【００２７】集合管３２には、上述した各パイプ３１，
３３の他、４本のパイプ３５，３６，３７，３８の一端
がそれぞれ接続されている。各パイプ３５，３６，３
７，３８の他端は４本の支柱５にそれぞれ接続されてお
り、各パイプ３１，３３より集合管３２に送られた空気
は、各パイプ３５，３６，３７，３８を通って４本の支
柱５の内部に送られる。

【００２８】調湿剤２３，２３は加湿口６ｃ，６ｃの下
方に取り付けられており、その一面を収納部の内部に臨
ませている。調湿剤２３は、シリカゲル（二酸化珪素）
より主に構成されており、湿度が高い場合には大気中の
水分をその内部に貯留し、湿度の低下に伴って内部に貯
留した水分を大気中に放散するという性能を有する。調
湿剤２３としては、シリカゲルの他にアートソーブ（商
品名；富士シリシア化学株式会社製）等が挙げられる。
なお、図６及び図７では、図が煩雑となることを避ける
ために各加湿口６ｃ，６ｃ及び各鉄板１５ｃ，１５ｃの
図示を省略している。また、鉄板１５ｃ，１５ｃに代え
て複数の穴部を有し、この穴部が開閉自在に構成された
鉄板等を用いてもよい。

【００２９】周知のマイクロコンピューターからなる制
御手段２４は下箱７の内部に固設されており、図８に示
すように、ケース本体２に設けられた展示ケース１の図
示しない操作パネル及び湿度センサー３９からの動作信
号及び検知信号に基づき、ファン２０、乾式除湿器２２
及び電磁切換弁２６の作動を制御する。

【００３０】上述の構成により、ケース本体２の収納部
内部に展示物が収納され、図示しない操作パネルの作動
スイッチがオンされると、制御手段２４に作動信号が入
力される。作動信号を受けた制御手段２４は、湿度セン
サー３９からの湿度信号を取り込み、この湿度情報に基
づき、収納部内部の湿度が６０％以上の場合には乾式除
湿器２２を作動させると共に、排出口２５ｄが開くよう
に電磁切換弁２６を切り換える。

【００３１】これにより、収納部内部の空気は乾式除湿
器２２内の図示しないファンの吸引力によって吸引さ
れ、各吸気口６ａ，６ｂより各パイプ２７，２８を介し
てフィルターボックス２５内に取り込まれる。取り込ま
れた空気はフィルター２１を通過する際に浄化され、そ
の後、パイプ３０を介して乾式除湿器２２に送られる。

【００３２】乾式除湿器２２で除湿された空気は、パイ
プ３３を通って集合管３２へと送られ、４本のパイプ３
５，３６，３７，３８に分散されて各支柱５内に送られ
る。各支柱５内に送られた空気は、各支柱５より排気孔
５ａを通って収納部内部に送られる際に、載置板６、ガ
ラス８、展示物等に付着した微細な粒子を巻き上げた
後、各吸気口６ａ，６ｂに吸い込まれて循環する。ま
た、乾式除湿器２２において除去された湿気は、パイプ
３４を介して排出口１６ａから外部に放散される。

【００３３】収納部内部の空気が除湿されつつ浄化さ
れ、その湿度が６０％未満となると、制御手段２４は乾
式除湿器２２の作動を停止させると共にファン２０を作
動させ、かつ、排出口２５ｃが開くように電磁切換弁２
６を切り換える。

【００３４】これにより、収納部内部の空気はファン２
０の吸引力によって吸引され、各吸気口６ａ，６ｂより
各パイプ２７，２８を介してフィルターボックス２５内
に取り込まれて浄化された後、パイプ２９，３１を通っ
て集合管３２へと送られ、各パイプ３５，３６，３７，
３８及び４本の支柱５を介して収納部内部に送られる。
そして、上述と同様に、収納部内部の微細な粒子と共に
再びフィルターボックス２５に送り込まれ、フィルター
２１によって浄化される。この一連の空気の流れを図９
に示す。

【００３５】乾式除湿器２２内の吸湿ローターを通って
加熱された空気が収納部内部に供給されることにより、
加熱されていない空気との間で対流作用を起こしつつ、
収納部内部の空気環境を均一化して展示物の保存環境に
合わせた湿度環境を作るという調湿機能による効果を得
ることができると共に、収納部内部や展示物に付着した
微細な粒子が緩やかに流れる空気によって除去され、さ
らにこの空気がフィルター２１によって浄化された後に
繰り返して循環されるため、徐々に収納部内部の空気環
境が浄化されるという濾過機能による効果を得ることが
できる。また、フィルター２１によって収納部内部の微
生物を除去しながら減少させるという除菌効果をも同時
に達成することができ、展示物の品質低下を防止するこ
とができる。

【００３６】さらに、対流作用と調湿機能との相乗効果
により、収納部内部の湿度を最適湿度に集束させる清浄
空気定湿化を達成することができ、これにより収納部内
部における微生物の生育を抑制する静菌効果、並びに湿
度や微生物による展示物の劣化速度を抑制する劣化遅延
効果を得ることができる。

【００３７】次に、この展示ケース１を２個連結する場
合を説明する。連結に際しては、先ず、一方の展示ケー
ス１の、扉９ａを有する側の側パネル９の両側端部に位
置する２個の化粧パネル１９，１９を取り外す。

【００３８】各化粧パネル１９，１９を取り外した後、
支柱５にネジ止めされた複数のアングル材１４を取り外
し、その後、蓋体４ａを開くと共にカバーパネル１６を
取り外し、ケース本体２の内側よりネジ止めされた側パ
ネル９を取り外す。

【００３９】他方の展示ケース１も同様に側パネル９を
取り外すが、こちらは扉９ａを有していない方の側パネ
ル９を取り外す。そして、２個の展示ケース１を、図１
０に示すように、２個の取付穴４ｃ及び４個の取付穴７
ｂが互いに同じ位置となるように、互いの支柱５，５、
側壁４ｂ，７ａ，７ａを接合させ、この状態でボルト及
びナットにより締結する。この締結時において、各展示
ケース１間にゴムや樹脂等から構成されたパッキンを挟
み込むことにより、アングル材１４が取り付けられてい
たタップが密閉されると共に各展示ケース１同士の気密
性が向上して、空気環境調整手段３による各収納部内の
空気環境調整効果を向上させることができるが、厳密な
気密性が要求されない場合には、必ずしもパッキンを用
いなくてもよい。

【００４０】締結された各支柱５の外側には化粧パネル
４０が取り付けられる。板材を折り曲げて形成され、複
数の係合突起４０ａを有する化粧パネル４０は、化粧パ
ネル１９と同様に上箱４の上端から下箱７の下端までの
長さを有しており、各支柱５の接合部を覆い隠すべく、
各係合突起４０ａを各鈎穴１８ａに係合させることで着
脱自在に支持される。

【００４１】上述のように展示ケース１を連結して展示
ケースユニットとして用いることにより、単体使用時と
同様の効果を得ることができると共に、長尺物や背の高
い展示物を展示することが可能となる他、展示ケースの
製作コストを低減できると共に展示ケースの取扱いを容
易に行うことができる。この展示ケースユニットとして
も、上述と同様に連結部にパッキンを挟み込んで、気密
性を向上させた構成としてもよい。

【００４２】この展示ケースユニットにおいては、個々
の展示ケース１に設けられた空気環境調整手段３を全て
作動させてもよいが、展示物に合わせて作動させる空気
環境調整手段３の数量を適宜調整してもよく、さらに、
複数の空気環境調整手段３を１つの制御手段で集中制御
する構成を採用してもよい。この場合、湿度センサー３
９を複数の収納部毎に設け、各収納部内での湿度の差を
均一にすべく、複数の空気環境調整手段３を交互に断続
的に作動させることが望ましい。また、展示ケースユニ
ットとして、各収納部毎に空気環境調整手段３を持た
ず、例えば２つの収納部に対して１つの空気環境調整手
段３を有するものや、３つの収納部に対して１つの空気
環境調整手段３を有するものとしてもよい。

【００４３】上記実施例では、横方向に２個の展示ケー
ス１を連結してユニットを構成した例を示したが、横方
向に３個以上連結させてユニットを構成してもよい。こ
の場合、両端に位置する展示ケース１以外は両側の側パ
ネル９，９を取り外され、一端あるいは両端に位置する
展示ケース１には扉９ａを有する側パネル９が取り付け
られる。

【００４４】また、展示ケース１の連結は横方向には限
られず、前後方向あるいは縦方向、さらにはこれらを組
み合わせた方向に連結させることも可能である。縦方向
に連結させる場合には背板１０の後方にスペースを設
け、このスペース内に空気環境調整手段３を収納すれば
よい。

【００４５】上述した実施例では平面形状が方形の展示
ケース１を用いたが、展示ケースとしては方形に限定さ
れることはなく、三角形や五角形等の多角形で連結可能
な形状であればよい。

【００４６】また、本発明における壁部とは、展示物が
収納される収納部を構成する部材を示しており、上箱
４、下箱７、ガラス８、側パネル９，９、背板１０を含
む。開放壁部として下箱７を開放する場合には、空気環
境調整手段３を配置するスペースをガラス８を除く他の
壁部に設け、ガラス８を開放する場合には、展示物を鑑
賞可能な他の壁部にガラス等の透明板を配置すればよ
い。

【００４７】上記実施例では、空気清浄手段としてのフ
ァン２０及びフィルター２１、除湿手段としての乾式除
湿器２２、加湿手段としての加湿剤２３を有する空気環
境調整手段３を用いたが、空気環境調整手段としてはこ
れら全てを有する必要はなく、何れか１つを有していて
収納部内部の空気環境を調整できるものであればよい。

【００４８】

【発明の効果】本発明によれば、空気環境調整手段を有
する展示ケースが連結部を有しているので、収納部内部
の空気環境を調整して展示物の品質低下を防止すること
ができると共に、長尺物や背の高い展示物を展示するこ
とが可能となり、また、展示ケースの製作コストを低減
できると共に展示ケースの取扱いを容易に行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を採用した空気環境調整機能
付展示ケースの正面図である。

【図２】本発明の一実施例を採用した空気環境調整機能
付展示ケースの側面図である。

【図３】本発明の一実施例を説明する空気環境調整機能
付展示ケースユニットの斜視図である。

【図４】図３に示す展示ケースの連結側端部の平断面図
である。

【図５】化粧パネルの係合部を説明する展示ケース本体
の部分正面図である。

【図６】本発明の一実施例に用いられる空気環境調整手
段の正面図である。

【図７】本発明の一実施例に用いられる空気環境調整手
段の平面図である。

【図８】本発明の一実施例に用いられる制御手段のブロ
ック図である。

【図９】本発明の一実施例における空気の流れを説明す
る図である。

【図１０】本発明の一実施例における空気環境調整機能
付展示ケースユニットの連結部を示す部分平断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 空気環境調整機能付展示ケース（展示ケース） ２ ケース本体 ３ 空気環境調整手段 ４ｂ，７ａ 連結部（側壁） ９ 板部材（側パネル） ２１ 空気清浄手段（フィルター） ２２ 除湿手段（乾式除湿器） ２３ 加湿手段（加湿剤） ２４ 制御手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 俊宏 熊本県熊本市上熊本３丁目８番１号・金剛 株式会社内 (72)発明者 池永 一郎 熊本県熊本市上熊本３丁目８番１号・金剛 株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】展示物を収納する収納部の内部の空気を清
   浄する空気清浄手段、前記空気を除湿する除湿手段、ま
   たは前記空気を加湿する加湿手段のうちの少なくとも一
   つからなる空気環境調整手段をケース本体の少なくとも
   一つの壁部に具備した空気環境調整機能付展示ケースに
   おいて、 前記ケース本体は、前記空気環境調整手段が設けられた
   壁部を除く他の壁部のうちの少なくとも一つの壁部が開
   放自在であり、開放された開放壁部を他のケース本体の
   開放壁部に連結する連結部を有することを特徴とする空
   気環境調整機能付展示ケース。
2. 【請求項２】前記開放壁部は着脱自在な板部材を有し、
   前記板部材を取り外すことで前記開放壁部が開放される
   ことを特徴とする請求項１記載の空気環境調整機能付展
   示ケース。
3. 【請求項３】前記連結手段は前記開放壁部同士を気密的
   に連結することを特徴とする請求項１または請求項２記
   載の空気環境調整機能付展示ケース。
4. 【請求項４】展示物を収納する収納部を有する複数のケ
   ース本体を互いに連結可能な連結部を有し、前記連結部
   を複数連結した際に前記各収納部が連通される展示ケー
   スユニットであって、 互いに連結された複数の前記ケース本体のうちの少なく
   とも一つに、前記収納部の内部の空気を清浄する空気清
   浄手段、前記空気を除湿する除湿手段、または前記空気
   を加湿する加湿手段のうちの少なくとも一つからなる空
   気環境調整手段を有することを特徴とする空気環境調整
   機能付展示ケースユニット。
5. 【請求項５】展示物を収納する収納部を有する複数のケ
   ース本体を互いに連結可能な連結部を有し、前記連結部
   を複数連結した際に前記各収納部が連通される展示ケー
   スユニットであって、 前記収納部の内部の空気を清浄する空気清浄手段、前記
   空気を除湿する除湿手段、または前記空気を加湿する加
   湿手段のうちの少なくとも一つからなる空気環境調整手
   段を互いに連結された複数の前記ケース本体にそれぞれ
   有し、前記各空気環境調整手段はその作動を制御手段に
   より制御されることを特徴とする空気環境調整機能付展
   示ケースユニット。