JPH11297228A - カラー陰極線管 - Google Patents

カラー陰極線管

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JPH11297228A
JPH11297228A JP9336298A JP9336298A JPH11297228A JP H11297228 A JPH11297228 A JP H11297228A JP 9336298 A JP9336298 A JP 9336298A JP 9336298 A JP9336298 A JP 9336298A JP H11297228 A JPH11297228 A JP H11297228A
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electrode
electron beam
diameter
ratio
electron
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JP9336298A
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Motokimi Goma
基臣 郷間
Hidemasa Komoro
英正 小諸
Masaji Shirai
正司 白井
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大電流時でのフォーカス特性を向上させなが
らモアレの発生を抑制したインライン型電子銃を具備す
るカラー陰極線管を提供する。 【解決手段】 カソードと第1電極および第2電極から
なる電子ビーム発生手段と、電子ビームを前記蛍光面に
集束させるための前段集束レンズを形成する第3電極と
第4電極および第5電極と、前記第5電極と共に後段集
束レンズを形成する第6電極を備え、第2電極と第4電
極、および第3電極と第5電極とをそれぞれ電気的に接
続したインライン型電子銃を具備し、第1電極の電子ビ
ーム通過孔の孔径が0.3〜0.4mmの範囲内にあ
り、かつ第2電極の管軸方向長さと電子ビーム通過孔の
孔径の比率Aと、第4電極の管軸方向長さと前記集束レ
ンズを構成する第4電極の電子ビーム通過孔の孔径の比
率Bの関係が、100A+240B−197=0、30
0A+520B−448=0、B−0.125=0、B
−0.33=0の各直線で囲まれる領域内に規定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管に
かかり、特に蛍光面に向けて3本の電子ビームを横一列
(インライン)に出射するように構成され、制御電極の
電子ビーム通過孔を縮小することでフォーカス特性を向
上したインライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に関
する。
【0002】
【従来の技術】テレビ受像機や情報端末のディスプレイ
管として用いられるカラー陰極線管は、真空外囲器の一
端に複数(一般に、3本)の電子ビームを出射する電子
銃を内蔵し、他端の内面に複数色(一般に、3色)の蛍
光体膜をドット状あるいは矩形状もしくはストライプの
モザイク形状に塗布した蛍光面と、この蛍光面に近接し
て設置した色選択電極であるシャドウマスクを内蔵し、
前記電子銃から出射される複数の電子ビームを前記真空
外囲器の外部に設置した偏向ヨークで発生した時間によ
り二次元走査することによって、所要の画像を表示する
ようになっている。
【0003】図3は本発明を適用するカラー陰極線管の
構造例を説明する断面図であって、21はパネル部、2
2はファンネル部、23はネック部、24は蛍光体膜、
25はシャドウマスク、26はマスクフレーム、27は
磁気シールド、28はシャドウマスク懸架機構、29は
インライン電子銃、30は偏向ヨーク、31はビーム補
正装置、32は内部導電膜、33はテンションバンド、
34はステムピン、35はゲッターである。
【0004】このカラー陰極線管は、パネル部21とネ
ック部23、およびパネル部21とネック部23とを連
接するファンネル部22とから真空外囲器が形成されて
いる。パネル部21の内面には、3色の蛍光体を区分け
して塗布した蛍光体膜24が形成された、所謂表示画面
(以下、単に画面とも言う)を有し、ネック部23の内
部には3本の電子ビームをインラインに出射するインラ
イン電子銃(以下、単に電子銃とも言う)29が収納さ
れ、また、パネル部21と蛍光体膜24に近接して多数
の開孔もしくはすだれ形状のスリットを有するシャドウ
マスク25が設置されている。
【0005】なお、Bc、Bsは電子ビームを示し、フ
ァンネル部22とネック部23の遷移領域には偏向ヨー
ク30が外装されている。
【0006】また、ゲッター35は電子銃29のシール
ドカップに一端を固定したゲッターサポートスプリング
の先端に支持され、真空外囲器の内部空間にゲッター材
料を蒸発飛散させることにより、真空外囲器内部の真空
度を上げるためのもので、電子銃の組み立て工程で、そ
のシールドカップに溶接される。
【0007】このような構成のカラー陰極線管におい
て、電子銃29から出射された3本の電子ビーム(B
c、Bs×2)は偏向ヨーク30で発生される垂直およ
び水平の偏向磁界により水平と垂直の二方向に偏向さ
れ、シャドウマスク25の開孔またはスリットで色選択
を受けて、それぞれの蛍光体に射突することで蛍光体膜
24にカラー画像を形成する。
【0008】図4は従来のカラー陰極線管に用いられて
いるインライン型電子銃の概略構造を説明する管軸に沿
った垂直断面図である。カソード1はヒータ1aによっ
て加熱されて熱電子を放出する。カソード1から放出さ
れた熱電子は、第1電極(G1電極)2、第2電極(G
2電極)3、第3電極(G3電極)4、第4電極(G4
電極)5、第5電極(G5電極)6、第6電極(G6電
極)7の各電子ビーム通過孔を通過して加速集束されて
蛍光体膜に指向される。
【0009】また、8は第1電極2の開孔部(G1電極
開孔部)、9は第2電極の開孔部(G2電極開孔部)、
10は第3電極4の第2電極3側開孔部(G3電極のG
2電極側開孔部)、11は第3電極4の第4電極側開孔
部(G3電極のG4電極側開孔部)、12は第4電極5
の開孔部(G4電極開孔部)、13は第5電極6の第4
電極5側の開孔部(G5電極のG4電極側開孔部)、1
4は第5電極6の第6電極7側開孔部(G5電極のG6
電極側開孔部)、15は第6電極7の開孔部(G6電極
開孔部)である。
【0010】なお、第3電極4の第4電極側開孔部(G
3電極のG4電極側開孔部)11、第4電極5の開孔部
(G4電極開孔部)12、第5電極6の第4電極5側の
開孔部(G5電極のG4電極側開孔部)13は等しく、
これを前段集束レンズ口径φG4とする。
【0011】上記したカソード1〜第6電極7には、そ
の外周の一部にタブが形成されており、図示した順で絶
縁ガラス(マルチフォームガラスあるいはビーディング
ガラスとも言う。図示せず)に上記のタブを埋設して所
定の間隔で固定される。
【0012】図4において、カソード1と制御電極であ
るG1電極2および加速電極であるG2電極3とで電子
ビームを生成する3極部を構成し、G3電極4とG4電
極5およびG5電極6とで前段集束レンズを形成し、G
5電極6とG6電極7とで後段集束レンズを形成して、
これら前段集束レンズと後段集束レンズとは上記3極部
で生成された3本の電子ビームを蛍光体膜に集束させる
作用を有する。この集束作用を達成するために、G2電
極3とG4電極5、G3電極4とG5電極6とが電気的
に接続され、それぞれ正電圧Ec2、集束電圧Vfが印
加されている。なお、陽極電極であるG6電極7の端部
にはシールドカップが取り付けされており、このシール
ドカップを介してG6電極7には最高電圧である陽極電
圧(高電圧)Ebが印加されている。
【0013】G1電極2の電子ビーム通過孔である開孔
部8とG2電極3の開孔部9の直径は0.4〜0.6m
m、G3電極4のG4電極5側開孔部11とG4電極5
開孔部12およびG5電極6のG4電極5側開孔部13
の直径は4.0mm程度であり、更にG4電極5の電極
長(管軸方向の長さ)は0.5〜1.5mm、G5電極
長は17〜19mmである。
【0014】上記の構成としたインライン型電子銃は、
次のように動作する。ヒータ1aにより加熱されたカソ
ード1から放出された熱電子は、G2電極3に印加され
た400〜1000Vの正電圧(Ec2)によってG1
電極2側に吸引され、3本の電子ビームが形成される。
そして、これら3本の電子ビームはG1電極2の電子ビ
ーム通過孔(G1電極開孔部)8をとおり、G2電極3
の電子ビーム通過孔(G2電極開孔部)9を通った後、
5〜10kV程度の低電圧(集束電圧Vf)が印加され
たG3電極4、G2電極3と同電位のG4電極5、G3
電極4と同電位のG5電極6の前記G3電極4とG4電
極5の間、および前記G4電極5とG5電極6の間に形
成される前段集束レンズにより、G5電極6とG6電極
7の間に形成される主レンズに入射される前に若干の集
束作用を受け、G5電極6に印加された正電圧(Vf)
によって加速されながら上記主レンズに供給される。
【0015】ここで、主レンズを構成しているG5電極
6と、20〜35kV程度の高電圧(Eb)が印加され
たG6電極7の間の電位差によって、G5電極6とG6
電極7の間に静電界が形成される。このため、主レンズ
に供給された3本の電子ビームは、上記静電界によりそ
の投射軌道が曲げられる。その結果、3本の電子ビーム
がそれぞれ集束(フォーカス)するようになるため、蛍
光体膜上に焦点が結ばれて画面に投射スポット(ビーム
スポット)が形成される。
【0016】また、画面周辺でのビームスポットの劣化
を防ぐため、G2電極3のG3電極側開孔部9に横長
(水平方向:インライン方向に長い)スリットを設けて
いる。なお、このような電子銃の構成と動作に関する従
来技術を開示したものとしては、例えば特公昭53−1
8866号公報を挙げることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記したように構成さ
れたインライン型電子銃を用いたカラー陰極線管では、
その画面に形成される画像の解像度を向上させるために
は、ビームスポット径を縮小する必要がある。
【0018】一般に、ビームスポット径はカソードから
放出される電子ビームの電流量に大きく依存する。つま
り、電子ビームの電流量が増大するにしたがって収差の
影響が大きくなるため、ビームスポット径は増大する。
そのため、解像度が特に問題とされるのは実用域である
高輝度の画像表示を行う場合である。
【0019】例えば、情報端末のモニターとして用いら
れる公称“15インチ型”カラーディスプレイ管(以
降、これを15インチCDTのように称する)の場合、
カソードあたりの電流が約300μAの大電流時であ
り、そこでのビームスポット径を縮小することが重要で
ある。
【0020】電子銃のフォーカス特性を向上する方法と
して、G1電極2とG2電極3の電子ビーム通過孔
(8、9)の孔径を縮小し、主レンズにより蛍光体膜上
に投影されるクロスオーバー径を小さくしてビームスポ
ットの電流密度を高くすることが挙げられる。
【0021】しかし、上記した高輝度域でのビームスポ
ット径を縮小させた場合、画像のコントラストが認識で
きる下限である低輝度(カソードあたりの電流量が10
0μA程度の小電流)においてモアレが生じるという問
題がある。
【0022】上記したモアレは、上記大電流時のビーム
スポット径がある値より小さくなると、蛍光体ドットの
周期構造と電子ビームの走査線、あるいは周期的なビデ
オ信号とが干渉して画面上に縞模様が生じ、解像度が損
なわれる現象であり、前者をラスタモアレ(横モア
レ)、後者をビデオモアレ(縦モアレ)という。
【0023】低輝度時のモアレは、上記大電流時のビー
ムスポット径を縮小させると、小電流時のビームスポッ
ト径も縮小されるために生じる。
【0024】また、上記のように構成されたインライン
型電子銃を用いたカラー陰極線管では、上記特公昭53
−18866号公報に開示されたG2電極のG3電極側
開孔部にスリットがない場合、電子ビームは偏向収差の
影響を強く受け、画面周辺でのビームスポット形状が水
平方向に引き伸ばされ、そのため垂直方向径が縮小し、
ラスタモアレが発生する。
【0025】そこで、前記特公昭53−18866号公
報に開示されたG2電極のG3電極側開孔部にスリット
を設け、電子ビームに大きな非点収差を持たせて偏向収
差をキャンセルするように画面上のビームスポット径を
縦長に変形させることで、垂直方向径を増大させてラス
タモアレの発生を抑制する方法がある。
【0026】しかし、上記の方法では、水平方向径の縮
小によりビデオモアレが生じる。このため、大電流時の
ビームスポット径を縮小させつつ小電流時のモアレを抑
制することが必要である。
【0027】上記の問題に対して、本出願人の出願にか
かる特願平8−149193号では、G1電極の電子ビ
ーム通過孔の孔径0.45mm以下、かつG2電極の電
極長と孔径の比率AおよびG4電極の電極長と前段集束
レンズ口径の比率Bの関係を 40A+88B−57=0 100A−260B−22=0 100A+176B−112=0 B−0.125=0 で表される各直線で囲まれた領域(後述する図1に
(a)で示した領域)内に設定することで、一定の効果
を得られることが分かっている。
【0028】しかし、15インチCDTの場合、G1電
極の孔径を0.35mmに縮小したとき、上記の領域に
設定すると小電流時にモアレが発生し、大電流時では画
面中央のビームスポット径は縮小されるものの、画面周
辺のビームスポット径の増大を招く。
【0029】これは、小電流時では、カソードから出た
電子ビームがG1電極の電子ビーム通過孔を通った後に
形成されるクロスオーバー径が縮小され、G2電極によ
るビーム抑制効果が小さく、画面上のビームスポット径
を小さくしてしまうためである。
【0030】また、大電流時では、カソードから出た電
子ビームがG1電極の電子ビーム通過孔を通った後にG
2電極の近くでクロスオーバーして発散するため、G2
電極によるビーム抑制効果が小さくなり、偏向収差の影
響を強く受けて画面上のビームスポット径を大きくして
しまうためである。
【0031】偏向収差の影響については、上記本出願人
にかかる特願平8−149193号における21インチ
CDTの場合、ダイナミックフォーカス電圧をかけてビ
ームスポット径を小さくできるのに対し、15インチC
DTの場合はダイナミックフォーカス電圧をかけていな
いので、ビームスポット径を小さくできない。よって、
上記の領域では設定することができない。
【0032】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解消し、大電流時でのフォーカス特性を向上させながら
モアレの発生を抑制したインライン型電子銃を具備する
カラー陰極線管を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記のように構成された
インライン型電子銃を用いたカラー陰極線管では、大電
流時ではある程度小さなビームスポット径が必要である
が、小電流時においては、ある程度大きなビームスポッ
ト径が必要である。
【0034】そこで、本発明では、G1電極の電子ビー
ム通過孔の孔径を0.3〜0.4mmとし、かつG2電
極の長さと孔径の比Aと、G4電極の電極長と前段主レ
ンズ口径の比率Bをそれぞれ特定の範囲内に規定したも
ので、下記の構成とした点に特徴を有する。
【0035】すなわち、本発明は、蛍光面に向けて3本
の電子ビームを発生するためのカソードと制御電極であ
る第1電極および加速電極である第2電極をこの順で配
置すると共に前記カソードを加熱するヒータを少なくと
も備えた電子ビーム発生手段と、前記3本の電子ビーム
を前記蛍光面に集束させるための前段集束レンズを形成
する第3電極と第4電極および第5電極と、前記第5電
極と共に後段集束レンズを形成する第6電極を備え、前
記第2電極と第4電極、および前記第3電極と第5電極
とをそれぞれ電気的に接続したインライン型電子銃を具
備したカラー陰極線管であって、前記第1電極の電子ビ
ーム通過孔の孔径が0.3〜0.4mmの範囲内にあ
り、かつ前記第2電極の管軸方向長さと電子ビーム通過
孔の孔径の比率Aと、前記第4電極の管軸方向長さと前
記集束レンズを構成する第4電極の電子ビーム通過孔の
孔径の比率Bの関係が、等式 100A+240B−197=0 300A+520B−448=0 B−0.125=0 B−0.33=0 で表される各直線で囲まれる領域内にあることを特徴と
する。
【0036】この構成により、大電流時でのフォーカス
特性を向上させながら、小電流時でのモアレの発生が抑
制され、電子ビームの全電流域で高画質の画像が得られ
る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、実施例を参照して詳細に説明する。
【0038】図1はインライン型電子銃を構成する第2
電極の電極長と電子ビーム通過孔の開孔径の比率および
第4電極の電極長と前段集束レンズ口径の比率の説明図
であり、縦軸に第2電極の電極長tG2と電子ビーム通
過孔の開孔径φG2の比率A(tG2/φG2)を、横
軸に第4電極の電極長tG4と前段集束レンズ口径φG
4の比率B(tG4/φG4)を示す。
【0039】有効画面対角サイズが15インチ、シャド
ウマスクのマスクピッチ0.26〜0.31のCDTの
場合、ビームスポット径が0.45mm以上であればモ
アレは発生しない。すなわち、モアレが発生しないよう
にするには、小電流時のビームスポット径は0.45m
m以上必要である。
【0040】また、上記マスクピッチにおけるMTF
(Modulation Transfer Func
tion)を計算し、高精細とされる1024×768
ドット(0.8M)程度の画素数で解像レスポンス0.
2を確保できるビームスポット径を求めると、0.65
mmである。よって、実用領域において良好な画像を得
るためには、ビームスポット径を0.65mm以下にす
る必要がある。
【0041】主レンズに入射する電子ビーム径は、第2
電極(G2電極)の管軸方向の電極長とその電子ビーム
通過孔の孔径の比率Aが小さくなり、また第4電極(G
4電極)の管軸方向の電極長と前段集束レンズ口径の比
率Bが小さくなると大きくなってビームスポット径は縮
小する。
【0042】そこで、大電流(カソードあたりの電流量
は約300μA)でのビームスポット径が0.65mm
以下となるようなG2電極の電極長tG2とその電子ビ
ーム通過孔の口径φG2の比率A(tG2/φG2)
と、G4電極の電極長tG4と前段集束レンズ口径φG
4の比率B(tG4/φG4)の範囲を試作により求め
た結果、図1の直線16の下側の領域 100A+240B−197≦0 となる。
【0043】前記したとおり、小電流におけるビームス
ポット径は0.45mm以上とする必要がある。この場
合、主レンズに入射する電子ビーム径を小さくした方
が、この値を大きくすることができる。そこで、G2電
極の電極長とその電子ビーム通過孔の孔径の比率が大き
くするか、またはG4電極の長さと前段主レンズの口径
φG4の比率Bが大きくするとビームスポット径を大き
くすることができる。
【0044】小電流でのビームスポット径が0.45m
m以上となるようなG2電極の電極長tG2と電子ビー
ム通過孔の孔径φG2の比率A(tG2/φG2)と、
G4電極の電極長tG4と前段集束レンズ口径φG4の
比率B(tG4/φG4)の関係を試作により求めた結
果、図1の直線17の上側の領域 300A+520B−448≧0 となる。
【0045】次に、G4電極の電極長と前段集束レンズ
口径の比率Bが小さくなると、G4電極の口径に対する
G4電極の電極長が小さくなる。電極長が小さくなると
電極は構造的に弱くなり、電子銃の組み立て時の変形の
原因となる。比率Bについては、0.125より小さく
なると、この問題が多発することが分かっている。
【0046】したがって、G4電極の電極長と前段集束
レンズ口径の比率Bは0.125以上にする必要があ
る。この関係を図1の直線18に示す。
【0047】逆に、G4電極の電極長と前段集束レンズ
口径の比率Bが大きくなると、G4電極の開孔径に対す
るG4電極の電極長が長くなる。電極長が長くなると電
極は構造的に強くなるが、絶縁ガラスへの埋込時にクラ
ックの原因となる。
【0048】例えば、15インチCDTの場合、G4電
極の板厚は1枚板で1.0mmが限界とされている。ま
た、G4電極の口径については、マンドレル強度からφ
3.0mm以上が必要とされる。したがって、G4電極
の電極長と前段集束レンズ口径の比率Bは0.33以下
にする必要がある。この関係を図1の直線19で示す。
【0049】このように、G2電極の電極長とその電子
ビーム通過孔の孔径の比率Aと、G4電極の電極長と前
段集束レンズ口径の比率Bを図1の斜線で示した領域
(b)内にすることにより、部品製造に問題を生ぜず、
フォーカス特性の向上とモアレの抑制を実現することが
できる。
【0050】図2は本発明によるカラー陰極線管の一実
施例に用いるインライン電子銃の概略構造の説明図であ
って、(a)は管軸方向に沿った垂直断面図、(b)は
(a)の第2電極の第3電極側開孔部の拡大平面図であ
る。
【0051】同図(a)において、前記図4と同様に、
1はカソード、2はG1電極、3はG2電極、4はG3
電極、5はG4電極、6はG5電極、7はG6電極、8
はG1電極開孔部、9はG2電極開孔部、10はG3電
極のG2電極側開孔部、11はG3電極のG4電極側開
孔部、12はG4電極開孔部、13はG5電極のG4電
極側開孔部、14はG5電極のG6電極側開孔部、15
はG6電極開孔部である。
【0052】なお、G3電極のG4電極側開孔部11、
G4電極開孔部12、G5電極のG4電極側開孔部13
は等しく、これを前段集束レンズ口径φG4とする。
【0053】図2において、各部の寸法は、G1電極開
孔部8の直径は0.35mm、G2電極開孔部9の直径
は0.42mm、G2電極の電極長は0.55mm(ま
たは、0.60mm)、G2電極のG3電極側開孔部9
には同図(b)に示したように横長のスリット9’を設
けている。
【0054】ここで、G3電極4のG4電極側開孔部1
1とG4電極開孔部12、およびG5電極のG4電極側
開孔部13の直径を4.0mmとし、またG4電極5の
電極長を0.7mm、G5電極6の電極長を17.83
mmとする。
【0055】G2電極3の電極長とその電子ビーム通過
孔8の口径の比率は1.31(または1.43)とな
り、かつG4電極5の電極長と前段集束レンズ口径φG
4の比率は0.175となり、図1の領域「ロ」内とな
る。
【0056】この実施例によれば、大電流時すなわちカ
ソード電流300μAでのビームスポット径は0.62
となる。また、小電流時すなわちカソード電流100μ
Aでのビームスポット径は0.45mm(または0.4
6mm)となっている。
【0057】したがって、部品製造時での問題を生じさ
せることなく、大電流時でのフォーカス特性を向上させ
たインライン型電子銃を備えたカラー陰極線管を提供す
ることができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
3本の電子ビームを発生するためのカソード、制御電極
である第1電極および加速電極である第2電極がこの順
で配置され、さらに上記カソードを加熱するヒータを少
なくとも備えた電子ビーム発生手段と、上記3本の電子
ビームを蛍光体膜に集束させるための前段集束レンズを
形成する第3電極と第4電極および第5電極と、後段集
束レンズを形成する第5電極と第6電極を有し、上記第
2電極と第4電極、第3電極と第5電極とがそれぞれ電
気的に接続されたインライン型電子銃を具備するカラー
陰極線管における上記第1電極の電子ビーム通過孔の孔
径を0.3〜0.4mmの範囲内とし、かつ上記第2電
極の電極長とその電子ビーム通過孔の孔径の比率と、上
記第4電極の電極長と前段集束レンズ口径の比率をそれ
ぞれ所定の領域内に規定することで、電子銃の電極部品
の製造に特別の配慮をすることなく、大電流時でのフォ
ーカス特性を向上させると共に、モアレの発生を抑制し
て高画質の画像を再生できるカラー陰極線管を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インライン型電子銃を構成する第2電極の電極
長と電子ビーム通過孔の開孔径の比率および第4電極の
電極長と前段集束レンズ口径の比率の説明図である。
【図2】本発明によるカラー陰極線管の一実施例に用い
るインライン型電子銃の概略構造の説明図である。
【図3】本発明を適用するカラー陰極線管の構造例を説
明する断面図である。
【図4】従来のカラー陰極線管に用いられているインラ
イン型電子銃の概略構造を説明する管軸に沿った垂直断
面図である。
【符号の説明】
1 カソード 2 G1電極 3 G2電極 4 G3電極 5 G4電極 6 G5電極 7 G6電極 8 G1電極開孔部 9 G2電極開孔部 9’ スリット 10 G3電極のG2電極側開孔部 11 G3電極のG4電極側開孔部 12 G4電極開孔部 13 G5電極のG4電極側開孔部 14 G5電極のG6電極側開孔部 15 G6電極開孔部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛍光面に向けて3本の電子ビームを発生す
    るためのカソードと制御電極である第1電極および加速
    電極である第2電極をこの順で配置すると共に前記カソ
    ードを加熱するヒータを少なくとも備えた電子ビーム発
    生手段と、前記3本の電子ビームを前記蛍光面に集束さ
    せるための前段集束レンズを形成する第3電極と第4電
    極および第5電極と、前記第5電極と共に後段集束レン
    ズを形成する第6電極を備え、前記第2電極と第4電
    極、および前記第3電極と第5電極とをそれぞれ電気的
    に接続したインライン型電子銃を具備したカラー陰極線
    管において、 前記第1電極の電子ビーム通過孔の孔径が0.3〜0.
    4mmの範囲内にあり、かつ前記第2電極の管軸方向長
    さと電子ビーム通過孔の孔径の比率Aと、前記第4電極
    の管軸方向長さと前記集束レンズを構成する第4電極の
    電子ビーム通過孔の孔径の比率Bの関係が、等式 100A+240B−197=0 300A+520B−448=0 B−0.125=0 B−0.33=0 で表される各直線で囲まれる領域内にあることを特徴と
    するカラー陰極線管。
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