JPH11289234A - 積層lcフィルタ - Google Patents

積層lcフィルタ

Info

Publication number
JPH11289234A
JPH11289234A JP12515498A JP12515498A JPH11289234A JP H11289234 A JPH11289234 A JP H11289234A JP 12515498 A JP12515498 A JP 12515498A JP 12515498 A JP12515498 A JP 12515498A JP H11289234 A JPH11289234 A JP H11289234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
electrode
resonance
electrodes
resonance electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12515498A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Ishizaki
正人 石崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP12515498A priority Critical patent/JPH11289234A/ja
Publication of JPH11289234A publication Critical patent/JPH11289234A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開放端側と短絡端側とで別個にパラメータを
調整することができ、小型で低コストの積層LCフィル
タを提供すること。 【解決手段】 内部共振電極と、内部グランド電極34
と、内部共振電極を挟むように配置された一対の内部グ
ランド電極31、37とが、複数の誘電体層上に形成さ
れ、内部共振電極の開放端側の電極及び短絡端側の電極
はそれぞれ2層以上の共振電極部32、33;35、3
6からなり、それぞれ異なる誘電体層上に形成され、共
振電極部32と35、33と36は入出力端子電極30
、30によって相互接続され、入力側の共振電極部
32、35及び出力側の共振電極部33、36はそれぞ
れ、異なる誘電体層上に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯電話機のよ
うな小型の無線通信機器に好適な小型で低損失な積層L
Cフィルタに関するもので、特に、内部共振電極を複数
の電極に分割し、入力側と出力側との電極をそれぞれ別
の層に形成することにより、小型で種々の特性のフィル
タを同一の形状にて設計可能な積層LCフィルタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】フィルタに関する一般的な理論からする
と、フィルタの帯域幅は誘導性結合度と容量性結合度と
の差で決まり、いずれか大きい方がフィルタの特性を決
定付ける。すなわち、誘導性結合度の方が優勢である場
合には、通過域よりも周波数が高い側での減衰量が優れ
たフィルタを実現することができ、減衰極も高い側に現
れる。容量性結合度が優勢な場合、これとは逆で、通過
域よりも周波数が低い側での減衰量が優れたフィルタを
実現することができる。通過域と減衰極との間の距離に
注目するならば、減衰極を通過域の近傍に設定したい場
合には、誘導性結合度と容量性結合度の両方を大きく取
り、減衰極と通過域とを遠方に離したいときには両結合
度を小さくすればよい。
【0003】また、低インピーダンスの共振器でフィル
タを実現すると、減衰量を重視したフィルタを実現する
ことができ、逆に、高インピーダンスの共振器でフィル
タを実現すると、挿入損失を重視したフィルタを実現す
ることができる。共振電極を短縮するには、開放端側の
インピーダンスを低くし、短絡端側のインピーダンスを
高くすればよい。これはステップインピーダンス方式と
呼ばれる方法で、公知である。
【0004】図7は、ステップインピーダンス方式の内
部共振電極を採用した従来の積層LCフィルタFの構成
を示す図で、(A)はフィルタFの斜視図、(B)はフ
ィルタFを構成する多層誘電体基板のそれぞれに形成さ
れた各種の電極を示す図である。図7の(A)及び
(B)においては、フィルタFは第1層から第7層まで
の多層誘電体基板1〜7を有しており、これらの誘電体
基板のそれぞれを間に挟むように、誘電体基板の1つの
面に所要の形状の電極が形成される。その後、誘電体基
板1〜7は一体に積層され、積層された誘電体基板の対
向する2つの側面には外部グランド電極8、8が、
残りの2つの側面の中央には入出力端子電極9、9
が形成されてフィルタFが完成する。例えば、フィルタ
Fの縦をx、横をyとすると、xは4.5mm、yは
3.2mmである。なお、外部グランド電極8、8
及び入出力端子電極9、9のそれぞれの端部は、取
り付けやハンダ付けのために、フィルタFの上下の面上
及び側面上に所定の長さだけ延長されて形成される。
【0005】図7の(B)に示す各誘電体基板に形成さ
れる電極について説明すると、10は、第2層の誘電体
基板2の上面のほぼ全面に、外部グランド電極8、8
とは電気的に接続されるが入出力端子電極9、9
とは電気的に接続されないように形成された内部グラン
ド電極、11は、第3層の誘電体基板3の上面のほぼ半
分に、一端が一方の外部グランド電極8と電気的に接
続されるように形成された局部グランド電極、12は、
第4層の誘電体基板4の上面に、短絡端側の線状の共振
電極部が他方の外部グランド電極8と、開放端側の矩
形の共振電極部が一方の入出力端子電極9とそれぞれ
電気的に接続されるように形成された第1の共振電極、
13は、第5層の誘電体基板5の上面に、短絡端側の線
状の共振電極部が他方の外部グランド電極8と、開放
端側の矩形の共振電極部が他方の入出力端子電極9
それぞれ電気的に接続されるように形成された第2の共
振電極、14は、第6層の誘電体基板6の上面のほぼ半
分に、一端が一方の外部グランド電極8と電気的に接
続されるように形成された局部グランド電極、15は、
第7層の誘電体基板7の上面のほぼ全面に、外部グラン
ド電極8、8とは電気的に接続されるが入出力端子
電極9、9とは電気的に接続されないように形成さ
れた内部グランド電極である。なお、第1層の誘電体基
板1の上面及び第7層の誘電体基板7の下面には外部グ
ランド電極8、8と入出力端子電極9、9との
延長された部分が形成される。
【0006】図7に示す積層LCフィルタFは、ステッ
プインピーダンス方式のトリプレート構造の内部共振電
極を採用することで共振電極12、13を小型化したも
のである。さらに、共振電極12、13の開放端側を低
インピーダンス化のために局部グランド電極11、14
と組み合わせることで、一層の小型化を図っている。ま
た、フィルタを構成する2つの共振電極12、13をそ
れぞれ別の層に形成することによって、これらの共振電
極を同一面上に形成するのに比べて小型化したフィルタ
を実現している。
【0007】図7に示すフィルタFは共振電極間の結合
度の選択幅が比較的広いうえ、共振電極間の層の厚みや
短絡端側及び開放端側の線路の接続位置を変更すること
により、容量性から誘導性までの幅広い結合度を持った
有極型のフィルタ、すなわち減衰極を有するフィルタを
実現することができるという利点をも有する。
【0008】しかし、2つの共振電極12、13が単一
の平面に形成されていることに加えて、次のような理由
によってフィルタFの小型化には限界があるという課題
を有する。上記のとおりフィルタFはステップインピー
ダンス方式を採用しているが、共振電極12、13の開
放端側の低インピーダンス化はフィルタFの幅によって
制限され、また、短絡端側を極端に高インピーダンス化
すると、線幅が小さくなって信号損失が増大するという
問題が生じる。また、低インピーダンス化のために局部
グランド電極11、14を設けることは小型化や結合度
の選択には有効であるが、局部グランド電極11、14
と内部グランド電極10、15との間の空間が無駄とな
るため、図7のフィルタFは、実装面積、高さ及び重量
の点において、小型化、軽量化が極めて厳しく要求され
る携帯電話機用の部品としては満足のいくものではな
い。
【0009】さらに、図7のフィルタFには設計の自由
度、換言すれば特性の選択範囲に関しての問題もある。
一般に、量産性を考慮すると、入出力端子電極はフィル
タに方向性が生じないようにフィルタの中央部に存在す
ることが望ましい。しかし、フィルタの中央部の入出力
端子電極と共振電極を最短で接続しても、インピーダン
ス整合を得ることはできないのが普通である。したがっ
て、フィルタの中央部の入出力端子電極と接続可能であ
り且つインピーダンス整合を得るためには、インピーダ
ンス整合が取れるように、予め共振電極の特性インピー
ダンスや結合度を設定しておくことが必要である。これ
は、フィルタ特性の選択幅に大きな制約が生じることを
意味する。特性インピーダンスが制約されると、フィル
タの選択幅が狭くなる(例えば、フィルタを挿入損失を
重視して選択するか、減衰度を重視して選択するかの選
択しかなくなる)し、結合度に対する制約はフィルタの
帯域幅と減衰極の選択範囲を狭くするからである。
【0010】上記したとおり、図7のフィルタFはステ
ップインピーダンス方式を採用して共振電極12、13
を小型化しているが、共振電極12、13の特性インピ
ーダンスと結合度の選択幅が狭いという欠点を有する。
また、共振電極12、13のそれぞれが1つの誘電体基
板上に形成されていることに起因する設計上の制約もあ
る。例えば、減衰極が通過域よりも高い側にあるフィル
タを設計しようとして、誘導性の結合を強くするために
共振電極間の誘電体基板を薄くすると、容量性の結合度
も増えてしまう。これを回避するために開放端側のイン
ピーダンスを下げる処置を取ると、減衰量重視のフィル
タができてしまう。このように、共振電極を1つの面上
に形成すると、各部が連動しているために設計が困難に
なり、設計の自由度も低いという課題がある。
【0011】一方、特開平6−252617号公報は、
入力側及び出力側の共振電極(ストリップ線路)を2つ
に分割し、それぞれ別個の基板上に形成し、これらの基
板をアース電極を中間に介在させて配置すると共に2つ
の共振電極を入出力端子電極により相互接続することに
よって、誘電体フィルタを小型化することを提案してい
る。しかし、この誘電体フィルタにおいても、1つの誘
電体基板上に入力側及び出力側の共振電極を形成するの
で、誘電体フィルタの大きさは共振電極の占める面積に
規定され、それ以上に誘電体フィルタを小型化すること
は不可能である。また、構造上、2つの共振電極間の容
量結合度を大きくすることができず、誘電体フィルタは
誘導性結合型となる。その結果、減衰極は通過域よりも
周波数の高い側のかなり離れた部分に限定されるという
問題もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、こうした
従来の積層LCフィルタの持つ諸課題を解決するために
提案されたものであって、この発明は、大幅な小型化が
可能であり、開放端側のインピーダンスと短絡端側のイ
ンピーダンスとを別個に調整することができ、設計上の
制約が少なく、低コストで作製可能な積層LCフィルタ
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、開放端側の電極と短絡端側の電極と
を有する内部共振電極、前記開放端側の電極と前記短絡
端側の電極との間に配置された第1の内部グランド電
極、及び、前記内部共振電極を挟むように配置された一
対の第2の内部グランド電極が、積層された複数の誘電
体層の異なる層上に形成された積層LCフィルタであっ
て、前記内部共振電極の入力側及び出力側が前記積層L
Cフィルタの第1の外面に形成された入出力端子電極に
接続され、前記第1の内部グランド電極及び前記第2の
内部グランド電極が該フィルタの第2の外面に形成され
た外部グランド電極に接続されてなる積層LCフィルタ
において、前記開放端側の電極がm層(ただし、mは2
以上の整数)の共振電極部からなり、それぞれ異なる誘
電体層上に形成され、前記短絡端側の電極がn層(ただ
し、nは2以上の整数)の共振電極部からなり、それぞ
れ異なる誘電体層上に形成され、前記m層の共振電極部
及び前記n層の共振電極部が前記入出力端子電極によっ
て入力側同士及び出力側同士が相互接続され、入力側の
前記共振電極部及び出力側の前記共振電極部がそれぞ
れ、異なる誘電体層上に形成されていることを特徴とす
る積層LCフィルタ、を提供する。
【0014】この発明の1つの実施の形態においてはm
=n=2であり、他の実施の形態においてはm=4、n
=2であって、4層の開放端側の共振電極部の中央に第
3の内部グランド電極が配置されており、更に他の実施
の形態においてはm=2、n=4である。
【0015】いずれの実施の形態においても、n層の前
記共振電極部の形状は、前記誘電体層の中心に関して互
いに回転対称であることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図5を用いて、この
発明の若干の実施の形態を説明する。なお、これらの図
面において、同一の参照数字は同じ又は同様の構成要素
を指示するものとする。
【0017】図1は、この発明に係る積層LCフィルタ
の1つの実施の形態の構成を示す図で、(A)はフィル
タの斜視図、(B)は該フィルタを構成する多層誘電体
基板のそれぞれに形成された各種の電極を示す図であ
る。同図においては、フィルタFは第1層から第8層ま
での多層誘電体基板21〜28を有しており、これらの
誘電体基板のそれぞれを間に挟むように、誘電体基板の
1つの面に所要の形状の電極が形成される。その後、誘
電体基板21〜28は一体に積層され、積層された誘電
体基板の対向する2つの側面には外部グランド電極29
、29が、残りの2つの側面の中央には入出力端子
電極30、30が形成されてフィルタFが完成す
る。なお、外部グランド電極29、29及び入出力
端子電極30、30のそれぞれの端部は、取り付け
やハンダ付けのために、フィルタFの上下の面上及び側
面上に所定の長さだけ延長されて形成される。
【0018】図1の(B)に示す各誘電体基板に形成さ
れる電極について説明すると、31は、第2層の誘電体
基板22の上面のほぼ全面を覆い、外部グランド電極2
、29とは電気的に接続されるが入出力端子電極
30、30とは電気的に接続されないように形成さ
れた第1の内部グランド電極、32は、第3層の誘電体
基板23の上面に周囲を残して矩形に形成された主部3
と、該主部を一方の入出力端子電極30と電気的
に接続する接続片32とを有する開放端側の第1の共
振電極部、33は、第4層の誘電体基板24の上面に周
囲を残して矩形に形成された主部33と、該主部を他
方の入出力端子電極30と電気的に接続する接続片3
とを有する開放端側の第2の共振電極部、34は、
第5層の誘電体基板25の上面のほぼ全面を覆い、外部
グランド電極29、29とは電気的に接続されるが
入出力端子電極30、30とは電気的に接続されな
いように形成された第2の内部グランド電極、35は、
第6層の誘電体基板26の上面に、一方の外部グランド
電極29と一方の入出力端子電極30との間を電気
的に接続するように誘電体基板26の辺に沿って時計方
向に形成された線状の短絡端側の第1の共振電極部、3
6は、第7層の誘電体基板27の上面に、他方の外部グ
ランド電極29と他方の入出力端子電極30との間
を電気的に接続するように誘電体基板27の辺に沿って
反時計方向に形成された線状の短絡端側の第2の共振電
極部、37は、第8層の誘電体基板28の上面のほぼ全
面を覆い、外部グランド電極29、29とは電気的
に接続されるが入出力端子電極30、30とは電気
的に接続されないように形成された第3の内部グランド
電極である。なお、第1層の誘電体基板21の上面及び
第8層の誘電体基板28の下面には外部グランド電極2
、29と入出力端子電極30、30との延長
された部分が形成される。
【0019】このように、フィルタFの内部共振電極は
第1の開放端側の共振電極部32、第2の開放端側の共
振電極部33、第1の短絡端側の共振電極部35及び第
2の短絡端側の共振電極部36からなり、それぞれ別個
の誘電体基板上に形成される。第1の開放端側の共振電
極部32と第1の短絡端側の共振電極部35とは入力側
の共振電極を構成するように、また、第2の開放端側の
共振電極部33と第2の短絡端側の共振電極部36とは
出力側の共振電極を構成するように、入出力端子電極3
、30によって相互接続される。したがって、内
部共振電極の開放端側の共振電極と短絡端側の共振電極
とは別々の誘電体基板上に形成され、しかも、内部共振
電極の入力側の共振電極と出力側の共振電極とが別々の
誘電体基板上に形成されることになる。
【0020】このような構成とした結果、フィルタ特性
の選択幅が広くなり、フィルタ特性を決める個々のパラ
メータを他のパラメータによる干渉なしに選択すること
が可能になるうえ、開放端側の共振電極部の特性をどの
ように選択しても、短絡端側の共振電極部に影響を与え
ることはなく、また、短絡端側の共振電極部の特性をど
のように選択しても、開放端側の共振電極部に影響を与
えることはない。したがって、例えば、開放端側の共振
電極部のインピーダンスと短絡端側の共振電極部のイン
ピーダンスとを別々に調整することが可能である。
【0021】開放端側の2つの共振電極部32、33間
の距離及びこれらの共振電極部とグランド電極31、3
4との距離を変更することにより、開放端側の共振電極
部の特性インピーダンスや容量性結合度を幅広く選択す
ることができる。大きな容量性結合度を得たい場合には
共振電極部同士を接近させればよい。また、容量性結合
度を小さくしたい場合には、共振電極部同士の距離を大
きく取るとフィルタFの厚みが増してしまって大型化し
てしまうので、共振電極部同士の重なり合う面積を小さ
くするか、共振電極部の間にスリット等を含むグランド
電極を挿入するのがよい。
【0022】同様に、短絡端側の2つの共振電極部3
5、36間の距離及びこれらの共振電極部とグランド電
極34、37との距離を変更することにより、短絡端側
の共振電極部の特性インピーダンスや誘導性結合度を幅
広く選択することができる。大きな誘導性結合度を得る
ためには、短絡端側の共振電極部をフィルタFの中心線
zに関して回転対称な同一のコイル状パターンとするの
がよい。こうすると、短絡端側の共振電極部35、36
においては入力側の共振電極部35と出力側の共振電極
部36とで接地位置が異なり且つ同一方向に回る構成と
なるので、充分な誘導性結合度を得ることができるばか
りでなく、短絡端側の線路長を充分に取ることが可能に
なる。逆に、誘導性結合度を小さくするためには、容量
性結合度を小さくする場合と同様に、共振電極部同士の
重なり合う面積を小さくするか、共振電極部の間にスリ
ット等を含むグランド電極を挿入するのがよい。
【0023】このような開放端側及び短絡端側の共振電
極部の調整により、フィルタFの帯域幅、減衰極の位
置、減衰量と挿入損失に関して幅広い選択が可能にな
り、しかも、同じ構成にすることで同じ特性のフィルタ
を実現することができるので設計効率が向上する。特
に、フィルタFは、上記のとおり、容量性結合度と誘導
性結合度とを独立に調整することが可能であるため、通
過域の上側又は下側の近傍に減衰極を持つフィルタを構
成する上で有利である。また、フィルタFは、インピー
ダンス整合を取るために入出力端子電極の位置が制約さ
れることがないという利点をも有する。
【0024】図1に示す積層LCフィルタは、例えば、
(1)BaO−Nd−TiOを主成分とするセ
ラミックスにB、GeO等の助剤を添加した、
銀ペーストと同時焼成可能な誘電体セラミックス(比誘
電率70)をシート状に成型し、(2)成型したシート
上に銀ペーストを用いて内部グランド電極、共振電極部
等の内部電極をスクリーン印刷し、(3)こうして内部
電極が印刷されたシートを図1の(B)に示す順に積層
して圧着し、(4)その後、所定の大きさに切断し、
(5)こうして作製された積層体に、内部電極と電気的
に接続されるように、銀ペーストによって外部グランド
電極と入出力端子電極をそれぞれスクリーン印刷し、
(6)920℃で誘電体セラミックスと銀ペーストとを
同時焼成する工程によって作製され得る。フィルタFの
縦、横の寸法をそれぞれx、yとすると、実際には、8
00MHz帯で動作するフィルタとして、xが2.5m
m、yが3.2mmの大きさのフィルタを作製すること
ができ、図7の従来の積層LCフィルタと比較すると、
実装面積で約55%程度の小型化が可能であることがわ
かった。
【0025】図2は、上記の工程によって作製された図
1の構造の800MHz帯の積層LCフィルタの周波数
特性を示すグラフである。
【0026】図3は、この発明に係る積層LCフィルタ
の第2の実施の形態の構成を示す図で、(A)はフィル
タの斜視図、(B)は該フィルタを構成する多層誘電体
基板のそれぞれに形成された各種の電極を示す図であ
る。図3の実施の形態は、図1の第1の実施の形態にお
ける開放端側の共振電極部32、33をそれぞれ、同一
形状の複数の層(図3においては2層)の共振電極部3
8、40及び39、41に分割し、それらの間に内部グ
ランド電極42を配置した構成を有する。これによっ
て、フィルタFを更に小型化することができ、実際、8
00MHz帯で動作する積層LCフィルタとして、Xが
2.0mm、yが2.5mmのフィルタを実現すること
ができた。これは、図7に示す構造の従来の積層LCフ
ィルタ(4.5mm×3.2mm)及び図1に示す構造
の積層LCフィルタ(3.2mm×2.5mm)に比べ
て35〜60%も小型化できることを示している。ま
た、一層の低インピーダンス化が可能であり、ハイイン
ピーダンスな短絡端側の共振電極部35、36と組み合
わせることで、ステップインピーダンスの作用による更
なる小型化が実現できる。
【0027】なお、図3において、43は共振電極部3
8が主面上に形成される誘電体基板、44は共振電極部
39が主面上に形成される誘電体基板、45は共振電極
部40が主面上に形成される誘電体基板、46は共振電
極部41が主面上に形成される誘電体基板、47は内部
グランド電極42が主面に形成される誘電体基板であ
り、第2の実施の形態における積層LCフィルタも、第
1の実施の形態において説明したのと同じ工程によって
作製し得る。
【0028】図4は、図3に示す構造を持つ800MH
z帯の積層LCフィルタの周波数特性を示すグラフであ
る。容量層である共振電極部32、33を分割したこと
により、図2の周波数特性と比較すると、挿入損失及び
減衰量に若干の劣化が認められるが、充分実用的な範囲
にあることがわかる。
【0029】図5は、この発明に係る積層LCフィルタ
の第3の実施の形態の構成を示す図で、(A)はフィル
タの斜視図、(B)は該フィルタを構成する多層誘電体
基板のそれぞれに形成された各種の電極を示す図であ
る。図5の実施の形態は、図1の第1の実施の形態にお
ける短絡端側の共振電極部35、36をそれぞれ、同一
形状の複数の層(図5においては2層)の共振電極部4
8、49及び50、51に分割した構成を有する。
【0030】一般に、ペーストの印刷等で形成された偏
平な断面構造の線路から成る共振電極部は端部に電流が
集中するため、Q値が低下する傾向がある。しかし、こ
の発明の第3の実施の形態においては、短絡端側の共振
電極部を複数に分割したので、各層で電流を分散させる
ことができ、Q値を向上させることができるうえ、最小
限の層数の増加及び体積の増加で低損失化を実現するこ
とができる。
【0031】なお、図5において、52は共振電極部4
8が主面上に形成される誘電体基板、53は共振電極部
49が主面上に形成される誘電体基板、54は共振電極
部50が主面上に形成される誘電体基板、55は共振電
極部51が主面上に形成される誘電体基板であり、第3
の実施の形態における積層LCフィルタも、第1の実施
の形態において説明したのと同じ工程により作製し得
る。実際、800MHz帯の積層LCフィルタとして、
xが2.5mm、yが3.2mmのフィルタを作製する
ことができた。
【0032】図6は、図5に示す構造を持つ800MH
z帯の積層LCフィルタの周波数特性を示すグラフであ
る。インダクタンス層である共振電極部35、36を分
割したことにより、図2に比べて、挿入損失を約0.5
dB改善することができ、また、Qの向上により減衰量
も改善されている。
【0033】
【発明の効果】以上、図面を参照して若干の実施の形態
について説明したところから明らかなように、この発明
は、積層LCフィルタの内部共振電極を複数の共振電極
部に分割して別個の誘電体基板上に形成し、且つ、入力
側の共振電極と出力側の共振電極も別個の誘電体基板上
に形成するようにしたので、(1)積層LCフィルタを
大幅に小型化することができる、(2)開放端側の共振
電極部の特性インピーダンスと容量性結合度、及び、短
絡端側の共振電極部の特性インピーダンスと誘導性結合
度をそれぞれ独立に調整することができるので、積層L
Cフィルタの帯域幅、減衰極の位置、減衰量及び挿入損
失等のパラメータに関して幅広い選択が可能になる、
(3)開放端側の共振電極部の層数及び短絡端側の共振
電極部の層数の両方又は一方を任意に変えることによ
り、一層の小型化が可能になる、(4)Q値を低下させ
ることなく、小型化することができる、等の格別の効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る積層LCフィルタの第1の実施
の形態を示す図で、(A)はフィルタの斜視図、(B)
は該フィルタを構成する多層誘電体基板のそれぞれに形
成された各種の電極を示す図である。
【図2】図1の構造を持つ積層LCフィルタの周波数特
性を示すグラフである。
【図3】この発明に係る積層LCフィルタの第2の実施
の形態を示す図で、(A)はフィルタの斜視図、(B)
は該フィルタを構成する多層誘電体基板のそれぞれに形
成された各種の電極を示す図である。
【図4】図3の構造を持つ積層LCフィルタの周波数特
性を示すグラフである。
【図5】この発明に係る積層LCフィルタの第3の実施
の形態を示す図で、(A)はフィルタの斜視図、(B)
は該フィルタを構成する多層誘電体基板のそれぞれに形
成された各種の電極を示す図である。
【図6】図5の構造を持つ積層LCフィルタの周波数特
性を示すグラフである。
【図7】従来の積層LCフィルタを示す図である。
【符号の説明】
21〜28、43〜46、52〜55:誘電体基板、2
、29:外部グランド電極、30、30:入
出力端子電極、31、34、42、37:内部グランド
電極、32、33、38、39、40、41:開放端側
の共振電極部、35、36、48〜51:短絡端側の共
振電極部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開放端側の電極と短絡端側の電極とを有
    する内部共振電極、前記開放端側の電極と前記短絡端側
    の電極との間に配置された第1の内部グランド電極、及
    び、前記内部共振電極を挟むように配置された一対の第
    2の内部グランド電極が、積層された複数の誘電体層の
    異なる層上に形成された積層LCフィルタであって、前
    記内部共振電極の入力側及び出力側が前記積層LCフィ
    ルタの第1の外面に形成された入出力端子電極に接続さ
    れ、前記第1の内部グランド電極及び前記第2の内部グ
    ランド電極が該フィルタの第2の外面に形成された外部
    グランド電極に接続されてなる積層LCフィルタにおい
    て、 前記開放端側の電極がm層(ただし、mは2以上の整
    数)の共振電極部からなり、それぞれ異なる誘電体層上
    に形成され、 前記短絡端側の電極がn層(ただし、nは2以上の整
    数)の共振電極部からなり、それぞれ異なる誘電体層上
    に形成され、 前記m層の共振電極部及び前記n層の共振電極部が前記
    入出力端子電極によって入力側同士及び出力側同士が相
    互接続され、 入力側の前記共振電極部及び出力側の前記共振電極部が
    それぞれ、異なる誘電体層上に形成されていることを特
    徴とする積層LCフィルタ。
  2. 【請求項2】 m=n=2であることを特徴とする、請
    求項1記載の積層LCフィルタ。
  3. 【請求項3】 m=4、n=2であり、4層の開放端側
    の共振電極部の中央に第3の内部グランド電極が配置さ
    れていることを特徴とする、請求項1記載の積層LCフ
    ィルタ。
  4. 【請求項4】 m=2、n=4であることを特徴とす
    る、請求項1記載の積層LCフィルタ。
  5. 【請求項5】 n層の前記共振電極部の形状が、前記誘
    電体層の中心に関して互いに回転対称であることを特徴
    とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の積層LC
    フィルタ。
JP12515498A 1998-03-31 1998-03-31 積層lcフィルタ Pending JPH11289234A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12515498A JPH11289234A (ja) 1998-03-31 1998-03-31 積層lcフィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12515498A JPH11289234A (ja) 1998-03-31 1998-03-31 積層lcフィルタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11289234A true JPH11289234A (ja) 1999-10-19

Family

ID=14903220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12515498A Pending JPH11289234A (ja) 1998-03-31 1998-03-31 積層lcフィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11289234A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007059845A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Matsushita Electric Works Ltd 電磁装置、インバータ回路並びに照明器具

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007059845A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Matsushita Electric Works Ltd 電磁装置、インバータ回路並びに照明器具

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0917232B1 (en) Laminated dielectric filter
US5396201A (en) Dielectric filter having inter-resonator coupling including both magnetic and electric coupling
US6417745B1 (en) LC filter with a coupling capacitor formed by shared first and second capacitor patterns
US8456256B2 (en) Electronic component and passive component
US6335663B1 (en) Multiplexer/branching filter
JP4245265B2 (ja) 複数のフィルタを有する多層配線基板
JP2863387B2 (ja) 積層型誘電体フィルター
JPH07226602A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP2721626B2 (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP4051252B2 (ja) ノイズフィルタ
JPH11289234A (ja) 積層lcフィルタ
JPH11225033A (ja) 積層型バンドパスフィルタ
JP2000082932A (ja) 積層型分波器
JP2003218604A (ja) 積層型誘電体共振器及び積層型誘電体フィルタ
JP3197249B2 (ja) 積層lcハイパスフィルタ
JPH05251905A (ja) 積層型誘電体フィルター
JPH05283906A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP3176859B2 (ja) 誘電体フィルタ
JPH11355008A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP2000101378A (ja) ローパスフィルタおよび回路基板
JP3676885B2 (ja) チップ型積層フィルタ
JP2002016403A (ja) 誘電体フィルタ、アンテナ共用器及び通信機器
JPH11136001A (ja) 周波数特性が改善された積層型ストリップライン・フィルタ
JPH10256806A (ja) 積層誘電体フィルタ
JP3295333B2 (ja) 誘電体フィルタ