JPH11287803A - 粒子を使用する被検物質の測定器具及び測定方法 - Google Patents

粒子を使用する被検物質の測定器具及び測定方法

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JPH11287803A
JPH11287803A JP37562798A JP37562798A JPH11287803A JP H11287803 A JPH11287803 A JP H11287803A JP 37562798 A JP37562798 A JP 37562798A JP 37562798 A JP37562798 A JP 37562798A JP H11287803 A JPH11287803 A JP H11287803A
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正宏 内藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】赤血球などの判定を妨げる物質を含む血液試料
等の試料においても、試料中の被検物質の有無の判定を
妨害を受けることなく短時間に行うことが可能であり、
しかもその判定の信頼性が高い被検物質の測定器具及び
測定方法を提供する。 【構成】試料中の被検物質に対する特異的結合物質が固
定されて該特異的結合物質により被覆された面を有する
担体と、被検物質に対する特異的結合物質であって前記
担体に固定された特異的結合物質と同一又は異なる特異
的結合物質が固定された粒子とを含む、試料中の被検物
質の測定器具において、前記面に接触させた試料を吸収
除去する吸収部が前記担体に配置されていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検物質に対する
特異的結合物質を固定した粒子を用いて試料中の被検物
質を測定する測定器具及び測定方法に関し、特に血液試
料等の試料中に含まれる微量の被検物質までも妨害物質
の影響を受けずに短時間且つ簡便に測定を行うことが可
能な被検物質の測定器具及び測定方法に関する。本発明
は、臨床検査分野等の生命科学分野において有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチ
ド鎖とそれに相補的なヌクレオチド鎖、リガンドとレセ
プター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用
した試料中に含まれる微量の被検物質の測定器具又は方
法は種々のものが知られている。
【0003】中でも、抗原と抗体の間の抗原抗体反応
(免疫反応)を利用した免疫学的測定方法は広く実施さ
れている。この免疫学的測定方法のうち間接凝集反応測
定法は簡易かつ安価な方法であることから汎用されてい
る。
【0004】この間接凝集反応測定法は、被検物質に対
する抗体(被検物質が抗体の場合は抗原を使用すること
も可能)を結合した粒子(ラテックス粒子若しくはゼラ
チン粒子等の高分子粒子又は赤血球等)と被検物質を含
むと推定される試料を、マイクロタイタープレート等の
底面がU字状又はV字状になった測定容器内で混合し、
反応させて、生じた被検物質を介した粒子間の凝集像を
観察することにより、試料中の被検物質の存在の有無を
判定するものである。
【0005】図7は、この間接凝集反応測定法により試
料中の被検物質の測定を行なった場合の凝集像を示した
ものである。試料中に被検物質が存在しない(陰性)場
合、抗体(又は抗原)を結合した粒子は凝集を起こさな
いので重力によりそのまま沈降し、U字状又はV字状等
の測定容器の内壁面に沿って転がり落ちて(滑り落ち
て)測定容器の底面中央部に集まる。従って、陰性の場
合、測定容器の上方から見ると、測定容器の底面中央部
に粒子が収束した像が観察される(図6のA)。一方、
試料中に被検物質が存在する(陽性)場合、抗体(又は
抗原)が結合した粒子は被検物質を介して三次元的な凝
集を起こして凝集塊を生成する。この凝集塊は、凝集を
起こしていない粒子に比べると測定容器の内壁面上を転
がり難く(滑り落ち難く)、転がり速度(滑り落ち速
度)が小さいので、測定容器の内壁面に広がった状態で
止まる。従って、陽性の場合、測定容器の上方から見る
と、粒子が測定容器底面に広がった状態、即ち「ボタ
ン」状の凝集像が観察でき(図7のB)、試料中に被検
物質が存在することが確認できる。
【0006】しかしながら、この間接凝集反応測定法
は、試料中の被検物質の存在の有無、つまり陽性又は陰
性かを測定容器底面の粒子による円形の像の大小によっ
て判定するものである。したがって、被検物質の濃度が
低い試料の場合、測定容器底面中央部には被検物質を介
して凝集した粒子と被検物質とは結合していない粒子の
両方が混在していて、且つ凝集像の円が小さいので、陰
性の場合との判別が困難であった。そして、この被検物
質の濃度が低い試料の場合の判定の困難さゆえ、低濃度
の被検物質を測定することができず、また時間をかけて
凝集像を十分形成させてから判定しようとするため測定
に要する時間が長くなり、通常測定時間は1時間以上で
あった。
【0007】また、間接凝集反応測定法では、被検物質
以外の試料中の成分を介して、抗体(又は抗原)を結合
した粒子が凝集したり、或いは抗体(又は抗原)を結合
した粒子が測定容器の内壁面に結合して、試料中に被検
物質が存在しない(陰性)にもかかわらずあたかも被検
物質が存在する(陽性)ような凝集像を示す場合があっ
た(非特異的凝集反応)。このように陰性の試料を陽性
と誤って判定する可能性があるということは、臨床検査
による疾病の診断においては重大な問題となっていた。
【0008】これに対し、特開昭64-69954号公報には、
検体試料中の被検物質である抗原又は抗体に対応する抗
体又は抗原を内壁に固定させた測定容器に検体試料を加
え、同時に又は次いでこの検体試料を洗浄することなく
測定容器に固定させたものと同一の抗体又は抗原或いは
特異的結合の類縁体を固定させた不溶性担体粒子を測定
容器に加え、発現する凝集反応の有無により検体試料中
の被検物質である抗原又は抗体の有無を判定する免疫学
的測定方法が開示されている。この測定方法において検
体試料中に被検物質である抗原(又は抗体)が存在しな
い(陰性)場合の測定容器内の状態を上方から見ると、
図7のAに示した凝集像と同様の像が観察される。ま
た、検体試料中に被検物質である抗原(又は抗体)が存
在する(陽性)場合に測定容器内の状態を上方から見る
と、図7のBに示した凝集像と同様の像が観察される。
【0009】上記特開昭64-69954号公報に記載の測定方
法は、低濃度の被検物質を測定することができ、地帯現
象を抑制でき、かつ短時間で明瞭な凝集像が得られる方
法であるが、試料中の被検物質の存在の有無を測定容器
底面の粒子による円形の像の大小によって判定するもの
であるので、被検物質の濃度が著しく低い試料の場合に
は陰性の場合との判別が困難であるとの問題は避け得な
いものであった。
【0010】また、特開平2-124464号公報には、被測定
物質(被検物質)に特異的に結合するか又はこれと競合
する物質(抗体又は抗原等)を磁性粒子に固定化した磁
性マーカー粒子とサンプル溶液(試料)とを混合し、こ
の反応溶液に対し測定容器の所定の壁面領域の外側に配
置した磁石を作用させ、これにより所定の壁面領域に集
められた磁性マーカー粒子の分布状態に基づいてサンプ
ル中の被測定物質を測定する免疫学的測定方法が開示さ
れている。この測定方法においてサンプル中に被測定物
質が存在しない(陰性)場合に測定容器内の状態を上方
から見ると、図7のAに示した凝集像と同様の像が観察
され、サンプル中に被測定物質が存在する(陽性)場合
に測定容器内の状態を上方から見ると図7のBに示した
凝集像と同様の像が観察される。
【0011】この特開平2-124464号公報に記載の測定方
法によれば、磁性粒子を磁石により測定容器底面に引き
寄せて磁性粒子の沈降速度を増大させることにより、測
定容器底面の凝集像の形成を短時間で行わせ、判定に要
する時間を短縮することができる。しかし、やはり試料
中の被検物質の存在の有無を測定容器底面の粒子による
円形の像の大小によって判定するものであるので、被検
物質の濃度が低い試料の場合には陰性の場合との判別が
困難であるとの点では変わりのないものであった。
【0012】また、従来の間接凝集反応測定法、特開昭
64-69954号公報に記載の測定方法及び特開平2-124464号
公報に記載の測定方法は、いずれも試料中の被検物質の
存在の有無を測定容器底面の粒子による円形の像の大小
によって判定するものであるので、試料が血液(全血試
料)や糞便である場合、試料中の赤血球や食物残渣等の
夾雑物も粒子と共に重力により測定容器の内壁面上を転
がり落ちて(滑り落ちて)しまい、その試料中の被検物
質の測定を行なうと、粒子の分布状態がその試料中に含
まれる赤血球や食物残渣等の夾雑物により遮られて確認
できず、陽性、陰性の判定が困難になるという問題が存
在した。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、抗原抗体反応等の特異的結合反応を利用して試料中
の被検物質を目視又は機器を用いて測定する際に、判定
を妨げる物質である赤血球を含む血液試料や食物残渣等
の夾雑物を含む糞便等の試料においても、煩雑で感染等
の危険がある試料の吸収除去操作を行わずに、被検物質
の存在の有無の判定を妨害を受けることなく短時間に行
うことが可能であり、しかもその判定の信頼性が高い測
定器具及び測定方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、試料中の被検
物質に対する特異的結合物質が固定されて該特異的結合
物質により被覆された面を有する担体と、被検物質に対
する特異的結合物質であって前記担体に固定された特異
的結合物質と同一又は異なる特異的結合物質が固定され
た粒子とを含む、試料中の被検物質の測定器具におい
て、前記該面に接触させた試料を吸収除去する吸収部が
前記担体に配置されていることを特徴とする測定器具で
ある。
【0015】また、本発明は、試料中の被検物質に対す
る特異的結合物質が固定されて該特異的結合物質により
被覆された面を有する担体の該面に試料を接触させる工
程、前記面に接触させた試料を前記担体に配置された吸
収部に吸収させ除去する工程、被検物質に対する特異的
結合物質であって前記担体に固定された特異的結合物質
と同一又は異なる特異的結合物質が固定された粒子を前
記面に接触させる工程、及び前記粒子を前記面に沿って
移動させる工程を含んでなり、前記面における粒子の分
布状態から被検物質の有無を判定する、試料中の被検物
質の測定方法(第1の測定方法)である。
【0016】更に、本発明は、試料中の被検物質に対す
る特異的結合物質が固定されて該特異的結合物質により
被覆された面を有する担体の該面に、被検物質に対する
特異的結合物質であって前記担体に固定された特異的結
合物質と同一又は異なる特異的結合物質が固定された粒
子及び試料を混合した後の混合物を接触させる工程、前
記面に接触させた粒子及び試料の混合物を前記担体に配
置された吸収部に吸収させ除去する工程、更に被検物質
に対する特異的結合物質であって前記担体に固定された
特異的結合物質と同一又は異なる特異的結合物質が固定
された粒子を前記面に接触させる工程、及び前記粒子を
前記面に沿って移動させる工程を含んでなり、前記面に
おける粒子の分布状態から被検物質の有無を判定するこ
とを特徴とする、試料中の被検物質の測定方法(第2の
測定方法)である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において測定を行う被検物
質としては、タンパク質、糖質、脂質、核酸のような有
機物質、無機物質等の生体関連物質であればいずれのも
のでもよい。具体的には、HBs抗原、抗HBs抗体、
HBe抗原、抗HBe抗体、抗HBc抗体、抗HCV抗
体、抗HIV抗体、抗ATLV抗体等のウイルス関連の
抗原又は抗体;大腸菌O157抗原、抗トレポネーマ・
パリダム(TP)抗体、抗マイコプラズマ抗体、抗スト
レプトリジンO抗体(ASO)等の細菌関連の抗原又は
抗体;免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンA(Ig
A) 、免疫グロブリンM(IgM) 、若しくは免疫グロブリ
ンE(IgE) 等の免疫グロブリン;C反応性タンパク質
(CRP)、α1-酸性糖タンパク質、ハプトグロビン、補体
C3 、補体C4 、リウマトイド因子等の炎症マーカー;
α−フェトプロテイン、CEA、CA19-9等の腫瘍マー
カー;ヒト胎盤絨毛性ゴナドトロピン等のホルモン;ア
レルゲン、アレルゲン特異IgE 抗体等のアレルギー関連
の抗原又は抗体;抗トロンビンIII(ATIII) 等の血液
凝固系関連物質;フィブリン体分解物(FDP) 、Dダイマ
ー等の線溶系関連物質;ABO式血液型抗体、不規則抗
体等の血液型関連の抗原又は抗体;ウイルスのDNA又
はRNA;細菌のDNA又はRNA;ヒト等の動物若し
くは植物のDNA又はRNA;リポタンパク質(a)、フ
ェリチン等の他の疾病に関連した物質又は薬物等を例示
することができる。
【0018】本発明において、試料とは、前記の被検物
質が存在する可能性があり、且つその被検物質の存在の
有無の確認又は場合によっては定量を行おうとする液状
のものをいう。例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血
漿、尿、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水等の体
液;ヒト若しくは動物の脳等の臓器、毛髪、皮膚、爪、
筋肉、又は神経組織等の抽出液;ヒト又は動物の糞便の
抽出液又は懸濁液;細胞或いは菌体の抽出液;植物の抽
出液等が挙げられる。
【0019】本発明において、被検物質に対する特異的
結合物質(以下、単に特異的結合物質という。)とは被
検物質に対し親和性を有する物質をいい、被検物質との
特異的な相互作用により該被検物質に非共有結合的に安
定に結合する物質をいう。例えば、特異的結合物質は、
被検物質が抗原の場合にはその抗体であり、被検物質が
抗体の場合にはその抗原又はその抗体に対する抗体であ
り、被検物質がヌクレオチド鎖の場合にはそれと相補的
なヌクレオチド鎖である。ここで、抗体とは、抗体から
作られる断片、例えば、Fab及びF(ab’)2等も含
まれる。また、被検物質がリガンドの場合にはそのレセ
プターである。粒子に固定する特異的結合物質と、担体
に固定する特異的結合物質は、被検物質を介しての結合
が可能であれば、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0020】本発明に用いられる粒子としては、一般に
間接凝集反応に用いられる粒子でよい。例えば、リポソ
−ム、ラテックス粒子、ゼラチン粒子、ポリアクリルア
ミド粒子、マイクロカプセル、エマルジョン等の有機高
分子粒子、ガラスビ−ズ、シリカビ−ズ、ベントナイト
等の無機高分子粒子、他の人工粒子、及び赤血球等を挙
げることができる。
【0021】また、粒子として磁性粒子を用いることも
できる。この磁性粒子は、少なくとも外部から磁石を作
用させている間は磁化する粒子であればよい。この磁性
粒子としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強
磁性金属、これらの強磁性金属を含む合金、非磁性体中
に強磁性金属又は強磁性金属を含む合金を含有するも
の、強磁性金属中又は強磁性金属を含む合金中に非磁性
体を含有するもの等の強磁性体を単独で粒子状に成形し
た粒子、強磁性体を核としてその表面をポリスチレン、
シリカゲル、ゼラチン、ポリアクリルアミド等の高分子
物質で被覆した粒子、ポリスチレン、シリカゲル、ゼラ
チン、ポリアクリルアミド等の高分子物質の粒子を核と
して強磁性体を被覆した粒子、赤血球、リポソーム又は
マイクロカプセル等の閉じた袋状の物質に強磁性体を封
入した粒子等を挙げることができる。なお、この磁性粒
子は、外部から磁石を作用させている間は磁化し、外部
からの磁石の遮断により速やかに減磁する性質を持つも
のであることが特に好ましく、そのような磁性粒子とし
ては、例えば、強磁性体である酸化鉄(III) (Fe2O3)を
粒子内に分散させた磁性粒子である「Dynabeads M-450
uncoated(商品名)(ダイナル社製)」が挙げられる。
【0022】更に、粒子としては、色素を被覆するか又
は色素を粒子中に分散若しくは封入させることにより着
色したものを使用してもよい。
【0023】粒子の粒子径は、好ましくは0.01〜100 μ
mであり、特に好ましくは 0.5〜10μmである。また、
粒子の比重は、分散媒中で沈降する比重であれば良く、
例えば比重1〜10のものが好ましい。
【0024】本発明においては、特異的結合物質を固定
した粒子を用いるが、特異的結合物質を粒子に固定する
には、特異的結合物質を前記の粒子の表面に、疎水結
合、親水吸着等の物理的吸着法、共有結合等の化学的結
合法又はこれらの方法の併用等により行うことができ
る。
【0025】特異的結合物質の粒子への固定を物理的吸
着法により行う場合は、公知の方法に従って、該特異的
結合物質と粒子とを緩衝液等の溶液中で混合し接触させ
ることにより行うことができる。例えば、特異的結合物
質と粒子を緩衝液等の溶液中で混合し撹拌することによ
り接触させ、約2℃〜約40℃で約10分〜約1日間吸着反
応を行わせた後、得られた粒子を緩衝液等で洗浄すれば
よい。
【0026】また、特異的結合物質の粒子への固定を架
橋試薬による化学的結合法によって行う場合は、日本臨
床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査
のためのイムノアッセイ−技術と応用−」, 臨床病理刊
行会, 1983年、日本生化学会編「新生化学実験講座1
タンパク質IV」, 東京化学同人, 1991年等に記載の公知
の方法に従い、特異的結合物質と粒子をグルタルアルデ
ヒド、カルボジイミド、イミドエステル、マレイミド等
の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、特異的結合物質
と粒子のそれぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオー
ル基、アルデヒド基、水酸基等の官能基を架橋試薬と反
応させることにより固定することができる。例えば、粒
子を含む緩衝液等にグルタルアルデヒド、カルボジイミ
ド、イミドエステル、マレイミド等の二価性の架橋試薬
を加え、撹拌し反応させる。次にこれに特異的結合物質
を加え、撹拌して反応させる。場合によっては、その後
これに透析、ゲルろ過等の処理により架橋試薬を除くか
若しくは架橋反応の反応停止剤を添加すること等により
反応を停止させる。そして、得られた粒子を緩衝液等で
洗浄すればよい。
【0027】また、特異的結合物質の粒子への固定量を
変更することにより、試料中の被検物質の濃度の高低に
応じて容易に感度を変更することができる。例えば、粒
子に特異的結合物質を固定する際に、高濃度の特異的結
合物質を用いれば固定量が多くなって感度を高めること
ができる。
【0028】必要があれば非特異的反応を抑制するた
め、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼイ
ン又はその塩等の各種タンパク質、脱脂粉乳等を特異的
結合物質を固定した粒子に接触させること等の公知の方
法により、該粒子をマスキングしてもよい。例えば、マ
スキングは特異的結合物質を固定した粒子をウシ血清ア
ルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼイン又はその塩等
の各種タンパク質等を含む緩衝液等に加え静置し、該粒
子の表面を各種タンパク質等でコーティングすることに
より行うことができる。
【0029】本発明において、担体としては、特異的結
合物質を固定することにより該特異的結合物質により被
覆された面を有し、かつ前記面に接触させた試料を吸収
除去する吸収部が配置されている担体を使用する。担体
としては特異的結合物質により被覆された面を有してお
り、該面に試料等の溶液(液体)を接触させることがで
きる限りいずれの形状、構造でもよく、例えば、容器
や、板状体等が挙げられる。
【0030】担体として容器を用いる場合、溶液収納部
分である凹部の形状は半球状、円筒形状、直方体形状等
いずれの形状でもよく、その凹部の内壁面を特異的結合
物質により被覆すればよい。凹部の形状が円筒形状、直
方体形状等の平底面を有する形状である場合には、その
平底面を特異的結合物質により被覆するのが好ましい。
容器は凹部が複数存在していてもよい。容器としては、
平底面を有する凹部を少なくとも一つ備えた容器であっ
て、その平底面が特異的結合物質により被覆されている
のが好ましい。平底面を有する凹部を少なくとも一つ備
えた容器としては、例えば、平底マイクロプレート、ト
レイ等が挙げられる。
【0031】担体として板状体を使用する場合、板状体
の表面形状は円形、長方形、正方形等いずれの形状であ
ってもよく、その表面を特異的結合物質により被覆すれ
ばよい。また、板状体の表面に溝を作って該溝に試料等
の溶液を導入することにより溶液が表面から流れ落ちる
のを防ぐこともできる。
【0032】本発明における、試料中の被検物質に対す
る特異的結合物質が固定されて該特異的結合物質により
被覆された担体の面に接触させた試料を吸収除去する吸
収部としては、例えば、ろ紙、ペーパータオル若しくは
ティッシュペーパー等の紙類、グラスファイバーフィル
タ、高分子吸収体、スポンジ等の多孔質体、レーヨン若
しくはポリエステル等の化学繊維、布、不織布又は綿等
の液体を吸収する性質を持つ材料よりなるものであれば
どのようなものを用いても良い。なお、この試料を吸収
除去する吸収部の形状、大きさについては特に制限はな
い。
【0033】本発明において、試料を吸収除去する吸収
部が担体に配置される位置としては、試料中の被検物質
に対する特異的結合物質が固定されて該特異的結合物質
により被覆された面に被検物質を含む試料を接触させた
後に、前記担体の該面から前記試料が吸収除去される位
置であればどこに配置しても良い。例えば、担体として
平底面を有する容器を使用する場合、試料を吸収除去す
る吸収部を短冊状に成型し、平底面の特異的結合物質が
固定されていない部分に容器の側面に沿って立てかける
ように配置しても良い。また、担体として板状体を使用
する場合、例えば、該担体の特異的結合物質により被覆
された面の端部、又は該面に隣接した位置等に試料を吸
収除去する吸収部を配置すればよい。例えば、試料が特
異的結合物質により被覆された面の上をスムーズに移動
できるように、試料が移動していく方向、即ち特異的結
合物質が被覆された該面の水平方向から試料を吸収させ
ることができるような位置に試料を吸収除去する吸収部
を配置するのが好ましい。
【0034】なお、試料を吸収除去する吸収部は、試料
を接触させた後に、取り外せるように配置しても良い。
更に、吸収部を脱着可能な形態、又はカートリッジ等の
形態にして、吸収部を何度も交換できるようにしても良
い。
【0035】また、試料を除去する吸収部を空間にする
こともできる。この場合、吸収部を空間にすることで、
一定量の試料をこの空間に貯留することが出来る。な
お、本発明において、試料を吸収除去する吸収部を空間
にした場合の担体への配置位置としては、試料中の被検
物質に対する特異的結合物質が固定されて該特異的結合
物質により被覆された面に被検物質を含む試料を接触さ
せた後に、前記担体の該面から前記試料が吸収除去され
る位置であればどこに配置しても良い。例えば、担体の
特異的結合物質により被覆された面の端部、又は該面に
隣接した位置等に試料を吸収除去する吸収部を配置すれ
ばよい。例えば、担体として平底面を有する容器を使用
する場合、試料を吸収除去する吸収部を箱状に成型し、
平底面の特異的結合物質が固定されていない部分に配置
しても良い。また、担体として板状体を使用する場合、
例えば、試料が特異的結合物質により被覆された面の上
をスムーズに移動できるように、試料が移動していく方
向、即ち特異的結合物質が被覆された該面の水平方向か
ら試料を吸収させることができるような位置に試料を吸
収除去する吸収部を配置するのが好ましい。更に、担体
として板状体を使用する場合、移動してきた試料が漏出
しないように、吸収部の周囲に囲いを設けるのが望まし
い。例えば、担体の特異的結合物質により被覆された面
の端部に箱状等に成型した吸収部を配置すればよい。ま
た、溝のある板状体の場合には、担体の特異的結合物質
により被覆された面の端部に周囲に囲いのある吸収部を
配置すればよい。
【0036】担体の材質は、特異的結合物質を物理的又
は化学的に固定できるものであれば何ら制限されず、例
えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリア
クリレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート等が挙げら
れる。
【0037】本発明においては、担体の面に特異的結合
物質を固定する場合、該面が部分的に該特異的結合物質
により被覆されるように固定するのが好ましい。これ
は、試料中に被検物質が存在する場合、即ち陽性の場合
に特異的結合物質で被覆した部分と被覆していない部分
の像の比較によって陽性であることの判断がより明確と
なり、陽性と陰性の判別、つまり試料中の被検物質の有
無の判別が容易になるからである。ここで、「部分的」
とは、特異的結合物質が偏在しており、面全体にわたっ
て特異的結合物質により被覆されていないことをいう。
特異的結合物質により被覆された部分の形状及び面積
は、試料中の被検物質の存在の有無を判定することがで
きる限り特に制限はない。部分的被覆の例としては、担
体の面の片側半分を被覆したり、担体の面に帯状に被覆
したりする場合が挙げられる。
【0038】また、担体の面を特異的結合物質により部
分的に被覆する場合、その被覆部分は複数存在していて
もよく、例えば、試料中の複数種類の被検物質を測定す
るために、担体の面にそれぞれの被検物質に対する特異
的結合物質による被覆部分を設けることができる。
【0039】図1は、本発明において担体として用いる
平底マイクロプレートであって、各ウェルの平底面の片
側半分が特異的結合物質により被覆されているものであ
り、短冊状に成型した吸収部1を、該平底面の特異的結
合物質が固定されていない部分に、容器の側面に沿って
立てかけるように配置したものを示したものである。図
1のAは平底マイクロプレートの斜視図であり(斜線部
は前記特異的結合物質により被覆された部分であ
る。)、図1のBは平底マイクロプレートの平面図であ
る(斜線部は前記特異的結合物質により被覆された部分
である。)。
【0040】図2は、底面が長方形の直方体型透明容器
であって、特異的結合物質により帯状に被覆されている
部分(以下、帯状被覆部分という。)を有する底面を有
するものであり、短冊状に成型した吸収部1を、該底面
の特異的結合物質が被覆されていない部分に、容器の側
面に沿って立てかけるように配置したものを示したもの
である。図2のAは該容器の斜視図であり(斜線部は前
記特異的結合物質により被覆された部分である。)、図
2のBは該容器の平面図である(斜線部は前記特異的結
合物質により被覆された部分である。)。
【0041】図3は、表面形状が長方形の板状体であっ
て、異なる2種類の特異的結合物質による帯状被覆部分
を有する表面を有するものであり、該担体の特異的結合
物質により被覆された面の端部に試料を吸収除去する吸
収部1を配置したものを示したものである。図3のA
は、該板状体の斜視図(斜線部は、それぞれ異なる特異
的結合物質により被覆された部分である。)であり、図
3のBは該板状体の平面図である(斜線部は、それぞれ
異なる特異的結合物質により被覆された部分であ
る。)。
【0042】図4は、表面形状が長方形の板状体であっ
て該表面に断面形状が矩形の溝が設けられており、該溝
の底面に異なる2種類の特異的結合物質による帯状被覆
部分を形成したものであり、該板状体の特異的結合物質
により被覆された面の端部に試料を吸収除去する吸収部
1を配置したものを示したものである。図4のAは、そ
のような板状体の斜視図(斜線部は、それぞれ異なる特
異的結合物質により被覆された部分である。)であり、
図4のBはそのような板状体の平面図である(斜線部
は、それぞれ異なる特異的結合物質により被覆された部
分である。)。また、溝の帯状被覆部分側に板を載せる
こと等によりカバーすると(図4のA参照)、カバーさ
れていない側の溝に滴下された試料は毛細管現象で帯状
被覆部分の方向に移動するので好ましい。
【0043】特異的結合物質の担体の面への固定化は、
疎水結合、親水吸着等の物理的吸着法又は架橋試薬によ
る化学的結合法によって行うことができる。物理的吸着
法による場合は、公知の方法に従い、緩衝液等に溶解し
た特異的結合物質と担体の面とを接触させることにより
行うことができる。例えば、担体が容器の場合、緩衝液
等に溶解した特異的結合物質を該容器の凹部に入れて静
置することにより接触させ、約2℃〜約40℃で約10分〜
約1日間吸着反応を行わせた後、凹部の液を吸引除去
し、緩衝液等で洗浄すればよい。
【0044】また、架橋試薬による化学的結合法により
行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特
集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応
用−」, 臨床病理刊行会, 1983年、日本生化学会編「新
生化学実験講座1 タンパク質IV」, 東京化学同人, 19
91年等に記載の公知の方法に従い、被検物質に対する特
異的結合物質と担体をグルタルアルデヒド、カルボジイ
ミド、イミドエステル、マレイミド等の二価性の架橋試
薬と混合、接触させ、特異的結合物質と担体のそれぞれ
のアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド
基、水酸基等と反応させることにより固定することがで
きる。例えば、担体が容器の場合、該容器の凹部にグル
タルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル、マ
レイミド等の二価性の架橋試薬を加え、静置して反応さ
せる。次いでこれに特異的結合物質を加えて静置するこ
とにより反応させる。場合によっては、その後これに架
橋反応の反応停止剤を添加すること等により反応を停止
させる。そして、緩衝液等で洗浄を行う。
【0045】また、本発明において、担体の面を部分的
に被覆する方法としては、例えば、面の特異的結合物質
により被覆したい部分にのみ特異的結合物質及び/又は
架橋試薬を滴下して上記方法により固定化を行なう方
法、面の特異的結合物質により被覆したい部分の周囲を
プラスチック板等で囲ってこの囲まれた部分に特異的結
合物質及び/又は架橋試薬を滴下して上記固定化を行な
う方法、或いはスポンジ等の吸収体に特異的結合物質及
び/又は架橋試薬を吸収させ、面の特異的結合物質によ
り被覆したい部分に置いて接触させたり又は塗布して上
記固定化を行なう方法等が挙げられる。
【0046】また、特異的結合物質の担体の面への固定
量を変更することにより、試料中の被検物質の濃度の高
低に応じて容易に感度を変更することができる。例え
ば、担体に特異的結合物質を固定する際に、高濃度の特
異的結合物質を用いれば固定量が多くなって感度を高め
ることができる。
【0047】更に、必要があれば非特異的反応を抑制す
るため、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、カ
ゼイン若しくはその塩等の各種タンパク質、脱脂粉乳等
を特異的結合物質を固定した担体に接触させること等の
公知の方法により、特異的結合物質を固定した担体をマ
スキングしてもよい。例えば、担体が容器である場合に
は、特異的結合物質を固定した該容器の凹部にウシ血清
アルブミン、ヒト血清アルブミン、カゼイン又はその塩
等の各種タンパク質等を含む緩衝液等を加えて静置し、
特異的結合物質を固定した容器の凹部の表面を各種タン
パク質等でコーティングした後、凹部の液を吸引除去す
ることにより行うことができる。
【0048】本発明による第1の測定方法においては、
まず、上記のように特異的結合物質を固定して該特異的
結合物質により被覆した面を有し、かつ前記面に接触さ
せた試料を吸収除去する吸収部が配置された担体の該面
に被検物質の存在が疑われる試料を接触させる。
【0049】担体が例えば上記したような容器の場合に
は、該容器の凹部に試料を添加することにより容器の内
壁面と試料とを接触させることができる。また、担体が
例えば上記したような板状体の場合には、該板状体の表
面に試料を滴下したりすることにより接触させればよ
い。
【0050】試料は、例えば希釈液により希釈して担体
に接触させることができる。試料の希釈液としては、ト
リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸
緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等の各種緩衝液又は生理
食塩水等を用いることができる。なお、この緩衝液のpH
については、pH4〜12の範囲内にあることが好ましい。
【0051】また、試料の希釈液には、ウシ血清アルブ
ミン、ヒト血清アルブミン、カゼイン、又はその塩等の
各種タンパク質、塩化ナトリウム等の各種塩類、各種糖
類、脱脂粉乳、正常ウサギ血清等の各種動物血清、アジ
化ナトリウム等の各種防腐剤、非イオン性界面活性剤、
両イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤等の各種
界面活性剤等の添加剤を適宜加えて用いることができ
る。
【0052】そして、これらの添加剤を加える際の濃度
は特に限定されるものではないが、0.001 〜10%(w/v)
が好ましく、特に0.01〜5%(w/v) が好ましい。
【0053】また、界面活性剤としては、ソルビタン脂
肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセ
リン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エ
ステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
フィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノー
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシ
エチレンラノリン等の非イオン性界面活性剤、酢酸ベタ
イン等の両性界面活性剤又はポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキル
エーテル酢酸塩等の陰イオン性界面活性剤等を挙げるこ
とができる。
【0054】上記のように、担体の面に試料を接触させ
た後、該面に接触させた試料を、担体に配置した吸収部
に吸収させることにより除去する。
【0055】なお、担体に配置した吸収部が空間の場合
には、担体を傾けること等によっても試料を吸収部に移
動させ、吸収除去させることができる。なお、担体を傾
ける角度は、試料が重力によって担体の吸収部に移動す
るような角度であればよく、90゜以下の角度を適宜選択
すればよいが、25゜から90゜の間の角度が好ましく、特
に45゜から65゜の間の角度が好ましい。
【0056】また、担体として板状体の表面の溝にカバ
ー(図6のA)があり、かつ吸収部が空間である担体を
用いる場合で、試料が移動していく方向、即ち特異的結
合物質により被覆された面の水平方向から試料を吸収除
去させるような位置に吸収部を配置した場合には、試料
を吸収部内にスムーズに移動させるために、カバーに空
気の逃げ道としてあらかじめ小孔(図6の7)をあけて
おくと良い。また、このようにカバーにあらかじめ小孔
をあけておくと、試料が溝の内部を均一に通過すること
が出来る。カバーに小孔をあける位置としては、前記板
状体の吸収部の先端部にあたる位置であればどこでも良
い。また、小孔の大きさは特に限定されるものではない
が、0.1 〜2.0mmが好ましく、特に0.5〜1.0mmが好
ましい。更に、吸収部の厚みを薄くする、又は幅を狭く
することによって、よりスムーズに試料を板状体の吸収
部に誘導することもできる。
【0057】試料を吸収する吸収部をあらかじめ担体に
配置しておくと、試料を除去するために、吸水性材料よ
りなる試料吸収体を担体の面上の試料に接触させて試料
を吸収したり、ピペット等で担体の面上の試料を吸い取
ったり、又は担体を裏返して試料を落とす等の操作が必
要ないので、簡便に測定が行える。また、試料に直接触
れることなく、担体の面上から試料を除去することがで
きるので、試料による感染等の危険を回避することがで
きる。
【0058】なお、試料中の被検物質の濃度が低い場
合、被検物質が一定数以上存在しないと測定において像
が形成されないため、試料を多量に用いる必要がある。
従って、試料中の被検物質の濃度が低い場合には、担体
に配置された吸収部の容量を大きくすることで、多量の
試料を用いての測定を可能にすることができる。
【0059】また、このように面に接触させた試料を除
去すると、試料が血液試料(全血試料)の場合、除去に
より血液試料中の赤血球は担体の面における特異的結合
物質による被覆部分上より除去される。これに対して、
血液試料中の被検物質は担体の面に固定された特異的結
合物質に結合して残る。そして更にこの結合した被検物
質に特異的結合物質が固定された粒子が結合するので、
この結合した粒子の分布状態を赤血球に遮られずに明確
に確認することができるものである。また、試料が糞便
試料の場合も、除去により糞便試料中の食物残渣等の夾
雑物は担体の面における特異的結合物質による被覆部分
上より除去される。これに対して、糞便試料中の被検物
質は担体の面に固定された特異的結合物質に結合して残
る。そして更にこの結合した被検物質に特異的結合物質
が固定された粒子が結合するので、この結合した粒子の
分布状態を食物残渣等の夾雑物に遮られずに明確に確認
することができるものである。
【0060】なお、面に接触させた試料が担体に配置さ
れた吸収部により除去された後に、上記の試料の希釈液
又は緩衝液等でこの担体の面を洗浄しても良い。洗浄を
行う場合には、例えば、担体に配置された吸収部が試料
で飽和状態にならないように、該吸収部の容量を大きく
したり、該吸収部に吸水力の大きな吸水性材料を使用し
たり、又は、新たに吸収部を追加しても良い。また、面
に接触させた試料を吸収した吸収部を取り外した後に、
新たに吸収部を取り付けてから洗浄液を接触させること
により洗浄しても良い。
【0061】上記のように、面に接触させた試料が担体
に配置された吸収部により除去された後に、被検物質に
対する特異的結合物質であって前記担体に固定された特
異的結合物質と同一又は異なる特異的結合物質が固定さ
れた粒子を試料が除去された担体の面に接触させる。な
お、試料中の複数種類の被検物質を測定する場合には、
それぞれの被検物質に対する特異的結合物質を固定した
粒子を接触させる。
【0062】また、特異的結合物質を固定した粒子のか
わりに、被検物質又はその類縁体を固定させた粒子を用
いても良い。ここで、被検物質の類縁体とは、被検物質
の一部分、被検物質に別の物質が結合したもの、被検物
質の構造の一部分が置換されたもの等であって、被検物
質の特異的結合物質と結合する部分の構造を有し、特異
的結合物質に結合することができる物質のことである。
例えば、被検物質が抗原の場合、この抗原の抗原決定基
を含む物質をこの被検物質の類縁体として挙げることが
できる。
【0063】また、粒子は、例えば適当な分散媒に分散
して担体に接触させることができる。粒子の分散媒とし
ては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝
液、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等の各種緩衝
液又は生理食塩水等を用いることができる。なお、この
緩衝液のpHについては、pH4〜12の範囲内にあることが
好ましい。
【0064】また、この粒子の分散媒には、上記の試料
の希釈液の項で記載した添加剤をそれぞれ適宜加えて用
いることができる。そして、これらの添加剤を加える際
の濃度は特に限定されるものではないが、0.001 〜10%
(w/v) が好ましく、特に0.01〜5%(w/v) が好ましい。
【0065】なお、試料が除去された担体の面を、粒子
を適当な分散媒に分散させた粒子分散液を過剰に接触さ
せることにより洗浄しても良い。ここでいう過剰量と
は、例えば、板状体の表面の溝とカバーで囲まれた空間
内部の容量よりも多い量であれば良い。具体的には、空
間内部の容量の2〜10倍量の上記粒子分散液を使用す
ることができる。粒子を分散させた粒子分散液の過剰量
を接触させて洗浄を行う場合には、例えば、担体に配置
された吸収部が試料及び上記粒子分散液で飽和状態にな
らないように、該吸収部の容量を大きくしたり、該吸収
部に吸水力の大きな吸水性材料を使用したり、又は、新
たに吸収部を追加しても良い。また、面に接触させた試
料及び粒子分散液を吸収除去した吸収部を取り外した後
に、新たに吸収部を取り付けてから上記粒子分散液を該
面に過剰に接触させることにより洗浄しても良い。
【0066】また、担体として板状体の表面の溝にカバ
ー(図4のA)のある担体を用いる場合、試料が移動し
ていく方向、即ち特異的結合物質により被覆された面の
水平方向から試料を吸収除去させるような位置に吸収部
を配置すると、試料で該吸収部が飽和状態になり、板状
体の表面の溝とカバーで囲まれた空間内部の空気の逃げ
道がなくなるため、特異的結合物質が固定された粒子が
スムーズに板状体の表面の溝とカバーで囲まれた空間内
部に入らない場合がある。この場合、カバーに空気の逃
げ道としてあらかじめ小孔をあけておくと良い。カバー
に小孔をあける位置としては、前記板状体の特異的結合
物質により被覆された溝の上部にあたる位置であればど
こでも良い。また、小孔の大きさは特に限定されるもの
ではないが、0.1 〜2.0mmが好ましく、特に0.5〜1.0
mmが好ましい。また、試料で飽和状態になった吸収部
を取り外した後に、特異的結合物質が固定された粒子を
接触させても良い。
【0067】上記のように、担体の面に粒子を接触させ
た後、粒子を担体の特異的結合物質により被覆された面
に沿って移動させる。この面に沿って粒子を移動させる
ことは、磁石を作用させることにより行ったり、担体を
傾けること等により行うことができる。
【0068】磁石を作用させることにより粒子を移動さ
せる場合、粒子は前記の磁性粒子を使用する。そして、
この磁性粒子が特異的結合物質により被覆された面に沿
って移動するように磁石を作用させる。
【0069】なお、担体の面上の磁性粒子の分布状態に
より陽性又は陰性の判定を行なうことができる限り、担
体の面に磁性粒子を接触させる前又は接触させている間
に磁石を作用させてもよい。
【0070】担体の面全体が特異的結合物質により被覆
されている場合には、磁性粒子をその面に沿って移動さ
せることができる位置であれば、どこに磁石を配置して
もよく、例えば、面が平面である場合には、その同一平
面上に磁石を配置すればよい。
【0071】また、担体の面が部分的に特異的結合物質
により被覆されている場合には、磁性粒子を移動させた
い方向に移動させることができる位置であればどこに磁
石を配置してもよく、例えば、移動させたい方向やその
周辺に配置すればよい。より具体的には、例えば、面の
片側半分を特異的結合物質により被覆した担体を用いた
場合、面の特異的結合物質により被覆されていない部分
から被覆されている部分の方向(図1の矢印方向)に磁
性粒子が移動するように磁石を配置するのが好ましい。
【0072】また、面が特異的結合物質により帯状に被
覆されている担体を用いた場合は、面の特異的結合物質
により被覆されていない部分からその帯状被覆部分を通
って特異的結合物質により被覆されていない部分の方向
(図2〜4の矢印方向)に磁性粒子が移動するように磁
石を配置するのが好ましい。
【0073】磁石としては、磁場を発生して磁性粒子を
磁化するものであればいずれのものでもよく、永久磁
石、電磁石等を用いればよい。また、磁束密度は、用い
る磁性粒子と担体の面との相互作用に依存するが、通
常、5〜100 ガウスである。
【0074】試料に被検物質が存在する場合、該被検物
質は担体に固定された特異的結合物質に結合する。この
場合磁性粒子に磁石を作用させると、該磁性粒子は磁石
に吸引されて担体の面に沿って該磁石の方向に移動する
が、その過程で面に固定された特異的結合物質に結合し
た被検物質に出会うと、該磁性粒子は被検物質及びこれ
に結合している特異的結合物質を介して担体に結合して
移動を停止するか又は移動が著しく遅くなる。
【0075】面の特異的結合物質が固定されていない領
域では、磁性粒子の移動は該粒子と面との相互作用及び
磁場の強さに依存して磁石の方向にすみやかに移動す
る。一方、面の特異的結合物質が固定されている領域で
は、該面に固定されている特異的結合物質に被検物質が
結合している場合と結合していない場合とでは磁性粒子
の移動速度に大きな差を生じる。
【0076】即ち、試料中に被検物質が存在しない場
合、面に固定されている特異的結合物質は被検物質を結
合しないので、磁性粒子は親和性を示さず、特異的結合
物質が固定されていない領域と同様にすみやかに磁石の
方向に移動する。従って、試料中に被検物質が存在しな
い場合、磁性粒子は磁石に近い位置、即ち担体の面の端
部に集まる。
【0077】一方、試料中に被検物質が存在する場合、
面に固定されている特異的結合物質は被検物質を結合す
るので、磁性粒子は被検物質及び特異的結合物質を介し
て担体に結合して移動が停止又は著しく遅くなる。従っ
て、試料中に被検物質が存在する場合、磁性粒子はその
面の特異的結合物質で被覆された部分に集まる。
【0078】なお、担体として容器を使用した場合、容
器に添加された磁性粒子はその比重により容器の凹部の
下方に沈降する。この際、容器の上部から底面方向に磁
石を作用させることにより磁性粒子の沈降を促進しても
よい。
【0079】担体の特異的結合物質被覆面に沿って移動
するように磁性粒子に磁石を作用させる場合、磁性粒子
と被検物質が結合していない該面との相互作用は弱く、
その移動速度はほぼ磁場の強さに依存する。従って、大
きな移動速度を必要とする場合、すなわち短時間で測定
結果を求めるときには強い磁場を発生する磁石を使用す
ればよい。また、電磁石を用いて磁場の強さを調節しな
がら測定を行うことも可能である。
【0080】担体を傾けることにより移動させる場合、
粒子が担体の特異的結合物質により被覆された面に沿っ
て移動するように担体を傾ける。なお、担体を傾ける角
度は、粒子が重力によって担体の特異的結合物質により
被覆された面に沿って移動するような角度であればよ
く、90゜以下の角度を適宜選択すればよいが、25゜から
90゜の間の角度が好ましく、特に45゜から65゜の間の角
度が好ましい。
【0081】また、担体の面上の粒子の分布状態により
陽性又は陰性の判定を行なうことができる限り、担体の
面に粒子を接触させる前又は接触させている間に担体を
傾けてもよい。
【0082】担体の面全体が特異的結合物質により被覆
されている場合には、担体を傾ける方向はいずれの方向
でもよい。
【0083】また、担体の面が部分的に特異的結合物質
により被覆されている場合には、粒子が担体の特異的結
合物質により被覆されている部分の上を移動するような
方向に担体を傾けて、重力により粒子を移動させればよ
い。例えば、移動させたい方向を下にして担体を配置す
ればよい。より具体的には、例えば、面の片側半分を特
異的結合物質により被覆した担体を用いた場合、面の特
異的結合物質により被覆されていない部分から被覆され
ている部分の方向(図1の矢印方向)に粒子が移動する
よう担体を傾ける(この場合図1の矢印方向に傾ければ
よい)。
【0084】また、面が特異的結合物質により帯状に被
覆されている担体を用いた場合は、面の特異的結合物質
により被覆されていない部分からその帯状被覆部分を通
って特異的結合物質により被覆されていない部分の方向
(図2〜4の矢印方向)に粒子が移動するように担体を
傾ける(この場合図2〜4の矢印方向に傾ければよ
い)。
【0085】試料に被検物質が存在する場合、該被検物
質は担体に固定された特異的結合物質に結合する。この
場合に粒子が担体の特異的結合物質により被覆された面
に沿って移動するように担体を傾けると、該粒子は重力
により担体の面に沿って傾きの下方向に移動するが、そ
の過程で面に固定された特異的結合物質に結合した被検
物質に出会うと、該粒子は被検物質及びこれに結合して
いる特異的結合物質を介して担体に結合して移動を停止
するか又は移動が著しく遅くなる。
【0086】面の特異的結合物質が固定されていない領
域では、粒子の移動は該粒子と面との相互作用及び担体
を傾ける角度に依存し、該粒子は傾きの下方向にすみや
かに移動する。一方、面の特異的結合物質が固定されて
いる領域では、該面に固定されている特異的結合物質に
被検物質が結合している場合と結合していない場合とで
は粒子の移動速度に大きな差を生じる。
【0087】即ち、試料中に被検物質が存在しない場
合、面に固定されている特異的結合物質は被検物質を結
合しないので、粒子は親和性を示さず、特異的結合物質
が固定されていない領域と同様にすみやかに傾きの下方
向に移動する。従って、試料中に被検物質が存在しない
場合、粒子は担体の下方向の端部に集まる。一方、試料
中に被検物質が存在する場合、面に固定されている特異
的結合物質は被検物質を結合するので、粒子は被検物質
及び特異的結合物質を介して担体に結合して移動が停止
又は著しく遅くなる。従って、試料中に被検物質が存在
する場合、粒子はその面の特異的結合物質で被覆された
部分に集まる。
【0088】担体を傾けて粒子を担体の特異的結合物質
被覆面に沿って移動させる場合、粒子と被検物質が結合
していない該面との相互作用は弱く、その移動速度は担
体を傾ける角度にほぼ依存する。従って、大きな移動速
度を必要とする場合、すなわち短時間で測定結果を求め
るときには担体を傾ける角度を大きくすればよい。ま
た、担体を傾ける角度を経時的に変化させても良い。更
に、板状体の担体を用いる場合、その板状体を湾曲させ
板状体の角度を変化させることにより、粒子が移動する
速度を変化させても良い。
【0089】担体として板状体の表面の溝にカバー(図
4のA)のある担体を用いる場合で、特異的結合物質に
より被覆された面の水平方向から試料を吸収除去させる
ような位置に吸収部が配置されているとき、該吸収部が
試料で飽和されるような容量であれば、試料が除去され
た担体の面に適当な分散媒に分散した粒子を接触させる
と、該粒子が吸収部に吸収除去されることなく、板状体
の表面の溝とカバーで囲まれた空間内部に滞留させるこ
とができる。粒子を滞留させることができると、粒子に
固定されている特異的結合物質と試料中の被検物質を充
分に反応させることができるので、好ましい。
【0090】上記のように、粒子を担体の特異的結合物
質により被覆された面に沿って移動させた後、この面に
おける粒子の分布状態から被検物質の有無を判定する。
この担体の面上の粒子の分布状態、即ち像は、容易に肉
眼により、あるいは吸光度測定やパターン認識によるマ
イクロプレートリーダー等の光学的読み取り装置により
確認することができる。
【0091】図1のCは、平底マイクロプレートを用い
て被検物質が存在する試料(陽性の試料)について測定
を行なった場合のウェルを上方からみた図であり、図1
のDは、平底マイクロプレートを用いて被検物質が存在
しない試料(陰性の試料)について測定を行なった場合
のウェルを上方からみた図である。陽性の場合、ウェル
の平底面の特異的結合物質で被覆されていない部分から
移動してきた粒子は特異的結合物質被覆部分にトラップ
される。
【0092】図2のCは、底面が長方形の直方体型の透
明容器を用いて被検物質が存在する試料(陽性の試料)
について測定を行なった場合の該容器を上方からみた図
であり、図2のDは、底面が長方形の直方体型の透明容
器を用いて被検物質が存在しない試料(陰性の試料)に
ついて測定を行なった場合の該容器を上方からみた図で
ある。陽性の場合、底面の特異的結合物質で被覆されて
いない部分から移動してきた粒子は帯状被覆部分にトラ
ップされる。
【0093】図3のCは、長方形の板状体を用いて2種
類の被検物質が存在する試料(それぞれの被検物質が陽
性の試料)について測定を行なった場合の該板状体を上
方からみた図であり、図3のDは、長方形の板状体を用
いて被検物質が存在しない試料(陰性の試料)について
測定を行なった場合の該板状体を上方からみた図であ
る。陽性の場合、表面の特異的結合物質で被覆されてい
ない部分から移動してきた粒子はそれぞれの被検物質に
対応する帯状被覆部分にトラップされる。
【0094】図4のCは、表面に溝が設けられた長方形
の板状体を用いて2種類の被検物質が存在する試料(そ
れぞれの被検物質が陽性の試料)について測定を行なっ
た場合の該板状体を上方からみた図であり、図4のD
は、かかる板状体を用いて被検物質が存在しない試料
(陰性の試料)について測定を行なった場合の該板状体
を上方からみた図である。陽性の場合、溝の底面の特異
的結合物質で被覆されていない部分から移動してきた粒
子はそれぞれの被検物質に対応する帯状被覆部分にトラ
ップされる。
【0095】また、特異的結合物質のかわりに、被検物
質又はその類縁体を固定した粒子を用いる場合、第1の
測定方法により得られる陽性又は陰性の粒子の分布状態
と逆の結果が得られる。
【0096】本発明による第2の測定方法においては、
特異的結合物質を固定して該特異的結合物質により被覆
した面を有する担体の該面に、特異的結合物質が固定さ
れた粒子及び試料を混合した後の混合物をこの担体の面
に接触させる。その後、この面に接触させた粒子及び試
料の混合物を担体に配置された吸収部により除去する。
そして、更に特異的結合物質が固定された粒子をこの面
に接触させる。次に、この粒子を面に沿って移動させ、
この面における粒子の分布状態から被検物質の有無を判
定する。
【0097】この第2の測定方法によれば、試料中に被
検物質が存在する即ち陽性の場合においては、粒子は試
料中の被検物質と結合するので、粒子及び試料の混合物
を担体の面に接触させた時に、粒子は被検物質を介して
この面に固定された特異的結合物質と結合する。そし
て、粒子及び試料の混合物を担体に配置された吸収部に
よりこの面から除去し、更に粒子をこの面に接触させて
面に沿って移動させると、この粒子は先に担体の面に固
定されていた粒子に遮られて移動が停止又は著しく遅く
なり、粒子はその面の特異的結合物質で被覆された部分
に集まることとなる。
【0098】一方、試料中に被検物質が存在しない即ち
陰性の場合においては、粒子は被検物質を結合しないの
で、粒子及び試料の混合物を担体の面に接触させた時
に、粒子はこの面に予め固定されていた特異的結合物質
とは結合しない。よって、粒子及び試料の混合物を担体
に配置された吸収部によりこの面から除去し、更に粒子
をこの面に接触させて面に沿って移動させても、粒子は
この面の上を素通りしてしまい速やかに磁石の方向又は
傾きの下方向に移動して、磁石に近い位置即ち担体の面
の端部又は担体の下方向の担部に集まることとなる。従
って、この第2の測定方法によれば、第1の測定方法に
より得られる陽性又は陰性の粒子の分布状態と同じ結果
が得られる。
【0099】なお、本測定方法は、確認試験に使用する
ことができる。確認試験とは、即ち測定で陽性像が得ら
れた場合に、それが真に被検物質の存在によるものか、
又は非特異的凝集反応によるものかを確認する方法であ
る。
【0100】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0101】〔実施例1〕 (血液試料中のHBs抗原の測定:吸収部としてろ紙を
使用したもの) (1) 抗HBs抗体固定板状体の作製 アクリル樹脂押出板(幅25mm、奥行き60mm、厚
さ1mm)〔アクリサンデー社製〕の上に2枚のアクリ
ル樹脂押出板(幅10mm、奥行き40mm、厚さ0.
5mm)〔アクリサンデー社製〕を5mmの間隔をおい
て溶剤で貼り合わせて、図5に示された表面に溝(幅5
mm、奥行き40mm、高さ0.5mm)が設けられた
板状体を作製した。この板状体の2枚のアクリル板に囲
まれた図5に示される溝の左端から5mmより10mm
の部分に抗HBs抗体溶液(シノテスト社製、5μg/
mlの濃度でpH7の10mMリン酸緩衝液に溶解したもの)20
μl をピペットを用いて載せて接触させ、37℃で3時間
静置した。次いで、この溶液をピペットで吸引除去後、
0.5%(W/V)カゼインを含むトリス緩衝液(pH7.5,50mM)
(以下、これを希釈液Aという)0.3mlをここに加え
て、4℃で一晩放置し、これをピペットで吸引除去し
た。そして、この板状体の左端の上にアクリル樹脂押出
板(幅25mm、奥行き50mm、厚さ1mm)〔アク
リサンデー社製〕を溶剤で貼り合わせることにより、図
5に示したように板状体にカバーをした。このようにし
て、溝の底面に特異的結合物質(抗HBs抗体)による
帯状被覆部分が形成された板状体を作製した。この板状
体の図5に示される上下2枚の板によって形成された空
間(図5のAにおける板状体の左端側面)の中に、吸収
部として、定性ろ紙No2(アドバンテック東洋社製)
を幅25mm、奥行き20mmに切断したものを配置し
た。
【0102】(2) 抗HBs抗体固定粒子の作製 粒子(磁性粒子)〔Dynabeads M-450 uncoated、ダイナ
ル社製、粒径:4.5 μm、粒径のC.V.5%以下、比
重1.5、濃度3%(w/v) 〕1mlと抗HBs抗体溶液(シ
ノテスト社製、pH7.0 の10mMリン酸緩衝液に濃度 0.1mg
/mlで溶解したもの)1mlを混合し、37℃で30分間反応
させた。ここに希釈液Aを約20倍量加えてマスキングを
行なった。次いで、得られた粒子を希釈液Aにて洗浄
し、粒子を濃度が約 0.1%(w/v) となるように希釈液A
に再分散させた。このようにして、抗HBs抗体固定粒
子分散液を調製した。
【0103】(3) HBs抗原の測定 HBs抗原及びHBs抗体が共に陰性である血液に、H
Bs抗原溶液(明治乳業社製、pH7.2 の10mMリン酸緩衝
液に40μg/mlの濃度で溶解したもの)を1ng/mlにな
るように添加して調製した試料100μlを、上記(1) で作
製した抗HBs抗体固定板状体の溝のカバーされた部分
とカバーされていない部分の境目付近にピペットを用い
て載せて帯状被覆部分に接触させた。その後、この帯状
被覆部分に接触させたHBs抗原陽性血液が板状体に配
置された吸収部に吸収されてから、上記(2)で作製した
抗HBs抗体固定粒子分散液をこの抗HBs抗体固定板
状体の溝のカバーされた部分とカバーされていない部分
の境目付近にピペットを用いて載せて帯状被覆部分に接
触させた。(吸収部に試料が浸透し飽和されたので、抗
HBs抗体固定粒子分散液は、吸収部に浸透しなかっ
た。) その後、この板状体の帯状被覆部分が形成された側面方
向に磁石を配置することにより、抗HBs抗体固定粒子
が移動するように板状体の溝の底面の抗HBs抗体が固
定されていない部分から溝の底面の抗HBs抗体が固定
されている部分方向(吸収部が配置されている方向)に
磁束密度40〜60ガウスの磁場を発生させた。磁場を発生
させてから3分間以内に図5のCに示すような粒子の像
が認められた。陰性血液を試料として用いて測定した場
合には粒子の像は認められなかった。
【0104】〔実施例2〕 (血液試料中のHBs抗原の測定:吸収部として多孔質
体を使用したもの) (1) 抗HBs抗体固定板状体の作製 吸収部として、ベルクリン(鐘紡社製、厚さ2mm)を
幅5mm、奥行き8mmに切断したものを配置した以外
は、実施例1の(1)と同じ方法で抗HBs抗体固定板状
体を作製した。
【0105】(2) 抗HBs抗体固定粒子の作製 実施例1の(2)と同じ方法で抗HBs抗体固定粒子分散
液を作製した。
【0106】(3) HBs抗原の測定 HBs抗原及びHBs抗体が共に陰性である血液に、H
Bs抗原溶液(明治乳業社製、pH7.2 の10mMリン酸緩衝
液に40μg/mlの濃度で溶解したもの)を1ng/mlにな
るように添加して調製した試料100μlを、上記(1) で作
製した抗HBs抗体固定板状体の溝のカバーされた部分
とカバーされていない部分の境目付近にピペットを用い
て載せて帯状被覆部分に接触させた。その後、この帯状
被覆部分に接触させたHBs抗原陽性血液が板状体に配
置された吸収部に吸収されてから、上記(2)で作製した
抗HBs抗体固定粒子分散液をこの抗HBs抗体固定板
状体の溝のカバーされた部分とカバーされていない部分
の境目付近にピペットを用いて載せて帯状被覆部分に接
触させた。(吸収部に試料が浸透し飽和されたので、抗
HBs抗体固定粒子分散液は、吸収部に浸透しなかっ
た。) その後、この板状体の帯状被覆部分が形成された側面方
向に磁石を配置することにより、抗HBs抗体固定粒子
が移動するように板状体の溝の底面の抗HBs抗体が固
定されていない部分から溝の底面の抗HBs抗体が固定
されている部分方向(吸収部が配置されている方向)に
磁束密度40〜60ガウスの磁場を発生させた。磁場を発生
させてから3分間以内に図5のCに示すような粒子の像
が認められた。陰性血液を試料として用いて測定した場
合には粒子の像は認められなかった。
【0107】〔実施例3〕 (血液試料中のHBs抗原の測定:吸収部を空間にした
もの) (1) 抗HBs抗体固定板状体の作製 アクリル樹脂押出板2(幅25mm、奥行き52.5m
m、厚さ1mm)〔アクリサンデー社製〕の上に2枚の
アクリル樹脂押出板3(幅10mm、奥行き40mm、
厚さ0.5mm)〔アクリサンデー社製〕を5mmの間
隔をおいて溶剤で貼り合わせて板状体の表面に溝を作製
し、この溝の左側に2枚のアクリル樹脂押出板4(幅
2.5mm、奥行き12.5mm、厚さ0.5mm)を
20mmの間隔をおいて溶剤で貼り合わせ、更にアクリ
ル樹脂押出板5(幅20mm、奥行き2.5mm、厚さ
0.5mm)を板状体の左端に溶剤で貼り合わせ、図6
に示された表面に溝(幅5mm、奥行き40mm、高さ
0.5mm)が設けられ、かつアクリル樹脂押出板4及
び5で囲まれた吸収部(幅20mm、奥行き10mm、
高さ0.5mm)を持つ板状体を作製した。この板状体
の2枚のアクリル板3に囲まれた図6に示される溝の左
端から5mmより10mmの部分に抗HBs抗体溶液
(シノテスト社製、5μg/mlの濃度でpH7の10mMリン
酸緩衝液に溶解したもの)20μl をピペットを用いて載
せて接触させ、37℃で3時間静置した。次いで、この溶
液をピペットで吸引除去後、希釈液A0.3mlをここに加
えて、4℃で一晩放置し、これをピペットで吸引除去し
た。そして、この板状体の左端の上に小孔7をあけたア
クリル樹脂押出板6(幅25mm、奥行き42.5m
m、厚さ1mm)〔アクリサンデー社製〕を溶剤で貼り
合わせることにより、図6に示したように板状体にカバ
ーをした。このようにして、溝の底面に特異的結合物質
(抗HBs抗体)による帯状被覆部分が形成された板状
体を作製した。
【0108】(2) 抗HBs抗体固定粒子の作製 実施例1の(2)と同じ方法で抗HBs抗体固定粒子分散
液を作製した。
【0109】(3) HBs抗原の測定 HBs抗原及びHBs抗体が共に陰性である血液に、H
Bs抗原溶液(明治乳業社製、pH7.2 の10mMリン酸緩衝
液に40μg/mlの濃度で溶解したもの)を1ng/mlにな
るように添加して調製した試料100μlを、上記(1) で作
製した抗HBs抗体固定板状体の溝のカバーされた部分
とカバーされていない部分の境目付近にピペットを用い
て載せて帯状被覆部分に接触させた。その後、この帯状
被覆部分に接触させたHBs抗原陽性血液を該板状体の
吸収部が配置されている方向が下になるようにして、吸
収部が配置されている方向に試料が移動するように、約
60°の角度で該板状体を傾けた。試料が吸収部に吸収さ
れた後に、該板状体を水平に戻し、上記(2)で作製した
抗HBs抗体固定粒子分散液をこの抗HBs抗体固定板
状体の溝のカバーされた部分とカバーされていない部分
の境目付近にピペットを用いて載せて帯状被覆部分に接
触させた。(吸収部内が試料で完全に満たされたので、
抗HBs抗体固定粒子分散液は、吸収部に浸透しなかっ
た。) その後、この板状体の帯状被覆部分が形成された側面方
向に磁石を配置することにより、抗HBs抗体固定粒子
が移動するように板状体の溝の底面の抗HBs抗体が固
定されていない部分から溝の底面の抗HBs抗体が固定
されている部分方向(吸収部が配置されている方向)に
磁束密度40〜60ガウスの磁場を発生させた。磁場を発生
させてから3分間以内に図6のCに示すような粒子の像
が認められた。陰性血液を試料として用いて測定した場
合には粒子の像は認められなかった。
【0110】〔実施例4〕 (血液試料中の抗HBs抗体の測定) (1) HBs抗原固定板状体の作製 アクリル樹脂押出板(幅25mm、奥行き60mm、厚
さ1mm)〔アクリサンデー社製〕の上に2枚のアクリ
ル樹脂押出板(幅10mm、奥行き40mm、厚さ0.
5mm)〔アクリサンデー社製〕を5mmの間隔をおい
て溶剤で貼り合わせて、図5に示された表面に溝(幅5
mm、奥行き40mm、高さ0.5mm)が設けられた
板状体を作製した。この板状体の2枚のアクリル板に囲
まれた図5に示される溝の左端から5mmより10mm
の部分にHBs抗原溶液(明治乳業社製、5μg/mlの
濃度でpH7の10mMリン酸緩衝液に溶解したもの)20μl
をピペットを用いて載せて接触させ、37℃で3時間静置
した。次いで、この溶液をピペットで吸引除去後、前記
の希釈液A 0.3mlをここに加えて、4℃で一晩放置し、
これをピペットで吸引除去した。そして、この板状体の
左端の上にアクリル樹脂押出板(幅25mm、奥行き5
0mm、厚さ1mm)〔アクリサンデー社製〕を溶剤で
貼り合わせることにより、図5に示したように板状体に
カバーをした。このようにして、溝の底面に特異的結合
物質(HBs抗原)による帯状被覆部分が形成された板
状体を作製した。この板状体の図5に示される上下2枚
の板によって形成された空間(図5のAにおける板状体
の左端側面)に、吸収部として、定性ろ紙No2(アド
バンテック東洋社製)を幅25mm、奥行き20mmに
切断したものを配置した。
【0111】(2) HBs抗原固定粒子の作製 粒子(Dynabeads M-450 uncoated 、ダイナル社製、粒
径:4.5 μm、粒径のC.V.5%以下、比重1.5、濃
度3%(w/v) )1mlとHBs抗原溶液(明治乳業社製、
pH7.2 の10mMリン酸緩衝液に40μg/mlの濃度で溶解し
たもの)1mlを混合し、37℃で30分間反応させた。ここ
に希釈液Aを約20倍量加えてマスキングを行なった。次
いで、得られた粒子を希釈液Aにて洗浄し、粒子を濃度
が約 0.1%(w/v) となるように希釈液Aに再分散させ
た。このようにして、HBs抗原固定粒子分散液を調製
した。
【0112】(3) 抗HBs抗体の測定 抗HBs抗体陽性血液100μlを上記(1) で作製したH
Bs抗原固定板状体の溝のカバ−された部分とカバ−さ
れていない部分の境目付近にピペットを用いて載せて帯
状被覆部分に接触させた。その後、この帯状被覆部分に
接触させた抗HBs抗体陽性血液が板状体に配置された
吸収部に吸収されてから、上記(2)で作製したHBs抗
原固定粒子分散液をこのHBs抗原固定板状体の溝のカ
バーされた部分とカバーされていない部分の境目付近に
ピペットを用いて載せて帯状被覆部分に接触させた。
(吸収部に試料が浸透し飽和されたので、HBs抗原固
定粒子分散液は、吸収部に浸透しなかった。) その後、これを板状体の帯状被覆部分が形成された側面
方向を下にして(吸収部が配置されている方向が下にな
るようにして)、板状体の溝の底面のHBs抗原が固定
されていない部分から溝の底面のHBs抗原が固定され
ている部分方向(吸収部が配置されている方向)にHB
s抗原固定粒子が移動するように、約60°の角度でHB
s抗原固定板状体を傾けた。斜めに傾けてから3分間以
内に図5のCに示すような粒子の像が認められた。陰性
血液を試料として用いて測定した場合には粒子の像は認
められなかった。
【0113】〔実施例5〕 (大腸菌O157:H7の測定) (1) 抗大腸菌O157:H7抗体固定板状体の作製 アクリル樹脂押出板(幅25mm、奥行き60mm、厚
さ1mm)〔アクリサンデー社製〕の上に2枚のアクリ
ル樹脂押出板(幅10mm、奥行き40mm、厚さ0.
5mm)〔アクリサンデー社製〕を5mmの間隔をおい
て溶剤で貼り合わせて、図5に示された表面に溝(幅5
mm、奥行き40mm、高さ0.5mm)が設けられた
板状体を作製した。この板状体の2枚のアクリル板に囲
まれた図5に示される溝の左端から5mmより10mm
の部分に抗大腸菌O157:H7抗体溶液〔Kirkegaard
& PerryLaboratories社製、5μg/mlの濃度でpH7
の10mMリン酸緩衝液に溶解したもの〕20μlをピペット
を用いて載せて接触させ、37℃で3時間静置した。次い
で、この溶液をピペットで吸引除去後、前記の希釈液A
0.3mlをここに加えて、4℃で一晩放置し、これをピペ
ットで吸引除去した。そして、この板状体の左端の上に
アクリル樹脂押出板(幅25mm、奥行き25mm、厚
さ1mm)〔アクリサンデー社製〕を溶剤で貼り合わせ
ることにより、図5に示したように板状体にカバーをし
た。このようにして、溝の底面に特異的結合物質(抗大
腸菌O157:H7抗体)による帯状被覆部分が形成さ
れた板状体を作製した。この板状体の図5に示される上
下2枚の板によって形成された空間(図5のAにおける
板状体の左端側面)に、吸収部として、定性ろ紙No2
(アドバンテック東洋社製)を幅25mm、奥行き20
mmに切断したものを配置した。
【0114】(2) 抗大腸菌O157:H7抗体固定粒子
の作製 粒子(磁性粒子)(Dynabeads M-450 uncoated 、ダイ
ナル社製、粒径:4.5μm、粒径のC.V.5%以下、
比重1.5、濃度3%(w/v) )1mlと抗大腸菌O157:
H7抗体溶液〔Kirkegaard & Perry Laboratories社
製、pH7.0の10mMリン酸緩衝液に濃度0.1mg/mlで溶解し
たもの〕1mlを混合し、37℃で30分間反応させた。ここ
に希釈液Aを約20倍量加えてマスキングを行なった。次
いで、得られた粒子を希釈液Aにて洗浄し、粒子を濃度
が約 0.1%(w/v) となるように希釈液Aに再分散させ
た。このようにして、抗大腸菌O157:H7抗体固定
粒子分散液を調製した。
【0115】(3) 大腸菌O157:H7の測定 大腸菌O157:H7〔Kirkegaard & Perry Laborato
ries社製〕を103個/mlになるように健常人の糞便懸
濁液に添加して調製した試料100μlを、上記(1)で作製
した抗大腸菌O157:H7抗体固定板状体の溝のカバ
−された部分とカバ−されていない部分の境目付近にピ
ペットを用いて載せて帯状被覆部分に接触させた。その
後、この帯状被覆部分に接触させた前記試料が板状体に
配置された吸収部に吸収されてから、上記(2)で作製し
た抗大腸菌O157:H7抗体固定粒子分散液をこの抗
大腸菌O157:H7抗体固定板状体の溝のカバーされ
た部分とカバーされていない部分の境目付近にピペット
を用いて載せて帯状被覆部分に接触させた。(吸収部に
試料が浸透し飽和されたので、抗大腸菌O157:H7
抗体固定粒子分散液は、吸収部に浸透しなかった。) その後、この板状体の帯状被覆部分が形成された側面方
向に磁石を設置することにより、抗大腸菌O157:H
7抗体固定粒子が移動するように、板状体の溝の底面の
抗大腸菌O157:H7抗体が固定されていない部分か
ら溝の底面の抗大腸菌O157:H7抗体が固定されて
いる部分方向(吸収部が配置されている方向)に磁束密
度40〜60ガウスの磁場を発生させた。磁場を発生させて
から3分間以内に図5のCに示すような粒子の像が認め
られた。大腸菌O157:H7を添加していない糞便懸
濁液を試料として用いて測定した場合には粒子の像は認
められなかった。
【0116】〔実施例6〕 (血液試料中のHBs抗原の確認試験(1))HBs抗原
陽性血液100μlを実施例1の(1) で作製した抗HBs抗
体固定板状体の溝のカバーされた部分とカバーされてい
ない部分の境目付近にピペットを用いて載せて帯状被覆
部分に接触させた。その後、この帯状被覆部分に接触さ
せたHBs抗原陽性血液が板状体に配置された吸収部に
吸収されてから、このHBs抗原陽性血液が吸収された
吸収部を取り除き、新たに吸収部として、定性ろ紙No
2(アドバンテック東洋社製)を幅25mm、奥行き2
0mmに切断したものを前と同様に板状体に配置した。
次に、抗HBs抗体液(シノテスト社製、希釈液Aに濃
度0.1mg/mlで溶解したもの)を前記のHBs抗原陽性血
液を吸収除去した抗HBs抗体固定板状体の溝のカバー
された部分とカバーされていない部分の境目付近にピペ
ットを用いて載せて帯状被覆部分に接触させた。その
後、この帯状被覆部分に接触させた抗HBs抗体液が板
状体に新たに配置した吸収部に吸収されてから、実施例
1の(2) で作製した抗HBs抗体固定粒子分散液をこの
抗HBs抗体固定板状体の溝のカバーされた部分とカバ
ーされていない部分の境目付近にピペットを用いて載せ
て帯状被覆部分に接触させた。(吸収部に上記抗HBs
抗体液が浸透し飽和されたので、抗HBs抗体固定粒子
分散液は、吸収部に浸透しなかった。) その後、この板状体の帯状被覆部分が形成された側面方
向に磁石を設置することにより、抗HBs抗体固定粒子
が移動するように板状体の溝の底面の抗HBs抗体が固
定されていない部分から溝の底面の抗HBs抗体が固定
されている部分方向(図5の矢印方向)に磁束密度40〜
60ガウスの磁場を発生させた。磁場を発生させてから3
分後にこの板状体の面上の粒子の分布状態を確認した
が、図5のCに示すような粒子の像は認められなかっ
た。これにより、試料中に真にHBs抗原が存在するこ
とが確認できた。
【0117】〔実施例7〕 (血液試料中のHBs抗原の確認試験(2))HBs抗原
陽性血液100μlを実施例1の(1) で作製した抗HBs抗
体固定板状体の溝のカバーされた部分とカバーされてい
ない部分の境目付近にピペットを用いて載せて帯状被覆
部分に接触させた。その後、この帯状被覆部分に接触さ
せたHBs抗原陽性血液が板状体に配置された吸収部に
吸収されてから、実施例1の(2) で作製した抗HBs抗
体固定粒子分散液に抗HBs抗体を0.1mg/mlになるよう
に添加し、抗HBs抗体添加抗HBs抗体固定粒子分散
液を調製した。この分散液を前記のHBs抗原陽性血液
を吸収除去した抗HBs抗体固定板状体の溝のカバーさ
れた部分とカバーされていない部分の境目付近にピペッ
トを用いて載せて帯状被覆部分に接触させた。(吸収部
に試料が浸透し飽和されたので、抗HBs抗体添加抗H
Bs抗体固定粒子分散液は、吸収部に浸透しなかっ
た。) その後、この板状体の帯状被覆部分が形成された側面方
向に磁石を設置することにより、抗HBs抗体固定粒子
が移動するように板状体の溝の底面の抗HBs抗体が固
定されていない部分から溝の底面の抗HBs抗体が固定
されている部分方向(図5の矢印方向)に磁束密度40〜
60ガウスの磁場を発生させた。磁場を発生させてから3
分後、この板状体の面上の粒子の分布状態を確認した
が、図5のCに示すような粒子の像は認められなかっ
た。これにより、試料中に真にHBs抗原が存在するこ
とが確認できた。
【0118】
【発明の効果】本発明の測定器具及び測定方法によれ
ば、抗原抗体反応等の特異的結合反応を利用して試料中
の被検物質を目視又は機器を用いて測定する際に、判定
を妨げる物質である赤血球を含む血液試料や食物残渣等
の夾雑物を含む糞便試料においても、妨害を受けること
なく確実に被検物質の存在の有無を判定することができ
る。また、本発明の測定器具及び測定方法によれば、煩
雑であり、かつ感染等の危険がある試料の吸収操作を測
定者が行わずに済む。また、本発明の測定器具及び測定
方法によれば、試料中の被検物質の有無を、従来のよう
に容器底面に集まった粒子の円形の像の大小ではなく、
粒子が担体の面の端部に集まるか或いは担体の面の特異
的結合物質で被覆された部分に集まるかにより判定する
ことから、被検物質濃度が低い場合であってもその判定
が容易である。したがって高感度に試料中の被検物質の
測定をすることができる。しかも非特異的凝集反応が生
じた場合においても誤った判定を与えることはない。そ
して、本発明の測定器具及び測定方法によれば、粒子及
び/又は担体の面への特異的結合物質の固定量を変更す
ることにより感度を容易に変更することができるので効
率がよい。従って、被検物質の濃度が低い場合において
も被検物質の有無を容易に判定することができる。更
に、本発明の測定器具及び測定方法によれば、短時間
で、具体的には被検物質の種類にもよるが、通常、20秒
〜10分程度で試料中の被検物質の有無の判定を行なうこ
とができ、例えば、HBs抗原の場合、1ng/ml程度の
濃度であっても3分間以内で測定が可能である。また、
大腸菌O157の場合には、103 個/ml程度の濃度で
あっても3分間以内で測定が可能である。更に、本発明
の測定器具及び測定方法によれば、試料中の複数種類の
被検物質の測定を同時に行なうことができる。また、本
発明の測定器具及び測定方法によれば、確認試験を簡便
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各ウェルの平底面の片側半分が特異的結合物質
により被覆された平底マイクロプレートを示す図であ
る。
【図2】底面が特異的結合物質により帯状に被覆されて
いる直方体型の透明容器を示す図である。
【図3】表面が特異的結合物質により帯状に被覆されて
いる板状体を示す図である。
【図4】表面に溝が設けられ、該溝の底面が特異的結合
物質により帯状に被覆されている板状体を示す図であ
る。
【図5】表面に溝が設けられ、該溝の底面が特異的結合
物質により帯状に被覆されている板状体を示す図であ
る。
【図6】表面に溝が設けられ、該溝の底面が特異的結合
物質により帯状に被覆されている板状体を示す図であ
る。
【図7】間接凝集反応測定法により試料中の被検物質の
測定を行った場合の凝集像を示す図である。
【符号の説明】
1:吸収部、2:アクリル樹脂押出板、3:アクリル樹
脂押出板、4:アクリル樹脂押出板、5:アクリル樹脂
押出板、6:アクリル樹脂押出板 7:小孔

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の被検物質に対する特異的結合物
    質が固定されて該特異的結合物質により被覆された面を
    有する担体と、被検物質に対する特異的結合物質であっ
    て前記担体に固定された特異的結合物質と同一又は異な
    る特異的結合物質が固定された粒子とを含む、試料中の
    被検物質の測定器具において、前記面に接触させた試料
    を吸収除去する吸収部が前記担体に配置されていること
    を特徴とする試料中の被検物質の測定器具。
  2. 【請求項2】 面が該特異的結合物質により部分的に被
    覆されている、請求項1に記載の試料中の被検物質の測
    定器具。
  3. 【請求項3】 担体が平底面を有する凹部を少なくとも
    一つ備えた容器であって、該平底面が特異的結合物質に
    より被覆されている、請求項1又は2に記載の試料中の
    被検物質の測定器具。
  4. 【請求項4】 担体が板状体であって、その表面が特異
    的結合物質により被覆されている、請求項1又は2に記
    載の試料中の被検物質の測定器具。
  5. 【請求項5】 前記被検物質が抗原であり、前記特異的
    結合物質が抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の試料中の被検物質の測定器具。
  6. 【請求項6】 前記被検物質が抗体であり、前記特異的
    結合物質が抗原又は前記抗体に対する抗体である、請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の試料中の被検物質の測
    定器具。
  7. 【請求項7】 試料中の被検物質に対する特異的結合物
    質が固定されて該特異的結合物質により被覆された面を
    有する担体の該面に試料を接触させる工程、前記面に接
    触させた試料を前記担体に配置された吸収部に吸収させ
    除去する工程、被検物質に対する特異的結合物質であっ
    て前記担体に固定された特異的結合物質と同一又は異な
    る特異的結合物質が固定された粒子を前記面に接触させ
    る工程、及び前記粒子を前記面に沿って移動させる工程
    を含んでなり、前記面における粒子の分布状態から被検
    物質の有無を判定する、試料中の被検物質の測定方法。
  8. 【請求項8】 試料中の被検物質に対する特異的結合物
    質が固定されて該特異的結合物質により被覆された面を
    有する担体の該面に、被検物質に対する特異的結合物質
    であって前記担体に固定された特異的結合物質と同一又
    は異なる特異的結合物質が固定された粒子及び試料を混
    合した後の混合物を接触させる工程、前記面に接触させ
    た粒子及び試料の混合物を前記担体に配置された吸収部
    に吸収させ除去する工程、更に被検物質に対する特異的
    結合物質であって前記担体に固定された特異的結合物質
    と同一又は異なる特異的結合物質が固定された粒子を前
    記面に接触させる工程、及び前記粒子を前記面に沿って
    移動させる工程を含んでなり、前記面における粒子の分
    布状態から被検物質の有無を判定することを特徴とす
    る、試料中の被検物質の測定方法。
  9. 【請求項9】 面が該特異的結合物質により部分的に被
    覆されている、請求項7又は8に記載の試料中の被検物
    質の測定方法。
  10. 【請求項10】 担体が平底面を有する凹部を少なくと
    も一つ備えた容器であって、該平底面が特異的結合物質
    により被覆されている、請求項7〜9のいずれか1項に
    記載の試料中の被検物質の測定方法。
  11. 【請求項11】 担体が板状体であって、その表面が特
    異的結合物質により被覆されている、請求項7〜9のい
    ずれか1項に記載の試料中の被検物質の測定方法。
  12. 【請求項12】 前記被検物質が抗原であり、前記特異
    的結合物質が抗体である、請求項7〜11のいずれか1
    項に記載の試料中の被検物質の測定方法。
  13. 【請求項13】 前記被検物質が抗体であり、前記特異
    的結合物質が抗原又は前記抗体に対する抗体である、請
    求項7〜11のいずれか1項に記載の試料中の被検物質
    の測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015522155A (ja) * 2012-06-29 2015-08-03 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 結合磁性粒子及び未結合磁性粒子の処理

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