JPH11287611A - インプロセス計測機能付き加工装置および光計測方法 - Google Patents

インプロセス計測機能付き加工装置および光計測方法

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JPH11287611A
JPH11287611A JP9108598A JP9108598A JPH11287611A JP H11287611 A JPH11287611 A JP H11287611A JP 9108598 A JP9108598 A JP 9108598A JP 9108598 A JP9108598 A JP 9108598A JP H11287611 A JPH11287611 A JP H11287611A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工中でもワークの表面の光測定ができるよ
うにする。 【解決手段】 フライカッタ10によりワーク50が加
工される。圧縮空気吹付け器28は、圧縮空気を噴出
し、ワーク表面に沿って一定方向の高速気体流を発生さ
せる。気体流によりワーク50上の加工液が吹き飛ばさ
れる。そして、光照射部位26に測定光が照射され、光
干渉測定が行われる。高速気体流の下では、干渉縞が短
い周期でゆれるので、複数枚の干渉縞画像を平均化して
良好な干渉縞画像が得られる。すなわち、干渉縞の揺ら
ぎを阻止するのではなく、意識的に短い周期で揺れる干
渉縞を発生させることにより、良好な測定結果が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計測機能付き加工
装置および光計測方法に関し、特に、加工中にワークの
表面を対象として光計測を行うインプロセス計測に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ワークの表面を加工して鏡面
状態にする鏡面加工が周知であり、各種の製品の製造な
どに適用されている。鏡面加工においては、非常に高い
加工精度が要求され、加工精度を調べるために精密測定
が行われる。この種の精密測定には、光計測技術を用い
ることが周知である。例えば、光干渉式測定では、光学
的な干渉縞検出が行われる。ワークの表面形状を表す干
渉縞の像を利用して、表面性状(うねり、粗さ、形状
等)が測定される。この種の測定装置としては、フィゾ
ー式干渉計やマイケルソン式干渉計などが知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常の鏡面加工では、
加工中はワーク(被加工物)に対して多量の加工液(水
など)が連続的に供給されている。多量の加工液が存在
すると、ワーク表面の光計測を行うことは困難である。
従って、従来は、加工中には光計測による精密測定を行
うことはできなかった。
【0004】そこで、従来は、ワークを加工装置(工作
機械)にセットした状態で、ある程度の加工が行われ
る。次に、ワークが加工装置から取り外され、洗浄され
る。それから、ワークは測定器にセットされ、光計測が
行われる。計測終了後、ワークは計測器から取り外さ
れ、再び加工装置にセットされ、加工される。このよう
にして、加工工程と計測工程を交互に繰り返し、最終的
に所望の加工精度が得られた時点で加工が終了する。
【0005】しかしながら、上記の加工方法では、加工
装置からワークを取り外して測定器にセットし、またそ
の逆の作業を行い、この作業を繰り返す必要がある。こ
れらの作業には多くの手間がかかり、このことは加工時
間や加工コストを増大させる要因になっていた。さら
に、加工と測定を別々の装置で行うために、加工条件の
良否や加工精度の判断を的確に判断することも容易でな
かった。また、ワークを加工装置にクランプ等で保持す
るときに、クランプ力が強すぎるためにワークに歪みが
生じることがあり、この歪みは加工不良の原因になる。
従来は、ワークセット状態でのクランプ歪みの検出は困
難であり、クランプ歪み検出の専用計測器を設けるとコ
ストがかかることもあって、加工不良の未然防止は困難
であった。
【0006】以上では、従来技術の問題を、鏡面加工を
取り上げて説明したが、他の加工においても同様であ
る。また、光干渉測定を例示したが、他の光計測におい
ても同様である。
【0007】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、本発明の目的は、加工中に、すなわちインプロセ
スにて、ワークの表面を対象とした光計測を行う機能を
有する加工装置を提供することにあり、また、インプロ
セス測定を可能にする光計測方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るため、本発明の加工装置は、ワークを保持する保持手
段と、前記ワークを加工する加工手段と、前記ワークに
対して加工液を供給する加工液供給手段と、前記ワーク
の表面の光照射部位に光を照射することにより光計測を
行う計測手段と、前記光照射部位の上にワーク表面に沿
った一定方向の高速気体流を発生させる気体流発生手段
と、を含み、前記高速気体流により光計測対象部位の加
工液を排除して加工中の光計測を可能にする。
【0009】本発明によれば、ワーク上の加工液が光照
射部位から排除されるので、その部位に光を照射して、
加工の最中であっても光計測を行うことができる。ただ
し、ただ適当に気体を吹き付けて加工液を排除しても良
好な計測結果が得られない。空気の揺らぎが発生し、こ
の揺らぎにより測定精度が落ちるからである。例えば、
光干渉測定を取り上げて説明すると、空気の揺らぎに従
って干渉縞の像が揺れ動いてしまい、適当な干渉縞が得
られない。この問題を解決するため、本発明によれば、
ワーク表面に沿った一定方向の高速気体流(層流的な気
体流)を発生させ、この気体流に光路を横切らせる。こ
の気体流が介在する場合にも、干渉縞の像の揺らぎは発
生する。しかしながら、干渉縞には、一定方向の高速気
体流の下では短い周期で揺れるという特性がある。この
特性を利用して、適当な長さの期間に得られた干渉縞に
対して平均化等の処理を施することにより、安定した測
定結果が得られる。
【0010】このように、本発明の装置は、測定結果の
変動をなくすのではなく、ワーク表面に沿った一定方向
の高速気体流により意識的に短い周期の変動を発生さ
せ、これにより安定した良好な測定結果を得ることがで
きる。
【0011】本発明の好ましい一態様において、前記気
体流発生手段は、前記ワークの表面の近傍にワーク表面
と平行な細長形状の噴射スリットを有するノズル部と、
このノズル部に圧縮気体を供給して前記噴射スリットか
ら噴射させる気体供給パイプ部と、を含む。好ましく
は、本発明の加工装置は、加工工具とワーク表面の前記
光照射部位の間に設けられた保護カバーを有し、この保
護カバーは、ワーク表面に対して立設され、加工工具か
ら前記光照射部位への加工液の飛散を阻止して、前記高
速気体流の乱れを防止する。この態様によれば、光照射
部位に一定方向の高速気体流を確実かつ適切な状態で発
生させることができる。
【0012】好ましくは、本発明の加工装置は、 前記
計測手段による測定結果の帰還により、前記加工手段の
加工条件を自動調整する加工制御手段を含む。この態様
によれば、測定結果を加工条件に反映して、不良加工を
未然に防止し、加工精度の向上を図ることができる。
【0013】例えば、前記計測手段は、前記ワークの表
面性状を測定する光干渉式測定器である。また例えば、
前記計測手段は、ワーク表面の位置を測定するレーザ式
測定器である。
【0014】以上に説明したように本発明によれば、ワ
ーク表面に沿った一定方向の高速気体流を光照射部位に
発生させることにより、加工中であっても良好な光測定
が可能である。従って、加工途中でワークを加工装置か
ら取り外して測定器にセットするといった作業が不要と
なり、加工時間や加工コストを低減することが可能とな
る。さらに、加工の最中に測定ができるので、加工条件
の良否や加工精度の判断を容易に行うことができる。そ
して、測定結果を加工条件に帰還して、加工不良の未然
防止や加工精度の向上を図ることも可能となる。この加
工装置によれば、ワークのクランプ力が過大であること
に起因するクランプ歪みの検出も可能となり、この点で
も加工不良の未然防止が可能となる。
【0015】また、本発明の光計測方法は、加工対象の
ワークの表面に光を照射することにより光計測を行う方
法であって、前記ワークが加工装置に保持された状態
で、前記ワークの表面上における前記光計測のための光
照射部位にワーク表面に沿った一定方向の高速気体流を
発生させることにより、前記ワークに供給される加工液
を前記光照射部位から排除し、加工中の光計測を可能に
する。この態様によれば、上記の加工装置において得ら
れた効果が、方法というかたちで得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
(以下、実施形態という)について、図面を参照し説明
する。本実施形態では、単結晶ダイヤモンドバイトを使
用した切削やELID研削等により鏡面加工を行う加工
装置に本発明が適用される。
【0017】図1は、本実施形態の加工装置1を示して
おり、この装置では、フライカッタ10によりシングル
ポイントで鏡面加工が行われる。装置ベース2には、X
Yテーブル4が載っている。XYテーブル4は、アクチ
ュエータ機構(図示せず)により水平方向に移動可能に
設けられている(本実施形態では、X軸、Y軸が互いに
直交して水平方向に設定され、Z軸は鉛直方向に設定さ
れている)。XYテーブル4には、ワーク50が、図示
しないクランプ装置によってクランプ固定されている。
【0018】また、装置ベース2には、XYテーブル4
の上方にZ軸ヘッド6が固定されている。Z軸ヘッド6
は、Z軸スピンドル8を支持している。Z軸ヘッド6
は、モータやアクチュエータ機構を内蔵しており、Z軸
スピンドル8を回転させ、またZ軸方向に移動させる。
加工の際は、Z軸スピンドル8が回転しながら、下方に
送り駆動される。
【0019】Z軸スピンドル8の先端には、工具として
のフライカッタ10が取り付けられている。図2に拡大
して示されるように、フライカッタ10は円板形状を有
し、外周面の一カ所に工具取付溝が形成されており、こ
の取付溝にバイト12が取り付けられている。Z軸スピ
ンドル8が回転しながら降下すると、バイト12がワー
ク50に接触し、これにより加工が行われる。
【0020】図1に戻り、装置ベース2には、クーラン
ト供給タンク14が取り付けられている。クーラント供
給タンク14には、クーラントが溜められている。クー
ラントは、加工液の一種であり、ワークの冷却のため
や、ワークの加工部分で発生する切粉を洗い流すために
使われる。クーラント供給タンク14には、クーラント
供給管16が接続されている。加工中、クーラントは、
この供給管16を通ってワーク50およびその周辺に供
給される。
【0021】さらに、装置ベース2には、光干渉測定装
置(以下、測定装置)18が取り付けられている。測定
装置18は、フィゾー式等の周知のものでよい。測定装
置18は下方へ平行光線(光軸22)を照射する。この
平行光線は、2つのミラー20で反射され、ワーク50
へ達する。そして、光線は、ワーク50表面で反射して
測定装置18に戻り、測定装置18では、反射光を用い
て干渉縞の像が生成される。干渉縞の像は、測定装置1
8に内蔵されたカメラにより撮影される。この干渉縞の
像を用いて、うねり、粗さ、形状等の表面性状が検出さ
れる。
【0022】図3は、ワーク50およびフライカッタ1
0を拡大し、模式的に示している。フライカッタ10が
回転し、これによりバイト12がワーク50を切削して
いる。ワーク50がXYテーブル(図示せず)とともに
左方向に移動し、これにより、フライカッタ10は相対
的に右方向に移動する。従って、加工方向は右方向であ
る。干渉光路24は、測定装置18が発する光の通り路
である。干渉光路24は、フライカッタ10の左に適当
な距離だけ離れたところにあり、光照射部位26は、ワ
ーク50の表面上において、干渉光路24を通った光が
照射する部位である。
【0023】本実施形態では、その特徴として、ワーク
表面に沿った一定方向の高速気体流を光照射部位26に
発生させるために、圧縮空気吹付け器(以下、吹付け
器)28が設けられている。図4に示すように、吹付け
器28のノズル32は、中空で細長形状を有し、その断
面形状は一定である。そして、ノズル32の一面には、
ノズル長手方向に沿って延びるように、細長いスリット
34が設けられている。ノズル32にはパイプ36が接
続され、さらにこのパイプが圧縮空気発生器に接続され
ている。圧縮空気発生器からパイプ36を通ってノズル
32に圧縮空気が送り込まれ、この圧縮空気がスリット
34から噴出する。
【0024】図3に戻り、吹付け器28のノズル32が
装置ベース2に対して取り付けられており、ただしノズ
ル32は移動可能に取り付けられている。ノズル32の
数は2個であり、2つのノズル32は、干渉光路24を
挟んで一つずつを設けられている。そして、スリット3
4が、ワーク表面の近傍に、かつ、ワーク表面と平行に
配置されるように、ノズル32の位置が設定されてい
る。また、2つのノズル32は同じ方向を向けて設置さ
れている。スリット34がフライカッタ10の方向を向
くように、すなわち、圧縮空気がフライカッタ10の方
向に噴出されるように、ノズル32の向きが設定されて
いる。
【0025】干渉光路24とフライカッタ10の間に
は、保護カバー板30が設けられている。保護カバー板
30は、装置ベース2に取り付けられており、ワーク5
0の表面に立つように設けられている。フライカッタ1
0にかかったクーラントの一部が飛沫となって空中に飛
び散る。保護カバー板30は、このクーラントの飛沫が
干渉光路24または光照射部位26に達するのを防止す
る。また、保護カバー板30は、フライカッタ10の回
転により光照射部位26の空気流が乱れるのを防止する
機能ももつ。
【0026】保護カバー板30の下端は、フライカッタ
10の方向に折り曲げられており、カバー先端部とワー
ク50の間には所定寸法の隙間が設けられている。吹付
け器28のノズル32から噴出された空気は、この隙間
31を通ってスムーズにフライカッタ10方面へ逃がさ
れる。
【0027】上記の特徴的な構成を設けたことにより、
本実施形態では、以下のように、加工中の光干渉計測を
行うことができる。加工中は、クーラント供給タンク1
4から多量のクーラントがワーク50に供給される。こ
のクーラントは、ワーク50の上部およびその周辺を流
れる。加工により発生した切粉もクーラントとともに流
れる。また、フライカッタ10の回転により、クーラン
トが飛散する。このような状況では、ワーク50の光照
射部位26にクーラントや切粉が存在するために、光干
渉計測を行うことはできない。
【0028】そこで、本実施形態では、圧縮空気を吹き
付けることにより、光照射部位26からクーラントおよ
び切粉を吹き飛ばす。クーラントおよび切粉が排除され
るので、光照射部位26が露出される。また、フライカ
ッタ10から飛散したクーラントの飛沫は、保護カバー
板30に当たり下方へ落ちるので、干渉光路24には到
達できない。従って、測定光は、干渉光路24を通って
光照射部位26を照射できる。
【0029】ただし、ただ単に任意の方向から空気を吹
き付けても良好な測定結果を得ることは困難である。空
気の揺らぎにより、空気屈折率の変動等が生じ、干渉縞
も揺れてしまうからである。現に、市販の通常の光波干
渉測定器では、測定の障害となる空気の揺れを防止する
ために、干渉光路を周囲から遮蔽する手段等が設ける措
置が取られている。しかしながら、本実施形態では、ク
ーラントおよび切粉を排除するための空気の吹付けが必
要なので、干渉光路を遮蔽することはできない。従っ
て、空気を吹き付けながらでも良好な測定結果を得られ
るようにすることが求められる。
【0030】そこで、本実施形態では、その特徴とし
て、上記のように吹付け器28を設けている。ノズル3
2のスリット34が、ワーク表面の近傍に、かつ、ワー
ク表面と平行に配置されており、このスリット34から
圧縮空気が噴出する。この圧縮空気は、図3に矢印で示
す一定の方向、すなわちフライカッタ10へ向けて高速
に流れる。この気体流は、ワーク表面に沿って一定方向
に真直に流れるので、層流的な流れと言うことができ
る。
【0031】この一定方向の高速気体流がワーク表面に
沿って流れる状態でも、光路は遮蔽されておらず、干渉
縞の揺らぎは発生する。しかしながら、この条件下では
変化の早い揺らぎが生じる。すなわち、干渉縞には、光
路が一定方向の高速気体流を通過する場合には短い周期
で揺れ動くという特性がある。
【0032】本実施形態では、この特性を利用して、安
定した干渉測定を行う。まず、一定方向の高速空気流を
発生させて、クーラントおよび切粉を除去する。この状
態で、所定測定期間に複数枚の干渉像を取得する。ここ
で、干渉縞を取得するタイミングの間隔は、干渉縞の揺
らぎの1周期の長さより十分に短く設定する。また、上
記所定測定期間は、干渉縞の揺らぎの1周期の長さより
十分に長く設定する。これにより、複数周期に渡る多数
の干渉縞画像が得られる。
【0033】上記のようにして得られた複数の干渉縞画
像が平均化される。概念的には、複数の干渉縞画像から
同一座標の画素の画素値を抽出する。そして、これらの
画素値を足し合わせた総計を画像枚数で割る。この処理
を干渉縞画像の全画素について行う。これにより、平均
化された干渉縞画像が得られる。この平均化画像は、揺
れの中心にあるときの干渉縞の像を表す。なお、平均化
画像に対して、適当なしきい値を用いた画像処理を施し
て、より鮮明な画像を得ることも好適である。また、上
記の平均化処理は複数の画像を合成する処理の一種であ
るが、この平均化とは異なる他の適当な画像処理を用い
て最終的な干渉縞画像を得てもよい。
【0034】本実施形態によれば、上記のような手法に
より、加工中でも安定した干渉縞測定が実現される。こ
こに、一定方向の高速気体流を生成する吹付け器28
は、(1)クーラントおよび切粉を吹き飛ばして光照射
部位26を露出させる機能と、(2)干渉縞の揺らぎを
なくすのではなく、意識的に短い周期の揺らぎを発生さ
せることにより安定した測定を可能にする機能と、とい
う2つの機能を併せ持っている。
【0035】なお、室温、気圧、湿度などの要素に起因
して干渉縞がゆっくりと大きく変化する。これに対し、
上述のように、本実施形態の条件下では干渉縞が短い周
期で揺れるので、干渉縞を取り込む測定期間も短く設定
できる。従って、室温等の要因による影響を受けずに干
渉縞の測定を行うことができるという利点がある。
【0036】次に、図5は、上記の加工装置1の構成を
ブロック図のかたちで示している。図示のように、加工
装置を制御するコントローラ40が設けられている。コ
ントローラ40は、XYテーブル4を移動させるアクチ
ュエータを制御して、XYテーブル4をワーク50とと
もに移動させる。また、コントローラ40は、Z軸ヘッ
ド6に制御信号を出し、Z軸スピンドル8の回転駆動と
送り駆動を制御する(駆動、停止、駆動速度等)。これ
により、測定治具12のフライカッタ10が回転し、ワ
ーク50へ押しつけられ、回転速度や押しつけ量(押し
つけ力)が調整される。また、コントローラ40は、ク
ーラント供給装置42を制御し、加工時には、クーラン
トをフライカッタ10およびワーク50へ供給させる。
【0037】また、コントローラ40は、圧縮空気発生
器44を制御して、圧縮空気を発生させる。前述のよう
に、圧縮空気は、圧縮空気吹付け器28のパイプ36を
通り、ノズル32のスリット34から噴射される。
【0038】さらに、コントローラ40は、光干渉測定
装置18を制御する。測定装置18にはカメラ装置が内
蔵されており、干渉縞を撮影した画像がコントローラ4
0へ送られる。
【0039】コントローラ40には測定部46が設けら
れている。測定部46は画像処理部48と判定部49を
有する。画像処理部48では、光干渉測定装置18の出
力を基に、干渉縞の画像のデジタルデータが生成され
る。ここでは、前述のように所定の測定期間内に得られ
た同一場所の複数の画像に対して平均化処理を行うこと
により、平均化画像が生成される。判定部49は、干渉
縞の画像データを基に、表面性状(うねりなど)に関す
る判定を行う。
【0040】なお、図1および図3において、干渉縞を
観測できる範囲は、測定光の照射部位26に限られてい
る。従って、一カ所で測定を行っても、極めて狭い範囲
の干渉縞画像しか得られない。そこで、コントローラ4
0は、XYテーブル4を制御して、ワーク50を移動さ
せ、少しずつずれた複数の場所で干渉測定を行う。画像
処理部48では、このようにして得られた複数の場所の
干渉縞画像(平均化画像)が合成され、これにより適当
な広さの範囲の干渉縞画像が得られる。この合成方法や
干渉縞の解析方法については周知の技術を適用すればよ
い。例えば、特開平9−273908号公報、特願平9
−187763号公報、「光干渉計測法の最近の進歩」
(谷田貝豊彦、精密機械51/4/1985、65〜7
2頁)等に記載の方法を本実施形態に応用可能である。
【0041】また、コントローラ40には、出力装置と
してのディスプレイ52と、キーボード等の入力装置5
4が接続されている。ディスプレイ52には、画像処理
部48で生成された画像が表示される。入力装置54
は、作業者が、装置の運転、停止やその他の指示を入力
するための装置である。ディスプレイ52には、作業者
の操作に必要な画面表示も適宜行われる。
【0042】次に、本実施形態の加工装置1の動作を説
明する。まず、作業者により、ワーク50がクランプ装
置を用いてXYテーブル4に固定される。また、作業者
により、入力装置54を用いて、加工に関する各種の指
示が入力される。この指示には、ワーク50をどれだけ
加工するかの加工量(Z軸スピンドル8の全送り量に相
当)が含まれる。また、この時点で、初期の加工条件
(工具の送り速度、切込み量、切削速度等)が入力され
る。ここでは、デフォルト設定された加工条件が適用さ
れてもよい。
【0043】加工条件のうちの切込み量は、フライカッ
タ10をワーク50に押しつける量のことである。フラ
イカッタ10のバイト12の先端とワーク50が単に丁
度接触している状態では、バイト12がワーク50に食
い込まないために加工が行われない。バイト12をワー
ク50へある程度押しつけ、食い込ませることにより、
ワーク50の表面が削りとられる。このときの押しつけ
量が、切込み深さである。切込み量が大きいと、加工時
の振動発生等に起因して加工面のうねりが大きくなり、
表面形状が悪化する。一方、切込み量が小さいと、その
分だけ加工時間が長くなる。切込み量の初期値は、標準
的な条件の下で表面形状が悪化しない範囲で大きな値に
設定される。
【0044】作業者は、入力装置54を用いて加工開始
を指示する。コントローラ40は、XYテーブル4を制
御して、ワーク50をZ軸スピンドル8の下方に位置さ
せる。コントローラ40の制御により、初期の加工条件
に従って、Z軸スピンドル8が回転しながら下方へ送ら
れ、バイト12がワーク50に適量切込んだ状態でXY
テーブル4が制御され、加工が行われる。加工開始後
は、光干渉測定の測定結果を利用して、加工条件の手動
調整または自動調整が行われる。測定は、加工中、すな
わち、フライスカッタ10が回転した状態で行われる。
【0045】[手動調整]加工が開始してから適当な時
間が経過すると、作業者が入力装置54を用いて測定実
行を指示する。あるいは、測定は、所定時間の経過時
点、または、所定量だけ加工された時点(所定の送り量
だけZ軸スピンドル8が移動した時点)で、コントロー
ラ40により自動的に行われてもよい。
【0046】コントローラ40は、XYテーブル4を制
御してワーク50を移動させ、測定光が所定の光照射部
位26に当たるようにする。また、圧縮空気吹付け器2
8のノズル32が移動され、光照射部位26に対して所
定の位置にセットされる。次に、コントローラ40の制
御により、圧縮空気発生器44が圧縮空気を発生する。
圧縮空気は、圧縮空気吹付け器28のパイプ36を通
り、ノズル32のスリット34から噴射される。これに
より、光照射部位26にはワーク表面に沿った一定方向
の高速空気流が発生する。この状態で、光干渉測定装置
18により測定が行われる。前述のように、所定の測定
時間の間に複数枚の画像が撮影され、順次コントローラ
40に送られる。また、XYテーブル4を移動させるこ
とにより、少しずつずれた複数の場所を対象として測定
が順次行われる。
【0047】コントローラ40の画像処理部48では、
光干渉測定装置18から順次送られる画像が記録され
る。記録された複数枚の画像を基に、平均化処理や合成
処理が行われ、最終的な干渉縞画像が生成される。この
画像を用いて、判定部49は、うねり等の表面性状を判
定する。表面性状の判定結果は、干渉縞画像とともにデ
ィスプレイ52に表示される。
【0048】作業者は、ディスプレイ52の表示を見
て、必要に応じて、入力装置54を用いて加工条件の調
整を行う。例えば、作業者は、表面性状の内のうねりに
注目して、うねりが最小になるように初期の研削条件を
修正する。これにより、ワーク50の平面度を高くする
ことができる。
【0049】加工条件の調整が終わると、コントローラ
40は、光干渉測定装置18に測定光の照射を停止さ
せ、また、圧縮空気発生器44に対して、圧縮空気の発
生を停止させる。
【0050】好ましくは、上記の測定や加工条件調整
は、適当な間隔をおいて複数回行われる。また、上記に
おいては、測定の際のみ圧縮空気が噴出されたが、圧縮
空気が常に噴出されていてもよい。また、光干渉測定
が、間隔をおかずに連続的に行われてもよい。
【0051】コントローラ40は、加工条件が変更され
なければ、初期の加工条件を維持する。加工条件の変更
が指示されれば、その指示に従う。コントローラ40
は、加工を継続し、最初に入力された加工量が達成され
た時点で加工を終了する。
【0052】[自動調整]自動調整の場合、測定は、コ
ントローラ40により自動的に行われる。測定タイミン
グは、加工開始から所定時間の経過時点、または、所定
量だけ加工された時点(所定の送り量だけZ軸スピンド
ル8が移動した時点)である。
【0053】測定タイミングがくると、コントローラ4
0は、上記の手動調整の場合と同様の測定処理を実行す
る。測定部46では、干渉縞画像から表面性状が求めら
れる。そして、適切な表面性状が得られるように加工条
件が自動調整される。
【0054】例えば、判定部49は、表面性状の内のう
ねりを求め、このうねりの大きさを適当な基準値と比較
する。うねりが基準値より小さければ、コントローラ4
0は、現在の加工条件を維持する。うねりが基準値より
大きければ、コントローラ40は、切込み量を下げるな
ど(シフト)、加工条件を調整して、うねりを低減す
る。また別の第2の基準値とうねりを比較し、この第2
の基準値よりもうねりが小さければ、加工時間を短縮し
ても問題ないと判断して、切込み量等を増大させてもよ
い。上記の基準値が複数設けられ、複数段階で加工条件
が調整されてもよい。さらに、表面性状に応じて加工条
件が連続的に調整されてもよい。
【0055】また、判定部49は、加工面が異常に歪ん
でいないかを調べる。クランプ装置がワーク50をクラ
ンプする力が強すぎたり、この力が複数の箇所にてアン
バランスであると、ワーク50が異常に歪むことがあ
る。異常な歪みが検出されたときは、コントローラ40
は、加工を停止し、「異常歪み発生」をディスプレイ5
2に表示して作業者に知らせる。なお、この処理は、加
工開始時点でも行うことが好ましい。
【0056】なお、測定および加工条件の調整は、手動
調整の場合と同様に、適当な間隔をおいて複数回行うこ
とが好適である。また、圧縮空気の噴出が継続的に行わ
れてもよい。また、光干渉測定が、間隔をおかずに継続
的に行われてもよい。そして、表面性状が常時監視さ
れ、表面性状の変化に応じて加工条件が調整されてもよ
い。
【0057】コントローラ40は、上記のようにして必
要に応じて加工条件を調整しながら加工を行い、最初に
入力された加工量が達成された時点で加工を終了する。
Z軸スピンドル8は引き上げられ、停止される。
【0058】以上、本発明の好適な実施形態を説明し
た。本実施形態によれば、圧縮空気吹付け器が設けら
れ、ワーク表面に沿った一定方向の高速気体流が光照射
部位に生成され、これにより、加工中であっても安定し
た良好な光干渉測定結果が得られる。従って、加工途中
でワークを加工装置から取り外して測定器にセットする
といった段取り替え作業が不要となり、加工時間や加工
コストを低減することが可能となる。
【0059】また、加工中に加工条件の良否や加工精度
の判断を容易に行うことができ、この判断に基づいて、
加工精度を向上することが可能となり、また、不良加工
発生を未然に防止することが可能となる。
【0060】また、本実施形態によれば、ワーククラン
プにより発生する歪みを観察することができる。これに
より、クランプに起因する異常歪みが検出され、この点
でも加工不良の未然防止が可能となる。
【0061】また、本実施形態によれば、光干渉測定の
結果を加工条件に帰還して加工条件の自動調整が行わ
れ、これにより加工精度の向上を図ることができる。従
来は加工条件の調整は作業者の判断で行われ、作業者の
技能により加工精度にばらつきが発生することがあっ
た。これに対し、本実施形態では、作業者の技能に依存
しないで高精度加工を行うことができる。また、加工条
件の調整により、可能な範囲で加工速度を増大すること
ができ、この点でも本実施形態の装置は加工時間の短縮
に寄与することができる。
【0062】本実施形態の変形例を説明する。本実施形
態では、圧縮空気吹付け器28のノズル32が、干渉光
路24を挟んで2つ設けられている。これに対し、ノズ
ル32の数は、必要に応じた適当な数でよく、例えば、
どちらか一方のノズル32だけが設けられてもよい。ま
た、保護カバー板は、干渉光路24を囲む形態であって
も良い。
【0063】本実施形態では、高速気体流を形成するた
めに空気が用いられたが、その他の気体が用いられても
よい。また、干渉光は光ファイバーにより導波しても良
い。
【0064】本実施形態では、光干渉測定が行われた。
これに対し、他の光測定が行われてもよい。例えば、レ
ーザ式のインジケータによってワーク50の表面の位置
(高さ)が測定されてもよく、この場合でも本発明の効
果が、上記の実施形態と同様に好適に得られる。
【0065】また、本実施形態では、本発明が鏡面加工
に適用されたが、本発明の範囲内で他の種類の加工にも
同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の加工装置を示す図であ
る。
【図2】 図1の加工装置のフライカッタを示す図であ
る。
【図3】 図1の加工装置のフライカッタおよびワーク
とともに本実施形態の圧縮空気吹付け器を示す図であ
る。
【図4】 圧縮空気吹付け器を拡大して示す図である。
【図5】 図1の加工装置の構成を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
1 加工装置、2 装置ベース、4 XYテーブル、6
Z軸ヘッド、8 Z軸スピンドル、10 フライカッ
タ、12 バイト、14 クーラント供給タンク、16
クーラント供給管、18 光干渉測定装置、20 ミ
ラー、22 光軸、24 干渉光路、26 光照射部
位、28 圧縮空気吹付け器、30 保護カバー板、3
2 ノズル、34 スリット、36 パイプ、40 コ
ントローラ、42 クーラント供給装置、44 圧縮空
気発生器、46 測定部、48 画像処理部、49 判
定部、52 ディスプレイ、54 入力装置。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークを保持する保持手段と、 前記ワークを加工する加工手段と、 前記ワークに対して加工液を供給する加工液供給手段
    と、 前記ワークの表面の光照射部位に光を照射することによ
    り光計測を行う計測手段と、 前記光照射部位の上にワーク表面に沿った一定方向の高
    速気体流を発生させる気体流発生手段と、 を含み、前記高速気体流により光計測対象部位の加工液
    を排除して加工中の光計測を可能にすることを特徴とす
    るインプロセス計測機能付き加工装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、 前記気体流発生手段は、 前記ワークの表面の近傍にワーク表面と平行な細長形状
    の噴射スリットを有するノズル部と、 このノズル部に圧縮気体を供給して前記噴射スリットか
    ら噴射させる気体供給パイプ部と、 を含むことを特徴とするインプロセス計測機能付き加工
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の装
    置において、 加工工具とワーク表面の前記光照射部位の間に設けられ
    た保護カバーを有し、 この保護カバーは、ワーク表面に対して立設され、加工
    工具から前記光照射部位への加工液の飛散を阻止して、
    前記高速気体流の乱れを防止することを特徴とするイン
    プロセス計測機能付き加工装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記計測手段による測定結果の帰還により、前記加工手
    段の加工条件を自動調整する加工制御手段を含むことを
    特徴とするインプロセス計測機能付き加工装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記計測手段は、前記ワークの表面性状を測定する光干
    渉式測定器であることを特徴とするインプロセス計測機
    能付き加工装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記計測手段は、ワーク表面の位置を測定するレーザ式
    測定器であることを特徴とするインプロセス計測機能付
    き加工装置。
  7. 【請求項7】 加工対象のワークの表面に光を照射する
    ことにより光計測を行う光計測方法であって、 前記ワークが加工装置に保持された状態で、前記ワーク
    の表面上における前記光計測のための光照射部位にワー
    ク表面に沿った一定方向の高速気体流を発生させること
    により、前記ワークに供給される加工液を前記光照射部
    位から排除し、加工中の光計測を可能にすることを特徴
    とする光計測方法。
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