JPH11287297A - 内燃機関の振動低減装置 - Google Patents

内燃機関の振動低減装置

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JPH11287297A
JPH11287297A JP9034998A JP9034998A JPH11287297A JP H11287297 A JPH11287297 A JP H11287297A JP 9034998 A JP9034998 A JP 9034998A JP 9034998 A JP9034998 A JP 9034998A JP H11287297 A JPH11287297 A JP H11287297A
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crankshaft
gear
planetary gear
combustion engine
internal combustion
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JP9034998A
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English (en)
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Izuho Hirano
野 出 穂 平
Naoki Takahashi
橋 直 樹 高
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンのロール振動を高い周波数領域まで
低減でき、又、小型化等が図れる振動低減装置を提供す
る。 【解決手段】 サンギヤ14とサンギヤ14に噛合する
ようにキャリア16に保持されたプラネタリギヤ15と
プラネタリギヤ15に噛合するインターナルギヤ17と
を含む遊星歯車機構と、この遊星歯車機構の作動により
回転させられて慣性力を生じる副フライホイール20と
を備え、インターナルギヤ17をクランクシャフト12
と同軸上にて一体的に回転するようにクランクシャフト
12に固着し、キャリア16をプラネタリギヤ15の公
転を禁止するようにエンジン本体11に固定し、副フラ
イホイール20をクランクシャフト12の回転方向と反
対の方向にサンギヤ14と共に一体的に増速回転するよ
うに形成して、ロール振動を低減するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の回転に
より発生する内燃機関自体の振動を低減する振動低減装
置に関し、特に、クランクシャフトと逆回りに回転する
慣性質量体を用いて内燃機関自体のロール振動を低減す
る内燃機関の振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の環境問題に対応した自動車の燃費
向上への関心の高まりから、自動車に搭載される内燃機
関(エンジン)として、燃料を直接筒内に噴射する直噴
ガソリンエンジンや直噴ディーゼルエンジンが脚光を浴
びつつあるが、これらのエンジンは、従来のエンジンに
比べ燃焼加振力が大きいためトルク変動に伴うロール振
動も大きくなっており、このロール振動に起因するアイ
ドリング時の車内のこもり音や車体のフロア振動が悪化
するという問題を抱えている。
【0003】このような問題を解決する一手法として、
例えば、特開平6−42591号公報、特開平6−50
388号公報に示されているように、クランクシャフト
直付けのフライホイールと逆回転する別個の副フライホ
イールを追加することにより、トルク発生の反作用とし
てエンジン本体に作用するモーメントと逆方向のモーメ
ントを発生させ、エンジン本体のロール振動を低減させ
る振動低減装置がある。
【0004】また、上記振動低減装置では、エンジンの
質量増加や副フライホイールを配置するための空間確保
の問題等を招くことから、これらの問題を解消する手法
として、例えば、特開平7−35199号公報等に示さ
れているように、副フライホイールといった新規の重量
物を追加することなく、エンジンの補機という既存の慣
性質量体を有効に活用してエンジンのロール振動を低減
させる振動低減装置がある。
【0005】この特開平7−35199号公報に開示の
振動低減装置は、図8及び図9に示すように、エンジン
1のクランクシャフト2とクランクプーリ3との間に、
インターナルギヤ4,プラネタリギヤ5,サンギヤ6等
からなる遊星歯車機構を介在させ、クランクシャフト2
と遊星歯車機構のインターナルギヤ4とを一体的に回転
するように連結し、クランクプーリ3と遊星歯車機構の
サンギヤ6とを一体的に回転するように連結し、遊星歯
車機構のプラネタリギヤ5の公転を禁止して、クランク
プーリ3にクランクシャフト2の回転方向と反対方向の
回転を行なわせるように構成し、さらに、この逆回転す
るクランクプーリ3と、オルタネータ8のプーリ9とを
ベルト3により連動させて、オルタネータ8の慣性質量
体をクランクシャフト2の回転方向と反対の方向に回転
させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平7−35199号公報に開示の振動低減装置におい
ては、ロール振動を打ち消すためのキャンセルトルクを
発生させる慣性質量体としてオルタネータ等の補機に依
存していることから、これら補機をクランクシャフトに
対して増速逆回転させるためには補機の新たな設計が必
要になり、従来のエンジンに適用されていた補機を用い
ることができず、又、補機に駆動力を伝えるベルトが伸
縮共振振動を生じるような運転領域では、却ってロール
振動を悪化させることになるという問題があった。
【0007】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、
高い周波数領域までロール振動の低減を図ることがで
き、又、補機類の新たな設計を必要とせず、さらに、遊
星歯車機構の設置空間を狭くして装置全体としての小型
化を図ることができるような内燃機関の振動低減装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る内燃機関の
振動低減装置は、請求項1に記載しているように、サン
ギヤと前記サンギヤに噛合するようにキャリアに保持さ
れたプラネタリギヤと前記プラネタリギヤに噛合するイ
ンターナルギヤとを含む遊星歯車機構と、前記遊星歯車
機構の作動により回転させられて慣性力を生じる慣性質
量体とを備えて、クランクシャフトの回転に伴なう内燃
機関のロール振動を低減させるようにした内燃機関の振
動低減装置であって、前記インターナルギヤは、前記ク
ランクシャフトと同軸上にて一体的に回転するように前
記クランクシャフトに固着され、前記キャリアは、前記
プラネタリギヤの公転を禁止するように固定され、前記
慣性質量体は、前記クランクシャフトの回転方向と反対
の方向に前記サンギヤと共に一体的に回転するように形
成された、構成となっている。
【0009】また、請求項2に記載しているように、請
求項1に係る内燃機関の振動低減装置において、前記慣
性質量体が前記サンギヤと一体的に形成された、構成と
なっている。
【0010】また、請求項3に記載しているように、請
求項1及び2に係る内燃機関の振動低減装置において、
前記サンギヤが、前記クランクシャフトと同軸上にて回
転するように前記クランクシャフトに支持された、構成
となっている。
【0011】また、請求項4に記載しているように、請
求項1ないし3に係る内燃機関の振動低減装置におい
て、前記インターナルギヤの固着部が、前記クランクシ
ャフトの軸線方向において、前記プラネタリギヤよりも
先端寄りに配置された、構成となっている。
【0012】また、請求項5に記載しているように、請
求項1ないし4に係る内燃機関の振動低減装置におい
て、補機の駆動に用いるクランクプーリが前記クランク
シャフトと一体的に回転するように固着された、構成と
なっている。
【0013】また、請求項6に記載しているように、請
求項5に係る内燃機関の振動低減装置において、前記ク
ランクプーリが、前記クランクシャフトの軸線方向にお
いて、前記遊星歯車機構よりも先端寄りに配置された構
成となっている。
【0014】さらに、請求項7に記載しているように、
請求項1ないし6に係る内燃機関の振動低減装置におい
て、前記インターナルギヤに対する前記サンギヤの増速
比を略3とする、構成となっている。
【0015】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る内燃機関の振動
低減装置によれば、クランクシャフトが回転すると、こ
のクランクシャフトと一体的に遊星歯車機構のインター
ナルギヤが回転し、このインターナルギヤ及びサンギヤ
に噛合しかつ公転が禁止されたプラネタリギヤを介し
て、サンギヤがクランクシャフトの回転方向と反対の方
向に増速されて逆回転することになる。そして、この増
速逆回転するサンギヤと共に慣性質量体が増速逆回転し
て、ロール振動の根源であるトルク反力を打ち消すキャ
ンセルトルクとして作用することになる。
【0016】すなわち、キャンセルトルクを生じる慣性
質量体には、クランクシャフトに直付けされたインター
ナルギヤ,プラネタリギヤ,及びサンギヤという歯車伝
達機構により回転駆動力が伝えられるため、従来のベル
ト駆動の場合におけるベルトの共振振動等の問題を生じ
ることなく、高い周波数帯域(高いエンジン回転数領
域)まで、確実にロール振動を低減することができる。
【0017】本発明の請求項2に係る内燃機関の振動低
減装置によれば、サンギヤと慣性質量体とが一体的に形
成されていることから、このサンギヤと慣性質量体とが
一体となった状態で回転バランスの調整等を行なうこと
ができるため、別々に形成されたサンギヤと慣性質量体
とを後でボルト等により結合するものに比べて、組み付
け時のアラインメントを高精度に管理する必要がなく、
よって、組み付けの容易化、回転バランスの高精度化を
達成することができる。
【0018】本発明の請求項3に係る内燃機関の振動低
減装置によれば、サンギヤがクランクシャフトと同軸上
にて回転するようにクランクシャフトに支持されている
ことから、サンギヤの軸受け等をクランクシャフトの外
周面上に取り付け、さらにサンギヤを取り付けることに
より、その組み付けを行なうことができ、組み付け作業
の容易化、クランクシャフトの軸線を基準とした組み付
けの高精度化等を達成することができる。
【0019】本発明の請求項4に係る内燃機関の振動低
減装置によれは、遊星歯車機構をクランクシャフトまわ
りに取り付ける際に、径方向において最も内側にあるサ
ンギヤを取り付け、続いて、プラネタリギヤを取り付
け、これらサンギヤ及びプラネタリギヤの噛合状態を確
認しながら、径方向において最も外側にギヤを持つイン
ターナルギヤをクランクシャフトの先端側から近づけて
取り付けることができるため、この遊星歯車機構を取り
付けあるいは取り外す際の脱着作業性あるいは整備性を
向上させることができる。
【0020】また、これらサンギヤ,プラネタリギヤ,
及びインターナルギヤそれぞれの噛合領域に、エンジン
の潤滑油(オイル)を導いてギヤのオイル潤滑を行なう
場合であっても、最大径のインターナルギヤの壁面とエ
ンジン本体の壁面とで油密空間を形成することができ、
これにより、潤滑油の飛び散り等を防止することができ
る。
【0021】本発明の請求項5に係る内燃機関の振動低
減装置によれば、補機等の駆動に用いるクランクプーリ
をクランクシャフトに直付けしたことから、補機をクラ
ンクシャフトの回転方向と同一方向に順回転させること
ができる。従って、従来技術のように増速逆回転させる
ような補機を新たに設計及び製造する必要がなく、順回
転用の既存の補機を適用することで製品コストの低減を
達成することができる。
【0022】本発明の請求項6に係る内燃機関の振動低
減装置によれば、遊星歯車機構に対して、クランクシャ
フトの先端側にクランクプーリを配置することから、ク
ランクプーリの脱着作業性あるいは整備性を向上させる
ことができる。
【0023】本発明の請求項7に係る内燃機関の振動低
減装置によれば、インターナルギヤに対するサンギヤの
増速比を略3とすることから、インターナルギヤの内側
に位置するプラネタリギヤとサンギヤとのピッチ円直径
をほぼ同一の寸法にすることができる。従って、このプ
ラネタリギヤとサンギヤとのピッチ円直径を製造及び機
能上許容される最小の寸法とすることにより、インター
ナルギヤのピッチ円直径をも最小の寸法とすることがで
き、これにより、遊星歯車機構の設置に要する空間を最
小化し、装置全体(エンジン)としての小型化を達成す
ることができ、エンジンを車両へ搭載する際の搭載性を
向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面
に基づいて説明する。
【0025】図1は、ハイブリット車両に搭載されるエ
ンジン等のように、補機をエンジンの駆動力により駆動
するのではなく別置きの電動発電機により電気駆動する
エンジンに適用した本発明に係る振動低減装置の一実施
例を示す概略構成図である。この振動低減装置10にお
いては、図1に示すように、エンジン本体11に回動自
在に設けられたクランクシャフト12のうち、エンジン
本体11の端面11aから突出した第1縮径部12a
に、ニードルベアリング13を介して、遊星歯車機構の
一部を形成するサンギヤ14が回動自在に支持されてい
る。
【0026】そして、このサンギヤ14のまわりには、
遊星歯車機構の一部を形成する3個のプラネタリギヤ1
5がサンギヤ14と噛合するように配置されている。こ
のプラネタリギヤ15は、エンジン本体11の端面11
aに固着されたキャリア16に回動自在に、すなわち、
サンギヤ14の周方向において等間隔(例えば、中心角
120度)で配置されたキャリア16の3本(図中では
2本だけ示す)の支軸16aに回動自在に支持されかつ
ストッパ片16bにより支軸16aからの脱落が防止さ
れている。ここで、プラネタリギヤ15を支持するキャ
リア16がエンジン本体11に対して固定されているこ
とから、プラネタリギヤ15は、サンギヤ14回わりの
公転が禁止された状態となっている。
【0027】さらに、クランクシャフト12の軸線方向
Lにおいて第1縮径部12aに続いて形成されたより小
径の第2縮径部12bには、遊星歯車機構の一部を形成
するインターナルギヤ17が、3つのプラネタリギヤ1
5と噛合するように、その固着部17aが外嵌され、第
2縮径部12bに形成されたねじ穴12cに対して締付
けボルト18が取り付けられて、固着部17aの両端面
が、締付ボルト18のツバ部とクランクシャフト12の
段差部端面12dとにより挾まれて固定された状態とな
っている。すなわち、インターナルギヤ17は、第2縮
径部12bとの嵌合によりその径方向における位置決め
がなされ、又、締付ボルト18のツバ部と段差部端面1
2dとの挾持により軸線方向Lにおける位置決めがなさ
れて、クランクシャフト12に固着された状態となって
いる。
【0028】これらサンギヤ14、プラネタリギヤ1
5、インターナルギア17等からなる遊星歯車機構は、
カバー19により覆われて、回転体であるインターナル
ギヤ17に対して他の部品等が干渉しないように、又、
ゴミ,粉塵、あるいは泥水等が、遊星歯車機構の内部に
侵入しないようにシールされている。
【0029】また、上記遊星歯車機構においては、エン
ジン本体11に設けられた潤滑油経路(不図示)から導
かれる潤滑油が、サンギヤ14とプラネタリギヤ15と
の噛み合い領域、及びプラネタリギヤ15とインターナ
ルギヤ17との噛み合い領域に供給されて潤滑作用が行
なわれるようになっており、この潤滑作用に用いられた
潤滑油は、エンジン本体11のオイルパン(不図示)に
戻されて、再びオイルフィルタ(不図示)を通り潤滑油
経路に導かれるようになっている。
【0030】この際、サンギヤ14とプラネタリギヤ1
5との噛み合い部分、及びプラネタリギヤ15とインタ
ーナルギヤ17との噛み合い部分は、インターナルギヤ
17を形成する壁面とエンジン本体11の端面11a等
により囲まれた空間内にあるため、潤滑油の外部への飛
び散り等が防止された状態となっており、又、カバー1
9にて完全にシールすることにより、外部への潤滑油の
洩れを防止することができる。
【0031】さらに、上記遊星歯車機構の一部を形成す
るサンギヤ14には、回転により慣性力を生じる慣性質
量体としての副フライホイール20が一体的に形成され
ている。この副フライホイール20は、サンギヤ14と
一体的に形成されていることから、プラネタリギヤ15
を介してインターナルギヤ17すなわちクランクシャフ
ト12の回転方向と反対の方向に、増速逆回転させられ
るようになっている。すなわち、クランクシャフト12
が一方向に回転すると、このクランクシャフト12と同
一の回転数(回転速度)で同一方向にインターナルギヤ
17が回転し、このインターナルギヤ17に噛合してク
ランクシャフト12と同一方向に回転するプラネタリギ
ヤ15を介して、サンギヤ14が、後述する増速比ρの
分だけ(クランクシャフト12の回転数のρ倍の回転数
に)増速されて、クランクシャフト12の回転方向と逆
の方向に回転し、副フライホイール20もサンギヤ14
と共に増速逆回転することになる。尚、この副フライホ
イール20は、一体形成でなく、サンギヤ14に対して
ボルト等により締結固定される構成であってもよい。
【0032】次に、上記遊星歯車機構及び副フライホイ
ール20の作用について図2に基づき説明する。図2
(a)に示すように、エンジン本体11が燃焼時の爆発
力によりトルクT(Tは時間の関数)を発生していると
すると、クランクシャフト12と直結されたインターナ
ルギヤ17には、上記トルクT、プラネタリギヤ15か
らの抗力N、及びこの抗力Nをその回転軸部で支える結
果生じる反力Nが作用する。
【0033】また、プラネタリギヤ15の慣性モーメン
トが十分小さいと仮定すると、このプラネタリギヤ15
には、インターナルギヤ17からの駆動力N、サンギヤ
14からの抗力N、及びこの駆動力Nと抗力Nとをその
回転軸部で支える結果生じる反力2Nが作用する。
【0034】さらに、サンギヤ14には、プラネタリギ
ヤ15からの駆動力N、及びこの駆動力をその回転軸部
で支える結果生じる反力Nが作用する。
【0035】一方、エンジン本体11には、図2(b)
に示すように、上記爆発力により生じるトルクTの反作
用として生じる反トルク−Tと、各ギヤの回転軸部に発
生する反力の反作用として生じる力とが作用する。この
力は、大きさが2Nで、モーメントアーム長がR+R
(ここで、Rはサンギヤ14のピッチ円半径、R
はプラネタリギヤ15のピッチ円半径を示す)であり、
エンジン本体11の反トルク−Tの逆向きの偶力として
作用する。この偶力が反トルク−Tを打ち消すキャンセ
ルトルクとして作用し、その結果、エンジン本体11の
ロール振動が低減されることになる。
【0036】ここで、エンジン本体11のロール軸まわ
りの慣性モーメントをΙ、エンジン本体11のロール変
位角をφ、エンジン本体11の回転系(フライホイール
又はドライブプレート、クランクシャフト12、コネク
ティングロッド回転相当部、及びインターナルギヤ1
7)の慣性モーメントをΙ、サンギヤ14及び副フラ
イホイール20の慣性モーメントをΙ、インターナル
ギヤ17に対するサンギヤ14の増速比をρ(=R
;ここで、Rはインターナルギヤ17のピッチ円
半径、Rはサンギヤ14のピッチ円半径を示す)とす
ると、エンジン本体11のロール振動に関する運動方程
式は、次式(1)で表わされる。
【0037】 上記式(1)から理解されるように、右辺のTに掛かる
係数(Ι−ρΙ)/(Ι+ρΙ)が0に近づ
くほど、ロール振動の低減代は大きくなる。すなわち、
次式(2)、 Ι=ρΙ ・・・(2) を満足するように、エンジン本体11の回転系の慣性モ
ーメントΙに対して、インターナルギヤ17及びサン
ギヤ14のピッチ円半径R,R、サンギヤ14及び
副フライホイール20の慣性モーメントΙを設定すれ
ば、ロール振動を最も低減することができる。
【0038】図3は、直列4気筒直噴ガソリンエンジン
において、本実施例に係る振動低減装置を適用した場合
の振動特性を、従来技術等との比較において表わしたも
のである。図3に示すように、従来のベルト駆動形式に
よる振動低減装置を適用した場合は、エンジン回転数が
2000rpm前後の領域において、ロール振動のエン
ジン回転2次成分が10dB以上悪下しているのに対し
て、本実施例に係る振動低減装置を適用した場合は、エ
ンジン回転数の高い領域までロール振動の2次成分が低
減されている。
【0039】このように、本実施例に係る振動低減装置
は、従来の如き伸縮共振振動を生じるベルト等を採用す
るのではなく、クランクシャフト12の回転力を遊星歯
車機構により増速させた逆回転力として副フライホイー
ル20に伝えることにより、キャンセルトルクを発生さ
せるような構成を採用しているため、ベルトの伸縮共振
等の影響を受けることなく、高いエンジン回転域まで効
率良くロール振動を低減させることができる。
【0040】次に、インターナルギヤ17(すなわちク
ランクシャフト12)に対するサンギヤ14の増速比ρ
の選定について図4に基づき説明する。ここで、増速比
ρ=R/R、Rはインターナルギヤ17のピッチ
円半径、Rはサンギヤ14のピッチ円半径、Rはプ
ラネタリギヤ15のピッチ円半径とする。
【0041】図4から明らかなように、各半径の間には
次式(3)の関係が成立する。
【0042】 R=R+2R=ρR ・・・(3) (3)式より (5)式から、ρが3未満の場合は、RはRより小
さく、ρが3以上の場合は、その逆になることがわか
る。(4)式を用いて、RをRで表わすと、 となる。ここで、歯車の設計及び製造が可能な限界の最
小ピッチ円半径Rminが存在すると仮定すると、各増
速比において、Rを最小にする条件は、(4)〜
(6)式から、 となる。(7)式を図示すると、図5のようになり、ρ
=3の場合にRは最小となることがわかる。
【0043】よって、増速比ρを3近傍に設定すること
により、振動の低減効果を得ると共に、上述の如き小型
化を行なうことができる。
【0044】また、ρが小さい場合は、プラネタリギヤ
15のエンジン回転(クランクシャフト12の回転)に
対する増速比が高くなり、ρが大きい場合は、サンギヤ
14のエンジン回転に対する増速比が高くなり、それぞ
れ潤滑を困難にする要因となるが、ρ=3の場合は、両
者の増速比が各々3となり最小にできるため、潤滑・耐
久性の面でもρ=3は最適値となる。
【0045】図6は、補機をエンジンの駆動力すなわち
クランクシャフトの駆動力を利用して作動させるエンジ
ンに対して適用した本発明に係る振動低減装置の他の実
施例を示す概略構成図である。この振動低減装置30
は、図6に示すように、クランクシャフト12の第1縮
径部12aに対してニードルベアリング13を介してこ
のクランクシャフト12の軸線回わりに回動自在に支持
されたサンギヤ14と、このサンギヤ14に噛合するよ
うにかつサンギヤ14回わりの公転を禁止するようにキ
ャリア16(支軸16a)に回動自在に支持されたプラ
ネタリギヤ15と、このプラネタリギヤ15に噛合する
ようにしてクランクシャフト12の第2縮径部12b´
にその固着部17aが外嵌固着されたインターナルギヤ
17と、上記サンギヤ14に一体的に形成された慣性質
量体としての副フライホイール20等を備えている点は
前述の実施例と同様である。
【0046】また、本実施例の振動低減装置30におい
ては、上記構成に加えて、クランクシャフト12の第2
縮径部12b´に外嵌されたインターナルギヤ17を覆
うように、第2縮径部12b´と同軸上に中心をもつ円
孔21aを有するカバー21が、キャリア16に対して
密接に取り付けられている。
【0047】さらに、クランクシャフト12の第2縮径
部12b´には、その軸線方向Lにおいてインターナル
ギヤ17よりも先端側からベルト駆動用の例えばV溝2
2bを有するクランクプーリ22が外嵌され、第2縮径
部12b´に形成されたねじ穴12cに螺合された締付
ボルト18により固定されている。すなわち、インター
ナルギヤ17は、クランクシャフト12の段差部端面1
2dとクランクプーリ22のボス部22aの内側端面と
に挟まれて、クランクシャフト12の軸線方向Lにおけ
る位置決めがなされており、又、クランクプーリ22
は、インターナルギヤ17の外側端面と締付ボルト18
のツバ部とに挟まれて、同様にクランクシャフト12の
軸線方向Lにおける位置決めがなされている。
【0048】また、上記カバー21の円孔21aとクラ
ンクプーリ22のボス部22a外周面との間には、円環
状のオイルシール23が設けられており、サンギヤ1
4、プラネタリギヤ15、インターナルギヤ17それぞ
れの噛合領域に供給される潤滑油がカバー21の外部に
洩れ出さないように、又、外部からゴミ、粉塵、泥水等
が侵入しないようにシールされている。
【0049】尚、上記潤滑油は、前述実施例同様に、エ
ンジン本体11に設けられた潤滑油経路(不図示)か
ら、エンジン本体11の端面11a,キャリア16,カ
バー21,オイルシール23等で形成される密閉空間内
に導かれて、噛合領域に供給され、その後エンジン本体
11のオイルパン(不図示)に戻されて、再びオイルフ
ィルタ(不図示)を通り潤滑油経路に導かれるようにな
っている。
【0050】本実施例においては、補機の駆動に用いる
クランクプーリ22をクランクシャフト12に直付けし
たことから、用いられる補機はクランクシャフト12の
回転方向と同一方向に順回転するように構成することが
でき、よって、従来技術のように増速逆回転させるよう
な補機を新たに設計する必要がなく、既存の補機を流用
することで、製品コストの低減を達成することができ
る。
【0051】図7は、本発明に係る振動低減装置のさら
に他の実施例を示す概略構成図である。この実施例に係
る振動低減装置40は、図6に示す振動低減装置30の
クランクプーリ22の代わりに、スペーサ24が組み込
まれた構成となっている。このように、スペーサ24を
組み込むことによって、補機を別置きの電動発電機によ
り駆動する例えばハイブリッド車両等に搭載するエンジ
ンを構成することができる。
【0052】すなわち、補機をエンジンの駆動力により
駆動するエンジンの場合は、図6に示すようにクランク
プーリ22を組み付け、一方、補機を電動発電機等によ
り駆動するエンジンの場合は、図7に示すようにスペー
サ24を組み付けることで、それぞれエンジン仕様に対
応した振動低減装置を構成することができ、これらクラ
ンクプーリ22及びスペーサ24以外の構成部品、例え
ば、クランクシャフト12、カバー21等の共用化が図
れ、製品の低コスト化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の振動低減装置の第1
の実施例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明に係る振動低減装置の作用を説明する
ための図であり、(a)は遊星歯車機構のそれぞれのギ
ヤに作用する力関係を示す模式図、(b)はエンジン本
体に作用する力関係を示す模式図である。
【図3】 本発明に係る振動低減装置の振動低減特性を
示すグラフである。
【図4】 本発明に係る振動低減装置の一部を構成する
遊星歯車機構の増速比を説明するための模式図である。
【図5】 本発明に係る振動低減装置の一部を構成する
遊星歯車機構の増速比とインターナルギヤのピッチ円半
径の大きさとの関係を示すグラフである。
【図6】 本発明に係る内燃機関の振動低減装置の第2
の実施例を示す概略構成図である。
【図7】 本発明に係る内燃機関の振動低減装置の第3
の実施例を示す概略構成図である。
【図8】 従来の振動低減装置を示す概略構成図であ
る。
【図9】 従来の振動低減装置を備えたエンジンの正面
図である。
【符号の説明】
10 振動低減装置 11 エンジン本体 11a 端面 12 クランクシャフト 12a 第1縮径部 12b,12b´ 第2縮径部 12c ねじ穴 12d 段差部端面 13 ニードルベアリング 14 サンギヤ 15 プラネタリギヤ 16 キャリア 16a 支軸 16b ストッパ片 17 インターナルギヤ 17a 固着部 18 締付ボルト 19 カバー 20 副フライホイール(慣性質量体) 21 カバー 21a 円孔 22 クランクプーリ 22a ボス部 22b V溝 23 オイルシール 24 スペーサ 30,40 振動低減装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンギヤと前記サンギヤに噛合するよう
    にキャリアに保持されたプラネタリギヤと前記プラネタ
    リギヤに噛合するインターナルギヤとを含む遊星歯車機
    構と、前記遊星歯車機構の作動により回転させられて慣
    性力を生じる慣性質量体とを備えて、クランクシャフト
    の回転に伴なう内燃機関のロール振動を低減するように
    した内燃機関の振動低減装置であって、 前記インターナルギヤは、前記クランクシャフトと同軸
    上にて一体的に回転するように前記クランクシャフトに
    固着され、 前記キャリアは、前記プラネタリギヤの公転を禁止する
    ように固定され、 前記慣性質量体は、前記クランクシャフトの回転方向と
    反対の方向に前記サンギヤと共に一体的に回転するよう
    に形成されている、 ことを特徴とする内燃機関の振動低減装置。
  2. 【請求項2】 前記慣性質量体は、前記サンギヤと一体
    的に形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の
    内燃機関の振動低減装置。
  3. 【請求項3】 前記サンギヤは、前記クランクシャフト
    と同軸上にて回転するように前記クランクシャフトに支
    持されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の
    内燃機関の振動低減装置。
  4. 【請求項4】 前記インターナルギヤの固着部は、前記
    クランクシャフトの軸線方向において、前記プラネタリ
    ギヤよりも先端寄りに配置されている、ことを特徴とす
    る請求項1ないし3いずれか1つに記載の内燃機関の振
    動低減装置。
  5. 【請求項5】 補機の駆動に用いるクランクプーリが前
    記クランクシャフトと一体的に回転するように固着され
    ている、ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1
    つに記載の内燃機関の振動低減装置。
  6. 【請求項6】 前記クランクプーリは、前記クランクシ
    ャフトの軸線方向において、前記遊星歯車機構よりも先
    端寄りに配置されている、ことを特徴とする請求項5記
    載の内燃機関の振動低減装置。
  7. 【請求項7】 前記インターナルギヤに対する前記サン
    ギヤの増速比が略3である、ことを特徴とする請求項1
    ないし6いずれか1つに記載の内燃機関の振動低減装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7445552B2 (en) 2003-08-11 2008-11-04 Exedy Corporation Dual-mass flywheel
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