JPH11287285A - 動吸振器 - Google Patents

動吸振器

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JPH11287285A
JPH11287285A JP8731398A JP8731398A JPH11287285A JP H11287285 A JPH11287285 A JP H11287285A JP 8731398 A JP8731398 A JP 8731398A JP 8731398 A JP8731398 A JP 8731398A JP H11287285 A JPH11287285 A JP H11287285A
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dynamic vibration
lever
damping coefficient
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多加夫 和田
Yasuo Nakano
康夫 中野
Shigekazu Shikoda
繁一 志子田
Hirohide Matsushima
博英 松嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単であり、携帯性に優れ、現場での
操作性が優れている動吸振器を実現すること。 【解決手段】 制振すべき振動体に磁気吸着される動吸
振器本体を設置し、この動吸振器本体には、水平軸線を
有するT字状のレバーを角変位可能に軸受によって設け
る。レバーの棒状の支持体に、おもりを着脱可能に装着
する。支持体と動吸振器本体との間に引張りばねを交換
可能に取付ける。レバーの基端部に弾発的摩擦接触する
減衰係数調整手段を設け、ねじによって摩擦接触の程度
を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、振動体の振動を吸
収して制振する動吸振器に関する。
【0002】
【従来の技術】船殻ブロックの製作は、定盤(床)上に
1m間隔で設置された受け治具の上に外板を置いて実施
される。曲がり外板の場合、加工誤差による形状誤差の
ため、受け治具と外板の間に隙間が発生することが多
く、外板上を作業者が歩行したり、外板上に物が搬入さ
れた時などに、外板が振動しやすい。また、工場内の天
井クレーンの走行などに起因する定盤の振動が外乱とな
って、外板が共振現象を起こす場合もある。このよう
に、外板に振動が発生した場合、外板の形状計測などの
作業に支障を来す。そこで、外板の振動を制振するた
め、容易に設置、設定が可能な動吸振器が必要になる。
【0003】典型的な先行技術は特開平7−11343
8である。この先行技術では、片持ち支持棒の軸方向に
移動可能なおもりを設置し、おもりを軸方向に移動させ
ることによりばね定数を変化させている。しかるにこの
ような構成ではばね定数の可変範囲が比較的狭く、ま
た、減衰部を特に設けていないので、或る特定の周波数
にしか制振効果が無く、複数の振動周波数で振動してい
る対象には効果がない。
【0004】他の先行技術は特公平8−16497であ
る。この先行技術では、振動系に取着された支持構造体
に、レバーの支点を枢着し、レバーは、互いに反対方向
に伸張し、このレバーの先端部に重錘が装着され、作用
点が制振質量に拘束されており、このレバーは一対設け
られている。制振質量は、ばねとダンパとを介して振動
系に取付けられる。さらにこの先行技術には、空気ばね
を用いる構成が開示される。この先行技術では、ばねが
固定であるが、おもりが上下の割りブロックで構成され
ており、振動系の固有周期に合わせて任意の位置に設置
できる。また、固有周期に合わせてオリフィスの開度を
可変でき、減衰率も変更できる。しかしながら、構造が
比較的複雑で、大型であるため、予め固有振動数が既知
であるビルや橋梁用制振装置には適しているが、広い範
囲の産業分野で適応するには、その都度、動吸振器を設
計、製作する必要があり、フレシキリビティに劣る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構造
が簡単であり、携帯性に優れ、設置および調整が容易で
あり、対象の振動周波数が未知な場合でも現場での対
応、設定が容易である動吸振器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、振動体に取付
けられる動吸振器本体と、レバーであって、動吸振器本
体に横の軸線まわりに角変位可能に設けられる基端部
と、この基端部から延びる棒状の支持体とを有するレバ
ーと、レバーの支持体に、その支持体の長手方向に沿う
おもり装着位置で、着脱可能に装着されるおもりと、動
吸振器本体と支持体との間に介在され、支持体の長手方
向に沿うばね取付け位置に取付けられるばねと、レバー
の基端部に、前記横の軸線に関して支持体とは反対側で
摩擦接触し、動吸振器本体にねじによって動吸振器の減
衰係数を調整可能に設けられる減衰係数調整手段とを含
むことを特徴とする動吸振器である。
【0007】本発明に従えば、レバーがたとえば水平な
横の軸線まわりに角変位可能に軸受によって動吸振器本
体に角変位可能に揺動するように設けられ、このレバー
の基端部からたとえばほぼ垂直に延びる棒状の支持体に
は、おもりが任意のおもり装着位置で着脱可能に装着さ
れるとともに、たとえば引張りばねの一端部が希望する
任意のばね取付位置、または予め定める1または複数の
ばね取付位置に取付けられ、そのばねの他端部がレバー
よりも上方で動吸振器本体に着脱交換可能に取付けられ
る。
【0008】レバーの基端部には、減衰係数調整手段が
設けられ、この減衰係数調整手段は、レバーの基端部に
摩擦接触し、ねじによってその減衰係数を調整可能であ
る。
【0009】このような構成は、比較的簡単であり、小
型化が可能であり、コンパクトであって携帯性に優れて
いる。しかも設置および調整が容易であり、現場で使用
することが可能である。さらに対象物である振動体の固
有振動数が未知であって、現場で対応する必要がある場
合であっても、現場で容易に設定して設置することがで
き、その操作が容易である。さらにこの構成によれば、
低コストで実現される。
【0010】また本発明は、レバーの基端部は、前記横
の軸線を中心とする円弧状の接触面を有し、減衰係数調
整手段は、前記接触面に摩擦接触する圧力を、前記ねじ
によって調整可能であることを特徴とする。
【0011】本発明に従えば、レバーの基端部は、たと
えば水平な横の軸線を中心とする少なくとも一部分が真
円の一部分である円弧状の接触面を有する。これによっ
て減衰係数調整手段は、レバーの角度位置にかかわらず
安定して摩擦接触し、予め定める一定の減衰係数を実現
することができる。
【0012】また本発明は、減衰係数調整手段は、外ね
じを有する有底筒状のケーシングと、ケーシングの開口
端から部分的に露出し、前記接触面に接触する少なくと
も部分的に球状の接触片と、ケーシング内に収納され、
ケーシングの底と接触片との間に介在される圧縮ばねと
を有し、ケーシングの底ねじは、動吸振器本体に形成さ
れた内ねじに螺合することを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、有底筒状のケーシング
を、動吸振器本体に螺合し、このケーシングを、レバー
の基端部に近接または離反して変位することによって、
接触片の少なくとも部分的に球面状の部分が、基端部に
摩擦接触し、その圧接する力が、圧縮ばねによって与え
られる。こうして減衰係数を容易に調整可能である。
【0014】また本発明は、レバーは、支持体に垂直に
細長く基端部が延びて、レバーの全体の平面形状がT字
状に形成され、減衰係数調整手段は、基端部の長手方向
に間隔をあけて複数個配置されることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、レバーは、その全体の平
面形状がT字状に形成されており、したがって複数の減
衰係数調整手段を、その基端部の前記横の軸線に沿って
間隔をあけて配置することによって、比較的大きな減衰
係数を実現することが可能である。
【0016】また本発明は、上述した動吸振器を準備
し、振動体の質量m1と、振動体の制振すべき振幅X1
振動体の静たわみXstとの予め定める比X1/X stと、
振動体の振動周波数ω1とを用いて、おもりの質量m
2と、ばねのばね定数k2と、レバーの支持体の長手方向
のおもりとばねとの設置位置とを求め、動吸振器を振動
体の振動の腹の近傍に配置し、減衰係数調整手段を調整
して、振動体の振幅が最小となるようにすることを特徴
とする振動体の制振方法である。
【0017】本発明に従えば、振動体の質量m1と、比
1/Xstと、振動体の振動周波数ω1とによって、演算
を行って、おもりの質量m2と、ばねの種類、したがっ
てばね定数k2と、おもりおよびばねの設置位置とを求
めることが容易に可能であり、現場での操作性が優れて
いる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
動吸振器56の全体の構成を示す斜視図である。アルミ
ニウムなどの材料から成る動吸振器本体1は、底板2と
一対の端板3,4と天井板11とによって全体が枠状に
構成される。底板2と天井板11とにわたって端板4寄
りには、一対の側板5,6が固定される。底板2は、複
数(この実施の形態ではたとえば3)の永久磁石片7,
8,9によって、鉄などの強磁性材料から成る振動体1
0(後述の図9参照)上に磁気吸引力によって着脱可能
に取付けられる。
【0019】図2は動吸振器56の側面図であり、図3
は端板4から見た動吸振器56の正面図である。レバー
12は、たとえば水平な横の軸線に沿って延びる細長い
基端部13と、その基端部13の長手方向の中央位置か
ら基端部13に垂直に延びる棒状の支持体14とを有
し、このレバー12は、その全体の平面形状がT字状で
ある。レバー12は、たとえば鉄やアルミニウムなどの
金属材料から成り、軸直角断面が円形である筒体から成
ってもよい。レバー12の支持体14には、その長さ方
向(図2の左右方向)に沿って等間隔L1をあけてねじ
孔15が形成される。支持体14には、図4に示される
おもり16が希望する任意のおもり装着位置で着脱可能
に装着される。おもり16は、一対の分割されるおもり
片16a,16bとから成る。一方のおもり片16aに
は、遊通孔17,18が形成され、他方のおもり片16
bには、ねじ孔19,20が、遊通孔17,18にそれ
ぞれ対応して形成される。六角穴付ボルト21,22
は、遊通孔17,18をそれぞれ挿通し、ねじ孔19に
取外し可能に螺着される。こうしておもり片16a,1
6bの対向するほぼ半円形の切欠き23,24に、支持
体14の外周面が挟持されて、おもり16が支持体14
に着脱可能に取付けられる。このようなおもり16は、
その質量m2が異なるものを複数種類、準備され、選択
的に支持体14に取付けられる。
【0020】基端部13の長手方向両端部は、側板5,
6に、軸受25,26によってその長手軸線である横の
軸線まわりに角変位可能に設けられる。この基端部13
の外周面は、軸線27を中心とする直円筒状である。
【0021】図5は、図3の切断面線V−Vから見た断
面図である。端板4には、基端部13の長手方向(図3
の左右方向、図5の紙面に垂直方向)に沿って延びる開
口29が形成される。端板4の内面には、この開口29
に臨む取付板30が、ボルト31によって着脱可能に、
取付けられる。取付板30には、基端部13の長手方向
(図3の左右方向)に間隔をあけてかつ左右の対象面3
2に関して左右対象に、複数(この実施の形態では合計
5)のねじ孔33が形成される。ねじ孔33には、減衰
係数調整手段34がそれぞれ螺着される。
【0022】図6は減衰係数調整手段34の一部を切欠
いて示す断面図であり、図7はその減衰係数調整手段3
4の正面図である。減衰係数調整手段34は、合成樹脂
などの材料から成る有底筒状のケーシング35と、球状
の接触片36と、圧縮ばね37とを有する。ケーシング
35には、外ねじ38が刻設される。接触片36は、た
とえばステンレス鋼製である。この接触片36は、ケー
シング35の開口端39から部分的に外方(図6の左
方、前述の図5の右方)に露出し、この接触片36の接
触面40は、基端部13の端板4側の接触面41にばね
37の弾発力によって当接する。こうして接触片36は
基端部13に摩擦接触する。接触片36の中心42は、
基端部13の軸線27を含むたとえば水平な一平面内に
配置される。ばね37は、ケーシング35の底43と接
触片36との間に介在される。ケーシング35の底43
には、接触片36とは反対側に臨んでドライバの掛合溝
44が形成される。掛合溝44に代えて、スパナの掛合
孔などが形成されてもよい。これによってケーシング3
5をドライバまたはスパナなどで操作し、ケーシング3
5をその軸線に沿ってレバー12の基端部13に近接/
離反変位し、これによって接触片36と基端部13の接
触面41との摩擦接触の程度を個別的に調整することが
できる。
【0023】再び図2を参照して、支持体14のねじ孔
15に螺合するボルト46には、引張りばね47の一端
部48が取外し可能に連結される。天井板11にはま
た、支持体14の直上で等しい間隔L2をあけて複数の
ねじ孔49が形成される。このねじ孔49にはボルト5
0が取外し自在に螺合される。ボルト50には、引張り
ばね47の他端部51が取外し可能に連結される。支持
体14のねじ孔15と天井板1のねじ孔49とは、相互
に対応しており、間隔L1=L2である。
【0024】軸受25,26を支持する取付板52,5
3は、側板5,6に着脱自在にボルト54によって取付
けられる。
【0025】図8は本発明の動吸振器の原理を説明する
ための図である。動吸振器は、参照符56で示される。
動吸振器56は基本的に、おもり16とばね47とダン
パである減衰係数調整手段34とを含む。おもり16の
質量をm2とする。ばね47のばね定数をk2とする。減
衰係数調整手段34の本件動吸振器の減衰係数をc2
する。図9は動吸振器56の簡略化した図である。ばね
47は、レバー12の基端部13の軸線27から距離r
の位置に取外し可能に連結される。おもり16の重心
は、軸線27から支持体14の長手方向に沿って距離L
を有する。こうして水平ばね支持振り子が構成される。
【0026】図10は、振動体10の簡略化した一部の
断面図である。造船工場において船舶の曲がり外板は、
振動体10を構成し、たとえば強磁性材料である鉄製で
ある。この振動体10は、受け治具57によって定盤5
8に支持される。この振動体10の静たわみXstは、最
短部の受け治具57からの平板状の外板のたわみ量であ
る。この振動体10のばね定数を、図8では参照符k1
で示され、その減衰係数はc1で示される。図8におけ
る振動系の運動方程式は、式1および式2で示される。
【0027】
【数1】
【0028】図11は本件発明者の実験結果を示すグラ
フである。細線60は、本件動吸振器56が備えられて
いないときにおける振動体10の振動状態を示し、太線
61は、本件動吸振器56が用いられるときにおける振
動体10の振動の状態を示す系の周波数特性を示す。図
11(2)は、この系のインパルス応答を示す。動吸振
器56を用いないとき、振動体10の振動は参照符62
で示されるように減衰しない。本発明の動吸振器56を
用いることによって参照符63で示されるように振動が
急速に減衰する。このようにして振動体10の上に、動
吸振器56を設置することによって、動吸振器56の固
有振動数が振動体10の振動周波数または固有振動数に
近似した構成において、この振動体10の振動を減衰さ
せることができることが理解される。
【0029】動吸振器56において、質量m1、ばね定
数k1の主振動系に周期的外力Fsinωtが作用する
とき、主振動系の上に質量m、ばね定数k2、粘性減
衰係数c2の動吸振器56を設置したときの主振動系の
振幅X1は次式で与えられる。
【0030】
【数2】
【0031】図12に強制振動数比ω/ω1に対する減
衰比ζを変えた場合の、主質量の振幅比を示す。ζ=0
(c2=0)の場合は減衰のない2自由度系となり、2
つの振動数で振幅が無限大になる。ζ=∞(c2=∞)
の場合は2つのおもりは一体となって動くため、共振の
山は中間付近に1つだけとなる。ζがこれらの中間の値
の場合、2つの共振振幅は有限な値になる。系に望まれ
ることは、両方の山が等しく、しかも低くなることで、
ζが0と∞の間に理想的な値が存在する。
【0032】図12に示すように、ζに関係なく全ての
曲線が通る点があり、定点X,Yと呼んでいる。この定
点の高さを等しくし(これを最適同調という)、かつ振
幅曲線が定点付近で極大になる条件を設定(これを最良
減衰という)すれば、動吸振器が最適設計されたことに
なる。最適同調の条件として次式を求めることができ
る。
【0033】
【数3】
【0034】このとき、2点X,Yの高さは等しくな
る。また、2点X,Yの高さは
【0035】
【数4】
【0036】で与えられる。動吸振器の効果を上げるに
は、2つの共振振幅をできるだけ低くしなければならな
い。そのための最良減衰の条件として次式が与えられて
いる。
【0037】
【数5】
【0038】以上により、最適な動吸振器56の設計手
順は以下のようになる。 (1)式10により、X,Y点の振幅と静たわみの比を
与えてμを計算し、動吸振器の質量m2が式5より決ま
る。 (2)式9により、動吸振器の固有振動数ω2を計算
し、ばね定数k2が式8より決まる。 (3)式11により、ζを計算し、動吸振器の減衰係数
2が式4より決まる。
【0039】本発明では、軸受25,26で支持された
T字状レバー12をばね47で吊るし、その水平棒であ
る支持体14におもり16を取付け、ばね47によって
おもり16が上下に振動するようにし、減衰係数調整手
段34で基端部13に摩擦を与え、これによって振動エ
ネルギを減衰させる。このような構成によれば、次のよ
うな利点〜が達成される。 分割脱着式おもりにより、付加質量m2の変更が現場
で容易に可能、 取付位置可変の変換式ばねにより、ばね定数k2の変
更が現場で容易に可能、 複数個のねじ式プランジャにより、減衰係数c2の変
更が現場で容易に可能、 脱着式マグネットにより、設置場所の変更が現場で容
易に可能。
【0040】前述の図9において、水平ばね支持振り子
の固有振動数ω2は、式12で示される。
【0041】
【数6】
【0042】現場での具体的な作業手順を説明する。 (1)振動体10の重量m1をその体積と比重から概算
する。 例)m1=1000kg (2)振動体10の共振時の振幅X1をいくらに抑えた
いのかを決める。 例)共振時の振幅X1を振動体の静たわみXstの12倍
とする。 X1/Xst=12 (3)質量比μを計算する。 例)上記(2)で決めた振幅比を式10に代入して、
【0043】
【数7】
【0044】(4)動吸振器56のおもり16の重量m
2を計算する。すなわち質量m1である振動体10の振動
を止めるには、おもり16の質量はm2でよいというこ
とである。 例)式5より、 m2 = μm1 = 14kg (5)振動体の振動周波数ω1を加速度センサなどで測
定する。 例)ω1 = 5Hz (6)動吸振器の固有振動数を計算する。 例)式(9)より、
【0045】
【数8】
【0046】(7)動吸振器のばね定数k2を計算す
る。 例)式8より、 k2=m2ω2 2=1367kgf/m (8)最良減衰ζを計算する。 例)式11より、
【0047】
【数9】
【0048】(9)動吸振器の減衰係数c2を計算す
る。 例)式4より、 c2 = 2ζm2ω1 = 8.25kgf・s/m (10)本来、おもりm2とばねk2はr=Lとなる等し
い位置に設置するが、実際には(4)で計算したm2
(7)で計算したk2と全く値が等しいおもりやばねが
準備できない場合がある。その場合には、式12に従っ
てm2とk2の設置位置をずらして設置する。 例)k2 =1500kgf/mのとき、 式12より、
【0049】
【数10】
【0050】となり、r:L=0.95:1の位置にば
ねk2とおもりm2を設置する。 (11)動吸振器を振動体m1 の振動の腹の近傍に設置
する。操作者が、振動体10を目で見て、または手でさ
わって、振幅が大きい場所、すなわち振動が激しい場所
である腹をみつける。 (12)減衰係数調整手段34を徐々に効かせ、振動体
の振動が止まる位置で固定する。すなわち最初は減衰係
数調整手段34のねじを緩めておき、徐々に締め付けて
接触片36を基端部13の接触面41に強く押し付けて
ゆく。
【0051】本件実施の形態では、ステップ1の質量m
1と、ステップ2の比X1/Xstと、ステップ4の振動周
波数ω1を予め求めておくことによって、その他の各ス
テップにおける値を演算して、たとえばm2,k2
2,r/Lを容易に求めることができる。
【0052】本発明の実施の他の形態では、m1と比X1
/Xstとω1の各値が異なる場合毎に、テーブルを準備
することによって、自動的にm2とk2とc2とr/Lと
を演算して求めることができる。すなわちこのような入
力手段、たとえばキーボードなどによってm1,X1/X
stおよびω1を入力し、マイクロコンピュータなどを用
いた処理手段によって、m2,k2,c2,r/Lを演算
して求めることが自動的に可能である。操作者はこのよ
うな値m2,k2,c2,r/Lなどを見ることによっ
て、本件動吸振器56の設置作業を現場で良好な作業性
で行うことができる。
【0053】本件発明者の実験結果を述べる。図13
は、本件発明者の実験結果を示す図である船舶の曲がり
外板の振動状態を示す。図13(1)では、曲がり外板
の外乱による腹の上に本発明の動吸振器56を配置した
ときの実験結果を示す。これによって制振効果が充分に
達成され、強制振動を付加した場合でも、曲がり外板の
振動を10秒程度で制振することができることが確認さ
れた。これに対して動吸振器56を用いないとき、図1
3(2)に示されるように曲がり外板の振動が継続し、
振動を抑制することが不可能であった。これによって本
発明の動吸振器が充分に実用可能であることが確認され
た。
【0054】
【発明の効果】請求項1の本発明によれば、動吸振器の
構造を簡略化することができ、小型でコンパクトとなっ
て携帯性に優れた動吸振器を実現することができる。さ
らにこの動吸振器の設置および調整が容易であり、現場
使用に好適する。しかも本発明の動吸振器によれば、対
象物である振動体の固有振動数ω1 が未知であって、現
場で対応する必要がある場合であっても、その現場で容
易に設定して設置することができる。さらに本発明によ
れば、動吸振器を低コストで実現することができる。
【0055】請求項2の本発明によれば、レバーの基端
部が円弧状であるので、そのレバーの角変位位置にかか
わらず安定して摩擦接触による動吸振器の減衰係数を達
成することができる。
【0056】請求項3の本発明によれば、ケーシングを
動吸振器本体に螺合して調整することによって、その摩
擦接触による減衰係数を適切に調整することが容易に可
能である。
【0057】請求項4の本発明によれば、レバーの全体
の平面形状がT字状に形成されるので、複数の減衰係数
調整手段を用いて比較的大きな減衰係数を達成すること
ができ、またそのような複数の減衰係数調整手段を用い
ることによって、摩擦接触する部分の摩耗を防ぎ、長寿
命化することができる。
【0058】請求項5の本発明によれば、振動体の質量
1と比X1/Xstと、その振動体の振動周波数ω1とに
よっておもりの質量m2と、ばね定数k2とおもりおよび
ばねの設置位置とが演算などして求めることができるの
で、現場での使用が容易であり、操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の動吸振器の全体の構成
を示す斜視図である。
【図2】動吸振器の側面図である。
【図3】端板4から見た動吸振器の正面図である。
【図4】おもり16の正面図である。
【図5】図3の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図6】減衰係数調整手段34の一部を切欠いて示す断
面図である。
【図7】図6に示す減衰係数調整手段34の正面図であ
る。
【図8】本発明の動吸振器の原理を説明するための図で
ある。
【図9】動吸振器56の簡略化した図である。
【図10】振動体10の簡略化した一部の断面図であ
る。
【図11】本件発明者の実験結果を示すグラフである。
【図12】強制振動数比ω/ω1に対する減衰比ζを変
えた場合の、主質量の振幅比を示す。
【図13】本件発明者の実験結果を示す図である船舶の
曲がり外板の振動状態を示す。
【符号の説明】
1 動吸振器本体 2 底板 3,4 端板 5,6 側板 7,8,9 永久磁石片 10 振動体 11 天井板 12 レバー 13 基端部 14 支持体 15,19,20 ねじ孔 16 おもり 16a,16b おもり片 17,18 遊通孔 21,22 六角穴付ボルト 23,24 切欠き 25,26 軸受 27 軸線 32 対象面 34 減衰係数調整手段 35 ケーシング 36 接触片 37,47 ばね 40,41 接触面 43 底 56 動吸振器 57 受け治具 58 定盤
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】他の先行技術は特公平8−16497であ
る。この先行技術では、振動系に取着された支持構造体
に、レバーの支点を枢着し、レバーは、互いに反対方向
に伸張し、このレバーの先端部に重錘が装着され、作用
点が制振質量に拘束されており、このレバーは一対設け
られている。制振質量は、ばねとダンパとを介して振動
系に取付けられる。さらにこの先行技術には、空気ばね
を用いる構成が開示される。この先行技術では、ばねが
固定であるが、おもりが上下の割りブロックで構成され
ており、振動系の固有周期に合わせて任意の位置に設置
できる。また、固有周期に合わせてオリフィスの開度を
可変でき、減衰率も変更できる。しかしながら、構造が
比較的複雑で、大型であるため、予め固有振動数が既知
であるビルや橋梁用制振装置には適しているが、広い範
囲の産業分野で適応するには、その都度、動吸振器を設
計、製作する必要があり、フレキシビリティに劣る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、振動体に取付
けられる動吸振器本体と、レバーであって、動吸振器本
体に横の軸線まわりに角変位可能に設けられる基端部
と、この基端部から延びる棒状の支持体とを有するレバ
ーと、レバーの支持体に、その支持体の長手方向に沿う
おもり装着位置で、着脱可能に装着されるおもりと、動
吸振器本体と支持体との間に介在され、支持体の長手方
向に沿うばね取付け位置に取付けられるばねと、レバー
の基端部に、前記横の軸線に関して支持体とは反対側で
摩擦接触し、動吸振器本体にねじによって動吸振器の減
衰係数を調整可能に設けられる減衰係数調整手段とを含
み、レバーの基端部は、前記横の軸線を中心とする円弧
状の接触面を有し、減衰係数調整手段は、前記接触面に
摩擦接触する圧力を、前記ねじによって調整可能である
ことを特徴とする動吸振器である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】また本発明によれば、レバーの基端部が円
弧状であるので、そのレバーの角変位位置にかかわらず
安定して摩擦接触による動吸振器の減衰係数を達成する
ことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】請求項2の本発明によれば、ケーシングを
動吸振器本体に螺合して調整することによって、その摩
擦接触による減衰係数を適切に調整することが容易に可
能である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】請求項3の本発明によれば、レバーの全体
の平面形状がT字状に形成されるので、複数の減衰係数
調整手段を用いて比較的大きな減衰係数を達成すること
ができ、またそのような複数の減衰係数調整手段を用い
ることによって、摩擦接触する部分の摩耗を防ぎ、長寿
命化することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】請求項4の本発明によれば、振動体の質量
1と比X1/Xstと、その振動体の振動周波数ω1とに
よっておもりの質量m2と、ばね定数k2とおもりおよび
ばねの設置位置とが演算などして求めることができるの
で、現場での使用が容易であり、操作性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志子田 繁一 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 松嶋 博英 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動体に取付けられる動吸振器本体と、 レバーであって、動吸振器本体に横の軸線まわりに角変
    位可能に設けられる基端部と、この基端部から延びる棒
    状の支持体とを有するレバーと、 レバーの支持体に、その支持体の長手方向に沿うおもり
    装着位置で、着脱可能に装着されるおもりと、 動吸振器本体と支持体との間に介在され、支持体の長手
    方向に沿うばね取付け位置に取付けられるばねと、 レバーの基端部に、前記横の軸線に関して支持体とは反
    対側で摩擦接触し、動吸振器本体にねじによって動吸振
    器の減衰係数を調整可能に設けられる減衰係数調整手段
    とを含むことを特徴とする動吸振器。
  2. 【請求項2】 レバーの基端部は、前記横の軸線を中心
    とする円弧状の接触面を有し、 減衰係数調整手段は、前記接触面に摩擦接触する圧力
    を、前記ねじによって調整可能であることを特徴とする
    請求項1記載の動吸振器。
  3. 【請求項3】 減衰係数調整手段は、 外ねじを有する有底筒状のケーシングと、 ケーシングの開口端から部分的に露出し、前記接触面に
    接触する少なくとも部分的に球状の接触片と、 ケーシング内に収納され、ケーシングの底と接触片との
    間に介在される圧縮ばねとを有し、 ケーシングの底ねじは、動吸振器本体に形成された内ね
    じに螺合することを特徴とする請求項2記載の動吸振
    器。
  4. 【請求項4】 レバーは、支持体に垂直に細長く基端部
    が延びて、レバーの全体の平面形状がT字状に形成さ
    れ、 減衰係数調整手段は、基端部の長手方向に間隔をあけて
    複数個配置されることを特徴とする請求項1〜3のうち
    の1つに記載の動吸振器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のうちの1つに記載の動吸
    振器を準備し、 振動体の質量m1と、 振動体の制振すべき振幅X1と振動体の静たわみXst
    の予め定める比X1/Xstと、 振動体の振動周波数ω1とを用いて、 おもりの質量m2と、 ばねのばね定数k2と、 レバーの支持体の長手方向のおもりとばねとの設置位置
    とを求め、 動吸振器を振動体の振動の腹の近傍に配置し、 減衰係数調整手段を調整して、振動体の振幅が最小とな
    るようにすることを特徴とする振動体の制振方法。
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