JPH11287212A - 機械の制御方法及び機械の制御装置 - Google Patents

機械の制御方法及び機械の制御装置

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JPH11287212A
JPH11287212A JP10087508A JP8750898A JPH11287212A JP H11287212 A JPH11287212 A JP H11287212A JP 10087508 A JP10087508 A JP 10087508A JP 8750898 A JP8750898 A JP 8750898A JP H11287212 A JPH11287212 A JP H11287212A
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Akira Sugimoto
旭 杉本
Takeshi Saito
剛 齋藤
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Nippon Shokubai Co Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D37/00Clutches in which the drive is transmitted through a medium consisting of small particles, e.g. centrifugally speed-responsive
    • F16D37/008Clutches in which the drive is transmitted through a medium consisting of small particles, e.g. centrifugally speed-responsive the particles being carried by a fluid, to vary viscosity when subjected to electric change, i.e. electro-rheological or smart fluids

Abstract

(57)【要約】 【課題】可変ビンガム流体(ERF)を含んで構成した
機械装置に関し、ERFの持つ流動特性を十分に活かす
ことができるようにすること。 【解決手段】復動型空気圧シリンダ部3には、ロッド5
に固定されているピストン3Aが往復移動自由に嵌挿保
持される。一方、ERダンパ部4には、ERFが充填さ
れると共に、ロッド5に固定されたダンパピストン4A
が往復移動自由に嵌挿保持される。ダンパピストン4A
には、円筒状の電極6が正負交互に、例えば5層設けら
れる。そして、ロッド5の移動に伴いダンパピストン4
Aが移動されるときに、電極6間をERFが流通する
が、この際に、電極6間に生じる電界によってERFの
流動特性を変化させ、ロッド5の移動速度(移動抵抗)
を制御する。これにより、静摩擦⇔動摩擦による摩擦力
の急激な変化に伴う所謂逸走状態、スティックスリップ
を抑制でき、高精度かつ安定した低速度制御、延いては
ロッド5の目標位置への高精度な制御が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変ビンガム流体
を利用した機械の制御方法及び機械の制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】可変ビンガム流体の一つとして、例え
ば、ER流体(Electro-Rheological Fluid 、以下、E
RFとも言う)が知られている。ERFは、電界の印加
に対して、そのレオロジー特性が可逆的に且つ高速に著
しく変化する流体であり、制御デバイスとして、その利
用が試みられ、ERFを利用した可変ダンパやエンジン
マウントなど、種々の機械制御システムが提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
利用例は、ERFを用いることによる高応答・高精度な
制御の実現や、ERFを用いることによる装置の小型化
等を図ろうとするもので、実際のところ、ERFが有す
る特異な特性については、未だ十分に活かしきれていな
いのが実情であった。
【0004】即ち、例えば、絶縁油中に固体粒子が懸濁
した粒子分散系ERF等は、電界の印加により、ニュー
トン流体から電界の大きさに応じた降伏値を示すビンガ
ム流体へ変化するという特性を有するが、従来において
は、このような特性を十分に利用できていなった。ここ
で、可変ビンガム流体の特性について説明する。
【0005】一般に、ビンガム流体の剪断応力τは、流
動を開始した後も維持される降伏剪断応力τS と、粘性
による剪断応力τv と、の和(次式参照)によって、表
すことができる。 τ=τS +τv =τS +ηB ・γ ・・・(1) ここで、γはずり速度、ηB はビンガム流体のずり速度
に対して線形な粘性率である。
【0006】 そして、可変ビンガム流体とは、降伏剪断
応力τS を可変に制御することができるもので、例え
ば、前記ERFはこれに含まれる。ERFは、前記降伏
剪断応力τS を、印加電界によって可変に制御できると
いう特徴を持ち、その流動特性は次式により表すことが
できる。 τ=τE (E) +η・γ ・・・(2) ここで、ηは無電界時の粘性率、Eは印加電界、τ
E (E) は電界の印加により誘起する降伏剪断応力であ
る。
【0007】典型的な例として、表面に絶縁処理を施し
た炭素粒子と、シリコンオイルと、からなるERFの流
動曲線を、図17、図18に示す。図17から、前記E
RFの剪断応力は、印加電界(Electric field)に応じ
てほぼリニアに変化する一方、ずり速度(剪断率Share
Rate [s -1] )にはあまり影響されない、即ち、粘性率
ηの影響は小さいことが分かる。
【0008】つまり、ERFには、ずり速度が極めて微
小であっても、印加電界の大きさに応じて有限な剪断応
力(降伏応力)を生じさせることができる、という特性
があることが分かり、また、印加電界が一定であれば、
ずり速度が変化しても剪断応力は略一定である、という
特性があることが分かる。更に、ずり速度157 [s
-1] の条件で、電界をステップ的に切り換えたときの
応答を示す図18から、高電圧電源の応答遅れを含めて
も制定値に達するまでの時間は数ミリ秒以下であること
が分かる。
【0009】本発明は、かかる従来の実情に鑑みなされ
たもので、可変ビンガム流体(可変ビンガム流動特性と
同様の特性を有するものを含むこととする)を含んで構
成された機械装置に関し、可変ビンガム流体の持つ流動
特性を十分に活かすことができるようにすること、延い
ては可変ビンガム流体の実用性、機械装置への採用可能
性等を高めることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に記
載の発明に係る機械の制御方法は、可変ビンガム流体を
含んで構成された機械の制御方法であって、機械の可動
部の摩擦特性の変化に応じて、前記可変ビンガム流体の
流動特性を可変制御して、機械の可動部の移動抵抗を所
定に制御するようにした。
【0011】請求項2に記載の発明では、前記機械の可
動部の移動抵抗を所定に制御することを、可動部の移動
速度の増大に応じて機械の可動部の移動抵抗が大きくな
るように、或いは可動部の移動速度の変化に拘わらず機
械の可動部の移動抵抗がほぼ一定となるように制御する
こととした。請求項3に記載の発明に係る機械の制御装
置は、可変ビンガム流体を含んで構成された機械の制御
装置であって、機械の可動部の摩擦特性の変化に応じ
て、前記可変ビンガム流体の流動特性を可変制御して、
機械の可動部の移動抵抗を所定に制御する機能を含んで
構成した。
【0012】請求項4に記載の発明では、前記機械の可
動部の移動抵抗を所定に制御することを、可動部の移動
速度の増大に応じて機械の可動部の移動抵抗が大きくな
るように、或いは可動部の移動速度の変化に拘わらず機
械の可動部の移動抵抗がほぼ一定となるように制御する
こととした。請求項1及び請求項3に記載の発明の構成
とすれば、機械の可動部の摩擦特性の如何に拘わらず、
機械の可動部の移動抵抗を任意に制御することが可能と
なる。従って、例えば、機械の可動部の非線形な摩擦特
性を補償(改善)でき、摩擦力の急激な変化に伴う所謂
逸走状態を回避でき、延いては所謂スティックスリップ
を抑制でき、高精度かつ安定した低速度制御、高精度な
位置決め制御が可能となる。
【0013】更に、可変ビンガム流体の持つ特性を有効
活用しているので、高度な現代制御理論の応用等を必要
とすることがなく(高速演算が可能なコンピュータや追
従性の高い制御弁などが不要)、極めて簡単で低コスト
な構成でありながら、従来以上に高精度かつ安定した速
度制御及び位置決め制御が可能となる。また、請求項2
及び請求項4に記載の発明の構成とすれば、例えば機械
の可動部の非線形な摩擦特性が改善され、機械の可動部
の移動速度の増大に対して移動抵抗の変化の傾きを常に
正(或いは傾き0)にできるから、機械の可動部の摩擦
力の急激な変化に伴う所謂逸走状態を回避でき、延いて
は所謂スティックスリップを抑制でき、高精度かつ安定
した低速度制御、延いてはロッド5の目標位置への高精
度な制御が可能となる。
【0014】なお、可変ビンガム流体の持つ特性を有効
活用しているので、高度な現代制御理論の応用等を必要
とすることがなく(高速演算が可能なコンピュータや追
従性の高い制御弁などが不要)、極めて簡単で低コスト
な構成でありながら、従来以上に高精度かつ安定した速
度制御及び位置決め制御が可能となる。請求項5に記載
の発明に係る機械の制御方法は、機械の可動部と、前記
機械の可動部を可変ビンガム流体の剪断応力を介して、
所定方向に駆動する第1駆動部と、前記機械の可動部を
可変ビンガム流体の剪断応力を介して、前記所定方向と
逆方向に駆動する第2駆動部と、を含んで構成した機械
の制御方法であって、可変ビンガム流体の剪断応力を制
御して、前記第1駆動部或いは前記第2駆動部の駆動力
で、機械の可動部を目標位置方向へ移動させ、機械の可
動部が目標位置を過ったら、可変ビンガム流体の剪断応
力を制御して、機械の可動部の移動方向を切り替えるス
イッチング制御を行いつつ、前記第1駆動部及び前記第
2駆動部の駆動力を経時と共に0まで減少させること
で、機械の可動部を目標位置に制御するようにした。
【0015】請求項6に記載の発明では、前記機械の可
動部を、人と直接接触しつつ互いに作用を及ぼし合う協
調作業を行う協調作業制御システムの機械の可動部とし
て構成する。請求項7に記載の発明に係る機械の制御装
置は、機械の可動部と、前記機械の可動部を可変ビンガ
ム流体の剪断応力を介して、所定方向に駆動する第1駆
動部と、前記機械の可動部を可変ビンガム流体の剪断応
力を介して、前記所定方向と逆方向に駆動する第2駆動
部と、を含んで構成した機械の制御装置であって、可変
ビンガム流体の剪断応力を制御して、前記第1駆動部或
いは前記第2駆動部の駆動力で、機械の可動部を目標位
置方向へ移動させ、機械の可動部が目標位置を過った
ら、可変ビンガム流体の剪断応力を制御して、機械の可
動部の移動方向を切り替えるスイッチング制御を行いつ
つ、前記第1駆動部及び前記第2駆動部の駆動力を経時
と共に0まで減少させることで、機械の可動部を目標位
置に制御する位置制御機能を含んで構成した。
【0016】請求項5及び請求項7に記載の発明のよう
に構成して、機械の可動部が目標位置を過ったら、可変
ビンガム流体の剪断応力を制御して、機械の可動部の移
動方向を切り替えるスイッチング制御を行いつつ、前記
第1駆動部及び前記第2駆動部の駆動力を経時と共に0
まで減少させるようにすると、前記第1駆動部及び前記
第2駆動部の駆動速度の減速に伴って、機械の回動部の
目標位置を中心とする振動が滑らかに減衰し、安定した
高精度な位置決めが可能となる。
【0017】また、機械の可動部が目標位置に停止・保
持されているときでも、可変ビンガム流体の剪断応力の
作用により、機械の可動部には所定の制動力が作用する
ことになる。従って、外乱等によってリミットサイクル
が発生するような事態を確実に回避できるから、極めて
安定性の高い高精度な位置決めを達成できることとな
る。
【0018】つまり、本発明によれば、極めて単純なス
イッチング制御によって、従来のオンオフ制御や比例微
積分制御等では決して達成することができなかった安定
性の高い高精度な位置決め制御を高レベルで実現するこ
とができる。請求項8に記載の発明では、前記機械の可
動部を、人と直接接触しつつ互いに作用を及ぼし合う協
調作業を行う協調作業制御システムの機械の可動部とし
て構成する。
【0019】請求項6及び請求項8に記載の発明のよう
にすれば、人と機械(ロボットなど)が直接接触しつつ
互いに作用を及ぼし合う状況(協調作業)において、干
渉力が限界値以下の場合には高精度な位置決め制御を実
行でき、且つ、人体への反力が過大となる惧れのある状
況下では干渉力を限界値以下に抑えることができるか
ら、簡単かつ安価な構成で、且つ、利用者の安全を十分
確保できる協調作業制御システムを提供できることとな
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
添付の図面に基づいて説明する。本発明に係る第1の実
施形態は、ERFの特性を活かして空気圧シリンダを低
速度制御できるようにした場合の実施形態である。即
ち、従来より、空気圧シリンダは、出力/重量比が大き
い等、他のアクチュエータにはない優れた特徴を有する
反面、シール部の非線形摩擦力の影響のため、所謂ステ
ィックスリップと言われる摩擦振動を生じ、低速度制御
が困難であった。
【0021】つまり、動摩擦力は、静摩擦力より小さい
ため、静止していた物体(ピストン)が、一旦動き出す
と、加速せざるを得ず、所謂逸走状態となるため、低速
度で制御しようとすると、この逸走状態と静止状態とが
交互に現れる所謂スティックスリップが生じることにな
る。特に、空気圧シリンダは、動き出した直後の摩擦力
の減少特性(非線形性)が著しく、低速域ではその動作
を制御することが困難であった。
【0022】このため、本実施形態では、ERFの特性
を活かして空気圧シリンダの低速度制御を可能にするべ
く、ERFを用いたダンパ(以下、ERダンパとも言
う)を、復動型空気圧シリンダのロッドに連結するよう
に構成した。具体的には、図1に示すように、復動型空
気圧シリンダ1には、略中央に配設されたブロック2を
挟んで、図中右側に復動型空気圧シリンダ部3を、図中
左側にERダンパ部4が設けられている。
【0023】前記復動型空気圧シリンダ部3には、シリ
ンダ室3Bとシリンダ室3Cとを画成するピストン3A
が往復移動自由に嵌挿保持されている(例えばピストン
直径略50mm、ストローク略50mmとする)。このピス
トン3Aは、当該復動型空気圧シリンダ1から出力を取
り出すためのロッド5(機械の可動部)に固定されてい
る。
【0024】なお、シリンダ室3B,3Cの内圧は、空
気通路3D,3Eを介して連通される流量制御弁による
給気、排気流量制御により制御され、これによって、前
記ピストン3A延いては前記ロッド5を目標位置へ移動
可能になっている。一方、ERダンパ部4には、その内
部にERFが充填されると共に、前記ロッド5に固定さ
れるダンパピストン4Aが往復移動自由に嵌挿保持され
ている。
【0025】このダンパピストン4Aは、図2に示すよ
うに、円筒状の電極6が正負交互に、例えば、略2mmの
間隔で5層、設けられる構成となっている。そして、前
記ピストン3A延いては前記ロッド5の移動に伴いダン
パピストン4Aが移動されるときに、ダンパピストン4
Aの円筒状の電極間をERFが流通することになるが、
この際に、電極間に印加する電界によってERFの流動
特性が変化することを利用して、前記ロッド5の移動速
度(移動抵抗)を制御することになる。
【0026】つまり、従来における粘性流体を用いた可
変ダンパは、ピストン移動速度(ロッド5の移動速度;
ずり速度)のごく小さな範囲(0を含む)では、静摩擦
状態から動摩擦状態へ移行するときの摩擦力の減少を補
償できる十分な制動力(剪断応力)を発生させることが
できないため所謂逸走状態となり低速制御が困難であっ
たが、ERFの持つ流動特性、ずり速度に依存しない特
性で剪断応力を発生させることができると言う特性{言
い換えれば、ずり速度が0でも印加電界の大きさに応じ
て有限な剪断応力(制動力)を生じさせることができる
と言う特性}を利用すれば、静摩擦状態から動摩擦状態
へ移行する際の摩擦力の減少を補償することができるた
め、ピストン移動速度(ロッド5の移動速度)を低速度
で高精度に制御することが可能となるのである。
【0027】ここで、ERFを用いた場合のダンパピス
トン4Aの始動に必要な力(速度v=0のときの制動
力)を実測した結果を、図3に示す。なお、電界2.5kV/
mm印加時に得られる制動力は、82.5N であった。ただ
し、ここでは、図4に示すような実験システムを用いる
と共に、シリコンオイル中に微結晶セルロースを懸濁さ
せたERFを用いている。
【0028】そして、本実施形態では、具体的には、以
下のようにして、静摩擦状態から動摩擦状態へ移行する
際の摩擦力の減少を補償して、ピストン移動速度(ロッ
ド5の移動速度)を低速度で高精度に制御するようにな
っている。即ち、一般に、空気圧シリンダ部3の摩擦特
性は、図5に示すように、ストリベック曲線に基づいて
モデル化できる。
【0029】このモデルにおいて、摩擦力の特性は、速
度に対応して次の3つの潤滑モードを持つ。 境界潤滑モード:静止摩擦力が継続される速度領域で
あり、摩擦力は速度に依らず一定であるため、微速度
(0を含む)動作が実現される。 混合潤滑モード:速度増加に伴って静摩擦から動摩擦
へと摩擦力が減少する非線形摩擦特性を示す速度領域で
ある。
【0030】流体潤滑モード:潤滑油等の粘性力が支
配的となり速度に比例して摩擦力が増加する速度領域で
ある。 そして、ここで問題としているのは、前記の混合潤滑
モードにおいて摩擦力の速度に対する傾きが負であるこ
とであり、この摩擦力の減少を補償できる十分な制動力
(剪断応力)を発生させることができれば、所謂逸走状
態を抑制でき、低速度制御が可能となる。
【0031】そこで、本実施形態では、ERダンパ部4
で発生する制動力で、前記摩擦力の減少を補い、合成さ
れた制動力が常に正の傾き(0を含む)を持つように、
速度に応じた電界をERFに印加する。つまり、本実施
形態では、図6に示すように、ピストン始動後の速度上
昇に伴う摩擦力の減少に応じて、ERF(ERダンパ
4)による制動力(剪断応力)を増加させ、延いては合
成された制動力(換言すれば、移動抵抗)がピストン速
度(ロッド5の移動速度)の増加に対して正の傾きとな
るように、ダンパピストン4Aの円筒状の電極6間に生
じる電界を制御するようになっている。
【0032】なお、かかる電界制御{印加電界の大き
さ、印加電界の変化のさせかた、印加切換えタイミング
(図5中のα、βなど)などの設定}は、実験により、
或いは数値計算結果などによって定めることができるも
のである。このように、ERFを利用した可変ダンパを
用いれば、前記の混合潤滑モードの非線形な摩擦特性
が改善され、ピストン速度(ロッド5の移動速度)の増
大に対して摩擦力(移動抵抗)の変化の傾きを常に正
(傾き0であってもよい)に維持しつつ一様に変化させ
ることができるので、摩擦力の急激な変化に伴う所謂逸
走状態を回避でき、延いては所謂スティックスリップを
抑制でき、高精度かつ安定した低速度制御、延いてはロ
ッド5の目標位置への高精度な制御が可能となる。
【0033】なお、従来のERダンパを用いない空気圧
シリンダでは、空気圧シリンダの運動を緻密に制御する
には、適応制御などに代表される高度な現代制御理論の
応用が一般的であり、高速演算が可能なコンピュータや
追従性の高い制御弁などを必要とし、空気圧アクチュエ
ータの利点である簡便さや低コスト性を損なうものであ
ったが、本実施形態に係るERダンパを用いた空気圧ア
クチュエータによれば、極めて簡単で低コストな構成で
ありながら、従来以上に高精度かつ安定した速度制御及
び位置決め制御が可能となるものである。
【0034】ところで、本実施形態では、復動型の空気
圧シリンダを例として説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、弾性体の反力等を利用した単動型
(シリンダ室が1つの)空気圧シリンダにも適用できる
共に、空気圧シリンダに限らず油圧シリンダ等にも適用
できるものである。即ち、本発明は、全ての一般的な流
体圧アクチュエータに適用できるものであり、延いては
非線形な摩擦特性を有する機械の可動部全てに適用でき
るものである。
【0035】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。第2の実施形態は、ERFの特性を活かして、
より一層高精度に機械可動部の位置決め制御を行えるよ
うにした場合の実施形態である。即ち、従来、ロボット
を含む機械の可動部の動作を制御する場合の制御理論
は、例えば、フイードバック制御により、可動部を駆動
するための駆動装置(アクチュエータなどの制御対象)
を制御動作信号(即ち、目標値と現在位置との偏差)に
応じて比例的に動作させることで、可動部に任意の動作
を行わせるものであった。
【0036】しかし、このような従来の制御理論では、
外乱である外力の作用する状況で可動部を目標停止位置
で高精度に停止させようとした場合、理論的には、偏差
と駆動装置の出力の間の比例関係の間に、無限大と見な
し得るような非常に大きな比例係数(サーボゲイン)が
必要である。この特性の実現のためには、高性能な位置
センサや駆動装置などが要求されるが、現実には、これ
らの条件を満たす位置制御装置を実現するには至ってい
ない。
【0037】このため、従来の精密位置決めを目的とし
た機械では、作用する外乱が無視できるよう装置全体の
製品精度や剛性の向上、或いは動作範囲の狭い駆動装置
を利用して等価的に位置の分解能を高める工夫などを導
入してきた。しかしながら、これらの改良は、何れも、
従来の比例制御方式をそのままに、装置の応答性・制御
精度の向上等に力を注いでいるものであり、これらによ
り幾分の改良を望めるとしても自ずと限界がある。ま
た、この結果として装置全体の複雑化と高コスト化が生
じるために、簡単かつ安価に精密位置決めを実現できる
ロボット等の機械システムの実現は、広く産業界におい
て依然強く切望されているのが実情である。
【0038】ところで、実行上、無限大のサーボゲイン
を有すると見なせる制御システムの特性は、僅かな偏差
の発生によって駆動装置の出力が敏感に定格出力まで反
応する特性である。即ち、この系には、可動部を駆動す
るための駆動装置の出力が、目標値と現在位置との偏差
に対して比例的動作をせず、離散的な数個の動作状態、
例えば、オフ状態、正方向全力動作状態、負方向全力動
作状態などの間を、瞬間的に切り替える動作(スイッチ
ング動作)によって、可動部に任意の動作を行わせる制
御方式が採用されるといえる。
【0039】このような方式は、前述の比例制御に比
べ、複雑で高価な線形増幅器が必要ないこと、駆動装置
の定格出力を最大限に利用できることなど、経済性や作
業効率の点で優れることから、比例制御方式と区別して
スイッチング制御と呼ばれている。しかし、現実には、
制御遅れなどの影響のために、目標値を中心とした持続
的な振動動作(所謂リミットサイクル)状態に陥ること
から、スイッチング制御方式によって高精度位置決めを
達成することは大変困難であった。
【0040】本願の発明者等は、ERFを含んで構成さ
れた駆動装置(アクチュエータ)において、スイッチン
グ制御方式による高精度位置決めの研究を重ねるうち
に、前述の持続振動の振幅と駆動装置に供給されるエネ
ルギー量との間に一定の比例関係が成り立つ現象を確認
した。具体的に言えば、ERFを含んで構成された駆動
装置への供給エネルギー(例えば可動部の駆動源たるモ
ータに供給する電力)を遮断し、時間の経過と共に駆動
装置の運転が徐々に停止する状況下において、偏差が正
側のときは負方向に、偏差が負側のときは正方向に、瞬
間的に出力の方向を切り替えるスイッチング制御操作を
実行したところ、持続振動の振幅は目標値に向かって収
束し、最終的に、駆動装置の運転が完全に停止したとき
には、機械の可動部を大変高い精度で目標値に到達させ
ることができたのである。
【0041】本願の発明者等は、この現象を解析した結
果、機械の可動部の動作を制御する新しい制御方式とし
て、従来の制御方式で無視されていた駆動装置への供給
エネルギーの遮断という操作を、陽に取り入れることが
重要であるということに想到した。以下、本実施形態に
係る、ERFを用いた駆動装置(アクチュエータ)にお
ける高精度位置決め制御について詳細に説明する。
【0042】本実施形態では、図7に示すような構成の
拮抗式回転型ERアクチュエータ(以下、単にERAA
とも言う)システムを用いる。図7において、サーボモ
ータ11、各種摩擦車(或いは歯車など)12、巻掛伝
導媒体(ベルトやチェーンなど)13、14等を介し
て、軸Xを回転中心として互いに逆方向に同速度で回転
駆動される上側ドラム(駆動円筒)15と下側ドラム
(駆動円筒)16の内側には、(例えばベアリング等を
介して)これら各回転部材から独立して軸X廻りに回転
可能に構成された出力ドラム(出力円筒)17が設けら
れている。なお、上側ドラム(駆動円筒)15、下側ド
ラム(駆動円筒)16が、本発明に係る第1駆動部或い
は第2駆動部に相当する。
【0043】そして、この出力ドラム17には、軸Xの
直角方向に延伸されたアーム18が固定されており、該
アーム18は前記出力ドラム17に連動して、軸Xを中
心に回転可能となっている。一方、図8に示すように、
上側ドラム15、下側ドラム16の内壁、及び出力ドラ
ム17の外壁には、電極19〜22が固定されると共
に、上側ドラム15、下側ドラム16の内壁と出力ドラ
ム17の外壁との間には、ERFが充填されている。
【0044】そして、各電極間の電界を制御すること
で、ERFの伝達トルク(剪断応力)を変化させ、出力
円筒17延いてはアーム18を任意の方向に、所定のト
ルク出力で回転させることができるようになっている。
つまり、電極19、21間に所定の電界を生じさせ、電
極20、22間に電界を生じさせないようにすれば、出
力ドラム17延いてはアーム18は、ERFの伝達トル
ク(剪断応力)によって上側ドラム15と連れ廻りする
ことになる。一方、電極20、22間に所定の電界を生
じさせ、電極19、21間に電界を生じさせないように
すれば、出力ドラム17延いてはアーム18は、ERF
の伝達トルク(剪断応力)によって下側ドラム16と連
れ廻りするようになっている。
【0045】なお、本実施形態に係る位置決め制御を実
行するコンピュータ23には、角度検出センサ24の出
力が、例えばサンプリングタイム1msで取り込まれると
共に、歪ゲージ式トルクセンサ25の出力も入力されて
いる。また、コンピュータ23からの制御信号により、
前記サーボモータ11、前記電極19〜22に接続され
る高電圧電源26の出力が制御され、前記サーボモータ
11の回転速度、出力ドラム17延いてはアーム18の
回転方向、出力ドラム17延いてはアーム18のトルク
出力が可変に制御されるようになっている。
【0046】なお、出力ドラム17延いてはアーム18
(出力軸)の角度位置検出は、広範囲用のポテンショメ
ータ(センサ24)と、高精度位置決め用のレーザ式変
位計27を併用して行う。このとき、レーザ式変位計2
7は、測定された直線変位から目標角度に対する偏差を
換算する方法で用い、出力軸上にある円板に設けた突起
部28(図8、図9参照)の位置を検出するようになっ
ている。
【0047】ここで、前記の各ドラム15〜17を円板
に置き換えたERAAの動作モデルを、図9に示す。こ
こにおいて、Jは出力軸の慣性モーメント、θは出力軸
角度、ωは駆動円筒の角速度、Ep は正方向円筒・出力
円筒間に印加される電界、EN は負方向円筒・出力円筒
間に印加される電界、Td は外乱トルクである。静的な
ERAAのトルク出力Tは次式(3)で表される。
【0048】
【数1】
【0049】ここで、τE (E) は、電界Eを印加したと
きに誘起する剪断応力、Aは電極面積、Rは出力円筒の
半径、Bはダンパ係数である。τE (E) の応答遅れを無
視すると、出力円筒の運動方程式は、次式(4)とな
る。
【0050】
【数2】
【0051】態)で、正負電極間のどちらか一方に、一
定電圧を印加する方法でトルク出力を測定した結果を、
図10に示す。この図10から、トルク出力は回転円筒
の角速度に依存せず、電界の大きさのみにより決定され
ることが分かる。また、電界3.0kV/mmのステップ入力に
対するトルク変化の応答を、図11に示す。この図から
も、ERFの特性が反映され、トルクの応答性が高いこ
とが分かる。但し、トルク出力の波形が振動的であるの
は、出力円筒やカップリングなどの動特性が、トルク変
化の動特性に重畳したためと考えられる。
【0052】ところで、本実施形態においては、目標角
度θr に対する偏差e(=θr −θ)に対し電界Ep
N を次式(5)のように切り替えるスイッチング制御
方式を採用している。即ち、 e≧0:Ep =EC ,EN =0 e<0:Ep =0,EN =EC ・・・(5) ここで、EC は任意の一定電界である。
【0053】しかしながら、この単なるスイッチング制
御方式では、目標値近傍に達しても加速トルクが減少し
ない。このため、駆動円筒15(或いは16)の回転が
一定の状態で、上式のスイッチング制御を実行すると、
目標角度を中心とした振動動作(リミットサイクル)が
発生することになる。なお、上記のようなリミットサイ
クルを回避するためには、線形制御理論に基づいて、偏
差や速度に応じて電界の大きさを調整することが考えら
れるが、これでは、制御方式が複雑になる。
【0054】そこで、リミットサイクルの振幅αを支配
するパラメータを調べるために、電界EC と回転速度ω
の大きさを様々に変えて制御実験を行い、これらと振幅
αとの関係を調べた結果を、図12に示す。該図12に
より、次の関係が明らかにされた。 a)電界EC に応じた特定の値よりも速度ωが小さいと
き、速度ωの減少に伴って振幅αが一様に減少する。
【0055】b)前記特定の値よりも速度ωが大きい場
合、振幅αは電界EC の値に応じた一定値となる。これ
らのことから、本願の発明者等は、以下のような制御方
式に想到するに至った。即ち、前述のスイッチング制御
を実行し、出力円筒17(アーム18)が目標位置に到
達したときに(目標位置を過ったときに)、スイッチン
グ制御を継続したまま駆動円筒15(或いは16)を減
速・停止させる制御を行う。
【0056】これによると、図13に示すように、出力
円筒17(アーム18)の減速に伴ってリミットサイク
ルが収束し、更に出力円筒17(アーム18)が停止し
たときに振幅αは0となり、極めて高精度な位置決めが
可能となる。即ち、本実施形態に係る制御方式によれ
ば、駆動円筒15(或いは16)延いては出力円筒17
(アーム18)の減速に伴って振動が滑らかに減衰し、
安定した高精度な位置決めが可能となることが確認され
た。
【0057】なお、数度の試行の結果、目標位置に対す
る平均誤差は10μm以内(角度で±0.01deg)
であった。これは、使用したレーザ変位計27の有効分
解能が2μmであることを考慮すれば、極めて単純なス
イッチング制御で著しく高い精度の位置決め制御を達成
できると言える。また、本実施形態の制御方式によれ
ば、駆動円筒15(或いは16)が停止されているとき
で、ERFに電界が印加されるから、目標位置に出力円
筒17(アーム18)を保持している間においても、該
出力円筒17(アーム18)には、所定の制動力(印加
電界に応じた剪断応力)が作用することになる。
【0058】従って、外乱等によってリミットサイクル
が再発生するような事態は回避できるから、極めて安定
性の高い高精度な位置決めを達成できることとなる。つ
まり、本実施形態によれば、従来のオンオフ制御や比例
積分制御等では達成することができなかった、極めて安
定性の高い高精度な位置決め制御を、簡単な構成で行う
ことができる。
【0059】なお、目標位置への収束性を優先したい場
合は、目標位置へ到達したときに(目標位置を過ったと
きに)、印加電界を小さくして振幅αを小さく抑えるす
るように制御しても良い(図12参照)。そして、目標
位置に保持しているときの保持力を高めたい場合には、
目標位置保持時に印加電界を高めるように制御しても良
いものである。
【0060】ここで、上記の高精度位置決め制御の原理
について説明しておく。上述した本実施形態に係る制御
方式は、理論的には、偏差が十分小さくなるまで、以下
の4つの操作を繰り返し行うことである。 偏差の正負を検出する。 目標方向に、出力円筒17を加速させる(ERFに電
界を印加する)。
【0061】目標位置に達したときに、トルク方向を
切り替える。換言すれば、偏差の正負が反転したら、そ
れまでの進行方向と逆方向に向けて出力円筒17が進む
ようにERFへ印加する電界を切り替える。 出力円筒17を停止させ、へ戻る。 この繰り返しを1サイクルと定義する。
【0062】印加する電界の大きさが偏差や速度によら
ず一定であるから、操作での加速トルクと、操作で
の制動トルクは共に一定である。さて、各サイクルでの
偏差eは、操作の実行に要する制動距離である。よっ
て、上記(4)式の外乱トルクTd とダンピング係数B
を無視すると、各サイクルでの偏差eは次式(6)で与
えられる。
【0063】
【数3】
【0064】ところが、駆動円筒15(或いは16)の
回転速度を一定に保ったままで、上式(10)のスイッ
チング操作を実行している場合には、各サイクルでの出
力円筒17(アーム18)の運動エネルギは次式(7)
で与えられる。
【0065】
【数4】
【0066】この場合には、制動距離(即ち、サイクル
終了時の偏差)が加速距離(即ち、サイクル開始時の偏
差)よりも減少することは望めず、何回スイッチング操
作を繰り返しても、偏差が持続した状態(リミットサイ
クル)に陥る。しかし、上記(4)式から明らかなよう
に、出力円筒17(アーム18)は、駆動円筒15(或
いは16)の角速度ωよりも速く回転できない。よっ
て、実際には、上式(6)の関係は次式(8)で表され
る。
【0067】
【数5】
【0068】このことは、ERFのビンガム流動特性に
より実現されている。即ち、出力円筒17(アーム1
8)の速度が、駆動円筒15(或いは16)の速度を越
えようとすると、ERFの伝達トルクは瞬時にこれを減
速させるように作用し、過剰な運動エネルギが熱消散さ
れる。駆動円筒15(或いは16)の停止過程におい
て、操作サイクルを繰り返し行う方法を採用した場合、
ωが時間の経過と共に減少するので、出力円筒17(ア
ーム18)の運動エネルギ量も次式(9)のように減少
する。
【0069】
【数6】
【0070】ここに、Ki はアームの運動エネルギの減
少の程度を示す変数である。全てのKi は、熱力学第2
法則より、明らかにl>Ki >0である。全てのKi
等しく一定である場合、制御開始時の初期偏差をe0
すると、n回のサイクルを実行した後の偏差eは次式
(10)で与えられる。
【0071】
【数7】
【0072】図14は、偏差ei (即ち、制動距離)
が、前回の偏差ei-1 (即ち、加速距離)の大きさに依
存せず、iの増加に伴って減少する駆動円筒15(或い
は16)の速度のみによって逐一決定されることを示し
ている。駆動円筒15(或いは16)の速度は、制御開
始時には有限な大きさであるから、理論的にはω→0の
過程で、n→∞となり、偏差en は限りなく0に近づ
く。
【0073】慣性の変動ΔJと外乱トルクTd の影響を
考慮し、更に、Kが一定でないとしたときの偏差e
n は、次式(11)で与えられる。
【0074】
【数8】
【0075】少なくとも、TER(EC ) >|Td |であれ
ば、上式(11)は成立し、n→∞であれば、Td やJ
の変化に依存せず、偏差en は0となる。現実には、操
作の実行に無視できない遅れがあること、上下の駆動
円筒15、16の速度の減少度合いが異なること、など
の理由から、nは有限回数で打ち切られてしまい、有限
のnに対して有限な偏差en を生じる。
【0076】しかし、ERFの剪断応力がずり速度に依
らずほぼ一定であること、剪断応力の変化が高速で応答
できること、などから、定常偏差が十分に小さくなるこ
とが実験結果より確認される。なお、本実施形態に係る
制御方式の特性を、あくまで線形制御理論の範疇で説明
すれば、系の見かけの剛性、即ちサーボゲインがω→0
の過程で増大し、ω=0で無限大に達するものとして表
現できる。これを見かけの剛性KERで表現すると、次式
(12)で表される。
【0077】
【数9】
【0078】|Td |<TER(EC ) の場合、ω→0でe
→0であるから、KERは無限大に向かって増大する。し
かし、一般のサーボ系では、系の安定性の問題から、こ
のような無限大のゲインは実現しない。この問題は次の
ように解決される。本制御方式では、i回目のサイクル
での操作トルクTER(EC ) の大きさは、このサイクルの
期間中一定である。このTER(EC ) は、見かけの剛性K
ERと見かけの粘性BERを用いると、次のように表現でき
る。
【0079】 TER(EC 01 i =KERi ・ei =BERi ・ωi ・・・・(13) ここで注意する点は、BERとKERがERFの見かけの粘
性率η(E) で実現されることである。従って、ω→0で
は、BERとKERとは無限大に増大する。
【0080】
【数10】
【0081】即ち、見かけの剛性KERが無限大に増大す
るに連れ、見かけの粘性BERも無限大に増大している。
このため、著しい高精度位置決めをロバストに安定して
実行することができるものと考えられる。ところで、本
実施形態に係る制御システムによれば、極めて簡単な構
成で、高精度で安定した位置決め制御を実行でき、尚且
つ、目標位置を所定の制動力で保持することができるか
ら、更に、以下のような制御にまで発展させることが可
能となる。
【0082】即ち、近年、高齢者介助支援ロボットやパ
ーソナルロボットなど、人と共存できるロボットが盛ん
に研究されているが、産業用ロボットが周囲の作業者を
隔離することで安全を確保してきたのに対し、これら共
存ロボットは、人体との接触が前提となるため、利用者
の安全確保が大きな課題となっている。
【0083】つまり、共存ロボットが、人体との接触を
伴う作業を行うときに生じる接触力が課題とならないよ
うにしつつ目的の作業を実現する制御方式が必要とな
る。この柔らかい動作を実現する制御方式は、コンプラ
イアンス制御と呼ばれる。一般に、コンプライアンス制
御では、系のサーボゲインを低くすることで、ロボット
の順応性が作り出される。そして、サーボゲインが小さ
いと大きな偏差に対しても人体の反力を小さくできるた
め、ゲインが低いだけ、安全性が高い、と考えれてき
た。
【0084】しかし、この方法では、次のような問題が
ある。 1)人体の反力が許容できるほど小さい場合でも、目標
位置に精度良く位置決めできない。 2)微小な外力の変動に対して偏差が変化し、安定に停
止できない。 3)偏差が非常に大きくなると、結局、過大な力を人体
に及ぼす惧れがある。
【0085】そこで、本願の発明者等は、上記のような
問題を解消するべく種々の研究を重ねるうちに、新たな
制御システムを見出した。そのモデル図を、図15に示
す。ここにおいて、T1 ,T2 はロボットの駆動トル
ク、x1 ,x2 は作業座標系でのロボットの手先の位
置、fは人とロボットとの間で生ずる干渉力、eは目標
との偏差、εは人体の変位である。
【0086】人とロボットが直接接触しつつ互いに作用
を及ぼし合う状況(協調作業)においては、ロボットの
及ぼす干渉力が人体の接触力に対する許容限界値を越え
ない範囲内であれば安全であると判断できる。そして、
この場合、人の安全を確保するためのロボットの制御特
性は、干渉力が限界値以下の場合には、できる限り偏差
を減少させ位置決めを実行する一方、人体の反力が過大
となる惧れのある状況下では偏差が増大しても干渉力を
限界値以下に抑える特性である。
【0087】偏差eを修正するためのアクチュエータ出
力をTとすると、この条件を満足するロボットの理想的
特性は、次式(15)で表される。 T=Tdmax・sgn(e) ・・・(15) ここで、Tdmaxは人体に許容される干渉力の限界値、s
gn(e)は符号関数である。
【0088】このアクチュエータ出力Tのパターンを図
16に示す。この制御特性は、人の拘束から解放されれ
ば目標で剛性の高い位置決めが実行されつつも、人体の
許容限界値を越える過大な干渉力は決して生じない点に
特徴がある。既述したように、ERFの剪断応力を利用
してサーボ系を構成すると、降伏値以下の外力に対して
は対象物が変位を生じない保持状態を達成できる一方、
対象が変位する際の抵抗力は、ある許容値以内に保つこ
とができる。
【0089】即ち、図7や図8に示した拮抗式回転型E
Rアクチュエータ(ERAA)を用いて上記〜の操
作を行った場合を例に説明するが、例えば、アーム18
を人間が保持している状況で、角度(位置決め)制御を
行い、協調作業(アシスト)を行わせた場合、所定の運
搬トルク(アーム18のトルク出力)で目標位置へ高精
度に人体(手)を運搬でき、その位置に安定して保持さ
せることができる一方で、所定(アーム18のトルク出
力)より大きな干渉力(接触力)が生じた場合でも(人
間が途中位置でアームを止めようとしたときなど)、ア
ーム18の出力トルクがERFの剪断応力(降伏応力)
を越えることはないから、アーム18が人体に、ERF
の剪断応力より大きな接触力を及ぼすことがない。従っ
て、確実に人体に対する接触力を許容値(印加電界で調
整することができる)以下に保つことができることにな
る。
【0090】つまり、本実施形態に係る制御システムに
よれば、人とロボットが直接接触しつつ互いに作用を及
ぼし合う状況(協調作業)において、干渉力が限界値以
下の場合には高精度な位置決め制御を実行でき、且つ、
人体への反力が過大となる惧れのある状況下では干渉力
を限界値以下に抑えて利用者の安全を確保できる制御が
可能となる。
【0091】ところで、上記各実施形態では、印加電界
により流動特性を可変に制御可能なERFを用いて説明
したが、これに限らず、本発明は、例えば磁界によって
流動特性を可変に制御可能な磁性流体を用いることも可
能である。即ち、本発明に係る可変ビンガム流体には、
磁性流体等も含んで考えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る空気圧アクチュ
エータの縦断面図。
【図2】同上実施形態に係るERダンパ部の拡大断面
図。
【図3】同上実施形態に係る印加電界と始動制動力との
関係を示す図。
【図4】同上実施形態に係る制御システムを説明する全
体構成図。
【図5】空気圧シリンダ部の摩擦特性(ストリベック曲
線)を示す図。
【図6】同上実施形態に係る合成制動力(移動抵抗)を
説明するための図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る制御システムを
説明する全体構成図。
【図8】同上実施形態に係る拮抗式回転型ERアクチュ
エータの構成図。
【図9】同上実施形態に係る拮抗式回転型ERアクチュ
エータをモデル化した図。
【図10】駆動円筒の回転速度に対するトルク出力の測
定結果を示す図。
【図11】ステップ入力に対するトルク変化の応答特性
の測定結果を示す図。
【図12】電界EC と回転速度ωと振幅αとの関係を示
す図。
【図13】同上実施形態に係る制御を行った場合の振幅
αの変化の様子を示すタイムチャート。
【図14】リミットサイクルにおける減衰パターンを説
明する図。
【図15】高齢者介助支援ロボットやパーソナルロボッ
トなどのモデル図。
【図16】理想的なアクチュエータ出力のパターンを説
明する図。
【図17】ERFのずり速度と剪断応力との関係を示す
図。
【図18】ERFの応答性を示す図。
【符号の説明】
1 復動型空気圧シリンダ 3 復動型空気圧シリンダ部 4 ERダンパ部 4A ダンパピストン(可動部) 5 ロッド(可動部) 6 電極 11 サーボモータ 15 上側ドラム(駆動円筒、第1駆動部) 16 下側ドラム(駆動円筒、第2駆動部) 17 出力ドラム(出力円筒、可動部) 18 アーム(可動部) 23 コンピュータ(制御装置) 26 高電圧電源(駆動力の供給源) ERF 可変ビンガム流体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可変ビンガム流体を含んで構成された機械
    の制御方法であって、 機械の可動部の摩擦特性の変化に応じて、前記可変ビン
    ガム流体の流動特性を可変制御して、機械の可動部の移
    動抵抗を所定に制御することを特徴とする機械の制御方
    法。
  2. 【請求項2】前記機械の可動部の移動抵抗を所定に制御
    することが、可動部の移動速度の増大に応じて機械の可
    動部の移動抵抗が大きくなるように、或いは可動部の移
    動速度の変化に拘わらず機械の可動部の移動抵抗がほぼ
    一定となるように制御することであることを特徴とする
    請求項1に記載の機械の制御方法。
  3. 【請求項3】可変ビンガム流体を含んで構成された機械
    の制御装置であって、 機械の可動部の摩擦特性の変化に応じて、前記可変ビン
    ガム流体の流動特性を可変制御して、機械の可動部の移
    動抵抗を所定に制御する機能を含んで構成したことを特
    徴とする機械の制御装置。
  4. 【請求項4】前記機械の可動部の移動抵抗を所定に制御
    することが、可動部の移動速度の増大に応じて機械の可
    動部の移動抵抗が大きくなるように、或いは可動部の移
    動速度の変化に拘わらず機械の可動部の移動抵抗がほぼ
    一定となるように制御することであることを特徴とする
    請求項3に記載の機械の制御装置。
  5. 【請求項5】機械の可動部と、 前記機械の可動部を可変ビンガム流体の剪断応力を介し
    て、所定方向に駆動する第1駆動部と、 前記機械の可動部を可変ビンガム流体の剪断応力を介し
    て、前記所定方向と逆方向に駆動する第2駆動部と、 を含んで構成した機械の制御方法であって、 可変ビンガム流体の剪断応力を制御して、前記第1駆動
    部或いは前記第2駆動部の駆動力で、機械の可動部を目
    標位置方向へ移動させ、 機械の可動部が目標位置を過ったら、可変ビンガム流体
    の剪断応力を制御して、機械の可動部の移動方向を切り
    替えるスイッチング制御を行いつつ、前記第1駆動部及
    び前記第2駆動部の駆動力を経時と共に0まで減少させ
    ることで、機械の可動部を目標位置に制御するようにし
    たことを特徴とする機械の制御方法。
  6. 【請求項6】前記機械の可動部が、人と直接接触しつつ
    互いに作用を及ぼし合う協調作業を行う協調作業制御シ
    ステムの機械の可動部であることを特徴とする請求項5
    に記載の機械の制御方法。
  7. 【請求項7】機械の可動部と、 前記機械の可動部を可変ビンガム流体の剪断応力を介し
    て、所定方向に駆動する第1駆動部と、 前記機械の可動部を可変ビンガム流体の剪断応力を介し
    て、前記所定方向と逆方向に駆動する第2駆動部と、 を含んで構成した機械の制御装置であって、 可変ビンガム流体の剪断応力を制御して、前記第1駆動
    部或いは前記第2駆動部の駆動力で、機械の可動部を目
    標位置方向へ移動させ、 機械の可動部が目標位置を過ったら、可変ビンガム流体
    の剪断応力を制御して、機械の可動部の移動方向を切り
    替えるスイッチング制御を行いつつ、前記第1駆動部及
    び前記第2駆動部の駆動力を経時と共に0まで減少させ
    ることで、機械の可動部を目標位置に制御する位置制御
    機能を含んで構成したことを特徴とする機械の制御装
    置。
  8. 【請求項8】前記機械の可動部が、人と直接接触しつつ
    互いに作用を及ぼし合う協調作業を行う協調作業制御シ
    ステムの機械の可動部であることを特徴とする請求項7
    に記載の機械の制御装置。
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